11
ビューティフル・ワールド

#アポカリプスヘル #クークー・レディオ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アポカリプスヘル
#クークー・レディオ


0




 アポカリプス・ヘルを支配するオブリビオンどもの、大元締め。
 それが、ヴォーテックス一族。
 超巨大都市ヴォーテックス・シティを統治する、謎めいた凶悪レイダーどもだ。
「そのヴォーテックス一族も、一枚岩ってわけではないみたいなのよ。
 ま、悪党どもが肩を組んで仲良しこよしなんて、出来るわけないでしょうけどね」
 グリモア猟兵である白鐘・耀は、やれやれとため息をついた。
「連中はお互いに足を引っ張り合って、一族同士の権力闘争に励んでるってわけ。
 で、今回はそのヴォーテックス一族の内乱に乗じて、ある仕事を請けてほしいの」
 耀は少々奇妙な言い回しをした。つまりそれは「元の依頼がある」ということだ。
 しかしヴォーテックス一族にあえて仇なすような依頼とは、まさか……。
「その依頼ってのは、つまり一族の有力者が別の一族の縄張りを荒らすって仕事。
 言っちゃえば、連中の戦力を削ぐため連中にあえて手を貸す、ってことになるわね。
 ……もちろん言いたいことはわかるわ。事実上、オブリビオンに協力するんだから」
 耀は顰め面で言った。しかし、と彼女は続ける。
「敵の敵は味方、ってーの? どうせどいつもこいつもいずれは倒す相手なのよ。
 だったら今のうちにその権力闘争ってのを利用して、タダ乗りしちゃいましょう。
 依頼っていったって、向こうはまったく姿を現さず高みの見物してるんだもの」
 今回叩くのは、あくまで「一族有力者の縄張りにあるアジトのひとつ」である。
 依頼もヴォーテックス・シティの胡乱な酒場を仲介しているものであり、
 依頼者であるヴォーテックス一族の有力者が、姿を現すわけではない。
 直接奴らを叩く機会は、いずれ来る。今はそのための前準備といったところだ。
「……話はわかった? この作戦に異論のない人が残って、続きを聞いてね」
 耀は猟兵たちの考えを汲んだ上で、そう言った。

 そして残ったメンバーに対し、耀は続ける。
「依頼人は『ブラッドルビー・ヴォーテックス』。二つ名は……"肉塊女帝"ぃ?
 けったいな名前してるわねぇ。まあ、こいつの縄張りも大概けったいなもんだわ」
 ブラッドルビーは、『人間牧場』と呼ばれるアジトを多数擁する。
 そこに様々な奴隷を集め、口にするだもおぞましい仕業をなしているのだ。
「で、こいつが叩いてほしがってるのは、『ロンメル・ヴォーテックス』よ。
 二つ名は"軍人宰相"。アジトは大量の戦車で構成された「動く拠点」らしいわ」
 そしてロンメル・ヴォーテックスの配下が、何をしているのかというと。
「目的はわからないけど、そこらじゅうから若い女を集めさせてるみたいね。
 手先の名前は『マンマ・ブリガンダ』。まあ……こいつも悪趣味なレイダーよ」
 醜く肥え太った邪悪な女怪の姿が、耀の背後頭上に映し出される。
「こいつがある拠点を襲おうとしてるから、まずはそこを叩いてちょうだい。
 襲撃場所もタイミングも、全部依頼人からたしかな情報が入っているわ。
 話によると、こいつが問題のアジトへの地図も持ってるって話。楽でいいわね」
 耀は肩をすくめてみせる。
「ただ、アジトまでの道のりは一筋縄ではいかないでしょうね。
 安全なルートって言ったって、それはあくまでレイダー基準の話だもの。
 ……とにかくそれを突破して、最後は問題のアジトを徹底的に叩き潰すわ」
 アジトでの戦闘の際は、すでに囚われている奴隷への配慮が不可避だ。
 おそらく大量の敵戦力とも戦うことになるだろう、と耀は忠告する。
「このブラッドルビーとかいうのも、いつか絶対ぶちのめしてやろうじゃない。
 迂闊な足の引っ張りあいなんてしてたことを、後悔させてやりゃいいのよ」
 耀は不敵に笑って、火打ち石を取り出した。
「大丈夫、この戦いはいつか来る大きな戦いの役に、必ず立つわ。
 だからいまは、あんたたちの力を貸して。……よろしく頼むわね」
 その言葉と、カッカッという火打ち石の音が、転移の合図となった。


唐揚げ
 あんまんです。
 まずはシナリオ情報をまとめます。少し複雑なので。

●ヴォーテックス一族とは?
 超巨大都市『ヴォーテックス・シティ』を支配する、謎のレイダー一族。
 シティの外にも多数の縄張りを持ち、一族同士で権力闘争をしている。
 このシナリオでは、その権力闘争を利用して一族の勢力を削ぐことになる。

●登場している名前について
『ブラッドルビー・ヴォーテックス』二つ名:「肉塊女帝」
 鉄条網と電磁柵で囲まれた『人間牧場』を擁する邪悪なレイダー。
 今回の仕事の依頼人であり、当人は一切登場しない。
『ロンメル・ヴォーテックス』二つ名:「軍人宰相」
 強力な「戦車軍団」を複数所有し、『動く拠点』を保持するレイダー。
 今回の仕事のターゲットは、このロンメルの縄張り内のアジトである。
 あくまでアジトが狙いであり、当人は一切登場しない。

 と、このように、NPCは名前のみであって登場も干渉もしませんし出来ません。
 ついでに言うと一族には他にも色々いるようです。恐ろしいですね。

●何をするのか
 ブラッドルビーが提供した情報に従い、ロンメル配下の拠点襲撃を妨害。
 配下である『マンマ・ブリガンダ』を撃破し、所有する地図を強奪。
(ここまで一章)
 地図をもとに目的のアジトへ向かう。ただし、道中には危険がある。
(ここまで二章)
 アジト内の敵を皆殺しにしてアジトも破壊する。
 アジトには大量の奴隷が囚えられているものと目される。
(ここまで三章)

 と、いう感じです。やることそのものはシンプルな襲撃作戦ですね。
 こうやってアジトを潰していけば、いつかの戦いに役立つはずです。

●プレイング受付について
 受付は【3/15(月)08:30前後】までとします。
 もしその時点で参加人数が必要数に達してなければ、達するまでです。
533




第1章 ボス戦 『🌗マンマ・ブリガンダ』

POW   :    マンマ・ザ・フルパワー
【解体用チェーンソー】【爆殺グレネードランチャー】【刃物を通さぬ分厚い皮下脂肪】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    グレート・マンモス・アーマー
自身が装備する【大型のマンモスダンプトラック】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強する。
WIZ   :    サクリファイス・カノンボール
自身の【負傷、又は猟兵から逃げ出した子分の命 】を代償に、【人間大砲から放たれる爆弾を巻き付けた子分】を籠めた一撃を放つ。自分にとって負傷、又は猟兵から逃げ出した子分の命 を失う代償が大きい程、威力は上昇する。

イラスト:V-7

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は仇死原・アンナです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 その拠点は、荒涼とした大地の中にあって異質に見えた。
 なぜならそこには、風になびく農作物の緑が広がっていたからだ。
「おやまァ、健気だねェ。このご時世に開墾でも頑張ってンのかい」
 邪悪なるレイダー、『マンマ・ブリガンダ』が、高台から拠点を見下ろす。
 女怪の周囲には、忠実なる子分どもが群れをなしていた。
「マンマ! ありゃたっぷり食料を抱えてそうですぜェ!」
「バカお言いでないよ。アタシらの今日の目当ては奴隷だよ、ド・レ・イ!
 食料なんざ全部焼き払っちまえばいいのさ。荷物の邪魔になるだけだからねェ」
 マンマの覗き込んだ望遠鏡に、屈強な男性が農作業に励む姿が映る。
 レイダーどもは知らない――彼が、アドルフらがどんな辛酸を嘗めたのか。
 このかそけき緑を取り戻すため、猟兵たちがどれほど力強く戦ったのか。
 それを踏みにじることが、どんな代償を支払うことになるのかを。

「さァて野郎ども、手はずはわかってンだろうね!」
 巨大バギーのエンジンを鳴らし、マンマは下卑た笑みを浮かべる。
「食料は?」
「「「すべて焼き払え!」」」
「男どもは!」
「「「年寄りは皆殺し! 若い連中は奴隷だ!!」」」
「なら女はァ?」
「「「マンマの愉しいおもちゃに早変わり!!」」」
「キィーッヒヒヒ! そうだよォ! 連れて帰る奴隷は男だけさね!
 女はアタシのコレクションだ。ああ、ブスはブッ殺しちまいな! ヒヒヒ!」
 もはや尽くす言葉も不要なほどの、下劣醜悪なるその欲望。
 奴らは知らない――猟兵どもが、自分たちを殺しに来ることを!
ネグル・ギュネス
────久しぶりだよ
殺意、憤怒、憎悪、破壊の衝動が止められないのは

いいや、止める必要は無い
貴様ら全て、 滅 べ 、 …変 身 。
【エクリプス・トリガー】…封印解除、破壊、破滅、粉砕せよ

理性リミッター解除
身体能力限界突破
持ちうる技術の全てを持って、黒き殺意よ駆け抜ける

悪路は踏み砕き、雑魚が群れたら躊躇いなく薙ぎ払う
そしてあの醜い豚の前へ

接敵から、攻撃を受けても揺るがぬ
防御が強化されても関係無い
拳をそのどてっ腹に捩じ込み、内部から衝撃波を解き放ち暴れさせる

貴様に慈悲等不用
喚く顔面を蹴り飛ばし、文字通り肉塊にしてやる


血の如き赤い瞳を光らせる
心配するな、醜悪なる者達よ

纏めて、地獄に蹴り落とす

シ ネ 。



●その怒り、野火のごとく
 様々な死闘と葛藤、衝突と融和、理解と友愛。
 戦いと安らぎは表裏一体で、身を苛まれても心癒やされる時間は必ずあった。
 ネグル・ギュネスは、幸福だった――いや、現在進行形で幸福といっていい。
 どれだけ強大な敵でも、仲間とともに戦うのは心地よいからだ。

 だからネグルは心のどこかで、その刃が鈍ることを恐れていたのかもしれない。
 安らぎにほだされて、自分がくろぐろとした怒りを忘れてしまわないかと。
 ……けれども、そんな心配は必要なかった。まったくの杞憂だったらしい。
 それが誇らしくもあり、嬉しくもあり――けれども、寂しくもある。
「……――久しぶりだよ」
 爆走するレイダーどもの前に、男ひとり。
 荒野に佇むネグルの双眸は、鬼火を宿すように恐ろしく燃えていた。

 殺意。
 憤怒。
 憎悪。
 破壊。

 ありとあらゆる衝動が、止められない。今にも身体が張り裂けそうなほどに。
 止められないことへの恐れがある――その情けない恐怖を、振り捨てる。
「貴様らすべて、滅べ。……変、身……ッ!!」
 バチバチと深紅の電光が鋼を包み込み、右半身が破壊の化身へと変貌する。
 双眸に宿った鬼火は、いよいよ眼窩から溢れそうなほどの稲妻と化した。
《――Access,berserk.DEAD END!!》
 エクリプス・トリガー。
 理性を奪い、あらゆるものを無差別に破壊し続ける存在と化す禁忌の力!
「おい、邪魔だぜそこの野郎! どきなァ!」
 BLAMN!! 先を進むレイダーのショットガンが、ネグル向けて放たれた。
 しかし散弾がその身を捉えるよりも疾く、深紅の電光が像を残して空気を灼く。
「え?」
 散弾がぶちまけられたのは、ネグルの超スピードが残した像に過ぎない。
 次の瞬間、レイダーの頭部はスイカのように爆ぜ、そしてマシンが爆砕した。
「て、敵襲だァ!!」
 と叫んだレイダーの下顎が、まるで消しゴムで削ったように消え失せる。
 次の瞬間には残った頭部が上半身ごと吹き飛び、深紅のラインが爆炎を背にした。
「は、疾ェ!!」
「猟兵かィ? この計画を嗅ぎつけるとはねェ……!」
 醜い豚は、子分がいくらやられようと嘆きも悲しみもしない。
 舌打ちし、グレネードランチャーを構えて引き金を引く。それだけだ。
 シュポンッ! と放たれた榴弾を、ネグルは稲妻じみた軌道で回避し、接近。
 敵がチェーンソーを起動するよりも先に、その肥満体に蹴り足を叩き込んだ!
「ぐほォッ!?」
 KRAAAAAAAAAAAASH!!
 弾丸めいて吹き飛ばされたブリガンダが、ごろごろと地面を転がる。
 遅れて、その周囲を守っていたレイダーどものマシンが、ほぼ同時に爆散した。

 ぱちぱちと燃えるマシンの残骸の山の上、影がひとつ。
『――……シネ』
 己を見下ろすその双眸の色を、ブリガンダは知らぬ。
 殺意でも憤怒でも憎悪でも破壊でもあり、しかしそのどれでもない。
 様々な衝動がないまぜになった、筆舌に尽くしがたい、純粋なる衝動。
 それは、己を奪うものと定義するレイダーに、恐怖を呼び起こさせるには十分すぎた。

成功 🔵​🔵​🔴​

朱酉・逢真
心情)ひひひ。ああ、いいねェ。素晴らしい。見てて気味がいい。欲のまま望むまま生きる"いのち"は、たとえ死んでても魅力的だよ。かわいいねェ。
行動)情報が出揃ってったァ楽でいいなィ。どこにどォ配置されてっかもわかるンだろう? ところで奴(*やっこ)さんら、ずいぶんと薄着だ。そンなじゃ冬はタイヘンだねェ。寒すぎっと車も動かンと聞く。緑萌える拠点は結界でがっちり覆って。さァ冬がくる。終わりの季節だ。攻撃する相手はどこにもいない。俺は鳥に乗り空の上。雪降らす雲が俺らを隠すさ。眠りの季節だ、子らもおやすみ。



●欲のまま、望むまま
 多くの猟兵にとって、レイダーどもの蛮行は憤怒すべきものとして映った。
 それは当然だ。なにせ奴らの行いには、なんら必然性が存在しない。
 奪うのであれ殺すのであれ、それが生きるためならば、まだ理解できる。
 この世界は、そうでもしなければ生きていけない世界なのだから。
 怨恨に由来するものでも、納得は出来る――それを看過するかは別として。
 怒りや憎悪は、時としてヒトにタブーを犯させる原動力になりうるものだ。
 この荒野に、それを戒めるべき法など存在しない。ヒトと獣はほぼ同義である。
 だからヒトは簡単にけだものに堕ちる。ゆえにこそ正しく生きるものは美しい。
 飢えや怒りに突き動かされて銃を取ったとしても、それを揶揄は出来ぬ。

 しかしだ。
 レイダー――すなわちオブリビオンの行いは、目的と手段が入れ替わっている。
 快楽や愉悦はある。だが、それは破滅という目的の副作用として生まれるもの。

 まず殺す。
 まず壊す。
 まず奪う。

 それがレイダーというものであり、オブリビオンというものである。
 ヴォーテックス一族の配下には、特にその毛色の強いレイダーが集う。
 まさしく、悪鬼の所業。けして見逃せることではない。

「ああ、いいねェ」
 だがその男は――神は――朱酉・逢真は、優しい微笑みを浮かべてそれを認めた。
「素晴らしいじゃねェか。"いい気味"だ。魅力的で、かわいらしいぜ」
 神にとって、奪うことも殺すことも産むことも生きることも、すべて同義だ。
 カワイソウでカワイラシイ"いのち"の仕業。愛でるべきモノどものじゃれあい。
 だから逢真は微笑む。微笑んで、《過去》に手を伸ばしてやる。
「かわいらしいぼうやたち。いいこいいこ、してやろうなァ」
 声音は優しげで……けれども、起きた現象は厳然かつ無慈悲だった。
 まるで空で神様が匣をひっくり返したように、白い白い雪が降り注ぐ。
 ……否、そんな生易しいものではない。始まったのは大寒波だ。
 横殴りの風が、雪と雹と霰をくれてやる。すべてが、凍てついていく。
「な、なんだいこいつァ!? 急に、とんでもなく寒くなってきたじゃねェか!」
「あ、姉御ォ! マシンが動かねえ! て、手もかじかんで……」
 震えるレイダーが、ぱきぱきと霜を這って凍りついていった。
 間違いない。これはユーベルコードによる攻撃だ。ブリガンダはそう考える。
 "それはわかる"。だが、だが――攻撃者は一体何処に居る!?
「どこだ、どこだッ!! 出てきやがれェ!!」
 怒りに泡を飛ばしながら、文字通り震え上がり、ブリガンダは荒れ狂う。
 しかし右を見ても左を見ても、攻撃者など見えるわけがなかった。

「ひひひ」
 それは、空におわすがゆえに。
 神とはヒトが抗えぬものであり、天より子らを見下ろすもの。
 過去ごときが届くはずもない。逢真は、相変わらず微笑んでいた。
「さあ、おやすみ。眠りの季節がやってきたぜ」
 生命の存在を許さぬ雲の上、男はまどろむようにただ呟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

水衛・巽
かくも下劣で醜悪な母がいようとは、ね
やる気満々で襲撃してくるようなので
逃げも隠れもせず迎え撃ちますか
敵側拠点を楽しく蹂躙できるチャンスでしょうし

どうぞ、遠慮なく
貴女が勝てば猟兵の奴隷なんて珍しいものを
手に入れられるかもしれませんしね
これほど旨い話もないでしょう

…とまあ、コミュ力でマンマの興味をくすぐって
わかりやすく的になりましょう
その気にさせてタイマンの形に持ち込みたいので
高速詠唱でマンマの前へ玄武を召喚
誰が一対一の勝負なんて言いましたか?

水の鞭は長さを限界突破させ
分厚く巻きつける事で敵の爆発を防ぎつつ拘束
刃物は通さない? ええ、そうですね
ですが生物って呼吸せずには生きられないんですよ



●凶将、来たる
「――今、なンてった?」
 マンマ・ブリガンダは、醜悪な膨れ面をにんまりと笑みに歪めていた。
 乱杭歯から、しゅうしゅうと飢えた獣のような浅ましい吐息が漏れる。
 悪臭漂うその醜女を前に、水衛・巽は平然とした面持ちで言葉を繰り返す。
「あなたが勝てば、私の身柄はどのようにしてくださっても構わない、と」
「……ヒ、ヒヒヒッ! デカく出たねェぼうや!」
 マンマ・ブリガンダは、下劣なサディストである。
 しかもたちの悪いことに、この化け物は若い女をいたぶることを好む。
 弱々しい男は、ブリガンダにとっては見下し嫌悪すべきゴミだ。
 しかし――強く美しい男となれば、話は別である。
 べろん、と分厚い舌が唇を湿らす仕草だけで、説明は十分だろう。
「殺しゃアしないよ色男。楽しみがなくなっちまうからねェ!」
「ええ、どうぞ遠慮なく。ただし、勝てればの話ですよ。代わりに――」
「わかってる、わかってる。一対一で相手をしてやるさね!」
 指笛を鳴らすレイダーどもを下がらせ、マンマ・ブリガンダがチェンソーを担ぐ。
 巽にとっては逃げられない包囲網。しかしたしかにタイマンの形だ。

 ただし。
「それでは」
 巽は一言も、タイマンで戦わせろなどとは言っていないが。
「!?」
 それを証明するように、ひび割れた地面から立ち上がる水が玄武の形を取った。
 巨大なる凶将を前にして、ブリガンダは狼狽する。
「あ、あンたッ! タイマンって話じゃ……」
「誰もそんなことは言っていませんよ。あなたが早合点しただけですが?」
「て、てめェエエッ!!」
 ブリガンダは怒りに顔を顰め、チェンソーを振り上げてどすどすと飛びかかる。
 見た目の割には素早い。しかし、玄武の蛇尾が上回るのは当然のこと!
「あぐァッ!?」
 チェンソーを振り下ろすよりも先に、蛇尾が全身に絡みつき、縛り上げた。
 すると蛇身は流れる水の縄へと変じて、棘がその肉を苛むのである。
「あ、あの野郎ォ、だまし討しやがッた!!」
「玄武」
 武器を構えるレイダーどもを、凶将の巨体が容赦なく吹き飛ばす。
 ブリガンダの脂肪は、生半可な攻撃の衝撃を通さない。しかし……!
「ぐ、ぇ……ッッ」
 絞殺ともなれば話が別。首が絞まり、ブリガンダは泡を吹いた。
「まったく醜悪で下劣ですね。しばらく肉料理が食べられなくなりそうです」
 巽の表情は平然としている。敵を痛めつけようとも、心が痛むことはない。
 快楽と愉悦のままに殺戮を求めるレイダーに、慈悲も容赦も必要ないのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

ラブリー・ラビットクロー
【――という施設の事を人間牧場と呼びます】

らぶはとっても怒ってるぞ
マザー
なんでかわかるなんな?
【お腹が空きましたか?近くのレストランを検索します】
マザーのばか!

野菜を育てるのホントに大変
みんなみんなすっごく苦労してるのに
ヴォーテックスの奴ら許せない
らぶがお仕置きしてやるんだ
【警告。此方に飛来する熱源を感知】
マザー!
あいつをやっつけるぞ
【対象をカメラで撮影すると画像データから材質・質量などを分析できます】
うん
隙を見て撮影してみるぞ
【解析完了。分厚い皮下脂肪を確認。火炎放射の焼却で敵装備の誘爆を推奨します】
話は決まったのん!
行くぞ!マザー
みんなのキボウは潰させねーのん!
【いってらっしゃいませ】


アルトリウス・セレスタイト
はじめまして
では退場しろ

戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には『煌皇』にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

顕現にて討つ
味方へ創造、子分含むオブリビオンへ破壊の原理を行使
全力の魔力を注いで干渉規模を最大化し速やかな討滅を図る

起動後は範囲内へ収める意図を兼ねて近接戦
時の原理で自身を無限加速し間合いを侵略
纏う原理を無限に廻し、無限量の圧を乗せ打撃で際限なく撃ち込む
チェーンソーその他の武装は優先して破壊し選択肢を奪っておく

※アドリブ歓迎


アビー・ホワイトウッド
アドリブ、連携歓迎!

あいつらから依頼を受けるとは思わなかった。でも何事も報酬次第。


私は相棒の歩行戦車を載せたトレーラーで現場に突っ込む。邪魔になるならレイダー達は轢き倒していく。
停車させたら素早く荷台の歩行戦車「ラングレー」に搭乗してシステムを起動する。

オールグリーン。とても調子がいい。いこう。

起動したら拡声器で警告する。相手はレイダー達。
「死にたくなければさっさと退いて。用があるのはその女」
逃げるならよし、そうで無いなら機関砲で一掃する。
マンマは一筋縄ではいかなさそう。遠慮なくやる。主砲で砲撃したら擲弾発射器から焼夷弾を撃ち込む。攻撃は装甲任せで受けながら接近してUC発動。
「これでお終い」


レナ・ヴァレンタイン
悪党同士だけで食い合ってくれると気楽なのだが
まあいいさ、隙を作ってくれるだけで御の字だ

銃弾と刃が届く領域すべてが私の「王国」だ
この世に別れを告げた者から入ってこい

戦車は各々壁を組むようにして停止、アマルガム・アンカーワイヤーで地面に固定、防壁兼銃座として使用
戦車上には“ギャングウェイ”の砲門を据え付け、敵に同行する雑魚をかたっぱしから撃ち砕き、運良くすり抜けてきた奴はマスケット銃の狙撃をくれてやる

さて、残りは大物だが
初手は『試作三号型破城剛剣』を叩きつけ、速度を殺したところに“ギャラルホルン”の散弾の雨を叩きつけ、薄くなった装甲を高周波ブレードと黒剣で刻む
反撃の隙は与えん。圧し潰す……ッ!


