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サツバツ・マシン・デットヒート!

#アポカリプスヘル #レース #レッドウルフ #TEAM『R』 #人間と戦車と荒野 #連携フィニッシュ

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「レディース・アンド・ジェントルメンッ! アーンド、ボッチョウジョウチャン、グランマ、グランパもみんなが注目するイカれ野郎共のお祭り! サツバツ・グランド・チャンピオン・ラリーが今年も開幕だ! スタート地点はいつもの場所。知らない奴は周りに聞きな、皆が知ってるあの場所さ! 今年もイカれた挑戦者達を待ってるぜ! 挑戦者はレース開始時刻に規定範囲内に居ればOK! 妨害? 体当たり? 生温いぜ! 早い奴はふっ飛ばせばお前が一番早い!」

「と、言う内容のラジオが一部地域から放送されているようだな。まあ、ここに話が来ると言う事はオブリビオンが絡むと言う事だ。概要を説明しよう」
 いつものように(自称)レイリス・ミィ・リヴァーレ・輝・スカーレット(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)は中空にホログラム映像を投影しながら作戦の概要を説明する。
「今回の世界はアポカリプスヘル。今回は戦場になる範囲が広い。何らかの移動手段は最低限必要になる、とだけは最初に言っておこう」
 ホログラム映像に表示されるのは大量のマシン。戦車、トラック、バス、バギー、スポーツカーにバイク。地上を走る物ばかりで、どれも武装している。
「サツバツ・グランド・チャンピオン・ラリー。その名の通りラリー競技だ。かなりの長距離を縦断するレースで、3日かけて行われる。別に生身で挑んでも構わないが、3日間ぶっ通しで走る事と、空を飛ぶ事だけは反則なので注意してくれ。ホバーや低空を飛ぶのはギリギリ許されるようだ。チーム参加も問題無い。誰かの運転するマシンに同乗したり、何かに変身する奴は上に乗せて走り、途中で走者を交代するのもセーフだ。最低限、何らかの形で同乗する必要はあるが」
 アポカリプスヘルのざっくりとした地図に表示されるコース。勿論、整備された道などある筈もない。山あり谷ありの荒野を只管突き進む過酷なレースだ。
「途中にチェックポイントがある。通過した証拠として旗を全て順番に回収し、ゴール地点へ到着したら終了だ。反則行為は二つある。一つはさっき言ったが空を飛んで移動する事。もう一つは、自分より遅い奴への攻撃だ。反則者には賞金が掛けられて、レース参加者全員が敵に回る事になるので反則はしない方がいいな」
 戦車が二両走るホログラム表示。前を走る戦車に、後ろの戦車が砲撃し破壊!
「相手を攻撃するのはルールの範疇と言う事だ。ただし」
 その後方からもう一両の戦車が走って来た。砲塔を回転させ、後ろから来た戦車を砲撃すると、砲撃した方の戦車が爆発!
「このように、後方への妨害行為は反則と見做される。設置型トラップとかも反則だ。だが、前を走る相手なら何をしても問題はない」
 そこに現れるオブリビオン。
「途中でオブリビオンストームが発生するのでこれを突っ切って貰う事になる。相手は『資材略奪用兵器群デッカイザー』さほど強くは無いが、数が多く交戦自体がタイムロスで射程と防御力は高いから無視もし難い。そもそも猟兵がオブリビオンを無視していい訳はないのだが、今回の標的はこのレースの優勝者なのでレースの方も頑張らないと交戦できない」
 『WANTED』の強調表示文字。賞金首ポスター風に現れたのはガラクタを寄せ集めて作ったかのような巨大なメカドラゴン。
「これ自体がもう一つのオブリビオンストームと言った所か。コイツが一着で到着すると、ゴール地点の大型拠点が破壊し尽くされてしまう。二着以降なら一着で辿り着けなかった事を恥じるのか何もせず飛び去るが、そもそも逃がす理由はあるまい。ただし、レース中の後方への攻撃は反則で、参加者全員を敵に回す事になるのは忘れないでくれ。レース終了後に討ち取るか、レース中に後ろに付いて攻撃するかだ」
 すっと、横に手を振り全ての映像を消すと椅子に座って偉そうに腕を組むレイリス。
「私は見えた事件を解説するだけだ。判断は現場に行く諸君に委ねられている……いつものようにな」
 そして、眼前に転送用のゲートを開く。
「では、往くがよい」


Chirs
 ドーモ、Chirs(クリス)です。今回はレース物です。
 長距離ラリーなので純粋な速さを追求するより、色々な事態に備えた方が結果的には強いと思います。上位三組位はしっかり決着を付けましょうか。猟兵同士で妨害する事になる可能性もありますが、プレイング次第です。
 一つのマシンに乗っていれば一つのチームと見做しますが、別のマシンに乗る場合はチーム参加でも別チームとして扱います。自分が参加しない場合は誰のマシンに乗って、どんな役割をするか明記して下さい。
 第1章ではレースに参加するマシンを用意して貰います。所持アイテムでも構いませんし、現地調達してもいいです。
 第2章ではレースが始まり、集団戦の敵と戦いながらレースを続けます。集団戦の敵はなんやかんやで全滅する予定なので後ろは気にせずに走り抜けて下さい。
 第3章ではトップを走るボス敵との交戦可能距離に入ります。レースも後半戦となり結着が付きます。
 今回もいつも通りアドリブも連携もマシマシになります。ある程度の人数が集まってから書き始めます。皆さんのやりたい世紀末レースのお手伝いが出来れば良いなと思う所存でございます。
 3/4(木)9時からプレイング受付を開始します。それ以前に頂いたプレイングは採用できないのでご注意ください。
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第1章 冒険 『Dead Hell Race』

POW   :    妨害上等!!返り討ちにしながら走る

SPD   :    直線やカーブで技術を見せながら差をつける

WIZ   :    コースを把握し、戦略を練って時に妨害しながら走る

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御宮司・幸村
フフン、今回のジャンルはレースだねー!
妨害あり系か、上位の後方への妨害不可って事は下位には攻撃権があるって事かなー
フフーフ、おじさんこういうルール好きだよ

さて、おじさんが用意するマシンはUCで創造しちゃうよー

理想から想像された無敵のマシンだけど、ざっくり紹介しておくねー!

・航空機以外の乗り物に可変機能
・オートジャイロ、オートパイロットなど運行へのサポート機能
・BSコントローラーやゲーム機を媒体とした召喚系UCをボタンひとつで発動できる機能
・そもそも無敵だけど、相手の攻撃をそのまま反射するバリア(回数∞)
・念のためワープ機能

まあ、ワープがルール違反ではなさそうだけど
そこは空気読むよー


バルタン・ノーヴェ
アドリブも連携も大歓迎デース!

このレースのお知らせを聞いて、ナイスアイデアが閃きマシタ!
これなら勝てマスネー!(※ネタ的な意味で)

燃料や素材を用意して、準備OK!
スタートまでにバルタンズを動員して、組み立てますは装甲列車!
石炭式の蒸気機関車と列車砲の二両編成デース!

山でも谷でも突き抜けるパワー!
横転しないように重量たっぷりのボディ!
荒野でも線路なしに走れるようキャタピラ式を採用デース!
速度は出ないかもデスガ、走りながら前にいるライバルたちを吹き飛ばす大口径主砲主義という訳デスネー!

よろしくお願いしマース!

あ。1チーム1マシンのルールデスガ、ゴールする時に二両目をパージすればセーフ、デスカナ?


灯璃・ファルシュピーゲル
WIZ寄りで行動

…荒事は日常茶飯事ですが、
もっと静かな娯楽が楽しめる世界になって欲しいですね…

自分の装甲車で参加
指定UCと軍現役時の(戦闘知識・メカニック)を活かし
念入りにメンテと改造を施していきます

上位を駆け抜けるというよりも、
生き残って確実にボスに止めを刺せるように
それなりの順位で戦闘行動を維持し続けるのを基本として

大火力相手には逃げるのが一番ですし、
強化型のターボ付きディーゼルエンジンに換装し
機動力を殺し過ぎない程度にケージ装甲、反応装甲を取り付け。
内部も生存性を高める為、エンジン等を内張り装甲化

更に誘導兵器の使用を考慮し
チャフ、煙幕、アクティブ防護システムも搭載しておきます

アドリブ歓迎


ビリー・ライジング
【ライジング兄妹】

「ここがアポカリプスヘルか……」
初めてきた世界の地平線や建物を物珍しげに見る。

マシンは現地調達。
だがレースがどんな内容なのか分からない限り、マシン選びは慎重になる。

「二人でレースに出場したいのだが、スタート地点の『いつもの場所』とはなんだ?」

よし、俺達はスーパーカーで行こうか。
三日間のラリーレースだから、燃料や武装は必要だよな……。

「この白のスーパーカー、いいな。色とフォルムが気に入った」


ミリィ・ライジング
【ライジング兄妹】

「本当に荒廃した世界だね……」
初めてきた世界を見て、拠点で生き延びる人々達を珍しそうに見る。

マシンは現地調達。
お兄ちゃんは慎重に選んでるみたいだけど、
こういうのってフィーリングでいいんじゃないかな?

「そういえば『今年も』あるって事は、過去にもあった事よね?」

うーん、お兄ちゃん。これなんかが良いじゃない?
このスーパーカー、何だかカッコいい!

三日間のラリーレースなら、私はキャンプ道具や食料を用意しようかな?


カグヤ・アルトニウス
○まずは様子見です

アドリブ歓迎

このレースのルールですと…
「最後尾から超火力でコースごと吹っ飛ばす」
という非常に頭の悪い戦術が罷り通るので、それをやられない様に対処するのが今回の目標ですね

(マシン)
「マルミアドワーズ」
全長:約20m(艦首込み)
移動方式:浮遊(重力制御式)
外見:翼・ジェットエンジンの無いステルス戦闘機で機首代わりに巨大剣が生えている感じになります
「レース」での運用は二回目です

(行動:WIZ)
今回は位置取りと情報収集です
基本的には適度な集団の後ろ側を付かず離れずに【追跡】し
各種センサーで天候や地形・各チームの動向を【情報収集】して予測を行い
こちらへの攻撃に対しては回避専念です


エレナ・ウェッソン
yeah!heyジョニー!アポカリプスヘルの荒野でレースだなんて、ボク達のイェーガーデビューにピッタリだと思わないかい?
『ああ、オレ達のコンビネーションを見せつけてやろうぜハニー!』

ボクが乗るのはもちろん相棒(バディ)のジョニーさ!

一緒にヒーローズアースのハンバーガーとコークで腹ごしらえするヨ!腹が減ってはノーバトルってサムライエンパイアでは言うらしいネ!
『やっぱりあの店のハンバーガーは最高だなっ!』

食べ終わったら腹ごなしを兼ねて身体を温めにジョニーに乗って軽くランしに行くヨ!
『エネルギー使い過ぎちまわねえように気をつけねえとな』

チャンピオンの座はボク達がゲットするヨ!
『任せておけ!』



●始まりの地にて
『グッドモーニングエブリバディ! 実況のカイルだ。今日はいよいよ明日に迫ったサツバツ・グランド・チャンピオン・ラリーのイカれた出場者達を紹介するぜ! 今年も解説にはR研の主任さんをお招きだ』
『ドーモ、解説の主任です。よろしくお願いします』

 いつもの場所、始まりの地、グレイトフル・ジャーニー。十年以上前に遺棄されたこの拠点は年に一度だけその活気を取り戻す。今日がその日だ。

 ファルシュピーゲルは配給された小型ラジオから聞こえて来る声を聞きながら自分の装甲車の最終確認をしていた。
『今年初めて参加するニュービー達に一つお願いだ。そのラジオの電源は常にオンにしておいてくれ。オレチャンのナイスな実況が聞けなくなっちまうからな』
『ナイスな解説もね。ある種のGPSを内蔵してるから審判はそれを元に順位を付けたりしてるんだ。ま、壊したら反則負けって訳じゃないけどなるべく壊さないでね。電源入れっぱなしでも一週間は持つから』
「なるほど、これを使って監視もしているという訳ですか」
「んー、このラジオ通信が双方向だね」
 幸村はラジオを軽く調べながら言った。
「盗聴器と隠しカメラの類も入っているねー」
『オイオイオイ、盗聴とか人聞きの悪い事言うなよ。リスナーの声をオレチャンに届けるナイス機材だぜ?』
『アー、悪い事には使わないからそのまま持っててね。情報の届け先は実況席だけで他の参加者には行かないから』
『ま、オレチャンが全部喋っちまうけどな!』
 アポカリプスヘルにヘリコプターの類が無い訳ではないが、これだけの長距離レースを安全に取材する事など不可能に等しい。十中八九オブリビオンストームに襲われて堕ちる。かと言って陸路で参加者を追うと言うのも現実的ではない。それが出来るなら参加するだろう。
 そこで遠隔で電子的に参加者を追跡する為の装置がこの小型ラジオに集約されている。さらに時間をかけて調査をすればこれを扱えるのは特定のソーシャルディーヴァに限られている事まで分かるが、それは必要な情報でも無いだろう。
「オブリビオン絡みのなんかではないって事はおじさんが保証しとくよ」

『OK! それじゃあ出場者へのインタビューに入ろうゼ! まずはぁ……アカリィー・ファルシュピーゲルゥーッ!』
 灯璃・ファルシュピーゲル(Jagd hund der bund・f02585)は整備の手を止めてラジオに軽く会釈する。
「どうも。荒事は日常茶飯事ですが、もっと静かな娯楽が楽しめる世界になって欲しいですね……」
『エントリーするマシンはガチガチの装甲車だ! スーパーハイパワー強化型のターボ付きディーゼルエンジンが唸りを上げるぜ! どんな不整地も何のそのの8輪駆動! 誰もお前を止められない!』
『その分スプリントは弱い感じですかね。とにかく安定して走るにはベストな選択と言えますね』
『防御面もガッチガチだ! 通常装甲に加えてスッケスケのケージ装甲! 全身をカバーして邪魔になったら一気に剥がせる反応装甲!』
『多分、エンジンも内張り装甲化してますねー。これは硬いですよ』
「あまりべらべらとバラさないで欲しいんですけど」
 これはバラされなかったが、対誘導兵器を考慮しチャフ、煙幕、アクティブ防護システムも搭載されている。
『それじゃあ意気込みを聞かせてくれ!』
「猟兵の使命はオブリビオンを倒す事です。だからと言って勝ちに行かない訳ではありませんが」
『おおっと! レースのついでに勝ってやるぜという強気の発言だー!』
『あー、いいですねー。これは走りも期待できますよ』

『次の出場者はユキムラァ・オングウジィィ!』
「フフン、今回のジャンルはレースだねー! 妨害あり系か、上位の後方への妨害不可って事は下位には攻撃権があるって事かなー。フフーフ、おじさんこういうルール好きだよ!」
 御宮司・幸村(いいかげんサマナー・f02948)はポータブルデバイスでマシンの細部を調整しながら答えた。
『マシンが見当たらないですね。まさかの生身参加者でしょうか?』
「ある意味そうだけど、違うよー。んじゃ、ちょっとだけ見せてあげるね」
 幸村がコンソールに軽く指を躍らせると3Dモデルの未来的マシンが出現!
『おおっと、これは全てユーベルコードでどうにかするという力強い宣言だー!』
『いいですねー、猟兵にしか許されない贅沢ですよ』
「航空機以外の乗り物に可変機能付きで、オートジャイロ、オートパイロットなど運行へのサポート機能も充実!」
 これは伏せ手だが、BSコントローラーやゲーム機を媒体とした召喚系UCをボタンひとつで発動できる機能と、そもそも無敵だが相手の攻撃をそのまま反射するバリア(回数無制限)まで搭載している。そのスペックだけ見ると正しく無敵のマシンだ。
 ちなみに、念の為ワープ機能も搭載しているが、試しに使って見た結果50m程度の短距離ワープのみで、一度使用するとある程度のクールタイムも必要だと分かった。緊急回避用だろうか。
『奪還者共も猟兵に負けるなよー?』
『一見無敵っぽいんですが、ユーベルコードの性質上使用者の精神力が試されますねー。長期的なレースとなるとどこまでそのスペックを保持できるかが問題となります』

