【旅団】こいのかクエスト?
これは旅団シナリオです。
旅団『恋華荘』の団員だけが採用される、EXPとWPが貰えないショートシナリオです。
●ここではないどこかの温泉郷
恋華荘の中には、寮生が誰でも自由に使える遊戯室がある。
元々は古い温泉旅館にありがちなレトロなゲームコーナーだった。
旅館時代は、場末のゲームセンターから払い下げられたかのような古いアーケード筐体がいくつかある程度の場所だったが、寮になり、寮の遊戯室として寮生有志がいろいろ私物を持ち込んで拡張した結果、かなりディープなレトロゲーマーの憩いの場に変貌したのである。
そしてたまたまこの日、そこで遊んでいる人を見かけた寮の管理人である彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)が……災難に遭ってしまうのだった。
「珍しいですね。今日はVRゲームです?」
「……ん、ああ、いちごか。ちょうどいいわ、いちごもちょっと試してみてよ?」
いちごに声をかけられて、VRゴーグルを外したのは、寮生の一人で電脳を操る神でもある幼女、葛葉・アリス(境界を操る幼き女神・f23419)だ。
珍しいといちごが言ったとおり、普段のアリスは、幼い見た目に反して、30年以上前の8ビットゲーム機をこよなく愛するレトロゲーマーであり、VRのような最新のゲーム機で遊ぶことはほとんどないのだが……。
「試す、とは?」
「ほら、ゲームを作ーるゲームってあるじゃない? 最近ちょっとそれにはまってさ」
「ええ……ありますね」
話の流れが良くわからずに小首を傾げるいちご。
アリスは、そんないちごに、何故か得意そうな顔で説明を続けていく。
「で、どうせならもっといろいろできないかなーって思ってて、それなら私の権能使ってバーチャルで作っちゃおうかなって。で、そのテストプレイしてほしいのよ」
「は、はぁ、そういうことなら……」
なんという電脳の神の権能の無駄遣いか。
ともあれ言われるままにVRゴーグルを被るいちご。
「で、どんなゲームなんです?」
「今はまだ、単純な3DダンジョンのRPGよ。迷宮の最深部に行って、囚われのいちご姫を助け出すシナリオにしてたら、ここの寮生も楽しんでくれるでしょ」
「私、囚われの姫役ですか……」
そういって苦笑しながらゲームを開始するいちごだった。
それからしばらくして、遊戯室に集まった寮生達にむかって、アリスは告げた。
「というわけで、囚われの姫役のいちごがログインしたものだから、プログラムがバグって、いちごはそのままゲームの中に囚われちゃったのよね。ログアウトもできず、誰かが助けてくれるまでずっとそのまま」
おい。
「で、せっかくだから、みんなでゲームプレイしていちごを助けてもらおうかなって」
普通にプログラム止めてしまえばいいのでは?
そう問うた誰かに、アリスは悪びれもなく言うのだった。
「せっかく細部までいろいろ組み込んだのに、遊ばずに壊すの勿体なくて」
おい。
「ま、そんなわけで、軽くゲームだと思って楽しみつつ、ついでにクリアしていちご連れ帰ってきて。ゲームのアバターはみんな自身。基本ソロプレイの3Dダンジョン探索型のRPG。ジョブ設定は、だいたいファンタジーっぽいのは一通りあるわよ」
楽しそうに、自分の作ったゲームの説明をする神様。
それでいいのかしら……?
「VRと言いつつも実際は電脳魔術でみんなをゲーム世界に送り込んでるようなものだから、視覚だけでなく触覚とかもリアルに楽しめるわ。舞台となるダンジョンは、石でできた地下迷宮。もちろんトラップとかエネミーとかもいろいろ配置してあるわよ。そのあたりは依頼の記録とかからデータとったので、かなりリアルに出来てるはずだわ」
本当に楽しそうに言うアリス。
でも恋華荘の依頼って……嫌な予感しかしないような?
とはいえ、管理人のいちごがいつまでもゲーム世界から出てこれないのも問題だし、寮生たちも結局ゲームクリアを目指すしかない、のだろう。
「それじゃ、楽しんできてねー」
……でもこの神様、確信犯ではなかろうか?
雅瑠璃
こんにちは。またはこんばんは。
雅です。
というわけで恋華荘の旅団シナリオになります。
なので当然ですが、参加可能なのは恋華荘の団員だけです。ご了承ください。
今回は、新世界来るまでの1週間で何か軽く書きたいなーと思ったので、突発な旅団シナなんか出してしまいました。
ええ、なのでプレイング送信日は、3月16日8:30~17日8:29までの間にお願いします。この間に提出していただけると、締め切りが20日の朝になり、新世界がくるとほぼ同時に追われますので(笑)
電脳の神様の仕業という事になりますが、バーチャルリアリティなゲーム世界の中で普段と違う冒険を楽しんでもらえればと思います。
基本はソロプレイの3ⅮダンジョンなファンタジーRPGです。
某ディスクなシステムのディープなダンジョンのゲームみたいなものですが、マイナー過ぎてわからないと思うので、要するにウィズとか世界樹とかをシングルキャラクターでやるようなものです(
ジョブは、戦士とか魔法使いとか盗賊とかの、一般的なファンタジーなものはだいたい揃ってます。
トラップやモンスターも、それっぽいのをプレイングで書いてくれればOK。
ちょっとえっちなトラップやモンスターがあるかどうかもプレイング次第ですが、公序良俗には気を付けましょうね?
とりあえず届いたプレイングの中から、ダイスで1名を当選者として、最後にその人が囚われのいちご姫を救出するシーンを書いて締めますので、いちご救出の部分については特に気にせず、ダンジョン内での普段と違う冒険をプレイングに書いてくれればOKです。
基本ソロですが、内部で合流したとかで、2~3名のパーティープレイな合わせプレイングも大丈夫です。
というわけで、突発にお付き合いしてくれる団員さん、プレイングお待ちしてますね。
第1章 冒険
『ライブ!ライブ!ライブ!』
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POW : 肉体美、パワフルさを駆使したパフォーマンス!
SPD : 器用さ、テクニカルさを駆使したパフォーマンス!
WIZ : 知的さ、インテリジェンスを駆使したパフォーマンス!
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アビゲイル・ガードナー
えっ、えっ?イチゴくんがお姫様?!
…是非お姫様抱っこしなきゃ♪(キラキラ)
ほら!「ゆうべはおたのしみでしたね♡」とか
無事に助けだした勇者ならできるんでしょ?
だから攻略はマジメに
当然ヘンリ(f31471)と合流するよ
もちろん救えたら一緒にね♪
アビーのジョブ設定は、んー…ガンナーかアルケミスト?
【ウィンディ・デディケイション】でバカスカ撃ちつつ
ヘンリを後ろからサポートしてあげようかなって♪
あ、ヘンリは攻撃寄りのシーフ職やって!
ほら、油断すると途中でエッチな事されそうだし、
器用さ活かして罠とか奇襲に対処してほしいなー♡
※ヘンリのユベコ用トリガーとなる『命令』
にしてもアビーが後方支援って、結構新鮮っ♪
ヘンリエッタ・アドミラドール
イチゴさんが囚われの姫君…
是非お救いして、愛情を示したいですね
それにアビー(f31470)ならこういう時、
勇者とお姫様のシチュにときめくでしょうし
って案の定ですか…救えたら私も一緒ですよ?
ジョブ設定は、盗賊騎士やストライダー等
盗賊・斥候の職能と前衛攻撃力が両立したモノで
後はアビーの『命令』で【デヴォーテッド・ウィッシュ】を…
ってこの盗賊衣装、身軽すぎませんか?!(内容一任)
と、ともあれ盗賊用スキルを一通り底上げっ!
