キカイな竜の群群は今日もエルフの森を焼く
●無慈悲な暴力の化身
ばちり、ばちりと、火花の弾ける音が響く――鼻をつく木々が焦げ、多くの森の仲間達の焼け死ぬ血と脂の嫌な臭いが、生き残ったエルフ達の涙を引き出していく。
「……ああ、何ということだ。森が、森がぁぁ……!」
森を襲った存在は暴力の化身と名高き、数多の竜の群れや群れ。
その背に異界の火砲を載せ、森の木々という木々を蹂躙していった、奇怪な竜の亜種。
森を守るエルフ達も必死で戦ったが、その奮戦は虚しく、焼け焦げて炭となり崩れた木々と黒く染め上げられた大地、そこに輝く炎の赤が敗北を強く示す。
「酷い。私達が、一体どうして」
「やめろ……聖なる木に手を出すな……手を出すなあぁぁっ!!」
その中に燦然と、どこか悲しく焼け落ちた森を見下ろすかのような、神々しい大樹に一際大きな竜が口を歪めながら手を伸ばし。
数多の慟哭を尻尾の一薙ぎが容易くその命を奪い去り――程なくして、求む全てを手に入れた竜は高らかに嗤うのだった。聖なる木以外の全ての命が残酷に焼かれ、失われた場所で……。
●怒りの火
「諸君、エルフの森というのは、何というか焼き討ちされやすい」
数多の創作で見られた光景を語りながら、グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは溜息を吐いた。
尤も森が舞台として出てくれば、焼き討ちは決して珍しい展開ではないのだが、とまたもや溜息を交えつつ。
「それだけ求められるのがあるのかどうかは分からないが、ともあれ、見過ごして良いことでもないのは確かなことだ」
グリモアが先ほどから示していた、悲劇的な起こりうる未来を顎で指し、彼女はコートを翻し声を高く張り上げた。
「さぁ語ろうか! 舞台は幻想と神秘の世界、アックス&ウィザーズ! 君達には焼き討ちされるエルフの森を救いに行って貰いたい」
アックス&ウィザーズのエルフの中には、樹上のツリーハウス集落で暮らす、エルフだけの【エルフの森】が多く存在している。
しかしそれは迷いの森とされており、その力は何と、あの【世界樹イルミンスール】より株分けされた【聖なる木】の力によって成り立っている。
そして性質の悪いことに、幹部猟書家――正確にはその意志を継いだオブリビオンだが――が目をつけ、手にしようとしている。
聖なる木は火では決して燃えない為、迷いの森の影響を避け、それを確実に見つけ出す。しかも死したエルフはそのまま強力なオブリビオンの軍勢として確保するらしく、合理的ではあるが反吐が出るとスフィーエは吐き捨てた。
「状況としては丁度、配下からの放火が行われた最初期の頃になる。君達には早速そこへ赴いて、配下オブリビオンを掃討して貰いたい」
そう言ってスフィーエが指し示すのは、豪華な武具めいた、竜の形をした何やら。
財宝やら何やらが竜を象った一種のゴーレムか何かのような姿で、しかもアームドフォートを備えている。
それによりエルフの森を焼き討ちしているわけだが、勿論、戦闘としてもそれも合わせた高火力が襲ってくるのだと語る。
「厄介な案件だが、其処に住むエルフ達は、何というか……非常に霊的な感覚に長けていてね。君達を一目見れば、すぐに察して協力を受け入れてくれるだろう」
迷いの森を利用し、敵だけを惑わせた後、樹上を案内し有利な位置まで導いてくれるのは勿論のこと、弓矢の援護射撃や、様々な魔法による援護――猟兵達のそれには及ばずとも、決して少なくない援護が得られるはずだ。
幸いにして彼らを説得する必要もない為、余程無茶な内容で無ければ、きっと快く協力してくれるだろうと語った。
「彼らの助けがあれば、迅速にオブリビオンを倒せる筈だ。そうなれば必然的に延焼も最低限で食い止められる」
消火や避難自体は他のエルフが行っている為、とにかく猟兵達は火元のオブリビオンを撃破することに専念すれば良いとも補足し。
然る後、現れたボス格のオブリビオンを同じくエルフと協力しながら倒せば、この一件は解決すると語った。
「無事に全てが終われば、エルフ達は聖なる木が必要になった時、力を貸してくれる筈だ」
一通りの語りを終えたスフィーエは緑茶を啜り、一息を吐いてからまた語りを始めた。
少なくとも幹部猟書家が求める、それも世界樹から株分けされた樹だ。いつ役に立つのかは分からないが、少なくとも協力の確保をして無駄にはならないだろう。
「しかしだ。それ以前に諸君らはただ、一方的にエルフの森が焼かれるのは決して見過ごせない……私はそう信じている」
一方的に森を焼き討ちし、罪なき命を蹂躙し、彼らの大事なものを奪い、彼ら自身もまた尖兵として取り込む。そんな暴虐を許せるわけがない、と銀灰色の瞳に怒りを見せながら、スフィーエはグリモアを改めて輝かせた。
「という訳だ。準備が出来たら声を掛けてくれたまえ」
裏山薬草
どうも、裏山薬草です。
エルフの森は焼き討ちされるものとはいいますが、実際の放火、ダメ、絶対ですよ。
さて今回は幹部猟書家の意志を継いだオブリビオンによる、エルフの森の焼き討ち事件の対応に行って貰います。
これは猟書家シナリオですので、二章構成となっております。
状況としては丁度焼き討ちが行われたところとなっておりますので、森のエルフ達と協力しながら延焼を防ぎつつ、迅速に敵を撃破して頂きます。
無事依頼が成功すればエルフの今後の協力を取り付けることができ、今後に役立つかもしれません。
全編通して森のエルフ達と協力し合えばプレイングボーナスとなります。
エルフ達は猟兵の皆様を一目見れば、すぐに協力者だと理解してくれるので、説得などの必要はございません。
●第一章『集団戦』
まずは配下オブリビオンとの戦いになります。
このオブリビオンは本来の姿に加え、スペースシップワールドのアームドフォートを装備したような外見になっております。
当然火力も増大しておりますので、一筋縄ではいかないでしょう。
●第二章『ボス戦』
幹部猟書家の意志を継いだボスオブリビオンとの決戦になります。
こちらは武装はしておりませんが、幹部の意志を継いでいるだけあって、やはり強力な個体であることには変わりありません。
この章でもエルフは援護してくれるので、上手く協力しながら戦うと良いかもしれません。
プレイングの受付はタグにてお知らせいたします。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
裏山薬草でした。
第1章 集団戦
『武具の財宝竜』
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POW : 黄金の鎧
全身を【黄金に輝くオーラ】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD : 貫く宝槍
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【体】から【貫徹力の高い突進攻撃】を放つ。
WIZ : 恐怖の兜
【恐怖の兜】に【視線】を向けた対象に、【逃げ出したくなる恐怖や嫌悪を与える呪詛】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:蛭野摩耶
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
猟書家も面倒な置き土産してくれたよね
でも、ボクたちなら止められる
ぎゅ、と【手をつなぐ】ことで逸るウィーリィくんの心を落ち着かせて、オブリビオン退治に向かう
エルフのみんなに協力してもらって森の中に【罠使い】であちこちにスネアトラップを仕掛け、敵が引っかかったら【エクストリームミッション】を発動させてウィーリィくんに合図して攻撃開始!
敵が自分たちの負傷に応じてパワーアップするなら、その前に速攻で破壊するまで!
ウィーリィくんの攻撃と同時に【クイックドロウ】+【乱れ撃ち】+【スナイパー】で集中攻撃を浴びせてパワーアップする余裕を与えずにどんどんやっつけるよ!
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
猟書家の意志を継いだっていうとそれらしいけど、要は他人の受け売りで悪事働いてる出涸らしみたいなもんだろ。
そんな奴らにこれ以上好き放題させてたまるかよ!
【地形の利用】で迷いの森の地形を利用して戦闘に最適な開けた場所を探し、シャーリーやエルフ達と協力してそこに罠を仕掛けて敵を誘導、罠にかかったところで【飢龍炎牙】で敵だけをピンポイントで狙って一気に薙ぎ払う。
敵がUCで自己強化しようとしたらその前にシャーリーと協力して【飢龍炎牙】に斬撃の【衝撃波】を加えた集中攻撃で敵を撃破していく。
ここなら延焼を気にせず派手に暴れられるからな!