『次の出場者はぁ、バルタン・ノーヴェェェー!』
「このレースのお知らせを聞いて、ナイスアイデアが閃きマシタ! これなら勝てマスネー!」
「バルバルバルバル♪」
 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は大量のミニ・バルタンに何か列車の様な物を組みたてさせながらインタビューに答える。
『おおっと、これは何でしょう? 何かの資料で見た事がある気がするけど』
『蒸気機関車ですねー。列車なんて大崩壊前にしかありませんし、蒸気機関車となるともう博物館にしかありませんでしたよ』
「石炭式の蒸気機関車と列車砲の二両編成デース! 山でも谷でも突き抜けるパワー! 横転しないように重量たっぷりのボディ! 荒野でも線路なしに走れるようキャタピラ式を採用デース! 速度は出ないかもデスガ、走りながら前にいるライバルたちを吹き飛ばす大口径主砲主義という訳デスネー!」
『これは今大会ではかなりの重量級マシンだァー!』
『いやぁ、凄い自信ですねぇ。あの列車砲の一発は直撃しなくても大抵のマシンはひっくり返りますよ。重量級マシンの難点はやはり加速力に乏しい事ですが、一度速度を出してしまえば止まりません。ここまで大型化するとコーナーリング性能はかなり厳しい物がありますがルート選択が鍵を握るでしょう』
「あ。1チーム1マシンのルールデスガ、ゴールする時に二両目をパージすればセーフ、デスカナ?」
『まあ2両で1マシン扱いでしょう。ルール上はそのままでも問題無いですね。ただゴール前に加速するならパージはしてもいいと思います。その方が列車感出ますしね』

「このレースのルールですと……”最後尾から超火力でコースごと吹っ飛ばす”という非常に頭の悪い戦術が罷り通るので、それをやられない様に対処するのが今回の目標ですね」
『ヤる気か? ヤる気だな? イカれた挑戦者はカグヤァー・アルトニウスッ!』
「私がやる訳じゃないですよ」
 カグヤ・アルトニウス(辺境の万事屋兼宇宙海賊・f04065)は『マルミアドワーズ』の整備をしながら言い返した。
『何ですかねぇ、このマシン。ドラックカーのようでもありますが、推力は重力制御のホバー式みたいですねぇ』
 翼とジェットエンジンが無いステルス戦闘機で機首に巨大な剣が生えている……実際、何だコレ、と言う感じである。
『ホバー型なので地形に左右され難いのは確かですねー。耐久力が低くなりがちなホバー型ですが、このマシンからはそう言った要素は見えません。20mの巨体でありながらハンドリングも良好。やはり欠点は加速力でしょうか? 後は、接地していないので攻撃された時に大きく弾き飛ばされる懸念はありますね』
『誰もこんなデカい剣をそのまま飛ばしましたなんていうイカれマシンに近付かねぇよ! 一体本番では何をやらかしてくれるのか、コイツからは目を放しちゃいけないぜ!』
「なんか、酷い言われようですね」
 カグヤは煽るラジオを聞き流しつつ、情報収集を続ける。目立ったマシンはこのラジオが垂れ流してくれるからそれを聞いていれば凡そ把握できるだろう。地形情報も事前に調べておきたかったが、範囲が広すぎて一日目のコースをざっくりと把握できた程度か。それでも無いよりはマシだ。
 調べた限りでは、後方から広範囲長射程の一発でレースをひっくり返す事をコンセプトとしたマシンは見当たらない。一日の走行距離が500kmを越えるレースでその全てを射程内に捉える事など不可能だろう。強いて言うなら、さっきの列車砲を持ち込んだ猟兵が一番危険か。
 それとは別に、明らかな過剰兵装を施した集団が見えるのも気になった。レースを妨害すると言うレベルではない、明確にレース中のマシンを破壊する事自体を目的としているとしか思えない危険な集団だ。アレからは目を離さない方がいいだろう。

「yeah! heyジョニー! アポカリプスヘルの荒野でレースだなんて、ボク達のイェーガーデビューにピッタリだと思わないかい?」
『ああ、オレ達のコンビネーションを見せつけてやろうぜハニー!』
『お次の挑戦者は荒野を駆けるカウガール! エレナァー・ウェッソン!』
『おおっと、これは馬です! まごう事無き馬……あ、いえ、見た目は馬なんですがただの馬じゃないですね』
「オフコース! ボクの相棒(バディ)のジョニーはサイコーのスペースホースネ!」
 ヒーローズアースのハンバーグ店からテイクアウトしたハンバーグとコークを食べながらインタビューに答えるエレナ・ウェッソン(スペース☆カウガール・f32366)
「腹が減ってはノーバトルってサムライエンパイアでは言うらしいネ!」
『やっぱりあの店のハンバーガーは最高だなっ!』
『馬が、ハンバーガー喰ってコーラ飲んでる……えっと、解説の主任さん』
『はい、これは宇宙馬ですね。はい、詳しくは分かりませんが宇宙馬です。初速は抜群、足取りも軽やかで砲弾を当てるのは難しいでしょうね。ただ馬なので怪我には気を付けたい所ですかね』
「ノンノン、当らなければどうと言う事は無いネ!」
『HAHAHA! オレにタマを当てようなんざ1万光年早いぜ!』
『言葉の意味は間違えている気がするが凄い自信だー!』
「食べ終わったら軽くランしに行くヨ!」
『エネルギー使い過ぎちまわねえように気をつけねえとな』
『いや、レース……明日だよ?』
「OH! リアリー!? OK! 明日の分のテイクアウトも急いで持って来るネ!」
『ハニー、この世界のファストフードを巡るのも悪く無さそうだぜ! 出店が色々あってエキサイティングしちまうぜ!』
『燃料要らずというのは結構な長所かもしれませんねー。その分、食料の消費は激しそうですが』
「チャンピオンの座はボク達がゲットするヨ!」
『任せておけ!』

『さーどんどん行こうゼ! 次の出場者はぁ、ビリィー・ライジングッ! アーンド、ミリィー・ライジング! 双子の兄妹の参戦だぁ!』
「ああ、俺達のインタビューに来たみたいだな」
「妹のミリィ・ライジングです。よろしくお願いします」
「兄のビリー・ライジングだ。さっきは案内してくれたりがとな」
『オーケーオーケー、たまーたま見つけたからな』

「ここがアポカリプスヘルか……」
「本当に荒廃した世界だね……」
 ビリー・ライジング(輝く黄金・f05930)とミリィ・ライジング(煌めく白銀・f05963)は初めてのアポカリプスヘルの風景を物珍しそうに見ている。このグレイトフルジャーニーは十年以上前に遺棄されてただの廃墟と成り果てているが、元は大きい駅だっただろう事は伺える。固定機銃の跡、バリケードの残骸などはここが拠点としてもそれなりに使われていた事を感じさせる。
 この拠点の住人ではないが、ラリー出場者は当然猟兵ばかりではない。奪還者(ブリンガー)と呼ばれる荒くれ者達はこの荒野で逞しく生きる生粋の戦士達だ。戦車を駆る者、雑多な機材でマシンをメンテナンスする者、大量の個人携行火器をバギーに積み込んでいる者、救急車を駆る野戦医師、砲塔を付けたグラフィカルなバスに特製の砲弾を積み込む芸術家、バイクを持ち上げて筋トレに励む格闘家。
 レース出場者ばかりではない。何かと入用になるこのレースを商売のチャンスと見て色々な物を売買しているトレーダーの姿もある。荒廃した世界ではあるが、人々の活気は失われていない。
「結構色々あるんだな。うーん……」
 近くの拠点ではトレーダーがこのレース出場者向けにマシンを売りに出していた。安くは無いが、猟兵ならさほど問題にはならない値段だ。空を飛ばなきゃ何でもアリのレースなので多種多様なマシンが並んでいる。戦車もあるが、ラリー向けの四輪駆動車が多い。
「……どれが早いんだろう」
 素人目には最適なマシンと言うのは分からない物である。
「お兄ちゃん、考えても分からないならフィーリングでいいんじゃないかな。ほら、これなんかが良いじゃない?」
 ミリィが選んだのは白を基調としたスーパーカー。純白に磨き上げられた傷一つ無い車体なんてものはこの世界には滅多にない。その中において比較的傷は少なく、丁寧に磨き上げられている。元の乗り手が大事に扱っていたのだろう。
「このスーパーカー、何だかカッコいい!」
「ああ、確かにいいな。色とフォルムが気に入った」
 ほぼ見た目だけで選んだようにも見えるが、見た目がいいというのはそれなりに大事にされていると言う事でもある。お値段も相応だったが予算内。
「よし、俺達はこのスーパーカーで行こう。三日間のラリーレースだから、燃料や武装は必要だよな……」
「私はキャンプ道具や食料を用意しようかな? 何か、見た事無い食材が多いけど何とかなるよね」
 食料はかなり希少なこの世界で美味しい食事が作れるかはミリィの腕次第だ。
 必要な資材を買い込んでマシンに積み込み、レース開始地点へと走り出した。

 つもりだったのだが、少しばかり道に迷ってしまった。グレイトフルジャーニーは拠点としてはかなり大型なので結構道に迷いやすい。
『あー、テステス。ハローそこのイカしたカーのお二人さん。道にお困りかな?』
 すると、買い取った白のスーパーカーのラジオが突然入り、ビリーとミリィに話しかけて来た。ラジオ越しに会話が成立すると言う奇妙な状況ではあったが、こうして無事に開始地点に到着する事が出来た。

『んで、マシンの調子は? とりあえず動くってレベルだったと思うけど』
「俺達なりに改良を加えているならな。結構いい勝負が出来ると思うぜ」
「触媒になる材料が結構あったからね」
『うーん、何でしょう。見た目はお上品なスーパーカーって感じですが魔力検知が凄い反応してますね。これはもうマジックスーパーカーと呼ぶべきでしょう。比較的平坦な道を選べば加速も最高速も高水準です。オフロードの運用はやや厳しいのでハンドリングが勝敗を分けるポイントになりますでしょうか』
「そういえば”今年も”あるって事は、過去にもあった事よね?」
『そうさ! このサツバツ・グランド・チャンピオン・ラリーは20回目だ。やらない年もあったが、去年は開催したぜ、ま、オレチャンのライフワークって奴だからなこのレースは。オレチャンが生きてる限り続けるゼ』

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
キツネさんチーム

心情
こんなレースが開催されるなんて
それなりに復興してきてるってコトなよな
なんか嬉しいぜ
…かなり過激だけど

行動
適当なバギーを現地調達
まあ頑丈で取り回しがいい奴で

攻撃手段は獄炎だから
固定武装はなくてもいいや

水や食料、燃料は
衣更着に任せちまっていいか?

通信装置は基本
あと暗視機能付きのゴーグル&ヘルメットとか
防塵のマフラーもあるとよさげかも
マントは自前で

バギーを譲ってくれたメカニック?に奢ったりして
ルートでの注意点や
有名参加者とそのマシンやレース運びなんかを
教えてもらう

オブリビオンを倒す前にリタイアってのは
勘弁だぜ

で腹いっぱい食って英気を養ったら
スタート地点へ向けて出発しようぜ


家綿・衣更着
●キツネさんチーム

「おいらは仲間を有利にするためフォロー重点っす!」
朧車“家伊賀”を【メカニック】で走行中に後部から車やバイクが侵入、固定積載、修理可能に改造
ガトリングや後部装甲増強

オブリビオンストーム発生対策に少しずつ運び込んだり現地調達した、水食料や燃料弾薬や医薬品や修理資材等の補給物資を『収納鏡』も利用し大量【運搬】
途中で仲間の車を格納し、補給や修理や休息を与えレースを有利にする空母戦法
「前方へ妨害OKなら、後ろから乗り込み物資を貰うのもありっすよね?」

スマホで他猟兵と連絡可能にする
キャプテンさんの力を借り事前にコースを【情報収集】
極力安定して走れる【地形を利用】し最高速度維持や疲労軽減


叢雲・凪
【キツネさんチーム】
※素顔状態

POW

レースか… あいにくハイテックな乗り物や機械は苦手だ。
キャプテンのフューチャー号に同乗させてもらおう。

「と 言うわけで! こんなのを用意してみたゾ!」(謎のドヤ顔をしつつ皆の前にサイドカーパーツを見せる)

(おぉ 何たることか! そこにあるのは『柔らかそうなモルモット型車両』をリスペクトした黒い狐顔のサイドカーが! マッポーめいたコンプライアンス・インシデントである!)

「スクラップの中にあったから引っ張り出してきた。名づけるなら… 【コンコン・イナリカー】かな!」(再びどや顔)

「あくまでサイドカーだけど緊急時はワイヤー接続した『子機』として切り離しも可能だ!」


キャプテン・ハマーヘッジ
【キツネさんチーム】

レースか…体の一部のように扱うことができる我が相棒フューチャー号の出番!
こんな事もあろうかと私は相棒のフロント部に追加武装を施しておいた。更に見よ、このアタッチメントを…!そう、遂にフューチャー号にサイドカーを接続する日が来たのだ!凪の用意したマシンを!
今の内に凪とサイドカーが受ける振動の影響が可能な限り少なくなるようにマシンを調整しておこう。
更に、補助に回ってくれる衣更着の情報収集を、宇宙紳士AIを駆使してサポート。我々は一丸となって戦うのだ…!



●予期せぬ再会
「こんなレースが開催されるなんてそれなりに復興してきてるってコトなよな。なんか嬉しいぜ……かなり過激だけど」
 木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は盛り上がる会場の様子を見ながら言った。
「いや、このレース毎年やってるらしいから復興とはあんまり関係なさそうっすよ?」
 家綿・衣更着(綿狸忍者・f28451)が冷静にツッコミを入れる。
「あ、そうか……物資も乏しいのにこんなお祭り騒ぎを毎年やってるのか?」
「ハレの日には無い袖も振る物っすよ。でも、今年は去年より盛り上がってるんじゃないっすかね?」
 衣更着の推測は正しい。去年はこんなに大々的な宣伝も出来なかったし、こんなに参加者が集まってバカ騒ぎする事も出来なかった。復興は進んでいる証拠だ。
『続いての挑戦者は三組! キツネさんチーム! 同じチームでも別なマシンに乗って出る以上はライバルだぜ? ドゥユゥアンダスタン?』
「それは分かっているっすよ。でも、おいらは仲間を有利にするためフォロー重点っす!」
 朧車“家伊賀”は大型トレーラーを改造したキャンピングカーの妖怪付喪神だ。後部にはバギー程度の大きさならピットイン出来るメンテナンスドックがあり、固定積載や修理も出来る走るガレージだ。
『まずは一人目、キサラギィー・ウチワタ! 自分の勝ちを捨てた完全支援車両だ!』
『たしかに上位を狙う走行性能はしてないですが、長距離を安定して走れる作りにはなってますねー。他の参加者からの物資強奪には気を付けたい所です』
「前方へ妨害OKなら、後ろから乗り込み物資を貰うのもありっすよね?」
『勿論さ!』
「場合によっては他の人にも物資を分けてもいいっすよ? 何らかの見返りを貰えればっすけどね」
『おおっと、抜け目ない商人の目が光るぞ!』
 実際、そこに積み込まれた資材は見た目以上に多い。事前に現地調達し、【収納鏡】(マヨヒガストレージ)に収納した水食料や燃料弾薬や医薬品や修理資材等々、奪還者にとっては走るお宝だろう。
 アポカリプスヘルには他世界から資材を持ち込む事は出来ない。装備品等は持ち込めるが、例えユーベルコードで圧縮して持ち込もうとしても必ず失敗してしまう。この資材は衣更着が時間をかけて集めた物だ。ラリー終了後にゴール地点の大型拠点で捌いてもいいかもしれない。
 更に自身の車両をサーバーにしたプライベートネットワークを使ったスマートホンサービスも展開。場合によっては参加証代わりになっているラジオ回線をジャックする事すら可能だ。音声の送信だけならただのラジオと変らないので特定のソーシャルディーヴァじゃなくても何とかなるようだ。

