5
ウォー・マスト・ゴー・オン

#ダークセイヴァー #殺戮者の紋章 #闇の救済者 #集団戦 #ボス戦 #『殺戮者の紋章』

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ダークセイヴァー
🔒
#殺戮者の紋章
🔒
#闇の救済者
#集団戦
#ボス戦
#『殺戮者の紋章』


0




●闇夜に戦火を灯して
 オブリビオンの支配と永遠の夜に覆われた世界、ダークセイヴァー。
 百年余り続いた暗黒の時代は、変わりつつあった。
 反抗組織『闇の救済者』の誕生という萌芽は、今やヴァンパイア達からの解放戦争という花を咲かせた。オラトリオ、人狼、そしてダンピール。種族を問わず結集した彼らは人類砦を拠点として、吸血鬼の支配体制に牙を剥いた。
「しかし、当然のことながらヴァンパイア側もこの蜂起を察知しております」
 神楽火・綺里枝(メイデン・オブ・シグナム・f01297)はそう言って、集まった猟兵達に向かって一度頷いてみせた。
「今回皆様にお願いしたいのは、彼ら『闇の救済者』へのご助力にございます。具体的には三つ」
 ひとつ。奪還目標である「イディナローク城」の攻略戦に参戦し、城を守護する『狂化人狼兵』の軍団を『闇の救済者』と共に撃破すること。
 ふたつ。イディナロークの城主であるオブリビオン『聖剣のアデリーナ』と戦い、これを討ち取ること。
 そして最後に、『第五の貴族』から送りこまれてくる刺客を迎え撃つこと。
「特にこの刺客については、わたくしも正体を予知できておりません。『第五の貴族』より『殺戮者の紋章』を授かり、人族鏖(じんぞくみなごろし)の指令を受けている強力なオブリビオンであることは間違いないのですが――」
 イディナローク城主とその配下との戦いを終えた『闇の救済者』に、刺客との連戦を戦い抜く余力はない。紋章で強化されていることも相まって、まず間違いなく壊滅させられてしまうだろう。
「百年の時を経てようやく灯った解放の火を消させるわけにはいきません。どうか、皆様の力を再びお貸しくださいませ」

●鏖殺の聖剣
 イディナロークの玉座の間で、城主アデリーナは不機嫌さを隠そうともせず『第五の貴族』からの援軍と名乗った少女を睨みつけていた。
「あたしに援軍は必要ない。そう言ったはずよ」
 彼女は剣を傍らに跪いたまま微動だにしない。敗北続きの地上の吸血鬼の宣言など信用に値しない――そういう『第五の貴族』の意思を行動で示した形だが、それでは城主の顔が立たない。
 チッ、と音高く舌打ちして、アデリーナは操り人形め、と呟いた。この城を訪れたことにも、来るべき反逆者との戦いに参じようとしていることにも眼前の少女の意思は介在していない。全ては『第五の貴族』の何某かが強制していることだ。それがわかってしまうということが、余計にアデリーナを苛立たせる。
「わかったわ。それほどあたしが信用できないのならこうしましょう。もし、あたしが反逆者どもに負けるようなことがあったらあなたの好きにすればいい。それまでは手出し無用よ」
「――かしこまりました」
 再びアデリーナは舌打ちした。やはり『第五の貴族』達は自分の勝敗に興味はないらしい。奴らが憂慮しているのは人間達の勝利によって自らの身が脅かされること――実際に地底都市の貴族邸がいくつか襲撃されている――だけなのだ。
「それもこれも、猟兵とかいう奴らが調子づかせたせいね。――もしあたしの前に出てきたら殺してやるのに」
 言い捨てて、アデリーナは立ち上がり玉座の間を後にする。
 少女はその背を見やることもなく、跪いたままだった。

●救済者は戦場を目指す
 集結地だったジェスラントの人類砦を発って数日。千人程にまで規模を増大させた『闇の救済者』の兵団は、イディナロークの領地へと進攻していた。
 この人数であっても、ユーベルコードを行使できる者はほとんどいない。もし吸血鬼達――オブリビオンとの戦いとなれば半数以上が命を落とすだろう。
 だがそれでも、抵抗もせず支配されるがままでいてはいけない。ヴァンパイア達に敢然と立ち向かった彼らの背がそれを教えてくれた。
 彼らが自分達を救ってくれたように、今度は自らの手で自らを、そして他の誰かを救うのだ。
 意気軒高と進む彼らはついに、イディナロークの軍勢と相対した。
 魔術、呪詛、薬物。様々な手段で強化改造された人狼兵達だ。狂気と戦闘本能だけに脳髄を支配され、勝利と引き換えに命を落とすのが当然の、使い捨ての駒達。その姿を目にして、兵団に参加していた人狼達が憎悪の唸りを上げた。
 指揮官が号令する。兵士達は手に手に武器を取り、静かに、そして着々と戦の準備が整えられていく。
 だが、『闇の救済者』の兵団は先手を打つことができなかった。目前に迫ったオブリビオンの脅威、そしてそれがもたらす死と敗北の予感に、皆が一瞬躊躇してしまったのだ。
 無月の闇空へ咆哮し、狂化人狼兵の軍勢が攻め寄せる。躊躇いが戦慄へと変わり、そして恐慌に至る直前――。
 彼らの到来を目撃した兵士が歓声を上げた。
「猟兵だ! 猟兵が来てくれた!!」


中村一梟
 猟兵の皆様ごきげんよう、中村一梟でございます。
 今回はダークセイヴァーより、ついに始まった人類の反撃作戦を描くシナリオをお届けいたします。
 章ごとにロケーションが大きく変わっていきますので、プレイング作成の際は(ペナルティがあるわけではありせんが)ご注意ください。

