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Goblin's Gambit

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #チーフメイド・アレキサンドライト #エルフ

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 森が燃える。
 村が燃える。
 すべてが赤い炎に沈む。

 逃げ惑う人々。
 武器を手に立ち向かう人々。
 すべてが赤い血に沈む。

 ゴブリンが犯す。
 ゴブリンが喰らう。
 すべてが奴らに奪われる──。



「──とまあ、随分と気分の悪い行いをする連中の姿が見えてしまいましたわ」
 グリモア猟兵、アウレリア・フルブライト(輝くは黄金の闘志・f25694)は、己の見た予知についての説明をそう締め括った。
「アックス&ウィザーズのとある森と、その中にあるエルフの村が、オブリビオンによる焼き討ちを受けます。そして、そこに住んでいたエルフ達は殺されるか、或いはその尊厳を穢され尽くします。皆様には、これを阻止して頂きたいのです」
 エルフ達の棲む『迷いの森』、その何処かにある『聖なる木』。群竜大陸にある世界樹イルミンスールから株分けされたという、この木にこそ天上界へ至る為の鍵と見たオブリビオン達は、森を焼き払うことでそれを探し出そうとしているのだ。
 当初、この計画は猟書家の一人『チーフメイド・アレクサンドライト』が主導していたが、彼女は既に因縁ある猟兵の手により滅ぼされた。しかし、彼女はどうやら、標的とするべき森のリストのようなものを遺していたらしい。
「此度、私が予知に見たのも、彼女の遺した情報を基に焼き討ちを行ったオブリビオン──ゴブリンの集団になります」
 ゴブリン。
 基本的に小さく弱い魔物である為、冒険者達の間では駆け出しでも組し得る手頃な敵という認識であるが。
「此度のゴブリンは、王に率いられた恐るべき軍です。その上で、人質を取ったり囮を使ったり等の策略も用いてくるでしょう。心してかかって下さいませ」
 同時に、奴らは器用で狡猾な種でもある。数と統率が揃えば、騎士団でさえ蹂躙される危険な存在となり得るのだ。猟兵と言えども油断は禁物である。

「恐らく、皆さんが現地に到着した時点で、既に焼き討ちは開始されているでしょう」
 そしてエルフ達も、戦う力の無い者は捕まり、戦える者も敵の連携や狡猾さの前に苦戦を強いられている状況である、と。
「急がねば、多くの命が失われかねない危険な状況です。慎重、且つ迅速な対応をお願い致します」
 助けたエルフの戦士達とは共闘も可能だ。地の利を持つ彼らの支援は頼りになるだろう。

「私からは以上となります。それでは、転送を開始致しますわよ!」
 説明を終えたアウレリアは、その手に己の家紋を模したグリモアを輝かせ。
 猟兵達を、火の手上がりつつある森へ送り出してゆく。


五条新一郎
 本当は恐ろしいゴブリン。
 五条です。

 戦争もひと段落しました処で猟書家戦も本格再開でございます。
 此度はアックス&ウィザーズより、エルフの村を焼こうとするゴブリンと戦うシナリオをお送り致します。

●このシナリオについて
 このシナリオは「対猟書家戦」のシナリオになります。
 全二章にて完結となります。

●目的
 エルフの村を襲うゴブリン達の殲滅。
 村がある森の焼き討ち阻止。

●戦場
 アックス&ウィザーズのとある森、及びその森にあるエルフの村。
 木は多いですが光がよく入るので視界は良いです。
 既に森の一部が燃え始めてます。

●第一章
『ゴブリン収穫兵』との集団戦です。
 エルフの非戦闘員を人質や囮に利用してきます。

●第二章
『ゴブリンキング』とのボス戦です。
 配下を使い、森に火を放ったりエルフを攻撃したりします。

●プレイングについて
 第一章はOP公開直後から、第二章は章移行後断章投稿時点からプレイングを受け付けます。
「エルフ達と協力し共に戦う」プレイングにはプレイングボーナスがつきます。
 また本シナリオでは「ゴブリンの策略に対策する」ことでもプレイングボーナスがつきます。

 それでは、皆様のプレイングお待ちしております。
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第1章 集団戦 『ゴブリン収穫兵』

POW   :    ヒューマンライド
自身の身長の2倍の【剣を装備した後、捕獲した人間(調教済)】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD   :    ホステージシールド
全身を【隠す様に、捕獲した人間を固定した盾】で覆い、自身が敵から受けた【攻撃を盾で受け止め、固定した人間の負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
WIZ   :    食人肉料理~生~
戦闘中に食べた【捕獲した人間の血肉】の量と質に応じて【全身の細胞が活性化し、自身の負傷が回復】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

菫宮・奏莉
このシチュエーション、
勇者が助けないわけにはいかないですね!

頑張ってるけが人のフリ(フリでもないですが)をして、
ゴブリンたちの前にたちはだかります。

たぶん馬鹿にされるでしょうから、
怒った演技でゴブリンのほうへ走り込んで、
【禁足結界】で足止めしちゃいましょう。

ゴブリンの動きを止めたら、
まずは捕まっているエルフの人たちを解放。

エルフの戦士たちには、解放した方ややけが人。
戦えない人たちの保護をお願いできたら、と思います。

エルフさんたちの安全を確保できたら、
ここからが勇者の本領発揮です!

【メディカルトレー】で攻撃を受け流して、
【松葉杖】で殴っていきますですよ!

炎は【入院着】の耐性に頼っちゃうのです。



 燃え盛る木々。響き渡る人々の悲鳴。
 そのエルフの村は、未曽有の災厄に見舞われていた。

「ギギッ、コイツラ、ツカマエル」
 その一角でもまた、災厄の主――ゴブリン達の魔の手が、エルフに迫ろうとしていた。数匹からなるゴブリンの群れが、エルフの少女達を包囲していたのだ。
「ひっ……やだ、やめて……!」
「姉様……!」
 そしてその一人、やや年長と思われる少女がゴブリンたちの手で引きずり出される。そして彼らの一人が携えた盾に、その身を戒められて。
「タスケテホシイ、ナラ、イウコト、キケ」
 その少女に剣を突き付け、ゴブリンは言い放つ。残る少女達に、そして駆け付けたエルフの戦士達に。
 この状況に抗い得る術を、彼らは持たず。このまま、かの魔物達の思うが侭とされてしまうのか……そう思われた矢先。

「待ちなさーい!」
 そこへ響くは、あどけなくも勇ましい少女の声。ゴブリン達とエルフ達が、一斉に声のした方を振り向けば。
「この状況、勇者として放ってはおけません! ゴブリンさん達、覚悟しなさい!」
 彼らの視線の先にいたのは、随所から血の滲む包帯の覗く入院着を纏い、剣の代わりに松葉杖、盾の代わりにメディカルトレーを構えた少女の姿。
 彼女こそは菫宮・奏莉(血まみれ勇者・f32133)、なんらかの意思にて選ばれし勇者――であるのだが、如何せんその装いは。
「え……き、君、大丈夫か……? その怪我……」
 エルフの戦士の一人が、思わず己の置かれた状況さえ忘れて彼女を案じる。そう、彼女のその姿は、無理を押して戦場へ出てきた負傷者としか見えず。
「――ギャハハハハ!! オマエ、ソノケガ! ナニデキル!」
 ゴブリン達が一斉に盛大な笑い声を上げる。あからさまなまでの嘲笑。
「むー! こんな身体だからって馬鹿にしないでー!」
 その嘲りが、奏莉の怒りに火を点けた。そんな体を装って、奏莉はゴブリン達へと走り迫る。
「ギャハハハ! ザコメ! イタブッテヤル!」
 完全に彼女を侮ったゴブリン達、人質さえも一時脇に置いて得物を構える。全員で寄って集って彼女を嬲り殺しにしようというのだ。
「そうやって馬鹿にしてると――」
 だが奏莉は怯まない。どころか尚も加速する。その動きは負傷を感じさせない――彼女にとって、この程度の傷は日常の延長ゆえに。
「あなたを、足止めです、よ!」
 掲げた松葉杖の先端に、漆黒の呪詛が集束する。血液が失われたことで軽くぐらついた身を踏ん張り――足首をグネったりはしない。そして集束した呪詛を、ゴブリンの群れ目掛け叩き付ける!
「アギャアアアア!?」
 元より血液が不足気味な奏莉である。そんな彼女が血液を代償として繰り出す、このユーベルコードの威力は決して低いものではない。直撃を受けたゴブリンはそのまま斃れ、そうでないものも。
「ア……ギ……!? ナン、ダ……!?」
「カラダ……オモイ……!?」
 纏わりつく呪詛が、その動きを大幅に制限し。ほぼ身動きの取れぬ状態に陥っていた。
「皆さん! 今のうちです! 避難してくださーい!」
 その成果を確かめた奏莉はエルフ達に呼びかける。彼女の業に一瞬呆気に取られていたエルフ達だが、その声に我を取り戻せば即座に動きだす。
 包囲されていたエルフ達、人質として捕まっていた少女を含めた全員が無事救助されたのを見届けた奏莉、再び松葉杖とメディカルトレーを構え。
「さあ、ここからが勇者の本領発揮です!」
 呪詛の影響を脱出しつつあったゴブリン達へ向かってゆく。
「グギィ! オマエ、ヨクモ!」
 妨害に怒ったゴブリン達が、奏莉目掛けて次々と剣を振り下ろし反撃を試みるが。
「効きませんっ!」
 掲げたメディカルトレーは、盾と称するに十二分の強度。ゴブリン達の剣では傷一つつかず、攻撃の悉くを受け流して。
「えーい!」
 振るう松葉杖は、こう見えても勇者の剣として強化を施された逸品。ゴブリン達を殆ど一撃で殴り倒し骸の海へと還してゆく。
 そうして、その場のゴブリンが全滅するまで、長い時間はかからなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルトリウス・セレスタイト
戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし掻き消す
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

魔眼・封絶で拘束
対象は戦域のオブリビオン
行動と能力発露を封じる魔眼故、捕らえればユーベルコードも霧散する
『解放』を通じ全力の魔力を注いで拘束力を最大化
現着後即座の起動で封殺を図る
置物にしておけば人質など意味はない

まだ助かり得るかは知り得ぬが、人間との生命力の共有も途切れる
戻れそうなら後ほど後送

封じたら打撃で始末
纏う原理の無限量の圧を乗せ片端から叩く

※アドリブ歓迎



 逃げる娘を追い回すもの達。
 仲間と対峙する戦士へと、木陰から不意打ちを狙っているもの達。
 捕らえた娘に狼藉を働かんとするもの達。
 人質を取られ動けぬ戦士達を、寄って集って甚振るもの達。

 そうしたゴブリン達の暴虐の数々、その全てを、グリモアベースより転移を果たしたアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は即座に把握した。
『天光』、万象見通す全知の原理は、彼の視野を無限に広げる。彼自身が未だヒトの容に収まっているが故、認識可能な数は無限と称すに程遠いが、それでも常識を大きく超越している事に変わりは無い。
「――さて」
 任務内容は把握している。現地の状況も今確かめた。為すべきことは定まった。
 対象指定。視野に捉えた全てのオブリビオン。詠唱は思考。魔眼を開く。存在原理を捕捉。輝くは解放の原理。流れ込む魔力を、己を中継して魔眼へ注ぐ。

 ――此処までの行程全て。彼がこの地へ降り立った、その瞬間に完了していた。

「――淀め」
 一言。その只の一言が鍵となり、戦場、その広域へと一斉に変化が訪れる。
 原理にて捉えたゴブリン達、己の認識し得るその全てが、突如、凍り付いたかの如く動きを止める。直に存在を捉える原理の魔眼が、彼のもの達を睨み、縛り、一切の行動を封じていたのだ。
 敵に生じた突然の異変。エルフ達はそれに驚き、訝しみながらも、戦えぬ者は逃げ果せ、戦える者は対峙したもの達を仕留めてゆく。その様も、全知の原理を介し彼の認識する処となってゆくが。
「――あちらは――助けが必要か」
 狼藉を受けかけていた娘が、既に独力にて逃げ果せること叶わぬ状態へ追い遣られていたことも、天光は見出す。彼女を組み敷いた状態で拘束された為だ。
 無論、場所は把握している。アルトリウスは駆けだす。その道筋に、蒼の光の軌跡すら残らぬ速度で。

「ぅ……ぁ……だ……誰、か……」
 その娘は、何匹ものゴブリンの下敷きとなっていた。奴らに寄って集られ、着衣を剥かれ、今まさに、その身体を辱められようとする処であった。
 何故か本格的な行為に及ぶその寸前で、奴らは突如硬直し、微動だにせぬまま苦しげに呻くのみと化したが。それまでに奴らから受けた恥辱と恐怖は、既に自力での脱出を果たし得ぬ程、娘の心身を消耗せしめていた。
 ゴブリン共がいつまでこうしているか分からない。再び動きだせば、今度こそ自分は――
「――え?」
 だが、その時。涸れんばかりに涙流し、光の失せかけた瞳が、驚愕に見開かれる。硬直していたゴブリン達が、瞬く間に消し飛んだからだ。
 そして視界を満たした蒼の光。黒と銀の長衣を纏った男が、彼女を見下ろしていた。アルトリウスである。
「――大丈夫か」
 超然たるその佇まいに似た、淡々とした呼びかけ。アルトリウスは片膝をつき、娘へ手を差し伸べた。

成功 🔵​🔵​🔴​

馬県・義透
【外邨家】
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第一『疾き者』の双子妹=蛍嘉
一人称:私 唯一忍者
武器:漆黒風

…さて。蛍嘉とクルワに囮任せるのは心苦しいのですがー。
まあ、私、いえ『私たち』怒ってますのでね?

