羅針盤戦争~オペレーション・ペルセウス
●海賊の流儀
「何だ何だ、鬼火も舵輪もそれぞれ覚悟だけで戦ってやがる」
「邪剣みたいにケツまくって逃げ出そうとした腰抜けに、死にたがりの桜花みたいな奴もいやがるがな……鮫牙に至っては言わずもがなだ」
他の七大海嘯の動向を本拠地で確認していた三つ目は、猟兵たちの接近に感づいた。
「で、とうとうここも攻め落とされるってか、世知辛いなハイレディン」
「そうだな、俺達にしちゃ頑張ったほうだと思うぜ……なぁ、オルチ兄」
「どした、ハイレディン」
ハイレディンはどこか遠くを見ている。それは、まるで自らの死期を悟ったような顔だった。
「俺にいい考えがあるんだ」
「……俺はお前の意思を尊重するぜ、ハイレディン」
「すまねぇ、オルチ兄。だが、俺達に残された道は唯一つ、だな……」
言わずとも、オルチにはハイレディンの考えがわかった。だからこそ、オルチはそれを認める。兄として、弟の狙いを全力でサポートするだけだ。
やがて、バルバロス兄弟は本拠地から出ると、迫りくる猟兵に告げる。
「猟兵ども! 俺達はここにいるぞ! 逃げも隠れもしねぇ、かかってきやがれ!」
「俺達に勝てば、この『オルキヌスの瞳』をくれてやる! だが、俺達は海賊だ! 欲しければ海賊の流儀に従え!」
「その通り! 海賊の流儀、それ即ち……」
「「欲しけりゃ奪ってみせろ!」」
彼らの背後に、「原始の魔物」が続々と集まってくる。魔物と言うが、その身体は鱗に覆われ、あるものは3つの角を持ち、またあるものは鋭い牙や爪を持つ。そして総じて巨体……そう、多くの世界において万物の霊長たる人類が現れる以前の生態系の頂点、ドラゴンとは異なる野生の発露、即ち。
恐竜が、そこにいた。
●オペレーション・ペルセウス
「三つ目について、そろそろ攻略すべき状況かと思います」
戦争の終局が近づくグリモアベースにて、ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/開発コード[Michael]・f29697)がそんな提案をした。
「鮫牙に有効と思われるメガリス『オルキヌスの瞳』は、三つ目が確保しています。これを奪取することで、今回の戦争で鮫牙の完全討伐は不可能でも、戦後の状況を有利に運ぶことが可能と思っています」
王笏を倒すのは絶対条件。その上で、戦後の状況を有利に持ち込むためにも、三つ目を倒してオルキヌスの瞳を確保しておきたい。それがジェイミィの考えであった。
「そして、先程バルバロス兄弟は自分たちを打ち倒せば『オルキヌスの瞳』を渡す、と通告してきました。海賊の流儀に従い、奪い取れ、とのことです」
逆に言えば、彼らに負ければ、我々が奪われる側に回るということになります、とジェイミィは警告する。
「三つ目島に向かうにあたって、皆さんはおそらくバルバロス兄弟に『賭け』を持ちかけられるでしょう。その賭けの代償は……グリモア、そして賞金です」
よって、グリモア猟兵は特に優先的に狙われる。グリモアがない場合でも、これまで賞金額をかけられていれば狙われる可能性が高くなる。
「このため、複数人で今回の作戦に挑んだ場合、先制攻撃はバルバロス兄弟が優先度が高いと判断した特定の誰か一人に来ることになります。誰になるかは不明ですが、対象からはずれた場合でも狙われた猟兵を全力で守ってください」
いずれにせよ、先制攻撃が来ることに変わりはない。敢えて事前に示し合わせて行くも良し、現地で作られた即席のチームで挑むも良しだ。
