2
トンデモメイズがやってくる!

#アルダワ魔法学園

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アルダワ魔法学園


0





 そのフロアは、ある人が入るとトラバサミだらけだった。
 そのフロアは、ある人が入ると落とし穴だらけだった。
 そのフロアは、ある人が入るとワイヤートラップばかりだった。

 しかしそのフロアを抜けた先には、叡智と武勲が待っている。
 故に、挑戦する生徒は後を絶たず。
 第一階層でドロップアウトする生徒もまた、後を絶たないのであった。


「大変大変、大変だよーっ!」
 今日も脚立の上で背伸びをしているメッティ・アンティカ(f09008)。スペースシップでの争いで、グリモアベースは大賑わい。此処はメッティにとっての戦場だ。
「ぜえ、はあ。え、えっとね! 今日はアルダワ魔法学園の夢を見たんだ! 罠と本だらけの迷宮があってね。生徒たちが力試しに行くことが多い、比較的安全な迷宮だったんだけど……その奥にオブリビオンが現れて、生徒を襲う夢を見たんだ! ね、大変だよね!」
 人ごみでずれた魔女帽子を直しながら、メッティは言う。
「んとね、この迷宮はちょっと特殊な構造になっていて……まず第一階層は罠がいっぱいあるんだ。けど、その罠は入ってみるまで判らない。入った時点で想像した罠がいっぱい現れるっていう、ヘンな構造になってるんだ。頭の中を読むのかな、すごいよね!」
 すごいとか言っている場合ではない。が、メッティはどういう構造なのか気になって仕方がないようだ。しばし首を傾げた後、説明を待っている猟兵の事を思い出し。
「じゃなかった、ええと。ごほん。第二階層は本がいっぱいの図書館みたいなフロアだよ。目立った罠はないんだけど、単純に、迷う。うん、判りやすいね! 本はいっぱいあるんだけど、読んでも意味はないみたい。中身がない……白紙なんだ」
 第二階層はとても単純な作りなのか、そこでいったん言葉を切り、ノートをめくるメッティ。
「問題のオブリビオンは第三階層にいるよ。知識を喰らう魔物、って感じだったんだけど……もしかしたら、図書館の知識を食べに来たのかもしれない。うーん、その辺りはどう推理しても答えは出ないんだけど……とにかく、どかーんとやっちゃって大丈夫だから! 宜しくね!」
 えっと、質問はあるかな? ないなら早速出発してほしい!
 メッティは一同を見渡すと、右手の上にグリモアを具現させた。さて、どんな罠が待っているのやら。


key
 こんにちは、keyです。
 戦争でてんやわんやしているところですが、メッティ君が夢を見たようですよ。

 今回の迷宮についての説明は下記に。

●第一階層
 罠だらけです。しかも、あなたが想像した罠だらけ。
 どんな罠かはお好きに想像していただいて構いません。
 例えばトラバサミ。例えば落とし穴。
 基本的にお誘いあわせでない限り、個別描写になります。ご容赦下さい。

●第二階層
 白紙の本がぎっしり詰まった図書館のような迷路です。
 上から見ればまさに迷路のように、本棚が奇妙な法則で並んでいます。
 こちらは何人かを一度に描写する事になるかと思います。
 個別描写をご希望の方は明記して頂けると助かります。

●第三階層
 オブリビオンが待ち構えています。
 障害物はありません。遠慮なくやってしまいましょう。

 戦争で大変な中ではありますが、宜しくお願い致します。
 では、いってらっしゃい。
123




第1章 冒険 『オンリートラップを突破せよ!』

POW   :    力尽くで攻略する

SPD   :    罠が発動する前に突破する

WIZ   :    罠を利用したり解除したりして突破する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●トンデモメイズにやってきた!
 グリモア猟兵が示した迷宮にやってきた猟兵たち。
 君たちを待ち受けるのははたしてどんな罠なのだろうか。兎に角尋常じゃない数なのは確かだ、頑張れ猟兵!
マイア・ヴェルナテッド
…入場した者の想像した罠が配置される仕掛けですか、どういった魔術かそれに類するものか興味は尽きませんが調査している余裕もなさそうですしさっさと突破してしまいましょう。

考えている罠が出現するのであれば無心で突入してしまえば罠は出ないのでは?とはいえ、想定外の物が出てくる可能性もありますしここは地表にあるものにしか感知せず影響を及ぼさないトラバサミ等の罠を考えながら入場しましょう。

入場後は『夜鷹の使い魔の召喚』でトラバサミを飛び越えて突破します。


ミーシャ・ルゥルゥ
【SPD】を選択

【心境】
へー!迷宮探索か〜!
楽しみだな!
でも罠があるんだよね…
ボクってちょっとおっちょこちょいだから、少しだけ心配かな…

【行動】
移動中は〈コミュ力〉を使って仲間と会話しようかな!
迷宮は楽しんで攻略しないとね!

