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羅針盤戦争〜とびだせ水着コンテス島

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #夕狩こあら #メリー・バーミリオン #水着コンテス島

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「緋色のメリーが再びコンテス島に現れた」
 まさかの三度目だ、と言を添えるは枢囹院・帷(麗し白薔薇・f00445)。
 漸う集まる猟兵との間に喫驚を置いた彼女は、改めて説明して、
「コンキスタドールの賞金稼ぎ『メリー・バーミリオン』は、お宝目当てに大海を巡り、儲け事から愉快な事まで、首を突っ込んでは暴れ散らすじゃじゃ馬だ」
 自身の帆船を持ち、大人数の船員を抱えながら大海を往く女海賊。
 これまで秘境に隠された財宝などを狙って大航海していたメリーは、羅針盤戦争でグリードオーシャンが慌しくなった今、賞金稼ぎとして動き出した。
「そろそろ君達の懸賞金も、凄まじい額になってきているものな」
 猟兵は現在もコンキスタドールによって賞金を懸け続けられている。
 広い海、数多の島で目覚ましい戦功を上げる猟兵を危険視したコンキスタドール達は、猟兵が活躍する度に賞金を吊り上げているが、それはメリーにとって喜ばしい事。
 彼女は猟兵狩りをする事で、この戦争中に大金を手に入れようとしており、猟兵全員の賞金を日々把握しているというのだから、その執着の程は本物だろう。
 ここで帷は緋色の瞳を鋭く輝かせ、
「メリーは数日前、コンテス島で君達と対峙し、あえなく敗北した訳だが、どういう訳か再びこの島を襲おうとしている」
 標的はまたも水着コンテス島――。
 改めて説明すると、其はキマイラフューチャーから落ちてきたと思われる島の一つで、どんな物でもゴージャスに登場させる“東西南北中央キラキラ☆せり上がり装置”で盛り上がるリゾートアイランドだ。
 前回の敗戦の記憶は骸の海に浄われて失われていようが、愉快な事が好きな彼女ゆえ、この島の賑々しさに惹かれて再来するのかもしれない。
 とにかく、島の住民を巻き込んでは危険なので、実際に戦うのはメリーの海賊船。
 猟兵は島に迫り来るガレオン船に乗り込んで戦う事になるだろう。
「船上戦は向こうが有利だろうが、何、君達だってきっと巧く立ち回れる」
 彼女が率いる船員も戦闘員となり争う訳だが、有利な筈のメリー陣営にも弱点がある。
 メリーは猟兵全員の賞金を把握しており、賞金首を見ると欲を隠せず隙ができるので、この好機に乗じてやっつけてしまおう。
 かくして説明を終えた帷は、繊麗の指をぱちんと鳴らし、
「君達もこの一月で随分と強くなったように思う。賞金額に示される通りの強さを見せつけてやってくれ」
 と、精鋭を光に包むのだった。


夕狩こあら
 オープニングをご覧下さりありがとうございます。
 はじめまして、または、こんにちは。
 夕狩(ユーカリ)こあらと申します。

 このシナリオは、『羅針盤戦争』における賞金稼ぎ「メリー・バーミリオン」の襲撃に対抗して戦う、一章のみで完結するボス戦シナリオ(難易度:普通)です。
 前回、前々回とご参加頂けなかった方用にご用意させて頂きました。

●戦場の情報
 キマイラフューチャーから落ちて来たと思われる島、「水着コンテス島」。
 目の前に美しい海が広がる白い砂浜に会場が設営されており、猟兵は“どんな物でもゴージャスに登場させる全方向照明せり上がり装置”から登場します。
 メリーが目を奪われた隙に海賊船に乗り込み、手下諸共やっつけましょう!

●敵の情報:メリー・バーミリオン
 数多の海を駆け抜けて、迫る危険に魅惑のお宝。
 そいつは全て私んモンだ、文句があるならかかって来な!
 儲け事から愉快な事まで、首を突っ込み暴れて散らす。
 誰が呼んだか“緋色のメリー”、その目はお宝を見逃さない!

●プレイングボーナス『賞金首になっている』
 このシナリオフレームには、特別な「プレイングボーナス」があります。
 これに基づく行動をすると、戦闘が有利になります。
 ご自身が賞金首になっているかどうかは、賞金首一覧にてctrl+F(command+F)で名前を検索できます。

●リプレイ描写について
 フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や呼び方をお書き下さい。
 団体様は【グループ名】を冒頭に記載願います。シナリオ全体の参加者様の人数により一括のリプレイとなり、個別での描写が叶わない場合がございます。
 また、このシナリオに導入の文章はございません。

●プレイングと採用について
 早期完結を目指し、10名程度の採用とさせて頂きます。
 舞台はキマイラフューチャー同様にキマイラ等の島民が居ますが、プレイング冒頭に「🌴」を記して頂けましたら、避難が完了して観客となった万全の状態で描写致します。文字数の節約にご活用下さい。
 水着はイェーガーカードを指定するか、新作をプレイングでお書き下さい。

 以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
 皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
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第1章 ボス戦 『メリー・バーミリオン』

POW   :    野郎共、仕事の時間だ!
レベル×1体の【海賊船団員】を召喚する。[海賊船団員]は【したっぱ】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    お宝発見アイ〜伝説の海賊を添えて〜
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【大海賊の霊】が出現してそれを180秒封じる。
WIZ   :    大逆転! 元の木阿弥大津波
自身の【サーベル】から、戦場の仲間が受けた【屈辱の数】に比例した威力と攻撃範囲の【津波】を放つ。

イラスト:和狸56

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は十六夜・巴です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

片桐・公明
【POW】
水着を着て対応する(青のビキニ+普段のパーカーを肩から羽織っている)

海上での行動はバイク『赤兎』+海戦対応拡張パック『江東の虎』使用して移動する
敵船からの攻撃は普通に回避する
勢いに任せて誘導弾の斉射と共に敵船側部に突撃することで乗り込む

以降向かってくる敵群はUCを使って迎撃する
戦場は敵船なので特に周辺の被害には配慮せずに戦う
敵船が傾き始めたらバイクに乗り込んで脱出する

「あら?私の事知っているのかしら。悪くない気分ね。」
「この程度で相対しようなんて、片腹痛いわね。」
(絡み、アドリブ歓迎です。懸賞金や序列をアピールしていただけると幸いです。)


アナスタシア・ムスハルト
🌴
まぁ、一攫千金はロマンがあるわよねぇ
その執着とタフさは大したものだわぁ

水着に着替えて登場
会場の盛り上がりに応えて、ポーズの希望があればノリノリで応じるわぁ
こんな感じ? どうかしらぁ?

