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妄執の果て~外道の祝宴~

#UDCアース #外なる邪神

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●UDCアース・T市曽根田総合病院
 N国T市内でも屈指の総合病院として知られる曽根田病院。末期の患者も積極的に受け入れ、最先端治療を施す姿は数々のドキュメント番組にも取り上げられるほど。
 特に年若い女子学生の難病を治療する実績は素晴らしいものがあった。だがその輝かしい偉業とは裏腹に、曽根田院長の表情は目の前の男の前に曇っていた。
「曽根田院長、話ガ違イマスネ」
 そう言ってメガネをかけた西欧系の白衣の男が静かに話しかける。その隣には無表情の少女が二人付き従うが、とても人間味があるようには見えない。
 そしてその目の前の男の威圧に負けるように、曽根田院長が言葉を吐き出す。
「もう限界だ。UDC組織も嗅ぎつけつつある。それに難病を抱える少女を受け入れるにしても、限度があるのだ!」
 そう、曽根田総合病院は目立ちすぎた。あまりにも難病の少女達を「治し過ぎた」のである。そして難病を乗り越えた少女達は、明らかに性格が変わっていったのも不自然さが目立つ結果となった。
 治療した今も定期的に曽根田総合病院に通う不自然さも兼ねて、ついにUDC組織が調査を始めたのだ。もしかするとこの件は邪神が絡んでいるのではないか、という疑惑。
「それに博士! 貴様も『検体』を散々使っておきながら、今だ我等が悲願の成果すらも出ていないではないか!」
 その焦りが曽根田院長を苛立たせる。目の前の男の口車に乗って始めたこと、夢にまでみた「悲願」には手は届かずのまま。
 曽根田院長の焦りは最もと言わんばかりに白衣の男は頷く。そして機械的ともいえる笑みを浮かべる。
「心配ハ要リマセンヨ。スデニ儀式ハ行ッテイマス」
 白衣の男は自分の手持ちのリモコンのスイッチを押す。そしてこの曽根田総合病院の暗部たる地下研究室の儀式邪法陣が発動を開始する。
 そしてその瞬間に空から、いや宇宙から降り注ぐは「不可思議な色彩」。名状しがたい色が曽根田総合病院に降り注いでいく。まるで魅入られるような色だったが、曽根田院長はその色彩に関する質問する暇はなかった。
「な、なんだ! この振動は!」
 まるで直下型地震でも襲ってきたような振動が病院全体を襲う。そして曽根田院長は見た。見てしまったのだ。
 院長室にも先程の不可思議な色彩が侵食し、世界が歪んでいくのを。己の精神も歪んでいくのを感じながら、白衣の男の高笑いが響く。

「サア、理ノ外ニイル神ガ降臨スル。私達ノ悲願ガ叶ウ時ダ!」

●グリモアベース・ブリーフィングルーム
「UDC組織から要請が来てのー。最優先対処事項(レッド・アラート)じゃのー」
 UDCアース世界からの救援依頼を受けて、メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は電脳ウインドウを開く。その画面はすでにUDC組織によって完全封鎖された曽根田総合病院が映し出されている。
 外見はまだ普通ではあるが、内部は「外なる邪神」と総称されるUDCの肉片「不可思議な色彩」に汚染された異界と化している。その色彩はこの世の全てを「発狂」させ、自らの肉体に作り変えてゆくという恐るべき性質を持つ。
「この不可思議な色彩は危険じゃけーのー。触れたり、魅入られたりしたら取り込まれるけー、猟兵であっても気を付けることじゃのー」
 すでに患者・医療関係者だけではなく、医療器具・機器、病室やオペ室まで汚染されており、ありとあらゆるものが発狂して襲い掛かってくる地獄と化している。わずかながら生存している一般人もいるが、発狂した者達に殺されるか、自身も発狂するかの二択だろう。
 猟兵はまず病院内に入り、襲い掛かってくる発狂した曽根田総合病院に対処しつつ、元凶へと向かうようにとメイスンは説明する。恐らく場所はこの外なる邪神を呼び出した儀式邪法陣がある地下研究室にいるはずと言う。
「可能であれば一般人も救ってやって欲しいが、第一は猟兵諸君が生き残ることじゃけー、無理はせんようにのー」
 そう言いながら転移術式を発動するメイスン。狂気の世界へと足を踏み入れる猟兵。その色彩に飲み込まれないように精神を強く持ち、外なる邪神の脅威に立ち向かう。


ライラ.hack
 狂いし者、藁をも縋り外なる神に触れる。
 どうも皆様こんにちは。ライラ.hackです。

 このたびはUDC組織の「最優先対処事項(レッド・アラート)」の対処となります。舞台は曽根田総合病院。「外なる邪神」と総称されるUDCの肉片たる「不可思議な色彩」に汚染されたすべての対象の処分です。
 この「不可思議な色彩」は人間、動植物、自然環境……この世の全てを「発狂」させ、自らの肉体に作り変えてゆく性質を持ちます。すでに曽根田総合病院自体も発狂しており、足を踏み入れたら最後、ありとあらゆる色彩を帯びたものが襲い掛かってくる状態です。
 まずは病院内に僅かに生存する一般人を救出し、「不可思議な色彩」に汚染された者達を撃退してください。しかる後に元凶となった「白衣の男」を撃破しましょう。ちなみに曽根田院長は一般人なので、お察しの結末となっております。

 外なる邪神は薄ら寒い笑顔で見ているでしょうが、極彩の恐怖に飲まれないように、狂気を乗り越えて突き進んでください。
 それでは皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『夜の病院に潜む闇』

POW   :    建物全体をしらみつぶしに探索する

SPD   :    フロア案内等の情報から対象を絞って探索する

WIZ   :    勘や気配などを頼りに探索する

イラスト:黒江モノ

👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●極彩色の地獄病院、開院
 T市どころかN国屈指の総合病院であった曽根田総合病院。それはもう過去形で語られるに十分であった。
 UDC組織による完全封鎖で外部からは誰も入ってこられず、病院の外見には変化はない。しかし内部は「不可思議な色彩」が至る所に浸食し、地獄を作り上げている。
 ある患者は殺された。見舞いに来ていた家族が不可思議な色彩によって変異し、己の体まで巨大化した拳によってミンチにされた。
 ある看護士は殺された。チューブと注射器が合わさった不可思議な色彩を放つ芋虫のような化け物に血を吸われ尽くしてミイラとなった。
 ある医師は殺された。オペ室全体が不可思議な色彩に汚染され、発狂した手術道具達に内臓をすべて掻き出されて、苦悶の中で死に絶えた。
 人間だけではなく、道具や建物すらも発狂し襲いかかってくる。外なる邪神が己の肉片にせんと色彩が急速に拡大していく。

「怖いよぅ……」
「大丈夫……大丈夫よ」
 僅かに生き残った人間達は息を潜める。子供を庇って隠れた看護士もいれば、恋人を連れて逃げ回っている者もいる。
 だがじきに飲まれる。その狂気は、逃れられるものではないのだから。

※今回はフラグメントの内容の調査ではなく、「不可思議な色彩」に汚染された曽根田総合病院の怪異の対処となります。ご注意ください。
鳳凰院・ひりょ
アドリブ・絡み歓迎
SPD

この状況はかなりまずいな…
【狂気耐性】【呪詛耐性】を全開にした【オーラ防御】を自身と召喚したライオンに纏わせつつ病院内を移動
1人でも多くの人を助けられればいいが…全てを助けられる状況では…ないだろうな…くそっ…歯がゆい

院内情報を基に人が一番多い&救出が早く行えるだろう1階の待合室や診察室周辺を真っ先に見て回る
存命者がいるならライオンの背に乗せ、さらにライオンの周囲に心身の治療効果のある【結界術】を展開させて守りを固める
自身は襲ってくる怪異への対処を行う
【瞬間思考】【クイックドロウ】で素早く光陣の呪札での攻撃を行う
多数の敵性存在へは存命者巻き込まないよう注意し【乱れ撃ち】


御前・梨
――うっわ、これまたホラーな院内っすね〜。レッド・アラートが出るのも納得すわ。


……まあでも、どんな場所でも俺のやることは変わらないっすね。


じゃ、お仕事しますか。


まずは一般病棟を見て回りますっすかね。多分、患者さんや看護師さんはその辺りにいるっすよね


道中襲ってくる奴等は傘で攻撃を【受け流し】て、片手に持ってる短針での返しの【切断、咄嗟の一撃、早業】でサクッと斬っていきますっす。

で、一般人を見付けたら名刺を渡して、ここで隠れるように言っとくっす。いざとなったらこの名刺が守ってくれますっすから。【式神使い】


……ふ〜真面目な【演技】てのは疲れますっすね〜。


――さっさと元凶を…して、終わらせますかか。



 見る者を発狂させる「不可思議な色彩」。何とも名状しがたいその色彩は、次々と曽根田総合病院のすべてを染め上げていく。
「ガギョバギョガキョヴァキョキキキキキキキキ!」
「う、うわあああああああああ!」
 不可思議な色彩に侵食された患者が医者を襲おうとする地獄。病気を治療する者が治療される者に殺されるという光景がすでにこの曽根田総合病院では常態化されている。
 もはや駄目かと思われた時にその不可思議な色彩に侵された怪物を横殴りする人物が現れる。吹き飛ばしたのは、曽根田総合病院に果敢に突入してきた鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)だ。
「あ、ありがとう。助かった……」
「この先が出口になっている。早く逃げるんだ!」
 そう言ってひりょは医者をまだ色彩に侵されていないルートへと誘導する。とはいえ、不可思議な色彩の侵食は思った以上に速い。
 建物や物品すらも発狂させる外なる邪神の肉片。その猛威は伊達ではなく、すでに待合室や椅子、ナースコールですらも暴れまわっている惨状である。
「この状況はかなりまずいな…」
「――うっわ、これまたホラーな院内っすね〜。レッド・アラートが出るのも納得すわ」
 そう言ってひりょがその光景を見て絶句しているのに、御前・梨(後方への再異動希望のエージェント・f31839)も同意する。UDC組織のエージェントとしての仕事も兼ねているが、病院封鎖を行っている仲間の所に行きたくなるほどの状態だ。
 後方への思いがないといえばウソにはなるが、目の前の惨状を見捨てるほど落ちぶれてもいない。なればこそ、今は救出任務を実行するのみと決意の表情で帆を前へと進める。
「じゃあ俺は一般病棟を見て回りますっすかね」
「わかった。俺は待合室や診察室周辺を見て回る」
 そう言って手分けして見回ることにしたひりょと梨。色彩の侵食スピードからすると時間との戦いだ。要救助者はなるべく助けたいとばかりの気持ちである。
 ひりょは能力「ライオンライド」で召喚した黄金のライオンと共に、不可思議の色彩の発狂に耐性のあるオーラを纏いながら待合室近辺を見て回る。
「1人でも多くの人を助けられればいいが…全てを助けられる状況では…ないだろうな…くそっ…歯がゆい」
 自身でも無用な焦りの気持ちではある。だが今だ色彩から無事な患者や医療関係者を発見し、それが色彩に侵された待合室の椅子や診療道具に襲われているとすれば放ってはおけない。
 即座に光陣の呪札で速攻をし、不可思議な色彩を纏った襲撃者を打ち砕く。中には色彩に侵された人間も混じっており、発狂し身体を変形させながら襲い掛かってくる。
「ろがばれがらいがおがいれがばあおうううううううおおおおお!!」
「危ないから下がって!」
 そう言ってひりょは患者達を下がらせた後に、呪札の乱れ撃ちを敢行する。多数の敵性存在を吹き飛ばす威力がある故に、存命者巻き込まないよう注意し配慮した結果だ。
 ひりょは無事ではあるが、救助者が色彩に精神が汚染されない保証はない。故に慎重を期すために黄金のライオンには救った患者や医療関係者を乗せる。
「この上なら大丈夫です。さあ、無事な場所へといきましょう」
 ひりょの二倍の身体の黄金ライオンは乗るには十分なスペースで、さらに周囲に心身の治療効果のある結界も施してある。これで多少は落ち着いてくれるだろう。
 こうしてひりょはわずかに残っていた待合室や診察室の救助者を助け、色彩の化け物を駆逐しながら安全地帯へと誘導していくのであった。