ボクは罠がどこにあるか分からないだよね…だから他の人に見つけてもらおうかな。

罠は〈ダッシュ/逃げ足〉で起動する前に走り抜けるよ!

使うか分からないけど〈毒耐性〉が必要になったりするかも?

アドリブ・共闘歓迎です!



「入場したものの想像した罠、ね……」
 マイア・ヴェルナテッド(ノーレッジデザイア・f00577)が興味深げにつぶやく。どういった魔術・呪術の類を使えばそのような迷宮が出来るのか。調べてみたい気持ちはあるが、今はオブリビオン退治が先だ、と欲求を飲み込む。
「ん~、迷宮探索! 楽しそう~!」
 一方、ミーシャ・ルゥルゥ(砂漠の国のダンピール・f12910)はノリノリであった。何事も楽しくいこうというスタンスの彼女は、迷宮の構造より隣の猟兵の方が気になる。
「ねえねえ、どんなの想像してる? ボクは想像できないんだよね~! 此処は揃えた方が良いのかなあ?」
「はあ……無心で入るとどうなるのか、とはちょっと思うけれど……此処は無難なトラバサミを想像しようかと」
 マイアはミーシャの明るさに気圧されるようにして答えた。成る程! と手を打ったミーシャと共に、迷宮の中に入る。
「……うわあ」
「見事にトラバサミだらけね……」
 そこにはぎっちりとトラバサミが並んでいた。土で巧妙に隠されているもの、もうそのまんま露出しているもの、様々あるが……これでは一歩進むたびに足を挟まれてしまいそうだ。
「うわー、すごいね……ちょっと走るには無理があるなぁ」
「走ろうと思ってたの?」
「うん……」
 しょんぼりとするミーシャに溜息を吐くと、マイアは片手をあげ、夜鷹の使い魔を呼び出した。その頭を軽く撫で、身軽に騎乗する。
「さて、行きましょう」
「あっ、いいないいな~! そっか、飛んで進んだらトラバサミに挟まれないよね!」
「……乗らないの?」
「え?」
「乗らないなら行くわよ?」
「の、乗る! 乗ります乗ります! わーい、ありがとう!」
「……別に」
 ミーシャのコミュ力が幸いしたのか、マイアの生来のやさしさか。感謝の言葉にふいと顔を逸らしたマイアだが、特にミーシャを拒む事はなく。
 一羽の大きな夜鷹が迷宮を飛ぶ。二人はこうして、無事に先へと進むのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニトロ・トリニィ
月見・桜さん(f10127)と一緒に行動出来ればお願いします。

【POW】を選択

【心境】
罠があるの?
どんなものだろうね…例えば落とし穴とか転がる岩かな?
決まった順番に歩かないと床が崩れるやつもあるかも?

【行動】
僕が先頭を歩いて罠に突撃かな。
〈鍵開け/封印を解く〉で無力化出来ればそうするけど、出来なければ
《念動力》で離れたところから罠を発動させたり、壊したりするよ!

移動中は〈暗視/地形の利用〉を発動して進むよ。

誰かがピンチだったら〈救助活動/医術/かばう〉で助けるよ!

アドリブ歓迎です!


月見・桜
ニトロ・トリニィさん(f07375)と一緒に行動出来ればお願いします。

【WIZ】を選択

【心境】
罠ですか…
簡単なものだけであれば良いですね…
怪我が無いように進みましょう!

【行動】
〈暗視〉を発動しながら〈聞き耳/視力/第六感〉を使って罠を探しながら進みます。
出来れば先頭には、体を張れる人が居てくれれば頼もしいですね!

《生まれながらの光》は怪我をした方が出た時に使用します。
これは使う機会がないかもしれませんが、一応保険の様なものです。

アドリブ歓迎です!