ジフテリア・クレステッド
『人間牧場』ねえ…本当に人間だけの牧場なら私は別に…。
いや、でも、名前の割に同胞も結構囚われて犠牲になってるパターンが多いからなあ…それにヴォーテックス一族なんて同胞を使い潰す連中の最たるクソどもだし、いずれぶっ殺せるチャンスというなら喜んで尻尾をふろう。どうせ最後には無惨に殺す連中だ。媚売ろうがノーカンってね。

なんていうか、この世界であれだけ肥え太ってるって事実が既に色々な意味で醜いよね。とりあえず地獄を見せてあげようか。
【毒使い】謹製の【鎧無視攻撃】の毒弾を【スナイパー】ライフルで撃ち込んでその毒素で無駄に脂のついた体内を【蹂躙】して、その性格に相応しい腐肉にしてあげる。

くっさいなあ…。


グレアム・マックスウェル
※アドリブ、連携歓迎

権力の頂点に上り詰めるためなら、一族ですら欺き潰しあうのか
醜いな
まあいいさ、やることは至極シンプルだ
「クズ共は全員処分する」それだけだ

指定UCのレーザービームで人間大砲から発射された子分を着弾前に全員撃墜
今まで散々民衆を虐げてきた外道だ
手負いだろうと命乞いをしようと慈悲はない

レイダー共はそれでいいが、万が一捕まって奴隷にされた民衆が無理やり人間爆弾にされそうになったら……?
答は「やられる前にやれ」
瞬間思考力+先制攻撃で人質を大砲に詰めようとするマンマの手を「スナイパー」で狙い撃ち
人質が逃げる隙を作り、爆弾解除は技術を持つ仲間に任せる

最後はマンマにビーム一斉掃射
死ねよ、雌豚



●希望を摘む
「ぞろぞろと鬱陶しい奴らだねェ! お前たち、時間を稼ぎなァ!!」
「「「ア、アイアイサー!!」」」
 苛立つマンマ・ブリガンダの号令に応じ、大量のレイダーが殺到する。
 そこらの奪還者では、圧倒的な数の利と情け容赦ない暴力で叩き潰されるだろう。
 しかし、ここに集った猟兵たちは、ただ武器を持っただけの一般人とは違う。
「雑魚がうじゃうじゃと面倒。トレーラーで来て正解だった」
 大型トレーラーを運転するアビー・ホワイトウッドは、平然とした様子で言った。
 そしておもいっきりアクセルを踏み、真横からレイダーを轢殺、吹き飛ばす!
「「「うおおおおおっ!?」」」
「死にたくなければさっさと退いて。用があるのはそこの女」
 アビーは拡声器を使って、レイダーどもに撤退するよう命令する。
「ふ、ふざけやがって! こんなところで退けるかァ!」
「マンマのお仕置きを食らうぐらいなら、轢き殺されたほうがましだァ!!」
 しかしレイダーどもは、どうやらブリガンダの「お仕置き」を相当恐れているらしい。
 生身でダメならマシンで対抗とばかりに、大量のバギーバイクが出現した!
「……理解不能」
 アビーは嘆息し、大きくドリフトして有象無象を吹き飛ばす。
 レイダーどものグレネードランチャーやら火炎放射器を浴びても、トレーラーはなんのそのだ!
「くそっ、デカブツだから小回りは効かねえッ、脇に逸れてあの拠点を叩くぞ!」
「――だろうと思った。あいにくだけど、ここは通行止めだよ」
 トレーラーを迂回して進もうとしたレイダーどもを阻むのは、レナ・ヴァレンタインがユーベルコード『軍隊個人・総員集結(ジャック・レギオン・フルバレルオープン)』によって複製した戦車の隊列である。
 各戦車の上部に増設された『対大型徹甲破砕閃光砲"ギャングウェイ"』の砲口が、一斉にレイダーどものマシンに狙いを定める。
「そして、Uターンも許さない。この世に別れを告げておくことだ!」
 ZAAAAAAAP!! 熱線砲の雨あられが、マシンごとレイダーを消し炭に変える!
 超熱量を浴びた荒野の地面がえぐれ、爆ぜ、いくつもの爆炎が空を焦がした。
 まさしくワン・ウーマン・アーミー、銃弾と刃が届く場所はすべてレナの領域。
 飄然たる猟兵の『王国』に足を踏み入れた雑魚は、死を以てその代償を支払う!
「な、なんて奴らだ、物量が圧倒的すぎる……!」
「聞いてねえぞこんな情報、たかが痩せっぽちの拠点1つをどうしてこいつらが守るんだッ!?」
 レイダーどもにはわからない。理解できないのだ。
 なぜ、これほどの数の物量を以て、猟兵どもが自分たちを止めようとするのか。
 なぜ、ちょっと殺し奪おうとしただけの自分たちが虐殺されねばならないのか。
「理解できるとも思ってないけどさぁ、いくらなんでも身の程わきまえてなさすぎじゃないかなぁ? 止めない理由がないんだよ、私たちには」
 BLAMN!! ジフテリア・クレステッドのスナイパーライフルが、一体また一体と慌てふためくレイダーどもの頭部を吹き飛ばす。
 スイカめいて爆ぜたその血と脳漿は、レナの熱線砲によって、荒野の表面ごと蒸発して消え失せるのだ。
「ヴォーテックス一族なんかに忠誠を誓うってんなら、ここでブッ殺しとかないとね。媚び売ってるのは私らも同じだけど……どうせいずれ全滅させるんだから、こっちはノーカンってことで」
 フラスコチャイルドであるジフテリアの倫理観は、他とは少々異なっている。
 牧場という形で安全が確保されるなら、飼い殺されるのもまだマシじゃないかとすら思っているタイプだ。
 しかし、それとヴォーテックス一族の狼藉を許すかどうかは話が別である。
 奪おうとするのなら、奪われる覚悟を。
 殺そうとするのなら、殺される覚悟を。
 それが、法なき荒野の唯一の法なのだから。

「チッ、役に立たないゴミどもだねェ……! アンタたち、捨て駒になりな!」
「「「マ、マム!?」」」
 癇癪を起こしたマンマ・ブリガンダは、怯えるレイダーどもを鷲掴みにする。
 そして無理矢理に爆弾を持たせると、自身のマシンから突き出した巨大な砲身に放り込んだ!
「や、やめてくれマンマッ! 嫌だーッ!!」
「ごちゃごちゃうるさいよッ! そうら、人間大砲になっといでェ!! キッヒャハハハ!!」
 BOOOOOOOOM!! そして砲身から放たれるレイダー! なんたる豪快な捨て駒か!
 これがマンマ・ブリガンダの『お仕置き』……サクリファイス・カノンボール。
 レイダーそのものを砲弾としてぶちこみ、味方もろとも敵を殲滅する外道砲弾なのだ!
「醜いな。クズがクズを使い潰す、まるでドブ川の底を見ているようだ」
 グレアム・マックスウェルは顔を顰め、喜色満面のマンマ・ブリガンダを嘲った。
「だが、そうはさせない――僕のナイフが作り出す檻は、何者をも通さないッ!」
 グレアムの乗るクロムキャバリア『VALIS』が、空めがけて両手を突き出す。
 すると無数のレーザービームが指先から迸り、幾何学模様を描いて空を埋め尽くすのだ。
 まさしく刃の檻。これこそがグレアムの術式、『1000>>KNIVES(サウザンド・ナイヴズ)』。
 線は激しく交差することで面に変わり、光の障壁となって砲弾を撃ち落とす。
 狂ったように飛翔する光のナイフの着地点は、言わずもがなレイダーどもの頭上!
「外道ども。まとめて切り裂かれ虚無へと還れ!」
「は、疾すぎる! 逃げられ――うおおおおッ!?」
 KRA-TOOOOOM!! 盛大な爆発が、レイダーどもを吹き飛ばした!
 光の速度で襲い来るレーザービームは、砲弾を撃ち落とす壁であり、同時に敵を抹殺する光の雨だ。
 まさしく攻防一体。マンマ・ブリガンダは悔しげに表情を歪めた。
「キィイイイッ!! やっぱりアタシが出るしかないみたいだねェ……!!」
 すると、マンマ・ブリガンダの乗る巨大ダンプトラックが……変形した!?
 それはキャバリアにも匹敵する巨大アーマーとなり、マンマ・ブリガンダの肥え太った身体を受け止める。マンモスのごとき威容!
《警告。敵装甲の強度は戦車の数十倍以上と推定。同時にいくつかの熱源を感知》
「そんなこと関係あるか! マザー、あいつをやっつけるのん!!」
《戦闘モードに入ります》
 巨大チェーンソーを振り上げるマンマ・ブリガンダに、ラブリー・ラビットクローが真正面から戦いを挑む。
 戦車もキャバリアもなしの、生身のタイマン勝負だ。なんたる無謀!
 だが、無謀かどうか、勝ち目があるかどうかなどラブリーには関係なかった。
 彼女は怒っていたのだ。レイダーどもの、否、ヴォーテックス一族の蛮行に!
『ガキがひとりでェ、このアタシに敵うと思ってんのかいッ!?』
「らぶは! とっても、怒ってるぞ!!」
 ブリガンダの巨大チェーンソーと、ラブリーのチェーンソーエッジが……激突!
 ギュガガガガガ!! と高速回転するチェーンがぶつかりあい、火花を散らす。
 質量差は圧倒的。150cmに満たない少女が耐えられるはずもない。
 それが、常識――だが見よ! 拮抗は、徐々にラブリーが推していく!
『な、なにィ!? あ、アタシのマンモスアーマーが出力負けしているゥ!?』
「野菜を育てるのは、大変なんな。この世界ではホントのホントに大変なのん!
 なのに、お前らは! 自分が楽しいからってそれをぶっ壊そうとしてる……!!
 ヴォーテックスの奴らが許したって、らぶが許さないのん!!」
 ギュガ、ガガガガ……ギャリギャリギャリギャリ!!
 ついに惜しかったチェーンソーエッジが、アーマーを削り取っていく!
「だから! らぶがお仕置きしてやるのん!!」
『こ、このガキィ……!!』
 マンマ・ブリガンダはさらにアーマーの出力をあげ、ラブリーを押しつぶそうとする。
 しかしチェーンソーを押し返されたことでがら空きになった胴めがけ、懐に潜り込んだアルトリウス・セレスタイトの剛拳がグシャンッ!! と叩き込まれた!
『ぐほぉッ!?』
「お前たちの都合など知ったことではない。怒りも屈辱もすべて無意味だ。
 お前たちがすべきことはただひとつ。一秒でも疾く、この世界から退場することだ」
 アルトリウスは感情を覚えさせない声音で言い、さらなる打撃を叩き込んだ。
 その見た目からは考えられぬほどの強烈なインパクトが、巨体を吹き飛ばす!
『ぐえええっ!! あ、アタシのアーマーが押し負けるとはねェ……!
 けど、こんなもんじゃないよォ! こっちの兵隊はまだまだいるのさッ!』
 マンマ・ブリガンダは、人間砲台をべきべきとむしり取り、ロケットランチャーめいて構えた。
 そして震えるレイダーをミンチにしながら砲身に押し込んでいく。狂気!
『こいつでェ、全員吹き飛ばしてやるよ!!』
「呆れた武装だな。子分を弾代わりにすればするほど火力が上がる、というわけか」
 レナは呆れた様子で呟き、散弾銃と黒剣を手に疾走する。
「……どこまでも醜い雌豚だ。さっさと死ね……ッ!!」
「火力なら負けるつもりはない。真っ向勝負、受けて立つ」
 そしてグレアムのレーザービームと、アビーの歩行戦車『ラングレー』の主砲が、マンマ・ブリガンダの人間大砲を迎撃……いや、それ以上の火力で押し返す!
 レイダー数十人の命を使い潰して生み出した火力も、二機の装甲を貫けない!
『な、なんだってェッ!?』
「潰れろ……!!」
 一瞬にして間合いを詰めた『ラングレー』のストンプが、マンモスアーマーを直撃した。すさまじい衝撃がアーマーを歪ませ、地面は蜘蛛の巣状にひび割れ陥没する!
 マンマ・ブリガンダの巨体が地面にめり込む。しかしその脂肪は健在か!
『そ、そう簡単に、このアーマーを壊されちゃ困るよォ……!!』
「へえ~、ご自慢なんだねぇその巨体。じゃあ得意なやり方でやらせてもらうか」
 ジフテリアが新たにライフルに装填したのは、毒素を無限に生成するその身体から抽出・調合した特製の毒弾である。
 そして射撃――ラングレーのストンプで走った亀裂からマンマの巨体に打ち込まれた毒弾は、一瞬にしてその贅肉まみれの巨体を脅かす!
『ギャアアアアアアアッ!?』
「どんだけ堅い鎧を装備しても、肉つけても、毒は防げないでしょ?
 ……それにしても悲鳴まで気持ち悪いなぁ。普段何食ってんだか」
 ジフテリアは呆れつつも、容赦なく次弾を装填し、そして撃ち込む。
 体内から蹂躙されるマンマ・ブリガンダは、もはや防御も回避もままならない!
「反撃の隙は与えん、圧し潰す……ッ!」
 接近したレナの斬撃が、破損したアーマーごとブリガンダを切り刻む。
 そしてラブリーが構えるのは……巨大な火炎放射器だ!
「その太った身体、バーナーで炙ってチャーシューにしてやるのん!」
《チャーシューを使った素敵なレシピをご紹介します》
「マザーは黙ってろなのん! 汚物は消毒なんな!!」
 ゴォオオオ!! と放射された超高熱の炎が、マンマ・ブリガンダの脂肪を"燃焼"する。
『ギィイイイ、アアアアアアッ!?』
 想像を絶するほどの悲鳴が、荒野に響き渡った。
 しかし猟兵たちは容赦しない。クズどもに、慈悲も情けも無用だからだ……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

矢来・夕立
女帝。宰相。王族ごっこをするからお家騒動まで起こっちゃうんですよ。
言霊って恐ろしいですね。
ともあれこのテの作戦、キライではありません。

▼方針
畑の防衛・先制・露払い

畑を焼くつもりらしい。
金のなる木をチェーンソーで細切れにするアホどもですね。

【紙技・冬幸守】。
防衛すべき陣地が決まっているので、そこから離れた場所で待ち伏せできるといいんですが。まあ状況次第で。
式紙が取り損ねたら速攻で仕留める必要がありますから、いつでも飛び出せるよう刀を抜いて待機しておきます。

ある程度散らしたら逃げますね。年増は守備範囲外なのでどうもすみません。
足?こいつらバイクかなんかに乗ってきたでしょ?パクります。それでは。



●出来損ない
 殺すことは得意だ。唯一の特技といっていい。
 殺すことには慣れている。心の痛みとか、そんなものもない。
 ……そう、自分はどちらかというまでもなく、『あちら』のほうがずっと近い。

 殺すもの。
 奪うもの。
 壊すもの。

 何も生み出せず、作り出せず、ただ人々が忌み嫌う稼業で糊口を凌ぐしかない。
 卑しい身分。
 後ろ指を差される身。
 下衆。
 下等。
 塵芥。
 ありとあらゆる嫌われ言葉で罵られる存在。つまりは、そう――嫌われ者。
 そうあることをむしろ好ましいと思ってきたし、そう見られるように動いてきた。
 敵にも、守るべきものにも、肩を並べる味方にすらも戯言を弄して。
 本心を覆い隠し、本音を包み隠し、自分自身でも目をそらして生きてきた。
 だからこの現状は自業自得で、そもそも嘆くつもりだってない。

 自分は、あいつらと同じだ。
 殺し、壊し、奪うもの。ただ立ってる側が対極なだけ。
 だから何をしてもいい。
 だから何を思っても仕方ない。

 資格などない。
 守るものとして憤る資格など、ない。
 遺されたものとして嘆く資格も、ない。
 そのために必要なものは、全部自分で投げ捨てて踏みにじってきたじゃないか。

 矢来・夕立という人間は、どうしようもないクズで、人でなしで、下衆だ。
 殺すしか能がない。だから殺す。レイダーどもを殺す。
 金のために。
 仕事のために。
「キライじゃないんですよ、このテの仕事。ちょっと楽しいまであります」
 独り言めいて呟きながら、夕立はレイダーどもを次々に殺していく。
 それが彼の得意技。
 それだけが彼の拠り所。
 それだけが遺されたもの。

 ――遺された。
 そんな物言いをする資格も、自分にはない。
「…………」
 何かを言いかけ、夕立はぱくぱくと口を動かし、そして閉じた。
 言霊とは恐ろしいものだ。言葉にしてしまえば、それは事実になってしまう。
 この心にずっと渦巻く色んなもやもやも、すべて事実になる。

 なってしまう。
「殺しましょう」
 だから殺す。
 それだけをしていればいいのだから。
 それだけをして生きていたのだから。
 それだけしか、もうこの手には遺っていない。
 血なまぐさい風に、作物の緑が揺れる。
 夕立は顧みない。ただそれを背にして、血と屍を生み出す方へ歩き続ける。
 彼らの営みを見守る資格なんて、自分にはないのだから。
 だからあいつも――いや、違う。あいつがすべて悪いのだから、違う。
 この仕事にはなんの関係もない。
 殺すことに懊悩など必要ない。
 ただ殺せ。
 ただ奪え。

 どうせそれしか、出来ないのだから。
「金のなる木を細切れにするアホどもは、細切れになればいいですよ」
 肉を切り裂く手応えは、彼の心をちっとも潤してはくれなかった。
 堕ちきることさえ出来ない半端者は、苦味を抱えて生きていくしかないのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルヴトー・シフトマン
よォーく、わかった
テメェらはどうしようもなく醜悪で、下劣で、何の価値も無ェカスどもだってことがな
強く生きる人々を踏み荒らすだけの、生産性もクソも存在しないテメェらの生存を…俺は絶対に許さねェ

行くぞ天狼ォ!!狩りの時間だぜ!!
崩砦一擲と、柄を伸ばした烈震砕牙の二刀流で暴れまくる
近距離は烈震砕牙でぶっ潰し、中距離以上は崩砦一擲で薙ぎ払う
おうおうおう!どこに逃げたって意味無いぜ…2秒先にテメェらの死を視てるんだからなァ!!
これだけやって尚、人々と資産に手を付けようってんなら…
『殺界』──頭を垂れろ、弱き獣ども
国父曰くッ!縄張りを荒らす者には恐怖を示せッ!!
テメェらはただ狩られるだけ…動くんじゃねえぞ



●怒りの天狼
「戦車だ! 戦車を出せ!!」
 誰かが叫んだ――もちろんそれはレイダーの怒号である。
 すると敵集団の背後から現れる、キャバリアに比肩するほどの巨大な戦車!
 オーバーテクノロジーを遺憾なく発揮した、ただ壊すためだけの機械。
 その砲口が、彼方にある拠点を狙う。万事休すか!?
「――行くぞ、天狼ォッ!!」
 だが待て、悪漢どもよ! その誇り高き雄叫びを聞くがいい。
 燃える斧槍を振るいて飛び出したるは、怒りに燃えるルヴトー・シフトマン。
 彼の駆る天狼が、さながら気高き狼のごとき高らかなバーニア噴射音を放った。
 そして主砲が放たれる寸前、烈震砕牙が長大な砲塔を真っ二つにスライス!
「うおおおおッ!?」
「逃がすかッ!!」
 レイダーが戦車から降りる間を待たず、分厚い装甲を切り裂く烈震砕牙。
 獲物の首を縫い止める狼の牙めいて、主力戦車を喰らい尽くす――爆散!
「テメェらのような連中をこそぶちのめすために、オレの力はあるんだッ!」
「イキのいいガキが出てきたねェ、キライじゃあないよ! キヒヒヒッ!」
 マンマ・ブリガンダは逃げ惑うレイダーの首根っこをつかみ、砲弾に変える。
 肩に担いだ大砲の砲身に、べきべきと骨肉が砕けるのも構わず押し込むのだ!
「マ、マンマ、助け……おぼぼぼぼッ!?」
「そォら、人間砲弾だ! 行っといでェ!」
 KBAM!! 血を撒き散らしながら放たれる砲弾! ルヴトーはすでに未来視している!
「……よォーく、わかった」
 ルヴトーは底冷えするような声音で言い、砲弾をスパイクホイールで薙ぎ払う。
「子分の命さえも癇癪しねェ。テメェらはどうしようもなく醜悪なカスどもだ。
 下劣で、何も産み出せず、ただ強く生きる人々を踏み荒らすだけの外道ども。
 オレが視たこの「死」という未来から、テメェらが逃れられる道理はねェ!!」
 ルヴトーのキャバリアが、大地を駆ける。
 チェーンソーを取り出そうとしたマンマは、びくりと身をすくませた。
 その怒気に当てられ、本能的な恐怖を覚えたのである!
(このアタシが!? こんなガキに……ッ!?)
 命を踏みにじる恐れ知らずのレイダーにすら、恐怖を思い起こさせる覇気!
「テメェらはただ狩られるだけの獲物だ。動くんじゃあ、ねえッ!!」
 そして始まるのは、狩りだ。戦闘ですらない、一方的な蹂躙。
 勝ち誇る外道どもにその仕業を思い知らせる、怒狼の牙の殺戮劇である!

大成功 🔵​🔵​🔵​

陸郷・める
☆:める、戦車乗り
★:7号、戦車搭載偽神兵器の生体コア


☆ほんとにこのおしごと、受けるの?
★正直今の資材じゃ前の戦争での戦車の損傷を直しきれねぇ。えり好みしてられねぇ。
まぁ結局やるのはいつも通りの「アホ共ぶっ飛ばして人助け」だ。
……気にすんな。
☆……うん。


★まずは初戦だが……激しく動けねぇ以上はこうするしかねぇよなァ?
☆うん。……V.E.せつぞく……【タンクキャバリア】…!
★オラァ!固定砲台サマのお出ましだァ!。
離れた奴は主砲で砲撃し、味方の攻撃に足を封じるトリモチ弾で機銃の援護射撃、おまけで刺激物入り目潰しグレネードだ!
近寄るだァ?ならその脂肪にドリルで大穴空けてやらァ1

※アドリブ連携歓迎です


リア・ファル
アドリブ共闘歓迎

強襲するのは、キミたちの専売特許じゃない
いくよ

戦場を俯瞰し、『イルダーナ』で避難と援護を支援
(情報収集、かばう、拠点防御、救助活動)

子分共と連携できないように、割り込んでいこう

こういう混戦なら、楽園の守護者達の出番さ
この楽園を守るんだ、みんな!

鳥型は上空から牽制し
獣型は素早く的を絞らせず、攻め立てる
(遊撃、集団戦闘)

充分に時間が稼げたら、
ボク自身も『セブンカラーズ』で銃撃援護に加わろう
(援護射撃)

皆を、あの緑を……理不尽に潰させるワケには、いかない
続いていく明日があるのだから


ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

ヒャッハーッ!
金も食料もいらねー!首置いてケー!!
ってやつだね!
ていうかほんと奴隷とか好きだね彼ら
あ、奴隷くんたちを助けなきゃってことは…また手伝ってもらおう!

火牛の計ならぬ火球の計で行くよー!燃えてないけど!
バギーを潰せるくらいの大きさの球体くんをたくさんゴロゴロ転がしながらいっしょに突っ込もう!
ゴロゴロゴロ…ドッカーン!バキーッ!グシャーッ!
そのなかをダーッとダッシュして突っ切っていって…
【第六感】で感じるままにマンマは探して…
見つけたらUCでドーーンッ!!

んもー
ダメだよあんまり悪いことしちゃ
ねえ聞いてる?おーい?おーい?


フェルト・フィルファーデン
敵の思惑に乗るのは癪だけれど、そうも言ってられない状況ね。
ええ、皆の想いが詰まった農場を、街を、そして、皆の命を侵すというのなら!……容赦はしないわよ。覚悟なさい!!


仲間の命も道具のように使うなんて、まさに外道ね……
とはいえ、あんなのが直撃したら街への被害は尋常ではないわ。
だったらここは、全力で守り抜く!

