Stop the Storm
#封神武侠界
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とある辺境の平原で、二つの軍が睨み合う。
片や、かの平原より東を治める小国の王、李旬に仕える軍団。
片や、かの平原より西を治める小国の王、許申に仕える軍団。
三人の皇帝が覇を競い合っていた頃より長らく、かの一帯を巡って争い続けていた両者の戦いは、ここに決着を迎えようとしていた。
平原東部、李旬軍の陣地にて。
「黄昂よ! 此度の戦、先陣は貴様に任せる! あの痴れ者に、貴様の力を見せつけてやるがいい!」
己の前に膝をつく将へと命を下すは、この軍の総大将にして東の国の王、李旬。年の頃五十を過ぎたと見える皺目立つ貌は、然し、獰猛なる活力に満ちていた。この男の気質もあるが、それ以上に。
「――ははっ! 光栄の至り!」
黄昂と呼ばれたその武将は是の応えを返すと共に立ち上がる。身の丈六尺を優に超える体躯に、鎧の重さを感じさせぬ所作を為す偉丈夫だ。
「この私の力認められし李旬殿の慧眼、違いなきことを証立ててご覧に入れましょうぞ!」
豪放なる笑みを見せつつ、拱手。踵を返して陣を出てゆく。
(――ああ、この平原に集いし軍団、その全ての死を以てな!)
陣を出た後の、黄昂が浮かべた猛悪なる笑み。其を見た者は、誰一人として居なかった。
●
「――ま、ワタシの予知にはキッチリバッチリ見えちゃったのだケドネ!」
と、ドヤ顔と共に言ってのけたのはグリモア猟兵、幻・紅蝶(電影娘々・f28601)。
「とゆワケで、新しい世界――『封神武侠界』の予知が早速見えたヨ!」
其処は仙人や武侠といった者達の活躍する、中華風の文化を有する世界。なれど、猟兵が訪れることが可能となったということは即ち、この世界にもオブリビオンの脅威が存在するということだ。
「で、皆には、対立してる小さな国同士の戦いに紛れて両軍皆殺しにしよとしてるオブリビオンをやっつけて欲しいネ」
大陸西部の辺境地域、ここに小さな国を有する二人の王、李旬と許申。
長らく争い続けてきた彼らだったが、そのうち李旬のもとに訪れた客将、黄昂。
驚異的な武勇と、精強な配下を有する彼を得た李旬は喜び勇んで、許申との決戦に臨まんと全軍を率い出撃。許申もまた、全軍を以て迎え撃たんと打って出た。
なれどかの客将、黄昂こそはオブリビオン。許申の軍を殲滅した後、そのまま李旬の軍までをも殲滅しようと企てているのだ。
そうなる前に、この黄昂とその配下達を撃滅すること。それが此度の任務となる。
「ケド、転送した時にはもうお互いの全軍同士がぶつかり合う状態になってるヨ」
黄昂とその配下達が戦っているのは戦場のド真ん中。その周囲では両軍の一般兵士同士による戦闘が展開されている。まずは、これを突破せねばならない。
「どっちの兵士も、基本お互いと戦うの優先するケド、下手に戦いを邪魔するとどっちもこっちを敵と見て襲ってくるカラ、何とか無力化してあげてネ」
どちらの兵もこの世界の今を生きる一般人。殺害は可能な限り避けて欲しい、との事である。
「戦場の真ん中まで行ったら、後はオブリビオンをやっつけるだけネ」
黄昂と、その配下たる僵尸兵達。いずれも油断ならぬ敵ではあるが、猟兵達ならば勝てぬ敵ではない。
「この世界もイロイロ大変な感じだケド、オブリビオンに好き勝手させるワケにはいかないネ。皆、頑張ってやっつけてきてネ!」
見送る紅蝶の言葉を背に受け、猟兵達は一路、封神武侠界へと転移してゆくのであった。
五条新一郎
英雄豪傑無双伝説。……の時代よりは少し後。
五条です。
というわけでやって参りました新世界・封神武侠界。
当方よりも早速シナリオ一本リリースさせて頂きました。
軍勢同士の戦に介入、その只中にて虐殺を為さんとするオブリビオン軍団を撃滅しましょう。
●目的
オブリビオン武将『黄昂』率いる軍勢の殲滅。
●戦場
封神武侠界、大陸西部の辺境地域の平原。
時刻は昼過ぎ、見通しは良く地形は平坦、障害物も特には無いです。
平原を挟んで対立する二国の軍がぶつかり合う乱戦状態。その中心で黄昂の軍勢が戦っています。
●第一章
一般人の兵士達を突破し黄昂のもとへと向かう「冒険」です。
兵士達は基本お互いとの戦いを優先しますが、戦闘中でない者や戦闘を邪魔された者は猟兵に襲い掛かってくることがあります。
どちらの軍の兵も一般人なので、可能な限り殺害は避けるのが望ましいです。
●第二章
黄昂配下の『僵尸兵士』との集団戦です。
●第三章
黄昂と名乗る『死者英傑』との「ボス戦」です。
黄昂が倒れれば李旬の軍は撤退を開始、許申も兵を引くので戦闘は終了します。
●プレイングについて
第一章はOP公開直後から、第二章以降は章移行後断章を投稿しますのでそれ以後からプレイングを受け付けます。
それでは、皆様のプレイングお待ちしております。
第1章 冒険
『雑然としている場所』
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POW : ●『気合や根性で障害物を蹴散らしたり、武器にしたりする』
SPD : ●『身のこなしや軽業で障害物を躱したり、隙間を縫うように抜けていく』
WIZ : ●『知恵や工夫を働かし、敵を障害物へ追い詰める』
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
劉・涼鈴
オブリビオンのせいなら、まず人間同士の殺し合いは避けたいね!
【劉家の旗】を地面にでーん!とぶっ刺す!
【大声】で【存在感】を示す【パフォーマンス】だ!
私は劉・涼鈴! 故あってこの戦場を制圧しに来たよ!
覇王方天戟をぶん回しながら、黄昂がいる方へ突っ走る!
呆れて困惑する兵士たちに目に物見せてやる!
【身外身法】! 一瞬で790人に分身して一大軍勢だ!
うおおおおおお! どけどけどけー!!
戟で【なぎ払って】【吹っ飛ばす】!
ぶん殴って蹴っ飛ばす!
殺さないように戟の刃は当てないけど、骨の一本や二本は我慢してよね!
【覇気】を漲らせて威嚇して、道を開けさせるよ!
黄昂! 覚悟ー!
李旬と許申、二人の王の率いる軍と軍がぶつかり合う決戦場と化した平原。
喊声と怒号、刃と刃の打ち合う音が響き渡る戦場に、その時、一際高らかなる大音声が轟き響いた。
「遠からん者は音に聞け、近くば寄って目にも見よっ!」
未だ年端もいかぬ少女の、だが圧倒的なまでの存在感を感じさせる声。目を向けた兵士達が見たのは、『劉』の一文字を大書した旗を地に突き立て持つ一人の少女。
大きく太い牛の角を生やし、あどけない顔立ちに反した見事なプロポーションを、黄金の龍の踊る真紅のチャイナドレスに包んだ彼女の名は劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)。
「私は劉・涼鈴! 故あってこの戦場を制圧しに来たよ!」
堂々と名乗りを上げ、同時に戦場へ視線を巡らせる。未だ戦闘止まぬ遠方、その一角に『黄』の旗が翻るのが見える。あれが黄昂の軍か。目指す先は決まった。
「戦場を制圧……って、お前みたいな小娘が何を」
一方、兵士達は困惑していた。涼鈴の見目は、あくまで年端もいかぬ少女でしかない。そんな彼女が戦場を制圧するなど、とその意図を計りかねているのだ。
「ただの小娘だと思うなら! 目に物見せてやる!」
尤も、そんな反応は涼鈴にとっても想定の内。ならば実力を見せるだけだ。
「いっくぞー!! 分身の術っ!!」
旗を方天戟に持ち替えると共に、ユーベルコードを解放。涼鈴の周囲に無数の影がぶれ広がっていったかと思えば、それらは一瞬にして涼鈴と寸分違わぬ姿を取る。総勢790名。ちょっとした軍団の様相を為す数だ。兵士達の顔が驚愕に染まる。
「よーし、全軍突撃ー! うおおおおおおお!!」
そして涼鈴が疾走を開始すれば、分身達も追随して走り出す。土煙を上げながら駆けるその様相、騎馬突撃にも似る。
「な……!?」
その勢い、更に涼鈴の身から溢れる覇気が齎す威圧感。間近でその様相を目撃した兵士達は、所属の別を問わず気圧され、抵抗を忘れその場へ立ち尽くす。そんな彼らの間を抜けて、涼鈴は更に駆ける。
「く、くそっ! 邪魔をするな……!!」
だが、中には自分達の戦いを邪魔されたくないと、果敢にも食い止めにかかる兵もいる。なれど、それはあまりにも無謀な行いであった。
「ぶっ飛べー!」
振るわれる方天戟が、涼鈴の行く手を阻む兵達を激しく打ち据える。あくまで打撃であり刃は用いておらず、殺害は避けんとする形での障害排除行動。尤も、骨の一本二本程度は居れている可能性は高いが。
「ぐわーーーーっ!!」
一振りごとに、何名もの兵が打たれ、吹き飛ばされる。分身が同様の技を用いるのと合わせ、一振りごとにその行く道が開かれてゆく。
次第に近づいてゆく、黄昂の軍団の気配。あれこそ此度の戦の元凶たるオブリビオン。故に討たねばならぬ。
「黄昂! 覚悟ー!!」
その意志を示すが如く。叫んでみせる涼鈴。真の敵との接触まで、後少し。
成功
🔵🔵🔴
荒散屋・無躯
※連携改変大歓迎
※使用技能:暴力、投擲
わかったわかった、全員ぶっ飛ばせばいいんだろ?(わかってない)
まあ、どっちがどっちの奴らなのかなんて? こっちは見分けつかねーし?
つーか暴れさせろ
さて…早速こしらえた新技でいい具合にボコるわ
ケンカの場なら石ころやらガレキやら、投げる物なら事欠かねぇな
後は、意味不明に刺さってるアレ(旗)とか、ザコ共が持ってたコレ(槍)とか、まあ適当に使ってぶっ叩いとくわ
殺さない程度に…あーあーわかってるって
昨日食ったもんが出てきたり、腕が反対方向に曲がったりする位だろ
こん位じゃ死にやしねぇっつーの
…しっかし…やってること、いつもと変わんねぇな…
まいっか
「おらぁ!」
「ぐわぁっ!?」
突如戦場に響く、荒っぽい掛け声と打撃音。一人の兵士が崩れ落ちる。
「な、何者!?」
兵の誰何の声に歩み出るは、ボロボロの服を身に纏いゴミ箱を背負った、浮浪者然とした男。そして実際に浮浪者であった男。荒散屋・無躯(Trash・f32488)。
「うるせぇよ、っと!」
「がはぁ!?」
無躯、無造作に振るった拳で兵士を殴り飛ばす。別に誰何の声がうるさかったから殴り飛ばしたわけではない。『全員ぶっ飛ばせば良い』、此度の任務目的をそう解釈したが故の行動である。
(つーか暴れさせろ)
気兼ねなく暴力を振るえる、実はそう多くはない機会。新たに習得したユーベルコードを用いる機会でもある。殺さない程度にして欲しいというグリモア猟兵からのオーダーは守るが、それ以外は好き勝手する気満々だ。
「さぁ……」
無躯の唇の端が吊り上がる。浮かべた笑みは獰猛な獣の如く。
「ケンカ祭りの時間だオラァ!」
落ちていた旗を掴み、振り回す。周囲の兵士が次々と薙ぎ倒されてゆく。
拾った石を投げつければ、弓を構えて無躯を狙っていた兵に命中し吹き飛ぶ。
旗が折れたので、今度は槍を拾う。振り回し叩き付ける。突き刺す武器としては使わない。あくまで打撃のみである。
防御用であったと思しき柵を掴み、投げ飛ばす。向かって来た兵士数名を纏めて吹っ飛ばす。
その場で拾った武器による攻撃。戦場のオブジェクトを駆使した戦闘術を取ることで戦闘力が高まる、という、無躯と此度の戦場に極めて相性の良いユーベルコード。
「おらぁぁ!!」
「ぐわぁぁ!」
「がはっ!」
「ぐほぉぉ!」
故に、並み居る敵を片っ端から殴り倒し無躯は進む。殺害はしていないが、四肢の骨の折れた者や嘔吐に苛まれる者は少なからず。
なれど、この程度なら死にはしない、とばかりに。無躯の振るう暴力は益々激しさを増し、その目についた敵、ほぼ全てを殴り倒してみせた。
(……しっかし……)
そんな中、ふと無躯は気付く。
(……やってること、いつもと変わんねぇな……まいっか)
どうやら気にはしていたらしい。
成功
🔵🔵🔴
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
此処が新しい世界、ですかぁ。
とは言え、いきなり大変なことになっておりますねぇ。
『FBS』を四肢に嵌め、混雑を避けつつ目立ち過ぎない程度の高度を取っての飛行状態で、黄昂さんを探しに参りましょう。
【秤濤】を発動、広域への『魅了』を行い、邪魔されず通れるよう働きかけますねぇ。
その上で、『魅了』が妙な掛かり方をする等でまだ邪魔をされそうな場合は『超重力波』を発動、潰してしまわない様効果を弱めて使用し『重力』で押え込みますぅ。
逆に『魅了』が良い形で効いた方がいる様であれば、礼儀を守った上で『黄昂さんの大まかな居場所』を尋ねても良いですかねぇ?