「また、三つ目島にはオルキヌスの瞳の力で生み出された『原始の魔物』が生息しており、バルバロス兄弟に飼いならされています。この『原始の魔物』の正体ですが、現地に鳥が多いことから、それが退化した存在……即ち、恐竜です」
ジェイミィはグリモアによって確認された「原始の魔物」の姿を公開する。トリケラトプスやスティラコサウルスといった角竜やステゴサウルスに代表される剣竜、アパトサウルスやブラキオサウルスと言った超巨大草食恐竜、そして獰猛で狡猾なヴェロキラプトルやデイノニクスといった小型肉食竜に、ティラノサウルス、アロサウルス、スピノサウルスといった大型肉食竜と、豊富な種類がそこにいた。
「UDCアースの恐竜学者にとってはまたとないパラダイスでしょうな……全てバルバロス兄弟の配下であるため、飼いならされているというのが問題ですが」
これら「原始の魔物」こと恐竜にも対抗しなければならない。対処法をしっかりと練っていくことが重要だ、とジェイミィは注意を促した。
「今回は他の猟兵との相互援護が特に重要になります。皆さんの奮闘を期待します」
そう言って、ジェイミィはブリーフィングを終える。
「それでは、これよりオペレーション・ペルセウスの開始を宣言します!」
グリモアが輝き、ポータルが開く。猟兵たちは三つ目との決戦の地へと赴いた。
バートレット
どうも、バートレットです。
今回は三つ目との戦いです。三つ目は己が保有する「オルキヌスの瞳」と、猟兵たちのグリモアや賞金を賭けて戦いを挑みます。この戦いに勝ったほうが総取りのシンプルなルールです。絶対に勝ってオルキヌスの瞳を手に入れましょう。
今回のプレイングボーナスは以下のとおりです。
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プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードと、「原始の魔物」に対処する。
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上記プレイングボーナスは両方満たすことで初めて有効となります。また、上記プレイングボーナスを満たした上で、「先制攻撃の対処に加えて攻撃の際にも他の猟兵を援護する」プレイングにはさらに追加ボーナスを差し上げます。
原始の魔物は、OPで描写したように様々な種類の恐竜となります。草食・肉食問わずバルバロス兄弟に飼いならされており、猟兵たちを見れば襲いかかってくることでしょう。これを上手く対処してください。
また、バルバロス兄弟は以下の優先順位で先制攻撃のターゲットを決定します。
グリモア猟兵>賞金額の高い猟兵>賞金もグリモアも持たない猟兵
グリモア猟兵が複数いる場合は、賞金額を比較して最も高い猟兵がターゲットとなります。グリモアの有無と賞金額の両方が同じ猟兵が複数いる場合は、その中から一人がランダムでターゲットに選ばれます。先制攻撃の対処方法は、「自分が狙われた場合」「他の人が狙われた場合」の両方を考慮して記載することをおすすめします。
今回は特に指定がない場合はランダムでどなたかとチームが組まれます。連携を希望しない場合は必ずその旨を記載ください。また、お友達と示し合わせて参加される場合は合言葉や相互の連携先を必ず記載するようお願い致します。
締め切りなどの最新情報はタグやMSページをご確認ください。成功青丸数が確保された日の翌日夜21:00が締切となりますので、プレイング投稿可否の参考となればと思います。
それでは、皆さんのアツいプレイングをお待ちしております!