●一網打尽
あちらこちらにて響き渡るは、幻想の森に相応しく無き火薬の爆ぜる音と、それが木々を折り焼いていく嫌な音だった。
森の住人達の悲鳴と奮闘の声も賑やかな中、少年と少女はその光景を生み出したオブリビオンへの怒りを露わにした。
「猟書家もまったく、面倒な置き土産を残してくれたよね」
「意志を継いだっていえばそれっぽいけど、要は他人の受け売りでやってる出涸らしみたいなもんだろ」
ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)はシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)の不愉快さを隠せない声に、同じくして森を焼く所業を為したオブリビオンへの義憤を呈した。
そんなウィーリィの震える手を、温かくそして柔らかい褐色の掌が包むように繋がれた。
その感触の先にいたのは、いつもと変わらない勇気を与えてくれるシャーリーの笑顔があった。
「でも、ボクたちなら止められる」
「ああ。そんな奴らにそれ以上好き放題させて、堪るかよ!!」
怒りが生み出す活動力はそのままに。されど掌を通して伝わる安らぎは落ち着きを齎し、怒りによる思考の狂いを防ぐ。
冷静さを取り戻した彼らは、まず森で敵への対応を行っているエルフ達を見つけると、その場所へと駆け出して行った。
「エルフのみんな! 詳しい自己紹介とかは後ッ! 助けに来たよ!」
混迷を極めているエルフ達の元へ、まずシャーリーが声を張り上げて見せた。
その声に何事か、と走り回っているエルフが苛立ち混じりに止まって振り向けば、彼らは一瞬目を見開くと、顔を僅かに綻ばせ。
「あなた達は……そうか、最近噂になってるっていう」
既に類似する事件も数多くあり、また霊的な感覚に長けているというエルフ達は、場に現れたウィーリィとシャーリーの存在とその声に、すぐに事情を察し。
救世主の如くやってきた希望の存在に、消せども消せども追いつかぬ消火活動や、敵の撃退に追われ、絶望の色濃きを見せていたエルフ達の顔に希望が戻る。
「話が早くて助かる。俺達と協力して、森に罠を仕掛けてくれ」
「こんな感じのだよ。出来る?」
エルフ達にウィーリィが協力を要請をすれば、仕掛ける罠の具体的な様相をシャーリーが軽く示してみれば。
「括り罠(スネア・トラップ)か……心得た!」
狩りで何度か行ったことはあると、説明を聞いたエルフの若者が頷き、彼らはシャーリーの指示に従って罠を仕掛けていく。
森の木の葉と地面に自然に隠し、実に手慣れたものであり、
その一方でウィーリィは幾つかのエルフを案内につけ、相対する竜の如きオブリビオンに軽く大包丁を打ち付け、その攻撃性を己へと誘った。
「鬼さんこちら、ってな!!」
見れば見る程に煌びやかな財宝の如き、竜のようなゴーレムのような。
背負ったアームドフォートよりの砲弾を鉄鍋で弾き返しながら、ウィーリィはエルフの導きを得ながら敵を誘っていく。
エルフ達に案内されて見出した地点、一網打尽に仕掛けるにはピッタリな、開けたあの場所へと――その身を囮としながら、迫る砲撃や牙を躱しつつ、彼は駆け抜けていき。
そして――おびき寄せられた哀れな財宝の竜達は、その足を次々と縛り上げられて吊るされる。
ガチャリガチャリと、金属の無機質な甲高い音が響き、竜の抵抗の様相を見せ始める中、シャーリーは頷く。
そして彼女は纏う――鮫の如きバイクが変形した鎧を。宛ら御伽絵巻の変身する英傑のように。
「――さぁ、史上最大のエルフの森防衛戦線、やり遂げる覚悟は?」
「あるッ!!」
ここで一気に叩き潰すという覚悟と決意は確かに、噴きあがるバーニアの気流が如実にシャーリーの闘志を物語る。
鮫の頭部の如き兜のバイザー越しに、シャーリーのその闘志に呼応するかのように、ウィーリィが彼女の問いかけに応えれば。
「喰らい尽せ炎の顎、尻馬に乗っただけのガラクタを、全て焼き尽くせぇッ!!」
彼女の闘志に当てられたか、ウィーリィの身体より迸る熱気はそのまま火炎となりて、龍を象り捕らわれた偽者の竜を喰らっていく。
その炎の中を潜り抜けて走るように、正確な狙いの研ぎ澄まされたシャーリーからの光線が走れば、的確に急所だけを撃ち抜き、竜のコアを破壊し、その身体を動かぬガラクタと変えていく。
例え致命傷を避けた竜が、負傷に応じて自らの身を黄金に輝かせようと、それよりも速く光の条はピンポイントに装甲の繋ぎ目を撃ち抜き、続く龍の業火を纏った大包丁の斬撃と迸る衝撃がそのまま竜の偽者を粉々にしていく。
そうして次々と、ウィーリィとシャーリーは罠に捕えられた竜を殲滅し切ると一息吐いて。
「とりあえずこれで全部かな?」
「だな。延焼を殆ど気にしなくていいからいい」
仮に多少の飛び火が在ろうと、それはエルフ達が迅速に対処してくれる――徒に火を放っている訳でないことはエルフ達も分かっているのか、快く彼らにエルフ達は頷いて見せれば、二人もまた笑って頷き返し。
「引き続き誘き寄せる。あんた達は罠を頼む」
「ボクたちが来たからには、絶対守ってみせる。だからあと少し、がんばろっ!」
彼らの声に呼応するようにエルフ達もまた心を奮い立たせ、少年と少女は新たに敵を誘いにいくのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
死之宮・謡
アドリブ歓迎
ほうほう、森ごと焼くのはよくある話だな…
まぁ住んでいるエルフ共からしたら溜まったモノでも無いだろうが…まぁ其処は森に棲んでる主命だ…諦めたまえ
それは兎も角、敵対者は例外なく抹殺だ
先ずはエルフ共に呪いの黒球を渡して周囲に設置させて衰弱の・呪詛結界を敷いて戦闘開始。エルフ共には近づかないように指示しておき
【覗きし悪意】を発動しながら呪いを纏わせたイレンアトラで一掃していく
●聖なる木の見下ろす森の呪われた結界
瞳に映る炎の照り返しよりも尚、赤き瞳は静かにエルフの森が燃える光景を眺めていた。
耳を澄ませば鉄の砲台が質量と火薬をぶつけ、木々を焼く姿と文字通りの火消しに奔走しているエルフの姿があった。
「ほうほう、森ごと焼き払うか……よくある話だな。まあ住民からすれば堪ったモノではないだろうが……」
それもまた森に住まうものの宿命、起こってしまった以上は起こってしまったことを幾ら嘆いたところで仕方のない事。
されど起こったことに抗うことならば幾らでも出来よう――死之宮・謡(存在悪:狂魔王・f13193)は奔走するエルフの一隊を呼び止めると。
「それは兎も角、敵対者は例外なく抹殺だ。さて、まずはこれを仕掛けてくれ」
「これは……?」
「敵を弱らせる結界を敷く為のものだ。張ったら下がってくれ。巻き添えになりたいなら止めはしないがね」
謡より手渡された、何やら物々しい只ならぬ雰囲気を放った黒い球体を手に、信用をしていても怪訝な顔をしたエルフに簡潔に説明し。
エルフ達は一瞬恐れ慄きながらも、森を駆け巡りながら謡の指示をしたように、黒球を森の中に配置していく――仕掛けた球は六つ、描いた紋様は六芒星。シンプルだが、それでいい。
「――早速来たか」
唇の端を微かに釣り上げ、やってきた財宝の身体を持った偽の竜の気配を察すれば、謡の身体より仄暗い魔力が揺らめいて。
思い出したかのように一目散に退却するエルフを後目に、謡が巡らせた結界の呪は、やってきた筈の偽竜の身体を重く、背負うアームドフォートの重みにすらも耐えられなくなったかのように、身体を地べたへと着けさせていく。
その光景を目に映すと、魔王は天を仰ぎ口を歪めた。
「アハハハハハハハ!」
響き渡るは悪意と敵意に満ち溢れた、敵対者への害意を示す哄笑。
ただ命令に従い無機質に、金属の身体を鳴らし進軍している筈の偽竜達ですら、心なしか響き渡る謡の笑い声に歩みが鈍るようだった。
「さぁ、来たれ来たれ_____!」
――その祝詞とは裏腹に偽竜達は慄き砲撃すらも忘れ、金属の震える音だけが虚しく響き。
渾沌色の瞳が齎す莫大な呪力をグレイブに謡は纏わせると、一歩一歩、処刑を待つ囚人に恐怖を与えるかのように寄りて。
「その狂気と共に我が意を示せ!」
最早偽竜達が放つ苦し紛れの呪詛すらも意味を為さず、より強く濃厚な呪詛を孕む薙ぎ払いは次々と、偽竜達を土塊へと還していくのであった。
成功
🔵🔵🔴
新山・陽
wiz エルフの皆さんにはお手数ですが、この鋼球に水を与えてくださいな。このお水『浄水』を魔法で球にして包んでください。それで鋼球を核にした【浄化】の氷塊ができあがります。
UC『凍えた液鋼』を発動し、氷塊にしてもらったら【救助活動】で火元に当てて延焼を防いでいきます。
敵が住民に向かないよう『蔑みの眼差し』で【挑発】し、UCには、『鍵をかける力』で真っ向から応じます。
【呪詛耐性】でしのいで、【集団戦術】で鋼球の分隊を操作したり、【咄嗟の一撃】で直接的な攻撃はしのごうとします。
おいでなさい。森に火をかけるなど許し難い輩には、死者の尊厳は当然のこと、燃えた葉のひとかけらさえ渡しはしません。
菫宮・理緒
火での攻撃は、的を射ているとは思うけど、
簡単にそれをさせるわけにはいかないよね。
【火炎耐性】で炎に耐えつつ、森に入って、
【mist sprayer】を散水モードで使って、炎が広がるのを防いでいこう。
火ももちろん消し止めていくけど、
まだ燃えていないところに水を含ませて、延焼を防いでいくね。
オブリビオンが現れたら【E.C.O.M.S】を発動。
【Octagonal Pyramid】を召喚して、突撃させて攻撃しよう。
一対一だと倒しきれないかもだから、
オブリビオン1体にユニット5機であたらせるよ。
ミサイルっぽくぶつけていって、1体をしっかり倒していきたいな。
相手の攻撃は【呪詛耐性】で耐えて、跳ね返すね!