近くまで行けば『旗』で判るでしょうし。
「あ、あれは何だ!?」
「鳥か!?」
「いや違う、天女じゃねぇか!?」
乱戦の只中にある戦場でも、一時的に戦闘行動に及んでいない者は少なからず居る。そんな彼らの視線の先には、翼が無くとも宙に浮かび飛翔する、一人の少女の姿があった。
(うう、思った以上に目立ちますねぇ)
恥ずかしげに小さく身を震わす彼女は夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。四肢に嵌めた戦輪の回転を用いて空を飛ぶ猟兵である。混戦を避ける為に、飛行しての移動を選んだ彼女。過剰な注目を避けるべく、ギリギリ低空を飛翔せんとしているが、それでも目立つ時は目立ってしまうものではある。
(でしたら、この手でいきましょうかぁ)
尤も、るこるの方もこのような状況に於ける対応は考えてある。その身が乳白色のオーラに包まれると共に、徐に両手を合わせて祈る。
「大いなる豊饒の女神、その御力の欠片による裁きをお与えください――」
祈りが結ばれると共に、辺りを乳白色の波動が駆け巡る。るこるを中心に半径凡そ1km、強力な魅了効果を齎す波動。兵士達が一斉に戦闘の手を止め、何も言わず彼女へ視線を向ける。
「うまくいきましたねぇ」
魅了が妙な掛かり方をしたことで襲われる可能性も考慮していたるこる。此度行使したユーベルコードの効果には、敵意失わぬ者への超重力攻撃もあったが、其方はどうやら行使せずに済みそうだ。
着地し、茫洋と己を見つめる兵士達に道を開けるよう促しつつ、るこるは歩む。向かう先は、李旬軍の前線指揮を執る将の元。
「こんにちはぁ」
右の拳を左の手で包むように両手を合わせ、一礼。この世界の礼儀作法である拱手を以て、将へと挨拶を行うるこる。
「――あ、ああ。何だ……?」
将もまた、るこるの魅了の影響を受けていたらしく、茫洋とした調子で返事を返す。尤も、拱手を返すことは忘れないが。
「私、黄昂さんに御用があるのですけれども……何方におられるか、ご存知でしょうかぁ」
るこるが問うのは、此度の任務における排除対象たる黄昂の居場所。問いを受けたる将は、然程思考の時間を置かずに応える。
「黄昂であれば――あちらだ」
指差したる先にるこるもまた視線を向ければ、そこには高く掲げられた『黄』の文字を描いた旗。成程、その周辺から悲鳴や剣戟が聞こえてくる。
「間違いなさそうですねぇ。ありがとうございますぅ」
礼を述べ、示された方向へ飛翔しつつ進むるこる。戦場は広い。黄昂の姿を捉えるまで、小さからぬ時間を要するだろう。
(しかし、新しい世界もまた大変なことになっていますねぇ)
戦乱に乗じて虐殺を為さんとするオブリビオン。そればかりではない。既に多くのグリモア猟兵が、この世界における事件の予知を見ている。即ち、既にそれだけ多くのオブリビオンによる事件が起ころうとしているのだと、いやがうえにも実感させられる。
(出来る限りを、少しずつこなして参りましょうかぁ)
今成し得るは、それを以て他に無し。それが平和に繋がると信じて。るこるは宙を駆けてゆく。
成功
🔵🔵🔴
鬼桐・相馬
●WIZ
人類の歴史は戦争の歴史と聞く
こんな光景を目の当たりにすれば頷くしかないな
移動開始前にUCを発動
上空から戦場を分析、黄昂の元へ向かうのに適したルートを[情報収集]しよう
兵士達が少ないのは勿論のこと
投石機や井蘭等の大型で身を隠しやすい兵器のある場所を伝い移動する
無駄な戦闘を避ける為にも李旬軍属の証等を混乱に乗じて拝借したいな
兵器を扱う者からならまだ許されるか
戦闘を回避できない状況に陥った場合は[戦闘知識]を駆使して攻撃を[武器受け]、相手と距離を取り兵器等の[闇に紛れ]やり過ごす
しつこく追跡してくる場合は〈冥府の槍〉の柄辺りで殴って昏倒させよう
黒歌鳥には数度忠告
虫を見るな、喰うな
戦場を見ろ
戦場の上空を、一羽の黒い鳥が舞う。黒歌鳥、大陸においてよく見られる鳥であるが、この鳥の挙動は通常のそれとは明らかに異なっている。
その視界は前ではなく下、眼下にて繰り広げられる軍と軍との戦闘行為を俯瞰し続けているのだ。そして、その視界を共有する者が一人。
(――人類の歴史は戦争の歴史と聞くが。こんな光景を目の当たりとすれば、頷くしかないな)
剣と剣、或いは槍がぶつかり合い、倒れたる者へ容赦なく突き下ろされる。正しく『戦争』と言えるその光景を眺め、鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)は内心独りごちる。
かの皇帝、司馬炎によって中原が統一されて尚、地方ではこうして人と人の争いが繰り返されている。この積み重ねが、或いは人類の歴史なのかもしれない。
(人同士の争いならば、俺達が介入するべきではないのだろうが――っと)
その時、視界が不意に空を向く。視線の先に、一匹の蜂が飛ぶのが見える。視界の主たる黒歌鳥が、餌たる虫を見つけたと視線で追い始めたのだ。
(――虫を見るな。喰うな。戦場を見ろ)
相馬、苛立たしげな思念を黒歌鳥へと送る。この黒歌鳥、視界に餌たる虫を見ると、半ば反射的にそれを追ってしまうという悪癖がある。以前それで虫を喰った結果、五感を共有する主たる相馬の体調が悪化したという経験もあり、黒歌鳥の制御には神経質にならざるを得ないのだ。
思念が届いたか、黒歌鳥の視界が再び戦場を捉える。その中心付近、許申の軍を相手に大暴れしている一団がいる。あれが黄昂か。
その周囲に視線を巡らす。黄昂の暴れぶりのおかげか、戦況は全体で見れば李旬の軍が押しているように見える。その分、李旬側の陣は兵の密度が低い様子。向かうならここからか。
更に李旬側の本陣まで視界が移動する。野戦を制した後そのまま城を攻めるつもりか、投石機や井蘭車が数台配備されているのが見える。まだ出番ではない故か、周囲の兵の数は疎ら。
視界を己の側へと戻し、相馬は頷く。この経路で向かうとしよう。
「――これを使わせて貰うとするか」
李旬軍本陣側から戦場へと侵入した相馬、そこに黄土色の鎧が一式放置されているのを認める。負傷して後方へ下がって来ている兵のものなのか、一部が裂けている。
先の偵察結果から、両軍が鎧の色で敵味方を識別している事は確認済みだ。ならば、これを着れば李旬軍属の振りが可能だろう。拝借することとし、愛用のコートの上からどうにか着用する。鎧が目立たなければ意味がないし、かといってコートを脱げばいざという時危うい。
上体を圧迫する鎧に難儀しつつも、先程確かめた黄昂の戦っている場所を目指し進む。李旬軍の兵からは仲間と見られている故か、特に怪しまれることなく「黄」の旗の翻るが見える位置まで近づいた。
が。
「!」
不意に感じた殺気に、携えた黒槍を掲げる。金属が打ち付けられる甲高い音が響く。打ち当たったは剣、握るは臙脂色の鎧の兵士――許申軍の兵か。
「お前達の相手をしている場合ではない」
戦闘を回避するべく距離を取ろうとするも、兵は執拗に追いかけてくる。更に別の許申軍兵も合流、共に追跡を続けてくる。
振り切れないならば致し方なし。迫る兵へ、徐に槍の柄を突き出す。見事に鳩尾を捉えた一撃。衝撃は鎧も貫いたらしく、兵はその場で崩れ落ち悶絶する。
唖然とするもう一人を、同様に悶えさせ。相馬は黄昂の戦場へと足を踏み入れてゆく。
成功
🔵🔵🔴
紅・麗鳳
何故人と人は争うのでしょう――そんな事より大事なものはある筈なのに。
急ぎこのような愚挙は止めなくては。
【寵姫の瞳】にて兵の方々を見つめ、冀います。
腕を胸の前に組み、楚々と微笑んで穏やかに。
わたくしは皆様の敵ではありません。
どうぞ道をお譲りくださいね。
おほほ、という訳で御免遊ばせ……でも中には言う事を聞かないアホもいますわよね。
舐めた真似しようと立ち塞がったら方天画戟でぶっしゃーと【なぎ払い】強行突破ですわ!
殺さぬよう柄や石突でぶん殴る程度で済ましますが、腕や足の一本が吹っ飛んだり(ピー)が潰れても知りませんことよ!
道が空いたら馬のまーちゃんに乗ってそのまま駆け抜けますわ。
オラッ、退け下郎ッ。
嗚呼、何故人と人は争うのでしょう。
兵士達が刃を交わし、傷つけあう光景を、燦然たる紅玉の瞳に映し、佳人は嘆きを漏らす。その佇まい、可憐にして華麗なる天上の華の如きなれど、誰も彼もが血腥い殺し合いに夢中と見え、傍に咲く美に気付けない。
それ程までに、何故――佳人、紅・麗鳳(梟姫・f32730)は哀しげに、その紅瞳を一時伏せる。なれどその瞳開かれるまでは、数瞬の間も無し。
「急ぎ、このような愚挙は止めなくては」
嘆きに濡れていた瞳に、決意の光を宿して。麗鳳もまた猟兵、戦禍を前に嘆くばかりではないのだ。
そしてその瞳を以て、改めて戦場、そこで戦いあう兵士達へ視線を巡らす。すると、互いしか見えていなかった両軍の兵士達が、ぴたりと戦いを止め。李旬軍も許申軍もなく、全員が一斉に、視線の主たる佳人へ向き直る。漸く、其処に咲く麗華に気付いたかのように。
彼らの反応を確かめ、麗鳳は胸の前に両手を組む。その下の、形良く実った果実を引き立てるかの如く。なれど表情は、あくまでも自然体の楚々たる微笑。
「わたくし、この先におわす方に御用がありますの。どうぞ、道をお譲りくださいませね」
穏やかな、しかし決然とした言葉。兵士達が揃って左右へ割れ、道を開ける。
「ああ、ありがとうございます。それでは皆様、御免遊ばせ」
兵士達の従順な反応に満足げに笑みつつ、麗鳳は悠々と彼らの間を歩んでゆく。それこそは、寵姫たる彼女の瞳が齎す魅惑。その紅玉の瞳に射抜かれれば、心は彼女の意に沿いたがる。そういうものだ。
そうして、両軍の間を歩み黄昂のもとへと近づいてゆく麗鳳であったが。
「――待て。貴様、我々に何をした」
不意にかけられる、敵意滲む声。居並ぶ兵士達の左右、何名かの兵が、麗鳳を睨み据えながら彼女の前に立ち塞がる。明らかに友好的な態度ではない。
「それは――」
「怪しい女め! ひっ捕らえてくれる!」
麗鳳の応えを待たず、兵士達は彼女へ詰め寄ってゆく。武骨な手が、麗鳳の細い肩を掴もうとした、まさにその時。
「――舐めた真似をしてくれますわね」
突如、たおやかな声音を保っていた艶唇が、妙にドスの効いた声音を発する。と思えば、兵士の一人の鳩尾に、花々の描かれた長柄の石突が突き刺さった。
「ぐ、は……!?」
悶絶しながら倒れる兵。動揺しながらも身構える残りの兵達を前に、佳人は力強く言い放つ。
「大人しくするのは此処までです! 邪魔するならば叩き潰してくれましょう!」
そして突き付けるは方天画戟――花々を描いた柄に海棠色の飾り房、やけに少女じみた装飾の得物。それ故か。
「……舐めてんじゃねぇ!」
激した兵達が、次々に麗鳳へと襲い掛かってゆく。麗鳳、戟を振り回し兵達へ突撃。決して軽量ではないその得物を細腕で振り回す様は、最早深窓の佳人ではなく前線の武人の如く。
「邪魔するなと言ってるんですわ、このスットコめッ!!」
そして戟を大きく振るえば、少女趣味な様相からは想像もつかぬ猛烈なる打撃が、兵達を襲い。ただの一撃で殴り倒してみせる。
その威力、致命たり得ぬように加減こそされているが。それでも生ずる痛みに兵達が悶絶する。そんな彼等へ一瞥だけくれた後、麗鳳は馬へと跨る。力強い、だが何処か疲れた顔立ちの汗血馬が、然し主の手綱に応えて走りだす。
「退きやがれですわ下郎共!」
当初の可憐なる印象は何処へやら、一転して力強い様相を見せつけながら駆けてゆく麗鳳であった。
成功
🔵🔵🔴
ミア・ウィスタリア
オッケー、喧嘩両成敗って奴ね。
解りやすくて好きよ、そういうの。
はーい、じゃあ全軍スト―ップ。
UC発動で兵士達の方向感覚を狂わせるわ。
無駄に動くと同士討ちしかねないわよー。
まぁ、アタシはキャバリア乗ってくから踏まないけどね。
危ないからそこで大人しくしてなさい。
李旬と許申、それぞれの率いる兵士同士の戦いが続く戦場。
敵対する兵に傷を与え、以て退かせんと、兵達は敵を見据え、距離を詰め―― 突如、見据えた敵の姿が消える。
「!? な、何があった…!?」
あまりにも唐突なその変化に、兵達は思わず足を止め、周囲を見回し確かめる。変化はない。だが、いざ足を踏み出そうとすれば、進むべき方向とは全く別へ足が進む。一体どういうことだ。
「はいはーい、全軍ストーップ。無駄に動くと同士討ちになっちゃうわよー」
そこに響き渡る、幼い少女の声。兵士達は一様に其方を向き、そして驚愕する。その声の主は、全高5mはあろうかという巨大な土偶じみた鋼鉄の構造物、その中に在ったからだ。
「さてさて。このまま大人しくしてくれればいいけど。喧嘩両成敗ってコトでね?」
その鋼鉄――無脚型のオブリビオンマシン『Gnosticis』のコクピットで独りごちるは、幼い顔立ちと背丈に不釣り合いな程の豊かなプロポーションを持つ少女。ミア・ウィスタリア(天上天下唯画独尊・f05179)である。
現在、彼女の周辺の地面には、巨大な曼荼羅方陣が展開されている。それぞれの升の中に描かれたモノの位置が毎秒ごと入れ替わる奇妙な代物、そしてこれを踏んだ者の方向認識を狂わせるという、ユーベルコードの産物だ。
そしてミアの思惑通り、兵士達は同士討ちを恐れ攻撃するにできない状態へと陥った。似たような宝貝の存在でも知っているのか、己の搭乗するキャバリアへの驚きはそこまで大きくはなさそうだが。
「ま、今のうちに通らせて貰いましょっか」
兵士達が動かないなら、この間に通り抜けるのみだ。ミアの操縦に応え、土偶型キャバリアが移動を開始。常に浮遊する無脚型であるが故、地上に展開する曼荼羅方陣を自ら踏むこともない。
念の為、周囲を確かめてはみるが、やはり兵士達が此方へ攻撃を仕掛ける様子は無い。攻撃されたところで、一般人の攻撃ならばたいした傷にはならないけれど。
(面倒は少ないに越したことはないものねえ)
コクピットの中で独り頷くミア。その間にも、土偶型キャバリアは地上を滑るように進み、やがてこの状況においても暴れ回る者達の姿を捉える。
(あれが黄昂か――さて、どうしてくれたものかしらね?)
成功
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董・芙蓉
【董劉孟】
相変わらず戦の絶えない世界
お爺様が君臨していた頃から変わりはしないわね
明琳、私達はどうすればいい?