「ごあああああああああぎいいいいいいいいいいいい!」
「……まあでも、どんな場所でも俺のやることは変わらないっすね」
 一方の一般病棟ではひりょと別れた梨が、発狂したベットと患者の不可思議な色彩の怪異達と対峙していた。その背には逃げ回っている看護士や患者の子供もいる。
 襲われているところを助けた形になるが、ベッドまで襲撃してくる異常事態。さらには病室の室内すらも色彩が侵食しようとしているところだ。
「じゃ、お仕事しますか」
 手に持っている仕込み剣傘・無銘を使って、豪腕を振るうベッドの集合体の攻撃を受け流す。そして返す刀で片手に持ってる時計の短針に似た形状の鍔と柄のない黒のショートソード「短針・■■■■」を振るって切断していく。
 さらに襲い掛かってくる色彩に侵された人間に対しては能力「騙し、騙し、騙して、――相手を討つ(カレニトッテノニチジョウ)」を発動して対応する。暗器を投擲すると同時に相手に近寄り、仕込み剣傘で攻撃すると見せ掛ける。
「やっぱり、発狂しているだけあって単純っすね」
 簡単に陽動に引っかかってくれた所に、隙だらけの箇所に短針の斬撃。さらに暗器も使っての攻撃を繰り出して撃退していく梨。はてには防御用の剣傘まで投げつけて頭を潰すなどの大立ち回りをして、色彩の化け物共を退ける。
 その戦闘風景を茫然と見ていた看護士は立つことも動くこともできないようだ。あまりの現状に脳が追い付いていないといったところか。
「あ、俺はこういうものっす。ここで隠れておいた方がいいっすよ。大丈夫、いざとなったらこの名刺が守ってくれますっすから」
 そう言って式神を宿した名刺を渡す梨。持ち主の想像と霊力により自在な姿に変身して、役割を果たす式札であるこれならば、自身が仕事を果たす間なら何とか保ってくれるだろう。
 お礼を言って頭を下げる看護士と患者の子供から立ち去る梨。彼女達には見せなかったが、その顔には疲労の色が見える。
「……ふ~真面目な演技てのは疲れますっすね~」
 本来柄でもない正義の味方っぽい演技は肩が張る。そう思いながらも梨は色彩に襲われている人々を安心させる為にもその役割を果たすのみである。
 なればこそこの不可思議な色彩を呼び起こした元凶を倒さなければならない。早急に元を断つことで梨自身の仕事量を減らすという決意の元で一般病棟の救出を再開する。
「――さっさと元凶を…して、終わらせますか」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霑国・永一
ほほぅ、ここが件の曽根田総合病院というアトラクションという訳だ。物品すらも狂気に侵されるらしいからねぇ、楽しみで仕方ないよ。
ま、狂気耐性がぼちぼちな俺でも侵されかねないし、程々に楽しんで程々に仕事もこなすとしよう。

では狂気の分身を発動だ。肉壁代わりに俺の周りに数人、囮とか探索・救出用に20人以上は出しておくかぁ。
行動可能範囲でどんどん分身たちを色んな部屋や道に展開して行くよ。汚染対象があればバンバン自爆して諸共散って貰うさぁ。無論減り次第分身は常に補充してくねぇ。
救出対象は居たら分身たちに指示して保護して貰うよ

『お邪魔するぜー!』『ハハハハッ!あれも汚染してやがる!』『俺様死んだ!ウケる!』


シーザー・ゴールドマン
「外なる邪神」か。いよいよこの世界も危険度が増してきたね。
楽しみな事だ。
さて、変質した病院。外から消滅させてしまえば話は早いが生き残りがいるという話だったね。まずは救助活動と行こうか。
気の赴くまま病院内を移動。(第六感)
生き残りを見つけたら、これに触れたまえと魔法陣を見せます。
(『ラガシュの静謐』で閉じた世界に一時避難させる)
院内の脅威が襲いかかってきた場合はオーラセイバーで切り裂き、浄化して対処。

ふん、変異同化させるか。あまり面白みはないね。


アニエス・ベルラン
人を狂気へと誘う不可思議な色彩、か…
やれやれ、嫌な予感しかしないね
でも生き残った人間もいるようだし…はぁ、仕方ない、このぼくが助けてあげるとしようか
ぼくは本来人間を恐怖に陥れる妖怪…魔女だというのに
いつからこんな世話焼きな性格になってしまったかな…

建物自体まともな状態じゃなさそうだね
杖に【魔力溜め】しながら慎重に進もう
バケモノや手術道具が飛んでくるようなら、魔法を【高速詠唱】してUC【ミゼリコルディア・スパーダ】の魔法剣で全て撃ち落とそう

要救助者を見つけたら優しく声をかけるよ
大丈夫かい?
安心したまえ、ぼくは君たちの味方だ
ついてくるといい、外に出るまでの安全はこのぼくが保証しよう
感謝したまえよ?



 曽根田総合病院は順調に不可思議な色彩に侵食されつつある。医療関係者や患者は勿論、物品・建物といった非生物もその例外には当てはまらない。
 その色彩に侵された者は発狂せざるを得ない。そしてありとあらゆるものを襲おうとする。そしてその色彩はどんどんと色を自身へと染め上げていく。
 そう言って爆発的な感染はUDC組織によって封鎖されたことによって、さらに拡大傾向にあった。染まっていない箇所へと侵食し、正常を異常へと変貌させていく。
「ほほぅ、ここが件の曽根田総合病院というアトラクションという訳だ。物品すらも狂気に侵されるらしいからねぇ、楽しみで仕方ないよ」
「『外なる邪神』か。いよいよこの世界も危険度が増してきたね。楽しみな事だ」
 だがそんな混沌と絶望が渦巻く世界にも拘らずに楽しんでいると口する二人の顔はまさしく余裕の一文字だ。霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)とシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)にとってはそんなものは驚くに値しないのだろう。
 むしろ二人はこの状況を楽しむことすらできる。そのことにこの曽根田総合病院に巻き込まれた一般人からすれば驚愕に値する事実だろう。だがそれは二人にとっては些末なことだ。
「ま、狂気耐性がぼちぼちな俺でも侵されかねないし、程々に楽しんで程々に仕事もこなすとしよう」
「ふむ、UDC出身の君だ。まずは手並みを拝見しよう」
 そう言って余裕綽々なシーザーは永一の手腕に注目する。執事のような優雅な所作で一礼する永一は能力「盗み散る狂気の分身(スチールオルタナティブ)」を発動させる。
 指定した数の、任意自爆可能な別人格の自分を作り出す、まさしく多重人格者の永一の個性を反映したような能力。呼び出されたのは20人以上の永一の分身だ。
「肉壁代わりに俺の周りに数人、あとは囮とか探索・救出用だね。さ、行こうか」
 そして探索範囲が広い一般病棟に永一の分身達が散っていく。永一本体の指示の元、行動可能範囲で躊躇なく色んな部屋や道に展開して行く。
 勿論救助者がいれば助けるが、それ以外で不可思議な色彩に侵食された者達に遭遇する可能性も高くなる。ならばどうするか。
「がらごきられおおんだがごあじょぼじゃっじゃじああああ!」
『お邪魔するぜー!』
『ハハハハッ! あれも汚染してやがる!』
 そして色彩に侵食された医療関係者に突っ込んで自爆していく永一の分身。文字通り跡形もなく吹っ飛ぶというのが誇張のない表現だろう。
『俺様死んだ! ウケる!』
 そして自爆した分身は即座に永一によって補充される。そうやって侵食された色彩の増殖を減らしつつ、色彩から逃げ回っている人々を救助していくというのが永一の作戦だ。
 だが助けて貰った当人達は当惑するだろう。何せ自分達を助けてる為に自爆した人が、その隣で自分達を安全な場所へと案内しているのだから。
「さて、救助した人は安全なところに運ぼうか」
「それはこちらに任せて貰えるかね?」
 そう言って永一が案内してきた救助者に対してシーザーが能力「ラガシュの静謐(デウス・ウルブス)」の空中に描かれた赤く輝く魔法陣に案内する。それは触れた者をシーザーが作り上げた近未来風都市へと導く入り口だ。
 訝しむ救助者達に余裕の表情で触れたまえと優しく諭すシーザー。その声に抗うのは難しく、次々と触れて、シーザーのユーベルコードの都市へと誘われていく。
「まずは救助活動、その後に脅威の排除だね」
 そうやって魔法陣に人々を移動させていると背後からチューブと注射器の集合体の化け物と、変異して巨大化した肉体を持つ元患者が現れる。いずれも不可思議な色彩に覆われている。
 だがシーザーは慌てずに手に持ったオーラセイバーで両断する。その魔力は浄化に特化させており、色彩に侵された肉体を溶かすように消し去っていく。
「ふん、変異同化させるか。あまり面白みはないね」
 そう言ってチューブと注射器の化け物が血を吸いだそうと襲い掛かるが、背後から永一の分身が二体飛び掛かり、高笑いと共に自爆していく。そして再度永一の元に分身が現れる。
 そのカオスにシーザーも一つため息をつく。外から消滅させてしまえば話は早いが生き残りがいる状況ではやむを得ない。変異した病院で、地道な救助活動が続く。