「罠、か……罠というと、落とし穴とか転がる岩とか……あと、決まった順番に歩かないと崩れる床とか」
「す、すごいですね。よくそこまで思いつきますね?」
「ん? そうかな」
 ニトロ・トリニィ(楽観的な旅人・f07375)と月見・桜(妖狐の聖者・f10127)は迷宮の前で事前打ち合わせ。二人とも癒しの技を携えて、中の予想をするのだが……決まった順番の床とか描写が難し……ごほん。失礼。
 兎に角、相手が怪我をしたらしっかり癒すを合言葉に、二人は迷宮へと踏み入……
「きゃああ!?」
「わ、危ない!」
 突然地面に吸い込まれそうになった桜を、ニトロが腕を絡みつかせるように捕まえる。引き上げて確認すると……落とし穴だった。穴底ではご丁寧に、尖った竹が幾本も天を仰いでいる。
「ひ、ひえええ……」
「どうやら落とし穴のトラップみたいだね……桜、大丈夫?」
「はい、なんとか……でも落とし穴ということは……」
 二人は迷宮のフロアを見回す。土が不自然にもってある箇所が、1、2……数えていられないほど。
「うーん、どうせなら転がる岩だったらよかったかなぁ」
「そ、それも嫌です……! 潰されたらどうするんですか!」
「まあそうだね……落とし穴と落とし穴の間を通って行こう」
「はいっ。ニトロ君が落ちそうになったら、今度は私が助けますね!」
 ふんす、と気合を入れた桜に、ニトロはありがとう、と笑う。でも実際、危ないのは桜の方じゃないかな、と思ったりもして。
 そうしてフロアを進み始める二人だが、平然と歩くニトロに反して桜はふらふらとしている。時に桜を支え、時に抱え上げながら、ニトロは落とし穴の間の細い土の盛り上がりを歩いていく。
「ううっ……なんだか私ばっかり助けられて、悔しいです……」
「大丈夫だよ。僕は気にしないし、次は桜に助けてもらうかも知れないよ? その時に助けてくれれば大丈夫」
「うう……! あ! ニトロくん、擦り傷が出来ています!」
 己を抱える温度のない腕を見て、桜が声を上げた。多分、先程――といっても、数度あったので正確にいつなのかは判らない――落ちかけて、庇って貰った時についた傷だろう。生まれ持った聖者の光を輝かせ、素早く傷を治す桜。
「わ、ありがとう。早速助けてもらっちゃったね」
「これくらいなら平気です! えへへ、私、お役に立てましたか?」
「うん! すごく頼りになるよ!」
 二人は和気藹々と語り合いながら、細い道をゆっくりと進んでゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ラザロ・マリーノ
【POW】
迷宮の罠と言えば、吊り天井にせばまる壁。床から生えてくるトゲに、転がる巨大鉄球とかかね。
まあ、全部出てくるわけじゃないだろうが…出てこないよな…。

【罠使い】の知識で罠がありそうな場所に目星をつけたうえで、エコーロケーションの【視力】【暗視】【聞き耳】を駆使してできるだけは罠を発動させずに進むぜ。
発動したら【ダッシュ】で逃げるか、できなけりゃユーベルコード「グラウンドクラッシャー」で破壊するしかないな。



「迷宮の罠と言えば……」
 吊り天井に狭まる壁。床から生えてくる棘に、巨大鉄球とか。
 ラザロ・マリーノ(ドラゴニアンのバーバリアン・f10809)は指折り数えて考えて、……まさか全部出てこないよな、と嫌な予感を振り払う。
「ま、まあ、罠が出てきたら出てきたで、走って逃げりゃなんとかなるだろ。鉄球なんかは出口より大きいって相場がきまってらぁ」
 それで入り口が塞がれるってやつね。わかるわかる。己を鼓舞しながら入ったラザロの見たものは、……
「……あ? 何もねぇな」
 普通のフロアだった。周辺の土を探ってみるが、落とし穴らしき形跡はない。トゲの感触もない。こりゃあ不発か? と、安堵半分にラザロがフロアを進み始めた、その時。

 ――ごごごごご……!

「うお!? なん……うおおおお!?」
 説明しよう! ラザロは慎重に慎重を期して進んでいたのだが、罠は下ではなく上! 天井が降りてきたのである!
 これはさすがにどうしようもない。大慌てで走り、出口を目指す。出口が、ああ、狭まっていく、ラザロの身長から、かがめば通れる程度、今ならスライディングで――ちきしょう!
「やるっきゃ、ねえのか、よッ!!」
 このままでは間に合わない――そう判断したラザロは、最後の一手を振り下ろした。それはとても単純で、だからこそ致命的な一撃。振り下ろすというよりは横合いから斜めに地面を殴りつける要領で放たれたその一撃は、出口の周辺ごと天井を大きく吹っ飛ばした。
 土煙がもうもうと立つ中、空いたスペースに入り込む。――ごごん、と音がして、すぐそばの地面と天井がぴったりくっついた。
「……とんでもねえ」
 顎に伝った汗を拭う。これでは前に進むしかない――いや、もともと進むつもりではあったのだが。出口をくぐり、次の迷宮へ進むラザロだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『叡智なき書の迷宮』

