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羅針盤戦争〜必勝を得るために　五の攻略

作者：黒代朝希

「遂に全七大海嘯撃破の準備完了が報告されたわ！」
　そう言いながらも自分の予知から得られた一の王笏島攻略戦の準備を整えている金髪の縦巻き髪の少女、シャルロット・シフファート（ツンデレの国のアリス・f23708）はこうして猟兵たちをグリモアベースに招集している。
「現状、グリモアベースで算出された王笏攻略戦の統計を見ると3月1日の朝までには全ての攻略戦が完了していれば全七大海嘯を撃破することが可能と算出されたわ」
　そう、それは『アルダワ魔王戦争』や『帝竜戦役』のように完全勝利を迎えることが可能という事だ。引いては『羅針盤戦争』後のグリードオーシャンにおける憂いを完全に断つことが出来る、という訳だ。
　しかし、とシャルロットは告げる。
「これは全ての攻略戦を担当しているグリモア猟兵が順調に攻略を終えられたらの話。万が一『王笏』攻略戦にて不都合によって攻略が滞ってしまった場合、戦争敗北もあり得てしまうわ」
　そうなった場合、多世界侵略船団コンキスタドールはこのグリードオーシャンの世界を侵略形態に変換し、猟兵たちをこの世界から追儺するだろう。
　そして、猟兵たちはこのグリードオーシャンに二度と足を踏むことは出来なくなってしまうのだ。
「それを防ぐために一つでも攻略戦の余裕を生んで迅速に制圧できるよう手配しているの」
　そう言ってシャルロットは自身のグリモアである蒼いタブレットを起動させて王笏島の一つをホログラフとして映し出す。

「今回アンタたちに攻略してもらうのは『五の王笏』よ。ベルセルクドラゴンが絶滅させた古竜の群れ、白骨化したそれなのだけどこれに対処しないといけないわね」
　けれど、ここまで来たアンタたちなら迅速に攻略が出来るはず、と告げてシャルロットは転移術式を起動させた。

第1章 ボス戦 『七大海嘯『五の王笏』カルロス・グリード』

POW   :    アリエント・ドラゴーン 【鎧から放射される凶暴化ブレス】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。 SPD   :    エスパーダ・ドラゴーン 【鎧の身体強化】による素早い一撃を放つ。また、【肉体をドラゴン化する】等で身軽になれば、更に加速する。 WIZ   :    イーラ・ドラゴーン 【自身または竜に対する敵意】を向けた対象に、【負傷の分だけ威力を増す狂える竜のオーラ】でダメージを与える。命中率が高い。 イラスト：hoi 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「グリードオーシャンの未来がかかっているんだもの。最後まできっちり頑張らないとね」
　そう呟く可愛らしい見た目のフェアリーの少女、その名はパルピ・ペルポル（見た目詐欺が否定できない・f06499）。
　彼女は『五の王笏』の先制攻撃への対策として蜘蛛の糸より細く、柔軟性と強度を兼ね備えた透明な糸、『雨紡ぎの風糸』を展開。
　パルピは糸を瞬時に編み込んでいく。それは一つの透明な盾を作り出すに至った。
「そして……教えてあげる。古竜の力を扱えるのは、君だけの専売特許じゃないことを！」
　そうして彼女が取り出すは短剣。フェアリーである彼女の背丈と同じくらいのそれは――骨で作られていた。
　瞬間、軽減されていく狂える竜のオーラ。その短剣――『古竜の骨のマン・ゴーシュ』は一つの特性を宿している。
　ユーベルコードの威力の大きな軽減。その特性を持つこの短剣は幹部級オブリビオンが有する権能、絶対先制攻撃権に対して極めて相性が良いといえるだろう。
　そうして凌いだ先制攻撃を尻目に、パルピはエプロンのポケットから5mの立体ドラゴンの折り紙を取り出す。
「ちなみにこれ、ブレスも吐くわよ」
　そう言うや否や古竜の群れをパルピの言葉通り薙ぎ払っていく立体ドラゴンの折紙。そこに万羽鶴も展開して場のかく乱と古竜を攻撃させつつフェアリーはユーベルコードを起動させていく。
「――『偶然の不運なる遭遇（ナニガクルカハソノトキシダイ）』、予知でないならランダムな攻撃とか思考で読めないでしょ」
　瞬間、『五の王笏』に襲来してきたのは――
「わたしもわからないもん……とは言ったけど……ウソォ……」
　――『五の王笏』にのみ破壊影響を与えた隕石が彼に激突したのを見て、パルピは思わず瞠目するのであった。