●水と氷の芸術的なコンビネーション
木を隠すなら森の中とはいうが、求むる木が燃えない以上、文字通り“炙り出す”為の手段として、それは確かに有効ではあるだろう。
飽く迄、理屈の上ではだが――さりとて理屈で正しきがイコール好意的に映るかはまた別の問題であり。
「火での攻撃は的を射ているとは思うけれど」
その理屈に多少の理解は示しつつも、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は高圧散水機のノズルを調節しながら、今尚広がる炎の照り返しに抗う決意を固めていく。
「簡単にさせるわけにはいかないよね」
「ええ。言語道断というものです」
新山・陽(悪と波瀾のお気に入り・f17541)もまた、燃え盛るエルフの森の照り返しの熱気に、冷静さの裏に秘めた決意を示し。
行わんとしていることが似通っていると知った二人は、互いに顔を見合わせて軽く頷くと。
「先に行って水撒いてくるね」
もうひと手間の準備が必要と見た陽に対し、すぐに行ける理緒が今しがた散水仕様に変えたそれを手に火の海と化した場所へ駆け出していく。
「お願いします。後から追いつきますので……さて、お手数ですが」
そんな理緒の後ろ姿を見送るのもそこそこに、陽は居合わせたエルフ達を軽く見回すと、周囲に浮かべた鋼球を指し示し。
「皆さんには、この鋼球に水を……そう、これ。これを球にして纏わせるようにして欲しいのですが」
形容し難き立方体の入った容器を一振りし、清らかな軟水を示せばエルフ達はそれを球と変えていき。
同時に鋼球の、冷気を纏ったそれを包ませるようにしていけば、それを核とした氷の塊が出来上がっていく――。
その一方で。
「任せきりというわけにも、いかないからね」
森林に広がる火炎の熱は、この身を焼くには至らない。
されど着実に、散水機の広げる水は焼かれゆく木々に振り撒かれ、火を消し止めると同時、含ませていく水が延焼を防いでいく。
熱気が含ませた水気を蒸発させれば同じであっても、すぐには燃え広がらないという状況を作るだけでも大きく。
抗うような熱気が齎す、蒸し暑さのようなものが襲って来ようとも、構わずに彼女は水を撒いていく。
そして次の瞬間、横を通って行った氷の塊が熱の燻る場所へ宛てられていけば、やや不愉快であった湿り気を帯びた熱気が幾許か緩和される。
それに伴い、湿らせた木々の温度が下がり、延焼の危険性を確実に絶っていく。
振り向けば準備を終えた陽が居り、初期対応とその補強を互いに行えたことを目で讃え合う。
「お待たせしました」
「大丈夫。これでこの辺りは一先ず安心かな?」
「後は“火元”を断つだけではありますが……」
染み渡らせた水と当てた氷塊のお陰で、多少やられたところで、易々と炎上はしないだろう。しかし問題として火元が存在する限り、根本的な解決にはならない。
されどその心配はなく、鎮火の様相を呈した森を疑問に思ったか、金属の軋みも耳障りに、携行砲台を背負った偽竜の群れが現れた。
「おいでなさい。森に火をかける許し難い輩には、死者の尊厳は当然のこと、燃えた葉のひとかけらさえ渡しはしません」
――くれてやるのは、ただの一瞥。されど無限の蔑みを込めた陽の視線に偽竜達は木々やエルフより、その敵意の対象を陽と理緒へと向けさせた。
「早速来たね……作戦行動、開始」
「各個体は速やかに、これを解決せよ」
理緒が五百にも及ぶ正八面体のユニットを召喚すれば、陽もまた呼び出していた鋼球に指示を与え。
美しき正八面体が偽竜一体につき、五体一組の分隊を為し、その身体を着実に打ち抜いていく。
その一方でやや数では劣るものの、陽の手繰る鋼球が咄嗟にアームドフォートの砲撃と打ち合い、相殺すれば、その隙に理緒の正八面体が一気に偽竜を貫いていく。
例え偽竜達が彼女達の猛攻に反撃として、強制的に恐怖を与え場から逃げ出させる呪詛を宝より与えようとも。
生きた情報の貸金庫を持つ者は自らの記憶を暗号化し、精神干渉を真っ向から拒否(ブロック)し。
呪詛に抗う力を持つ者は寧ろ真っ向から、放たれる精神干渉を逆に跳ね返す――正に人を呪わば穴二つの残酷な摂理を示すように。
逆に自らが逃げ出す恐怖に、金属の身体が細かく打ち震える無様な姿を見せたとしても、氷塊の押し包むように向かう突撃と、正八面体の五体一組の真っ直ぐな突撃が。
背を向けた偽竜の、背負うアームドフォートごと動きを止め、打ち砕き――偽竜達は一つ、また一つと物言わぬクズ鉄と化していく。
「――作戦行動一時終了(インターミッション)」
「お疲れ様です。これでこの辺りは大丈夫でしょうか。私は補充してから行きますが……」
一通りの偽竜を殲滅せしめ、一息を吐くのと同時に、正八角形を収めた理緒の声に、それを労うように陽が言葉を返す。
先の戦いで消費した水を新たにエルフに包んで貰う心算――また別の場所の鎮火へと赴く旨を口にすれば。
「先に行って撒いてくるよ」
――故に理緒の行うことも変わらない。先行して水を撒き、鎮火と延焼の防止を行うだけ。
互いの為すことに何も言わず女二人は背を向けあうと、陽は簡単に振り向かずに親指のみを上げて。
「グッドラック」
「お互いに」
見えたか見えぬか、それを知る由もなく。されど確かに理緒もまた親指を立てて。
高圧散水機を片手に彼女は燃え盛る森の炎の中へ駆け出していくのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風
意志を継ぐとは厄介なー。
まあ、滅ぼさせはしませんけど。
エルフの方には、協力願いましてー。
敵だけ迷わせたいのと、援護射撃ほしいんですよー。
私とエルフに、迷彩兼ねた防御結界使用しましてー。
急所狙いの指定UC+風属性攻撃ですねー。
一投一投、居場所変えますから、気取られにくいかとー。
エルフの援護射撃もありますしー。
それにですよ、慣れない武器ですよねー。それで、その高速移動するなら…まあ、どこかしらぶつかるでしょうよ。
内部三人が、四天霊障によるオーラ防御を周囲の木に纏わせてますから、折れませんけどねー。
●知り難き事は
騒乱真っ只中の森の焼ける中に、どこか似つかわしくない穏やかな雰囲気を纏った男が一人足を踏み入れた。
「意志を継ぐとは厄介なー」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は、森の騒乱を生み出したオブリビオンと滅びた猟書家の意志を継いだ首領格に対し呟いた。
「まあ、滅ぼさせはしませんけど」
――見る者が見れば分るだろう。その穏やかな笑顔の裏、確かな戦意と決意を秘めて。
彼は森のエルフに穏やかに笑んだまま向き直ると。
「というわけですのでー、敵だけ迷わせることって、出来ます?」
「ええ……というか、現在進行形でやってはいるんですが……」
申し訳なさそうに頭を掻くエルフを見て、彼は察した。
迷わせたところで、敵の狙いは森の全焼却である以上、効果は薄い。
「引き続きお願いしますー。後、援護射撃お願いできればと」
「それは勿論」
「よろしく頼みますねー」
されど効果が全くない訳でなく、引き続き行うよう指示を行いつつ、彼はエルフ達と自身に森へ溶け込む迷彩も兼ねた結界を術で施せば。
周囲に散開したエルフと共に力を合わせ、木々の間を駆け巡り、迷彩に身体を溶け込ませながら――彼は迷う偽竜の首元へ手裏剣を飛ばす。
場所を変え、撃ち込む角度を変え。
突き刺さるそれが手裏剣か、或いはエルフの放つ矢か。
いつどこで何が襲い掛かってくるか、決して悟らせず、時に考えを巡らす暇すらも与えずに、突き立てられる刃が偽竜を我楽多に帰す。
風を切り裂く音すらも、術の紡ぐ風の巡りが巧みに隠し、迷いの森の何処からか襲うかも分らぬ刃。
恐慌のあまり偽竜達は身体を震わせ、突撃せんとしていたが。
「……」
時速百キロを超える速度を、あの金属の身体とアームドフォートの質量が加われば無傷で受けられない。さりとて避けるのも一苦労――されど確信はある。慣れぬ得物は確実に狂いを生じさせると。
飄々と表情の一つも崩さずに、放たれた突進を軽く横跳びに躱してみれば――
「ほら、ぶつかった」
その読み通り、アームドフォートの追加で崩れた体型が仇となり、偽竜達は制御を失っては森の木々に自ら身体を打ち付け、木々の枝騒めき木の葉が舞う。
「ま、無駄ですけどね」
されど激突された木には傷一つもない――何故ならば、内にある別の“三人”が霊障によって木々を余すところなく守り続けているから。
そして衝突の衝撃で(本当にあるかは分からないが)目を回してよろけている偽竜達を目掛け、伏せた目のまま見もせずに飛ばした忍者手裏剣が頸椎に当たる場所へ突き立てられて。
崩れていく身体を耳で感じ取れば、また彼は身を潜め森の中を駆け巡っていくのであった。
成功
🔵🔵🔴
黒影・兵庫
森は虫さんたちにとっても大事な場所です!早急に放火魔を倒さないと!
(「その通りよ黒影!叩きのめしてやりましょう!」と頭の中の教導虫が話しかける)
はい、せんせー!
二度とこんな企みができないようにしてやります!
(「さぁどうする!?」)
消火活動はエルフの方々が行ってくださるので
俺は『オーラ防御』のバリアを展開し森を護りつつ『衝撃波』で敵を攻撃するので
せんせーは『念動力』で操作した{皇糸虫}で敵を『捕縛』してください!
