羅針盤戦争〜鰐鮫喰らう無敵帝
「グリードオーシャンの戦争に関する予知を行いました。参加希望者はご参集願います」
グリモアベースの一角でイリス・ノースウィンド(とある部隊の元副隊長・f21619)が声を張り上げる。戦争も終局が見え、敵の本拠地を制圧したという知らせも増えてきた。
「今回予知した相手は『鮫牙』ザンギャバス大帝。ご存じの方もおられると思いますが、無敵の力を持つ相手となります。倒すことはできませんが追い払うことは可能ですので、ご協力をお願いいたします」
戦場は変わらない。猟兵が到着すると、鮫牙島は深海へ急速潜航する。深海にはザンギャバスが待ち受けている。ザンギャバスを暴れさせて飢餓に追い込むとともに、ザンギャバスの食料となる巨大鮫の大群をどうにかしなければならない。
「海中に適応する装備の無い方は、セイレーンクロスを利用した潜水服をお貸しします。汎用品ですので大きな効果は期待できませんが、最低限の移動・呼吸は確保可能です」
余談だが、前回の予知で解放した深海島から、お礼として提供を受けたもののようだ。
「ザンギャバスは身長7mほど。力は強いですが頭はあまりよくありませんので、罠や策略は効果的でしょう。また、必ずユーベルコードによる先制攻撃を行ってきます。例えカウンター系のユーベルコードであっても、こちらの準備が整う前に一撃が来ますので、ユーベルコード以外の方法で対処をしてください」
ザンギャバスが使うユーベルコードは、基本的に猟兵の使用するユーベルコードに対応したものとなる。POWにはPOW、WIZにはWIZで先制されるということだ。また、無敵ゆえに毒でダメージを与えることは出来ないが、毒によるマヒや能力低下は効果がある。そして飢餓が深刻になれば、獅子のような姿になり撤退する。
「ザンギャバスを追い払えば、支配下の島を1つ解放できることでしょう。戦争の勝利までもあと少しです。油断も無理も禁物ですが、ここが正念場ですね。くれぐれも、お気をつけて」
イリスが頭を下げ、グリモアが淡く輝いた。
鏡面反射
はじめまして。こんにちは。こんばんは。鏡面反射(きょうめんはんしゃ)と申します。当シナリオへ興味を持っていただき、ありがとうございます。
このシナリオは『戦争シナリオ』であり、1章で完結します。難易度は【やや難】、オープニングでイリスからも説明している通り、『敵の先制攻撃ユーベルコードと、「巨大鮫を喰おうとするザンギャバス」に対処する』ことでプレイングボーナスが発生し有利となりますので、積極的に狙ってみてください。もちろん、通常シナリオと同じ基準でもプレイングボーナスが発生します。なお、『鰐鮫』は狂暴な鮫のことであり、ワニはいません。
戦争期間中の完結を目指すため、全員採用とならない場合があります。ご承知おきください。
では、みなさまのプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『七大海嘯『鮫牙』ザンギャバス』
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POW : ザンギャバスハンド
レベル×1tまでの対象の【腕や頭】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD : ザンギャバスファング
自身の身体部位ひとつを【竜、山羊、蛇、蛇のいずれか】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : ザンギャバスポイズン
攻撃が命中した対象に【肉体の部位「蛇」からの猛毒】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【肉体を侵食する猛毒】による追加攻撃を与え続ける。
イラスト:白
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ヴィクトル・サリヴァン
無敵すぎるねー。何か異次元放り込んでも物理で這い出してきそう。
でもどうにか時間稼がないと。
深海適応と素潜り、水泳と高速泳法活かし水中戦。
敵との距離には終始注意し十分距離取り続け、特に蛇の頭が出た時は泳ぎ回り照準絞らせない。
泳ぎ回りながら高速詠唱で音属性魔法を使用。
頭のメロン体から出す音波増幅し巨大サメ達に食らわせ気絶させ、水の魔法で海流操作し押し流し島から遠ざけていく。
毒攻撃には届く前に海流操作、それから結界術とオーラ重ねて直撃受けないよう逸らす。
UCの準備できたら重力属性と大渦を合成し中心に強烈に引き付ける渦でザンギャバスを包み込んで足止め。
一秒でも長く止めないとね…!