目標まで『渾沌』で突っ切る手もあるけれど…確かに目標に警戒されたくはないし、目立つのは避けたいわね
…もっとも、白花が張り切って暴れているようだから、否応なしにも目立っているけれど
白花は両軍お構いなく無差別に遊んでいるし…
とりあえず私も行ってくるわね
白花への説明とか、面倒なことは任せるわ
周囲に漂わせている渾沌の拳で威圧しつつ
鵬翔焔鎖を振りまわして纏めて足元を薙ぎ払って転ばせて
「死にたくなければ道を開けなさい」
黄昂の軍勢をめがけて正面突破していきましょう
結局これでは目立つのではないかしら?
劉・明琳
【董劉孟】
父様の国が滅びても戦は終わらず
これがただの人同士の戦ならば、私達の出る幕ではないのですが…
ダメですよ白花様
彼らは踊らされているだけの無辜の民
できる限り死なせてはいけませんわ
私達は目立たぬようできる限り戦闘は避け…って白花様、聞いていませんね…(溜息
芙蓉様、フォローお願いします…
※3人の指揮官役、突撃する2人の後からついていく
できれば黄昂の軍勢以外とは戦いたくはないのですが
向かってくるのならば仕方ありませんか
※モップを槍のように巧みに使って兵を殺さぬよう無力化させていく
白花様、今更ですか
私達の目的は黄昂なるオブリビオンだけです
一般の兵と戦うのを楽しまないでくださいませ…(溜息
孟・白花
【董劉孟】
おおー、戦にゃ戦にゃ
にゃんだか懐かしい空気にゃねー
こいつらみんなぶちのめせばいいにゃ?
…だめにゃ?
しかたないにゃぁ
䬐䰧飍拳手加減奥義、肉球ぱーんち!
肉球で軽く撫でて気絶させてあげるにゃ
※素早く懐に飛び込み、顎に肉球グローブの掌底で脳を揺らして脳震盪起こさせるのを繰り返す
で、ちょっと聞いてもいいかにゃ、芙蓉?明琳?
こいつら何で戦ってるにゃ?
白ちゃん、2人について来ただけにゃから、話全然わかってないにゃよ?
にゃるほど
じゃあその黄昂とかいう悪者の軍を目指せばいいにゃ?
※辺りを振り返ると、許申側の兵がぴくぴくと
…もしかして白ちゃんがやった相手って、味方側にゃ?
ま、細かい事は気にするにゃー
続いて戦場に姿を見せたのは、三人の女性猟兵。いずれもが、嘗ての戦乱の時代にて名を知られた英傑達、彼らに縁ある者達である。
「相変わらず戦の絶えない世界。お爺様が君臨していた頃から変わりはしないわね」
宝貝人間、董・芙蓉(睡蓮白華・f32741)は、争いあう両軍を眺め渡して冷静に呟く。。
「父様の国が滅びても戦は終わらず。これがただの人同士の戦ならば、私達の出る幕ではないのですが……」
その芙蓉の手で僵尸として蘇った娘、劉・明琳(天運博徒・f32795)は沈痛そうな面持ちにて応える。
「おおー、戦にゃ戦にゃ。にゃんだか懐かしい空気にゃねー」
一方の今一人、孟・白花(肉球花蔓・f32812)は瞳を瞬かせながら、鉄錆の匂い紛れる戦場の匂いに鼻をひくつかせていた。
「……で、こいつらをみんなぶちのめせばいいにゃ?」
そして徐に振り返り宣う。果たしてグリモア猟兵から何を聞いていたのか――は、後々分かることではある。
「ダメですよ白花様」
そして即座に明琳から駄目出しが入る。
「……だめにゃ?」
「彼らは踊らされているだけの無辜の民。できる限り死なせぬように無力化をお願い致します」
明琳からの説明を受ければ「しかたないにゃぁ」とやや不満げながらも承知の返答。
「さて明琳、私達はどうすればいい?」
続いて、戦場を俯瞰していた芙蓉が話を向ける。
「目標まで『渾沌』で突っ切る手もあるけれど……」
「いえ、私達は目立たぬよう、できる限り戦闘を避けて目標へ接近致しましょう」
己の有する宝貝兵器を用いての突破を提案する芙蓉に対し、明琳の返す案は隠密行動。この三人の中では明琳が指揮官役らしく、そんな彼女の案ならばと芙蓉は頷き。
「そうね……確かに目標に警戒されたくはないし、目立つのは避けたいわね」
明琳の案に同意を示し、それに沿って行動を開始――しようとして気付いた。
「……と思ったのだけど」
「はい?」
頓狂な声を上げる明琳に、芙蓉は前方を指差して示す。そこで繰り広げられていた光景は。
「䬐䰧飍拳手加減奥義、肉球ぱーんち!」
その手に装着された肉球グローブの掌底を叩き込み、ぷにぷにの感触で以て、兵士達を次々と気絶させて回る白花の大立ち回りであった。手加減奥義と言っている通り、兵士の身体に大きな傷は無い。これこそ彼女が修める拳法『䬐䰧飍拳』――にくきゅうけんと読む――の真髄、かどうかは定かではない。
「……白花様。話を全く聞いてませんね……」
「両軍お構いなく無差別に遊んでるわね……」
どうやら、二人が話し合っている間に勝手に行動を始めてしまったらしい。溜息をつく明琳、眉間を指で押さえる芙蓉。
おまけに、その盛大な暴れぶりと、両軍無差別の攻撃により、両軍共が彼女を敵と認識し攻撃を仕掛け始める始末。
「……とりあえず、私も行ってくるわね。説明とか面倒なことは任せるわ」
流石に一人で相手するのは面倒な数か。判じて芙蓉も白花のもとへ向かってゆく。
「はい、芙蓉様……フォロー、お願い致します……」
応える明琳もまた、彼女の後からついて行く。二人の後について援護を行うべく。
「うにゃー! 手応えの相手ばっかりにゃ! もっと強い奴はいないのかにゃ」
死屍累々(死んでない)たる光景の只中、次の敵は誰だとばかりに構えて周囲を見回す白花。
「くそっ、妙に強いぞこの猫娘!」
その様を見て許申軍の兵の一人が零したその一言。これに白花の耳がひくひくと大きく動いた。
「――白ちゃんは猫じゃにゃいにゃー!!」
吼えると共に猛然と飛び掛かり肉球一撃。昏倒する兵士。白虎の瑞獣たる白花、猫扱いには全力で抗議する所存である。
「つ、突っ込んできたぞ!?」
「ええい、やれ、やれぇぇぇ!!」
その周囲で身構えていた兵士達、突然の突撃に驚きつつも、一斉に白花への攻撃を開始。如何に白花が拳法の達人と言えど、これを無傷で凌ぎきるは厳しいか――そう見えた矢先。
「そうはいかせないわ」
冷静なる声音と共に振るわれるは、炎纏う重厚なる鎖分銅。地表ぎりぎりを薙ぎ払うかのように繰り出された鎖が兵士達の足を打ち、纏めて転倒せしめる。
「向かってくるならば致し方ありません」
その背中を狙う李旬軍の兵は、明琳が対応していた。モップ――にしか見えないが宿星の力と輝き秘めし剣――を巧みに振るい、敵兵の攻撃を捌き、転倒せしめてゆく。
「さあ、まだ向かってくる気? 死にたくないなら道を開けなさい」
一通りの兵を退けた後、芙蓉は未だ対峙し続ける兵達を睥睨しながら宣告する。その背に浮かぶは、異空間にて待機する巨大宝貝兵器の右手部分のみを浮かばせて。醸し出す異様な威圧感は、一般人である兵士を委縮させるには十二分な効果を発揮する。
潮が引くかのように、兵士達が退いてゆく。その向こうに、明確に異質な装いをした一団の戦う様が見える。あれがオブリビオンだ。
「さあ、行きましょう。結局、散々目立ってはしまったけれど」
兵士達の反応に頷いた芙蓉、残る二人へ呼びかけながら歩みだす。
「――ところで、芙蓉に明琳。ちょっと聞いてもいいかにゃ?」
合流した二人。そして徐に、白花が二人に問う。
「――こいつら、何で戦ってるにゃ?」
「……今更ですか、白花様」
あまりにも今更な問いに、肩を落とす明琳。白花の言う処によれば、ただ二人についてきただけなので何をするのかなど全く聞いていない、らしい。
「私達の目的は、あの向こうにいる黄昂と、その配下のオブリビオン。一般の兵は相手せずとも良かったのです……」
溜息混じりながらも、任務の要項を改めて説明する明琳。にゃるほど、と頷く白花。
「じゃあその黄昂とかいう悪者の軍を目指せばいいにゃ?」
「そうなります」
続いての質問の返答に頷いた白花、ふと振り返る。倒れたままの許申軍と、李旬軍の兵が見える。
「――もしかして、白ちゃんがやった相手って、味方側にゃ?」
ふと思い出したように白花。まあ猟兵から見ると敵も味方もないといえばないので、問題はない……はずである。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
陸・橘子
ん~、殺さなければいいのですね~。
あ、それなら怪我くらいは許していただるということですよね。
ひらめいた、という感じで笑顔になって【双錘】を構え、
戦場を真っ直ぐ、真ん中目指して駆けていきます。
「目指すは真ん中なのですよ~」
向かってくる相手は【怪力】を生かした【重量攻撃】で、打ち倒していきますが、
自分から攻撃はしないようにしましょう。
攻撃するときも戦闘不能で動けなくなるように、足か腕をねらいますね。
「どいてもらえましたら、いたくしないですよ~?」
わたしの功夫がもう少し足りていたら、吹き飛ばすだけ、とかもできたかもしれないのですが、
そこは申しわけありません。まだまだ未熟者ですね。
「通してくださ~い」
「お前、何者だ!?」
誰何の声を受けたその娘、なれど応えることなく彼女は進む。戦場の中心を目指して。
「む、無視をするんじゃねぇ!」
激した兵士、剣を振り上げ斬りかかる。何処か反応の遅いこの娘、斬るのは易かろう――そう確信しての一撃、であったはずが。
「……そうでした~!」
徐に上がる、何処か間延びのした声音。両手に携えた台形状の錘が唸り、兵士の身を強かに打ち据え。その意識を打ち砕いてゆく。
「殺さなければ良いのなら~、怪我させるくらいは許して頂けるということですよね~」
笑顔で何やら物騒なことを宣うこの娘の名は陸・橘子(大力放松・f32784)、宿星の力に目覚め、凡そのことを力で解決してきた娘である。
故に此度も、あくまで恃むは力技。両手の錘を力強く握り、少女は歩む。戦場の中心へ。
「目指すは真ん中なのですよ~」
その為なら、まさに李旬軍兵と許申軍兵が打ち合ってる間さえも堂々歩いて抜けてゆく。互いの出方を探っていたところを徐に横切られ、呆気に取られる二人の兵士。
尤も、彼らのようにただ見送るだけの相手ならば、彼女もその力を振るったりはしない。彼女の力振るわれるは、己の行く手を妨げようとする者のみ。そして。
「怪しい奴め! 黄昂殿の邪魔はさせんぞ!」
李旬軍の兵達が集まり、橘子の行く手を阻む。それでも彼女は歩みを止めない。
「どいてもらえましたら、いたくしないですよ~?」
言いながら錘を振り回してみせるが、兵達は構うことなく突撃を試みてくる。致し方ない、とそのまま錘を迫り来た兵達へ叩きつける。悶え吹き飛び、倒れる兵達。
(加減が難しいですけど~、酷い怪我しないようには必要ですね~)
彼女なりに手加減はしている。骨の1~2本は折れているかもしれないが、とりあえず命に関わるような負傷はさせていない、はずだ。
(う~ん、やはりまだまだ未熟者ですね~)
己にもう少し功夫があれば、敵を吹き飛ばすのみで無力化もできたかもしれないが。そこを思う時だけは少し悔しげに。なれど、口に出すことはなく。
「通してくださ~い」
歩みを止めさせんとする兵達を叩きのめしながら少女は行く。彼らの守りの先、オブリビオンの軍勢の暴れる一帯へ。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『僵尸兵士』
|
POW : 僵尸兵器
【生前に愛用していた武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 僵尸鏡体
【硬質化した肉体】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、硬質化した肉体から何度でも発動できる。
WIZ : 僵尸連携陣
敵より【仲間の数が多い】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
兵士同士の戦いの場を突破し、猟兵達は黄昂率いる軍勢の戦う場へと到達。
最前線で許申軍の兵達を薙ぎ払う黄昂も姿が一瞬、見えた気がするが。彼の姿は兵の群れに隠れて見えなくなる。
それこそは黄昂麾下の兵士達、僵尸兵士。新たな敵――猟兵の姿を認め、各々に武器を構えて襲い来る。
かの者達を打ち倒し、黄昂の喉元へ迫るのだ。
ミア・ウィスタリア
アハ、見えた見えた。
ふーん、何かアタシの想像してたキョンシーと大分違うけどまぁいいわ。
アンデッド系って言うなら思いっ切りやっちゃっていいもんね。
Gnosticis、ホログラムデコイ起動!
