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リブ・イット・アップ、イェーガー

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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「集まってくれて助かるぜ。今日はアポカリプスヘルでの仕事を頼みたい」
 猟兵達の姿を確認し、茜谷・ひびき(火々喰らい・f08050)が口を開く。
 彼の手元には一枚の紙が掲げられていた。
「これはレイダー向けの酒場に貼られてた依頼書だ。皆にはこの情報を元に、とあるヴォーテックス一族のアジトを襲撃して欲しい」
 ヴォーテックス一族とはアポカリプスヘルを牛耳る強力な悪の一族だ。
 彼らの力を削ぐことは、世界の平和のための大きな一歩になるはずだが……内容を告げるひびきの表情は明るくない。
「この依頼書は間違いなく有益なんだけどさ。一つ気に食わないことがあるとするなら……こいつの依頼主もヴォーテックス一族なんだよ。あいつら、一族の中でも権力争いをしてみるみたいなんだ」
 依頼人の欄に書かれているのは『デスファイア・ヴォーテックス』、火炎大王と呼ばれる武装集団の主。
 攻撃対象として書かれているのは『クライスト・ヴォーテックス』、狂人教祖と呼ばれるカルト宗教の長。
 どうやらこの依頼の主旨は「対立している別のヴォーテックス一族の縄張りを荒らしてこい」というもののようだ。
「あいつらの言うことを聞いてるみたいなのが癪だがな、結局レイダーは退治出来るし、被害も未然に防げる。今はこの手の情報に頼らせてもらうのが一番だろうな」
 いずれはどのヴォーテックス一族とも戦わなければならないだろうが――今回はこの情報を使わせてもらうのが良さそうだ。

「改めて依頼書の内容を確認するぜ。まずはクライスト・ヴォーテックスの幹部がとある拠点を襲撃しようとしているから、先回りしてそいつを倒してきて欲しい」
 幹部の名は『潔癖のヨーエルシア』。
 彼女は美しい聖職者のような身なりをしているが、実際は他者を洗脳・煽動する危険な存在だ。
 拠点にも洗脳して信者にするための奴隷を攫いに来るとのこと。
「ヨーエルシアはとある『オブリビオン教団』の地図を持ってるんだ。こいつの討伐が終わり次第、そちらにも向かって欲しい」
 オブリビオン教団までの道筋は危険なルートであることが予測されている。
 道中には危険な毒草や肉食の植物のような化け物が蔓延っており、オブリビオンでないものを食らおうとしてくるだろう。
 それをどうにか攻略し、敵の拠点へと向かう必要があるようだ。
「敵のアジトまで辿り着いたら後は暴れちまえばいい。ただ一つだけ、囚われて洗脳された奴隷もいるだろうから、その人達は助けてやってくれ」
 幸いなことに洗脳は強力ではないため、猟兵達が奴隷へと声をかければ彼らは目を覚ますはずだ。
 奴隷達を助け、アジト内のオブリビオンを全て倒せば――。
「全部終わったら後はドカン、だ。爆弾はこっちで用意してある。最後はド派手に行こうぜ」
 いずれアポカリプスヘルにも大きな戦いが訪れるだろう。
 その時までに多くのアジトを爆破しておけば、その戦いにもきっと有利になるはずだ。

「幹部の討伐、アジトまでの探索、そしてアジトの破壊。大まかな流れはこんな感じだ。色々頼まれて大変だと思うし、敵の作戦を利用することになるけど……」
 転移ゲートを開きつつ、ひびきは猟兵達を真っ直ぐに見つめる。
 そこに少しだけ悪戯っぽい笑みを浮かべつつ。
「どうせ最後は全部ぶっ壊すんだ、楽しくやろうぜ。それじゃ、気を付けて」


ささかまかまだ
 こんにちは、ささかまかまだです。
 悪の一族も大変ですね。

●一章『潔癖のヨーエルシア』とのボス戦
 奪還者の拠点を襲おうとしているレイダーを倒して下さい。
 彼女は自分のアジトまでの地図も持っています。
 討伐することで回収が可能です。

●ニ章「狂気の植物園にご用心!」
 レイダーのアジトまでの道のりは、危険な植物によって阻まれています。
 上手く対処していきましょう。

●三章『異端審問官』との集団戦
 レイダーのアジトを襲撃します。
 捕らえられた奴隷の救出も平行して行うといい感じです。
 最後は全部爆破させます。

●ヴォーテックス一族
 依頼主である『デスファイア・ヴォーテックス』と攻撃対象である『クライスト・ヴォーテックス』は名前だけの登場になります。
 いずれ彼らと戦う時も来るでしょう。


 どの章からでも参加していただいて大丈夫ですし、特定の章だけ参加していただくのも歓迎です。
 進行状況や募集状況はマスターページに適宜記載していく予定です。
 締め切りの告知もそちらで行っているので確認していただけると幸いです。

 それでは今回もよろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『潔癖のヨーエルシア』

POW   :    「聖徒」
【洗脳され武装した信者の軍勢】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD   :    「聖域」
【洗脳された信者】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[洗脳された信者]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
WIZ   :    「聖戦」
自身の【持っている聖なる杖のクリスタル】が輝く間、【洗脳され武装した信者の軍勢】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。

イラスト:つばさ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はピオネルスカヤ・リャザノフです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達が転移されたのは、とある奪還者の拠点の側だった。
 少し先の荒野に目を向ければ、そこには洗脳された信者を引き連れた『潔癖のヨーエルシア』の姿が見える。
 このまま彼女を放置しておけば、拠点は襲われ中の人々も奴隷の信者として利用されてしまう。
 それを阻止するため、ヨーエルシアの持つ地図を奪い取るため。
 まずは戦いを挑み、それに勝利しなくては。


 ヨーエルシアの引き連れた信者は一般人です。彼らは殺さずに、ヨーエルシアだけを倒しましょう。
 彼らは様々な近接武器により武装していますが、能力は一般人相応です。
 また、信者達は猟兵達に声をかけられたり何かしらの効果で回復されれば目を覚まします。
 また、ヨーエルシアの持つ杖にダメージが加わることでも洗脳は弱まります。
麻海・リィフ
アドリブ、即興連携歓迎
教団…悪いけど、怪しい響きよね
しかも複数対立とか…底が見えるわ

加減はするがしないぞ

空中浮遊ダッシュジャンプスライディングで即座に接敵

念動衝撃波串刺しチャージUC
救助活動(手加減)で範囲ごと信者を吹き飛ばし
二回攻撃UCでボスをスナイプ串刺し

敵の攻撃は基本三種の盾のジャストガードで受け
念動衝撃波オーラ防御等で防ぐ
カウンター念動衝撃波シールドバッシュで範囲ごと薙ぎ払い救助活動吹き飛ばし

窮地の仲間は積極的にかばう

信者あっての教団ならば
信者がいなければ案山子同然
はてさてどちらが救っているのか?(苦笑)

改宗しろとは言う気も無い
その妄執を抱いたまま
骸の海へ帰順しろ

ただし貴様独りで、だ


馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風

戦国乱世みたいな、内輪の争いですねー。
私は忍ですから、元の依頼主が誰であろうと、やることをやるだけですよ。有益なんですから。
四人総意で受けたとは言え…内部三人(全員武士)、納得するのに時間かかってますね。いいんですよ、それで。

初手に先制攻撃での指定UCにて漆黒風を投擲。狙いは相手の持つ杖ですよ。
ま、それで気づかれるでしょうけれど、それは覚悟の上。
余程のことがない限り、一方的とはいきませんからね。

あとは、暗殺の要領で一般人に声をかけつつ、敵に近づき攻撃。
洗脳弱まってますから、敵のUCも弱まるでしょうからね。


黒影・兵庫
内部抗争とは暇な連中ですね!ナワバリ嵐なんて回りくどいことせずに幹部同士で直接殴り合えばいいだろうに!
(「本当にね。巻き込まれた人達にはいい迷惑よ」と頭の中の教導虫が話しかける)
さて!まずはあの洗脳された人々を解放しないと!
(「洗脳を解除するか傷つけないように無力化しないとね」)
はい!せんせー!ここはUC【誘睡の蝶々】を発動し支援兵の皆さんの舞で洗脳された人たちを眠らせて無力化します!
(「オブリビオンはどうする?」)
『念動力』で操作した{皇糸虫}で『捕縛』し空中に放り投げた後『衝撃波』を叩きこんで吹っ飛ばします!
(「よーし!作戦開始よ!」)
おーっ!