第1章 ボス戦
『七大海嘯『三つ目』バルバロス兄弟』
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POW : フォーアームズ・ストーム
【四腕で振るった武器】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 「オルキヌスの瞳」
【弟ハイレディン(左頭部)の凝視】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【肉体、精神の両面に及ぶ「退化」】で攻撃する。
WIZ : バルバロス・パワー
敵より【身体が大きい】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
イラスト:ちーせん
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ゲニウス・サガレン
恐竜か、困ったな
博物学者としてはすっごく興味あるんだ……
さて私はどう見ても兄弟より小柄だ
回避に専念したいが、相手は巧者
アイテム「陸生珊瑚の浮遊卵」・「スティングレイ短針銃」
浮かぶ大型スーパーボールのような卵をばらまき、それに隠れながら短針銃で、迫りくる兄弟や恐竜を狙撃
神経があるなら、痛みで一時しのぎにはなる
なるが、この銃でできるのはそこまで
UC「水魔アプサラー召喚」
我が友、これは君なくしてできない戦いだ、さぁ、頼むよ
アプサラーは流水を操る
周辺海域の海底を流れる冷たい海水を集め、島中に霧状に散布
変温動物の恐竜は低温下では活動が不活発化する
隙あれば「沈滞の投網」で兄弟を絡めとる
あとは皆に任せた!
地籠・陵也
【アドリブ連携歓迎】
元々搦め手は得意ではないし、グリモア猟兵を重点的に狙うなら都合がいい。元々みんなを守る為に【かばう】つもりだったから。
このバールのようなものをただのバールと思うなよ。
敵の先制UCを真正面から【高速詠唱】で編んだ【結界術・オーラ防御】を纏わせた状態で【武器受け】。【拠点防御】の応用と【継戦能力】で踏み留まる。
同時に【多重詠唱】し、【属性攻撃(氷)・範囲攻撃】して原始の魔物にも対処する。恐竜は寒さに弱いからな。
お前達も聞いたことがあるんじゃないか?「弁慶の泣き所」ってところをな!!
凌ぎきったら【指定UC】、命中力を重視した【レーザー射撃】を奴の脛にぶつけてやる!
クルル・ハンドゥーレ
連携アドリブ歓迎
よっしゃ、その勝負受けた!
あんたらの流儀にのって、その『オルキヌスの瞳』貰い受けたる !
WIZ
自分:敵UCはクロムキャバリアでバフ封殺
自分以外:見きりで対象確認、バフ封殺しつつかばい、攻撃は武器受け・オーラ防御で防御、カウンターで反撃
他の猟兵、UCにて召還した戦士と共闘
多くの魔物を巻き込むよう範囲攻撃と吹き飛ばしで対処、皆が動きやすいよう兄弟への道を開ける
迷彩で視認し難くし忍び足と暗殺で静かに敵死角に回り込み、フェイントで翻弄、マヒ攻撃・毒使い・鎧無視のせた攻撃で着実にダメージ与えかつ弱体化させる
どうにも消されへん業の塊なんかなあ、あんたらは
そろそろ眠ってもええんとちゃう?
エドゥアルト・ルーデル
せっかくだから言う
お前の腕どうなってんだよ!その武器持った5本目は!
【四腕】が当たるとジッサイヤバい、という訳で【流体金属】君と拙者の肉体を【融合】でござる!You have control.
拙者狙いなら身体の機動性、反射、思考の強化によって攻撃の隙間を縫うように回避
他狙いならば庇わざるを得ない!まあ流体ボディ故破壊され散らばった流体を再度集めてつけるのは容易なのでどうにでもなりますぞ
大型肉食恐竜などが来ても食されて良いですぞ!口の中で棘に変形!脳に向けて棘の拳で攻撃!流体金属と融合してるんだ変形ぐらいする
そのまま手の槍化や武器への変形と柔らかい流体の体を活かし変則的な戦いでバルバロスを刺す!
バルタン・ノーヴェ
アドリブOK!
なるほど。瞳とグリモア、あるいは賞金をベットに賭けると。
面白いデスネー、ん?
……恐竜の、肉!
レア食材の確保チャンスデスネー!
真っ先に大型草食を起点として、襲い来る恐竜たちをファルシオンで捌いてキッチンに収納して行きマース!
この機会をくれたバルバロス兄弟には感謝デスネー!
もちろんお仕事は忘れマセン。
グリモア猟兵やワタシより高い賞金首の方がいるならば、彼が狙われたところへ割り込んで、武器を持った腕を狙ったカウンターで防ぎマース!