UC発動。護身剣よ、わたしに力を貸して!対象はわたしと街と農場。そして全ての無辜の民よ!
この力は長くは使えない。でも、敵は防がれたことに苛立ちを覚えているはずよ。そこですかさず【挑発するわ。その程度?ってね。
敵が挑発に乗って突撃してくれれば上々よ。そこを騎士人形で叩き斬る!!【カウンター】



●明日を守れ
 BOOOM! KRA-TOOOOOOOM!!
「オラオラ! 逃げんじゃアないよあンたたちッ、盾か砲弾か好きな方を選びなッ!」
 完全に戦意を喪失したレイダーどもを、マンマ・ブリガンダがどやす。
 背中を見せるような者は、マンマがその巨大な掌で鷲掴みにしてしまう。
 そして頸をひねりちぎりながら、爆弾を巻きつけて猟兵に投げつけるのだ!
「なんてめちゃくちゃな攻撃方法なの……仲間の命をなんとも思っていないのね!」
「キィーヒヒヒヒッ、仲間ァ? こいつらはアタシの都合のいい道具だよォ!」
「……そう言うと思ったわ、オブリビオン! アナタたちならッ!」
 フェルト・フィルファーデンは護身剣をかざし、不可視の障壁を作り出す。
 首なしレイダーの人間砲弾は、光の糸で作られた障壁に触れることなく霧散した。
 四散した血をも、光は浄化する。跡形もなく、せめて一抹の慈悲を込めて。
(この力は、長くは使えない……だから、敵の攻撃を惹きつけなきゃ!)
 フェルトは護身剣の力によるフィードバックに苦しみながら、不敵に笑った。
「その道具を使った攻撃もこんなものなの? 大したことがないわね!」
「……この、ガキィイイ!!」
 マンマ・ブリガンダはあっさりと挑発に乗り、ぷしゅうと血管から血を吹き出す。
 そして醜悪な巨体をどすどすと揺らしながら、チェーンソーをかざし突撃する!
「だったらこのアタシが、手ずからバラバラにしてやるよォ!」
「おーっと、そうはいかないよー! 大玉転がしだ、それーっ!」
「グワーッ!?」
 KRAAAAAAAASH!!
 そこでマンマ・ブリガンダの巨体を撥ねたのは、超巨大な球体である。
 ごろごろと転がる大質量は、バギーや戦車を一方的に蹂躙し、荒野のシミに変える!
「えーっとマンマはどこ……あっれー? さっきまで居たのになー」
 回転する球体のすぐ上に浮遊するロニ・グィーは、手でひさしを作って周囲を伺った。
 自分が撥ねたのだから、わかっていないわけがない。挑発であり、侮蔑だ。
「あ、それともあれかな? 怖くなって逃げ出しちゃったとか? ざんねーん!
 せっかくレイダーくんの真似して、ヒャッハーするつもりだったんだけどなあ!」
「この、クソどもがァ……!!」
 放物線を描いて地面にぐちゃりと落下したマンマは、怒気満面で震えた。
 チェーンソーを支えに立ち上がると、グレネードランチャーをぶっ放す!
「燃えて! 消し飛びやがれッ!」
「おおっと!」
 ロニは回転する球体を盾代わりにかざし、グレネードの直撃を防ぐ。
 KA-BOOOOM!! 燃え上がる榴弾! その余波でレイダーが死ぬがマンマは意に介さず!
『ヒャッハー! 火力勝負ならこっちも負けてないぜェー!』
 そこでにょきりと突き出したのは、陸郷・めると生体脳"7号"の戦車の主砲!
 BOOOOM! 砲撃が空中のグレネード弾を相殺し、飛び散る破片がレイダーを抹殺!
 さらに機銃をぶっ放し、無理やり突破しようとする雑魚どもを鎧袖一触だ!
「……ねえ7号、このおしごと、ほんとに受けてよかったの?」
 並み居る敵をマシンガンでぶち殺しながら、めるが"7号"に言った。
『あァ? 出発前にも言ったろ。今の資材じゃ、前の戦争のダメージを直しきれねえ。だから仕事の選り好みはしてらんねぇってよ』
「でも……」
 めるの言いたいことがわからないほど、"7号"はバカではない。
 敵の敵は味方……とはいえ、これはヴォーテックス一族に利する行為だ。
 いつかの決戦のための足がかりとわかっていても、かつてレイダーであった"7号"の胸中はいかばかりか。
『……気にすんな。それよかいまは、アホどもをふっ飛ばすことに集中しろ!』
「……うん、わかった……!」
 めるは迷いを振り払い、主砲で次々にレイダーどもを吹き飛ばす。
 再び勢いを取り戻したロニの巨大球体が、その勢いに乗って敵を圧し潰す!
「ええいッ、面倒くさいねェ! けど物量ならこっちのほうが上なんだよォ!」
 マンマ・ブリガンダの言葉は、ただの強がりではない。
 殺しても殺しても湧いてでてくるレイダーの群れ。なんたる大軍か!
 これが、ヴォーテックス一族麾下のレイダーたる証……!
「物量勝負なら、ボクの出番だ。さあ、楽園の守護者たちよ!」
 そこで不足しがちな戦線を支えるのが、リア・ファルのユーベルコード『召喚詠唱・楽園の守護者たち(ファンクションコール・アニマロイズ・ファンタズム)』。
 鳥や獣といった、様々な幻獣型の機械兵器たちが飛び出し、敵を突破させないための目となり盾となる。
 めるの戦車とロニの球体はたしかに強力だが、戦場全域をカバーすることは出来ない。
 こういうときこそ、リアの使役する機械兵器たちは最大の性能を発揮するのだ!
「あぁん!? なんだいこのチクショウどもは! 邪魔くさいねェ!」
「イラつくかい? お生憎様、ボクだってキミたちに怒ってるのさ!」
 リアは『イルダーナ』に乗って上空から戦場を見下ろしつつ、マンマに強襲を仕掛けた。
 猛禽めいて滑空し、急加速しながらセブンカラーズの全弾を叩き込む!
「ぐおッ!?」
「みんなを、あの緑を……キミたちみたいな理不尽に潰させるわけにはいかない。
 この世界にだって、明日を目指して生き続ける人たちがいるのだから!
 奪い殺すのは、キミたちだけの専売特許じゃないことを教えてあげようじゃないか!」
 BLAMBLAMBLAM!! セブンカラーズの弾丸が爆砕し、マンマの皮下脂肪を吹き飛ばす!
「騎士人形たちよ、あの醜いレイダーを押し留めなさい!」
 そしてフェルトの操る騎士人形たちのランスが、傷跡をえぐった!
「ぎゃあああああッ!? や、やってくれるねェ猟兵ども……!」
 マンマはチェーンソーを振り回して迎撃しようとするが……!
『ダイエットのお手伝いしてやるぜェ、ヒャッハー!!』
 ギュガガガガガ!! めるの戦車から飛び出したドリルが土手っ腹を貫く!
 血と脂肪と皮膚とがぶちまけられる地獄絵図を、笑顔で見下ろすロニ!
「ダメだよ? 悪いことしちゃ。カミサマの天罰がくだるんだから、ねッ!!」
 KRAAAAAAAAAASH!!
 神の力を乗せた拳が、マンマの身体を地面にめりこませ、クレーターじみた陥没を起こした……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
【冬と凪】

若い男を所望らしいぜ
どうするよ、あのババアに永久就職でも願い出てみるかい?
ハッハー、冗談だよ…俺もアレは願い下げだ
そんじゃまぁ、内定にノーセンキューを突きつけに行こうぜ

おおっと、こりゃでけえトラックだな
どうだいチューマ、不幸な『交通事故』でも起こしてやるのは
タイヤ撃ち抜いて足を止めてくれ…イリュージョンは俺がやる
さぁ来い来い──座標確定、御覧じろ
『Amputate』──車両切断だ
おっと、残骸がそっち行くから避けとけよ、匡

さぁーて、ご自慢のヴィークルは無くなった
随分と厚い脂肪を蓄えてたみたいだが、脳天だけはそうはいかねえ
撃ち抜いてやりなよ、不細工なツラにはとても似合う風穴を作る為にさ


鳴宮・匡
【冬と凪】


……お前がそういう冗談を言うとは思わなかったよ
当然、願い下げだ
――誰から奪って、誰を守って
何を救って、何処へ行くか
決めるのは俺なんだから

的がでかい分には俺の方は困らないぜ
どうせお前がなんか手を打つんだろうし
……オーケー、止めればいいんだな
速度によっちゃ結構な勢いで横転するぜ、気をつけろよ

サイズがサイズだ、一発じゃ足回りを破壊できないよな
連射の利くものか――一撃の威力が大きいものを創るよ
相手の動きを見て、どちらが立ち回りやすいかで決めるのがいいか

どうせなら本人がいるほうをこっちに寄越してくれよ
まあ、どっちでも結果は同じ――頭を撃ち抜いて終わり、だ
そんな大きな的、逃がしたりはしないさ



●エクスプロージョン
 ギャギャギャ、ガガガガガガガッ!!
 ドラゴンのいびきみたいな轟音を立てて、荒野を切り裂く巨大トラック。
 あれこそ、マンマ・ブリガンダが誇るモンスター・ヴィークル!
 一度はアーマー化して大打撃を受けたマシンだが、そのパワーはいまだ健在だ。
「このまま全員、轢殺してやるよォオオオッ!!」
 逃げ惑うレイダーどもを轢き潰しながら、怒気満面のブリガンダが迫る。
 あのモンスターマシンなら、誇張抜きに拠点を真っ平らに出来るだろう。
 連れて帰る奴隷が居なくなるとか、そんな細かいことをヤツはもう気にしない。
 猟兵たちにコケにされた怒りで、マンマは周りが見えなくなっているのだ。

「だ、そうだ。どうする? ひとつ捧げものでもして怒りを鎮めてもらうかい」
 向こうから迫るモンスターマシンの前に立つのは、ふたりの男。
 ヴィクティム・ウィンターミュートの軽口に、鳴宮・匡は嘆息した。
「捧げものって、レイダーにか? 何を差し出すっていうんだよ」
「そりゃあお前、連中がご所望の品を提供するのが一番じゃねえの?
 若い男をご所望って話だし、あのババアに永久就職でも願い出てみるか」
「……お前がそういう冗談を言うとは思わなかったな」
 掌の中で影を揺らめかせながら、匡が呆れた声で言った。
「悪いけど、俺はパスするぜ。お前だってそうだろ」
「ハッハー! そりゃそうだ! 選択肢がなくてもアレは願い下げだね」
 ヴィクティムは肩をすくめて、猛スピードで迫りくるマシンを見据えた。
「不幸な"交通事故"でも起こしてやるか。そういうのは得意だろ? チューマ」
「タイヤを撃ち抜け、ってことだな。オーケー、そのぐらいなら楽勝だぜ」
 匡が創り出したのは、戦車の装甲さえぶち抜く巨大なライフルである。
 モンスターマシンの巨大タイヤとて、これならば一撃で貫通するだろう。
「けど、あの勢いだと確実に横転してくるぜ、気をつけろよ」
「誰に言ってんだよ、匡」
「冗談のお返しさ」
 ヴィクティムは皮肉めかした笑いで、匡を見送る。
 モンスターマシンの前に立つのはヴィクティムひとり。匡は側面を取りに行く。
 相対距離はものすごい速度で縮まる。仕損じれば、ヴィクティムは死ぬ。
 だが、ふたりに恐怖はない――この程度のことは、朝飯前なのだから!

「ぶっ潰れてェ、脳漿散らしなゴミクズがァアアアアッ!!」
 そしてついに、モンスターマシンがヴィクティムを轢殺する――その瞬間!
 BLAMN!! と、ライフルの銃声。狙い過たず撃ち抜かれるタイヤ。
 モンスターマシンががくんと傾いだ。同時に、ヴィクティムがぱちんと指を鳴らす。
「さあて、こいつがちょっとした"イリュージョン"さ!」
 フィンガースナップの音が響いた瞬間……なんと、マシンが両断された!?
「え?」
 切断されたハンドルを手に、マンマ・ブリガンダは猛スピードの中に放り出された。
 真っ二つになったマシンは、横転しながらヴィクティムの真横すれすれを転がり抜けていく。
 盛大な土煙が舞い上がり……飄々とマントをはためかせる男は、傷一つなし!
「グワーッ!?」
 問題はマンマだ。スピードそのままに地面を転がりミキサーめいて肉を削られる!
 血と黄色い脂肪が飛び散りひどい有様だ。当然、ヴィークルは使用不可能!
「な、な……何しやがったァ!?」
「ちょっとばかし、手品をしただけさ。クールだろ?」
 敵の身体の一部をテレポートさせることで、擬似的に質量を切断する。
 どんな鋭利な刃物よりも鋭い、これぞ電脳の魔術……!
「お前のツラはブサイクすぎる。だから、俺らが少しチャームポイントを増やしてやるよ」
 ヴィクティムは、怒り悶えるマンマ・ブリガンダに言った、
 こめかみをとんとんと叩く。……ブリガンダは嫌な予感に彼方を見た。
 爆発炎上するトラックの煙を背後に、こちらに銃口を向ける匡の姿……!
「誰から奪い、誰を守り、何を救い、何処へ行くか。決めるのは、俺自身だよ。
 ――お前らの愉悦も、お仕着せの破滅も、必要ない。これでおしまいにしてやる」
 BLAMN――戦車の装甲さえぶち抜くライフルが、マンマの脳天を撃ち抜いた。
 血と脳漿を撒き散らし、醜い巨体がごろごろと地面を転がり……そして、倒れる。
「さっきよりはマシになったな。なにせ、ぎゃあぎゃあ騒がなくなった」
 キザっぽく言うヴィクティムの頬を、粉っぽい荒野の風が撫でた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『ルートを開拓せよ!』

POW   :    勘で方向を定め、力づくで障害を排除する

SPD   :    移動量で広い範囲をカバーし、あらゆる障害を振り切る

WIZ   :    旧世界の資料を元に道を選び、魔法を駆使して障害を排除する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 マンマ・ブリガンダの遺品に記されていたのは、荒野の果てに築かれたアジトの座標だった。
 そこはすなわち、ヴォーテックス一族の縄張りである。
 拠点など存在せず、荒野には無数の罠と、狂ったレイダーどもがひしめく。
 何より危険なのは、"軍人宰相"ご自慢の戦車部隊!
 無人稼働する戦車部隊は、縄張りに踏み込むあらゆる外敵を滅殺する!

 オブリビオンであれば、これはまさしく『安全なルート』なのだろう。
 だが猟兵にとってはそうではない。道行きは危険なものとなるはずだ。
 自慢のマシンで荒野を駆け抜け、戦車部隊を叩き潰してアジトを目指せ!

●プレイング受付期間
 3/19(金)23:59前後まで。
アルトリウス・セレスタイト
乗り物は……まあ良い。走るか

戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には『煌皇』にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

自身を無限加速し徒歩移動
目的地へ移動しながら虚空で始末
適当に近くの個体を纏めて目標とし撃ちつつ進行
時間の無駄なので目標が何か言っても相手せず移動と攻撃のみに専念

万一梃子摺っている猟兵があれば援護優先
効率の良い討伐と速やかな到達を図る

※アドリブ歓迎



●荒野を走れ
 アルトリウス・セレスタイトは、自身の周囲空間を無限加速させ疾走する。
 空間に作用する魔力により、彼の移動速度は自動車となんら遜色ない。
 問題は、ここは平和な一般道路などではないということ。
 立ちふさがる戦車部隊が、その装甲と砲撃でアルトリウスを妨害する!
「邪魔だ」
 片手をかざすと同時に、無数の淡青色の魔弾が戦車部隊に叩きつけられた。
 すると戦車は爆発せずに衰滅、虚空の残滓が光のパーティクルとして残る。
 きらきらとした光が荒野を染めるさまは、荒涼とした風景に似つかわしくない。
「なんだありゃあ!? 戦車が消えちまったぞ!」
「撃て撃て! 所詮相手は生身の人間だぁ!!」
 戦車を駆るレイダーどもが、アルトリウスを狙い撃つ。
 だがその弾丸も、光の残滓に触れると戦車同様に虚空へ消えてしまう。
「雑魚どもが雁首揃えてご苦労なことだ。しかし、相手をしている暇はない」
 アルトリウスは一瞥すらせず、さらなる魔弾を生み出す。
 砲撃を消しゴムで削り取るように消滅させながら、青の滅びが空を染めた。
 地から空へと輝いた流星は、円弧を描いて再び地へと落ちる――戦車部隊に!
「つ、強すぎる……! お、俺たちの装備じゃ止められねえ!」
「これほどの猟兵が、どうして俺たちの縄張りを嗅ぎつけたぁ!?」
 うろたえるレイダーたち。だが、その疑問の答えがもたらされることはない。
 降り注ぐのは死。きらびやかな光は、一切の区別なくすべてを虚無に還す。
 目指すべき目的地ははるか彼方――アルトリウスはそれだけを見据えて走り続けた。
 オブリビオンの陰謀・野望をすべて叩き潰す。
 それこそが、猟兵としての彼の務めだからだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

そう、そのとき彼は言ったんだ
「また俺が力になれることがあったらいつも呼んでくれ」ってね
ボクは「そんな!危ないよ!」って言ったさ…
でも彼は「フッ、人を救えるなら俺の命なんて安いもんさ…」って!
ヤッター!カッコイイ!
嘘だけど!

武装バスの彼にまた地獄に付き合ってもらおう!
運転手はキミ!ボクは【第六感】でナビゲーション!これは絶対にいいコンビ!
あ、そこ!あの小石の左側を走って!右に地雷だよ!
右右!ちょい左!よーし3,2,1…ちゃくだーん!わお!当たってたらミンチよりひどいことになってたね!キミが!

あ、ドリルボールくんたちをバラバラっとばら撒いて後UCで戦車と障害を粉砕するよ!


陸郷・める
★(7号)あァ?無人戦車部隊だァ?丁度イイじゃねぇか、ぶっ壊して修理の部品にしてやらァ!
☆(める)……その戦車の部品、つかえるのかな……

★そう激しく動けねえのは変わらねえからな。つまり、「【POW】力づくで障害排除」ってなァ!
UCで火力増強、罠もアホ共も近寄られる前に《砲撃》で吹っ飛ばし、戦車に対しても同様だ
近寄られても罠やアホ相手なら機銃でハチの巣だぜェ!
戦車が相手なら跳躍して戦車の上を取り、ドリルアームで装甲ぶち抜いてスクラップにしてやらァ!
派手に動いてるじゃねぇかって?「装甲」を増強してんだ。関節部とかもその分丈夫になってんに決まってんだろォ?

☆部品は『でびる格納庫』にかいしゅうするよ


ジフテリア・クレステッド
戦車は無敵の兵器の王…そう思っていた時代が私にもありました。

いや、今でもこの世界出身の私にとって戦車は力の象徴ではあるけれど。
だが!このキャバリアという鉄騎!その恐ろしさも中々だよ!
こいつにアウトブレイクを持たせて【範囲攻撃】【一斉掃射】【乱れ撃ち】させるだけでも罠とレイダーなんてゴミ屑だぜーっ!
戦車部隊だって私の【念動力】による華麗な【運転】でサクッと片付けちゃうよ。まあ最低限の【索敵】はするし敵部隊の動きを持ち前の【学習力】で学んで被害が少なくなるように善処もするけど。基本は【蹂躙】。

まったく!これだから地獄しか知らない田舎者は困るね!
それに比べて私はもはや一流のシティガールだね!



●レギオン・ヴァーサス・イェーガー
「ひぃいいいいい!!」
 鼻水を垂らして泣き叫びながら、元レイダーの運転手がハンドルを切る。
 轟音、轟音、轟音! 車外は砲撃の嵐ですさまじい有様だ。
「いけいけー! 直進だー! あ、ごめんやっぱウソ! 左に曲がって!」
「秒で矛盾するのやめてくれませんかねぇ!?」
 ロニ・グィーのいい加減すぎるナビゲーションにブチ切れる元レイダー。
 なぜ、猟兵でもない彼がこんなところに居るのか。
 それはすべて、ロニの無茶振りが原因である。
「そんな、ひどい! ボクたちいいコンビニなれるってキミが言ったんじゃん!」
「言ってないですよ!? あんたがいきなり拉致してきたんでしょうが!」
 とある事件で(ほぼ脅される形で)レイダーをやめさせられたこの男は、
 それからというもの、何かにつけてロニの無茶振りに付き合わされている。
 今回は、「一緒に力を合わせて奴隷を救い出そう!」というものだった。
 ロニはケラケラ笑っているが、慌てている様を見て楽しんでいるだけではなかろうか。
「まあまあいいから! あーほら右右!」
「右ですね!?」
「ちょい左!」
「ちょいって何!?」
 KRA-tOOOOOOOOM!! すぐそばに着弾する戦車砲!
「わお! 当たってたらミンチよりひどいことになってたね!」
「ひいい!」
「キミが!!」
「うるせえよ!?」
 武装バスは悲鳴のような轟音をあげながら、弾幕の中をひた走る。
 しかしこの弾幕、何も敵の戦車部隊だけが原因というわけではない。

『ヒャッハー! ぶっ壊して修理の部品にしてやるぜェー!!』
「ヒャッハー! 罠とレイダーなんてゴミクズだぜーッ!」
 本当に味方なのかな? って感じの雄叫びがふたつ、響き渡った。
 片方は、陸郷・めるが操縦する武装戦車の生体脳"7号"のもの。
 もう片方は、キャバリアを駆るノリノリのジフテリア・クレステッドのものだ。
 敵戦車部隊の主砲を遥かに超えるめるの戦車砲が、敵小隊をふっ飛ばす。
 その隣で、ジフテリアの操る特製のキャバリアが敵を蹂躙するのである。
「戦車は無敵の兵器の王……そう思っていた時代が私にもありました」
『あぁん!? 戦車は強ぇだろうが! 弱ェのはこいつらの自業自得だッ!』
「あっいや今でも力の象徴とは思ってるけどね!? こいつ(キャバリア)に乗ってるとどうしてもさあ!」
 半ギレ状態の"7号"に言い訳しつつ、ジフテリアは念動力で戦車部隊を吹き飛ばす。
 地中には大量の地雷が埋没しているが、それを破壊した戦車部隊の残骸で誘爆させるという、なんともダイナミックな"リサイクル"で無効化するのである。
『める! あの調子だと部品全部ふっ飛ばされちまいそうだ、回収怠るなよッ!』
「……うん、わかってる」
 ガショガショと多脚パーツで歩く戦車から、ロボットアームが飛び出した。
 破壊された戦車の残骸を根こそぎ回収していく、油断ないめるのサポートだ。
 "7号"はというと、ノリノリでドリルアームを起動、戦車部隊の装甲をぶち抜く!
『ヒャッハー! てめぇらの豆鉄砲なんざこいつには効かないぜェー!!』
 ユーベルコードの力で強化された多脚戦車の装甲は、主砲の直撃にもびくともしない。
 空からはジフテリアが、地面では多脚戦車が暴れまわる。地獄絵図である。
「こ、こいつら手がつけられねェーッ! 増援をよこ……ぎゃああ!!」
 KRAAAAAASH!! 戦車から這い出た雑魚レイダーの上に戦車の残骸が落下!
「まったく! これだから数を頼みにすることしか出来ない田舎者は困るね!
 兵隊っていうのは、きちんと頭を使って運用しないと役に立たないんだよ?
 それを理解している私ってば、もはや一流のシティガールと言ってもいいね!」
 キャバリアの調子も上々。ジフテリアはご満悦であった。
 彼女の言うシティガールの概念が一般的なのかはさておき、敵味方で戦術レベルに大きな差があるのは言うまでもない。
 ここに当のヴォーテックス一族のような強大なオブリビオンがが居たのならば、あるいはまだ話が違ったのかもしれない。
 しかし、指揮役の居ない軍隊など、畢竟数を揃えただけの雑魚の群れである。
 多数対少数という絶対的不利を覆せるからこそ、猟兵は特記戦力足るのだ。

 ……とまあ、このように猟兵も暴れ散らす戦場を、ロニたちは走っているのである。
「あはははは! 楽しいねえ運転手くん! あははははは!!」
「楽しくねぇー!! 全然楽しくねぇよぉー!!」
 ドリルボールが物理的にこじ開けた活路を走りながら、元レイダーの男は泣き叫んだ。
 外では蹂躙される戦車部隊の悲鳴と断末魔。……やはり、地獄絵図である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルヴトー・シフトマン
ふぅぅぅぅぅ…まず一人、仕留めた
少しばかり冷えてきたな…熱くなり過ぎだ、俺
……見渡す限りの荒野、見慣れた景色
暴れ甲斐がありそうだ

俺が前を走ります…戦車部隊はお任せください
こういう時は、いきなりブチかまして前線を破壊するのが良いんです
ブースター、フルスロットル
2秒先を見る【見切り】で、砲撃の合間を縫って一気に接近
一番手前の戦車を掴んで──『鳴乱』
戦車の質量に加えて、俺のパワーとスピード
とんでもない衝撃が、敵の戦線を崩壊させるでしょう

後はそのまま切り込んで、<煌爆雷華>で【爆撃】しながら<崩砦一擲>をぶん回して薙ぎ払う
ここから先は俺達の道だ…さっさと退け
退かないのなら、命で支払ってもらうだけだ



●手はきれいに、心は熱く、頭は冷静に
 キャバリアに乗っていても、疾走の風は不思議と肌で感じられる。
 幻肢痛めいた錯覚なのかもしれないが、ルヴトー・シフトマンはこの心地よい錯覚を好んでいた。
 特に今日みたいに、熱くなりすぎたときはなおさらに好ましい。
 戦場において、冷静さを失うことは自殺行為も同然だからだ。
「ふぅぅぅぅぅ……」
 オブリビオンへの怒りは、心の中で熾火のように燃え続けている。
 その炎を俯瞰する自分をイメージしながら、ルヴトーは現実の視界を認識した。
 2秒先の砲撃着弾箇所を分析し、それを先読みする形で荒野を跳躍する。
 着地と同時に、ブースターをフルスロットル。
 前方ジャンプの勢いを利用して、通常の倍近い速度で間合いを詰める。
 戦車の砲塔はこちらを向いているが、砲撃が行なわれることはない。
 給弾の隙を突いたのだ。天狼の掌が、突き出された砲身をがっしと掴んだ。
「なあ、は、速……ッ!!」
「遅いですよ」
 ルヴトーは言い、掴んだ戦車をハンマーのように乱暴に振り回す。
 中のレイダーの有様は、想像するだけでもグロテスクなものだ。
 もちろん、他の連中を見逃すつもりはない。戦車はいわば代用武器だ。
 勢いをつけた戦車を、斧矛めいて別の戦車部隊のど真ん中に、叩きつける。
 KRAAAAAASH!! 放射状に地面が陥没し、土煙が爆炎のように空を衝いた。
 巨大な戦車が紙くずのように宙を舞う。天狼が、それらを拳でたたき、破壊する。
 爆散した戦車の残骸を弾除けにしながら、キャバリアはさらに疾駆。
 武装と敵の残骸を無駄なく利用して、ルヴトーは戦場を制圧していく!
「せ、戦車がおもちゃみてえだ! 奴の出力はどうなってやがるッ!?」
「集まるな、散れ、散れーッ! 一網打尽にされるぞォ!」
「――逃すか」
 頭は冷えている。いい感じだ……戦場を俯瞰しつつも激情を保てる。
 獲物を追う狼のように、キャバリアは鉄くずで舗装された荒野の道を征く。
「ここから先は、俺たちの道だ。さっさと退け――さもなくば、命を支払え」
 仲間たちの道を切り開くように。
 その姿は、群れを率いる誇り高きアルファのそれだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
【冬と凪】

おうおう、どうやらパーティー会場は温まってるみてーだ
主賓を待ち望んでるんだろうよ…プレゼントの準備は出来てるかい?
レイダー楽しませるのはそっちに任せる
俺ぁ、無粋なオモチャを片付けるとしよう
…その前に、【ハッキング】で一台奪っておくか
足はこいつに任せる

そぉーら、もう全てを明らかにしちまった──『Analyze』
有象無象に、無尽稼働の戦車が多数…つまり同じ敵が多いってことだ
そいつらのウィークポイントを分析しちまえば、この通り
敵は死に絶え、ガラクタが積み上がる
【ハッキング】して戦車同士を事故らせても面白いな
おおっと、ランチャー持ったレイダーがいるぜ
ドタマぶちぬいといてくれよ、チューマ


鳴宮・匡
【冬と凪】


会場に着くまでのほうが大変そうだけどな……
残念だけど、楽しませるのは残念だけど俺の専門外なんだ
お前の方でアトラクションを用意してやったら?