 そんな二人が暴れまわっている所で、ナースセンターでもアニエス・ベルラン(自称知識人の幼い老婆・f28971)が救助活動を展開していた。
「人を狂気へと誘う不可思議な色彩、か…やれやれ、嫌な予感しかしないね」
 その不可思議な色彩を見た瞬間に、アニエスは理解する。あれは人にとっても妖怪にとっても害ある恐るべきものだということを。
 事前に感じた直感は全く間違っていなかったことにため息の一つも出る。そしてそんな色彩に侵された者達が跋扈している中で、背後で震える看護士達を守っているアニエス。
「でも生き残った人間もいるようだし…はぁ、仕方ない、このぼくが助けてあげるとしようか」
 この色彩が侵食する中でよくぞ生き残ったと言わんばかりに、アニエスは杖にため込んでいた魔力を解放する。魔法「ミゼリコルディア・スパーダ」発動による幾何学模様を描き複雑に飛翔する魔法剣群が、襲い掛かってくる怪異達を叩き潰す。
 アニエスや看護士達を襲ってくるのは、元看護士の変異体だけではない。建物自体も色彩によって発狂しており、固定電話や机、書類やペン、壁すらも襲い掛かってくる状況。
「……建物自体まともな状態じゃなさそうだね」
 そんな周囲のすべてが敵の状況に対してもアニエスの冷静っぷりは際立っている。看護士達が襲われないように空間を魔法剣で守りつつ、自身の杖からも魔法弾を発射して対処する様はまさしく歴戦の魔女だ。
 そして膨大な魔力でナースセンターの発狂した者共を駆逐した後に、生き残って腰を抜かしている看護士に優しく手を差し伸べるアニエス。
「大丈夫かい? 安心したまえ、ぼくは君たちの味方だ」
 その手を恐る恐る取る看護士。正常な者でも次には不可思議な色彩に侵食されて狂気の化け物に変わっていく世界。
 そんな中でも果敢に戦うアニエスの姿は看護士達には救世主に見えただろう。だからこそ彼女達はアニエスの言葉が耳に入り、脳に浸透していく。
「ついてくるといい、外に出るまでの安全はこのぼくが保証しよう。感謝したまえよ?」
「は、はい! ありがとうございます!」
 そう言って感謝の意を向けられることにアニエスは笑顔で応対しつつも、心の中ではむず痒いものを感じていた。本来アニエスは人間を恐怖に陥れる妖怪、魔女だというのに、この異常な空間では救世主扱いだ。
「いつからこんな世話焼きな性格になってしまったかな…」
 その変化に戸惑いつつも、やるべきことをやるしかないとアニエスは看護士達をナースセンターから脱出させて、一般病棟へと案内していく。
 一般病棟で跋扈している永一の分身から話を聞き、シーザーが空間で救助者を保護している話を聞いていたからだ。そこに導けば安全だろういう判断である。

 こうして一般病棟とナースセンターでは大方の生存者を助けることに成功した猟兵達。入口付近も安全は確保されたが、まだ総合病院内には生き残りはわずかにいるだろう。
 そして不可思議な色彩の侵食はさらに加速していく。それはまるで外なる邪神が胎動して、この世に顕現するではないかという不気味さを表すものであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

波狼・拓哉
…目が痛いね、これ
シパシパする前に何とかけりつけたい所だねぇ

んじゃまあ、やる事は簡単です
突っ込んで、適当に助けて、元凶潰してですね
…空から来てる割には倒せるんですね、いや有難いことですが

取り敢えず、化け導きな、ミミック
救助者居たら頼みますよ…怪異は俺がどうにかします

衝撃波込めた弾で起きる現象に撃ち込んで行きましょう…撃って弾けて広がるとかじゃないとは思うんですけど

狂気、呪詛耐性で極彩色の狂気を受け流しつつ、地形の利用、第六感、幸運で何かありそうな所を回っていきましょう
…ま、肉体には来てませんけど精神的にはおにーさん狂い切ってますからね
この程度なら大丈夫でしょう多分

(アドリブ絡み歓迎)


セシル・バーナード
酷いもんだね、これは。極彩色の地獄だ。
どこに何がいるかさっぱり分からない。どこから襲ってくるかも分からない。
それなら、ぼくの力の基礎、空間断裂と次元障壁を矛と盾として、見敵必殺のつもりで奥へ進もう。
目指すは院長室。そこから地下の祭儀場へ。
そこまで辿り着くのに、どれだけの数を相手にすることになるのかな。

ズボンのポケットに手を突っ込んで、口笛吹きながら地獄を進もう。
空間断裂も次元障壁も、意識するだけで発動する類だからね。大仰な身振りも詠唱も必要ない。
この狂気の世界だからこそ、何でもない風でいなくちゃ、狂気に呑まれる。
心の芯を凍らせて、世界をありのままに見つつもそれに呑まれず。
目障りだよ。散れ!


ニクロム・チタノ
病院か・・・まるで懐かしの故郷だなぁ
まあ、そんな感傷に浸ってる場合じゃないね!
助けを待ってるヒトがいるから!
敵は斬り伏せて生存者を探さないと、リモートレプリカント援護して!
待っててね、今助けてあげるから!
どうか反抗の竜チタノの加護と導きを



 曽根田総合病院は一般病棟もそうだが、国内屈指の総合病院である。ならばこそ難病や重篤患者用の隔離病棟も存在する。
 そしてそこの患者や医師にとってはもはや地獄であった。まともに動けない患者のほとんどは不可思議な色彩に侵食され、魑魅魍魎へと成り果てた。
 さらに難病や重病という空気を感じ取ってか、病室や道具達の異形具合も禍々しいものになっている。ここではメスや機材が人間の内臓をすべて掻き出す地獄を演出する、まさしく地獄の一歩手前であった。
「病院か・・・まるで懐かしの故郷だなぁ」
 そんな感傷に浸りながら隔離病棟に足を踏み入れたニクロム・チタノ(反抗者・f32208)は呟く。病室に閉じ込められた過去が懐かしく感じる彼女もまたレプリカントであることを思い返す一幕だろう。
 だが今はそんな感傷に浸る暇もない。恐るべきメスの集合体となった不可思議な色彩の怪物が医者をバラそうとしているのだから。
「た、助けて!」
「まあ、そんな感傷に浸ってる場合じゃないね!」
 助けを待っている人がいるならばニクロムは遠慮なく手を差し伸べる。そんな不可思議な色彩のメスにも一切怯むことのないニクロムは能力「リモート・レプリカント」を発動させる。
 魔界の金塊から鋳造された球「金剛輪転」ゴルディウスが病棟内でも活動できるキャバリアへと変形し、メスの大群を蹴散らして医者を救出する。さらにその先にいる患者が変異したであろう不可思議の色彩を放つ怪物に看護士が襲われそうになっているのを発見する。
「今助けてあげるから!」
 そしてレプリカントの身体能力を生かした一足飛びの後の反抗の竜チタノがニクロムに与えた妖刀での一閃。一瞬にして両断した怪物は崩れ落ち、看護士は慌ててニクロムに駆け寄る。
 そうやって入り口付近でもそれなりの生存者を救うことができた。そのことにニクロムは祈りを捧げるに十分であった。
「どうか反抗の竜チタノの加護と導きを」
 
 そうやってニクロムが斬り開いた道を波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)とセシル・バーナード(セイレーン・f01207)が進む。だが見渡す限り不可思議な色彩に侵食され、到る所に血と肉片が散逸している。
「…目が痛いね、これ。シパシパする前に何とかけりつけたい所だねぇ」
「酷いもんだね、これは。極彩色の地獄だ」
 目をこすって不可思議な色彩に目をやらそうになるのに億劫になる拓哉に対して、セシルは周囲の惨状を憂う。もはや助けられる人命も僅かになっているのだろう。
 そして状況は最悪の部類に達する。どこもかしこも不可思議な色彩に汚染され、どこに何がいるかさっぱり分からない。どこから襲ってくるかも分からない状況だ。
「んじゃまあ、やる事は簡単です。突っ込んで、適当に助けて、元凶潰してですね
 そのセシルの懸念に拓哉は何となくそう言い放つ。単純にやることはいつもと同じことだと得心している姿は、UDC相手などお手の物だと言えるほどだ。
 むしろ拓哉は宇宙の空から来ている割には斃せることに懸念すらあった。無敵の化け物でないことは、非常にありがたいことではあったが。
「そうだね。見敵必殺のつもりで奥へ進もう」
 そう言ってセシルは自らの力の基礎である能力「空間断裂(クウカンダンレツ)」を無敵の矛と盾として進むのみ。目指すは隔離病棟の先にある院長室、そして地下研究室だ。
 そこに辿り着くまでに恐るべき色彩の怪物達とも出会う。だがそれを念じただけで発動する不可視無音の空間断裂で切り刻み、ズボンのポケットに手を突っ込んで、口笛吹きながら地獄を突き進むセシル。
「取り敢えず、化け導きな、ミミック」
 空間断裂を意識するだけで発動する類のセシルが暴れる様の横をついていきながらも、拓哉は能力「偽正・深眠幻想(アラウザル・エスケープ)」を発動させて小さな鍵に化けた召喚した箱型生命体に命じる。
 そのミミックは途上にいた生存者を根こそぎユーベルコード製の小屋が見える湖畔へと保護していく。ここであるならばセシルと拓哉が倒されない限りは色彩に侵食されることもなく、発狂することもない。
「俺も手伝います、よ!」
 そう言って拓哉も衝撃波込めた弾をとてもカラフルな二丁拳銃のモデルガン「MODELtypeβ・γ バレッフ&ノット」から打ち出していく。狙うは建物から変異してこちらに襲い掛かってくるタイプの色彩だ。
 破壊できるのはできるようで、炸裂した後に変形することはない。だがその色彩が飛び散るように拡散するのではないかと思った拓哉の懸念は杞憂に終わってほっとする。
「…ま、肉体には来てませんけど精神的にはおにーさん狂い切ってますからね。この程度なら大丈夫でしょう多分」
 本来であれば生身の人間には精神汚染が激しそうな不可思議な色彩。見ているだけでも魅入られそうな魔性すら宿すものだが、狂気と呪詛に耐性を持つ拓哉には浸透しない。
 むしろ発狂できるものならしてみろと、病棟内の地形すら利用して病室の壁や飛来するメスなど叩き落としていく。そしてミミックはその傍で助け出した生存者を体内の安全な世界へと放り込んでいく。
「頼もしいね。そして目障りだよ。散れ!」
 そんな拓哉に負けじとセシルも空間断裂を繰り出して、変異生物を斬り刻んでいく。その惨状はまさしく地獄、精神に変調がきてもおかしくない事象であろう。
 だがこの狂気の世界だからこそ、何でもない風でいなくては狂気に呑まれる。そうセシルは思い、心の芯を凍らせて、世界をありのままに見つつもそれに呑まれず突き進む。

 入口をニクロムが抑え、隔離病棟は烈火の勢いで拓哉とセシルが突き進み、生存者を救い出していく。この不可思議な色彩が生み出す狂気の地獄の中でよく立ち回って、救うだけ救うことができたであろう。
 だが色彩の侵食を止めるには不十分。なればこそ、元凶たる人物を叩かなくてはならない。ならばこそ猟兵達は、予知で見たという院長室へと急行する。この発狂させる外なる邪神の肉片が外へと溢れ出す前に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『侵食寄生型UDC『ヒプノ・パラサイト』』

POW   :    変形奇襲
自身の身体部位ひとつを【寄生体】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    侵食寄生
【飛び出した寄生体の幼体】が命中した対象に対し、高威力高命中の【寄生による肉体侵食と精神支配】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    催眠光波
【寄生体の触角】から【怪しげな光】を放ち、【催眠】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:塒ひぷの