「教団……悪いけど、怪しい響きよね」
 襲撃対象である『クライスト・ヴォーテックス』の名を思い返しつつ、麻海・リィフ(晴嵐騎士・f23910)は小さく唸る。
 多数の信者を引き連れて進む『潔癖のヨーエルシア』の姿は、まさに怪しい宗教の幹部といった風貌だ。
 おまけに彼女達ヴォーテックス一族は勢力争いまでしているとのこと。
「複数対立とか……底が見えるわ」
「いやはや、戦国乱世みたいな内輪の争いですねー」
 リィフの言葉にうんうんと頷くのは馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)を構成する悪霊の一人、『疾き者』だ。
「私は忍ですから、依頼主が誰であれ有益ならば働くだけですがー……私の内部の三人は、納得するのに時間がかかっているようですねー」
 今回の依頼を受けたのは義透を構成する悪霊四人の総意ではあるのだが、『疾き者』以外の武士達にはなかなか噛み砕けないものがあるようだ。
「ですが、いいんですよ、それで。私も依頼主が好ましくないのは同じですからー」
「そうですよね、罪のない人を巻き込んで内部抗争とは暇な連中です! ナラバリ争いなんて回りくどいやり方をするのも良くないですよ!」
 黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)も怒りを顕にしつつ、ヨーエルシアが来る方向をじっと睨む。
 彼の脳内に潜む教導虫のせんせーも、その方角には鋭く意識を向けていた。
『本当にね。巻き込まれた人達にはいい迷惑よ』
「せめてあの信者さん達は助けないといけませんね!」
「ええ、そうね。私も加減はするけどしない。信者は助けて、あの教祖はしっかりと倒すわ」
 決意を固める兵庫とリィフを見遣り、義透が緩く笑う。
「皆も方針は同じようですねー。それなら、まずは私から動きましょうかー」
 忍者手裏剣『漆黒風』を握り、義透は荒野に散らばる岩の影へと潜む。
 リィフと兵庫もそれぞれの武器を握りしめながら、共に荒野へと歩を進めていく。

 『潔癖のヨーエルシア』は猟兵達の接近には気が付かず、ひたすら信者達と拠点を目指しているようだ。
 岩陰に潜む義透が睨むのは、彼女が持つクリスタルの杖。
「あの杖で信者達を操るようですねー。それなら……」
 この攻撃が成功するのは一度だけだろう。
 けれど、それで構わない。この攻撃こそが教祖にとっての致命傷になるのだから。
 義透は静かに呼吸を整え――流れるような早業で漆黒風を放つ。
 ヨーエルシアを囲む信者の壁の合間を縫って、漆黒風は風のように強かに杖を穿った。
 その衝撃で先端のクリスタルには罅が入り、その欠片がきらきらと荒野の上へ散らばっていく。
「奇襲……!? 奪還者が潜んでいるのですか?」
 異変を察知し、ヨーエルシアは信者達に自分を守らせるように指示を出す。
 そこにすかさず飛び込んだのはリィフだった。
「ああ、そうだ! 貴様の好きにはさせない!」
 先程までの少女らしい面影は鳴りを潜め、今のリィフは勇ましい騎士として荒野を駆ける。
 空気を踏みしめるように空を飛び、そのままの勢いでヨーエルシアの元へと接近。
 手には確りと回転剣『ストヲムルゥラァ』を握りしめ、狙うは敵の方向だ。
 信者達が壁になるように立ち塞がるが、むしろ却って好都合だった。
「ストヲムルゥラァ、応えろぉ!!」
 リィフが勢いよく剣を振るえば、そこから生まれるのは凄まじい嵐の壁だ。
 その暴風は信者達を吹き飛ばすが、命に別状はなさそうだ。それもそのはず、そうなるようにリィフは威力を加減していたのだから。
「信者さん達は任せて下さい!」
 兵庫も戦場へと飛び出して、大きく両手を広げて構えた。
『さあ兵庫、どうするの?』
「はい、せんせー! ここは支援兵の皆さんと協力します!」
 呼びかけに応じ姿を現すのは可憐で儚げに舞う蝶達だ。
 兵庫が念動力で信者達を受け止めて、そのまま蝶の放つ淡い輝きが信者を包めば――彼らの意識は深い眠りへと落ちていく。
 猟兵達の連携により信者達は無力化し、彼らの安全もある程度は確保出来ただろう。
 自身を取り巻く状況に気付き、ヨーエルシアは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。

「信者あっての教団ならば、信者がいなければ案山子同然。はてさてどちらが救っているのか?」
 丸裸のような状態になった教祖を見遣り、リィフは苦笑いを浮かべている。
 しかし彼女の放つ戦意はまったく変わっていない。加減はするけどしないのだ、この教祖を倒すまで戦いは終わらない。
「依頼を受けてしまっていますからねー。見逃す訳にもいきませんよー」
 義透ものほほんとした口調のまま漆黒風を構え敵を睨む。
 そんな彼の言葉にヨーエルシアは大きく反応を示していた。
「依頼……? まさか、他のヴォーテックス一族、でしょうか?」
「俺達は情報を得ただけで、お前達のナワバリ争いには関わるつもりはないからな!」
 生きた糸『皇糸虫』を手に怒りを示すのは兵庫だ。
 彼の言うように、猟兵達は直接依頼を承諾した訳でなく――傍迷惑な争いを利用しているのだ。
 しかし、自分達が招いた状況を利用されていると知ってはヨーエルシアも黙ってはいられないだろう。
「この状況、すぐにクライスト・ヴォーテックス様に知らせなくては……!」
「そうはさせませんよー?」
 駆け出そうとした教祖の足元に、漆黒風が突き刺さる。
 依頼主に忠義がある訳ではないが、かといって彼ないし彼女のことが露呈しては寝覚めが悪い。
 『疾き者』は忍者だ。だからこそ、仕事はきちんと果たしておきたかった。
 何よりここで彼女を倒しきらなければ状況は悪化するだけだ。義透が生み出した隙を活用すべく、兵庫もまた埒外の力を発揮していく。
『さあ兵庫、改めて作戦開始よ!』
「おーっ! 絶対に逃しません!」
 念動力で皇糸虫を手繰れば、動きが鈍った教祖の身体は次々と糸に絡め取られていく。
 彼女が藻掻こうと、蜂皇族の寄生虫である強固な糸は簡単には破れない。
 そのまま教祖の身体も念動力で持ち上げられ、彼女は完全に逃げる術を失っていく。
 頼みの綱だった信者達もしっかりと無力化され、縋れるのは己が信じる神だけだろうか。
「クライスト・ヴォーテックス様……!」
「最期まで邪教に縋るか。いいや、我も改宗しろとは言う気も無い」
 ストヲムルゥラァを構えつつ、リィフが静かに言葉を紡いでいく。
 同時に剣から再び嵐が生み出され、教祖の視界をゆっくりと塞ぎ始めた。
「その妄執を抱いたまま骸の海へ帰順しろ――ただし貴様独りで、だ」
 そして――リィフが放つのは、嵐を突き破るような乾坤一擲の突きだ。
 機械魔剣の煌めきは教祖の身体を穿ち、彼女の存在を骸の海へと近づけていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ニクロム・チタノ
罪もないヒト達洗脳しといて何が潔癖だよ!
待ってて今助けてあげるからね!
まずは周りに重力を掛けて動きを封じてからあのお姉さんを倒そうかな?
倒したら重力解除するからちょっと待っててね?
それにしてもアポカリプスヘルか・・・
久しぶりに来たけど、やっぱりここが一番落ち着くなぁ・・・
よし、これより反抗を開始する!
どうかチタノの加護と導きを


冬原・イロハ
連携・アドリブ歓迎

拠点を襲撃しては駄目です……!
皆さん、頑張って毎日を生きているのです
あなた方もきっとそうだったはず。思い出してください、毎日を、大変だけど生きてきたのでしょう?
その頑張りが実となる日がきっと来るはずです
彼女は奪う者
目を覚ましてください
と、一般人の方へ声掛けします

指を振って、ヨーエルシアへとUC攻撃
信者の方が傍にいても巻き込まないよう、貫くように一条の光で攻撃します
杖へと当たるように
信者の方に害を及ぼす訳にはいきません
もし信者の方に攻撃されたなら、戦斧で武器受け。耐えます
光に惑わされないで
皆さん、それぞれが明日へと向かう光を持っているのですから


ガーネット・グレイローズ
ヴォーテックス一族…この世界にのさばるレイダーの大勢力か。
だが幹部同士お互いを敵視しているのなら、
付け入る隙はありそうだ。

あの女を中心に、武装した信徒が隊列を組んでいる…
まずはあの信徒達を無力化しなければ。
《戦闘知識》によって攻撃パターンを把握し、
《念動力》で攻撃の軌道をほんの少しズラした後、
足払いや組み伏せによる《グラップル》にて制圧していく。
手数は多いが、やはり動き方はド素人か。
敵が怯んだところで【仮初めの死】を発動し、
まとめて棺に封じ込めて眠らせよう(ちゃんと後で出してあげる)。

おっと、お前は逃がさないぞ。
後列のヨーエルシアに向け、クロスグレイブの《レーザー射撃》を
お見舞いしてやる!