『チーム二人目! キャプテーン・ハマーヘッジッ! ウィズ、ジンライ・フォックス!』
「レースか……体の一部のように扱うことができる我が相棒フューチャー号の出番!」
 キャプテン・ハマーヘッジ(宇宙紳士・f28272)はフューチャー号を家伊賀に有線接続し、事前に下調べした情報を共有していく。範囲が広大なので下調べの為に一週間ほど早く現地入りしてコースの情報を入手していたのだ。
「こんな事もあろうかと私は相棒のフロント部に追加武装を施しておいた。更に見よ、このアタッチメントを……! そう、遂にフューチャー号にサイドカーを接続する日が来たのだ! 凪の用意したマシンを!」
「レースか、あいにくハイテックな乗り物や機械はハンズアップだ。キャプテンのフューチャー号に同乗させて貰おう……と、言うわけで! こんなのを用意してみたゾ!」
 叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)が謎のドヤ顔で披露したのは……羊毛フェルトめいた黒い狐顔のサイドカーだ! かわいいね!
『なんか、そのサイドカーが視界に入ると他の人が全部人形に見えるんだけど気のせいかな?』
『あと、あんかストップモーションっぽくなるね。スゴイフシギ』
 元ネタを調べに行って30分ほどふっ飛ばしたなどと言う事実は無い。ショートアニメだと油断した事実も無い。流石に車輪めいた脚で四足歩行するなどと言う機能はたぶんない筈である。乗ろうとすると中に吸い込まれるように消えるけどきっと気のせい。
「スクラップの中にあったから引っ張り出してきた。名づけるなら……”コンコン・イナリカー”かな!」
 再びのドヤ顔に合わせてイナリカーもドヤ顔だ! かわいいね!
「あくまでサイドカーだけど緊急時はワイヤー接続した『子機』として切り離しも可能だ!」
『ワイヤーって言うか、リードデスネー。あー、なんかストップモーションめいた動きに見えますけど、案外走破性能は悪くないですよ。なんなら渋滞する車の上をよじ登って進めそうデスネー』
『いや、それは無理があるのでは……?』
 実況席も混乱しているぞ! かわいいね!
『まあ、なんですかね。フューチャー号の方はホバーバイクで軽量級、サイドカーを繋いでもなお軽量クラスですねー。快適な加速性能と小回りの強さ。被弾が怖い所ですが、そもそも当たりにくいでしょう。ドライバーの腕が問われます。一見ネタにしか見えないサイドカーですが、何と言うかふしぎなちからで困難を物理的に乗り越えそうなヤバさがありますねー。持久力は問題になりそうですが、走るガレージのアシストがある事を考慮すればその欠点は解消されます。ただ、当然ながら家伊賀の前に出る時はアシストを受けられませんし、家伊賀を守る為にも家伊賀から遠くに離れられないのは欠点ですね。チームらしく一蓮托生と言った所でしょうか』

『そしてチームの三人目はウタァー・コモレビ! ウィズ、ガルシア!』
「ボウズ、運転は任せてやる。仲間だろうが勝つのは俺達だぜ!」
「ああ! 整備の方はしっかり頼むぜ、ガルシアのおっちゃん!」

 ここで時は少し遡る。
 凪とウタはこの会場で久々の再会をしていた。

「あの真紅の戦車は……まさか!」
 狼のエンブレムを施された真紅の戦車。かつて見た姿とは少し細部が異なるが見紛うはずも無し。それに乗っているのは勿論。
「凪さん? 凪さんじゃないか!」
 レッドウルフを受け継ぎし少年、マサト。もう少年と言うより青年と言った方がしっくり来る。あの日から約1年、彼は奪還者として着実に成長していた。
「マサト君! 久しぶりだね! 君もこのレースに?」
「ああ! 凪さんも参加するのか。なら、明日はライバルだな!」
 マサトは戦車から軽く飛び降りると凪とがっしりと握手を交わした。その手は記憶の中より分厚く、男の手をしていた。
「加減は要らない。いや、加減はしないぜ!」
「こっちもね!」
「ワン!」(グググ、マサトよ。他の参加者と慣れ合うなど程々にしておけ。明日は殺し合う相手故に)
「おいポチ。殺し合いじゃない、レースだ。後ろには攻撃しちゃ駄目なんだからな、分かってるんだろうな?」
「ワン!」(是非も無し。終わった後に皆殺しにすれば良い)
「その柴犬は?」
「一応、相棒のポチだ。見ての通り喋れないけどテレパシーで会話できる凄いバイオドックなんだけど、性格が殺伐としてるんだよなぁ」
「ワン!」(我はポチなどではない。ドーモ、エビルストライダーです)
「ドーモ、エビルストライダー=サン。ジンライ・フォックスです」
 突然の挨拶につい、いつもの調子で挨拶を返してしまったジンライ・フォックス。
「凪さん? ポチの戯言に付き合わなくていいんだぜ?」
 彼の記憶の中のヒーローだったジンライ・フォックスは久々に会うとなんだかお茶目な人だと思った。

「うーん、ピンとくるクルマが無いんだよなぁ」
 一方のウタは適当なバギーを調達しようとしていたが、今一つ決め手に欠けていた。レースの内容が内容なのでバギーは数多く売りに出されているのだが、だからこそなんだか弱そうな感じが拭えないのだ。
「ようボウズ。バギーを探してるんならいいのがあるぜ」
 そこに現れたのは見覚えのある青い車体のバギー。そのボディには幾つもの激戦を区切り抜けて来て継ぎ接ぎを繰り返し、その度に更なる力を求めて改造を繰り返した跡があった。
 それに乗る人物も、ウタはよく覚えていた。あの時の拠点のリーダー。酒が好きで小物っぽいおっさん。
「あんた、ガルシアのおっさんじゃないか! 久しぶりだな!」
「おう、やっぱりウタか。お前も男の面構えになってるじゃねぇか」
 バギーから飛び降りて握手を交わす。その手はやはり、荒野を生きた男の手だ。
「あの時のバギーが随分立派になったな」
「おうよ。左右に機銃、後部にSSM。ウルフ程じゃねぇがいいクルマだろ?」
「今回はレースだぜ? 武器はそんなに要らないんじゃないのか?」
「軽いモンを選んで積んでるんだよ。ウルフも普段はもっと重武装だが、今回は機銃二門に主砲一門だけの軽装備だ。エンジンはウルフと同じだがこっちはCユニットを二つ積んでる。走る分には俺の方が早いぜ」
「そうか、強敵だな。じゃあ、明日はライバルか」
「いや、そうじゃねぇよ。ボウズ、車無いんだろ? 俺のガルシア号を貸してやるよ」
「え、いいのか?」
「タダとは言わねぇ、勝ったら分け前は半分寄越せ。どうせレースに勝つのは二の次なんだろう?」
「ああ、今回もオブリビオンが出る。でも、一着で到着させると被害が出るから俺達も一着は目指して走らなきゃならない」
「あー、やっぱり出るのか……ならますます適当なクルマなんざ使っちゃいけねぇ。違うか?」
「そうだな。それなら、明日は頼むぜ、ガルシアのおっちゃん!」
「おうよ! 俺は今の本職はメカニックだからな。クルマのメンテは任せろ。ついでにお前のお仲間の面倒も見てやる。その代わりハンドルは預けたぜ」

『三台目のクルマはなんと! レッドウルフの名サイドキック、ガルシア号だ! 奪還者の本気改造を施したバギーのハンドルを猟兵に握らせたらどんな事が起きるのか? こいつぁ目を離せないゼ!』
「アイツのサイドキックになった覚えはねぇっての」
「勝つのは俺達だぜ。なら、今日の主役は俺達だ。見せ付けてやろうぜ!」
 ガルシアから借りた暗視機能付きのゴーグルをマウントしたCVCヘルメットを調整するしながらウタが言った。防塵マフラーも借りている。
「相変わらず、乗せるのが上手い奴め」
『車両としては非常にバランスが取れていますよ。適度な火力に適度な装甲、オフロード性能も良好でどんな場面でも戦っていける万能車両です。それだけに器用貧乏感は否めませんね。ドライバーの腕でどこまで化けるかが見所でしょう』
「ネットワークはリンク済み、家伊賀はガルシア号も乗せられるっす。こっちのフォローも頼むっすよ」
「おうよ、俺様のメカニックの腕も当てにしてくれ」

『そして、我らがレッドウルフがサツバツ・グランド・チャンピオン・ラリーに帰って来たぜ! 乗り手は二代目レッドウルフ、マサトォー!』
「去年出られなかった分、今年は勝たないとな。ウルフさんの名に泥を塗る訳には行かない……今は、俺がレッドウルフなんだ」
「ワンワン!」(マサトよ、全ての敵を葬り去れば我らが一番なり! 全員殺すべし!)
「駄目だって、潰し合いにばっかり気を取られてたら先頭に逃げられる。だから武装は最低限だ。主砲は射程の長い195ミリロングT。ある程度の距離なら狙い打てるが、弾倉は少ない。必ず行進間射撃になるから狙い打つの難しい」
「ワン!」(グググ、かように軟弱でどうする!)
「外さないとは言って無いぜ。バイタル狙い打つより狙うなら足だ」
『レッドウルフの帰還はちょっとしたニュースになってますからねー。猟兵ではありませんが決して油断していい相手じゃありませんよ。車両は重い重戦車。不整地の強さは折り紙つきですがやはり加速がネックです。それよりもあのロング砲の射撃制度の高さが光りますね。迂闊に射撃チャンスを与えたら一発で抜かれますよ』

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『資材略奪用兵器群デッカイザー』

POW   :    よーし、ジッとしてるね!
全身を【全電磁塗布装甲を閉じ、熱血防御モード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    僕たちの邪魔をしないでよ~!
【装甲を展開し防御力を下げ、各種内蔵兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    超最強っぽい地上走行戦艦グレート・デッカイザー!
【群れが合体変形し、非常に強力な】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【数多く】の協力があれば威力が倍増する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●役者は揃い、祭りは始まる
 夜の帳を下ろさせない様なお祭り騒ぎが一晩中続き、それでも太陽が沈んで、また昇ればレースの時間がやって来る。
 ドライバー達は準備万端で開始地点を示す旗の中に己の相棒を収めていた。最初の位置取りは前が有利とは限らない。最初のフラッグまでは発砲禁止だが、重量級のマシンに衝突されたらたまった物じゃない。最初の位置取りは自然と事故が少ない様に決まっていった。軽いマシンほど前に、重いマシンは後ろに。
 幾つものマシンが唸りを上げる。我こそが荒野を走る最強最速の存在という主張を声高に叫ぶ。
『待たせたな野郎共! それじゃあお待ちかねのサツバツ・グランド・チャンピオン・ラリーの始まりと行こうか! 10!』
 実況のカイルのカウントダウンが始まった。だが、猟兵達はこの状況に強い違和感を抱いていた。
『ナイン!』
 要る筈の者が居ない。
『エイト!』
 倒すべき相手は、
『セブン!』
 どこに潜んでいる?
『シックス!』
 確かに予知された、
『ファーイブ!』
 このレースの勝者。
『フォーウ!』
 それは、遥か後方より現れた。
『スリィッ!』
 巨大な、機械の竜。
『トゥー!』
 冗談みたいに巨大なキャタピラを付け、
『ワァン!』
 それは悠々と開始地点に着地し、
『ゼロッ!』
 そのままの勢いでスタートダッシュを決めた。

 倒すべきオブリビオン、『未完成のメカドラゴン』は律義にも参加証たるラジオを首から下げ、全ての参加者を置き去りにして遥か彼方へ走り去っていく。

『なんか遠くが騒がしいね』
『何かお祭りが始まるみたいだよ』
『獲物が沢山こっちに来るね!』
『よーし、それじゃあ僕たちもお祭りだね!』
『『『全部バラしてスクラップ祭りだ!!』』』

<NOTICE>
 第2章よりレース前半戦の1日目と2日目の開始となります。反則スレスレの手でスタートダッシュを決めたメカドラゴンへは1日目は攻撃が届きません。2日目は1日目のアドバンテージを生かしてトップでスタートするのでやはり追いつくのは厳しいでしょう。
 最初のフラッグまでは妨害禁止です。多少の衝突事故は大目に見られますが、露骨な走行妨害は反則となります。1本目のフラッグを取ったら前方への妨害解禁となりますので存分に撃って暴れて下さい。
 フラッグは50km毎に一本設置してあります。フラッグのある場所に行くルートは自由に決められます。最短で行くのも、多少舗装された道を走るのも自由です。飛行だけは禁止です。カイルが見張っています。
 第1章で指摘されたマシンの強みを生かす、または弱点を補う走りをするとプレイングボーナスとなります。
 集団戦ではありますが、必ずしも敵を倒す必要はありません。なんやかんやで全滅します。

 プレイングは3/11(木)9:00より受け付けます。
『資材略奪用兵器群デッカイザー』は進路上の色んな所に潜んで奇襲の機会を伺っています。ラリー参加者では無いので前に居ようが後ろに居ようが攻撃しても問題ありません。ただの障害物扱いです。

『え、20回目? オレチャンそんな事言ったっけ? ハハハ、ジョークだよ。あの破滅の嵐が吹き始める前からこのレースはやってるんだ。昔はデカい都市だったんだぜ。今でもスタート地点のグレイトフル・ジャーニーからゴールのエンンドレス・ホープに繋がる道はいくつか残ってる。誰も手入れなんかしないから荒れちゃあいるけどな。それでも俺達は走る事を止めなかった。挑戦を諦めなかった。出来なかった年もあるさ、グレイトフル・ジャーニーが陥落した年とかな。でもな、文明が無くなっても俺達は生きてる。生きてるなら何かに挑まなきゃあなんねぇ。違うか? どんな嵐が来ようとも俺達は止まらないぜ。たとえこのエンドレス・ホープに最後に日が来ても、俺達の旅は止まらねぇ。生きてる限り、希望に向って走り続けなきゃなんねぇだろ? ゴール出来たかとか、何位だとかは大して重要じゃねーんだ。挑んだって事が大事なのさ。やったか、やらなかったか。全てはそれだけだ……オレチャンへのインタビューはこんな所でいいかな? ハハハ、どこぞのグリモア持ちが”まだ数年”って表記を見て慌ててフォローに来た訳じゃないよな?』
灯璃・ファルシュピーゲル
【隼狼】チームで参加しルール順守で戦闘

仲間とこうして走るのも中々…
任務でなければ、なお良かったですが

ハヤトさんの車両に並走しつつ
指定UC・【戦闘知識・情報収集】で周囲の車両・敵の動きを監視
無人兵器や参加者からの攻撃が開始されたら、
遠距離攻撃を【見切り】つつアクティブ防護装置で防御
咄嗟の場合でロケット攻撃等の場合はスラットアーマで受けて
自車を仲間の盾に

ハヤトさんが敵へ仕掛ける際は連携して
無人銃座による【援護射撃・制圧射撃】で
敵の連携行動を妨害して支援する

「ストライク!…ボーリング上手いですね。」
参加者に対してはタイヤ・機関部狙いで
【スナイパー】で銃座による精密射撃を
ハヤトさんに連携しお見舞いする


御宮司・幸村
まずUC、OS『KⅡの解放』
素敵なAIが双方向で繋がってる小型ラジオにハッキング
これによりおじさんはカイルの得る情報が解るって訳だね!
コースから各車の状況を完全把握ー

次にステルス効果発動
これは理想から想像された機能だよー
からのKⅡによる自動走行モードに切り替え
最短ルートで地形には適切な変形で対応

不測の事態と緊急事態の時のみアラート設定

攻撃は基本自己防衛のみ
進攻上にデッカイザーが居たら
Invader's!で牽制からの長々高々度衛星レーザーによる追尾射撃で追撃するねー

そしておじさんはUC「自宅警備室ポータブル」発動
中でボス戦に備えてお昼寝するよ

★睡眠時指定UC発動
以降の行動は全権をMSに移行します


叢雲・凪
キツネさんチーム

(まさかマサト少年がこのレースに参加しているとは…)

1日目:キャプテンが操縦に集中できるよう迎撃カラテを行おう。(キュイ キュイ キュイとカワイイ走行音をさせつつ)飛びかかってきたデッカイザーに対してワイヤーと【グラップル】を用いて掴みかかり!。そのまま足場にする形で断頭カラテ!。敵に飛び移りつつの軽やかに座席に帰還! ポイント倍点!

2日目:マサト少年の車両と並走してもらおう。

「どうも… マサト少年 ご無沙汰しています。ジンライ・フォックスです」(黒電話型無線機で通信)

「元気そうで嬉しいよ。色々話したい事があるが… 今は【あのデカブツ】を何とかしたい。協力してもらえないかな?」


キャプテン・ハマーヘッジ
キツネさんチーム

(あのマサトという少年、凪の友人のようだな。ならば私にとっても友人…!)

1日目:衣更着と協力して得た地形情報を利用して堅実に行く。デッカイザーへの攻撃は凪に任せ、私は跳躍する凪にとってベストなポジションにバイクを滑らそう。衣更着がくれたメダルも撹乱に活用。

2日目:UCを使用し一気にメカドラゴンとの距離を詰めにかかる。追いつけはしないだろうが、それはこちらから攻撃できるという事。バイクの内蔵武装を発射し牽制攻撃。少しでもスピードを削いでくれる!