UBでキャバリアを複製して85体に増やすわ。
軍勢には軍勢で対抗ってね。
数じゃ圧倒的に負けてると思うけど、それは人間サイズの話よね。
果たしてその粗末な武器で空飛ぶ鉄の巨人の蹂躙に耐えられるかしら。
あぁそっか確かコピー出来るんだっけ。
もし向こうが武器を飛ばしてきたらEngagementの衝撃波で跳ね返すわ。
流石にこっちはコピー出来ないでしょ。
「アハ、見えた見えた」
土偶めいた意匠のキャバリア『Gnosticis』のコクピット内、その機体の姿を認め迫り来る僵尸兵士の姿を認め、ミア・ウィスタリア(天上天下唯画独尊・f05179)はほくそ笑む。
コクピットモニタに映る兵士達の姿に、瞬きを数度。己の想像していたキョンシーの姿とは随分と趣を異とするその様相に、軽く驚きを覚えたようで。軽く小首を傾げるが。
まぁ良いわと思考を切り替えて、コンソールパネルに指を這わせる。先程までの兵士とは違う、アンデッドの兵士達。まして彼らはオブリビオン。遠慮も加減も不要だ。
「よーし、思いっきりやっちゃうわよ!」
指先が踊り、コクピット内に無数のホログラフウィンドウが開く。それらの上で走りだすプログラムは。
「Gnosticis、ホログラムデコイ起動! 展開開始!」
エンターキーを押下すると同時、Gnosticisの周囲に数多の影が浮かび上がる。それらは全てが、Gnosticisと全く同じ姿をしたユーベルコードによる複製体。違いといえば、ミアが直接搭乗していないことぐらいだ。
一機だけならば大して驚きを見せなかった僵尸兵達も、流石にそれが一瞬で85機まで増えれば驚愕を禁じ得ないらしい。驚いているかのような目が、ミアからも確かめられる。
「ふふん、軍勢には軍勢で対抗ってね!」
得意げなミア。だが、僵尸兵達は驚きはしても怯みはしない。改めて各々に得物を構え、複製も含めたそれら機体へと襲い掛かってくる。
「抵抗するの? いいけど、そんな粗末な武器で空飛ぶ鉄の巨人の蹂躙に耐えきれるかしら」
余裕げな態度を崩さぬままミアは言い放つと、左右の手指がコンソールを叩く。応えて土偶型キャバリア達が一斉に機動を開始。僵尸兵達へと襲い掛かってゆく。
無造作に振るわれる腕は、鉄柱の直撃にも似た衝撃で屍の肉体を打ち据え、砕き壊してゆく。反撃に振るわれる刀や矛の刃は、僅かに傷をつけるだけで致命に至るにはまるで足りない。
彼我の数は圧倒的に不利、なれど敵はあくまで人間大、此方は全高5mの機動兵器だ。圧倒的な質量差、そして此処の質は、数の差を補って余りある程のものである。
だが、敵もただやられてばかりではない。
「……んっ?」
Gnosticis複製体各機の挙動をモニタリングしていたミア、そのうちの一機が怯むのを見た。そして、そこにぶつかった無数の矛も。怯んだ機体のカメラの視界をメインモニタへ映せば、眼下の僵尸兵の周囲に、複数の矛を浮遊させているのが見て取れた。
「あぁそっか、確かコピーできるんだっけ」
敵は此方のユーベルコードを複製するユーベルコードを持っている、とは事前情報にあった通りだ。複製体の作成を成したユーベルコードは、厳密に言えばミアの用いる武器を複製する効果である。それをコピーすれば、敵は己の得物を複製可能、ということだろう。
「でも、そうと分かれば!」
再び僵尸兵が矛を飛ばしてきた。だが対抗するためのコマンドは既に入力済みだ。応え、Gnosticis各機が一斉に音波を放つ。本来は特殊な周波数でキャバリアの駆動信号をシャットアウトする為のものだが、この武器の用途はそればかりではない。高出力にて放たれた音波は衝撃波となって、迫る矛を弾き飛ばし、そして僵尸兵達を薙ぎ倒す。
「ふふん、これがアタシの力よ。まだ抵抗するかしら?」
ミアがカメラ越しに睥睨する中、僵尸兵達を複製キャバリアの群れが容赦なく蹂躙していった。
成功
🔵🔵🔴
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
この近くにいるのは間違いなさそうですねぇ。
押し通らせて頂きますぅ。
『FBS』による飛行を継続、近接攻撃の届かない高度を取りますねぇ。
そして【乳焔海】を使用、広域を包む『乳白色の炎』による[範囲攻撃]で、一気に焼払いましょうかぁ。
『僵尸』相手なら『神聖な炎』は有効でしょう。
遠距離攻撃の可能な『弩』等は、その射出物自体を『炎』の対象にして焼却、抜けてきた攻撃等に備え『FMS』によるバリアを展開し、更に位置を小刻みに変え狙いを絞らせなければ対処可能ですぅ。
後は『飛僵』『発石車』等の可能性を警戒、『FRS』『FSS』の[砲撃]で&優先的に対処しつつ、確実に減らして参りますねぇ。
群れなしながら猟兵達へ迫る僵尸兵達。その数は多く、展開範囲も広い。故に、高度を取って見回しても尚、未だ黄昂の姿を明確には捉えられない。だが、この近くにいるのは間違いない。夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は確信を以て頷く。
「それでは、押し通らせて頂きますぅ」
四肢の戦輪を旋回させ、僵尸兵の軍団の頭上を取る。彼女を目掛け、地上から幾つもの槍が投げ放たれるが。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その裁きの理をここに――」
祈りと共に放たれた波動が、戦場を走り抜ければ。飛来する槍の全てが乳白色の炎を上げて、瞬く間に燃え落ち。るこるの元までは一本とても届かない。
そればかりではない。地上の僵尸兵達も次々と乳白色の炎に覆われ、恐慌に陥ったかのように暴れ悶え。一体また一体と倒れていっては骸の海へと還ってゆく。
この世界の僵尸は必ずしも不浄の存在というわけではないが、オブリビオンたる僵尸ならば不浄、ないし邪悪な存在と見ても間違いは無いようで。彼女の奉ずる女神の力を宿す神聖なる炎は殊更に有効なようであった。
「うぅん、まだまだ沢山いますねぇ」
なれど地上に展開する僵尸軍団は未だ多勢。空中のるこるに対しても、投槍や弩の矢弾が次々と飛来してくる。
波動を放ち焼き払い、それでも抜けてくるものは展開した浮遊円盤群でのバリアで食い止める。更に周囲へ展開した浮遊砲台群の砲撃を地上へ降り注がせ反撃と成す。
「!」
直後。乳白色の炎と、砲撃によって生じた土煙の間から、複数の影が飛び出してくるのが見えた。るこるの攻勢を凌いだ一部の僵尸兵が、空中へと飛び出してきたのだ。それも只の跳躍ではない。
「『飛僵』ですかぁ……!」
力ある僵尸は、やがてその力を以て空を飛ぶことが可能になるという。その域に至った僵尸が軍勢の中に混じっている可能性にはるこるも警戒してはいたが、やはり居たか。
空中を高速で飛翔し、一気にるこるへ肉薄してきた僵尸兵。振り下ろされた矛を。光盾を展開した砲台が食い止め。直後の零距離砲撃を以て吹き飛ばす。警戒していたが故にこそ、対処は容易だ。
「落とさせてもらいますぅ!」
更に迫る僵尸兵達に対し、再度ユーベルコードを行使。放たれた波動が、屍の兵を白き松明と変えてゆく。
眼下に視線を向ければ、更に飛翔を開始せんとする僵尸達の姿。砲台群からの砲撃が頭を抑え、飛び立たんとした身を地に叩き付け撃ち砕く。
脅威たり得るものを優先的に、確実に。敵数を減らし、この先で待ち受ける将への道を、るこるは切り開いてゆく。
成功
🔵🔵🔴
劉・涼鈴
キョンシー軍団!
こいつらはオブリビオンだね、ぶっ飛ばしてやる!
持ってるのは……大刀、偃月刀ってやつだね!
面白い! ならこっちは方天戟だ! 勝負ー!
【怪力】で覇王方天戟をぶん回して【吹き飛ばし】!
おらおらおらおらー! かかってこーい!
【大声】で【挑発】して敵を集めるぞ!
さっきは殺さないように手加減してたから窮屈だったけど、今度はもう遠慮なしのやりたい放題だ!
ぶった斬って突き刺して【なぎ払う】! 戦線を【蹂躙】だ!
テンションアゲて【覇気】も充実!
掌打をぶちかまして【劉家奥義・祝融禍焔掌】!
こういうゾンビ系妖怪なら火葬が一番! 燃え尽きろー!
続いて戦場に現れた猟兵の姿を認め、僵尸兵達が殺気も露に迫り来る。それを前とし、劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)は不敵な笑みを浮かべてみせる。
「キョンシー軍団! ぶっ飛ばしてやる!」
目の前の僵尸軍団はその全てがオブリビオン。ならば先程までのような手加減は不要。全力でぶつかり打ち倒すだけだ。
なれど視線は油断なく、敵の得物を確かめる。先端に片刃の刃を有した長柄武器。つまり偃月刀だ。面白い。己の得物たる覇王方天戟を頭上で数度旋回の後、腰を落として両手で構える。
「いざ、勝負ー!」
迫る僵尸兵達の只中へと突入してゆく涼鈴。戦いの始まりである。
「おらおらおらおらー! かかってこーい!」
声高らかに吼えながら、涼鈴は自ずから敵中を駆ける。方天戟を振るう力は、その細腕からは想像のつかぬ程に強く。まともに受けた僵尸兵が吹き飛ばされてゆく。
手加減必須という窮屈な戦場から解き放たれた彼女はやりたい放題。遠慮も躊躇もなく得物を振るい、最前の屍兵を袈裟懸け気味に斬り倒し、その次の僵尸兵の喉を早贄めいて貫いて。
「おぉぉぉぉらぁぁぁぁぁーーーー!!」
そのまま、雄叫びと共に、貫いた僵尸兵諸共大きく周囲を薙ぎ払う。仲間の質量をまともに受けた僵尸達が吹き飛ばされてゆく。そのまま骸の海へ還ってゆく者も。。
無論、僵尸兵からの反撃もある。なれどここまでの攻勢ですっかりテンションの上がった涼鈴の前に、反撃を繰り出せても届かせること叶わず。先制の一撃を以て斬り倒されてゆく。
その攻撃の隙を狙って、偃月刀を掲げて飛び込んできた僵尸兵が迫る。なれど涼鈴の身が先んじる。薙ぎ払う偃月刀の一撃を掻い潜り、小柄な身体が大きな僵尸兵の懐へと飛び込んで。
「この一撃で……」
方天戟は右手に、左手を引く。構えた左手に、焔色の闘気が集う。光めいて輝き、腕へと纏わりつく気の流れ。
「燃え尽きろー!!」
そして掌を突き出し、掌打という形にて眼前の僵尸兵の胸を打つ。凝縮された闘気が、一気に命中した一点へと流れ込み、密度を高め、そして――爆発。
火柱じみた炎を上げて燃え上がる僵尸。生ける屍たるかの敵である、火葬は効果覿面と言っても良いだろう。そのまま燃え尽きるまで、長い時間はかからなかった。
「ふふんっ。……っと、まだ来るんだね」
見事に決まった必殺技というべき一撃に、満足げに胸を張る涼鈴。だが次なる敵集団が迫りつつあることに気付けば、再度身構えて。
「よーし、纏めてぶっ飛ばしてやるよ! いっくぞー!!」
迫り来る一団に、真正面から吶喊してゆく。
成功
🔵🔵🔴
紅・麗鳳
はーどっこせいっと。
何とか敵将に接近できているようですが、また鬱陶しい雑兵が湧いて来ましたわね。
今度は手加減無用のようですし、少し本気、見せてあげますわ。
まーちゃんの【騎乗突撃】で囲みを突き崩し、敵が連携できぬよう懸け破っていきますわ。
相手が寄ってきたら輪を描くようにぐるぐる機動して一点に追い込み。
頃合と見たら鞍から飛び降り、敵の集まる中心目掛けての【グラウンドクラッシャー】で一網打尽にして差し上げますわね。
打ち漏らしは方天画戟で叩き潰し、後退していく連中にはまーちゃんに引っ張ってこさせた火竜砲で派手にドーン!
オーーホッホッホッ! やはり戦闘は火力! これも寵姫の心得ですわ!
「はーどっこせいっと」
漏れたる掛け声じみた声は、佳人たる容貌からは想像もつかぬ年季を感じさせる。紅・麗鳳(梟姫・f32730)もまた、戦場を突破し僵尸兵達の陣へと到達していた。
気付いて守りを固めにかかる僵尸兵達を眺め渡し、麗鳳の花弁めいた唇から小さな溜息が漏れる。
「敵将には接近できているようですが……また鬱陶しい雑兵が湧いてきましたわね」
しかも先程までとは異なりオブリビオン。兵としての質は数段上だろう。なれどオブリビオンであるならば。即ち、手加減無用。
「では――」
再度、騎乗していた汗血馬の背に跨り、ガーリーな装いの痛方天戟を構え。
「――少し、本気を見せて差し上げましょう」
愛馬の脇を軽く打てば、かの汗血馬は一気に走り出す。迫り来る僵尸兵の軍団へと。
「邪魔を! するで! ありませんわ!!」
正面に立ちはだかる僵尸兵を躱すと共に、方天戟を一閃。痛々しい装飾こそなされていても、武器としての力は確か。麗鳳自身の技量と膂力も合わさり、僵尸兵は敢え無く吹き飛ばされてゆく。
背後からは、彼女らへ追いつかんとする僵尸兵の群れが追いかけてくる。麗鳳とその愛馬が駆け回るうち、その数も、密度も、徐々に高まってゆくのが、横眼に様相を見据えた麗鳳にも認められる。
麗鳳の機動は、敵陣の一点を中心軸として円を描くかの如きもの。緩急を駆使しての機動も合わさって、追いかけて来ていた敵は次第に中心点周辺へと集まってゆく。
十二分に集まったと判断した麗鳳、徐々に疾走軌道を中心点に近づけて。同時に愛馬の背より小さく跳躍。鞍の上へと屹立する姿勢と化す。
「この一撃にて――」
狙うは一点。鞍上から跳躍する。方天戟を大きく振りかぶる。僵尸兵達の頭上を飛び越え、狙いの一点へ。柄を握る手に、より一層の力が籠る。
「――吹き飛びなさい!!」
真っ直ぐに振り下ろす。弓なりに逸らした身を、一気に前傾へ。その反動と、ユーベルコードの発現とを膂力に乗せて、地面へ矛先を叩き付ければ。
爆発。暴風。衝撃波は嵐となって、周囲の兵士達を吹き飛ばす。
爆心地近くの兵士達はそのまま骸の海へと還り、そうでない者も損傷は決して軽くはなく。どうにか立ち上がらんとした頭を、唐突の一撃が吹き飛ばす。
「逃がしませんわよ!」
敵が態勢を立て直すよりも速く、そして敵の戦力を削るべく確実に。方天戟にて追撃を仕掛けてゆく麗鳳。為す術鳴く頭を、その他重要部位を砕かれ、斃れてゆく兵達。
散り散りとなっていた兵達を仕留め、ふと見れば、退いて本隊へ合流せんとする一団が見えた。
「逃がさないと申したはずです! まーちゃん!」
愛馬へと呼ばわれば、かの汗血馬は如何にも重たげに何かを引っ張ってくる。真っピンクに塗り上げられた、痛々しい色合いの鉄筒――『火竜砲』と呼ばれる携行式カノン砲だ。
かの砲の狙い定める先は無論、撤退せんとする兵の一団。遠慮も躊躇も不要。そのまま撃ち放つ。高速で撃ち出された砲弾が、一気に敵陣の只中へと飛び込んで――大爆発。
「オーッホッホッホッ! やはり戦闘は火力!」
手の甲を頬に添えて高笑い。これもまた寵姫の心得、と言わんばかりの誇らしげな様相であった。
――寵姫は大砲など扱わぬ、という突っ込みは野暮であろう。
成功
🔵🔵🔴
荒散屋・無躯
※連携改変大歓迎
※使用技能:暴力、投擲
加減すんの面倒になってきたな…もういいや全員殺すか
つーかバラバラだが持ってるもんがガチな奴が増えてやがるな
本気出さねぇと、コッチもタダじゃ済まねぇみてぇだな
技はさっきの奴から切り替えてぶっこんでいくか
敵も似たようなのでぶっこんでくるみてぇだな、一匹ずつ力でぶっ潰していくぜ
さっきまで使ってたのや敵が今持ってる奴とかも使って、確実に…頭を狙ってぶっ潰しておく
人間だからな、急所をぶっ壊せば確実だぜ
…ところでさっきからコイツら、何かアレじゃね?