●第1章
「集団戦」フラグメントです。
 この章では猟兵の参戦をきっかけに『闇の救済者』の兵団が士気を取り戻し、反撃するという筋立てになっております。
「兵士達がPCの後に続いて戦う」ようなプレイングにはボーナスが与えられ、🔵の数が増える度にボーナスの効果も多くなっていきます。
 俺に続けぇっ! な方は最初のほうに、みんながんばって! な方は後のほうに参加していただくとよりよい結果が得られることになるはずです。

●第2章
「ボス戦」フラグメントです。
『闇の救済者』が城外で戦いを続ける中、城内部でボスと決戦することになります。

●第3章
「ボス戦」フラグメントです。
 舞台は再び城外に戻り、奪還した城で休息する『闇の救済者』の兵団を一網打尽にしようとするボスとの戦闘となります。
 この章で登場するオブリビオンには『殺戮者の紋章』が寄生しており、より強力になっているためご注意ください。

 それでは、今回も皆様と良い物語を作れることを楽しみにしております。
35




第1章 集団戦 『狂化人狼兵』

POW   :    群狼死重奏
【集団で一斉に人狼咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    群狼狂爪牙
自身の【狂気に身を委ねた兵達が魔獣化し、天に月】が輝く間、【魔獣化した人狼達全員】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    群狼月光陣
【月の光】が命中した対象を治療し、肉体改造によって一時的に戦闘力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

佐藤・和鏡子
かつて、中世の騎士たちが兵士たちの先頭に立って槍を片手に敵めがけて突っ込んでいったように救急車で突っ込みます。
(轢殺のユーベルコードも使用します)
味方の士気を高め、敵の士気を挫くには敵が一番集まったいわばストロングポイントを真っ正面から崩すのが一番ですから。
戦闘知識と運転で狙いを付けて運転・蹂躙・吹き飛ばしで威力をより高めた必殺の一撃を喰らわせます。
範囲攻撃の群狼死重奏をよけるのは無理なので、フルスピードで突っ込んで救急車を破壊される前に敵を殺すことにしました。
いくらオブリビオンでも死ねばユーベルコードは撃てませんから。
『私が救急車で敵を崩しますのでそれに続いてください』



「なんだ……あれは?」
 先陣を切って突撃してくる「それ」を目にした『闇の救済者』達が瞠目する。
 青玉の輝きをまとい、甲高い絶叫を引き連れて驀進する「それ」は――。
「救急車通過します!!」
 佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)が操る救急車だった。
 真正面から敵陣に向かっていく騎士の如く、しかし騎馬よりももっと早く猛きその突進を、いくら強化改造されたとはいえ生身の人狼兵では止められるはずもない。鉄の鼻面を叩きつけられた人狼兵が数人まとめて吹き飛んだ。
 衝突の反動で横滑りする車体を巧みに制御し、和鏡子は速度を落とすことなく疾走を続ける。再び衝撃。車体にしがみつき抑えこもうとする人狼を急加速で振り払う。
 稲妻のように折れ曲がる軌跡で、イディナローク軍の戦列は引き裂かれていく。今が好機と、和鏡子は拡声器を通じて呼びかけた。
「みなさん、私に続いてください」
 だが、『闇の救済者』達の反応は鈍い。ほとんどの兵達が目の前で繰り広げられる現実離れした光景に度肝を抜かれ、茫然としていたのだ。
 彼らに戦意を取り戻させるには、今少し異なる方法で導く必要がありそうだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロラン・ヒュッテンブレナー
(闇の救済者たちの前に出て狼形態で空に向かって大きな遠吠えを一つ)
(人間に戻って)

みんな、恐れないで
彼らは、命を弄ばれた仲間
解放を望んでるはずなの
人狼だけじゃない、ぼくは、従うしかなくて、死ぬしかなかった人たちも見てきたの
彼女たちの為にも、【勇気】を、ぼくに分けてほしいの

【高速詠唱】で【全力魔術】UCの【乱れ撃ち】なの
近寄る間も与えずに、触れれば消滅する光を撃ち込むよ

狂化してるなら、ぼくに向かって集まってくるはずなの

みんな、ぼくを囮に、相手を挟み撃ちにして
引き付けるのに成功してたら、UCから相手の動きを鈍らせる重力【属性攻撃】魔術に切り替えて支援なの

闇の救済者のみんなに、勝利と自信を、なの



 前進を躊躇う『闇の救済者』達の前に、失われた夜空の色をした狼が一頭躍り出た。
 その狼は天頂へと顎を開き、長く尾を引いて響く遠吠えひとつ。残響が去ると共に、狼はロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)の正体を現した。
「みんな、恐れないで」
 静かな声で呼びかけつつ、ロランは迫りくる敵軍へと向き直る。
「彼らは、命を弄ばれた仲間……解放を望んでるはずなの」
 狂化人狼兵だけではない。半吸血鬼、有翼の御使い、そして人間達。従属し、そして死というさだめを甘受せざるを得なかった数多の命を、ロランは記憶している。
「彼女たちの為にも、勇気を、ぼくに分けてほしいの」
 応える声を待たず、ロランは全ての力を費やした詠唱を開始した。
「対消滅術式展開、ターゲットロック、ヒート・コールド、ミキシング。レディ」
 注がれた魔力の量に比して、唱える声は小さく平坦。だが、それが必滅の威力を秘めていることは、中空に出現した十字形の魔術陣を見れば明らかだ。
「ぼくの魔術、受けてみて!」
 灼熱と極凍の激突によって生み出される消滅光が、矢となって射出された。直撃を受けた人狼兵は跡形もなく消え失せ、続けて第二第三の矢が飛来。イディナロークの防衛線に次々と空虚を穿っていく。
 近寄る間も与えぬ乱れ撃ちに、人狼兵達は『群狼月光陣』のユーベルコードで互いをさらに改造していく。走力と跳躍力を強化された異形の脚を得た彼らは元々崩れ気味だった隊列を完全に解体して散開、ロランに向かって疾走を開始した。
(引き付けるのには成功したけど……)
 想定通りの形にはなっていない。闘争本能に支配されている狂犬であっても、破壊消滅魔術の乱射に向かって直線的に突進してくるほど愚かではなかったのだ。
 背後から敵の接近に応じて吶喊しようとする声と、それを宥める声が聞こえてくる。浮足立って暴発寸前の『闇の救済者』達に、ロランは自分の持つ唯一の策を託して走り出した。
「みんな、ぼくを囮に、相手を挟み撃ちにして」
 標的が自ら前に出てきたことで、人狼兵達の行き先も変化する。だが、『闇の救済者』軍による挟撃が可能になるほど集中するか――そしてそれまでロランが持ちこたえられるかは、未だ変転する戦場の霧の中にあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アウレリア・ウィスタリア
【勇壮ノ歌姫】を奏で戦場に降り立とう

