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常冬の街、永遠のジングル

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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「ジングルベ~ル♪ ジングルベ~ル♪ ジングルオーザウェーイ♪」
「なんて~楽しい~ソリの遊び、ウェーイ!」
 白いもふもふ飾りがチャーミングな赤い三角帽を被ったキマイラたちが、ノリノリで歌いながらソリすべりをしている。トナカイの角を持った住民が割合的には多いようだが、その姿はキマイラらしく千差万別。なのに、みんな同じように赤い衣装を着ていた。

 この街には、遺失文明によって一年中ほどよく涼しい人工雪が降り、街のいたるところでスキーやスノーボード、ソリ遊びが楽しめる。夜になればキマイラたちが各々の芸術性を競い合うように街じゅうに飾り付けたイルミネーションが煌めいていて、昼間とは違った表情を見せる。
 また、ある場所の煙突を適切なタイミングで叩けば白いファー付きの赤い防寒着が、またある場所のモミの木では七面鳥の丸焼きが、こっちでは丸太型のチョコレートケーキが、そっちでは可愛らしいオーナメントや電飾がゲットできる。……といった感じに、ここではUDCアース世界でいうところのクリスマスがずっと続くのだ。

 そんな年がら年中クリスマスの街を襲った悲劇は、大変なものであった。
「呑気に雪なんぞ降らせおって! 母なる海には雪など不要、すべて溶かして海にしてくれるわ~!」
「降雪機を改造して加湿器にしたいの! お肌すべすべぷるんっぷるんになるはずよ!」
「何ィ、これ以上ぷるんっぷるんにだと!? 実にけしからん!」
 イソギンチャクの頭部を持った怪人の大群が押し寄せて、自分達の都合だけでキマイラたちを襲撃して追い出してゆくと、占領した都市を台無しに改造してゆくのであった。

●クリスマスを守れ
「皆さん、キマイラフューチャー世界で事件が起こります」
 グリモア猟兵の池葉・雉乃(音楽の裏方さん・f05834)が、グリモアベースに集まった猟兵たちへと説明を始める。

「向かって頂きたい場所は、雪の降りしきる冬の街です。とはいっても、キマイラフューチャー世界。それほど厳しい寒さではありません」
 雉乃の話によると、街を襲撃して新たな住民になり替わろうとしているイソギンチャク怪人たちと、それを束ねる強力な個体の怪人を撃破して欲しいのだという。
「もし、それらの脅威を退けることができれば、街の住民の支持を得て、この街で思いっきり遊ぶことができるはずです」
 つまりどういうことかというと、ケーキが食べ放題だったり、ウィンタースポーツで遊びまくったり、ちょっと変わったシチュエーションでイルミネーションデートが出来てしまうかもしれないということだ。

「旧人類にしてみれば、キマイラたちは侵略者なのかもしれません。ですが、敗北者として世界を去った者がオブリビオン化してしまった以上、私たちが滅ぼすべきは怪人です。どうか都市を守ってくださいますよう、よろしくお願いします」
 タブレット端末を落とさないようにしっかり抱きかかえると、雉乃は丁寧に頭を下げるのであった。


みづかぜ
 みなさんこんにちは、みづかぜです。初めましての方は初めまして。オープニングをご覧いただき、ありがとうございます。
 微力ではありますが全力で猟兵の皆様の冒険をお手伝いする所存でございますので、宜しくお願い致します。

●怪人について
 今回は純戦です。オープニングの会話はフレーバーに過ぎませんので、勝負やブームの事は考えなくて大丈夫です。

●都市について(特に第三章)
 オープニングで雉乃が言及していなくても「恐らくこういうものがあるんじゃないか」「きっとこういうこともできるんじゃないか」という推測でプレイングをかけていただいて構いません。
 成功度などを加味したうえで、随時判断させていただきます。
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第1章 集団戦 『イソギンチャク怪人』

POW   :    テンタクル・テンペスト
予め【触手を振り回しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    ウネウネ・アネモネ
自身の肉体を【ウネウネモード】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    ポイゾナス・ポリプ
【頭部】から【毒針のついた触手】を放ち、【麻痺毒】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リアーナ・シルヴァネール
◎雪ね、故郷の森には降らなかったわ
だからどうという訳ではないわ、私はただ生きた証を立てる為にオブリビオンを狩るだけよ

◎捕まったら悲惨そうね
あの妙な化け物に捕まると悲惨な事になりそうだわ
スカイステッパーで華麗に宙を舞いながら二丁拳銃でバレットダンス、敵の攻撃を躱しつつ空から弾丸の雨を降らせる(二回攻撃、クイックドロウ)
着地点には特に気をつけて、反撃を受けやすいのはそこだから
「踊りなさい、私の弾丸がアナタ達を一流のダンサーに変えてくれるわ」

◎味方がいれば心強いけど
他の猟兵がいるなら連携を取るわ、空からの援護はお得意だもの


清川・シャル
じんぐるべー♪
さて闘いますかー!
イソギンチャク…あの、クマノミとか住んでたりしませんよね?
クリスマス楽しめないなんて心にシングルベルブリザードなんですね寂しい…
ちょっと煽っておきます
私、鬼なので。
先手必勝これでも喰らってくださーい!
愛用の銃のぐーちゃんで攻撃です
ある程度威嚇射撃したら爆竜戦華を使用
弾道をコントロール出来るので的確に仕留めていきます
囲まれないように気をつけながら動きます


ヴェルベット・ガーディアナ
雪も適度であれば綺麗だと思うしせっかくそれを楽しんでいたのだから早くその楽しみを取り戻してあげたいよね。

というか可愛い雪だるまさんが溶けかけてひどいことになってるよ〜。

なんだか緊張感のかける世界だけど悪いことをする人にはお灸をすえないとね。
さぁ、ボクの可愛いお人形さん。あのイソギンチャクを攻撃しちゃおう。

そんな、遅い攻撃じゃボク達には当たらないよ。ボクには絶望の福音もあるからね。


ハル・コロル
わあ、真っ白な雪の街かあ……きれい。やっぱり白ってステキだね。
ぼく、ソリに乗ってみたいな。でも、その前にイソギンチャク怪人さんを何とかしないと!
たくさんいるからまとめてやっつけられたらいいのかもしれないけど、街の人たちを巻き込んじゃいけないから、一体ずつ確実にクレセントボウで狙っていくよ。
集中して、ユーベルコード【千里眼射ち】で攻撃!
怪人さんの体、なんだかよく伸びそうだけど、これだけ離れたところまでは反撃できなさそうかな。
攻撃の届く範囲で、距離を取りながら繰り返し矢を射る。雪で転ばないよう足もとに注意しないと。
逃げ遅れた住民さんの避難も手伝うね。みんな気を付けて。



