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傾城の愛

#サムライエンパイア #猟書家の侵攻 #猟書家 #『小少将』 #藩主 #日野富子 #魔軍転生 #心情系 #24日完結予定

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 サムライエンパイアにある、とある小さな藩の居城。
 この日、家臣達は藩主によって一同に城へ集められた。
「火急の要件ということでありますが、一体……?」
「そなた、側仕えであろう? なにか聞いておらぬか?」
「恐れながら、某も皆目見当付きませぬ……」
「む、殿が参られたぞ?」
 家臣一同は、みな揃って額を畳に擦り付けた。
 藩主は満足げにそれを眺めながら、上座に腰を落ち着けた。
 その隣には、白樺色の召し物を纏った黒髪……内側は灰のように白い髪の女が、やけにニコニコと笑みを浮かべながら一緒に座っている。
 家臣達はあの女は誰だとざわつき始めた。
「口を慎め。わしの小少将の前だぞ」
「お殿様、まだ家臣達に私達のこと、説明しておられぬのですか?」
 小少将と呼ばれた女が妖艶に微笑む。
 藩主は小少将に向き直るやいなや、デレデレに顔を蕩けさせた。
「すまぬすまぬ、お前を一瞬たりとて目を逸らしたくなかったのでな、ついつい此奴等への説明が先延ばしになってしまったわい」
「まぁ、お上手ですこと」
 仲睦まじく笑い合う二人に、家臣達は呆然としてしまう。
 藩主は咳払いひとつしたあと、家臣達へ告げた。
「わしは小少将と婚姻の儀を交わすことを決意した! 小少将はオブリビオンの総大将ことクルセイダー様と深く繋がっているのだ。つまり……これより我が藩は、幕府転覆のため、クルセイダー様に御味方する! 逆らう者は、分かるまで愛してやろう!」
 藩主の言葉を聞いた童達が、一斉に評定場に押し入ってきた。
「その喉笛を食い千切って、もっと愛してあげる!」
「心臓を抉ることは愛よね?」
「刀で斬られるの? 私って愛されてるぅ!」
 やけに派手な着物を着込んだ童型のオブリビオンは、家臣達を脅して無理矢理に藩主の言葉に従わせた。
「ふふ……。愛に疎いお殿様は、なんとも愛らしいことよ」
 洗脳ユーベルコードで藩主を操る小少将が、口元を大きな墨染の扇子で隠しながら、ただただ愉悦に浸って嘲笑う――。

 サムライエンパイアに新たな猟書家の動きあり。
 その一報を聞き付けた猟兵達がグリモアベースに集まってきた。
「生まれてからずっと女性にモテなすぎて、とうとうオブリビオンの悪い女に引っかかって洗脳されちゃったお殿様と、オブリビオン達に無理矢理に従わされている家臣のみんなを助けてあげてっ!」
 グリモア猟兵の蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)が、今回の任務を簡潔に説明する。
「新たに見付かった猟書家『小少将』は、男を手玉に取る洗脳ユーベルコードで藩主をいのままに操ってるよっ! このままだと藩全体が乗っ取られちゃうっ! そうなる前に、みんなは『小少将』を撃破してほしいなっ!」
 注意すべき事は、配下の童型オブリビオン達は、愛という感情に強く反応する。
『超・魔軍転生』によって、魔軍将『日野富子』を憑装しているためか、金の力で身に纏う装備は頑丈かつ絢爛豪華。単純な攻撃力や防御力が底上げされてるので油断できない。しかし、それでも童達は愛に飢えて、歪んだ愛情行為を猟兵達に向けてくるだろう。家臣達も嫌々にそれに従っている。士気は低いが、自分の命が懸かってる以上、猟兵達を斬らんと刀を振るってくる。
「家臣達は猟兵のみんなを襲ってくるけど、愛について色々と諭せば、童達も動きが止まるし、家臣達も攻撃を止めて猟兵側の味方に付いてくれるよっ!」
 レモンがそう告げると、色々な愛について書かれた書籍を猟兵達に見せた。
「なにかの参考になると思うから、出発までに好きなだけ読んでいってねっ?」
 大量の哲学書や実用書、はたまた小説や漫画本など。
 多種多様の愛の形の中から、猟兵達はどんな愛を提示するのだろうか……?


七転 十五起
 愛の形は千差万別、多種多様。
 あなたの愛を、胸張って語って下さい。
 なぎてんはねおきです。

●プレイングボーナス(全章共通)
 藩の武士達を説得する(第1章)。

 説得内容ですが、愛について語りましょう。
 童型オブリビオンは、愛を知らずに育って死んだ子供達の末路の姿です。
 彼らの愛は『被虐』『加虐』『食人』の3種類しか知りません。
 色々な愛の形を心からぶつけると、童達はユーベルコードを躊躇します。
 家臣達の説得がてら、生まれた隙を有効活用しましょう。

 また、童型オブリビオン達には魔軍将『日野富子』が憑装しております。
 金の力で非常に派手な着物を着ています(なんか防御力も高いです)。
 他にも色々と強化されているので、真正面で戦うのはオススメ出来ません。

●その他
 第一章のプレイング受付開始日時は【10日(水)朝8時31分以降】からです。
 それ以前にプレイングが届いた分は【全て不採用】です。
 勇み足せず、腰を落ち着けて挑んで下さいませ。

 コンビまたはチームなど複数名様でのご参加を検討される場合は、必ず【お相手の呼称とID】若しくは【チーム名】を明記していただきますよう、お願い致します。
(大人数での場合は、チームの総勢が何名様かをプレイング内に添えていただければ、全員のプレイングが出揃うまで待つことも可能です)

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『愛情欠落性殺戮症候群』

POW   :    被虐「あぁ、私愛されてるっ!!」
戦闘中に食べた【傷の痛みと味方の血肉】の量と質に応じて【それを愛情と誤認し更なる愛を渇望して】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    加虐「これが愛よね?」
【殺し合いに適した人格】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ   :    喰殺「もっと愛してあげる!」
戦闘中に食べた【敵対した相手の血肉】の量と質に応じて【より強く愛し合おうと歓喜し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鹿村・トーゴ
(UC準備に七振りの七葉隠を部屋の隅や欄間に念動で置き隠す【罠使い/念動力】
愛かー
掴み所無いけど欲しがる人は多いな
オレは相手を気遣う事だと思ってる
藩の侍方は
女に腑抜けにされた殿様を見捨てたいんじゃ無いよな?
愛情拗らせた童女が怖いだけで
藩への愛は消えてないだろ
なら敵は?オレらか?それとも…

【激痛耐性】で童女に噛まれても一旦堪え
オレ修行して我慢できるけどー
痛い事されて愛に置き換えなきゃならないなんてシンドイな?
お前らの愛ってさ
なんか証拠求めに必死で哀しーや
【念動力/投擲】で隠し場所から回転させながら手元へ呼び寄せUC発動
強化した七葉隠の各七振りを順にをキャッチし近接の童女から斬る【暗殺】

