9
巴里怪奇譚 ~ 狙われた令嬢と拠点侵攻作戦

#サクラミラージュ #木村鈴彦の記録簿

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サクラミラージュ
#木村鈴彦の記録簿


0





 サクラミラージュ。帝都の一角にあるカフェのオープンテラスにて。グリモア猟兵の緋薙・冬香(針入り水晶・f05538)は約束の時間を待っていた。
 そして。
「やあ。冬香さん。そうやって座っている姿もお美しい」
 その場に現れたのは、帝都で影朧専門の新聞記者をやっている木村・鈴彦であった。
「あら、りん狐さんに告げ口していいのかしら?」
「や、ヤメテクダサイ」
 鈴彦の冗談に、冬香も微苦笑しながら冗談を返す。こう見えても彼女一筋な鈴彦、先の軽口も挨拶程度なのは冬香もよくわかっている。要するに気の知れた仲だ。
「そっちから呼び出しなんて珍しいじゃない。何かあった?」
「いやー、それがなー」
 ちょっと困り顔の鈴彦が頬をぽりぽりと掻いてから、それでもどうしようもなかったのか、言葉を選ばずに直球で冬香に告げた。
「ちょっと巴里(パリ)まで遠征してくれまいか?」


「なんかね。戦力が足りないんだって」
 グリモアベースに戻ってきた冬香は集まってくれた猟兵たちに対して話を始めた。
 鈴彦と冬香はサクラミラージュ現地における協力関係を組んでいる。冬香は現地の生の情報を仕入れる情報源として鈴彦を使い。鈴彦は冬香を通じて直接、超弩級戦力である猟兵にアプローチできる立ち位置を確保している。

 そして既知のことではあろうが、帝都は世界を統一している。そのため、影朧救済機関『帝都桜學府』も必要とあらば世界中を巡って、影朧の事件に立ち向かっているのだ。
 今回の話もその一環。帝都桜學府が鈴彦経由で猟兵を頼っている、というわけだ。なんでこんな回りくどいことをしているかというと……まぁ色々事情があるらしい。

「遠征先は巴里。任務は人物の護衛……なんだけど、守ってばかりでジリ貧らしくてね」
 冬香が聞いてきた話をつらつらと告げていく。

 狙われている対象は、現地の學徒兵を支援してくれている貴族の娘。そしてその少女を狙っているのは……強力な影朧らしい。ゆえに學徒兵たちが出張っていたのだが、解決まで至らず、逆に徐々に被害が拡大している、とのことだ。
 だが進展もある。
「敵側の拠点が分かったらしくてね。状況を打破するために打って出るみたい」
 しかし現地の戦力だけでは心許ない、どころか作戦成功も危うい。そのため、日本の帝都桜學府に応援要請が来たのだ。
「それはいいとして、実は詳細な情報が何も来てなくてね」
 遠隔地、ということもあって先方は情報の取扱いにはとても敏感になっている。作戦がバレたら終わりだから。なので、『大規模作戦やるから戦力貸して』みたいな大雑把な依頼になってしまい、どれだけの戦力が必要なのか全く分からないらしいのだ。
「戦力投入しましたー、失敗しましたーでは目も当てられないから、猟兵の皆を頼ることにしたってことらしいわ」
 超弩級戦力と言われている猟兵なら何とかするだろう、という雑にして多大な信頼感である。
「なので、今がどういう状況なのかーとかは現地で聞いてね」
 現地の學徒兵たちが集まって作戦司令部を作っている。そこで必要な情報は全て得られるはずだ。

「一応、私に見えた予知も伝えておくわね」
 鈴彦の話が呼び水となったのか、冬香にも予知がみえたとのこと。
「戦場は劇場。どうも巴里郊外の街にある、豪華で大きな劇場を利用しているみたい」
 普段は劇場としてカモフラージュしつつ、その地下にある広い空間を拠点としているらしい。
「劇場へ踏み込むと、まずスコップを手にした少女の影朧『ルールー』がわらわらっと現れるわ」
 まずはルールーを倒す必要がある。撃ち漏らすとそのまま外に出る可能性もあるので、その場でばっちり倒してほしい。
 そして地下の拠点の奥に今回の黒幕がいる。
「黒幕のところまでいけば、新たに影朧が現れるわ」
 そのまま、ドラゴニアンの影朧『グルナード・シエルリュンヌ』との戦闘になるはずだ。
「後は現地で。お願いね」
 そう言って冬香は猟兵たちを送り出すのであった。


 そんなわけで飛行船に揺られて、空の長旅を終えて。
 やってきましたサクラミラージュの巴里。

 なんでそんな面倒な手段を取ったかというと。単に日本の學徒兵を間において、現地の學徒兵と猟兵を繋ぐためである。
「ようこそ。貴方たちを歓迎します」
 無事受け入れられた猟兵たちはそのまま貴族の屋敷に連れていかれた。もちろん、件の狙われている貴族の娘『ジャンヌ』が住まう屋敷である。
 客人として部屋を割り当てられてようやくひと息ついた猟兵たち。

 作戦行動の決行日は明後日。準備は明日にして、まずは舞踏会を楽しんでほしい。

 それは作戦の決起集会でもある。そのため、作戦司令部の人間も今回の護衛対象である貴族の娘、ジャンヌも参加するようだ。
 作戦に必要な情報は、事前に展開されるはずだが、気になる情報があればこの場で司令部の人間を捕まえて話を聞いてもいいだろう。
 またはジャンヌと話をすることで何か得られるものがあるかもしれない。とはいえ、彼女は非戦闘員。作戦の内容やどうやって拠点を見つけたかまでは分からないと思うので、話すとすれば身の上話とか今の心情とかか。

 それはそれとして置いておいて単純に英気を養ってもいい。豪華な料理もあれば、ダンスを踊ることもできる。舞踏会なのだから。そっと会場を抜けて広い庭を眺めるのもいいだろう。

 といったところで、舞踏会開幕である。


るちる
 お世話になってます、毎度のるちるです。
 巴里そんなに詳しくないけどまぁいけるでしょう、うん。タイトルの怪奇には深い意味はありませんので、ご注意ください。なんか不思議って程度です。

●全体
 3章構成の通常依頼です。ちょいとシリアス目ですが、コミカルなプレイングも受け付けております。リプレイはプレイングの雰囲気で決まるものとしますのでご安心ください。
 2章と3章については、開始時に冒頭で状況および作戦指示と行動目的などを追記します。プレイングの参考にしてください。
 なお、戦場となる劇場を必要以上に破壊する行為はご遠慮ください(施設そのものは民間の、何の問題もない劇場です)
 飛行船に乗らないよっていう大きさの必要なものは、冬香がグリモア転送便で現地に届けているのでご安心ください。

●1章
 日常。舞踏会です。仮面着けていてもオッケー。現地の人間は皆、猟兵を歓迎ムードなのでお気軽にご参加ください。ドレスコードとかもありません。英気を養う決起集会だと思ってください。
 参加者は現地の學徒兵、その學徒兵を支援している貴族と身内、そして舞踏会の会場となっている屋敷の娘ジャンヌです。いろんな話が聞けると思いますが、リプレイ文字数の関係上、相手はひとつに絞った方がより良い情報が得られます。
 念のため言っておきますと、この中に敵または敵との内通者はいませんし、敵襲もありません。

●2章
 集団戦。敵は『ルールー』。戦闘は劇場の中で行われます。
 ルールーは数を頼りに押し寄せてきますが複雑な動きが出来ません。そのため、舞台の上に飛び乗ったり、客席を飛び越えて距離を離すなどすれば、戦闘を有利に運べるでしょう。

●3章
 ボス戦。敵は『グルナード・シエルリュンヌ』。戦闘は舞台の奈落から先に進んだ地下の秘密の空間で行われます。下水道とかには繋がってないのでご安心ください。
 ボスがいる空間はだだっ広く、戦闘の邪魔になるようなものはありません。

 それでは皆さんのご参加をお待ちしております。
151




第1章 日常 『回ル廻ル舞踏会』

POW   :    豪華な料理を食べまくる。

SPD   :    華麗にダンスを楽しむ。

WIZ   :    優雅に誰かと語り合ったり、建物を見て回る。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

雨咲・ケイ
なんと巴里ですか。
まさかUDCアースのパリより先に
こちらの巴里を訪れる事になるとは
思ってもいませんでした。
折角だから写真撮っていきましょう。
(お上りさん丸出し)

【WIZ】で行動します。

チャイナドレスに学帽と将校マントを着用した
學徒兵仕様の服装で参加します。
え?これ(チャイナドレス)は戦闘服ですよ。

現地の學徒兵と料理を食べながら、世間話も交えて
情報を集めましょう。
主に今回の黒幕と影朧に関する情報や何故ジャンヌさんが
狙われているのか、その辺りを聞いて回ります。
ついでにお土産は何が良いかも聞いてみましょう。

アドリブ等歓迎です。



●猟兵だって旅行したい
 日本の帝都桜學府から巴里の支部へ。連絡船となっている飛行船の中で。
 雨咲・ケイ(人間の學徒兵・f00882)は窓から眼下の街を見下ろしていた……というか、興味津々で見てた。

 ――なんと巴里ですか。

 とそんな心境である。
「まさかUDCアースのパリより先にこちらの巴里を訪れる事になるとは……」
 思ってもいなかった。というより、たぶんグリモア含めた猟兵の大部分、サクミラで海外進出はびっくりなんじゃないかな!
 そんな感じで巴里に降り立ったケイ。
「折角だから写真撮っていきましょう」
 支部の専用飛行場から件のお屋敷に至るまでの馬車の中から、全力お上りさんだったのである!
 大丈夫、明日も1日準備時間あるから観光もしてくるといいよ。

●舞踏会のお時間です
 そして時間は夜に。
 お屋敷の中で舞踏会の開始である。
 決起集会……といっても堅苦しいのは最初だけである。その時間が終われば、途端に賑やかな雰囲気になる会場。それもそのはず、この場の目的は、士気をあげ、英気を養い、共に戦う者たちの顔を覚える場なのだから。

 その場へ颯爽と現れたのは、チャイナドレスに学帽と将校マントを着用したケイであった。學徒兵仕様の服装……だよね?

「し、失礼。その恰好は……?」
 別にドレスコードがあるわけじゃない。それでも開催側の人間が声をかけたのはただ単に興味っていうか、何故かスルー出来なかったというか、そういう類の衝動だ。
「え?これ(チャイナドレス)は戦闘服ですよ」
「あっ、はい」
 そう言われたら引き下がるしかないです。ちなみに見た目、麗人であるが、れっきとした男性なのでご注意(?)を!

 そんなこんなとっかかりがあれば、現地の學徒兵たちと懇談も進む。
「なるほど。貴方が噂の超弩級戦力」
「ええ。世間ではそのように呼ばれているようです」
 もぐもぐ料理を食べながら歓談しつつ、ケイが気になっていたことを口にする。
「何でも作戦は明後日とか?」
「二日酔いで朝間に合わないという人も出かねませんので、アッハッハ」
 襲撃のタイミングは午後の昼下がり。夜の公演の準備が始まる、その前だ。
 現地までは距離がある。移動を加味すれば、1日くらい余裕がないと危険と言えるのかもしれない。
「今回の敵についてわかっていることは……?」
「そうですね……わかっていることと言えば……」
 ケイの質問に學徒兵が答える。
 曰く。敵の常套手段は大群による足止めからの各個撃破らしい。
 まずは、スコップを持った少女のような影朧が大量に地面から湧いてきて、周辺を取り巻く。問題は『突如湧いてくる』ことだ。どれだけ警戒していても湧いてくるまで察知することができなかった、というのがこれまでの報告だ。
 ゆえに取り囲まれ、身動きが取れなくなったタイミングで、これまたどこから湧いてきたのかわからないドラゴニアンの影朧に各個撃破され、そのまま戦闘どころか作戦から離脱する羽目になっている。
「変な話ですね」
「まったくだ」
「拠点が分かったということは黒幕が?」
「ああ。それはなんというか……見つけたのは俺たちじゃないんだ」
 何でも拠点を発見したのはジャンヌの配下の者らしい。
「でもそれも確実な情報じゃないらしい。この作戦はそれに対する『決定的な情報』を得るためでもあるんだよ」
 そのためには一気呵成に仕留める必要がある。戦力を集めているのは少数精鋭では仕留めきれない可能性が高いからだ。
「なるほど。ところで何故ジャンヌさんが狙われているのです?」
「それも皆目見当つかず、です。おそらく我々の支援をしていることが原因なのではと思うのですが……」
「そうですか……」
 この事件に関して學徒兵が知っている情報はこのレベルらしい。というか、どうもジャンヌ側も確定情報が無い、のかもしれない。相手が分かっているならこんなまどろっこしいことをしなくてもいいわけだから。
「ところで……お土産は何が良いと思いますか?」
「それは……!?」
 ケイの最後の質問は、これまで以上に真面目な表情で告げられた。その意気込みに學徒兵が思わず息を飲む。……そして。
「凱旋門饅頭とかいかがです?」
「そんなものあるんですか?」
「ありますよ」
 再び和やかな雰囲気になるケイと學徒兵なのでした。