捕縛後にUC【蠢動する大地】を発動し『動物と話す』スキルを使って森の虫さんたちに助太刀を求め
同意した虫さんたちと一緒に敵集団を一斉攻撃します!
(「よぉし!作戦開始よ!」)
おーっ!
●むしできない軍勢
「森は虫さんたちにとっても大事な場所です! 早急に放火魔を倒さないと!」
(その通りよ黒影! 叩きのめしてやりましょう!)
燃え盛る森の中に住まうのはエルフだけではない。
獣や鳥もいれば、それ以上に影の生態系を支える不可欠な存在、虫というものが在る――今も尚、焼ける森の中、少なくない命が失われようとしている。
そのようなことは少年に、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)にとって看過できる筈があろうか。いや無い。
頭に仕込まれた教導虫の檄に、兵庫は闘志を更に昂らせると宣言する。
「はい、せんせー! 二度とこんな企みができないようにしてやります!」
(さぁどうする!?)
“先生”の問いかけに彼は思いついた作戦の内容を伝えていく。
「――……」
(よぉし、上出来! 作戦開始よ!!)
「おーっ!」
掲げた拳と共に、広がっていく淡い光の膜。それは森の木々に張り巡らされていき、今尚揺らめく紅蓮や、無慈悲に放たれていく偽竜達よりの砲撃から、木々を守り延焼を防いでいく。
無粋な真似をと苛立った偽竜達が砲撃の対象を木々から兵庫へと変えれば、彼はそれを迎え撃つように掌から不可視の衝撃を放ち、砲弾を撃ち落としながら偽竜達の身体を打ち据え牽制していく。
その一方で教導虫の――スクイリアは密かに紡いでいく。
宛ら巣という罠に捕える蜘蛛が如く、十メートルにも及ぶ生きた糸を。
しゅるしゅると音を立てて、絡みつくそれは衝撃波と砲弾の膠着を続けていた偽竜達の身体を絡め取り、その動きを強引に縛り付ける。
機はここに整った――スクイリアの今よ、という声に兵庫は頷くと、森の中に響き渡らせるように声を張り上げた。
「皆さん、皆さんもこの森に住む命です! 皆さんを脅かす敵に戦いましょう! どうか俺に、力を貸してください!」
――その演説が皮切りとなって現れた、一匹のバッタ。
それを始まりとして次々と、一匹一匹は非常に小さくも、己の住処を守る為という目的のために一丸となった彼らは、その数だけで言えば森に存在する偽竜の軍勢を上回る。
それに比して力を高める闘気の加護は、その一匹一匹に纏われ――その軍勢の力は、最早考えたくもなく。
ここまで同意してくれるのか――次々と現れゆく同意者<虫>の羽音にスクイリア共々兵庫が打ち震えながらも。
「――行きましょう。あれこそが、火元です!」
指し示された、黄金に輝き始めた偽竜達よりの砲撃を衝撃で相殺しながら、兵庫が示してみれば。
立ち上がった小さな反逆者たちは、森を荒らす害意を、容赦なく食い破っていく――!
成功
🔵🔵🔴
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
志半ばで終えた遺志を引き継ぐ、それだけならば美談に聞こえるが…
何とも厄介な意思を引き継いでくれたものだ
ダッシュやジャンプを駆使して森の中を高速で動きながら、装備銃器で敵を攻撃
さらにエルフ達に要請して隠蔽魔法をかけてもらい敵の目を欺き、照準を鈍らせる
延焼を防ぐために敵を確実に仕留めていこう
さて、本格的に害獣駆除を始めようか
UCを発動
敵が負傷に応じて能力を増加させるのであれば話は簡単だ
怪力も駆使した蹴りの一撃で確実に破壊し、その命を刈り取ればいい
隠蔽魔法による迷彩を使った死角からの一撃でUCを使われる前に倒していく
美しく自然豊かなこの森に、お前達は相応しくないな
早々にご退場を願おう
四季乃・瑠璃
UCで分身
瑠璃が樹上から探知術式【高速詠唱、情報収集、ハッキング】で迷いの森内の敵の位置を把握。森に詳しいエルフ達と相談して進行方向や罠に掛けやすい場所を把握。
緋瑪は瑠璃とスマホで連絡取り、エルフ達と協力して雷撃や凍結を付与した感知式ボム【範囲攻撃、属性攻撃、爆撃、鎧砕き、鎧無視】を敵の進軍位置に罠(地雷)として森中に設置し、瑠璃と合流して樹上に隠れ待機。
探知術式で敵の動きを把握し。敵が罠に嵌ったらエルフ達と共に術式による位置把握のみを頼りに大量のボムで面制圧の一斉攻撃。
視線がトリガーのUCを封じ、殲滅するよ
瑠璃「後でボムによる爆風消化と消火器で火を消さないと」
緋瑪「面倒な事してくれたねー」
●面と点
高き場所に座すことはそれだけで優位――視界は確実に広きを見渡すことができ、術の補助も使えば戦場の把握も容易きこと。
樹上にて戦場を探る少女は、居合わせたエルフと相談すると――
「……よし! 大体こんな感じかな?」
四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)は、導き出した森の地図と敵進軍先を携帯で示した。
彼女の半身である緋瑪と、猟兵としてその場に居合わせたキリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は示された情報に頻りに頷くと。
「この位置に行くようおびき寄せればいいんだな? 分かった」
「罠の方はわたしとエルフのみんなに任せて!」
シンプルではあるが、実に効果的。進軍先に罠を仕掛けて捕え、可能な限り撹乱しながら多くの敵を誘き寄せて一網打尽にする。
作戦への理解もそこそこに瑠璃と緋瑪、キリカが今一度、連絡を取り合えることを確認すれば。
「それじゃ」
「作戦」
「開始だ」
瑠璃、緋瑪、キリカと一つの文を区切っては繋ぎ言って見せて。
彼女達は頷き、瑠璃は緋瑪とキリカをスマホで繋ぎながら、仕掛ける位置を指示していき。
緋瑪はその指示に従いながら、エルフ達により強力な魔術――電撃や氷結の術を爆弾に籠めて貰いながら、それを森中へと仕込む。感知の術式が捉えた敵の進軍先にそれを地雷の如く埋め込みながら。
そしてキリカはエルフの魔術によって迷彩を施し、木々や草草に紛れながら、木々の間と間を力強く、かつ華麗に跳躍し駆け巡っていく。
その間にも、見かけた敵を銃撃で牽制しつつ、姿を隠して駆け巡っていく。宛ら牧羊犬のように、進軍を逸れた偽竜を追い立てるように。
そして緋瑪が粗方生成した爆弾を仕掛け終えると、彼女は瑠璃が待つ樹上へと飛び乗り報告する。
「お待たせ、瑠璃。大体仕掛け終わったよ」
「敵の行き先は?」
「キリカさんが仕向けてくれてる」
緋瑪の報告に対し、瑠璃が問えば、感知術式は彼女達に伝える。緋瑪の回答通り、森を駆け巡りながらキリカが誘い出していることを。
そして死の誘いとも知らず、哀れに誘い出された偽竜達の身体が、乾いた音を立てて凍てつき白い霜に封じられていくのを、火花弾ける音と共に迸った紫電が金属の身体を縛り付けるのを。
仕掛けられた感知式の爆弾が今、偽竜達の身体を捕らえたことを告げれば。
「「――さぁ、わたし達の破壊を始めよう」」
エルフの齎した感知の術式を頼りに、瑠璃と緋瑪は容赦なく、樹上から爆弾をばら撒いていく。
熱風と衝撃が広がり、時にその激しい風が木々の火を消し飛ばしながら、その“火元”たる偽竜を飲み込み。
広範囲の殲滅という点で限りなく適した爆弾の蹂躙は、無機物の身体を四散させ、時に残骸すらも容赦なく灰と変えていく。
反撃の呪詛を見舞おうとしても、彼女達は目を向けていない――さりとて狙いは決して外されることはない。エルフと共に協力し合いながら、精度を高めた感知の魔術は目視に勝るとも劣らぬ精度を以て、偽竜達の居場所を伝えていたから。
一方的な面制圧に優れた爆弾が齎す、激しい風と熱の圧の中、紫髪を流してキリカは尚も木々の間を飛び交っていく。
「――ああ、この爆煙。本当にいいものだ」
ますます影に潜み、敵を一撃の下に落しやすくなる――立ち込める爆発の齎す砂塵と、風の吹きつけにキリカは唇を釣り上げた。
「さて、害獣駆除だ。お前達はこの美しい森には相応しくない。早々にご退場願おうか」
――せめて洞窟の中であったならばまだしも。いや、それも駄目か。背負ったアームドフォートが雰囲気を壊し過ぎている。
だから。
「吹き飛べ」
息を潜め、爆発に生き残った偽竜が身体を震わせ、物々しいオーラを揺らめかせたその時だった。
振り下ろされた踵落としはまるでギロチンの如く、金属の身体をすんなりと通り過ぎ――落された踵は地面にめり込み、陥没のへこみを作り出していった。
崩壊した身体が無惨に堕ちていく様を一瞥もせずに、爆風の吹き付ける中、またキリカは翻弄するように駆け抜けていき。
手負いの獣が手負いの獣としての脅威となる前に、振り抜かれる蹴りは死神の鎌の如く、偽竜達を物言わぬガラクタへと帰していく。
面の制圧を二人で一人の殺人姫達が。そして点の確実な破壊をキリカが。
視認をトリガーとする呪詛は爆発の煙と迷彩の魔術に阻まれ、負傷に応じて力を高める技は無慈悲な蹴りが発動の前に刈り取る。
何もかもが噛み合った面と点の人の和は、唯武力だけを備えただけの偽竜を容易く屠っていくのであった。