アドリブ可


カシム・ディーン
…愛、かぁ…

「ご主人サマ?」

UC起動
僕がカドゥケゥス使用
メルシーがハルペー

【情報収集・視力・医術】
童達の動き
傷口から
どのような傷を受けてきたか
どう扱われてきたかを分析…

メルシー…家臣達を足止めしろ

【戦闘知識・武器受け・念動力】
家臣達の陣形と効率的に足止めできる立ち位置の把握
攻撃は仕掛けず念動障壁で身を護り


【属性攻撃・医術】
生命属性を己に付与
気血を効率的に増幅
生命力増強

愛を示す

童を深く胸に抱きしめ心音を聞かせ撫
どれ程刺されようと
傷付こうと抱く手は止めず
受け止め

【属性攻撃・スナイパー】
眠属性の弾丸を打ち込
痛み無く眠らせて止め

…少し疲れた回復を(むぎゅられ

何すんだ…まぁいい…少し休む(今は大人しい



 猟兵達は、猟書家が占拠した藩主の居城に乗り込んだ。
「ここと、ここと……ここもか?」
 鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は何やら刀を城の至るところへ隠している様子。
「何をしているのです?」
 それを不思議そうに眺めるカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)……と、その相棒である界導神機『メルクリウス』がユーベルコードで変身した美少女メルシー。
 鹿村は巨大忍刀『七葉隠』を七振りの刀に分解して、暗器兼罠として用いる旨をカシムに告げた。
「ほら、この刀身を見てくれ。硝子みてーに透明だろ? これならオレの念動力で飛ばしても、敵は刀身の間合いが掴みづらくて回避困難って寸法だな」
「これは見事な業物ですね……ということは、敵を此処まで誘い出せば良いのです?」
「ああ、頼むよ。そっちの作戦に支障がなければの話だけどさ?」
「メルシー達は大丈夫ー♪」
「お前が決めるな、馬鹿」
 やれやれと相棒を諌めるカシム。
 その表情は、何処かどんよりと曇っていた。

 予知のあった評定場へ足を踏み入れると、ちょうど藩主が猟書家『小少将』との婚姻の話を家臣達に発表していた。
 藩主は突然の闖入者に目を細める。
「何奴だ? 門番は何をしているのだ?」
「悪りーな、殿様? オレらはこーゆーもんでさ?」
 鹿村が徳川幕府から発行された天下自在符を見せ付けた。
 これに猟書家が眉をひそめる。
「猟兵……? どうして此処が分かったのかしら?」
「オブリビオンの……とりわけ猟書家の動きは、僕達の目から逃れられませんよ」
 そう告げながら、カシムは背中越しにメルシーへハンドサイン。
(メルシー、念動障壁を展開しろ)
 ユーベルコードの対人戦術機構『詩文の神(メルシーマホーショウジョモード)』の発動を指示。
 既に一度、魔力を回したことがある彼らには魔力回路が形成されており、近くにいれば互いの魔力のやり取りが可能だ。
 走行しているうちに、小少将は『日野富子』を憑装させたオブリビオン配下達を呼び出し、家臣達を漂白し始めた。
「誠の愛を知らぬ猟兵に、我らの愛を示してやれ!」
 藩主の命令に逆らえない家臣達は、顔面蒼白のまま刀を抜いて猟兵達ににじり寄る。
 カシムが杖型魔銃『カドゥケゥス』の砲口を家臣達に向けて警告する。
「止まってください! オブリビオンの言いなりにならず、僕達と一緒に戦いましょう!」
「む、無理に決まっておろう!? 殿の御下知は絶対! それに……」
 家臣のひとりが振返る。
 今にも首元に飛び掛かってきそうな、オブリビオンの童達の鬼気迫る様子。
 敵前逃亡をすれば、真っ先に殺されてしまうだろう。
「ったく……これだから愛っていうのは……」
「ご主人サマ?」
 悪態をつくカシムに、鎌剣ハルペーを持ったメルシーが首を傾げた。
「ひとまず、手筈通りに……退くぞ」
 鹿村の合図で、戦況が動く。
 メルシーはカシムとカシムを両脇に抱えると、音速で廊下を駆け抜けた。
「逃げたぞ、お、追いかけるぞ!」
「ま、待て……!」
 家臣達は死にたくない一心で、猟兵達を追い掛け始めた。
 それを監視するかのように、童達も後ろから追い縋ってゆく。

 鹿村が七振りの忍刀を仕込んだ場所まで戻ってくると、まずは踵を返して、なんと足元に苦無を投げ捨てたではないか。
「待った。ちょっと話を聞いてくれねーか? 戦うのはその後でも良いと思うけどなー?」
 鹿村の言葉に、家臣達と童達が警戒を強める。
 予想通りの反応にもめげず、鹿村は持ち前の『愛』について語り始めた。
「愛かー。掴み所無いけど欲しがる人は多いな? オレはさ、愛って、相手を気遣う事だと思ってる」
 首を傾げたのは童達。彼らは暴力と被虐でしか愛を感じられない。
 だが、家臣達の一部は、これに共感して小さく頷いていた。
「藩の侍方は、女に腑抜けにされた殿様を見捨てたいんじゃ無いよな? 愛情拗らせた童女が怖いだけで、藩への愛は消えてないだろ?」
 鹿村の問い掛けに、童達に悟られないように家臣達は肯定を表す身振りを見せた。
 その反応に、安堵した様子で鹿村はさらに問うた。
「なら敵は誰だ? オレらか? それとも……」
「せ、拙者は! やはりこの藩を守る!」
「あの女が殿を操っているのは明白! ならば猟兵側につくのが武士の矜持なり!」
 鹿村の説得によって、一部の家臣達が猟兵側へ付いてくれた。
 だが、それを童達が見過ごすわけもなく、家臣達に飛び掛かってゆく。
「愛を知らない奴はお前かぁ!」
「あぶねぇ!」
 鹿村は家臣達の背中を守るべく、自らの身を盾にして童達に噛み付かれた!
 滴る鮮血が畳を赤く汚す……。
 3人同時に噛み付かれた鹿村がゆっくりとしゃがむ。
「おいおい、そんなにオレの腕の肉は美味いかよ?」
 苦笑いしながら激痛に耐える鹿村は、童達を優しく抱き締めた。
「オレ修行して我慢できるけどー、痛い事されて愛に置き換えなきゃならないなんてシンドイな?」
 優しく温かい抱擁は、童達に未知の感情を胸の奥から湧き上がらせる。
「温かい……痛くなくても、安心する……」
「そうさ、これが優しさで、誰かを気遣う事、つまり愛だ。だから、お前らの愛ってさ――なんか証拠求めに必死で哀しーや」
 鹿村は念動力を発現させると、隠していた透明の忍刀を空中で操って飛来させる!
 童達を抱く手に力が籠もる。
 逃さないため、という意味もあるが、慰めの気持ちも籠もっていた。
「日野富子の趣味で、服は立派でも心が貧しかったら意味ねーだろ。……今度は幸せに生まれてこいよな?」
 3人の童達の背中から、忍刀の切っ先が心臓を貫いてみせた。
 何が起きたか分からないまま、童達は抱擁の余韻に浸ったまま絶命していった。
「……ああ、虚しいなぁ。こんな事させる小少将って奴は許せねーや」
 鹿村はその後もあちらこちらから忍刀を飛来させてはつかみ取り、念動力7連斬撃で童達を葬り続けていった。
 一方、カシムとメルシーのコンビは、何を思ったのか、全く攻撃を仕掛けていない。
 猟兵側へ付いた家臣達を念動障壁の内側に匿ったまま、カシムが鹿村同様、肉の盾として童達を抑えていた。
「ご主人サマ! いくら自分の血液にメルシーの生命力を注ぎ込んでるからって無茶だよ!」
 今だ恐怖の視界から逃れられずに攻撃を仕掛ける家臣達を足止めするメルシーが、主の負傷を心配していた。
 だが、カシムは叫ぶ。
「無茶じゃないですよ! これは、必要なことだ!」
 カシムは童達の身体から見え隠れする傷を見て気付いてしまった。
(打ち身や切り傷……なんて痛々しいんだ)
 殺す殺されることが愛だなんて、そんな認識はカシムは許せなかった。
 普段はスケベ丸出し性欲ダダ漏れのカシムであるが、だからこそ、このような愛を認めるわけにはいかないのだ。
「みんな、カシムさんの心臓の鼓動が聞こえますか?」
 肩や腕、脇腹を食い千切られてもなお、カシムは童達を優しく抱きかかえ、自分の心臓の音を聞かせようとしていた。
「僕の肉をどんなに食べたって構いません。ですが、それは愛ではありません。歓喜して良いことではないのです……!」
「駄目、ご主人サマ!」
 喉笛に噛み付かれたカシムは呼吸困難に!
 メルシーが家臣達を蹴りで薙ぎ払うと、鎌剣で喉に噛み付いた童の首を刎ね飛ばす!
「ご主人サマ、ごめん! でも、メルシーはご主人サマに死んでほしくないよ!」
「……ハァ、ハァ……ちょっと、加減を間違えましたかね?」
 危うく失血死する寸前だったカシムは、魔砲に催眠魔法を弾丸として込める。
「僕はお前達を殺したくない……。悪い猟書家を倒すまで、寝ててもらえますか?」
 催眠弾が童達の集団の中で爆発すると、たちまちその場で崩れ落ちて昏睡してしまった。
「はぁ……疲れました。少し、休みま……」
「ご主人サマのバカ……」
 割とよく育ったメルシーの胸元にカシムの後頭部をセットする。
「何しやがるんだ色情魔……まぁいいや……眠いです……」
 力尽きたカシムが寝入ってしまった。
「……ご主人サマ、ごめんね」
 メルシーはオブリビオンを無力化するだけでは、この事件は解決しないと思っていた。
「せめて、メルシーが優しく見送ってあげるね……?」
 体の一部をスライムのように液状化させると、昏睡した童達を捕食するかのように取り込んでいく……。
「……これで、いつでも一緒だよ」
 メルシーは泣きそうな顔で呟いた。
 これが救いになるかどうかは分からない。
 だが、カシムには黙っておこうとメルシーは誓うのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リサ・マーガレット
とりあえず、僕はスマホとダンスで愛を説明します。
どういうのかは、壊れやすいものでも受けられる愛。
迫ってくる敵は、持ち合わせの能力の、足場を使い吹っ飛ばしましょう。
ユーベルコード【スカイステッパー】は、あくまでダンスの補助、スマホは、音源です。少し話してからのほうがいいかな?
説得に成功したら、「魔力型速射式二丁拳銃」で攻撃開始です。
無差別攻撃はヘイトを集めて、援護してくれないと無理かな?
まあ、音楽を聴き続けながらでいけるかな。
緊急時の場合は【スカイステッパー】をここでも使って回避しましょう。
できれば「痛くしないで」とか言います。
キマイラのダンス、理解してくれると嬉しいけど。