※アドリブ絡み等お任せ
光すら遠い深海を、悠々と泳ぐシャチが1匹。彼こそはヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)、歴とした猟兵の1人であり、シャチのキマイラである。
(無敵すぎるねー)
視線の先、海底からこちらへ向かい来るザンギャバスを見据える。人の形でありながら巨大鮫より早く、かかる水圧もものともしない。たとえば宇宙や、はては異次元でも適応し、力づくで這い出してきそうな迫力をヴィクトルは感じていた。尾鰭を動かし、ザンギャバスから距離を取る。流石のザンギャバスもヴィクトルの速度には追いつけず、彼我の距離は再び開く。
(どうにか、時間を稼がないと)
遠ざかり過ぎてはいけない。暴れさせることもまた目的なのだ。攻撃が届くかどうか、ギリギリの場所を泳ぎ回る。
「うぉあぁぁ……コロす!」
(……来た!)
追いつけぬことに業を煮やしたか、ザンギャバスが叫び声をあげる。同時、ザンギャバスの腕に沿うかのように、蛇の頭が姿を現した。どす黒い紫色をした蛇の口から、毒の液が流れる。
(あれだけは絶対、避けないとね)
触れぬようにと慎重に距離を取り、漂う毒を水魔法で押し流す。さらに自身の身体をオーラでできた結界で覆い、皮膚から毒が入るのを防いだ。
「コロす……う、あぁ?」
ザンギャバスがキョロキョロと周りを見渡す。ヴィクトルを追い続けることで空腹となったか、食料たる鮫を探しているようだ。しかし付近に鮫はおらず、遠くの魚影も遥かに遠ざかっていく。
(上手くいったみたいだね)
鮫が遠ざかったのは偶然ではない。ヴィクトルは泳ぎ回りながら、その頭部にあるメロン体より強力な音波を発していた。ヴィクトルの操る音属性魔法により、増幅されながらも指向性を持って撃ち出された音波は巨大鮫を容易く気絶させた。そうして気絶した鮫たちを、水の魔法により遥か遠くへと流していたのだ。ヴィクトルを追うことに夢中であったザンギャバスは、この状況に至るまで鮫がいないことに気づかなかった。ようやくヴィクトルの手腕に気が付いたザンギャバスが、飛び掛かろうと身構える。
「そうはさせないよ」
ザンギャバスを中心に、巨大な渦巻きが現れる。渦の潮流は中心へと向かい、ザンギャバスの身動きができないよう封じ込めた。さらに中心に重力を発生させ、用意には脱出できないようにする。
(一秒でも長く止めないとね……)
時間稼ぎに徹するヴィクトルの前で、ザンギャバスは渦を脱しようと藻掻き続けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…装備を貸して貰えるのはありがたい
お陰で他の事に力を索事が出来るもの
第六感に干渉する"写し身の呪詛"に毒属性攻撃のカウンターを仕込み、
分身を破壊した敵の毒を増幅するように武器改造を施し、
乱れ撃ちした無数の残像を囮に敵の攻撃を避けUC発動
…私達の攻撃はあまり効果が無いみたいだけど…
お前自身の毒ならばどうなるか試してあげるわ
あらゆる環境で空中戦機動を行える魔刃の半数に毒属性、
もう半数に精神属性の魔力を溜め今までの戦闘知識から別々に操り、
毒の魔刃で限界突破した敵UCの猛毒を暴走させて動きを封じ、
精神の魔刃で鮫を洗脳しこの場から遠ざける
…刃に満ちよ毒の理、幻の理。我が敵に惑毒の呪縛を与えよ
ゲニウス・サガレン
あの大帝のヤギやヘビの頭だけど、頭で攻撃してくるってことは、個別にこっちを見て、感じ取って、追い詰めてくる、ってことかな
アイテム「潜水作業服」で潜水
敵のファング攻撃から必死に逃げつつ、「フライングシュリンプ」に広げさせた「沈滞の投網」へ敵を誘導、追っかけて来た頭部を絡めとる
「スティングレイ短針銃」で攻撃
頭部ということは感覚器官が集まっている
他の部位よりも痛みは効きやすいはずだ
相手にひるみ、隙が生じたら、
アイテム「C式ガジェット」
UC「ガジェットショータイム」
普段はタコの形のガジェットだけど、電気ウナギに変身してもらおう
サメは電気に敏感で、乾電池1本でも忌避する
周囲に連続放電、サメを追い散らせ!