 荒野の戦いはまだ続く。
 『潔癖のヨーエルシア』はどうにか体勢を立て直し、半壊した杖を再び掲げる。
 すると荒野の向こうからやってくるのは――援軍である洗脳された信者達だ。
 その光景を見遣り、ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)は怒りの声を顕に叫ぶ。
「罪もないヒト達洗脳しといて何が潔癖だよ! 皆のこと、すぐに助けなくちゃ……!」
「ああ、そうだな。ヴォーテックス一族とやらは一枚岩ではないようだし、付け入る隙もあるだろう。ここでの戦いに勝利して、奴らの勢力も削いでいきたいところだ」
 ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は冷静に戦況を見極めつつ、敵の姿を睨む。
 ヴォーテックス一族を崩すためにも一つずつアジトを潰していくのは有効だろう。
 そのためにもヨーエルシアから地図は奪っておきたいし、何よりも――罪のない人々が戦いに巻き添えになるのは心苦しい。
 冬原・イロハ(戦場の掃除ねこ・f10327)も小さな腕をぎゅっと握り、拠点を目指す信者を見つめていた。
「あの人達も本当はこんなこと、やりたくないはずです……。どうにかしないといけませんね」
 イロハの言葉に二人も頷き、共に荒野を進んでいく。
 少しでも早く、操られた人を助けるために。そしてこの戦いを終わらせるために。

 ヨーエルシアも自身の方へと近づく猟兵を視認すると、クリスタルの杖を掲げて大きく叫んだ。
「またも猟兵ですか……邪魔はさせません。行きなさい、お前達!」
 杖から妖しい光が放たれれば、周囲の信者達は操り人形のようにゆらりと動き、そのまま武器を構えて突進してきたようだ。
「彼らを無力化するには杖の破壊が有効だろうか? 時間は私が稼ぐ、二人も出来る行動を取ってくれ」
 迫る信者の前へ躍り出たのはガーネットだ。
 彼女が腕を前へと構えれば、そこから生じた念動力が信者の動きを少し緩める。
 信者達もすかさず武器を振るうが、威力は減退している上に彼らは素人。ガーネットはあっさりと彼らの攻撃を躱し、そのまま組み伏せていく。
「手数は多いが、やはり動き方はド素人か」
 制圧するのは簡単だろう。しかし、このまま戦い続けていては援軍を呼ばれ続けてしまう可能性もあるだろうか。

 イロハも信者の元へと駆けより、彼らへ向けて懸命に言葉を紡ぐ。
「皆さん、拠点を襲撃しては駄目です……! 皆さん、頑張って毎日を生きているのです、あなた方もきっとそうだったはず」
 真っ直ぐな言葉に、数名の信者がぴくりと反応を示す。
 見れば信者は着ているものも武器も粗末。殆ど奴隷のような扱いを受けているのだろう。
 彼らの境遇を思い、イロハは再び腕をぎゅっと握る。けれど、それに嘆くだけでは駄目だ。
「思い出してください、毎日を、大変だけど生きてきたのでしょう? その頑張りが実となる日がきっと来るはずです」
 きっとこの信者達もどこかの拠点で頑張ってきたのだろう。
 けれど、その生活はレイダー達によって踏みにじられてしまった。
 だとしたら――彼らが操られているのだとしても、誰かをその手で傷つけて欲しくはない。
「あなた達を連れた彼女は奪う者。彼女と同じように、誰かから奪う者にならないで……目を覚ましてください」
 イロハが言葉を紡ぎ終えれば、信者達の動きはすっかり鈍っているようだ。

 今ならより動きやすいかもしれない。ニクロムも戦場へと駆け寄り、信者達との距離を詰めた。
「待ってて、今助けてあげるからね!」
 ニクロムが『反抗の印』を掲げ、周囲に重力波と無重力の水晶の雨を展開すれば、その輝きはそっと信者達を包んでいく。
 咄嗟にヨーエルシアが洗脳の術式を発動するも、信者達はすでに満足に動くことは出来ていない。
 そして何より――彼らの心は既に目覚めかけているのだ。
「皆、いい調子だよ! そうやって苦しい状況や悪い者に反抗していく……そういう心が、とても大切だと思うから」
 馴染んだアポカリプスヘルの風を頬に受け止めつつ、ニクロムは笑う。
 ボクにとってもこの世界は落ち着く場所だけれど、この人達にとってはどうだろう。
 故郷だからきっと大切に思っているはずだ。だからこそ――その世界が悪に支配されるのは、とても嫌なことだった。

「二人ともありがとう。これで私も動きやすい」
 仲間が信者達の動きを止めたことを確信し、ガーネットも埒外の力を高めていく。
 すると荒野から無数の棺桶が出現し、信者達を次々とその中へ収め出したのだ。
「わ、びっくりした!?」
「大丈夫だ、あの棺桶は安全なものだよ。次の夜までごきけんよう、だ」
「これで信者の皆さんは巻き込みませんね」
 ガーネットのユーベルコードが信者達を隔離したのを確認し、猟兵達はほっと胸を撫で下ろす。
 しかしまだヨーエルシアは残っている。彼女が再び術式を発動すれば、援軍が呼ばれてしまうかもしれない。
 そこでイロハは指を前へと構え、すぐさま教祖の持つ杖へと狙いを定める。
「これ以上、誰かを惑わせたりさせません……!」
 小さな指先から放たれる、本物の聖なる光は矢のように荒野を駆け、クリスタルの杖を強かに穿つ。
 その衝撃で元々罅が入っていたクリスタルは完全に砕け、その効力を失ったようだ。
「よーし、今こそチャンスだね! これより反抗を開始する! どうかチタノの加護と導きを!」
 すかさずニクロムがヨーエルシアの元へと走る。
 再び『反抗の印』を掲げ重力波を放てば、その重みは教祖の身体を荒野へと叩きつけた。
「くっ……!」
「罪のないヒトを従えて、世界を支配して……そういう人と戦うために、ボクはチタノに選ばれたんだ。お姉さんの好きにはさせないよ!」
 ニクロムの真っ直ぐな言葉を受け、ヨーエルシアは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。
 しかし彼女は完全に重力に囚われ、もう身動きは取れないだろう。
 そこへ向け、ガーネットは堂々と『クロスグレイブ』を構え敵を睨む。
「お前は逃さないぞ。この世界にのさばるレイダーの勢力を削るためにも……ここは全力だ!」
 叫びに呼応するように、クロスグレイブの先端に眩い光が収束していく。
 そしてそれは凄まじい勢いのレーザーへと変わり――あっという間に悪しき教祖を撃ち抜いていった。


 戦いが終わり、信者達も無事に解放することが出来た。
 彼らは暫く襲撃予定だった拠点に世話になることとなった。それから先のことは分からないが、状況は確実に改善していくはずだ。
 操られていたことに落ち込む元信者達へ向け、イロハはそっと声をかける。
「もう皆さんが光に惑わされることはないと思います。だって皆さん、それぞれが明日へと向かう光を持っているのですから」
 優しい言葉はきっと彼らの心を癒やし、進むべき明日へと導くはず。
 ガーネットとニクロムもアジトへの地図を手に取りながら、その様子を微笑ましく眺めていた。

 しかし――戦いはここからが本番だ。
 次に目指すべきは『クライスト・ヴォーテックス』のオブリビオン教団のアジトの一つ。
 そこまでの道のりはきっと過酷なものになるだろう。
 けれど猟兵達はそれを恐れず、力強く荒野を進んでいくはずだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『狂気の植物園にご用心!』

POW   :    所詮植物!片っ端から伐採だ!

SPD   :    植物は生き物!悪くなる前に手早く収穫だ!

WIZ   :    油断するな!弱点を狙い着実に除草だ!

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ヨーエルシアが落とした地図を見る限り、拠点から敵のアジトまでの距離はそう遠くない。
 だが――その道中はとても危険なものになるだろう。

 進行ルートにあるのは廃棄された植物研究所だ。
 そこで生み出されていた植物達は、レイダーの手によりオブリビオン以外を害するものへと改造されている。
 例えば触れるだけで肌を爛れさせる危険な毒草だったり。
 例えば自立しつつ人を喰らう化け物と化した植物だったり。
 幻覚作用のある蜜を生み出す花や、葉が刃と化した植物なども生え揃っているようだ。

 それらに上手く対処しつつ、出来る限り損害なく道を進まなくてはならない。
 敵の本拠地はまだ先なのだから。
黒影・兵庫
ここにはレイダーは居ないようですね...一気に駆け抜けていきましょうか
(「待って黒影。ここは速度を維持しながらも慎重に行動しないと」と頭の中の教導虫が話しかける)
わかりました!せんせー!
ではUC【煉獄蛍】で召喚した火計兵さんにここの危険な植物たちを燃やしてもらいましょう!
その間、俺は『オーラ防御』で『火炎耐性』を付与したバリアを展開しながら研究所を通り抜けます!
(「うん、いいんじゃない?じゃあそれでいきましょう!」)
おーっ!