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 不可思議な色彩が総合病院内に急速に侵食する中で、生き残った医療関係者・患者を救いながら突き進む。そして猟兵達は元凶がいるであろう院長室へと辿り着く。
 だがそこにいたのはこの病院の長である曽根田院長。そして難病から回復して元気に日常生活を送っているであろう少女達だけだった。そして狂気的な表情をした曽根田院長達が虚空を見つめながら声を出す。
「ヒヒヒヒヒイッヒヒヒヒ! ついに、ついに死者蘇生の糸口を、こ、この色彩さえあれあれば!」
 曽根田院長は最愛の娘を失っている。そしてその娘が蘇るのであればと、白衣の男の誘いの乗って悪魔の研究に手を出した。
 それは医療行為ではない、難病の少女達を受け入れて治療するという名目の「実験材料」の確保。その少女達の一部は、目の前で変異していく結果であった。
「いいいいいい、っちょちょちょちょ、キモチイイイイイ、ヒヒヒヒイイイイイイいたいいたいたいた!」
 侵食寄生型UDC『ヒプノ・パラサイト』。これを難病の少女達に埋め込むことによって、身体をUDC化することで病気は克服させる。だが当然、肉体は侵食されて作り変えられていく。
 だが少女達には忌避感はない。精神支配によりむしろ心地よさを感じているのだから。そして不可思議な色彩に汚染されることでさらなる発狂状態に陥った少女達は進化していく。
「ここれれれがああああああ、進化! 侵食! 娘もこれでいひひひひひひははははははは!」
 すでに曽根田院長も不可思議な色彩に侵食されて発狂している。死者を蘇生させるという大望は叶うことはないが、その幻想に酔い狂っている。
 そして不可思議な色彩を纏ったヒプノ・パラサイト達の周囲の色彩に変化が起こる。その色彩の外壁から新しいヒプノ・パラサイトが誕生しようしようとしていたのだから。
「ぞ、増殖! これぞ神秘! せいいいいいいめええええええええのほおおおおおおお!」
 UDCと外なる邪神の肉片が合わさるとこんなことが起きるのかという驚愕。幸い変化までには時間がかかるようだが、宿主となっている少女達を全滅させない限り、新たなヒプノ・パラサイトが生み出される。
 すでに少女達を元に戻す術はない。速やかに全滅させ、状況を鎮圧する他ない。無慈悲と思いながらも、狂気を拡散させない為に、猟兵達は武器を取る。
セシル・バーナード
カノジョ達とは、こうなる前に会いたかったなぁ。残念。

それじゃあ、討滅を始めよう。
こういう手合いは、搦め手を仕掛けても意味は無い。圧倒的な力で殲滅する。
雷球乱舞。生み出した金属球――雷霆珠で、UDCも院長も蜂の巣にしてあげるよ。回避出来るなんて思わないことだね。
いくらかを防御用に自身の周囲に滞空させ、残りは全部UDCの討滅に回す。

触覚が怪しく光る前に、目を閉じよう。室内の様子は雷霆珠の動き方をフィードバックさせて「見切り」、襲ってくるUDCを防御に残していた雷霆珠で対処。
断末魔の声を聞くだけで気が狂いそうだ。さっさと殲滅しよう。

これで全部かな? それじゃあ、本当の元凶を叩きに行こうか。


ニクロム・チタノ
なんて、なんて非道ことを・・・例えどんな理由が有ろうと、こんなことは許さない!
ゴメン、ボクはキミ達を元に戻したり出来ない
だからせめてすぐに楽にしてあげるね
チタノ私は明日が欲しい例えこの子達を救えなくても、こんな悲劇を繰り返さないために
重力で動きを封じて、反抗の蒼焔で火葬してあげる・・・少しは人間らしく
ボクもキミ達と同じようなモノだから
だからこそ、反抗を開始する!
チタノどうか理不尽に反抗させて!


アニエス・ベルラン
いやはや、まさにこの世の地獄、といったところか…
ぼくはそれなりに長い時を生きてきているけれど、ここまで悲惨な光景はそうそう見たことがないよ
…吐き気がしてきた、ぼく自身が狂気に飲まれないうちに終わらせよう

とにかく少女の数を減らすことだね
【魔力溜め】【高速詠唱】でUC準備
【アルカナ・ブラスター】で不可思議な色彩ごと焼き払おう
少なくとも助けられる人は助けられたんだ
暴れさせてもらうよ

…あの【怪しげな光】は厄介だね
あやかしメダルの【結界術】で防げるか…?

彼女たちは…もう助からない
ならば1秒でも早く倒すことが、せめてもの弔いだ
同情はするよ…だが躊躇はしない

ぼくは、悪くない
悪いのは…未だ顔を見せぬ真の黒幕だ



「キャハキャハハハッハハアッハハハハアアアアアハハ!」
 曽根田院長によってヒプノ・パラサイトを移植された少女達は嗤う。嘗ては治療は困難と言われた難病に苦しんでいた過去を思えば、幸せそうにも見えるであろう。
 だがその末路がUDCに身体を作り変えられ、精神支配によって心地よくなることで幸せを得るとはなんという運命の皮肉か。そして外なる邪神によってさらに発狂することになるとは夢にも思わなかったであろう。
「カノジョ達とは、こうなる前に会いたかったなぁ。残念」
 そんな少女達を見てセシル・バーナードは心底残念という表情を浮かべる。女性は華のある内に愛でたいと思うのは妖狐らしい観点であるとは思う。
 もう少し早く会えていればと思えば、その気持ちもわかるというものだろう。だが今はもはや怪物と成り果てているので、しっかりと気持ちを切り替えるセシル。
「それじゃあ、討滅を始めよう」
 そしてセシルの方法はシンプル。こういう手合いは、搦め手を仕掛けても意味は無いと判断し、圧倒的な力で殲滅する方法を選択する。
 寄生体の触角から怪しげな光を発そうとしてくるヒプノ・パラサイトが動く前に、能力「雷球乱舞(ライキュウランブ)」を発動する。生み出した金属球――雷霆珠が包囲するように多数展開する。
「UDCもも院長も蜂の巣にしてあげるよ。回避出来るなんて思わないことだね!」
 そう力強く宣言し、強い電撃を帯びた指先ほどの金属球は雷撃による包囲撃滅を開始する。少女達は院長を守るように電撃を喰らって焼け焦げていく。
 セシルもいくつか防御用に自身の周りに滞空させているが、ほとんどは攻撃用である。それは早く少女達を楽にしてあげようという気持ちもでもあるのだ。
「がぎょああああああああああああああおおおおおほおおおおおおお!」
「断末魔の声を聞くだけで気が狂いそうだ。さっさと殲滅しよう」
 触覚の催眠を警戒してか、目を閉じて対策をしつつ、ヒプノ・パラサイトの動きに応じて雷霆珠の動き方をフィードバックさせて対応させる。
 接近してくるヒプノ・パラサイトも焼け焦げさせて、最後の一体を思しき少女を雷霆珠の盾で防御して滅する。あとは発狂する曽根田院長を倒すのみかと、セシルは歩もうとする。
「ひはひゃはははははははひひひ!」
「これで全部かな?……って」
 だが壁や地面の不可思議な色彩から再び少女達のヒプノ・パラサイトが現れる。本当の元凶を叩こうとしたセシルも霹靂とする再生能力である。
 そして響き渡る曽根田院長の様子に表情を歪ませるニクロム・チタノ。生み出される少女達、発狂と改造を施された姿に深い憤りを感じる。
「なんて、なんて非道ことを……例えどんな理由が有ろうと、こんなことは許さない!」
 セシルが雷霆珠で撃滅を続ける中でも、ニクロムは動き出す。いくら反抗の竜チタノの力と言えども、これほどまでに身体を作り変えられてしまった少女達を元に戻す術は存在しない。
 何より不可思議な色彩に侵食されて発狂して嗤う少女達が哀れに見えて仕方がない。それならばニクロムがやるべきことはただ一つ。
「だからせめてすぐに楽にしてあげるね」
 そう言ってニクロムは能力「キミの明日に反抗を(チタノタイマツ)」を発動する。自身に宿る反抗の竜チタノの霊が召喚され、ヒプノ・パラサイトの少女達を睥睨する。
 彼女は願う。明日が欲しいと、例えこの子達を救えなくても、こんな悲劇を繰り返さないためにと願い、それに応えるように超重力で動きを封じるチタノ。
「・・・少しは人間らしく。ボクもキミ達と同じようなモノだから」
 少女達を見るニクロムは少し悲しそうな顔をして、チタノの反抗の蒼焔が少女達の身体を包み込んでいく。浄化の炎と呼べるべき蒼が不可思議な色彩ごと火葬していく。
 それでもなお生み出される少女達。ヒプノ・パラサイトが発狂したように嗤う姿を見て、ニクロムは強く決意して、蒼焔を吐くチタノと共に進む。
「だからこそ、反抗を開始する! チタノどうか理不尽に反抗させて!」
 反抗の竜チタノは応えるように吠える。ニクロムの明日を紡ぐと信じて、その道を斬り開くために歩みを止めることはない。

「いやはや、まさにこの世の地獄、といったところか…」
 そう言ってセシルの電撃とニクロムの蒼焔が舞う中で、アニエス・ベルランはこの光景を見つめる。討滅され続けてなお、不可思議な色彩から次々と湧いて出てくるヒプノ・パラサイト。
 そして曽根田院長は不可思議な色彩に侵食されて発狂、少女達もUDCに侵食され、不可思議な色彩で狂っている。アニエスも相当に長く生きている魔女ではあるが、これほどの悲惨な光景はそうそう拝める光景ではない。
「…吐き気がしてきた、ぼく自身が狂気に飲まれないうちに終わらせよう」
 アニエスは静かに詠唱を開始し、魔法「アルカナ・ブラスター」の準備をする。幸い、セシルとニクロムが派手に立ち回っているおかげで詠唱時間は稼げる。
 それに魔女のスキルも生かした高速詠唱で術式を構築していくアニエス。狙うは、この増殖する少女の数を減らすことにある。
「少なくとも助けられる人は助けられたんだ。暴れさせてもらうよ」
 そして構築が完了したアニエスは、アルカナ・ブラスターを解放する。白炎の破壊光線が、ヒプノ・パラサイトの身体を貫き、さらに壁や地面の不可思議な色彩も抉り取るように破壊していく。
 それに気が付いた少女達が寄生体の触角から怪しげな光を発してアニエスを牽制しようとする。だが事前にそれが催眠効果があると判断したアニエスはあやかしメダルを放り投げて結界術を作動させ、その効果を遮断する。
「同情はするよ…だが躊躇はしない」
 その言葉と共に破壊光線がヒプノ・パラサイトに取り付かれた少女達の顔面を吹き飛ばす。彼女達が助かる見込みはもはやない。
 それゆえにアニエスは1秒でも早く倒すことが、せめてもの弔いだと考える。こんな悲惨な現実に直面してしまった彼女達に、来世で救いがあると信じてその命を奪っていく。
「ぼくは、悪くない。悪いのは…未だ顔を見せぬ真の黒幕だ」
 そう言い切るアニエスは苦々しい思いを噛みしめながら、ヒプノ・パラサイトを撃ち抜いていく。この殲滅速度を保っていけば、如何に増殖するヒプノ・パラサイトであっても倒し切ることができるであろう。

 まだ笑い続ける曽根田院長と共に、狂った少女達の笑いも四重奏のように響き渡る。セシルもニクロムもそれを打破しようと努め、アニエスもそれが成ると信じている。
 だがアニエスは知らないのだろう。人間の狂気とはもっと深いものであり、悪意の未来というのは彼女を苦しめる結果になるだろうということに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ

これは…、もう、助ける事は無理…みたいだね
「助ける」という意味では楽にしてあげる方が救いになるのだろうか
…おどろおどろしい系統はちょっと苦手な部分があるけれど、こんなひどい事をする存在を放ってはおけない!