備前・編笠丸鬼矗
貴殿等ッ!今こそ主君に忠義を見せる時ぞッ!

【行動】
主君の命に常に従いて、侍う事こそ武士の誉れ也ッ!

だが主君が道を外した時ッ!
その道を正すのも又ッ!
武士の忠義也ッ!!

誉れが残っているのならッ!
忠義が残っているのならッ!
刀を掲げ唱えよッ!!!
いざ鎌倉ッ!!!
いざ鎌倉ッ!!!
いざッ!!鎌倉ァァァッ!!!
(領内中に聞こえる程の【大声】)

愛を知らぬ童が相手かッ!
ならばめいいっぱい抱きしめてやろうッ!!
身体に誉れの炎を括り付けたまま、刺されようが臓物を食われようが両の腕一杯で強く抱きしめ誉れの炎を全て天火し自爆

南無八幡大菩薩ッ!!
願わくばこの童達の来世ッ!!
愛情溢るる生を与え給えッ!

自爆は天命回生で治す!


土斬・戎兵衛
ふぅむ、お金ちゃんの匂いに釣られてやってきたら、"愛"とね……
俺ちゃんだって持ってねーよ、そんなモノさ

まあ、さ
俺ちゃんも愛とかちょっと欲しい気持ちもあるけどね、手に入らないモノは仕方ない
ないならないで楽しくやろうじゃない?
切った張ったは好きかい? それを愛と思い込むくらいには好きそうだね
じゃあ俺ちゃんが相手してやるから、血飛沫舞い上げていこうか

愛に欠け、殺しだけは持つ者同士、UCで相手の動きを【見切り】大小で斬り込んでいく
相手の強化に負けないようにこちらも命を啜る【生命力吸収】の斬撃で対抗

さあさあ家臣の人達は下がっていた方が良い
ここは寂しんぼ同士の遊び場だ
混ざりたいってーなら構わないけどね



「愛を示せって、言葉じゃなくてもいいんだよね?」
 猫耳キマイラのリサ・マーガレット(活発系マルチダンサー・f32587)が、同行する備前・編笠丸鬼矗(鎌倉武士・f29057)と土斬・戎兵衛("刃筋"の十・f12308)に問うた。
 備前は編笠で表情こそ窺えないが、その覇気溢れる声量で質問に答えた。
「無論ッ! 愛とは信念と同義ッ! なれば時に行動で示すことも重要也ッ!」
 一方、土斬は肩を竦めて困り顔を浮かべた。
「ふぅむ、お金ちゃんの匂いに釣られてやってきたら、“愛”とね……悪けど、質問に答えてやれそうにないね。だって、俺ちゃんだって持ってねーよ、そんなモノさ」
 だが、そのまま言葉を彼は継いだ。
「まあ、さ。俺ちゃんも愛とかちょっと欲しい気持ちもあるけどね、手に入らないモノは仕方ない。ないならないで楽しくやろうじゃない?」
「うーん、とりあえず、僕はダンスで愛を表現してみるよ。音源はスマホだけど、なんとかなるかな?」
 早速リサはスマホのライブラリから音源を再生。
 リズミカルなBGMに合わせて、自分なりの愛をダンスで表現し始めた。
「キマイラのダンス、理解してくれると嬉しいけど。愛はダンスと一緒で、もっと自由でいいんだよ。傷付けるだけだって思い込むなんてもったいないよね?」
 ユーベルコードで空中多段ジャンプを披露すると、家臣達は思わずそのステップに魅了され、攻撃の手が止まってしまう。
 だが、童達は気が狂ったかのようにリサを追い回し始めた。
「ちょっとちょっと! 理性を失って無差別攻撃って厳しいんだけど?」
 童達は今、身体能力が超強化されて高速移動が可能になった代償として、理性を失って動くものを自動的に追尾して攻撃してしまう。
 ダンスをしながら動き回るリサは、その格好の標的になってしまった。
「2人とも、見てないで助けてください!」
 リサは備前と土斬に助けを求めつつ、魔力型速射式二丁拳銃を腰元のホルスター型抜いて空中で連射し始めた。
 だが、リサは今回が初任務。
 空中多段ジャンプできる『スカイステッパー』の残り回数が心許ない!
「今、地面に降りたら、僕がゾンビ映画みたいに全身を噛み付かれそう……。出来ることなら痛くしないでね? 無理だろうけど!」
 やむなく、部屋の鴨居に脚を絡ませて逆さ吊りになると、その体勢のまま二丁拳銃を乱射!
 リサの動きが止まったことで追尾を止めた童達は、リサに飛びかかる前に、発射された弾丸に注意が向いた。
 そのまま自ら弾丸を浴びに向う童達に、リサは心中複雑な思いをいだきながら引き金を何度も引き続けた。
 その傍らで、助けを求められた備前が起こした行動は――?