「クライミング」でガレオン船に乗り込むわぁ
海賊が襲ってきたら、水着をチラッと捲り……かけて、気が逸れた瞬間にズバッと斬っちゃう(誘惑・不意討ち・騙し討ち)

「致死断絶剣」の弱点?
そうねぇ、確かに一撃目を当てないと効果がないわぁ
でも……それを実証できるかしらぁ?
一太刀ごとに切れ味を増していく
霊だの召喚だの津波だの、雑事にかまけて肝心の剣技がおざなりよぉ?
サーベルを刀で受けて逸らして、津波はしたっぱに放たれる


シャオ・フィルナート
日焼けは嫌なんだけど…痛いし…

※黒地に濃紺で薔薇が描かれた海パンと黒い長袖ラッシュガード

俺安いけど
それでも欲しい?

★氷麗ノ剣を手に【蒼魔】発動
一歩踏み出すたび海面を凍結、【水上歩行】
船へと乗り込み

水も氷も
全てが俺の支配下だ

攻撃は敵の体勢や手足の動きから軌道を【見切り】回避
切り傷程度なら【激痛耐性】で無視
血は凍らせて止血すればいいし
敵のUCは水の気配を感じた瞬間
手が切れるのも厭わずサーベルごと掴み
津波の放出前に凍結

戦争、興味無いけど
そろそろ非常食が尽きそうでね
その血…くれる?

淡々と囁いて
次の瞬間に【暗殺】の如き【早業】で
剣を振るい全方位に氷の【属性攻撃】の【範囲攻撃】

やっぱいいや…まずそうだし


メイスン・ドットハック
【SPD】🌴
まー、水着コンテストでアピールすればいいんじゃのー
ならド派手な方法あるぞー

2020水着JCで参戦
本人も2万G近いが、義妹が5万G以上の賞金首でメリーも姉捕まえて妹釣ろうぜになるはず
UC「迷宮主の領域に踏み込みし権能」発動で、水着メイスン劣化コピーが並ぶ圧巻の光景
それを見せつけて全員の電脳魔術ミサイルで一斉砲撃でメリー船を攻撃

UCを封じられても、予めAIドクトルに操縦させておいたキャバリアKIYOMORIに裏に回り込ませ、側面待機させておいた揚陸艦ロストリンクのAIアメジストちゃんにも砲撃指示を飛ばす

すでにここに誘い込まれた時点で勝負はきまっておったのー


大町・詩乃
🌴JCの水着姿

ステージが派手で観客も多くて恥ずかしいですが頑張ります。
恥ずかしさ耐性で我慢しつつ、ステージ上にて観客の皆さんに手を振ったり、ステージ上を優雅な仕草で歩いて場を盛り上げます。

その上でUCを発動。
「それでは皆さん、またお会いしましょう♪」と観客に笑顔で挨拶した後、UCによる高速飛行と空中戦能力で一気に海賊船に乗り込みます。

相手の攻撃は第六感&見切りで躱したり、オーラ防御を纏った天耀鏡の盾受けで防ぐ。
団員に対しては、手を嫋やかに振るいつつのUC&衝撃波&なぎ払い&範囲攻撃にてまとめて吹き飛ばします。
メリーさんにはUC&雷の属性攻撃&全力魔法&神罰&高速詠唱&貫通攻撃でお仕置きです。


カイム・クローバー
🌴
俺の首の賞金は安すぎると思わねぇか?こんなイケメン捕まえて、たったこれだけの額。連中、見る目ないぜ。

こっちも海賊水着だ。小脇にUCで作った金銀財宝…いや、プラチナやダイアモンド、オリハルコンにクリスタルまで入れ込んだ豪奢な宝箱を抱えて。わざとらしく箱の蓋は開けておくか。
俺も今日だけ海賊気分でね。だが――俺は気前の良い海賊なのさ。
観客となったキマフュ民に大声で叫ぶぜ。
全員、金銀財宝が欲しいか!?宝を手に入れるロマンを味わってみたいか!?
良いぜ、くれてやる!!全部、持っていきな!
宝の中身を上空に派手にぶちまかして。隙を見せた下っ端やメリーに銃撃を見舞うぜ。
ハッ、どーよ?これが俺の海賊流だぜ。


リダン・ムグルエギ
さぁ、皆、見て!
このルーチェ(f00219)ちゃんの可愛らしさ溢れる水着姿を!
水中の抵抗を極力殺しつつ
自身の愛らしさを活かした兎水着
サイコーよね!
対するメリーさんの水着は…!

アタシも19年水着で決めポーズ
催眠術やコードで『恥を捨てて水着コンにノリノリになれる空気』を作り
水着の解説しつつワイワイ楽しむわ
敵にもひまわりイメージの大胆ビキニをプレゼント!

え、あー
指摘の通り、この技は弱点まみれよ
でも、封じちゃっていいの?
『恥を捨てて楽しもう』っていうこの空気を

今のアナタの水着…
センシティブにギリならないレベルで布面積減らしてるし
部下とか観客も見てるのよ?

メリーさんが恥で爆発しなくても
ルーちゃんは…うん


ルーチェ・アズロ
🌴
リダン(f03694)のUCで羞恥心が0の状態からスタート
20年の可愛さと色気の狭間な水着を着て上機嫌

兎モチーフの女の子らしい可愛さと
形状故の女児らしからぬ露出度で、普段なら顔を真赤にして表に出てこないレベルの水着でも
UCのおかげで自信満々!

ふふーん、どーだ可愛いだろこれ!兎だぞ!

女児の露出は文明レベルが進んだ世界ではチャンネルBANになるかもしれないが自信満々だ
けれどUC無効化はされてしまうのだ

途端に鬼灯のように真っ赤に急騰してしまうのは当然

し……し……

わなわなふるふる。泣きそうな声で震えながら何か呟いて

死ねええええええええ!!!