景観を美しく保全するために一定期間で降雪と晴天のサイクルを繰り返すようプログラムされた謎の遺失文明が作動しているこの街は、丘陵地にある。
 送電線のように距離を置いて配置された針葉樹の形をした高い支柱同士にはロープが伝っており、吊り下がって移動する箱型の乗り物は、主たる移動手段のゴンドラリフトだ。これまた遺失文明によって安全に制御されており、エレベーター感覚で行き先をポチるだけで利用できる無人タクシーのような存在だ。
 猟兵たちはそんな街の麓部分にある人通りの少ない路地へとテレポートで降り立つと、何人かに分かれて索敵を始めた。

「わあ、真っ白な雪の街かあ……きれい。やっぱり白ってステキだね」
 ハル・コロル(三日月と精霊の名のもとに旅するケットシー・f06801)は、先が色づいた猫耳をぴょこっと立てて目を輝かせる。話に聞いていたソリ遊びもしてみたかったが、その前に怪人を何とかしないとね、と自分に言い聞かせる。
「雪ね。故郷の森には降らなかったわ」
 眉間にしわを寄せるようにしてせっかくの端正な顔を歪め、淡々と告げるのは赤紫と金のオッドアイをもつエルフ、リアーナ・シルヴァネール(空を舞う銃姫・f07102)。故郷には何一つ幸せな思い出などない。だから故郷と全く違う風景は嫌いではないはずだが、それだけで心が晴れるような簡単なものでもなかった。故郷の森、という言葉にハルの耳がほんの少しだけ、ぴくりと揺れたのに気付いたかどうかは定かではないが、滲みかけた忌まわしい記憶に蓋をするべくリアーナは言葉を続ける。
「私はただ、生きた証を立てる為にオブリビオンを狩るだけよ」
 リアーナが二丁一対の魔銃《レイヴ》のホルダーに手をかけいつでも戦える姿勢を整えると、ハルも真似をするようにクレセントボウの弦を絞る用意をして周囲を警戒する。
「可愛い雪だるまさんが溶けかけてひどいことになってるよ〜」
 闖入者、もとい、侵略者の痕跡を発見したのは、お揃いの白い髪をもつ人形のシャルローザを抱きかかえたヴェルベット・ガーディアナ(人間の人形遣い・f02386)だ。時間経過で自然に溶けたのではない、ヒト型のものを冒涜する、明らかに人為的で悪意ある溶解行為。ということは、路に点々と続く粘液状の落とし物も犯人のものとみて間違いない。
「ちょっと煽っておきます。私、鬼なので」
 真面目なトーンでそう言って駆け出したのは、金髪青眼の羅刹、清川・シャル(バイオレットフィズ・f01440)だ。小柄な身に、大きな鬼金棒とグレネードランチャーという重量級の得物を持っているにもかかわらず、まるで駆けっこのように軽快な足取りでシャルはぐいぐいと怪人の痕跡を追って行った。

「ヒャッハー! 合成獣は消毒だァー!」
「これでも喰らってくださーい!」
 進んだ先の広場で今にもキマイラが襲われそうになっているところに、間一髪でシャルが間に合った。ピンク色でかわいいぐーちゃん――グレネードランチャーから放たれた擲弾がイソギンチャク怪人の後頭部にクリーンヒットすると、桜色に炸裂して触手を焦がす。
「なんだお前は! 今ものすごくいい所だったのに!」
 邪魔が入ったことで怪人たちは一斉に振り向き、その隙に広場のキマイラたちは散り散りに逃げ出した。
「本当にイソギンチャクでした……。あの、クマノミとか住んでたりしませんよね?」
「昔は住んでいたさ! だがな……フラれちまったんだよ!」
 偶然その場に居合わせた該当する個体がシャルの挑発に反応し、心の古傷に触れられた怒りを露わにして触手を振り回す。
「心にシングルベルブリザードなんですね、寂しい……」
 シャルはキマイラたちが安全な所まで逃げ延びられる時間を稼ぐために、更なる挑発を重ねる。
「上手い事言ってんじゃねえー!!」
 十分に振り回して戦闘力を増強したテンタクル・テンペストがシャルに襲い掛かるその前に、はるか遠方から飛んできた矢が怪人の触手の付け根を見事に撃ち抜く。
「どこだ!?」
 それは仲間の猟兵が怪人の居場所を特定している間に、離れた住宅の煙突の上に登っていたハルの千里眼撃ちだ。
「怪人さんの体、なんだかよく伸びそうだけど、これだけ離れたところまでは反撃できなさそうかな」
 怪人の伸び幅に対して何倍も勝る長いハルの射程を活かした効果的な援護といえよう。敵に大まかな方向を察知されたので、ハルは滑るようにして雪の積もった屋根から急ぎ降りると、次なる狙撃ポイントへと向かう。つるつるした雪道に足を取られないように、重心の調整も忘れない。
「クソッ、新手か。あっちだ、誰か行け!」
「悪いことをする人にはお灸をすえないとね」
 矢の飛んできた方へ向かおうとするイソギンチャク怪人だったが、それを遮るように雪だまりの陰からすっと姿を現したヴェルベットがシャルローザを差し向ける。白い世界に佇む少女達は儚げでそのまま白く溶けてしまいそうにも見えたが、一人と一体分の戦闘能力をもつ人形遣いの猟兵だ。
「邪魔をするな、ガキめ」
「そんな遅い攻撃じゃボク達には当たらないよ」
 伸縮性と弾力性にすぐれたウネウネモードへと肉体を変えてヴェルベットの出方を伺うイソギンチャク怪人。だがヴェルベットには絶望の福音がある。十秒先まで見えた未来を基にシャルローザを操り、何十本と向けられた触手の不規則な動きを躱しきってしまうのだった。
「捕まったら悲惨そうね……」
 続いて、広場の戦いに加わったのはリアーナだ。イソギンチャク怪人の不気味にぬめるテクスチャによる生理的な嫌悪感にいつもより増して表情を険しくすると、スカイステッパーで怪人たちの頭上を舞い、持ち前のスキルを存分に活用して魔銃レイヴから弾丸の雨を降らせる。
「踊りなさい、私の弾丸がアナタ達を一流のダンサーに変えてくれるわ」
「また新手だとぉ!?」
 さらさらと穏やかにふる雪とともにひらりひらり、華麗な一人舞台と、ただの慌てたモブのてんてこ舞い。空中と地上で芸術性の格差社会が成立した。
「新手じゃないのも忘れないでください。――戦場に響きし我が声を聴け!」
 そしてシャルが、上方に気を取られたイソギンチャク怪人たちにユーベルコード『爆竜戦華』をお見舞いする。ぐーちゃんの擲弾と金棒の棘だけでなく、羅刹紋から立ちのぼるオーラやサウンドウェポンで増幅した声も含めた全武装の一斉発射が広場のイソギンチャク怪人たちだけを選ぶように乱れ飛び、たちまち広場はウネウネ・アネモネ・カーニバル会場と化した。
 ピンク色の嵐を締めくくるようにハルの二射目がウネウネと回避を続けていた怪人のうち一体の頭部へ正確に突き刺さったのち、リアーナが着地をするための丁度良いクッションとなって地面に転がった。綺麗なお姉さんに踏まれて、ある意味幸せな最期だろう。
 一方、逃げ遅れた住民がいないかどうかを確かめながら次の狙撃ポイントを探していたハルは、好奇心からか遠方より戦場の撮影を試みるキマイラを何人か見つけていた。
「もしかして……実況ってやつ? 危ないよ、みんな気を付けて」
「猫のアーチャーさんマジでクールっす! あとでサイン下さい!」
 そんな場合じゃないんだけど、と困りながらも、悪い気はしないハルだった。