ボクだけなら別の手段で戦うこともできる
でもボクだけじゃない
彼らも一緒に戦うのなら
ボクは彼らの支えとなろう

歌を闇の救済者たちへ届けるように
彼らの中心で奏でよう
いや、宙を舞おう
それが敵の注目を集めることにもなるだろうから

ボクに注意を向けた敵なら
前に進む勇気を得た彼らが叩いてくれる
それでも危険があれば
その敵はボクの魔銃で撃ち抜く
誰かが前に出すぎるなら
血糸を伸ばしてフォローしよう

ボクがみんなを励ますには
歌うことしかできないけれど
でも彼らを扇動する存在にはなりたくない

だからボクができる全ての手段で
彼らを守り戦おう

アドリブOK


ニクロム・チタノ
みんな今こそ反抗の時だ
チタノもみんなを導いてくれる
反抗の祝印を
先代反抗者のみんなも協力してくれるよ!
チタノと反抗者のみんなに続いて一気に押し返すよ!
これより反抗を開始する
この世界に反抗の竜チタノの加護と導きを


クオン・キマヴィス
闇の救済者と人狼兵の軍勢がぶつかる直前に、上空から高速で落下しながら介入する。

「……今になって躊躇しているようじゃ、生き残れない」

そう言い捨てて人狼兵の軍勢に先陣を切って突っ込んでいく。UCを起動して蒼炎を纏った「鉄塊剣」による〈斬撃波〉や薙ぎ払いによる〈範囲攻撃〉、同じく炎を装填した銃火器による〈一斉発射〉で焼き尽くす。

敵の攻撃は「鉄塊剣」や「高周波ブレード」〈武器受け〉でいなす

……まだ恐怖で迷っている兵士がいるのなら、援護しながら声を掛ける。

「……迷っては駄目。なるべくは援護してあげる。だから恐れないで」



 歌声が聞こえる。狂気を払い強大な敵に立ち向かう心を呼び起こす、勇壮なる歌が。
 空を振り仰いだ兵士達は、羽ばたく白黒一対の翼を見た。
「奏でよう、ボクの歌を。伝えよう、私の想いを」
 自ら剣を振るうのではなく、『闇の救済者』達を支え共に戦うという決意が、アウレリア・ウィスタリア(憂愛ラピス・ラズリ・f00068)の喉から歌となって迸る。
 彼女の勇気が兵士達に伝染し、彼らは武器を改めて握り直し、闇の軍勢に向けて一歩を踏み出した。
 だが、指揮官からはまだ号令の声が上がらない。『猟兵に任せれば勝てるのではないか』その考えは確かに臆病であり卑怯だろう。だが、そうすれば兵士達を死なせずに済む。今日まで苦楽を共にしてきた友人であり兄弟でもある彼らを。
 もしかすると、今この場において猟兵という強大な戦力に最も依存してしまっているのは彼なのかもしれなかった。
 一時後退。言葉になりかけたその命令を呑みこませたのは、傍らに現れたニクロム・チタノ(反抗者・f32208)の囁きだった。
「今こそ反抗の時だ。チタノもみんなを導いてくれる」
 見つめてくる馬上の指揮官に向けて頷き、ニクロムは己の胸に手を押し当てて、そこに刻まれた反抗の祝印から力を解き放った。
「これより反抗を開始する。この世界に反抗の竜チタノの加護と導きを」
 闇を揺るがす咆哮と鬨の声。ニクロムに授けられた『十三番目の加護』によってこの戦場に召喚された反抗の竜チタノが、先代反抗者達の幻影を従え翼を広げる。
「先代反抗者のみんなも協力してくれるよ! 一気に押し返すよ!」
 ニクロムの言葉と共に進撃を開始する竜達の姿に、指揮官は決断した。
「猟兵に続け! 全軍、突撃!!」

 反抗の竜がかっと開いた顎から地獄の炎を放射する。灼熱を避けた人狼兵を反抗者の幻影が迎え撃つ。
 それらを潜り抜けた人狼兵達の一団がいた。戦に狂った瞳、ユーベルコードによって異形化した四肢、牙を覗かす口から吐き出されるのは獣そのものの吠声。
 眼前に迫る怪物の姿に、奮い立たせた戦意が挫かれる。一瞬の遅滞を突いて迫る鋭い爪。
「……今になって躊躇しているようじゃ、生き残れない」
 それを防いだのは、上空から飛来したクオン・キマヴィス(黒絢の機巧少女・f33062)が携えた巨大な剣だった。
「――全部、灰になれ」
 鉄塊の如く無骨な刃が横薙ぎの軌跡を描くと同時、闇の中にも鮮やかな蒼色の炎が人狼兵を瞬く間に焼き尽くす。
「……迷っては駄目。なるべくは援護してあげる。だから恐れないで」
 そう告げて振り返ることもなく疾走していくクオンの背を、兵士達が追う。上空からアウレリアの放つ魔弾がその前進を助けていた。
(ボクがみんなを励ますには、歌うことしかできないけれど)
 だからといって、兵士達を死地へと進ませるだけの扇動者ではいたくない。アウレリアは自らの手を汚すことも厭わぬ覚悟であった。
(生きる為に殺す。それはどこの世界でも変わらない――)
 戦うこと、殺すことにクオンが疑問を抱くことはない。それらは生存に必要な前提であり、彼女の身体はそのために造られている。
 剣の形をした炎が敵を薙ぎ払い、銃弾となった炎が穿ち砕く。蒼炎の戦車と化したクオンは次々と人狼兵を蹴散らしていった。