成功 🔵​🔵​🔴​

上野・修介
※アド、絡み歓迎
「舞踏会、か」
酒はダメだし(超下戸)、踊りも出来ない。
そもパーティーというもの自体が少々苦手だ。

なので決行当日に合流しようかと思ったが、事前に作戦内容や學徒兵と猟兵の戦力、護衛対象の確認もしておきたいので、顔出し程度に軽く参加。

ドレスコードはないようだが、とは言え一応公的な場なのでスーツを着用。
予知にない以上、戦闘はないだろうが、場の雰囲気を壊さない程度に周囲を警戒。
(性分なので)
兵司令部の人間に作戦概要を確認したら、会場内とその周囲をぶらぶらと観て回る。

(補足:誰かと話すときは基本的に年齢性別種族関係なく敬語。呼ぶときは左に来る名前(姓・名なら姓、名・姓なら名)+さん付け)




「舞踏会、か」
 件の貴族の屋敷。舞踏会の会場へつながる廊下で。上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)は思わずため息とともに呟いた。これから赴く場を考えるとさもありなん。決して彼が社交的ではないということではなく、単に……そう、彼の生き様、だろうか。
 ちなみに超下戸だし、踊りも出来ないし、そもそも『パーティー』という存在そのものが少々苦手だ。
 本音を言えば、作戦の決行当日に合流しよう、とかも考えていたのだが、概要を聞けばそうもいかなくなった。何せ、言っちゃ悪いが『寄せ集めの戦力』なのだ。事前に色々把握しておくことは重要だろう、と思い至ったのである。
(作戦内容や戦力、護衛対象の確認もしておきたいしな)
 顔出し程度に軽く参加するなら、とこの場にいるのである。
 ドレスコードはないとはいえ、『一応公的な場だから』とスーツを着用するところがとても彼らしいと言える。

「……さて」
 最初の堅苦しい挨拶が終わって、舞踏会の雰囲気が花開く。そんな中を修介は場の雰囲気を壊さない程度に周囲を警戒しながら会場内を歩く。
(予知にない以上、戦闘はないだろうが……)
 それでも警戒してしまうのはもはや彼の性分なのだろう。

 護衛対象であるジャンヌの姿は最初の挨拶の時に確認が出来た。
 年の頃は……20歳前後だろうか。見た目は落ち着いている淑女とお転婆な少女のちょうど中間。腰まである長い金の髪を揺らしながら、活力あふれる笑顔を会場にいる皆に振りまいている。たぶん、戦場においてもその存在感は見失うことは無いだろう。

 ならば次に確認するのは、作戦内容だろうか。
「すみません。よろしいですか?」
「え? ああ、君は確か……」
 學徒兵の恰好をしている、その中でも辺りに指示を飛ばしている。いわゆる上司に当たる人間に声をかける修介。
「日本から派遣された、超弩級戦力のひとりだったね」
「はい。上野・修介です。作戦について聞きたいことが」
「なるほど。もちろん構わない。そこで軽くつまみながらどうかな?」
 腰を落ち着けて話を聞くことにする。

 まず確認したのは戦力。
 現地と各地から招集できた學徒兵の合計は100名ほど。しかし全員が前線に出るわけではないから、その半分ほどと考えるといい。残り半分は後方支援や街の人の護衛など。
 街全体を警戒態勢にすることも考えたが、それだと敵に利することにもなりかねない。日常をすり抜けるかの如く、一気呵成に仕留めるのが肝だ。
「問題は、その数でも上手くいくかどうかだ」
 襲撃のタイミングは午後の昼下がり。夜の公演の準備が始まる、その前だ。
 街の中心にある劇場を目標に、街の全周囲から部隊を複数に分けて突入する。だが突入に気づかれれば、影朧が立ちふさがるだろう。
「敵の常套手段は大群による足止めからの各個撃破だ」
 足止めには足止めのスコップを持った少女のような影朧たちが大量に立ち塞がる。これを突破せねばならないが、それは學徒兵50名程度で成せるかというところである。
「状況からして、我々が足止めをその場に引き付けて、君たち超弩級戦力が突破した方が作戦の成功率は上がるだろう」
 戦力分配的にも、時間効率的にも。とにかく敵に迎撃以外の動きをさせる前に、拠点に乗り込む必要がある。
「そんなわけで事前までは、如何に気付かれないかが肝になる」
 ゆえに、決起集会は前々日。翌日は部隊を分けた状態で移動を開始する。郊外と言っても巴里が広い関係でかなりの距離がある。大人数で移動すれば見つかる可能性が高い。また現地で前夜に酒盛りしていて見つかったら意味がない。
 この舞踏会の位置付けはそんなところだ。
「ちなみに、超弩級戦力の人数は私より君のほうが詳しいのではなかろうか」
 そう言って學徒兵は笑うのであった。

 聞きたいことはひと通り聞けただろうか。
「ありがとうございました」
「いやいや。現地でもよろしく頼むよ」
 礼を言う修介に學徒兵も笑顔を返して人込みの中へ戻っていく。
 それを確認して修介もまた会場内をひと歩き。やはり異常もないのだが、念のためと会場を出て屋敷の庭まで足を延ばす。
「……」
 先ほど聞いた話を纏めると、大規模作戦という割には猟兵たちによる一点突破に近い感じっぽい。
(これは……責任重大だな)
 グリモア猟兵の軽いノリは何だったのかと思いつつ、次なる戦いに向けて気持ちを整える修介であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

スリジエ・シエルリュンヌ
※グリモアベースで聞いた情報で、舞踏会とかそれどころではない人※

何故、何故なのですか。何故、あの人が…。
でも、私は文豪探偵で猟兵。ならば、真実を知るためにも、ここに来る必要がある。

學徒兵に、現在状況を聞きましょう。
拠点がわかった理由も聞きたいですし。

名前を聞かれたら、素直に『スリジエ・シエルリュンヌ』と答えます。
私はこの世界出身で、文豪ですから…隠しても、いつかはわかってしまいます。
ならば、最初から素直に名乗った方がいいでしょう。やましいことは、何もないのですから。

そう、拠点奥地にいる影朧は、きっと…私の知っている大切な人ですから。




 賑やかな舞踏会が目の前で花咲いている。誰も彼もが賑やかに過ごす……その中で。
「……」
 スリジエ・シエルリュンヌ(桜色の文豪探偵・f27365)は青い顔をしながら、どうにか自身の足で立っていた。

 ――グリモアベースで聞いた情報で、もはや舞踏会とかそれどころではない。

 それが彼女の現状であった。スリジエの胸中を今もぐるぐると巡っているのは『何故』という言葉のみ。
(何故、何故なのですか。何故、あの人が……)
 今回現れる影朧。その名前を聞いた瞬間からその想いがずっと彼女を捕えている。
(でも、私は文豪探偵で猟兵。ならば、真実を知るためにも……)
 どうにか心を落ち着けたスリジエは前を向く。今は……動かねばならない。

「あの、よろしいですか?」
 近くにいた學徒兵を捕まえて、スリジエが話しかける。
「ん? ああ、貴女は確か超弩級戦力の……」
 振り向いた學徒兵は気持ちよく対応してくれる。ただ、名前がすっと出てこないようで。
「『スリジエ・シエルリュンヌ』と申します」
「おお。ん? どこかで聞いた……ああ、もしかしてあの文豪探偵!?」
 思わず大声になる學徒兵。名が知れている、というのは面倒なことかもしれない。それが利することもあるのだけれども。
 まぁスリジエとしても隠すつもりもなかった……というより、この世界を拠点に生きている以上、いつかはわかることだ。ならば、最初から素直に名乗った方がいい。
(そう、やましいことは、何もないのですから)
 例え、彼女の名が、これから敵対する影朧と『同じ』であっても。

 しかし、學徒兵の反応はスリジエの思っていたものとは全然別であった。

「そうか。あの文豪探偵が超弩級戦力だったのか……」
(……?)
 予想外の反応に内心首を傾げつつ、意外な反応にちょっと嬉しいスリジエ。文豪探偵が超弩級戦力、それは意外(?)にも知られていないらしい? もしかしたら巴里と日本の違いかもしれないが。
「あ、失礼。感に入ってしまった。それで聞きたいことって?」
「現在状況と……それと拠点がわかった理由です」
「なるほど」
 ひとつ頷いた學徒兵が話してくれる。
 曰く、現在の状況は拮抗状態と言えばいいだろうか。先日までジリ貧であったのは事実だが、その先日、残っていた全戦力で大攻勢に出た。そのおかげもあって巴里内の影朧は一掃されたらしい。この束の間の平穏はそれによるものである。
 そしてその間に敵の拠点を見つけた、というのだ。
「といっても見つけたのは學徒兵じゃなくて、ジャンヌ様配下の人なんだけどな」
 放っていた調査員が敵の拠点を見つけてきた。何でも貴族として争っている敵対勢力、その影響下にある場所らしい。
「でもそれも確実な情報じゃないらしいし。この作戦はそれに対する『決定的な情報』を得るためでもあるんだよ」
 と、ここまで話してくれた内容に頷きを返すスリジエ。
(何というか……)
 學徒兵が持っているのは作戦にかかわる情報のみ。敵拠点に関しても、貴族間抗争の面があるのか、不用意に學徒兵を巻き込まないようにしているらしく、ジャンヌが直接現場を抑える方向で考えているらしい。
 ならば、後は。
「敵の……戦力は?」
 意を決して言葉を紡ぐスリジエ。
「スコップを持った少女と銀色のドラゴニアンって話だ」
 さらっと返ってくるのはその言葉のみ。
「……話、ということは?」
 こちらもどうにも不確かな情報。それに首を傾げるスリジエに、肩をすくめる學徒兵。
「聞いた話だから。出会った學徒兵たちは皆病院送りになってる」
 だから、この場で件の影朧に遭遇した者はいないらしい。もちろん、影朧の名前を知る者も。

「……」
 俯き加減に目を細めながら情報を整理していくスリジエ。
 今のところ、影朧の存在や名前、性能を知っているのは猟兵のみらしい。そう、これは『猟兵』であるがゆえに、予知によって常に得られているアドバンテージだ。
 だから……『シエルリュンヌ』に反応する者もいない。仮に戦場で名を名乗ったとしても、激しい戦闘の中ではそれを咎める時間もないし、そもそも敵対の構図に口を挟む者もいないだろう。
 つまりは……変な疑いもかけられず、そして邪魔されることもなく、相対することが出来るはずだ。
(そう、拠点奥地にいる影朧は、きっと……私の知っている大切な人ですから)
 想いを新たに。会場を出たスリジエは、敵の拠点があるであろう、方角の夜空に視線を遣るのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

卜一・アンリ
詳細不明と言っても要は狩ればいいのでしょう。
影朧なんかをエスコートするより余程簡単。

舞踏会は仮面をつけて目立たないよう過ごしましょう。
…いないだろうけど、お父様の知り合いにでも見つかったら大変ですもの。(実は高貴な血筋の家出娘)
普段他所の世界にばかりいる手前、學徒兵に混じるのもバツが悪いし…
そうね、件のジャンヌさんと話でもできれば。
最近の巴里はどうなのかとか。
聞いてよければどうして狙われているのか。
【礼儀作法】に気をつけつつ聞きたいところね。

あぁそれと。影朧のことはどう思ってるのかしら。
私としては『転生』なんて考えず消してしまいたいけれど
今回はジャンヌさんの為に来たのだもの。意向には沿うわ。




 決起集会を兼ねた舞踏会。賑やかになってきた雰囲気の中、學徒兵の卜一・アンリ(今も帰らぬ大正桜のアリス・f23623)はあえて壁の花となっていた。
(詳細不明と言っても……要は狩ればいいのでしょう)
 何がどう『あった』としても。目の前に現れた影朧を狩れば、問題は解決する。アンリのその考えは決して間違いではない。必ずしも転生が救いでもないし、生ある者に仇なすならば排除してきたのも事実なのだから。
 だからこの作戦は……とても、とても簡単だ。
(影朧なんかをエスコートするより余程簡単)
 複雑な家庭事情も手伝って、極論に近いほどの『シンプル・イズ・ベスト』を貫く彼女にとっては、影朧の心残りを晴らすというモノより余程わかりやすい。