 戦況は猟兵たちの圧倒的優位に見えた……が、イソギンチャクは無脊椎動物でもあり非常にしぶとい生き物だ。弱めの攻撃しか受けなかった者や回避が上手だった者、たまたま内ポケットに入っていたかっこいい真鍮製のカードが急所への弾丸を防いだおかげで助かった者などが立ち上がり、あちらこちらに雪をくっつけたまま仕切り直しをするべく奮い立つ。
「い、今までのは挨拶代わりだ……。次からは本気を出すぞ! いいなお前ら!」
「イソギンチャク怪人の真の恐ろしさ、身を持って知るが良い!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

龍統・光明
『迷彩』を使い怪人共に奇襲を掛ける。
「やらせん!総餓流当主・龍統光明、推して参る。」

攻撃の際は『二回攻撃』『生命力吸収』『範囲攻撃』を有効に使い攻撃。
回避も『見切り』『迷彩』『残像』を惜しみ無く使い少しでもダメージを抑える。

蓄積ダメージが8割を越えたら撤退


アルトリウス・セレスタイト
その恐ろしさは知って役立つとも思えんので要らんぞ

奮い立っているらしい集団に徐に割り込んで断絶

しぶといらしいので威力のある攻撃で叩いてみる
狙う、という器用な真似はできん奴なので、巻き込みそうな味方がいたら声は掛けておこう
一応忍び足で目立たぬようにこっそり紛れ込みたいところ


……ああ、挨拶を忘れてたな。まあ許せ


清川・シャル
ふむぅ、まだやりますかー
よし、ならばこちらも殺らねばですねー!
本気で行く為にはまずはこれでしょうか。
サウンドオブパワーで闘いの士気を鼓舞する歌を歌いながら金棒とぐーちゃんで攻撃です
力が漲りますね!

金棒めり込んだら
「ご存じですか?この金棒。実はチェーンソーなんですよー」
棘の部分が思い切り高速回転してえぐりますよ
これで死ななきゃホントのバケモノですね
一体ずつ確実に仕留めましょう

そこの実況してるキマイラさん達、危ないから逃げてくださいね
じゃなきゃ私の流れ弾に当たりますよー?



「絶対イェーガーなんかに負けたりしない!!」
 活を入れまくるイソギンチャク怪人たち。気合も十分に回復している。ピンチにあって結束しあう様子は、彼らが滅ぶ以前にも良き仲間であったしるしだろうか。

「その恐ろしさは知って役立つとも思えんので要らんぞ」
 鋭い眼光のアルトリウス・セレスタイト(原理の刻印・f01410)がいつの間にか怪人集団の間に割って入っていた。目立たぬ事と忍び足、そして暗殺の技能に秀でた彼は、士気高揚に意識を割いた怪人の隙を見事についた。
「消えると良い」
 存在の起点を裂く、不可視の原理の刃がアルトリウスの周囲へと展開される。いかに耐久力に秀でたイソギンチャク怪人であろうと、因果律に干渉しその起点を『断絶』されたのなら堪ったものではない。
「ぐわーっ」
「しっかりしろ! 一緒に加湿器作ろうって約束したじゃないか!」
「大丈夫よ……、このぐらい、ちょっと休めばすぐ回復するから、あなたは戦って……」
 ついさきほどまで反撃ムードだった怪人たちも明らかに動揺していた。
「おっととと、よし、ならばこちらも殺らねばですねー!」
 イソギンチャク怪人の中に紛れ込んでいた銀髪の男に気付いていた清川・シャル(バイオレットフィズ・f01440)が慌ててユーベルコードの範囲外へと転がり出て、金棒とぐーちゃんを構え直す。
「力が漲りますね!」
 シャルが活気のある軽快な歌――サウンド・オブ・パワーで猟兵たちを鼓舞する。体が軽くなって、幸せな気持ちで戦えるような明るい曲調は集団での戦いに華を添えた。
「黙れ!」
 そこへイソギンチャクの触手が、シャルを拘束せんと四方から伸びる。
「やらせん! 総餓流当主・龍統光明、推して参る」
 迷彩を使って雪に紛れていた龍統・光明(千変万化の超越者・f02421)が、両手に携えた長刀を器用に操り、伸ばされた触手へと斬りかかる。雪明りを受けて白く煌めく無数の剣筋が、イソギンチャク怪人の触手を丁寧に叩き落とすように刻み、雪の上へと転がしていった。
 範囲攻撃を活用して移動しながら高速で触手を撥ねていくさまは、キマイラの実況コメント曰く、達人過ぎて見えないけど除雪機のようでもあったという。
 怪人が怯んだ隙に、すかさずシャルが金棒による殴打を入れる。
「ご存じですか?この金棒。実はチェーンソーなんですよー」
 高速回転する棘が肉を裂きはらわたをえぐると、ふたつに千切れた怪人はそのまま事切れた。
「そこの実況してるキマイラさん達、危ないから逃げてくださいね。じゃなきゃ私の流れ弾に当たりますよー?」
「コラァ、お前の相手はこっちだ!」
 逃げ延びてこの場には居ない者へ宛てたシャルの言葉は、またしてもイソギンチャク怪人を煽る。集中して向けられた触手がいっぺんにシャルを捕えようとしたが、何故だか、やはり届かない。
「アンタたちも落ち着かないな」
 サイキッカーの見えざる超常の力が触手の表面から全身へと波及し、その動きを静止させていた。当たりやすくなった的に、シャルは落ち着いて金棒をぶち当てる。
「ナイスです! えーっと」
「アルトリウスだ。……ああ、挨拶を忘れてたな。まあ許せ」