(凪に続けて)「マサト少年、メカドラゴンの勝利を阻むためなら協力できる筈!君の火力を借りられないか…!?」


家綿・衣更着
●キツネさんチーム

「おいらが足を引っ張らないよう頑張るっす!」
基本は先に調べた安定コースを走るが、休息中がおらずタイム短縮可能ならショートカットも狙う
【悪路走破】の他、【化術】で家伊賀からヤモリ足を生やし段差越えや【結界術】を足場に【足場習熟】で崖越えも

「多少の妨害には負けないっす!」
妨害や強奪は自分や仲間の車両につけた『あやかしメダル』の結界で弾き走り抜ける

味方の車両を格納しキャンピングカー設備で車内休息&ガレージで補給修理
休息時間を設けない事でタイム短縮と万全を保ち終盤を有利に
自分の休息時は家伊賀か仲間に運転任せる

二日目マサトさんに提案
「物資融通するので、メカドラゴンに妨害頼めないっす?」


木霊・ウタ
キツネさんチーム

心情
メカ竜を還す為
そしてガルシア号を託されたなら猶更
負けられないぜ
いくぜ、ガルシアのおっさん(ぐっ

レース
おっさんのナビで
奇をてらわず手堅く
最短コース狙い
障害物は射撃&獄炎で突破や跳躍
端から無理そうなら回り込む

最初のフラッグをとったらGO!
ルート上の前方の車両へ
獄炎纏う弾丸で攻撃

炎壁で遮ったり
高熱でパワーダウン狙い
その隙に追い抜く

ハンドル捌き&爆炎ターボで
横滑りや急加速、減速で回避

マサト
メカ竜を止める為
Rウルフの力を貸してくれ
頼む
補給は俺達に任せてくれ

ウルフのメカ竜への攻撃の間
ウルフ狙いの攻撃を炎渦で相殺

メカ竜が砲の有効射程外になったら

ここからは勝負だ、ウルフ!
行くぜ、おっさん


ハヤト・ノーフィアライツ
【隼狼】で参加。

使えそうだな。遠慮なく使わせて貰うぜ!
キャバリアに乗って灯璃嬢と連携しせっせと移動。
【戦闘知識】と強化された【視力】を使い、ルートを分析する。

で。手頃な奴に向かって【早業】で指定UCを使用。【ロープワーク】も駆使しでぐるぐる巻きにし、ゲットする。

しっかり耐えてくれよっと。

てなわけで、網でゲットしたまま、やっこさんを【怪力】で盾にしながら【ダッシュ】で猛進する。
【地形耐性】と【クライミング】に【継戦能力】で悪路だってスイスイだぜ。
邪魔になったら【怪力】で敵陣目掛けて【投擲】して、次の奴を確保しよう。

あとオマケで【誘導弾】のシャワーもプレゼントしてやろう。
一応ルール遵守でな。


カグヤ・アルトニウス
○惑星探査演習(仮)

アドリブ歓迎

改めて今回の目的は

1.オブリビオン退治
2.SSWでは出来ない惑星探索演習

まあ、こんな所に探査艇を持ち込んだのはその為ですね

(UC)
対象:「マルミアドワーズ」
効果:地面に潜行する能力を与える

(行動)
基本方針:最短距離で移動、戦闘は極力回避
UCは地中に潜行してオブリビオンストームや交戦・難所を回避に使用

今回は…大半が真面目にレースをやってくれるので助かります
ただ、地上での活動なので気象の急激な変化とタイムオーバーには注意して完走を狙います

スタートと同時にテレポートで飛び出し、すぐに最大加速
最初のフラッグを取ったら地質サンプルを確保しつつポイント間を最短で移動します


バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ・絡みOK!

序盤は焦らず、舗装された平坦ルートをマイペースで進みマショー。
機関を温めながら、エブリワンのルートを観察デース!
誰がどこの方角に行ったか覚えておけば、後で狙えマスゆえ。

ファーストフラッグを取ったら、砲撃解禁であります!
山でも谷でも踏破しながら、サーチアンドファイア!
目についたライバルめがけて、順次ファイア、ファイア! デース!
HAHAHA! レッツパーティ!

障害物(デッカイザー)は見つけ次第、地形ごと吹き飛ばしマース!
ジッとしてるならそのまま置き去りデスネ!

※引き続きミニ・バルタンのお手伝いで、火室に石炭を入れたり、ハンドル操縦を頼んでいマース! ザ・チームプレイ!


エレナ・ウェッソン
予めパワーフードを大食いして元気もりもりにエネルギー充填ネ!
騎乗&ダッシュで悪路走破するヨ!
レース中はガムを噛んで集中力と継戦能力アップだヨ!自前のスペース☆レディオでゴキゲンなミュージックを聴きながら走りに没頭ネ!

地形影響無効で煙幕とかも問題無いヨ!状態異常や精神干渉系の妨害もノープロブレム!内部&外部からの攻撃もシャットアウト!拘束や吹き飛ばされる「妨害」も効かないヨ!何か有ってもルールアウトにならないよう空を駆け体勢を立て直し復帰するヨ!

眩しい夕陽はサングラスでクリア!
あとはUCの効果で昼夜休まず走り続ければOKネ!それでも一応食べられる時には保存鞄からフードを食べて元気出しておくネ!


ビリー・ライジング
【ライジング兄妹】

マジックスーパーカーの運転を担当。
妨害解禁になったら、状況を見て、運転をミリィに代える。
「ミリィ、運転任せた!」

狙うのはもちろん一着のみ。
最速・最短・まっすぐ・一直線に進む為、
【瞬間思考力】で最短のルートを選ぶ。
「ここから先はオフロードだ。例の作戦で行くぞ!」

敵の奇襲は潜んでいる場所を【第六感】で感じ取る、
【おびき寄せ】で狙いやすい敵だと思わせる。
そこを【カウンター・高速詠唱・先制攻撃】で迎撃する。
「新しいユーベルコードの試し撃ちだ!」

上位者への妨害はスーパーカーに箱乗り状態で、
グレネードランチャーで上位者の車体を【誘導弾】で狙い撃つ!


ミリィ・ライジング
【ライジング兄妹】

マジックスーパーカーの改良兼サポートを担当。
車に仕込んだ機能を発動したり、
レース間の【偵察・聞き耳・情報収集】を行う。
「ええッ!? ちょっと待ってッ!?」

本番ギリギリまで化身と改良を重ねたスーパーカーの機能をフル活用。
【ダッシュ・逃げ足】を応用した加速機能。
前方の障害物を回避する為の【ジャンプ】を活かした跳躍機能。
【環境耐性・属性攻撃】でタイヤをスパイク化させる機能。
「これが『閃きの天才』と呼ばれた発明家の力よ!」


後方からの妨害攻撃は【ダッシュ・逃げ足・ジャンプ】で回避。
化身には【偵察・索敵】の力を加えて、予測力を高める。
「お兄ちゃん、運転代わって! エジソン、予想お願い!」



●プログラムめいた悪魔
 少々時間を遡り、レース開始前の御宮司・幸村(いいかげんサマナー・f02948)の様子を見てみよう。
 凡その調整を終えて、マシンは最後の仕上げを残すのみだった。レース開始後はほぼ完全な自動制御走行に身を委ねる以上、自動化への仕込みは大事だ。自動化とは、何もかもを最適に判断して勝手に勝たせてくれるような都合のいい物ではない。
 基本は条件分岐だが、複数の命令を関数化して処理の軽減もする。いかに少なく、コンパクトに纏められるかが設計者(アーキテクト)の腕の見せ所だ。
「で、仕上げはコレだ」
――KⅡ起動、条件入力→「召喚主への安全性、命令への服従、自己防衛」を原則とし、召喚主が定めた対象に干渉して適切に対処せよ
 【OS『KⅡの解放』】(オペレーティングシステムケーツーノカイホウ)召喚主には絶対服従の契約をし、操作・運用・制御の術を操る悪魔的『オペレーティングシステムKⅡ』を召喚するユーベルコードだ。
『レースの条件認識、必要なオペレーティングシステムの構築――完了。未達の項目一つ、確認。対価の入力を』
「命令に絶対服従でも対価は要求されるか。まあ、悪魔が無料で使われる訳もないよねー」
『条件の確認を願う。レースのルールを破らずに当該オブリビオンの後方へと期待を制御し、撃破後に一位でレースを終える。異存は?』
「一位は出来れば、って所かな。そこを絶対条件にすると対価が跳ね上がるでしょ?」
『肯定。出来れば一位を取る、の条件で実行する場合対価により出力結果に変動あり』
「そう来るよねー」
 悪魔は契約を守る。だが、契約に穴があれば必ずそこを突く。曖昧な条件など無いのと同じ事だ。プログラムは決められた事しかしない。だが、悪魔は決められた事をしない。似通ってはいるが、本質は真逆だ。
 真逆であるが故に、プログラムに無くて悪魔にある物がある。
「対価は、最速の称号だ」
 自尊心。名誉を欲する欲。高位の悪魔である程高く、抗い難い欲求だ。
『確認。称号――”それ”だけか?』
 ここで理解が及ばぬ者ならこの反応を不服と捉えて追加報酬を乗せてしまうだろう。そして、望みの結果を得られずに報酬が足りなかったかと誤解する。
 違うのだ。この悪魔が確認したのはこの対価の価値を使役者が正しく理解し、それを対価として提示しているかどうかを確認しているのだ。
「ああ、”それ”だけだ」
 故に、反応はこれだけで良い。
『認証、契約は成った』
 猟兵であれば凡その事は実現できる。自由に空を飛ぶ事も、好物を好きなだけ食べ続ける事も、望む者を好きなだけ侍らせる事も可能だ。だが、猟兵であるが故に難しい事がただ一つ存在する。
 他の猟兵と比較し、己が一番であるという確証を得る事。戦争が起きる度に、まるで戦う相手はオブリビオンではなく他の猟兵だとでも言わんがばかりに戦果を競う猟兵が後を絶たないのはその証左だ。
 最高には成れる。だが、最強の頂は遠い。皆が最高であるが故に。
 だからこそ、機を見て証明せずにはいられないのだ。だからこそ、それは何よりも大事で、何よりも価値のある事なのだ。
 最速の称号。今この場に居る猟兵の中だけの、それでも確かにこの中の猟兵の中では一番の。
「ゲーマーだもん。勝利の価値は知ってるよ」

●本当の始まり
『さあ! 一本目のフラッグでは先頭を走るマシンが見えて来たぞー……早い! 凄い速さだ謎のメカドラゴン!』
『アレ、たぶんオブリビオンじゃないですかね。しかも、アレ自体が一つのオブリビオンストームとか言うとんでもない化け物では?』
『なんてこった! だがレースのルールに則って参加してやがる以上は選手の一人として扱うしかない! 一位通過は謎のメカドラゴンだー!』
『滅茶苦茶反則ギリギリの手段でスタートダッシュして来ましたからねー。暫くは独走状態が続くでしょうね』
 メカドラゴンは大きく他を突き放し、一本目のフラッグをアームで掴んで走り去っていった。レースには参加している、止めるのならばレースで勝てと言わんがばかりに。
『二位通過は誰でしょう?』
『この時点では初速が早い軽量級マシンがまだ優勢を保っていると思いますよ。一本目のフラッグは比較的舗装が残っている道をほぼ直線でしたので、加速度の高さが物を言います』
『さあ、見えてまいりました! 二位通過は……おお、なんと! マシンじゃないぞ! 馬だ! 謎のスペースホースを駆るエレナ・ウェッソン選手が二位で突っ走って来た!』
「トゥースロウリィ! 早さが足りないネー!」
『誰も俺達の走りに付いてこれないみたいだぜ。このまま突っ走ってあのメカトカゲ野郎も追い抜いてやるぜ!』
 エレナはアメリカンにガムを噛みながら頭上で投げ縄を回し、狙いを定めて投擲! 見事フラッグを吊り上げてそのままのスピードで通過!
『続く三位と四位はほぼ同時! ユキムラ・オングウジとライジング兄妹が激しいデットヒートを繰り広げているぞぉー!』
 片やユーベルコード100%のマシン、片やマジックスーパーカー。どちらもこの世界では物珍しいマシンがギリギリの駆け引きを繰り広げる。
 荒れてはいるが元は舗装された一直線。車両型マシンは有利だ。
「ねえ、幸村さんの車誰も乗ってない様に見えるんだけど」
「色んなユーベルコードを重ね掛けで運用してるんだ。相応に消耗はする筈だけど、その消耗すらユーベルコードで解消してるのか」
 そのまま二台はほぼ同時にフラッグを獲得。ビリーは自らの腕で、幸村はマシンから伸びたマシンアームで。

『続いて見えて来たのはキツネさんチーム! 大型輸送トラックを守るバギーとサイドカー付きフロートバイク!』
「この順位って事は、やっぱり後ろから付けられてるっすね」
「どうする?」
「相手もこのフラッグを取るまでは何もできないっすよ。後は作戦通りに」
「分かった、任せてくれ」
 キャプテン・ハマーヘッジとウタがフラッグを取り、左右に散開する。家綿・衣更着(綿狸忍者・f28451)はフラッグをストールで絡め捕り、家伊賀をアクセル全開で前進させた。
『その後から現れたのは……毎度お馴染みスカベンジャーズだなぁ』
『レースに参加してマシンを壊して奪い、それを売り付けたり自分達で改造して使ったりとまあ……スカベンジャーズ(残骸漁り)の名の通りの集団ですねぇ』
『こいつらはいっつもこの辺でリタイアしやがるしなぁ。でも、正規の参加手順踏んでるし、ルール違反はして無いんだよなぁ』
「へっへっへっ、その通り! 俺達は何のルール違反もしてないぜ」
「あーそうだ、参加者様だぜ!」
「げひゃっひゃっひゃ、旨そうなのが走ってやがるじゃねぇぁ……仲間をバックアップする為の整備車両とはねぇ……」
「その前に走ってるのもキレイなクルマにただの馬……ま、馬は食料位にしかならないだろうが乗ってる女はホットだぜ!」
「飽きるまでたっぷり遊んでから売り飛ばしてやるぜ!」
 10台の武装バギー、武装バス、武装バイク、武装装甲車に武装霊柩車、そして戦車。フラッグをもぎ取って家伊賀に狙いを定める!

●スカベンジャーズVSキツネさんチーム!
 初心者狩りの外道奪還者集団、スカベンジャーズ。オブリビオンではないが、拠点から物資を強奪し、同じ奪還者を殺す事も厭わない外道集団だ!
「やり過ぎるなよ! ドライバーだけ殺せ!」
「その前に足を止めないとなぁ!」
 ミサイルが一斉に火を噴いて家伊賀に襲い掛かる!
「イヤァーッ!」
 鋭いカラテシャウトと共に、爆ぜる黒雷がミサイルを全弾叩き落した! ワザマエ!
「ドーモ、ジンライ・フォックスです。生憎と弱小チームと遊んでいるほど暇ではない。ここで退場して貰おうか」
 叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)が家伊賀の後部に直立し挨拶を決める!
「何だアイツは!?」
「あんなに揺れるトラックの上で平然と直立してやがる!」
「ニンジャ気取りか! 鉛弾を喰らえ!」
 スカベンジャーズは機銃を構え、一斉射撃! いかにニンジャとて、銃で撃たれれば死ぬ!
「イヤーッ!」
 当たればの話だが。ジンライ・フォックスは自らを黒雷と化し、武装バイクにサイドキックを喰らわせた!
「グワーッ!」
 ライダーは転倒し武装バイクはクラッシュ!
「馬鹿め! 後方への攻撃はルール違反だ!」
「お前はもうお尋ね者だぞ」
「そうだな、後方への攻撃ならルール違反だ。後方だったらな……!」
 キャプテン・ハマーヘッジ(宇宙紳士・f28272)のフューチャー号がスカベンジャーズの後方に出現! マシンを反転させて後方に回り込んだのだ!
「イヤーッ!」
 ジンライ・フォックスはそのサイドカーのコンコン・イナリカーに垂直着地!
「見ての通りボクのマシンは後方に居る。よってこの攻撃に不正は無い」
「アイエエエッ!?」
『そりゃぁ、マシンから生身で近接攻撃とか猟兵でもなきゃ考えな……レスラーならやるな』
「ザッケンナコラーッ!」
 ドリフトターンした武装バイクがフューチャー号の背後を狙う。その手には危険な棘バットが握られている。この速度で危険な棘バット打撃は実際アブナイ!
「させるとでも?」
 だがキャプテン・ハマーヘッジとて容易く背後は取らせない。ドックファイトめいた動きなら元は宇宙戦の名手たるキャプテン・ハマーヘッジの方が上手だ。だが、相手の後ろに回り込む為に速度を落とし過ぎればレースから遅れる事になる。その二律背反こそがこのレースの肝だ。
「ドグサレッガーッ!」
「ふふふ、私とバイクで競うには未熟だな……!」
「伏兵は一人とは限らないぜ、後方注意だ!」
「くたばりやがれノービス殺しのチキン野郎どもが!」
 木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)がハンドルを握るガルシア号が更に後方から出現! ガルシア号の二門のガトリング砲がウタの獄炎を纏い獄炎弾幕を作り出す!
「グワーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」
 武装バイクレスラー、武装バギー炎上! 激しくスピンして遥か後方へと流されていく。
「命は取りたくないんだ、オブリビオンじゃないなら帰る場所はある筈だろ」
「へっ、甘いねぇ……ま、死にはしねえよ。タフだからな、アレでも」
「くそー、引き上げだ! 別の奴を狙うぞ!」
 護衛が強敵と判断したスカベンジャーズは家伊賀からの略奪を諦め、離れていく。だが、何台かは前方のエレナ、ライジング兄妹、幸村のマシンへと向かっていった。
「追撃はいいっす。今回は同じ猟兵でもライバルだし……そもそも、あんなのでどうにかなる人達でも無いっすからね」
「分かった、引き続き警戒に当たろう」
 衣更着は家伊賀の食糧収納から油揚げを取り出すとコンコン・イナリカーに投げ渡した。コンコン・イナリカーは口で油揚げをキャッチして咀嚼! かわいいね!