 進むべき研究所に敵の気配はなく、それでも妙な気配が肌を撫でる。
 けれどレイダーがこの場にいないというのは幸いだ。黒影・兵庫はほっと息を吐きながら、脳内の教導虫へと声をかけた。
「ここにはレイダーは居ないようですね……一気に駆け抜けていきましょうか」
『待って黒影。周りをよく見るのよ』
 駆け出そうとした兵庫をせんせーの声が制止する。彼女の言うように、この研究所に生える植物は様子がおかしい。
 風もないのにもぞもぞと蠢くもの、妙に甘ったるい香りを放つもの、或いはぬらぬらと輝く粘液に覆われるもの。
『ここにある植物は危険だと思うのよ。だから速度を維持しながらも慎重に行動しないと』
「わかりました、せんせー! ですが植物なら対処もやりやすいですね!」
 にっこりと笑みを浮かべ、兵庫が大きく手をあげる。
 自分には頼もしい味方がたくさんいるのだ。彼らの手を借りれば、危険な植物の園だろうと安心して駆け抜けることが出来る。
「ここは火計兵さんの力を借りようと思います。火計兵さんに危険な植物たちを燃やしてもらいましょう!」
『兵庫はどうするの?』
「俺はバリアを展開していきます。それなら炎だけじゃなく、植物が発するものからも身を守れますから!」
 兵庫が宣言の通り淡いオーラの輝きで身を守れば、彼の脳内でせんせーが頷いたのが感じ取れた。
 これで準備は万端だ。あとはひたすら進むだけ。
『うん、いいんじゃない? じゃあそれでいきましょう!』
「おーっ! それでは火計兵さん、燃やし尽くしてください!」
 呼びかけに応じ姿を現したのは沢山の蛍達。
 彼らの纏う翠玉色の輝きが植物を照らせば――辺りは一面の炎に囲まれた。

 そこから先の進行は楽なものだった。
 その場から動かない植物ならば火計兵の炎があっという間に沈めてくれる。
 こちらへ迫る植物がいるのは驚いたが、それらも『誘導灯型合金破砕警棒』で打ち払えば問題ない。
 余裕が出てくると気になるのは、この場所の成り立ちだろうか。
「どうしてこんな植物が生まれたんでしょうか?」
『嘗ては荒廃した世界で生き延びようとしていた人達が、ここで頑張っていたのかもしれないわね。今は危険な状態になっているけれど……』
 それとも、元々レイダー達が作った危険な場所だったりしたのかも。
 そんなことも考えつつ、二人は更に奥へと進む。
『今はもう、ここの植物達のレイダーに悪用されているものね。無理矢理にでも進むしかないわ』
「そうですね……ですが、灰になって自然に還れば、ここの植物もまた生まれ変われるかもしれません!」
 そうだったらいいわね、と優しい声を返すせんせーに、兵庫はまたしてもにっこりと笑みを返した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニクロム・チタノ
植物までこんな風にするなんて、洗脳や改造まるで昔のボクを見てるみたいだ・・・
今すぐ解放してあげるね!
重力で動きを止めつつ蒼焔で全て焼き払おう
自然はこんな風に人が勝手しちゃいけない!
チタノどうか理不尽に反抗する力を




 植物研究所の内部を覆う、どこか不自然な植物達。
 他の生物と共生する訳でもなく、ただひたすら他者を傷つけるような姿になった彼らを見遣りニクロム・チタノは目を伏せた。
「植物までこんな風にするなんて……」
 思い出すのは昔の自分。
 洗脳や改造を施され、苦しい思いをしてきた昔のボク。
 けれど今は違う。反抗の竜チタノによって選ばれ、戦い反抗する力を得た自分なら、植物達を苦しみから救うことだって出来るはず。
「今すぐ解放してあげるね! チタノ、どうか理不尽に反抗する力を!」
 『反抗の印』に力を籠めて、ニクロムは叫ぶ。
 彼女の叫びに呼応して姿を現すのは巨大な守護竜チタノだ。
 チタノと一緒ならば、ここから先にも進めるはず。
 そう決意して勢いよく駆け出す二人の元へ――危険な植物達が牙を剥き始めた。

 毒草や危険な蜜を放つ植物ならば、チタノが放つ蒼焔があっという間に焼き尽くしてくれる。
 動き回る植物だろうと、こちらもチタノの超重力がその動きをしっかりと止めてくれた。
 チタノが作ってくれた隙を活かすように、ニクロムも『反抗の妖刀』を構えて走る。
「自然はこんな風に人が勝手しちゃいけない!」
 刃に籠めるのは理不尽に対する怒りだ。
 その想いは確かな反抗の力に変わり、ニクロムに確かな気力を与えてくれる。
 斬り伏せた植物をチタノの蒼焔が燃やせば、残るのは灰のあとだけだ。
 けれど、不自然な植物のままでいるよりは――こうやって自然へ還れる方がいいだろうから。
「ボクは明日が欲しい。いつかここにいる皆が自然に還って、また出会える明日が」
 ニクロムの想いにチタノが答えれば、進む道はどんどん切り拓かれていく。
 少しでも早く道を進み、この世界に蔓延るレイダーを倒すため。
 そして反抗の先に未来を掴み、迎えたい明日を迎えるために。
「チタノ、行こう! ボク達の反抗はまだまだ終わらないよ!」
 自身に宿った守護竜と共に少女は更に駆けていく。
 その道行きは、きっと前向きなものになるはずだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

馬県・義透
引き続き『疾き者』

おやまあ、厄介なところ通りますねー。
うーん、さてねー。どうやって進みますー?(内部の三人と相談中…)

あ、このUCと結界術を併用しますかー。
結界術には、幻覚覚まし付与しておきますかー。
これで、私から一定区域は刃もつ鬼蓮が守ってくれますよー。
襲ってくるものはこれで引き裂き、毒あるものは毒耐性+結界術で避けましょう。

鬼蓮も植物ですから、万一見られたとして、不審に思われづらいかとー。

さてさて、アジトはどうなってますやらー。




「おやまあ、厄介なところ通りますねー」
 訪れた植物研究所を眺め、馬県・義透を構成する悪霊の一人、『疾き者』は素直な感想を口にする。
 このルートはレイダー達が通ることが前提だ。猟兵が生身で進むためには一工夫必要だろう。
「うーん、さてねー。どうやって進みますー?」
 意識を向けるのは、身体の内で待つ他の悪霊達。
 彼らと共に言葉を交わし、どうにか策を練らなければ。
 植物達に見つからないよう身を潜め、義透の内部で暫し作戦会議が行われることとなった。

 出てきた案は多岐に渡る。
 素直に武器を使い進んでいくのも一つの手だが、そうすると蜜や花粉を放つ植物には対抗しづらい。
 燃やしていくことも考えたが、場合によっては自分が追い込まれてしまうだろう。
 それならいっそ植物の力を借りてみるのもいいかもしれない。
「あ、『四天境地・風』と結界術を併用してみますかー。それは良い手ですねー」
 仲間から受けた助言を元に、『疾き者』は立ち上がる。
 同時に棒手裏剣『漆黒風』に力を籠めれば、はらりとその身が崩れ――溢れ出たのは美しい鬼蓮の刃だ。
 自分の身は幻覚覚ましの結界で守りつつ、義透は研究所の中を進み出す。

 危険な毒は結界が跳ね除けてくれるし、万が一幻覚に苛まれてもそちらもすぐに解除出来る。
 蠢く植物が迫ってきても、鬼蓮の花弁があっという間に斬り伏せた。
 そんな彼の進む様子は、遠巻きに眺めてみれば植物を楽しんでいるようにも見える。
「ここの植物も鬼蓮のように、綺麗に眺められるものならよかったんですけどー……」
 或いは、ここの植物達が誰かに受け入れてもらえたならば。
 レイダーの手による危険な物体ではなく、誰かと共に生きられる存在になったのならば。
 今の状況では難しいかもしれないが、いつかはそんな未来も掴めるかもしれない。
「兎に角今は、レイダーをどうにかしないといけませんねー」
 そういえば、この研究所はレイダー達も通るのだろうか。
 万が一見られた時を考えて、義透は更に鬼蓮を周囲に展開させていく。
 自分達が行うのは潜入工作のようなもの。あらゆる事態を想定し、しっかりと動いた方がいいだろう。
「さてさて、アジトはどうなってますやらー」
 のんびりと呟きを零しつつ、義透は進むべき道を真っ直ぐ進む。
 彼の通った道の跡には、鬼蓮とともに自然へ還る植物達が残っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

冬原・イロハ
こ、これは
宇宙服の出番では(ネコ用宇宙服を装備)
環境耐性で進んでいきます

このまま放置するのも危険な植物たちですね
UCで攻撃力アップ、炎の魔力をそのままルーンソードにのせて刈っていきます
お掃除、お掃除♪♪(ぶんぶん)
なるべく触れられる前に攻撃
防御はオーラ頼りになりそうです
人を喰らうといった害の強そうな植物は剣を突き刺して、焼きます

でも刃と化した葉っぱなど、改良したら拠点で使えそうなものもありそうですね
無害な植物を見つけて種があれば保護したいです
この劣悪な環境で生きているってことは、きっと耐性の強い植物なので
拠点で育ててくれるのでは、と
……でも害ある改造植物ばかりなので全滅してるかもですね




「こ、これは」
 研究所には危険な植物が生えており、ただ傍を通るだけでも何かが起きる場合がある。
 その情報を頭の中で反芻しつつ、冬原・イロハはハッとした表情を浮かべていた。
 そして取り出したのは――かつて訪れた宇宙船で購入した『ネコ用宇宙服』だ。
「これの出番ですね。これなら過酷な環境でも大丈夫なはずです」
 いそいそと宇宙服を着こめば、研究所に降り立ったのは宇宙服ネコチャンだ。
 更に手にはルーンソードをしっかり握り、イロハは奥を目指す。