**********
「後でボムによる爆風消火と消火器で火を消さないと」
「面倒な事してくれたねー」
「志半ばの意志を継いだといえば、聞こえはいいんだがな……」
戦いを終え、一息を吐きながら瑠璃が敵を殲滅しただけでは終わらない、その後に続く仕事を口にすれば、緋瑪がそれを引き起こしたオブリビオンへの苛立ちを口にし。
それに同意するように、キリカが眉間に皺を寄せながらこめかみを指で突き、白煙の立ち込める焦げた地と木々を瑠璃が見渡し。
「“これ”じゃあね」
「厄介な意志を継いでくれたものだ」
「……継がなくていいものばかり継いでくれたよね。まったく!」
キリカの溜息に緋瑪が吐き捨てると同時、別の猟兵達からも粗方殲滅し終えたと報告が入り。
一先ずの脅威を退けたことを、彼女達は息を吐き出しながら身体を伸ばしていくのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『テンペスト』
|
POW : ストームブリンガー
【無尽の射程を持つ鎖に繋がれた三振りの黒刃】で攻撃する。[無尽の射程を持つ鎖に繋がれた三振りの黒刃]に施された【行動を阻害する暴風領域:騒嵐襲風を生む力】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
SPD : ブラストノッカー
【騒嵐襲風の要である角と黒刃から強烈な迅風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ブレススターラー
攻撃が命中した対象に【暴風領域:騒嵐襲風を局所的に作り出す結界】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【あらゆる行動の制御を乱し狂わせる暴風】による追加攻撃を与え続ける。
イラスト:shirounagi
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ルーダス・アルゲナ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●嵐呼ぶモノ
無事に財宝で出来た身体の偽者の竜を打ち倒し、エルフの森の炎も少しずつであるが収まりつつあった。
火元を断った以上、火を消すのにもそう掛からないだろうが――だが油断は出来ない。
何故ならば、戦を終えた猟兵達の前に現れた、猟書家の意志を継いだ一つのオブリビオンがやってきたからだった。
「ふむ……森の焼却に手古摺ると思っていたら、やはりやはりか」
空の浮かぶ雲々で出来たかのような、ほぼ白一色に近くも巨大にして存在感のある身体。
雄大な巨鳥を思わせる立派な翼は、それが羽ばたく風圧だけで災害を齎しかねないだろう。
ただ唯一目立つ、頭部に生えた黒き角と無尽蔵に伸びた鎖と、そこに連なる三つの黒き刃。
破壊の嵐そのものが竜と化したような、超自然的な幻獣の姿が、羽ばたきに木々を揺さぶりながら降り立っていた。
竜は鎮火しつつある森と、あちらこちらに崩れ落ちたガラクタと、猟兵達の存在を見回すと仕切りに頷くも、すぐにその雄大なる翼を広げて。
「まぁ良い。ここで貴様らを滅ぼし、全てを壊せば同じこと。我が目的は何ら変わらぬ」
――そして、竜は吠える。
「猟兵共よ、エルフ共よ。聞いて慄け我が御名を。我こそは嵐<テンペスト>! 破壊と騒乱を齎し、虚無と静寂のみを残す者! アレキサンドライトの意志の下、いざ!!」
エルフの森を、そして聖なる樹を守り抜く為に――災厄そのものの竜を倒す戦いが始まった。
馬県・義透
引き続き『疾き者』
あー…これ、属性が丸かぶりしてますねー(風属性な上、真の姿だと暴風担当な忍者)
まあいいんですけどー。
エルフの皆さん。ちょっと援護射撃お願いできます?近接攻撃してきますので。
あ、防護結界施しておきますね。
ダッシュで近づきましょうかー。
攻撃は見切れたらいいんですけどー。見切れなかったら…。
※強制人格交代※
第四『不動なる者』まとめ&盾役武士
一人称:わし 質実剛健
武器:黒曜山(剣形態)
強制睡眠で奥に引っ込んで、結界の影響なくすとかな。力業で無茶しよる。
まあよい。近接で火を禁じられた場合、わしが適任となる。
なぎ払いでの二回攻撃を、UCつきで行おう。
むべ山風を、嵐と…。
●不動なること
自然災害の化身とも称される竜種なれど、相対する竜は正に嵐そのものか。
吹き荒ぶ風の圧に周りの木々も悲鳴を挙げつつある中、彼は至って穏やかに風を真っ向から流しつつ呟いた。
「あー……これ、属性が丸かぶりしてますねー。まあいいですけど」
何しろ“四つ”の中で風を象徴する者であるからして、目の前の竜は風そのもの。
されど行うべきことは何も変わらぬと、彼は改めてエルフに向き直ると。
「エルフの皆さん。ちょっと援護射撃お願いできます? 近接攻撃してきますので」
彼の穏やかな頼みに、エルフは勿論です、と意気揚々と答え。
目の前の全てを引き起こした元凶への戦意も露わにする彼らの身体を、淡い光の被膜で覆うと。
「あ、防護結界しときますね」
「ありがとうございます。……お気をつけて」
「よろしくお願いしますー」
一斉につがえられた矢が虚空を斬り裂き、巨大な身体の竜へと真っ直ぐと向かっていく。
その矢にも劣らぬか、或いは追い越す程の勢いを以て『疾き者』は駆け出していき、竜へとその歩みを進めていくが、竜は矢も、そして迫る男も無感情に払いのけるように吐息を吹きかけた。
それもただの吐息ではない、竜が吐けば乱れる気流が容赦なく体力を奪い身体と心を乱す暴風としてだった。
吹き付ける暴風の乱れは如何に風の化身が如きといえど、『疾き者』の動きを乱れさせ、エルフの放つ矢もまたいずこへと飛ばしていく。
されど、その時、彼の持つ雰囲気が明らかに変わる――その手に山を描いた盾を持ち、漆黒に艶めく剣を携えた武士の如き姿へと。
それも無理からぬことであり、表に出たのは風に変わる大地が化身『不動なる者』の姿だった。
「――無茶しよる」
「……ほう」
見るからに気流の乱れも物ともせずに、明らかに動きが滑らかに、竜へと着実に迫ってく動きを見、竜は対象が無くなったことを察する。
自ら意識を眠らせることで強引に変わった力技に、“同居人”ながら無茶をするとぼやきつつも。
不動なる構えはそのままに、竜の放つ暴風と振るわれる爪を真っ向から盾で受け止めてはそれを横に逸らしつつ。
竜の追撃に打ち下ろされた爪を真正面から飛び込むようにして躱すと、彼は黒く艶めく刃を薙ぎ払う――!
「むべ山風を、嵐と……」
一閃、二閃――それは一瞬のことであったが、確かに刻まれた二つの剣閃は。
決して逃れ得ぬ呪詛と化して竜の身体を蝕みながら、次々と、逸れた筈の矢が突き刺さる不幸を返していき。
連鎖する不幸は不幸を呼び、その身体を苛めていく――
大成功
🔵🔵🔵
黒影・兵庫
放火魔の親玉か!ってうわ!すごい風が!
(「アイツが巻き起こしているみたいね!近寄るどころか動くこともままならないわ!」と頭の中の教導虫が話しかける)
くっ!とりあえず『オーラ防御』でバリアを展開して
『念動力』でさっき倒した財宝の竜たちの残骸で
防御を固めましょう!
(「ひとまずはこれで良いとして...でもこのままじゃいつかは突破されるわよ?」)
霊体ならば風圧は関係ないはず!
UC【蠢く霊】を発動し強襲兵の皆さんに
棲家を焼かれた虫さんたちの恨みを晴らしていただきましょう!
●逆襲の霊虫
見上げる程に大きく、白きその身体は入道雲か――自然災害そのものの具現というべき存在は、兵庫を目に映すと静かに息を吐き出した。
「これが放火魔の親玉……ってうわ! 凄い風が!!」
(アイツが巻き起こしているみたいね! 近寄るどころか動くこともままならないわ!)
咄嗟に突き出した掌より、光の障壁を生み出し、吹き付ける突風を防ぐも障壁越しからでも伝わる風の圧は、障壁に揺らぎを生み出していく。
吐き出された息は正しく暴風にして騒嵐、その風圧は容赦なく集中をも乱していく。障壁だけでは足りない。何か、何かないかと兵庫は周囲を軽く見遣れば。
「くっ!!」
一か八か。
転がった先の偽竜達の残骸を念動力による不可視の手でかき集めると、それを防壁と為しオーラと実体の二重の障壁として吹き付ける風を防ぎ切る。
「咄嗟の利用としては大したものだ。されど付け焼刃に過ぎぬ……」
(ひとまずはこれで良いとして……でもこのままじゃいつかは突破されるわよ?)
竜の歪んだ笑みと発せられた言葉通り、積み上げた残骸による防壁も次第に一つ一つ欠片の剥がれる光景が目に映る。
防いだ所で攻めなければ戦いに勝つことは叶わない――そしてその防護もいつまでも続くわけではない、このまま待ち受けるはじり貧。故に、兵庫は力強く脳内に響く声に対して頷いた。
「わかってます! ですから……お願いします! 強襲兵の皆さん!」
――実体のない霊体ならば、この吹き付ける風の妨害を無力化することが出来る筈だと。
呼び出したのは“せんせー”の細胞を基盤とした生物の亡霊。
かつて強襲兵として戦った羽虫の、五百に近き数の亡霊が文字通り一斉に牙を剥く――!