私は迷彩結界張りつつ、樹上にて気配消し。
二人に気をとられた瞬間、早業+指定UC+風属性攻撃で急所狙い投擲。
盾にしても無駄ですよ。狙った場所に、この漆黒風は届くのですから。
一投一投、居場所変えますから、気づきにくいでしょうし。
地に影を落とす愚もしないですよ。

保護も二人に任せましてー。まあ、私は殲滅専念ですね。
…ええ、あなたがたは『私たち』を怒らせたのですから。

※いつものほほんだが、たまに消える。


外邨・蛍嘉
【外邨家】
蛍嘉の双子兄=『疾き者』
「」内クルワ台詞
武器:蛍嘉は藤色蛇の目傘、クルワは妖影刀『甚雨』

ああ、本当に嫌な相手だね。
「デスネ。彼(疾き者)も怒ってマスシ」

さて、私たち二人は、地上でのいわば囮さ。
援軍にきたはいいけれど、人質とられて手が出せないってふりをしておこう。
「そして、策がなったら、ワタシ達はエルフ保護デスネ!」
そうそう。念のため、保護したエルフには結界術で防衛できる術を施しておこうね。
また捕らえようとしたら、それぞれの武器で邪魔をしよう。

「彼、いえ『彼ら』を怒らせたのが間違いデスヨ。…ええ、鬼のワタシも怖いんデスヨ、怒った彼ら」

※クルワは、髪が水みたいになった男です。



 ぱちぱちと、炎の弾ける音が聞こえる。火の手は既に、この近くまで迫っているか。
 雪夜の小袖を纏う初老の女性と、白青のローブを纏った青年とが、各々に得物を構え、ゴブリン達と睨み合う。
「――ああ、本当に嫌な相手だね」
 藤色の蛇の目傘を携えた初老の女性、外邨・蛍嘉(雪待天泉・f29452)が、眉間の皺を一際深くしつつ吐き捨てる。彼らがすぐに仕掛けない事には理由がある。即ち。
「ウゴクナ、ウゴイタラ、コイツ、コロス」
「ひっ……!」
 ゴブリン達の中心に在る一匹、そいつの掲げる盾にエルフの少女が括りつけられ。その喉元へ、剣が突き付けられているが為だ。下手に仕掛ければ、その兇刃はすぐにでも彼女の白い喉を裂くだろう。
「デスネ。『彼』も怒ってマスシ……」
 蛍嘉に応えるは刀構えたローブの青年、飄々とした中にも苦心の滲むその声音は何処か片言じみて。蛍嘉が己の魂へ封じている鬼『クルワ』、ユーベルコードによって分離し二人がかりでの行動を期したは良いが、人質を取られてはその利も活かせぬ。
「クキキ……。……ヤレ」
 そんな二人の様子を、さも愉快そうに眺めて。ゴブリンは仲間へ指示を発する。同時に人質磔けた盾を高く掲げる仕草。即ち『抵抗すれば人質を殺す』。二人に対し、無抵抗で甚振られることを強いているのだ。
 得物を手に二人へと向かう仲間達を眺めるゴブリンの、醜悪な笑みが深まる。颯爽とエルフ達を救いに現れた彼らが、小娘一人人質に取られただけで抵抗を失い、仲間達によって嬲り殺しに遭うのが楽しみで堪らない。そう言わんばかりの笑みだ。
 人質へと突き付けた剣はそのままなれど、ゴブリン達の意識は二人へ集束していた。これから行う、蛍嘉とクルワに対する一方的な蹂躙行為への喜悦によって。

 そして、それこそ『彼』が待っていた好機であった。

「グギャァ!?」
 人質を確保していたゴブリンの口から、突如悲鳴が上がる。かと思えば、そのまま仰向けに倒れ、動かなくなる。
「え……!? ……あ……」
 手放された盾に拘束されたままの少女は見た。その額から、細長い棒状の楔めいた金属質の物体が生えているのを。
「来たね! クルワ!」
「承知しマシタ!」
 そしてそれを待っていたかのように――否、実際に待っていたのだ――蛍嘉はクルワに呼びかけ動き出す。今まさに己らへ棍棒を叩き付けんとしていたゴブリンを、蛇の目傘で突き倒し、斬り上げの刀で吹き飛ばし、人質の少女を目掛け駆け出す。
「ナ、ナニィ!?」
「クソッ、アレヲワタスナ……ギャァッ!?」
 突然の事態に混乱しつつも、人質の奪還を阻止せんとゴブリンも彼らを追って動くが。蛍嘉の展開した結界に足を止められ、そこを頭上から降って来た漆黒の楔に撃ち抜かれ倒れる。
「すまないね、お嬢ちゃん。助けるのが遅くなってしまって」
 そして少女のもとへと辿り着けば、盾の拘束を外し解放にかかる蛍嘉。
「い、いえ……。助けてくれて、ありがとう……。でも、あれは……?」
 少女は礼を述べつつも、呆気に取られた様子でゴブリン達を示す。頭上から断続的に降ってくる黒い楔。そのたびにゴブリン達が一匹、また一匹と倒れてゆく。
「ああ、あれはね――」

 頭上より降り注ぐ死に恐慌を来すゴブリン達。その頭上、木の枝の間を駆け巡る影あり。
「見事に作戦通り。蛍嘉とクルワに囮を任せた甲斐がありましたねー」
 のんびりとした声音で独りごちる壮年の男性。なれどその双脚は忙しなく樹と樹の間を跳び渡り、合間に手を閃かせれば、楔めいた漆黒の金属――棒手裏剣が放たれ、眼下のゴブリン達の眉間や首筋、急所を的確に撃ち抜き仕留めてゆく。
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)、四人の男達の魂からなる複合型悪霊。その第一の魂『疾き者』。細められた目は眼下のゴブリン達が慌てふためき、頭上の襲撃者を探しにかかっているが。
(そんな有様で、私を見つけられると思ってもらっては困りますねー)
 他三人と異なり『疾き者』のみは忍者。故に隠形と投擲の業前は随一。地に影を落とす愚は犯さぬし、跳躍からの移動もほぼ無音。視覚欺瞞の結界と気配遮断の業前も合わされば、オブリビオンとはいえゴブリンの雑兵に気配は察せ得ぬ。
(このまま一匹残らず、殲滅するとしましょうかね)
 細められていた目が、小さく開かれる。そこに灯るは、紛い無き怒り。穏やかなる日々を理不尽に破壊する行い――かつて彼らもそのようにして死したが故に。
(『私たち』の怒り、受けるが良いでしょう)
 故にその怒りは苛烈、放たれる刃は鋭利。領域内のゴブリン達が全滅するまで、長い時間はかからなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アテナ・カナメ
【心情】外道なゴブリン達…これは容赦しなくて良さそうね。エルフのみんなの為にもこのアテナマスクが助けて見せる!

【作戦】ゴブリン達の攻撃は基本【見切り】でかわすわ!彼らに捕まっているエルフさん達をゴブリン達を【吹き飛ばし】て【救助活動】して助けるわね!ゴブリンの一人に【ダッシュ】して【零距離射撃】のヒートスタンプの蹴りを食らわして他のゴブリンに【恐怖感】を与えてこちらへの戦意をなくさせるわね!
卑怯な行動も取ってくるでしょうけど助けたエルフさん達に後ろから奇襲してもらい、そこを狙うわ!「貴方達のような下衆なゴブリン達には屈しないわ!」【絡み・アドリブOK】



「クキキ……コイツ、ドウナッテモ、イイノカ」
「ぐっ、こいつら卑怯な……!」
 掲げた盾にエルフの少女を拘束し、戦士達へ突き付けてみせるゴブリンの一団。エルフの戦士達は其々に得物を構えつつも、人質を取られ攻勢に出られない状態。
 そんな彼らを甚振ろうとばかり、ゴブリン達が包囲を始めようとした、その時。
「待ちなさーい!!」
 響き渡る勇ましき少女の声、そしてその直後。
「グギャァ!?」
 駆け抜ける影。人質を確保していたゴブリンが、悲鳴と共に吹き飛ばされる。
「ギギッ!? ナ、ナンダッ!?」
 気付いたゴブリン達が、慌てふためきながらも得物を構え、着地を果たしたその影へ視線を向ければ。
「――人質を盾にエルフを甚振ろうなんて、悪逆外道のゴブリン共!」
 影――赤い髪と白赤のマントを靡かせる少女もまた、鋭い声音と視線を伴いゴブリン達へと向き直る。その目元をマスクで隠し、豊満な肢体を惜しげもなく晒した姿は、紛うことなきヒーローの態。
「私は燃える正義の炎、アテナマスク! あなた達を倒し、エルフのみんなを助けてみせる!」
 決めポーズと共に高らかに名乗りを上げるはアテナ・カナメ(アテナマスク・f14759)。その目元を隠すマスクが本体のヒーローマスクだ。
「グギギ……! フザケルナ!」
「オマエカラ、コロシテヤル!」
 その堂々たる名乗り口上が、ゴブリン達の癪に障りでもしたか。一斉に得物を構えて彼女へ殺到するゴブリン達。
「そうはさせないわ! 覚悟なさい!」
 対するアテナも真正面からゴブリン達目掛けダッシュ、一気に縮まる彼我の距離。最前のゴブリンへと肉薄する。急に眼前へと迫ってきたアテナを前に、驚いた様子で立ち竦むゴブリン。無論、そこを逃がすアテナではない。
「必殺ッ! ヒィィィィィト・スタンプッ!!」
 ダッシュの勢いを乗せて跳躍、片脚をゴブリン目掛け突き出す。足から炎が溢れ、膝より下に纏われて――ユーベルコードを乗せた渾身の一撃が、ゴブリンの顔面へと突き刺さった!
「ギャァァァァァ!!?」
 文字通り爆発的な威力の一撃を受け、為す術無く吹き飛ぶゴブリン。そのまま幾度も地に叩き付けられ、完全に落ちるを待たず骸の海へと還ってゆく。
「ヒィ!? ナ、ナンダコイツッ!?」
「ニゲロ! ニゲロォォォ!!」
 それを目の当たりにした他のゴブリン達、直前までの戦意は何処へやら、一目散に逃げ出してゆく。力の差を悟ったのだろうか。
「待ち……いえ。皆、大丈夫?」
 追撃せんとするアテナだが。その前に、と。エルフの戦士達に気付かう声をかける。