 研究所の内部に生えていた植物は、やはり危険なものだった。
 なんだかよく分からない花粉や蜜を飛ばすもの、立ち上がって獣のように襲い来るもの、その他諸々。
「このまま放置するのも危険ですね。出来るだけ刈っていきましょうか」
 手にしたルーンソードに炎の魔力を乗せつつ、イロハはその輝く刃を振るう。
 すると植物達はあっという間に炎に沈み、進むべき道が切り拓かれた。
「お掃除、お掃除♪♪」
 鼻歌なんかも奏でつつ、弾むようにイロハは進む。
 しっかりと燃やすのは進行ルートと、特に害の強そうな植物だ。
 人を喰らうように進化してしまったもの等は、特に放っておくことが出来ない。
「先に進ませてもらいますね」
 勢いよく突進してきた植物にも剣を振るいつつ、時折立ち止まって周囲を観察して。
 そこでふと目についたのは、葉が刃のように鋭くなった植物だった。

「これは……もしかしたら、改良できるかもしれませんね」
 宇宙服に傷がつかないように気を付けつつ、イロハはそっと刃の葉っぱを刈り取るとまじまじと観察していく。
 確かにこの研究所に生えているのは危険な植物だろう。けれど、その全てを燃やしてしまうのは勿体ない。
 特に緑の少ないこの世界なら、有効活用できる植物というのはかなり貴重だ。
 更に周囲を見てみれば、燃やしてきた植物達の合間にいくつかの種も落ちている。
「この劣悪な環境で生きているってことは、きっと耐性の強い植物だったんでしょうね」
 種や葉っぱを先程訪れた拠点へと持って帰れば、そこに住まう人々が育ててくれるかもしれない。
 そうして緑を広げていけば、世界の復興にも近づけるはずだ。
「安全な植物が残ってて安心しました。ちゃんと持って帰らないといけないですね」
 拾ったものをいそいそと懐へ仕舞い、イロハは再び歩き出す。
 もしかすると、危険な植物を燃やして出来た灰も安全な植物を育てる糧になるかもしれない。
 いつか緑でいっぱいになったアポカリプスヘルを思い、イロハは楽し気に笑みを浮かべていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガーネット・グレイローズ
…このエリアには、植物研究所があったのか。(辺りを見渡し)
広大なプラントを使って、品種改良の実験を行っていたようだな。
だが、レイダーは施設を悪用し、危険なミュータントを作り出したらしい。

リスクを抑えるために、マシンウォーカーに搭乗。
《操縦》技術と蓄えた《世界知識》を駆使してミュータント植物への
対処を行うぞ。にわとり型ドローン「メカたまこEX」を
飛ばし、安全な高度から地上を《撮影》させて、施設周辺の
地形を観測しながら《索敵》して進もう。
人食い植物が襲ってきたなら、ヒートクローによる
《切断》、熱線銃の《レーザー射撃》で対応しよう。
包囲される前に、《悪路走破》で一気に駆け抜けるぞ!




「……このエリアには、植物研究所があったのか」
 研究所の内部をざっと見渡しながら、ガーネット・グレイローズはぽつりと呟く。
 広大なプラントを利用した、植物の品種改良。滅びゆくこの世界において、その研究は希望の星だったのかもしれない。
 しかしすでに研究所から人は去り、残ったものはレイダー達が悪用している。
 出来上がったのは他者を傷つける植物だ。毒を撒くものだけではなく、ミュータント化したものすら存在しているようだ。
「キャバリアだと大きすぎるだろうか……それならこいつに乗っていこう」
 ガーネットが呼び出したのは、宇宙仕様のマシンウォーカーだ。これなら悪路も問題なく進めるし、危険な植物の対処も行いやすい。
 同時にドローンの『メカたまこEX』を空に放てば準備も万端。
 マシンウォーカーを起動させ、ガーネットは研究所の奥を目指す。

 ここに生えた植物達は危険だが、上空への対処はあまり得意でないらしい。
 メカたまこEXは悠々と空を飛びながら地上を撮影し、しっかりと研究所内部や近辺の情報を集めてくれていた。
「凡その地形は把握できたな。このルートが安全だろうか……?」
 受け取った画像データを確認しつつ、ガーネットは丁寧に進行ルートを計算していく。
 刃のような植物ならマシンウォーカーで踏んでいけば対処は難しくない。
 美しい花が咲き誇るエリアは毒や危険な花粉が懸念されるだろう。これらの方向は避けた方がよさそうだ。
 自分でもしっかりと道筋を視認しつつ、ガーネットは慎重に奥へと進む。
 その最中――ミュータント化した食肉植物達が、牙を剥いて襲い掛かってくることもあった。
「おっと、好きにはさせないぞ!」
 まだ遠くにいるものは熱線銃にて焼き落とし、それでも接近してきたものにはヒートクローによる容赦のない斬撃を。
 一つひとつに丁寧に対処していけば難しいことはなにもないが、少しだけ時間がかかるのが気がかりだろうか。
 よく見れば植物達の数も増えてきている。数で蹂躙しようとしているのだろうか、植物だというのに知能まで獲得しているのが恐ろしい。
「それならこちらもそれなりの対処をさせてもらおうか。今こそ、秘められし力を解き放つ……!」
 マシンウォーカーに搭載された偽神兵器の応用技術を起動すれば、その機体はあっという間に大きく変形していく。
 その勢いで兵装も起動して敵を薙ぎ払えば、進むべき道があっという間に出来上がった。
「いつかはこの施設も再利用できると良いんだが……今日のところは通り抜けるだけだな」
 迫る植物達を少しだけ見返しつつ、ガーネットはまっすぐに出口へと向かっていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

麻海・リィフ
【風雷剣】
アドリブ、即興連携歓迎

御足労かけます、姉君(一礼)

承知しました…続けていきます!

特に極光に念動衝撃波オーラ防御等を重ねて防ぐ

姉君の「仕事」の後に続く
剣を回し念動衝撃波薙ぎ払いチャージUCにて地形ごと障害を破砕
地形を利用し「陣」の魔力を巻き込み更に冷凍を加速

焼け残る根
燃え残る種
それすら屠る
死神の鎌は冷たい

其処を通してもらおう!


紬雁・紅葉
【風雷剣】
まぁ!そんな他人行儀にしないで♪
私と貴女の仲でしょう?

羅刹紋を顕わに微笑み
羅刹紋から都牟刈を顕現

金気を以て木気に克つ…!
先制UCの金曜(金属性)に破魔氷属性を乗せ最大範囲発動

破魔氷属性属性衝撃波UCを以て回数に任せ範囲を薙ぎ払う
往く手の障害を次々凍らせて進む
葦原を薙ぎ祓いし草那芸の御業、とくと見るが良い…!

凍れ、枯れよ、斬られ、祓えよ
斬り祓い給う討ち浄め給う

都牟刈の御業に退き去ね!

※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※




 研究所の入口に立ち、麻海・リィフは進み方を思案する。
 このまま突っ切るにしても、どのように行くのがいいだろうか。頭の中に様々な考えを巡らせていると――背後に馴染んだ気配を感じる。
 そちらへと振り返れば、立っていたのは紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)だ。
「御足労かけます、姉君」
「まぁ! そんな他人行儀にしないで♪ 私と貴女の仲でしょう?」
 丁寧に頭を下げるリィフに対し、紅葉はゆるりと柔らかな笑みを返す。
 しかし彼女の身体に宿る羅刹紋が、彼女がただ嫋やかなだけの女性ではないことをきちんと示していた。
「姉君、ここの植物は危険なようです。どのように進んでいきましょうか?」
「木気ならば金気にて克つのがいいでしょう。道はわたしが切り拓きます。あなたは後に続いて下さいませ」
「承知しました……続けていきます!」
 猟兵達は顔を見合わせて、共に埒外の力を高めていく。
 どれだけ危険な植物が道を阻もうと、全て薙ぎ払っていけば問題ないのだ。
「まずは私が……八雲立つ、出雲……!」
 紅葉が腕を前へと構えれば、姿を現した九本の剣が輝きを放つ。
 刀身に金曜と破魔、そして氷の力を宿した剣は次々に周囲を薙いで、研究所の植物達を切り払っていく。
 その攻撃に反応してか、種や花粉を飛ばしてくる植物もいるようだ。そちらにはリィフが立ち塞がり、光学式衝点防盾『極光』を以て攻撃を防ぐ。
「邪魔だ、どけぇ!!」
 リィフはそのまま回転剣『ストヲムルゥラァ』を振るい、植物達へと叩きつけた。
 地面ごと抉る一撃ならば、地中の根すら残すことはない。
「良い調子ですね。このまま参りましょう」
「はい、姉君!」
 互いにしっかりと手応えを感じつつ、猟兵達は先へと進む。彼女達の快進撃はまだ終わらないのだ。