「――見えた。あれがイディナローク城――!」
 聳える白亜の城壁を最初に目にしたのは、空中を進むアウレリアだった。
 猟兵達が切り拓いた突破口をこじ開け、『闇の救済者』軍は敵の戦列を突破することに成功したのだ。
 だが、既に大勢は決したとは言え狂化人狼兵はまだ相当数が生き残っている。そして、彼らは死ぬまで戦うことをやめないだろう。
「ボクができる全ての手段で、彼らを守り戦おう」
 白黒の翼で風を切りながら、アウレリアは呟く。
 全ての手段――その内には先行して城主アデリーナの元に辿り着き、彼女を討ち取るということも含まれている。王手をかけたに等しいこの局面においては、それを選ばぬ理由はない。
 アウレリアは翼を羽ばたかせ、聖剣と一角獣の戦旗が掲げられた城へと突入した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『聖剣のアデリーナ』

POW   :    疾風怒濤・緋燕十字斬
敵を【聖剣「導きの極光」による超連撃】で攻撃する。その強さは、自分や仲間が取得した🔴の総数に比例する。
SPD   :    内臓攻撃
【一瞬で間合いを詰めてからの腸を抉る一撃】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    極光放射
【聖剣「導きの極光」から全てを切る光刃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠白石・明日香です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●鮮血色の極光
 城壁の外で繰り広げられている戦の喧騒は、玉座の間までは届かない。
 イディナローク城の最奥で、城主アデリーナは一振りの剣のみを携えて叛逆者達を待ち受けていた。
「やっぱりお前たちが糸を引いていたのね。――猟兵」
 翠緑の鬼火と化した瞳で、アデリーナは猟兵達を睨みつける。
「ちょうどよかったわ。お前たちを皆殺しにしなきゃって決意したところだったの」
 ゆらり、と金色の切っ先が円を描く。
「本当、苛立たしい。全員狼どもの餌にしてやるわ」
 殺意の塊となった聖剣が、猟兵達に向けて振るわれた。
佐藤・和鏡子
……この世界で救急車は刺激が強かったようですね。
考えてみれば、車そのものがない世界ですから、仕方ないですね。
さらなる士気高揚のために聖剣のアデリーナに一騎打ちを仕掛けます。
(ユーベルコードの仕様上、無差別攻撃になるため味方の人払いにもなりますし)
消防斧片手に惨殺のユーベルコードを使用します。
(吹き飛ばし・怪力・重量攻撃を乗せた重い一撃で叩き潰します)
この世界ではこちら(近接武器による直接攻撃)の方が受け入れられやすそうですから。
『私が戦います。皆さんは離れて手を出さないでください』



 玉座の間を満たす夜闇を斬り裂いて、黄金色の切っ先が迫る。
「私が戦います。皆さんは離れて手を出さないでください」
 掲げた片手で仲間達を制し、赤く塗装された消防斧を握った和鏡子は迎撃のユーベルコードを発動した。
「排除サブルーチン起動」
 次の瞬間、があん、と虚ろな音が響いた。アデリーナが振り下ろした聖剣の一撃を、無骨な片刃斧が弾き返した音だ。
「危険です。退避してください」
「一人であたしの相手をしようなんて……舐められたものね!」
 アデリーナが二の太刀を繰り出す――否、三四五六と連なる連撃。だがそのことごとくを、和鏡子の斧は受け、弾き、斬り返す。
「危険です。退避してください」
 再三、和鏡子が告げる。それは脅威緊急排除モードへと移行した自身が味方を攻撃してしまわぬための警告だ。先だって一騎打ちを望んだのも、全ては自らの手が仲間達を傷つけることがないようにという良心の故である。
「――この『導きの極光』を! 舐めるなっ!!」
 アデリーナの剣閃がさらに速さを増す。だが、速度が増せば増すほど、『惨殺(キルムーブ)』の目標はアデリーナだけに向く。
「危険です。退避してください」
「一対一で、あたしが敗けるものか!」
 互いに速度の限界での激突。和鏡子の小柄な体が吹き飛ばされる。その手に斧は握られていない。
「あたしは……一人でもやれる……!」
 肩口に突き刺さった消防斧を引き抜いて投げ捨て、アデリーナは呟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニクロム・チタノ
圧政者め、こんなところでよくものうのうと、許さないよ!
でも相手は剣の使い手、このまま突っ込んでも切り捨てられるだけだ・・・
悔しいけどボクより剣の腕前はあるね、ここは一つ策を講じるしかないね
この反抗にボクの真名、紅明日香の名を以て
チタノヤタテを召喚するよ!
チタノヤタテは八つの盾を持つ、この盾に隠れて接近する、ボク小柄だからね
八つの盾を次々取り替えながら接近する
追い詰めた?それはどうかな
キミが盾を斬り裂いてた間に八つの重力槍を上に展開してたのさ
重力槍を降らして開放超重力領域を作り出す
この状態じゃあ剣は振るえないね、さあ覚悟してもらうよ!
チタノ、ボクに反抗の導きを