顔色ヤバくね?
李旬軍と許申軍のぶつかり合う戦場を、両軍問わず兵士を片っ端から殴り倒してきた荒散屋・無躯(Trash・f32488)だが、その表情には次第に苛立ちの色が見えてきた。
「加減すんの面倒になってきたな……」
何しろ本気でやったら殺してしまう相手だ。さりとて手加減して暴力を振るうには気を遣わねばならない。結局の処、無躯にとっては遠慮なく暴れるとはいかない状況だ。
(もう全員殺しちまうか)
グリモア猟兵からのオーダーも投げ捨て、一般人だろうと殺してしまうか。そうすれば面倒ではない――などと考えながら、手近な兵を殴りつける。
「……あ?」
手応えはあった。が、それまでの兵に比べて遥かに『重い』感触。見れば、青白い肌の男が、無躯の拳を受けたままの姿勢で、吹き飛ぶこともなく固まっていた。
そして周囲を見回して気付いた。他の兵も、今殴りつけた兵と似たような連中。それぞれに携えた得物は違うが、共通して本格的な武器を構えた者達。ここまで殴り倒してきた兵とは明らかに別物だ。
「こいつぁ……マジでやらなきゃタダじゃすまねぇか」
無躯は直感する。ここまでに殴り倒してきた兵達とは明らかに違う連中。本気で暴れたいとは思っていたが、寧ろそうせねばならぬレベルの敵が現れるとは。だが。
「――やってやろうじゃねぇか」
故にこそ、無躯の貌に浮かぶは獰猛な笑み。早速とばかり、先程殴り倒した兵から奪った槍を突き刺しにゆく。槍は狙い違わず額へ突き刺さり、大柄な身体が後ろへ倒れ込んでゆく。
だがそれを乗り越え次なる兵が迫る。無躯、今しがた倒した兵の偃月刀を奪うと、これを思い切り一閃。見事に兵の首を跳ね飛ばした。
そこに繰り出された刺突を、紙一重にて回避。回避機動のままに一回転、振るった偃月刀が敵の頭蓋を叩き割った。
「ちっ、似たようなヤツぶっこんで来やがるな!」
今の一突き、無躯の攻勢に比べても遜色ない一撃であった。恐らく、今彼が用いているユーベルコード――拾った武器で攻撃を仕掛けるそれと似たようなユーベルコードの効果か。
「そんなら――」
更に横合いから二人の兵が迫る。刺突をかわし、そしてそのまま交差気味に偃月刀を振るい、まずは一体の首を斬る。そして残されたもう一体と睨み合う。
(やっぱ纏めてとはいかねぇな)
二体を共に仕留めんと振るわれた偃月刀は、しかし空を切った。ここまでの兵とは違う、一網打尽とはいかない相手だ。故に。
「きっちりぶっ潰してやるしかねぇな!」
踏み込みからの無造作なる刺突が、対峙した敵の頭部を爆裂させて仕留めた。
(……ところで)
そうして僵尸兵達を着実に排除していくうち、ふと無躯は思う。
(……さっきからコイツら、何かアレじゃね……? って言うか顔色ヤバくね?)
今し方まで散々殴り倒してきた敵が、此度の任務の排除対象たるモノであったことに、今漸く気付いたのであった。
成功
🔵🔵🔴
董・芙蓉
【董劉孟+陸】
僵尸の群れね…白花、後ろを見なさい
やれやれ…白花ももう少し脳を使ってほしい
明琳、それよりあれを見て
孤立している…おそらく猟兵
ええ、もちろん
明琳が一番指揮慣れしているもの…私を存分に使って
今回は初対面の人も加わるから『渾沌』そのものは温存
拳の状態で敵陣を切り開く先制打に使う
私は【爆焔棘鎖】を発動させ、『鵬翔焔鎖』を強化
炎の鉄球で僵尸を薙ぎ払いながら、明琳の指示通り、孤立した人(橘子)の元へ
「丁寧にどうも。私は董芙蓉。指示してるのは劉明琳。倒すべき敵は同じのようだし、協力できるはず。明琳の指揮に従って」
橘子と挨拶をかわしながらも、橘子をフォローするように鵬翔焔鎖を振りまわしていくわね
劉・明琳
【董劉孟+陸】
首魁に向かうには僵尸の群れを片付けねばいけませんね
…白花様?
私とあのようなモノを一緒にされては困ります
以後言わないように、いいですね?(笑顔
敵も多いですし効率よくいきましょう
【桃園聖旨】を発令
2人とも私の指揮下に入ってくださいまし
既に戦っている人もいますね
孤立しているようで…少々危険でしょうか?
芙蓉様、あの方(橘子)のフォローを
…白花様は別方面で自由に暴れて下さい
そこの方、よければ私の指揮に従ってくださいまし
今救援が参りますので、協力して右方向の敵を
私は白花様のフォローに行きましょうか
※モップを棍のように振り回しつつ戦場に突入
※どの敵と戦うかとか誰々のフォローをとか指揮も忘れずに
孟・白花
【董劉孟+陸】
おー、明琳の仲間がいっぱいいるにゃー
ん?芙蓉どうしたにゃ?後ろ指さして…ウニャッ!?
め、明琳、も、もういわにゃいから、落ち着くにゃ…(がくぶる
…明琳は笑顔で人を殺せるから怖いにゃ…さすが皇帝の血族にゃ…暴君の孫の芙蓉よりよっぽど暴君なのにゃ…
これ以上逆らったら怖いにょで、今回は素直に明琳の指示を聞くにゃ
ま、にゃんだかんだ言っても共に戦うと誓った盟友にゃしな♪
明琳の指揮とバフを受けながら
新入り(橘子)とは別方向の指示された敵集団相手に単騎で大暴れにゃ
こっちは白ちゃんに任せるにゃ!
【百裂肉球破】を喰らうにゃ!
※肉球闘気が次々と僵尸を薙ぎ払っていく
にゃはははは!脆い!脆すぎるにゃーっ!
陸・橘子
【董劉孟+陸】
あら? なんだか雰囲気が変わりました?
そろそろ真ん中についたのでしょうか?
しっかり狙われてるみたいですし、
通してはくれなさそうです。
双錘を振り回して僵尸兵を殴り倒しつつ、
道を作っていたら、声をかけられました……?
「あ、はい。
はじめまして、わたくし、陸・橘子と申します。
あなたも黄昂さんにご用事なのでございますか?」
と場違いにぺこりと頭を下げて、
「えっと……ちょっと全部は解らなかったのですけど、
言われたところを叩けばよいのですね。解りました」
来てくれた方にも挨拶をすませたら、
【錘撃衝破】を使って、明琳さんの指示に従い、
【怪力】も乗せて、言われたところを思いっきり叩いていきます。
「――あら? なんだか雰囲気が変わりました?」
一般兵を無力化しながら進軍を続けていた陸・橘子(大力放松・f32784)はふと気付いた。いつの間にか周囲に居る兵士達が、顔色の悪い、殺気立ったオブリビオンばかりになっていたことに。
そろそろ真ん中――黄昂のいるという戦域に着いたのだろうか。分からないが、どちらにせよ周囲の兵士達は皆己を狙っている。通りたければ、打ち倒すしかないだろう。
「では――通してもらいますね?」
即ち、やることは同じだ。両手の双錘を振るい、兵士達を打ち据える。その質量に橘子の膂力が上乗せされれば、兵士が堪らず吹き飛ぶことには変わりない。違いといえば、容易く無力化はされないということか。
だが殴り続けていけばそのうちには。納得し、橘子は錘を振り回しながら一歩一歩歩んでゆく。
一方その頃、三人組の猟兵達が戦域への到達を果たしていた。
「おー、明琳の仲間がいっぱいいるにゃー」
殺気を纏い立ちはだかる僵尸兵達を見渡し、孟・白花(肉球花蔓・f32812)はそんな感想を漏らす。
「……白花。後ろを見なさい」
「ニャ? 芙蓉どうしたにゃ?」
その横からかかるのは董・芙蓉(睡蓮白華・f32741)の声。気付いた白花が背後を振り返ってみれば。
「……白花様? 私と、あのようなモノを一緒にされては困ります」
「ウニャッ!?」
目の前にあったのは劉・明琳(天運博徒・f32795)の満面の笑顔。だが白花には見えていた。その額に浮かび上がって痙攣じみてひくつく青筋と、その背後に浮かび上がる、彼女の父の義弟っぽいヴィジョンが。つまり彼女は、怒っていた。彼女もまた僵尸だからとて、オブリビオンたる僵尸兵と一緒にされれば怒るのも無理は無い。完全な白花の失言であった。
「以後、オブリビオンと私を一緒くたにするような発言は慎まれますように。良いですね?」
明琳の笑みが深まる。同時にプレッシャーが強まる。そんな姿を前とすれば、白花としては最早。
「ご、ごめんなさいにゃ、もう言わにゃいから落ち着くにゃ……」
がたがた震えながら謝るより他に無かった。
(め、明琳は笑顔で人を殺せるから怖いにゃ……さすが皇帝の血族にゃ……暴君の孫の芙蓉よりよっぽど暴君なのにゃ……)
などと心中で思っていたりもしたが。
「白 花 様 ?」
「にゃんにも言ってにゃいにゃー!?」
あたかも心を読んだかのように強まる明琳のプレッシャー。白花としては最早怯えるより他に無かった。
(やれやれ……白花ももう少し脳を使って欲しい。……ん?)
一連のやり取りを眺め、肩を竦める芙蓉。ふと、戦場の一角に何かを見たようだが。
「しかし、敵も多いですし、ここは効率よくいきたいところですね」
明琳が口を開いたので、一旦己の言葉は引っ込める芙蓉。
「お二人とも、私の指揮下に入ってくださいまし。私の勅にて強化を図ります」
指揮官としてはこの中で最も秀でている明琳。己の指揮下にある者を強化するユーベルコードと併せ、指揮役に回らんとする。
「ええ、指揮は貴女に任せるわ……私を存分に使って」
「にゃんだかんだ言っても共に戦うと誓った盟友にゃしな♪」
彼女の指揮能力を信頼する芙蓉と、直接口にした理由に加え今は明琳に逆らうのが怖い白花。共に承諾し。
「ところで明琳、あれを見て」
続けて芙蓉が告げるのは、先程視界に収まった戦場の一角の変化。応えて明琳が其方を見れば、赤い衣で双錘を振り回す女性の姿。橘子である。
「孤立している……おそらく猟兵」
「力量は高いようですが、少々危険でしょうか……?」
橘子は群がる僵尸兵を次々殴り倒しているものの、彼我の戦力差は圧倒的。いつ背後より急襲を受けるかも分からない。救援が必要だろう。
「芙蓉様、あの方のフォローを」
「承知したわ」
明琳の指示に応え駆け出す芙蓉。明琳の主である芙蓉だが、こと戦闘となれば戦術眼に秀でる彼女に指揮を委ねることが多い。
「明琳、白ちゃんはどうするにゃ?