「がっ……!」
奇しくも風と同じく不可視の霊体は、吹き付ける風を皮肉にも同じ“虚”として通り抜けさせて。
竜が幾度となく吹き荒ばせた風の領域も物ともせず、羽虫の霊は乱れた気流を擦り抜けては、鋼鉄すらも砕く牙を頑強な鱗へと突き立てていく。
一つ、二つ、三つ――何処までも無慈悲に容赦なく、五百にも登るその牙は、竜の身体を追い詰め、吐き出す風の息の勢いを弱め、吐息の代わりに次第に血を吐き出させていく。
突き立てられる牙に苦痛と怒りの咆哮を挙げる竜へと、兵庫は指を突き出してこう叫んだ。
「棲家を焼かれた虫さんたちの恨み、思い知れ!!」
――竜へ突き立てられていく牙は正に、先の戦いで味方につけた虫たちも、足を躊躇った虫たちも、森に存在する全ての虫の怒りを載せていくように。
無慈悲に巨大生物を小さき群れが蹂躙する、自然のある種の残酷なる摂理を雄弁に示していく――!
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
ごめん。聞いて慄くほど、あなた有名ではないみたいだよ?
少なくとも、わたしは知らなかったし!
名乗りをあげるのはいいけど、もすこし有名になってからにしてほしいなぁ。
ま、敵意満載なのは伝わってくるし、
碌なこと考えてないんだろうなってことは解るかな。
1回負けてるのに、潔くないよ-?
何度やっても、エルフさんも聖なる樹も、
あなたたちの思い通りにはさせないんだからね!
相手の攻撃を【虚実置換】で風の威力を弱め、そよ風くらいにしてあげよう。
「わたしだって、これくらいはできるんだから、ね」
わたしからの攻撃は【M.P.M.S】を対空ランチャーモードで迎撃するよ。
身体も大きいし、対空榴弾ならばんばんあたっちゃうよね♪
●涼風に等しきと決めるというが
ただ口を半開きにし、少女は積乱雲の如く積み上がった白い身体の竜を見上げていた。
「……」
理緒はただ、何とも言えないという他ないといった様子で、竜を見上げ続けていれば、竜は臨戦態勢を解かぬまま、翼を煽るように揺らめかせて言葉を放った。
「自殺志願の眼ではなさそうではあるが」
――この御名に恐れ慄いたか、という竜の口の歪みもいざ知らず、竜から投げかけられた言葉にハッと理緒は気が付くと。
「あ、ごめん。何というか、聞いて慄くほど有名じゃないみたいだよ? 少なくともわたしは知らなかったし!」
頬を掻きながら、どこか困ったように笑って見せたその声に、場の空気が何処か凍り付いたようにも思えた。
竜自体はおろか、場のエルフも竜から発せられる静かで鋭い殺気に慌てふためく中、一切動じずに彼女は言葉を継いだ。
「名乗りをあげるのは良いけど、もう少し有名になってからにして欲しいなあ」
「……斬新な辞世の句と受け取っておこう」
膨れ上がる気配と敵意に呼応し、竜の黒い角と刃から、激しい風が踊り始めた。
ミスリルの名剣もかくやの切味を以て、触れれば待ち受ける末路を否応なしに想起させる、激しい暴風の刃を目に映しながら、理緒の唇はこう動かされた。
――レタッチ・アンド・ペースト。
瞳の動きと脳波がコンピュータを操り、映した竜の放つ風の刃を現実ではなく虚構の存在として、実と虚を入れ替える。
映るこの風の刃は現実の刃に非ず、虚構でしかない――高度な現実の改変は暴風の刃であった竜の攻撃を、唯の微風と化していった。
そうとも知らず、風が通り過ぎて尚、傷一つない彼女に竜が驚愕すれば、彼女は口元を軽く笑ませ。
「わたしだって、これくらいはできるんだから、ね」
――暴風の技を平然と受け流す様に、そよ風も同然と言い放った神の化身が如く。
暴風の技を文字通りの微風と変えて、涼やかに黒髪を流す理緒は、驚愕する竜へと今度はミサイルランチャーを向けると。
「あなたの思い通りになんてさせないよ! 何度やったって、エルフさん達も、聖なる木も、ねっ!!」
第一、一度負けているのに全然潔くないし――その呟きも掻き消されるほどに、勢いよく解き放たれたミサイルは。
一旦体勢を立て直すべく空へと逃げていった竜を、的確に追い詰めていき、その身体に容赦なく叩きつけられていき。
正に餌食でしかない巨体は、爆撃に晒されて森へ墜落するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
死之宮・謡
アドリブ歓迎
しょうみ、戦闘の余波で森にも深刻な被害が出そうだがな…
貴様に何のメリットがあるだね…?いや、ただ単に森が焼きたいだけですとかそう言う話なら仕方ないがな…
仕方無いが貴様には死んで貰おう。理由は私が貴様を殺したいからだ
先ずはエルフ共に先程と同じ・呪詛の球体を渡して呪い領域を強化
その後、再びエルフ共は退避させて戦闘開始
呪いで風を沈めて、【槍吟】を発動
呪いを籠めたイレンアトラと共に切り刻んで槍吟でハリネズミにしてフィニッシュ
●赴くままに流れて
――正味、戦うだけで幾許かの森への被害も出そうではあるが、さりとて放置すれば崩壊は待ったなしであり、これも一つのコラテラルと割り切る他ないか。
それはそれとして、謡はふと、竜の為すことに対して疑問を覚えたか、僅かに首を傾げて問いかけた。
「貴様に何のメリットがあるというのだね……?」
「語ってどうなる。我が軍門に下るか?」
「いや、ただ単に森が焼きたいだけですとかそう言う話なら仕方ないがな……」
嗤う竜の回答にこれ以上の会話を続けようとしても無駄かと、謡は割り切るようにすると、改めて彼女は竜に対して戦意を突き付けた。
「まあいい。仕方無いが貴様には死んで貰おう。理由は私が貴様を殺したいからだ」
「そうか。では我も貴様は気に入らぬ。仕方あるまいが貴様には死んで貰うとしようか……」
所詮へ猟兵とオブリビオン。決して分かり合えぬ平行線であることを示すように、竜が高らかに吠え、その翼を重厚に羽ばたかせていった。
暴風の乱れが戦場を埋め尽くし、ありとあらゆる風のベクトルと、力の圧が戦場に存在する戦う者の行動を阻んでいく。
その中でも動じることなく、謡はエルフ達に目を向けると。
「さっきと同じように、こいつを設置して欲しい」
吹き付ける暴風に身体は乱れ碌な行動も出来なくなりつつあるエルフに、謡は呪いを込めた黒玉を手渡した。
彼女の指示に従い、エルフ達が銛のあちらこちらに、先ほどと同じように謡と竜を中心とする結果を張らせるように、黒玉を配置していく。
そうしてエルフ達が黒玉を仕掛け終えたのを察すると、黙って目で彼女はエルフ達に下がるように促してから、指を弾いた。
すれば込められた呪詛が先に張り巡らせていた結界に重なり、衰弱をより促す呪詛となって、竜の仕掛けた暴風の領域を逆に上書きし、掻き消すと。
「――悉く息絶えよ」
続けて呼び出すは、黒紫に妖しく輝く莫大な呪いの込められた数多の槍が、精緻な幾何学模様を為す光景だった。
暴風の捕縛に掻き乱されることもなく、夥しい殺意そのものが、白い身体に映えるように次々と、その巨体を宛ら雲丹とするかのように突き立てられていきつつ。
静かに、冒涜と狂気に彩られたグレイブを片手に、蹲る竜へと静かに足を一歩一歩進めていき、そして――。
幾度となく、幾度となく、執拗なまでに呪いに揺らめく刃が走り暴風の竜の身体を切刻んでいきながら、更に幾何学模様を描いていた槍が突き立てられて。
竜を只のハリネズミと落していく――!
大成功
🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
フン、このガラクタ共の親玉が来たか
森の木々を足場にジャンプして敵と相対しオーヴァル・レイのビーム砲で攻撃
吹き荒れる風に流されぬよう距離を取った銃撃をメインにして空中戦を行う
なるほど、名の通り恐ろしい程の暴風だな…
素晴らしい威力だ、熨斗を付けてお返ししよう
敵の角と黒刃をよく観察し、UCが発動したらジャンプとダッシュを駆使して急接近
脱力して迅風を受け止め、落下しつつ敵の攻撃をカウンターで返す
動きが鈍ったら、反転しつつエギーユ・アメティストを打ち付ける
毒でさらに鈍れば、エルフ達の援護射撃も当たりやすくなるだろう
この世界は既に竜共の脅威から解き放たれた
お前もまた、骸の海に消えゆくがいい
新山・陽
SPD 敵UCからは、エルフ達を【かばう】ように立ち【気合い】で耐えます。
自然を荒らされ、生活を侵され故郷を害された皆様。
御覧の通り、あの暴言を吐く嵐は殴れますよね?