いつもの大剣を掴んで真っ向からずばー!
大概逆恨みである


ミリィ・ライジング
🌴
いつもはお兄ちゃんと一緒だけど、一人でできる事も頑張らないとね。

水着: 水着イェーガーカード2020

せり上がり装置から登場するけど、やっぱり恥ずかしい……。
【覚悟・勇気】を持って、後は装置の力を借りる。

「お兄ちゃんに負けてられないからね、グレイトフルに行くよ!」
UCを【高速詠唱・降霊】して、自身を強化。
代償は【呪詛耐性・毒耐性・激痛耐性】で耐える。

「そんな事分かってるけど、私の武器はそれだけじゃないよ!」
高く【ジャンプ】して、手裏剣に金の【属性攻撃】を込めて
【貫通攻撃・2回攻撃】で【投擲】!

外した? ガレオン船の素材って「木」だよね?
「金剋木。この船から早く脱出しないと、沈むよ?」


御桜・八重
🌴

お花見会場の様に飾り付けられたせり上がり装置。
グングン上がるその舞台の中央には、
…誰も、いない?

空から舞い降りる桜の花弁。
一片、二片、そして花吹雪となって渦を巻き、
「おっまたせーっ!」
光と共に桜色のフリルビキニでわたし参上!
(指定UCで桜の花弁になっていた)

「さーて、ノッて来たーっ!」
勢いに任せてガレオン船に突入。
海賊たちの攻撃は花弁になって躱し、
一気にメリーに迫る!

わたしに懸けられた賞金なんて微々たるものだけど、
これは今後の将来性なんだ…よ?。
(無い胸を張り)(メリーと見比べ)
「うわーん、将来性なんだよっ!」

メリーの目の前で桜の花弁と化して視界を塞ぎ、
直後、瞬時に実体化し二刀の交差斬り!



 東西南北中央キラキラ✨せり上がり装置――。
 其は舞台中央に刳り抜かれた部分より昇降機によって浮上する物体の全てを、全方位に設置された万彩の照明にて出力全開、全身全力で輝かせる「迫り装置」で、この装置から登場するものなら、仮令(たとえ)安価な食玩プラモでも、使徒の襲来に出撃する究極の人造兵器に見えてしまう、圧倒的な演出効果がある。
 そんな装置から猟兵が登場したら如何だろう。
 憧れのアイドルやヒーローが、もしか救世主か創造主に視えようか。
 数日前に開催されたコンテストも大盛り上がりだったが、熱狂の確変に入った全島民はまたも白砂のビーチに集まり、スマホを手にお祭り騒ぎ。
「わぁい、また猟兵さんが水着で来てくれるよ!」
「わくわく♪ どきどき♪」
 一方、島の近海からは、三たび運命に導かれた賞金稼ぎ『メリー・バーミリオン』が、双眼鏡を手に猟兵達の登場を今か今かと待っている。
『連中はとんだお人好しだよ。こんな小さな島の襲撃も見過ごせないんだからね』
『イエスマム。のこのこやってきた奴等を一網打尽にするであります』
 と、手下達も垂涎に緩む口元を手の甲に拭って。
 迫装置を中心に様々な思いが渦巻く中、遂にドラムロールが鳴り響く。
 クルクルと七彩の光を躍らせていた投光器が、ステージの中央で幾条の燦爛を結ぶと、光影を際立てた奈落から次々と猟兵が現れ、鋭い歓声が晴朗なる天蓋を衝き上げた。

 鳴りも止まぬ喝采の中、爽やかなポニーテールに艶を彈いて現れたのは、一番を預った片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)。
「この島はキマイラフューチャーから落ちて来たとか。陽気な皆さんが待ち望んでいると言うなら、その期待(ノリ)に應えるのが猟兵の役儀かと」
 澄み渡る青が眩しかろう。着慣れたパーカーを羽織る下は、美し髪色を映した様な青いビキニで、胸元に飾られるリボンが雪白の肌膚を際立てている。
 強くて格好良い上に水着もばっちりキメてくる猟兵の姿には、島民も大歓喜して、
「ウェーイ、目も覚めるような青色がとっても良く似合ってるー!」
「ナチュラルテイストのパーカーに美ボディを忍ばせてるのが心憎くてイイネ👍」
 と、見事開幕を飾った公明にサムズアップを揃える。
 一方、海賊船から一際の歓声を聽いたメリーと配下の海賊達はと言うと、
『よしっ、39,300G!! 懸賞金上位ランカーに会えるとはラッキーだね!!』
『イエスマム。戰争を勝ち抜いて脂の乗った處をポイッと捕獲であります』
 と、極上の獲物を前に此方も色めき立った様子。

 二番手を与ったアナスタシア・ムスハルト(小さな大剣豪・f24499)も心得たもので、彼女は会場を更に盛り上げようと、観客のリクエストに快く應えてポーズを取る。
「ちっちゃくてかわEー! 元気いっぱいピョンピョンして見せてー!!」
「いいわよぅ、こんな感じ? どうかしらぁ?」
「んぁぁあああ尊い!! ノリの良さも最高ダヨー!!」
「ふふ、折角だもの、皆で楽しみましょうねぇ」
 華奢な黒紐に結ばれる白のビキニの何と眩しい事か。
 小柄なドワーフにあって猶も矮躯ながら、華やかなアナスタシアの存在感は圧倒的で、月白の髪が搖れる度、金瞳が光を湛えて咲む度、観客が陶然とフラッシュを焚く。
 その瀲灩を海賊船から窺ったメリーと配下の海賊達はと言うと、
『くっくっく、2,700G……逃さないよ! あれも私のモンだ!』
『イエスマム。アナスタシアちゃんの可愛さを、この腕に閉じ込めてやるであります』
 と、下心から手をワキワキとし始めた模様。

「この照明って焼けない? ……痛くないなら、出るけど……」
 己が命に価値は無く、見目も存在も取るに足らぬと、固い表情で舞台に上がったシャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)は、雪膚を震わす凄まじい歓喜の聲に、幾許か瞠目した。
(「……皆あかるいし、まぶしい」)
 目下、紺藍の麗瞳に映る島民は、美少女と見紛うシャオの花顔艶姿に色めき立ち、笑顔いっぱいに褒め揚(そや)す。
「白雪のお肌を守る長袖のラッシュガードが可憐を引き立ててイイネ👍」
「黒地に濃紺の薔薇をあしらったシックなサーフパンツが格好良いヨ!」
 而して皆々が挙って向けるスマホは、彼の存在を一秒も見逃せないとばかり🔴RECボタンを点灯させて。
 無論、見逃せないのはメリーと手下の海賊達も一緒か、
『ンフフ……900GもガッツリGETだからね……この島から出られやしないよ!』
『イエスマム。シャオきゅんを取ッ捕まえて、我等の目の保養にするであります』
 と、彼等は早くもシャオを籠の鳥にすると決めたよう。