アウレリア・ウィスタリア
【今は届かぬ希望の光】を発動
七色の光剣で敵の注意を惹きましょう

随分とお怒りの様ですね
いえ、焦っているのでしょうか?
取るに足らない存在であったはずのボクたち猟兵
そして彼らの救済者たち
お前は自信の傲慢さ故にここで滅びるんです
過去の亡霊は亡霊らしく深い海の底へ還ると良い

言葉と複雑に動く光剣で敵を煽り
敵の攻撃を誘う
光剣を一度に切り落とそうと聖剣を振るう
その力を込める一瞬を見逃さない
破魔の魔銃で敵を撃ち抜く

乱れた体勢からの一撃なら避けることも容易でしょう
そこからはこちらの攻撃で畳み掛け、決着をつけてしまおう

アドリブ歓迎


クオン・キマヴィス
特に何かを語るつもりはない。……何を言っても火に油を注ぐだけになりそうだし。

距離を取って銃で牽制射撃をしつつ、敵の近接攻撃は「鉄塊剣」「高周波ブレード」で〈武器受け〉や〈受け流し〉でいなす。付かず離れずの中〜近距離で戦う。

……感情に身を任せたまま戦うのは、得策じゃない。必ず何処かで隙が生まれる。
その隙を逃さず、「ウェポンエンジン」を装備した鉄塊剣による〈重量攻撃〉で敵の剣を粉砕するつもりで叩きつける。

敵がよろけた瞬間、UCを発動する。心臓目掛けて左手の義手を突き立てる。見に纏ってる鎧なんて紙みたいなものだろうし、諸共貫く。

……悪いけど、私は死ぬつもりは無いから。さようなら


ロラン・ヒュッテンブレナー
○アドリブ・絡みOK

あなたが、城主だね
悪いけど、倒させてもらうの
あの、人狼たちにしたこと、償ってもらうよ

UC発動
【封印を解いて】狼に変身
全身を変化と魅了の力、満月の魔力でできた【オーラ防御】の【結界術】で覆うよ
ぼくの人狼魔術で、相手になるの

狼の脚力で【残像】の出るほどのスピードで【ダッシュ】移動して
できるだけ的を絞らさない様にしながら【情報収集】なの
光刃の性質を【学習力】で分析

満月の魔力で再現して、遠吠えと一緒に【全力魔術】で撃ち返すよ

人狼の咆哮、何度でも聞かせるの
ぼくが背負ってきた命を乗せて
なんとしても、報いるの

だから、音狼、力を振り絞って!



「残らず叩き斬ってやる……お前たち猟兵も、あの叛逆者どもも。あたし一人で!」
 怒りに燃える瞳のアデリーナに、猟兵達は素早く陣形を整える。
「随分とお怒りの様ですね。いえ、焦っているのでしょうか?」
「圧政者め、よくものうのうと、許さないよ!」
 仲間達に先んじてユーベルコードを発動させたのは、アウレリアとニクロムであった。
「なにものにも染まり、なにものにも染まらぬ七色の光。貫け、天空の光剣」
「チタノ、ボクに反抗の導きを。――ボクの名、紅明日香の名を以て」
 輝く光剣と、蒼焔携えた霊竜が彼女達の前に現れた。主達の合図と共に突進する七つの剣と八つの盾。柳眉を逆立てたアデリーナが、両手で握った剣を大きく振りかぶる。
「うるさいうるさい! 愚民どもが! 少し勝ったくらいで調子に乗って!」
 燃え上がる聖剣の刀身。全てを断つ金色の極光が真一文字に薙ぎ払われた。
「取るに足らない存在であったはずのボクたち猟兵、そして彼ら救済者たち」
 だが、聖剣の一撃は猟兵達を両断することはなかった。チタノヤタテの焔盾二枚、そして紫と藍の光剣によって相殺されたのだ。
「お前は自身の傲慢さ故にここで滅びるんです」
 告げて、アウレリアが残る五本の光剣を指揮する。宙を舞う光剣は計算されつくした舞踏のような連撃でアデリーナの聖剣と打ち合った。
「悪いけど、倒させてもらうの」
 刃金の嵐の最中に、ロランが飛びこんだ。
「夜の灯りを、呼びし遠吠え、大いなる円の下、静寂を尊ぶ」
 ユーベルコード発動。ロランが魔力の渦をまとう狼へと姿を変えた。満月のように煌めく魔力が切っ先を惑わす。
「あの、人狼たちにしたこと、償ってもらうよ」
「ふん! 狼のくせに、羊殺しが罪だって言うの?」
 静かな怒りをこめたロランの言葉を文字通り切って捨て、アデリーナが再び聖剣を金色に輝かせた。『極光放射』の前兆。素早く伏せるロラン。盾を掲げたチタノヤタテが割りこむ。
「羊も狼も関係ない! あたしの敵は、全部叩っ斬る!」
 再びの横一閃。断ち割れられた蒼焔の盾は三枚。
「ほぉぉぉぉぉぉぉぉ……ん」
 ばらばらになった蒼い炎の欠片を吹き飛ばして、ロランの遠吠えが響く。その音を触媒として、彼の魔術が発動。
「なっ!? あたしの――!」
 導きの極光の剣閃を再現し、そのまま撃ち返した。迫る黄金の斬撃を、アデリーナは返す刀で何とかいなす。
 その隙をクオンは見逃さなかった。牽制射撃を中断。愛用の鉄塊剣に取りつけたエンジンに点火。豪風と化した剣を、その勢いのままに叩きつける。聖剣の峰でアデリーナが受ける。だが、吸血鬼の剛力をもってしても重量差は覆せない。
 赤衣のヴァンパイアが吹き飛ばされる。ついでに浅く抉られた額から血を滴らせ、クオンを睨み返す。
「特に何かを語るつもりはない。……何を言っても火に油を注ぐだけになりそうだし」
 波のないその声が、アデリーナの闘志を逆撫でした。言葉にならない唸りを上げ、聖剣を振るう。先の大振りな一撃とは異なる、技巧を凝らした連撃。クオンが高周波ブレードを引き抜き、舞い降りたアウレリアの光剣二つと共に迎え撃つ。
 超速の打ち合いによって赤と緑の剣がへし折られ、光の粒になって散る。が、その時にはもう猟兵達は距離を詰めていた。
「ぼくが背負ってきた命を乗せて……なんとしても、報いるの。……だから、音狼、力を振り絞って!」
 再びロランが咆哮し、模倣したアデリーナの斬撃を放つ。鋭く飛ぶ黄色の光剣。クオンが再開した牽制射撃がそれらへの対応をさらに困難とする。
「こんな! こんな奴らに……!」
 ぎりりと歯を軋らせたアデリーナ、三度目の『極光放射』。憤怒に燃える一閃は、残った三枚の盾もろともに橙、黄、青の三色の光剣を斬り砕く。
「これで――っ!」
 猟兵達の身代わりとなるものは何もない。今度こそ必殺の一太刀で煩わしい叛逆者共を斬り伏せてやろうとした。
「追い詰めた? それはどうかな」
 ニクロムの声と共に、アデリーナの全身に凄まじい荷重が襲いかかった。斬撃の軌道を保てず、切っ先が床に突き立つ。
 チタノヤタテが持つもう一種の武器――八つの重力槍。それらを借り受けたニクロムは、攻防の間に吸血鬼を捕らえる重力の棺を作り上げていたのだ。
「この状態じゃあ剣は振るえないね、さあ覚悟してもらうよ!」
 仲間達の息が揃った瞬間を見計らい、ニクロムは開放超重力領域を解除した。
「悪いけど、倒させてもらうの」
 ロランの人狼魔術が聖剣を直撃、粉砕。
「過去の亡霊は亡霊らしく深い海の底へ還ると良い」
 アウレリアの放った破魔の銃弾が額を貫く。
「……悪いけど、私は死ぬつもりは無いから。さようなら」
 そして、クオンの鋼爪が鎧ごと心臓を穿ち、地獄の炎が焼き尽くした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『裏切りの吸血聖剣『ダリアード』』