ワタシが狙われたなら火炎放射器を顔に向けて放ち、目晦ましにしてダッシュで距離を取りマース!
反撃には援護を考えて、《必死結氷弾》を使用して、手足を拘束しマース!
●ジュラシック・アイランド
「なるほど。瞳とグリモア、あるいは賞金をベットに賭けると。面白いデスネー」
「よっしゃ、その勝負受けた! あんたらの流儀にのって、その『オルキヌスの瞳』貰い受けたる!」
バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)とクルル・ハンドゥーレ(逆しまノスタルジア・f04053)は気勢を上げる。その一方で、ゲニウス・サガレン(探検家を気取る駆け出し学者・f30902)は苦悩する。
「恐竜か……困ったな」
「どうしたんだ、ゲニウス?」
その様子が気になった地籠・陵也(心壊無穢の白き竜・f27047)は声をかけた。
「いや、博物学者としてはすっごく興味あるんだ……恐竜の生態……」
「……あー、確かにな。生きてるところを見られるの、他の世界でも無いものな……」
現在確認されている世界では、恐竜は隕石やより強力な種の出現など、何らかの理由で淘汰されてしまっている。そういう意味では、博物学者としてその生態を調査したいという欲求は当然のものだろう。
「拙者はむしろあんたら本人の生態が気になる件について。いや頭が2つあったりするのはまだ説明がつくんでござるよ。結合双生児って言って実際にそういう双子の方々がいらっしゃるし。むしろその腕どうなってんだよ!? その武器持った5本目は!?」
おかしいでござるよね!? としきりに首を傾げるエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)。身体の結合だけでは説明がつかないことに納得が行っていない様子だ。
「いや俺らに言われてもなぁ」
「……確かにこの5本目どっから生えてきたんだ、今まで気にしてなかったけど」
バルバロス兄弟、今更ながら自分の5本目の腕の出処を疑問する。大変だ、早くも空気がトンチキな方向に転がり始めた、と陵也とクルルは内心冷や汗をかき始めた。
「そう言えば恐竜って現存してるの骨だけでしたネー……ん? 肉がついてる恐竜? ……恐竜の、肉!? レア食材の確保チャンスデスネー!」
そんな一部の危惧を知ってか知らずか、バルタン、唐突に閃く。この絶叫に対しては流石に相容れない立場であるはずの他の猟兵4人とバルバロス兄弟の意見も一致するというもの。顔を見合わせて頷き、さんはい、とオルチが音頭を取れば。
「「「「「「お前恐竜食う気か!?」」」」」」
敵味方の垣根を超え、息の合ったツッコミがバルタン目掛けて飛ぶのであった。
閑話休題。
気を取り直したバルバロス兄弟、早速戦闘を開始する。狙うのはグリモア猟兵たる陵也だ。
「まずはお前のグリモアから頂くぜ!」
「好都合だ! 元々みんなを守る為にかばうつもりだったからな!」
巨体を活かして圧倒しながら、四腕に持つ武器全てを陵也に向けるバルバロス兄弟。陵也が身構える前で、他の4人はその陵也を全力で守る。
「かばうって言ってもあの四腕は当たると実際ヤバイですぞ! 拙者にお任せあれ! 流体金属君、You have control!」
「カウンターアタックはお任せくだサーイ!」
「デカさを活かした攻撃はこっちで封殺するで! あんちゃんは無理せんと自分の身を守ることだけ考えとき!」
陵也の直衛に回るエドゥアルト、バルタン、そしてクルル。エドゥアルトは自らの身体を流体金属と融合させることで破壊に対する耐性を得る。一方でクルルはキャバリア「Deus Ex Machina」に搭乗、巨体を活かした攻撃から陵也の身を守る。バルタンはこうして防がれた攻撃に対してカウンターを仕掛ける構えだ。