「まー、この舞台でアピールすればいいんじゃのー。ならド派手な方法があるぞー」
 メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は、最短最速で最大限の効果を齎す解を導く事に極めて優れた特性を有し、而して採る戰術のどれもが大胆で豪快だ。
 佳人は迷宮の主の證左(あかし)たる宝具『アメジスト』に電脳魔術を流し込むと、【迷宮主の領域に踏み込みし権能】(オーバー・ジェネシス・ダンジョンロード)を行使――アラビアン情緒溢れる「水着メイスン2020」の複製体を101個生成した!
 これにはクレイジー慣れした島民も度肝を抜いて、
「おぉぉおおっ、圧巻の光景!! みんな違うポーズを取ってるヨ!」
「KMF(キマフュ)48もビックリの大人数、舞台が眩しいネ!!」
 と、紫水晶の肢体を煌めかせるメイスンズに大歓喜する。
 一方、尋常ならぬ歓喜を見せたのはメリー海賊團だろう。
『19,200Gが102人で1,958,400G……はぁぁああ目も眩む光景だよ……!!』
『イエスマム。然もメイスンちゃんには50,000G超の懸賞金を掛けられた義妹も居るって話なので、姉チャンを餌に妹チャンを誘い出したら、グフフ、大金持ちであります!』
 これなら一生暮らせるやんけと、メリーも部下達も夢いっぱいだ。

「なんて派手なステージ……観客も凄く、多くて……大賑わいですね」
 仰々しい舞台で水着姿を披露するのは躊躇われるが、島民の無垢な笑顔を護る為なら、大町・詩乃(春風駘蕩・f17458)は精一杯、会場の歓声に應えよう。
 巫女服を模した神々しい白のビキニで登場した彼女は、ステージ上を優雅な仕草で歩きながら、スマホを向ける観客に手を振り返す。
「恥ずかしいですが……頑張ります!」
 少うし恥じらいに染まった頬が何とも愛らしかろう。
 純情味溢れる黒髪の佳人に、島民達は愈々湧き上がって、
「ウェーイ、クロスホルターに飾られた神楽鈴がカワEー!!」
「左右アシンメトリーに結ぶ紅白のおリボンがイイネ👍」
 斯くしてヒュウヒュウと囃し立てる聲を海を隔てて受け取ったメリー海賊團の面子も、詩乃に熱い視線を注いでいる。
『間違いない、8,700G……かわい子ぶっても、あれは多くの海賊を倒した強者だよ!』
『イエスマム。あの淸らかで瑞々しい太腿、強者に間違いないであります』
 ――但し、強者の捉え方に若干の個人差があるようだ。

 続くミリィ・ライジング(煌めく白銀・f05963)も、ド派手な迫装置から登場するのは躊躇われたが、2月に18歳になったのだ、一人で出来る事も増やしていかねばと奮い立つ。
「いつもはお兄ちゃんと一緒だけど、私一人でも頑張らなきゃ!」
 然う、傍らに黄金の耀きが無くても、白銀の煌めきは玲瓏を失わず、白と黒のモノクロームなフリルを飾るチューブワンピースの水着は、彼女の繊躯をよく惹き立てていた。
 隠して楚々と現れたミリィの、艶麗極まる花顔と麗姿には、観客も大いに湧き、
「黒紐のホルターネックが眞白の雪膚を惹き立てていてイイネ👍」
「光をいっぱいに浴びて白金を弾く髪もキレイだヨ!」
 と、沢山の應援に支える。
 この賑いを海賊船から窺っていたメリーと配下の海賊達はと言うと、
『ほほーん、あの1,800Gを捕まえたなら兄の方も芋づる式に呼び込めそうだね!』
『イエスマム。義兄さんを招き、あっしとミリィちゃんの仲を認めて貰うであります』
 おっと、親分と子分の思惑が一緒とは限らないようだ。

「やっぱり猟兵さんは可愛くてカッコイイなぁ!」
「次は誰が登場するのかなぁ!」
 わくわく、どきどきとスマホを向ける島の住民たち。
 目下、東西南北中央キラキラ✨装置は、宛らお花見会場の如く櫻色の燈光を揺らし、スモークを焚いて次の猟兵の登場を期待させるが、グングン迫り上がる舞台の中央には、……あれ? ……誰も、居ない?
 不思議だと皆々が小首を傾げた時だった。
 より注視すれば、瀲灔と光を彈いて上空から舞い降りた櫻の葩弁が、一片、二片……軈て集まって花吹雪となり、颯然と渦を巻いてスモークを払った!
「おっまたせーっ!」
 春風のように淸々しく心地好いソプラノボイス。
 佳聲の主は、御桜・八重(桜巫女・f23090)。
 櫻の花馨を漂わせて顕現れた彼女も、櫻を映したようなフリルビキニが小粋で眩しく、八重が紡いだ幻想【桜吹雪化身ノ舞】に魅了された島民が、喜色いっぱいに喝采した。
「すごいな! 常夏の島に春が来てくれたヨ!」
「サクラのお花型の浮き輪も、とってもイイネ👍」
 湧きに湧いた会場がビッグウェーブを成せば、海賊船からその様子を窺っていたメリーと手下の海賊達も、凝(じ)ッと彼女を注視して、
『ふむふむ、5,700Gともなれば登場も派手になるモンだねー』
『イエスマム。此方の心までフワフワさせるとは恐るべしであります』
 と、不覚えず魅了されそうになるのを精一杯に耐えていた。