「貴殿等ッ! 今こそ主君に忠義を見せる時ぞッ!」

 ダンスに見惚れていた家臣達に喝を入れている真っ最中だった。
「主君の命に常に従いて、侍う事こそ武士の誉れ也ッ! だが主君が道を外した時ッ! その道を正すのも又ッ! 武士の忠義也ッ!!」
 どういうことだ、と怪訝な表情のまま、家臣達が備前の演説を聞き入っている。
 その声は不思議と家臣達の心を掴んで離さず、魂の熱量が増幅させてゆくのを彼らは感じていた。
「誉れが残っているのならッ! 忠義が残っているのならッ! 刀を掲げ唱えよッ!!!」
 唱和せよと言わんばかりに、巨大妖刀『備前地国』の禍々しい刀身を掲げる備前。
「いざ鎌倉ッ!!!」
 これに家臣達は首を傾げたのは言うまでもない。
 今は江戸似幕府がある時代だ。
 鎌倉に幕府があったのは遥か古代のこと。
「「い、いざ……鎌倉……!」」
「声が小さいッ! いざ鎌倉ッ!!!」
 だが備前は此世に蘇った鎌倉武士のデッドマン。
 ならば決起の言葉はこれしかありえないのだ。
「いざ鎌倉ッ!!! いざ鎌倉ッ!!! いざ鎌倉ッ!!!」
 備前の連呼は、次第に家臣達に熱量を届けて感化させてゆく。
「今一度ッ! いざッ!! 鎌倉ァァァッ!!!」
「「いざッ!! 鎌倉ァァァッ!!!」
 城中に響き渡る鎌倉への決起の言葉。
 家臣達も目が血走っている。
「我らが間違っておりました! ユーベルコードがなくとも、彼奴らは敵なり!」
「猟兵方をお守りするのだ!」
 発破をかけられた家臣達は、リサへ群がる童達の背後から斬り掛かり始めてた。
 勿論、ユーベルコードを持たぬ家臣達の攻撃は、童たちに致命傷を与えることが出来ない。
「あぁ、私愛されてるっ!!」
 斬られた童達は、死んだ仲間の肉を貪りながら傷の痛みを『愛』だと捉えて自己強化を図る。
 そこへ、備前が両手を広げて童達に歩み寄る。
「愛を知らぬ童が相手かッ! ならば、めいいっぱい抱きしめてやろうッ!!」
 そう告げる彼は、重さ1tの誉れあるC4爆弾を怪力でどうにか担いでいた。
 童達は狂ったように備前の身体を抉ったり食い千切ったりするが、デッドマン故に肉体が自然と復元されてゆくのである。
 故にダメージはないに等しい。
「南無八幡大菩薩ッ!! 願わくばこの童達の来世ッ!! 愛情溢るる生を与え給えッ!」
 爆弾を抱えたまま、備前は童達数人と共に城の障子窓から飛び降りた。
 数秒後、凄まじい衝撃波と爆炎が猟兵達に襲い掛かった!
「おいおい、デッドマンだからって自爆特攻とか思い切りが良すぎないかい?」
 顔が引きつる土斬。
 そこへ童達がジリジリとにじり寄ってゆく。
「ねえ、もっと愛してあげる! だから食べていいよね?」
 土斬の身体を貪らんと狙う童達に、土斬は本差し・分渡(わかちわたり)を鞘から抜いてみせた。
「切った張ったは好きかい? ま、それを愛と思い込むくらいには好きそうだね。じゃあ俺ちゃんが相手してやるから、血飛沫舞い上げていこうか」
 土斬が目の前のオブリビオン達と自分を重ね合わせた時、ユーベルコード『“人殺シハ人殺シヲ知ル”』が発動する。
 次の瞬間、飛び掛かってきた童の身体が、一陣の風とともに上半身と下半身が真っ二つに断ち切られてしまったではないか。
 剣を振る速度が肉眼で捉えられない!
「違う刻、違う処であっていたら……、仲睦まじくはなれまいか。どうせ拙者らは人殺しゆえに、血風の中でしか理解り合えない……」
 土斬は、自身を人斬りだと定義する。
 そして目の前の存在もまた人を殺す存在だ。
 彼と目の前の対象が、同じ性質・思想などを持っていると理解した時、土斬りの殺人技量は普段の3倍に跳ね上がるのだ!
「斬れば斬るほど、刃が血を啜り、摩擦が減って剣を振るう速度は際限なく高まってゆく。終いには音速を超えるかもしれないね」
 まるでかまいたちに斬り刻まれるかのように、童達は為す術もなく身体がバラバラに溢れてゆく。
「さあさあ家臣の人達、援護はこれくらいでいいので、あとは下がっていた方が良い。ここは寂しんぼ同士の遊び場だ。もっとも、これ以上混ざりたいってーなら構わないけどね」
 血風の嵐の目となった土斬は童達を鏖殺しながら、猟書家の待つ評定場へ向かっていった……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ニクロム・チタノ
ボクも愛なんて無い場所で育ったけど、今はきっとこれだと思う愛はあるよ!
それは反抗だ!
家臣のヒト達は本当はお殿様を救いたいと思ってるんじゃないの?
元に戻したいんだよね?
それなら反抗の竜チタノの加護と導きを
みんなもチタノと一緒に反抗しよう、それこそお殿様に対する愛だよ!
子供だっていつまでも母親にくっついてちゃダメお母さんに反抗するのも愛だよ!
なんかボクを作ったヒトが言うには産みの親は子供が反抗するとき、自分の予測を超える時が嬉しいんだって?
つまり、反抗は、愛・・・
そうきっと愛なんだよ!
さあ反抗の竜と一緒に愛を示そう!
この反抗(愛)にチタノの加護と導きを