 改めて追撃にかかるアテナ。瞬く間に逃げるゴブリンの背が見える。再度ユーベルコードを構え――
「ギャハハハハ! カカッタァァァ!!」
「!!」
 その時。左右の茂みから揺れたかと思うと、そこからゴブリン達が得物を構え飛び出してきた。一旦逃げてからの不意打ち。気付いて迎え撃たんとするアテナだが、その数、全て捌けるかどうか――
「今だ!!」
 そこに響く声、降り注ぐ矢の雨。アテナに不意打ちを仕掛けようとしていたゴブリン達が、一瞬で全身を矢に貫かれ倒れてゆく。エルフの戦士達だ。
「ありがとう!」
 彼らに礼を告げ、再度駆け出すアテナ。こんな事もあろうかと要請しておいた甲斐があるというものだ。残るゴブリン達も、逃がしはしない。

成功 🔵​🔵​🔴​

泡夢・雪那
目的は把握した。
戦う事しかできない私は一体でも多くゴブリン共を屠ろう
一刻も早く、奴等が何かをするよりも速く――。

ゴブリンを探して森を疾走
奴等の血飛沫で奴等の目を潰し、奴等の血煙で火を鎮めんとばかりに
すれ違えば「覇気」を纏った手刀で斬って捨て、囲まれれば蹴撃で切り裂く
届かねば【呪殺弾】装填の「バニーガール」を抜いて攻撃
【落ち着き】は乱さず【誘惑】的に【暴力】的に、ゴブリンを破壊していく。

人質に騎乗したゴブリンと対峙すれば、
「魔王の瞳」で見据えてUC『夢幻』を発動――
 『偽りの王を捨てて真の王に跪く至福』の白昼夢を見せた上
 『人質を村まで運んだのち自ら命を絶ち、真の王に忠誠を示せ』と暗示をかける。


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
また、厄介な事態になっておりますねぇ。
何とかやってみますぅ。

エルフさん達に状況を伝えて協力を要請した上で『人手の足りない場所』を尋ねますねぇ。
そして『FBS』を四肢に嵌め飛行、其方へ向かいましょう。

会敵したら【秤濤】を使用、ゴブリンさん達を『超重力波』で押え込み、『FCS』により『暴徒鎮圧用ゴム弾』に換装した『FRS』『FSS』の[砲撃]による[範囲攻撃]を仕掛けますねぇ。
召喚前に対処出来れば最良、それが無理でも、ダメージを操作し『気絶』させてしまえば、後は『騎乗されていた方』と離して仕留めればよいですぅ。
その場合、エルフさんに『騎乗されていた方』の治療をお願いしても?



 炎に燃える森の中を、影が疾走する。均整の取れたグラマラスな長身を、黒のパンツスーツで包んだ妙齢の美女。長く艶やかな黒髪が、風を受けて波打ち靡く。泡夢・雪那(夢魔皇姫・f32415)、一体でも多くのゴブリンを屠るべく、森を駆けて標的を探している猟兵だ。
(――見つけた)
 疾走を始めてより然程の時を経ず。紅玉の瞳が、前方を行くゴブリンの一団を見出す。行く先、そう遠くない場所にエルフの集落があった筈だ。止めねばならない。
(殲滅する。一刻も早く、奴らが何かをするよりも速く――)
 それが、己にできる唯一のことであるから、と。雪那の足が早まり、そして。

「ギャギィ!?」
 エルフの集落を目指し行軍していたゴブリンの一団、その一匹が突如、首より血を噴いて倒れ伏す。
「ギャアアア!? チ、チガァァ!?」
「マエ、マエガ、ミエネエ……!」
 唐突の事態に、彼の後ろにいたゴブリン達は返り血を見事に顔へ浴び。視界を遮られ悶え。そこへ再び襲い来た雪那が、黒の手袋嵌めた手刀を振るう。
「アギャァァァ!?」
「グギィィィィ!!」
 そのたびにゴブリンの頸が裂け、鮮血が噴き散らされる。まるで、その血で以て森を燃やす炎を消火せんとばかりに。
「クソッ、カコメ、カコメェ!」
 だがゴブリン達も黙ってやられはしない。数匹が盾を構えて雪那に立ちはだかり、足を止めさせたところを包囲へ移行。数を利しての包囲攻撃を仕掛けんとする。
「くっ、流石に多いか…!」
 対する雪那、回し蹴りを繰り出せば。その蹴撃もまた刃の如くゴブリンの身を斬り裂き、以て数匹を纏めて蹴り伏せてゆくが。それを上回る数を以てゴブリン達は攻め込んでくる。
「グギャギャ! ツカマエ――」
 そして遂に、一匹のゴブリンが雪那へ飛び掛かり組み伏せにかからんとした――その時。

『大いなる豊饒の女神、その御力の欠片による裁きをお与えください――』
 何処からともなく響く祈りの詠唱、続いて戦場を走り抜けた乳白色の波動。その場に在った全てのゴブリン達が、刹那、呆けたように動きを止め。直後。
「「「グギャァ!?」」」
 まるで見えない力に押さえつけられたかの如く、全てのゴブリンがその場へ倒れ伏す。雪那に飛び掛からんとしたゴブリンもまた、垂直に地面へと落下しうつ伏せのまま動かない。
「危ないところでしたねぇ」
 身構えていた雪那のもとへ、緩やかな声と共に、一人の少女が上方から降りてくる。女性的な豊満を極めたかの如き肢体を、四肢に嵌めた戦輪の回転によって浮遊せしめている彼女は夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)、無論のこと猟兵である。
「あ、ああ、助かった。しかし何故此方に?」
 礼を述べつつも、加勢に来れた理由を問う雪那。此処に至るまで結構な範囲を走り回っていた彼女、他の味方戦力からは孤立していたと感じていたようだが。
「エルフの方に、戦力の手薄そうな方面を尋ねましてぇ。此方の戦力が特に手薄とお教え頂いた次第ですぅ」
 るこるのその返答に頷く雪那。成程、戦力の薄い方面へ向かっていた同士であれば行き会うことも有り得るか。
 と、その時。
「グギ……クソ、カラダ、オモイ……!」
「ガギィ……! オマエラ、コロス……!」
 るこるのユーベルコードが齎した重力波によって抑えつけられつつも、何とか立ち上がるゴブリン達。その動きは鈍くとも、殺気は変わらぬ……否、そこに関しては先程以上かもしれない。
「させませんよぉ」
 なれどるこるとしても、これは想定の内だ。彼女の周囲へと展開されるは、十六基の浮遊砲台と八基の光盾備えた浮遊砲台。るこるの攻撃意志を受けたそれが、一斉に砲撃を開始。放たれるのは、森の中及び敵が人質を取る可能性を考慮した暴徒鎮圧用の硬質ゴム弾。
「グギャ!?」
「ブゲェ!!」
 だが普段の炸裂弾を放つ際と同等の出力で以て撃ち出せば、ゴム製と言えど充分な殺傷力を得る。降り注ぐ砲弾が、ゴブリンを次々と叩き潰し地の染みと変えてゆく。
「ク、クソッ! ダガ、コレナラドウダ!」
 そんなるこるの攻勢に対し、ゴブリン達が取った次の手段は――既に捕らえたエルフ達を、乗り物として引っ張り出すことであった。
「……ぅ、ぁ……ぁぅ……」
 彼らの下、四つん這いとさせられたエルフの少女が、虚ろな呻きを漏らす。その様、完全に心を折られていると見え。説得は困難と見えた。
「厄介ですねぇ、ですがぁ……」
 その痛ましい有様に眉根を寄せつつも、るこるは浮遊砲台群の設定を調整。出力を落としての砲撃を試みんとするが。
「――待ってくれ。私に考えがある」
 そこへ進み出てきたのは雪那。応えてるこるが一歩下がれば、眼前のゴブリン達を、その紅瞳――魔王の資質たる魔眼で以て見据え。

 ――魔眼が、煌めく。

「――ア……?」
 途端、ゴブリン達の身が小さく痙攣したかと思うと、虚空をぼんやりと見つめる呆けた様相を示す。彼らの今の状態とは即ち。
「――至福だろう? 偽りの王などでなく、真なる王に跪き、その恩寵を受けることは」
 囁くような雪那の声。今、かのゴブリン達は、まさに彼女の言う『真なる王』に跪く白昼夢を見ているのだ。虚ろなままに、彼らは囁きへ頷く。
「ならば、真なる王へと忠誠を示せ。お前達の捕らえたエルフをその村へと送り届け、その命を絶ってみせよ」
 命じる声は、重く、然し何処か甘く。ゴブリン達の思考を満たして。彼らはゆっくりと、エルフ達を伴って雪那達から離れてゆく。
「これで良し。これで人質の解放も連中の始末も片がつくはずだ」
「おぉ……。ではぁ、村の方に、騎乗されてたエルフさん達の治療をお願いしておきましょうかぁ」
 瞬き一つ、一仕事終えた吐息を漏らす雪那。その仕事ぶりに感心しつつもるこるが告げれば、頷いて。二人はゴブリン達の先回りをするように村へと向かってゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
俺の故郷の世界で好き勝手やりやがって!
てめぇら覚悟は出来てるんだろうな?

シャーリーの援護を受けながら捕らえたエルフを盾にしてイキってやがるゴブリンの群れに突っ込み、【鎧無視攻撃】で盾の隙間を突いて【刀工一閃】を繰り出し、ゴブリンを仕留めていく。
そんな動きづらいカッコしてればいい的だぜ!

あらかたゴブリンを倒したら盾にされたエルフ達を解放する。
身も心も消耗しきって逃げるどころじゃないだろうけど、【料理】であらかじめ作っておいたスープを口に含ませて【鼓舞】し、生きる力を取り戻させる。

立てるようになったら、エルフの戦士達に彼らの保護を頼み、まだゴブリンが暴れている他の地域へと向かう。


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
卑劣な手段ってのは確かに有効な手だよね
けど、それを採った以上は報いを受ける事は承知してるんだよね?
行くよ、ウィーリィくん!
…ってもう行っちゃった!?

エルフの戦士たちに協力してもらって【援護射撃】+【制圧射撃】でゴブリンの足元を狙って動きを鈍らせ、ウィーリィくんが突っ込むのをサポート
彼が最初のゴブリンを倒したら、ボクも負けずに【スナイパー】+【鎧無視攻撃】+【クイックドロウ】で盾のすき間を狙撃してどんどんゴブリンを倒していく

解放したエルフを【鼓舞】し【慰め】、【元気】づける
「大丈夫。キミたちの森を焼いた奴らはボクたちがきっちりおしおきしてあげるからね!」



 エルフの少女を括りつけた盾を掲げ突き付け、動けぬ戦士達に迫るゴブリン達。このまま、人質を盾に彼らを甚振らんとする構え。
「……卑劣な手段、ってのは確かに有効な手だよね」
 その様子を、近くの大木の影から見据えるシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)、その愛らしき貌が嫌悪に歪む。
「けど、そんな手を採った以上は。報いは受けて貰わないとね」
 獲物たるマスケット銃――を模した熱線銃を抜き。戦闘準備は万端。
「行くよ、ウィーリィくん――って」
 そして傍らのパートナーへ呼びかけ――ようとして気付く。
「――もう行っちゃった!?」
 そこに彼の姿が無い。驚き前へ向き直れば。

「グギャァ!?」
 そのパートナー、ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)は、得物たる大包丁を振り抜き、人質を確保していたゴブリンの一体を斬り捨てたところであった。
「俺の故郷の世界で好き勝手やりやがって! てめぇら、覚悟は出来てるんだろうな!?」
 それは己の生まれ育った世界を荒らされることへの怒り。突然の襲撃に慌てるゴブリン達を、光よりも迅いと見える斬撃が斬り捨て。
「グギッ、コ、コイツ、ドウナッテモ……ウギャァ!!」
 人質を括りつけた盾で身を守ろうとするゴブリンさえも、巧みな技量で以て盾をすり抜けた刃で以て斬り倒す。
「グギィ! テ、テメェ……!!」
 漸く事態を悟ったゴブリン達、ウィーリィや人質のエルフ達に襲い掛かろうとするが。
「これ以上好き勝手はさせないんだから!」
 状況を把握したシャーリーの放つ熱線の雨が、死角を狙わんとしたゴブリン達へ的確に命中。それらを次々と焼き払い。
「い、今だ! 行くぞ皆!」
 人質が解放されたと見たエルフの戦士達も反攻を開始。二人の攻勢に慌てふためくゴブリン達を、数の利を覆したことで次々と仕留めてゆき。
 程無く、その領域のゴブリン達は全滅へと至ったのである。