 ゆえに今回の依頼にも比較的乗り気なのだろう。
 ただ、この舞踏会に関してはちょっと身の置き場に困っているようだった。色々あって反発してはいるものの、家の出自は変わらない。一応、仮面をつけて目立たないようにはしているけれども。
(……いないだろうけど、お父様の知り合いにでも見つかったら大変ですもの)
 『こういう場』なら居かねない、のが難点だ。実は……なんて、今は求めていない。
 そういう意味では學徒兵の中にいるのが一番自然なのだが。
(普段他所の世界にばかりいる手前、バツが悪いし……)
 猟兵ゆえの悩みがあったりする。となると、壁の花になってしまうわけだが、それはそれで目立ちそう、というのが目下の悩みだ。
(……さて)
 どうするか。そう思いながら視線を会場内に流した時。視界に入ってきたのは、腰まである長い金の髪を揺らしながら、活力あふれる笑顔を会場にいる皆に振りまいている女性。
(彼女がジャンヌ、ね)
 年の頃は……20歳前後だろうか。見た目は落ち着いている淑女とお転婆な少女のちょうど中間。その存在感は、おそらく戦場においても目立つこと間違いなし、といったところか。狙いやすい……のかもしれない。
(……そうね、ジャンヌさんと話でもできれば)
 そう思い立ってアンリはすぐに動き出す。ゆっくりと礼儀作法に気を付けながら、ジャンヌの視界にするりと入ったアンリは、笑みを浮かべてお辞儀する。
「ごきげんよう。ジャンヌさん」
「ごきげんよう。貴方は確か……」
 アンリと視線があったジャンヌは『んー?』と首を傾げて検索中?
「卜一・アンリと申します」
「あ。ええ、駆けつけてくれた超弩級戦力の方ですわね」
 そう言って笑顔をかわす二人。少し話したところ、同じ年齢と判明すれば、堅苦しい口調などポイっという感じで。近くのテーブルに腰を落ち着けてお話しタイムとなった。
「最近の巴里はどうなのかしら?」
「そう、ね……。落ち着かないというか、どこでも事件が起こっている、というか」
 詳しく聞けば、巴里内でも影朧による事件が増えているらしい。その分、學徒兵たちの出動も増え、ジャンヌの家による支援も増えているようだが、どうにも落ち着かない、というのが肌身に感じていることらしい。
 アンリの問いかけに顔を曇らせているジャンヌ。その様子を見てアンリもまたもう一歩踏み込んだ話をする。
「どうしてあなたが狙われているのかしら?」
「それは……。いえ、超弩級戦力の貴方たちであれば」
 一度は言い淀んだジャンヌであるが、アンリが身を置いている『立場』に思い当って、意を決する。
「これから話すことは、超弩級戦力の皆さんだけの共有としてください」
 逆を言えば、學徒兵には話していないということ。それは迂闊に話すと學徒兵を本来の職務と関係ないところへ巻き込む可能性があるからだ。
「見た目は影朧の襲撃ですが……この事件には『人の思惑』が絡んでいる可能性が高いのです」
 ジャンヌ曰く。
 彼女の家は古くから學徒兵の支援を行っていることで有名だ。それは単純に家の理念、あるいはノブレス・オブリージュ。そう言った思想によるもので決して名声を狙ったわけではないものだという。しかし、結果として得たものは學徒兵を支えるといった名誉であり、ある意味治外法権を発揮する學徒兵への影響力であった。
 それを快く思っていない貴族もまたたくさんいる。嫉妬だけではなく、利権を狙って。それほどまでに學徒兵の『権力』は強いからのだ。
「ですから、嫌がらせというか邪魔というか。そういうことは昔からよくあったのですが」
 その辺りは學徒兵との協力もあって、これまで問題になったことは無い。
「ですが、ここ最近。敵対勢力のひとつ、メディシス家の力が異常に強くなっているのです」
 そしてメディシス家の台頭とほぼ同じくして、ジャンヌの身の回りで影朧が現れるようになり、襲撃を受けるようになった。こちらも學徒兵の協力を得て、ここまで事なきを得ているが、それにしても『影朧が現れる=襲撃の回数』が多すぎる。また、一度に出現する影朧の数も異常に多い。
「明らかな異常事態に、私たちも學徒兵の皆さんも警戒態勢を取っていたのですが」
 守るだけではやはりジリ貧。徐々に戦力が削られていく。
「このままでは押し切られる。そう考えた學徒兵の皆さんは、先日大攻勢に出たのです」
 ジャンヌの護衛の件だけではなく、その当時の最大戦力で以て巴里中の異変を解決、あるいは排除した。
 ただ向こうもタダでやられるわけにはいかなかったのだろう。潜ませていた戦力の全てをぶつけてきて、結果としては痛み分けだ。
 だがその大攻勢のおかげで、巴里の中にいたであろう影朧のほとんどは排除できたと考えられる。
「敵もまた戦力を整えてくるでしょうが、束の間私たちは行動の範囲を広げる時間を得ました」
 この間に、ジャンヌもまた攻勢に出た。すなわち、総力を以て原因を探ることにしたのである。
「結果、判明したのがメディシス家の配下にある秘密結社にして犯罪結社」
 少し、小声になって、それでもしっかりとした言葉で。
 ジャンヌはアンリに告げる。
「その名を『テネブル』。驚くことに……どうやらこの結社の構成員は影朧を呼び出し、操る術を持っているようなのです」
 そのテネブルが本拠地としているのが件の郊外の街、というわけだ。といっても街そのものがそうではなくて、その街を隠れ蓑にしている。
 ゆえに拠点である劇場を一気呵成に仕留めるのが今回の作戦。
「ただ、あくまで『推測』でしかないのが現状です。影朧を使っている、その事実もまた今回の作戦で突き止めねばなりません」
 そうでなければ、メディシスの台頭を抑えることができない。影朧退治がメインではあるのだが、その先には巴里の情勢を落ち着ける、という目的もある。
 だから、現地にはジャンヌも赴く。その場を抑えるのは今も狙われているジャンヌでなければならない。
「アンリさんのような方が味方で心強いですわ」
 そう言って笑うジャンヌの笑顔に嘘は無く。
「なるほど。そういうことね……」
 事態を把握したアンリ。ここまでの情報には納得を示して……だからこそ、アンリは次の質問を口にする。
「ジャンヌさんは……影朧のことはどう思ってるのかしら?」
 それは単純な、方針の確認。アンリとしては『『転生』なんて考えず消してしまいたい』とすら思っている。けれども、今回の事件の中心にいるのはジャンヌ。彼女の意向には沿うべきだろうとも、思う。アンリはジャンヌの為に来たのだから。
「私としては特に」
 アンリの問いに対してジャンヌは小さく首を振る。
 敵意むき出しの影朧に襲われる。それはとても怖いものだ。それに対して『彼の者は救われなければいけない』なんて聖女然とした態度を取るつもりもない。襲われたら迎撃して倒すのも躊躇わないし、『転生できるものなら転生させてあげたい』という考えもある。
「ですが、現場で戦うのは學徒兵やアンリさんのような超弩級戦力の皆さんです。ですから」
 『判断はお任せします』と。ジャンヌは微笑む。
「そう、ですね。もし、影朧と縁ある方がいらっしゃるなら……」
 『お話くらいはさせてあげてくださいね』とだけ添えて。

成功 🔵​🔵​🔴​

叢雲・黄泉
一姫と

「以前も一姫と一緒に巴里に来ましたが……
今度こそ半吸血鬼化の呪いを解く手がかりを得ましょう」

欧州の影朧といえば、きっと吸血鬼絡みに違いありません。(偏見)
まずは舞踏会で事件の情報を集めましょう。

「いいですか、一姫。
今回はサボらず、きちんと情報収集してくださいね……
事件が終わったらサボりの手伝いしますから……」

一姫と一緒にドレス姿で目立つように振る舞いましょう。
こういう格好は好きではないのですが、情報を得るには仕方ありません……
貴族たちからの情報収集は一姫に任せ、私は作戦司令部のお偉方と優雅に踊りつつ話を聞き出します。

私が踊れるのが意外ですか?
長く生きていれば、ダンスくらい身につきます……


羽々・一姫
黄泉さんと

サクラミラージュの巴里も久しぶりね。

黄泉さんとも久しぶりだし、のんびりしたいけど、
初手でサボると後で詰まるのよね。

あまり趣味ではないけれど、パーティドレスを着て、
黄泉さんといっしょに、目立っておこうかな。

わたしたちくらいになると、
向こうから声をかけてくるから、その辺りは楽ね。

とはいえ、貴族特有のなれなれしい感じ。
ひと思いにすぱっとしちゃいたくなるわね。

ぎぎぎ、と、引きつった笑顔を黄泉さんに向けたら、
今は耐えて!と瞳で訴えかけられます

むぅ……なら今は耐えるから、あとで一口のってよね。

視線を戻し、小さく微笑んで、

なんでも大きな作戦があるらしいですね。
今度のお相手はどんな方々なのですか?




 帝都桜學府の飛行船を降りて。今日一時の拠点にもなる、件の屋敷まで馬車で揺られている猟兵が二人。
「サクラミラージュの巴里も久しぶりね」
 羽々・一姫(Gatekeeper of Tartarus・f27342)と叢雲・黄泉(賞金稼ぎの邪神ハンター・f27086)である。
「以前も一姫と一緒に巴里に来ましたが……」
 街並みを眺めながら、黄泉が呟く。彼女らはともに『ダンピール』であるが、その出自、否、経緯は全く異なる。
 ゆえに。次に出てくる言葉も全く違った。
「今度こそ半吸血鬼化の呪いを解く手がかりを得ましょう」
 そういう黄泉に対して、一姫は。
(えー……)
 って顔をしている。ちなみに黄泉は気付いていない。
「欧州の影朧といえば、きっと吸血鬼絡みに違いありません」
 と自分の想いを語っているからである。変なバイアスがかかっているのは言うまでもない。
「まずは舞踏会で事件の情報を集めましょう」
 がっ、と一姫の手を力強く掴む黄泉。
(黄泉さんとも久しぶりだし、のんびりしたいけどー)
 そんな気分の一姫さんでした。


 とはいえ。影朧が吸血鬼に関係しているかはともかく、影朧の事件解決のために訪れたのは事実だ。
(初手でサボると後で詰まるのよね)
 『極度のめんどくさがり』な一姫であるが、解決しないのは何とも言い難い気分になってしまうらしい。
 ちらりと横に視線を遣れば。
「いいですか、一姫。今回はサボらず、きちんと情報収集してくださいね……」
 真面目な表情をしている黄泉がいる。
「事件が終わったらサボりの手伝いしますから……」
 黄泉が一姫に小さく耳打ちする。
 言葉面だけみたら意味わからんです。しかし、一姫の行動パターンからするとこれが最適解だったりするから困る。バイト仲間というか、気の知れた仲というか、さすが黄泉。

 そんなわけで二人そろって舞踏会へ。
(あまり趣味ではないけれど、黄泉さんといっしょに、目立っておこうかな)
 と二人そろってパーティドレスで着飾って。それを目立つように振舞えば人の目を引くことなど他愛もない。
(こういう格好は好きではないのですが、情報を得るには仕方ありません……)
 と黄泉は思うものの、そっちのほうが重要と判断した模様。
「わたしたちくらいになると、向こうから声をかけてくるから、その辺りは楽ね」
 と一姫が呟いた通り、向こうから人が寄ってくるのであった。


「お美しい。一曲いかがですか?」
 一姫を見つけて、すたすたと近づいてきた若い貴族が手を差し出す。当然初対面だし、お前誰やって感じである。
(貴族特有のなれなれしい感じ。ひと思いにすぱっとしちゃいたくなるわね)
 と思いながら既に手が動きかけている。
 がっ、と一姫の手を掴む……のは黄泉。『ぎぎぎ』と音がするような仕草で、引きつった笑顔で黄泉を見る一姫。

『今は耐えてください!』

 黄泉の瞳がそう訴えかけている。
(むぅ……)
 ならば今は耐えるしかない。しかないが、
(あとで一口のってよね)
 と思いながら貴族の手を取る一姫。その手を取って貴族が笑みを浮かべながら、そっと一姫の手に自分の手を被せる。
「おお、とても美しい手。絵画のように素晴らしい」