【罠使い】【早業】【失せ物探し】【鍵開け】
【暗視】【聞き耳】【逃げ足】【忍び足】
【第六感】【瞬間思考力】【偵察】【見切り】
マジメに罠&奇襲を潰しつつ探索します
イチゴ姫、どこですかー?
●こいのかクエストLevel:1
「えっ、えっ? イチゴくんがお姫様?!」
「イチゴさんが囚われの姫君……是非お救いして、愛情を示したいですね」
「うんうん。是非お姫様抱っこしなきゃ♪」
今回の話を聞いた時、アビーことアビゲイル・ガードナー(ブライトテンペスト・f31470)とヘンリことヘンリエッタ・アドミラドール(シャドウライトニング・f31471)の異母姉妹にして従姉妹な疑似双子は、このシチュエーションにときめきはしゃいでいた。
とくにアビゲイルのはしゃぎっぷりがすごい。
「ほら! 『ゆうべはおたのしみでしたね?』とか、無事に助けだした勇者ならできるんでしょ?」
「……救えたら私も一緒ですよ?」
案の定な態度にヘンリエッタは苦笑する。
もっとも、同じ相手を想うと言っても、共有して一緒にが基本なこの2人だ。アビゲイルの方も、当然のようにヘンリエッタも一緒にお楽しみのつもりだろう。
基本ソロプレイとはいっても、全員で同じダンジョンに挑む状況なので、2人は当たり前のように合流して一緒に戦うつもりでいる。
ちなみにお互いのキャラは、主にアビゲイルの発案で決めた。
曰く。
「んー……アビーはガンナーかな?」
「あら、珍しい」
「えへへ。バカスカ撃ちつつ、ヘンリを後ろからサポートしてあげようかなって♪」
「なるほど、では私は前衛ですね?」
「うん。ヘンリは攻撃寄りのシーフ職やって!」
「……シーフ?」
「ほら、油断すると途中でエッチな事されそうだし、器用さ活かして罠とか奇襲に対処してほしいなーって」
「……ああ、そういえば、敵のデータは恋華荘の依頼記録をもとにしたとか……」
というわけで、アビゲイルがガンナー、ヘンリエッタはスカウトとなった。
なお、ヘンリエッタのスカウト衣装は、下着が見えそうなくらいにやたらと丈の短いミニスカートだったりする。
「ってこの盗賊衣装、身軽すぎませんか?!」
「基本衣装可愛くないから、ボーナスポイントを衣装につぎ込んでみた!」
「貴重なポイントを何に使ってるんですかー!?」
ともあれ、キャラメイクを済ませた2人は、合流を約束してそれぞれにログインしていった。
ダンジョン内部での合流じゃ特に問題なく行われた。
2人がほぼ同時のログインだったために、スタート地点も近くに配置されたのだろう。あるいはゲームマスターたるアリスの計らいだったのかもしれない。
合流を果たした2人は、さっそく連携しての行動を開始する。
「よーし、待っててイチゴくんっ!」
「ダンジョンは何が起きるかわかりませんから、慎重に行きますよ?」
「うん、任せたヘンリ!」
まずは、逸るアビゲイルにやんわりと注意しながら、アビゲイルの指令を受けたヘンリエッタの盗賊用スキルの底上げから。
慎重に周囲を警戒し、奇襲を受けないように、逆にこちらが奇襲を行えるように、忍び足で先行しつつ偵察。
敵を発見したら、手信号で後方のアビゲイルに合図し、それを受けたアビゲイルは狙いをつけて離れた位置から狙撃をして仕留めていく。
「にしてもアビーが後方支援って、結構新鮮っ♪」
「そうですね……その調子で静かに後ろに控えててくださいな。イチゴ姫を見つけるまで、真面目に探索しますよ?」
「わかってるって♪」
2人はそうして慎重に迷宮を探索していく。
広い迷宮、まだまだ先は長そうだが、2人は軽口をたたきながらも一糸乱れぬ連携で突き進んでいくのだった。
途中もちろんエッチな罠に引っかかって、その豊かな肉体を晒したりしながら……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
庭月・まりも
普段は戦力にならないわたしだけど、
ゲームの中なら戦えるかな?
いちごさんにはいつもお世話になっているし、
力になれるといいんだけど。
職業は……ビーストマスター?
こんなのもあるんだ。ならこれにしてみようかな。
おっかなびっくりダンジョンに入っていくと、
さっそくモンスターと遭遇。
ゴブリン?
これは聞いたことある、敵だよね。
さっそく召喚術を試してみたんだけど、
「なんで猫さんしかでてこないのー!?」
って、え? うわぁ(汗)
そこは可愛くなったとはいえしっかり肉食獣。
召喚された猫さんたちは、
ゴブリンを囓ってあっというまに……(目逸らし)
と、とりあえずこれなら、いちごさんを助けにいけるかな?
みんな、よろしくね!
●こいのかクエストLevel:2
「普段は戦力にならないわたしだけど、ゲームの中なら戦えるかな?」
そういいながら、庭月・まりも(乗っ取られ系家猫・f29106)は、アリス謹製のゲームにログインする。
「いちごさんにはいつもお世話になっているし、力になれるといいんだけど……」
このゲームを作ったのは、妙に凝り性な神様だ。
だから、初期のジョブ設定も、一般的な戦士、盗賊、魔法つかい、僧侶だけではなく、マイナーなものやマニアックなものまで、色々なレトロゲームからかき集めてきたようなものがたくさんある。
例えば、まりもの目に留まったのは、某国民的RPGの5作目にあった、羊の着ぐるみを着て鞭を持っているようなジョブ。つまり、
「職業は……ビーストマスター? こんなのもあるんだ。ならこれにしてみようかな……?」
やたらと猫に好かれ、使えるユーベルコードも猫を操るモノくらいしかないまりもだから、ある意味現実と変わらない気もするが……いや、それでも現実のまりもよりは戦闘能力のあるジョブのはずだ。
選択を終え、初期キャラメイクを終えたまりもは、ゲームの世界へと飛び込んでいった。
まだ細部までは作りこまれていないというゲームなので、シナリオなどもなく、開始したらいきなり地下迷宮の入り口になる。
石造りの迷路のように入り組んだ構造になっているダンジョンに入ったまりもは、おっかなびっくりとダンジョンの中を進んでいった。
ちなみにもちろん初期状態なので、羊の着ぐるみのような格好で、武器は鞭だ。
「あ、さっそくモンスターと遭遇? えっと……さすがゲーム、敵の名前の表示は出るんだね」
まりもの前に現れたのは、緑色の肌の小人のような妖魔……ゴブリンだ。
ゴブリンと言えば、恋華荘も面々の行った冒険ではゴブリンに襲われる的なものも多いが……このゴブリンは普通に雑魚モンスターらしく殴りかかって襲ってくる。
まりもはさっそくビーストマスターの特技、動物召喚を試してみるが……。
「なんで猫さんしかでてこないのー!?」
……さすがというか、人間キャットタワーの異名は伊達じゃない。
こんな時でも召喚されるのは現実と同じで猫だった。
とはいえ、それでもゲーム的な効果は十分。
召喚された猫(大量)はあっという間にゴブリンに群がっていき、齧りつき、食い散らかし、瞬く間にゴブリンをただの食べ残しの肉塊にかえてしまった。なおそのシーンが、アリスの趣味なのか、妙にリアルに描かれているものだから、まりもドン引きである。
「って、え? うわぁ……」
せっかくのゲーム演出も、見るに堪えずに目を逸らしてしまうまりもだった。
……まぁ、当然か。
レーティングを入れるならば確実にR指定が入りそうである。
戦闘終了のファンファーレが鳴った後は死体は消えるのが、本当に助かる。
「と、とりあえずこれなら、いちごさんを助けにいけるかな……?」
ゴブリンの死体と同時に、猫たちの返り血も消えてホッとしたまりもは、そのうちの1匹を抱き上げて、気を取り直して先に進むのだった。
「みんな、よろしくね!」
大成功
🔵🔵🔵
彩波・さくら
「ふーん。ここがゲームの中?