ヴィクティムが奪った一台を足にして進むよ
あいつの方でも索敵はしてるだろうけど
こっちも自分の目と耳で感知はしておく

武器の形状を相手によって変えながら立ち回るよ

戦車相手なら、足回りの破壊・砲塔を狙って誘爆を狙う
……こっちは基本、ヴィクティムがどうにかするだろうけど
こいつの前で無人機なんか、前座にもならない

レイダーの姿があればそちらの排除を優先
距離に応じて武器を変え
頭を狙って確実に排除していくよ

はいはい、そっちも戦車きてるぜ
対応は任せていいよな?



●ジャンク・アンド・クラッシュ
 ギギ、ギ……ギゴゴゴゴ……。
 ヴィクティム・ウィンターミュートのハッキングにより制圧された戦車が、
 ぎこちない音を立てながら砲塔を旋回させ、搭乗用のハッチが開かれた。
 ヴィクティムは中に手を突っ込むと、電脳魔術でニューロンを焼かれたレイダーの死体を引きずり出し、荒野に放り捨てる。
「よし、お手入れ完了だ。乗れよ匡」
「ああ」
 鳴宮・匡は頷き、戦車の外装をよじ登ると、砲塔付近にしゃがみこんだ。
 すると無人の戦車は、ヴィクティムの遠隔操縦によりひとりでに動き出す。
「パーティ会場は温まってるみてーだ。主賓を待ち望んでるだろうよ」
「……会場に着くまでが、一筋縄ではいかなさそうだけどな」
「前菜としては悪くないんじゃねえか? 少なくとも、数だけはたんまりだ。
 俺たちも盛大にパーティを祝わないとな……プレゼントの準備はできてるか?」
「残念だけど、楽しませるのは俺の専門外なんだ。そういうのは任せるよ」
 ふたりは軽口を叩き合いながら、無数の敵がひしめく荒野を征く。
 彼らが戦車を奪取したことは、ものの十数秒であちら側に知れ渡った。
 おそらく、戦車部隊をリンクするなんらかのシステムが走っているのだろう。
 ヴィクティムはにやりと笑みを浮かべた。それは、とても好ましいことだ。
「仕方ねえな。なら、無粋なオモチャを片付けてやるとするか」

 ものの2秒。

 ヴィクティムはたったそれだけの時間で、戦車のシステムを掌握した。
 銀河帝国の艦隊すら翻弄するハッカーにかかれば、この世界のオーバーテクノロジーなど子供の玩具にも等しい。
 すべては、ヴィクティムの意思のままに、敵も味方も調律されるのだ。
「テメェらのことはよーくわかった。その分不相応なオモチャは、取り上げだ」
 ヴィクティムがARキーボードに指を滑らせると……KBAM!!
 ふたりの乗る戦車を砲撃しようとしていた戦車部隊が、突如として自爆した!
「な、何が起きた!?」
「弾詰まりだ! 砲弾が、砲身の中で爆発したんだ!!」
 それが誤作動ではなく、敵の手による電子攻撃だと気付くには十分すぎた。
 強制自爆を回避した戦車も、居場所はすべてヴィクティムに知れている……!
「敵の座標はそっちにも転送するぜ。ま、お前の目があれば必要なさそうだが」
「いや、助かるよ。手間が省けるに越したことはないからな」
 匡は網膜上に投影されたARマップと、自分自身の感覚器で得た情報を咀嚼する。
 そして対戦車ライフルに変形させた影の銃で、死角を取ろうとする敵戦車を狙撃。
 分厚い装甲を黒い魔弾はあっさりと貫通して、機関部に直撃……爆発した。
 レイダーの乗る戦車はもちろん、大多数を構成する無人戦車部隊など、
 ヴィクティムにとってみれば格好の獲物に過ぎない。
 戦車同士が正面衝突したり、お互いを撃ち合ったりと、地獄絵図が生まれた。
「ハッハー! キャンドルの火としちゃなかなかだな、えぇ、匡?」
「はいはい。そっちも戦車来てるぜ。対応は任せるよ」
「つれないねえ。そら、ランチャー持ちのレイダーだ。ドタマぶち抜いといてくれよ、チューマ!」
 ツーマンセルの軍隊は、数ではるかに勝る戦車部隊をまたたく間に蹂躙していく。
 電脳魔術と影の魔弾が、物言わぬ鋼の屍を山と積み上げていく。
 荒野に遺されたそれらの残骸は、まるで墓標のようだった。
 爆炎と砲声のオーケストラは、彼らにとって慣れ親しんだホームグラウンドだ。
 その力を振るうことに、良心の呵責や懊悩など欠片もない。
 なにせこれは戦いではない――外道どもをもてなす、命がけのパーティの前夜祭なのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

グレアム・マックスウェル
クロムキャヴァリア「VALIS」に迷彩塗装を施し搭乗
他の猟兵から距離を取り、先行して露払いを行う

【完全なる自律式人型機械】は任務遂行のためなら
あらゆる感情や人間性を犠牲にする
不測の事態が発生して仲間に犠牲が出てはいけない
目的地に着くまでは巻き込まないように単独行動を取ろう

孤独など感じない
個が最良と判断した自主と自律の集合体が最良の結果を生む
僕たち猟兵とはそういうものだ

機体のセンサーと一体化した意識を研ぎ澄ませ
張り巡らされた罠を
待ち受ける敵を
静かに、冷徹に排除してゆく
お前たちにかける慈悲などない
邪魔するものは全て……潰す



●最良の結果、最良の選択
 猟兵の強みとは何か。
 猟兵自身に問うたとすれば、それぞれ千差万別の答えが返ってくるだろう。
 何を至上とするかは個々によれど、少なくとも否定されることのないひとつの答えがある。

 それはすなわち、個による自主と自律の集合体としての連携。

 猟兵とは、数多の世界を駆けるもの。
 誰一人として同じ出自を保たず、またその個性も多岐にわたる。
 それらが最適な行動を、最善の形で選ぶことが、最高の結果に繋がる。
 この点において、異を唱えるような猟兵はいないはずだ。

 そしてグレアム・マックスウェルは、その答えを信条としていた。
 たとえこうして戦場の最前線に身をおいても、そう思えば孤独は感じない。
 己の行いは誰かの道を拓くことに繋がり、その逆もまた然り。
 多様性を生かした集団的連携という矛盾を、猟兵は自然と可能にする。
 だからこれは、自分ひとりの戦いなどではない。
 向こう正面に無数の砲塔を回しても、グレアムの動きは軽やかだった。
「お前たちに、かける慈悲などない」
 人間性を――エモーショナルな情動を、任務遂行のために切り捨てる。
 行なわれるのは殺戮と蹂躙だが、グレアムが殺すのはヒトなどではない。
 オブリビオン。過去の残骸。生命を捨てたものども。
 その中でももっとも唾棄すべき存在。その怒りをも代償にグレアムは戦う。
 完全なる自律式人型機械として、目的達成のために、一個の歯車となる。
 静かに、冷徹に。
 寸分の狂いなく組み合わさった巨大な機械が、音もなく駆動するように。
「邪魔するものは、すべて……潰す」
 慈悲も躊躇も要らない。怒りも憎悪も、戦場ではノイズとなる。
 それは完全で、完璧で、最良の結果をもたらす。
 ……だが何故かその姿は、不思議と物寂しく、そして悲しげな背中だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネグル・ギュネス
引き続き【エクリプス・トリガー】モード使用

──ッチ、我楽多どもがわらわらと。
…嗚呼、我楽多と言えば、あの時もそうだったな
下劣な輩は、どこの世界にも…

破滅、殲滅、絶滅、撃滅、撲滅せよ!
脳が心が叫ぶままに、歩み走り戦車部隊や罠を踏み散らす
悪路/関係ない、罠/見切りと衝撃波で粉砕、戦車部隊/残像迷彩で惑わせた後に砕き踏み潰し引き裂け
幾つかは触れてハッキングし、同士討ちを狙わせて

燻る火と数多の鉄屑に瓦礫を走りぬけて行こう

敵味方怖れられようと構わない
化け物と罵られようと結構だ
きっと、怯えられるだろうなと一瞬でも思うけど

邪悪は滅し、下劣を憎む
俺は人が思うほど、善き人間じゃあ──思考カット、次の戦場に向かう


リア・ファル
『アンヴァル』にステルスを施して偵察
位置、数、有効射程、天候、地形に風向き……諸元解析、入力完了
(情報収集、偵察、迷彩、ジャミング)

荒野に、罠に、敵に、ご自慢の戦車部隊か
……周辺に、自然とか、資源とか、助けるべきヒトがいなくて良かった
加減が難しいからね、高高度爆撃は

UC【召喚詠唱・流星戦隊】、全機発進!
敵有効射程外からの高高度爆撃&ミサイル射撃で戦車部隊を一掃する!
ボクの演算力なら、命中精度もバッチリさ
(空中戦、操縦、範囲攻撃)

ミサイルの方には環境浄化ナノマシンを仕込んでおいたよ
対象とした罠やマシンの類を分解、無力化してくれる
(ハッキング、浄化、メカニック)

安全、快適なルートになりますように


フェルト・フィルファーデン
こんなに戦車を並べて……攻撃は最大の防御ということかしらね。
でも、それで止められると思わないことね!

ここから先は敵陣。道筋は把握しているとはいえ、情報が多いに越したことはないわ。だから、直接聞き出しましょう?
UCを使い、戦車部隊を眠らせ操り無効化するわ。そして乗組員は外へ。
さあ、ありとあらゆるアジトの情報を全て教えてくれるかしら?
部隊の配備や罠の設置場所、奴隷にされた人々の隔離場所とかね。
空になった戦車も操り他の敵部隊へ突撃させて戦力にさせてもらうわ。
後はその混乱に乗じて突き進む!!これ以上、アナタ達の好きにさせてなるものですか……!



●鬼神
 猟兵とは、義務や強制されて戦うものではない。
 もちろん者によっては、なんらかの使命を背負っていることもある。
 止むに止まれぬ事情から、そうせざるを得ない者もいるだろう。
 しかしそれは個々の事情であり、「猟兵」という身分によるものではない。

 つまり、猟兵とは自由な存在だ。
 自分の意思で戦うことを選び、自分の意思で戦場に赴く。
 それゆえに、猟兵にとって「何を礎とするか」は重要なことと言える。

 戦うことが己の唯一の存在意義だと考える者もいる。
 金や名誉、あるいは闘争による快楽を目的とする者もいる。
 暇つぶしだとか、研究、研鑽といった理由で戦う者もいる。
 猟兵の個性が千差万別なように、戦う理由、その意義もまた人それぞれだ。

 ただ、その中で多数に当たるものが何かといえば、やはり。
 世界を救う、人々を守り抜く、邪悪を打ち砕く……。
 そういった義侠心、正義感、あるいは憤懣が多数派と言っていいだろう。

 リア・ファルにとって、それは「今を生きる人々の明日のために」という言葉で表される。
 明日という未来を掴もうとする人々のために、惜しみなくその力を振るう。
 彼女はこれまでそうしてきたし、これからもその理念が変わることはないだろう。
 戦士としての誇りがあり、そうすることを正しいと、様々な苦難を経てなお信じていた。
 誓いは絆である。リアは、明日を謳うことを恐れも恥じらいもしない。

 フェルト・フィルファーデンにとって、すべては「希望」という言葉に集約される。
 先の見えない明日に見出す思い。
 傷つけてはならぬ、侵されざる大切な絆や感情。
 何よりも、すべてを失った自分を救い出してくれた綺羅星のような輝き。
 希望こそがフェルトの原動力で、そして守るべきもので、武器である。
 絶望をもたらすオブリビオンに立ち向かうには、それだけで十分なのだ。

 ……ネグル・ギュネスもまた、そんな彼女らと同じ男だ。
 人々を守る。
 邪悪を打ち砕く。
 世界を救う。
 すれた大人が鼻で笑うような青臭い理想を、男は躊躇なく吐き出す。
 そのためなら、鋼の身体がひび割れ、血を流しても止まらない。
 ただ、ネグルを立たせるのは、使命感でも誇りでも希望でもなかった。
 そうせねばならない、そうせずにはいられないという、もっと根源的な衝動。
 そして、もっとも強い感情――それは、怒りである。
 くろぐろと燃える憤怒の炎はいま、彼の心を、身を、赤黒く包んでいた。

 殲滅せよ。
 撃滅せよ。
 撲滅せよ。
 絶滅させよ。
 そして、破滅をもたらせ。

 狂戦士じみた憤怒に染まった脳が、心が、ネグルの全身を突き動かす。
 地雷を踏み潰し、立ちはだかる戦車を鋼の拳で叩き、そして前へ進む。
 ただ壊すために。
 ただ殺すために。
 その装甲は、はじめから血のような深紅に染まりきっている。
 爆炎の中を無言で歩むさまは、鬼神を思わせた。
「ネグルさん……」
 彼を知るリアは、痛々しいまでのその背中に言葉を呑んだ。
 どれほどの怒りが、どれほどの憎悪が、今の彼を突き動かしているのだろう。
 悲しみに似た感傷を覚え、けれどもリアはそんなセンチメントを振り払う。
(この戦いを一刻も早く終わらせること。それが、すべてのヒトにとって最良の結果であるはずなんだから……!)
 目的地には、いまも囚われ虐げられる人々がいる。
 そんな彼らのことを思うと、リアは歯を食いしばりたくなった。
 だから、戦おう。せめてネグルの切り開いた活路に続いて!
「流星戦隊(メテオレギオンズ)、全機発進ッ!」
 ユーベルコードによって召喚詠唱(ファンクションコール)された高速戦闘機編隊が、高高度からの爆撃とミサイル射撃で戦車部隊を吹き飛ばす。
「周りにヒトや建造物がいなくてよかったよ。おかげで、派手にやれそうだ」
 友軍への流れ弾も気になるところだが、そんなことは考えていられなさそうだ。
 リアが率先して敵を吹き飛ばさなければ、ネグルがそれを叩き潰すだけである。 ならば多少フレンドリーファイアを考慮しても、あたりを吹き飛ばしてしまうのが結果的には被害を減らす。
 もちろんリアは演算力を駆使して、味方に被害がいかないよう計算していた。
「それにしても、すごい数だわ……攻撃は最大の防御、ということね」
 フェルトは爆炎の向こうから現れる敵部隊を見て、嘆息した。
 呆れるほどの物量は、ヴォーテックス一族の権力の強大さを知らしめている。
 おそらく敵部隊は、自分の権勢を他の一族に誇示する目的もあるのだろう。
 きっとこの荒野にも、かつてはつつましく暮らす拠点がいくつもあったはず。
 残骸さえ遺さず吹き飛ばされた人々の営みが、無念が、フェルトに力を与える。
「破壊された戦車から、敵のデータをハッキングしたわ。リア様、活用して!」
「ありがとう、フェルトさん! ……やっぱり、この先も地雷原が続くか……」
「残存してる戦車を、盾にするわ。わたしたちも急ぎましょう」
 ふたりは目配せして頷きあい、一両たりとも敵を逃さずに先を急ぐ。
 どれだけ早く飛翔しても、先頭を行くネグルの背には追いつける気がしなかった。
 速度の問題ではない……彼の足取りには、進撃には、迷いがなさすぎるのだ。
 燃え盛る野火のような、無慈悲で、自動的で、そして危うすぎる進軍。
 思うところがないはずもない。けれども言葉のかわりに、ふたりは翔ぶ。
「これ以上、アナタたちオブリビオンの好きにはさせないわ……!
 その戦力も何もかも、わたしたちの力で奪い取ってあげる! 覚悟なさい!」
「この荒野に新たな命を芽吹かせるためにも、退いてもらうよッ!」
 フェルトの人形騎士たちが、砲撃を跳ね除けて敵を叩き潰す。
 リアの爆撃が鋼を吹き飛ばし、ナノマシンがその残骸を分解して大地に還元する。
 彼女らの戦いは、いつか来る明日を見据えた戦いだ。

 ――だが、ネグルは。
「終わらせてやる。叩き潰してやる、すべて滅してやる……!!」
 機械的に呟きながら、ネグルは地雷を踏破して敵を叩き砕き潰し引き裂く。
 有人戦車の中から、レイダーの悲鳴――意に介さない。豪腕で鋼ごと粉砕する。
 スクラップの隙間から汚らしい血が噴き出して、深紅の装甲を染めた。
(怯えられてもいい。恐れられても、憐れまれても、罵られても結構だ。それでいい)
 自分は仲間たちが思うような、善き人間などではないのだから。
 ……そんなセンチメントを、トリガーは容赦なくカットし、闘争に走らせる。
 ただ壊すために。それは紛れもなく善行で、未来を守るための戦いのはずだ。
 けれども蹂躙し殺戮するその背中は、敵のそれとなんら変わりない。
 あとに続いてくれる同じ猟兵たちの存在だけが、ネグルを此岸に繋ぎ止めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アビー・ホワイトウッド
こんな何もない荒野にあれだけの戦車。これだけ警戒させるということはブラッドルビーは軍人宰相に戦争でも仕掛けようとしていたらしい。
ただ言えるのはとてもフーバー。

戦車の相手は戦車。だけど無闇に突っ込んだらこっちがやられる。何とか突破しないと。
オープンコンバット、UCを発動して主砲、連装ミサイル、30ガトリングユニットを同時起動。ラングレーの歩行形態で突撃しながら進路上の戦車に先制攻撃を浴びせる。

流石に反撃が激しい…無傷とはいかない。この後にも戦いが控えてるし、こんなとこで脱落するわけにはいかない。
システム起動、ダメージコントロール。後続の為にも敵戦車の数を減らそう。もう少し耐えて、ラングレー。



●宰相の庭
「こんななにもない荒野に、これだけの戦車を用意するなんてね……」
 見渡す限りの敵軍。馬鹿げた数の車輌。
 まるで戦争でも起こすつもりのようだ、とアビー・ホワイトウッドは感じた。
 ……いや、あるいはブラッドルビー・ヴォーテックスがそれを目論んでいたのか。
 それともこれが、ヴォーテックス一族の平常運転なのか。
 もしも後者だとすれば頭の痛い話だ――なにせいずれは戦う相手である。
 今回は内通者の情報を得ているから、まだやることがシンプルだ。
 だが、敵の全容を掴むところからやらなければいけなくなったとすれば……。
「……とてもフーバーね。嫌になる」
 アビーはうんざりとした気持ちで、ラングレーを発進させた。
 やることは単純だ。ただここを、突破する。

 無事に行けるかは、やってみなければわからない。

 ――KRA-TOOOOOOOOOOM!!
「……チッ」
 装甲すれすれをかすめていった主砲が、ラングレーの真横で爆発する。
 アビーの戦車乗りとしての勘がなければ、直撃していただろう。
 30ガトリングユニットと連装ミサイルを同時起動し、左右に弾幕を張った。
 追撃を警戒しながら加速。荒野の砂塵が舞い上がり、煙幕の役割を果たす。
(ラングレーの調子はいい。むしろ、よくないと困る)
 快調な手応えを返すエンジンをさらにキックし、出力を向上させる。
 BRATATATATATATAT……機銃が地を這う蛇めいて、土煙の向こうのラングレーを追う。
 アビーは敵が照準を定める一秒前に主砲をアクティブにし……発射!

 KA-BOOOOM!!
「これで何両目? うんざりする……」
 残念ながら、無人戦車部隊は容赦してくれない。
 しかもどうやら有人戦車部隊まで増援に駆けつけたらしい。レーダー上の光点が、子供の落書きのような勢いで増えていく。これがヴォーテックス一族の物量か。
「もう少し耐えて、ラングレー。まだここはクライマックスじゃない」
 アビーは愛機に囁きかけ、ただひたすらに戦闘に没入する。
 あとに続く友軍の気配だけが、アビーの心を支えてくれていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水衛・巽
アドリブ歓迎

さて、この広大な荒野を踏破しろとの事ですが
残念ながら無免許でして
無免許は無免許なりに工夫してみたいと思います

そういうわけで式神使いにて白虎を召喚、
自慢の脚で駆けてもらいます
旧世界の資料がどこまで通用するかは未知数ですが
座標が判明しているなら後は障害の排除に専念するのみ

罠やレイダーに遭遇次第、
即座に高速詠唱で迷宮を展開
出口をこちらの進路上に設定することで
それらを壁向こうに隔離し排除します

罠の他に地雷がないとも限りませんので
タイヤ痕や足跡を飛び石の要領で進みます
普通に迷宮を突破されても困りますので
ここはなるたけ速めに通り抜けましょう
片っ端から斬り伏せるには少々、荷が重そうですし



●虎よ、虎よ!
 砲撃で抉られた荒野の地面は悪路も甚だしく、まともな車両では走行もままならない。
 その点で言うと、水衛・巽が考えた「式神で移動する」というアイデアは、むしろ逆にその機動力を高めていた。
 巽を背に乗せた白虎は、そのむっちりとした筋肉を躍動させて荒野を駆ける。
 はたから見れば荘厳さを覚えるほどに美しい景色であったろう――ここに蔓延るのが、侵入者を滅殺する戦車の群れでなければ、だが。

 KRA-TOOOOM!! KA-BOOOOM!!
 砲撃が降り注ぐ。爆炎はむしろ、巽と白虎の姿を敵から覆い隠してくれた。
「……そろそろ頃合いですね」
 巽は剣指を口元に当て、密教の真言を唱える。
「――埋め尽くせ、天空」
 すると見よ。巽を中心に天地に複雑な紋様が広がり、それは空間に干渉した。
 円柱型の空間にわだかまるのは、漆黒の闇。これこそ凶将・天空の喚ばう魔境。
 見えざる迷路は敵の攻撃を阻み、巽に進むべき道を示す。
「とはいえ、あれだけの数です。迷路を突破されても困りますね」
 闇の障壁の強度は並ではないが、なにせ相手の数が数である。
 目的地もわかっている以上、ここでのんびり立ち往生するのは時間の無駄だ。
 出来るだけ敵を殲滅する……という考えも浮かばないでもなかったが、
 まさしく焼け石に水。ここで雑魚をいくら散らしたとて、意味はない。
「痕跡がある場所を選んで進みなさい。そこには罠がないはずです」
 白虎はぐるぐると喉を唸らせ、タイヤ痕やレイダーの足跡を飛び石めいて渡る。
 やや遅れて、背後で機雷の爆発……上を通り抜けると反応するタイプか。
 気づかず踏んでいれば即座に爆発していただろう。即死とはいかずとも無視できぬダメージを負っていたはずだ。
「これだけの兵力を割いてまで守りたいアジト、なのでしょうか。
 ……いや、そんなはずもないか。この程度はあって当然の物量ということ……」
 ヴォーテックス一族は、オブリビオン・フォーミュラに連なる存在である可能性が高い。
 仮に一族の頂点がフォーミュラであるとすれば、ブラッドルビーをはじめとする幹部級はかなり手強い敵になるはずだ。
 何もかも仮定に過ぎないが、そう思わせるだけの物量がここにはある。
 そしてこれも、ヤツらにとっては特別強力な防衛線というわけではないのだろう。
「……骨が折れますね。毎度のことですが」
 巽は嘆息しつつ、白虎の制御に意識を集中させた。
 闇の向こうから香る荒野の風は、来る戦いの激しさを予感させる――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

矢来・夕立
…シゴトの最中ですよ。勝手に死んだやつのことなんか考えてたらオレまで死にます。

進行方向へ『幸守』と『禍喰』を向かわせる。
平地なら地上すれすれ、渓谷や高台なら高所。
目的はトラップの発見、可能なら誤作動。
あちらの罠を利用して戦車部隊にダメージを与えるよう仕向けられれば最高ですね。

足ですが、やっぱり自前にします。
【紙技・炎迅】。自動二輪車を作成。
コレすると操縦技術も上がるんで、解除できなかった罠を回避して進めるかもしれません。

レイダーについてはスルーしたいとこです。
あちらは荒野用の何某か、こちらはバイク。ぶち当たったら負けます。
やむを得ないなら手裏剣で仕留めましょう。
後ろの席が静かだと捗りますね。


ラブリー・ラビットクロー
沢山の仲間たちが駆けつけてくれたぞ
すっごい嬉しーのん
みんなありがとぉ
みんなカッコよくてステキ
らぶもらぶなりに頑張らないとなんな

座標をマザーのアプリ【GearMAPs】に打ち込むぞ
移動は勿論ししょーから貰った立ち乗り戦車ラビットギア
それじゃー出発しんこーなん
《地図データが最新ではありません。ネットワークに接続できません。ルートと実際の道が異なる可能性があります》
ゴーゴー!