「大丈夫?」
 盾に括りつけられたままの少女達を、シャーリーが一人一人解放してゆく。
(うぅん、やっぱり消耗が酷いね……)
 解放された少女達だが、その表情は憔悴しきり、最早立ち上がる気力も無いと言わんばかりにへたり込み。ここに至るまでの辱めの過酷さを窺わせる。
 と、そこに差しだされた椀。中には湯気立つ琥珀色の液体。スープだ。
「辛かったよな。これでも飲むといい。少しでも力になるはずだ」
 差し出すのはウィーリィ。励ますようなその笑みを見た少女は、椀を手に取り、ゆっくりと口をつけて啜る。
「………」
 口中に広がる滋味、伴う温かみが全身へと染み込んでいくようで。真白き頬が、徐々に血色を取り戻してゆく。
「……美味しい」
 漏れ出た呟きは、弱々しくも確かな意思。ウィーリィもまた安心したように笑む。疲れた人々の心身を癒す、料理という魔法。彼が料理人の道を志した理由。あの日のスープには未だ至れずとも、そこに近づけてはいるのかもしれない。
 そうしてウィーリィが他の少女達へスープを配っていく間、シャーリーもまた少女達に声をかける。
「大丈夫、キミ達の森を焼いた奴らはボクらがきっちりお仕置きしてあげるからね!」
 そうすれば、もうこんな目に遭わなくて済む、と。森の平和を取り戻すべく戦う意志を示してみせて。
 やがて少女達が立ち上がれる程に回復すれば。彼女達を戦士達へと託し、二人は走り出す。倒すべき敵と、救うべき人々を探して。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

備傘・剱
ふーむ、数の暴力って奴か
生き残るのには有効な手段だ
ただ、それでどうにかかる相手なら、な

青龍撃、発動、さぁ、鎮火と蹂躙、両方同時に始めようか
誘導弾、衝撃波、呪殺弾、ブレス攻撃をゴブリン共に、高速移動しつつ、炎に向かって水弾を、そして、移動経路にいる敵は、爪で引き裂いで鎮火の肥やしにでもしてやろう

世の中、弱肉強食、知恵のある奴、強い奴が生き残るのは、当然の権利って奴だが、それは、ゴブリンにも当てはまる
蹂躙をする奴は、その逆、される覚悟もしておくものさ
と言うわけで、覚悟OK?

パニックになってるだろうから、避難誘導はバディロイドのパンドラゴラに任せて、敵の蹂躙を優先する

アドリブ、絡み、好きにしてくれ



「ギャハハハハ! モエロ! モエロ!」
 松明を掲げたゴブリン達が、下劣な笑い声を上げながら森の木々へ火を放ってゆく。火はじわじわと燃え広がり、やがて一帯を包む炎となって辺りを焼き尽くすのだろう。
(ふーむ)
 その様子を、木陰から見据える黒い影。備傘・剱(絶路・f01759)である。見た限り、敵の数はかなり多い。ここ以外にも複数の群れが襲いかかっているのを考えると、その総数は相当な数だろう。まさに数の暴力である。個体としてはそう強力な種とは言えないゴブリンである、群れる事も生き残る為には有効な手段と言える。
(ま、それでどうにかなる相手なら、だがな)
 無論、己はどうにかされるつもりなど全く無い。心中にて呟き、行動を開始する。
「――天よ、祝え」
 詠唱。劔の周囲に無数の水滴が生まれる。大気中の水分が凝縮されて生じたものだ。
「青龍、ここに降臨せり」
 それらが彼の身体随所に集まり、凝結し。龍の爪や牙を模した武装が形成される。
「踊り奏でよ――爪牙、嵐の如く!」
 そして駆け出す。その速度、音より早きと紛う程。森へ火を放ち回るゴブリンの、その間近まで一瞬で迫り。
「アギャァァッ!?」
 爪から放つ衝撃波が、最前のゴブリンの一団を引き裂く。直撃を免れたものも、そこに籠められた呪詛により瞬く間に肉体が腐れ落ちてゆく。
「ナ、ナンダオマ――」
 敵襲に反応したゴブリン達も、誰何の声を掌から放った冷気の奔流に飲まれ。瞬く間に氷像と化して砕け散る。
(この群れはこれで終いだ。さて)
 対処すべきはゴブリンだけではない。奴らが放った炎は激しく燃え盛り、放置すればすぐにでもこの一帯を火の海にしてしまいそうな勢いだ。
(だが、そうはいかさねぇ)
 この事態にも対処する為の、このユーベルコードだ。牙を差し向ければ、そこから無数の水弾が撃ち出され。着弾と共に、高圧圧縮されていた水が一気に周囲へ広がり、以て炎を鎮めてゆく。
 一通り消火が果たされれば、視線は遠間で燃える炎へ。疾走、道中をうろついていたゴブリン達をその爪で引き裂きながら、その先で火を放つ集団へと強襲を仕掛ける。
「この世は弱肉強食。より強い奴、より賢しい奴が生き残るのは当然の権利ってヤツだが」
 突然の襲撃に慌てふためくゴブリンを次々と仕留めながら劔は語る。このゴブリン達は恐らく、己が強者の側であると信じて疑っていなかっただろう。事実、猟兵達が現れるまではそうだったのだから。
「これだけ弱者を前に好き勝手蹂躙してたんだ、自分達がそうされる覚悟は、できてるんだろうな?」
 無論、覚悟が有ろうが無かろうが、為すことは変わらない。衝撃波と氷嵐、水弾が乱れ撃たれ、ゴブリン達を薙ぎ倒し、辺りで燃え盛っていた炎が消し飛んでゆく。
 時間にして何秒間であったろうか。瞬く間にゴブリンも、炎も全てが消え果てる。だが視線を巡らせれば、まだ炎燃える領域は幾つも見え、それを齎すゴブリン達の動きもまた。
 ならば、その全てを制圧するだけだ。劔は再び駆け出す。更なる蹂躙と鎮火の為に。

成功 🔵​🔵​🔴​

比良坂・紗那恵
ゴブリン退治…これくらいなら、新米勇者でもできるでしょうか
勇者として黄泉返ったのですから、これくらいはやれるようになりませんと
勇者の剣(見た目は点滴スタンド)を手に、エルフたちを庇うように立ちはだかりましょう
「そこまでです、これ以上はやらせません」

…包帯まみれの姿で、血の気のない肌色で、どう見ても私が大丈夫かという感じかもしれませんが
「生きてますから、大丈夫です。皆さんは消火と避難を」
…ところでデッドマンって生きてるのでしょうか?(哲学)

私のこの姿で油断してくれれば幸い
エルフさん達が逃げる時間は稼ぎます
【ブレイブソード】光の力で薙ぎ払いましょう
この勇者の剣、長物なので、薙刀みたいに使いますね


レテイシャ・マグナカルタ
アドリブ歓迎

子供達をいたぶろうとする集団を発見
やめろ!と飛び出す
最悪の事態は防げたが距離があるのでそのまま子供に刃物突き付け人質に首輪を投げつけてくる
今は言う通りにするしかないと睨みつけながら首輪を自ら嵌めると、奴らは大喜びでオレを鎖で引き倒し馬乗りになり胸に無遠慮ウニ手を伸ばして…そこで事前に助けていたエルフの戦士の鋭い矢が子供を人質にていた奴をヘッドショット!
その隙をついて馬乗りになった奴を起き上がる勢いで殴り飛ばし、首輪に繋がった鎖を使ってハンマーよろしく子供の傍にいる離れた奴らを薙ぎ払うぜ!囮作戦大成功だ
子供達を抱き寄せもう大丈夫だ、と安心させる
エルフの戦士に後を託して次へ向かうぜ!



「ギギィ、ミツケタゾ、ガキドモ」
「うぅ……っ!」
 火勢の拡大は収まりつつあるものの、未だ多くのゴブリンが跳梁跋扈するエルフの森。その一角にて、ゴブリンの群れに追い詰められたエルフの少年少女数名の姿があった。
 どうやら、なんらかの理由で村を離れていたところを此度の事態に巻き込まれたらしい。
「オス、コロス。メス、オカス」
 端的に己らの行動理念を口にしつつ、子供達へ迫るゴブリン達。最前の少年へと、剣を振りかぶろうとし――
「やめろ!!」
 そこへ響く制止の声。声音からすると女性か。反応したゴブリンが辺りを見回すと。
「子供達に手を出すなんざ、このオレが許しはしねぇ!」
 木々の間を抜けて駆け迫る、眩い金髪と豊かに育ち実った肢体が目を惹く女性の姿。レテイシャ・マグナカルタ(孤児院の長女・f25195)、森の中を駆け回りながらエルフ達を助けて回っていた猟兵だ。
 アポカリプスヘルの孤児院で育ち、幼い弟妹を守る為に戦う奪還者でもある彼女。その家族を思わせる子供達の危機に、思わず声を上げたが――それが彼女の失策であった。
「グギャギャ! コイツラ、タスケタイカ!」
「ソレナラ、コレ、ツケテミロ!」
 彼我の距離は、レテイシャの間合いからあまりに遠く。ゴブリン達にとってみれば、対応の暇など幾らでもあったのだ。
「な……っ!?」
 ゴブリンの一匹が、レテイシャの足元へ投げて寄越したのは、鎖付きの首輪。鎖の先はゴブリンの手の中。そして子供達には、別のゴブリンが剣を突き付けている。子供達に手出しされたくなければこれを着けろ、ということか。
「ぐっ……!」
 屈辱、なれど子供達を助ける為なら致し方なし。首輪を拾い、自らその細い首へと嵌めれば。鎖持つゴブリンが、それを力任せに手繰り始めた!
「がっ!? こ、こいつら……!」
 地に引き倒され、引きずられ。苦悶の声を上げつつも、それ以上の反抗は許されない。そのままゴブリン達の元まで引きずられると、鎖を持ったゴブリンが、そのまま彼女の引き締まった腹へと馬乗ってきた。
「ギヒャヒャ! オマエ、チチデケェナ!」
「ミルク、タップリデソウダナ!」
 などと周囲の仲間達と下卑た会話を交わしながら、眼下の巨きな肉峰へ舐め回すような視線を突き刺してくる。
「う……ぐ……!」
 この状況からされる行為など決まっている。悔しげに歯噛みするレテイシャだが、制止の声さえ迂闊に上げられない。僅かでも反抗の意を示せば、奴らの兇刃が子供達を害することは間違いない。このまま、為す術なくゴブリン達の蹂躙を受け入れるしかないのか――
 そしていよいよ、ゴブリンの手がその巨肉果へと伸ばされだした、その時であった。

