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羅針盤戦争〜必勝を得るために　七の攻略

作者：黒代朝希

「遂に全七大海嘯撃破の準備完了が報告されたわ！」
　そう言いながらも自分の予知から得られた一の王笏島攻略戦の準備を整えている金髪の縦巻き髪の少女、シャルロット・シフファート（ツンデレの国のアリス・f23708）はこうして猟兵たちをグリモアベースに招集している。
「現状、グリモアベースで算出された王笏攻略戦の統計を見ると3月1日の朝までには全ての攻略戦が完了していれば全七大海嘯を撃破することが可能と算出されたわ」
　そう、それは『アルダワ魔王戦争』や『帝竜戦役』のように完全勝利を迎えることが可能という事だ。引いては『羅針盤戦争』後のグリードオーシャンにおける憂いを完全に断つことが出来る、という訳だ。
　しかし、とシャルロットは告げる。
「これは全ての攻略戦を担当しているグリモア猟兵が順調に攻略を終えられたらの話。万が一『王笏』攻略戦にて不都合によって攻略が滞ってしまった場合、戦争敗北もあり得てしまうわ」
　そうなった場合、多世界侵略船団コンキスタドールはこのグリードオーシャンの世界を侵略形態に変換し、猟兵たちをこの世界から追儺するだろう。
　そして、猟兵たちはこのグリードオーシャンに二度と足を踏むことは出来なくなってしまうのだ。
「それを防ぐために一つでも攻略戦の余裕を生んで迅速に制圧できるよう手配しているの」
　そう言ってシャルロットは自身のグリモアである蒼いタブレットを起動させて王笏島の一つをホログラフとして映し出す。

「今回アンタたちに攻略してもらうのは『七の王笏』よ。オブリビオンストームを発生する『七の王笏』の能力で戦場には大量のコンキスタドールが生まれてくるわ。このコンキスタドールの集団にも対処して頂戴」
　ここまで来たアンタたちなら迅速に攻略が出来るはず、と告げてシャルロットは転移術式を起動させた。

第1章 ボス戦 『七大海嘯『七の王笏』カルロス・グリード』

POW   :    ティフォン・コンデンサシオン 自身の【制御下にあるオブリビオン・ストーム１つ】を代償に、【凝縮されたオブリビオン・ストーム】を籠めた一撃を放つ。自分にとって制御下にあるオブリビオン・ストーム１つを失う代償が大きい程、威力は上昇する。 SPD   :    ヴェルダデラ・トルメンタ 【オブリビオン・ストーム】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。 WIZ   :    プラン・デストルクシオン 【「『王笏』に仇為す者よ、砕け散れ」】という願いを【島内のコンキスタドール達】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。 イラスト：hoi 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「さて、今日も泳ぎ回ってくれ。蒼雷」
　そう告げると同時にルイス・グリッド（生者の盾・f26203）は蒼い鱗をした小型海竜『蒼雷』に騎乗する。
　瞬間、ルイスと『蒼雷』の周囲が海へと変容していく。それによって出現させた集団級オブリビオンは急な環境の『改竄』に対応しきれず海へと沈んでいく。
「コンキスタドールとはいえ唐突に海になっても対応できるか？『七の王笏』」
　それはルイスのユーベルコード『海竜が望む場所（オーシャン・ブルー）』による環境改竄によって島の地形が海へと変容した結果。
「では、行くぞ」
　『蒼雷』に騎乗したルイスは海に潜行。それは『七の王笏』のユーベルコードであるオブリビオン・ストーム拡大変容ユーベルコードを避けるための回避行動。
　これが只そのままの現実にある海であったなら海中にもオブリビオン・ストームの影響は届いていただろうが、今彼らが潜っている海は『蒼雷』を介してルイスが変容させた領域。
　彼が支配している空間である為、必然的に『七の王笏』の影響力は海中からは激減してしまうのだ。
「――そこだ！！」
　海中から飛び出して銀腕を変容させた銛を『七の王笏』へと突き刺すルイス。
　そこに更なる追撃をせずまた海中へと潜行。限界まで海に潜りながらまた奇襲を、あるいは奇襲して海に潜ったその数十秒後、あるいは十数秒後にまた奇襲を仕掛けることで『七の王笏』に潜行のタイミングを把握させずにヒット＆ウェイを繰り返していく――

「もう一息頑張るとしようかな。数は沢山、だけどこれまでも倒して来たんだからいけるいける」
　そう気楽にシャチのキマイラは戦場へと転移し、『七の王笏』の掃討戦を行っていく。
　彼の名はヴィクトル・サリヴァン（星見の術士・f06661）。転移して状況を把握した直後にヴィクトルは高速詠唱を行い音属性と風属性を操り構築した催眠術式を集団級のコンキスタドールへと暴露させる。
　それは強烈な音波となって戦場に響き渡り、『七の王笏』を除いたほぼ全てのコンキスタドールが眠っていく。
「下手に『七の王笏』に攻撃を嗾けても与えられるダメージはたかが知れているし、万が一それが原因で混戦になったら事だ」
　そう呟きながら『七の王笏』の元へと駆けていくヴィクトル。
　既に周囲のコンキスタドールは眠って意識を落としている。それはつまり『島内のコンキスタドール達』に呼びかけて発動条件を満たす『七の王笏』のユーベルコードを封殺したという事だ。
「そして、こちらはそれに付き合う余裕も慈悲も無し」
　そう言って精霊術師のユーベルコードを起動させていくヴィクトル。操作する属性と自然現象は重力の属性と地震。その二つの事象を合成して範囲制限した強烈な地震を島内に引き起こしていく。
「地震で足元取られている所に失礼、出来ればこれで倒れてほしいけど」
　そう嘯きながらて電撃纏わせた銛を『七の王笏』に突き刺して電流を流し込んでいくヴィクトル。
　『七の王笏』の体に流れ込んでいく高圧電流は、文字通り身を焦がしていった――