「ハハハ！どうやらこれで『五の王笏』は終いのようだ！」
　そう豪快に進撃していくのは複合型悪霊の猟兵、馬県・義透（死天山彷徨う四悪霊・f28057）の人格の一人『侵す者』。
　口調や行動通り豪快なその在り方は古竜の群れや『五の王笏』にも怯まない。
　それは彼の同胞である複合型悪霊と化した際に一心同体となった他の人格の援護も大きいだろう。
　『疾き者』、『静かなる者』、『不動なる者』の霊障、四天霊障による風、氷雪、重力の三重属性攻撃が古竜の群れを薙ぎ払っていくのだ。
「しかし先制攻撃か……できれば、早業での結界術でブレス遮断したいんだがの」
　その『侵す者』のぼやきに対して答えたのか、迅速かつ精密に練り上げられた結界は凶暴化ブレスを防いでいく。
「わし、最近は破壊担当になっとるんだぞ。凶暴化したら、たぶん細かいことをさらに考えんわ」
　そう言う間にも『五の王笏』が放つ凶暴化ブレスは放射を停止し、戦況は猟兵側の攻撃手番に移る。
「――四天境地・『狼』」
　取り出すは『侵す者』の専用武器『黒燭炎』。黒き槍は迅速に『五の王笏』の体を捉え、貫いて傷を増やしていく。
　無論の事『五の王笏』もやられるだけではない。
　凶暴化ブレスにベルセルクドラゴンが得意とした徒手空拳を用いて撃滅しようとするが――
「どんなダメージを被うとも、わしは追撃をやめんよ……意識を失っても、内部三人の誰かが身体を動かすと思うからな」

「帝竜の力まで持ってるとはもう何でもありだね」
　その『王笏』の何でもありな能力に溜息をもらすのはシャチのキマイラ、ヴィクトル・サリヴァン（星見の術士・f06661）。
「けど嘆いちゃいられない。勝利を掴む為には動かなきゃね」
　三又銛を構えながら『五の王笏』の先制攻撃に対処するヴィクトル。
　彼は結界術とオーラ防御で自身の体を覆う規模のバリアを展開、被弾時のダメージ軽減を狙っていく。
　それと同時に彼は高速詠唱で水属性の魔法を発動、周囲の地形に宿る水分を操作して戦場一帯を深い泥沼へと変化させていく。
「その巨体じゃあ、重さで沈みやすいだろうね……！」
　ヴィクトルは念動力で浮遊しｍ沼に飲み込まれていく骨の竜達を見据えると同時にバリアの強度を高めて『五の王笏』の加速攻撃を凌いで行く。
「こちらもお返し、っと！」
　投げつけるのは風属性を付与させた三又銛。それを投げつけた反動を活かして『五の王笏』から距離を取っていく。
「ついでに、ユーベルコードもお返しするよ」
　そうして起動していくヴィクトルのユーベルコード。
「――『空泳ぎたちの狂宴（スカイ・オルカ）』」
　それは98体の空を泳ぐシャチを召喚して使役する異能。その空を浮遊するシャチの一体に騎乗したヴィクトルは他の97体の空シャチに指示を出し、『五の王笏』へと嗾ける。
　100に近い浮遊するシャチの群れと交戦する『五の王笏』。
　その隙にヴィクトルは水属性の魔法を起動、威力を高めた術式をくみ上げて『五の王笏』へと標準を向ける。
「海ばかりと思ってたら痛い目見るよ」
　瞬間、水弾の直撃を受けて叩き落される『五の王笏』。その身体は五の王笏島へと落下していった――

　ヴィクトルが離脱した後、戦場の泥沼化が解除された結果地面から這い出していく古竜の群れ。
　その白骨化した骸を見て沈痛そうな目を向ける少女がいた。
「……殺されて、死後も同じ力を持つ者に操られて……」
　それは、彼女の故郷では良くあることなのかもしれなかった。
　リーヴァルディ・カーライル（ダンピールの黒騎士・f01841）。吸血鬼狩人の少女は仇に殺された挙句その仇の力を操る存在に骸を使役される古竜の群れの姿を見て、憐憫を胸の中で滾らせていた。
「………この世界を救う行き掛けの駄賃よ。お前達をその呪縛から解放してあげるわ」
　慈悲に満ちた処刑宣告。永劫の苦痛から解放するべく、吸血鬼狩人リーヴァルティ・カーライルは大鎌を構えて突撃していった。
「『精霊石の耳飾り』よ、周囲の敵の存在感を。『写し身の呪詛』よ、攪乱しなさい」
　第六感と共に自身の所有するアイテムを用いて古流の群れを捌いていくリーヴァルティ。そこに強襲するは高速移動ユーベルコードを用いた『五の王笏』の一撃。
「『怪力の呪詛』よ！」
　そこに、魔力で全身を覆い防御力と身体能力を向上させる呪詛を見に宿し、交差した腕にオーラを付与して『五の王笏』の一撃を凌いで行く。
「……幾ら速くても、一瞬でも動きを止めれば……！」
　その、一瞬を彼女は先制攻撃を受け流すことで手にすることに成功した。
「『……古き竜の魂よ。我が手に宿りて、刃となれ……！』」
　その祝詞は、死してなお解放されない古き竜の魂を悼み、葬送と応報を代わりに成就させる祈り。
「『……限定解放。さぁ、報いを受けなさい、血の葬刃……！』」
　唱え終わると同時に古竜の群れの霊魂が結晶化し、リーヴァルティの大鎌に魔刃として付与されていく。
「さぁ、骸の海へと帰りなさい――！」
　葬送と応報を代行する一閃。それは『五の王笏』の頸を断ち切り、使役していた古竜の群れ諸共骸の海へと還っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2021年02月26日