●カウガールは止まらない
「ヘイヘイヘーイ! ホットなカウガールのお嬢ちゃん! 俺と遊んでくれよ~」
「ボクたちに追いついてきたのは感心するけど、ノットトゥマッチネ!」
『お前程度はお呼びじゃない事だぜ!』
 エレナ・ウェッソン(スペース☆カウガール・f32366)はジョニーに身を預け、深い前傾姿勢を取る。スペースギャロップだ!
「しょーがね~なぁ……ショーガールをオトすには馬からって言うもんなぁ。仕方ねぇなぁ!」
 ニトロブーストで強引にエレナに迫った武装バギーは4門の機銃を一斉掃射!
「死なないでくれよなぁ~!」
「その心配は要らないネー」
 だが、エレナにもジョニーにも傷一つ付けられない! 【フリーランモード】を発動させっぱなしの人馬一体の一騎には地形影響、状態異常、精神干渉、妨害、内部、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要! まさしくこのラリーの為にあるような最適のユーベルコードだ!
「た、タマが効かねぇ……なら轢き殺してやらぁ~!」
 ニトロブースターを吹かし、武装バギーはあまりに無謀な体当たりを敢行する! バギーが後方から馬に衝突し、それでも馬は当然無傷!
『おさわりは』
 ジョニーは僅かにステップを踏み。
『お断りだぜ!』
 両後ろ足での強烈なキックを見舞う!
「アバーッ!」
 二つの蹄の跡をくっきりと刻まれた武装バギーがひしゃげ、過剰なニトロブースト配管が爆発! 激しくスピンして大爆発の地炎上する。
「ボク達は誰にも止められないネー!」
 自前の自前のスペース☆レディオがら聴こえるご機嫌なロックンロールに身を委ね、人馬一体となった一騎はどこまでも駆け抜ける。今の順位は依然変わらず二位。

●たまにはハッキング出来ない事もある
「んー、実際強敵だねー」
『疑問。どちらの話か』
「両方」
 幸村は配布された小型ラジオを弄りながら言った。ハッキングでこのラジオの情報を解析し、実況席にしか分からないレースの情報を引っこ抜くつもりだったのだ。
「あのユーベルコード、このレースに最適過ぎじゃない?」
『肯定。本機のあらゆる機能を用いても対応策、無し。現状に対する対策を請う』
「んー、ちょーっと思いつかないなー……」
『了解。引き続き三番手での順位維持を継続。提言、四番手への対策』
「そっちは抜かれたらでいいよ」
『訂正要求。何度か抜かれている時はある』
「じゃあ放されたらで」
 もう一方のラジオへのハッキングも上手くは行っていない。本当は前日にハッキングを済ませるつもりだったが、結局はっきりと解決はせず実際使われる本番当日なら上手くいくと【自宅警備室ポータブル】で作られた快適な部屋の中で弄り倒していたのだがどうにも上手く情報が引き出せない。
「ハッキング対策をしてるとか言うレベルじゃない。もっと根本的に使われてる技術体系が違う」
 この小型ラジオが実際はただのラジオ程度の機能しかない事は昨日時点で分かっていた。このラジオにはデータを送信する為の機能は一切無い。だが、実況のカイルは間違いなくこのラジオから情報を得ている。それ自体がブラフではない事は既に確信を得ている。
『オイオイオイ、オレチャンの秘密を探るのはいい加減諦めたらどうなんだユキムラ・オングウジ』
「いーや、そう簡単に諦めないねー」
 ゲーマーと言う人種は諦めが悪いのだ。
「んー……盗聴器や隠しカメラの類が無い事は最初から分かってる。電子的通信は一方向なんだ」
 最初手にした時は双方向通信だと思っていた。だが、調べれば調べる程電子的に何かを送っていると言う事はあり得ない事が分かって来た。なら機械的ではない魔術、呪術、仙術の類かと思ったがそれも違う。魔力探知機が一切反応していない。
「こうなると、もう消去法だけど超能力かな」
 超感覚的知覚。主にESPと略されるテレパシー、予知、透視、千里眼と言った能力だ。魔術とはあくまでも体系化された技術であり、先天的資質は必要だが理論上誰でも使える。だが、超能力は完全に先天的な資質に由来する能力であり、後天的に能力を伸ばす事は出来てもその人にしか使えない。
 似たような現象が起こせても発動プロセスは人によって違うのだ。その為、超能力を検知する事は魔法より難しい。難しいだけで不可能じゃないのだが、少なくとも幸村の持つ検知器には引っ掛からない。だが、高レベルのESPなら探知を避けて能力を行使する事は可能だ。結局の所、ECMとECCMのようにいたちごっこの関係なのだ。
「このラジオは能力を発動する為の目印で、本体はESPが状況を把握しているだけ」
 そう考えれば辻褄は合う。だが、そう考えると別の事実がはっきりする。
「これだけの広範囲にそれほどのESPを行使できる程のESP能力者がいるってヤバくね?」
『オイオイ、そんなにオレチャンを褒めるなよー』
 この可能性を上げるとこの反応だ。これが正解だ、それで合っている、と言いたげだ。実際そうなんだろうが、正解ならば幸村に取っては完全にお手上げだ。現実を改竄できるハッカーであっても最低限相手の正確な位置は分からないとどうしようもない。能力を逆探知しようにも、そもそも探知できなければ辿りようが無い。
「分かった、今回はおじさんの負けでいいよー」
 本来、消耗を抑える為にユーベルコードで作った部屋なのだ。無理な事に拘って消耗していては本末転倒だろう。
「ちょっと、疲れて来たしここは予定通り寝ようかなー?」
 と、思った矢先である。
『警告。四番手より妨害攻撃。対応を』
「ありゃ、仕掛けて来たか」

●猟兵VS猟兵
「ミリィ、運転任せた!」
「ええッ!? ちょっと待ってッ!?」
 ビリー・ライジング(輝く黄金・f05930)は抜けそうでたまに抜けるけど、抜き切れない幸村のマシンにしびれを切らし、仕掛ける事に決めた。
「やるの? 猟兵同士で?」
「やるさ、猟兵同士でも!」
 ミリィ・ライジング(煌めく白銀・f05963)にハンドルを預けると、箱乗りになりグレネードランチャーの狙いを定める。相対速度がさほど変わらないからこそ、射撃自体は難しくない。
「食らえ!」
 誘導弾の魔法をかけたリボルバー式グレネードランチャーを撃つ。本来なら放物線を描いて飛ぶグレネードランチャーは、スマートミサイル兵器めいて幸村のマシンに襲い掛かった!
 だが、幸村のマシンは相手の攻撃をそのまま跳ね返すバリアがある。それは分かっていた。だから、二発目のグレネード弾を跳ね返ってきた一発目に当てて相殺した。
「お兄ちゃん! 無茶しないで!」
 生じた爆風をドリフト回避しながらミリィが苦言を呈する。二台の距離が離れた。
「悪い、でも今ので掴んだ!」
 バリアとは、得てして破られる物である。それが直接的ではなくとも、無敵の存在と言う物はあり得ない。
「お前の弱点はこれだ!」
 ビリーは再びトリガーを引いた。スマートミサイルめいて放たれた榴弾は、正確に狙いを捉えた。
 幸村のマシンではなく、その僅かに前方の地面を! 劣化したコンクリートが爆ぜて、僅かに窪みを作った。幸村のマシンはそれで止まったりはしない。それほどヤワではない。だが、それで生じた隙は一瞬の判断が勝敗を分ける競技では致命的と言える。タイヤが取られる前にドリフトして回避したが、その隙にライジング兄妹のマジックスーパーカーが魔術ブーストを使い一気に抜いて引き離したのだ!
「やられた!」
 幸村が気付いた時にはもう遅い。前方を走るのはマジックスーパーカーだ!
『否定、同じ手は通じない。相手は有機生命体、いずれはこちらが勝つ』
「その為にはこっちから隙を作らないとだけどー……ヤバイ、何か来る! KⅡ全力回避!」
 そして、空から降って来たあまりにも大口径過ぎる榴弾砲が全てを吹き飛ばした。

●何事も火力で解決するのが一番だ
「砲撃解禁であります! サーチアンドファイア!」
 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は蒸気機関車めいたマシンの二両目の列車砲を稼働展開させた。
「バルバルバルバルバルバル♪」
 ミニ・バルタン達が数人かかりで巨大すぎる砲身を労働バーで回転させて、仰角と方位角を修正。ライバルが居ると思われる場所に向けてそのあまりにも大口径過ぎる榴弾砲をぶち放った。遠くで起こる大爆発。当たったかどうかは気にしない、当たるまで撃つ。大きい、強い、デカい。この大会中最大級のイカれたマシンを持ち込んだ奴はやる事が違う。
「方位2.4度、仰角-1.23度修正!」
 望遠レンズで獲物の様子を眺めながら、バルタンはミニ・バルタンに指示を出す。薬室に新たな砲弾を込めて、労働バーを回して角度を修正する。
「てー!」
 轟音を響かせて列車砲が吼える! 吹き飛ぶ地面! 吹き飛ぶマシン!
「HAHAHA! レッツパーティ!」

「危なかったぜ……」
 ウタは状況判断でガルシア号から飛び出し、焔摩天で砲弾を空中で両断。爆風は獄炎防御で上空へと逸らした。
「今ので吹っ飛んだように化かしておくっすけど、また飛んで来たら頼むっすよ」

「HAHAHA! 楽しいパーティーにファイアワークスは欠かせないネー!」
『HAHAHA! 所詮花火は花火だぜ! その程度で俺達が止まるかよ!』
 エレナ&ジョニーは依然疾走中! 影響無し!

「今のは、跳ね返すって訳にも行かないね。色んな意味で」
『肯定。ベクトル反射は可能。相手の位置へと正確に反射する事は不可能』
 やはりマシンは無事だが、あんなのを何発も降らされたらまともに走ってなんかいられない。
「KⅡ君、無限軌道モードだ」
『肯定』
 速度は落ちるが、爆風による吹き飛ばしが厄介だ。地形も荒れるだろう。

「ミリィ、無事だな?」
「ええ、お兄ちゃんもね」
 ライジング兄妹は後方で炸裂した榴弾の反動を利用して大ジャンプ。幸村との差を広げる事には成功した。
「お兄ちゃん、運転代わって! エジソン、予想お願い!」
 タイヤをスパイク化させ、こちらもオフロード仕様。どの道この先は荒地ばかりだ。

「HAHAHA! 流石は猟兵デース! 全然効いてないデース!」
 なんか、謎カーボンとか入ってるのかもしれない。流石にコレでスカベンジャーズを撃つと普通に死ぬと思うのでスカベンジャーズには撃たないであげるやさしみ。でも、スカベンジャーズは完全に心が折れてバルタンの後方へと下がっていった。そりゃまあ、そうなるよね。こんなので撃たれたくないよね。
「で、アナタ達はいつまでくっついている気デスか?」

●そりゃ、こんなのの前に出たくないよ
「いつまでにしようかねぇ?」
 ハヤト・ノーフィアライツ(Knight Falcon・f02564)は【ファルコン・ネット】をバルタンの列車砲に引っかけたまま思案していた。
「こんな物を防ぐのにはただの装甲じゃどうにもできませんしね」
 そのやや後方を並走する灯璃・ファルシュピーゲル(Jagd hund der bund・f02585)
「ネットで持ちあがる重さじゃないしなぁ」
 それはあまりに重すぎて、大きすぎた。一応、超合金の投網によって列車砲の可動にもやや支障は出ているのだがどこ吹く風。
 このままバルタンは全てを吹き飛ばし続けるのか? それはもう色々と無茶苦茶ではないか? そんな疑問を誰もが持ち始めた所にラジオから通信が入る。
『あー、猟兵の皆さんに通達ー。先頭がオブリビオンを確認したから猟兵同士の攻撃は一旦禁止しない?』
 幸村の声だ。それを聞いた途端、ハヤトはネットを外し、バルタンの前に出た。

●遊びは終わりだ
「攻撃禁止ですね? オブリビオンの殲滅ではなく」
 カグヤ・アルトニウス(辺境の万事屋兼宇宙海賊・f04065)は地中でその通信を聞いた。
『そりゃ、今回はそう言う話だしね』
 この小型ラジオをある程度解析し、ある程度仕組みを利用したのだろう。それがどの程度かは分からないが、カグヤには関係ない。
 マルミアドワーズは最初のフラッグを取ると地中潜航を開始した。地形を無視した最短距離で突っ走れる、のではあるが地上を走るのと地中を潜航するのとではそもそも速度が違う。それに、フラッグを取る時には地表に出る必要はある。レース序盤は地中を進む方が不利と言う事は分かっていたが、演習と調査の為には機能を確かめる必要はある。
 機能は想定通りに働く事は確認した。あの物騒な列車砲はもうこっちを撃ってこない。それならば、地上に出た方がいい。カグヤは短距離テレポートで地上に出ると、そのまま短距離テレポートでマルミアドワーズを加速させた。
 質量が大きい機体は初速が難点だ。だが、その初速を強引にでも出させればその欠点は解消できる。と、思ったのだが相手も猟兵。それだけで勝てる程甘くも無い。
 だが、オブリビオンが出現したとなればどうだ? 少なくとも、オブリビオンが居る場面で味方を撃つほどのイカれは居なかったようだ。レースの流れが大きく変わるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『未完成のメカドラゴン』

POW   :    完成予想図
無敵の【完璧な機体を持つ姿】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    カラダ集め
非戦闘行為に没頭している間、自身の【心臓部】が【異常に発熱し】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
WIZ   :    クラッキング
見えない【電流】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はサフィリア・ラズワルドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 色々と書き切れなかったので断章で第2章の続きを書きます。しばらくお待ちください。
 次回のプレイング受付は3/18(木)を予定しております。
●オレチャンのナイスな実況と主任さんの解説タイム
『ここまでの途中結果を発表だ。まず一位は謎のメカドラゴン』
『最初の勢いのまま逃げ切りに入ってますね。重量がある上に不整地にも強い無限軌道。これを止めるのはなかなか大変ですよ』
『二位は謎のスペースホースを駆るエレナ・ウェッソン!』
『いやぁ、ここまで状況に対応したユーベルコードがあったんですねー。これは実際かなり手強いですよ。一位との差も徐々に詰まりつつあります。彼女が一位になったらあのユーベルコードを何らかの手段で無力化しなければ彼女の独走はもう誰にも止められなくなりますよ。猟兵達から標的にされているメカドラゴンよりも俄然現在の大本命ですね』
『三位はマジックスーパーカーのライジング兄妹!』
『息の合った兄妹の対応力の広さが光ります。この先はマシントラブルとの戦いになるでしょうね。ここまでの優勢は比較的舗装された道が多かったからと言う点が大きいです』
『四位はフルオートマティックマシンのユキムラ・オングウジ!』
『メンテナンスフリーの全自動運転と言う点は強いです。しかし、先程露呈したように咄嗟の事態への対応力はやや劣るのが問題でしょうか。状況処理能力自体はむしろ高いのでいかに不意を打てるかですね』
『五位、六位、七位はキツネさんチーム! キャプテン・ハマーヘッジ、ウタ・コダマ、キサラギ・ウチワタがメインドライバーだ!』
『チームである事が有利にも不利にも働いています。状況対応力では群を抜いていると言っても過言ではないでしょう。衣更着選手の家伊賀をどこまで守り、どこで置いていくか。或いは彼自身がダークホースの可能性もあるのでしょうか』
『たぶん、八位くらいに居るのがカグヤ・アルトニウス! 地中に居たから位置が掴みにくくてなぁ』
『まさかの地底潜航能力でしたね。未だに未知の部分が多いマシンです。元は惑星探査機らしいので頑丈さは特筆物でしょう。強いて難点を上げるならサイズの大きさは被弾面積の広さに繋がります。ただし、短距離テレポートの使い手のようなので見た目と違いかなり機敏で、いざとなったら潜れるのは大きな強みです』
『九位と十位はハヤト・ノーフィアライツと灯璃・ファルシュピーゲルの隼狼コンビ!』
『今大会唯一のキャバリア乗りです。人型機体だからこその格闘能力、特にロープワークは今後順位をひっくり返す要素になるでしょう。灯璃選手の戦術支援車としての能力も期待したい所です。安定感が違います』
『十一位! バルタン・ノーヴェ!』
『今大会随一の大口径火砲車両ですからね。彼女は居るだけでも大きなプレッシャーとなるでしょう。その分、突出した速力は発揮し難い様に思われます。ただし、彼女より速い奴を全部沈めれば彼女が一位になる可能性は常に残ります。この大会の趣旨を最もよく理解した選手とも言えます』
『十二位! レッドウルフ!』
『やはりバルタン選手を警戒しての順位でしょう。そもそも素体が重戦車なので速度が出る方でもありません。ただし、主砲の195ミリロングTはバルタン選手の大口径砲より遥かに小回りが利きます。その本気の砲撃可能距離は一体どこまで届くのか。ウルフが後方に居る限り常に油断はできません』
『おおっと、ここで選手たちになにやら動きが見えますね』
『ああっと、これは別なオブリビオンの介入ですね。さあ、これで順位が分からなくなりますよ』