 ――扨て、此處は貪欲の海に落ちた島にて、毎日おもしろ可笑しく過ごせばハッピーなキマイラフューチャーの島民達も、海のロマンの何たるかは十分に知っていよう。
 次いで光彩を浴びて現れたカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)の精悍なる海賊姿に目を瞠った島民は、更に彼が足元に敷く燦然にピーピーと指笛を鳴らした。
「見目を海賊風にすると、気分も“らしく”なってくるモンさ」
 東西南北中央より光を集めるカイムを、更に「下から」照らすは金銀財宝!!
 脇にも抱える其は【創作の真理】(クラフト・マスター)――大航海のロマンを模した“偽物”なのだが、プラチナやダイアモンド、オリハルコンにクリスタルまで入れ込んだ豪奢な宝箱は、もう入りきらないと蓋を開けて煌然と輝いている。
 羨望の視線を集めたカイムは、ここで観客に大きな聲で叫び、
「全員、金銀財宝が欲しいか!? お宝を手に入れるロマンを味わってみたいか!?」
「もちろん!!! 味わってみたいです!!!!」
「良いぜ、くれてやる!! 全部、持っていきな!!」
「ひゃぁっほう!! 俺達のお頭は気前が良いZE☆」
 キラキラ✨装置に一際耀く財宝が、ギラギラ、ピカピカと会場を舞う――!!
 これにはメリー海賊團が身を乗り出し、首を伸ばし、腕を差し出して、
『くぅ~ッ、届かない!! なんて奴だい、あんな気前の佳い海賊ったらないよ!!』
『イエスマム。あっしら乗る船を間違えたかなって思い始めたであります』
 親分と子分の絆が揺らぎ始める……これも彼が狙った事かどうかは判然らない。

 ――時に。
 カイムが振り撒いた金銀財宝には手が届かぬものの、汐風に乗ってふうわ~ンと届いた“何か”を摑んだメリーが、首を傾げながら広げる。
 肌触りの佳い其は布かと広げた瞬間、あまりに面積の小さい――だが陽気なヒマワリ柄が可愛らしいビキニに、女海賊及び手下達の目が飛び出た。
『なっなんじゃぁこりゃー!! 大胆にも程があるビキニ!!』
『お頭! 投げたのは、あの美女ですぜ!! !?』
 愕然たる表情で手下が指を差したのは、銀河に染まる悪魔の角を輝かせる凄艶だった。

「ハーイ、皆! 楽しんでる?」
 コツコツと、ヒールならぬ蹄を鳴らして現れたリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)は、初上陸ながらホームに帰ったようにリラックスしている。
 海に潜らせた様な水色のシースルーガウンに、キャミビキニとホットパンツを合わせたセレブスタイルも衆目を集めるが、彼女が推したいのは掌が示す先――。
「さぁ、見て! このルーチェちゃんの可愛らしさ溢れる水着姿を!」
「ふふーん、どーだ!! 可愛いだろこれ!」
 美し大瑠璃の聲を張り、「見ろ」とばかり胸を張る少女。
 彼女は、ルーチェ・アズロ(血錆の絆と呪い・f00219)……に間違いは無いですか?
 編髪を解いた昏闇の髪にキラキラと艶を彈き、ふうわと搖れる前髪から透徹たる藍瞳を覗かせた少女は、櫻のように色付いた花脣の端を愛らしく持ち上げている。
 リダンも少女の横顔をニコニコと愛でながら水着を評して、
「水中の抵抗を極力殺しつつ、自身の愛らしさを活かした水着……サイコーよね!」
「ほらここ、兎だぞ! 耳の形になってるだろ!」
「ええ、まさにウサ着ね!」
 と、力強く相槌を置く彼女こそ、ルーチェに笑顔を与えた張本人。
 芳し香気と漂うは【トレンドコンダクター・GOATia】(ハヤリハヤギノテノナカ)――この場に居る全員に「恥を捨てて水着コンにノリノリになれる空気」を齎せば、普段なら顔を眞ッ赤にして表に出てこないレベルの水着でも、少女は自信満々で着こなそう。
 そして、凡そ女児らしからぬ大胆なカットの水着と蠱惑的すぎる露出は、文明レベルが進んだ世界ではチャンネルBANも有り得るが、宇宙山羊の掌にある裡は、皆がワイワイと楽しんでいる。
「ヒャッハー! 盆と正月と誕生日とクリスマスが一気に来た気分だぜー!」
「ウェーイッ! 真っ白なウサギちゃんがピュア感マシマシで最高だぜー!」
 観客全員がスマホのフラッシュを焚けば、もはや会場全体が光の海の如く。
 而してこの流行は疆界を問わざれば、凶悪すぎる露出度の水着を摑んで駭然としていたメリーもノリノリ、すっかりお祭り気分になって――、
「対するメリーさんの水着、その姿は……!」
『はっはっはー! ルーちゃんには負けないよ!!』
 リダンの煽りに、一縷の恥じらいもなく更衣室から出て来たーッ!!
 これには手下達も、流行の波に乗りに乗りまくって、
『お頭イェーイ!! これぞ水着コンテストだぜー!!』
 と、お祭り気分で囃し立てるのだった。

  †

 そんなノリノリのメリーに水を差したのは、集計結果。
 当企画はコンテストにつき投票があるが、「ルーちゃん39,896票」「メーちゃん53票」(オンライン投票含む)という残酷すぎる票差が、メリーを正気に戻したのだ。
 彼女は「あちゃー」と巨大液晶画面を仰ぐリダンを涙目で睨み、
「ごめんね、票まで操作しなかったの。私のミスと糾彈してくれて構わないわ」
『ちっくしょー!! 今すぐ縄に掛けて5,100Gに換金してやる!!』
「え、あー、いいけど……でも、この空気を無くしちゃっていいの?」
『ハァア!? そりゃどういう意味……――』
 ステージに召喚された伝説の女海賊メアリが、リダンを引ッ摘んだ時だった。
 メリーはセンシティブにギリならないレベルで布面積を減らした水着にふつりと羞恥が沸き起こり、今になって観客や部下の目が恥ずかしくなってくる。
『はぎゃー!!!』
 海上に大絶叫が広がると同時、会場のマイクが拾うは少女の戰慄き。
 リダンが長い睫を向けた先――ルーチェも同様に「恥を棄てて楽しむ空気」を解かれ、急激に熟れた鬼灯、もぎたての柘榴の如く色付いていく。
「し…………し…………」
 わなわな、ふるふる。
 櫻脣を擦り抜ける佳聲は泣きそうに震えながら何か言ったか、含羞に潤む佳瞳はここでギンッと鏖殺の氣を放つと、今のセクシーでキュートな格好には凡そ恰当(そぐ)わぬ『絆と呪縛の錆剣』を握り込めて駆け出し、
「死ねえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええ!!!!!!!」
 巨魁メアリをずばー! っと一刀両断にしたッ!!
 この瞬間、メアリに摘まれていたリダンがべちょ、と舞台に尻モチを付くが、ルーチェはぷくぷくに膨らんだ真っ赤な頬をプイッと背け、リダンにも反抗を示すのだった。