「それ以上は、やらせませんっ!」
「グギャァ!?」
 響き渡る、少女と思しき声。続いて上がる、ゴブリンの悲鳴。エルフの子供達の驚くような声が後に続く。
「ナ、ナンダ!?」
 ゴブリン達の視線と意識が、一斉に声の源へと向く。そこに在ったのは、頭を叩き割られ骸の海へ還りつつある、子供達に刃突き付けていたゴブリンと――全身に包帯を巻いた、紫肌の少女の姿。
「――そこまでです。勇者として、エルフの皆さん達に、手出しはさせません」
 何処か辿々しい声音で、しかし確りと。己の意志を示してみせるその少女は比良坂・紗那恵(黄泉返り勇者・f32521)、ひとたび死して後、勇者として黄泉返った生ける死者の少女であり、此度が初任務となる猟兵である。
(ゴブリン退治ぐらいなら、新米勇者でもできる――と思ってましたが)
 初めての戦いに相応の任務、と思って参加したものの、状況は想像以上に厳しかった。だが。
(勇者として黄泉返ったのですから、これくらいはやれるようになりませんと)
 それでも、己の為すべき戦いに変わりは無いと。改めてその胸中、決意を固めて。
「――皆さん、大丈夫ですか」
 首を振り向け、背後の子供達へと呼びかける紗那恵。だが子供達から返ってくる反応は。
「……あ、ありがとう。でも……あなたこそ、大丈夫……?」
 困惑、そして心配。何しろ一度死んでいる紗那恵である、肌の色は明らかに血流滞った紫色、纏うは血の滲む包帯。どう見ても、重傷を押して戦っている風に見えてしまうが。
「生きてますから、大丈夫です」
 平然と返す紗那恵。デッドマンで悪霊というその身の上、生きていると定義して良いものかどうか、は議論の余地があろうが。
「グギィ! タノシミ、ジャマシヤガッテ!」
「オマエモ、コロス! ……コロス!」
 ゴブリン達もその辺困惑した様子ながら、己らの行為を阻止された怒りで押し切り。紗那恵に対しても殺意を滾らせ襲いかかろうとする。
「へへっ、助かったぜ! おらぁっ!」
「アギャァ!? ギッ、テ、テメ……グゲェ!?」
 そこを反攻の好機と見たレテイシャ。全身のバネを以て起き上がると、己に馬乗っていたゴブリンを逆に押し倒し。その首へ、己の首輪と繋がっていた鎖を巻きつけて。
「ここまでの礼だ! 受け取りやがれ! おぉぉぉぉらぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 そして鎖を振り回せば。繋がったゴブリンの身体もまた思いきり振り回され、別のゴブリンへとぶつけられ、双方にダメージを与えながら吹き飛ばしてゆく。
 有り余る魔力を、無意識のうちに身体強化に用いているレテイシャ。その膂力は、ゴブリンどころか小型のドラゴンでも軽々と振り回しかねない領域にある。そんな力で振り回されれば、ゴブリンでは最早一堪りもない。
 更に。
「こんな姿ですが。わたしだって、やれるんですよ」
 紗那恵が、その手の点滴用スタンドを掲げる。見た目はそんなだが実質は勇者の剣。ユーベルコードを籠めると、そこから眩い光が迸りだす。
「子供達に手を出す、悪いゴブリンは……まとめて、薙ぎ払います!」
 そして一閃。薙刀の要領で振るわれた点滴用スタンドから溢れた光が、ゴブリン達を薙ぎ払い纏めて打ち倒す。
「ヒィィ! ダ、ダメダ!」
「ニゲロ、ニゲ……ギャァッ!」
 最早形勢は完全に不利、逃げだそうとしたゴブリン達を、遠間から降り注いだ矢が射抜く。
 それはエルフの戦士達。レテイシャがここに来る過程で助け、協力を要請していた者達だ。彼らの参戦もあり、ゴブリン達は退路を完全に断たれ、そのまま全滅へと至る。

「よし、もう大丈夫だ。ゴブリン共はオレ達がやっつけたからな!」
「みんな無事のようで、なによりです」
 子供達を安心させようとばかり、抱き締めてみせるレテイシャと、子供達の様子を確かめ頷く紗那恵。
 彼らを戦士達に託して、再び二人は駆け出してゆく。この森に蔓延るゴブリン達、その脅威に晒されるエルフ達を救うために。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ゴブリンキング』

POW   :    ゴブリン親衛隊の召喚
戦闘用の、自身と同じ強さの【杖を持ち、炎の魔法を放つ、ゴブリンメイジ】と【剣、盾、鎧で武装した、ゴブリンナイト】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    王の激励
【王による、配下を鼓舞する言葉】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ   :    ゴブリン戦奴の召喚
レベル×5体の、小型の戦闘用【奴隷ゴブリン】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアルル・アークライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達の活躍により、エルフの森を襲うゴブリンの数は着実に減ってゆく。森へ放たれた火の延焼も、粗方食い止められたと見える。
 そんな中、ゴブリンの統率者と思しき存在が確認されたとの知らせが、エルフの戦士達から届く。急ぎ其方へ向かう猟兵達。

 その一団は、今まさにエルフの村を――この森に幾つかある集落の中で最大のそれを、襲撃しようとしているところであった。
「グヌウ……エルフどものテイコウがやけにツヨいとオモえば。イェーガーどももいたか」
 迫り来る猟兵達を見据え、統率者たるゴブリンキングは忌々しげに呟く。だが、その表情は醜悪なる笑み。
「だが、ワレをネラってくるならツゴウがいい。ワレらのチカラをミせつけ、タタきツブしてくれようぞ」
 杖を掲げる。周囲のゴブリン達が高揚したかのように叫ぶ。猟兵達を蹴散らし、略奪を成し遂げようとばかりに。
 かの王を撃破すれば、残るゴブリンは烏合の衆。殲滅し、エルフの森へ平穏を取り戻すべし。

※ゴブリンキングの周囲には様々なゴブリンがいます。
※彼らはキングの命令に応え、森への放火やエルフへの攻撃を行う場合もあります。これらへの対処にはプレイングボーナスがつきます。
馬県・義透
【外邨家】
引き続き『疾き者』

親玉ですねー。樹上から降りまして。
蛍嘉、作戦『花』です。

早業で樹とエルフを守る結界術を展開しましてー。燃えませんし、害を与える機会もないですよ。
私はキングに向かっていまして。そして、【四天境地・風】発動。
対象はゴブリンとそのキングですよ。鬼蓮に埋もれなさいなー。

足元、藤で埋まりつつありますねー。綺麗でしょう?
一撃で消し飛ぶやつは気にせずに。
キングー私ー蛍嘉の位置取りになるようにしましてー。
…本命は私ではありません。蛍嘉。
上に跳躍して、蛍嘉の一撃避けましょう。

私たちは双子なんですから。わかるに決まっているでしょう?

※こちらのステシの誕生日=故郷壊滅日=命日


外邨・蛍嘉
【外邨家】

本当に目敏いんだから、こういう集団。
義透が降りてきたってことは…わかった、作戦『花』だね。

義透の鬼蓮、やっぱり綺麗だね。
さて、UC使用の藤流しを、わざと地面へ投擲して藤花で覆う面積を広げよう。
これで私の能力上がるし…もう一つ目的があるよ。

狙いの位置取りになったら…。
そう、本命は私さ。藤色蛇の目傘を刀に変形させて、一撃をお見舞いしよう!
合図なし一撃なんだよね、これ。
そう、私たち、双子なんだよね。14まで修行一緒だったんだ。

ふふ、この藤花、燃えないようになってるから。枯れ葉とかも隠れてるしね、放火は無駄だよ。
樹は義透が守ってるしね。

※こちらのステシ誕生日が双子の誕生日です。



「おマエタチ!」
 猟兵達と対峙するゴブリンキングが、徐に呼ばわる。周囲に控える配下ゴブリン達へ。
「こやつらのアイテはワレがする! おマエタチはモリをヤけ! エルフどもをサラってコい!」
 下した命令は本来の目的。最大の障害たる猟兵を自らが引き付け、以て手薄となった隙を突かんとする企みだ。
(目聡い上に知恵も回る……質の悪い集団だね……)
 キングと対峙する外邨・蛍嘉(雪待天泉・f29452)は眉根を寄せる。だが己は動かない。ゴブリンとは強力なオブリビオンであるキングを前に動けない、とも言えるが、それ以上に。
「ギャヒッ!? ナンダ!?」
 王の命令を果たさんと駆け出したゴブリン達が、見えない何かにぶつかり跳ね返される。透明な壁めいた何かが、彼らと森の木々を隔てていた。それが何かと言えば。
「森にもエルフにも、手出しはさせませんよー」
 樹上から降る声。次いで降り立つ姿は、着流し姿の壮年男性。馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)、先までと同じ『疾き者』の姿。此処に至るまで隠形に徹していた彼、密かに結界を展開しキング達ゴブリンの一団を隔離していたのである。
「義透、今出てきたってコトは……」
 隠形を止めた、ということは。確認じみて蛍嘉が問えば。
「ええ、作戦『花』です」
 それは二人の間であるからこそ理解し得る符牒。蛍嘉もまた、意を得たりと首肯する。
「ナニをタクラんでいるかシらないが!」
 対するゴブリンキングも黙ってはおらぬ。杖を掲げれば応え現れ出るはゴブリンの戦奴達。奴隷同然の身分ではあるが、王への忠心は絶対だ。
「コロせ! ヤツらをコロせぇ!」
 号令が発されるが早いか、奴らは我先にと言わんばかりの勢いで義透と蛍嘉とを目掛け殺到する。
「来ましたねー。それでは我々も――」
 応える声音は暢気だが、行動は素早く。無造作に振った腕から飛び出るのは、何の変哲もない棒手裏剣。戦奴達の頭上を飛び越えて、キングを目指し真っ直ぐに――そう見えたが。
「フン、そんなモノで――ナニっ!?」
 漆黒の棒刃が、緑色の煌めきを発したと。キングの目に見えたその瞬間。緑色に鮮やかな紫の光が混じったかと思えば、諸共に弾け。無数の花弁と化して、渦巻き散り踊りだす。
「これが狙いですよー、鬼蓮に埋もれなさいなー」
 舞い散る花は鬼蓮。鮮紫色の花弁が吹雪じみて空間を埋め尽くし、ゴブリン達へと襲いかかる。
「アギャァァア!?」
「ヒ、ヒギィィ!」
 次々と上がるゴブリン達の悲鳴。戦奴達の耐久力は皆無に等しく、鬼蓮の花弁が突き刺さればただちに倒れ、消え去って。
「ク、クソォ! モエロ、モエロォ!」
 元からいたゴブリン達は、森へ放火する為に持っていた松明を振るい鬼蓮を焼き落とすが、全ては到底落とせず身を斬り刻まれる。消滅には及ばずともその傷は深い。何より。
「チ、チクショウ! ナンダコノハナ!?」
 吹き荒れる花は燃えるが、地面を埋める薄紫色の花は燃えない。ゴブリンに違いは分からないが、その花は鬼蓮ではない。
「それはそうだ。この藤花は燃えないし、踏まれたって潰れやしないよ」
 義透の鬼蓮も綺麗だけどね、と微笑み応える蛍嘉。彼女の手には、藤色に煌めく棒手裏剣。放たれたこれらは地に突き立ち、ユーベルコードの作用で以て辺りを藤花で埋め尽くしていく。地の草や落ち葉も覆い、これらへ火を放つも許さない。
「グ、グヌヌヌ……!」
 戦奴達を一掃され、呻くゴブリンキング。今ぞ好機と、駆け出す義透。
「すっかり藤で埋まりましたねー、綺麗でしょう?」
 にこやかな笑みを崩さぬままにかけた言葉は挑発じみて。王たるゴブリンの顔に青筋が浮かぶ。
「おのれ! だがショウメンからツっコんでくるなどとは!」
 正面きっての肉弾戦なら己に分がある。杖を振りかぶり、己の懐に飛び込まんとする義透を打ち据えんと、彼の駆け込むに合わせるが如く振り下ろし――
「……残念ですが、本命は私ではありません」
 その一刹那前。義透の細められた目が見開かれるのと、冷徹な声が発されるのと同時に。その足が、疾走ではなく跳躍の為に地を蹴った。
 宙に浮く義透の身体が、その身の丈より高くまで跳び上がった、その直後。彼の下を潜り駆け込むは蛍嘉。その手には、藤色に刀身煌めく刀。先程まで蛇の目傘だったもの。
「ナ……ニ……!?」
 義透を目掛け振るった杖が空を切り、その動作で硬直したままのゴブリンキング。間合いへ踏み込んでも尚、反撃は叶わぬ。その隙へと斬り込む刃。逆斬り上げの一閃が、緑色の肉体を捉え――斬り裂いた!
「グアアアアア!?」
 迸る血液、呻きよろめくゴブリンキング。まさかこのタイミングで攻撃を受けるとは、と。その表情は驚愕に満ちて。
「私達、双子ですから。分かるに決まっているでしょう?」
 駆け出すタイミングと、その速度。何処で義透が跳躍するか、そして何処でその下を抜ける加速を開始するか。少しでもタイミングがずれれば成立し得ぬ緻密な連携。成り立つは必然とばかりに義透が応える。
「そう。十四まで一緒に修行した双子。呼吸くらいは把握しているよ」
 残心しつつ更に応える蛍嘉。そんな双子の完璧な連携は、ゴブリンの王風情に見切れるものではなかったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
この方が王ですかぁ。
それでは、対処させていただきますぅ。