POW   :    救世主の悲劇に引き立て役の仲間と敵は必要だろう?
対象への質問と共に、【操る少女の命を糧に再生する己が出す魔法陣】から【支配下の少女の仲間とやられ役オブリビオン】を召喚する。満足な答えを得るまで、支配下の少女の仲間とやられ役オブリビオンは対象を【同士討ち前提の連携と本命の少女の攻撃補助】で攻撃する。
SPD   :    私が見初めた娘には及ばぬだろうが…味見してやろう
【転移魔術で血を吸収し常に少女の手に戻る己】を向けた対象に、【転移で接近し血を吸収。弱らせて少女の斬撃】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    予定外だが…貴様達を傷つけ苦しむ感情の血も一興か
【猟兵にすら聖なる武器と誤認させるオーラ】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【少女の癒しの力を反転。剣から放つ魔術光線】に変化させ、殺傷力を増す。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はトリテレイア・ゼロナインです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●勝利、そして次なる戦い
 聖剣と一角獣の旗が引き摺り下ろされ、燃やされる。
 城主を討ち取った猟兵達は戦果を手に戦場へと舞い戻り、勢いづく『闇の救済者』と共にイディナロークの軍勢を駆逐、城を奪取した。
 歓喜の声は数刻の間鳴り止まず、雌伏の夜を過ごしていた彼らがどれほどまでに夜明けの到来を待ち望んでいるのかを、猟兵達は改めて知った。
 少ないながらも食料と酒が振舞われ、兵士達はまたもや自分達に勝利をもたらした英雄を讃え、感謝した。

 ――そして。

 戦い疲れ騒ぎ疲れた兵士達が眠りに落ちた頃。
 猟兵達はイディナローク城で最も高い塔の上へと向かった。
『殺戮者の紋章』を持つ『第五の貴族』の刺客がそこに潜んでいるという予知がもたらされたためである。
●もうひとつの聖剣
「やはり、私の存在にも気づいていましたか」
 身の丈に合わない長剣を携えた少女は、猟兵達が目の前に現れても表情を動かさなかった。
 少女の首筋には悍ましい触手が巻きついている。これがおそらく『殺戮者の紋章』なのだろう。予知によれば、この寄生虫オブリビオンを彼女から引き剥がすことは不可能だ。
「約定通り、ここからは私の好きにさせてもらいます。アデリーナ」
 ゆらり、と刀身の長さを持て余したような動作で少女が剣を構える。
「私は使命を果たします。――人族、鏖殺すべし」
 退くことはできない。ここで彼女を食い止めなければ、勝利は全て水泡に帰すのだ。
ニクロム・チタノ
アナタはボク達猟兵がここで討つよ、せっかくの勝利を台無しになんてさせない
うん、魔方陣から、なるほどアナタの仲間だね?
ここは相手の作戦に乗って誘導されて包囲されトドメの一撃が来た所で反抗させてもらうよ
【受け流し】と【カウンター】で反撃
相手が狼狽た隙に接近してUCを食らわす
さあ、その圧政を食らえ
一点に掛けた超重力はやがてブラックホールになって全てを呑み込む
ボクの最強の反抗だ
覚悟して!