手持ちのドロップを媒体に固有結界・黄昏の間を発動
地の疑似精霊を召喚しその力で敵の周囲を岩壁で囲い催眠光波を喰らわないよう対策
万一に備え【呪詛耐性】の【オーラ防御】を身に纏っておく
【破魔】を付与した【レーザー射撃】を上空に放ち、上空からは【誘導弾】として敵を上空から穿つ
複数敵が存在するなら【乱れ撃ち】で上空へ複数のレーザーを撃ち込んだ後【範囲攻撃】の【誘導弾】へ派生させる


シーザー・ゴールドマン
おやおや、可哀想に。(院長や少女達の狂騒を見て)
残念ながら救う術はなさそうだ。消えたまえ。
(特に表情も変えず、その言葉と共に『ソドムの終焉』が発動して範囲内のUDC群を襲う)
敵POWUCは虚空から生じるという性質でもないのでUDCを俯瞰的に把握しておいて変化の兆候を見切って、変じる瞬間をオーラセイバーで切り裂きます。(見切り×先制攻撃)


霑国・永一
これはこれは、素晴らしいまでの狂気の産物だなぁ。
こうでなくては此方も来た甲斐が無いというもの。よぅし、背伸びが凄い少女たち、盗人のお兄さんと遊ぼうか。氷鬼って遊び、知ってるかな?

狂気の奪熱を発動するよ。少女たちが固まってる辺りに銃による盗み攻撃で銃弾撃って纏めて凍結、寄生体を出させないまま狩るとしよう。
無論遠距離だけでなく俺自身動き回ってダガーによる近接での盗み攻撃も行うよ。斬ったうえで凍結さぁ。おっと、手だけじゃ足りないか、パンチや蹴りも交えよう。何しても熱は盗めるからねぇ。
うっかり飛ぶの許した幼体も迎撃はしなきゃだ。

さてさて、少女たち。大人気なくて悪いけど、俺は遊びに手は抜かない主義さぁ


波狼・拓哉
…死者は蘇らない
どの世界でも真理ですよね
死者がそのまま動くことはありますが

まあ、何にせよ今この現状では関係のない話ですが
…助ける方法が無いってのが唯一の救いですかねぇ

ミミック、化け煌めきな
どの程度で活動停止するか分からんから微塵切りにする勢いでいいよ

自分は衝撃波込めた弾で撃って行きましょう
戦闘知識、第六感、地形の利用で光化したミミックを片手に相手の攻撃見切り移動しつつ、撃ち込んで時間を稼いでサポートに

面倒そうなので敵に近づく気も話し合う気もなし
ここでなんか言ってどうにかなるならこんな事になってないでしょうし

…どーせこの後が控えてるんです
ここで時間かけすぎるのもね

(アドリブ絡み歓迎)



 恐るべき悪意、狂気は膨らんで増殖していく。笑い声と共にヒプノ・パラサイトも不可思議な色彩と迎合し、お互いがお互いを高め合うように共振していく。
 宿主であった少女に関してはもはや原型すら留めていない。辛うじて少女というものだったという段階まで身体を作り変えられている。
「あひゃひゃはやはああああっはっはははははははあは!」
 その段階になってもヒプノ・パラサイトの分泌する催眠物質によって嫌悪感は一切ない。それだけが救いと言わんばかりに少女達の高笑いが響き渡る。
「これは…、もう、助ける事は無理…みたいだね」
 鳳凰院・ひりょはその光景に顔をしかめながらも、目を背けるような愚行は犯さない。猟兵と言えどもできることは限られているということは、ひりょもよくわかっている。
 そしてその「助ける」という意味では楽にしてあげる方が救いになるのだろう。その覚悟と共に手持ちの媒体に能力「固有結界・黄昏の間(コユウケッカイ・タソガレノマ)」を発動する。
「…おどろおどろしい系統はちょっと苦手な部分があるけれど、こんなひどい事をする存在を放ってはおけない!」
 ひりょのその勇気と咆哮に応えるように地の疑似精霊が目の前に現れる。ヒプノ・パラサイトが寄生体の触角から怪しげな光を発するのを察知して、周囲を岩壁で囲い催眠光波を喰らわないようにさせる。
 自身も呪詛対策のオーラを纏いつつも、空中へ飛びその岩壁の上を貫く破魔のレーザー射撃を放つ。降り注ぐ光線はヒプノ・パラサイトを追尾するように貫き、その身体を不可思議な色彩ごと焼き尽くしていく。
「まだまだ!」
 地の疑似精霊が次々とヒプノ・パラサイトを地の檻に閉じ込めていき、上空から降り注ぐ破魔の光が撃ち込まれる。破壊攻撃には特化していないヒプノ・パラサイトは成す術はなくひりょの浄化の光に飲み込まれて消えていく。
 だが少女達の笑い声は収まることはない。むしろひりょの苦手はホラー味は増す一方で、不可思議な色彩から生み出されていく。それを見ても優雅に笑うのはシーザー・ゴールドマンだ。
「おやおや、可哀想に」
 言葉にはしたが、表情には憐憫の色は見えないシーザー。少女達の笑い声と今だ狂騒の最中にいる曽根田院長を見ても動じることは一切ない。
 ただ敵を屠るといういつもの仕事には変わりはない。ならばヒプノ・パラサイトの身体が変形してこちらに噛み付こうとしてくる敵を滅殺するのみである。
「残念ながら救う術はなさそうだ。消えたまえ」
 その言葉と共に能力「ソドムの終焉(デウス・ラディウス)」を発動させる。手が頭が足が寄生体の頭部となって襲い掛かってくるヒプノ・パラサイトにも表情を変えずに、破滅の光が照らされる。
 シーザーがオドから精製した複数の魔力の閃光は容赦なくヒプノ・パラサイトの寄生体を吹き飛ばしていく。自身に近づく範囲内のUDCを指定し、自動攻撃させるシステムである。
「邪魔だな」
 そう言ってそれでもなお喰らいつこうとするヒプノ・パラサイトの頭部をオーラセイバーで斬り落とす。寄生体の頭部は少女達の身体から発生するもので虚空から生じるという性質でもない。
 故に変化の兆候を見切っていれば対処は容易い。UDCを俯瞰的に把握しておいて変化の兆候を見切って、変じる瞬間を斬り裂く。これで事足りる作業である。

 そうやって片方の側面をひりょとシーザーが撃滅している頃にもう片面を担当する霑国・永一は満足そうな笑みを浮かべて、現状を楽しんでいた。
「これはこれは、素晴らしいまでの狂気の産物だなぁ」
 この狂気の世界こそ、やはり永一にとっての普通の世界なのだろう。何とも居心地のいい世界、笑いと愉悦が巻き起こす不可思議な色彩のカオスを大いに楽しむ永一。
 やはり彼は狂っているのだろう。だからこそ、こんな世界に嬉々として足を踏み入れるという選択肢を進んで選ぶのだろうと永一は嗤う。
「こうでなくては此方も来た甲斐が無いというもの。よぅし、背伸びが凄い少女たち、盗人のお兄さんと遊ぼうか。氷鬼って遊び、知ってるかな?」
 そう言って寄生体の幼体をまき散らそうとするヒプノ・パラサイトに対して永一は能力「盗み凍る狂気の奪熱(スチールフリーズ)」を発動させる。狙うは少女達が固まっている集団だ。
 そこに銃による凍結弾を撃ち込み、身体を瞬時に凍らせていく。まるで空気を盗んだかの如くその凍結は広がっていき、数珠を繋ぎ合わせたようにヒプノ・パラサイトが凍結する。
「どうだい、それでご自慢の寄生体も出せないだろう?」
 そういって凍って動けなくなったヒプノ・パラサイトを容赦なくダガーで狩りとっていく永一。切り取った肉片を盗み取るような見事なる斬撃。
 実際は切り取った先から捨てているのだから永一のしていることは盗みでも何でもない。だが熱を盗んで、命を盗む。それこそがこの狂気の世界に相応しいと言わんばかりの暴れっぷりだ。
「おっと、手だけじゃ足りないか」
 だがそれでも永一の攻撃は銃やダガーでは足りないほどの、ヒプノ・パラサイトの増殖っぷりだ。うっかり飛ぶのを許した寄生体の幼体を咄嗟の蹴りで躊躇なく潰す永一。
 そしてカウンターと言わんばかりに拳を叩きつけて少女の頭を粉砕する。そして永一は拳の先から熱を盗み、凍結して動きを封じていく。
「さてさて、少女たち。大人気なくて悪いけど、俺は遊びに手は抜かない主義さぁ」
 まるで遊戯を楽しむ子供の如きにはしゃぎ回る永一。なれどその残酷・残虐性は衰えることは知らず、凍らし、殺していく。
 それとは対照的に波狼・拓哉の感情は凪いでいた。この笑いと狂気が混合する世界には全く不釣り合いと言わざるを得ないであろう。
「…死者は蘇らない。どの世界でも真理ですよね。死者がそのまま動くことはありますが」
 だからこそその真理を覆そうとした曽根田院長の愚行に拓哉は同情はしなかった。だからこそヒプノ・パラサイトは跳梁跋扈し、不可思議な色彩という外なる邪神の肉片の到来を許した。
 この事態を招き入れた曽根田院長に救いはない。救う必要もないと言わんばかりに、今も笑い声を続けるその男を一瞥する拓哉。
「まあ、何にせよ今この現状では関係のない話ですが……助ける方法が無いってのが唯一の救いですかねぇ」
 実際に助ける方法があったら面倒くさい事態になっていただろうと拓哉はある意味安堵なため息をつく。それはつまり、遠慮なく排除してもいいということでもある。
 ヒプノ・パラサイトが身体の一部の頭部を変形させて襲い掛かってくるのを、衝撃波を込めた弾丸で吹き飛ばす拓哉。召喚した箱型生命体「ミミック」に命じる。
「ミミック、化け煌めきな。どの程度で活動停止するか分からんから微塵切りにする勢いでいいよ」
 その命令を受諾するように能力「偽正・輝狩剣戟(トルオヴォス・スパーダ)」がミミックから発動し、光に化ける。そして霊体だろうが精神だろうが刃が通れば切断する半物質の刃が放たれる。
 拓哉に食らいつこうとしていたヒプノ・パラサイトは成す術もなく両断されていく。自身はミミックの斬撃のサポートに回りつつ、楽しそうな永一の邪魔にならないように立ち回る。
「ここでなんか言ってどうにかなるならこんな事になってないでしょうし」
 そして拓哉は曽根田院長や少女達に積極的に近寄ることは選択しなかった。話し合ってどうにかなる段階はとうに過ぎ去っているし、絡んでも面倒そうな相手でもあったからだ。
 だからこそ簡単に院長室にあるその机の重要書類を簡単に入手することができた。そこにはこの不可思議な色彩の発生源であろう、「地下研究室」の場所も記されていた。
「…どーせこの後が控えてるんです。ここで時間かけすぎるのもね」
 そう言って近寄ってくるヒプノ・パラサイトをミミックに切断させて、情報を読み取っていく拓哉。その研究室の到達ルート、隠されたエレベータの場所まで知ることができた。
 ならばここで戦い続けることは無用だと言わんばかりに、猟兵達に合図を送る。元凶を一気に叩き、事態を解決させるという発案だった。