であれば、現地の皆様の心からの応援をお願いします。
弱いも非力も関係なく、災厄に抗う想いの全てが、被害当事者達の激憤が、自然の声なき声の遍く全てが、私の燃える拳になり変わりましょう。
これが当たれば「貴様が燃えろ」とご唱和ください。
【地形の利用】【ダッシュ】で敵に肉迫して、UC『アライアンス・リベンジャー』を発動。燃える拳での一撃を叩き込もうと試みます。
因果応報の彼方に消え失せ、アレキなにがしにどうぞよろしく。
●反撃の狼煙をいざ
森の木々を駆け巡る二つの黒い影と、それを追う白い風の如き竜の姿があった。
右往左往に、森の木々から木々を駆け抜けていく影の一つ、紫髪の靡きも鮮やかな女が傍らに浮かべた青い卵型の砲台から、一筋の光線を放てばそれは純白の翼を掠め、黒く焦げた煙を上げさせた。
「フン、ガラクタ共の親玉が来たか」
竜の解き放つ風より適度な距離を保ちながら、砲台の放つ光線を以て牽制を行いつつ、紫髪の女キリカは戦場に時折転がる、先に片付けた竜の残骸と相対する竜を見比べながら吐き捨てた。
言葉に続けて放つ銃撃が竜の身体に打ち付けられる――竜の鱗すらも貫く銃弾は覿面か、竜も不快を隠さず呻き。
更に追撃として青い卵型の砲台は、容赦なく光線を浴びせ竜を追い立てていく……が。
「鬱陶しい。貴様らが如何に抗おうと、我が前に全て吹き飛ばされるのみと知れ」
追いかけっこに飽きたとでも言うのか。
溜息を交えながら翼を広げた竜は、黒く目立った角に不穏な気配を纏うと、一気に膨れ上げるかのように風を解き放った。
名刀もかくや、ただの風の刃と呼ぶには不足な、鋭きが森の木々も、猟兵も、エルフも何もかも薙ぎ払わんと襲う。
――それこそが好機と、キリカは寧ろ望んでいたかのように、風が吹きつけると同時に竜の懐へと身を飛び込ませていた。
「ぐっ!!」
その一方で咄嗟に解き放たれた風に対し、黒い影の内のもう一つ、黒髪の女の陽はその身を盾として、エルフ達の前に乗り出した。
暴風の刃が、幾度となくスーツを斬り裂き肌を露出させ、その下へ赤い筋を刻み付けようとも、彼女は決して屈しない。
気合を以て耐え凌ぎ、瞳に宿した燃えるような闘志のまま、エルフを守り抜いた陽は強く竜を睨みつける。
愉悦にほう、と声を漏らし、次なる風を吹き荒ばせようとした竜だったが、それは突如として響いた声に中断させられた。
「素晴らしい威力だ。熨斗を付けてお返ししよう」
その声の主であるキリカの身体には傷一つも見当たらない。
彼女の胸の前には、錆付いた刃を打ち鳴らしながら嗤う、絶望の名を冠する人形が悍ましく笑っている――身を乗り出したその時、彼女は既に力を抜き、竜の風を全て人形に吸わせていたのだ。
「狂い震えろ、デゼス・ポア。貴様が喰らう幻覚を吐き出せ」
――キィィィィァアアアァアァアアアアア………!
思わず耳を塞ぎたくなるほどの、吹き荒ぶ暴風の中に於いても痛烈に響き渡る人形の金切り越えが駆け巡っていった。
それと同時、純白の身体に盛大に赤き血を噴き上げさせた、不可視の刃があった。
吹き抜けた大気の流れは、正に先ほど、竜が解き放った暴風の刃――されどその力は竜が解き放ったそれの倍。
竜が抗い、風を吹き荒ばせようと、人形の吐き出す風の刃はそれを容易く呑み込み、過ぎ去る風の刃は次々と竜の身体に深い傷を負わせていき。
蹲る竜へ更に追撃として彼女は鞭を強く打ち据えれば、先端に誂えられた紫水晶の錐が強く突き刺さる。
すればそれはサソリの尾が如く、竜の身体を毒に蝕み、その巨体を沈めると――エルフ達から、今こそと言わんばかりに矢が降り注ぎ、竜の身体をより追い詰めていく。
そんな絶好のチャンスをつかみ取るように、陽は今一度、気合を以て身体を奮い立たせるとエルフ達に向き直り。
「自然を荒らされ、生活を侵され故郷を害された皆様」
――水を打ったかのように、女の声が一つ澄み渡っていった。
弓矢を撃ち続けるエルフや、陽に回復魔法を施すエルフや、周囲のエルフを援護する者――様々なエルフ達に、陽は言葉を響かせていく。
まるで演説を行うかのように。
「御覧の通り、あの暴言を吐く嵐は殴れ、そして撃ち抜けますよね?」
それは自然の暴威そのものではなく、実体を持ち殴れるもの。
今尚、幾度となく撃ち続けられる矢と苛まれ続けているそれを示して見れば、改めての認識はエルフを景気づけていく。
そして陽は、エルフ達を導くかのように拳を掲げて見せると。
「心からの応援を。此れが当たれば、一斉にお願いします――『貴様が燃えろ』と」
掲げた拳が燦然たる太陽の光を逆光とし、途端に燃え上がっていき。
そして陽は駆け抜けていく。一歩一歩、跳ぶように駆ける歩幅が、徐々に広がっていくほどに。
そして彼女は、その身を蹲り続けた竜の眼前へと躍らせ、燃え盛る拳を掲げて。
「さぁ皆様、ご唱和ください。皆様の激憤が、自然の声無き声が、遍く全てが私の、私達の力となりましょう!!」
竜が吠えるか、翼をはためかせるか。いずれにしろ竜の操る風の抵抗は、今や間に合わない。
風よりも速く、それこそ文字通り――肉薄した陽の振り上げた拳が、強かに竜の強靭な脳天を陥没させる程に叩き込まれると。
「「「貴様が燃えろ!!!」」」
響き渡る蛮声の如きエルフ達からの、後押しの声が森を轟かせた。
――そして、竜の只管に苦悶に叫ぶ声と、白い身体が炎に包まれていく中、キリカと陽は二人並び、竜へと鼻を鳴らしながら言い放った。
「この世界は既に竜共の脅威から解き放たれた。お前もまた、骸の海に消えゆくがいい」
「因果応報の彼方に消え失せ、アレキなにがしにどうぞよろしく」
大成功
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シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
うわ、偉そうな相手だね
ボクも名乗った方がいいのかな?
【エクストリームミッション】を発動させて、黒刃相手に【空中戦】を演じる
無尽の射程を持ってるんだから逃げ続けててもキリがないのはわかってる
狙いはその鎖
エルフのみんなに弓矢での援護射撃でボスの注意を逸らしてもらい、【見切り】と【フェイント】で黒刃の攻撃をかわし続けながら本体のボスの周りを猛スピードで飛び回って【ロープワーク】+【罠使い】で黒刃から伸びる鎖にワイヤーを絡めてボス自身を縛り上げるように仕向ける
動きが止まったところで【クイックドロウ】+【乱れ撃ち】で熱線銃の集中砲火!
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
他人の受け売りで随分と大きく出たもんだな。
奴がそのアレキなんたらの意志で動いてるなら、俺は俺の怒りの下にそいつを打ち砕く。
戦いに入る前にエルフに頼んで「風の流れが読める補助魔法」を付与してもらう。
そしてシャーリーを巻き込まない様に彼女と別方向から攻撃を仕掛け、敢えて敵の起こす暴風に突っ込み【フェイント】で翻弄されるフリをしながら魔法の力を借りて【見切り】で風の流れを読む。
無秩序に荒れ狂う暴風相手だから楽にはいかないだろうけど、「流れ」がある以上「道」は出来る。
そこを突いて【厨火三昧】の炎を結界を突っ切らせ、油断している奴にシャーリーと挟撃する形で集中攻撃を仕掛ける。
●最高と最強
幾度となく刻まれた傷跡は重く、実体が確かにある竜の筈なのに、まるでどこ吹く風かのように、白き身体の竜は翼を大きく広げた。
吹き荒れる暴風が森の木々を揺らめかせ、生木の軋む音も不快に、広げられる大気の圧が場に存在する者の行動を阻まんとしていく。
「我こそはテンペスト。死と滅びを運ぶ風の化身にして、アレキサンドライトの意志を継ぐ者。貴様ら如き葦に決して負けぬ」
その風の支配者は、伸ばした黒い鎖と連なる刃を幾度となく打ち鳴らしては吠え、相対するエルフ達の顔に僅かながらの怯えを齎した。
そんな中、一人の少女は海賊帽を手で抑えながら、竜の名乗りに対して若干引いたように声を発した。
「うわ、偉そうな名前。ボクも名乗った方がいいのかな?」
「時間の無駄だぜ。……他人の受け売りで随分と大きく出たな」
少女シャーリーの言葉に、暗に勿体無いと返しながら、彼は茶褐色の瞳を鋭く暴風の化身へと向けた。
手に大包丁を握りながら、乱れる風の圧に足を踏ん張り耐え、ウィーリィは力強く彼の戦意を示す。
「そのアレキなんたらの意志で動いてるなら、俺は俺の怒りの下にそいつを打ち砕く」
「そういうことだね。……いくよ、ウィーリィくん」
その隣で左手にマスケット銃を持ち、右手で跨るバイクのスロットルを回しエンジンを噴かせてみれば、竜が静かに口元を引き締めた。
「――我は砕けぬ。我は退かぬ。我こそが次のアレキサンドライトとなるのだ」
静かに響く言葉は妄執か。されど何処までも竜の暴威は本物で、竜は広がる風の領域の流れを激しきものと変え、鎖を伸ばしそこに連なった刃を走らせた。
戦の始りを強く察すると、シャーリーはバイクのスロットルを最大にまで回し、ウィーリィは周囲のエルフに向き直る。
「みんな! あの魔法を頼む!!」
ウィーリィの掛け声に従って、エルフ達が彼にとある魔法をかけていった。
すれば彼の瞳が、淡く薄い光の膜に覆われ、彼の視界にとあるモノが映し出されていった。
(――見える。複雑極まりないけど……!)