●オブリビオンVSオブリビオン
 猟兵同士が戦うのであれば、オブリビオン同士が戦う事はあるのか。それは迷宮災厄戦の折にはっきりと示されている。
 無論、戦う理由が無ければオブリビオン同士は戦わない、と言うより互いに興味が無いので無関心だろう。
 だが、そこに戦うべき理由があるのならば。そして、この世界は誰もが何かを奪わずして生きられないアポカリプスヘル。
『『『僕たちの領地を我が物顔で通ろうとするのは、どこのどいつだ!』』』
 全電磁塗布装甲を展開し、内臓火器を展開した『資材略奪用兵器群デッカイザー』が『未完成のメカドラゴン』に一斉射撃を撃ち込む! 砲弾、ガトリング、小型ミサイル、巡航ミサイル、鉄球、レーザー、強酸、超音波、火炎放射に凍結剤! 回避を許さぬ一斉射撃だ!
 対するメカドラゴンは動かない! 回避行動をとらず、ただレースに集中している。即ち、非戦闘行為に没頭している! この状況で同じタイプのユーベルコードの使い手を、猟兵諸君は既に知っている!
 砲弾が、銃弾が、ミサイルが、ありとあらゆる属性攻撃が全て弾かれ無力化される! メカドラゴンは依然変わらず全速前進!

「シット! 同じタイプのユーベルコード使いネ!」
 その様子を後方で見ていたエレナが舌打ちをする。このレースに対して最も最適なユーベルコードが何であるかを一番よく知っているからだ。
『どうするハニー? 奴と戦闘状態に持ち込むか?』
 ならば、その解除方法も知っている。何らかの手段で足を止めて、強制的に戦闘させる事さえできれば攻撃は通る。
「今はノーだね、マイバディ。条件が同じならレースの腕で勝てばオールオッケー! ランに集中するネ!」
『オールライト! しっかり掴まってろよ、マイハニー!』
「エブリバディ、聞いてたね? 後はヨロシク!」

『また誰か来たぞ!』
『獲物だ得物だ!』
『でも、なんか生物っぽくない?』
『使えるパーツはなさそうだなぁ』
 いまいち食指が動かない、と言う理由でスルーされたエレナはそのままメカドラゴンを追跡する!

●8ビットの侵略者
「参加者に一人居ただけで厄介なのに、よりにもよってオブリビオンが最悪のユーベルコードを使えるのか……難題が増えたなー」
『警告、前方にオブリビオン集団の存在を認識。非ロックオン確認。回避不能』
「避ける必要は?」
『否定』
「なら進路そのまま! でも、生かして逃す理由も無い。カモン、【Invader's!】(インベーダーズ)」

 神聖なる8ビットの電子音を響かせて、今日もどこかに侵略者がやって来る。8ビットのカニ、タコ、イカを引き連れるUFO!
『攻撃だ、攻撃してきたぞ』
『でも、弱そうだ。やっちまえ!』
 デッカイザーズも今度は見逃さない。空に向けて弾幕を張る!
「やっべ、範囲攻撃はマズい」
 割とあっという間に殲滅されてしまう侵略者達だった。
『なんだ、弱いぞ』
『見た目通りか』
『このビーム攻撃もきっと大した事は』
 だが、置き土産に残していった8ビットビームは一味違った。当たった地形を抉り取って消滅させる。一発で。
『ぼ、防御形態ー!』
『間に合いません、タイチョー!』
 降り注ぐジグザグの8ビットビームが防御が間に合わなかったデッカイザーズを消滅させる! その間に幸村のマシンが通過!

●虎穴に入らずんば虎に食われる
 一方、ライジング兄妹はカーブは多いが比較的道の整っているルートを選んだ。先頭集団とは一度離れるが、計算上は前に出られる可能性がある。マシンに合わせた道を選ぶ事がこのラリーでの最短と言えるだろう。
 泥を跳ね上げながらドリフトしてコーナーを攻める。
「お兄ちゃん、この先が襲撃予想ポイントだよ」
「じゃあ、運転は任せるぞ!」
 馬とドラゴンはトップを走っているから襲い難い。全てがユーベルコードで形成されたマシンもあからさまにヤバそうで、集団で移動する連中や、5m級人型機動兵器やら、列車砲やら……とにかく、他の連中はもう一目でヤバい。
 その中にあってライジング兄妹のマジックスーパーカーはまだ理解できる見た目をしていた。元のマシンを現地調達したお陰か、これ見よがしな武装を積んでいないお陰か。ライジング兄妹は狙い通りオブリビオンをおびき寄せる、正確には待ち伏せをさせる事に成功したのだ。
 魔術師に派手な武器は花拳繍腿。自らの資質に馴染む触媒があれば十分。魔術師が存在しないアポカリプスヘルのオブリビオンに走り得ない事ではあるのだが。
『今だ、殺れー!』
 四方八方から対物ライフル、対戦車ロケット、戦車砲等で単発の威力を重視した兵装を上部にマウントしたデッカイザーがアンブッシュを仕掛ける。
「なるべく形のいいスクラップを残す為に一発で戦闘不能にする。連射系の武器を使ってこない、だから!」
 【化身招来・閃きの天才】(ケシンショウライ・ジーニアス・エジソン)による高次予測で弾き出した最適の回避運転を決めるミリィ! 急加速、急発進、ドリフトを巧みに駆使し、映画さながらのドライビングテクニックを見せ付ける! 地面に着弾したロケットの反動を利用した片輪走行!
 だが、浮かせすぎたか? そのままマシンが転がり横転! だが、そのままの勢いで再横転し一回転に成功! まるでマシンその物が獣にでもなったかのような機敏なカーアクションだ!
『なんだあのクルマは!』
『動きが滅茶苦茶すぎるぞ!』
 そもそも止まった状態で撃たれた訳じゃない。偏差射撃をしなければ当たらない距離と速度だが、予想外の動きをされれば偏差射撃などやりようがない。
『逃がすか、追えー!』
「お前らと遊んでる場合じゃないんでな」
 ビリーは助手席から箱乗りになり、魔法剣を突き付ける!
「逃げ切らせてもらうぞ!」
 【灼熱の牙】(カーディナルレッド)魔法剣から放たれた炎の虎がデッカイザーを襲撃!
『うぎゃー!』
『おいバカやめろ火はマズい!』
 火器の火薬に引火! 大爆発! それを見届ける事無くビリーが助手席に戻ると再びカースタントタイムだ!
『なっ、そっちは崖!』
『血迷ったか!?』
「ご生憎様、私はいたって冷静よ!」
 ミリィは決断的にアクセルを踏み込んだ! 崖から飛ぶスーパーカー! 空中で縦に一回転し、反対側の崖に見事な着地!

「まだ追って来る?」
「いや、諦めたみたいだ」
 焼けた炎の臭いからどんどん遠ざかっていく。こっちに追いつけるような機動力が無いのだろう。
 あのオブリビオンはこのまま同じ様にここを通る誰かを待ち、襲い続けるのだろうか……猟兵として、それで良いのか。
 その疑問は空から飛んできた砲弾が吹き飛ばした。もうはや説明するまでも無い、列車砲である。
「私達を狙ったんじゃない、よね?」
「……多分な」
 まあ、綺麗に始末してくれたので良しとしよう。
「流石に無茶させすぎちゃったかな。一度止まって護符を張り直すね」
「分かった、俺もマシン本体に損傷が無いか見てみよう」
 あれだけ無茶苦茶なアクションをしたにも関わらずこの白のスーパーカーには目立った破損は無い。護符による魔術的装甲が全面を覆っているのだ。跳ね上げた泥汚れ一つ無い。
 無限にカバーできる訳ではないが、こうして護符を取り換える事で簡単に再展開できる。最初から分かり切った事ではあるが、侮っていい相手ではなかった。

●最終的に全員殺せばストライクだ
「ボウリングしようぜ、奴らがピンだ」
 ハヤトのアサルトファルコンがスクラップになった武装バギーを捉えたネットをハンマー投げめいて旋回させる。エレナに言い寄っていた奴の残骸だ。
「それではボウリングというよりハンマー投げでは?」
 灯璃が補足したデッカイザーの集団に向け、手を放す!
 狙いは過たず、デッカイザーの先頭を捉えた衝突した。だが。
『効くかそんな物!』
 全電磁塗布装甲を閉じた状態のデッカイザーは硬い。ストライク成らず、と思われた次の瞬間である。
「これでボールが出来た」
 全電磁塗布装甲を閉じたままのデッカイザーに【ファルコン・ネット】を投擲!
『しまった!』
「今度のボールは硬いからちゃんと倒れる筈だな」
 再びのハンマースィング!
『ヤメロー! ヤメロー!』
『おのれー、奴を止めるんだ!』
 対するデッカイザーは突撃力を重視した矢じり陣形だ! 三角形の先頭から攻撃を仕掛け、二列目三列目と人数を増やしながら追撃をする、一点突破に優れた……つまり、ボウリングのピンの陣形だ。
『いやいやいやいや、なんでこんな都合のいい陣形で突撃してるんだ僕らは!?』
『毎度毎度お前らの思う通りになると思うなよ!』
『そうだそうだ!』
「確か、こんな諺がありましたね? ならぬなら、ならせて見せようボウリング」
『『『何もかも違ーう!』』』
 だが、それは完全に灯璃の狙い通りだった。
 【Schwarzwald Wolfsschanze】(シュヴァルツヴァルト・ヴォルフスシャンツェ)により召喚された全ての光を飲む漆黒の森の様な霧がデッカイザーに矢じり陣形を強要させる。光すらも喰らい尽くす狼のような影の群れが三角形の形にデッカイザーを押し込んでいく。
「いいレーンを仕上げてくれるじゃねぇか。こりゃ、ストライクで決めないとな」
 十分な遠心力を加えた強制防御形態のデッカイザーにスピンをかけて投擲! 先頭のデッカイザーと右隣のデッカイザーの間に直撃!
『『『ギャー!』』』
 ドミノ倒しに巻き込まれたデッカイザー達が横転! 全電磁塗布装甲喪失!
「Sammeln!Praesentiert das Gewehr!・・・・仕事の時間だ、狼達≪Kamerad≫!」
 狼の群れに獲物を貪らせる灯璃は、自身の装甲車も突撃して無人銃座射撃で通常装甲を削りながら走り抜ける!
「これ以上遊べるほど暇じゃなくてね、オマケで我慢してくれ」
 アサルトファルコンの装甲が展開し、解き放たれた無数の小型ミサイルが追撃!
『『『グワーッ! サヨナラ!』』』
 後に残るはデッカイザーのスクラップのみ。ナイスストライク!

●僕たちは合体したい
『おのれ、猟兵達め! 好き勝手やりやがって!』
『こうなったら僕達の最後の力を見せる時!』
『デッカイザーの諸君、最終合体だ!』
『ファイナル合体、承認!』
 デッカイザーが群れ集まり、一つの形を形成していく。
『デッカイザー、オン!』
『無茶で無謀と笑われようと! 意地が支えのオブリビオン!』
『黒い装甲に絶望乗せて、灯せ不穏な赤信号!』
 それは、巨大な……あまりに巨大な。
『『『地上最強究極鬼畜走行戦艦、グレート・デッカイザーッ! 俺達が、デッカイザーだッ!!』』』
 なんか、手足の生えた戦艦だ! 不意に、その真下から剣が生える。
『アレ?』
「戦闘を回避してレースに勝つ、惑星探査演習の情報を得る、その上でオブリビオンを殲滅する。やる事が多くて大変です」
 『マルミアドワーズ』がグレート・デッカイザーの真下から一撃で貫いて串刺しにした。
『地中から来る奴とか聞いてない!』
 バラバラと崩れて崩壊するグレート・デッカイザー。色々な意味で団結力が足りなかった。

「オブリビオンが相手なら、列車砲を使わざるを得ないデース!」
 そこに襲い来る列車砲。
『『『アバーッ!』』』
 素知らぬ顔をしてそのまま通り過ぎるマルミアドワーズ。列車砲の榴弾が次々とデッカイザーに襲い掛かる。
『『『アバーッ!』』』
『艦首大破!』
『火災発生!』
『もう持ちません!』
「そうか、ハイクは読んだか?」
『ザッケンナ、デッカイザー、ここにあり』
「イヤーッ!」
『『『サヨナラッ!』』』
 『資材略奪用兵器群デッカイザー』爆発四散!



 もうちょっと続きます。
 第3章では『最終日のレース展開』『未完成のメカドラゴンの攻略法』が評価ポイントになります。プレイングを考えながらもうちょっとだけお待ちください。
 次回のプレイング受付予定は3/18(木)で変更はありません。
●レッドウルフ
 ラリーは安全面に配慮して、日没と共にその日は終了となる。夜間の移動は禁止されてはいないが、翌日の夜明けには昨晩の位置からスタートしなければならないので基本的には休息と整備の時間だ。
「どうも……マサト少年、ご無沙汰しています。ジンライ・フォックスです」
「ドーモ、ジンライ・フォックス=サン。レッドウルフです」
 キツネさんチームは衣更着とガルシアを残して、一日目終了後の夜にレッドウルフの元を訪れていた。
「名前も継ぐ事にしたんだ」
「ああ、通りがいい名前ってのは何かと便利でね。先代と比較されて困る事もあるけど、俺は俺なりにやってるよ。それで? 思い出話に来たんじゃないだろう?」
「元気そうで嬉しいよ。色々話したい事があるが……あのメカドラゴンを何とかする為に君の力を借りたい。協力してもらえないかな?」
「マサト少年、いや、レッドウルフ。メカドラゴンの勝利を阻むためなら協力できる筈! 君の火力を借りられないか……!?」
「ああ、そう言う事なら。実の所、俺の目的は最初からあのメカドラゴンにかかってる賞金でね」
「ワン!」(かけっこなど端から興味はない。賞金首殺すべし)
「賞金がかかっているのか、あのオブリビオン」
「ああ、ちなみに昼間蹴散らしてたデッカイザーも多少は出るぜ」
「多少なのか」
「数が多いからな」
「その割には今日は一発も撃たなかったな。射程外なのか?」
「当てようと思えば当てられるタイミングはあった。でも、当てるだけじゃ意味が無くてな。足止めにもならない」
「ワン!」(グググ、実に面倒なユーベルコードなり。拠点を壊滅させた後ならば手出しも出来るかもしれぬが)
「当然、そう言う訳にも行かないよな」
 【カラダ集め】非戦闘行為に没頭している間、心臓部を異常発熱させてあらゆる攻撃を遮断し補給すら不要となる。何らかの手段でこれを破らなければ焼け石に水だ。
「熱で外部からの干渉を遮断か……俺の出番だな!」
 キツネさんチームには炎の扱いに長けるウタが居る。なんらかの打開策はとれるかもしれない。
「あと、この砲だと装弾数が心許なくてな。決められるって確信しないと下手に撃てない」
「それなら大丈夫だ、衣更着のマシンに予備砲弾が積んである。手を貸してくれるなら好きに使っていいぜ!」
「そりゃ助かる……と、言いたい所なんだが、そんなもの積んであるって事は最初から俺を手伝わせる気だったな?」
「……バレたか……」
「いや、いいぜ。あの時の借りを返せるなら安い物だ」
「ワン!」(だが賞金は我等に寄越せ!)
「いや、そう言う訳にも……でも、欲しいパーツが、高くて……」