さすがアリスさんが作っただけあって現実と全然区別付かないね」
待ってて、いちご。
いちごは私が必ず助けるから!
「私のこの格好、召喚士かな?
天使と悪魔を使役する召喚士とか、ちょっといいかも」
ダンジョンを、天使や悪魔を召喚しながら進んでいくよ。
「それにしても、飲み物や食べ物もあるなんてリアルだよね」
と感心したところで、身体に異変が。
飲み物を飲めるということは、生理現象があるわけで……
「だめっ、もう我慢の限界っ」
慌てて通路の影に飛び込んで下着を下ろそうとしたところ……
伸びてきた触手に身体を拘束されてっ!?
「あっ、やっ、だめぇっ」
お漏らしの感覚まで再現しなくても……
●こいのかクエストLevel:3
「ふーん。ここがゲームの中? さすがアリスさんが作っただけあって現実と全然区別付かないね」
彩波・さくら(龍神の聖女・f25299)は、ダンジョンに入るなり、周りの光景を見て感心していた。
制作者であるアリスがかなりコアなゲーマーなのは有名なので、ダンジョンの作り込みもまた納得というものだろう。
「この格好が召喚士? ローブなのはわかるけど、頭につけてる角みたいなのは何なんだろう?」
自身が天使や悪魔を召喚する能力を持っていることもあり、キャラメイク時に選んだジョブは召喚士だ。これもまた某有名RPGの5作目のようなデザインだったりするが、さすがにレトロすぎてさくらにはモチーフはわからない様子。
「まぁ、天使と悪魔を使役する召喚士とか、ちょうどいいしね。待ってて、いちご。いちごは私が必ず助けるから!」
今は自分ひとりしかいないこともあり、さくらは、さくらにしては実に素直に、いちごのことを想って気合を入れるのだった。
ダンジョンに現れたモンスターを、召喚魔術で倒しながら進んでいたさくらは、さすがに疲労を覚え、迷宮の中にある休憩所のような小スペースで一息ついていた。
「それにしても、飲み物や食べ物もあるなんてリアルだよね」
このゲーム、ローグライクの要素もあるらしく、食事や飲み物などでキャラのスタミナを回復しながら進むようになっている。
なので、召喚魔術の使い過ぎでスタミナもMPも切れてしまったさくらは、手持ちの携帯食料と水筒を口にしている。
そんなところまで再現しているアリスの作りこみに感心していたさくらったが……感心したところで、身体に異変が起きた。
異変と言っても、ごく当たり前のことで。飲み物を飲めるということは、生理現象までもあってしまうわけで……。
「ちょ、ちょっと、アリスさん、こんなところまで作りこまなくても!?」
まさかゲームの中で尿意に襲われるとは思わなかったさくらは、慌てて辺りをきょろきょろ確認する。
周りには……同時にプレイを開始したほかの恋華荘の面々はいない。
そのことに一安心したさくらは、慌てて通路の影へと飛び込んで、下着を降ろそうとする。
「もう我慢の限界っ……って、きゃっ!?」
だが、わざわざ通路の影に飛び込んだのは失策だった。
いくら誰もいないからと言って、今休憩していたこの場所でそのままするというのが気分的によろしくないのはわかる。だが……安全確認を怠ったのはやはり失策だっただろう。
陰に潜んでいたローパーの触手が伸びてきて、さくらの身体を拘束してしまう。
「あっ、やっ、だめぇっ」
拘束された状態で我慢の限界を超えたさくらは、そのままお漏らしすることになってしまった。
まだ脱いでいなかったショーツに、みるみるうちに尿がしみ込んでしっとりと濡れた感触がさくらの股間を覆っていく。
「うぅ、アリスさん……お漏らしの感覚まで再現しなくても……」
涙目で恨み言を言うさくらであった。
……なお、製作者のアリスの名誉のために言っておくが。
ローグライクな食事と飲水の設定は組み入れていたアリスだが、排泄に関してはさすがに省略してある。
これは単に、ゲームで飲食したのと同じタイミングでたまたま、現実のさくらが尿意に襲われただけの話であり、つまりお漏らししたのも、現実の……。
そのことにさくらが気付くのは全てが終わった後の事である。
大成功
🔵🔵🔵
ユニ・ヴァンデルセン
・NPCファイター(Lv30)
・NPCソーサラー(Lv30)
・NPCノービス(Lv1&カメラ担当で戦闘不参加)
・ユニ(疑似的に「錬金術師」、罠&アイテム係とも)
某錬金術師シリーズ参考にパーティ組んで、いざ救出だね!
身内のゲームだし、今回は生配信ではなく後で投稿できそうなら編集して…てとこかな。
道中で『サバイバル』が如く、ドロップ拾って合成して…消耗極力減らして…(魔力回復薬合成しながらじっくり探索…)
ってうわ、ミミック!せ、戦士君魔法使いちゃんへるーぷ!?(上半身もぐもぐされて、救出後は上の防具ボロボロに…)
うーべとべと…ここはカットだね、うん!(
●こいのかクエストLevel:4
「……うん、こんなところかな?」
ユニ・ヴァンデルセン(読書系エルフVTuber・f31263)は、ログインした迷宮の中で、パーティーメンバーを整えていた。
自身は錬金術師のジョブを選択し、【バトルキャラクターズ】の応用でNPCの御アーティーメンバーをキャラクリエイト。ファイターとソーサラーの2人を作り出し、自身の制御下にいれる。
「うん、これで錬金術師シリーズみたいなパーティーになった、かな?」
ついでにカメラ担当キャラも1人用して、プレイ光景を録画するのは実況系VTuberの本能みたいなものだろうか。
「まぁ、身内のゲームだし、生配信は無理だから……後で投稿できそうなら編集して……てとこかな? よし、準備万端。いざ救出だね!」
ユニが気合を入れて拳を突き上げると、連動してNPC達も拳を突き上げる。
というわけでユニもまた迷宮に挑んでいくのだった。
「錬金術師というよりもローグライクかな? うん、でもドロップ拾ってその場で加工できるから、錬金術師で正解だね」
ローグライクのようにキャラにも食料や飲み物が必要なこのゲーム。
ユニは錬金術によって、ドロップアイテムをその場で加工し、食料だけでなく回復役なども作り出して、極力消耗を減らすようにしてじっくりと探索していた。
パーティーのバランスも悪くない。
前衛にファイターを立たせ、後衛のソーサラーが攻撃。ユニ自身は支援に徹し、回復や索敵、罠解除などシーフの役割をも受け持っている。
……とはいえ、ユニのジョブは錬金術師。シーフではない。
だから、当然罠の解除率が100%など望むべくもない。
宝箱を開けようとして、開いた宝箱の口にバクッと頭から丸かじりにされるのも、まぁ仕方のない事だろうか。
「ってうわ、ミミック! せ、戦士君魔法使いちゃんへるーぷ!?」
もぐもぐと噛みついてくる人食い宝箱、すなわちミミック。
幸いにまだ浅い階層にあるミミック故にダメージはそれほどでもないらしく。上げた悲鳴を聞いてNPCが、ミミックの口から強引にユニを引きずり出すのだった。
ここら辺NPCゆえに融通が利かない。
そして、噛みつかれた状態から無理やり引きずり出されたユニは、当然のように……錬金術師のローブがボロボロに引き裂かれ、可愛らしい小ぶりの胸がペロンと剥き出しになってしまっていたのだった。
「……うー、べとべと……。配信できたとしても、ここはカットだね、うん!」
生中継でなくてよかったと、苦笑のため息をつくユニであったとさ。
大成功
🔵🔵🔵
フェリーネ・フォルス
ふにゃー、ヴァーチャルなゲームですかにゃ~?