 ――あ、これダメだ。

 やっちまおう、とか思ったその瞬間。
「これ、客人に何をしとるか」
「げ……」
 遠くから聞こえてきた声に貴族がぱっと手を離す。現れたのは壮年の男性。
「この場は貴族の舞踏会とはいえ、主役は學徒兵やその方たち」
 言外に『不快な思いをさせるな』と圧をかけて若い貴族を追い払う。
「私のドラ息子が大変失礼した。ゆっくり楽しんでもらいたい」
「あ、待って」
 そう言ってその場を立ち去ろうとする男性を呼び止める一姫。あの貴族の親ならこの人も貴族である。さっきのドラ息子よりは話がしやすい。
 一姫の声に振り向いた男性。その男性に小さく微笑んで、一姫が話を続ける。
「なんでも大きな作戦があるらしいですね。今度のお相手はどんな方々なのですか?」
「……」
 じーっと品定め、もしくは是非を考えていたのかもしれない。
「ふむ……キミたちであれば問題ないか」
 そう呟いて、一姫を近くのテーブルへ誘う。
「學徒兵には言うなと言われているのだが」
 ゆえに小声で。小さく耳打ちするかのごとき呟きで男性は話していく。
「今回の事件の裏には人……我々と敵対している貴族、メディシス家がいる、かもしれん」
 我々……ということは學徒兵の支援をしているジャンヌの一派の敵。
「學徒兵そのものを敵視しているわけではなかろうが、我々を潰したいのは確実だろう」
 このままメディシス家の台頭を許すわけにはいかない。その先には、一時的とはいえ、巴里に住む人に対する大きな被害があるかもしれないからだ。
「だからこそ、我々も必死なのだよ。もちろん名誉や利権と言った実利もあるのは事実だが……負ければ、それどころではない」
 ジャンヌの一派である彼らに後ろめたいことはない。ゆえにこの状況を看過するわけにはいかない。
「貴族、というだけで信頼に値しないという者もいるだろう。だが、今ここだけは君たちの負けが我らの死に繋がる。惜しむモノなどいるものか」
 そういう男性の瞳に嘘は無い。
「我々は戦えない。我々の運命は君たちにかかっているのだ」
 そう、小さく、力強く。男性は一姫に告げるのであった。

 一姫が男性を捕まえたその一方で。

 黄泉はひとり会場を歩いて、作戦司令部のお偉方を捕まえていた。会場の中心で優雅に踊りつつ、過ごしている。
 一姫がこの場にいたら。
「え、踊れたの?」
 とか言われそうであるが。
(ふ……私が踊れるのが意外ですか?)
 自嘲気味な笑みが零れないように注意しながら、とっても楽しそうな笑みをお偉方に向けている。
(長く生きていれば、ダンスくらい身につきます……)
 実は半吸血鬼になった時に成長(胸元は見てはいけない)が止まっているので実年齢不詳な黄泉。『半吸血鬼舐めたらあかんぜよ』って感じである。
 そんなわけでダンスで相手を楽しませながら、黄泉は問いかける。
「明後日の作戦。勝算はあるのですか?」
「……ハハハ。痛いところをつく」
 黄泉の問いかけに微苦笑するしかない男性。
「正直なところ、戦力的に五分五分……だったのだが、日本の帝都桜學府は上手くやってくれたようだね」
 曖昧過ぎる作戦内容に各支部からの人員補給はあまり芳しくない。……が、猟兵が、『超弩級戦力』が駆けつけてくれたのであれば話は別だ。
「敵の常套手段は大群による足止めからの各個撃破」
 集まった學徒兵たちの人数では『各個撃破されない』の精一杯だという。だが逆に言えば拮抗状態に持ち込めるという意味でもある。
「ゆえに、我々が敵戦力を足止めする」
 そこからの少数精鋭――猟兵たちの突破にて一気呵成に仕留める。
 それが現状一番勝率の高い作戦だ。
「君たち超弩級戦力に頼ることになるが、よろしく頼む」
 そう言って男性は、期待を込めた裏表のない笑顔を黄泉に向けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ルールー』

POW   :    るーるるーるるーるるー
単純で重い【シャベル】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    るーるるるーるる
【死者の国の王の力】を籠めた【シャベル】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【猟兵としての在り方】のみを攻撃する。
WIZ   :    るるるるるるる
戦場全体に、【骸骨】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。

イラスト:nori

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●猟兵たちの情報共有
 舞踏会の翌日。作戦司令部の最終ブリーフィングが行われる前に、猟兵たちはとある一室に集まっていた。目的は情報共有。
 情報のジャンルは大きく分けて五つ。

 ひとつ。影朧についてはグリモアの予知があるため、猟兵の方がより詳しく知っている。學徒兵であっても、影朧の概要はわかっていても、名前や攻撃方法までは知っているわけではない。現地ではその点をフィードバックしてあげれば戦況を有利に運べるだろう(※)

 ふたつ。學徒兵の戦力は十分ではない。結果的に猟兵たちを少数精鋭の突撃部隊として敵拠点へ踏み込ませる作戦になる可能性が高い。その際はジャンヌを連れていくことになる。戦闘の際にはジャンヌに攻撃が及ばないようにする対応が必要だ(※)

 みっつ。戦う敵も倒す敵も影朧だが、『この事件の裏側――黒幕は人である可能性が高い』。最終的にはその対象を捕縛するなりして情報を引きずり出す必要がある。

 よっつ。影朧は使役されている可能性が高い。しかし、どのように対応するかは、ジャンヌとしては現地の判断に任せている。學徒兵たちも同様と考えていいだろう。

 いつつ。この事件の裏にいるであろうメディシス家、つまりこれは『影朧を使った貴族の勢力争い』であることは學徒兵には伏せられている。學徒兵が知っていることは、影朧を使役する犯罪結社が在るということ、そしてその拠点に乗り込む作戦であること。これは不用意に権力争いと言ったモノに學徒兵を巻き込まないための配慮である。

 詳細は各人の昨夜の行動を振り返ってもらうとして。
 このような情報を猟兵たちの間で共有したのである。

●作戦開始!
 巴里から郊外の街まで距離がある。その間、如何に気づかれないかがこの作戦の肝だ。
 ゆえに部隊を小さく、たくさんに分けて現地に送り込む。知らされているのは、各部隊が潜むべき仮拠点。そして作戦を開始するタイミングと場所。
「時間になったら、とにかく騒ぎを大きく見せろ」
「目的は、敵の戦力を全部表に引き出すことだ」
「それを我ら學徒兵が足止めしている間に、超弩級戦力の部隊を拠点に突っ込ませる」
「一般人を巻き込まないようにな。退避は誘導員に任せて、戦闘が出来る者は影朧に対抗するんだ」
 そのような指示を受けて、學徒兵&猟兵たちは件の街へと赴いたのである。

 そして。

「時間だ! いくぞ!!」
 街のいたるところから鬨の声があがる。隠れていた學徒兵たちが一斉に蜂起したのだ。その騒ぎを見て一般人はすぐさま家の中へ避難。代わりに地面から湧いて出てきたのが影朧『ルールー』だ。
「皆さん、行ってください! ここは我らにお任せを!」
 學徒兵の声を受けて、猟兵たちは街の中心にある劇場へと駆けだす!

●劇場の中で
 今日は休演日。すなわち、人がいること自体がおかしいのだが。
「なっ!? ちょっと勝手に入らないでください!!」
 入口に立ち塞がる劇場のスタッフと思しき者を速攻で気絶させて無力化。劇場の中へと足を踏み入れる猟兵たち。
「おいおい……突破された上に、入り口で足止めもできなかったのかよ」
 劇場の舞台の上。そこに立っていたのはおよそカタギとは思えない風貌の男が数人。犯罪結社『テネブル』の構成員と見ていいだろう。会議をしていたのか、あるいは何かの取引の準備をしていたのか。しかし外の騒ぎを感じて裏口から退避しようとしていたのだろう。舞台から降りようとしていたその瞬間に猟兵たちが踏み込んだ。
「数が少ない。殺っちまうほうが早いな」
 言うが早いか、手をかざす構成員。その仕草に応じて……劇場の床が光る。円に光るその場所から湧き出てくるのは『ルールー』であった。何体も湧き出て構成員たちと猟兵たちの間にルールーたちが壁を作る。
「……っ、皆さん!!」
 影朧を召喚するところ。それを目視したジャンヌが叫ぶ。推測が確定に変わった瞬間。裏付けの情報は確認できた。あとは証拠となるあの男たちを捕える!
「るーるーるー」
 そのためにスコップを構えて迫ってくるルールーたちを排除すべく、猟兵たちが前に出る!

※シナリオ補足※
プレイングボーナス――マスターコメントにあるように劇場の形や配置、設備などを利用して戦う。あるいは(※)印のついている行動を行う。

劇場詳細
通常入り口は劇場の後方にひとつ。その他、裏口と避難出口がサイドに合わせて全部で3つあります。どこから入ってもOKです。
劇場の形は少し傾斜のついた馬蹄型。現代日本の一般的な映画館みたいな感じと思ってもらって結構です(スクリーンの場所に舞台がある)
空間としては高さもそこそこあります(低空飛行する程度の広さはあります)
キャバリアは立っているだけが限界かと。

ジャンヌ
通常入り口の付近で待機しています。外から敵が来ることはありません。
スリジエ・シエルリュンヌ
まんまるサメさん、ジャンヌさんにオーラ防御お願いしますね。
守りの一助になれば。

彼女たちはルールー…!ええ、一度、別の場所で戦ったことがあります。
劇場破壊をさせないためには…SPD系!
これは、猟兵のあり方を攻撃する。つまり、猟兵でない人には無害である。

『あなたたちは操られて納得しているのですか?』と問いかけを。
…私は答えに満足することはないでしょう。
獣には、範囲攻撃とマヒ攻撃をのせてます。

ここで引くわけにはいきません。猟兵としてのあり方…私は憧れ、修行し、なりました。
そこから、手の届く範囲は守ろうと誓ったのです。
『グルナードお養父さま』。私を保護し育ててくれた、石榴の…あの人のように。


雨咲・ケイ
おぉ、やっぱり巴里の劇場は凄いですねえ…。
と圧倒されてる場合ではありませんね。
写真を撮るのは後にしましょう。

【POW】で行動します。

ルールーの出現は災厄の前触れだと
聞いた事があります…。
これ以上何も起きなければよいのですが…。

敵の数が多いので囲まれないよう跳躍し、
銀霊縛鎖を天井の適当な箇所に巻き付けて
上空に逃げます。
そして【破魔】の力を乗せたスノーホワイトの
花弁を撒き散らして怯ませましょう。
劇場を破壊されては困りますので、
右手と左手による【魔斬りの刃】の
【2回攻撃】で迅速に片付けていきます。
ジャンヌさんに近づく敵は【衝撃波】で牽制。
構成員はルミナスから放つサイキックエナジーで
気絶させましょう。


上野・修介
※連携、アド歓迎
「なんとも、キナ臭いな」

だが、俺のやることは変わらない。

敵『ルールー』の攻撃はシャベルによる近接攻撃が主体。
學徒兵側には遠距離から射撃のよる応戦と装備の用意を提案。

調息、脱力、戦場を観据える。
目付は広く、敵の数と配置、周囲の状況を把握。

「推して参る」

UCは攻撃重視
通常入り口から突入。
足を止めず、座席、壁、天井等を足場に立体的に動き回り攪乱しつつ舞台に向かうように敵を殲滅。

時折、舞台の構成員に向かって座席の残骸やタクティカルペンを投擲し逃亡を牽制しつつ、ヘイトを自分に集め護衛対象や學徒兵に向かう敵を減らす。

可能であれば他の広域火力持ちの猟兵の攻撃範囲に誘引して一網打尽を狙う。




 巴里郊外、目的の街へ踏み込んだ猟兵と學徒兵の混合軍。そして街の至るところから湧いてきた『ルールー』を、数で優位に立てる學徒兵たちが足止めする。
 その戦線を数名の學徒兵と一緒に突破した上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)は件の劇場前でルールーの追撃に備えていた。
「なんとも、キナ臭いな」
 思わず呟くのは猟兵たちの間で共有した情報、すなわちこの事件の背景を思い出したからだ。
(だが、俺のやることは変わらない)
 いつも通り、その拳で。

 どうも劇場の周りはルールーの数が少ないらしい。これなら先に劇場へ突入していったジャンヌ、そして雨咲・ケイ(人間の學徒兵・f00882)、スリジエ・シエルリュンヌ(桜色の文豪探偵・f27365)を追いかけても大丈夫そうだ。
 ここまで共に敵の戦線を撃破してきた學徒兵たちに視線を遣ると頷きが返ってきた。
「この場は死守する。安心して行ってくれ」
 修介の視線に対して、そう告げる學徒兵。その彼らの戦い方は先に修介が提案した『遠距離から射撃のよる応戦』。装備もそれ用に用意してある。

 スコップを持った少女の影朧が『ルールー』であること。その攻撃はシャベルによる近接攻撃が主体であることは、街に突入する前に既に伝達済。そのため、劇場の周り程度なら安定してルールーたちを倒していけるであろう。

 それを改めて確認した修介は呼吸を調える。
(――力は溜めず――息は止めず――意地は貫く)
 言葉はただの切欠だ。やっていることは平時から無意識下で行っている呼吸、すなわち『基礎』を意識的に行って、普段以上の身体機能と動作精度を引き出すこと。
 調えた呼吸とともに全身に力が巡る。その呼吸の型はこれからの突撃に合わせた攻撃重視のもの。
「いってきます」
 そう學徒兵たちに告げて。先に突入した仲間を追いかけて修介もまた劇場へ踏み込んだのである。