●メカドラゴンが止まらない
 結論から先に言おう。猟兵達の見解は『メカドラゴンがヤバい』で一致し、自然と共同戦線を張る事になった。幸村が中継役となって、エレナとカグヤがメカドラゴンの正確な位置を測定。バルタンの列車砲で絶え間なく炙りつつ、他のメンバーで攻撃を仕掛ける。
 だが、どんな手段でどれだけ攻撃してもメカドラゴンが止まらない。足止めにすらならない。
「くそっ、セメント弾も効果無しか」
 レッドウルフは結構きちんと狩る準備を整えてはいた。通常弾に加え、動きを鈍らせる為の特殊砲弾を色々と詰みこんでいたのだ。その為に下手に撃てなかったのだが。
「APFSDS、ドリル弾、毒ガス弾、ナパーム弾に冷凍弾。結構奮発したんだけどなー」
「貫くには熱量が大きすぎるぜ」
 ウタのガルシア号が近づいて異常発熱に穴を開けようと試みたが、やはりこれも不発。
 猟兵とオブリビオンの戦いを決めるのはどんな特技でもアイテムでもない。ユーベルコードを征するにはユーベルコードを用いるしかないのだ。それもこの状況に対応できる決定的なユーベルコードでなければ。

●オレチャンのナイスな実況と主任さんの解説タイム?
『さあ、サツバツ・グランド・チャンピオン・ラリー三日目の夜明けだ! 野郎共、エンジンの調子はばっちりだろうな? このままメカドラゴンの独走を止められないと……どうなるんだ?』
『たぶん、エンドレス・ホープが滅ぶんじゃないかと思いますよ。猟兵が来る位ですし』
『NOOOOOOOOOOOO! なんてこった! おい猟兵共! 誰かアイツを止めやがれ!』
 ちなみに、夜間だとメカドラゴンは何処かに飛び去ってしまい夜襲は失敗に終わった。日の出と共に当たり前のように現れる。やはり、レースで決着を付けるしかない。
『参加者は結構散らばったが、大体ゴールまでの距離に大差は無し! こりゃ、誰が勝ってもおかしくはない状況だ』
『攻撃を加えられる程度に近付く事は出来るみたいですねー。流石は猟兵と言った所です』
『例年通りなら夕方前には決着が付くこのラリー、今年の決着は昼前には付きそうだぞ! ランチの前に片付けてくれ、彼女とデートなんだ。あと、パインサラダを食べて、ステーキも食べて……明日を救え、猟兵達!』
『露骨な負けフラグは止めましょうよカイル君。実際、頼れるのは君達だけだ。いいかい、レースで勝てば奴の没頭が一時的にも解けるのは確かだ。だから、レースを捨てる必要はない。でも、そのままじゃ勝つ事も出来ないのは分かったね? 後は、君達の腕の見せ所と言う事だ。頼んだよ、猟兵諸君』



◆再掲載な◆
 第3章では『最終日のレース展開』『未完成のメカドラゴンの攻略法』が評価ポイントになります。プレイングを考えながらもうちょっとだけお待ちください。
 次回のプレイング受付開始は3/18(木)です。
カグヤ・アルトニウス
○サヨナラ!の鉄竜

アドリブ歓迎

今回の目的はメカドラゴンを始末してレースを(優勝しない程度に)完走する事です

UC
対象:トゥインクル・スター内の榴弾
効果:着弾地点を中心とするアリジゴクを作る

(行動)
メカドラゴンは足止めして防御を解かせ、一点突破が定石です

まずは、アイサツ代わりにソードオブビクトリー(ビームカノンモード)の【一斉発射】+【制圧攻撃】で攻めます
頃合いを見て搭載しているトゥインクル・スターより放ったUCをかけた榴弾を進行方向に落とします
そして、脱出すべく防御を解いた所に【ダッシュ】で突撃、【串刺し】+【鎧無視攻撃】の衝角で打ち抜いて余波に巻き込まれない様に短距離テレポートで走り去ります


バルタン・ノーヴェ
諸々OK

射程に捉えマシタ、メカドラゴン!
奴のUCを打開するプランも閃きマシタ!
この列車砲でアナタを吹っ飛ばしマース!

ミニ・バルタン装填。列車砲でバルタンズを射出!
奴の身体に取りつかせて、前衛芸術的オブジェクトを築いてもらいマース!
余分なパーツを追加することで、奴の設計した完璧な予想図からズレた姿にして、その力を削ぎ落すのデース!
弱体化したボディで、我が主砲を防げマスカナ?
ファイアー!
※現場のバルタンズは速やかに離脱して合流します

事後はひたすらゴーアヘッド!
機関車両に集まってから、砲塔車両をパージ&起爆!
爆風を利用して加速しマース! 軽くなった分、速度はアップ!
全力全開前進デース!『バルバル!』


ビリー・ライジング
【ライジング兄妹】

ミリィ、燃料補給はもういい。半分まで車の燃料を抜け。
メカドラゴン? もちろん止める。一位? もちろん取る。

「俺たちが奴のUCを封じる。一瞬だけ、隙を作ってくれ」
追い抜かない程度にメカドラゴンに接近。
他の奴が攻撃して、敵のUCが解けた瞬間、UCを発動。
たとえUCを封じる事が出来なくても、二の手がある。

燃料を半分まで残したのは、車の重量を少しでも軽くする為だ。
このまま燃料が持つまで、どんな道でも駆け抜ける!
「最短ルートじゃなくても構わない。
俺達がいく道、それが俺達だけの最短ルートだ!」


御宮司・幸村
まずは悪魔との契約を回収するよー
最速の定義は1位だけじゃない
1Stアタック、一番槍
つまり最速で攻撃を仕掛けたのも最速
称号を回収って訳だねー

作戦
指定UCにて敵付近の傭兵の元へワープ

有効射程内に入ったら気づかれる前に長々高々度衛星レーザーによる精密射撃
狙う箇所は足回り

実はこれフラグ回収がてらの陽動

外部が無理なら内部からってね!
静寂なる寄生で足止め、鈍った所でより確実にする為ユーティリティ☆マウスを発動
ルールは「動くな」

更にハッキングしてモニターに直接
#上手すぎて参考にならない発動

このUCは精神干渉系
攻撃ではないから遮断は不可!

おじさんは行動阻害役に徹底するよー
レース?忘れてたー(マシン大幅弱体)


灯璃・ファルシュピーゲル
【隼狼】チームで参加

戦闘可能距離を維持して敵から離されないよう(運転)
攻撃は(見切り)で回避しつつ射程距離に捉えたら
指定UCで、急速冷却ジェル満載の噴霧装置を内蔵させた
大型無人爆撃機を作成。
ドラゴン直上で噴霧させて心臓部と周囲に纏わりつかせ
心臓部周囲ごと冷やして異常過熱の抑制を狙います

無人機は随時作って飛ばし続け
冷却効果が薄い場合でも迎撃し続けるよう仕向けて
《非戦闘行為への没頭》を妨害すると同時に迎撃や温度調整に
労力を割かせてハヤトさんのハッキングに対して隙が生じやすくなるよう
仕向けます

弱体化したら履帯と駆動輪を車載兵器で精密射撃(スナイパー)
ドラゴンにはビリになってもらいましょう

アドリブ歓迎


ハヤト・ノーフィアライツ
【隼狼】チームで参戦っと。
指定UC使用。【アサルトファルコン】をバイク形態に変形。移動力5倍に、射程半分に。
まぁ、兵装は使わんと思う。
【地形耐性】を駆使して、悪路も【ダッシュ】しつつ、奴を【追跡】する。
灯璃嬢と連携をとりつつ、【戦闘知識】を活かしてちょっかいをかけにくい位置を維持しながら、
キャバリアの通信回線から【ハッキング】をかける。
完璧な機体とやらに大量のエラーログを流し込みつつ、駆動系の出力バランスを暴走させる。
必要とあらば【ロープワーク】も駆使して回線を直繋ぎする。
非戦闘行為への没頭の妨害にもなるだろ、多分。

普通の攻撃は主に【怪力・鎧無視攻撃・グラップル・踏み付け】、回避は【早業】で。


家綿・衣更着
●キツネさんチーム

「メカドラゴン(以下機竜)すごい奴っす。でも猟兵として負けないっす!」

『朧車“家伊賀”突撃攻撃』の加速で機竜を追い『必殺武装召喚』で榴弾砲と弾薬を用意
機竜進路上に妖怪煙の煙幕弾を連射してコースやチェックポイントを【迷彩】と【化術】の幻影で惑わし足止め
その隙にウタさんのバギーで凪さんが先行

あやかしメダルをチェックポイントに張って貰い『あやかしメダル「打綿狸の衣更着」』発動し機竜の進行妨害
自分とキャプテンさんの車両は機竜より後ろにいる事で反則回避
「進みたいなら」と強制的に戦闘に持ち込み、冷却弾をコアに叩き込む

『朧車“家伊賀”突撃攻撃』の加速で優勝を狙う

レース後は拠点に物資を振舞う


エレナ・ウェッソン
ボク達のUCと違って妨害や内部は遮断されないならやりようはあるネー!

引き続き【フリーランモード】で騎乗
ココは攻撃しないで、レースでバトル!猟兵の中で1番先頭にいるボクとジョニーにはそれが最適な役割(ロール)ネ!精神干渉遮断で常にクールに落ち着くヨ!
ジョニーとデートしながらパワーフードのパインサラダとステーキを早業で大食いしてエネルギー充填するヨ!

「敵の前に出て注意を引きつけようぜ!囮役を引き受けてやろうぜ!」
《攻撃》じゃないこのUCならどうかな!

悪路も走破してゴールまでダッシュで騎乗突撃!保存鞄のジェット機能と推力移動で、サングラスをかけてガムを噛みながらレディオの音楽をBGMにフィニッシュ!


木霊・ウタ
心情
俺達が一着になる
いくぜ、おっちゃん(ぐっ

レース
最初に歌うのは
未来を創りあげる力が過去をぶっ潰して
先へ進むってカンジの曲
今を生きる人への賛歌

メカ竜はノロマになりやがれ

猟兵同士で順位を競う場面なら
歌うのは「嗚呼栄光のガルシア号」
エンジンの鼓動や吹きぬける風を伴奏に

戦闘
爆炎機銃
仲間と呼吸を合わせ
加熱⇔冷却による金属疲労を誘う

頼んだぜキャプテン
マサトも行けっ

敵UCが解除されたら
爆炎加速で焔摩天を射出し心臓部を砕く

メカ竜
割と真面目に参加してるよな
レースマシンとかが
Oストームで変えられちまったのかもな
可哀そうに
今、海へ還してやるぜ

事後
優勝者を祝す旋律
メカ竜も喜んでるぜ、きっと

おっちゃん、マサト
サンキュ


叢雲・凪
●キツネさんチーム

「すまないキャプテン 少し【行ってくる】」(イナリカーから軽やかに飛び出しウタくんのバギーに着地)

作戦通りボクは陽動と結界を作るためのメダル貼り付けに徹しよう。わざわざウタくんの車両に乗り移ったのはこの結界を【先行している状態での攻撃】に当てはめない為だ。

チェックポイントにあやかしメダルを貼り付け終わり次第全員に連絡!。

動きを封じているうちに決断的カラテ。ダッシュ+残像+リミッター解除+グラップルを用いてワイヤー移動しつつ 装甲にカラテを叩き込む!

「ぐっ… やはり焼けるか…! しかし!」(キツネトビゲリで更に高温にさせる)

これも作戦の内 高温からの冷却による金属の変質を狙う!


ミリィ・ライジング
【ライジング兄妹】

え、燃料を抜く? でも燃料を抜いたら、この先、完走出来ないよ?
今でもメカドラゴンもいるし……。

「お兄ちゃん、後の運転お願いね?」
【勇気・覚悟】を持って【ジャンプ】でメカドラゴンに跳び移り、【ダッシュ】で心臓部にまで接近。
心臓部の異常熱量は【火炎耐性】で耐えて、【破魔・属性攻撃】を込めた護符を【零距離射撃・高速詠唱】!
「金生水! 水剋火! その動きを止めなさい!」

お兄ちゃんも覚悟決めてるみたいだし、私も覚悟を決めよう。
「お兄ちゃん、奥の手使うよ。私だけが知ってる奥の手を」
燃料が無くなり、エンスト寸前に秘密のボタンをポチリ。
スチームエンジンを始動させて、最後の追い込みをかける。


キャプテン・ハマーヘッジ
【キツネさんチーム】

「宇宙紳士は決して焦らない…」
 衣更着が幻術で機竜を惑わし戦闘せざるを得ない状況に持ち込み、更に衣更着・凪・ウタが冷熱攻撃を仕掛ける。では私は?
「それを!待っていた!」あえて機龍の前に出ないようにしていた私が、冷熱攻撃で脆くなった敵をコアに狙撃する!ついでだ、マサト少年も遠慮なくぶち込んでやると良い!
 レース終盤では全力で勝ちに行き、ゴール前の直線で突如として凪のイナリカーを前方に向けて勢いよく射出!勢いの乗ったイナリカーはゴールまで一直線という寸法だ。凪よ、私を置いて先に行け…!