助けに行くにしても、物は試しとレッツトライ、にゃっ!
(ゴーグルセット)
ジョブは大剣使いにするにゃ
いつもおっきな武器を振り回してるにゃ~、重さも慣れてるし
迷宮探索中…
いやぁ、それにしてもよく出来てるですにゃねぇ
色々壁とか触ったりしてる
感触は…流石にない?
その内に敵だにゃっ
……女の人?裸に布一枚巻いただけって、えっちそうな恰好だにゃー
(人の事はそう言えない恰好)
布伸ばしてきたー!?
槍みたいで思ったよりもリーチがあるにゃ
防戦一方になって、敵が布を剣に巻きつけて体当たりを仕掛けてきたけど
逆境こそ好機とばりに剣を構えてこちらも体当たり
怯ませて一閃、しちゃうにゃ
●こいのかクエストLevel:5
「ふにゃー、ヴァーチャルなゲームですかにゃ~?」
フェリーネ・フォルス(にゃん狐・f26982)は、説明を受けてもいまいちピンと来ていない様子。
それでも、いちごがピンチというならば、助けに行くのは当たり前と、VRゴーグルを受け取って装着する。
「物は試しとレッツトライ、にゃっ!」
まずはキャラメイク。
あまりゲームには慣れていないフェリーネだ。ならば、普段の自分と似たスタイルの方が戦いやすいだろうと、ジョブは戦士を選択。武器も、普段からおっきな武器を振りまわしているからという事で大剣を選択した。
「ん、だいたい慣れてる重さだにゃ」
ぶんぶんと大剣を振りまわしながら満足そうに頷くフェリーネ。
実際の身体は何も持っていない手を振りまわしているわけだが、電脳神アリスの無駄な超技術によってしっかりと武器を握っている触覚も、その重さも、感じられるようになっているのだ。
なので……。
「いやぁ、それにしてもよく出来てるですにゃねぇ……」
迷宮に入ったフェリーネは、探索を勧めながらも、感心したように迷宮の岩壁を触っていた。
やる前はさすがに感触はないだろうと思っていたのだが、それもやはり触っている感覚が帰ってくる。
それが珍しくも楽しくて、ペタペタと壁を触るのに夢中になってしまっていた。
だから、敵の接近に気付くのが遅れてしまったのかもしれない。
突然通路の影から伸びてきた布が、フェリーネの腕に絡みつき、束縛してくる。
「敵だにゃっ!? ……えっちそうな恰好だにゃー」
現れたのは、裸に布一枚巻いただけの女の人。
おそらくは幽世の依頼データをもとに作成された妖怪なのだろうが……エッチそうな恰好とフェリーネに言われてしまったその妖怪は、あなたに言われたくないとばかりに顔を歪めた。
まぁ、無理もない。
このゲームのアバターは、特に設定していなければ、ジョブの初期設定か、あるいは現実の本人と同じ姿となるのだし、フェリーネはパンイチにマントだけという、主に管理人のいちごとかにちゃんと服を着てと言われる現実の格好で挑んでいるのだから……。
それはともかく、その妖怪の布を巻き付けられ拘束された今はピンチなのである。
布は想像以上にリーチがあるようで、大剣を振るってもその切っ先は届かず、一方的に布を絡められてしまう。
「にゃぅ……ピンチにゃぁ……」
腕を拘束されたまま脱出しようともがくと、裸マントな格好なので小ぶりな胸がこぼれて見えたりしてしまう。さらに妖怪は布槍を巧に振るってフェリーネを切り裂くべく、何度も攻撃を仕掛けてきて、マントも切り刻まれ身体を隠せるものもなくなっていくのだが、そんなことを気にしている場合ではない……最も気にするようなら最初からこんな恰好はしないだろうけれど。
さらに妖怪の布は、手に持つ大剣にも巻き付いて、武器を封じてきた。
武器を封じられたフェリーネに向かって、トドメの攻撃を加えようと近付いてくる妖怪。
だが、それこそがフェリーネが待ちに待った逆襲のチャンスだった。
フェリーネは、近付いてくる敵に対し、カウンターで体当たりを仕掛ける。その体当たりの勢いこそ、それほど強いわけでもなかったが、だが敵の虚をつき封じられていた大剣を取り戻すには十分だった。
「一閃、しちゃうにゃーっ!」
布の拘束の緩んだ大剣を力いっぱい振り抜き、妖怪を一刀両断にする。
倒された敵は、さすがにゲームらしく、ドロップアイテムを残して消えていった。
「ふぅ……何とかなったにゃ。でもこれだと、いちごさん助け出したときに見られちゃうにゃぁ……」
敵は倒せても、切り裂かれた衣装は戻らない。
いちごに裸を見られることを想像して、少しだけ嬉しそうに(?)頬を染めながら、フェリーネはさらに奥に進んでいくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
織笠・アシュリン
3D!VR!いいね!
これでいちごがログアウト不可とかでなければ純粋に楽しんだんだけど……
ほっとけないから仕方ないね!
ジョブはシーフ/アーチャーのマルチクラス
クリティカル重視のスキル構成で、一発は大きいけど、紙装甲だから……
影に隠れてヘイトをそらし、油断したらヘッドショット!
「あれ、これじゃFPS……」
ゲームジャンルに疑問を抱きつつ、迷宮最深部へ!
ボス部屋では、上の方に陣取ってスナイピング!
攻撃の隙を伺いつつ、いちごが囚われてる場所も探していこう
「スキル《鷹の目》……オーケー、いちごはあそこだね。ボスを近づけないようにしなきゃ!」
必殺狙いの射撃を撃つよ!