「ふーっ、ふーっ、ふしゅぅるるるるるる……」
荒い吐息を吐き出すザンギャバスを、冷静に見つめる人影が2人。
(あの頭たち……個々で考えてこちらを追ってくるのかな?)
ゲニウス・サガレン(探検家を気取る駆け出し学者・f30902)は、ザンギャバスの身体から生えては消える動物たちの頭に注目する。周囲を索敵しているのであろう。ザンギャバスから見えぬはずの背後……ザンギャバスを挟んで逆に位置取る人影へと頭を向ける蛇を見て、その疑いを確信に変えていく。一方のリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)もまた、蛇の頭へ着目していた。こちらは蛇の頭と、その毒の広がり方を観察している。
最初に動いたのはリーヴァルディ。その姿が微かに揺らぎ、リーヴァルディと同じ姿をした『写し身』を大量に生み出す。
「コロす、コロす、コロす……」
大量の人影を喰らうことを想像してか、涎を垂らしながら醜悪な笑みを浮かべるザンギャバス。海中でありながらドスドスと音が響きそうな歩みで進み、手近な写し身をつかみ取ろうとする。だが幻影は掻き消え、ザンギャバスは苛立ちを露わにした。一方ゲニウスは、リーヴァルディの写し身を目くらましにしながら戦場を動き回る。数匹の『フライング・シュリンプ』……翅のついたエビを取り出しては、何かを指示し、次のポイントへ移動する。だがその姿が、苛立つザンギャバスの目に留まった。
「ジャマだぁ……コロす」
一足飛びにゲニウスへと近づいたザンギャバスの左肩が竜の首へと変わり、その顎を開く。
「私を食べてもおいしくないと思うよ、見ての通りのやせぎすだ」
軽口をたたきながらも、その噛みつきを紙一重で避ける。ほほを撫でる不快な水流に、冷や汗が流れた。巨体から繰り出される竜の頭はかなりの大きさで、1度でも当たれば致命なのではと思わせる。それでも必死で右、左と避け続ける。さらにはザンギャバスの背後から毒を滴らせた蛇が現れ、ゲニウスが身を隠そうとするリーヴァルディの写し身を喰らい始めた。動き回りつつも身を隠す場所が減っていくゲニウスは、徐々に追い詰められているように見える。助けに入ろうとするリーヴァルディと、ゲニウスの視線が交差した。ゲニウスがかすかに笑みを浮かべたのを、リーヴァルディは見逃さない。手助けは不要、という意図を読み取り、いつでも攻勢に出られるよう準備を整える。はたして、竜の頭から繰り出された噛みつきをゲニウスが真上へ飛んで避けた瞬間、ザンギャバスの動きが止まった。バサリとした音は水中ゆえに響かなかったが、竜の頭は金属製の投網に覆われている。フライング・シュリンプに仕掛けさせた投網は『沈滞の投網』。暴れる竜の力で引きちぎられようとも、その部分がたちどころに修復していった。さらに蛇の頭にも異変が起きる。どこか苦し気に身を捩らせ、口の端から毒混じりの泡をポコポコと吐き出した。リーヴァルディの写し身に仕掛けられた呪詛が、蛇の毒を増幅して返しその身体を蝕んでいた。
「毒はしっかり効きそうだね、ならばこちらも」
ゲニウスが短針銃を取り出し、竜へと放つ。暴れる竜ではあるが、その身体はザンギャバスと繋がっているため動ける範囲には限りがある。狙い過たず頭部を穿てば、竜は一層激しく暴れはじめた。