 研究所の植物達も生命の危機を感じたのだろう。彼らはあらゆる機能を使い、猟兵達を阻もうと襲い来る。
 けれど紅葉もリィフも、その攻撃から決して逃げたりはしない。
「葦原を薙ぎ祓いし草那芸の御業、とくと見るが良い……!」
「全て凍らせてもらおうぞ!」
 紅葉の剣が植物達を薙いでいけば、霊力によって地面に九曜紋が描き出された。
 そこにリィフが飛び乗って、九曜紋から力を貰いつつ更に回転剣にて敵を裂く。
 剣撃によって生み出された衝撃波が氷の魔力を広げていけば、二人の周囲に蠢く植物達は一瞬で芯まで凍りついた。
 そうなれば後の対処は簡単だ。氷を砕くように猟兵達は剣を振るい、進むべき道を切り拓いていく。
「焼け残る根、燃え残る種、それすら全て屠っていくぞ。死神の鎌は冷たいのだ」
「凍れ、枯れよ、斬られ、祓えよ。斬り祓い給う討ち浄め給う、これが私達の進み方です」
 彼女達の言うように、このやり方ならば植物達はこの地に残ることもないだろう。
 彼らも望んでこのような形に進化した訳ではないかもしれない。けれどこの世界のためならば、これもまた必要な行動なのだ。
「もしここにある植物達が外に出てしまえば、奪還者が育てる作物が害される危険もあります。それを防ぐためにも、出来る限り祓っていかなければなりません」
「そうですね、姉君。せめてしっかりと屠っていくことが、我らに求められる行動でしょう」
 紅葉とリィフは少しだけ現状を憂いつつも、それでも現実から目を背けない。
 ここで植物達を退けていかなければ、悪しきレイダー達の元にも辿り着けないのだから。
 二人は気合を入れ直し、更に研究所の奥へと進む。
 するとそこには――最後の障害と言わんばかりの、巨大な植物の姿があった。

「あの植物、出口を塞いでいるようですね」
「ならば……押し通りましょう」
 リィフと紅葉はそれぞれの剣を構え、巨大植物へ狙いを定める。
 やり方は今までと同じ。けれど籠める気持ちは最大限に。
「参ります、九曜陣・八雲――都牟刈の御業に退き去ね!」
 紅葉が九本の剣全てを手繰れば、その刃は次々に植物を切り刻む。そして根を覆い尽くすよう、地面には再び九曜紋が描かれた。
 リィフも光翼後光を煌めかせつつ、九曜紋をしっかりと踏み込む。
 姉君から貰い受けた力を借りて、放つは全力の一撃だ。
「其処を通してもらおう! 行くぞ、ストヲムルゥラァ!!」
 叫びと共に放たれた一閃は見事に植物を切り裂いて、研究所の出口を開放していく。
 これでレイダーのアジトまでの道は開かれた。紅葉とリィフは笑顔を向けて、改めて成果を確認していく。
「やりましたね、姉君……!」
「私と貴女、二人だからこそ此処まで来ることが出来ました。ありがとう」
 先程までの苛烈さは潜め、笑い合う二人は本物の姉妹のようだ。
 道程はまだあるけれど、ここは素直に喜び合おう。猟兵達は弾むような足取りで、研究所を後にするのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 集団戦 『異端審問官』

POW   :    邪教徒は祝福の爪で切り裂きます
【強化筋肉化した右手に装備した超合金製の爪】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    邪教徒は聖なる炎で燃やします
【機械化した左手に内蔵の火炎放射器の炎】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    邪教徒に相応しい末路でしょう?
自身が【邪教徒に対する狂った憎しみ】を感じると、レベル×1体の【今まで殺した戦闘能力の高い異教徒】が召喚される。今まで殺した戦闘能力の高い異教徒は邪教徒に対する狂った憎しみを与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:純志

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達は無事に植物研究所を通り抜け、レイダーのアジト――『オブリビオン教団』の一つへと辿り着くことが出来た。
 白塗りの廃墟の中に潜むのは、蔓延る『異端審問官』と洗脳された奴隷信者達だ。

 ここでやるべきことは二つ。
 一つは異端審問官達を殲滅すること。もう一つは奴隷達を救出すること。
 これらを全て終わらせれば、あとはアジトを木っ端微塵に爆破するだけ。
 レイダー達の力を削ぐべく、ここはド派手に暴れる時だ。
 その行動こそが、ヴォーテックス一族の力を削ぐ一手となるのだから。
ガーネット・グレイローズ
ここが教団の拠点施設か。
まだ中に囚われている人質も多くいるだろう。
彼らを救助しつつ、敵兵を殲滅するか。

「メカたまこEX」を先行させ、まずは施設内の
《情報収集》と《索敵》だ。
たまこの情報を元に人質がいる部屋を目指し、警備兵を強襲する。
二刀流による《2回攻撃》で切り捨て、反撃は
ブレイドウイングによる《ジャストガード》で防御。
「いかにも、私は君達が憎悪する異教徒だ。君達の指揮官、
ヨーエルシアは既に討たれた!投降するなら今だぞ」
この言葉に動揺するか、破れかぶれで突っ込んでくるか。
どちらによ、対応はひとつだ。
人質が退避したのを見計らってユーベルコードを発動。
光の《弾幕》地獄に呑み込まれるがいい!




「ここが教団の拠点施設か」
 荒廃した世界にしては異様な、真っ白の建物を見遣りガーネット・グレイローズはぽつりと呟く。
 この内部にいるのは多くのレイダーと囚われた奴隷達。倒すべきものは倒し、救うべき者は救う。それが自分達の仕事だ。
「よし。メカたまこEX、偵察は任せたぞ」
 半壊した窓からドローンを潜入させ、最初にガーネットが探したのは奴隷達が存在している部屋だ。
 ある程度の場所や方角を絞っていけば、あとは突入するだけ。
 たまこが入った窓を突き破りつつ、ガーネットは拠点の中へと足を踏み入れた。

 窓が割れた音を聞きつけたのだろう。ガーネットの元に、すぐに数体の異端審問官が駆け寄ってきた。
 彼らの後方には不安げな表情を浮かべる奴隷達の姿も見える。どこか虚ろな瞳から、彼らが何かしらの洗脳を施されているのが感じ取れた。
「何者か……と問うまでもないでしょう。貴方、邪教徒ですね?」
「いかにも、私は君達が憎悪する異教徒だ。君達の指揮官、ヨーエルシアは既に討たれた! 投降するなら今だぞ」
 二本の刀を構え、ガーネットが叫ぶ。
 その言葉に対し返ってきたのは――ざわめきと、分かりやすいまでの憎悪。
「ヨーエルシア様が……」
「邪教徒め、相応しい末路を迎えさせてあげましょう!」
 こいつらに関してはこれでいい。ガーネットが気にかけていたのは――不安げな奴隷達の方だ。
「君達のことは必ず助ける。廊下の先に機械のにわとりがいるだろう? あの子に従い、建物から退避してくれ!」
 ガーネットの声に応えるよう、部屋の外でメカたまこが鳴く声が聞こえる。
 ヨーエルシアが討たれたという事実。助けが現れたという事実。この二つは、奴隷達の目を覚ますのに充分だった。

 奴隷達が少しずつ建物から逃れていくが、異端審問官達は気にしていない。むしろ教祖を討った猟兵達へと怒りを向けるのに必死のようだ。
 しかし、ここに残ったのが敵対者だけなら何の問題もないだろう。後は派手に動くだけなのだから。
「『武器庫』よ、異界兵器の一つ<星>を解禁する権利を求める」
 詠唱と共に、ガーネットの周囲に煌めく魔法陣が展開されていく。
 敵も負けじと爪を振りかざし迫ってくるが――それよりも、魔法陣がより強い輝きを放つ方が早かった。
「……開門せよ。光の弾幕地獄に呑み込まれるがいい」
 光の中から姿を現すのは、無数の青く輝く短剣だ。それらは美しい軌道を描きつつ飛翔して、次々に敵を切り裂いていく。
 更に生じた爆炎が周囲を飲み込めば、ガーネットへと迫っていた敵はあっという間に一掃された。
「無闇に他者を苦しめ蔓延るからこうなるんだ。さあ、残りの人達も助けに行こう」
 たまこが奴隷達を引き連れているのを確認しつつ、ガーネットは更に建物の奥へと踏み込む。
 彼女の突入が、この建物の運命を大きく動かしたのは間違いがないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
派手に暴れるですかー。ならば、あなたですねー。

人格交代
『侵す者』豪快古風な武の天才、最近は破壊神
一人称:わし
武器:黒燭炎と陰海月

完全に破壊担当になっとる…。ま、たしかにわし向きか。
それならば、派手に暴れるとするか!
はは、その爪は四天霊障によるオーラ防御+結界術てはね除けるとして!
近づかれたのならば、わしの間合いの範囲内よ!指定UC食らうがいい!
む、出てきた陰海月も暴れておるな?
さて、洗脳もとければよいのだがな…。