※死角からアレな罠や敵?に襲われてもOK
●こいのかクエストLevel:6
「3D! VR! いいね!」
ログインしたあと目の前に広がるバーチャルな地下迷宮に、織笠・アシュリン(魔女系ネットラジオパーソナリティ・f14609)は大興奮だった。
とはいえ、その興奮もすぐに冷める。
「これでいちごがログアウト不可とかでなければ純粋に楽しんだんだけど……」
純粋にアリス謹製のゲームで遊ぶだけならどんなにいい事だったか。
とはいえ、ほっとけないから仕方ないね!と気を取り直し、アシュリンは迷宮に入っていった。
キャラメイク時に選択したクラスはシーフとアーチャーの後衛マルチクラス。
シーフの器用さと幸運でクロスボウを射ってクリティカルを狙うバランスのいい構成だが、その反面どちらのクラスにおいても防具はたいしたものを身につけられない。本来ならマルチクラスにせず、シーフとして回避盾の前衛をこなすか、前衛となる戦士系クラスと組んでの援護に徹するかした方がいいのだが……今回はソロプレイでマルチの後衛クラスだ。
ならばどうするか。
アシュリンは極力敵と遭遇しないように陰に隠れ、近付く前に遠くから弓を射ることで対応していた。
「よし、ヘッドショット、決まった! ……でも、あれ、これじゃFPS……」
完全にRPGというよりはファーストパーソンシューティングなやり方に疑問を覚えつつも、アシュリンは順調に迷宮の奥へと進んでいくのだった。
迷宮のフロアの奥には、その階層のボス部屋がある。
ボスバトルに勝利すれば次のフロアに進めるというわけだ。
このフロアのボス部屋は、大小さまざまな瓦礫が広い部屋の中に点在している。
既に誰かが戦った後にボスがリポップしてきたのか、それとも元からなのかはわからないが、定点スナイパーのように戦うアシュリンにとっては、このフィールドは好都合だ。
比較的大きな瓦礫の上にあがり、匍匐姿勢で狙いながらアーチャー特有の鷹の目で周囲に視線を巡らせる。
「下層フロアにいく階段はあそこか……ボスを階段に近づけないように……は、難しいかな? なら、ボスを倒しちゃおう。必殺狙いで撃つよ……!」
このフロアの階層ボスは、大柄で筋骨隆々な緑色の肌の亜人……オークのようだ。
アシュリンは、ボスに気付かれていない高所に陣取り、そこからクロスボウをライフル銃のように構えた。
ボスにもヘッドショットを決めるべく、定点スナイパーアシュリンの指がトリガーにかかり……。
……と、正面にばかり気を捕らえていたアシュリンは、自分よりさらに高所から敵が降ってくるなんて思っていなかった。
ぴちゃり。
上から何か雫のようなものが垂れてきた……と気づいた時にはもう遅い。
「えっ……? にゃーーー!?」
降ってきたスライムに絡まれもがくアシュリン。
スライムに包まれ、服を溶かされ、そして高所からも落とされて……。
そしてそのままアレなことになってしまうのだった……?
大成功
🔵🔵🔵
ルイザ・シャーロット
勇者ルイザ、いっきまーす!
思いっきり喜び勇んでダンジョンに突入した私は
いきなり謎解きに遭遇してしまいました。
赤いボタンと青いボタン、黄色のボタンと緑のボタン。
さらには十字ボタン……って、これ、
「上上下下左右左右黄赤」でいけませんか?
って、難なく扉は開かれたって、中にいるのは……
なんか爆弾を投げてくる赤い髪の女性が。
ちょ、とっ、止まってください!
悪い噂なんか流したりしませんから!!
え、この先にある伝説の木には行かせない?!
ということで爆弾を避けつつ【千里眼射ち】で応戦します。
やっとの事で撃破すると、伝説の木が見えてきました。
ここにいちご姫がいるとよいのですが。
●こいのかクエストLevel:7
「勇者ルイザ、いっきまーす!」
と、思いっきり喜び勇んでダンジョンに突入したルイザ・シャーロット(冷静な弓箭衛士・f27402)である。
もっとも、勇者なんていうジョブはない。
実際のところ自称しているだけで、普段と同じく弓使いなままのルイザだった。
そうして順調に進んでいったルイザだが、ダンジョンの石壁の隙間に、ふと隠し扉らしきものを発見した。
扉を開けようとしても鍵がかかっているのか開かない。
しかし鍵穴らしきものはなく……代わりに。
「ボタン……でしょうか?」
扉の上に二つの円状の窪みがあり、それぞれの円の中にボタンらしきものがある。左の円には十字型のボタン。右の円には赤青黄緑の4色の小さな丸ボタン。
制作者であるアリスのレトロゲームを考えるとこれはどう考えても、古いゲームのコントローラーを模したもの……だろう。
ルイザはそれを見てとりあえず、なんとなく有名な裏技コマンドを入れてみる。
「上上下下左右左右黄赤……でいけませんか??
神であり見た目に反して長い年月を生きてきたアリスならまだしも、ルイザはまだ10歳。なのに、いったいどこでそんなレトロゲームの知識を得たのだろうか……?
とにかく、本当にそのコマンドで扉は開いてしまった。
隠し通路かと、ルイザはその扉の向こうへと進んでいく。
その扉の向こうの光景は、それまでのいかにもないし壁の地下迷宮からは打って変わって、まるで屋外に出たような自然を感じる光景だった。
足元には草も生え、この先の道は小高い丘のようになっていて、その丘の頂上には大きな木が立っているようだ。
……そしてそれを守るように、爆弾を持った女性らしき姿も。
「あの木に行くんでしょうか……って、ちょ、とっ、止まってください!?」
とりあえず他に目標もないので、木に向かって進もうとすると、その女性らしき影が爆弾を投げつけてきた。
ルイザの近くに飛んできて、辺りかまわず爆発する爆弾群。
「や、やめてください、悪い噂なんか流したりしませんから!!」
混乱しているのか、よくわからないことを言うルイザだが、爆風を避けつつ【千里眼射ち】で応戦し、なんとか爆弾を撃ち落とし、女の人も射抜いて先へと進んでいった。
「ここにいちご姫がいるとよいのですが……」
そうしてたどり着いた大きな木……だが、それもただの次のフロアへ続く階段の入り口のようで。
勇者ルイザの冒険はまだまだ続く、らしい。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
景品(?)がいちごさんのダンジョンかぁ。
これはなんとしてもクリアしないとね!
わ、昔ながらのワイヤーフレーム!
さすがアリスさん解ってらっしゃる(ぐぐっ)
普段後衛なぶん、わたしゲームでは前衛なんだよ、ねー♪
いちご姫、槍戦士リオがいま助けにいくよ!
持てるだけポーション持って、突撃だね!
……あ、あんなとこにローパーがいる。
これはチャンス! 普段の恨み、いまここでっ!
華麗に触手を躱しつつ、胴体を槍で一突き!
ゲームの中ならわたしのホーム。そう簡単には負けないよ-。
と、調子に乗っていたら、落とし穴に落ちて、粘液塗れになってしまうのでした。
なんとか脱出はできたけど、これじゃいちご姫を抱きしめられなーい!