「……白花様は別方面で自由に暴れてください」
続く白花の問いにはそう答え。返答を受けた白花、「任せるにゃ!」と言わんばかりに駆け出してゆく。
「白ちゃんの力、見せてやるにゃ!」
目の前には僵尸兵の大軍。それでも白花は、否、故にこそ吼える。その身に闘気が滾り、満ちてゆく。
「我が肉球は全てを飲み込む! 喰らうにゃ、百裂肉球破ッ!!」
そして肉球グローブ身に着けた手を突き出せば。伴って繰り出される肉球型の衝撃波が、僵尸兵の群れへと降り注ぐ。脱力ものの見た目ではあるが、その破壊力は十二分。次々と僵尸兵が吹き飛ばされてゆく。
戦線の一角で生じた派手な破壊。別方面の僵尸兵らも反応するが。
「余所見している余裕があると思う?」
芙蓉の声と共に繰り出されるは巨大な棘鉄球。炎を帯びたるそれが僵尸兵を叩き潰し、炎上せしめてゆく。そうして僵尸兵の群れを蹴散らすこと暫し。
「其処の貴女、良いかしら?」
「はい?」
僵尸兵が崩れた先に、赤い背中を捉える。そこへと距離を詰めながら芙蓉は声をかける。応え、振り返る橘子。
「あ、はじめましての方ですね。わたくし、陸・橘子と申します。あなたも黄昂さんにご用事なのでございますか?」
芙蓉が敵でないと判断したのか、徐に自己紹介を始める橘子。場違いにも思えるマイペースぶりで、ぺこりとお辞儀までする。
「……丁寧にどうも」
あまりのマイペースぶりに呆れかける芙蓉だが、気を取り直して。
「私は董芙蓉。こっちは劉明琳、立場は私の方が上だけど指揮官はこの子」
己のフォローをするべく追ってくる明琳を示しつつ、芙蓉は彼女の分も自己紹介してみせる。
「私達は黄昂を倒すために来た者。目的は同じのようだし、協力できるはず」
「よろしければ、私の指揮下に入って頂けますか?」
芙蓉の言葉に続き、追いついた明琳が求めれば。
「えっと……要するに、あなたに言われたところを叩けば良いのですね?」
橘子の解釈は何やら独特な感じで。ともあれ大意としてはまあ間違いではない。明琳は頷けば、橘子もまた「解りました、よろしくお願いしますねー」と是の返答を返す。
「ありがとうございます、では右方面の敵をお願いしますね」
明琳からの早速の指示に応え、右から迫る僵尸兵の群れを示す。承諾と共に向かってゆく橘子。最前の屍兵へと錘を振るえば。
「……おお、さっきより良く響きますね~!」
僵尸兵を殴る手応えに、それまで以上のものを感じたらしく。これなら思いっきり戦える、と嬉しげに笑む。
「では、ちょっと痛いのいきますよ~!」
双錘のもう一方に、黒き力が集束する。そして横合いから攻め寄せてきた屍兵の機先を制して一発殴りつければ。錘に集束した力が重力波として一気に広がり。屍の肉体を一瞬で形も残さず消し飛ばしてしまう。
「やるわね……っと!」
その破壊力に瞠目する芙蓉。だがそればかりではない。己もまた棘鉄球を振り回し、橘子の隙を狙わんとする僵尸兵達を薙ぎ倒してゆく。
「良い感じです、そのままお願いしますね!」
攻撃範囲が広い分近接距離に隙のある芙蓉をフォローするべく、明琳はモップを振るい攻め込む僵尸兵を打ち据えて。
「にゃははははは! 脆い! 脆すぎるにゃーっ!」
別方面では、白花が哄笑と共に肉球弾を乱射し続ける。
こうして四人娘の活躍もあって、僵尸兵団はその数を大きく減らしてゆくのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
鬼桐・相馬
●POW
僵尸の燃え具合はどんなものか
不謹慎だが興味がある
李旬軍の者に敵ではないことを一瞬で理解して貰いたい
その為動きづらくはあるが、先程の鎧は着たまま〈冥府の槍〉を構え戦闘に突入しよう
槍の[範囲攻撃]で退かず前へと進む
支障があるようならば鎧はその時点で脱ぐか槍からの炎をついで[焼却]
[先制攻撃]をモットーに立ち回るが、[野生の勘や戦闘知識]で敵の挙動を常に把握し攻撃を受けそうなら[武器受け]しよう
退かず戦闘を続ければやがて俺が突出し敵集団に囲まれる状況となるだろう
僵尸兵士に群がられたところでUC発動、一網打尽を狙うよ
黄昂からも炎が見える筈だ
こちらへ意識が向くならば願ったり叶ったりだな
李旬軍の間に困惑が広がる。彼らにとっては味方である黄昂配下の僵尸兵が、その数を減らしつつあるからだ。
その間を駆け、一人の兵士が僵尸兵団の前へと踊り出る。否、一般兵と同じ鎧を纏っては居れど、彼の者は兵士ではない。携える得物――紺青の炎纏う黒槍が、其を証立てるかのように燃え輝く。
僵尸兵団を前とすれば、最早鎧は不要。槍からの炎が鎧へ引火し、それのみを焼き捨てる。その下から本来の装い――漆黒の軍装を露とし、鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)は居並ぶ僵尸兵達を見渡す。
(――僵尸の燃え具合は、どんなものだろうか)
一般兵とは明らかに異なる装いの存在を前に、警戒露わに身構える僵尸達。地獄の獄卒たる相馬、生ける死者に遭遇した事は一度二度ではないが、僵尸のような手合いは初めてだ。ゾンビのように腐ってはおらず、ミイラのように乾いてはおらず。不謹慎だが、興味深くはある。
(まあ良い)
肝要なのは、眼前の彼らを排除すること。判ずれば行動は速い。一歩、足を前へと出せば。その身は一瞬で最高速へと達し、最前の僵尸兵の胸を黒槍が貫いた。纏う紺青の炎が引火し、燃え上がる僵尸。
左右から僵尸兵が偃月刀を振るい斬りかかる。相馬、左前方へと踏み込み回避。その勢いを利して身を一回転。同時に振るう黒槍が蒼い斬閃を描き、先の僵尸兵の片方と、付近に身構えていた兵とを諸共に斬り倒す。
回転を終えると同時、黒槍を頭上へ掲げる。丁度良く振り下ろされた偃月刀が衝突し、金属の衝突音を響かせる。戦人の勘とでも言うべき、未来予知じみた先読みである。
腰を入れて槍を押し上げ、偃月刀を跳ね返せば。姿勢を崩した僵尸兵の胸元へと槍を構え飛び込んで。その後ろから迫らんとしていた僵尸兵をも巻き込んで串刺しとする。
僵尸兵団を寄せつけぬ安定した立ち回りを続ける相馬。だが彼は只管に兵団の中心域へと踏み込み続けていた。360度全周囲、明確なる敵しか存在せぬ領域へ。
となれば必然、己の周囲は全て敵に囲まれた状況へと追い込まれる。全方位より迫る刃。
(――ここが仕掛け時か)
だが、相馬は焦らない。寧ろ、それこそが己の狙いであったが故だ。槍を構える。狙うは、地面。
「逃げ場など、無い」
僵尸兵らにとってみれば、それは八方を敵に囲まれた相馬自身のことと思うだろう。だが実態は、その逆。
「劫火境にて、燃え落ちろ」
構えた黒槍を、大地へ力強く突き入れる。瞬間、周囲の地面へ蜘蛛の巣じみて地割れが走る。
そして、蒼が噴き上がる。
溢れ出す冥府の炎は、今まさに相馬へ斬撃なり刺突なりを繰り出さんとしていた僵尸兵を飲み込み、その後に続く僵尸兵らと諸共に燃え上がる。その数と火勢は、一帯を蒼き光に照らしだす程だ。
(ミイラ程に火付きは良くないが、それでもよく燃える。そしてゾンビのような悪臭は無し、か)
総じて、尋常の死者を荼毘に付した感覚に近いか。なればこのまま過去に眠れと、短く祈った、その直後。
(……!)
殺気。それも、僵尸兵達とは桁の違う。これだけの派手な立ち回りだ、奴とて気付くだろうと予測はしていたが、予想以上だったか。
感じた殺気の源へ、視線を向ける。総身から闘気と殺気を漲らせたる、武将然とした男が歩み寄ってくるのが見えた。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『死者英傑』
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POW : 無尽槍兵団
レベル×1体の【精鋭僵尸槍兵】を召喚する。[精鋭僵尸槍兵]は【突】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : 戦場の覇者
戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【方天画戟】の威力と攻撃回数が3倍になる。
WIZ : 孤影再起
全身を【己を英傑たらしめる闘気】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「よもや、僵尸兵共を全滅せしめる程の強者が居るとはな。そして貴様ら、許申の手の者でもあるまい」
僵尸兵達を全滅させた猟兵達の存在に気付き、歩み寄ってきたその男。動き妨げぬ軽装の鎧を纏い、手には方天戟。漲る闘気と殺気を立ち昇らせながら、その男は笑っていた。
「面白い。あまりにも手応え無い者共ばかりで退屈しておった処よ」
方天戟の刃を下向け、地に突き刺して。右の拳に、左の掌を被せ。拱手の形を取る。
「我が名は黄昂。ひとたび死して、現世に舞い戻りたる者。武に生き、武に殉じ、今尚武に生きる者」
名乗りを上げるその姿は、己の在り方に恥じる事無きとばかりに堂々たるもので。それが、今戦場に在る者全ての虐殺を為さんとしたものであったとしても。
「貴様らが何者かは知らぬが、その武の程。相手にとって不足なし。我が方天戟の錆とするに相応しい強者と認めよう」
再度、方天戟を抜き、身構える。闘気と殺気とが、更に膨れ上がる。猟兵達との戦への歓喜、其を殺める喜悦。この男の中には、その双方が同居していた。
「――いざ、勝負!」
駆け出す黄昂。いさ、かの将を打ち倒し、この場の戦を収めるべし。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
(拱手を返し)
夢ヶ枝・るこると申しますぅ。
私の戦い方は、然程愉しめる形ではないと思われますが、ご容赦下さいませ?
多数の『精鋭僵尸槍兵』とは厄介ですねぇ。
此方も数で対処させて頂きましょう。
【紘器】を発動し『F●S』各種の複製を大量に形成しますねぇ。
『FBS』本体を四肢に嵌め飛行、複製は地表近くに配置し、側面から将兵共に狙いますぅ。
『FMS』は、複製を含む2/3は私と敵方の間に障壁を積層展開し防御と接敵妨害、残りは戦域全体を囲み、離脱や巻添えを防ぎますねぇ。
『FSS』の弾頭は『FCS』で炸裂弾に換装し[爆撃]、『FRS』の[砲撃]と共に連続的な[範囲攻撃]を降らせましょう。
紅・麗鳳
ほーん、気炎万丈たる偉丈夫ですわね。
こちらも礼儀として拱手と名乗りを返しましょう。
ですが貴方様が叱咤すれば風雲も震え、天下に好敵手を求む豪傑と自らを誇るならば、それ故に陥る罠というものも御座いますわ。
そう口上で時間稼ぐ間に、軽く舞うようにして羽衣を揺蕩わせ、毒の香をたっぷり広げておきましょう。
違和を覚えた時にはもう遅い――【宝貝解放「天香酔骨」】
完全に骨抜きとするのは難しくても、強化を妨げ闘気を弱まらせればそれで十分。
方天戟同士を打ち合わせ、懐へ潜り込み、【吹き飛ばし】の一閃を食らわせましょう。
油断だとか悔いる事は無くてよ!
わたくしの美貌に打ち克てるものなど、秦の始皇帝くらいでしょうからね!
ガイグ・ズーバ
開幕UCで乱入ダ。唐突に参戦させテもらウ。
悪ィガまともに、挑む気は無ェ、オマエを倒せれば良イ。
強者と認めなくテけっこう。
オマエからの賛美なんザ、オレァいらねェヨ。
距離を取ったまマ、【引き裂く爪】を振るってノ斬撃波ヲ、主体にしテ攻めるカ。
つめて来そうなラ、振り方を変えて衝撃波を叩きつケ、隙を作り離れル。
近づかれたら【爪】を生やしテ、咄嗟の一撃をくり出し逃げル。
もう一度UCダ、裂かれろ。
マァ、こんな丸見えの斬撃ぐらイ、防いでくるよナァ。
だから【カームの蟷螂】を出ス。戦闘であげた砂塵の中、見えづらい鎌刃ヲ、切断する勢いで振るうゼェ。
そのまま距離を取ル……二度言わせるナ、まともに戦う気ァ、ねェんだヨ。
死者英傑、黄昂と対するは、二人の女性猟兵。
「夢ヶ枝・るこると申しますぅ。私の戦い方は、然程愉しめる形ではないと思われますが、ご容赦下さいませ?」
一人は、豊満を極めたる肢体の背後に無数の浮遊兵器を浮かばせた夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。
「ほーん、気炎万丈たる偉丈夫ですわね。わたくし、紅・麗鳳と申します」
一人は、細身ながら魅惑的なる曲線描く肢体に透き通る羽衣を纏う紅・麗鳳(梟姫・f32730)。
猟兵達の接近に気付いた黄昂の名乗りに応え、彼女達もまた拱手と共に名乗りを上げたのである。
「ほう、女か。だが分かるぞ、貴様らも数多の死線潜った強者であるとな」
その所作と、纏う雰囲気にて察したか、獰猛なる笑みを浮かべる黄昂。歴戦の猟兵たるるこるは勿論、麗鳳もまた、猟兵となるより以前から、汗血馬に跨り戟を振るう日々を送ってきたのだ。戦の経験というなら決して見劣りはすまい。
「光栄ですねぇ。ですが、お気をつけてくださいませぇ」
「何?」
微笑み応えるるこる、なれど続けての讒言めいた一言に、黄昂は訝しげに眉根を寄せる。
「叱咤すれば風雲も震え、天下に好敵手を求む豪傑と。自らをそう誇るならば、それ故に陥る罠というものも御座いますわ」
続けるは麗鳳。両の腕を広げ、世の広さを、其処に在るものの多様なるを示すかの如き振舞いを見せる。その腕に纏わせた羽衣が、風に靡くかのように揺れてはためく。
「貴様、何のつもり――ッ!?」
その意図を掴みかねている様子の黄昂、問いを返そうとしたその瞬間。背後に走る悪寒めいた感覚。殺気。咄嗟に振り返り、携えたる方天戟を旋回させて盾と成す。
駆け抜けるは無数の大きなカマイタチ。旋回する方天戟の起こす気流にて相殺するも、全ては打ち消せず四肢に複数の裂傷。黄昂の口より漏れる舌打ち。
「ちっ、不意打ちだと……!?」
黄昂の見据えたそこに、今一人の猟兵が着地する。灰色の挑発、ひょろりと細身の男。顔の中心を斜めに横切る疵痕、その左右より黄昂を見返す眼光は鋭く。
「悪ィが、オレァまともに、挑む気は無ェ、オマエを倒せれば良イ」
奇妙なイントネーションと共に紡がれるその意思。敵からの承認など、賛美など不要。それが彼――ガイグ・ズーバ(鎌刃と鉤爪・f32915)の戦における在り方。
「それニナ、何か仕掛ケようト、してるのがオレだけだト、何故思う」
「何……ッ!?」
続くガイグの言葉、そこに異変を察した黄昂。再度振り向くも、異変は既に影響を生じせしめていた。最初にガイグの方を振り向いた時より、明らかに遅い。
「ええ、宝貝は既に発動しておりますとも。けれど――五蘊総じて癡と堕す、とは参りませんか」
振り向いた先、嫣然と微笑む麗鳳の姿。その腕に纏う羽衣は、唯の装具に非ず。甘美なる香を伴う毒を放つ宝貝。銘を『天香酔骨』。心身を蝕み、戦を、そしていずれは生を放棄せしめんとする毒。
「毒とは味な真似を……! だが、これしきで斃れる俺と思うでないぞ!」
なれど黄昂、挙動は緩慢となりつつも停止には至らず。その身より立ち昇る黄金色の闘気は、彼の英傑たるを雄弁に示す輝きを放つ。
「おお……弱らされてもこれ程の闘気ですかぁ。流石に強敵、と見えますねぇ……」
闘気の煌めきを前としてるこるは小さくその身を震わす。なれど無論、退くという選択肢は無し。
「来い、我が兵よ! かの強者を打ち倒してくれようぞ!」
対する黄昂が呼ばわれば、先程まで戦っていたものと同様の僵尸兵が、何処からともなく姿を現す。己の不調を彼らとの連携にて補わんというのか。
「これは流石に厄介ですねぇ……対処させて頂きますぅ」
数的有利を取られれば、此方は猟兵三人とて苦戦は免れまい。ならば己の得手を以て、その優位を崩すのみ。
「大いなる豊饒の女神、その『祭器』の真実の姿を此処に――」
るこるの祈りはユーベルコードとして形を成す。背後に浮かばせていた浮遊兵器群、それらの複製が次々と現れだし。戦場の空を埋め尽くさんばかりの多数となって、その全てがオブリビオンの一団に照準を合わせて。
「な……!?」
「それでは、砲撃開始ですぅ!」
黄昂が驚愕する間に、るこるの号令が下り。上空の浮遊砲台群が、一斉に砲撃を開始し――地に降り注げば、響き渡るは地を揺るがさんばかりの轟音。地に着弾した炸裂弾が爆発しているのだ。
地を抉らんばかりの爆風が、呼び出されたばかりの僵尸兵達を上空へと跳ね飛ばし、続く砲撃で地へ叩きつけて押し潰す。そして立ち込めたる土煙。
「はぁぁぁぁっ!」
そして土煙を突っ切り迫るは麗鳳だ。黄昂、振り下ろされた方天戟を己のそれで受け止め回避。そのまま腕を引き、彼女の方天戟へと己のそれを引っかけを奪い取らんとするが、麗鳳は先に再度振り上げ回避。
更に。
「オレもいるゼ!」
ガイグの爪から放たれる斬撃波が黄昂を襲う。爪といっても、生えるのは指先のみに非ず。引き裂く爪の悪魔である彼、その種の名と同じ『引き裂く爪』は、全身至る処から生やし得る。
「ぬ、ぐっ、おのれ、味な真似を……!」
麗鳳と打ち合う黄昂、避けきれず背に裂傷を刻まれる。なれど未だ斃れるには遠い。大きく飛び退き麗鳳から距離を取ると、振り返りざまガイグへ迫らんとする。
「チッ!」
接近戦を仕掛けるつもりか。そうはさせんと鉤爪からの刃に代えて真空波を放ち吹き飛ばしを試みるガイグ。なれど黄昂、力強い踏み込みにて衝撃波を乗り越えて。突撃の勢いは止まず――
「その程度で俺は止められ――」
「だろうナ。だカラ、こうダ」
眼前まで迫った黄昂を見据え、ガイグは右腕を振るう。と、直後。半透明の何等かが形を成し、黄昂の身へと突き刺さった。
「ぐぁっ!? ぐ、これは……!」
呻く黄昂、よく見ればそこに在るのは鎌の刃。半透明の巨大な鎌刃が、空間から複数現れ出たのだ。
「オレァまともに戦う気ァ、ねェんだヨ。二度モ言わせるナ」
言い捨て、飛び退き距離を取るガイグ。その背に駆け寄る気配。
「わたくしを忘れてはなりませんわよ!」
それは麗鳳、春祭の装いめいた方天戟を振りかぶる――黄昂の懐で。
「何っ……いつの間に此処まで……!?」
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
得物が同じ方天戟ならば、体格で劣る者は優る者の間合いの内側へ入り込むことが可能となる。常ならば得物に阻まれ叶わぬが、ガイグが意識を引き付けていたことで可能となったものだ。
果たして、振るわれた横薙ぎの一撃が、黄昂の脇腹を見事捉え。堪らず吹き飛ぶ黄昂。そして。
「此方はおまけですよぉ」
るこるの宣言と共に、上空から無数の炸裂弾が降り注ぎ。黄昂の周囲で、激しい爆発が幾度も巻き起こった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
コノカ・ハギリガワ(サポート)
『やるわ。私に任せなさい!』
サイボーグの鎧装騎兵×戦巫女、18歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
出身世界:スペースシップワールド
性格:勇敢
戦場では積極的に前線に切り込み、敵の注意や攻撃を引き受けます
・戦闘
勇翠の薙刀を主に使って戦います
また、エメラルドアームから発生させた障壁で仲間を庇います
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
劉・涼鈴
戟使いか……面白い! 勝負だッ!!