「おおっと、あぶない」
巻き込まれてはかなわないと、ゲニウスが距離を取る。短針銃から放たれた深海エイの毒棘が竜の神経を刺激し、激痛を与えているのだ。無敵の性質か、あるいは身体の構造ゆえか、ザンギャバスが苦しむ様子は見られない。だが暴れる竜と動けぬ蛇が拘束のようになり、身動きが取れない。
「……刃に満ちよ毒の理、幻の理。我が敵に惑毒の呪縛を与えよ」
いつの間にか、リーヴァルディの周りをいくつかの剣が浮遊している。その内の1本、毒の魔刃が勢いよく飛んでいく。そのまま蛇へと突き刺さり、その魔法増幅能力で毒をさらに強化する。解毒されるまでは、変化を戻すことも難しいだろう。残りの毒の魔刃も、ザンギャバスの周りを取り囲むように浮遊する。毒が弱まってくれば、再び突き刺し毒を強めるのだ。蛇の様子を一瞥して効果を確認し、リーヴァルディは残りの剣を解き放つ。50を超える剣が方々に散り、鮫へと突き刺さった。しかし刺された鮫は痛がる様子を見せず、周囲の鮫を連れて海域を離脱する。精神の魔刃によって洗脳され、遠ざかるように仕向けられたのだ。一方のゲニウスはタコ型のガジェットを取り出すとその場で分解、改造を始める。足は8匹のウナギ型に別けられ、吸盤は放電用の装置に。頭部分を分解し、発電器官と蒸気動力として組み込んでいく。水中のため蒸気は内部で循環するように。こうしてあっという間に作られた電気ウナギ型ガジェットを、鮫の群れに向けて放つ。
「サメは電気に敏感で、乾電池1本でも忌避する。ならばたとえ巨大鮫でも、電気で追い払うことは可能だ」
電気ウナギが次々と放電を始める。至近距離から電気を浴びた鮫はおどろき、次々と逃げ出していく。こうして2人は、ザンギャバスを追い詰めていくのであった。
成功
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岩倉・鈴音
ザンギャバスを追い払うましょう。
先制対策
毒攻撃なのでできる限りの回避。
毒を受けても毒耐性もってナンとかするよ
鮫対応
ラプチャーでザンギャバスのいないほかの海域に移すよ。
ザンギャバスの食糧にならない
ステキな鮫ライフを!
ザンギャバス
水中で岩とかに隠れながら追いかけさせてザンギャバスの消耗をはかります。
接近されたら地形破壊をつかって海中の泥とかを巻き上げてザンギャバスの視界を防いだりする。
「さぁ、ザンギャバスを追い払いましょう」
岩倉・鈴音(JKハングマン・f09514)が独りごちる。その瞳はいつもより少しだけ真剣に、迫り来るザンギャバスを見据えていた。その大きさは小柄な鈴音と比べ5倍近い。だが鈴音は怯まず、ザンギャバスが伸ばす右手を見つめる。指先が5本とも膨れ、毒を滴らせる蛇へと変化した。飛び掛かるように迫りくる1匹目を避け、2匹目の横面を蹴とばせば3・4匹目を巻き込んで三つ編みのように絡まった。5匹目の頭部を掴み、1匹目の首筋に噛みつかせる。
「気にいらねぇ。コロす」
瞬く間の内に5匹の蛇に対処して見せたが、ザンギャバスの攻撃は止まらない。残る左手も同じように蛇に変え、鈴音へと襲い掛かる。だが一度対処した攻撃に、いまさら掛かる鈴音ではない。サイバーアイに表示された情報を元に、5匹の動きを瞬時に予測する。