POW   :    体力に物を言わせて踏破する。

SPD   :    蔦を使ったり、本を引き出し足場を増やす等の工夫で攻略する。

WIZ   :    本の並び等に規則性を見出し、出口を探す。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●トンデモメイズはまだ続く
 各々なんとか罠を突破した猟兵たち。彼らの目の前に広がるのは、本棚、本棚、本棚の群れ。
 しかもすべてにぎっちりと本が詰め込まれている。まさに知識の宝庫――といえれば良かったのだが。何故かそこにある本には、一文字たりとも文字は記されていなかった。
 もとから白紙だったのか、或いは――?
ニトロ・トリニィ
月見・桜さん(f10127)と行動出来ればお願いします。

【WIZ】を選択

【心境】
ここまで大量の本を見るのは初めてだよ…凄い光景だね。…ん?本のタイトルは書いてあるのか…
面白そうな物もあるんだけど、全部白紙なんて… 少し残念かな。

【行動】
かなり広そうだし、仲間の桜と連携しながら慎重に進もうかな。
〈情報収集〉を使いながら本棚を調べるよ。 〈鍵開け/封印を解く〉なんかも使うかな?
広いだけじゃ無くて入り組んでるみたいだし、迷わないように地図を作りながら進んだ方が良いかもね。
《念動力》は高い所を調べるのに使うよ!

アドリブ歓迎です!


月見・桜
ニトロさん(f07375)と一緒に行動します!

【WIZ】を選択

【心境】
こんなに大きい図書館は初めて見ます!
なんというか…圧倒される光景ですね!
でも…なぜ本は白紙なのでしょうか?…気になりますね!
先に進めば謎が解けるかもしれませんね!

【行動】
仲間のニトロ君と協力しながら出口を探します!
情報収集能力はニトロ君の方が高いので任せます!なので、わたしは〈第六感〉を発動した直感で怪しい所を調べます!
わたしはあまり背が高く無いので、高い所を調べる時はニトロ君に任せます。

アドリブ歓迎です!



「わあ……こんなに大きな図書館は」
「初めて、です……!」
 桜とニトロは声を合わせて、蔵書の多さにほう、と感嘆の息を吐いた。
「あ、タイトルは書いてあるんだな……」
 試しに一冊手に取って、めくってみるニトロ。しかしそこには一文字も記されていない。まさに表紙詐欺である。
「なんというか、圧倒される光景ですね! でも、どうして白紙なんでしょう」
「そうだね…表紙は面白そうなのに中身がないなんて、なんだか残念だな」
「表紙があったという事は、中身もあったんでしょうか……だとしたら、なんだか怖いですね」
 桜の言葉を聞きながら、本を元の位置に戻すニトロ。二人して首を傾げ。
 本棚は天井まで及んで、まるでこのフロアのために作られたかのようにぴったりと嵌っている。上を渡っていくという一種のズルは出来ないようになっているらしい。ならば、地道に進むしかないか。
「とにかく、迷わないように地図を作りながら行こう。表紙を目印にすれば迷うことはないかな」
「そうですね! 行き止まりかもしれないと思ったら言うので、任せてください!」
 二人はあれやこれやと相談し、分かれ道では表紙をチェックする事。桜がこっちは行き止まりかも、と思ったところにはいかない事。それでも行き止まりに当たってしまったら一旦分かれ道まで戻り、地図に印をつける事、などを打ち合わせ。
「よし、じゃあ長い道のりになりそうだけど、いこう」
「はいっ! ……どこかの行き止まりで、本を傾けたらごごごごーって…動いて、出口が……とかって、ありませんかね?」
「うーん……ありそうだと思ったら、教えてくれるかい? 鍵開けでなんとかなるかも」
「はっ! そうですね! 判りました。注意深く見ておきますね!」
 さっきはすっかりニトロに助けられたからか、今度は自分が助けるのだと意気込む桜。気にしないで良いのにと、ニトロは其れを見て僅かに笑う。傷を癒してくれただけで、十分助けられているのに。
「さあっ、さあっ、行きましょう!」
「あ、待ってよ桜! ほら、目印を書いておかないと……!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ラザロ・マリーノ
【SPD】
元から白紙だったらいいんだが、もし奴がここにある本の中身全部持って行ったんだとしたら、ヤバいなんてもんじゃねえな。
万が一にも奴を迷宮から出すわけにはいかなくなったぜ。