●こいのかクエストLevel:8
「景品がいちごさんのダンジョンかぁ……これはなんとしてもクリアしないとね!」
などと言いながら、ゲームはしっかりと楽しんでいる菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)である。
普段は後衛で電脳魔術をしているか、メカに乗っているかなので、槍をブンブン振りまわしての前衛キャラがとても楽しいらしい。
「いちご姫、槍戦士リオがいま助けにいくよ!」
ノリノリで槍を振るい、魔法は使えないのでダメージを受けたときは持てるだけ持ち込んだポーションを使って癒し、そうして順調に階層ボスを倒し、さらに下の階層へと足を踏み入れていく理緒だった。
理緒が到達した新たな階層は、今までとはまるで様子が違った。
これまでは地下迷宮らしく岩壁で形作られたダンジョンだったのだが、このフロアには何もない。
まるで岩壁のテクスチャを貼り忘れたかのような、のっぺりとした黒い壁に、一定間隔で引かれた白い線。
ここまでの階層がHD画質な精細な作りこみだったことを考えると、まるで旧時代の8ビット機のような光景だ。あまりにも手抜きのように見え……そんな状況に放り込まれた理緒は、歓喜に目を輝かせて大はしゃぎだった。
「わ、昔ながらのワイヤーフレーム! さすがアリスさん解ってらっしゃる!」
そう。
理緒の言う通り。
生粋のレトロゲーマーであるアリスにとっては、3Dダンジョンといえばやはりワイヤーフレームで描かれたものという思いもあるのだろう。
だから、1フロアは完全にレトロなワイヤーフレームのエリアにしたのだ。
ちなみに手抜きではない証拠に、ワイヤーフレームの黒い壁も白い線も、これまでのダンジョンと全く変わらぬHD画質で描かれている。……のだがシンプル過ぎるゆえ、あまり違いはわからない。
画質はともかく、レトロなワイヤーフレームの美学を理解できる理緒は、どこかでモニターしてるであろうアリスに向かって、ぐぐっとサムズアップをしてみせるのだった。
そんなワイヤーフレームな迷宮の中に、うねうねと蠢くモンスターが現れる。
不確定名『しょくしゅ』なそのモンスター、理緒はある意味経験済みだから一発で正体を看破した。
「……あ、あんなとこにローパーがいる。これはチャンス! 普段の恨み、いまここでっ!」
リアルの恋華荘の冒険では、しばしばひどい目に遭っているローパー、というか触手だが、ゲームの中なら理緒のホームだ。普段あれこれやられている意趣返しだと、伸びてくる触手を華麗なステップでかわしながら、槍を突き刺していく。
「ゲームの中でなら、そう簡単には負けないから、ねー♪」
現れたローパーの胴体を貫く槍の一突き。
その一撃で絶命させたなら、すぐに次へと意識を切り替える。
群れで奥からやってくるローパーに、ひるむことなく飛び込んでいき、槍で貫いてまた先に。奥に。
……そうしてローパーに意識を集中させていため、気付くのが遅れてしまった。
「えっ!?」
ぱかっ。
一歩奥のマスへと足を踏み入れた瞬間、床が抜けて落とし穴に落とされてしまう。
当然ワイヤーフレーム時代のトラップだ。何の前触れもなかった。
「や、ちょっ、なんかいっぱいいるー!? まってぇ!?」
そして落とし穴のそこは、大量の触手とスライムが蠢く粘液地獄。
あっという間に鎧は溶かされ、粘液に塗れた悲惨な姿に……。
這う這うの体でなんとか落とし穴から脱出はできた理緒だったが、ボロボロのべちょべちょな姿となってしまっていた。
「わーん、これじゃいちご姫を抱きしめられなーい!」
ざんねん。理緒のぼうけんはここでおわってしまった。
大成功
🔵🔵🔵
アルテミス・カリスト
♥♥♥
「いちごさんが囚われの身になったと聞いては、正義の騎士として助けに行くしかないですね!
待っていてください、いちごさん!」
ログインした私のジョブは、当然、騎士……ではなくて、姫!?
ちょっとアリスさん、メインジョブじゃなくてサブジョブが適用されてません!?
「し、仕方ありません。
この格好で探索です」
武器もなく、お姫様のドレスを着た格好では、敵と戦うことはできません。
なるべく敵に会わないように探索していき……
「って、このオークはっ!?」
以前に何度か戦ったオーク(ログインしていた多倉さん)に出会い……
逃げ出すこともできず、お姫様姿のまま抵抗できずに衣服を脱がされていき……
全身を愛撫されるのでした。
●こいのかクエストLevel:9
「いちごさんが囚われの身になったと聞いては、正義の騎士として助けに行くしかないですね! 待っていてください、いちごさん!」
と、アルテミス・カリスト(正義の騎士・f02293)は気合を入れる。
相変わらずいちごのことは女友達と思っている彼女だが、友達の為にはw髪を惜しまないのが勇猛果敢な女騎士たる彼女だろう。
とはいえ、ゲームには全くの不慣れ。
なのでキャラクターメイキングはお任せにしてゲームにログインした。
お任せの場合、自分自身をもとにしたアバターが作成されるとアリスに説明されていたからなのだが……。
「騎士……ではなくて、姫!?」
ログインした直後、自分御ステータスを確認したアルテミスは愕然としていた。
女騎士になってしかるべきはずなのに……ひらひらのドレスにティアラを被り、当然武器も持っていないその姿は、間違いなく姫である。
「ちょっとアリスさん! メインジョブじゃなくてサブジョブが適用されてませんかー!?」
姫騎士なんだから仕方ないわ、とどこかで仕掛け人アリスの声が響いた気がした。
「し、仕方ありません。この格好で探索です」
いくら不本意な状態での開始となったからと言って、それで友人を諦めるアルテミスではない。
鎧も大剣もない状態なので、戦うことはできない。
なのでアルテミスにしては実に珍し事に、とてもとても慎重に、なるべく敵に遭わないように隠密を心がけて探索していく。
実を言うとこのゲームにおけるプリンセスのジョブは、自身での戦闘力がほとんどない代わりに、エンカウント率を下げる効果があったりするのだ。本来ならそれに加え、パーティーメンバーにパッシブでバフをかける効果があるので、誰かに守られながらの冒険に適したジョブなのだが……ソロプレイ中のアルテミスにとっては、エンカウントが下がるだけでもありがたい。
そうして、敵と出会わないまま、隠し階段を見つけ、本来の階層ボスさえもスルーして次の階層へと降りていくアルテミス。
もっともアルテミスの視点からすれば、隠し階段の先で遭遇した敵こそが、真のボスだっただろう。
なぜなら……。
「って、このオークはっ!?」
その階層に入って最初に見かけてモンスターは、アルテミスにとっては見覚えがありすぎる宿敵ともいうべき緑色の肌の巨漢のオークだったからだ。
なぜか異なる複数の世界で遭遇したという不可解さのあるモンスターだから印象に残っていたのか、アルテミスの依頼記録をもとにアリスが再現したそれは、本物と見間違うかのごとき再現度だった。
……なお、このオークが何者なのかはアルテミスは知らないし記録にもないのでもちろんアリスもしらない。仮に本人が今回の騒ぎの事を知っていたら、例え神が作ったゲームとは言えどもハッキングでもして混ざってきかねない気がしないでもないが、あくまでもこれは再現されたデータである。
だが、再現度は完璧だった。
オークに見つかってしまったお姫様は、逃げることもできずに取り押さえられ、ビリビリと豪奢なドレスを引きちぎられていく。
そのまま筋骨隆々な緑の手で、胸を掴まれ、脚を広げられ……。
余談だが、無駄に凝り性なアリスは、ログイン中のプレイヤーの脳に直接信号を送ることで触覚をリアルに再現している。
実際の身体は何ともなくとも、ダメージを受けたら痛みは感じるのだ。現実よりは加減された痛みだとしても。
……なので、アルテミスは、実際には突っ込まれていないモノで身体のナカを突かれて抉られている感覚を味わっているわけなのだが……まぁ、直にゲームオーバーになってその感覚も止まるだろうから問題はないのだろう。多分。
大成功
🔵🔵🔵
ジオレット・プラナス
ゲームとは言えダンジョンはダンジョン。
シーフらしく、極力戦闘を避けながら『目立たない』ように進んでいくよ。
…にしても、いちごが囚われの姫って…うん、違和感なさすぎるね(肩竦め)
大分深いけど一体何階層あるのやら…っと、これは…磁力がフロア全体に…?