 猟兵達の奮戦と説得によって、家臣達の大部分がオブリビオンから離反した。
 だが、それでもまだ猟兵達に刃を向ける者らもいた。
「殿が御乱心しても、我が忠義は此処に在り……!」
「もう誰も信じられぬ! 来るな、来るなぁ!」
 ある者は行き過ぎた忠義から、またある者は恐怖で清浄な判断を下せず、それぞれの問題を抱えた者らが最後までオブリビオンと共に抵抗をしていたのだ。
 これにニクロム・チタノ(反抗者・f32208)は確信的な口ぶりで家臣達に告げた。
「ボクも愛なんて無い場所で育ったけど、今はきっとこれだと思う愛はあるよ! それは反抗だ!」
 断言するニクロムの胸に刻まれた反抗の印から蒼炎が吹き上がる。
 半分だけの仮面を被ったニクロムは、家臣達に自分が反抗の竜チタノに選ばれた存在であることを伝えた上で説得する。
「家臣のヒト達は本当はお殿様を救いたいと思ってるんじゃないの? 元に戻したいんだよね?」
 刀を構える家臣達は、思わず目を泳がせた。
 妙な素振りをすれば、背後に控える童達の歯牙に掛かってしまうことを怖れているのだ。
 だからこそ、ニクロムは訴える。
「それなら、反抗の竜チタノの加護と導きを、ここに! みんなもチタノと一緒に反抗しよう、それこそお殿様に対する愛だよ!」
 ニクロムの言葉と共に、蒼炎が竜を象り始める。
 ユーベルコード『反抗の竜(チタノ)』は、無敵の反抗の竜チタノを想像から創造し、戦闘に利用できる。
 疑問視すると弱体化するが、ニクロムが己に反抗の意義と力を与えてくれた存在を疑問視するわけがなかった。
 突如、目の前に現れた反抗の竜に、家臣だけではなく童達も驚愕して呆然と立ち尽くしてしまう。
「これからこの竜に愛されるの? すっごく愛してくれる?」
 ダメージを被るのが童達のユーベルコードの発動条件がゆえに、今はチタノの攻撃を待つばかり。
 そんな姿勢に、ニクロムが一喝した。
「違う! 子供だっていつまでも母親にくっついてちゃダメ! お母さんに反抗するのも愛だよ! それに他人任せなのもダメ! 他人にも反抗しなきゃ! なんかボクを作ったヒトが言うには産みの親は子供が反抗するとき、自分の予測を超える時が嬉しいんだって? つまり、反抗は、愛……そう、きっと愛なんだよ!」
 ここに来て、家臣達も怪訝な表情を浮かべ始める。
 確かに、この場はオブリビオンへの反抗の意を示すべきだろう。
 しかし、ニクロムは演説ばかりで攻撃する素振りがない。
 家臣達はオブリビオンを倒す技量は持ち合わせておらず、だからこそ、説得で童達が怯んだ隙に痛烈な攻撃を加えよとグリモア猟兵も示唆したはずだった。
 だが、ニクロムは延々と反抗の素晴らしさを説き続けているだけだった。
 しかもその言葉尻は次第に熱が籠もって、家臣達を置き去りにしてしまっていた。
 幸いにも、呼び出された反抗の竜の存在が童達の攻撃を牽制し続けているため、家臣達はどうにか此処から離脱することは出来た。
「そうだ、ここから離脱するのもオブリビオンへの反抗、つまりお殿様への愛! さあ反抗の竜と一緒に愛を示そう! この反抗(アイ)にチタノの加護と導きを!」
 その後、暫く演説と聴講という両者睨み合いが続いたため、ニクロムはやむなく妖刀に超重力を宿して、童達の各個撃破に奔走するのであった……。
「もしかして、最初からこうすればよかった……?」
 撃破後、少しニクロムはどうするべきだったか考え込んでしまった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『『小少将』』

POW   :    墨に溺れて、武を忘れよ
【墨色の扇から呼び出される黒い津波】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を水場に変え、召喚した小型船に乗って】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    死生知らずの野武士のあなた
【扇から溢れる墨で創られた黒い具足を与える】事で【誑かした対象が天下無双の武者】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    傾城の烈女
【魅了】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【かつて『小少将』の夫だった亡者達】から、高命中力の【妻に言い寄る者を排除するための怨念】を飛ばす。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠火霧・塔子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 童達が撃破され、家臣達もオブリビオンから離反した。
 残るは洗脳された藩主と、愛を囁くことで藩主を骨抜きにした猟書家『小少将』の2人だけが城に残っていた。
「小少将……助けてくれ! 家臣共はわしを全員裏切りおった!」
「あらあら可愛そうなお殿様だこと……大丈夫です、私はあなたの味方ですわ」
 小少将は藩主を部屋の奥へ退かせると、墨染の大扇子を開いて微笑む。
「私達の愛の巣を……よくも土足で踏み込んでくれましたね? こうなったら、あの男だけでも籠絡して、いっそ家臣はオブリビオンで構成しましょうか。その前に、猟兵達を皆殺しにして、その首級をクルセイダー様への忠義の証として献上するとしましょう」
 墨染の大扇子から、モヤのような液体のような、摩訶不思議なモノが漏れ出て漂い始める。
 あちらは既に戦闘準備が整っているようだ。
 猟兵達よ、猟書家を撃破し、女難の藩主を正気に戻すのだ!
ニクロム・チタノ
うーん美人には違いないんだけど魅力より薄ら寒い感じがするな~
ボクのこと洗脳して悪いことさせてたヒトにそっくりだよ・・・
というか、最初の作戦ミスったね
もう殆ど体力ないよ、相手ピンピンだしあげくこんな狭いとこで津波だしてくるし相手は小舟の上で余裕だし
でも後から来る猟兵のみんなのためにも反抗しないとね、こう必勝を確信した時こそ隙が生まれるんだよね?
つまり、反抗の時は来た
弱体化の光線食らってくれる!
みんな後お願い
あとに続く猟兵のみんなに、チタノの加護と導きを


土斬・戎兵衛
家老の人とかいないかな?
俺ちゃんが敵を斬り殺してくるから、報酬の方の話をしようか
話がついたら『小少将』打倒の命を受けUC発動

黒い津波は首枷の上に乗り【サーフィン】の要領で回避し、UCでアップした機動力と【軽業】で敵の船に跳び移る

藩主さんは殺すわけにはいかないからね
純粋なスピードじゃ敵いそうもないし【見切り】で対応
定切の峰打ち【マヒ攻撃】で動きを止める

魅力の力?
おねーさんはお金持ちに取り入ってタカる側の人間でしょ?
俺ちゃんもそっち側だから上手く番いになれないよ
日野富子さんだったらお金持ちだし、俺ちゃん魅力されちゃうかもだけど
でもあの人は金くれねーだろうな

接近できたら大小の【二回攻撃】で【切断】だ


高宮・朝燈
「これは…ねちっこく追い込む攻撃の方が良いかも?」
相手は自身を強化する事に長けてるみたいだから、ここは攻撃の強い仲間の為に隙を生ませるやり方にしようかな。バール先生は回避専念しつつ、タブレットにポインターを繋げて…
「先生、回避重点で! FCS起動するよ!」
『小少将』の攻撃を回避しつつ、ポインタを当てる。さすがに光は避けられないよね?
「そーれ、追尾ミサイル発射!」
避けに転じるか、弾幕をかいくぐるか…どっちにしても隙は出来るはず!