 数を減らし続ける怪人に対し、続々と駆け付ける猟兵たち。
 広場の戦いに決着がつくまでにそれほどの時間はかからなかった。
 余談だが、実況動画に『やっぱりイェーガーには勝てなかったよ……』というコメントが殺到して画面が見えなくなったそうな。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『機関車怪人』

POW   :    トレイン・フリーク
【時刻表】【鉄道模型】【鉄道写真】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    出発進行!
自身の身長の2倍の【蒸気機関車】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    アクシデントクラッシュ
対象の攻撃を軽減する【高速走行モード】に変身しつつ、【煙を噴き上げながらの体当たり】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


シュポォー!(ガタンガタンッ ガタンガタンッ)
 シュッシュッシュッシュッ(ガタンガタンッ ガタンガタンッ)
 ポォーーーッ!(キュイ、キィィィィィィ!)
 プシュー……
 
 UDCアースの中高年やアルダワ魔法学園の生徒達には馴染みのある連続音がすると、突如として宙より現れた線路が広場へと刺さる。
 その上を、強まってきた雪を掻き分けるように蒸気機関車が伝い来た。
 乗客を乗せているかのような速度でブレーキをかけ安全に停車し、その裏から機関車の頭部を持つ怪人が現れる。
 そして、人間の古希ほどであろうか。とても低く凄みのある男性の声が鋼鉄の頭部から響く。
「終点です。お忘れ物のないようにご注意ください」
 粛々として告げると、堂々たるさまで立ち止まり、周囲を見渡す。蒸気機関で温められた熱が雪を溶かして湯気へと変えると、もくもくと吐き出される蒸気とともに雲を作った。
清川・シャル
おおー本命さん御登場です?
よっし、本気でやってやりますかー!

合体したりします?
ちょっとわくわくしてしまいますが、先程の戦闘みたいに煽ってばかりもいられないでしょうか

装備「Schall Voice」にて誘惑する歌とパフォーマンスで気を逸らせられるかやってみます

その間に何方か続けて攻撃お願いします
私は体勢を直して次の手を

歌いながら走り回り注意散漫にさせた後、
金棒以外でのコード「爆竜戦華」を
桜の竜が舞い踊って視界が開けかけたら、金棒をチェーンソーモードに切り替えて

地獄へようこそ

にっこり笑ってフルスイングです


リアーナ・シルヴァネール
◎何?これが異世界の『電車』とやら?
全く意味が分からないわ、キマイラ達の世界は殆どそうだけど。
ま、理解する必要も無いわね…ここで私達に倒されるんだから!

◎どれほど早かろうと、空を駆ける私からは逃れられない
スカイステッパーで空中跳躍、空を華麗に舞いながらクイックドロウや二回攻撃の技能で弾丸の雨を降らせる。
跳躍限界が来たら、鉄道怪人を踏み付けて再び空へ。
私が地に足をつけるのは、勝利が確定してからよ。

◎縦横無尽ね、生意気
電車とやらは早くて凄いのね、硬いし速いし手強いわ。
けれど勝つのは私達、私の対地攻撃が仲間達と連携出来れば、ヤツの動きは封じれるはず。



「おおー、本命さん御登場です? よっし、本気でやってやりますかー!」
 合体ロボのようだとわくわくしながら清川・シャル(バイオレットフィズ・f01440)がSchall Voiceで自らの魅惑的な歌を増幅させると、機関車怪人の気を惹こうと可愛らしげな振り付けでダンスパフォーマンスを行う。
「右手に夢、左手に金棒!」
 怪人はシャルを一瞥したが、そのまま手元から時刻表や鉄道模型、鉄道写真を取り出すと、周囲の確認を行うようにして状態異常への耐性を高める。
「異常なし」
「どれほど早かろうと、空を駆ける私からは逃れられない」
 見落としを指摘するかのように上からの攻撃を仕掛けたのはリアーナ・シルヴァネール(空を舞う銃姫・f07102)だ。
 『電車』というものに馴染みのないリアーナだったが、使い方を覚えれば便利なものなので、これから機会があれば異世界で利用することもあるだろう。怪人化さえしていなければ、旧人類の便利な発明のひとつだ。
 スカイステッパーで上空より魔銃レイヴから雪とともに激しい弾丸の雨を降らせると、怪人は召喚した蒸気機関車に再び乗り込み、異常の原因を排除せんとして速度を上げる。
「線路に猟兵が立ち入ったため、確認を行っております」
 普通ならば運行を停止して行うことだが、怪人の点検は粗暴だ。リアーナがそのうち降下してくるのを狙い、猛スピードで撥ね飛ばして排除しようとしている。
「戦場に響きし我が声を聴け!」
 割って入るようにシャルの爆竜戦華が炸裂し、たちまち辺りを武装によって彩られた桜色の竜が舞い、蒸気機関車の視界を塞ぐ。
「地獄へようこそ」
 線路上に待ち構えていたシャルがチェーンソーモードに切り替えた金棒でフルスイングを行うと、重量級の金属と金属がぶつかり合う大きな鈍い音と共に先頭車両が脱輪した。
「電車とやらは早くて凄いのね、硬いし速いし手強いわ」
 事故停車した列車を踏み台に、リアーナはふたたび宙を舞う。
「予定より二分ほど遅れております」
 つとめて冷静に、落ち着いた熟練の駅員のように淡々と。怪人が存在しない乗客への案内を続けると、車両は再び軌道の上へと戻った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ハル・コロル
な、なんだか礼儀正しい汽車……の頭の怪人さんだね。
高台とか木の上にするする登って、上から怪人さんに――もしくは機関車に乗ってるならそっちでもいいや、【千里眼射ち】で遠くから力いっぱい矢を射ち込むよ!
怪人さんの頭と胴体のつなぎ目とか、機関車の連結部とか、車輪の隙間とか、できるだけ繊細で機能的な部分を狙ったら、効率よく壊せないかな? 蒸気で圧力のかかったボイラーとかエンジンまわりを狙って火花散らしたら、爆発したりとか……?
怪人さんが爆発しても、まわりへの被害は出さないようにしなくちゃいけないから、気を付けるよ。雪が助けてくれるかな。みんなと協力して、頑張るね。