『殺戮者の紋章』の宿主である少女が突進してくる。どこか危うげなその足運びとは裏腹の俊足で、瞬く間に猟兵達と彼女との距離が詰まっていった。
「アナタはボク達猟兵がここで討つよ、せっかくの勝利を台無しになんてさせない」
 疾走の真正面へと、ニクロムは割りこんだ。掲げた刀に衝撃。少女が振るう重い斬撃を何とか受け流し、押し返す。
『百年の間、奴らは敗者として生き続けてきた。その「常識」を今更逆転させたとして、何の意味がある?』
 どこからか、地の底から響くような声がした。次の瞬間、ニクロムと少女が切り結ぶ石造りの床に不気味に脈動する魔法陣が浮かび上がる。
 敵のユーベルコード――それを認識したニクロムを、魔法陣から次々と涌き出る幻影が取り囲んだ。人の姿をしたものと、吸血鬼の姿をしたものと。
(うん、魔方陣から、なるほど)
 二種類の幻影はニクロムを挟撃する――というよりは互いに争い始めた。まるで、人と吸血鬼の戦いにニクロムが巻きこまれてしまったかのような形だ。
 幻影達が交える干戈を受け流しつつ、ニクロムは必ず来る「その時」を待つ。
『百年越しに勝利を得たとしても、敗者としての生き様まで変えることはできない。違うか?』
 再び声がした。――来る。
 人も吸血鬼も見境なく切り裂いて、少女が振るう剣が迫る。その切っ先を払い除けて、ニクロムは逆撃の刃を繰り出した。
 左の肩口から噴く自らの血に、少女は表情を変えぬまま戸惑ったように動きを止める。その隙を逃さず、ニクロムは反抗の竜の力を解き放った。
「さあ、その圧政を食らい尽くせ」
 吹き荒れる超重力波が、幻影達もろともに少女を呑みこむ。
「アナタ達に勝った世界が変わらないとしたら、今度はその『百年の常識』に反抗するだけです。――それが、ボク達反抗の竜だから」
 一点へと集中していく重力が行き着く果ては、万物の崩壊。
「ボクの最強の反抗だ、覚悟して!」
 極限の超重力がもたらす破壊が、尖塔の床をオブリビオンのユーベルコードごと粉砕した。

成功 🔵​🔵​🔴​

クオン・キマヴィス
喜劇とか悲劇とか、どうでもいい。あなたが敵であることに変わりはないのだから。

召喚されるオブリビオンには炎を纏わせた鉄塊剣の薙ぎ払いや斬撃波で対処しつつ、刺客の攻撃は武器受けや高周波ブレードで受け流す。
攻撃が止んだらすかさず接近してUCを発動する。義体のリミッターを解除して、力を溜めた重量攻撃で聖剣を粉々に砕く。

……操られてる少女を解放出来ない事は知ってる。だったらせめて、苦しまずに楽にしてあげたい

だから終わらせてあげる。こんな茶番劇。


ロラン・ヒュッテンブレナー
この声…、その剣から?
もしかして、意思を持ってる?
操られてる?
こんな敵、ばっかりなの…

凄い魔力を感じるの…
それに、女の子から感じる力は、聖なる光?
※大好きな友だちの一人、太陽の様な聖女の事が頭に浮かぶ

その子の力で、傷付けるなんてさせちゃだめ
友だちの得意な破壊光線魔法を思い出すの
大丈夫、それは、知ってるの
受け止めて上げるから撃ってきて?

【オーラ防御】の【結界術】で受け止めるよ
結界境界面で光線の力を魔力【ハッキング】して再反転させるの

きみと同じ力を持つ友だちからもらった力で、解放してあげる
【高速・多重詠唱】で同じ呪文を二つ
紋章とその剣を狙って【全力魔術】!

受けてみて、バニシングロランバースト


火土金水・明
「なるほど、勝利の為には彼女ごと倒すしかありませんか。」「この世界を少しでも平和にするために戦いましょう。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【先制攻撃】で【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【コキュートス・ブリザード】で、『裏切りの吸血聖剣『ダリアード』』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。


佐藤・和鏡子
今、こちらは盛り上がっている所ですから、邪魔しないで下さいね。
あなたはパーティには参加出来ませんが、あなたもお連れ様と同じ所に送ってあげますから、寂しくないですよ。
ご安心ください。
ミレナリオ・リフレクションで光線を相殺して防ぎながら、消防斧で殺戮者の紋章のある首を狙って斬りつけます。
(怪力と捨て身の一撃を載せてさらに威力を高めます)



 砕けた石材の破片が、ぱらぱらとこぼれ落ちてくる。
 猟兵達と『第五の貴族』の刺客との激突によって発生した崩壊は、尖塔の床を最下層までぶち抜いたところで収まっていた。
 外壁には今のところ崩れる気配はなく、どうやらここが少女と猟兵達との決着の場になりそうであった。
『――立て』
 そう、刺客の少女はまだ斃れてはいなかった。ユーベルコード発動の際にも聞こえたあの声が重々しく響くや、床の残骸を斬り裂いて少女が姿を現す。
『そう簡単に死なせはせぬ。貴様の痛みと嘆きとで、もっと私を愉しませるのだ』
 少女は無言。落下の際に負ったであろう傷から流れる血を拭おうともしない。
「この声……、その剣から? もしかして、意思を持ってる?」
 その様子を目撃したロランが声を上げた。他の猟兵達も次々と、壁を伝って降りてくる。
『ご名答だ、幼き人狼。我が名はダリアード。そして、これなる娘は私を手に取ってしまっただけの、不運な乙女だよ』
 ついに正体を明らかにした吸血聖剣が、嘲る声色で言う。
「操られてる?」
『そうだとも。この娘は私の操り人形に過ぎん。ああ、勘違いせぬよう教えて差し上げるが、「殺戮者の紋章」の宿主は間違いなくこの娘だ。こいつは私に心を、紋章に血肉を侵されて死ぬ運命なのだよ』
 ロランはぎり、と奥歯を嚙み締めた。この世界で幾度となく目にした、外道者でさえ目を伏せる邪悪。なぜこんな敵ばかりなのか……。
『弱い者達を守るためと言って貴様らが殺そうとしているのは、同じように哀れで弱き者だったわけだ。悲劇的だなあ? いや、私にとっては喜劇なのだがね』
 高笑いするダリアード。その嘲笑に真っ向から立ちはだかったのは、クオンであった。
「喜劇とか悲劇とか、どうでもいい」
 傀儡の少女を――その手で鈍く輝く吸血聖剣を厳然と見返し、クオンは右手の鉄塊剣、左手の高周波ブレードを構える。
「あなたが敵であることに変わりはないのだから」
 そう、例え彼女が傀儡に過ぎないとしても――理不尽に生命を奪われるさだめの被害者者なのだとしても――彼女が行おうとする殺戮を看過する理由にはならない。
 それを覚悟しているからこそ、火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)は非情な答えをあえて口にした。
「なるほど、勝利の為には彼女ごと倒すしかありませんか」
 勝利と、その先にある平和を得るための尊い犠牲。そんな言葉が綺麗事でしかないのはわかっている。だが、九十九人を救うために一人を殺す――この世界が今求めているのは、それを選ぶことができる意志なのだ。
「この世界を少しでも平和にするために戦いましょう」
『――よきかな。ならば終幕らしく、派手に踊らせて差し上げよう』
 少女がダリアードを掲げる。悲劇と喜劇表裏一体の戦いが、終わりを迎えようとしていた。