荒野はいつも見る風景
でもちゃんと耳を澄まして行くぞ
音がすれば直ぐに気づく筈
敵がいそーなら煙幕タンクに換えたラビットブレスで視界を邪魔しちゃえ

あっちの方から恐い音!戦車が来るなん!

仲間に情報伝えて援護するんだ
《次の信号を右折です》


朱酉・逢真
心情)はいはい、ちィとお邪魔しますよっと。やァだねぇ、なんてェ危険な道だよ。俺が行ったらいっぱつで粉みじんだぜ。なンで、お前たち。俺が通れるよォ道しいとくれ。
行動)鳥獣虫、かわいい《仔》ども。お行き。食らいて殺せ。殺され壊せ。罠はみずからかかって潰せ。レイダーは仲良く食らって殺せ。戦車は隙間に詰まって壊せ。砲塔つぎつぎ飛び込んでおやり。お前たちの死体で道敷いとくれ。腐毒の血肉で染めとくれ。俺は青ざめた馬にでも乗って、その上をのんびり通っていくよ。



●生きることと、死ぬことと、仲間のこと
「ふんふんふん、ふんふふーん……」
 砲撃が飛び交う戦場には、いささか似つかわしくない鼻歌。
 ラブリー・ラビットクローは、緊張を保ちながらも上機嫌でいた。
「たっくさんの仲間が一緒に戦ってくれるって、すっごい嬉しーのん!
 油断しちゃダメだけど、カッコよくてステキなみんなに負けられないなんな!」
 ラブリーは、オブリビオンどもの所業に怒りを燃やしていた。
 平和に暮らす人々の拠点を、なんの理由もなく破壊しようとするレイダー。
 そして、奴隷を虐げるヴォーテックス一族。
 何もかもが、自由を愛するラブリーにとって許せない悪行だ。
 そんな彼女にとって、これだけの猟兵がともに戦ってくれるという事実は、
 たとえ彼らが同じ義憤で戦っていないとしても、喜ぶに値することだった。
「マザー、座標は打ち込んでおいたのん! 案内よろしくなんな!」
《地図データが最新ではありません。ネットワークに接続できません。ルートと実際の道が異なる可能性があります》
「問題なっしんぐなのん! ゴーゴーなんな!」
 立ち乗り戦車ラビットギアに乗り、ラブリーは砲撃の雨の中を駆け抜けていく。
 怖くはない――先を征く猟兵たちが、道を切り開いてくれている。
 後ろにも、横にも。言葉を交わさずとも連携できる猟兵たちが居るのだ。
 仲間とは素晴らしい。生きていることは素晴らしい。
「ぜーんぶやっつけて押し通るのん!」
 だから、ラブリーの行く道に、恐れはない。

 ……一方で。
「…………」
 式"紙"で創り出した自動二輪を駆る矢来・夕立の目は、氷のように冷たい。
 心は落ち着き、頭も冷えている。こういう仕事をやるときには最適のコンディションだ。
 いつも以上に目と耳が冴えているおかげか、地雷の場所もすぐにわかる。
(少し派手に動いて、戦車を惹きつけるか)
 夕立はわざと大げさにドリフトして、土煙を派手に巻き上げた。
 無人戦車が数両、明らかに派手すぎる夕立の動きに反応して狙いを定める。
 舞い上げた土煙に紛れるように身を低くし、地面すれすれまでバイクを傾ける。
 DOOOOOM……主砲が頭上を通過。荒野が爆ぜてさらに土埃を増してくれた。
「小回りで負けるつもりはないですよ」
 さながらビッグウェーブをくぐり抜けるサーフィンめいたドライブテク。
 無人戦車部隊がそれを追う。上から見ると鴨の親子の何かのようだ。
 プロフェッショナルならば引っかかるまい。機械の限界など所詮こんなもの。
 夕立は大型地雷をギリギリのところでジャンプし躱す、と同時に一気にフルスロットルで加速し、予想爆発範囲から離脱した。
 ぴったり1秒後――KRA-TOOOOM!! 機雷を踏んだ戦車部隊が爆発炎上!
「……後ろの席が静かだと捗りますね」
 あれだけの砂塵を巻き上げておきながら、夕立の服は一切汚れていない。
『紙技・炎迅』は、単に乗り物を作るだけでなくそのための技術も提供する術式。
 どこかのお調子者がタンデムしていたら、こんな動きは出来なかったろう。
 もっともそのお調子者も、とっくに……夕立は頭を振った。
(シゴトの最中に、勝手に死んだやつのことなんか考えてられるか)
 友と呼べる少年が居た――過去形だ。もう彼は居ない。勝手に消えた。
 夕立は不必要なほどに加速する。スピードの風で雑念を洗い流そうとする。
 頭も目も耳もいつもより冴えていて、だからか余計なことを考えてしまう。
 戦場でよそ見は命取りだ。ましてや死人のことを考えるなど。
「行け」
 コウモリ型の式紙を放ち、センサー代わりにしながら、ただ前を目指す。
 仲間など要らない。殺すのにそんなものは必要ない。
「……さっさと終わらせたいな、この仕事」
 だから、夕立の行く道に、無駄はない。

「――ひひひ」
 もうひとり。空から戦場を見下ろす者が居た。
 黙示録に記された《青ざめた馬》にゆるりと乗る男、朱酉・逢真。
 陰気な笑み。存在自体が凶兆たる禍神。死と病毒と腐敗を司る神(もの)。
「地上(した)は騒がしいねェ、あンなのに俺が混ざったら木っ端微塵だぜ。
 だからよ、お前たち――俺が安心して通れるよォに、"道"を敷いておくれよ」
 煙管からふう、と紫煙を吐き出すと、それは鳥や獣や虫に変じた。
 いずれも毒を持ち、病を運ぶもの。つまり、禍神の眷属である。
 鳥はレミングスめいて斜めに地面に落ちて、地雷を誘爆させて死んでいく。
 獣はレイダーに飛びかかり、その皮を剥いで肉を食み骨を齧って殺す。
 虫は戦車の隙間に大群となって滑り込み、回路を食って砲塔を潰す。
 死体が連なる。それが道だ。腐毒の道こそが神の征く道だ。
「ああ、まったくかわいいぜ――いのちってのは、これだから」
 死にゆく眷属たちは美しく、いとおしい。
 悲鳴を上げて死んでいくレイダーどももまた、可愛らしい。
 そして――嗚呼、あれだ。生きるものと、死を撒き散らすもの。
 目を輝かせて、正しく滾る炎を活力にしてひた走る少女と、
 昏く鋭い目で、淡々と死を与え、死を踏みしめていく少年。
 何もかもが両極端な……だが、同じ生命の埒外にあるもの。猟兵。
「こォんな《死》ばかりの場所で、なんともきらきら輝いちまってよぅ。
 ああ、やっぱりいいもんだ。"いのち"ってのは、どうしようもなくかいらしい」
 神は死を振りまくものである。終わらせ、刈り取り、迎えるもの。
 逆説的に、男は生を肯定する――死と終わりと静寂をもって"いのち"を愛でる。
 怒り。殺意。希望。諦観。信頼。拒絶。前進。停滞――どちらも、どれも、愛おしい。
 奇しくもふたりの猟兵の姿は、生命としてまったく対照的だった。

「あっちのほうから怖い音――って、これなんなのん!?」
 空から落ちてきては死んでいく鳥・獣・虫の屍の列は、ラブリーを驚かせた。
 しかし、害意は感じられない。むしろ道を教えてくれるように思えた。
 当惑しながらも、ラブリーは意識を敵に集中させ、火炎放射器で戦車を攻撃する。
 戦車の主砲がラブリーを向く――いや、向いた。過去形だ。
 照準が定められる1秒前、砲身に何かが鋭く投げ込まれ、そして爆発した。
 それが夕立の投げた手裏剣であることは、ラブリーにはわからない。疾すぎるからだ。
「……やっぱり頼りになる仲間がいると、安心出来るのん!」
 ラブリーは囮を務めることにした。姿は見えないが、たしかにこちらの位置と存在を認識、そして同時に援護してくれる気配がある。
 耳を使って敵の位置を探り、ラビットギアの小回りで戦車の機銃を避ける。
 罠のことは気がかりだが、"マザー"のナビゲーションとキイキイというコウモリの鳴き声が彼女を導いてくれた。
 狂ったように鳥が空を舞っている。青空は眷属の群れで覆われていた。
「……色んな鳴き声がするのん」
 ラブリーはウサミミ型の偽神兵器をぴこぴこと動かした。
 心をざわざわさせる喧騒が戦場を覆っている。害意はないが恐ろしさがある。
 腐毒の甘ったるい匂いはガスに似る。振り返らず進めと言われているような気がした。
「……絶対、奴隷にされた人たちも助けるのん! このまま直進だ、マザー!」
《次の信号を右折です》
「そんなものないから、まっすぐでいいのん!」
 土煙を上げて、ラブリーが走る。それを支える、見えないカゲがいる。
(楽でいい。やっぱりこういうほうが、オレには合っている)
 同じ戦場にいて、同じ目的に向かい、肩を並べて戦いながら、その距離は遠い。
 少なくとも夕立にとってはそうだ。そうであるように考えている。
 誰にも気取られることなく、誰にも顧みられることなく、誰にも悟られることなく。
 カゲに忍びて不可知なる死をもたらす。これが、一番性に合っている。
 なにより、楽だ――ああ、とても具合がいい。頭はいつも以上に冴えていた。
(しばらくはあの騒がしい人についていくとするか)
 夕立は昏い影の中にいた。最初からそうであるべきだった場所に。

「さァさ、お行き。しゃにむにまっすぐ進んで、殺して壊して踏みしめな」
 青ざめた馬の背なに乗る男が言った。
「"いのち"ってのァ、そうあるべきさ。ひひひ」
 そのあとには、ただ死だけが遺った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『機餓獣兵』

POW   :    Carnivore Machine
戦闘中に食べた【生者の血肉】の量と質に応じて【餓獣機関の作用が活性化。機動性向上により】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    Code of Lykaia
【捕食と破壊を求める餓狼の如き様態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ   :    Bestial Analyzer
【命を舐め取る獣舌と、獣牙による噛みつき】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【習性と味】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。

イラスト:100

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 移動する巨大な鳥かご、とでも呼ぶべき物体が、そこにあった。

 戦車を何百台も集めて結びつけて、その上にバカでかい檻を乗っけたような。
 そういうシンブルで、粗雑で、だが耐久性は折り紙付きの、動く牢獄が荒野を征く。
 マンマ・ブリガンダから得た情報がなければ、特定は出来なかっただろう。
 奴隷の牢獄が自立走行するなど、どうやって見つけろという話だ。

「助けてェ!」
「もう嫌……」
「帰りたい、帰りたい帰りたい帰りたい……」
 僥倖というべきか、囚われた女奴隷たちはさして傷ついてはいなかった――もちろん、囚われの生活による精神的消耗などは別の話だが。
 おそらくこの移動牢獄は、ヴォーテックス・シティで取引する"品物"を保管しておくための『倉庫』なのだろう。
 手枷足枷を嵌められた女たちは、鉄格子を揺らす者もいれば、何もかも諦めてうなだれる者もいる。
 もしも彼女らが、ブラッドルビーの手に渡ってしまったとしたら。
 ……猟兵が間に入らなければ、彼女らを待っていたのはさらなる地獄だったことは間違いない。

 このミッションでは、考えるべき要素がふたつある。
 ひとつは、この牢獄そのものを構成する無数の戦車部隊だ。
 まずこの戦車部隊を叩き潰し、牢獄自体の移動を止めねば、救出はままならない。
 しかし戦いを挑めば、これまで以上の弾幕が猟兵を襲うだろう。
 そしてもうひとつ――それは、ケージの中をさまよい歩く『機餓獣兵』だ。
 機械でありながら獣の相を持つこれらは、"いまのところ"奴隷たちには手を出していない。
 商品なのだから当たり前だ――だが、ずっとそうとは限らない。
 乱戦になれば奴隷たちを巻き込む危険があるし、さらに『機餓獣兵』が奴隷たちを喰らって力を増すおそれもある。
 敵の行動を許さず、かつ奴隷も巻き込まない、迅速かつ正確な強襲が必要となるだろう。

 どちらのプランであれ、戦車部隊および『機餓獣兵』の反撃は熾烈だ。
 面倒ならば、奴隷など気にせずまるごと吹っ飛ばしてしまえばいい。そのほうが話が簡単ではある。
 奴隷たちを救おうとするならば、困難な道を征かねばならない。
 世界は美しいほどに公平だ――得ようとすれば同じだけ苦難を与える。

 そこにある命を無視して、目的を果たすか、
 それとも、荒野で何の意味もなさない倫理や道徳を優先し、難行に挑むか。
 どうあれ世界は変わらない。オブリビオンの依頼なのだから、あえて猟兵をなじる者とて居まい。
 ここはそういう世界だ。だから、多くの者がその"うつくしさ"に屈してきた。
 猟兵たちの選択や、いかに。

●プレイング上の注意
『1.戦車破壊』
『2.獣兵殲滅』
 お好きなほうを選んで、プレイング冒頭にご記入ください。
 奴隷を出来るだけ助けようとする場合は、判定難易度が多少上がります。

●受付期間
 2021/03/26(土)18:59前後まで。
●業務連絡
 すみません、上記受付期間の曜日が間違ってることにいま気付きました。
 お詫びとして、プレイング受付は【03/27(土)08:30前後】までに延ばさせていただきます……。
アルトリウス・セレスタイト
『1.戦車破壊』
速やかに止めてしまうか

戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

顕現にて討つ
自身を無限加速して檻の中央へ
虜囚と味方へ創造、戦車へ破壊の原理を行使
虜囚全て保護できるように『再帰』にて範囲を必要なだけ拡大

以後その場で保護しつつ戦車に打撃
纏う十一の原理を廻し、無限量の圧を乗せた打撃を無限加速して目につく端から破壊
放っておいても壊れるだろうが早いに越したことはない

獣兵は気にしなくても被害はないはずだが、虜囚が恐怖しない程度に牽制程度しておく

※アドリブ歓迎



●すべてを砕け
 無数。
 荒野を征く戦車の数は、まさしく無数――数えるのが億劫になるほど。
 この荒れ果てた世界のどこに、これだけの資源が眠っていたというのか。
 もしもこの戦車を構成する金属や部品を、別の形で有効活用していたなら、
 はたしてどれだけの人々を……いや、どれほどの拠点を救えるだろう?

 そんな思いに駆られてしまいそうなほど、移動監獄の戦力は過大であった。
 これでさえ、ヴォーテックス一族にとっては本拠地たりえない。
 最悪捨て去ってもいいアジトのひとつでしかないのである。
「無駄遣いの得意な一族のようだ。ならば、すべて破壊する」
 アルトリウス・セレスタイトは原理の力をその身に纏い、戦車を拳で破壊する。
 分厚い鋼を紙くずのようにひしゃげさせ、爆発を起こす。
 ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ……。
 飛び石めいて戦車を渡る速度は俊敏で、砲撃が追いつかないのだ。
『AARGH!!』
 だが、鋼の獣兵は違う。
 餓えたハイエナのようにだらしなく舌を晒し、アルトリウスを追って跳躍する。
 数は5。アルトリウスが跳躍した瞬間、そのうち2が左右から飛びかかった!
「躾のなっていない畜生どもめ」
 アルトリウスは空中で身体を捻り、戦車砲撃をギリギリで躱す。
 そして回転の勢いを乗せた蹴りが、左から襲いかかる獣兵の頭部を砕いた。
 右獣兵が腕に噛みつこうとする――アルトリウスは蹴りの衝撃でそちらに加速。
 敵が口を閉じるより先に、口蓋を無限量の圧を乗せた打撃でぶち抜いた。
 パカンッ、と頭部が砕け、鋼と肉が混ざりあったミンチが荒野に飛び散る。
『AAAARGH!!』
「来るなら来い。どのみちお前らもすべて破壊する」
 残る3の獣兵を、アルトリウスは挑発的に手招きして誘った。
 突然の戦闘に、檻の中からは怯える奴隷たちのすすり泣きが聞こえる。
 それを止める最高最善の方法は、一刻も早くすべてを破壊すること。
 アルトリウスの拳が、立ちはだかる鋼と獣を閃光にように砕いていく!

大成功 🔵​🔵​🔵​

クロゼ・ラビットクロー
1.戦車破壊
【兎爪】
ラブリーのことはラビィと呼ぶ
ラビィ以外には敬語だけど適当で可

いっけない遅刻遅刻
ラビィはどこ行ったんだろ?
ま、僕は僕の仕事をするか
戦車を結び付けて運用してるのか
崩壊前の世界の歴史小説でこんなのあったな
レンカンノケイだっけ?
車酔いには効果ありそうだけど、火には弱そうだなー
でも人命優先なんで火は使わないけどね

低い地形に伏せながら攻撃しないと死ぬなこれ
【グレネード】“対戦車擲弾”で履帯を狙っていこう
一台行動不能にする度に移動牢獄の速度が落ちるって寸法だ
なにせ全部つながってるからなあ…

でか過ぎるから一部にしか影響ないかもしれないけど
ラビィならこの状況を活かして行動できるはずだ


ラブリー・ラビットクロー
2
【兎爪】
助けを呼ぶ声が聞こえる
みんなを助けなきゃステキなセカイは作れない
誰かが悲しむセカイなんて意味ねーのん!
らぶはヒトのユメを叶えるショーニンなんな!
おい機械のモヒカン
ぶっとばしちゃうぞ!らぶが相手だ

出来るだけ檻を壊して捕まったヒト達を避難させるぞ
敵がもし女の人達を狙ってきたら翼を広げて邪魔して守るなんな

数が多い
らぶ一人じゃないから思うよーに戦えない
どーしよー
このまま負けちゃうんだ!?
あれはししょー?来てくれたんだ!
ししょー!

ししょーが戦車を撃つ毎に大きく揺れる筈
みんな一箇所に固まるんだ
らぶは翼で飛ぶから大丈夫
ししょーもっと派手に揺らしちゃえ!
その隙にビー玉をばら撒いてバットで反撃なんな!



●その耳に届くのは
 ラブリー・ラビットクローの頭に生えたウサミミ型偽神兵器が、ぴくりと震えた。
「……聞こえる」
 助けを呼ぶ声。
 苦しみを訴える声。
 何もかもを諦めたものの息遣い。
「……助けなきゃ。みんなを助けなきゃ、ステキなセカイなんて作れないんな!」
 だが、そのためにはどうすればいい。ラブリーは必死に考える。
 敵を倒す――それはシンプルだ。たしかにそれは正解ではある。
 しかし、あの声が……救うべき人々が、その敵のそばに囚われているのだ。
 なによりも、監獄は移動している。それを牽引する戦車部隊は防衛戦力でもある。
 迂闊に近づけば、砲撃の弾幕に呑まれて骨すらも遺さず消え去るだろう。
「らぶは、らぶはヒトのユメを叶えるショーニンなんな……だから!」
 ラブリーは、捨て身で移動監獄に飛び移ろうとさえ考えた。
 彼女ひとりならば、そうするしかなかっただろう。

 ――しかし。
 ここには、猟兵たちがいる。彼女とともに戦う仲間たちが。
 そしてその仲間に、ラブリーにとってもっとも頼りになる男が加わるのだ。
「……!」
 ラブリーの頭から生えたウサミミが、もう一度ぴくりとした。
「ししょー!」
 聞こえてきたのは、助けを求める声ではない。
 聞き慣れた男の、的確で精密な援護射撃の音だった!

「ラビィは見つからないけど……でも、あいつならきっと突っ込んでいくはずだ」
 荒野の岩陰に伏せたクロゼ・ラビットクローは、静かに言った。
 相棒の考えは手にとるようにわかる。彼女はまず人命救助を優先するだろう。
 ならば、そのために自分が出来ることは何か。
 ――それは、彼女の、ラブリーの道を切り開いてあげることだ。
「さすがに火は使えないな。けど、それならそれでやりようはあるんだよ」
 KBAM!! と、グレネード弾が命中した戦車の履帯が爆ぜた。
 衝撃で戦車は横転し、隣で走っていた別の戦車を巻き込んで爆発する。
「レンカンノケイ、だっけ? 全部つながってるなら、そうなるよね」
 KBAM!! KA-BOOOOOM!!
 それは敵の軍勢の巨大さに比べれば、豆粒ほどの小さな種火だった。
 しかし、大きな山火事も、始まりは小さな火花である。
 クロゼの起こした種火は、少しずつ、確実に、鋼の軍勢を燃え広がっていく。
「ラビィなら、これを活かして動けるだろ。僕は僕の仕事をするだけだ」
 それは、ただの無鉄砲や、無理強い、あるいは無茶振りではない。
 相棒の力量と、その信念を信じているからこそ出来る、無言のコンビネーション!

「おい、機械のモヒカンども!」
 そしてクロゼの信じた通り、ラブリーはチャンスを掴み取っていた。
 戦車部隊の走行が妨害されたことで、移動監獄の速度が一時的に低下する。
 砲撃弾幕の隙を突き、彼女はその身体能力で監獄に飛び移っていたのだ!
「ぶっとばしちゃうぞ! らぶが、相手だ!!」
『『『AAAARGH!!』』』
 よだれを垂らす獣兵の群れは、新鮮な獲物を求めてラブリーに飛びかかる。
 ひとりであれば、この数の敵には抗いきれないだろう。
 しかし……KA-BOOOM!! 再びの爆発! 移動監獄がぐらりと揺らいだ!
「もらったー!!」
 クロゼの援護射撃により起きた振動で、飛びかかろうとした獣兵どもが体勢を崩す。
 ラブリーはその隙にバットを振り回し、獣兵の頭を叩いて砕く、砕く! 砕く!!
「みんな、一箇所に固まるんだ! らぶとししょーが、助けてあげるのん!」
 ラブリーの言葉に、諦めかけていた奴隷たちは逃げるように隅へ集まった。
 ラブリーは翼をはためかせて、砲撃による振動の影響を回避する。
 そして獣兵の頭を砕きながら大きく垂直飛行し、ビー玉をばらまいた。
「こいつで、いちもーだじんなのん!」
 SMAASH!! バットで打ち出されたビー玉が、散弾めいて獣兵を貫いた!
 折り重なるようにして斃れた獣兵の残骸が、大きく爆発を起こす。
「おお、やってるやってる。よし、うまくいってるみたいだな」
 遠くからでも視認できるほどの爆炎を目視し、クロゼは満足げに頷いた。
 声も姿も届かない距離でも、ふたりならば何も問題なく意思疎通することが出来る。
 それが、兎爪(ラビットクロー)の本領なのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陸郷・める
【1.戦車破壊】
☆7号……、どうする?
★あァ?どうするかって?決まってんだろ、『全取り』って奴だ。
だいたい、お前は端からそのつもりだろうが。やりたいようにやりゃいい。
☆……うん。(UC発動、限界突破、リミッター解除)
★UCで装甲・火力強化し、連中の進行方向へと砲撃、地形をぶち壊して連中の進行を邪魔して、ついでにこっちに攻撃を向けさせるぞ。つまりは囮だ。
どうせ他にお人好しやそういうプロの連中がいんだろ?
女共を“奪う”役目は譲ってやる、戦車は任せときなァ!
こっちの損傷なんか気にすんな、める「を」死なせるつもりはねぇし、戦車もどうせ要修理だからなァ!