「な、なんだか礼儀正しい汽車……の頭の怪人さんだね」
 いよいよ本格的に強まってきた雪に同化してしまいそうな白いケットシー、ハル・コロル(f06801)は、イソギンチャク怪人戦と同様、高台を探し、遠距離から機関車怪人を千里眼撃ちで狙撃していた。
「……窓ガラス近辺では、飛来物にご注意ください」
 怪人は無人の客車へ向けて頑なに平静を装った態度を貫くが、猟兵たちのユーベルコードによって撃たれ、あるいは殴打された損傷は着実に累積してゆく。
 ハルは地道に、連結部分や車輪、露出した繊細な部分を狙い撃つ。
 クレセントボウを力いっぱい引き絞り、放たれた矢は降雪に紛れて怪人の回避を、いや、防御すらも許さない。
「ボイラーとかエンジンまわり……は、まだ早いか」
 未だに主要な部分は硬い外装に護られている。だが、もしそれが剥がされることがあるのなら。
 ハルは高速で広場を駆けずり回る機関車怪人と、乗車している蒸気機関車の駆動部分をいつでも射抜けるように、矢を番えて千里眼撃ちのための集中に入るのだった。

『弓手さん半端ないって!』
『動いてる列車めっちゃスナイプするもん……そんなんできひんやん普通、そんなんできる?』
 ハルに心配をかけないように、イソギンチャク怪人戦より更に遠巻きに撮影を試みるキマイラたちも、神業配信で盛り上がるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シラ・クロア
少しお邪魔してもいいかしら。
雪の世界って素敵……なのだけど、なんだかあちこちボコボコになりつつある蒸気機関車?が走っているわね。矢も刺さってる。配信もされてる。文明の利器の在り方ってこういうふうだったかしら……?(世界の知識の詰まった愛読書をパラパラ開いて確認)
……まあいいわ。とりあえず、怪人化したアレをおとなしくさせないといけないわね。
【光の穿ち】で機関車怪人にいくつも稲妻を落として閃光の刃でダメージを。
装甲を剥ぐためにも、横方向や下方からも光刃を飛ばすわ。命中率は高いのよ。
反撃されるにしても、私は基本ふわふわ飛んでいるし、さすがに体当たりされる気はしないわ。



「文明の利器の在り方ってこういうふうだったかしら……?」
 白い世界に黒い影が、蝶々のようにひらりと舞う。
 小さな黒の翅と流れる絹糸のような髪は艶やかで、雪明りを受けてしとやかに煌めく。その持ち主はシラ・クロア(夜を纏う黒羽のフェアリー・f05958)だ。
 シラは様々な世界の様々な歴史、伝承、知識、物語を記した愛読書をパラパラとめくってみるものの、走る蒸気機関車をボッコボコにする様子を配信して盛り上がるような祭は見当たらない。
 このような局地的な奇祭を追録してしまうのは忍びないので、キマイラフューチャー世界の出来事だけは別項にして纏めておくなりしたほうが良いのかもしれない。
「……まあいいわ。とりあえず、怪人化したアレをおとなしくさせないといけないわね」
 猟兵でもあるシラは、そう言って真っすぐにそのまま飛び、小さな体躯にもかかわらず当たり前のように前線の戦いに加わった。
「哀悼の光のあとに安らぎのあらんことを」
 光の穿ちが蒸気機関車に向けて、次々と稲妻のように刺さる。
「大変揺れやすくなっております。ご注意ください」
 機関車怪人は汽笛を鳴らして無人の客車へと渋い声で伝えると、反撃のために高速走行モードへ変身する。
 激しくもくもくと煙を上げながら向かってきた猛スピードの突進を、シラは風に乗るように、舞い飛ぶ雪とともに避けた。
 小さな虹色に揺らめく輝きが、この場に居る者たちだけの目に映る。
「装甲には、通ったかしら……?」
 金属製の機関車の表面を撫でるように走った稲妻は、見た目には大きな損傷を与えているかは判別できない。
 だが、巡り廻って内部の繊細なパーツに影響を与えた可能性は大きい。
 先程までしていなかった、パチパチとショートするような音を立てて機関車は走り続けている。

成功 🔵​🔵​🔴​

清川・シャル
これは…
このまま叩き込めば内部まで攻撃届くでしょうか?

そろそろ止まって貰わないとですね〜
こちらも本気出さねば被害が…

っと、キマイラさん達に突っ込まれたら大変ですからね

鬼金棒「ThornSociety」を構え、地面を踏みしめて一気に行きます
コード「鬼神斬」

鎧無視攻撃
武器落とし
が効いてくれるといいんですけど

直撃すれば地面も凹みますからね
動きづらくなるでしょう
足元がお留守ですよ?

仕上げにぐーちゃんで追撃しましょう
そろそろ倒れてほしいですねー


ハル・コロル
……実況、続いてるみたい(遠いところにいるキマイラさんたちを見やり)

あ、怪人さん、何だかパチパチいってる……? さっきの妖精さんの落とした稲妻のせいかな。すごい。
よーし、ぼくも頑張ろう。弓で射る以外のこともできるんだ。
気持ちを落ち着けて集中して、【エレメンタル・ファンタジア】で「雷」の「竜巻」を起こすよ! 機関車を巻き込んで感電させながら吹き飛ばせないかな? 煙突から中に雷が落ちたらダメージ大きそうかなあ。そこはその、運任せなんだけど……。
一緒に戦うひとがいるときは、ユーベルコードを使うタイミングには気を付けるね。仲間に被害が出ないように。
わわ、反撃されたら急いで木に登って避けなくちゃ。



「……実況、続いてるみたい」
 ハルが遠くにちらつくトナカイの角と撮影機材を見やると、もう慣れっこなのか地元のキマイラたちは『目線こっちください!』と言わんばかりに笑顔で手を振る。
「あ、怪人さん、何だかパチパチいってる……? さっきの妖精さんの落とした稲妻のせいかな。すごい」
 ハルの精密射撃も連結部に矢を挟み、後部車両の安定性を削ぐなどして超絶技巧の様相を呈していたのだが、分かりやすい派手な効果は単純にかっこよく見えた。
「よーし、ぼくも頑張ろう」
 雪に埋まった民家の外壁を足場にして屋根から滑り降りると、広場の方向へとハルは向かうのだった。