私は劉・涼鈴!! 劉家拳の伝承者!!
戦を煽るお前をぶっ飛ばして、人界仙界の武林に劉家の名を轟かせる!!
いくぞぉおおおお!!
全身に【覇気】を漲らせて、【怪力】で覇王方天戟を叩き込む!
同種の得物だからお互い手の内は分かってる、【見切って】【受け流て】、周りのキョンシー槍兵を巻き込んで【なぎ払って】【吹き飛ばし】ながら激しく打ち合いだ!
おらおらおらおらァ! ザコは邪魔だー!!
鍔迫り合いから、【気合い】を入れて地面を砕く勢いで踏み込んで、ゼロ距離で渾身(捨て身の一撃・限界突破)の【劉家奥義・神獣撃】!!
これがァ! 劉家の拳だッ!!
もうもうと立ち込める土煙の中、身を起こした黄昂は見る。その向こうに現れた、更なる猟兵達の姿象る影を。
構えを取り直し、見据えた先。土煙が晴れ、牛角具える小柄な少女と、白銀の装甲纏う女性の姿が現れる。
「私は劉・涼鈴!! 劉家拳の伝承者!!」
堂々たる仁王立ちからの拱手と共に名乗りを上げるは牛角の少女、劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)。地に突き立てていた方天戟を抜き構えを取る。
「コノカ・ハギリガワ。師匠直伝の武でお相手するわ」
凛とした所作にての拱手と共に名乗りを上げるは白銀装甲の女性、コノカ・ハギリガワ(勇を示す翠・f06389)。背負いたる柄から翠色の理力刃を展開、薙刀と成して構える。
「良かろう! この黄昂と麾下の精鋭、全力を以て闘争するに相応しき相手よ!」
黄昂も快の笑みを浮かべると共に方天戟を構えれば、溢れる闘気が土煙を吹き飛ばし。視界晴れたる領域に、精鋭たる僵尸兵が偃月刀を構えて隊伍を組む。
「相手にとって不足なし! 戦を煽るお前をぶっ飛ばして、人界仙界の武林に劉家の名を轟かせる!!」
並び迫る僵尸兵の群れを前として、涼鈴の闘志は尚高まる。これらを打ち倒してこそ、己が劉家拳の名望は高まろうというものだ。
「いくぞぉおおおお!!」
「やるわ。その戦、止めさせてもらう!」
喊声が如く吼えながら涼鈴は駆け出し、コノカもまた疾走する。戦の始まりである。
「はあぁぁぁぁ!!」
溢れる覇気を全身へと滾らせ、持ち前の膂力をより高め。涼鈴は方天戟を大きく横薙ぎに振るう。薙ぎ払うその一撃は、周囲より押し迫っていた僵尸兵を吹き飛ばしながら黄昂目掛けて叩き付けられ。
「良い気魄だ、だが!」
無論、その大振りが見えぬ黄昂ではない。方天戟を立て構えて、涼鈴の振るうそれと柄同士をぶつけ合わせ回避。僵尸達を軽々吹き飛ばした一撃を、腰を落とし構えることで受け止めきり。そのまま踏み込んで、涼鈴目掛けて振り下ろしの一撃を繰り出す。
「おおっと!」
半身となって垂直の斬撃を躱した涼鈴。互いに得物は方天戟、なれば手の内は概ね把握している。故に迅雷が如き攻勢も見切り得る。
そこから斜めの斬り上げを放つ。黄昂、身を反らして回避、反動を乗せた刺突を繰り出す。滑るような跳躍にて躱した涼鈴、その勢いのままに方天戟を振るいながら一回転。追撃を試みた僵尸兵達を吹き飛ばす。
「ザコは! 邪魔だッ!!」
一方、黄昂にはコノカが斬りかかっていた。翠の光の軌跡を描く斬撃が立て続けに黄昂を襲う。
「実体無く肉体を裂く刃とはな! 仙人共の宝貝の如き代物ではないか!」
コノカの振るう薙刀は、刃そのものはフォースの産物故に受け止めること叶わぬ。故に黄昂は刃支える柄を狙って捌き、攻勢を凌いでいた。
「これもあくまで人類の知恵と技術の産物よ。そして、私が修めた技も!」
黄昂が繰り出した反撃の刺突を、コノカは半歩後退ることで躱す。その隙を狙い、左右より僵尸兵が迫る。振り下ろしと横薙ぎ、偃月刀の同時攻撃。回避は困難。ならば。
「――刻み断つわ」
コノカの周囲で、翠色の光が渦を巻く。理力の刃が描く軌跡。奔った光は左右の僵尸兵を貫いて――その四肢を斬り落とし崩れ落としめる。
「ほう、僵尸共をいとも容易く……まともに受ければ俺とてそうなっていた、か!」
その業を評しつつ、黄昂は構えたる方天戟を押し込みにかかる。押しやらんとするはもう一本の方天戟。涼鈴が構える覇王方天戟だ。
「人と鍔迫り合っていながらあっちまで見るとか、随分余裕だね……!」
他者の業を評する程に己との交戦は余裕、そう見られたと憤ってみせる涼鈴。押し込まれる柄を押し返し拮抗を保つ。体格に似合わぬ膂力の涼鈴なれど、黄昂との純粋なる力比べで優位取るは叶わぬと見え。
「脅威たる強者を二人も共に相手取るのだ、意識せずにはおれまい!」
それとも嫉妬か、などと揶揄うような黄昂の返答。涼鈴の眼が見開かれる。
「ぐ、舐めるな……っ!」
唸る声音は悔しげに。更に方天戟を押し込まんとするが。
「――そこだ!」
「っ!?」
唐突に下方から押し上げる力。涼鈴の押し込みに合わせて、黄昂がその力を上へと逃がしにかかったのだ。結果的に空回った力は身体のバランスを崩し、涼鈴の手から戟を取り落とさせる結果すら招いた。
「これにて、仕舞いだ!」
そして黄昂は、方天戟を掲げた姿勢から斜めの振り下ろしを繰り出さんとする。丸腰、しかも姿勢を崩した涼鈴に回避の術はない――そう思われた。
「――違うね!」
だが涼鈴の表情は、笑み。そして浮きかけた足を強引に制し、一気に地へ振り下ろす。地に罅が走り、爆ぜ砕ける。
「やっと見えたよ、黄昂! あなたの決定的な隙が!」
そして砕けた地を蹴り跳躍、一気に黄昂の懐へと飛び込んで。
「な……貴様、まさか謀り――!?」
己の隙を誘う為、敢えて得物を弾かれる形を装った――黄昂が悟った時には既に遅く。
「ぶちかますッ!」
振りかぶるは己の拳、構えるは劉家拳が奥義。
「これがァ! 劉家の拳だッ!!」
炸裂するは神獣撃、零距離にて牙を剥く顎が如き拳。限界超えた一撃が、黄昂の腹へと叩き込まれた。
「ぐわぁぁぁぁぁ!!?」
鎧がまるで意味を為さぬ程の衝撃力に、黄昂の身は堪らず吹き飛んで。
「そしてこれは私からのおまけ。味わいなさい」
着地地点で待ち構えていたコノカの翠刃が踊り。死者英傑の身へと、夥しい斬痕を刻み込んだのである。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
孟・白花
【董劉孟+陸】
黄昂ってのはあれかにゃ?
また僵尸槍兵がいっぱい出てきたにゃ?
明琳、ここはどう動くにゃー?
みんなで一斉にボコるかにゃ?
お、ボコるのは白ちゃんと芙蓉に任せてくれるのにゃ!
にゃら、雑魚は明琳達にお任せにゃ
白ちゃんやっちゃうにゃー!
【白虎咆哮】変身ッ!
これが瑞獣白虎の姿にゃ!
…猫じゃにゃいにゃ!白虎だにゃ!(ふがーっ
まぁ、いいにゃ、芙蓉、準備できたら跨るにゃ
雑魚を突破して、一気に黄昂まで突っ込むにゃー!
対峙したら、背に乗せた芙蓉と共に人馬一体ならぬ仙虎一体のコンビネーション
白ちゃんは爪や牙を駆使して噛みつき、薙ぎ払い、攻撃にゃ!
…って、いつ来たにゃ明琳!?
美味しい所狙いはずるいにゃー!
劉・明琳
【董劉孟+陸】
恐らくは名の通った武将なのでしょうね
強者を前にすれば血が騒ぐのは武人の常…わかりますとも
しかし僵尸兵でこちらが分散されるのも厄介ですね
橘子様、協力していただけます?
私と2人で僵尸は引き付け、彼の者が求める強者…白花様と芙蓉様を無傷で送り届けましょう
【龍鵬双刃】を抜き、橘子様と共に僵尸兵の中で派手に暴れます
僵尸兵を引き付けると同時に私達の存在を黄昂の意識から隠しましょう
そして僵尸兵を片付けながら、芙蓉様たちを囮に密かに死角に回りこみ
不意を突いて双剣での斬撃を
武人の楽しみに水を差して申し訳ありませんが、私達は武を競いにきたのではなく
貴方を滅ぼしに来たのです
そのままトドメを刺しましょう
董・芙蓉
【董劉孟+陸】
この身は戦いを求める闘仙ではないけれど
強者を求めるのならば相手はするわ
とはいえ召喚される僵尸は面倒ね
明琳、どうする?
貴方達が僵尸は受け持ってくれるのね
いいわ
なら、私と白花で奴は討つ
…まぁ、明倫がそれだけで終わるとは思ってないけれど、白花には言わないでおこうか
【鴻鈞道人】で『渾沌』を取り込むわ
背後に浮かぶ拳が粒子となって消えて私の中に吸い込まれ
私は四腕四翼の異形の姿に変化
白虎溶かした白花に騎乗し、一気に奴のところまで駆け抜けるわ
その後は乗騎の白花と共に連携攻撃
四腕それぞれに持った戦斧を振りまわし、奴に斬りつけていくわ
仙虎一体で奴を釘付けにすれば…
…ほら、やっぱり明琳が狙っていたわね
陸・橘子
【董劉孟+陸】
まずは芙蓉さんと白花……猫さんが戦いやすいように、
派手に動けばいいんですね。
「そういうのは得意ですのでお任せください~」
と【怪力】を乗せた【錘撃衝破】を、
喚び出された僵尸に叩きつけて、地面に大穴を開けましょう。
その後も明琳さんを守りつつ地面を抉って、
僵尸をこちらに引き付けていきますね。
でもなんだかあちらのほうが派手ではないでしょうか……?