「念には念を……ここまで追い詰めた相手を取り逃がす……なんて海賊の名折れよね……」
　そればかりではない。この『羅針盤戦争』に敗北すれば猟兵たちは二度とグリードオーシャンにはやって来られなくなってしまう。
　この強欲の大洋で得た思い出も絆も、全てが手の届かない場所へとなってしまう。
　そんなことはさせはしないと、ヘスティア・イクテュス（SkyFish団船長・f04572）は妖精の羽を象った白いジェットパック『ティターニア』を駆り、『七の王笏』へと挑む。
「そして、戦術的にも……特に七の王笏島は敵の生産拠点……ここさえ制圧してしまえば！」
　バリアを張り巡らせてオブリビオン・ストームへと突貫したヘスティア。彼女の『ティターニア』を用いた空中戦の技量を考えれば無謀な作戦ではないだろう。
「ストーム……竜巻にはあるわよね……？台風の目……無風地帯……」
　全てを過去の侵略者へと作り替えていく暴食の暴風の中、ヘスティアは無風地帯の座標を『サポートAI端末 ティンク・アベル』の演算を用いて割り出そうとしている。
「中に入れば周囲のコンキスタドールも気にせずに精査できるわね」
　そうオブリビオン・ストームがあらゆる物質を侵食して生み出していくコンキスタドールを睥睨しながら、やがて拡大変容のユーベルコードによって巨大化したオブリビオン・ストームの拡散方向を見てヘスティアは座標をの位置を割り出した。
「わざわざ、巨大化して目を大きくしてくれてありがとう――『ミスティルテイン(長距離砲撃モード)』」
　可変型のビームライフル『ミスティルテイン』を変形させ、銃口を向けた先にある存在こそこの『羅針盤戦争』の台風の目が一つ『七の王笏』成。
「今、この一矢で撃ち抜き、この世界に晴れ晴れとした平和を……ってね」
　その言葉が終わると同時、閃光が瞬いた。

「何が出るんだか知らねェがまとめて喰い殺してやるぜ」
　そうUDCを纏い黒い狼のような姿へと変貌したのは水鏡・怜悧（ヒトを目指す者・f21278）。
　彼は多重人格者の猟兵の一人であり、現在この戦場にて戦闘を行っているのはアノンたる人格。
　黒き狼の姿のまま空中を駆けていくアノン。先程のヘスティアの策に対応して飛行能力を持ったコンキスタドールが向かってくるが、その一切を彼は嚙み殺し、殴り飛ばしていく。
「無駄無駄ってな」
　そう呟いてアノンは『七の王笏』が放った凝縮されたオブリビオン・ストームが籠められた一撃、それが放たれようとしているのを見据える。
「なら、こちらは勘で避けていくとするか」
　迫り来る濃縮された再変換の一撃、それをアノンは野生の勘で見切り躱していく。
「今度はこちらの番だ――『黒き獣の狂走』」
　連動して起動するは銃型魔導兵器、それらに設定された複数の属性攻撃がオブリビオン・ストームによって生み出されたコンキスタドールやその主である『七の王笏』を薙ぎ払っていく。
「威力は弱くてもコンキスタドールくらいなら殺せるのは見ての通り、なら次はお前だ、『七の王笏』」
　そう牙をむき出しにして噛み殺さんと追いすがるアノン。その攻撃に対して、『七の王笏』は疲弊しきっていた――

「……しぶといわね。あんなに喉笛を引き裂かれたというのに」
　そう呆れたように、いっそ尊敬の念すら滲ませながらため息を付く影。
「……既に多くの分身達が骸の海に還っていったわ。お前も彼らの後を追うが良い、カルロス・グリード」
　それはこの『羅針盤戦争』にて多大な戦績を上げた猟兵の一人である吸血鬼狩人の少女、リーヴァルディ・カーライル（ダンピールの黒騎士・f01841）であった。
　抹殺宣言を告げた直後、戦場に広がるのは漆黒の帳。乱れ撃つは銃身内部に弾丸を転送して連射できる大口径二連装マスケット銃。
「……成る程、存外使えるわね。一の王笏の闘い方は……」
　それはかの分身体が一つ『一の王笏』の戦闘スタイルを模倣したもの。
　リーヴァルティ自身は全属性の精霊と交信して視覚に頼らず周囲の状況を認識する事ができる魔導具『精霊石の耳飾り』を用いて周囲の状況を知覚していた。
「……ええ、こんな小細工でお前を止められるとは思っていない」
　それは今回の『羅針盤戦争』にて多くの『王笏』と戦闘を行ってきたリーヴァルティが『王笏』に対して抱く一種の信頼。
「だけど、一瞬の隙があれば私はその隙を無限に出来る……こんな風にね」
　故に、リーヴァルティは最大限の努力と能力を以て『王笏』を撃滅する。
「――『代行者の羈束・零の世界（レムナント・インフィニットゼロ）』」
　左眼の聖痕に時間を支配する異端の大神の力が顕現すると同時、静止した時の世界が世界に広がっていく。
　時の理すら支配した吸血鬼狩人の少女は、時属性を込めて怪力任せに魔力を溜めた大鎌をなぎ払う。
　瞬間、最初から存在がなかったかのように『七の王笏』の存在は消失していた――

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2021年02月26日