「早くここを終わらせて、帰る前におばーちゃんトコに寄らせてもらうんだから」
なお、『おばーちゃんトコ』は上越高田藩の城下。寄れるかは疑問である。



 遂に牙を剥く猟書家『小少将』を前に、猟兵達は各々胸中に思いが渦巻く。
「うーん美人には違いないんだけど魅力より薄ら寒い感じがするな~? ボクのこと洗脳して悪いことさせてたヒトにそっくりだよ……」
 ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)は仮面から半分覗かせた表情を曇らせる。
 その傍らで、土斬・戎兵衛("刃筋"の十・f12308)は先程説得して味方に付けた家老と何やらヒソヒソと話し合っていた。
「俺ちゃんが敵を斬り殺してくるから、報酬の方の話をしようか。藩主さん、助けたいでしょ?」
「むぅ……やむを得ぬ、これほどで如何であろうか?」
 家老から提示された額面に、土斬は思わずニンマリと顔が綻んだ。
「おお、こんなにくれるの? それじゃ、こいつで契約しようか」
 髑髏の意匠の黄金の腕輪型メガリス『唱い髑髏』の口が勝手に動き出す。
『猟兵が猟書家を斬り殺せたら報酬を支払う。反故にしたら呪われるぞ……』
「ひっ!?」
 家老は魔法によって傭兵契約を結ばされてしまった。
「ぐぬぬ、呪われるのは勘弁だ。金払いは保証するから、はよ此奴を斬ってくれ!」
「ふむ、命令を受諾っと。待っててね、お金ちゃん? 俺ちゃん頑張っちゃうから」
 土斬は誰かの命令を承諾すると、報酬額に応じて戦意を向上させて実力以上の力を発揮することが出来るのだ。
 本差し・分渡を小少将に向けて突き付け、まずは踏み込んで小手先に一撃加えようとする土斬。
 だが、小少将は墨染の扇から黒い津波を溢れ出し、猟兵達を押し流さんとする。
「ふふふっ、墨に溺れて、武を忘れよ」
「うおっ?」
 土斬はいつも持ち歩いてる首枷の板に上にひょいと飛び乗り、黒い津波の上に乗って器用に掻き分けて進んでゆく。
「家老さん、ここは危ないから他の部屋へ逃げて!」
「わ、分かった! 気を付けるのだぞ!?」
 柱にしがみついていた家老を救助した後に、土斬は小少将を見遣る。
「おっかしいな? さっきまでここ、畳張りの部屋だったはずなんだけどね?」
 墨色の海が部屋を満たし、その上に浮かぶ小型船に猟書家が乗り込んでいた。
「うーん、最初の作戦ミスったね。もう殆ど体力ないよ、相手ピンピンだしあげくこんな狭いとこで津波だしてくるし相手は小舟の上で余裕だし」
 ニクロムは漂う襖にしがみついた状態で、墨の海の上に漂流している。
「でも後から来る猟兵のみんなのためにも反抗しないとね、こう必勝を確信した時こそ隙が生まれるんだよね?」
 ならば、必ず反抗の機会は訪れる。
 ニクロムはそう信じながら、今は機会を伺うことにした。
「びっくりしたー! 先生、溺れないように気を付けてね?」
 一方、高宮・朝燈(蒸気塗れの子狐・f03207)はガジェット『バール先生』の上でプカプカと浮きながら思考する。
「これは……ねちっこく追い込む攻撃の方が良いかも?」
 敵は小型船に乗って墨の海に浮かぶことで自身の強化に繋げている。
 ならば、高宮自身はサポートに回り、他の猟兵の立ち回りを促すべきだと考えた。
「ここは攻撃の強い仲間の為に隙を生ませるやり方にしようかな。先生、回避重点で! FCS起動するよ!」
 ざぶざぶと墨の海を掻き分けながら、高宮は『半手動FCS式マイクロミサイル『糸引き納豆』(レーザーアテタトコニタイリョウノナットウミサイル)』を撃つべくレーザーポインターを小少将に照射する。
「何です、この赤い光は? 痛くも痒くもありませんけど? もう一発、津波でも食らって転覆しなさいな」
 扇から高宮の背丈を超える墨の波濤が押し寄せる!
「先生、波乗りモード!」
 ガジェットを操作して遊泳に適したアームに装填すると、高宮は転覆することなく上手に荒波を乗り越えてゆく。
「光は避けられない上に、それ自体はダメージがない。だから油断を誘える! えーと、タブレットにポインターを繋げて……よし!」
 準備が出来た高宮は、ガジェットのボタンをポチッと押し込んだ。
「早くここを終わらせて、帰る前におばーちゃんトコに寄らせてもらうんだから! そーれ、追尾ミサイル発射!」
 ガジェットの体中から、白い煙の軌道を描きながら一斉に発射される無数のマイクロミサイルが猟書家の乗る小型船に殺到!
「まず……っ!」
 回避する暇など与えられなかった小少将は、小型船を盾にして墨の海に飛び降りた。同時に墨の海を消し去り、畳の上に足をついたと同時に、爆風でその身体が隣の部屋へ襖を突き破って吹っ飛んでいった。
 転がり込んだ部屋には、退避していた藩主が狼狽していた。
「おお! 小少将! 一体、何があったのだ!」
「嗚呼、お殿様……! どうか、私の敵をとってくださいまし……!」
 小少将は扇子から墨色の液体を藩主へ纏わせると、黒い具足へと変化させて力を与えた。
「なんと! 力が、湧き上がってくるぞ!」
 藩主は天下無双の武芸者へと仕立て上げられ、猟兵達へ刀を抜いてみせた。
「愛する者を守るため、貴様らはわし自ら手討ちにしてくれる!」
「2人とも、下がって。ここは俺ちゃんが引き受けるよ」
 藩主と土斬が刀を構えたまま睨み合う。
 墨色の具足は、藩主の生命力を蝕む代わりに人間の技量を超越させる諸刃の刃。
 一刻も早く解除しなくてはならない。
 途端、土斬の視界から藩主の姿が消えた。
「疾い――っ!」
 振り返り、刀を前に押し出した土斬。
 ほぼ同時に、手元に強い衝撃が伝わってきた。
「ふむ? 今の一撃、完全に死角から入れたはずだが?」
「家老さんが藩主さんを助けるために、俺ちゃんは用心棒として雇われたんでね? お金ちゃんを拝むためにも、俺ちゃんは死ねないよ。勿論、藩主さんも殺させないよ」
 強化された第六感は、まさに明鏡止水の心。
 回避ではなく攻撃を受け止めることで、敵の動きを釘付けにしたのだ。
「足、止めたね? この時を待ってたよ!」
 小太刀・定切を抜き払い、峰で藩主の腰を強打!
 具足の上からでも伝わる強い衝撃が、着込んだ鎧を砕き、身体の自由を奪った。
 その頃、ニクロムは小少将へ単身飛び込んで妖刀を振り回していた。
「当たれ、当たれ……!」
 体力も限界、剣筋も大雑把。
 もはや刀を振り回しているだけに過ぎない攻撃は、あまりにも拙すぎる。
 当然、小少将はこれを余裕綽々と回避し続ける。
「息が上がっていますよ? どれ、少し休んでいきませんか?」
 小少将はニクロムへ、ユーベルコードによる魅了を行う。
 ニクロムの振るう腕が止まり、瞳孔は開いて呆けてしまう。
 小少将は完全に勝利を確信した。
「くふっ! はははっ! やはり私の美貌の前では全てが無力! さあ、かつて私を寵愛した男達の怨念を喰らうがいい!」
 ニクロムを墨色のモヤが包み込んでゆく。
 それは怨念の具現化、呪いというべき漆黒の闇。
 そこにニクロムが為す術もなく呑まれてゆく……かに思えた。
「――やっぱり、油断したね? 勝利を確信したね?」
 闇の中から力強くニクロムが声を張り上げた。
「ならば、今こそ反抗の時!」
 闇を食い破る反抗の竜チタノが召喚されると、その口から禍々しい光線が猟書家へと吐き出された!
「弱体化の光線食らえ!」
 薄れゆく意識に、ニクロムは無意識に呟く。
「みんな……後お願い。あとに、続く……猟兵のみんなに、チタノの加護と導きを――」
 閃光が空間を満たのと同時に、ニクロムが卒倒する。
「きゃあぁーッ!?」
 そして本日2度目の爆発をその身に浴びた小少将が宙を舞った。
 そこへ駆け寄るは土斬だ!
「魅力の力? おねーさんはお金持ちに取り入ってタカる側の人間でしょ? 俺ちゃんもそっち側だから上手く番いになれないよ」
 悪いね、と一言だけ詫びると同時に、大小の刀で小少将を容赦なく斬り伏せた!
「日野富子さんだったらお金持ちだし、俺ちゃん魅力されちゃうかもだけど、でもあの人は金くれねーだろうな」
 力を使い果たて倒れ込んだニクロムを、高宮がガジェットで回収するのを確認した土斬は、この戦いを後方から見守ることにした。
「そういえば、上越高田藩の城下ってここから近い? おばーちゃんトコなんだけど?」
 その傍らで、既にひと仕事終えた気分の高宮が家臣達に道を尋ねるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

カシム・ディーン
…ちょいと眠ってしまってたか
メルシー…あの童達は…?