 外の守りを修介たちに任せて一足先に突入したケイ、スリジエ、ジャンヌとその護衛學徒兵2人。
「おぉ、やっぱり巴里の劇場は凄いですねえ……」
 先頭で踏み込んだケイは劇場内を見渡して思わず声をこぼす。郊外の街とは言え、さすが本場。かなり本格的である。これが戦闘で突入したのでなければもっと最高だったのだが。
「っと、圧倒されてる場合ではありませんね。写真を撮るのは後にしましょう」
「えっ?」
 ケイの言葉に思わず声をあげたのはジャンヌ。『カメラを持ってきていたんですか?』と続けてツッコむ……暇は無く。眼前、否、劇場の通路にルールーたちが大量に出現する。
「彼女たちはルールー……!」
 聞いてはいたが、改めて目視して。スリジエが思わず声をあげる。スリジエの声を聞いて、ジャンヌの護衛たちもまた退魔刀を構える。
 その彼女らの前で、ルールーたちと相対するスリジエ。
(ええ、一度、別の場所で戦ったことがあります)
 彼女もまた文豪探偵で猟兵なれば。サクラミラージュでの事件で遭遇しているのも何らおかしい話ではない。
 わらわらと次から次へと湧いてくるルールーたち。
「ルールーの出現は災厄の前触れだと聞いた事があります……」
 スリジエの隣に並びつつ、ブレスレット状のサイキック増幅器『ルミナス』に手をやって調子を確認するケイ。
(これ以上何も起きなければよいのですが……)
 そこはかとなく走る悪寒。これ以上はあってほしくはないが……そんな心配をする時間すらも許してくれず、ルールーたちが突撃してきた。

「まんまるサメさん、ジャンヌさんにオーラ防御お願いしますね!」
 スリジエが視線だけ送って指示を出すのはバディペットの『まんまるサメ』さんである。小さく丸っこい体で床をぽんぽんと跳ねてジャンヌの足元に到着。ジャンヌにオーラの守りを与える。
(守りの一助になれば)
 いざという時の備えにもなる。それを確認してスリジエが改めて視線を前に遣った時にはケイの姿が消えていた。否、ケイの姿は天井に。
「……っ!」
 小さく息を吐いて跳躍しつつ、『銀霊縛鎖』を腕から放つ。かつて邪妖を封じていたとされる退魔の力を秘めた白銀の鎖が鋭く伸びて、天井の照明に巻き付く。そこを支点にして、ルールーの数に飲み込まれないように、上空へと退避していたのだ。
 そしてそれはただ退避したわけではない。
「これはどうですか……!?」
 ぶん、と振るった手に握られているのはスノーホワイトの花束。その雪のように白い花弁は破魔の力を宿して、邪気祓いの雨となって降る。
「るーるー!」
 体に触れるとぴりぴりするのか、花弁を軽快して怯むルールー。

 だんっ、と激しい音がして。
 そこへ踏み込んできたのは修介であった。音を立てたその瞬間の緊張、そして戦況の硬直。そのわずかな時間で以て、修介は戦場を『観』据え、戦況を捉える。
「推して参る」
 静かに、しかし響くような声で。そう告げた修介は一足飛びに、花弁に怯んでいたルールーの懐へ踏み込む。
「……っ」
 小さな呼気とともにしっかりと足で床を捉えて。ルールーの腹部に強烈な拳の一撃を叩きつける修介。その強烈な一撃にルールーの体が吹っ飛び、後方にいたルールーも巻き込んで雪崩を起こす。
「るーるー!」
「るーるるーるるーるるー!」
 雪崩を回避したルールーたちがシャベルを振りかぶって修介向けて力任せに重いシャベルの一撃を叩きつける。
「ぬるい」
 その一撃を跳躍して容易く回避しながら座席の上に立った修介は、そのまま足を止めることなく、座席を蹴って劇場を横断。距離がある、と油断していたルールーの一団へ再度拳の攻撃を叩きつける。

 下で派手に動いている(ように見える)修介にルールーたちの注意が注がれる。
 そのタイミングを逃さず、天井から舞い降りるケイ。修介に気を取られているルールーたちの背後にたんっ、と降り立つと。
「劇場を破壊されては困りますので」
 構えるのは両手の手刀。そこに纏わせるのは光輝く氣。
「る!? るーるー!」
 ケイに気づいたルールーたちが慌ててシャベルを振りかぶるが。
「邪妖を斬り裂く刃……その身で体験してください」
 ケイの左右の手による【魔斬りの刃】が鋭く一閃、二閃! 目に留まらぬ斬撃でルールーを迅速に片付けていくケイ。

 ルールーたちの大半を相手取って劇場内で大立ち回りをしているケイと修介。
 しかし、全てのルールーたちがこの二人を狙うかと言えば否。
 入口付近で戦況を図っていたスリジエとジャンヌに向けても、ルールーたちが押し寄せる。
「させません」
 その前に立ち塞がるスリジエ。ルールーのシャベル攻撃は外れたとしても付近の地形を壊す可能性がある。
(劇場破壊をさせないためには……!)
 以前戦った時の記憶を呼び覚ますスリジエはこの場における効果的な戦い方を導き出す。それはルールーの、シャベルを使いながらも『猟兵としての在り方』を攻撃する手段を誘発すること。
(これなら、猟兵でない人には無害)
 そのために。ルールーたちを前にして、スリジエは自身の著作たる本を開く。

「あなたたちは操られて納得しているのですか?」

 それは問いかけにして、ユーベルコードの呼び水。【其の答えを識るまで、僕は死ぬ事もままならぬ】と、情念の獣が召喚される。
「るーるー!」
「るーるるー!!」
 それは答えているのか答えていないのか。スリジエの言葉に反応しているものの、『伝わらなければ意味がない』。もちろんその答えにスリジエが満足することはない。
 ゆえに、情念の獣はルールーたちを貪り喰らう牙で攻撃し続ける。スリジエの力を借りている情念の獣はルールーたちをまとめて薙ぎ払い、その爪の毒で麻痺させていく。

「それもいただきましょう!」
 再び銀霊縛鎖を照明に巻きつけつつ、天井へと飛び上がったケイがもう片方の手をぶんっ、と振るえば。ルミナスを経由して強化された衝撃波がスリジエの足止めしたルールーたちをなぎ倒していく。
「るー! るー!」
 纏めて薙ぎ倒されていく仲間を見て、ルールーたちの注意が一気にケイに向く。
(この隙に……!)
 目の前にいたルールーたちを横からの蹴りでなぎ倒した修介が床を蹴る。
「逃がすか」
 修介が呟いたのは舞台の上を目端に捉えたから。そこから逃げ出そうとしている『テネブル』の構成員たちに対して、壁を足場に飛び上がりながら、上から舞台へ強襲する修介。鋭く振るった腕から投擲されるタクティカルペンが構成員の進路上、足元に突き刺されば。
「……!?」
 構成員も足を止めざるを得ない。
「そこです!」
 空中で方向転換したケイが舞台の上へと降り立って。ルミナスからサイキックエナジーを放出。構成員を気絶させていく。

 作戦として折り合わせたわけではないけれども。

 スリジエ、ケイ、修介の連携でルールーたちの一団が倒されていく。
 だが、まだ全てを排除されたわけではない。
「……っ?!」
 ルールーの接近を許してしまい、シャベルの一撃を受け止めるスリジエ。その一撃に込められた死者の国の王の力がスリジエの、猟兵としての在り方を揺るがす。
「……!」
 ぎり、と歯を食いしばって。スリジエはその攻撃を振り払う!
(ここで引くわけにはいきません……!)
 それは彼女の矜持。
(……私は憧れ、修行し、なりました)
 そして再び情念の獣を呼び出す。それはスリジエの意志に従って、目の前のルールーへ襲い掛かる。
「……そこから、手の届く範囲は守ろうと誓ったのです……!」
 改めて誓うように。スリジエは言葉を紡ぐ。その言葉の強さが情念の獣に伝わり、目の前のルールーたちを貪り食らう。

 ――『グルナードお養父さま』。私を保護し育ててくれた、石榴の……あの人のように。


 舞台の上。気絶した構成員たちを素早く拘束したケイと修介は劇場を見渡す。
「構成員は押さえましたけれども」
「まだ……のようですね」
 構成員が気絶しても召喚されたルールーたちは健在。どうやら全てを倒しきる必要があるようだ。
「外に出すわけにもいきません」
「ええ。では」
 舞台の上で頷きあったケイと修介は舞台を蹴って劇場へと躍り出る。そして劇場を文字通り、縦横無尽に動き、ルールーたちを撃破していくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

卜一・アンリ
(【かばう】ようにジャンヌさんの傍に立ち悪魔憑きの拳銃を構えて)
警告(ホールドアップ)は一度きりよ。退きなさい。

UC【黄金の雨のアリス】で迎撃。
敵のシャベルを【武器落とし】してそのまま【乱れ撃ち】で撃ち倒すわ。
囲まれたなら客席を台代わりに宙返り大【ジャンプ】、滞空からの銃【弾幕】で【範囲攻撃】。

ジャンヌさんへの接敵の危険性があるなら手を引いて一緒に距離をとりましょう。【逃げ足】には自信があるもの。

で、裏付けはとれたわけだけれど。
どうするのかしら、ジャンヌさん?
物証をとってくるお使いぐらいは頼まれてもいいけれど。
直接その目で見るのがノブレス・オブリージュなら、エスコートぐらいは引き受けるわ。




 猟兵たちが拘束した犯罪結社『テネブル』の構成員。それは舞台の上で気絶した状態で放置されていて。
「超弩級戦力の皆さんが押さえてくれたチャンスです」
 それらを直接取り調べすべく、ジャンヌが護衛の2人を連れて舞台へと向かう。
「るー!」
「るるー!!」
 しかし、その眼前に突如『ルールー』たちが大量に出現する。
「新手……!」
 舞台の上を見れば、そこには新手の構成員。猟兵たちが舞台から引いたその瞬間を狙って、新たに戦力を投入してきたのだ。
 一気に押し寄せるルールー。
「ダメです! 退いてください!」
 ジャンヌを守るように前に出た學徒兵たちに、彼女は悲痛な声をあげる。

 ――だが、新手のルールーに対して、こちらもまた。

 かちゃ、と。撃鉄を起こす音。
「警告(ホールドアップ)は……聞きそうにないわね」
 すっ、とジャンヌを庇うように側に立つその姿は卜一・アンリ(今も帰らぬ大正桜のアリス・f23623)。
「退きなさい」
 アンリの声と同時にその手に構えた『悪魔憑きの拳銃』が火を噴く。
「るー?!」
 迫りくるルールーの群れに対して、アンリが放つのは【黄金の雨のアリス】。それはアンリの十八番というべき神速のファニングショット。狙いつけずとも望んだ通り当たる悪魔の弾丸が的確にルールーのシャベルを叩き落として。
「アンリさん……!」
「少し遅れたわ。ごめんなさいね」
 ジャンヌの声に応えながら、攻撃の手は止めず。【黄金の雨のアリス】による乱れ撃ちでそのまま流れるようにルールーを撃ち倒していく。
 しかし、ルールーの群れに対して正面からでは攻撃できる数に限りがある。
「数が多いわね」
 次々と湧いてくるルールーにちょっとうんざりしかけたアンリは、側にあった客席を台代わりにしてジャンプ! 空中で体の向きを変えたなら、ふわりと滑空しながら銃弾による弾幕を上から降らせてルールーたちを広範囲に一気に殲滅する。
 たんっ、と再びアンリの足が床を捉えたなら。
「こっちよ」
 アンリがジャンヌの手を引いて走る。上にあがったことで今の『最適なルート』が確認できた。それに従ってアンリは一度戦線から離脱する。急がば回れ、と大回りに舞台へ迫るアンリとジャンヌに、ルールーたちの足では追い付けない。
「逃げ足には自信があるもの」
 とジャンヌに笑いかけながら、舞台の上にいる構成員に銃弾を叩き込んで行動不能にするアンリ。安全を確保した舞台の上にジャンヌを無事届ける。
「るーるー!」
 しかし足が止まればルールーたちが追い付いてくる。
「任せて」
 二人を追いすがってきたルールーたちを、アンリは舞台の上から掃射で倒していくのであった。


 じきにルールーたちの討伐も完了するだろう。劇場にいる構成員は全て押さえることができたのだから。
「で、裏付けはとれたわけだけれど」
 残りのルールーたちは仲間に任せて。
 意識を取り戻したテネブルの構成員に尋問……と言うほどではないが、事実を問いただしていたジャンヌにアンリは問いかける。
「どうするのかしら、ジャンヌさん?」
「……」
 アンリの視線にジャンヌは無言で答える。ひとまず『テネブルが影朧を召喚、操っていた』事実は現行犯で押さえることができた。後は……。

 『けれどもこれ以上巻き込んでいいのか』

 そんな疑念がジャンヌの胸中に渦巻いた、その時。
「物証をとってくるお使いぐらいは頼まれてもいいけれど」
「えっ?」
 アンリの言葉にジャンヌが顔をあげる。
「直接その目で見るのがノブレス・オブリージュなら……エスコートぐらいは引き受けるわ」
 そう言ってアンリは口端に笑みを浮かべるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

叢雲・黄泉
一姫と

「見てください、一姫。
あのアンデッドっぽいオブリビオン、吸血鬼の手先に違いありません……!」

一姫がなんだか疑わしそうな目で見てきてますけど、私は吸血鬼ハンターとしての仕事を果たすのみ。
あの眷属たちを倒して吸血鬼を引きずり出します……

學徒兵や貴族令嬢などというお荷物は放置……
【血統覚醒】で吸血鬼の力を呼び覚まし、手足を吸血鬼化させて怪力で眷属たちを倒しましょう……

「行きますよ、一姫。
二人の力を見せてあげましょう……」

敵のシャベルの一撃を吸血鬼化した腕で受け止め、そのまま怪力で反撃します……

「さあ、吸血鬼よ、居るのはわかっているのです。
おとなしく姿をあらわしなさい……」(思い込み


羽々・一姫
黄泉さんと

學徒兵さんたちは、初陣の人もいそうね。
先に『攻略法』って書いたメモを渡しておこう。

中には

無理をしない。
がんばらない。
1対1で戦わない。

って、書いておくね。

さて、學徒兵さんたちは成功したみたいだし、
わたしたちも明日のサボりのために無理せず……。
って、黄泉さん? 