『FBS』を四肢に嵌め飛行、森の上に配置した上で【崇卓】を発動し『濃霧』『無数の石筍』『大雨』を指定して[範囲攻撃]を仕掛けましょう。
ゴブリン達は飛行能力は無い為、『濃霧』で視界を塞ぎ『石筍』で自由に動けなくしてしまえば、私は当然、エルフさん達もまず狙えませんから、その上で当たりそうになった物のみ『FMS』のバリアで防ぎますぅ。
放火は『大雨』で消しますねぇ。

そして『石筍』による『地面からの攻撃』と『FRS』『FSS』による上空からの[砲撃]で叩きましょう。
『濃霧』は私の支配下ですから、此方の邪魔にはなりませんので。


備傘・剱
こうなる事も予見して作戦を練るのがトップの務めだと思うぞ
次は、その点を注意して作戦建ててみな
まぁ、生き残れたら、だがな

さぁ、デビルダイスロール、発動!
お前ら、全員でエルフ達を守れ
俺は、目の前の大将を叩く

ダッシュで接敵しつつ、グラップルで格闘戦に持ち込むフリをして、ワイヤーワークスのロープで体を縛り、結界術と念動力で動きを封じたら、鎧砕きと鎧無視攻撃を二回攻撃で叩き込んでくれる
ついでに、零距離射撃で、誘導弾、衝撃波、呪殺弾も、インパクトの瞬間に叩きつけてやる

襲う覚悟をしたのなら、ここで逆に始末される覚悟もするもんだ
お前にも、背負うものがあるんだろうが、こっちにもあるんでね

アドリブ、好きにしてくれ


アテナ・カナメ
【心情】いかにもな悪役なゴブリンの王ね!好きにはさせないんだから!

【作戦】たくさんのゴブリンはヒートショットで攻撃していくわ!敵が森に火を放とうとしたら【火炎耐性】を持つ私が身を挺して守るわ!私は火を操るもの…こんな火、なんてことないわ!そして今度はゴブリンキングを狙ってそのままバーニングパンチよ!!エルフ達の怒り、思い知りなさい!!(絡み・アドリブ・ピンチ描写自由でOK)



「ウググ、イェーガーどもめ……だが、フりキったぞ」
 苛立つように呻くゴブリンキング。だが先の猟兵達の追撃を逃れた今こそ好機。
「おマエタチ! モリにヒをハナてい!」
 追随してきたゴブリン達へ命を下せば、応えた彼らは一斉に松明を手近な木へ投げつけ――
「てぇぇぇいっ!!」
 そして、そこへ飛び出してきた人影に全てが命中する。松明の炎が引火し、燃え上がる人影。
「エルフ達の住まう森を焼く、そんなコト、させはしないんだから……!」
 なれどその炎も平気とばかり、炎を纏い立ちはだかるはアテナ・カナメ(アテナマスク・f14759)。己の炎に対する耐性を恃みに、身体を張って放火を阻止してみせたのだ。
「やせガマンを! おマエタチ!」
 ならばとキングが発した次の命令。その身を炎に包まれたアテナの脇を抜けて、エルフ達を拉致しに向かわんとして――
「ギャギィ!?」
 突如正面に生えた石柱じみた構造物――石筍と呼ばれるそれに似たものに行く手を阻まれ、更に濃霧で視界を奪われ立ち往生するゴブリン達。
「イチャァァァァ!!」
「ミギャァァァァ!? ナ、ナンダコイツラ!?」
 そこへ襲い掛かるは奇妙な姿の妖怪の群れ。反撃を試みるゴブリン達だが、その攻撃は悉く空を切り、為す術なく打ち倒される。
「あ……これは……?」
 更に降りだした雨が、アテナの身を焼く炎を鎮火してゆく。一体誰が、と戸惑う彼女の前に、その答えが現れた。
「自分の身体で放火を食い止めるか。随分と気合入ってるじゃないか」
 ゴブリンを襲っているものと同じ妖怪を頭上に乗せた備傘・剱(絶路・f01759)がアテナの行動をそう評し。
「でも、熱いのには違いないでしょうし……消火、させて貰いましたぁ」
 続いて現れた夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が気遣わしげにアテナを見遣る。その身の炎が消えた、と認めれば雨が止む。
「あ、ありがとう……! これなら後は……!」
 二人の猟兵達の救援。アテナは礼を告げると共に、改めてゴブリンキングを見据えて。
「おう、エルフ達の守りはこいつらに任せておいて問題ないだろうよ」
「突破も難しい状態にしておきましたぁ」
 劔が頭上の妖怪『いちたりない』を示す。この個体は彼の傍に常駐しているが、残りはユーベルコードの産物。エルフ達を守るよう命じ、戦場の外縁部へ待機させている。
 そこへるこるがユーベルコードを用い、石筍と濃霧による突破困難な地形を形成。以て、ゴブリンの戦場外への進出を阻止した形だ。
「グヌヌヌ、やるではないかイェーガーども……!」
 略奪を阻止され呻くゴブリンキング、だがその表情はすぐに邪悪な笑みへと変じて。
「だが、それでカったとオモうな!」
 杖を掲げれば、何処からか姿現すのは鎧を纏い剣と盾で武装したゴブリン騎士と、杖を携えたゴブリン魔術師。更に残る一般ゴブリン達も集い来れば。
「ワレらゴブリン、ジンルイどもにカられるだけのエモノではない! ワレらはウバうモノ!」
 声高らかに謳う宣言は、激励となってゴブリン達の士気を高める。口々に歓声を上げるゴブリン達。
「ヤツらをコロし、オカし、ウバいツくせ! ゆけぇい!!」
 掲げた杖を振り下ろすと共に、ゴブリン達は雪崩じみた勢いで以て猟兵達へと襲い掛かってゆく。
「何の! 私の早撃ちを突破できると思わないでね!」
「私も、対処させていただきますよぉ」
 だがアテナもるこるも、大軍への備えは十全である。上空に展開された浮遊砲台群、るこるの武装であるこれらが一斉に砲撃を開始。降り注ぐ炸裂弾が地で爆発しゴブリン達を吹き飛ばし。
 爆風を乗り越えたゴブリンへも、アテナが次々と撃ち出す火炎弾が命中。今度はゴブリン達が炎に包まれる番であった。
「ギアァァァァ……ソ、ソンナ……」
「襲う覚悟をしたのなら、ここで逆に始末される覚悟もするもんだ」
 断末魔の呻きを漏らすゴブリンに言い捨て、劔は斃れるゴブリンを飛び越え駆ける。目の前には身構えるゴブリン騎士の姿。
「キングにはチカづけさせん!」
 盾を構え、いつでも動けるように腰を落としたその姿は、突破を許さんとする意志の現れか。
「大した忠義だ。いいだろう、いざ尋常に――」
 にやりと笑みを浮かべる劔、真正面からゴブリン騎士へと突撃、格闘戦を挑む――
「――勝負すると思ったか!」
 と見せかけて放ったのは、鋼鉄のハンマーを先端に備えたワイヤー。ゴブリン騎士の身へと絡まりその動きを封じたと思えば、突撃の勢いのままに跳躍、騎士を飛び越えてしまう。
「ギギッ!? ち、チカづくな! モえろ、モえろぉぉぉぉ!!」
 そこへ降り注ぐは魔術師の魔術によって放たれた炎の雨。火山弾じみたその炎の弾幕に劔の足が止まりかけるが。
「援護しますよぉ。大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その祭壇の理をここに――」
 るこるが祈りを捧げると共に、再び雨が降りだし、更には濃密な霧が発生し。劔の姿を隠す。
「な!? ど、ドコにイったァァ!!」
 劔の居場所を見失ったゴブリン魔術師は手あたり次第に火炎魔術を放つ。それらは森の木々にも命中し引火しかかるが、降り注ぐ雨が治療効果を齎す。
「ぐ、お、おマエら……! ナニをしている……!?」
 己への接近を許しつつある部下に苛立たしげな声を上げるキング。騎士と魔術師は共に己と互角の高い力を持つが、彼らを従えている間はキング自身は攻撃に出られぬが故だ。
「こうなる事も予見して作戦を練るのがトップの務めだと思うぞ」
 そうこうしているうちに、霧を抜けて劔がキングへ肉薄する。たじろぐキングの背中に、石の柱じみた物体が当たる。るこるが生み出した石筍が、彼の退路を塞いでいた。
「ま、こいつを受けて生き残れたら……だがな!」
 そしてその胸へ、劔の拳が叩き込まれる。衝撃波と呪詛の弾丸を同時に撃ち込んだ一撃がキングの身を大きく揺るがせ。王が傷を受けたことにより、騎士と魔術師がその姿を消す。
「グファ……!? グ、お、オノレ……!?」
「まだだよ! これも受け取ってもらうよ!」
 更に、劔を飛び越えるような形でアテナがキングの前へと躍り出る。その右の拳に、熱く燃える炎を滾らせながら。
「エルフ達の怒り! その身で、思い知りなさい!!」
 そして振り下ろした拳は、狙い違わず強かに、キングの頬を捉え。背後の石筍が砕ける程の勢いで、彼の身を吹き飛ばしてみせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
お前は尻尾を巻いて逃げておくべきだった
一日くらい生き延びたかもしれんぞ

戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

絢爛を起動
起点は目の前の空気
因果と破壊の原理にて戦域の空間を支配
破壊の原理を無限量の斬撃に変換
因果の原理にて目標をオブリビオンと召喚物、及びそれらの行動のみに限定
打倒まで戦域全てを隙間なく斬り続ける

消え失せるまで斬り続ければ良い
万象一切に終わりを告げる破壊の原理に例外はない
残らず斬り捨てればいずれ終わろう
規模と物量で圧殺する

※アドリブ歓迎



「グ……ヌ、まだ、まだだ……! ワレはマけてはいない……!」
 軽くない負傷を追いつつも立ち上がるゴブリンキング。だがその直後。
「……キサマ!? い、イツのマにソコに!?」
 一瞬、視線を地面に落とし、再び顔を上げるその間に、黒と銀の男が其処に立っていたからだ。
「――お前は尻尾を巻いて逃げておくべきだった」
 一日くらいは長生きできたかも知れんぞ、と。その男、アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は淡々と告げる。
「ナ、めるなぁぁぁ!!」
 吼えるキング、応えるようにゴブリン達が飛び出してアルトリウスへ襲い掛かるが、それを阻むは彼の纏う十と一の原理。あらゆる害意、攻撃の術を、阻み、逸らし。被弾という結果へ至る理の悉くを捻じ伏せる。傍目に見えるゴブリン達は、アルトリウスへ駆け迫らんとしてその場で一歩も進まぬ疾走を只管に続けていると見えようか。
 そうして敵の攻勢を封殺したアルトリウス。視線を巡らせれば、己ではなくエルフへ向かわんと戦場を離れゆくゴブリン達の姿も見える。だが当然、逃がすつもりはない。
「煌めけ」
 短い宣言、だがその間に彼が為した行程はその一言に収まりきらぬ程のもの。
 眼前の空気を起点に、半径100m内の空間を完全掌握。適応する原理は因果と破壊。
 破壊の原理は、掌握した空間内を斬り裂き続ける無限の斬撃へ。因果の原理は、其の破壊の及ぶ範囲をオブリビオンに連なるものへ絞り込む。
 それを、全てのオブリビオンの完全消滅まで繰り返す。世界の外より汲み上げられる際限なき魔力が其を可能とする。

 そして現れる結果は。
「グギャァァァァァァ!!?」
 全身を絶え間なく斬り刻まれ続けるゴブリンの王。既に配下はその全員が細切れとなって消滅した。彼はその力ゆえに耐えているが、それだけだ。
 その斬撃は、彼が斃れるその時まで絶え間なく、果てしなく繰り返される。万象一切に終わりを告げる破壊の原理に例外は無い。
 最早語る言葉も無く、アルトリウスはただ淡々と、無限に続く斬撃に敵が斬り刻まれ続ける様を見届けんとしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

比良坂・紗那恵
【恋華荘】
敵ボスの元へ駆けていく最中
見知った顔…入院中の親友の奏莉ちゃんを見かけ
また会えた事が嬉しくて笑顔で手を振って近付いていきます
って、わたし死んだけど生きてますから、化けて出た…のかもしれませんが、生きてますからー(ずべしゃっと転びつつ
はい、勇者になって黄泉返ったんです

2人で戦えばもう何も怖くない
エルフさん、奏莉ちゃんと一緒に弓で援護を
わたしは矢(と注射器)の雨の中をキングに近付いて、必殺の一撃を

勇者の剣(点滴スタンド)を突き刺すと同時に腕に力を集め、爆破!
【デッドマンズ・スパーク】です!