まずは、書庫の全体像を把握するか。
書庫の上部に開けた場所があれば、UC「風の理」と【ジャンプ】で行って【視力】で確認。
無ければ【ダッシュ】で地道に行くぜ。

書庫の構造に加えて、【世界知識】【情報収集】でどんな本がどこにあるか、おおまかなマップを作れば突破しやすくなるかね。



「この本も何もなしか」
 ラザロはぺらぺらとめくっていた本を閉じ、元の場所に戻す。持っている紙に、本の背表紙に記されたタイトルを書き写すと、改めて周囲を見回した。
「もとから白紙だったら、別にいいんだけど、な……」
 もしも誰かが“持ち去った”のだとしたら――それは大変な事ではないのだろうか。これだけ膨大な本棚の迷宮。その知識の量は計り知れないだろう。誰かが持ち去ったのなら、そいつを出すわけにはいかない。決意を新たに、ラザロは己の周囲を見回す。
 本棚はぴったりと天井から床までを埋めていて、上から全体図を俯瞰する事は出来なさそうだ。目の高さにある本に目星をつけて、タイトルで印をつけてはいるが――そのジャンルはばらばらで、少しでも気を抜けば迷ってしまいそう。
 マップも自然と緻密なものになっていく。それはまるで、己の不安が文字となって散らばっているかのようで。
「――ったく、誰だよこんなの作ったのは」
 不安ごと吐き出すように笑って、ラザロは次の分かれ道まで走り出した。要は行き止まりを切り落とせばいい。そうすれば、自然と出口への一本道が出来るはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マイア・ヴェルナテッド
並ぶ本棚に詰まった蔵書を見て目を輝かせて早速本棚から一冊抜いて調べるも白紙ばかりで微妙にテンションダウン。さっさと踏破します。

『使い魔による追跡』で呼び出した使い魔で迷宮全体像の把握しつつ『学習力』で本の並びなどを把握しつつ『第六感』でルート選択しながら移動します。



 マイアは並ぶ本の群れに目を輝かせていた。本、本、本! 古書の群れ! すばらしい、一体どれだけの知識がこの一フロアに詰め込まれているのだろう!
 嬉々として適当な一冊を抜き取る。一枚目は白紙。挟み表紙だろうか。二枚目、白紙。そういうデザインなのだろうか。三枚目、四枚目、五枚目……白紙。
「………。そういう事もあるわよね」
 印刷ミスかもしれないし、と彼女は次々本を調べてみたけれど、すべて白紙。さすがにここまで「なにもありません」を前に出されると、テンションが地の底まで落ちてしまう。
「さっさと出口にいきましょ。何も書かれていない本なんて、落書きにしか使えないわ」
 使い魔を呼び出すと、己に先行させる。分岐点で一度立ち止まり、使い魔を別れた方に差し向ける。行き止まりだと判れば、使い魔を引き戻して進む。
 本の並びを見てみたが、一応表紙はジャンル別に分かれているようだ。表紙は、だが。どんなに魅力的なタイトルも、中身がなければ意味がないのに。
 はあ、と溜息をついて、マイアは進む。全く、こんなフロアの奥にいるオブリビオンってどんな変わり者なのかしら?

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミーシャ・ルゥルゥ
【POW】を選択!

【心境】
わぁ!こんなに沢山の本があるなんて凄い!
ちょっと読んでみようかな!……あれ? 白紙だ…そういえば、全部の本が白紙だって言っていたような気がする…

【行動】
どう突破すれば良いのかな?
うーん…分かんないや!…とりあえず、色々といじって見れば何かわかるよね!〈ダッシュ〉とかも役に立つかな?
時間がかかるようなら、〈料理〉を使って何か作るよ!
謎解きが分からなかったら、壊して無理やり進むとか…うん、ダメだよね…

アドリブ・絡み歓迎です!



「わあ……! すごい数!」
 ミーシャは本棚を見上げ、ほー、と感嘆の息を吐いた。ぎっちりと詰められた本、表紙には様々なフォントで文字が綴られ。
 ちょっと読んでも良いよね、と適当に一冊引き抜いてみたが――めくってもめくっても白紙。他のはどうだろ? と次の本を見てみるが、やはり白紙。
「うーん、どうなってるんだろ。まあいいや! 取り敢えず進もう!」
 壁に手を突くと良いんだったっけ、とミーシャも迷宮の中へ入っていく。かなり遠回りな手法ではあるが、確実だ。