「これは……このまま叩き込めば内部まで攻撃が届くでしょうか?」
 シャルは他の猟兵たちの射撃や魔法の援護を受けながら機関車とぶつかり合いをしているうちに、手応えが変わってきたのを感じ取る。
「そろそろ止まって貰わないとですね〜。こちらも本気出さねば被害が……」
 ThornSocietyと名付けた鬼金棒を構え、腰を深く落とすが脚は開かないよう上品に、雪で滑らないように地面をしっかり踏みしめて鬼金棒の重みを叩き込む姿勢を整える。
「大変揺れやすくなっております。シートにお座りのうえ、手すりにお掴まりください」
 威嚇ともとれる客無き客車への警告と何発もの汽笛を発しながらノーブレーキで突っ込んでくる機関車怪人を、シャルの鬼神斬が上から下へ低い位置で抉るように捉えた。
 大きな鐘を撞くような衝突音と、脱線した車輪がレールと擦れて立てる甲高い金属音が続く。
「緊急停車を行っております。ご迷惑をおかけいたします」
 時刻表や鉄道模型を取り出して護りを高めようとする機関車怪人だが、猟兵たちの追撃は止まらない。
「足元がお留守ですよ?」
 鬼金棒の重い一撃で列車の軌道ごと破壊された先頭車両の先端部分を、シャルはグレネードランチャーのぐーちゃんから放つ擲弾で損壊を拡げてゆく。
「弓で射る以外のこともできるんだ」
 前線へと加わったハルが、好機とばかりに気持ちを落ち着けて集中力を高める。
 エレメンタル・ファンタジアによって巻き起こる雷の竜巻が、機関車怪人と怪人を乗せた機関車の両方を巻き込み、雪を舞い上げて火花と蒸気の嵐を形作った。
「煙突から中に雷が落ちたらダメージ大きそうかなあ。そこはその、運任せなんだけど……」
 無数の雷に襲われている機関車は、煙突部分だけでなく全身から雷を喰らっている。暴走の危険のある属性の嵐は、運よく使いこなせれば抜群の効果を誇った。
「そろそろ倒れて欲しいですねー」
 嵐の中にシャルからの容赦ないグレネードが追加されると、あちらこちらで派手に爆ぜて機関車怪人の装甲を傷つけてゆく。
 客車への案内をぶつぶつと続ける怪人は、もはや気力だけで『仕事』を続けていた。

『雷はまずいって』
『みんな予備のカメラは持ったな!!』
『いくぞぉ(猟兵さんが)』
 キマイラたちの実況も、いよいよ佳境を迎えつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

龍統・光明
『迷彩』を使い奇襲を掛ける。

攻撃の際は『二回攻撃』『一斉射撃』等を有効に使い攻撃していく。
『迷彩』『見切り』等を惜しみ無く使い少しでもダメージを抑える。

蓄積ダメージが8割を越えたら撤退



たくさんの融けた雪と高温の蒸気が混ざり合い、広場の辺り一面に立ちこめた濃い霧が、世界を真白く染める。
 息もためらう純白にまじり、ゆらりと姿を現したのは龍統・光明(千変万化の超越者・f02421)。漆黒のロングコートを今だけは迷彩のために白く変え、未だ状況判断の最中の機関車怪人に奇襲を仕掛ける。
「喰らい尽くせ、総餓流秘奥義【創破】顕現」
 龍の『氣』で創られた双頭の龍が現れると、列車の軌道を塞ぐように環を描いて宙を巡った。
「先の群体を統べる長と聞く。ならば遠慮は無用――参る」
 怪人が騎乗していた列車を龍が屠るように噛み付き、機関車怪人は光明による剣戟の雨を受ける。
 ひたすら頑丈ならば、無数の攻撃を浴びせその一つでも突破口となれば良い。
 そう言わんばかりに、両手に構えた長刀で滅多斬りを浴びせてゆく。
「事故停車を行っております。乗客の皆様にはご迷惑をお掛けしております。乗換えの便をご案内致しますので、今しばらくお待ちください」
 機関車怪人は災害対応中のベテラン駅員のように新たなる蒸気機関車の召喚を試みるが、体力を共有する以上、龍に屠られた列車の分のダメージも自分に流れている。
「乗客など居なかろうに」
「不器用ですから……」
 最期に、初めて、機関車怪人の声色にはっきりと感情が宿った。そうし続ける生き方しかできないのだと、この世界の他の機関車怪人の例に漏れず。

 霧が晴れた頃には、超常の力で出現したレールは消え、白い雪に突っ伏すように倒れた機関車怪人の姿があった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『遺失文明お楽しみ会』

POW   :    体力に任せてひたすら遊ぶ

SPD   :    テクニックを駆使する

WIZ   :    遺失技術で楽しむ面白いアイデアを考える

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●暦とか気にしない、ここは常冬の街
 怪人打倒のニュースは瞬く間に街じゅうに広まった。うっかり実況を見ていなかったキマイラも『通知止まんねぇ』とたまらず防寒着に着替えて外へ飛び出す。
 猟兵たちのためにできる住民のお礼は、この街をエンジョイしてもらうこと。
 街中でコンコンしたら出てくるものを教えたり、遊べるポイントを案内したり。
 我こそは楽しい時間の案内人、と広場へ駆けつける。

 すると、急に厚い紙を空気で膨らませるような音がした。
 ポン、ポン。
 ――コンコンしてないのに、色とりどりの包み紙とリボンでラッピングされた箱がひとりでに街の中に湧いて出ている。
『遺失文明バグった?』
『むう、これが世に聞くあれか……』
『し、知っているのかライデン!?』
『昔は勝手に湧いて出る周期があったって話。でも実物見るのは初めて』
 今この街に生きる世代のキマイラたちの中に目撃者はいないようだが、噂としてはそこそこ根付いている程度の情報だ。
 何なのか議論が交わされ始めた頃に、街の空を駆ける不思議なシルエットが目撃される。

「ホッホッホー! メッリィーークリスマーーース! アーンド、ア、ハッピーーーーニューーイヤーー!!」
 空中を走るトナカイが木そりを引いて、ソリには年老いた人間に相当する姿が乗っている。長いあごひげを持ち、この街で発生するものと同じようなデザインの防寒着を着ている。
 ソリの後部には荷物が沢山積まれていて、老人が荷物を放り投げる動作をするたびに、街中でポンポン、箱が湧く!
『誰あのバーチャルキャラクター』
『あんなにヨボヨボなバーチャルキャラクター居たっけ?』
『そもそもどういう原理で飛んでるの……』