 まだ曽根田院長と一部の少女達が残っているが、元凶へ向かうことを選択する猟兵達。まったく憂うことはないのは、後始末に燃える猟兵がいることを知っているからだ。
 故にこの不可思議な色彩の元凶がいるであろう、研究資料が指し示す場所へと向かう。この怪異に終止符を打つ為に。今こそ外なる邪神を叩き出す時なのだと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
過度なグロ×
WIZ

身も心も寄生虫に侵食され
宿主として生きる事が死者蘇生ですって……?
ふざけるなッ!!!

【怪力】で壁を殴り
院長と少女達の注意を引く

彼女達の魂の嘆きが聞こえないお前に
死者蘇生を語る資格は無いわ。
これこそが真の死者蘇生よ!!

『私達の楽園』で今まで救済したオブリビオンのうち百人を召喚。
一人一人が私と同じ強さと再生能力を持つ

【呪詛耐性・狂気耐性・気合い】で催眠に耐え
私を含め百一人の子守唄【催眠術・全力魔法・歌唱】で
寄生虫もろとも眠らせ
抱擁と共に髪を撫で【慰め・生命力吸収】
彼女達の魂だけでも救済

院長が私達に触れようとしたら【念動力・マヒ攻撃】で金縛り。
お前如きの愛では永遠に届かぬ力よ



「いひひひひはははははははははははは! どんどん甦れ! どんどんどんどどどどど!」
 曽根田院長の狂った声が院長室に木霊する。すでに多くの不可思議な色彩が破壊され、ヒプノ・パラサイトに寄生された元患者の少女達も減っていたとはいえ、まだ健在だ。
 そして猟兵達は元凶の研究室に向かった故にもはや邪魔する者はいない。その神秘を堪能し、己の欲望が成就するのだと曽根田院長は歓喜する。
 実際はその死者蘇生は妄想であり、外なる邪神の肉片はその欲望を叶えることはない。だがそれすらも愉悦と言わんばかりに、次々と事象を発狂させていく不可思議な色彩。
「身も心も寄生虫に侵食され、宿主として生きる事が死者蘇生ですって……? ふざけるなッ!!!」
 そう言って思いっきり院長室の壁を叩いて、曽根田院長とヒプノ・パラサイトの注意を引くドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)。その怪力によって壁はひび割れ、粉砕寸前までいっている。
 それほどまでに彼女は怒っていた。曽根田院長の素行にも、救済の何たるかを知り得ない痴れ者達の宴にも。だからこそ、この後始末を嬉々として受け入れたのである。
「彼女達の魂の嘆きが聞こえないお前に死者蘇生を語る資格は無いわ。これこそが真の死者蘇生よ!!」
 ドゥルールは怒りの発露のままに能力「私達の楽園(ネヴァーエンド・ラブメモリーズ)」を発動させる。今まで彼女が救済したオブリビオンのうち、少女の形をした100人を呼び起こす。
 一人一人がドゥルールと同等の力を持つ守護霊の如き存在。そして再生能力もまた折り紙付きで、ヒプノ・パラサイトの前に立ち塞がる。
「きゃははははははははああああははいたいたいたいひひひ!」
 寄生体の触角から怪しげな光を浴びせ、ドゥルールを同じ道へと引きずり込もうとする。だが数多の守護霊に守られた彼女の精神を侵すには足りない。
 そしてドゥルールは100人の守護霊と共に魔力を伴った子守唄を謳う。それは催眠術を応用した、まさしく対オブリビオンに特化した魔術でもあった。
「あひひひ……は、はは……」
 そしてヒプノ・パラサイトもろとも少女達は眠りへと付き、ドゥルールと守護霊達はその髪を撫でて抱擁していく。その腕から残らず生命力を吸収する為に。
 それは魂の救済。不可思議な色彩が混じって侵食してくるが、無尽の再生能力でそれに対抗し、駆逐していく。
「あああああああああ、邪魔じゃまじまっまままじゃまああああ!」
 不可思議な色彩が消えていき、少女達が消滅していくのを見て、メスを振り回しながらドゥルールに向かう曽根田院長。すでに精神は崩壊し、発狂しているのか、口からは涎を垂れ流している。
 だがドゥルールは念動力で触れることなく、曽根田院長の身体を金縛りのように止める。そして苦しむ間もなく心臓を止め、絶命させてうるさい口を塞ぐ。
「お前如きの愛では永遠に届かぬ力よ」

 そして院長室には静寂が戻った。少女達は一部はドゥルールの中で救済されたのであろう。それに安堵した彼女はその場を立ち去る。
 後の始末は他の猟兵達がしてくれるのだろうと信じて、彼女は踵を返す。もう少女達が苦しむことも、嗤うこともない。ただ眠るのみだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『クロンプトン博士』

POW   :    我ガ子タチヨ、敵ヲ殲滅セヨ
レベル×1体の【自身が改造した少女のサイボーグ】を召喚する。[自身が改造した少女のサイボーグ]は【鉄】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    神ヨ、我ガ願イニ応エヨ!
【「素材」から作った妻を模したサイボーグを】【召喚し、その女サイボーグに自身の願いを】【叶えてくれる神と思い込んでいるUDC】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    私ハ取リ戻スノダ、全テヲ
レベル×5体の、小型の戦闘用【機械兵器】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。

イラスト:クーピー高杉

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビビ・クロンプトンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 院長室の研究資料から曽根田総合病院の地下研究室の在処を突き止めた猟兵達。隠された地下エレベーターによって、その禁断の研究スペースへと足を踏み入れる。
 幸いエレベータは不可思議な色彩に侵食されていなかったが、地下に降り立った猟兵達の目に映ったのは、目を覆うような色、色、色。侵食具合は上の病院内の比ではない。
 そしてその不可思議な色彩、つまりは「外なる邪神」の肉片を宇宙の空より呼び起こした儀式邪法陣はその研究室の中心にあった。そしてその傍に立つ白衣の男。
「……何者デスカ? UDC組織ノ者達デスカ? ドノ道モウ遅イデスヨ」
 その男の眼鏡の奥はすでに正気でない光に染まっている。そう、不可思議な色彩が侵食しているのだ。そして追従する無表情の少女達も色彩に染まっている。
 その少女達も発狂するように、仕込まれた機械兵器が暴走を開始する。そう、彼女達はヒプノ・パラサイトとは別の形、この白衣の男クロンプトン博士によってサイボーグ化された存在だった。
「サイボーグハ手段デシタガネ……デスガこの外ナル邪神ノ力ヲ使エバ! 蘇生スラモ可能ニナル!」
 その一端を見たクロンプトン博士は確信に到る。肉体すらも超越し非物質すらも発狂させるこの色彩ならば、魂すらも呼び起こすことすらできるであろう。
 そんな妄想・幻想に支配されるほど、クロンプトン博士は狂っていた。そしてその発狂は不可思議な色彩に侵食したことによって加速する。
「アア、我ガ愛シキ妻! 愛シキ娘ビビヨ! 今コソ今コソコソコソコソ! 家族一緒ニナル時デスウヒハホオオアアヒヒ!」
 UDCに殺された復讐をするために自らの娘すらサイボーグ化した過去すらも忘れ、すべてを取り戻そうとした狂った科学者。だがもはや自分が作り上げたものすらも発狂し、外なる邪神の肉片を曽根田総合病院の外にバラ撒こうとする。

 もはや話し合いの余地などない。この元凶の男を倒し、儀式邪法陣を破壊する。それ以外この色彩の侵食は止まらない。ならばやるしかないと猟兵達は覚悟を決めて決戦へと挑む。
セシル・バーナード
いかがわしい場所っていうのはこういうところをいうんだね。
もちろん、ぼくの旅団も、別の意味でいかがわしいけどさ。

「全力魔法」「範囲攻撃」で砂塵蹂躙を展開。この地下室くらいは覆えるはずだ。
仲間のところには砂嵐が吹き付けないようエアポケットを作って。これが一番手がかかる。
お手製の機械兵器がどんなものかは知らないけど、この砂嵐の渦を抜けられると思わないでね。
吹き荒れる砂塵が敵の手駒を吹き飛ばし、機械の内部へ入り込んで回路を毀す。

ぼくは世界を愛してるからね。その世界を傷つけようという相手は、オブリビオンだろうがUDCだろうが、須く討滅する。

地下室は戦闘で荒れたけど邪法陣は健在か。
空間断裂で断ち切る!