「うーん……お腹空いてきた…」
 ひたすら壁に手をついて歩いていくミーシャ。きゅるるる、とお腹の虫も鳴くというもの。よし、いい時間だし(きっと)、何か作ろう! と意気込む。
 といっても、用具がないのでそんなに手の込んだものは作れないから、と、パンに野菜を挟んだ簡易なサンドイッチを作る。持っていたダガーで斜め半分に切り分け、よし。美味しそう! いただきまーす!
「んむんむ。……うん! 美味しい! やっぱり遠出したときにはサンドイッチだよね!」
 冒険は遠足ではないのだが、ともかく。美味しくサンドイッチをお腹に収めた後は、また迷宮探索に戻るミーシャなのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『シェイプシフター』

POW   :    思考の簒奪
【自身を対象の姿へと変化させ思考を読み取り】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD   :    血肉の簒奪
戦闘中に食べた【対象の血肉】の量と質に応じて【捕食した対象の姿と戦闘経験を簒奪し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    秘技の簒奪
対象のユーベルコードを防御すると、それを【強化し体内へ取り込み】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠茲乃摘・七曜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●トンデモメイズの底の底
 そのフロアには、そいつしかいなかった。
 液体のような赤黒い体、涙を流す赤みがかった瞳。翼のような触腕。明らかに、招かれざる客だと判る。
 しんと静まるフロアの中、そいつはゆっくりと猟兵たちに向かって歩み寄る。猟兵たちよ、逆にそいつの血肉を簒奪してやれ!
ニトロ・トリニィ
月見・桜さん(f10127)と一緒に戦います!

【心境】
あれ?…あのオブリビオンって、ブラックタールなのかな?
もし、同じ種族だとしたら仲良くしたいところだけど…無理そうだね。

【行動】
今回は、前に立って敵の攻撃から仲間を守ろうかな!
変幻自在な攻撃を仕掛けてきそうだし、油断は禁物だね!
〈盾受け/かばう/激痛耐性〉を使って攻撃を防ぎつつ、〈カウンター/2回攻撃/なぎ払い/鎧砕き〉で反撃するよ!
あんなに目が大きいし、〈目潰し〉も活用すれば効率良く戦えるかもね!
《念動力》も仲間を守るために発動するよ!

「僕が盾になるから、みんなは自分の役割に専念して!…頼んだよ!」

他の方との協力・アドリブ大歓迎です!


月見・桜
ニトロ・トリニィさん(f07375)と一緒に参加します!

【心境】
何だか、ニトロ君みたいな敵が出てきましたね… 同じ種族なのでしょうか?
もしそうだとしても、戦うしかないようですね…

【行動】
わたしは、皆様の援護を担当します!
《言霊》と〈祈り〉を合わせた技で、皆様の戦闘力を強化しつつ、〈スナイパー/視力/見切り/第六感/2回攻撃〉を発動した霊式火縄銃で目を狙います!
〈援護射撃〉を使って味方が行動しやすくするのも良いですね!
敵の攻撃は〈盾受け/残像/〉で当たる確率を減らします!

アドリブ・他の仲間との連携も歓迎です!



「あら、なんだかニトロ君みたいな敵ですね」
「そうだね。ブラックタールだったら仲良くしたかったけど……」
 のんびりと会話する桜とニトロ。そんな二人を威嚇するかのように伸縮するオブリビオン。
「うーん、違うみたいだし、無理そうだね」
 早々に諦めるニトロ。すると敵の姿がずるりとうごめき――ニトロそっくりに変化した。一方は穏やかに、一方は邪悪に笑っているので判別は容易だが。
「わあ! あれ、ニトロ君になりましたよ!?」
「落ち着いて、桜! 本物はこっちだよ!」
 無論“ほんものど~っちだ”などという芸当ではない。姿を真似る事で思考パターンを読み取ろうとしているのだろうか。ならば。
「防御に徹したら、君もそうするのかな?」
 ニトロは桜の前に立ち、防御の姿勢を取る。すると相手のオブリビオンも、同じような姿勢を取った。――矢張り、戦闘パターンを読み取っているのか。
「桜、容赦なくやっちゃっていいよ」
「え! 良いんですか? ニトロ君の姿なのに」
「まあ、姿だけだし……」
「……判りました! わたし、やります!」
 むん、と一念発起した桜。すう、と穏やかに息を吸うと、力ある言葉――言霊を舌にのせて転がした。
「皆様に、幸あらんことを――その盾が、誰よりも堅固でありますよう――」
 それは共感できるものだけが得られる護り。ただ音として感知するだけのオブリビオンには何の効果もない技。ニトロは力が湧いてくるのを感じた。それは心がぽっと沸き立つような、小さな炎のような温かさ。
「あとは……これですっ」
 桜は懐から霊式火縄銃を取り出すと、ありったけを込める。狙い撃てますように、その為に視力を研ぎ澄まし、撃つべき瞬間を間違えぬよう、更に念には念を入れて二段攻撃となるように。
「――ニトロ君、いきます!」
「うん!」
 守りの姿勢でじりじりとせめぎ合っていたニトロとオブリビオン。その緊張を、桜の弾丸が撃ち抜く。最初の一撃と二撃目は間を空けずに、確実に狙い撃つ。
 弾丸はオブリビオンの腕にめり込み、貫通する。どろりとした粘液が、血液のように傷口から滴った。
「やったあ! ニトロく……」
「いや、ダメだ! 動かないで!」
 ニトロの姿を模したまま、オブリビオンの粘体が蠢く。指先を向けると、まるで銃口のように姿が変化して――