黄泉さん、またテンション上がっちゃってるわね。
いつも元気よね疲れないのかしら?

突撃していった黄泉さんの背中を護るように、
一拍遅れてわたしも【血統覚醒】を発動。【切り込】むわ。
【なぎ払い】と【範囲攻撃】で無双していきましょう。

「ヴァンパイア2人のダンスなんて、大サービスね」

黄泉さん、冬香さんの話、最後まで聞いていなかったでしょう?




 ジャンヌとその護衛についていた猟兵が犯罪結社『テネブル』の構成員を押さえた。しかし、いまだ劇場の中には『ルールー』たちが残っている。

 ――撃ち漏らすとそのまま外に出る可能性もあるので、その場でばっちり倒してほしい。

 そうグリモア猟兵が言っていたので、ここで手を抜くわけにいかない。

 既にルールーたちと交戦、片っ端から倒していた叢雲・黄泉(賞金稼ぎの邪神ハンター・f27086)と羽々・一姫(Gatekeeper of Tartarus・f27342)は、劇場の中央で背中を預け合って、態勢と呼吸を整える。

「見てください、一姫。このアンデッドっぽいオブリビオン、吸血鬼の手先に違いありません……!」
 ちなみに、黄泉の、これまでルールーと交戦してきた感想であって、根拠は無い。
「……」
 対して、一姫さん、またもや無言である。視線が全てを語っていたのだが、どうも黄泉には通じていないらしい。
(黄泉さん、またテンション上がっちゃってるわね。いつも元気よね疲れないのかしら?)
 とか思っていた。秘密にしておいてほしい。いや、バレバレかもしれんけど。

 ともあれ。
 一姫がちらりと視線を遣るのは劇場の入り口。街の中にもまだルールーたちが残っているはずだ。しかし、この重要な場所、拠点にルールーたちが押し寄せてこないところを見ると、一姫が事前に渡しておいた『攻略法』が効いているようだ。
 街への突入に際して、一緒にいた學徒兵たちを見渡した一姫。
(學徒兵さんたちは、初陣の人もいそうね)
 と『攻略法』って書いたメモを渡しておいたのだ。もちろん言伝で全力で広がっていったことは言うまでもない。
 その中身は……!
『無理をしない』
『がんばらない』
『1対1で戦わない』
 と書いてあった。集団戦の基本にして、最高の作戦である。

(さて、學徒兵さんたちは成功したみたいだし)
 後は一姫たちが中を掃討するのみ。
「わたしたちも明日のサボりのために無理せず……って、黄泉さん?」
 しかし、視線を戻した一姫が見たのは、そんな言葉など受け付けてくれそうもない……。
「行きますよ、一姫。二人の力を見せてあげましょう……」
 【血統覚醒】で吸血鬼の力を呼び覚まし、手足を吸血鬼化させていた黄泉さんでした。

 ここで黄泉の行動も振り返ろう。
 一姫の無言の視線を受けた際、黄泉は黄泉で一姫の視線をそーい、ってしていた。
(一姫がなんだか疑わしそうな目で見てきてますけど)
 目の前にいるのは吸血鬼の手先に違いないのだ。ならば、ならばこそ……!
(私は吸血鬼ハンターとしての仕事を果たすのみ)
 ここで退くという選択肢はありえず、また倒さないということもあり得ない。
(あの眷属たちを倒して吸血鬼を引きずり出します……)
 内心『學徒兵や貴族令嬢はお荷物だし、放置』とか思っていたのは秘密だ。でも危害を加えたり妨害したりしてないので特に問題にもならない。
 半吸血鬼としての能力を発現して、黄泉はルールーの群れに突撃したのである!

 そんなわけで一姫が制止する暇もなく、黄泉さんはルールーの群れに突撃していきました。
 見れば、ルールーの力任せながら単純で重いシャベルの一撃を吸血鬼化した片手で受け止め、反撃。もう片方の手でルールーの十八番を奪うかのような怪力による一撃を叩き込む。
「……」
 もう少し話を聞いてほしいなー、と思いながら、一姫も黄泉さんの背中を護るように続く。
 一拍遅れて【血統覚醒】を発動。深紅の瞳が覚醒してダンピールの体に力が漲る。
 その状態で以て一姫もまたルールーの群れに切り込んでいき。
「ヴァンパイア2人のダンスなんて、大サービスね」
 一姫は追い付いた黄泉の背中で反転、死神の鎌を振るう。それはシャベルごと周囲のルールーを薙ぎ払う。

 二人の姿は一姫の言うようにダンスのようで。
 情熱的に突っ込む黄泉とテクニックで舞う一姫。二人の輪舞(ロンド)にルールーたちが倒されていく。

 そして程なく。ルールーたちは全て退治された。劇場内で動いているのは現代(いま)を生きる、生ある者のみ

 そして黄泉が舞台の奈落、そこから繋がる道を見つける。
「さあ、吸血鬼よ、居るのはわかっているのです。おとなしく姿をあらわしなさい……」
「黄泉さん、冬香さんの話、最後まで聞いていなかったでしょう?」
 完全なる黄泉の思い込みに、なんだかな、って感じの一姫さん。

 こんな感じで、戦況は次の場面に移っていったのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『グルナード・シエルリュンヌ』

POW   :    守り手であった者の一撃
【自身が装備する黒剣や尾】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    もはや防人にあらず
【自身が装備する黒剣】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    今ひとたび、護衛とならん
【自身が装備する黒剣】が命中した対象を爆破し、更に互いを【強化を打ち消す、霧のような黒竜】で繋ぐ。

イラスト:箱ノ山かすむ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はスリジエ・シエルリュンヌです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●経過報告
 メディシス家の配下にあるとされる犯罪結社『テネブル』。その構成員が実際に影朧を召喚し、操っている事実は確認された。後はテネブルとメディシス家の繋がりを指摘することができれば、今の巴里の不安定な現状を正すことができるだろう。
 そして街に出現していたルールーたちは猟兵たちとその支援を受けた學徒兵たちの活躍で全て倒された。その召喚者たちも次々と確保されている。

 後、この街で成すことは、この街に巣食う憂いを排除することだけ。

 テネブルのボスがいる部屋に繋がる秘密の通路。それは舞台の奈落の奥から繋がっている。今、突入すればボスを逃がすことなく取り押さえることができるはずだ。しかし、それはボスが呼び寄せる影朧と戦わねばならない、ということでもある。
 劇場の中と違い、閉鎖された空間である以上、少数精鋭が求められる。必然、その役目は超弩級戦力である猟兵たちへ託された。
 ジャンヌを伴い、奈落の底へ移動する猟兵たち。
 かくして巴里を巡る事件は佳境へと移る。

●秘密の地下室にて
「もう逃げ場はありません。覚悟しなさい!」
 劇場の地下。秘密の部屋。テネブルの拠点であるその場所へ、ノックもせずにドアをけ破ってジャンヌが乗り込む。もちろん間髪を入れずに猟兵たちも雪崩れ込み。
「……どういうことだ?」
「返す言葉もない」
 押さえた現場は、メディシス家とテネブルの密談の場。メディシス家の従者の言葉に、テネブルのボスが肩をすくめる。まだどうにかなる、と高を括っているのだろう。
 だが、ここで両者を捕えることができれば、一網打尽にすることができる。
「逃げ道くらいはあるんだろう?」
「そりゃもちろん」
 そう言って背後にある隠し通路から脱出しようとする二人。
「逃すとお思いですか!?」
 それをさせまい、とジャンヌが追いすがろうとするが。
「おっと。お前たちの相手はこいつだ」
「……!!」
 ボスが手をかざせば床に魔法陣。直後、現れるのは銀色のドラゴニアン。その姿を確認したジャンヌが慌てて足を止めて、飛び退る。
「しっかり足止めしろよ。グルナード」
 ボスの言葉を受けて、ドラゴニアンの影朧『グルナード・シエルリュンヌ』は帯剣していた剣をすらりと抜くのであった。

●影朧
 その影朧が現世に迷い出たのは何が禍根であったのか……それは依然として不明だ。ただ、わかっていることは。

 彼は死に、影朧となってこの世に舞い戻り、強者との手合わせ――戦いを選んだ、ということだけ。それでも……この状況は彼としても誤算だったのかもしれない。
 ひとりの武人として、強き者と戦い、果てるだけだったはずだ。
 しかし、彼は『囚われ』て。何の因果か再び守る者となった。しかも生前であれば決して相容れなかったであろう存在を。
 そして……彼は、『グルナード・シエルリュンヌ』は生前であれば良き友となれたかもしれない、猟兵たちの前に立ち塞がるのだ。

※シナリオ補足※
 戦場は劇場の地下にこっそり作られた秘密の部屋。小さな礼拝堂のような場所と思ってください。広いです。机や椅子といった什器は移動可能なものなので薙ぎ払えます(テネブルの所有物です。遠慮なく壊していいよ)
 ボスとメディシスの従者は隠し通路から逃走し、ジャンヌはそれを追いかけます。出口は街の中なので、結果的に學徒兵との挟み撃ちになるため、こちらはまず置いておいて。
 皆さんはグルナードがジャンヌを追わないように、この場にて決着をつけてください。
卜一・アンリ
ジャンヌさん、行って。あれは私たちが抑えるわ。
お互い、務めをこなしましょう。

…さて。私も剣士の端くれだからかしら。
立ち振る舞いから、武人として闘争を渇望する手合いなのは朧げに判る。

その心、修羅道を歩む邪心と見做すわ、影朧。

繰り出される敵UCに対して【地形の利用】、机を蹴り上げ敵に向かって【吹き飛ばし】。
敵が机を迎撃した間隙を【見切り】【ダッシュ】、UC【強制改心刀】の抜き打ち(【クイックドロウ】)【カウンター】。

どうやら貴方に会いに来た人もいるようだし、『お話くらいはさせてあげてくださいね』と言われてるもの。
問答無用だなんて許さない。
武人として剣で語るというならまずはその戦意を挫いてやるわ!


雨咲・ケイ
では、黒幕達はジャンヌさんにお任せして
私はこの場であの方を抑えるとしましょう。

【SPD】で行動します。

言葉ではなく戦闘行為が転生への説得になるタイプと
お見受けしました。
「武人としての闘いをお望みのようですね。
では、尋常に勝負願います」
と一礼。

敵の攻撃は、【念動力】により
スノーホワイトの花吹雪で【目潰し】を
仕掛けて回避します。
回避が困難であれば【オーラ防御】と
併用した【盾受け】で受け流しましょう。

敵の攻撃を凌いだら【天霊回宝輪】を使用。
間合いを詰めて【グラップル】と【功夫】による
接近戦で攻めていきます。

これで転生を受け入れて頂けますか?