「ンッフッフ♪鈍(のろ)われろー」
目にもとまらぬ早業で、鈴音は蛇を亀甲結びにした。両手両足と頭の位置に、蛇の頭部があしらわれている。振りほどこうと手を振り回すザンギャバスは残念ながら鈍くなってはいないが、注意が鈴音から逸れている。その隙を見逃さず、鈴音はザンギャバスの死角へと回り込みつつ距離を取った。今のうちに、鮫の対処をしなくてはいけない。
「ンフフ神の掬いです。べつの場所に置かれて咲きなさ~い!」
鈴音がユーベルコード『ラプチャー』を発動し、次々と巨大なすくい網が現れる。すくい網は鈴音を中心とした一帯の鮫を次々と捕獲し、住処へと強制送還する。ときおりピチピチと網の中で暴れる鮫がいたが、振り回されて目を回している隙に住処へと送られていった。
「ザンギャバスの食糧にならない、ステキな鮫ライフを!」
笑顔で手を振り見送る鈴音の背後に、怒りの表情を湛えたザンギャバスが迫る。その両手で掴みかかろうとするが、鈴音はするりとその身をかわした。ザンギャバスの指は、どうやら元通りに戻っている。
「涙の別れを邪魔するなんて!鬼!悪魔!冷血漢!」
「うぅぅ、コロす!コロす!」
内容はともかく、罵られたことは理解したのだろう。うなり声をあげながら鈴音を追うザンギャバスの目は血走っている。繰り出されるザンギャバスの攻撃を、ときに岩の隙間をすり抜け、ときに海藻に隠れてやり過ごす。泳ぎ回る鈴音へ業を煮やしたか、飛び掛かる勢いで迫るザンギャバスへと、海底の泥をけり上げて視界を潰す。
「うあ、うあぁ、どこだぁ!」
視界を塞いだ間に身を隠した鈴音を、再び視界の開けたザンギャバスが追う。終わらない鬼ごっこが今、幕を上げたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
POW
もう一息でありますなと、この戦争を振り返りつつ潜水であります!
潜水服をお借りして、滑走靴の出力でザンギャバスに接近していくデース!
掴まっては一巻の終わりデスネー!
的確にファルシオンで捌き、その手を受け流しマース!
彼に力はあっても速さはイマイチ、距離を保って先制攻撃をしのぎマース!
そうしていると、そろそろお腹が空いてきマスカ?
ワタシに背を向けた隙に、先回りの準備デース!
「六式武装展開、雷の番!」
HAHAHA! 帯電状態での高速機動で、ザンギャバスが狙った鮫を先に仕留めて、格納型メイド用キッチンに収納していきマース!
アナタにはスピードが足りマセーン!
そこで指を咥えていることをお勧めしマース!
エィミー・ロストリンク
【SPD】
それじゃ頑張ってザンギャバス退散だー!
鮫さんにはなるべく被害が出ないようにしないとねー
ナノシリアに乗ってセイレーンの身体能力も合わさった高速遊泳でザンギャバスの接近を許さない
近づいてきた場合はオルトロスの水中弾の連射や、ケルベロスの巨大アンカーを絡ませて足止め
巨大鮫はベルセルクの狂竜のオーラを発して恐怖で霧散させるようにする
先制後はUC「王笏の秘宝よ、姫君を導け」発動でオーシャンオーブの消費型メガリスがなくなるまで、巨大鮫を遠くに転移するという奇跡を発動させて、ザンギャバスの周囲の食料を奪って飢餓を誘発させる
これでここは鮫牙島とは言えなくなるねー!