 ばきゅん!

「っ――!」
「ニトロ君!」
 オブリビオンの放った霊式弾――そう、桜が放ったものと全く同じ攻撃――が、ニトロの腕に突き刺さる。
 ニトロは銃撃の痛みに耐えながら、持っていたクランクソードでカウンターのように周囲を薙ぎ払う。オブリビオンは体を切り裂かれながらも、ニトロの姿で笑った。
「こいつ、技まで真似出来るのか……」
「厄介な敵ですね…! でも、わたしたちなら!」
 そう言うと、ニトロは防御に、桜は援護に徹する。オブリビオンは青年の姿を保ったまま、にやにやと粘液を落としながら笑っている。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミーシャ・ルゥルゥ
【心境】
うわぁ!なんかいる!
あれがこの迷宮のボスかな?
よーし! みんな!張り切って行くよ!

【行動】
最初に、〈属性攻撃/毒使い〉で武器を毒属性にたら《トリニティ・エンハンス》を発動して防御力を強化するよ!
そしたら〈先制攻撃/クイックドロウ〉で攻撃して、敵が近づいて来たら〈見切り/2回攻撃/フェイント/零距離射撃〉を上手く使って敵の技を避けながら戦うよ!
ちょっと危険だけど、〈時間稼ぎ〉を使って仲間の大技を発動する手伝いをしても良いかも?

アドリブ・共闘歓迎です!



「わあ、どろどろしてる……! この迷宮のボスなのかな?」
 青年の姿をしてにやにや笑っているオブリビオンを見て、ミーシャは口元に手を当てる。別に気持ちが悪いとか、そういう訳ではない、けれど。
 とにかくあれを倒すにはどうしたらいいか。思考を巡らせて、愛刀の“竜刀”を手にすると、その刃に毒を宿らせた。どんなものも、生きていれば毒で損耗する。一見銃や剣が通らないように見える奴でも、毒の刃なら――!
 更にミーシャは油断なく、己の防御力を上げる。周囲をつむじ風が舞って、ミーシャを守るように渦巻いた。そして風よりも速く、踊るように爪先で大地を蹴る。
「いっくよー!」
 片手に刀を、片手にマシンガンを。オブリビオンが青年からゆるやかに姿を変えている隙に、毒の刃で一撃を見舞う。敵が痛みに退くのを許さず、更にフェイントで接近し、零距離射撃を見舞う。
 オブリビオンはゆるゆると痛みにうごめきながらも、ミーシャの形を成して応戦する。粘体の刃と鉄の刃がぶつかり、甲高い音を立てる。ばらり、とオブリビオンが弾丸をばらまけば、ミーシャは踊るように横へくるりと避けた。弾丸を面と認識しての応戦だ。
 剣と銃、二つの武器を用いた舞のような戦いは続く。今のうちだ、とミーシャは他の猟兵たちに視線を送った。
 もし巻き込むような大技が来ても、ボクなら避けきって見せるから!

大成功 🔵​🔵​🔵​

マイア・ヴェルナテッド
さて、対象の情報を簒奪するオブリビオンですか…
何処までマネが出来るか見せてもらいましょうか。

敵と他の猟兵との戦闘を観察し『学習力』を活かして隙を見抜き『第六感』で行動予測
秘技の簒奪でコピーされても良いように『二回攻撃』の一撃目を隙を見せつつ弱めで発射し。二射目に『呪詛』『属性攻撃(闇)』『生命力吸収』を乗せれる限り乗せた『全力魔法』で『高速詠唱』した『ダークスフィア』で攻撃します