『嘘だ……ッ! 伝説の女海賊メアリが、たった一撃でやられるなんて……!!』
 驚愕の色を浮かべたメリーが、海賊船から身を乗り出して舞台を凝視する。
 獣の咆哮のような轟音が晴朗の空を裂いたのは丁度この時だったか、見ればシューッと噴き上がる白煙から、駻馬の如き鐵騎『赤兎』に跨った公明が飛び出し、アクセル全開、海面に白い飛沫を疾らせながら海賊船に接近する――!!
『!! 美味しい賞金首が来るよッ、砲撃手達は丁重に歓待(もてな)しな!!』
『イエスマム。Dead or Alive……賞金首の生死は問わずであります!!』
 船側面の砲門が全開門して砲撃を浴びせるが、公明は一縷と怯まず。
 白磁の繊指に青いアンダーリムの眼鏡を持ち上げた凄艶は、硝子越しに緋の麗瞳を炯々と燿わせると、海戰対應拡張パック『江東の虎』から誘導彈を射出して相殺ッ!
 軌跡を同じくした砲彈が手を結び合うように海上で爆ぜると、ドォンッ! と水飛沫の噴き上がる中から、キラキラと光を彈いて公明が現れた!!
『……これ、が……39,300Gの実力……ッッ!!』
「へぇ、私の事知っているみたいね。気分は悪くないわ」
 高額の懸賞金は彼女の強さを偽りなく示そう。
 そのまま大量の砲煙と水飛沫を目晦ましに、巨船の側面から甲板へと上がった公明は、敵船にて遠慮する事は無いと、パーカーに風を集めるや跳躍して回し蹴り! 襲い掛かる海賊達を一氣に蹴散らしたッ!!
「短劔に曲刀……この程度で私と相対しようなんて、片腹痛いわね」
 嫋やかに靭やかに閃くは【諸葛流舞闘術】――ッ!
 剛柔の武術に流麗なる舞踊を組合わせた体術は流れるように手下を吹き飛ばし、或いは組み伏せ、敗者と散った者達を次々と海に突き落していくのだった。

 公明が出撃すると同時、詩乃が華奢な麗姿に若草色のオーラを纏う。
 ふうわと浮かんだ佳人が砲撃の轟く方へと視線を結べば、海賊の襲撃に慣れた島民達も心得たもので、
「ちょっと行ってきます!」
「やったぁ、僕等が大好きなヒーロー&ヒロインタイムだね!」
「悪者をやっつけてきます。皆さん、またお会いしましょう♪」
「いってらっしゃーい!!」
 笑顔で挨拶する詩乃を手を振って送り出して数秒後、凄絶な景を見たに違いない。
 貪欲な海にも慥かに在る無辜の命を護りたいと凛然を萌した詩乃は、【神性解放】――9,700km/h、音速の約8倍の速さで海を渡り、瞬きする裡に海賊船に乗り込んだ!!
「わぁー、はやいネー!」
『ッッ、速すぎるぞ!!』
 最も喫驚いたのは海賊達だろう。
 彼等は武器を構えるより先、詩乃が纏う浄化のオーラに触れて消滅し、
『お頭……あっしらキレイに心を浄われて消えまさ……』
『!! ッッ接近を許しちゃいけないよ! 銃で牽制しな!!』
 首領の命令で今度は遠距離から詩乃を撃ち抜かんと鐵鉛が飛び交うが、神鏡『天耀鏡』が盾となって彈道を逸らすと同時、自身も薙刀『煌月』を手に刃鳴一閃ッ、弓張月の如き衝撃波に撃手を吹き飛ばした!
「人々を護る為、世界を護る為……全力でお相手致します!」
 輕やかに嫋やかに甲板を躍る詩乃は、宛ら神楽舞を舞う如く。
 華奢より迸發(ほとばし)る神氣に舌打ちしたメリーは、今度は高き檣楼に位置取った手下達に縄を投げさせ、
『今だよ! 引ッ捕らえな!!』
 巨船を索す縄は佳人を縛せようか――否!
 翡翠の髪状(かんざし)を汐風に梳きつつ、ヒラリと舞って縄を躱した詩乃は、此處で天に呼び掛けるや雷を結び、メリーのサーベルに稲妻を落として悪手を仕置いた。

『くッッ……!!』
 メリーが電撃の痺れに身を屈めた隙、猟兵が続々と勢いに乗じてやって来る。
 華麗な演出でコンテスト会場を沸かせた八重もその一人だ。
 少女は大歓声に送り出す観客に手を振ってステージより飛び出し、
「さーて、ノッて来たーっ! いっくよー!!」
『来たなッ、5,700G!! 賞金はあっしらのモンだぜー!!』
 ぽっくり下駄の底面から櫻のオーラを噴出し、海面を滑るように走り来たと思ったが、大砲の照準を合わせた時には波間に姿影は無く――ふと鼻梁に馨香が掠めたかと思うと、閃々(ヒラヒラ)と舞う櫻の花瓣が甲板に降り立った。
「こっちでした!」
『……ふなっ!?』
 八重は櫻吹雪と化したり実体に戻ったり、如意自在に姿を變えつつ、カトラスを避け、ラッパ銃の筒先を躱し、芳しき櫻馨を連れて海賊達の間を擦り抜けていく。
 己に懸けられた賞金など微々たるものと、まだまだコンキスタドール達をやっつける気満々な彼女は、遂にメリーに肉薄し、
「私には伸びしろが、今後の……将来性が……」
 むんっと胸を張って、見較べる。
 メリーのむっちりとした膨らみと谷間を見た八重は、萎みそうになる佳聲を張って、
「うわーん、将来性なんだよっ!」
『ちょっ……将来性って何さっ!』
 逆恨みか八つ当たりか、或いは嫉妬か。
 少女はまたも櫻片と化してメリーに花吹雪を叩き付けると、敵背に回り込んだ隙に左右の手に握る『陽刀・桜花爛漫』と『闇刀・宵闇血桜』を実体化して交差斬り! メリーの誇りたる海賊のマントを切り刻みつつ斬撃を押し込んだ!!