 立体映像だろうとか、遺失文明の誤動作だろうとか、色々な考察コメントが交わされたが、明らかになった事はただ一つ。
 別に箱を開けてもいいし、箱の中には素敵なものばかり入っているということだ。
ハル・コロル
怪人さんいなくなったから、あとはもう遊んでもいいの……? ほんと?
じゃあ、その、ソリ滑りしてみ……、くしゅん! ご、ごめん、ソリ滑り、してみたいな。あそこの雪のジャンプ台?みたいなところから、ソリで滑って思いっきり飛んでみたいんだ。少しだけ、空飛んでる気分になれるかなって。
あ、キマイラさんたちも、一緒に遊ばない? もう危なくないし。その、よかったら。遊び方とか、教えてもらえたら嬉しいな。……配信はもうおしまいだよ?
……ところで、この箱、何だろう。キレイな包み紙とリボンの。
え、箱、開けてもいいの? 何だかドキドキする。何が入ってても嬉しいな。じゃあ、いくよ? えいっ(リボンほどいてフタをパカッ)



「怪人さんいなくなったから、あとはもう遊んでもいいの……? ほんと?」
 接近が解禁されて、たくさんのキマイラたちに囲まれたハルが、状況を再度確認する。周りにいる猟兵も、問題ないと言いたげにハルへ頷きを返す。
「じゃあ、その、ソリ滑りしてみ……、くしゅん! ご、ごめん、ソリ滑り、してみたいな」
 寒波に晒されて少々風邪気味のハルを心配して、住民のキマイラたちから暖かいココアや懐炉が差し出された。コートやマフラーは言うまでもなく、全てを着たら運動会で転がされる大玉になってしまいそうだ。
「トップスピードを争うなら安全なチューブコースがあるよ!」
「新雪攻略するならいいポイントあるよ!」
 メチャ推しである。
「あそこの雪のジャンプ台? みたいなところから、ソリで滑って思いっきり飛んでみたいんだ。少しだけ、空飛んでる気分になれるかなって」
「ジャンプかぁ……」
「飛距離ならスキーが一番いいけど、たくさん練習しないとヤバイよね」
 キマイラたちもどうすれば良いか議論を始める。
「あ、キマイラさんたちも、一緒に遊ばない? もう危なくないし。その、よかったら。遊び方とか、教えてもらえたら嬉しいな」
 ハルは初心者ということもあって、丁寧に教えを乞う。
 それなら、ということで、4人乗りのそりで激走しつつジャンプ台を攻略する提案が採用された。

「う、うわああ!」
「しっかり掴まって! 重心真ん中!」
 猟兵としてある程度戦いに慣れたハルも、自分の思い通りにならないハイスピードな乗り物に揺られると思わず驚きの声が漏れる。
 ソリに乗り慣れたキマイラたちのほうが、今この時はちょっとした先輩だ。
「行くぞお前ら!」
「うおおおお!」
 これ以上ないぐらいに加速したソリはジャンプ台に差し掛かり、一気に下から上へ重みをばねにするようにして思いっきり空中へ飛び出す――!
「飛んでる!」
 ハルが思っていた通り、ソリが空を飛んでいる。
 プロテクター越しにも風を切る感触が伝わってくる。
 ソリは数秒の間滑空したかと思うと、そのまま前へ進みながら地面めがけて落下する。
「総員、対衝撃姿勢!」
「応っ!」
 下方向へ加速する怖い感覚はあったが、ぼふっ、という音とともに沈み込むようにやわらかな緩衝材の敷かれた着地地点にソリが降りた。
「すごかった……」
「もっとやろ? ソリはまだ上にたくさん用意してあるよ!」
 まさかの使い捨て……と思いきや、上にゆっくり持って行く時間も惜しいぐらいキマイラたちがハルと遊びたいからであった。

 遊びまくってゲレンデからの帰り道に差し掛かる途中、ハルは街中に湧いたプレゼントボックスの事を思い出す。
「この箱、何だろう。キレイな包み紙とリボンの……」
 中身は大丈夫という情報を思い出し、ハルはリボンをほどいて包み紙を丁寧に開くと、えいっとフタを開けてみる。
「これは……、パイかな?」
 ハルが開けた箱には、金色の王冠が乗ったお菓子、そして紙袋に入った陶器の人形が入っていた。人類が絶滅しているはずなのに、人形は人間の形をしている。
「そういえば、お腹すいてたっけ」
 ぱくりと一口。
 王冠は飴細工で出来ていて、パイの中身は濃厚なアーモンドの香りと程よい甘さのカスタードの味がした。
 工場で作られているキマイラフューチャー世界の食べ物にしては、パティシエの手で丁寧に一つずつ作ったような、さっくりとした小麦の感触を残したパイ生地。
「誰かが作ったのかな?」
 バグで出てきたにしては、温かみのある味がする。
 謎は深まるばかりだが、街が直接お礼をしてくれたような、そんな気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

清川・シャル
f01013葎ちゃんの紹介で
f00299リヴェちゃんと出会います

わぁお友達さんが増えました!リヴェちゃんって呼んでいいですかっ?かわいい!

ご機嫌で凄い勢いで雪だるま作りますねっ
羅刹はパワー命なので走り回りますともー

子供は風の子雪ん子元気な子ひゃっほーい!
皆で作ると楽しいですね
あっ光らせたりするんだ?
私は顔をこう、いいかんじにイケメンにしておきますね

点灯式やろーやろー!
3、2ー、1ー!
私の「ぐーちゃん」で打ち上げ花火上げちゃいましょう〜
たーまやー!


硲・葎
シャルちゃん(f01440)、リヴェちゃん(f00299)と行動

【P】
よし、思いっきり遊ぶぞー!!……の前に、リヴェちゃんをシャルちゃんに紹介しないとね。
「シャルちゃん、こちらリヴェちゃん。私の友達のミレナリィドールさんなんだよ」
紹介が終わったら雪だるまサンタ作るよ!バケツとか腕に使う枝は格物致知の情報収集を使用して探してこよう。
鼻は彼岸花ノ葬の柄を取り外して赤く光らせてみようかな。
「真っ赤なお鼻のサンタさんだよー!!え、違う?」
あとはかまくら作ったり全力で遊ぼうかな!せっかくだし赤い帽子被るのもありかな!