上下左右、ありとあらゆる方向に力の流れが乱れ、一つの力に抗おうとすれば別の力に横殴りにされる複雑怪奇な風の陣。
その力の流れが、矢印という形でハッキリとウィーリィの眼に映る。エルフに頼んだ風の流れを明瞭に視界に映す補助、これも狩猟の為に行う魔法の一環とのこと。
敢ての風の流れに突っ込みながら、時に風の乱れに翻弄されるように、風の流れに浮足を立たすことを演じながら。
ウィーリィは大包丁を片手に、竜の爪と尾と真っ向から斬り合っていく――その一方で、別方向から迫る一つの存在に対し、竜は刃の連なった鎖を伸ばす。
「史上最大の凶暴すぎる竜巻バーサス嵐のドラゴン――戦う覚悟はある?」
だが吹き荒れる暴風を物ともせずに、バーニアの気流が風の乱れを力強く撃ち破りながら、輝ける曲刀の一閃が踊った黒刃を弾き飛ばした。
スロットルを全開に回したと同時、そのバイクを鎧のように纏い空を翔けるシャーリーの存在がそこにあった。
自在に空を翔ける彼女へ何処までも竜は鎖を伸ばし、それをシャーリーはマスケット銃やカットラスで弾き飛ばせば、その合間を縫ってエルフからの矢が突き刺さる。
それに怒り、反撃を見舞おうとすれば、側面から飛び込んだウィーリィの一撃が竜の気を逸らし。
続けて反撃に移ろうとしても、またシャーリーの走らせる光が竜の頭部を掠め、竜をより苛立たせた。
「鬱陶しい!!」
幾度となく続く翻弄に続く翻弄に激怒したか。
竜が吠え暴風の圧が更に高まり、エルフ達を吹き飛ばしながら、援護射撃の矢を強引に吹き飛ばし、その鎖が強く強く、本格的にシャーリーを撃ち抜かんと走った――正にその時。
「――ぐぅっ!?」
「気を取られ過ぎだよ」
無限に伸びる、ということが仇となったか――空中戦を演じていた心算で、その実彼女は導いていたのだ。
竜の伸ばす鎖そのもので、竜の身体を縛り付けるその時を。
強く伸ばされたそれは正に最後の締めとして、気付かぬうちに絡まっていた鎖をより強く引き締めさせ、連なった刃が竜の身体に突き刺さる。
これには流石の竜も苦悶の雄叫びを挙げ、みっともなく暴れることは無くとも、蹲り敵意に満ち溢れた眼を周囲に向ける。
その様を見、ウィーリィは静かに乱れ風の中呼吸を整えた。
(――見切った。台風の目!)
悶える竜の集中が乱れたが故か、極々僅かであった筈の気流の乱れの中の、突っ込んでいける隙が大きくなっていた。
見開いた眼の中、映る矢印の道筋に従い、ウィーリィは力強く大包丁を振るう。
「極めた火工は、原初の火さえも従える!」
竜の風の結界をも原初の炎は、僅かな穴も見逃さずに通り抜け、竜の身体を容赦なく包み込んでいきつつ。
その一方でシャーリーが指を弾き、熱線を竜の身体へと浴びせていき――光熱と炎熱は何処までも激しく、竜の風に散らされることなく竜の身体を包み、そして穿っていくのだった。
大成功
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四季乃・瑠璃
UCで分身
緋瑪がアイゼン・アーマー形態による戦車砲と機銃で攻撃・牽制。
その隙に瑠璃とエルフ達には魔力を溜めて詠唱を行い準備。
準備ができ次第、瑠璃が【高速詠唱、全力魔法】【エレメンタル・ファンタジア】で「溶鉄(金属性)」の「雪崩」を発動。
同時にエルフ達に魔術結界を発動して貰い敵を閉じ込め、その中に溶鉄を流し込んで大質量の溶鉄によって敵を圧潰。
それでも敵が内側から破って来るのを見越して二人で魔力をチャージし、破壊して出て来たところを【ジェノサイドブレイカー】を叩き込むよ!
緋瑪「五行思想って知ってる?」
瑠璃「風は五行において木となる。木は相克により金に倒される。つまり…」
「「ここで終わりだよ」」
●自然の化身、圧し倒す摂理
けたたましく響き渡る銃声と、放たれる砲撃が竜の身体を揺さぶった。
怒りに吠え、暴風を撒き散らせば鉛玉と榴弾はそれ、明後日の方向へと飛ばされるも、機銃と主砲は絶え間なく竜の攻勢を削いでいく。
先ほどよりその銃声と砲撃音を響かせているのは、戦車の如き鎧を纏った緋瑪だった。
「いい加減諦めようよ」
「風前の灯火ってところなのにねー」
傍らのエルフ達と共に魔力を後方で高めつつ、詠唱を紡ぐ瑠璃の言葉に緋瑪が続け、牽制として戦車砲を放つ。
「黙れ」
されど竜はそれを自らの手が傷つくのも厭わず、それを握り潰すと、刃の連なった鎖を振るい瑠璃と緋瑪と、エルフ達を薙ごうとする。
だがそれは、緋瑪から放つ戦車砲の爆撃が逸らし、けたたましく放たれる機銃の弾が暴風で時に逸れながらも着実に竜を追い詰める。
「緋瑪! 準備が出来たから離れて!」
「了解、瑠璃っ!」
緋瑪の牽制により十分な魔力の高まりを得た瑠璃が指示をすれば、緋瑪は指示通り即座に竜の傍を離れ。
瑠璃は精霊に干渉しつつとある属性と現象を束ね、不穏な熱気が立ち込めていく。
「エルフの皆! 手筈通りお願い!!」
「「「はいっ!!」」」」
不穏な気配に気が付いた竜が距離を取ろうとするが、その身体は阻まれる。
エルフ達が張り巡らせた魔術による光の結界が、竜の身体を包囲し押し潰すようにその身を捉えていた。
そして――
「ぐぁぁああーーっ!!」
バケツの中に水を流し入れるかのように、結界の上から流れ込んできた熱く溶けたものが、竜の身体を押し潰した。
焼け焦げる血と肉の煙が立ち込め、藻掻く竜の身体に執拗に絡みつくそれは、熱く溶けた鉄。赤熱の粘液は容赦なく竜の身体を焼き焦がし、鉄の質量は身動きを許さず竜の身体を閉じ込めていく。
「五行思想って知ってる?」
「風は五行において木となる。木は相克により金に倒される。つまり……」
悶える竜の耳に緋瑪からの問いかけが響き、竜が苦悶に喘ぎながら思考を巡らそうとすれば、瑠璃の回答がすんなりと入る。
そしてその意味に気が付き、最後の力を振り絞り竜は己を捉える鋼と結界を内側から破り、難を逃れようとしたが。
「「ここで終わりだよ」」
――行くよ、緋瑪。
――行こう、瑠璃!
二人で一人の殺人姫は顔を突き合わせ、それぞれ銃口を竜へと突き付けていた。
その銃口には青白く輝く閃光のような、膨大な力の奔流が集められており、竜が必死に翼を羽ばたかせ風の障壁を生み出そうとしても、絡まった金属の捕縛はそれを許さず。そして。
「「これが(私/わたし)達の全力全壊! ジェノサイドブレイカー!!」」
――次の瞬間、竜の目に映る世界が白く染まった。そしてそれが今生にて味わう最期の経験となった。
二つの銃口から放たれた莫大な破壊の閃光が、螺旋を描きつつ絡み合い竜の身体を通り過ぎ。
眩い光が過ぎ去った後には、竜の身体は塵一つ残らず消え失せて、ただ一つ吹いた風が戦いの終焉を告げるのだった。
●嵐過ぎ去って勝利の朝が来る
全ての戦いは終わり、焼かれていたエルフの森は静寂を取り戻した。
つけられた火の残滓も最早無く、新たな延焼の心配も根絶され、無事に森も、そして聖なる木も守られた。
「皆様、この度は本当にありがとうございました。お陰で聖なる木は守られました」
その中で一息をついている猟兵達に、エルフ達のまとめ役だろうか。髭を生やした年配のエルフが猟兵達の前に出でて、丁重に頭を下げる。
一部の猟兵から、全てを守り切ることは出来なかったと焦げた木々を示されれば、エルフ達はとんでもない、と言わんばかりに次々と声を張り上げていった。
「貴方達が来なければ、被害はあれだけでは済まなかった」
「気にしないで。今すぐではないかもだけど、必ず元に戻るから」
「本当に、本当にありがとう!」
場のエルフ達に猟兵のことを責める者は誰もおらず、実際に森を守り抜いたとても大きな救いの手に、エルフ達は皆、猟兵達へ感謝の声を響かせていく。
場の猟兵達を称える声が止まぬ中、まとめ役のエルフがほっほと髭を撫でながら笑うと、彼はこうも述べた。
「もし我々の力が必要なら、いつでも申し付けてください。森の民一同、この御恩は必ず返しますとも」
……今後必要があれば、聖なる木の助力が得られるかもしれない。
グリモアベースで語られた説明通り、この森のエルフが、いずれ必要となった時に力を貸してくれるのは確かなこととなっただろう。もちろん、この森のエルフ達のことも何一つ心配はいらない。言葉通り、長い年月をかけても必ず焼けた部分は復興を果たすだろう。
戦いを終えた猟兵達を労うように、春先の爽やかな風が吹いていく。
その風に柔らかく戦の火照りを冷ましていきながら、猟兵達は守り抜いた森を、エルフ達の感謝の声をバックに後にするのだった。
大成功
🔵🔵🔵