…そっか…悪いな(深く聞かずに唯メルシーの表情を見て頭を撫でるのだった

はぁ…僕はエロい事がしたいのに…お前…萎えますね

まだメルシーの方がましですよ
「えへへー♥」

なので叩き潰してレモンのお胸でも堪能しますか
「蛇姫様に殺されない?」
お前も付き合え
「了解♥」

…メルシー…お前の力を僕に逆流させろ…僕も魔力をお前に回す
「え…これは…!」
お前も賢者の石を名乗るなら…新技ぐらい見出して見せろ
新UC発動

【情報収集・視力・戦闘知識】
動きと癖
死角を把握
【属性攻撃・スナイパー】
超高速で飛び回り熱線で蹂躙
メルシー
【二回攻撃・切断】
突撃して鎌剣による斬撃!

後は超絶連携



 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)が目を覚ます。
 後頭部に伝わる柔らかな感触を心地良く思いながら、それをおもむろに掴んだ。
「いやん♪ ご主人サマってば積極的……!」
「お 前 の か よ ク ソ が」
 カシムはすぐさま飛び起きた。
 柔らかな感触の正体は、相棒のキャバリアが変身したメルシーのふくよかな胸元であった。
「ああ、童達を同行した後に寝てしまいましたか。メルシー……あの童達は……?」
 カシムの問いに、メルシーは唇を硬く閉じたまま首を横に振った。
 これにカシムは眉間にシワを寄せて低く唸った。
「……お前……萎えますね」
「……でも、オブリビオンは斃さなくちゃいけないから」
「ああ、分かってますよ。でも、あの童達は被害者でしょう? 僕には手を掛けられませんでした」
「ご主人サマ……」
 意気消沈するカシムに寄り添うメルシー。
 普段は撥ね退ける彼であったが、この時ばかりはすんなり受け入れる。
 それくらい落胆しているのだ。
「はぁ、まだメルシーの方がましですよ」
「えへへー♥」
「なのでとっとと猟書家を叩き潰して、この依頼を紹介してくれたグリモア猟兵の胸でも揉みますか」
「……止めたほうがいいよ?」
 その声色は迫真だった。
 カシムは「お前も付き合えよ」と気軽に言えないほどの凄みを感じた。
「お前がそこまで言うなら、止めるか……」
「触らぬ蛇神に祟りなしだよ?」
「そ、そうか……」
 神の怒りを進んで買うなんて行為は愚かの極みだ。
 2人はとにかく、猟書家と猟兵が戦闘を繰り広げている最前線へ急行した。

 カシムは頭を抱えてしまった。
「……って、戦うのは藩主かよ!」
「ふははは! 先程は遅れを取ったが、此度は更に強固な具足を拵えてもらったぞ!」
 藩主は小少将により強固かつ寿命の消費度合いが激しい鎧を身に纏い、カシム達に戦いを挑んできた。
「どうする? ご主人サマ? 藩主の人を殺しちゃったら任務失敗だよ?」
「分かってますよ……。嗚呼、もう、ざっくりとしか対策を考えてなかった僕が恨めしい!」
 猟書家を蹂躙すればいいとしか考えてなかったため、藩主の事を頭からすっぽり抜け落ちていた。
「大丈夫、ご主人サマ? 最近、こういう事多くない?」
「うるせえ。とにかく、仕方がないですね。メルシー、お前の力を僕に逆流させろ……僕も魔力をお前に回す。藩主はお前がどうにかしろ。僕は猟書家をやる……」
「う、うん、分かったよ。え……これは……!」
 紛れたカシムの魔力とメルシーの思考がリンクした瞬間、キャバリア形態で繰り出していたユーベルコードが、人間の姿のまま発動できるようになったことをメルシーは悟った。
 カシムは確信的な笑みを浮かべていた。
「やはりそうですか。お前が賢者の石で、メルクリウスだっていうなら、その姿でもあのユーベルコードを再現できると踏んだまでです」
「最初から狙って?」
 問いかける相棒にカシムが胸を張る。
「当然だ。それにお前も賢者の石を名乗るなら……新技ぐらい見出して見せろ」
「……うん! ラジャったよご主人サマ♪ メルシーとご主人サマのスペシャルアタック見せちゃうぞ☆」
 マッハ30で駆け抜けるメルシーが、部屋中を立体駆動しながら藩主を牽制!
 藩主もマッハ10で動き回るため、部屋中は衝撃波で風が逆巻き始める。
「そのまま藩主を足止めしていろ! さて、僕は……」
「く、来るな! お殿様、お助けを!」
「そうはさせないよ!」
 藩主の3倍のスピードで行動可能な今のメルシーに、藩主の足止めなど容易いことだ。
 故に、メルシーに阻まれた藩主は、カシムの凶行を遮ることは出来ない。
「本当はその身体でエロい事をしたかったのですが、今は気持ちが変わりました。そのまま撃たれてくたばれ」
 杖型の魔砲『カドゥケウス』から超高熱のビームが発射されれば、猟書家の肌が音を立てて灼かれてゆくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鹿村・トーゴ
情けないのか人が良いのか掌で転がされてンなァ
猟書家に魅入られちゃ仕方ねーが主君のこんな姿は仕え甲斐失くすぜ
最初に家臣落胆させたの殿様だし
…挽回もして貰いたいな

墨で天下無双…ね?
任でも無いのに他藩の殿様はオレには殺せねーな
怪我は勘忍してよ?

UC+【地形の利用】で壁、天井、柱、敵の武具も自在に走り
【カウンター/野生の勘/武器受け】で攻撃弾き即反撃【暗殺】
→距離を取り手裏剣を武者と小少将へ【念動力/投擲】
→武器を追い武者へ接近クナイで攻撃
→後退し敵を誘い小少将へ徐々に近づけ【罠使い】間際で回避し
武者が小少将を攻撃するよう仕向け
オレも同時かそれより早く小少将をクナイで刺し斬る【串刺し/暗殺】

アドリブ可


リサ・マーガレット
猟書家か、データくらい欲しいかな。
妖精を剣にして、【篝火の乱】で、剣を放って空間を変更します
その剣で舞うように戦います。
緊急回避は【スカイステッパー】で決まり。
どうにか洗脳効果を上書きできればいいが、寵姫じゃないから無理かな。
とりあえず、曲はイヤホンなしで流すから、聞いてくれないかな?
どんな曲か?やっぱりサムエンって言ったら太鼓でしょ!