まあ奴隷を巻き込まねぇなら砲撃もぶち込むがな



●奪う、壊す、殺す
 ――KRA-TOOOOOM!!
『ヒャッハー! どれだけ数を揃えようが性能が違うんだよ性能がァ!』
 陸郷・めるの操る戦車から、レイダーそのものの声が響く。
 生体脳の"7号"は、いつになくハイテンションで暴れまわっていた。
 砲撃が荒野の地面を抉り、月面のクレーターじみた隆起を生み出す。
 無人戦車部隊はその窪地に足を取られ、隊列を乱す……そこが、狙い目だ。
『オラオラオラオラ! 吹っ飛べ吹っ飛べ吹っ飛べェ!』
 KRA-TOOOM!! KA-BOOOM!!
 底面や側面を晒した戦車から順番に、戦車砲が容赦なく吹き飛ばしていく。
 戦車乗りだからこそ、戦車の何処を狙えば破壊すればいいかはよくわかる。
 無人戦車は統率されたシステムによって一糸乱れぬ動きを可能とするが、
 経験と判断力においてはめるが勝る。ようは、ゲリラ戦だ。
「……どれいの"だっかん"、上手くいってるみたい」
『おォ、そうでなきゃなァ! "奪う"役目は譲ってやってんだ!』
 めるの言葉に、7号は愉快げに言った。
『そのぶん"壊す"のが俺たちの仕事だ、敵をたっぷり惹きつけねぇとな!』
「うん……でも、ほんとうにうまくいくかな」
『"全取り"がか? そりゃ――聞くまでもねえだろうよ!!』
 KRA-TOOOM!! 反撃の弾幕の中を、めるはジグザグに走行する。
 無人戦車部隊はふたりの思惑に引っかかり、砲撃を集中させていた。
 敵の攻撃を惹きつける囮としての役割を、彼らは完璧にこなしている。
『お前だってハナからそのつもりだろ? 違うか、えぇ?』
「……ううん、そうだよ。だけど……」
 これほどの規模の部隊は、めるでも経験がない。
 あのヴォーテックス・シティでの大立ち回りを思い出させられる。
 ゆえに、戦車乗りとしての冷静な思考は、合理的判断をすべきだと考えていた。
 そこを後押ししてくれたのは、7号のシンプルな言葉だ。
『さっきも言っただろうが、お前はやりたいようにやりゃいいんだよ!』
「……うん!」
 めるは勇気づけられ、砲撃の中をさらに荒々しく、無謀なまでの動きで走る。
『どうせ戦車(こいつ)は要修理なんだ、いくら壊れようが関係ねぇ!
 安心しろよ、お前"は"死なせるつもりはねぇ……全員返り討ちにしてやらぁ!』
 KA-BOOOM!! DOOOOOM!!
 戦争のような砲声が鳴り響く。嫌味なくらいに慣れ親しんだ喧騒だ。
 数で勝るはずの戦車部隊にないものを、ふたりは持っている。
 それはつまり、奪還者としてのプライドとでも言うべきものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム
『2.獣兵殲滅』

蛮人ゆえ、倫理や道徳はわかりませんが
ただ心のまま、そこにある命を助けます

目的を同じくする仲間と協力
奴隷を助けつつ、獣兵殲滅を倒していく

予め【情報収集】し戦場を把握、
【勇気】を胸に【ダッシュ】で強襲、
迅速に敵殲滅にかかります

風の【属性攻撃】を宿した武器の一撃で【吹き飛ばし】、
奴隷たちから獣兵殲滅を離し、以後は奴隷と獣兵殲滅の
間に立つようにして戦います

敵からの攻撃は回避せず【見切り】、【カウンター】。
できないときも【オーラ防御】【激痛耐性】で凌ぐ
けして犠牲は出さない。必要あれば【かばう】

こちらからの攻撃は【鎧砕き】の重い一撃を
好機とみれば《麗掌破魂杭》を叩き込み倒していく
速攻を意識



●獣とけだもの
『AAAARGH!!』
 機械でありながら獣であるという、実にいびつな生命が吠える。
 鋼で出来た口蓋からよだれを撒き散らし、奴隷を捕食しようと飛びかかった。
「させません!」
 ユーフィ・バウムはその直線上に割り込むと同時に、腹部を蹴り飛ばす。
『GRRR……!!』
 ごちそうをお預けされた獣兵は、錆びた鉄格子にバウンドし着地した。
 ユーフィはさらに周囲から襲いかかる獣兵を、嵐のような反撃で叩きのめす!
「ひいいいっ!」
 やせ細った女が、その暴力の荒々しさを恐れて頭を抱えて縮こまる。
 ユーフィに、顧みる余裕はない。敵の数が多すぎるからだ。
「あなたたちの欲しいものは、いっぺんたりともくれてやりはしませんよ」
 ユーフィの剣幕……戦士としての気迫に、獣兵は気圧されるように後退った。
 包囲網が、わずかに開く。ユーフィはその隙を逃さず、地を蹴って接近!
「絶対に、犠牲は出させません!!」
 倫理だとか道徳だとか、そういう文明的なものは彼女にはわからない。
 ただ、此処に居る女性たちを殺させたくない、という純粋な思いがある。
 蛮人が戦うには、それで十分だ――命を賭けるに十分値する。
 ユーフィは我が身を盾とするのも惜しまず、餓えた獣兵を拳で叩きのめす!
『AAAARGH!!』
「やあっ!!」
 ユーフィは腕に噛みつかれた瞬間、逆に腕を突っ込むことで敵の喉を破壊した。
 強烈すぎる膂力は鋼の胴体をぶち抜き、後ろに居た獣兵の頭蓋をも砕く。
 オイルと血とよだれを振り払い、泥まみれの蛮人少女が跳ぶ。
「わたしの前に立ちはだかるなら、すべて叩き潰すまでです!!」
 奴隷たちは、ただ頭を抱えて震え続けた。それは、好ましいことである。
 下手に逃げ回られたりしたら、ユーフィにはかばいきれないからだ。
 感謝も何も必要ない、これは義務や責任感でやっていることではないのだから。
 若き蛮人少女の背中は、柔らかくも勇敢で、そして峻厳である――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
2.獣兵殲滅
アドリブ・連携・絡み歓迎!

あ!ほら撃ってきてるよ!避けて避けて!
アハハッ!すごいよねえ
使い道はともかくあんなのを走らせるなんて
面白い!
あ、当たらないでね
みんなを乗せて帰るんだから

●見えない怪物
攻撃?もうしてるよ
こんな話があるんだ
ある世界、ある日、ある詩人が白昼公然と怪物に貪り喰われたんだって
みんな大層驚き、恐怖で凍りついたそうだよ
なんでかって?
人が貪り喰われるのはもちろん恐ろしい光景だけれど
一番の理由はね―――怪物は人の目には見えなかったんだ

さあ召し上がれ
UC使用による98体の何もかもすり抜けるが機餓獣兵だけを貪り喰う[餓鬼球]くんの一斉同時お食事タイム
怪物はほら、キミの後ろにも!



●狂える詩人の話
「な、なんだぁこりゃあ!! 戦車がとんでもねえ数走ってやがる!」
「ヴォーテックスシティに居たキミでも、驚くぐらいの数なんだねえ?
 あ、言っておくけどここで引き返すとかはナシだからね、アハハハハ!」
「ですよねこんちくしょう! 絶対死にたくねぇ!」
「そうだよー、当たったりしないでね。これ、必要なんだから」
「な、何に!?」
「助けた奴隷たちを乗せるために、だよ。キミはどうでもいいんだけどね!」
「ほんと最悪だなあんたはよぉおおおお!!」
「アハハハハ! 面白いねキミ! アハハハハ!」
 ロニ・グィーはけたけた笑いながら、腕をぶんぶんを振った。
 するとそのたびに、獣兵の群れが見えない何かに貪り食われ、死ぬ。
 "何か"がいる……運転手の元レイダーはその光景にぞっと背筋を震わせた。
「ある世界、ある日、ある詩人が、白昼堂々と怪物に貪り喰われたんだってさ」
 ロニは、まるで怪談を聞かせるかのように運転手に囁く。
「みんなたいそう驚いて、恐怖で凍りついたそうだよ。なんでかわかる?」
「そ、そりゃあ、怪物に喰われるなんてのは……」
「それ"も"ある」
 ロニは意味深な笑みを浮かべた。
「けど、それだけじゃない――だって、一番の理由はまったく違うんだ。
 その怪物は、目には見えないモノだった。姿かたちも何もわからないんだ。
 けれども人々は、"そこ"に怪物がいるとすぐにわかった。人が喰われたからね」
 元レイダーは震え上がった。
 たしかに、"いる"――自分のすぐ後ろにも、気配がある!
「ひいいいい!!」
「見えないものをこそ人は恐れる。不思議な話だよねぇ、アハハハハ!」
 神のしもべは、人の目には捉えることが出来ない。
 いわんや、獣をや――始まったのは一方的な捕食、いや、貪食の時間だ。
「さあさあみんな、たくさんお食べ! 今日はごちそうがたくさんだよぉ!」
 神の許しを得た不可視の怪物どもは、それはもう喜んでごちそうに食らいついた。
 飛び散る血とオイルとガラクタの残骸を浴びて、痩せこけた女たちは震え上がった。
「もうやだ、俺帰りてぇ……!!」
「アハハハハ、もしかしてキミちびってる? アッハハハハ!!」
 ついでに、不幸な元レイダーも、完全にビビっていた。因果応報である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルヴトー・シフトマン
1

───ある意味賞賛モノだぜ
こうまでオレの神経を逆撫でしやがる連中だったとはな
そっちがその気なら、オレも応じてやるよ
誰一人として生き帰さねえ…許しの代価は命で払いなァッ!!

天狼の体躯じゃ、牢の中で暴れるのにリスクがある
救えねえのは業腹だが、怒り任せの牙じゃ何も為せない
まずは脚を潰してやる
2秒先の景色が、俺に撃つべき位置を教えてくれる
ゆっくり狙う必要も無い──狼は走ってこそだ!派手にやろうぜ天狼ォ!

2丁持ちの銃弾の嵐が、戦車を撃ち抜く
落ちればそれで良し、そうでなくとも装甲はガタガタだ

ふざけたキャラバンは終わりだ
足を止めたなら、人々を守るべき守備的に立ち回る
群れに手を出す奴ァ、誰だろうと潰すッ!



●群れの長(アルファ)として
 群れを率い守る狼は、常に冷静沈着で在らねばならない。
 長が惑い乱れれば、それは必ず群れの統率を乱す。
 ゆえにこそ、常に冷静に、時には冷酷であれ。
 多を生かすためには、ただ強いだけでは避けて通れぬ問題もある――。

 耳にタコが出来そうなほど聞かされた教えの一節が、脳裏を去来した。
 わかっている。これは合理的ではない。だが、いい加減に我慢の限界だった。
「ある意味で称賛モノだぜ……よくもここまでオレの神経を逆撫でしやがる!!」
 ルヴトー・シフトマンは、もはや湧き出る怒りを抑えようとは思わなかった。
「人を人とも思わねえその諸行!! 誰ひとり、何一つ生きて帰さねえッ!!」
 これが、この荒廃した世界の"はらわた"なのだ。
 荒野に君臨せし、ヴォーテックス一族の諸行なのだ。
 ゆえに、許せぬ――許してはならぬ。一振りの牙、気高き狼として!
「行くぜ、天狼……狼は走ってこそだ、派手にやろうじゃねえかッ!!」
 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!!
『飛天揺光』と『黒鉄之雨』の二挺拳銃が、でたらめな量の弾丸を降り注がせる。
 まさしく、嵐だ。戦車部隊の砲撃弾幕よりもなお疾く、そして正確。
 荒野を駆け抜ける乾いた風をも置いていくほどの速度で、天狼が空を舞う。
 遅れて爆発――もはや狼は止められない。憤怒がその身を突き動かす!
「おおおおおおッ!!」
 馬鹿げたほどの敵の数は、この状況にあってむしろ好都合だった。
 なにせ、狙いをつけずともどこかに当たる。盲撃ち、というやつだ。
 爆発、爆発、爆発――! 戦車を穿ち壊す、ひたすらに壊す!
 未来予知を視るまでもない。ここは敵のフィールド、だからこそ!
「てめぇらのすべてを! オレと天狼の牙で食いちぎってやる!!」
 そのすべてを破壊するのに、躊躇は必要ない!

『AAAARGH!!』
「来やがったな、けだもの風情が……!」
 餓えた獣兵が、サル山に群れる畜生のように牢獄から飛び出した。
 ルヴトーは煮えたぎった憎悪の瞳で睨み返し、これを無数の弾幕で迎え撃つ。
 KBAM! KBAM!! ――KRA-TOOOOM!!
「何もさせやしねえ。誰も殺させねえし、何も奪わせねえし、攻撃もさせねぇ。
 てめぇらは! バラバラにぶっ壊れて、荒野の塵に変わる以外に許さねぇ!!」
 群れの長として、冷静沈着でなければ守れないものもある。
 だがいまは、群れの長だからこそ――この怒りを、止めてはならない!

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェルト・フィルファーデン
『2:獣兵殲滅』

……させないわよ。
まずは砲弾を掻い潜り空から全速力で牢屋に接近よ。
【空中戦x早業】
すぐさま獣兵が気づく前にUC発動。【先制攻撃】
獣兵同士を片っ端から敵対させていくわ。

でもこれはあくまで【時間稼ぎ。
敵が囚われている人々を襲う可能性を排除するための一手。
そして敵が混乱している間に、全ての獣兵を殲滅するわ!

わたしの体躯なら牢の中に入る事は容易よ。
さあ、わたしの騎士人形よ!全ての人々を救うため狂える獣を屠りなさい!

人々を傷つけるのなら全身全霊を賭けて【庇って護りきる。
これ以上誰一人傷つけさせない。もう絶対に誰も死なせはしない!

まだ間に合う、まだ救える、わたしは絶対に、諦めはしない……!



●小さき少女の奮戦
 この世界の悪党どもの所業は、もう嫌になるくらい見てきた。
 平和に暮らす人々の安寧を刈り取り、
 無辜の人々を奴隷として飼いならし、あまつさえいたぶり、
 ただ愉悦と快楽を求めて殺し、奪い、破壊する。悪鬼どもの業。

 だが、嗚呼、嘆かわしいことに汚濁と悪行に果てなどない。
 フェルト・フィルファーデンは、憤っていた。奥歯を噛みしめるほどの怒りに。
「させないわよ……絶対に!」
 だからフェルトは戦う。戦わねばならぬのだ。
 その小さき身に漲る、この怒りと決意のままに!

「――行きなさい、見えざるしもべたちよ……!」
 フェルトの放ったナノマシンが、餓えた獣兵の頭蓋に殺到する。
 半分機械だからこそ、フェルトの電脳魔術はてきめんに効いた。
『AAARGH……!?』
『GRRR……GROWL!!』
 獣兵どもは自分たちを敵と誤認し、あさましくも喰らい合う。
 獣兵が力を増すためには、「生者の」「新鮮な肉」が必要である。
 オイルと錆びにまみれたその身体は、いくら食っても餓えを満たせない。
 レミングスを起こしたネズミの集団めいて、獣兵は無為なままに喰らい合う。
 まさしく、未来を創り出すことの出来ないオブリビオンの所業であった。
「さあ、わたしの騎士人形よ! 狂える獣を屠り、すべての人々を救うのよ!」
 フェルトは震え怯える人々に声をかけるよりも、敵の殲滅を優先した。
 たかが一言二言励ましたところで、彼女らに刻まれた恐怖は消せやしない。
 むしろこの戦い自体が、彼女たちを怖がらせているのだとすぐにわかった。
 なら自分にできることは、1秒でも早くその戦いを終わらせること。
 恐怖の根源を断ち切り、彼女らに本来あるべき安寧を取り戻してあげること。

 称賛はない。
 感謝もない。
 だが、それでいい――それでいいのだと、彼女は知っている。
「わたしは絶対に、諦めない……まだ間に合う、まだ救えるんだから……!」
 それが荒野に希望の芽を芽吹かせることを、フェルトは知っているのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

グレアム・マックスウェル
1.戦車破壊

命を無視して目的を果たすか
命を救うため難行に挑むか
答は決まっている
「このふざけた世界のルールを改定する」
人命救助もさることながら
何より敵があの醜い哄笑でつけあがるのが気に入らない

引き続き迷彩モードの「VALIS」に搭乗
ただしこちらからの攻撃は人質の安全確保が出来るまで避け
コクピット内から指定UCでハッキングを仕掛け戦車の制御システムに介入
砲弾の射出を止め、動きを鈍らせる
最大で1分半弱
僅かでも時間を稼げれば、仲間が隙をつき逆転することも可能だ

当然敵の防衛システムも抵抗してくるだろう
敵が落ちるのが先か、僕の脳が焼き切れるのが先か
瞬間思考力を駆使し限界突破
運命は、この手に引き寄せる…!



●運命をその手に引き寄せろ
『ガガ、ガガガガ……システムに異常発生、攻撃不可能……』
『防衛システムが破損、全機シンクロ機能ダウン……再起動を要請……』
 耳が破れそうなほどの砲撃のオーケストラが、静まり返っていた。
 無人戦車部隊はぎこちなく砲塔を動かし、システムの再起動を繰り返す。
 大規模なハッキングによるシステム障害が、奴らを狂わせているのだ。
「……残り、55秒……!」
 それは、ステルスモードで潜伏するグレアム・マックスウェルの仕業だった。

 不可視の侵蝕(インヴィジブル・インヴェイジョン)。
 対象の制御システムに介入し、攻撃的ウィルスによって電脳を破壊。
 仮にシステムを破壊できずとも、破損部分からシステムに妨害を起こす。
 グレアムのニューロンと直結した、効果的だが危険なハッキングツールだ。
 敵のICE(論理防壁)がグレアムの不法侵入を探知し、脳神経に攻撃を仕掛ける。
「……ぐ……ッ!」
 グレアムは、『VALIS』の中でがくんと頭をのけぞらせた。
 敵の防衛システムによる攻撃が、脳神経を焼き切るほどの負荷を起こす。
 強烈な頭痛が頭蓋の中で反響し、最悪の気分だ。だが、グレアムは耐える。
「……気に入らない……」
 グレアムの脳裏には、勝ち誇る姿見えぬ敵の哄笑が響いていた。
 こんなものでは、我らの支配はゆらぎはしない。
 この荒野のルールは、残酷な世界の摂理は、何も変えられはしないのだと。
 そんな風に嘲る声が、たしかに聞こえた。幻覚などではあるまい。
「このふざけた世界のルールなんて、すべて改定してやる……何もかもをだ。
 運命は、待つものでも願うものでもない……この手で、引き寄せるもの……!」
 脳破壊のリスクを背負いながらも、グレアムはハッキングを継続する。
 彼自身は動けない。救助行動は、他の猟兵に任せざるを得ないだろう。
 しかしグレアムの妨害行動で生まれた隙を突き、何人もの猟兵が監獄への接近に成功していた。
 これは、無駄ではない。いつかこの世界を根底から変えるための一手だ。
 勝ち誇り、傲然とふんぞり返る『敵』の、その息の根を止める日のための!
「……命も、目的も、僕は捨てはしない……諦めるのは、お前たちのほうだ……!」
 姿見えぬ敵への怒りが、グレアムの意識を繋ぎ止めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水衛・巽
アドリブ歓迎
2.獣兵殲滅

敵に行動を許さず、かつ奴隷は巻き込まず
迅速かつ正確に強襲せよ、とはね

ですがここにきて安牌というのも業腹です
世界はすべてに等しく美しいのなら
お望み通り最後まで美しくあろうじゃありませんか

他の獣兵担当者にあわせ突入
勾陳を降ろし獣兵の注意を惹きます
速く動くものを無差別攻撃する事も
回避されても中断できないことさえ
今はむしろ都合がいい
理性的な判断で奴隷を殺されずに済む

第六感で動きを先読みし
関節やエネルギー機関を狙っての鎧無視攻撃で
的確に黙らせられれば良いのですが

可能な限り奴隷の少ない場所を選び
奴隷脱出完了までは粘ります
殲滅にはこだわらず完了をもって撤退


鳴宮・匡
【冬と凪】「2」


オーケー、任された
あいつのことだから頭に血が上ってそうな感じはあるけどな
一番嫌いな話だろ、こういうの
……まあ、俺も同感ではあるけど

ヴィクティムが戦車を無力化して、中に入る経路を確保してくれるだろう
なら、こっちの役目は決まってる
乗り込んだらまずは、奴隷たちの傍にいる敵から排除していくよ

ヴィクティム、獣兵の前に遮蔽落とせる?
出来れば、奴隷との間を遮る感じでうまくやってくれ
単純な動きしかできない状況なら
前を塞がれれば一瞬、次の標的を探して動きが止まるだろう
一瞬だろうけど――その一瞬で俺には十分だ

悪いな、『強襲』は得意分野なんだよ
……頭から最後まで、お前らの好きには動かせない


ヴィクティム・ウィンターミュート
【冬と凪】

オーオー、でけえパレードじゃねえか
だがダメだな、全然ダメ
ギャラリーが冷めちまうぜ…そんなくだらねえ演目じゃさぁ
ヘイチューマ、ケージん中任せていいかい?
奴隷のこと、頼むわ──"あの馬鹿"もそうしたいだろうよ

さて、人を救うのは俺の仕事ではないんでね
障害を消し去らせてもらうぜ
ハァイ、まずは【ハッキング】だ
戦車のシステムを掌握、搭乗者のニューロンを焼き切る
そいじゃ、こいつは俺の手駒だ。砲撃で他の戦車を落とせ
そしてその残骸も俺が使う
それを使って、同時並行で匡のサポートもやっておく
遮蔽を提供したり、奴隷を護る壁を置いたりな
幸い資源はまだまだ沢山ある

完璧な勝ち以外はいらねえ
だから俺は、妥協しない


リア・ファル
2.獣兵殲滅

大丈夫
キミたちの明日は続く

牢獄へと『イルダーナ』で飛び
機餓獣兵へは電脳魔術によるハッキングでの妨害を
(ハッキング、ジャミング)

後は戦闘行為を行わず、ひたすらに虜囚達を励まし続ける
(操縦、追跡、鼓舞、かばう)

確かに世界は、美しくも残酷なのかもしれない
だけど、その理不尽に塗れようとも
失われることのない眼差しを知っている

ボクの胸の裡の声が
理不尽に抗えと叫び続けているのだから

UC【三界の加護・導きの星光】

祈りよ、囚われし人々と、此処に立つ猟兵達に
魂のみせる輝きを
(祈り)
今を生きる、彼らの明日の為に


ネグル・ギュネス
2.獣兵殲滅

敵は引きつける
血の匂いをふんだんに纏わせた今なら、獣ならば此方を向くはずだ

──だから、今のうちに逃げろ
俺はもう、理性を/怒りを/悪意を抑エ、キレ、ナイ!
願わく、ば

化け物に堕ちる俺を、見ないでくれ

【マレフィクス・トリガー】
鍵が勝手に浮かび、強制的に挿さり起動する
狂戦士たる蝕みの鍵とは違い、機械的に、最適解で殺す

『破壊力、強化』

人質に手を伸ばそうとする獣の手脚を剣で潰す
向かいくる敵をカウンターで殴り付け、衝撃波でミンチにする
持ちうる技能を以って回避受け流し破壊破壊破壊──破滅を齎せ

誰に見られても、怯えられても


殲滅したら、誰がいても足早に去る
怯えさせたく/られたくない


私は、私は────。



●荒れ果てた世界の真ん中で
 機餓獣兵の群れは、牢獄を飛び出し戦車部隊を襲う猟兵にも殺到していた。
 ……しかしその襲撃が、突然ウソのように途切れたのである。
「獣兵が途絶えた……? 全部外に出てきたなんて間抜けな話はないでしょうが……」
 水衛・巽は訝しみ、そして理解する。
 ……獣兵は、牢獄の中に突入した『誰か』に対処を強いられているのだ。
 外に出てくる余裕もなくなるほどに。一体、牢獄の中で何が起きている?
「すぐにでも突入する必要がありそうですね……そのチャンスは、来たみたいだ」
 巽が見つめる先には、見知ったふたりの男が居た。