シーザー・ゴールドマン
なかなかの侵食具合だね。あの白衣の男が元凶かな?
ふむ、狂気の果て、と言ったところか。
もはや知性も感じないし、あまり興味をひかれないね。

『ウルクの黎明』を発動。
増大した戦闘能力でオーラセイバーを横薙ぎに振るい、その衝撃波で敵powucの産物であるサイボーグ少女たちを吹き飛ばします。(衝撃波×範囲攻撃)
然る後に超音速で滑る様に間合いを詰めて大上段からの一撃を。
(怪力×鎧砕き×浄化)

その狂気が外なる邪神を呼んだのか、外なる邪神により狂気に蝕まられたのか……まあ、少なくとも今日はここまでだ。消えたまえ。



「ハハハハハハハハハ! コノ色コノ色彩コソ! ウヒヒヒハハハヒャハハハ!」
 狂ったように嗤うクロンプトン博士。その瞳は不可思議な色彩に染まり切っており、目にする空間すらも外なる邪神の肉片が見えているのだろう。
 それは名状しがたい狂気の世界であり、このUDCアースの世界にあってはならないもの。すべてを発狂させる、恐るべき肉片共の侵食である。
 無機物も生物もすべてを発狂させ、オブリビオンですらもこの様である。もはや一刻の猶予もないという段階と憂い、セシル・バーナードは顔をしかめる。
「いかがわしい場所っていうのはこういうところをいうんだね。もちろん、ぼくの旅団も、別の意味でいかがわしいけどさ」
 別の意味でやばいことになっているな、という自笑気味な表情を浮かべたセシルであったが、意に介さないとばかりにクロンプトン博士はサイボーグと化した少女達を差し向ける。
 彼女達もまた難病に苦しんでいたが、病気の元になる原因の身体をすべて機械に置き換えられ、別者となった存在。そんな彼女達も不可思議な色彩に侵され、発狂して奇怪な音と共に襲い掛かってくる。
「くきききかかかかかかかはいじょはいじょはいじょじょじょじょ!」
 女性には触って貰っても構わないセシルであったが、これは御免だと能力「砂塵蹂躙(サジンジュウリン)」を発動させる。セシルの持つ全力の魔力を持って空間を把握し、微細な粒子を含んで吹き荒れる砂鉄の暴嵐へと変換させる。
 閉所である地下室を覆うほどの砂鉄の嵐。さらに他の猟兵の所へは攻撃がいかないようにエアポケットを作って緩衝材とする。そういう細かい空間把握もセシルにとってはお手の物だが、これが一番気を回すところでもある。
「お手製の機械兵器がどんなものかは知らないけど、この砂嵐の渦を抜けられると思わないでね」
 世界を閉ざすという明確なセシルの意志が体現したの如き吹き荒れる砂塵。それがクロンプトン博士のサイボーグ少女達を吹き飛ばし、さらにその機構の隙間から砂鉄が入り込んでいく。
 セシルの空間把握によって作り出された鉄の砂は、自在に動き破壊を巻き起こす。サイボーグ少女の機械部分の内部へ入り込んで回路を毀し、その機能を終わらせる。
「ぼくは世界を愛してるからね。その世界を傷つけようという相手は、オブリビオンだろうがUDCだろうが、須く討滅する」
 そしてサイボーグ少女達の身体を突き破って、不可思議な色彩も諸共粉砕して、その活動を止める。こうしてようやく停止に追い込むことができるクロンプトン博士の創造物に呆れるばかりだ。
 地下室を荒らしたことによって不可思議な色彩に汚染された壁や地面も大分削ることができたが、儀式邪法陣が健在なのを思い至って、フォースセイバー『北条隆景』を構えて切り取ろうとするセシル。
「サセンサセンセサセンゾオオオオオオオオ!」
 だがサイボーグ化した少女達を壊され、不可思議な色彩も破壊されたことに激高したクロンプトン博士に阻まれ、舌打ちするセシル。再びサイボーグ少女を配備して壁を作るのは、おそらく不可思議な色彩の個体創造能力によるものだろう。
 しかしそれを強烈なフォースセイバーで斬り飛ばす、一人の猟兵。攻撃の機を伺っていたシーザー・ゴールドマンは、地下実験室を飛翔し不敵に笑う。
「なかなかの侵食具合だね。あの白衣の男が元凶かな?」
 その瞳はクロンプトン博士と、侵食された不可思議な色彩の部屋全体に向けられる。セシルが進むのをサポートしたわけではないが、結果的に道を作ることになる。
 クロンプトン博士は血走らせた目をシーザーへと向ける。不可思議な色彩に染まったその瞳は、もはや常人のそれではない狂気が詰まっているようだった。
「ふむ、狂気の果て、と言ったところか。もはや知性も感じないし、あまり興味をひかれないね」
「我ガ娘達ヲオオオオオ! ビビヲ妻ヲオオオオオオオオ! シネシネシネネネネネエエエエ!」
 元は知性溢れる人物だった故にシーザーの落胆も一際だった。そして発狂した人物を早々に片付けるべく、能力「ウルクの黎明(デウス・ポテスタース)」を発動させる。
 輝く真紅のオーラが全身を覆い、不可思議な色彩の狂気をも跳ね返すような力強さを得るシーザー。その強大化した戦闘能力を持って、襲い掛かってくるサイボーグ少女を蹂躙する。
「楽しませて貰おうか」
 その増幅した魔力でオーラセイバーを形成し、横薙ぎに振るう。その魔力の波動と膂力で生み出された衝撃波で、不可思議な色彩に侵されたサイボーグ少女達を吹き飛ばす。
 そして生み出された衝撃波と魔力の奔流によってバラバラに破壊していく。その光景にクロンプトン博士は狂気の中で発狂しそうになるが、その思案に浸る暇もなかった。
「その狂気が外なる邪神を呼んだのか、外なる邪神により狂気に蝕まられたのか……まあ、少なくとも今日はここまでだ」
 超音速で滑る様に間合いを詰める一足飛びでクロンプトン博士の懐まで飛び込んだシーザー。そして振るわれるオーラセイバーの大上段からの一撃が、身体を斬り裂く。
「消えたまえ」
 それと同時にセシルの儀式邪法陣を攻撃する剣撃が炸裂する。すべてを破壊するまでにはいかないが、その術式を構成する部分に甚大なダメージを与えることができたようだ。
 シーザーはそれに笑みを深めるが、それでもなおクロンプトン博士は倒れることはない。不可思議な色彩が傷口に侵食し、シーザーが抉り取った傷口を再構築しようとするではないか。

 そのことに興味深いと言わんばかりに注目するシーザーではあるが、足元の色彩が迫ってきており距離を取る。いかに強靭なる真紅のオーラであっても、何者をも発狂させる外なる邪神の肉片故に油断はできない。
 クロンプトン博士は己の邪魔をする猟兵達にあらん限りの敵意の視線を向ける。その狂気を沈めることができるかは、これからの奮戦にかかっている。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ

たとえどういう経緯があったとしても、踏み越えてはいけない領域というのがあるんだ
だから、ここで絶対に止める!

それにしてもあの狂気、嫌な感じだ
その恐怖感から防衛衝動を発動させる
分身達と共に召喚された機械兵器へ光陣の呪札の【乱れ撃ち】
【貫通攻撃】も伴わせ機械兵器の後ろにいるクロンプトン博士へもダメージを与える
機械兵器の数が減って来たら迎撃は分身達に任せ、自身は退魔刀を手に博士に向け【切り込み】
【破魔】【継続ダメージ】付与した退魔刀による一撃を加える
悪夢と狂気の空間をこの戦いで断ち切るんだ!
邪心の肉片を病院外へ、なんて絶対にさせないっ


ニクロム・チタノ
こんなことは理想でも進化でもないよ、妄想を美化した圧政だ!
反抗者として許していけない!
沈め超重力の海底へ
相手が邪神ならこっちは反抗の竜チタノだ、この超重力には抗えないよ!
ついでに命を弄んだオマエに拳を一発
身勝手の報いを受けろ!



 すでにクロンプトン博士は正気ではない。オブリビオンですらも正気を失わせる不可思議な色彩はその瞳から脳髄まで浸透し、精神を発狂させていく。
 先程倒されたサイボーグの少女達が己の妻や娘に見えているのだろう。本来ならばサイボーグがいくら倒されようとも眉も動かさないクロンプトン博士が激昂している。
「オノレオノレノノノノンレレレレレ!」
 己の存在を賭して復讐をしようと決意した者を殺された時、人はどうなるだろうかというのを如実に表している。そしてそれは外なる邪神の肉片によって、感情は発狂し加速する。
「たとえどういう経緯があったとしても、踏み越えてはいけない領域というのがあるんだ」
 そしてその狂気の科学者を見た鳳凰院・ひりょは怒りの表情を向ける。それは人として越えてはいけないラインを犯した者への純粋なる怒りである。
 難病であった少女達は救いを求めて、この曽根田総合病院に来たのであろう。だがこんな未来の為にここへ来たわけではないとひりょはクロンプトン博士を許すわけにはいかない。
「だから、ここで絶対に止める!」
 そう勇ましく突撃するひりょに対して、クロンプトン博士はサイボーグ少女から空飛ぶ機械兵器を出撃させる。そのすべてが不可思議な色彩に汚染されており、気が狂いそうな機械音を響かせる。
 その嫌らしい羽虫を想像させる機械兵器達に対してひりょは嫌な感じという警戒心を抱き、そして恐怖もする。それは宿る狂気に反応したのかもしれないが、それによって能力「防衛衝動(ボウエイショウドウ)」が発動する。
「迎撃せよ、我が分身」
 現れたるは100を超える己の分身達。猜疑心や恐怖心を与えた相手を追跡し、排除するその頼もしきひりょの分身達は飛来する機械兵器を次々と叩き落していく。
 光陣の呪札が狂気による呪詛をも撃ち抜き、不可思議な肉片による狂気も浄化していく。その光は機械兵器達をも貫き、背後にいるクロンプトン博士にまで突き刺さるほどだ。
「ヌウウウウウウウウアアアアア!」
 痛みによる雄たけびを上げるクロンプトン博士であるが、狂気からは一向に解放される気配はない。だが機械兵器も減り、冷静さも保っていないとなれば十分と、ひりょは退魔刀を片手に斬り込む。
「悪夢と狂気の空間をこの戦いで断ち切るんだ!」
 そしてクロンプトン博士にひりょの渾身の一閃が炸裂する。血飛沫が舞い、強烈なる破魔の魔力を込めた傷がクロンプトン博士の身体に刻まれる。
 この浄化の魔力を宿した傷痕がクロンプトンの身体を蝕む。外なる邪神の狂気に汚染されているクロンプトン博士にとってはさらに激痛となるものであった。
「邪心の肉片を病院外へ、なんて絶対にさせないっ」
 ひりょの決死の一撃であったが、まだクロンプトン博士の生命には届かない。彼は渾身のサイボーグを召喚し、ひりょを吹き飛ばす。
 それは自身の妻を模したサイボーグであった。妄執から生まれしサイボーグは、クロンプトン博士が望んだ形ではなく、不可思議な色彩によって大きく歪んでいる。
「キイイキキキキイイイイイキイイイイイイイイ!」
 外なる邪神の肉片をベースに動く妻のサイボーグに己の血を捧げて、動かそうとするクロンプトン博士。ひりょに追撃をかけようとするが、それを防ぐのはニクロム・チタノだ。
 ひりょが射程外に飛ばされたのをこれ幸いとばかりに、能力「重力の海(グラビティエリア)」を発動させる。その周囲がニクロムの超重力波が浸透する。
「こんなことは理想でも進化でもないよ、妄想を美化した圧政だ! 反抗者として許していけない!」
 己が信仰する反抗の竜に誓って、この外道を許すまじとばかりにニクロムの超重力がクロンプトン博士と妻のサイボーグに圧し掛かる。まるで超重力の海底に沈んだが如き、負荷がかかる。
 クロンプトン博士も膝を突き、妻のサイボーグも自重によって地面にめり込む。チタノの竜の加護はいつでもニクロムに力と勇気を与えてくれる。
「身勝手の報いを受けろ!」
 邪神の力何するものぞ、と言わんばかりに妻のサイボーグを超重力で拘束したまま、ニクロムはクロンプトン博士に強烈な拳を顔面に叩き込む。その拳は大きく骨を軋ませ、ニクロムの重力圏外まで吹き飛ぶ威力だ。
 命を弄んだ外道に強烈な一撃。反抗の竜チタノの怒りを体現したニクロムの一撃で、さらに戦況は猟兵側に有利になっていく。

 ひりょが刻んだ光の斬撃はクロンプトン博士の身体を蝕み、外なる邪神の呪詛にも対抗する。それは今や邪神の肉片と一体化したクロンプトン博士にとっては毒だ。
 時間がたてばたつほどその傷は大きくなる。だが一刻も早く外なる邪神をこの世界から叩き返すべく、猟兵達は猛攻へと打って出るのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アニエス・ベルラン
――っ…!
おいおい、待ってくれ
まさか…この目の前にいる男が…まさか…!
…いや、今はそれは置いておこう
猟兵として、目の前のオブリビオンを倒す…それだけだ

あのサイボーグの少女たちも…おそらく助からないのだろう
ならばその子たちごと倒す
可哀想だけど、しょうがない
一定の距離をとって【魔力溜め】【高速詠唱】し、UC【ミゼリコルディア・スパーダ】の包囲攻撃で一気に殲滅しよう
狂気に侵された君らには、この複雑に飛翔する魔法剣の動きは捉えられまい…!