「ぐぬぬ……! 小少将はわしが守る!」
 猟書家が作り出した墨色の具足がよほど頑丈なのだろうか、三度立ち上がる藩主。
 かなり寿命を蝕まれ始めており、このままでは命を落としかねない。
 一見、決死の覚悟のように見えるが、これが洗脳によるものだと鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は知っていた。
「情けないのか人が良いのか掌で転がされてンなァ。猟書家に魅入られちゃ仕方ねーが、主君のこんな姿は仕え甲斐失くすぜ」
「小僧! 口を慎め!」
 怒り狂う藩主が、凄まじい勢いで鹿村へ突撃してきた!
 それを鹿村はなんと、柱の横に“立つ”と、そのまま天井へ駆け上がることで回避してみせたではないか!
 すれ違いざまに苦無で藩主の剣撃を弾き返せば、目の前で火花が散った。
 いきなり壁を速歩きし始める鹿村に、藩主は唖然としてしまう。
「何っ? さては忍術か!」
「まー正解っちゃ正解だな。ユーベルコードで、足の裏に吸盤を生やしたんだ。殿様がイノシシみてーに突っ込んでくるだけだから、柱の上を走るだけで回避できたのは助かったぜ」
 ユーベルコード『瑞渡り』……自身の身体部位ひとつを何処でも平地同様に歩行出来るように変異させる効果を持つ。
「寄せの術……うかみの渡り足、ここへって具合にさ? 天井も“歩ける”ぜー? 凄いだろ?」
 足裏の強力な吸盤のおかげで、鹿村は逆さまにぶら下がって立ってみせる。
 藩主の頭上を取る形になり、藩主もこれでは手が出せない状況だ。
「墨で天下無双……ね? 任でも無いのに他藩の殿様はオレには殺せねーな。怪我は勘忍してよ? あとさ、最初に家臣落胆させたの殿様だし……挽回もして貰いたいな」
「何をごちゃごちゃと! そこから降りて尋常に勝負しろ!」
「おいおい……忍が正々堂々と戦うわけ無いだろ?」
 そう告げて後退し始める鹿村。
 引き際に、渋い顔の猟書家を煽ってみせる。
「おばさんもいつまでそこに突っ立てる気? そこ、危ないぜ?」
「誰がおばさんです、か……?」
 猟書家の怒声を掻き消すように、2連続の銃声が戦場に響いた。
 途端、小少将の身体に紅血の花が二輪咲き散った。
「おや、忍者くんは僕の奇襲が分かってたような口ぶりだね?」
 赤毛のポニーテールの少女ことリサ・マーガレット(スカイダンサーのオウガスレイヤー(自称)・f32587)がニヤリと口元を歪めた。
「銃撃の次は剣舞と行こうか。対猟書家戦の戦闘データが取れるくらいには粘ってくれよ?」
 リサは懐いている精霊に魔力を込めると、その形が打刀へ変化した。
「たとえ、僕が倒れても、勝利への意思は、変わらない」
 打刀の刀身は炎が滾り、斬撃の軌跡を描きながらリサは剣舞を始めた。
 そのまま白兵戦へ持ち込むと、小少将に何度も斬りかかろうと試みる。
 だが、小少将はかつて自身を愛した男の怨念を現世に顕現させてリサへ襲わせる。
「おっと、回避はスカイステッパーで……」
「おい待てよ。一度に2種のユーベルコードは使うと片方が対策できなくなるぜ?」
 鹿村の制止の声を受け、リサは慌てて怨念の攻撃から後ろへ飛び退いた。
「え、そうなの?」
 リサは猟兵になってまだ日が浅いせいか、猟兵としての基本的な戦闘知識……『一度の戦闘につき、使用できるユーベルコードはひとつのみ』という大原則を知らなかったようだ。
 もしそのままスカイステッパーで回避を試みた途端、空間を飛び移る前に超高速移動してくる藩主の刀で真っ二つにされていただろう。
「ううん、そうなるとやっぱりこれか」
 リサは敢えて敵ではなく畳や調度品を攻撃することで、そこに篝火と花畑を出現させてゆく。
 そこに立つリサの戦闘力が向上することで、怨念を追い払ってゆくリサ。
「どうにか洗脳効果を上書きできればいいが、寵姫じゃないから無理かな。とりあえず、ダンス用に曲はイヤホンなしで流すから、聞いてくれないかな?」
 スマートフォンから音量最大で流れてくるのは、勇ましい太鼓の音だ。
「やっぱりサムエンって言ったら太鼓でしょ!」
 荒々しい太鼓のリズムと共に、リサの剣舞はパワーアップ!
 怨念を斬り裂き、足元が花畑で覆われ、周囲は篝火で満たされてゆく。
「これは……!」
 あまりの猛攻ぶりに、小少将は退かざるを得ない。
「小少将よ! 此方へ!」
「ああ、お殿様!」
 藩主が手招きする方向へ、小少将が堪らず逃げ込んだ。
 猟書家が襖を開けて振り返った、その時だった。
「残念だな? ここはもうオレの領域だ」
 コウモリのように天井にぶら下がる鹿村がニタリと笑みを浮かべた。
 指先をちょいっと動かせば、部屋中から嵐のように殺到する無数の苦無が小少将こと藩主を襲う!
「小少将ぉー!」
 藩主は身を挺して猟書家を庇ったことで、墨色の具足が粉々に破壊されてしまった。
「嗚呼、お殿様! ありがとうございました!」
 洗脳によって肉盾を得られたと歓喜する小少将。
 だが、その腹に脇ざきが突き刺さっていることに気が付いた。
「いっ……ぁぁあっ!?」
「ハッ……! わしを誑かした報いを受け、よ……ぅぅ……」
 どうやら先程の鹿村の攻撃で、洗脳が一瞬だけ解けたようだ。
 そのまま気絶した藩主を、鹿村は念動力で邪魔にならない場所へぽーいと放り投げた。
「なるほど……先程退いたのは、この部屋に罠を仕掛けるため……! 更に念動力で苦無を操作できると?」
 小少将がカラクリに気付くが、もはや時既に遅し。
「そういうこった。しかし最後の最後でお殿様、男を見せたなァ? その心意気、無駄にはしねーよ」
 鹿村は部屋中に隠した苦無の第二波、第三波を解き放ち、猟書家をハリネズミのようにしてしまう。
「愛を知らなかった殿様の純情を弄んで、藩をまるごと乗っ取ろうとしたあんたの悪事も、ここまでだ……!」
 鹿村は天井を速歩きすると、小少将の頭上に足を絡めて飛び移った!
「じゃあな? 痛みは一瞬だぜ?」
 右手に持った苦無を小少将の喉元奥へ深々と突き刺し、反動を付けて敵の頭を上下にゴキンッとねじ伏した。
 急所をねじ切られた猟書家は、何が起きたかも把握できないまま、骸の海へと沈んでいったのだった……。

「わしは腹を切って、皆に詫びようと思う」
 正気に戻った藩主の第一声がこれだった。
 当然、家臣達に止められて事なきを得たわけだが、本人は色恋沙汰は懲り懲りだと言って、近日中に隠居すると宣言した。
「いきなり藩の代替わりかぁ……忙しくなるな……」
「次代の藩主候補はどうなっておるのだ?」
「はっ、その件ですが、現藩主に跡取りがおらず、弟君に家督を譲ることになろうかと……」
 家臣達は事件解決後も忙しなく後処理に追われる。
 猟兵達は、この藩の今後の繁栄を祈りつつ、各自の帰路につくのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年03月25日


挿絵イラスト