●一瞬の勝機
『残りフラッグは5本! この先はほぼ直線のラストスパートだ!』
 いまだ『未完成のメカドラゴン』は首位を独走状態。だが、猟兵達はその後方にしっかりと付けている。
 抜こうと思えば抜けるタイミングはあった。だが、一時抜き去る事に何の意味があろうか。全てはこの瞬間の為の布石。
 メカドラゴンがフラッグに手を伸ばす。参加者同士が同じフラッグに殺到して衝突しない様にフラッグは間隔を開けてまばらに配置してある。だからこそ、この策は成立した。フラッグを掴もうとしたメカドラゴンの腕が空を切った。フラッグは煙となって消える。
「メカドラゴン、アンタはすごい奴っす。でも、猟兵として負ける訳にはいかないっす!」
 家綿・衣更着(綿狸忍者・f28451)が作ったダミーフラッグだ! チェックポイントに妖怪煙の煙幕弾を打ち込み、メカドラゴンが取りやすい位置に偽物のフラッグを作ったのだ!
「実際選ぶかどうかは賭けだったっすけどね。まあ、駄目なら次で同じ事をしただけっすけど」
 フラッグを取り損ねた。こうなれば反転し、別なフラッグを取る必要がある。無限軌道で激しい砂嵐を巻き起こしながらドリフトして反転させる。これは大きなタイムロス!
「トゥーレイトね!」
『頂きだぜ!』
 この隙を付くのは無論、エレナ・ウェッソン&ジョニー(スペース☆カウガール・f32366)前夜の休憩中にパインサラダとステーキを大食いして気合十分! 常に二番手を維持し続けていたのはこの時の為!
「ユーベルコード、アクティブ!」
『ゴッドスピードライド!』
『『【乗馬の時間】(ライディングタイム)だッ!!』』
 抜き去ったエレナのスピードが一気に5倍になる! それは錯覚だ。実際はエレナ&ジョニー以外のスピードが5分の1になったのだ! そこに瞬間移動するマシンあり!
「まずは悪魔との契約を回収するよー。最速の定義は1位だけじゃない」
 御宮司・幸村(いいかげんサマナー・f02948)だ! 【召喚、転移魔術師】(イチゲーカンケイハコレガアレバダイジョウブギミ)により召喚したワープゲートを潜りエレナの背後へとワープ!
「1Stアタック、一番槍、つまり最速で攻撃を仕掛けたのも最速称号を回収って訳だねー」
 幸村が一気に畳みかける! 【長々高々度衛星レーザーによる精密射撃】(インドラノヤ)がメカドラゴンに襲い掛かる! 天から降り注ぐ光をメカドラゴンの異常発熱障壁で弾かれて凄まじい光が飛び散る! ダメージは無い。
 メカドラゴンの周囲に六本の剣の様な物が飛来、先端からビームカノンを発射! これもやはり無効化! だが、ドリフトで大きく速度を落とした所に攻撃を受ければその減速は無視できぬ!
「ここで決めましょう。今回の目的はメカドラゴンを始末してレースを完走する事なので」
 ただし、優勝はしない程度に。カグヤ・アルトニウス(辺境の万事屋兼宇宙海賊・f04065)のマルミアドワーズに搭載された武装兼機動兵装システム『トゥインクル・スター』が超空間ゲートを用いてメカドラゴンの真下に榴弾を転送! 着弾地点を中心としてアリジゴクめいた流砂を形成! 砂に足を取られれば流石の無限軌道も脱出は容易ではない。
「指定ポイントに押し込んだ、今だ」
「了解っす! あやかしメダル結界、最大解放!」
 流砂を囲む様に配置されたのは【あやかしメダル「打綿狸の衣更着」】(アヤカシメダル・ウチワタダヌキノキサラギ)だ! 本来張った物を守る結界だが、複数で加工用に配置すれば逆に、内側を封印する結界にもなる!
『GRRRRRR……』
「ハイクを詠め、アンフィニッシュドメカドラゴン=サン」
 ジゴクめいてそう告げたのは無論、叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)だ! 常識的猟兵の三倍の脚力により秘かに先行し、このポイントにあやかしメダルを配置していたのだ。
『HAIKU NADO DAJAKUッ!!』
 メカドラゴンは無限軌道を捨てた! ここに来るまでに構築した、最後の直線で用いる筈であった飛竜のボディ、想像から最適化された完成に近い姿だ。アリジゴクから脱出し、体当たりと異常高熱で結界を強引に破りにかかる! 今だレース継続の意志あり!
「ここで勝負を決めようぜ」
 その機体が何故完成系にはなれなかったのか。その要因は二つ。ハヤト・ノーフィアライツ(Knight Falcon・f02564)がバイク形態に変形させた『アサルトファルコン』で執拗に追跡し、大量のエラーログを送り込んでいたのが一つ。
 更に、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)が列車砲でミニ・バルタンを送り込み、余計なパーツを追加する事で秘かに完成形から遠ざけていたのだ! 想像との齟齬によりスペックの低下は否めない。
 戦闘用の結界と言う物は基本的には一方通行だ。外から中へは通さないが、中から外へは通す。今回はそれを逆に作用させているので外から中へは通れる。
「投下角度確保、今ですね」
 上空から大量の急速冷却ジェルが降り注ぐ! 灯璃・ファルシュピーゲル(Jagd hund der bund・f02585)が【Ouroboros Arsenal】(ウロボロス・アーセナル)で作った大型無人爆撃機によるピンポイント爆撃!
「お前にはここで退場してもらうっすよ!」
 衣更着が家伊賀の上に【必殺武装召喚】(ヒッサツブキショウカン)で呼び出した榴弾砲から冷却弾を叩き込む!
「この状況なら狙撃の必要も無い」
「ワン!」(賞金首殺すべし!)
 レッドウルフの冷凍弾! さらにポチブリザードで追撃!
『HANSOKUDA!』
 猟兵達は何故攻撃を続けられているのか。フラッグを取り損ねたなら自分は既に一位ではなく、フラッグを取って先に来ているならむしろ下位ではないのか?
 その答えは単純明快。
「まだ誰も5本目のフラッグを取ってないっすからね」
 然り。取り損ねたメカドラゴンと違い猟兵達は意図的にフラッグを取っていない。故に、順位変動はない。
「そのユーベルコードはもう使わせない。光よ、命よ、魂よ。彼の者を束縛しろ!」
 ビリー・ライジング(輝く黄金・f05930)の魔力から創造した黄金の鎖が全身に絡み付く! 【全てを拘束する鎖】(チェーンゴールド)がメカドラゴンを捕縛し、遂に! 【カラダ集め】の完全抑制に成功!
「今なら有線で行けるな」
 ハヤトは油断なく有線接続し、大量のダミーデータを送り込む!
「ほらほら、こういうのいいでしょー?」
 更に幸村が【#上手すぎて参考にならない】(ジンリキタスシューティング)で極殺残酷最終鬼畜段幕STGの魅せプレイ映像を流し込まれてギリギリの緊張感を押し付けられる! そこに追加の急降下冷却ジェル爆撃!
『GUAAAAAAAAAAAA!!』
「冷やす方は十分か、ならもう一度熱くしてやるぜ!」
 木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)が爆炎を伴う急加速で焔摩天をコアに突き立てる! 半ば防衛本能的にコアから熱波が放たれてメカドラゴンが再び熱を帯び始める。
「イヤーッ!」
 ジンライ・フォックスが決断的にワイヤーの先端を打ち込み、そこに飛び蹴りを入れて深々と突き刺す!
「イヤーッ!」
 ケリの反動で一度上空に身を翻ると、ワイヤーの巻き戻し機構の勢いも借り殺戮ガトリングガンめいたストンプキックの連打を浴びせる!
 最早ルールなど知った事ではない。抵抗しなければこの猟兵達に爆発四散させられる! メカドラゴンは状況判断し、電撃を放ち【クラッキング】で反撃に出ようとした。だが、その判断はあまりに遅すぎたと言わざるを得ない。
「金生水! 水剋火! その動きを止めなさい!」
 ミリィ・ライジング(煌めく白銀・f05963)の【七星七縛符】がそれも封じてしまったからだ。メカドラゴンは言うまでも無く金属。金が水を産み、水が火を剋す!
「割と真面目に参加してるよな。レースマシンとかがオブリビオンストームで変えられちまったのかもな……可哀そうに。今、海へ還してやるぜ」
 即ち、総攻撃チャンスだ!

●静寂なるクイック秘密のバルOverlordバスターキャノンOver相生相剋全てを焼き尽くす一撃分福茶釜・轟
「地獄に住まう虫達よ、我に仇なす者の動きを止めよ――パラサイトパラライズ!」
 御宮司・幸村の【静寂なる寄生】(パラサイトパラライズ)
 召喚された寄生虫が体内の回路を焼き、完全に麻痺させる!
「これは一発ずつ入れるのがお決まりみたいネー?」
『それなら一発だけ入れさせてもらうぜ!』
 エレナ・ウェッソンの【クイックドロウ】
 回転式熱線銃(リボルバーブラスター)のファニング高速連射!
「三層フルコーティングの徹甲弾デース! 弱体化したボディで、我が主砲を防げマスカナ? ファイアー!」
 バルタン・ノーヴェの【秘密のバルタンズ】(シークレット・サービス)
 ミニ・バルタンが作り上げたあまりに大口径過ぎる列車砲から貫けないものは何も無いと言わんがばかりの徹甲弾がメカドラゴンをブチ抜く!
「同じく、これを防げない物はありません」
 カグヤ・アルトニウスの【Overlord The Dimension】(オーバーロード・ザ・ディメンジョン)
 マルミアドワーズの短距離テレポート加速衝角突撃!
「派手さなら負けても居られないな、チェンジ・アサルトファルコンッ! バスターキャノンモードッ!!」
 ハヤト・ノーフィアライツの【バスターキャノンモード】
 キャバリアサイズの拠点攻撃用バスターキャノンモードによる全力射撃!
「派手なばかりでもどうかと。少々目をお借りします」
 灯璃・ファルシュピーゲルの【Overwatch】(オーバーウォッチ)
 強制視覚共有による高精度無人銃座射撃と『MK.15A SOPMOD2 SASR"Failnaught"』によるピンポイント狙撃!
「天地万物生滅盛衰、陰陽五行相生相剋。混沌の太極に飲まれて、破滅せよ!」
 ミリィ・ライジングの【陰陽五行・相生相剋の破符】(インヨウゴギョウ・ソウセイソウコクノハフ)
 水符を起点とした五行相生の符が円を描いて力を貯め、五行相剋の符が星形に転換し打ち砕く!
「炎よ、燃えろ! 我が刀剣に魔法の力を!」
 ビリー・ライジングの【全てを焼き尽くす剣】(ファイヤーレッドソード)
 火行の符の方向から五行の力を火に収束させて一太刀で斬り裂く!
「ついでに持ってけ、虎の子のAPFSDS弾だッ!」
 レッドウルフの【一撃必殺】
 装甲を貫通する事に特化した砲弾が風穴を開ける!
「それを! 待っていた!」
「ヒサツ・ワザ! 分福茶釜・轟!」
「お前のレースはここがゴールだ!」
「欠片も残さず送るっすよ!」
 ジンライ・フォックス、家綿・衣更着、木霊・ウタ、キャプテン・ハマーヘッジの四人連携攻撃! 【分福茶釜・轟】!
 炎を操るウタが二酸化炭素すら追い出す強制真空状態を作り出し、衣更着はストールをメカドラゴンに巻き付ける! それを導線としてジンライ・フォックスが中心の一点へとベクトルを収束した打撃を叩き込み、キャプテン・ハマーヘッジが二挺銃の超過駆動により二発の光線へと収束しその一点を撃ち抜いた!
『SA YO NA RA !!』
 『未完成のメカドラゴン』は爆発四散! 猟兵達の完全勝利だ! ……が、しかし。この戦いの決着はまだついていない。

●サツバツ・マシン・デットヒート!
 これはレースだ。オブリビオンを倒す事は必須ではあったが、倒して終わりではない。とは言え、他がメカドラゴンを仕留めに行っている間に……特に示し合わせた訳ではないが、結果的にそうなったが故に……エレナがそのままゴールしてしまえば勝てるのは明白だった。
「ま、一人で逃げて勝ったなんてのもかっこ悪いネ!」
『どうせならちゃんと勝負して勝たないとな』
「いい度胸デース! それなら負けて後悔させてやりマース!」
 各自がラスト5本のフラッグに手を振れる。残るコースはほぼ直線だが、不整地だ。一本目のフラッグのように軽ければ有利と言う訳ではない。

「ミリィ、燃料補給はもういい。半分まで車の燃料を抜け」
「え、燃料を抜く? でも燃料を抜いたら、この先、完走出来ないよ? 今でもメカドラゴンもいるし……」
「メカドラゴン? もちろん止める。一位? もちろん取る」
 少し前の燃料補給ポイントでのライジング兄妹のやり取り。少しでも車体の重量を落とす為に燃料を抜いたのだ。

「予定通り、ギリギリの燃料だな」
 残り五本分の距離を走り切るにはギリギリの燃料。だが、燃料をケチってアクセルを踏み込まないのでは本末転倒。
「最短ルートじゃなくても構わない。俺達がいく道、それが俺達だけの最短ルートだ!」

「宇宙紳士は決して焦らない……」
 キャプテン・ハマーヘッジ(宇宙紳士・f28272)はフューチャー号の様子を軽く目視確認しながらその時を待つ。
「凪よ、戦いは終わったが競技は終わっていない……ならば、分っているな?」
「勿論だ。オブリビオンを倒して終わりじゃない。レースにも勝つ」
 コンコン・イナリカーに油揚げを食べさせながらもジンライ・フォックスは決断的であった。

「それじゃあ、コインが落ちたらスタートだ」
 レッドウルフが、自分もフラッグに手をかけながらコインを指で弾く。崩壊前にどこかで使われていた貨幣。今となってはそれを構成する金属以上の価値は無い硬貨がゆっくりと、地面に落ちた。
 11台のマシンが、一斉にスタートを切った。ここから先はゴールまで、一切何の邪魔も入らない。

 と、言う訳でも無かった。何せ、猟兵同士の妨害は普通に有効だ。
 ハンドルをガルシアに預けてウタが歌うのは『嗚呼栄光のガルシア号』。エンジンの鼓動や吹きぬける風を伴奏に奏でる力強い行進曲! だがこれは、楽しんでいない相手のスピードを5分の1にするというえげつないユーベルコードだ。
 が、似たようなユーベルコードを使っているのがもう一組。メカドラゴン戦でも既に見せていたが【ゴッドスピードライド】を給仕している間、【ゴッドスピードライド】を楽しんでいない対象の速度を5分の1にする【乗馬の時間】(ライディングタイム)
 歌はいい、確かにそれは給仕すると言えるだろう。だが、【ゴッドスピードライド】を給仕するとはどういう事なのか。だが、世界の何かがそれを良しとしたのならばそれはその通りの力を発揮するユーベルコードとなる。大分理不尽な気はするが。とにかく走る事に全力投球のエレナは恐ろしく相性がいい。しかも保存鞄のジェット機能と推力移動を駆使し、これまでにないスプリントを発揮してきた。流石はスペースホースである。スペースホースとは一体何なのか、それは今は語るべき時ではない。
 が、これらのユーベルコードは相手に給仕する事が前提にある。給仕できていない相手に効果は無い。全く目をくれずに走ってしまえば減速効果が出ないのだ。『アサルトファルコン』をバイク形態にして走るハヤトはどこ吹く風。こっちは【チェンジ・スーパーヴィークル】で移動力が五倍、即ちスピード五倍だ。
 そして、この最終局面でも爆走機関車は自重しない。列車砲で相手をふっ飛ばす事は選ばなかったが、砲塔車両を盛大に起爆させ、その爆風で一気に初速を得ていた。初速さえ稼げてしまえばこの重いマシンは恐ろしい速さで走れるのだ。これもユーベルコードの生成物であるが故の荒業である。
 しかし、意外な人物が割と似たような戦法を取って来た。衣更着である。仲間の支援第一、自分は後方で物資補給や支援を重視すると見せかけておきながら家伊賀に秘かに仕込まれたキャバリア用大型推進装置を起動し大推力で仲間すら置き去りにして一位を取りに来た。家伊賀はその本性を現し、実に妖怪車らしい見た目を晒している。
 残り一本のフラッグの距離でライジング兄妹の燃料が底を突いた。が、ミリィが隠し持っていた秘密のボタンを押すとマシンが再起動。サブ動力として接続していた【スチームエンジン】が盛大に蒸気を噴き出してゴール目掛けて走り続ける。

 これがレースである以上、決着は付けなければならない。各自が勝つべくしてベストを尽くしたのならば、最後に勝負を決めるのは運命か、偶然か。

 キャプテン・ハマーヘッジはゴールに突っ込みながら、最後の秘密のボタンを押した。
「凪よ、私を置いて先に行け……!」
 コンコン・イナリカーが謎の推力を得て、ゴールに向かって走る。コンコン・イナリカーはマシンであり、先にゴールを通過すればゴールと見做される。そう、勝ったのは……

『ああーっと、激しいデットヒートを制したのは……キャプテン・ハマーヘッジ、アーンド、ジンライ・フォックス! 今年の優勝者はこの二名だぁぁぁーーー!!』
 万雷の拍手と歓声が、ゴールした猟兵達を包み込む。もはや、オブリビオンの影はどこにも無い。
 残りの順位も見て行こう。
『二位、家綿・衣更着!」
『支援型と見せかけての最後の猛追が功を奏しました。見事な走りです』
『三位はバルタン・ノーヴェ!』
『いやぁ、彼女は最初から最後まで引っ掻き回してくれましたねぇー』
『四位、エレナ・ウェッソン!』
『終始強さを見せてくれた彼女ですが、ここ一番の加速では僅かに届きませんでした。とは言え、フェアプレーの精神は称えられるべきでしょう』
『五位、木霊・ウタ!』
『なんだかんだでキツネさんチームは全員入賞して来ましたねぇ。お見事です』

 レースは終わった。レースの勝者には莫大な賞金が送られる物だが、キャプテン・ハマーヘッジとジンライ・フォックスは奥ゆかしくこれを辞退。その物資は始まりの地、グレイトフル・ジャーニーの復興に当てられる事となった。物資と言えば、衣更着が家伊賀に貯め込んでいた物資もまた寄贈され、やはりグレイトフル・ジャーニーの復興に使われるようだ。
 祭りが終わり、人々は日常に戻っていく。
 それは寂しくもあるが、それで良いのだ。年に一度だから人はそれ以外を忘れて思いっきり楽しめる。その為に頑張れる。
 そう言えば、ゴールにたどり着いた猟兵達を出迎えたのは実況のカイルだった。その、巨大な水槽を前にして猟兵達は愕然としたものだ。カイルも毎年これを楽しみにしているんだそうな。
 アポカリプスヘルには『賢い動物』と呼ばれる動物たちが居る。レッドウルフの連れているポチもその一人で、カイルもまたそうだった。カイルの正体は高度なESPを操る超能力イルカだったのだ。一説によればイルカには人間を越える知性が宿る可能性があるという。ちなみに、主任はいつもの主任だった。

 レースは終わり、人々は日常へと戻っていく。それは、地獄で生きる日常だったが、不思議と人々の顔に悲壮感はない。後ろ向きになっているほど暇ではなく、皆がタフに生きる命だからだ。
 ここは黙示録の地獄。地獄ではあるが、誰もが希望を捨てない世界。荒野を生きるタフな男達と、ホットな女達の世界。

『それじゃあ来年もまた会おう! この夢の街で』

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年03月21日


挿絵イラスト