お二人が黄昂さんのお相手をしている間に、
明琳さんとわたしは僵尸を蹴散らし、
攻撃できるようにしておきましょう。。
隙を見つけたら不意をついた一撃です。
とどめまではいけないかもしれませんが、
明琳さんたちもいらっしゃいますし、だいじょうぶですよね。
「黄昂ってのはお前だにゃ!」
総身に傷を負いつつも立ち上がる黄昂にかけられた声。顔を向ければ、四人の猟兵が彼を見据え身構えていた。
「如何にも、俺が黄昂よ。そして貴様らも――猟兵とやらか」
応える黄昂の表情は笑み。更なる強者との交戦への期待を隠しもせず、得物たる方天戟を構える。
「やる気十分ですね~。まさに戦いに生きてるって感じです~」
そんな黄昂の様相を、陸・橘子(大力放松・f32784)はそう評する。呑気とも見える声音ではあるが、戦に臨む意思は十二分。
「恐らくは名の通った武将であったのでしょう。強者を前にすれば血が騒ぐのは武人の常」
応える劉・明琳(天運博徒・f32795)は、黄昂の様相に理解を示す。当の彼女自身も何処か高揚を覚えているようにも見える。彼女もまた、武を磨き上げた末に今此処に在る、その事実故かもしれない。
「この身は戦いを求める闘仙ではないけれど……強者を求めるのならば、お相手するわ」
一歩前に進み出た董・芙蓉(睡蓮白華・f32741)が、掲げた右手を握り込みつつ黄昂へ告げる。伴って、傍らに浮かぶ鋼鉄の巨腕もまた彼女の右手と同様の所作を見せる。
「そうにゃ! 白ちゃん達の前に敵は無しにゃ! 観念するが良いにゃ!」
最初に黄昂へと呼びかけたのと同じ声。孟・白花(肉球花蔓・f32812)が、威嚇めいた前傾姿勢で言い放った。
「成程、只々頭数を揃えただけではないと見える」
四人とも猟兵としての経験は浅くも、それぞれに鍛えた武は確かに修めている。いずれ劣らぬ強者である、と、黄昂はそう判断した。
「なれば此方も、せめて頭数は揃えさせてもらおうか……!」
故に、戟を掲げ。周辺の空間より滲み出るように現れる僵尸兵と併せ、新たな軍勢を形作る。
「むむ、また僵尸兵がいっぱい出てきたにゃ」
「これは面倒ね……」
眉根を寄せる白花と芙蓉。己らが四人がかりで挑もうというのだから、あちらが数を補わんとする動きを卑劣とは言えぬが、手間が増えたのは事実。
二人の視線が、一行の指揮官的立場である明琳へと向く。明琳は既に如何なる策にて臨むか思案の最中。ややあって口を開けば。
「そうですね、素直に僵尸兵達に当たれば分散は免れ得ないでしょう。ならば……」
分析を伝えると共に、視線を橘子へと向ける。「はい~?」と小首を傾げる橘子。
「橘子様、私と共に僵尸を引きつけましょう。その隙に彼の者のもとへ、白花様と芙蓉様を無傷で送り届けるのです」
明琳が告げるは即ち、二人が囮となり僵尸兵を相手取り、残る二人を黄昂へ当てる策。
「つまり、芙蓉さんと猫さんが戦い易いように派手に動けばいいんですね」
策の中身を理解し、そういうのは得意だと請け負ってみせる橘子。一方。
「白ちゃん猫じゃにゃいにゃ~!」
橘子の一言に反応し、ふしゃーと怒りを表現する白花。だがその様も虎というより猫である。
「明琳と橘子で僵尸を受け持ってくれるのね。なら、私と白花で奴は討つ」
「まあ雑魚は明琳達にお任せにゃ! 白ちゃんやっちゃうにゃー!」
とはいえ芙蓉同様、白花もその策は理解したようで。頷く芙蓉の横で、にゃーっと気合の鳴き声を上げる。
(……明琳がそれだけで終わるとは思えないけれど)
尤も、その策だけが全てではない、と内心思う芙蓉ではあった。だが悪い結果にはならないだろうと、口には出さないのであった。
「では、参りましょう!」
「はい~、お任せくださいね~」
戦闘開始の合図を告げ、駆け出す明琳に、まず橘子が続く。
「それでは早速、ちょっと痛いのいきますよ~」
のんびりとした声音と共に、両手に握る錘、その片方を振り下ろす。大質量と橘子の膂力が相乗した一撃が地を砕き、大きな穴を穿って僵尸達の迎撃せんとする足を止める。
そしてその穴を飛び越え、明琳が僵尸兵群へ飛び込まんとする。
「我が剣の真なる姿、今こそ披露いたしましょう!」
携えたモップの柄へと手を這わせば、表面に張られた膜が剥がれるかの如く光が柄より剥離してゆく。直後、モップの清掃用部位が脱落したかと思えば、柄の両端が引き抜かれ――星宿や漢詩めいた文言の書き連ねられた刀身が現れる。
それこそが彼女の真なる得物。普段モップに偽装していた雌雄一対の双剣である。其々を左右の手に持ち、そのまま僵尸兵達の眼前へと着地。
「さあ、我が双剣の威に刮目なさい!」
身を一回転させながら双剣をそれぞれ振るう。それだけの動きにて、周囲の僵尸兵達が五体を斬り飛ばされ倒れる。残る僵尸兵達が明琳へと迫らんとするが。
「私も居ますよ~、お気をつけくださいませ~」
横合いから振り下ろされる橘子の錘が僵尸兵を叩き潰し、そのまま地へと叩き付けられ更なる穴を穿つ。風が唸り地が揺れる、両者の大立ち回りが始まった。
「白花、私達も全力でいくわよ」
「にゃ!」
一方の芙蓉と白花は、黄昂のもとへ斬り込むべく、其々にユーベルコードを発動せんとしていた。
「凶つ力を我が身に宿せ。この身は渾沌、あらゆる束縛を破壊するものなり……!」
芙蓉の詠唱と共に、右手側に浮かんでいた巨腕が彼女の肉体へ溶け込むように消え。代わってその全身に、巨腕を形作るものと酷似した装甲が纏われる。本来有するものに加え腕が二本、背には四枚の翼が形作られる。
「我が真なる肉球の力を見よ!」
白花は腰のベルトに手を這わす。バックルに肉球が描かれたベルトだ。
「変身!ニャーーーーーッ!」
片腕を斜め逆側へかざすポーズを取った後、跳躍すれば。その身は瞬く間に膨れ上がると共に白き毛並みを全身へと広げ。着地したその時には、白花の姿は体長十五尺にも及ばんばかりの巨大な――白猫へと変化していた。
「……猫じゃにゃいにゃ! 瑞獣白虎の姿だにゃー!!」
訂正、白虎の姿へと変化していた。ふがーっと抗議の唸りを上げる白花。だがその毛皮に縞は無い。
「どちらでも構わないわ。一気に行くわよ」
「構うにゃー! まあ良いにゃ、突撃にゃー!」
そんな白花の背に跨る芙蓉、興味なさげに行動を促す。白花もまた、抗議しつつも戦場の前方へと視線を定め。逞しさ増した四肢でもって地を蹴り疾走を開始する。
巨大な猫もとい虎と、そこに跨った装甲戦士、生じる質量はかなりのもので。食い止めんとする僵尸兵を容易く薙ぎ倒しながら、異形の騎兵は戦場を駆け。
「黄昂! 勝負よ!」
再び視界に収めた死者英傑へ向け叫び、四腕に携えた戦斧を振り下ろす。
「虎騎の将であったか! 面白い!」
振り下ろされる斧を横へと跳躍し躱す黄昂、返しの刺突を白花へと繰り出す。
「にゃ! 危にゃいにゃ!」
白花、黄昂の側面を目掛けて跳躍。刺突を回避すると共に彼の肩へと鋭爪による斬撃を繰り出す。爪は黄昂の肩を抉るも、咄嗟に身を捻ったが故に傷は浅い。
着地と共に芙蓉が斧を横薙ぎに振るい、背後の黄昂を牽制する。反撃を試みんとしていた黄昂が踏み止まった隙に白花は前脚を軸として身を翻し、その顎を大きく開いての噛みつきを仕掛ける。上段からは芙蓉の戦斧が迫る。飛び退き躱し、刺突を構えることで追撃を牽制する黄昂。
「……まさに人馬一体、いや、仙虎一体の攻勢だな。これ程までの強者がいようとは――」
面白い、と言いかけた黄昂の表情が固まる。その背に、いつの間にか現れたる影が一つ。そして突き刺さる、二本の剣。
「――武人の愉しみに水を差して、申し訳ありませんが」
囁く声音は明琳。そして。
「私達のお仕事は、あくまであなたを倒すことですから~」
降ってくるのんびりとした声音。双錘を振りかぶった橘子が、急降下してくる。
「……ハ、俺としたことが。愉悦のあまり、対手以外の敵を意識しておらなんだわ――」
呻くような黄昂の自嘲を飲み込み、彼の立っていた場所に、猛烈な破壊の重力圏が荒れ狂った。
その直前に双剣を抜いて離脱した明琳、白花と彼女に跨る芙蓉のもとへと着地。
「いつの間に来てたのにゃ明琳!? 美味しいトコ狙いはずるいにゃー!」
見せ場を持って行かれたと白花は憤慨し。
「やっぱり狙っていたのね」
芙蓉は解っていたとばかりに納得げに笑んで見せる。
「ええ、無論のことです。こうまでうまく決まったのは、芙蓉様が追い込んで下さったおかげですけれど」
明琳もまた微笑で応える。無双の英傑をも追い詰める、四人の華麗なる連携であった。
成功
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鬼桐・相馬
●POW
こちらも拱手し〈冥府の槍〉を構えよう
体格や武器のリーチを考慮
黄昂の攻撃を受けて返す方針で行くよ
敵の挙動を[戦闘知識と野生の勘]を基に[見切り、武器受け後にカウンター]を繋げる
もし喰らってしまっても己の火力が上がるだけだと[落ち着き、激痛耐性]で耐える
俺は一騎打ちや強者との戦闘に悦びを感じない
だがその欲求で俺達猟兵に意識が向くのならその状態を維持したいな
最後は奴が本来在るべき場所へ送らせて貰うが
反撃を入れる際にUC発動
己の負傷部位か槍から立ち上る炎を使い黄昂のUCをコピー、敵の僵尸槍兵にぶつける
黄昂には[怪力]を込めた槍の一撃を放ち[串刺して焼却]を狙う
そろそろこの戦場からご退場願おう
総身を刻まれ、打たれ。身に纏う鎧も所々が破損し。満身創痍の死者英傑は、それでも尚立ち上がる。
「まだだ……まだ、俺は生きている……。まだ……戦える……!」
戦を。更なる戦を。男の肉体が、魂が。戦を、戦乱の時代を求めている。そうして見据えた前方に、一人の猟兵が現れる。黒衣と蒼炎を纏い、紅き一本角を額に掲げる男。
「――鬼。俺を、命運尽きたりと地獄へ引っ立てに来たか。だが、まだだ……!」
その装いを地獄の獄卒と認識したか、黄昂は方天戟を構え抗戦の意志を示す。
「――少し、違うな」
確かに己は、閻魔王に仕える地獄の獄卒であるが。今此処に在る目的はその職分に由来しない。鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)は黄昂の誤認を正さんと応え。
「『善悪の境界門』門番、そして猟兵、鬼桐・相馬。お前の逝き先は、地獄ではない――骸の海だ」
拱手と共に名乗り、そして告げる。今の己は、即ち猟兵であると。
「どちらでも変わらぬ……! 俺は、まだ生きる。俺達は、まだ戦う……!」
いずれであれ求められるは現世よりの退去。拒絶の意思に呼応するが如く、残る僵尸兵達が集結する。
「そこを、退け……!」
「悪いが、そうはいかん」
方天戟を構える黄昂に対し、相馬は黒槍を構える。纏われたる紺青の焔が、その火勢を強める。
そして僵尸兵達が左右より偃月刀で斬りかかる。黄昂共々、秀でた体格に長物。なれば、仕掛けてきた隙を突く後の先狙いが得策か。
右の振り下ろし、左の横薙ぎ。右を後退りつつ腰を落として躱し、左へ槍を当てて弾く。立ち上がる反動を以て右へと刺突。喉元を貫き、蒼炎が引火して燃え上がる。
そこへ正面から黄昂が突きかかる。その速度、僵尸兵に比して数段上。身を逸らし躱さんとするが、左肩を鋭く抉られる。なれどその表情に苦悶は見えず。返しの刺突は黄昂の脇腹を抉る。
「ぐっ、取ったと思ったが凌いだ上に返すか……! 貴様も大した業前よ……!」
「褒め言葉と受け取っておこう」
窮地なれど強者と見れば歓喜が覗く黄昂、一方の相馬はそうした武人的な喜びを覚える感覚を持たぬ。オブリビオンなれば只打ち倒し、在るべき処へ還すのみだ。
強まる火勢。負傷は寧ろ、その身に纏う蒼炎の火勢を強めていた。膨れ上がる炎が、左方より攻め込まんとした僵尸兵を飲み込み、喰らう。
「そして。お前の因業、そのまま返してやる」
僵尸兵を呑み込み尽くし、益々膨れ上がる蒼炎が、辺りに燃え広がってゆく。やがてそれらは形を成す。人型に。偃月刀携える人型――即ち、僵尸兵を模した姿に。
「何――!?」
さしもの黄昂も驚愕を隠せぬ。己が配下を呼び寄せたユーベルコードを、複製したというのか。
複製僵尸兵はそのまま本物の僵尸兵へと斬りかかり、其々を相手取っての打ち合いを展開。数の差は最早無い。
「ぐっ、おのれ……!」
更に黄昂に対しても複製僵尸兵が攻め寄せる。方天戟を振るい斬り倒し、元の蒼炎へと還してゆく彼。なれど。
「――これで、終わりだ」
複製僵尸兵を薙ぎ払ったその向こうから、黒き槍が突き出される。複製体を還元した紺青の焔を槍身へと纏わせ、突き進むその一撃。黄昂の咄嗟の迎撃をも跳ねのけて――彼の胸を、真っ直ぐに貫いて。溢れる蒼炎が、瞬く間にその身を包み込み焼き焦がしてゆく。
「が――ぁっ。おのれ……ここまで、だという……のか……!」
炎の中、悔しげな呻きを漏らす黄昂。最早致命の一撃。その手からは既に方天戟も取り落として。
「そろそろこの戦場より退場する時だ。骸の海へ、還れ」
槍握る手に力籠めれば。火勢は益々強まって、死者英傑の身を焼き尽くしにかかる。
「……っぐ、此度は、俺の負け……か……! だが……俺はまた、必ず戻って来てみせる……!」
一方の黄昂は、敗北を悟りつつも、未だその闘志は衰えることなく。
「再び相見えた時は……心ゆくまで、戦しようぞ……! その時まで、さらばだ……!」
そして最期に再戦の誓いを残して。過去より戻りし武将、黄昂は燃え尽き、骸の海へと還っていったのである。
●
「こ、黄昂殿がやられたぞ……! 撤退、撤退だ!」
「李旬軍は混乱している……! 今のうちに退くぞ!」
黄昂が斃れたことがあまりにも予想外であったのか、李旬軍は忽ちに混乱し撤退を開始。それを見て、黄昂によって壊滅させられかけていた許申の軍も、好機とばかりに退いていった。
以て、此の地における両軍の戦は終結。両軍の対立関係は変わらず、いずれは再び戦となることであろう。なれど、それがオブリビオンの関わらぬ戦であるならば、人類の歴史の一局面に過ぎぬだろう。
猟兵は只々、オブリビオンを討つのみ。人と人との政に、関わるべきではなき故に。
いずれにせよ、戦に乗じたオブリビオンによる大虐殺は阻止された。それは確かなる成果である。
成功
🔵🔵🔴