アドリブ等歓迎です。




 劇場に存在した秘密の地下室。そこは犯罪結社『テネブル』の根城であった。
 取引か密談か、その場にいたテネブルのボスとメディシス家の従者は秘密の通路から逃げようとする。
「待ちなさい!」
 逃がすまい、と咄嗟に駆けだしたジャンヌ。だがその前に『グルナード・シエルリュンヌ』が立ち塞がる。
「……!」
 グルナードを避ける術を持たないジャンヌが思わず立ち止まる。だが、意識はまだ逃げた二人を追いかけて。『どうする?!』という自問が発生したその瞬間。
 ジャンヌの真横をすごい勢いで通り過ぎる……机!
「!?」
 あまりにも咄嗟のことで回避するしかないグルナード。そこへ白い薔薇の花弁が舞う。不規則に、しかしグルナードの周りのみに降る花弁の雨がグルナードの視界を覆う。そしてグルナードの歩みが止まる。
「ジャンヌさん、行って。あれは私たちが抑えるわ」
「この場はお任せください」
 いつの間にかジャンヌの側に立っていた卜一・アンリ(今も帰らぬ大正桜のアリス・f23623)と雨咲・ケイ(人間の宿星武侠・f00882)。二人がジャンヌを先に促す。先の攻撃はアンリが机を蹴り飛ばし、ケイが念動力でスノーホワイトの花弁を舞い散らせていたのである。
「……! お願いします!」
 刹那の足止め。その僅かな時間にジャンヌは即決して。グルナードの横を駆け抜けてジャンヌが秘密の通路へと駆けこむ。その背にアンリが言葉を投げかける。
「お互い、務めをこなしましょう」
 アンリの言葉に手を挙げて返事をするジャンヌ。そしてアンリがケイに視線を遣る。
「…さて」
「ええ」
 アンリの吐息にケイが応える。考えていたことはとても良く似た……ひとつの見解。
「武人としての闘いをお望みのようですね」
「そのようね」
 白い薔薇の花弁を振り払って。猟兵の二人に敵意を向けるグルナード。
(私も剣士の端くれだからかしら)
 グルナードの立ち振る舞い。それを見た時から『武人として闘争を渇望する手合い』なのは朧げに判っていた、と小さく息を吐くアンリ。
「言葉ではなく戦闘行為が転生への説得になるタイプ、とお見受けしました」
 そしてケイもまた自分の見解を述べる。
 いずれにしても、かわすのは言葉ではなく、戦いだろう。
 ゆえに。
「その心、修羅道を歩む邪心と見做すわ、影朧」
 とアンリが戦いを宣言し。
「では、尋常に勝負願います」
 とケイが一礼する。これ以上、かわす言葉は必要なし。
 アンリ&ケイとグルナードの戦いがここに始まる。


「いきます……!」
 再び、ケイが手をかざす。そこから放たれる念動力でスノーホワイトの花弁が空中に舞う。今度は……明確に目潰し。グルナードの目に向かって花弁が飛ぶ。
「……!」
 グルナードの巨大化した黒剣が横薙ぎの一閃で花弁の嵐をまとめて振り払う。その切っ先をかわすケイ。
「大振りすぎるわね」
 黒剣を振り抜いた隙へもう一度、アンリが机を蹴り飛ばして狙撃する。……が、黒剣の勢いに合わせて流れるように体を回転させたグルナードの上段斬りが机を真っ二つにする。
 だが、それも目くらまし。『机に対処する』という隙を狙って、既にアンリがダッシュしている。グルナードの懐へ踏み込む、その瞬間!
「甘い」
 小さく一言。グルナードがその巨体を縦回転の独楽のように回転させる。自分へのダメージも気にせずに、再び上段からの叩きつぶすような一撃をアンリに向けて放つ!
「くっ!」
 一瞬たたらを踏むアンリ。
「こんなこともあろうかと」
 その声はすぐ後ろから。すっ、と素早くアンリの前に飛び出たケイが両腕にオーラ防御を集中。『ルミナス』からサイキックエナジーも放射しつつ、交差させた腕でグルナードの黒剣を受け止める!
「ハッ!」
 叩きつけられる勢いを体の柔軟で受け流して……その反発で黒剣を跳ね上げるケイ。
「ありがとう」
 その隙を逃さず、一切の躊躇なく。アンリがグルナードの懐へ踏み込む!

 一閃。

 さながら抜き打ちのごとく、アンリの【強制改心刀】がグルナードの腹部を捉える。
「っ?!」
 あまりに速く鋭いアンリの一撃を防御する暇は無く。グルナードの体が傾ぐ。それは肉体ではなく、今のグルナードを支える闘争心、それが揺らいだ証拠。
 しかし攻勢はこれで終わりではない!
 一歩進み出たケイが、武器として使えるほどに練り上げられたオーラ――名付けて『天霊』を全身に纏う。そして。
「我が力の奔流……、その身で受けてみますか?」
 すかさず【天霊回宝輪】、天霊の力をさらに増幅させて、一気に間合いを詰める。懐に踏み込んでの接近戦!
「……ッ!」
 小さな呼気とともにグルナードの体に拳を叩きつけるケイ。さらに踏み込んで肘の一撃を鳩尾に叩き込み、頭の位置が下がったところへ回し蹴り。回転しつつ着地した足を軸にして、たたらを踏んで耐えたグルナードの顎を下から蹴り上げる。
 ケイの止まらない攻撃。それに翻弄されるグルナードは。
「ぐ……おおっ!!」
「なんと……!?」
 ケイの拳をまともに受けつつ、太い尾の一撃をカウンターとして放ってきた。ケイが回避しようと飛び退るも一拍遅れたせいか、回避しきれない。オーラのガードで受け止めつつ、自ら後ろに飛んでダメージを軽減する。
「はぁ、はぁ……」
 どうにかケイの攻撃を凌いだグルナードが荒い息をつく。
「大振りすぎる、と言ったわ」
「……!?」
 一瞬の気の緩み。そこを確実に捉え、一気に間合いに踏み込んできたアンリの【強制改心刀】。アンリの退魔刀がグルナードの闘争心を強引に、しかし着実に斬り飛ばしていく。
「ま、まだ……」
「こちらもですよ!」
「!?」
 グルナードの意識がアンリに向いたその瞬間。後方からこちらも一気に間合いを詰めてきたケイの一撃。大地をしっかりと捉えた強烈な掌底がグルナードの体を吹っ飛ばす!
「がっ?!」
 今度こそ完全に体勢を崩して壁に叩きつけられるグルナード。その勢いが、止まる。
「どうやら貴方に会いに来た人もいるようだし、『お話くらいはさせてあげてくださいね』と言われてるもの」
 長い金の髪をかき上げるようにして整え、アンリが告げる。それはアンリとジャンヌが舞踏会でかわした言葉だ。それを実現するために。アンリは切っ先を突きつける。
「問答無用だなんて許さない」
 だからこそ。やることがある。

 ――武人として剣で語るというならまずはその戦意を挫いてやるわ!

 アンリの静かな気迫を受けて、グルナードの体が、心が揺れる。
「これで転生を受け入れて頂けますか?」
 そこにケイが告げる。戦いは終わりだ、と。

 だが。その体に強烈なダメージを受けて。さらにはその闘争心を削られて、なお。
 グルナードの瞳は変わらず。
「もはや……防人にあらず」
 小さく呟いたその言葉が、全てを表しているかのように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

上野・修介
※連携、アド歓迎
剣術にドラゴニアンの膂力。
佇まいからして歴戦の気配。

「手練れだな」

逃げた奴等は気になるが、僅かでも気を抜けば殺られるのはこちらだろう。

――為すべきを定め、心を水鏡に

敵の体格・得物・構え・視線・殺気から間合いと呼吸を量る。

「手合せ、願おうか」

正面から真っすぐ踏み込む、と同時にタクティカルペンを目と肩狙いで投擲。
目眩ましにして間合い詰めると同時に反応速度を確認。

立ち回りは付かず離れずの間合いを維持しヘイトを集めながら、味方の攻撃を援護しつつ削っていく。
UCの攻防を立ち回りの中で細かく切り替えながら、僅かに『隙』を敢えて作り、そこに攻撃を誘ってカウンターを叩き込む。




 ドラゴニアンの影朧『グルナード・シエルリュンヌ』が何かを呟いた。そしてその意識が秘密の通路を抜けていったジャンヌに向いた……ような気がする。
 咄嗟に相対していた二人の猟兵が通路の入り口を、グルナードの追撃を塞ぐ。
 そしてグルナードをその場に留めたのは……おそらく上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)から感じ取れる、覚悟。
 それを無視できず、グルナードは修介の方を振り向く。

「手練れだな」

 修介のその言葉は呟きのようで、あるいは自分自身の言葉を確認するようで。
 先の戦闘で見せた剣術にドラゴニアンの膂力。そして修介がほんのわずか視線を、通路へやろうとするも。
(僅かでも気を抜けば殺られるのはこちらだろう)
 ダメージを追って今なお。目の前のドラゴニアンの佇まい、そこから放たれる歴戦の気配に修介はそう結論付ける。
 逃げた者たちは気になるが、今は。

 ――為すべきを定め、心を水鏡に。

 既に呼吸は調えてある。
 【拳は手を以て放つに非ず】。体を程よく脱力させ、そこに呼吸を巡らせて、彼を支える意地で以て、自身の力を漲らせる修介。それは平時から無意識下で行っている基礎だ。だけれども、それを意識的に行うことで、その効果は何倍にもなる。
 グルナードの体格、構えた剣、その構え・視線・殺気から、間合いと呼吸を量る修介。
「手合せ、願おうか」
 修介がそう告げた後。
 お互いが地を蹴った。

 修介とグルナード。小細工はなしと真正面からまっすぐ踏み込んでいく!
 だが、これは決闘でも試験でもない。勝つための『戦い』ならば。
「……ッ!」
 修介は駆けだすと同時にタクティカルペンを投擲。狙いはグルナードの目と肩。
「……!?」
 修介の投擲にグルナードが思わず反応する。それを叩き落そした動きを隙として。そう、投擲の目的は目くらまし。グルナードが気付いた時には修介は間合いを詰めている。
(この程度では振り切れないか)
 敵の反応速度は予想の範囲内。だが簡単には振り切れなさそうだ。
 しかし、修介の呼吸は攻防一体。時に攻撃を、時に防御を重視しながら、付かず離れずの間合いを維持しながら拳を繰り出し続ける修介。
「……!!!」
 修介の距離感と動きを嫌って、グルナードが黒剣を横薙ぎに大きく振るう。その鋭い一閃を修介は無視できず、大きく飛び退る。
「……っ?!」
 だが着地の瞬間、足元を見誤ったのか、わずかに態勢が崩れる。それはグルナードにとって狙うべき明確な隙であった。
「逃さん」
 小さく、しかし明確な敵意で。かつて守り手であった者の一撃が修介を捉える……!

 と思ったのは一瞬。

「かかったな」
「……!」
 修介の言葉に目を見開くグルナード。見れば……修介の態勢が整っている。
 そう、あれは修介が敢えて作った隙。グルナードの攻撃を誘うトラップ。
 グルナードの攻撃は強烈であるからこそ、途中で止めることができない。止めれば確実な隙を作るからだ。だからこそ、グルナードはさらなる気迫で以て踏み込む!
「……下がるわけには」
 いかない。それは意地、あるいは決意。他の何に負けようとも自分自身には負けない、という彼の『在り方』。
 ゆえに放つのはカウンター。拳を握り締め、吸い込んだ空気を吐き出しながら。修介もまた更なる踏み込みで以て捨て身の一撃を放つ!

 交差は一瞬。

「……ぐっ」
 声をあげたのはグルナード。彼の黒剣は空を切り、そして修介の拳がグルナードの腹部に突き刺さっていた。修介の意地の拳が。崩れ落ちるグルナード。
「……はぁっ!」
 修介が大きく息を吐く。それはこの場を支配する緊張を振り払う儀式。そして次なる攻撃への繋ぎ。
 直後、修介の蹴りがグルナードの巨体を蹴り飛ばすのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

叢雲・黄泉
一姫と

「ついに姿を現しましたね、ヴァンパイア……
かの有名な吸血鬼も、竜の子供と呼ばれているくらいですから、竜っぽいあなたはもう間違いなくヴァンパイアなのです。
いいですね、一姫。異論は認めません」

【ブラッド・ガイスト】により血から生み出した妖刀を構え、一姫と連携して攻撃を仕掛けましょう。

「吸血鬼よ、その身を塵に還す前に、これだけは教えなさい……
半吸血鬼化の呪いは、どうすれば解けるのかを……」

一姫、何を言うのです。
別に無茶振りとかしてるわけではありません。
吸血鬼とは半吸血鬼の眷属をつくるもの。
ならば、その解除の方法を知っていてもおかしくありません。

「さあ、知っていることを全て話して消えなさい……」


羽々・一姫
【黄泉さんと】

あなたも奴隷なのね。
意に沿わない主の元で働くなんて、辛いわよね。
それなら働かなくていいようにしてあげるわ。

戦闘は黄泉さんとペアで
ヴァンパイア状態のままいくわね。

え?わたし?
わたしはわたしの意志で奴隷してるわよ。
ご主人さまは気に入ってるし(本人には言わないけど)

だから、こんなこともできるのよ?