「金属装備厳禁ってことか…」
ミゼリコルデをしまって、より慎重に進もうとして…
「―しまっ…足止め罠!?く、剣は…ダメ、かっ!」
両足に絡んだ蔦を切ろうにも磁場で剣が使い物にならず、とっさにUCで切るのを試みるけど…
「わ、ちょ、何処入り込んで…んっ、く、ふふっ、わ、こら、擽るなぁっ…!」
足の裏やら鼠蹊部やらに入りこまれてこしょばされ悶えちゃうはめに…
●こいのかクエストLevel:10
「……にしても、いちごが囚われの姫って……うん、違和感なさすぎるね」
今回の騒ぎを聞いたジオレット・プラナス(月夜の鎮魂歌・f01665)は、そういうと肩をすくめた。
現実に囚われてしまったのは確かだが、そうでなくても元々のゲームの設定が囚われのいちご姫だったのだ。ジオレットとしてもその違和感のない設定に苦笑するしかない。
ともあれ、救助に向かう事にしたジオレットは、さっそくキャラメイクを始める。
選んだジョブは、素の自身に近くやりやすいという事でシーフだ。
「ゲームとは言えダンジョンはダンジョン、か」
ログインしてすぐ行動を開始したジオレット。
シーフらしく軽装で動きやすい恰好に緑色のバンダナで髪をまとめた彼女は、極力戦闘を避けるようにして、目立たないように地下迷宮を進んでいた。
性格的なこともあるのだろう。ゲームだからと言っても油断は全くない。
慎重に、それでいて迅速に、実戦さながらの真剣さで歩を進めている。
階層のボスも、戦闘が避けられそうならば避け、隠し階段や落とし穴などでボスをスルーして、着実に深層へと進んでいった。
「大分深いけど、一体何階層あるのやら……?」
そうしてやってきた新しい階層。
この階層に降り立った途端、ジオレットの動きに制限がかかったように、動きが鈍くなる。
「っと、これは……?」
正確には、動きが鈍くなったのは武器の短刀を持っている手だけだ。
ジオレットも、何が動きを鈍らせているのかはすぐに察する。
「これは、磁力がこのあたり一帯に……? 金属装備厳禁ってことか……」
シーフであるがゆえに金属鎧は着ていなかったことは幸いだった。もし金属鎧を着ていたら動けなくなっていただろう。
だが、それでも金属製の武器が使えないことに変わりはない。
武器をしまったジオレットは、今は戦闘ができる状態ではないため、より慎重に歩を進めていく。
磁力のエリアを抜けるまでの我慢……だったのだが。
「……しまっ……!?」
戦えなくなった分、敵と遭遇しないようにとそちらに意識を向けすぎたせいで、足元の罠を見落としてしまっていた。
足に絡みついてくるのは、植物の蔦だろうか。
「足止め罠!? く、剣は……ダメ、かっ!」
普段なら、絡まった蔦くらいは短刀で切って先に進めばいいのだが、あいにく今のこのエリアでは剣は使えない。
何とか解こうと四苦八苦していると、その蔦はさらに足元だけでは治まらず、しゅるしゅると伸びて体に絡みついてくる。
まるで触手のように。
「わ、ちょ、何処入り込んで……!?」
服の中へと潜り込んでいった蔦は、足の裏や太腿、更には鼠径部から脇腹にまで絡みついて、蠢いていく。
「んっ、く、ふふっ、わ、こら、擽るなぁっ……!?」
絡みついた触手にくすぐられるジオレットは、しばらくその場で悶え苦しむ羽目になるのだった。
やがて蔦はさらに胸の先端やら股間の割れ目やらにまで伸びてきて、悶えるジオレットの声に色が帯びていくことになるのだが……それはまた別の話。
大成功
🔵🔵🔵
セナ・レッドスピア
いちごさんがゲームに囚われちゃったのですか!?
大変な事になる前に助け出さないと!
クラスは【ハイランダー】を選択
槍技とHPを消費するスキルで攻撃する前衛タイプ
そこそこ順調に進んでいくけど
その途中で悲鳴が!?
急いで駆け付けて、助けてあげないと!
でもその内容によっては(その人がおっけーだったら)私も巻き込まれちゃうかも!?
(主にいけないことされちゃう系とか…!?)
でも陥落しちゃう前にギリギリ何とか脱出&(その人がおっけーだったら)
救出して、攻略再開できましたらっ!
最後に待ち構えるボスも、誰かと合流できたら
一緒に戦っていきます!(ソロでもOK)
(相手がいけないことしてくる系じゃないといいんですが…)
高原・美弥子
◎♥♥♥
んー?これってつまり、スペースシップワールドに出てる幹部猟書家がやってるようなやつなのかな?
まぁ敵が作ったわけでもないし、気軽な普通のゲームって思えばいい……んだよね?
恋華荘の依頼のデータって時点でもう地雷臭してるけどね!
うん!想像通りだね!
オークに触手が多いっ!だが、あたしの身体はいちご専用だから、ゲームとはいえ、こいつらにやられるのは御免被る!
いちご救出とその後のご褒美目指して頑張るぞ!
まぁ職業は戦士だか剣士で武器は長剣二刀流と何時もと勝手が違うけど、長剣二刀流は妙に馴染むなー
なんというか前世(銀雨)で長剣二刀流やってたような馴染み具合だよ
まっ、よく分からないけど好都合だからいいか
●こいのかクエストLevel:11
「んー? これってつまり、スペースシップワールドに出てる幹部猟書家がやってるようなやつなのかな……?」
高原・美弥子(ファイアフォックスのファイアブラッド・f10469)はそんなことを呟きながら、石造りの地下迷宮の中を歩いていた。
選択したジョブは普通に戦士だ。
それも、長剣二刀流の装備を選択したのだが、不思議なことにこれがとてもよく馴染む。いつもと違うスタイルなのだが、両手にそれぞれ持った剣をブンブンと振り回しながら、その使い勝手の良さに帰って驚愕してしまう。まるで前世がこの姿だったかのようだ。
もっとも、使いやすいのは都合がいいので、特に気にしない。こちらに関しては。
「まぁ敵が作ったわけでもないし、気軽な普通のゲームって思えばいい……んだよね? いちご救出とその後のご褒美目指して頑張るぞ!」
と、気合を入れる美弥子だったが、脳裏には別の意味での不安がよぎっていたのだった。
「……恋華荘の依頼のデータって時点でもう地雷臭してるけどね!」
そうしてさらに進んでいくと、敵とエンカウントする。
現れたのは美弥子の懸念通りというか……。
「うん! 想像通りだね!」
身体から触手を生やした豚面……ウォークの群れだった。
ウォークは触手を伸ばし美弥子に絡みつかせようと襲い掛かってきた。
「あたしの身体はいちご専用だから、ゲームとはいえ、こいつらにやられるのは御免被る!」
それを二刀流の剣捌きで対処していく美弥子。
伸びてきた触手を切り、ウォーク本体に剣を突き刺し、……だが、それでも、敵の数が多かった。
「ちょっと、これソロプレイ用にバランス取れてるのー!?」
ついに美弥子に絡みついた触手が、鎧の隙間に潜り込んできた。
アリスによる無駄に高い技術力は、ゲーム内での触覚をも再現している。そのため触手に弄られるリアルな触覚を感じて、美弥子は顔をしかめる。
「だから、あたしはいちご専用だって……!」
もちろんそんな言葉を聞くウォークではない。
ついにウォーク本体の手が美弥子に伸び……そこで止まった。
「大丈夫ですかっ」
救援に駆け付けたセナ・レッドスピア(blood to blood・f03195)の槍に背後から貫かれたからだ。
セナももちろん、このゲームに参加していた。
「いちごさんがゲームに囚われちゃったのですか!? 大変な事になる前に助け出さないと!」
と気合を入れてキャラメイクをしていたセナは、本人は全く気付いていなかったが、キャラメイク時のボーナスポイントが通常より多い幸運に恵まれ、最初から戦士系上級職になっていたりする。
そしてソロで槍技を駆使して順調に迷宮探索していたのだが、そんな中でたまたま美弥子の悲鳴を聞きつけ、駆け寄った次第である。
「大丈夫ですかっ」
というわけで、先程のシーンに戻る。
駆けつけたセナによって、美弥子に触手を絡ませていたウォークは倒され、これでピンチを切り抜けた……かと思いきや。
「あ、ありがと、セナ。おかげで助かっ……って後ろ!」
「えっ!? きゃああっっ!?」
今度はそのセナが、美弥子救出に気を取られ過ぎていたのか、背後から近付いてきた別個体に気付くのが遅れ、ウォークの触手に絡まれてしまった。
二刀流重戦士の美弥子は分厚い鎧に守られていたが、槍使い軽戦士なセナは鎧が軽装なのでその分触手も中に入り込みやすい。鎧の中に入り込んだ触手で胸やお尻をいじくられ、そのリアルな感触に悲鳴をあげる。
ある意味、ミイラ取りがミイラになってしまったセナであった。
「う、うぅ……いけないことされちゃう系でした……この後もこういうのじゃなければいいんですが……」
「それは、期待薄じゃないかなー……」
何とか今度は美弥子がセナを助け出し、ひと段落ついて溜息を吐く2人だった。
ともあれ、最後までヤられることなくなんとか踏みとどまった2人は、このまま協力して攻略を再開する。
その後も、出会うモンスターも階層ボスも、やっぱりいけないことしてくる系で、そのたびに桃色の悲鳴が飛び交う事にはなったそうな……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フロウヴェル・ゼフィツェン
おお、如何にもな地下迷宮なの。
これは大変そうな感じだけど…いちごを助ける為に頑張るの。
ジョブは魔戦士。魔術士系魔法が使える戦士、なニュアンスなの。
武器はハーロット・イーター(槍。女性型モンスターに特攻)
中では形態変異・闇夜種を随時使用。
戦闘の時は人狼形態になって、特攻の通る女性型を優先的に攻撃。
落とし穴とかの地面の罠は堕天使形態で飛んで回避、それ以外の罠や狭い道は魔霧形態で霧化して抜けていくの。
…時々、落とし穴に落ちて触手に絡まれたり、催淫ガスを浴びてその場で自分を慰めたりもするけど。
その時は、いちごにされてる様を想像して…
…って、されるなら現実のいちごにされたいの!