「ふうん、対象の情報を簒奪するオブリビオン、ですか……」
 マイアは冷静に、他の猟兵と戦闘を繰り広げる敵を分析する。
「何処まで真似が出来るのか、見せて貰いましょう。――昏き底より眺むモノ」
 冥府より、現れ出でよ……
 マイアの静かな詠唱に応え、現れたのは二つの球体。光の一切を吸収するそれは、暗黒としか言いようのないもの。……呪詛を乗せ、暗黒の上に闇を重ね。更に当たれば相手の生命力を吸収するようにと望みを込めて、マイアは片手の球体を放つ。
 気付いた敵はいい餌が来たと思ったのだろう。ぐるり、と巻き込むように、其の赤黒い体に暗黒を捕まえる。
「――……ええ。あなたならそうすると思っていたわ」
 その威力の弱さに、不思議そうに目玉がマイアをむく。そんな目をしても駄目よ、だって、本命はこっちなんだもの。
 マイアが放ったもう片手の暗黒球。それは呪詛を乗せ、闇を纏い、更に生命力を喰らう牙をむき出しながら敵へと放たれる。慌てて敵が吸収した暗黒球を放つも、それは意図して威力を弱めたもの。あっという間に食い散らかされて、マイアのダークスフィアが敵を喰らう。

――ぎ、ぃ、ぃぃいいいい……!

 生命力を食われ、呪われながら、世界を呪うような声を放つオブリビオン。
「……そんな声も出せるのね、あなた」
 静かに、さながら死神のように――マイアはダークスフィアの余波にスカートを揺らしていた。
 オブリビオンは粘体を保つことも出来ないのか、ぼたぼたと液体を落とす。
 ――あと、少し。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラザロ・マリーノ
ん?
コイツが本の中身を奪うってんなら、いま俺が持ってる本もヤバいのか…あんまり時間はかけたくねぇな。

足止めしてもらえるなら、俺は攻撃に専念させてもらうぜ!

【ダッシュ】で他の猟兵と射線が重ならない位置に移動。UC「竜の牙」を撃つぜ。
最初のドラゴンオーラには【属性攻撃】で氷結属性を。
続く飛び蹴りには【怪力】【ジャンプ】に加えて、発勁で【衝撃波】を乗せるぜ。

見た目や技は真似できても、体質や戦術までは真似できねえだろ!

※アドリブ・共闘歓迎



 呪う、呪う、世界を呪う。過去からきて、未来を呪う。
 オブリビオンがのたうつのを、ラザロは溜息をついて見ていた。
「あんまり時間はかけたくねぇな。今のうちにさっさと仕留めさせて貰うぜ!」
 大地すれすれを飛ぶ燕の如く、ラザロは一気に駆け出す。他の猟兵と射線が重ならないように緻密に計算しながらも、大胆にオブリビオンの傍へ回り込む。片手に抱いた竜の残滓、それは膨らみ、ドラゴンオーラとなって。更に氷のかけらを抱かせて、一気にオブリビオンに放つ。
 咄嗟にラザロの姿を読み取り、写し取ったオブリビオン。だが――そのドラゴンオーラを受け止めてしまったら、もう逃げ道はない。避けずに受けた時点で、オブリビオンの命運は尽きたようなもの。
「あぁ……受けたな? お前」
 膝を折って、ラザロが宣告する。一気に飛び上がり――気功の要領で、気を足に集めて衝撃波と成し。
「この牙からは! もう逃げられないぜ!!」
 ああ、軌道は見えるのに。何をしようとしているのか、手に取るように判るのに。
 それでも避けられないのは、先程のドラゴンオーラが導になっているから――!

 ――ドォォォンッ!

 轟音と共に、オブリビオンは撃ち抜かれる。
 ふら、ふら。少しふらついて、先程ラザロがそうしたように、片手に竜の残滓を集めようとして。
「無駄だぜ、もうお前は終わりだ。それに……」
 ぼろ、ぼろ、と頭から崩れていくオブリビオン。集まらない。何故? どうして? 粘体にすら、液体にすらなれず、哀れに崩れ行く。
「体質や戦術ってのは真似出来ねえだろ。先刻の姉ちゃんみたくよ」
 オブリビオンは最後に、己の敗因を悟り――物言わぬ灰となって、この現代から消え去った。

 鏡に映した己には、本当の力は宿らない。
 鏡に映った己には、本当の心は宿らない。
 あるいは本来の姿のまま戦っていれば、オブリビオンにも勝機があったのかも知れないが――
 猟兵の勝利にわざわざ水を差すこともないだろう。

 おめでとう。君たちの勝利だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月15日


挿絵イラスト