と、黄泉さんの戦闘シーンのチラリズムを、
覚醒状態のスピードを生かして撮影します。
いざというときの賄賂は大事よね。

って、黄泉さん、真面目な人に無茶振りはダメよ?
ほら、グルナードさん困ってるじゃない。
あなたも、無理して吸血鬼のフリとかしなくていいから。

明日のサボりのために、真面目に戦いましょう?




 猟兵の攻撃により『グルナード・シエルリュンヌ』が吹き飛ばされた先には、秘密の通路とは反対側の、本来の入り口。
 そこに現れた遅れて馳せ参じた叢雲・黄泉(賞金稼ぎの邪神ハンター・f27086)と羽々・一姫(Gatekeeper of Tartarus・f27342)のコンビネーションによって床に叩きつけられる。
「ついに姿を現しましたね、ヴァンパイア……」
 グルナードの姿を認めて、視線とともに言葉を放つ黄泉。
 しかし、隣の一姫さんの視線は冷たい。それでも黄泉さんは首を振る。
「かの有名な吸血鬼も、竜の子供と呼ばれているくらいですから、竜っぽいあなたはもう間違いなくヴァンパイアなのです」
 もっともらしい理論が来た。そして一姫を見る。
「いいですね、一姫。異論は認めません」
「……」
 黄泉の言葉に小さく息を吐く一姫でした。


「グ……」
 呻くような声をあげて、ゆっくりと立ち上がるグルナード。
 その様子を見て、何かに縛られているようなその姿に、一姫が言葉を紡ぐ。
「あなたも奴隷なのね」
 その言葉は自身の今の環境からか。先の戦闘から【血統覚醒】したままの赤い瞳でグルナードを見据える。
「意に沿わない主の元で働くなんて、辛いわよね。それなら働かなくていいようにしてあげるわ」
 ……うん? ちょっと観点がズレたような?
 ちなみに。
「わたしはわたしの意志で奴隷してるわよ。ご主人さまは気に入ってるし」
 とのことです。なお、本人は言わない上に、普段は全然奴隷っぽくないらしい。どういうことなの。
 しかし、目の前のグルナードは一姫の言葉に応えず、その手に黒剣を握る。
 それを見て、微苦笑する一姫。
「明日のサボりのために、真面目に戦いましょう?」

 一姫の言葉を契機として。
「オオオオオォォッ!!」
 グルナードが叫びとともに黒剣を叩きつけるように振るう。その切っ先は一姫に向けられ。しかし、赤い瞳を宿した一姫は手にした死神の鎌でリズムを取るようにしてその一撃を回避する。すれ違いざま、鎌の柄による痛烈な打撃を叩き込む一姫。
「そこです!」
 態勢の崩れたグルナードへ黄泉が肉薄。【ブラッド・ガイスト】によって己の吸血鬼因子を含んだ血から生み出した妖刀で袈裟懸けに斬り裂く。
「ク……」
 激しい一撃に再び膝をつくグルナード。
 その首元に妖刀の切っ先を向けて、黄泉が問う。
「吸血鬼よ、その身を塵に還す前に、これだけは教えなさい……半吸血鬼化の呪いは、どうすれば解けるのかを……」
「……」
 切っ先を突きつけられてなお、グルナードは無言。というか、回答すべき答えを持っていないのだが。この状況をどうしたものか、と別の意味で悩むグルナード。
「黄泉さん黄泉さん、真面目な人に無茶振りはダメよ? ほら、グルナードさん困ってるじゃない」
 それを察して一姫助け舟を出す。
「あなたも、無理して吸血鬼のフリとかしなくていいから」
 いや、してないです……というか、見た目で属性がわかるのであれば、世の中もっと平和になると思います。男の娘とか。
「一姫、何を言うのです。別に無茶振りとかしてるわけではありません」
 しかし、そこは安定の黄泉さんでした。
「吸血鬼とは半吸血鬼の眷属をつくるもの。ならば、その解除の方法を知っていてもおかしくありません」
 そこの理屈は正しくて、さらに正論ど真ん中である。
 目の前の敵が吸血鬼じゃないことを除けば。
「さあ、知っていることを全て話して消えなさい……」
 切っ先をさらに鋭くさせながら黄泉が迫る……!

「あ、あの……」
「「……?」」
 突然背後から聞こえてきた声に振り向く黄泉と一姫。そこにいたのはひとりの學徒兵であった。
「そ、その人なんですが……」
 と話し出したのは、グルナードの出自。どこかで調べてきたのか、あるいは知っている者がいたのか。いずれにせよ、この場でグルナードが確認できたからこそ出てきた話。
 曰く。グルナードは桜の精が住まう隠れ里。その入り口を守っていたドラゴニアンの守り人であったという。そしてその際にドラゴニアン以外の特徴は確認されていない。
「「…………」」
 その情報に思わず無言になる黄泉と一姫。
 そしてもう一度、聞く。
「あ、あなたは吸血鬼、では……?」
 震える声で黄泉が問うも、グルナードは今度こそ首を横に振る。
「そんなーーーーー!!!」
「はーい、帰りましょうねー」
 叫ぶ黄泉の首根っこを掴んでずるずると引きずっていく一姫。

 ちなみに、自由奔放な一姫さん。
「だから、こんなこともできるのよ?」
 と、黄泉の戦闘シーンのチラリズムを覚醒状態のスピードを生かして撮影していたりします。
「いざというときの賄賂は大事よね」
 とのことでした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

スリジエ・シエルリュンヌ
グルナードお養父さま。あの日、帰って来なかった、唯一の人。
今も、隠れ里は続いています。お養父さまは、守りきったのです

お養父さまの攻撃は、オーラ防御で軽減しつつ、あえて受けましょう。爆破は耐えます
こうすることで、ジャンヌさんを追いかけることができなくなりますから!

煙管での殴打、受け流し…足技だって使います。私の全てをぶつけます
バリツの道へ進んだのも、お養父さまを思いながら修行をしたため

ええ、私は、スリジエは強くなりました。昔のように泣いてばかりではないのです。今は、猟兵としても動いているのです

お養父さま、許されるのならば。その黒剣を受け継ぎ、それと一緒に…
そして、転生を受け入れてください




 もう。
 おそらく、犯罪結社『テネブル』のボスが『グルナード・シエルリュンヌ』を回収しにくることはないだろう。足止めという役目は十分に果たしたし、戻ってくる意味は無いからだ。
 その代償として、猟兵たちから多大なダメージを食らったグルナードはこのまま戦い続ければ、この場で消滅しそうな雰囲気すら漂わせ始めている。
 されど、彼の身は囚われの身。その身を突き動かすのは仮初の主が残した言葉だ。

 ゆえに立ち上がろうとする。そして本能のまま、戦おうとする。いかに生前の姿と力を残していたとしても、彼は影朧なのだから。

 だからこそ、その前に。ひとりの女性が立つ。それはサクラミラージュに住む者としては普通の、學徒兵――猟兵としては目的の、そして……縁ある者としては必然の、感覚。

「グルナードお養父さま。あの日、帰って来なかった、唯一の人」

 スリジエ・シエルリュンヌ(桜色の文豪探偵・f27365)は静かに、ゆっくりと。言葉を紡ぐ。それはさながら、彼女が新たな著作をしたためるがごとく。
「今も、隠れ里は続いています。お養父さまは、守りきったのです」
 スリジエが紡ぐ言葉は真実であろう。『シエルリュンヌ』の姓が繋ぐ縁。グルナードは、生前の彼は守り人として守り切ったのだ、彼が守ろうとしたものを。
 だけど。それは過去/事実であって、現在/この戦闘の話ではない。
 ゆえにその言葉は、届いていたとしても、その力を正しく伝えない。

「グ……オ……」
 ダメージの残る体でグルナードは立ち上がり、その手に黒剣を握る。彼が戦いを止めることはない。その闘争心がある限り。

 だからこそスリジエはその前に立ち、その行く手を制止するように片手を横に広げる。その手に纏うは『桜祈光』――転生への祈りの具現化。

「ここは、通しません」
 スリジエがグルナードの行く手を遮る。かつて在った、『守り人』のごとく。


 おそらく外で何かの進展があったのだろう。グルナードの動きが変わった。この場を突破しようとしたのである。手にした黒剣を大きく振りかぶって目の前のスリジエに叩きつけようとするも、その一撃は素早く身を翻したスリジエに回避される。そしてスリジエの攻撃もまたグルナードには当たらず、両者は再び距離を取る。
 否。
「オオオオッ!!」
 直後、裂帛の気合とともにグルナードが黒剣を鋭く突き出す。
「くっ……!」
 その一撃を纏ったオーラでダメージ軽減しながら、あえて受け止めるスリジエ。そして爆破の追撃もオーラ防御で耐える。そのまま互いが強化を打ち消す、霧のような黒竜が包み込む。
(こうすれば、ジャンヌさんを追いかけることができなくなりますから!)
 手の内を知っているスリジエならではの作戦。そのまま煙管を手にスリジエが肉薄する。
 ここからは……超接近戦!
 煙管での殴打、受け流し、そこからさらに殴打……と見せかけての足技。
(私の全てをぶつけます……!)
 想いを乗せて、自身の全てを叩き込むスリジエ。彼女がバリツの道へ進んだのもひとえに。
(お養父さまを思いながら修行をしたため……!)
 その想いがグルナードの防御をかいくぐり、体に突き刺さる。だが彼も倒れない。
 反撃の黒剣を上段から振り下ろす……も、その一撃はスリジエの煙管に受け止められて。跳ね上げられると同時に、黒剣がグルナードの手から弾き飛ばされる。
「……!」
 グルナードの顔が驚愕に染まる。その隙に体の回転も使っての痛烈な打撃を叩き込むスリジエ。彼女よりも大柄なグルナードの体が後ろへ吹っ飛び、壁に直撃。この場の勝負を、勝利者を告げる。
「ええ、私は、スリジエは強くなりました。昔のように泣いてばかりではないのです」
 今は、猟兵としても動いているスリジエは、もはや相手が影朧とて臆することは無い。ゆっくりとスリジエが歩み寄る。

 そして。告げる。
「お養父さま、許されるのならば」
 言の葉を。彼女の想いを。
「その黒剣を受け継ぎ、そして……」
 だから、放つ。
「それと一緒に……転生を受け入れてください」
 彼女が、桜の精が持つ、桜の癒しを。

 桜の花吹雪がその場に舞う。全てを覆い隠すようにして部屋中に舞い散った桜の花びらが、その場で溶けるように消えていき……秘密の部屋に在ったのは猟兵のみとなったのであった。


 戦いが終わった。この場を『守って』いたグルナード・シエルリュンヌの姿は既にない。
 スリジエが放った桜の花吹雪によって消えたのであれば……桜の癒しは彼に届いていたのであろう。
 その場に残った黒剣がスリジエに対する『託し』ならば、なおのこと。

 サクラミラージュの常識。影朧は桜の精の癒やしを受ければ『転生』できる。でも、桜の癒しを得られたとしても、転生するまでの時間はそれぞれだ。すぐに転生する者もいれば、しばしの眠りを必要とする者もいる。
 グルナードがどうなったかはきっと彼しか知らない。でもそれを推理できるとするならば、それはスリジエ以外にはいないのかも、しれない。


 今回の學徒兵を動員した『テネブル』拠点制圧は成功に終わった。
 ジャンヌが追い込んだテネブルのボスおよびメディシス家の従者の2名は學徒兵との挟み撃ちによって無事捕縛。またルールーを呼び出していたと思われる構成員の数多くも確保するに至った。

 まず、貴族社会の中でこの事態を追求することは、ジャンヌがこれからしっかりとやってくれるであろう。彼女もまた、それを猟兵たちに約束した。
「ありがとうございました。あ、そうです! 帰る前にぜひお礼を」
 舞踏会まではいわないが、宴くらいなら。さっそく自分の従者に指示するジャンヌ。

 そして影朧をいかに使役しているのかといった謎は學徒兵たちによってこれから調べが入るはずだ。その裏には、もしかしたら幻朧戦線の影響があるのかも、しれない。

 いずれにしても。犯罪結社と影朧が引き起こした巴里の事件は解決を見た。
 そして、ここ最近の、不安定になっていた巴里の現状を正すためのメスが正しく入ったのである。
 その影に馳せ参じた超弩級戦力があったことは、隠しようのない事実として、広く伝わるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年04月07日
宿敵 『グルナード・シエルリュンヌ』 を撃破!


挿絵イラスト