(それで正気に戻る模様)
●こいのかクエストLevel:12
「おお、如何にもな地下迷宮なの」
ベルことフロウヴェル・ゼフィツェン(時溢れ想満ちて・f01233)は、ログイン塗装時に現れた石造りの地下迷宮を目の当たりにして、感嘆の声を漏らしていた。
と言ってもいつも通り無表情気味なフロウヴェルなので、表情自体は変わらない。
変わっているのは格好か。
普段は白ロリが基本のフロウヴェルだが、もちろんダンジョンRPGでまでそんな格好はしない。キャラメイク時のボーナスポイントが良かったので、最初から上級職の魔戦士……魔法を使える戦士を選択したフロウヴェルは、白銀の鎧を纏い、槍を手にして、冒険を開始した。
「これは大変そうな感じだけど……いちごを助ける為に頑張るの」
魔法を使える戦士というジョブ特性もあり、道中は魔法を駆使して進んでいく。
自身がユーベルコードで変身するように、自らの姿を変える魔法を多用し、堕天使化しての飛行移動、人狼形態で戦闘、さらには霧化しての罠回避など、着実に迷宮を攻略し、下の階層へと降りていく。
更には道中で手に入れたドロップアイテムの槍……ご丁寧にこの迷宮ではとても役に立つ女性型モンスターへの特攻効果のあるハーロット・イーターを手に入れてからは、更にその進軍速度も上がっていった。
なにせ恋華荘の冒険をもとにして出現するモンスターのデータが作られた迷宮だ。
触手とかスライムとかオークとかのいけないことされちゃう系なモンスターと同様に多いのが、女性型のモンスター。
それに特攻効果があるとなれば、相当なアドバンテージと言えよう。
こうしてフロウヴェルはますます危なげなく階層を下っていった。
……のだが。
「楽に進めすぎて、油断してしまったの……」
今、そのフロウヴェルは、落とし穴の罠にはまり、落とし穴の底にて蠢いていた触手に絡まれている真っ最中だった。
更にはそこに充満していた催淫ガスも吸い込んでしまい、身体をまさぐる触手の間隔に抗えなくなってしまっている。
アリスの無駄な超技術で、その触覚さえもゲームプレイ中の本人にフィードバックされており、実際の肉体には変化がなくても、豊かな胸をこねるように蠢く触手の感覚とか、胸の先端を咥え込んだ吸盤触手に吸われる感覚とかがダイレクトにフロウヴェルの脳に刺激を与えてくる。
「あ、これ、いちごのに似てるの……」
そして催淫ガスに冒されていたフロウヴェルは、いちごの触手にされているさまを想像しながら、自らの手で股間の割れ目をなぞり、慰め始めてしまうのだった……。
「んっ……あっ……ああっ……」
くちゅくちゅと水音が鳴り響いている気がする。
実際にはさすがのアリスも、愛液までもゲームでシミュレートしているわけではなく、これは要するに触手の触覚のフィードバックを受けているフロウヴェル自身が、実際の肉体の方で自らの身体を慰めているのだ。
リアルとバーチャルの合わさった刺激に、愛するいちごにされているところを思い出し、更にフロウヴェルの手が激しく動く……かと思いきや。
「……って、されるなら現実のいちごにされたいの!」
自分の指で実際の時分の身体を慰めていたことが原因か、妄想の中のいちごの感覚が薄れ、そして本物のいちごにされたいという強い意思によって、フロウヴェルは正気に戻った。
正気の戻り方が多少アレだが、ともあれ意識を取り戻したフロウヴェルは、そのトラップを突破し、更に迷宮の奥へと進んでいく。
そしてやってきたのは、迷宮の最下層。
目の前のボス部屋には、何故か営業時間が記され、在室中との表記がある。
フロウヴェルは、躊躇わずにその部屋の扉を開けた。
中には、ラスボスらしき巨大なモンスター……邪悪な魔法使いとかではなく、姫役のいちごを絡めとった状態の巨大な触手がいる。
「いちご、助けに来たの」
「ベルさんっ」
いちごの無事を確認し、フロウヴェルは唇だけかすかにほころばせる。
ここまで(一部を飲像手)順調に冒険してきたフロウヴェルは、ラスボスと相対しても問題ないほどレベルアップしている。
ゆえに大きく苦戦することもなく、変身魔法と槍を駆使し、1本1本巨大な触手を刈っていった。
そして、最後にいちごを捕まえている触手を槍の穂先で切り裂いたところで、戦闘終了のファンファーレが鳴る。
「わ、わわっ!?」
「ふぅ。ナイスキャッチなの」
巨大触手から投げ出され、宙を舞ったいちごを、フロウヴェルは受け止め、そのままお姫様抱っこのように抱えた。
「あ、ありがとうございます、ベルさん」
「ん。これでゲームクリアなの。地上に戻って宿屋に泊まるの」
「えっ」
そして、姫らしいドレス姿のいちごをお姫様抱っこしたまま、フロウヴェルは地上へと帰還の途に就いた。
「い、いや、自分で歩けますから、おろしてくれません……?」
「駄目なの。いちごはお姫様だから、ずっと抱っこされていくの。宿屋に泊まって、ゆうべはおたのしみでしたねするの」
「え、いや、ちょっと……!?」
いちごがなんと言おうと、決してフロウヴェルは抱えた手を離さない。
2人はそのまま地上に戻り、エンドロールが流れていくのだった。
なお、お楽しみがゲーム内で行われたのか、現実に戻ってきた後に行われたのかは、ご想像にお任せするとしよう。
ただ、行われなかったという選択肢は、なかったそうな。
めでたしめでたし。
大成功
🔵🔵🔵