…人間の狂気というものは、ここまでおぞましいものなのか
本当に最低の気分だよ
誠に遺憾ながら…ぼくの天敵に認定するよ、狂気の科学者


霑国・永一
やぁ、初めまして。此度は素晴らしいアトラクションを用意してくれてありがとうだねぇ。お陰で道中飽きずに愉しんできてしまったよ。
最後は主催者自らショーをしてくれるのだろう?
いやぁ、楽しみだなぁ。

ほぅほぅ、その召喚したサイボーグは奥さんか。俺と遊ぶより夫と仲睦まじく殺し合って貰った方がいいんじゃないかなぁ。
ってことで狂気の使役を発動しとこう。……確かに盗ませて貰ったよ。それじゃ、博士を愛(ころ)してあげなさい。
熱い愛を見せ付けてくれるじゃあないか。仲良きことは美しきかな。いやぁ、良いことした後は気分がいいねぇ。
せっかくだし俺からもプレゼントを上げなきゃだ。妻に襲われてる博士に向けて銃による発砲をねぇ


波狼・拓哉
…まーなんと言うか哀れですね
どんな外道だろうと、自分の芯さえ忘れなければ、まだ救いや同情もあるのでしょうけれど
全部無くしてますねあれ

…まあ、覚えてたからと言ってUDCになってたら意味無いのですけど

じゃ、化け潰しなミミック
魔方陣ごとぶっ潰しましょう
鉄だろうが形あるのなら…潰れるのは世の常です
永遠に変わらない現状はないんですよ
あ、地下室崩壊しそうになったら植物体活かして止める感じでよろしくー

自分は衝撃波込めた弾で撃って行きましょう
戦闘知識、第六感、地形の利用で見切りつつ立ち回り
白衣の奴自体は人型だから四肢狙って部位破壊しつつ…
追加で喉も狙ってその妄言しか吐けない口を閉じさせますか

アドリブ絡み歓迎)



 猟兵から受けた傷が大きく痛むも、クロンプトン博士の狂気は収まることを知らない。むしろ痛みを緩和しようと外なる邪神からの狂気を嬉々として受け止めようとしている節がある。
 己が大望、叶わなかった夢を見させてくれる邪神に対しては無条件に受け入れることができる。それが正常な判断でなくても、今のクロンプトン博士にとってはそれがこそが正解なのだから。
「クヒヒヒヒヒハハハハハハハ!」
 殺された妻も、己が改造した娘もまた、UDCという邪神に翻弄されて失った。オブリビオンになってもまた、邪神によって狂わされるのは、クロンプトン博士が抱え込んだ業によるものか。
「やぁ、初めまして。此度は素晴らしいアトラクションを用意してくれてありがとうだねぇ。お陰で道中飽きずに愉しんできてしまったよ」
 そんな狂気の世界に満面の笑顔を向ける一人の猟兵。狂気こそ正常、己が遊び場と自認する霑国・永一はこの曽根田総合病院を大いに満喫していた。
 最後に待ち構えていた地下研究室も外なる邪神の肉片によって、異常が蔓延している状態である。これほどのもてなしをされては上機嫌になってしまうのも無理はないだろう。
「最後は主催者自らショーをしてくれるのだろう? いやぁ、楽しみだなぁ」
 そう言う永一にクロンプトン博士は、超重力からようやく解放された妻のサイボーグを解き放つ。不可思議な色彩と邪神の肉片を収めた異形のサイボーグは少女サイボーグとは一線を画す。
 永一はそれが少女達のサイボーグとは違う丁寧さが見える妻のサイボーグに刮目する。そしてその表情は再び狂気の愉悦に浸る。
「ほぅほぅ、その召喚したサイボーグは奥さんか。俺と遊ぶより夫と仲睦まじく殺し合って貰った方がいいんじゃないかなぁ」
 そして発動するは「盗み操る狂気の使役(スチールパペット)」。永一が手をかざすと盗み出すは、召喚した存在の主導権。つまりは妻のサイボーグの主導権だ。
 多少外なる邪神の干渉があるとはいえ、永一は妻のサイボーグを動かすことができる感触を得る。そして作り出す演目は、夫と妻の殺し合いだ。
「……確かに盗ませて貰ったよ。それじゃ、博士を愛(ころ)してあげなさい」
 その命令を受諾した妻のサイボーグがクロンプトン博士に襲い掛かる。その事実にクロンプトン博士は発狂の度合いを強くしていく。
 裏切るのか、なぜ襲い掛かるのか。憤怒・悲哀・絶望、その模様が永一には熱い愛に思えて仕方ない。仲良きことは美しきかな、いいことをした時は気分はよくなると永一は胸が掬う想いだ。
「せっかくだし俺からもプレゼントを上げなきゃだ」
 そして妻が襲われているクロンプトン博士に銃弾をプレゼントする永一。その銃弾は肩を撃ち抜き、妻のサイボーグがその腕を食い千切る。
 そこまでやられて少女サイボーグがようやく妻のサイボーグを抑え込んで破壊していく。その様を見ていた波狼・拓哉は哀れみさえ覚える表情を投げかける。
「…まーなんと言うか哀れですね」
 どんな外道であろうとも、自分の芯さえ忘れなければ、まだ救いや同情もあるのだろう。だが今のクロンプトン博士にそんなものは見られない。
 むしろ裏切られたと錯覚した妻のサイボーグを嬉々として壊している姿はもはや何のために外なる邪神の力を借りたのかわからない状況だ。自分の芯などすべて無くしているといっても過言ではないだろう。
「…まあ、覚えてたからと言ってUDCになってたら意味無いのですけど」
 そう言って呆れ顔になりつつも、自身の仕事を忘れることはない。襲い掛かってくる少女サイボーグを相手に、ミミックを召喚し能力「偽正・水植聖杯(ゾス・カリス)」を発動する。
 植物体の頭足類に化けた箱型生命体は手始めに近寄った少女サイボーグを無慈悲に潰す。機械の破片と不可思議な色彩が飛び散り、壁と地面に部品が当たる音がする。
「じゃ、化け潰しなミミック」
 その号令と共にミミックの巨大なる触腕が破壊を始める。植物体とはいえ、その一撃は重い。鉄であろうが形あるものであれば、破壊されるのが常である。
 さらには儀式邪法陣まで一挙に潰そうとする勢いのミミック。それに発狂した声を上げるクロンプトン博士に銃弾を撃ち込む拓哉。
「永遠に変わらない現状はないんですよ」
 そのうるさい口から声を出させないように衝撃弾で撃ち抜き、一時的に声を塞ぐ。不可思議な色彩がその肉体を再生させようとするも、次々と撃ち抜いていく拓哉。
 四肢を撃ち抜き、行動不能にしてからの触腕の一撃。周囲に破壊をまき散らしながら、サイボーグの少女達の残骸も舞い散る様はとても美しく見えた。

「――っ…! おいおい、待ってくれ まさか…この目の前にいる男が…まさか…!」
 そんなクロンプトン博士を見て、アニエス・ベルランは驚愕の表情を浮かべる。そのサイボーグの作り方、そしてクロンプトンという名前には覚えがあったからだ。
 さらには娘の名前をビビと言った。そしてアニエスの脳裏には一人の少女の姿が思い浮かぶ。
「…いや、今はそれは置いておこう。猟兵として、目の前のオブリビオンを倒す…それだけだ」
 もしかしたら大切な友人の親であったであろう存在を倒すかもしれない。そんな現実に戦闘思考を乱されるわけにはいかないと、アニエスは考えるのをやめる。
 今対峙するのは、少女達を弄び、UDCを移植したり、サイボーグ化した存在。そして外なる邪神を呼び込んだ狂気の科学者だ。
「あのサイボーグの少女たちも…おそらく助からないのだろう」
 ならば暴れているサイボーグの少女達ごと葬らなくてはならない。可哀そうではあるが、もはやアニエスにはどうすることもできない。
 元に戻らないであれば永遠の眠りを。永一と拓哉が稼いでくれた時間で、魔法「ミゼリコルディア・スパーダ」の発動魔力を溜め、一気に構築展開する。
「狂気に侵された君らには、この動きは捉えられまい…!」
 そして襲い掛かるは複雑に飛翔する魔法剣の乱舞。十分な展開量の魔法剣を持って次々とサイボーグ少女の核を貫いていき、その活動を停止させていく。
 アニエスの瞳に映るのは、不可思議な色彩に染まり切ったクロンプトン博士。それが魔法剣によって次々と貫かれてその生命を散らしていく姿であった。
「オオ……ツマ……ビビ……ヨ……」
 ついには外なる邪神の肉片すらも凌駕するダメージとなり、その色彩が消滅を迎える。そして血溜まりと共に沈んだクロンプトン博士の傍には、妻のサイボーグの頭部と、少女サイボーグの腕があった。
 それを妻と娘の幻影を最後まで見たのか。狂ったように笑ってクロンプトン博士は消滅を迎える。その光景に、アニエスは心底嫌な気分になる。
「…人間の狂気というものは、ここまでおぞましいものなのか。本当に最低の気分だよ」
 その瞬間、狂気の科学者はアニエスの天敵と定められる。誠に遺憾ながら、という語尾を付けながらも、もしその前に現れたら全力で排除することを誓うであろう。
 そして拓哉のミミックは儀式邪法陣を完全に破壊し、不可思議な色彩が消滅していくのを確認し、ようやくほっと一息つくアニエス。勿論、地下室が崩壊しないようにミミックの植物体活かして、止めて補強はしている。

 永一は宴は終わったのだと少し寂しげな表情でその光景を目に焼き付ける。おそらくUDC組織が調査に入るのだろうが、不可思議な色彩は消え去り、何も得ることはできないであろう。
 だが外からの干渉は始まった。これは始まりに過ぎないと思うと嗤いが止まらなくなる。狂気の宴はまだまだ続くだと思うと、愉しくなってくる永一と共に、猟兵は勝利を片手に帰路につくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年03月28日


挿絵イラスト