陰海月「ぷきゅ!?」
武器指定がないので、陰海月も指定UCで、どっかんばっこん。ふよふよしてた陰海月的には、いつものぺちぺちの気持ちだったので驚いている。




 騒ぎが起き始めた建物に踏み込みつつ、馬県・義透の人格の一人『疾き者』は思案する。
 破壊工作という意味では自分も向いているだろうが、派手に暴れるとなれば別の人格に任せた方がいいかもしれない。
「ならば、あなたですねー」
 一瞬だけ目を伏せ、開く。次の瞬間表出したのは勇ましい『侵す者』だ。
「完全に破壊担当になっとる……ま、たしかに、これはわし向きの仕事か」
 自分の役割にちょっとだけ不安を覚えつつ、それをかき消すように豪快に笑みを浮かべて。
「それならば、派手に暴れるとするか!」
「ぷきゅ!」
 義透は黒槍『黒燭炎』を構えつつ、更に建物の奥へと踏み込む。彼の後方ではミズクラゲの『陰海月』も着いてきていた。

 二人が最初に飛び込んだのは手近な扉だ。そこには数体の異端審問官が待機しており、状況の把握に努めていたようだ。
「またしても邪教徒が……」
「祝福の爪で切り裂いてやりましょう」
 彼らは宗教家といえど苛烈な世界で生きるカルト信者達。部屋へ踏み込んできた義透へ向け、何の躊躇もなく爪を振るってきたようだ。
 けれど義透も簡単にやられはしない。身体に纏わせた『四天霊障』で敵の動きを止めながら、そのまま生み出すのは結界だ。
「破ッ!!」
 結界の勢いで審問官達がよろめいたのを確認し、すぐに義透は『黒燭炎』を握り直す。
 そのまま力強く足を踏み込み、繰り出すのは槍による重い刺突だ。
「不用意にわしに近付いたのが運の尽きよ! わしの一撃、受けきれるか!」
 その穂先は的確に敵の胴を捉え、その生命を一瞬にして奪っていく。
 けれど敵は一体ではない。別の部屋から駆け寄ってきた審問官が、義透へと突撃してきたようだ。
 すぐさま陰海月が割って入ると、触手を振るって敵を狙う。
 義透を庇うための、ちょっとした一撃のつもりだったようだが――振るわれた触手は見事に敵を薙ぎ払い、近くの壁へと思い切り叩きつけた。
「ぷきゅ!?」
「む、陰海月も暴れておるな? わしの力でお前も強化されておるのだぞ」
 驚く陰海月へ向けて豪快に笑みを返し、義透は勢いよく廊下へと飛び出す。
 その奥では建物から退避する奴隷達の姿が見えた。恐らくこの騒ぎで洗脳が解けたのだろう。
「奴隷達が逃げ出しているのは行幸だ。ならばわしらは、ひたすら敵を倒せば良い!」
 彼の言うように、戦いはまだ続いている。
 奴隷達とは別の方向から、またしても敵が駆け寄っているようだ。けれど陰海月と二人なら、怖いものは何もない。
「さあて、まだまだ暴れるぞ!」
「ぷきゅっ!」
 『侵す者』達による大暴れはまだまだ続いていくだろう。そしてそれが齎すのは――猟兵達の勝利への一歩だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒影・兵庫
(「敵が複数いるのが厄介ね。一気にまとめて倒さないと救助対象を人質に取られたり被害が及ぶ可能性があるわ」と頭の中の教導虫が話しかける)
むぅ...たしかに...
どうしましょうか?せんせー
(「ここはUC【蜂皇の捨て駒製造術】を使いましょう
黒影は『オーラ防御』の応用でオーラの檻を作ってちょうだい
アタシはUCで透明になった{皇糸虫}を『念動力』で操作し、敵を『捕縛』した後、オーラの檻にぶち込むわ」)
わかりました!
その後は『衝撃波』で檻ごとまとめてぶっ飛ばせばいいんですね!?
(「正解。じゃ早速始めましょうか」)
おーっ!




 潜入した建物の内部では、どんどんざわめきが大きくなっている。
 廊下の角からこっそりと顔を覗かせながら、黒影・兵庫は忙しなく駆け回る審問官達を眺めていた。
 しかし、廊下を移動しているのは敵だけではない。騒ぎによって覚醒した奴隷達や、未だ洗脳されたままの人達……彼らも建物の中を移動しているようだ。
『敵が複数いるのが厄介ね。一気にまとめて倒さないと救助対象を人質に取られたり被害が及ぶ可能性があるわ』
「むぅ……たしかに……」
 頭の中のせんせーと共に状況を確認し、兵庫は小さく唸る。
「どうしましょうか、せんせー?」
『ここは黒影のユーベルコードを使いましょう。あなたはオーラの檻を作ってちょうだい。それから、皇糸虫の準備も』
 兵庫は一人きりではない。せんせーと二人で協力すれば、きっと敵だけを上手く倒すことが出来るはずだ。
『私が敵を判別して捕まえていくから、最後はどうすべきか分かる?』
「えっと、俺が檻を用意して、せんせーが敵を捕まえて……あ、最後は俺が檻ごと纏めて思いっきりぶっ飛ばせばいいんですね!?」
 せんせーの作戦は分かりやすく、最後にやるべきこともシンプルだ。
 これならきっと上手く行く。兵庫の明るい返答に、せんせーの声も思わず弾んだ。
『正解。じゃ早速始めましょうか』
「おーっ!」
 準備が整ったのを確認し、兵庫は勢いよく廊下を駆け出す。彼の姿に反応し、審問官達もこちらへと迫ってきていた。

「まずは俺が……行きますよ!」
 兵庫は腕を前へと構え、オーラの糸を頭の中でイメージしていく。
 それを丁寧に編み込んでいけば、出来上がるのは立派なオーラの檻だ。
 それに合わせるようにせんせーが念動力を手繰らせ、埒外の力で透明になった『皇糸虫』をゆるりと動かす。
「悪いけど、黒影を守るための駒になってちょうだいね」
 敵は透明の糸に気づかずに、ただひたすら爪を構えて駆け込んできているようだ。
 そこにすかさず糸を向けていけば、彼らの身体はあっという間に捕縛されていく。
『さあ黒影、あとは任せたわよ!』
 せんせーがそのまま敵を檻の中へと突っ込めば、兵庫も合わせて一歩踏み込む。
「何っ……!」
「飛び込むのに夢中で俺達の動きに気づいていなかったようですね! それじゃあ……行きますよ!」
 驚愕する敵へ向け、放つは衝撃波による鋭い一撃だ。
 吹き飛ばされたオーラの檻は壁を突き抜け、建物の外へ落ちていく。落下の衝撃で敵を倒せたのを確認し、兵庫は安堵の息を吐いた。
「やりましたね、せんせー!」
『ええ、この調子でいきましょう!』
 二人で力を合わせれば、どんな困難だって乗り越えられる。改めてその実感を得ながら、兵庫は更に建物を進んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

冬原・イロハ
私、皆さんを迎えに来ました
帰りましょう?

アジトに乗り込んで洗脳された人々に声を掛けていきます

たぶん、元の拠点を失って帰れない人がたくさんだと思うのです
ならば新しい住処を探す旅に、私もしばらくは同道したいと思っていることを告げます
皆さんにとって懐かしくも新しい大地に根付きましょう?
えっと、ですね、研究所で拾った種や葉(は、気を付けてと言い添え)を渡します
ここにいたらいずれ殺されてしまうかもしれません
植物は枯れたり灰となればそのまま大地の糧となれますが……――皆さんの願いや心を継ぐために、帰りましょう?

敵攻撃に対しては戦斧を持ち、UCを!
風と高速移動で炎を相殺していきます!
誰も傷つけさせやしない!




 自分自身を囲もうとする、多くの審問官。
 彼らを風の勢いで吹き飛ばしつつ、冬原・イロハはアジトの中を駆け回る。
「お覚悟を、どいて下さい……!」
 審問官が放つ炎は戦斧の衝撃波で掻き消して、出来るだけ奥へ。
 敵を残しておくのも不安だが、それ以上に炎が広がるのが怖かった。
 きっと彼らは奴隷も構わず巻き込むだろう。だからこそ、誰も傷つけさせやしない。
 イロハが必死に探していたのは、今も洗脳されている奴隷達だ。
 これだけ騒ぎが起きれば目を覚ます奴隷も多くいる。未だ避難を開始していない人達は、それだけ深く洗脳されているのだろう。
 幾つかの部屋を駆け回り、迫る敵を倒した先で――イロハは一つの大部屋へと辿り着いた。
 そこにいたのは、ぼんやりと座り込む奴隷達だ。