え、腕がない?
だ、大丈夫ですよ、奏莉ちゃん
痛みもないですし、新しい腕くっつければいいだけなのでっ(汗


菫宮・奏莉
【恋華荘】

あ、あれは……紗那ちゃん?

ででででででましたのです、でちゃいましたのです!
猟兵さんになると『見え』ちゃったりまでするのでしょうか!?

こ、こんなときはなんでしたっけ、
なむなんとかかんとかあーめん、なのです。
迷わずごーとぅへぶんなのですよー!

儀式のように膝をついて、祈りますね。
なんだか床に額をがんがんしているかもですけど、
今は気にしないのです。

……え?生きてる?
紗那ちゃんも勇者さんになられたのですか?

それならいっしょに悪者をやっつけましょうです!
わたしは【乱れ注射器】で攻撃しますね。
入院中におもちゃで磨いた弓矢の腕をみせつけちゃうのですよ!

って、紗那ちゃん?
うでうでうで!?かたっぽー!?



「あ……あれは……紗那ちゃん……!?」
 ゴブリンの統率者発見の報を受け、現場へ駆けてゆくその途上。菫宮・奏莉(血まみれ勇者・f32133)は、信じられないものを見た。
 それはかつて入院していた病院でできた親友、だが己が勇者として目覚める直前に亡くなったはずの少女。身体の色こそ変わっているが、その顔は間違いなく――!

「……あれは、奏莉ちゃん?」
 一方、同じようにゴブリンのボスのもとへと向かっていた比良坂・紗那恵(黄泉返り勇者・f32521)もまた、入院中にできた親友の姿を見つけた。
 今生の別れと思っていた親友――紗那恵が一度死んでいる以上、普通はその通りだ――よもや、遠くアックス&ウィザーズの地で再会できるとは。嬉しくて思わず笑顔になる。
「奏莉ちゃんっ、奏莉ちゃーんっ♪」
 そして手を振りながら彼女のもとへと駆けてゆく。だが、その奏莉はというと。

(でででででででましたのです、でちゃいましたのですー!?)
 間違いなく死んだはずの親友が、まるで生きているかのように笑顔で手を振り近づいてくる。
 何等かの理由で死にきれず化けて出たのだろうか。猟兵ともなると『見え』てしまったりまでするのだろうか。実際紗那恵は悪霊なので、完全に間違いとも言い切れないのがややこしい話である。
(こ、こんなときはなんでしたっけ、ええと、ええと)
 完全にパニック状態の奏莉、とりあえず地面に跪いて、両手を組んで。
「なむなんとかかんとかあーめんかーめん、迷わずごーとぅへぶんなのですよー!?」
 宗派不明の祈りと共に、何度も何度も礼を繰り返す。その都度地面に頭を打ち付ける程の勢いで。
「……って、わたし生きてますからー!? 死ん……だけど生きてますからー!?」
 そんな奏莉の様子に、今の自分の状態をどう思われているのか悟った紗那恵。何とか説得しようとするも、化けて出たと言われれば間違いとは言い切れないのがややこしく。
「あうっ」
 そして転んだ。

「……え? 生きてる?」
「はい、勇者になって黄泉返ったんです」
 その後なんやかんやあって落ち着いた両者。漸く紗那恵が生き返ったことを知れば。
「……紗那ちゃんが勇者仲間……! とっても心強いです……!」
 目を輝かせ、嬉しそうな笑顔となる奏莉。よもや親友が己と同じく勇者になろうとは。驚きも喜びも一入というものである。
「はい、二人で戦えばもう何も怖くないです」
 紗那恵もまた笑みを浮かべて頷く。微妙にフラグめいた発言だが、二人であるが故に大丈夫であろう。

 そして二人は改めてゴブリンキングと対峙する。
「コムスメどものブンザイで、ワレらにカてるとオモっているのか!」
 少なからず傷を負いつつも傲慢に言ってのけるゴブリンキング、杖を掲げれば配下ゴブリン達が意気高く雄叫びを上げる。
「もちろんです! わたし達の前に敵はいないのですよー!」
 対抗するかのように声を上げる奏莉、合流したエルフの戦士達も応えて喊声を上げる。神秘的な事柄に造詣の深いエルフ達、この少女達が見た目によらぬ力の持ち主であると直感的に理解しているのだ。
「――行きます」
 静かに、しかし力強く紗那恵が告げて駆け出せば。エルフ達は一斉に弓を構え、紗那恵へ迫るゴブリン達へ次々と矢を降らせ始める。
「このお注射、ゴブリンさん達にはきっと毒だと思います!」
 奏莉もまた、スリングショットにユーベルコードで生み出した注射器を番えれば、次々と撃ち出してゆく。入院中におもちゃの弓矢で鍛えた射撃の腕は、的確に紗那恵の死角に潜り込まんとするゴブリンを撃ち抜き、仕留めてゆく。
「――捉えましたよ」
「ヌゥッ! コシャクな……!」
 降り注ぐ矢と注射器の中を駆ける紗那恵、やがてゴブリンキングへと接近を果たす。
 打ち払うような杖の一撃を潜り抜け、構えるは点滴スタンド――の形をした勇者の剣。攻撃の隙を突いて繰り出されたスタンドの先端が、キングの腹へと突き刺さる。
「グゥ…ッ! ぐ、だがこのテイド……」
「……では終わりませんよ」
 そう、この一撃で終わりではない。更なる追撃、そしてそれこそが本命。紗那恵のスタンドを保持する右腕に力が籠る。迸る電流が溢れ出し、右腕が元の数倍にまで膨れ上がって――
「――爆発っ!!」
 そして右腕が盛大に爆裂すると共に、蓄積された膨大な電流がキングを貫き、打ち据えて。
「グワァァァァァァ!?」
 全身を焼け焦げさせながら吹っ飛んでゆくゴブリンキング。間違いなく有効打であろう。得意げに笑む紗那恵。
「……え、さ、紗那ちゃん……」
 だが、そこに聞こえてきたのは奏莉の声。怖がっているのか、驚いているのか、或いはその両方か。
「う、うでうでうでー!? かたっぽー!?」
 続けての言葉に「あ」と気付いた紗那恵。今のユーベルコードの代償で吹き飛んでしまった右腕は、最早跡形もない状態であった。
「だ、大丈夫ですよ奏莉ちゃん……痛みもないですし、新しい腕くっつければいいだけなのでっ」
 再びパニック状態に陥った奏莉を落ち着かせるのに、紗那恵は大変苦慮したとか、そうでもなかったとか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
うん、あのキングは今までのゴブリンとはまるで違うね
間違いなく強く、頭もいい
下手を打ったら確実に詰む
だからエルフのみんなには前に出ずに木陰に隠れてチャンスが来るまで待っててもらい、ボクは【制圧射撃】+【援護射撃】で親衛隊と戦うウィーリィくんを支援しながら周囲を駆け回って【ロープワーク】+【罠使い】で周りにワイヤートラップを仕掛けておく
取り巻きのゴブリンが動き出したらトラップを作動させて捕縛し、その混乱に乗じてウィーリィくんにUCで一気に攻撃してもらう
ボクもそれに合わせて【エクストリームミッション】発動!
猛スピードで飛び回りながら直接キングを狙って【クイックドロウ】+【乱れ撃ち】!


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
他人の尻馬に乗っかってるだけの奴が随分と偉そうに語るじゃないか。
だったら俺はエルフのみんなに希望を与える為にお前を叩き潰すまでだぜ!

と挑発しゴブリンの注意をこっちに集める事でシャーリーが動きやすいようにする。
ナイトの攻撃を鉄鍋の【盾受け】で受け流しながら【カウンター】の【シールドバッシュ】で突き飛ばし、メイジの炎を【火炎耐性】で凌ぎながら【衝撃波】で杖を狙って【武器落とし】で魔法を妨害する。
そうやって応戦しながら【フェイント】で苦戦を演出し、配下のゴブリンもこっちに集め、頃合いを見て【飢龍炎牙】でキング諸共一気に薙ぎ払い、キングを丸裸にする事でシャーリーの攻撃のチャンスを作る。



「ええいイェーガーども、イマイマしい……! だが、まだワレはタオれておらんぞ!」
 幾つもの傷を負いつつも尚立ち上がるゴブリンキング。杖を掲げて、残る配下ゴブリン達を鼓舞してみせる。
「はっ、他人の尻馬に乗っかってるだけの奴が随分と偉そうに語るじゃないか」
 元はと言えば、この作戦は亡き猟書家の立案。そこを指摘するはウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)。
「だったら俺は! エルフのみんなに希望を与える為に、お前を叩き潰すまでだ!」
 得物たる大包丁を突きつけ、堂々宣言してみせる。
「フン、ズイブンとオオグチをタタくではないか! ならば!」
 対するキング、杖を振るえば応えて現れるは鎧姿のゴブリン騎士と、ローブを纏ったゴブリン魔術師。
「ワがシンエイタイよ! このコゾウをテッテイテキにイタブりツくしてやれ!」
 そして命を下せば、騎士が剣と盾とを構えてウィーリィへと駆け出し、魔術師は魔術の詠唱を開始する。
「行くぜ!!」
 無論、それで怯むウィーリィではない。駆け出し、ナイトを目掛けて大包丁を振り下ろす――!