「作戦は簡単だ。俺が戦車を抑える、そのあいだにお前が突入する。
 もちろん同時進行でそっちのサポートもやるぜ。そのぐらいなら朝飯前だ」
「オーケー、承った。遮蔽ぐらいは用意してくれると助かるよ」
「任せときな。セッティングは得意中の得意だぜ」
 鳴宮・匡に、ヴィクティム・ウィンターミュートは得意げに言った。
 実際、ヴィクティムならば両面作戦も軽々とこなせるだろう。
 ゆえに懸念はない――あるとすれば、牢獄の中のことである。
「"あの馬鹿"、もう暴れてるみたいだな」
「ああ。獣兵が外側に出てないのはそのせいだろう」
「まったく……"そっち"も頼むぜ、匡。まあお前なら心配ないだろうが」
「わかってるよ。……俺も、あいつの気持ちがわからないわけじゃないんだ」
 ふたりは、牢獄の中で起きている事態――正しく言えば"誰が"それを起こしているのかを、なんとなくわかっていた。
 確証があるわけではない……しかし、"彼"ならば此処に来ないはずがない。
 そしてこの暴虐、この悪逆を目の当たりにしたあの男ならば、必ず怒り狂う。
 我を忘れ、己を捨てて、獣のように暴れるほどに。
 奴隷たちに被害が出ている心配は要らないだろう。むしろ懸念すべきは……。
「あんまりヒマはなさそうだ。他の奴らのためにも、始めるとするか」
「ああ。頼むよ、ヴィクティム」
 冬と凪は迅速に行動を始めた。

 ――時間はやや遡る。
「…………そうだ。俺を見ろ。この血の匂いは、抗いがたいだろう」
 じりじりと間合いを見定める獣兵の群れに、"そいつ"は言った。
 血を粉塵と泥とオイルにまみれた男――ネグル・ギュネス。
 その背中は、陽炎をどよもすほどに凄絶で、怒りに満ちていた。
 奴隷たちは怯えた。敵にではない……この男に。男の放つ、殺気に。
 それが自分たちを守るためのものだとわかっていたとしても。
 疲れ果てた彼女たちにとっては、あまりにも刺激が過ぎたのである。
「見ないでくれ」
 ネグルは振り返らないままに言った。
「俺はもう、理性を……怒りを、悪意を……抑エ、キレ、ナイ……ッ!!」
 エクリプス・トリガーがネグルからかそけき理性を奪う。
 同時に眼前に鍵が浮かび上がり、ネグルが触れるまでもなくかちりと合わさった。

 ――マレフィクス・トリガー。
 狂戦士たる蝕(エクリプス)の鍵とは違う、邪悪(マレフィクス)を象徴する鍵。
 それがもたらすものは滅亡であり、根絶であり、破壊である。
 バチバチと黒い雷光が全身からほとばしり……そして、その姿を変えた。
《破壊力、強化》
 無機質な音声が響く。と同時に、獣兵のうちの一匹が飛びかかった。
 狙いはネグル――ではなく、その後ろに守られる奴隷だ。
 肉を喰らって力をつけようというのだろう。浅ましい獣の本性である。

 その頭部が、消し飛んだ。
 ネグルが剣を振るったのである。しかし、その剣戟は獣には見えなかった。
《戦闘、開始》
 黒い影が稲妻のような速度でブレ、そして獣兵四体の首が刎ねられた。
 残った胴体をチョップが叩き割り、その残骸を礫のようにばらまいて牽制する。

 殺戮が始まった。

「これは……!」
 やや遅れてイルダーナに乗ったリア・ファルが到着し、そして絶句した。
 あちこちに飛び散ったオイルと獣兵の残骸、カーボンで出来た"はらわた"。
 それは破壊というよりも、別の怪物が食い散らかしたように無残である。
 奴隷たちは頭を抱えてすすり泣き、完全に震え上がっていた。
「みんな、大丈夫!?」
「あ……あ……」
 痩せこけた女が何かを言おうとするが、喉がひきつって声が出ない。
 それだけ凄惨なものを見せられたのだろう。ショック症状の一種だ。
「痛めつけられた……の、とは違う。これは一体……?」
 リアは思索に耽るあまり、瀕死の獣兵が後ろから近づくのに気が付かない。
 しかしその獣兵の頭部が、駆けつけた匡の銃撃によって吹き飛ぶ。
「気を抜くなよ、リア。要救助者が心配な気持ちはわかるけどさ」
「匡にーさん! ごめん、手間をかけさせちゃったね。ありがとう」
「いや、いいさ。お前が居てくれて助かるよ。ハッキング、いけるか?」
 リアは匡の言葉に、こくりと笑顔で頷いた。
「もちろん! ただ……ごめん、直接戦闘は匡にーさんに任せてもいいかい?」
「……ああ。俺じゃ、"そっち"にはあんまり向いてないからな」
 匡は怯えた様子の奴隷たちを一瞥し、こくりと頷いた。
 誰かが彼女らを守る必要がある。その点、リアは最適な人選と言っていい。
「であれば、私も援護します。敵の注意はこちらで惹きつけましょう」
 ヴィクティムの生み出した好機に乗じた巽が、匡に提案した。
「なら、囮は任せるよ。俺は動きを止めたところを狙撃する」
「それにしても、この有様は一体……」
「……ネグルだろ。あいつのトリガーなら、このぐらいはやる」
 巽の言葉に、匡は端的に言った。
「あいつはあいつでやらせたほうがいい。多分、それが一番いいだろうから。
 ……下手に首を突っ込んだら、戦いの邪魔になるし。まあ、それ以外にもな」
 匡は相棒をよく知っている。どういう思いで戦っているのかも。
 ならばすべきは、援護ではなくその独立独行を任せることだろう。
 本人にすら止められない激情を、余人がどうして止められるだろうか。
 幸い、ネグルの暴虐は、獣兵の多くを惹きつけてくれてもいた。
『ようチューマ、システム同期完了だ。ナビゲートは任せな』
 リアとシステムをリンクさせたヴィクティムの声が、巽と匡にも聞こえた。
「ふたりとも気をつけてね。こっちは任せて!」
 匡と巽はこくりと頷き、敵が集まってこないうちに強襲に移る。
 頼もしい背中だ。だが奴隷たちは、やはり完全に恐慌状態に陥ってしまっていた。
「……大丈夫だよ。キミたちの明日は続く。絶対に、死なせたりはしない」
 目を見開いて震える女性たちに、リアはつとめて穏やかに語りかけた。
「今まで苦しい思いをしてきて、そしてきっと恐ろしいものを見たんだろう。
 でも、それはキミたちを虐げるためじゃない。守り、救うためにやってきたんだ」
「……」
「……この世界は美しくも残酷で、そして理不尽なのかもしれない。
 だけどその理不尽にまみれようとも、失われることのない眼差しを知ってる。
 だからボクも、みんなも、その理不尽に抗って、キミたちを守り抜くから」
「……ぁ……」
 徐々に、女性たちの震えが落ち着いていく。
「怯えないで。キミたちはもう、苦しむ必要も悲しむ必要もありはしないんだよ」
 ほのかな輝きが、リアと女性たちを包み込んだ。
 祈りの輝き。力なくとも、その身と心を守る、星のような温かい輝きだ。
「――願わくば、ボクらだけでなく、戦う彼らにも……明日があるように」
 リアは祈る。女性たちの安寧と希望と未来を。
 ……そして己を削ってまで戦う、勇敢なる男たちの安息を。
 星の光は、この荒れた世界にきらめく小さな灯火を思わせた。

『さぁーて、外の方は順調だ。誰かがすでにハッキングしていたらしい。
 がら空きのシステムはおおよそ奪取した。ゴミはゴミに掃除させるのが一番だろ』
 KBAM!! KRA-TOOOOM!!
 戦車部隊はヴィクティムのハッキングにより、同士討ちを始めていた。
 砲撃がお互いの装甲を破壊し、牢獄を揺らす。無人だからこその欠点である。
『妥協はいらねぇ、俺が求めるのは完璧な勝ちだけだ。だろ?』
「そのためには、私も多少は身を削らなければならないですね……依り憑け、勾陳」
 巽はその身に凶将・勾陳を降ろし、正確さを捨てた超高速移動に突入する。
 あまりの速度ゆえに、この状態に入ったなら巽にさえ動きを止めることは出来ない。
 しかし、今はそのほうが都合がいい――獣の反射神経を超えるには理性は不要だ。
 巽の役目は、獣兵を攻撃しこちらに注意を惹きつけることである。
 仮に致命的な隙を晒したとしても、ヴィクティムのサポートがあれば問題ない。
 そして後方に匡の目がある。これほど頼もしいことはないだろう。
「敵をかき乱します。あとはお任せしました」
「了解。そういうのは慣れてるから、安心してくれ」
 巽は匡の言葉に頷き、迅雷のような速度で敵陣の飛び込んだ。
 ここにもやはり大量のオイルと血痕が飛び散っている。
 まるで、腹をすかせたドラゴンが無秩序に獲物を貪食したような有様。
 ただ理性を捨てただけでは、これほどの荒廃した痕跡を産むことは出来ない。
 どれほどの憤怒と憎悪を燃やせば、ここまで暴虐を働けるのか。
「……本当に無理してるな、あいつ」
 巽の動きを先読みし、生まれるであろう死角を匡が潰す。
 捕食と破壊を求める獣兵の動きは、たしかに疾いがそれゆえに単調だ。
 前で囮を買って出てくれた巽のおかげで、狙撃もやりやすい。
 普段ならば、その役目はネグルが背負うところ。しかし今の彼は……。
「――……気持ちはわかるぜ、相棒。俺だって同感だ」
 隙を晒した獣兵の頭部や心臓部を破壊しながら、匡は呟いた。
 こいつらは気に食わない。義憤だの正義感だの、そういう話ではない。
 好き勝手に奪い、殺し、喰らい、なおあさましく求める――そういう性分が気に入らないのだ。
 だからこれは、ヒーローのようにもてはやされるような善行ではない。
 そんなことはわかりきっている。奴隷たちが恐れるのは敵だけではないのだ。
『奴隷たちのほうはリアがカバーしてくれてる。だいぶ落ち着いたみたいだ』
「そっか。なら、俺たちも派手にやれそうだな」
『ああ。さっさとこの状況を解決したほうが、結果的にはプラスだろ』
 メンタルケアは彼らの仕事ではない。それは、リアが担当してくれている。
 そして彼女らの心の傷は、一朝一夕で癒やしきれるものではない。
 血塗られた自分たちのできることなど、所詮はこの程度のものなのだ。
 だが、それでいい。今は、それでいい。
「あいつらに、これ以上好きにはさせないさ」
 何一つとて奪わせない。
 その気持ちだけは、5人ともが共通していた。

 ああ、あいつらも戦っているんだな――と、ネグルは他人めいて思った。
 その思考は、まるで離人症のように"最適解"を続ける自分を見下ろしている。
 他者からどう見えるかなんていう無駄な思考を削ぎ落とし、壊し壊し壊す自分。
 オイルと血とはらわたと鋼と残骸を撒き散らし、殺戮を続ける己を。
 怯えさせたくない。
 怯えられたくない。
 ……仲間に迷惑をかけたくない。
 そんな気持ちさえも、邪悪なる鍵は削ぎ落とし、そして壊し、壊す。
 私は――私がすべきことは、なんだ? ネグルは自問自答する。
 戦うこと。
 壊すこと。
 ……殺すこと。
 それが正しいはずだ。なのに、何もかもがうまく噛み合わない。
 奴隷たちの恐怖の表情が脳裏にこびりつく。決して離れてくれない。
 怯えさせないために戦っているのに、かえって自分が恐怖を振りまいている。

 殺戮は続く。
 安息を祈る星の光は、ずっと遠くで瞬いているようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
1・2どちらかの支援
心情)オヤ大量。10や20ならともかくよ。こォんないっぺんに減らされちまったら、俺ァ仕事が増えて疲れっちまうよ。ひ弱なンだ、いたわってほしいモンさ。ひ・ひ。
行動)どいつもこいつも機械ばかりだ。なら故障だってするはずさ。そのタイミングが重なることだって、確率的にゃゼロじゃアねェ。なら起こせるのさ。神はサイコロ振らねェっつゥだろ。オヤ敵みィんな"偶然"、おンなじタイミングで故障した。合わせて眷属送り込み、1分半ちょい強ォくしよう。味方の猟兵もいっしょにさ。俺はぶっ倒れ意識もなくすでな、壊し放題さ。マ・噛み付いてきたやつは溶けるだろォがねェ。


矢来・夕立
2.獣兵殲滅

連携させない。
《闇に紛れて》奇襲。発声器官から潰して殺す。
二匹以上の群れは音か血で釣って分断して殺す。

どうでもいいです。
倫理や道徳や命の重さは、この世界では価値がない。

【紙技・禍喰鳥】。
命令は二つ。
救出対象の護衛。逃走の支援。

どうでもいいんですよ。
どうでもいいくらいの、片手間です。片手間で救える女を見捨てたら無能みたいでしょう。
人を守りたいなんて欠片も思っていません。
人を守ろうとしてきた奴がいて、オレはそいつを裏切れない。

式紙を援護する形で奇襲を続ける。
…この程度の小細工と荒事、一人でだって両立できます。
最初からそうであるべきだった場所でなら。
影の中でなら、容易いことです。



●日陰者ども
 闇は心地よい。
 影は心休まる。
 暗闇こそが居場所であり、領土であり、聖域であり、そして殻で、盾だ。
 それでいい。
 それがいい。
 矢来・夕立は思う――この世界の倫理や道徳、命の重さのことを。
 退屈を持て余した人間が宇宙に思いを馳せるように、それは無意味だった。
 なにせ、答えは――少なくとも夕立にとっての――わかりきっている。

 そんなものに、価値はない。
 倫理。
 道徳。
 常識。
 良心。
 正義。
 義憤。
 人命。
 そんなものは紙くずほどの価値もない。そんなものでは飯は食えない。
 今日の飯にすら困るこの世界で、腹を満たさないものになんの価値がある?
 むしろ逆だ。そんなものに煩わされるやつから死ぬのだから。
 倫理や道徳に則って人を助けようとすれば、足元を救われるだろう。
 常識や良心に囚われて行動しなければ、タイミングをのがしてしまう。
 正義や義憤を燃やしたところで、暴力がなければ何も守れはしない。
 そして、人命――いのちの数は飯の総量と反比例する。
 多を生かすための小を切り捨てるのは、合理的な生存競争から見た最適解だ。
 だから、価値はない。むしろ在ることで不利益をもたらしさえする。
 どうでもいい。
 いつ来るかもしれない死と同じぐらいに、どうでもいいことだ。

『その割に、励んでるじゃねえかィ』
 影から声が聞こえた気がした――いや、影が声を発しているのか?
 それは見知った男、聞き慣れた声のように思えなくもなかった。
 ひ、ひ、と声が笑う。あの男……朱酉・逢真のように、陰気に。
『どうでもいいモンを守るために、まァ勤勉に殺して殺して殺してるこった』
「どうでもいいからですよ」
 その声が本当にあの男のものなのか、それとも夕立の内面が生んだ幻か。
 どちらでもいい。それさえもどうでもいいのだから、思考しない。
 淡々と殺す。音さえも発さず、影さえも踏ませず、何も知らせぬままに。
 連携を潰し、喉を潰し、牙を折り爪を折り何もさせぬままに殺す。
 誰も夕立を認識はしない。今の彼は影であり、影が彼の聖域で友で居場所だから。
「ヒトを守りたいなんてかけらも思いません」
『なら、どォして獣を殺す?』
「――片手間で救える女を見捨てたら、無能みたいでしょう」
 理屈だ。こんな言葉(ウソ)は、用意しようと思えばいくらでも湧いてくる。
 影、あるいは識った男、あるいは幻、あるいは夕立自身――は陰気に笑った。
『やってるこた変わらねェだろうに。かいらしいもんだ』
「……オレは、影(ここ)が居心地いいだけです」
 日向に出て称賛と名誉を受けようだなんてつもりは、さらさらない。
 ここでいい。
 ここがいい。
 此処こそが、己の在るべき場所で、居るべき場所で、そして戦場なんだ。
 影の中に潜んで獣を殺すだなんてことは、たやすい話。
 この声も、きっと偶然が生み出した気まぐれなのだろう。
 なにせ、見ろ――獣兵どもが、偶然、まったく同時に動きを乱した。
 不可解な故障。万がひとつ、億がひとつ、兆にひとつの"ありえないがありえる偶然"。
 そんなことが起きるなら、幻聴だって聞くぐらい、なんだというのか。
『ひ弱な俺にゃあ出来ねえこった』
「モノが違いますから」
 好機。夕立は手を早め、倍の速度で獣を殺し続けた。
 コウモリの鳴き声がする。あるいは、それがこの幻の声を起こしているのか。
「この程度の荒事も小細工も、ひとりでだって両立できるんですよ」
 誰に語りかけているのか。
 声の主に? まさか。そんな必要がない。
 ……ならこの言葉は、この懊悩は、この思いは、誰に向けたものだ。
 もう居ないあいつに?
 人の心をかき乱しに乱しておいて、勝手に逝ったあの馬鹿者にか?
 手向けなどガラではない。なら、これは、自分自身への――。
『仕事の手伝いしてくれて、ありがとなァ』
 声が言った。
『こンな大量、俺ひとりじゃ疲れっちまう。いたわりの心だ、嬉しいぜ』
「あなたのためでは――」
 夕立は、血とオイルの海の中に立っている自分に気付いた。
 振り返る――そこに影はない。荒れた荒野と弾幕が生み出したクレーターだけ。
 頭上には青空。心地よい影は其処にはない。声も、消えた。
「……オレはただ、オレにとって都合のいいように、好きにやるだけです」
 その言葉も、誰に向けたものだろうか。
 目が焼けそうな青空の輝きから逃れるように、また血と屍の影へと身を埋める。
 そこには自分しかいない。ただ濃密な死の気配がある。甘やかな堕落が。
「――ひ、ひ。いいねえ、"生きる"ってのはよ」
 血と汚泥の中から男が生まれて立ち上がり、その背を見送って、陰気に笑った。
 神にとって影こそが領域であり、ゆえにこそその存在は偏在しうる。
 神は微笑みとともに少年を見送る――いとおしささえ込めて。
 そしてまた、闇が彼を抱きしめる。何もかもを赦すように。
 ……立ち込める甘い香りは、ゆっくりと死んでいく心のにおいに思えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

桑原・こがね(サポート)
あたしを見ろォ!
登場は雷鳴と共に、派手に演出していきたいわね!
名乗りを上げて注目されたいわね!
囮役とかも嫌いじゃないわ。

こそこそしたり駆け引きするのは苦手だし、何事も正面突破の力技で解決したい!

戦うときは大体斬りかかるか、武器を投げつけるか、雷出すかのどれかね。徒手空拳も心得が無くもないわ!

さーて、雷鳴を轟かせるわよ!


紫野崎・結名(サポート)
音は、こころ。こころは、ちから。
今はたぶん、この音が合ってる…と思うから

音によるサポート、妨害、撹乱が好み
攻撃や運動は苦手、特に腕力はほとんど無いです
なので、キーボードも肩にかけます

ピンチは黒い天使、歩くのはセブンリーグブーツ、Float on soundをふわっと浮かべてキーボードを演奏
キーボードはスマホとつないで音源を自由に設定変更できるよ
動物の鳴き声にしたり、管楽器の音にしたり、弦楽器の音にしたり

食は細くてすぐお腹いっぱい
そして人見知り気味

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません


睦沢・文音(サポート)
『聴こえますか?私の歌が!』
年齢 14歳 女
外見 147.1cm 黒い瞳 黒髪 色白の肌
特徴 いつも笑顔 柔和な表情 胸が大きい お尻が大きい ネットが好き
口調 清楚(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません

他の猟兵のサポートに回り、事件の解決にあたります
日常パートならば飲食や歌をうたうことをメインに行動します

他の参加者様との連携リプレイ歓迎です
最大の目的は、事件を解決に導くことです
その為なら、ある程度の怪我や些細な失敗はやむを得ないものとします


椚・みどろ(サポート)
エロ系依頼には使わないで欲しいです

怪奇人間の悪魔召喚士×シャーマン、16歳の娘さん
元奴隷なので身体の発育は悪い

口調は
普段は素(あたし、呼び捨て、か、だろ、かよ、~か?)で
依頼中、他人と関わる時は仕事なので頑張って(私、あなた、~さん、ね、よ、なの、なの?)です
焦ったりすると素が出ます

自分を助けてくれた師匠(今は失踪)の存在が大きく、大抵の行動は師匠の言いつけ通りにやっています
(「師匠が言ってたんだけど~」と引用したり、思い出したり)

ユベコは基本アスモデウス召喚を使います
この契約も師匠譲りです


架空・春沙(サポート)
『断罪します』
人狼の女性
ピンク掛かった銀髪と同色の狼耳・狼尻尾、緋色の瞳
スタイルが良い
服装:ぴっちりスーツ
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」
罪有る者には「冷徹(私、あなた、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。

・性格
通常は明るく人懐っこい女性ですが
罪有る者に対しては冷徹に、処刑人として断罪しようとします

・戦闘
大鎌「断罪の緋鎌」を振るって戦います

ユーベルコードはどれでもいい感じで使います


あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


叢雲・凪(サポート)
人間のミュータントヒーロー×ゴッドハンド、
ヒーロー名【ジンライ・フォックス】

まずはその世界の住人・猟兵仲間に挨拶をしよう…。
礼儀は大事。年上の人や先輩にはちゃんとしないとね。
『どうも ジンライ・フォックスです』(お辞儀しつつ)

基本的な戦い方は【リミッター解除】を使ってからの【ダッシュ】+【残像】+【疾雷】を使った電光石火の接近で敵との距離を詰めよう。ボクは広範囲への攻撃ができないから【黒雷槌】や【一撃必殺】を使った各個撃破に努めよう。【気絶攻撃】や【マヒ攻撃】で無力化するのも効果的だと思う。

『天誅・・・』


片桐・公明(サポート)
快活な女性ですが知的な一面もあり、依頼に参加する際事件の背景について思考を巡らせ考察します。感情的な行動は滅多にしません。

主に二挺拳銃『Mathem842』『臥龍炎』を使用した遠近問わない戦闘を行います。時折、または接近戦を重視する場合は妖刀『血吸』を使用します。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、積極的に行動します。ただし敵の攻撃に対しては回避を主体にして、なるべく負傷しないように立ち回ります。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


シャーロット・ゴッドチャイルド(サポート)
ダークセイヴァ―の貧しい農村に生まれた聖なる力を宿した女の子です。暗い過去を背負った子ですが、いつも周りに気を使っていて笑顔を絶やしません。

ホーリー・ボルト~光の精霊の力で、光属性の魔法の矢を放ちます。
エレメンタル・ファンタジア~炎の精霊を呼び出し、炎の竜巻を巻き起こす。予想以上の威力のため、制御するのがやっと。
絶望の福音~10秒後の未来を予測する。
生まれながらの光~左の手のひらにある聖痕から他者を癒す。

「私は笑うって決めたの・・・じゃなきゃ、前に進めないもん!」

エロやグロに巻き込まれなければ大体のことは大丈夫です。


ミスティ・ストレルカ(サポート)
基本方針は専守防衛・他者フォローです
サポート故、連携重視のお任せ

知らない人にはどうにも気後れしてしまうけど
それでも他の人が怪我するのも嫌なので押すところは押すのですよ
主にサモン・シープ等攻撃系のUCで他者行動の隙を消す様に立ち回るのです
中遠距離をとり全体を掴む感じですね

防御系の技能で時間稼ぎも行けますので
生まれながらの光での前線維持、魔力性防御障壁の囮役も…ちょっと怖いけど
でもでも、みんなの居場所を守るのですよー

そうそう、えっちなのはいけないと思います。
興味がない…訳ではないですがひつじさんが怖い雰囲気纏って凄い勢いで止めにツッコんでくるのです
年齢制限がどうとか、らしいです



●荒野に響く歌の名は
 戦いは、激化の一途をたどっていた。

 ヴォーテックス一族のひとり"軍人宰相"ロンメル・ヴォーテックス。
 その拠点を叩くため、同じ一族の有力者である"肉塊女帝"ブラッドルビーの依頼をあえて請けた猟兵たち。
 一族同士の小競り合いに乗じて、少しでもその力を削ごうという目論見だ。
 始まりこそ(たとえ同士討ちという理由があっても)ヴォーテックス一族に手を貸すことに複雑な心境を抱く猟兵も少なくなかった。
 しかし今の状況では、もう四の五の言っていられるような場合ではない。
 ロンメルの誇る「移動監獄」は、それだけの物量と戦力を有しているからだ!