『きゃぁぁああっ!!』
 前のめりに倒れたメリーが、部下達を下敷きにしてキリキリと怒る。
『野郎共ッ、モタモタしてんじゃないよ! 続々と乗り込まれてるじゃないか!』
 メリーに尻を蹴られ、彈かれたように應戰に出る海賊達も然し猟兵には敵うまい。
 慌てて飛び出した一人が、ちょうど縄梯子を上り来たアナスタシアに気付いてラッパ銃を構えたが、彼女は雪花の如き繊指を水着の紐に掛け、チラッと肌膚を覗かせた。
「あらぁ? 捻れちゃったかしら……?」
 あえかに零れる微笑も蠱惑的だろう、男は愈々釘付けになって、
『あっあっいま見えそう……もうちょっと捲ってくれたらイイ所まで見え……』
「――と見せかけて、えいっ!」
『ギャァァアアア嗚呼ッッ!!』
 眼路を塞ぐように迫ったのは、滑らかな柔肌でなく刀の斬撃ッ!!
 強力無比の力で繰り出た一刃が命中を得るや、須臾の裡に無数の劔筋が男の躯に疾り、卓抜の腕に操られる冱刀が、宛如(まるで)藁人形を斬るように切断していく。
 これにはメリーが、部下が骸と崩れ落ちる瞬間に割り込んで、
『随分と腕が立つようだけど、初撃を命中させなきゃいけないみたいだね!』
「……そうねぇ、確かに一撃目を当てないと効果がないわぁ」
 唯一の欠点を指摘されたアナスタシアは、然し普段通りに暢達(のんびり)と頷く。
 あわく黄金色の玲瓏を零す佳瞳は、然しメリーの弱点も見えていて、
「でも……それを実証できるかしらぁ? 雑事にかまけて肝心の剣技がおざなりよぉ?」
『……こい、つ……ッッ』
 実証してみせろと閃く刀光は、一太刀ごとに鋭利く犀利く切れ味を増していく!!
 實の處、アナスタシアは先刻に喚び召された女海賊メアリとも十二分に渡り合えたし、目下、サーベルに鏗鏘の音を彈くメリーだろうと何だろうと、我が刀で両断するのみ。
 異能の領域にまで高められた劔技と観察眼によって精度と威力を高めた【致死断絶剣】(デッドリーエッジ)は、遂に閃爍を放ってサーベルを打ち落とし、
「一攫千金を夢見て大航海するってロマンがあるわよねぇ」
『ッッ、私のサーベルが……!!』
「その執着とタフさは大したものだわぁ」
 莞爾と零れる塊麗の頬笑。
 穩やかな語調とは眞逆に、劔呑を帯びた鋩がメリーの喉元に突き付けられた――!!

『うぉぉおおおっっ!! お頭を助けろー!!』
『囲め、囲めー!! 猟兵全員お縄にしちまえー!!』
 メリーの危機に手下の海賊達が続々と襲い掛かるが、不圖(ふと)、視界の端に捉えた次なる猟兵の登場に、突貫の勢いは急ブレーキを掛けられる。
『あぁッ……アイツは……ッ!! 金銀財宝をブチ撒けた富豪海賊だ!!』
「――へぇ、目に留まったなら光栄だ」
 香気帯びたハイ・バリトンに皮肉を混ぜるはカイム。
 コックドハットの端に繊指を添えて言った彼は、目下、マストに結ばれたシュラウド(横靜索)に足を掛け、眼下を横切らんとした海賊達を留めたのだが、その英姿は否應にも先刻の光景を過らせよう。
 手下達が小脇に抱えた宝箱を看々(まじまじ)と見詰める中、カイムは首を見せつけるようにトントンと叩いて、
「俺の首に懸けられた賞金、安すぎると思わねぇか? こんなイケメン捕まえて、たった11,400G! コンキスタド-ルの王とやらも、見る目ないぜ」
 海賊達がゴクリと咽喉を鳴らすのが見て瞭然(わか)ろう。
 懸賞金と宝箱に目が眩んだ男達が続々と縄を摑んで索具を登れば、ここにカイムは宝箱の中身をまるっと引っ繰り返し、金銀財宝を宙空に躍らせた!!
『あぁぁあああー!! よっしゃー取り放題だー!』
 瞳をキラキラと輝かせて燦爛に群がる海賊達。
 慥かに其だけの価値はあるだろうと、我が創作物の出来栄えに吃々と竊笑した麗人は、首に添えていた手にいつの間にか『双魔銃 オルトロス』を握ると、鋭く咆哮させた。
「どれ――お前達を海に沈めて、懸賞金増やすとするか」
 極めて優れた破壊力と速射力を併せ持つ双頭の魔犬が、次々と咽喉に嚙み付く――!
 高所の有利を活かして眼下の手下を悉く屠ったカイムは、硝煙を棚引かせる汐風に佳聲を運ばせ、
「ハッ、どーよ? これが俺の海賊流だぜ」
 と、愕然とするメリーに小気味良く艶笑った。

『ッッ……こんな屈辱、初めて受けたよ……!!』
 海賊が船上戰で翻弄されるなんて! 然も己の船で!!
 アナスタシアが突き付けた刀鋩を後退して逃れ、メリーが齒切りする。
 嚇怒を露わにした女海賊は、甲板に突き刺さったサーベルを取るや叫び、
『アンタ達も味わって貰おうか!』
 己と手下が受けた恥辱に報いる可し――と、双刃の鋩を蒼穹に掲げる。
 然れば周囲の海が轟々と渦巻いて波を蹴立て、看々(みるみる)裡に波高を上げると、大いなる津波となってメリーの背にせり上がった!
 海は悪魔と成って猟兵に残酷を叩き付けるか――否。
 この一ケ月で茫漠の海を航海してきた彼等は、如何な波濤(なみ)にも進路を鎖される事は無い。