「――やっぱりあのキング、他のゴブリンとはまるで違うね」
 主戦場たる広場から、やや距離を置いた木立ちの合間。親衛隊と渡り合うウィーリィ、彼の様子を薄笑みと共に眺めるキングを遠目に見据える猟兵が一人。シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)だ。
「間違いなく強いし、頭もいい。下手を打ったら確実に詰む」
 そんなシャーリーの分析に、不安げな表情を見せるエルフの戦士。それに気付けばシャーリーは。
「うん、だからこっちも策を練るんだ。皆、チャンスが来るまでここで待ってて!」
 笑顔と共に告げる言葉は決然と。それを残して駆け出してゆく。

「フンッ!」
 ウィーリィを目掛け振り下ろされるはナイトの剣。ウィーリィは鉄鍋を掲げ、その丸みを以て斬撃を受け流す。そしてそのまま踏み込んで、鉄鍋ごと体当たりをかける。
 呻くと共によろめくナイト。追撃を試みるウィーリィだが、その身を不意に炎の渦が包む。ゴブリンメイジの放った火炎魔法だ。
「こんなもの!」
 だがウィーリィは炎に対しては高い耐性を持つ。身を捻り大包丁を大振りとすれば、生じる衝撃波が炎の渦を吹き飛ばし、そのままメイジへと襲い掛かる。呻くと共に杖を取り落とすメイジ。
 然しそこへ今度はナイトが再度斬り込んでくる。大振りの一撃、炎の渦で狭まった視界。生じた隙は決して小さくはない。だが。
「チッ!」
 ナイトとウィーリィの間を走り抜ける火線。攻撃の中断を余儀なくされるナイト、その間に体勢を立て直すウィーリィ。
「フハハ、どうした! さっきまでのイセイがカンじられんぞ!」
 親衛隊の戦いぶりを一歩退いて見守りながら、ゴブリンキングは嘲るようにウィーリィへ言ってみせる。先程の意趣返しか。
「くっ……!」
 悔し気に歯噛みするウィーリィ。事実、ここまで親衛隊の連携の前に好機を悉く潰されているのだ。時折放たれる熱線――シャーリーの援護を受けているからこそ、ここまで渡り合えてきた。
「いいカオだ。このままゼツボウとトモにシぬがいいだろう……おマエタチ!」
 そんな彼の表情に満足げに頷くと、キングは配下ゴブリン達に呼びかける。
「このコゾウを、カコんでナブりゴロしにしてやれい!」
 その命令に、喜び勇んで駆け出してゆくゴブリン達――だが、そこにこそウィーリィの、二人の勝機は存在したのだ。
「アギャギャギャギャ……ギャヒィッ!?」
 駆け出した最前のゴブリンが、突如何かに躓いて転ぶ。後続のゴブリン達も次々それに躓いて転び、更にその頭上からは何やら細かい網が降ってきた。
「よーっし、うまくいったね! ウィーリィくん!」
 それはシャーリーの仕掛けたワイヤートラップ。配下ゴブリン達の動きだしに合わせて仕掛け、彼らの行動を制約する為のもの。そして同時に。
「いいぞシャーリー! 次は俺の番だな……!」
 快哉を上げると共に、ウィーリィは大包丁を大きく振りかぶる。その刀身から、紅い炎が噴き出し纏われる。
「喰らい尽くせ、炎の顎!!」
 そして大包丁を振り抜けば、放たれた炎は炎の龍の如き形を取って戦場を荒れ狂い。動けぬ配下ゴブリン達を纏めて焼き払い、更に。
「グッ……!? お、オノレ! シンエイタイが……!」
 猛烈なる炎は、戦況を見守るに徹していたゴブリンキングにも傷を負わせる。それは即ち、王体に傷がついた事実によって親衛隊が撤退してしまう事を意味していた。
「ナイスだよウィーリィくん! よーし、ボクも一気にいくよっ!」
 駆け出すシャーリーの隣に、自動運転されたサメ型宇宙バイクが走り込んでくる。それは分解変形を開始すると共に彼女の身へと纏われていき。
「行くよ、史上最大の凶暴すぎる竜巻!」
 パワードスーツとなったバイクを纏ったシャーリーはそのまま飛翔、音速を遥かに超える速度で以てキングの頭上を飛び回る。
「ヌ、グ、チッ……! ちょこまかと……!」
 降り注ぐ熱線の雨に身を焼かれながら、頭上を見上げることを余儀なくされ苛立ちの声を漏らすゴブリンキング。視界が上向けば、下への注意が疎かとなるのは当然の帰結であり。
「その隙、もらった!!」
「ナ……ぐわァァァァァ!?」
 気付けばウィーリィが懐まで飛び込んできて。振り上げた大包丁での斬撃が、キングの胸を大きく斬り裂いてみせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

泡夢・雪那
まずはキングの周囲のゴブリンを排除しようと考え
森への放火やエルフへの攻撃に向かうゴブリンは優先的に対処する。

周囲にUC『夢現』の雲を漂わせながら「魅惑のオーラ」を曝け出す
それでゴブリン共を惹きつけて、雲の内へと誘う――

そこはお前達が望む本当の未来
犯し尽くし、喰らい尽くし、奪い尽くすといい
邪魔する者は誰も存在しないのだから。

もし現実に戻ってくるゴブリンがいれば
夢と現のギャップに戸惑っている隙に「殺意」で冷静に処理する。

なおキングからの横槍に対する牽制や、仲間の援護など
必要時に備えて「バニーガール」には呪殺弾を込めておく。


レテイシャ・マグナカルタ
ゴブリンが放つ炎が木々を燃やす前に割って入ってUC発動し妨害
斬りつける剣も不埒を企む腕も全て防ぐぜ

オレの手が届く限りは何も奪わせねぇ!今だぜ!

エルフの戦士達の正確無比な矢が、オレのガードで攻めあぐねるゴブリン共を射抜き殺す
キングまでの道が拓いたら突撃、魔力で強化した腕力で取り押さえ、可能なら他にモリスとを得たゴブリンやらが居ないか尋問
答えの如何に関わらず最後は魔力を込めた全力パンチでぶっ飛ばす!

辿り着く場所が多くのゴブリンを屠った勝利の凱旋か、返り討ちで虜囚となり悲惨な末路となるかはまだグリモアにも見通せない別の物語



「グ……ウウ……!」
 胸に大きく開いた傷を抑え、呻くゴブリンキング。その傷の深さは見た目にも明らかで、間違いなく瀕死の状態であろうことが伺える。
 なれど彼は未だ倒れぬ。そして周囲に猟兵達の姿もない。ならば為すべきは一つだ。残る配下ゴブリン達へと、再び命令を発する。
「イェーガーどもはモハヤおらぬ……! イマこそ、エルフどもからスベてをウバいツくすトキ!」
 杖を掲げて声を張る。燃やせ、犯せ、奪え、殺せと。
 喜び勇んでゴブリン達が走りだす。松明を次々と投げ、深緑の木立ちを火の海と変える。
 エルフの戦士達が抵抗を試みるが最早無為。ゴブリンの大軍は瞬く間に彼らを飲み込み、斬り刻み、打ち据え、襤褸布の如き死体へと変えてゆく。
 ゴブリン達はそのままエルフの村へと突入。家々へと飛び込み、無力なエルフ達へ襲い掛かる。
 男は即座に無数の剣や棍棒で叩き殺され、女はあらゆる欲望を浴びせられ犯し殺される。
 逃げ出そうとするエルフもいるが、大軍からなるゴブリン達からはそれすら叶わず。全てが捕まり、彼らの残忍なる遊戯へ供される。
 燃え盛るエルフの森とその村の中、ゴブリン達の哄笑と、エルフ達の嘆きと断末魔が木霊する――

「――おマエたち……ナニを、している……?」
 ゴブリンの王は、困惑していた。駆け出していった配下ゴブリン達が、何もない森の只中で立ち止まり、楽しげに喚きだしたからだ。それも、その場に居もしないエルフ達を、あたかも蹂躙しているかのように。
 彼らを包むのは、霧めいて漂う桃色の雲。自然に発生したものでないことは明らかだ。では誰が?
「――彼らは、お前の命令を忠実に遂行し、己の欲望を満たしている」
 そこに答えを告げる声。振り向けば、パンツスーツに身を包んだ怜悧な女の姿。泡夢・雪那(夢魔皇姫・f32415)だ。
「尤も、それは全て夢の中のこと。私が見せた甘美なる夢の世界の出来事でしかない」
 ゴブリン達を包む雲は、彼女のユーベルコードによる産物。触れたる者を夢の中へ引きずり込み、己の願望を満たす甘美な夢に閉じ込める。夢魔としての面も有する彼女の、本領発揮とも言える業であった。
「そして、現実になんかあったとしても、オレの手が届く限りは何も奪えねぇ」
 その隣には今一人。青の翼と尾を有する竜人の娘。レテイシャ・マグナカルタ(孤児院の長女・f25195)が、その身を輝かせつつ立っていた。今の彼女は、戦場を丸ごと覆う巨大な多重魔力障壁を展開している状態。夢に囚われたゴブリン達が松明を放り出し、結果として現実の森に火を放つ事態を引き起こしかけた際も、彼女のその壁が阻止してみせた。
「もう火を持つゴブリンはいねぇ。なら、後は残らず片づけるだけだ!」
 障壁を解除しつつ叫べば、直後に降り出す矢の雨。エルフの戦士達の一斉射撃だ。
 夢に囚われたままのゴブリン達は、夢心地のままに射抜かれ斃れ、致命を免れ痛みで現実に戻ってきたゴブリン達も、突然の状況の変化に戸惑い動けず。
「禍根を育てる趣味は無い。此処で残らず処理する」
 その隙を突いた雪那の手刀が、片っ端からゴブリン達の命を刈り取り。瞬く間にその数を減らしてゆく。
「グウウウ! お、オノレェェェェェ!! おマエら、よくもぉぉぉぉ!」
 瞬く間に壊滅してゆく配下を前に、キングは激し。自らの杖から火炎魔術を行使、森もろとも猟兵達を焼き払わんと火炎弾を放つが。
「言ったはずだぜ……」
 だが其に対してレテイシャは真っ直ぐ駆け出す。常人ならば一撃で灰燼と化さしめる猛烈な炎を前に、拳を振りかぶれば。
「オレの手の届く限りは、何も! 奪わせねぇってな!!」
 裂帛の叫びと共に、振り下ろしたその拳が――火炎弾を、真っ向から殴り砕いた!
「な、ば、バカなぁぁぁぁ!? ……がぁっ!?」
 驚愕に思わず固まるゴブリンキング、そしてその隙に撃ち込まれた一撃が、王の力を瞬く間に奪ってゆく。
「無論、お前も逃がしはしない」
 雪那の撃ち込んだ呪殺弾により活力を奪われ。ゴブリンの王は膝をつき。そのまま、駆け迫ったレテイシャの手で地に組み伏せられる。
「ぐぅ……っ!?」
「お前には、まだ聞いておきたいことがあるんでな。答えてもらうぜ」
 彼女が問うのは、他にエルフの森を襲わんとしているものの存在。かつてエルフの森を焼かんとする計画を進めていた猟書家、彼女が遺した、標的候補の森の情報。それを得た者が他に居ないかと。
「ガ……ッ、シらん……。ホカのヤツらのコトなど、ワレのシったコトでは……」
 なれど、彼は己の配下でない者のことに注意など払っていないようで。その答えに、偽りは無いと見えた。
「そうか、それなら遠慮は要らねぇな」
 頷いたレテイシャ、引きずり上げたゴブリンキングの身を徐に放り上げる。膨大な魔力が齎す怪力は、これ程の芸当も容易くこなす。そして。
「――骸の海まで、ぶっ飛んでいけぇぇ!!」
 思いきり振りかぶった拳、そこから繰り出す全力の一撃が、ゴブリンキングの身を砲弾じみて吹き飛ばし、その先の大木へと叩き付けて。以て、言葉通りに彼のその存在を骸の海へと還していった。

 王を失ったゴブリン達は混乱し、てんでバラバラに逃げ惑い始める。
 統率を失った彼らは最早烏合の衆、エルフの戦士達を苦しめた連携も策略も最早無く、逆に彼らの連携の前に次々と討ち取られてゆく。
 猟兵達もまた、彼らと共にゴブリン達の掃討に当たってゆく。

「――これで最後ですか。状況終了ですね」
 手刀の一撃でゴブリンの首を刎ね、その身が骸の海へと還っていったのを確かめて、雪那は周囲を見渡す。ゴブリンの姿は見えず、互いを労いあうエルフ達や猟兵達の姿が見えるのみ。
「……おや、彼女は――まあ、この状況なら恐らく大丈夫でしょう」
 ふと、先程まで共にいたレテイシャの姿が見えなくなっていることに気付く。確か最後に見たのは、己を取り囲む複数のゴブリン達を相手取っていたところであったか。
 なれど彼女も十分な力を持つ猟兵。あの状況を切り抜け、エルフの村へ向かったか一足先にグリモアベースへ戻ったのだろう。そう判じる雪那であった。

 こうして、エルフの森を襲ったゴブリン達は全滅し、森とそこに住まうエルフ達は守られた。
 猟兵達の救援にエルフ達は深い感謝の意を示し、今後この森にある聖なる木の力が必要となったならいつでも協力するとの約束を結んだ。
 それが果たして、如何なる意味を持つかは、今はまだ分からないが――きっと、心強い力となることであろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年03月13日


挿絵イラスト