「もう一息でありますな」
バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)の脳裏に、今までの戦場が走馬灯のようによみがえる。この一か月間、色々な戦場を飛び回っていた。多くの死闘……それ以外にも、島を焼いたり、鬼火に焼かれたり、王女へ給仕をしたり、船上でバカンスをエンジョイしたりと、とても忙しい日々だったのだ。
「とても……厳しい戦いデーシタ。でも、勝利はもうすぐデース!」
「それじゃ頑張ってザンギャバス退散だー!」
エィミー・ロストリンク(再臨せし絆の乙女・f26184)も笑顔で頷く。バルタンの脳内は知る由も無いが、かつてエィミーが予知した戦場でバルタンが戦ったこともある。その時見せた機動力、そして攻撃力は目を見張るものがあった。共闘相手としてこれほど心強いことも無い。バルタンは潜水服を纏い、エィミーは海竜型メガリス『ナノシリア』へと騎乗して、ザンギャバスを挟撃するかのように二手に分かれ攻撃を開始した。
「うぉぉ!おおぉ!!」
叫び声と共に繰り出された拳を、バルタンはファルシオンを沿わせて受け流す。続いて迫ってきた掌を、滑走靴の出力を最大にして宙返りのようにして蹴り上げた。
「掴まっては一巻の終わりデスネー!ですが速さはイマイチデース!」
振り下ろされた拳を飛び退ってかわし、メイド服を翻して滑るように水中を移動する。丸太を振り回すような足蹴りの下をくぐり抜けざま、軸足へとファルシオンを振るった。攻撃は効かずとも、攻撃されたという意識は残る。怒りに燃えるザンギャバスの背に蹴りを入れ、振り向きざまの拳を再び身を引いてかわした。大振りの一撃をバルタンに避けられたたらを踏んだザンギャバスへ、その背後から銃弾の掃射が襲う。攻撃を放ったエィミーの手には、いつの間にかガトリングガンが握られている。『Black・Breaker』の名を冠するそれは、れっきとしたメガリスだ。魔法弾や特殊弾頭を生み出すことが出来るため、マガジンもリンクベルトも無く連射できる。今回は足止めと体勢を崩すことが目的のため、生み出したのはただの水中弾だ。銃弾に姿勢を崩され倒れ込むザンギャバス。その隙にバルタンは距離を取る。跳ねるように起き上がったザンギャバスはエィミーへと向かう。
「追いかけっこ!負けないよー!」
ナノシリアに身体をくっつけるかのように騎乗し、一体となって海を駆ける。セイレーンであるエィミーにとって、深海こそがホームグラウンド。距離を離しては立ち止まって振り返ったり、クルクル回りながらザンギャバスへ声援を送ったり。本人は純粋に楽しんでいるのだが、ザンギャバスにとってそれは言葉以上にわかりやすい挑発であった。腕を蛇にして毒液を吐き出すが、遠く逃れたエィミーには届かない。
「ぐぎぎぃ、コロす!コロす!」
叫び声をあげながらザンギャバスがエィミーを追う。その様子は少なからず息が切れ、疲労の色が見え始めていた。
「そろそろお腹が空いてきたでショーカ?ですが残念!食事はお預けデース!六式武装展開、雷の番!」
バルタンが高らかに宣言する。その身体に迸る電撃を纏い、高速でザンギャバスに先回り。鮫の群れへと電撃を浴びせ、気絶した鮫を捕獲しては格納型メイド用キッチンに収納していった。いつの間にか手のひらサイズのミニ・バルタンも手伝い、周囲の珍しい海藻や、保護色を纏ってザンギャバスの目を逃れていた魚介類も一緒に放り込まれている。一方エィミーは、白く輝く小さなアンカーを取り出す。その名は『White・Breaker』。鎖付き錨型のメガリスだ。迫り来るザンギャバスへと投擲されたアンカーは見る間に膨れ上がり、巨大な錨となる。伸びた鎖がザンギャバスへと絡みつき、一瞬にして拘束したのであった。
「鮫さんは今のうちに逃げてねー」
こちらへ向けて泳ぎ来る鮫へ向け、黒い斧を構える。斧の刃はかの帝竜ベルセルクドラゴンの鱗。その斧から放たれる狂竜気に怯えた鮫は、散り散りになって逃げ出した。さらにはダメ押しとばかり、オーブ型のメガリスを取り出す。この戦争で幾度となく見た、王笏カルロスの持つ宝珠に瓜二つのそれは『ロストオーシャンオーブ』。王笏のメガリス欠片で創られたオーブであり、エィミーの力と合わさって奇跡を起こす。
「安全な場所まで、飛んでっちゃえー」
エィミーの祈りに答えオーブが煌めく。オーブに内包した消費型メガリスを代償に、遠くに見えていた鮫までもがどこかへ転移し、ついには海域に鮫が1匹もいなくなる。
「う……あ、ぁ……」
ザンギャバスのうめき声が漏れる。その身体は瞬く間に獅子へと変わり、拘束を振りほどくと一瞬にして遠くへと離脱していった。
「これでもう、ここは鮫牙島とは言えなくなるねー!」
「HAHAHA!大漁デース」
元の静けさを取り戻した深海に、2人の声だけが響くのであった。
大成功
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