「我、求めるは、冷たき力」
 先手を打ったのは明だった。詠唱と共に無数の氷矢が出現、一斉に射出される。
『いい、実にいいぞ。貴様の冷たい殺意にこの娘の心が悲鳴を上げている!』
 嬉々とした声と共にダリアードの刃が光を宿す。それは吸血鬼には宿しえない、聖なる光であった。
『この娘が言いたいことを教えてやろう。「どうして助けてくれないの?」だ!』
 聖光をまとった剣が二度三度と宙を舞い、氷の矢を叩き落す。
「――っ!」
 初手の直後から重ねていた呪文を明は解き放つ。先と同じ氷の矢の雨。少女の表情は微塵とも動かず、ただダリアードの笑声だけが響く。
『哀れなるかな、聖なる乙女よ! 貴様を救う者などありはしない!』
 清浄な白色の輝きが一点、夜闇よりも濃い黒色へと変化する。その黒光が稲妻のように駆け、氷の矢を全て粉微塵に打ち砕いた。
『そうだ! 乙女よ、嘆くがいい! 己の不幸と世界の理不尽を!』
「あなたもかなり出来上がっているようですが。今、こちらは盛り上がっている所ですから、邪魔しないで下さいね」
 漆黒の破壊光線を迸らせるダリアードの前に、和鏡子が立ちはだかった。ミレナリィドールの身に備わったユーベルコード模倣反射能力を存分に発揮。吸血聖剣と同じ光線を放ち、相殺する。
「あなたはパーティには参加出来ませんが、あなたもお連れ様と同じ所に送ってあげますから、寂しくないですよ。ご安心ください」
 破壊光がぶつかり合う中を、和鏡子は果敢に駆け抜ける。手にするは無骨で真っ赤な消防斧。狙うは『殺戮者の紋章』――少女の首筋。
 切るよりも砕くことに向いた鈍刃が肉の首輪へと食いこむ。どす黒い血が飛沫いて、ガラスが擦れるような悲鳴を上げた寄生型オブリビオンが少女の体内へと深く潜りこんでいった。
『ははは! 教えて差し上げよう。今ので「殺戮者の紋章」はこの娘の身体をずたずたに引き裂いたぞ! こやつは悲鳴ひとつ、涙ひとつ溢すこともできんがね!』
 少女の感じる苦痛を代弁するかのように、吸血聖剣から放たれる黒光が勢いを増した。床に散らばっていた石片が擂り潰され塵芥と化す。
「対消滅術式展開、ターゲットロック、ヒート・コールド、ミキシング。レディ」「パーガトリー・リアクター出力最大解放」
 片や炎熱と氷凍を両手に従え、片やあらゆる制限を取り払った正真正銘の全力で、ロランとクオンがそれぞれの想いと力をオブリビオンへとぶつける。
(せめて、苦しまずに楽にしてあげたい)
 クオンの内心を嘲笑うかのように、ダリアードが声を上げる。
『可哀そうに、もうこの娘は長くは生きられない!』
「――煩い」
 跳ねるように突き出された切っ先をブレードで受け流す。そして、右手に握った鉄塊剣にありったけの力をこめて、振り下ろす。
「終わらせてあげる。こんな茶番劇」
 蒼白の爆炎が巻き起こり、吸血聖剣の刀身を真っ二つにへし折った。その瞬間、これまで不動だった少女の表情が一変する。
「ああああああぁぁぁぁっ!!!」
 迸る悲鳴。少女の肌を内側から突き破って漆黒の光が噴出する。彼女の身体の最奥へと侵入した『殺戮者の紋章』が、破壊光を放出する爆弾へと少女を変容させようとしているらしかった。
「その子の力で、傷付けるなんてさせちゃだめ。ぼくの魔術、受けてみて! バニシングロランバースト!」
 だが、その殺戮爆弾が炸裂することはなかった。ロランが放った破壊消滅の光が瞬時に彼女を呑みこみ、一片も残さず消し去ったのだ。

 全てのオブリビオンが消え去ったイディナローク城に静寂が戻る。物見の塔での戦いは、眠りの淵にある兵士達の知るところとはならなかった。
『闇の救済者』の勝利の影に救われなかった少女がいたことも、猟兵達以外の誰にも知られざる事実としてひっそりと葬られることになるのだろう。
 そして、戦争は続いていく。いつか夜明けが来る、その日まで。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月17日
宿敵 『聖剣のアデリーナ』 を撃破!


挿絵イラスト