「私、皆さんを迎えに来ました。帰りましょう?」
 戦斧を背中へと背負い込み、柔らかく笑みを浮かべつつイロハは奴隷達へと歩み寄る。
 彼らの顔にあるのは不安、恐怖、戸惑い。せめてその想いが少しでも紛れるよう、イロハはそっと言葉を紡ぐ。
「たぶん、皆さんは拠点を失い、帰ることが出来ないのだと思います……だから、新しい住処を探しに行きましょう。私も同道しますから」
「でも……ここを出たって、俺達に出来ることなんて……」
 奴隷達のざわめきが次第に大きくなる。彼らには洗脳も施されているのだろうが――きっと、ここでの絶望が未だに心に巣食っているのだ。
 それなら、彼らの心に新しい希望を与えたい。そう思ったイロハは、懐から研究所で拾った種や葉を取り出した。
「えっと、ですね、葉っぱは鋭いので気をつけて」
「これは……植物?」
「はい。ここにいたらいずれ殺されてしまうかもしれません。植物は枯れたり灰となればそのまま大地の糧となれます、こんな風に新しい命を作れます」
 新しく拠点を見つけられたのならば、拾った種を育てたり出来るかもしれない。
 そうやって命を紡いでいけば、この世界の希望だってきっと。
「……――皆さんの願いや心を継ぐために、帰りましょう? 皆さんにとって懐かしくも新しい大地に根付きましょう?」
 一緒に勇気を出して、新しい何かを見つけたい。
 イロハの思いを籠めた言葉達は、奴隷達の目に少しずつ光を灯した。

「……分かった。ここを出よう」
「どうなるか分からないけど……何もない訳じゃないもんね」
 奴隷達が立ち上がったのを確認し、イロハの顔にもぱぁっと笑顔が花咲いた。
「ありがとうございます……! それでは出口まで向かいましょう。大丈夫です、皆さんは私が守りますから」
 再び戦斧を構え、イロハは勇ましく廊下へ飛び出していく。
 彼女に付き従う奴隷達の顔にも、今までより明るい色が宿っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニクロム・チタノ
あとはあのヒトを倒してここを爆破しないとだね
でも洗脳されてるヒト達も救わないと
チタノ私に反抗を
反抗の妖刀の力を全解放して挑むよ!
反抗の妖刀はいままでにない超重力を生み出す
そして金剛輪転ゴルディウス、これを壁に変えて奴隷を一時戦場から隔離して相手には重力を掛けて接近する、でもただ斬り掛かるだけじゃ防がれる
だったら防がせて全重力を掛けて動きを止める
ボクにできるのはこれで精一杯だ、ゴルディウスと全重力どちらも保つのに力を注がないと、でも猟兵は一人じゃないから!
ボクの作った隙をついてこのヒト倒してくれる
みんな信じてる
どうか反抗の竜チタノの加護と導きを


麻海・リィフ
アドリブ、即興連携歓迎
小鳥を導き、禿鷹を討つ…
順序通りに


先制UC発動
奴隷を優先してかばい誘導させる
ジャストガード念動衝撃波オーラ防御等で盾受け

人質戦術などやらせん!


存在感勇気気合を以て奴隷達を鼓舞
拠点防御団体行動で安全な所へ誘導

目を覚ませ!助けに来たぞ!
落ち着いて、盾と共に行け


敵は剣を回し念動衝撃波串刺しチャージで的確にスナイプ

敵の攻撃は基本三種の盾で受け
カウンター念動衝撃波シールドバッシュで吹き飛ばす

窮地の仲間は積極的にかばう

運が悪かったな…
後で皆送ってあげるから、一足先に骸の海へ御出でなさい

最後の爆破を上空から見やり
しかと見るがいい…
嵐王の猟(ワイルドハント)の先触れだ、骸共!




「あとはあのヒト達を倒してここを爆破しないとだね」
 状況を再確認し、ニクロム・チタノは建物の内部を確認していく。
 目につくのは駆け回る審問官と逃げ惑う奴隷達の姿だ。
「でも、洗脳されてるヒト達も救わないと」
「ああ、そうだな。小鳥を導き、禿鷹を討つ……やるべきことを順序通りに、そうすればきっと大丈夫だ」
 ニクロムの言葉に頷いたのは麻海・リィフだ。
 彼女も奴隷を救い出し、その上で建物を爆破すべきと考えている。ならばここは二人で動くのが得策だろうか。
「まずは洗脳されてるヒト達を助けよう!」
「我もそれに賛成だ。一気に攻め込もう!」
 猟兵達は顔を見合わせ、建物の奥へと踏み込んでいく。

 流石にこれだけの騒ぎになれば、審問官達も大いに焦っているのだろう。
 彼らは奴隷を伴いながら、アジトへ潜入した猟兵達を追い詰めようとしているようだ。
「人質戦術などやらせん!」
 そこにすかさず割り込んだのはリィフだった。埒外の力で生み出した無数の盾を操作しつつ、まずはそれらを奴隷達の方へ。
 突然の出来事に驚く彼らへ向け、リィフは力強く叫ぶ。
「目を覚ませ! 助けに来たぞ! 落ち着いて、盾と共に行け!」
 その叫びに呼応して、奴隷達の洗脳も解け始めたようだ。彼らは少しずつ歩を進め、建物の出口目掛けて駆け出していく。
 しかし審問官達も黙って奴隷達を見逃さなかった。むしろ逃げられるくらいなら……と容赦なく巻き添えにして殺すつもりなのだろう。
 審問官が火炎放射器を備えた左腕を構えた瞬間――ニクロムも彼らの前へと躍り出た。
「チタノ、私に反抗を」
 片手には『反抗の妖刀』を、もう片方の手には『金剛輪転ゴルディウス』を構え、力を借りるのは反抗の竜チタノだ。
 チタノの反抗の力はニクロムの身体を包み、彼女の武装から埒外の力を生み出していく。
 妖刀が生み出す超重力は審問官の足を止め、その隙にゴルディウスが眩い輝きを放った。
 すると奴隷達の周囲の壁が生命のように動き、リィフの盾と共に彼らを守り始めたのだ。
「このまま外に出すよ! 盾と壁の中にいればきっと大丈夫だから!」
 妖刀による重力操作で壁を屋外へと送り出し、そこに座る奴隷は猟兵達と目を合わせる。
 そこにあったのは不安と希望。彼らの瞳に微かな光が宿っているのを確認し、猟兵達は少しだけ安堵の息を吐いた。

 これで奴隷達の退避は完了だ。しかし、審問官はまだ残っている。
「おのれ、我々の信者を……」
「邪教徒どもめ!」
 彼らは怒りの表情を剥き出しにしつつ、鋭い爪を振りかぶるが――その動きは少しずつ鈍っていく。
 ニクロムが妖刀でさらなる重力を生み出して、彼らの動きを止めたのだ。
「厄介な……だが動きを止めたところで何が出来る!」
「確かにボク一人ならこれ以上のことは出来ない……でも、猟兵は一人じゃないから!」
 悪態をつく審問官へ向け、ニクロムは叫ぶ。
 彼女の言うように、この場で戦っているのは一人きりではないのだ。
「ああ、我を忘れてもらっては困る! 雲か霞か、攻めるも受けるも……!」
 自分自身の周囲にも盾を構えつつ、リィフが一気に敵の元へと飛び込む。
 ニクロムが生み出した隙を活かし、そしてこの戦いを終わらせるため。回転剣ストヲムルゥラァを構えながら、リィフは力強く足を踏み出した。
「運が悪かったな……奴隷を捕らえ、土地を荒らし、好き勝手をした報いを受ける時だ」
 回転剣が凄まじい勢いの嵐を纏いつつ、ひたすらに力を溜める。
 その勢いに支えられ、ニクロムが生み出す重力も更に凄まじいものへと転じていた。
「どうか反抗の竜チタノの加護と導きを。お願い、終わらせて!」
「ああ、任せろ――後で皆送ってあげるから、一足先に骸の海へ御出でなさい」
 そう、今日の戦いが齎すのは全ての終わりではない。
 猟兵達はまだまだヴォーテックス一族と闘わなければならないのだから。
 けれど、この戦いは着実な一歩に変わる。
 拠点を救い、奴隷を助け、そしてレイダー達に一太刀を加える、これを繰り返していけば――いずれこの世界も大きく変わっていくはずだから。
 そんな願いを籠め、ニクロムの重力とリィフの風が一気に審問官達を薙ぎ払う!
 彼らが骸の海へと送られたのを確認すれば、最後の仕事の時間だ。

「建物の中にはもう誰もいないよ!」
「確認してくれてありがとう。それじゃあ……」
 準備が整ったのを確認し、猟兵達は設置した爆弾を起動していく。
 すぐさま凄まじい衝撃が地を揺るがし、真っ白なアジトは炎の中へと沈んでいった。
 リィフは光の翼で空を飛び、燃え盛る建物を見下ろしながら堂々と叫ぶ。
「しかと見るがいい……嵐王の猟(ワイルドハント)の先触れだ、骸共!」
 この宣言はクライスト・ヴォーテックスだけでなく、デスファイア・ヴォーテックスも……そして全てのレイダー達へも向けられたもの。
 反逆の狼煙のような炎を見上げつつ、ニクロムも胸に新たな反抗の決意を宿していた。


 こうして無事にオブリビオン教団のアジトが一つ潰れ、囚われていた奴隷達も助け出された。
 彼らの一部は最初に助けた拠点が受け入れてくれるようだ。
 残りの奴隷達はしばし旅に出ることになるだろうが――それでも、彼らの胸には前向きな思いが灯っているだろう。

 今日の戦いは、荒廃した世界を救う新たな一手となったはずだ。
 それを示すよう、アジトを燃やす炎は力強く天を衝いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年03月31日


挿絵イラスト