 KA-BOOOM! KRA-TOOOOOM!!
「あれだけの攻撃を受けて、まだ物量が途切れないのね……!」
 止むことなき砲声のオーケストラの中、片桐・公明が呻いた。
 ロンメルの拠点……それは、彼奴の有する無人戦車で作られた「動くアジト」だ。
 つまりは、無数の戦車をつなぎ合わせ、その上に監獄を乗せるという馬鹿げたスケールの奴隷収容所である。
 そしてその監獄には、ロンメルの部下によって攫われた奴隷たち。
 おそらくはヴォーテックス・シティで売りさばくための「商品倉庫」なのだろう。
 暗黒の未来から奴隷たちを救うためにも、ここで猟兵が退くわけにはいかない。
 だが、しかし……問題は無人戦車部隊の弾幕と、もうひとつの戦力にあった。
『AAAAARGH!!』
 獣じみた――否、事実獣そのものの雄叫びが荒野に轟く。
 それは、監獄を巡回する無数の『機餓獣兵』というオブリビオンのものだ。
 機械と生物が混ざりあったようなおぞましい見た目のこの化物は、
 生者の血肉を喰らうことで力を増す。そして、奴らの周囲には生きた奴隷たち。
 明らかに、敵の襲撃に備えた"一石二鳥"の配置がなされている。
 仮に商品を奪われそうになっても、最低限撃退はできる……ということだろう。
 これだけの数の奴隷たちも、ロンメルにとっては替えの利く売り物でしかないのだ。

 つまり猟兵たちは、無人戦車部隊を攻撃して移動監獄の動きを妨害しつつ、
 機餓獣兵が奴隷を襲うよりも先に……それこそ電撃的な強襲をかけねばならない。
 奴隷の命を見捨てれば、話は早い。敵は手強いだろうが慮る必要がないのだ。
 だが、多くの猟兵たちは逆を選択した――ゆえに戦いはさらに困難なものとなった。
 奴隷を考慮しながら、かつ迅速さを求められる戦いは、単なる強敵との戦い以上の練度を猟兵たちに要求したのである。
「音は、こころ。こころは、ちから……この砲音に、負けない……ちからを。
 音楽は、きっと、どれだけ傷ついたこころも、癒やすことができるから……!」
 無人戦車部隊の妨害に挑む猟兵たちを、紫野崎・結名の奏でる音が支援する。
 サウンドソルジャーである彼女がキーボードを演奏すれば、
 その小さな体の周囲に浮かぶ小型スピーカー群『Float on sound』から七色の音色が溢れ出す。
 生命と安寧を拒絶するような戦争交響曲を退けるのは、心安らぐ清らかな旋律。
 それは怯える奴隷たちにも届き、恐慌を抑えて鼓舞していた。
 いわんや猟兵をや、どんな声援よりも心を揺さぶる音がその背中を強く押す!
「音は、ひとつきりじゃありません。私の歌も、皆さんにお届けします!
 たとえ敵がどれだけ恐ろしくても、かならず勝利できると信じていますから!」
 そしてその旋律に合わせて、同じサウンドソルジャーの睦沢・文音は高らかに希望の歌を口ずさんだ。
 ふたりの旋律は即興のシンクロを生み出し、お互いの力を相乗させていく。
 もしもこの荒野に種子が根付いていれば、地表に緑が満ちたかもしれない。
 そのくらいにふたりの「音」は力強く、そして活力をもたらしてくれるのだ。
 音や歌では何も救えない――なんてのは、常識での話。
 猟兵という埒外にある存在は、その常識を覆し非常識をもたらす。
 文音と結名のメロディが、抗おうとするすべての者たちに力を与えていた!

「助けるべきひとたちは、みんな監獄のなかに囚われているのね……」
 この荒野に似つかわしくないゴシックな装いの少女が、ふと呟いた。
「ええ、そうね……敵の戦力はほぼすべて無人みたいよ」
 公明が答えると、その少女――シャーロット・ゴッドチャイルドは、ふふ、と淡く微笑んだ。
 こんな状況でなぜ笑うのか。今も奴隷たちは虐げられているというのに。
 公明が訝しむと、シャーロットはさらに笑顔を明るくしてこう言った。
 なら、よかった。だって、巻き込んでしまわないか心配する必要が、なさそうだもの……!」
 同時にシャーロットは、この世界にかすかに存在する精霊たちに呼びかける。
 世界のほとんどが荒野に変わったこの地にも、見えない霊たちの力はたしかに根付いていた。
 サウンドソルジャーたちの奏でる音が、困難な意思疎通の手助けをしてくれる。
 そして生まれたのは……炎。それもただの炎ではない、渦を巻く、嵐だ。
「普段なら、制御するのもやっとだけど……この状況なら、遠慮はしないよ!」
 シャーロットの懸念――それは制御困難な力が味方を巻き込んでしまわないか。
 監獄の中であれば、その力は間違いなく奴隷たちを飲み込んでしまっただろう。
 しかし、仲間たちが突入するための活路を開くためならば話は別である。
 時として味方さえも巻き込みかねない力は、馬鹿げた物量に対する大きな脅威となる!
「私は、笑うって決めたの……だから、誰かの笑顔を奪うのは、許さない。
 砲弾も何もかも、この炎の竜巻で燃やし尽くして、道を拓いてみせる……!」
 荒れ狂う炎の精霊の力は、荒野と青空を貫く竜巻となって暴れまわった。
 砲撃弾幕を飲み込みながら山火事じみた速度で広がり、戦車の装甲を融解させる。
 シャーロット自身にさえ扱いきれないその力、まさしく暴威……!
『AAAAARGH!!』
 だが術者であるシャーロットを叩こうと、機餓獣兵の群れが迫る!
 小回りの利く獣どもは、炎の竜巻に呑まれるより先に突破してきたのだ!
「――させません」
 ZANK!! 飛びかかる獣が、剣閃によって真っ二つになった。
 それは、疾風迅雷の速度で間に割り込んだ、叢雲・凪によるインタラプトだ。
「どうも、ジンライ・フォックスです……あの敵は、ボクにおまかせを。
 ここは一匹たりとも通しません。すべての奴隷を救助するまで……イヤーッ!」
「ありがとう、お願い……!」
 凪は術式の維持に務めるシャーロットに言い、そして風となった。
 黒い電光をあとに引きながら空中を駆け、獣兵にワイヤーを巻きつける。
 そして敵そのもの飛び石として利用して、変幻自在の空中戦を繰り広げるのだ!
「私もうかうかしてられないわね!」
 そのあとに公明が続き、凪が撃ち漏らした敵を二挺拳銃で打ち落としていく。
 凪はワイヤーを使って機動戦を繰り広げる一方、公明が使うのはサイキックである。
 念動力で自分自身の身体を撃ち出すことで、擬似的な空中機動を実現するのだ。
 幸いなことに、足元には無人戦車がある。砲撃が無力化されている今ならば!
『AAAAARGH!!』
「機械でありながら浅ましく血肉を求めるだなんて、おぞましいオブリビオンね。 これも"軍人宰相"の戦力の一部……この手の兵力を大量に抱えていそうだわ」
 よだれを撒き散らして噛みつこうとする獣兵の口蓋に、BLAMN!! 弾丸を叩き込む。
 公明は目まぐるしい速度で戦いながら、敵の戦力について推測を重ねた。
 ヴォーテックス一族の有力者は、ロンメルはブラッドルビーではない。
 その存在は、いずれ来るであろうこの世界の大きな戦いに必ずや関わるはずだ。
 ならばここで少しでも戦力を削ることは、必ずや有利に繋がるはず……!
「知性を持つ強敵ならいざしらず、飢えに任せたけだものに遅れを取るほど、
 私は……いいえ、私たちは弱くはないわよ。さあ、かかってきなさいっ!」
 公明は妖刀『血吸』を鞘走らせ、空中で身を捩り高速回転した。
 回転から放たれる斬撃が、彼女に飛びかかった獣兵を膾斬りにする。
 まさしく、飛んで火に入る夏の虫。攻防一体となった見事なカウンター!
「ワザマエ、ですね。ボクだってもっと疾く、戦えます……!」
 その腕前に感銘した凪は、体内の神経伝達速度をその能力でさらに加速した。
 人間とは電気信号で成り立つ生命体であり、電気を操る凪のスタイルとは相性がいい。
 九尾より借りた『黒雷』の力が全身からほとばしり、空気を灼きながら跳躍!
「イヤーッ!」
 ハヤイ! 稲妻状に凪が駆け抜けると、その背後で獣兵がバラバラに四散!
 恐るべき速度の斬撃で切断された残骸が爆発し、粉塵がふたりの姿を覆い隠す。
「……遅い……!」
「押し通らせてもらうわよ!」
 敵が狙いをためらった一瞬の隙を突き、ふたりの稲妻と銃弾が敵を貫く。
 視界さえ定まらぬ砲撃と土煙の霧のなかを、猟兵たちは監獄目指して突き進む!

 ……そして、移動監獄内部。
「もう、いや……! こんなのもういやよ……!」
 疲れ果てた様子の奴隷が、頭を抱えてすすり泣く。
 助けが来てくれたのはわかっている。それは涙が出るほどに嬉しいことだ。
 だが、あの砲声が、戦いという現象そのものが彼女らの心をすり減らす。
 もしも助けが全滅してしまったら……そんな昏い不安は脳裏から離れなかった。
「――あたしを見ろォ!!」
 その時。
 気っ風のいい女の声とともに、ドォン!! と雷鳴が響き渡った。
 奴隷たちを捕食しようとしていた機餓獣兵も、思わずそちらを見やる。
「何の罪もない若者を捕まえて奴隷扱い、挙句の果てには餌代わり!
 その醜い蛮行、万死に値するわ。だから、あたしが此処に来たッ!!」
 再びの雷鳴! 青天の霹靂が監獄に鳴り響き、稲妻が女の姿を映し出す。
「桑原・こがね、ただいま参上……さあて、ゴミ掃除といきましょうか!!」
 こがねの姿は勇ましく、そして自信に満ち溢れていた。
 すすり泣いていた奴隷たちも、ぽかんと彼女の姿に見とれてしまう。
 それほどまでに雄々しく、天衣無縫で……そして、力に満ち溢れている!
「せぇいっ!!」
 こがねは一瞬にして間合いを詰め、獣兵を一刀のもとに斬り伏せた。
 わずか150cmにも満たない小さな体のどこに、これほどの膂力が眠るのか。
 斬撃はごぉうっ!! と巨人もかくやの剣風を起こし、敵を一刀両断!
「す、すごい……!」
「当然でしょう? だって、あたしはあなたたちを助けに来たんだから」
 思わずそう呟いた奴隷に、こがねは屈託のない笑みを見せた。
「安心しなさい。あなたたちはもう傷つけさせない。誰にも、絶対にね」
『AAAARGH!!』
「なぜならこのあたしが、そしてあたしたちが! 此処に居るんだからッ!」
 SMAAAASH!! 背後から襲いかかる獣兵を、こがねは鉄拳で返り討ちにした!
 拳から流し込まれた電撃のエネルギーが獣の体内を走り、そして空中で四散!
『GRRRRRR……ッ!?』
 騒ぎを聞きつけた獣兵が次々に集まり……そして、どさどさと斃れていく。
 一体何が起きたのか? その場にいる誰もが、不可解な事象に首を傾げた。
「汝、罪あり。処刑を執行します」
 影からゆらりと立ち上がったのは、しなやかな体躯の乙女である。
 はたして、いつの間に其処に居たのか……架空・春沙は、ギロチンめいた大鎌『断罪の緋鎌』を担ぎ、ぞっとするような冷たい瞳で敵を睨みつける。
「餓えた獣に慈悲は不要。断罪です」
 底冷えするほどの殺意を込めた声とともに、大鎌が嵐を巻き起こす。
 邪悪一切を滅するという咎人殺しの堅い決意は、すなわち一切に躊躇も慈悲もなく敵を滅殺するという執念に通ずる。
 春沙の立ち回りは機械的ですらあり、見ているものを畏れさせた。
『AAAARGH……!!』
「逃しません」
 飢餓以外の感情を持たぬ獣兵をすら恐れさせるほどに。
 後退った敵に無慈悲に飛びかかり、大鎌で縦に一刀両断する。
 オイルと血が春沙の相貌を穢し、しかし春沙はそれを拭いもせず次の敵へ。
「その罪を、命で贖いなさい……!!」
 この罪にまみれた監獄で、春沙が休まる瞬間など一時たりともないのだ。
「みなさんのことは、私が守るのです。防御障壁を展開すれば……!」
 怯え竦む奴隷たちを一箇所に集め、ミスティ・ストレルカが術式を展開した。
 ガラスめいた半透明の魔力障壁が、彼女と奴隷たちを包み、そして守る。
 同時にその小さな体が淡く光り輝く……『生まれながらの光』だ。
「心の傷までは、癒せないですけど……でも、もう安心してほしいのです。
 必ず、皆さんをもとのお家まで連れて帰りますから……大丈夫、ですよ」
 他者に慣れていないミスティは、どうしても気後れしてしまう。
 しかしそんな彼女も、目の前で誰かが傷つくのは見ていられない性分だ。
 憔悴した奴隷たちの痛ましい姿は、ミスティの優しい心を苦しめた。
 だからこそ、たとえ怖くても……ここで、彼女たちの盾となる。
 勇ましく戦う他の猟兵たちの背中を守るためにも、ミスティは立ち上がったのだ。
「こちらは耐えられますから、存分にやってほしいのですっ」
「いい啖呵だね、心得た! さあ、雷鳴を起こすとしますかッ!」
 こがねはミスティに快活に笑いかけ、電光を放ちながら敵へ飛び込む。
「あんな数の敵によくもまあ……って、いけないいけない」
 その勇猛なる背中を見届けた椚・みどろは頭を振り、頬を叩いた。
「せっかくここまで来たのに、あたし……じゃない、私もしっかりしなきゃ。
 師匠だったら、こういう時は絶対に自分から戦ってる。なら私も……!」
 緩みそうになる口調を正しながら、みどろは悪魔召喚式を展開した。
「来い、アスモデウス! 代償に、そこの獣どもの肉をくれてあげる!」
 魔法陣をなぞるように獄炎がほとばしり、黒き身体の悪魔・アスモデウスが出現した。
 赤黒い瞳がみどろを睨みつけ、こくりと頷く。獲物には事欠かないのだ。
『契約を受諾した。暴れさせてもらうとしよう』
 アスモデウスは重々しい声で言い、獄炎纏う爪で獣をバラバラに引き裂く。
 ミスティの防御障壁がなければ、アスモデウスは奴隷たちなど構わず暴れまわっていただろう。
「……気に入らないのよ、奴隷を捕まえて取引とか、そういうのは」
 みどろを戦わせるのは義憤や正義感などではない。
 元奴隷として、虐げられた人々へのある種の共感が奥底にあるのだ。
 師から譲り受けたこの力で、自分と同じような人々を救えるのならば。
 たとえ万の敵を前にしたとしても、みどろは止まらない――止まるわけにはいかないのである。
「アスモデウス! 遠慮はいらない、全員燃やし尽くせ!!」
 みどろの声に反応して、悪魔の放つ獄炎がさらに熱量を増した。
 炎と雷が荒れ狂う地獄じみた只中を、春沙の大鎌が切り裂き、罪を濯ぐ。
 奴隷たちはその力を恐れた――たとえ、それが自分たちを救いに来たものだとしても。

 そんな彼女たちの心を救ったのは、自らを守ろうとするミスティの背中。
「押せています……この勢いなら、奴隷の人たちを救い出せるはずです!」
 そして、遠くから届く旋律。キーボードを爪弾く結名の叫び。
「どうか怖がらないでください……すぐに、この戦いを終わらせてみせますから!」
 身体ではなく心の傷を慰撫する、文音の可憐な歌声。
 少女たちの歌声と旋律が、荒れ果てた不毛の荒野に響き渡る。
 無慈悲なる獣の咆哮と戦車の砲声をもかき消して、人々の心を鼓舞する。
 奴隷たちは、もう震えなかった――代わりに、顔を上げて戦いを見守る。
 自分たちを救いに来てくれた勇敢なる猟兵たちの戦いを、その心に刻み込むために。
 希望と未来を謳うメロディは、傷ついた人々の心をたしかに救ったのだ……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ジフテリア・クレステッド
『2.獣兵殲滅』
「お前たちは何故そんなことをする?」と質問するよ。答えられる知性があるかは怪しいし、答えられる奴らが答えてきたところでその答えに納得なんてしないけど。悪意を持たない相手に弱肉強食の理論を持ち出すやつは私が殺す。

世界をオブリビオンどもに対する毒に変え(※【毒使い】)【継続ダメージ】を与え続ける。敵の相手は召喚した怪物に任せて私は【救助活動】。こういう依頼は慣れてる。
だから私自身はあんまり速く動かないよ。理性を失った上に毒で苦しんでる連中で同士打ちでもしれくれれば楽なんだけど…。
奴隷たちを助けるために私自身も【限界突破】して【継戦能力】を活用して無理して戦い続ける。
…仕事だしね。



●何故
 めき……めきめき、ごきん、ずしゃり。
「……あとはお願いね」
 自分自身の細胞から生まれたもうひとりの分身――怪物の背に言葉を投げる。
 ジフテリア・クレステッドは振り返ることなく、奴隷たちのほうに歩み寄った。
『AAAARGH……!!』
 機餓獣兵は分身体を取り囲み、じりじりと間合いを詰める。
 少しでも隙を見せれば、獣兵は蛮性を剥き出しにして襲いかかるだろう。

『――お前たちは』
 分身体が口を開いた。
『お前たちは、何故そんなことをする? 何故、こんな場所で女どもを虐げる。
 何故その牙で肉を喰らおうとする。何故、奪い、殺し、そして苦しめる』
『GROWL!!』
 けだものは、その問いかけに答えるだけの知性を持っていない。
 仮にあったとしても、そんなものを捨て去って襲いかかる。
 飢餓だけが獣を突き動かす。機械ゆえに、恐怖もしない。つまり、止まらない。
『……答える術さえ持たない蒙昧な者を、私は認めない』
 分身体……意思の怪物はそう言って、片手を突き出した。
 瞬間、飛びかかろうと身を低くしたけだものは、血を吐いて崩れ落ちる。
『AA……RGH……!?』
『私は、お前たちを、認めない』
 それは、世界を救うために作られた力であるはずだった。
 だが世界そのものを毒と変え、敵を殺す力は、本当に救済と呼べるのか。
 敵が居なくなれば、平和はやってくる……平和とはつまりそういうことだ。
 間違ってはいないのだろう。だが、それを救世と呼ぶべきなのか……。
『弱肉強食の理論も認めない。それは知性を持たない動物の中で成り立つ理屈だ。
 悪意なく、敵意もなく、力さえも持たない人々を苦しめる理由には、ならない。
 お前たちが餓えに任せて人々を喰らうというなら、私は、それを決して認めない』
 怪物の毒が獣兵を苦しめる。呻く体力すらも遺っていないようだった。
「……よし、拘束は外れたよ。さあ立って」
 そんな様子をよそに、ジフテリアは奴隷たちを解放していく。
「あ、あの……」
「何? 時間がないよ。じきにこの監獄は全部吹っ飛ぶだろうし」
 よろめきながら立ち上がった奴隷は、おずおずと言った。
「――どうして、助けてくれるんですか」
「…………」
 何故。
 それが怪物の問いかけであり、力であり、"救済"である。
 力の持ち主はジフテリアで、怪物の疑問は彼女の疑問でもあった。
 そのジフテリアが、期せずして問いかけを受けたのだ。

 少しの沈黙。
「……仕事だからね」
 ジフテリアはそれだけ答えた。
「今はそれでいいんじゃない? 考えるのは、後回しにしたほうがいいよ。
 力があるなら、戦いながら考えることもできるだろうけど、あなたたちは違う」
 弱者であるがゆえに、奪われ、虐げられるしかなかった。
 奴隷たちに否と叫べるはずもない。彼女らはそれきりもう口を開かなかった。
「……何故、か」
 ジフテリアは思う。
 仕事だから、なんて答えは、正しくはあるがその場しのぎでしかない。
 力があるから。それも理屈ではある、だが――。
「……なんでなんだろうね。こんなことしてるの」
 誰に云うともなくひとりごちて、ジフテリアは監獄を去った。
 怪物がその姿を見送り、生者なき死の監獄から姿を消した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アビー・ホワイトウッド
1、戦車破壊

悪趣味な奴ら。だけど見捨てる訳にはいかない。せっかくなら解放する。
私の歩行戦車の武装だと奴隷にまで被害が及びかねない。戦車を狙って足を止める。

状況が始まったらUCを発動、戦車の履帯を狙って主砲照準、徹甲弾を使って足回りを破壊する。とにかく目に着く敵戦車を砲撃。砲弾を使い尽くす。
敵の反撃なら甘んじて受ける。ラングレーの装甲なら、まだいける。
後は30mmガトリングユニットと対戦車ミサイルを起動、変わらず履帯やエンジン部に対して集中砲火、それも尽きたなら肉薄して敵戦車の横腹を思い切り蹴り付けてやる。

レイダー共には過ぎたおもちゃ。火遊びはお終い。



●ビューティフル・ワールド
「……奴隷の救助は終わった、か」
 監獄内に突入した猟兵たちからの報せを聞いたアビー・ホワイトウッド。
 もはや気兼ねは必要ない。ならば、あとはあの戦車をすべて破壊するだけだ。
「悪趣味な連中のアジトは、何ひとつ残らず完膚なきなまでに叩き潰す」
 それが、今すぐにヴォーテックス一族を苦しめることはないだろう。
 ロンメルはおそらく、他にも多数のアジトを有しているからだ。
 しかし、さながら猛毒が巨大な獣を死に至らしめるように、この傷は必ず"効く"。
 信じるかどうかではない――いずれ、猟兵が、それを証明するのだ。
「攻撃に移る。徹底的に殲滅する」
 その始まりの砲声が、アビーの歩行戦車から鳴り響いた!

 ――KRA-TOOOOM!!
『AAAARGH!!』
 監獄内から飛び出した機餓獣兵が、『ラングレー』に取り付こうとする。
 アビーは主砲で戦車部隊を攻撃しながら、30mmガトリングユニットを起動。
「そっちから来てくれるなんて、手間が省けていいね」
 BRATATATATATAT!! BRRRRRRTTTT!!
 情け容赦ない弾幕が、遮蔽のない荒野に獣どもの残骸をばらまいた。
 オイルと血がぶちまけられ、銃弾の火花で引火して派手に爆発する。
 炎を切り裂いて飛来する対戦車ミサイル……命中。無人戦車が木っ端微塵に吹き飛ぶ。
「こんなもの、レイダーどもには過ぎたおもちゃ。火遊びはおしまい」
 まるで後夜祭で焚かれるキャンプファイヤーのようだった。
 青空は橙色に染まり、爆炎が破壊された戦車の残骸から影法師を伸ばす。
 こうして殲滅してみればあっけないものだ、とアビーは思う。
 神かなにかのように振る舞うヴォーテックス一族も、いずれ同じ目に遭わせてやろう。
 おごり高ぶったその首根っこをつかみ、荒野に引きずり下ろしてやるのだ。
 自分たちが何をしてきたのか。
 どれほど大切なものを奪ってきたのか。
 それを、奴らに"わからせる"。例外などない。
「……散々奪って苦しめてきたなら、その代償は支払わないといけない」
 がション、ガション……と、『ラングレー』が生者なき荒野を進む。
 あちこちが月面のクレーターじみた陥没で凸凹しており、走破性は最悪だ。
 こんな人里離れた場所では、スクラップを回収して有効利用するのも難しい。
 ただ夕暮れの空だけは、見とれてしまいそうなほどに美しかった。
「……いずれ、必ず」
 人々が、この空の色を、美しい景色を安心して楽しむことができるように。
 半壊した戦車を踏みつけ、ゼロ距離でガトリングユニットを叩き込み、とどめを刺す。
 戦いは終わった。猟兵たちが、完全な勝利を収めたのだ。
 最後にひとつ――それを知らせるように、号砲が鳴り響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年03月30日


挿絵イラスト