「俺の懸賞金は大したこと無いけど、それでも欲しい?」
 喫驚でも恐怖でも無く、玻璃の如き無色のテノールを零したのはシャオ。
 我が魔力で形成した『氷麗ノ剣』を手に、海面を急凍結させながら歩いてきた少年は、壁と迫る波濤(なみ)を藍の佳瞳に映すと、その暴悪に靜かに呼び掛けた。
「水も氷も。全てが俺の支配下だ」
 從え、と薔薇色の佳脣は囁(つつや)いたろうか。
 サーベルの鋩が我が眉間を差すや、飛瀑と押し寄せる津波に、【蒼魔】――凍える程の冷気を叩き付けたシャオは、パキ……パキ……と音を立てて海水を凍結させていく!
『ッッ!! そう易々と止められるもんかい!!』
 メリーが劔先に更なる怨嗟を籠めれば、津波は凍りながらも水の壁を押し付けるように迫り、氷片となってシャオを傷付けるが、彼は冷然と創痍を受け取るか、流血が酷ければ傷口を凍らせて止血し、歩調を緩めず近付いてくる。
 荒ぶる波が靜寂へと抑え込まれる中、中性的な佳聲は佳く聽こえよう。
「戰争とか懸賞金とか、興味無いけど。そろそろ非常食が尽きそうでね」
『非常食……?』
 船の縁に集まった手下たちが、貯蓄物資を強奪する海賊かと敵意を露わに抜劔するが、白磁の繊指が取り出した『非常飲料』の、痩せたパックに搖れる色に怖気が疾る。
『おまっ……まさか……それ……!』
「うん。その血……くれる?」
『やっぱりだー!!』
 験を担ぐ嫌いのある海賊は、幽霊とか吸血鬼とかそういうのを最も怖がる。
 相手はあえかに咲く花の如き少年だが、一気に戰意を失った男達は後退して踵を返し、――然して何処に逃げ場があろう?
 この瞬間、割り込むように氷塊の劔を振るったシャオは、全方位に氷属性の威を放ち、周囲の海を凍らせて海賊船の進退を奪うと同時、船そのものを凍らせた!
 時が止まった様な靜粛に彼の科白は浮き立って、
「……やっぱいいや」
 不味そうだからと、更なる残酷を突き付けるのだった。

『おぉぉおお頭ッ……海も船も凍って動かないであります!!』
『急いで海面の氷を割りな! 私が津波で押し流してやるよ!』
 恐慌に陥る乗組員を何とか叱咤して危機を凌ぐメリー。
 その混乱に乗じるか、ミリィは素早く手印を結んで發氣し、
「お兄ちゃんに負けてられないからね、グレイトフルに行くよ!」
 化身招集・感謝する死者(グレイトフルデット)――己が招来できる化身の霊を一斉に召喚し、繊麗の躯を依代に彼等の力を漲らせた!
 優れた陰陽師たるミリィは、花顔に赤々と隈取りを浮かべるや、義賊・石川五左衛門の如き大立ち回りでマストを跳び渡り、追手には英雄・坂本龍雅のリボルバー銃を撃ち込み海賊達を撹乱する。
 その華麗な機動を仰いだメリーは、烱眼を絞って弱点を指摘し、
『随分と英霊を喚んだね! それだけ呼べば詠唱も長くなるし、代償も大きかろうよ!』
「そんな事分かってるけど、私の武器はそれだけじゃないよ!」
『な、に――!!』
 少女が身に染む負荷に耐えながら詠唱する間に、劔を投擲しようとした時だった。
 優れた化身忍者でもあるミリィは、ヤードやシュラウドを足掛かりに高所へと渡ると、広い眼路を確保した後に『五行手裏剣』を投げて牽制する!
 命中を逃れたメリーは嗤笑ったが、手裏剣がミリィの狙い通りの處へ鋩を沈めたとは、今に判然ろう。
『はは、どこ狙ってんだい!! 私は此處だよ!!』
「外した訳じゃないよ。ガレオン船の素材って『木』だからね」
 金剋木――即ちどれだけ巨大な木造船だろうと、金属製の刃は木を切り倒す!
 投擲した手裏剣に「金」の力を流し込んでいたミリィは、海賊船メリー號がミシミシと悲鳴を上げる音を誰より速く聽いて、
「この船から早く脱出しないと、沈むよ?」
『あああああ!! 嗚呼嗚呼嗚呼ッ!!!』
 言うや否や、メリーの誇りたる海賊旗を掲げる帆柱がボキリと折れた――!!

『おおぉぉおおお頭、我々の船が沈んじゃうであります!』
『しっかりしな!! アンタ達なら船だって造れるだろ!』
 野郎共、今こそ仕事をするんだ! と、メリーが傳聲管を力強く引っ張った時、彼女の眼路の際に大きな船影が過る。
 嗚呼、船大工達が既に新しい海賊船を造っていたのだと、喜色を露わに黒影を追えば、其はガレオン船で無し、ワダツミ級強襲揚陸艦『ロストリンク』――メイスンが側面待機させていた自前の船だった。
『な、ん……なんだいアレは!! 私達の船より大きいじゃないか!!』
『イエスマム。なんかもう勝てない雰囲気モリモリであります』
 右舷、O-Ⅻ型アバターAI『アメジストちゃん』が指揮を執る巨艦が砲撃を開始。
 左舷、O-Ⅻ型ホログラムAI『ドクトル』が操縦するキャバリアが全兵装を解放。
 而して浜辺の舞台からは、本体と101体のメイスンが一斉に電脳魔術を展開し、厖大な魔力を炉に精製された誘導ミサイル彈が、一際の閃爍を放ってメリー號へと注がれた!
「すでにここに誘い込まれた時点で、勝負はきまっておったのー」
「おったのー」
 美し紫水晶の四肢を煌々と輝かせたメイスンが言つ。
 次いで玻璃と震える佳聲が101回リフレインする。
 其々の位置から射出されたミサイル彈は、蒼穹に幾丈の軌跡を描きながら唯一点に的を結ぶと、命中を得るや海を裂いて大・爆・発――!!
『あわわわわわわ……――んギャアァアアアアァァァ嗚呼嗚呼嗚呼!!』
 仲間の猟兵は既にバイクや翼で退避している。
 然し海賊船が「足」だったメリー達に、ミサイルより速く海を逃れる術は無い。
 目下、碧落が白む程の焦熱はメリー號を圧壊粉砕し、
「まー、最後までド派手じゃのー」
 と、額に手を宛てて爆発を眺めたメイスンは、無数の木片が波間を埋め尽くす海の下、昏く冷たい闇の淵へと沈みゆくメリ-達に、別れを告げるのだった。

 畢竟、グリードオーシャンに舞台を移しても同じこと。
 キマイラフューチャー気質の島の住民達は、見事、海賊達をやっつけた猟兵らを讃え、
「やったぁ! 猟兵さん達が勝ったよ!!」
「わぁい、やっぱり猟兵さん達は格好良いなぁー!」
「そうだ、ここにリスペクトする猟兵さん達の記念碑を作ろう!!」
 と、キラキラ✨装置を取り囲むように猟兵達のモニュメント(水着姿)をビルドし、この広い海に名を轟かせた勇者達の英雄譚をSNSで配信し続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月28日


挿絵イラスト