リヴェンティア・モーヴェマーレ
葎さん(f01013)にシャルさん(f01440)を紹介して貰い
【P】

最初はおずおずと挨拶をするもシャルさんの元気さに人見知りなど吹き飛んで
「是非読んでくだサい!私もシャルちゃんって呼びますネ!お友達のお友達はお友達…デす♪葎さん、シャルちゃん、今日は沢山遊びまショ!」
お友達が増えてとっても嬉しい気持ち♪

それからサンタさんの雪だるまを作成しマス
二人の元気につられて自分もいつもより元気よく
「お鼻はやっぱり人参でしょウか…?あっ、イケメンさん、良いでスね!
葎さんはイルミネーション係なのですネ!点灯式しまスか?」

シャルちゃんの掛け声に合わせてカウントダウン

「メリークリスマスでたーまやーな気持ち★」



「子供は風の子雪ん子元気な子、ひゃっほーい!」
最前線で機関車怪人と戦い終わってもなお体力の尽きないシャルが駆け出す。
「よし、思いっきり遊ぶぞー!!……の前に、リヴェちゃんをシャルちゃんに紹介しないとね」
 硲・葎(流星の旋律・f01013)が風と共に飛んで行ってしまいそうなシャルを引き留める。
 葎の後ろに隠れるようにして様子をうかがう、二つ結いの影が一人。それはリヴェンティア・モーヴェマーレ(血も骨も、灰すら残さず・f00299)だった。
「シャルちゃん、こちらリヴェちゃん。私の友達のミレナリィドールさんなんだよ」
「あ、あの……私、リヴェンティア……でス。よろしく、お願いしマス」
 葎の紹介を受けて、緊張に震えながら、慎重に挨拶を紡ぐ。
「わぁお友達さんが増えました! リヴェちゃんって呼んでいいですかっ? かわいい!」
 シャルは、自分の手でリヴェンティアの手を温めるようにして包み込むと、そのまま握ってぶんぶんと縦に振る。リヴェンティアの緊張を、いっきに解すように。
「是非呼んでくだサい! 私もシャルちゃんって呼びますネ! お友達のお友達はお友達…デす♪ 葎さん、シャルちゃん、今日は沢山遊びまショ!」
 間違えたり、嫌われたらどうしようと思っていた不安はいっぺんに吹っ飛んだ。
 葎も、自分の友達同士のファーストコンタクトが上手くいったことに安心する。
「じゃ、雪だるまサンタ作ろっか!」
 降りたての雪が積もるストリートは、中ぐらいの玉を転がすだけでも大きな雪玉ができそうだ。葎がサイバーアイの格物致知を経由してネットに書き込むと、すごい速さで住民のキマイラたちからレスポンスが来る。
『コンコンして出てくるポイントはここだけど、バケツ集めた店で厳選するならこっちがおススメ』
『電飾の飾ってない木は幹さえあれば枝を折ってもいくらでも生えてくるから、自由に使って大丈夫だよ』
『炭ポイントはいっぱいあるけど、木炭がいるなら丘のほうがいいかな? 地図貼ります』
 などなど、これらのメッセージ一つ一つにありがとう、と丁寧に返信した葎は、手近なポイントへと調達に向かった。

 シャルとリヴェンティアはそれぞれで雪玉をつくり、一緒にストリートを歩く。新しい雪の上を丁寧に転がして、大きくしてゆく。
「一緒に歩いているノに……シャルちゃんの方が大きイ?」
「ぎゅっ、って固めながらやるんです、ぎゅっ!」
 シャルの言うとおり、ぎゅっと羅刹の超パワーで圧縮された雪は、もうそれだけで武器の代わりにもなりそうだ。
「ぎゅう……」
 リヴェンティアも見よう見まねで力を入れてみるが、それまで柔らかめに作っていた雪玉は崩れてしまいそうだ。
「危ない、危なイ」
 形を整えてもう一度。今度は全体をまとめるようにぎゅっと。
「なかなか難しいデす」
「じゃあ、リヴェちゃんのを頭にして、私のを胴体にしたらバランスがいいかも?」
 全く同じ大きさの玉2つでは雪だるまは成功しない。だったら、分担すればいい話だ。
 猟兵が来ているということで軒先から窓から全面的に歓迎ムードのストリートを往復するころには、合わせたらふたりの身長を超えてしまいそうな雪玉が2つ完成していた。

「使えそうな材料がそろったよ」
 葎が小物でいっぱいになったバケツと折り畳みの脚立を抱えてストリートへと戻ってきた。住民からおまけに渡された、白いポンポンの赤い帽子もかぶっている。
「こっちも、土台は完成しまシた」
 シャルとリヴェンティアら雪だるま組は、空き地で無地の雪玉を転がらないように地面に固めていた。
「そういう事なら、ここは私が」
 三人の中で一番背の高い葎が、ひょいと小さな雪玉を大きな雪玉の上へ乗せる。
「だいぶそれらしくなりましたね~」
 無地の雪だるまが完成すると、シャルは脚立に登って顔を組み立て始める。
 細い切れ長の木炭で、まず目元からイケメン風に組み立てる。
「お鼻はやっぱり人参でしょウか……? あっ、イケメンさん、良いでスね!」
 リヴェンティアは服の模様を薪の端材でボタン風に飾り付ける。腕も、かっこいいポーズになりそうな枝を吟味中だ。
「真っ赤なお鼻のサンタさんだよー!!」
 葎が彼岸花ノ葬の柄を取り出してシャルに手渡す。これは、各色に発光可能なハイテクなサムライブレイドの柄だ。
「真っ赤なお鼻は……トナカイさんかも?」
「え、違う?」
 細かいことは気にしない。それっぽいだけで今は十分に楽しい。
「葎さんはイルミネーション係なのですネ! 点灯式しまスか?」
「点灯式! やろーやろー!」
 雪だるまの口元をニヒルな笑いの形にカーブさせたシャルも大賛成だった。

「さん、にーい、いーち!」
「メリクリー!」
「たーまやー!」
「メリークリスマスでたーまやーな気持ち★」
 シャルがカウントダウンと共にぐーちゃん(グレネードランチャー)から花火を打ち上げると、葎がタイミングを合わせて雪だるまの鼻も赤くぴかぴか光らせる。点灯式なのか打ち上げ花火なのか、三者三様に楽しくごちゃまぜになって笑いあう。
 宙に弾けた花火は暮れかけた空にきらきら光り、寒空に溶けていった。
「これだけ丈夫な雪の塊ができるなら、かまくらも作っちゃう?」
「ぎゅってするの、上手くなりまシた。できると思いまス」
「私も、まだまだ走り回れますよー」
 雪だるまの後ろに大きなかまくらが出来上がる頃には、自主的な差し入れという名のキマイラたちからのプレゼントで鍋一式が出来たり、キャンドルがたくさん集まって照明が要らなくなったり。
 三人のクリスマスは、楽しく更けてゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月09日


挿絵イラスト