「私は動きを封殺しよう」
一方、スティングレイ短針銃を構えたゲニウスは浮かぶ大型スーパーボールのような陸生珊瑚の浮遊卵をばら撒いて撹乱しつつ、短針銃でバルバロス兄弟の腕を撃つ。
「ちっ、腕が痺れた……! あの学者、何撃ち込んだ!?」
「エイの毒だ。神経がある生物にとっては弱点だろう? ……陵也くん、一つ博物学者としてアドバイスだ。一説によれば恐竜は鳥類へと進化する過程で羽毛を得た。変温動物から恒温動物への進化を遂げたわけだな。6500万年前に環境の激変で死滅した恐竜だが、生き残った恐竜が鳥類に進化する上で羽毛を得るに至った原因の環境の変化とは何か、それを考えてくれ」
ゲニウスからのアドバイスに、陵也は頷く。そして皆を守るための最後の仕上げを施していく。
「このバールのようなものをただのバールと思うなよ……!」
陵也はゲニウスの攻撃で鈍った一撃を、バールのようなもので受け止めてみせる。結界術が施されており、さらに魔力のオーラを上から被せることで鉄壁の防御力を得たバールのようなものは、武器を砕かんとする一撃をやすやすと防いでみせた。
加えて、先刻のアドバイスを元に、陵也が反撃の一手として付け加えるのはバールのようなものから吐き出される冷気だ。
「隕石の衝突によって日光が遮られたことで、地球の平均気温は下がった……さらに、氷河期が訪れた。それまで温暖な気候で生きていた恐竜には寒さに耐性がなかったんだ! だからこそ……これは恐竜殺しの一手だ!」
「満点回答だ、陵也くん。変温動物は冷気が弱点となる。……ということで、私もその実証を手伝おう」
ゲニウスは頷くと、彼が友と呼ぶ水魔アプサラーを召喚する。アプサラーは流水を操る能力で、島の周囲の海域から冷たい海水を汲み上げて三つ目島全域に霧状に散布。周囲の気温は急速に下がり、恐竜たちは徐々に動きを鈍らせていく。
「今だ! まずは周囲の恐竜たちを蹴散らそう!」
「あ、それならあのメイドのねーちゃんがもう飛び出して行ったで」
「……おぉう」
クルルが指摘する通り、バルタンはカウンター攻撃でバルバロス兄弟が振るう武器の一つを弾き飛ばすと、そのまま草食恐竜たちを追い回し始めた。逃げ惑う草食恐竜達が次々とバルタンの愛剣ファルシオンで解体されてはその肉が携帯式キッチンの冷蔵庫に放り込まれていく。やがて肉食恐竜もターゲットされ、満面の笑みを浮かべながらファルシオンを振り回すバルタンから必死に逃げるティラノサウルス・レックスという、恐竜好きの子供が見たら確実に幻滅する光景が繰り広げられる。
「貴重な機会を与えてくれたバルバロス兄弟に感謝デース!!」
「えぇ……」
ハイレディンはそんなバルタンにドン引きしていた。
とは言え恐竜の数は多く、バルタン一人では到底手が回らない。迎撃に加わったエドゥアルトは敢えて大型肉食恐竜に食われ、体内で液体金属を変形させて体内から食い破っていく作戦で恐竜を撃破していく。さらにクルルがユーベルコード「残照」によって魔剣と魔導杖で武装したいにしえの戦士の幽霊が多数乗り込む幻影の船を召喚。数で恐竜たちを圧していく。
「本丸は任せた!」
スティングレイを撃ち込み、他の猟兵たちを援護しながらゲニウスは叫ぶ。
その声に応えるように、エドゥアルトは流体金属と融合した身体を絶えず変化させながらバルバロス兄弟に攻撃を加えていく。一方陵也は改良術式【秘された魔術書】によってレーザー射撃をバルバロスの脛目掛けてお見舞いした。
「ぐおぉぉっ!?」
「お前達も聞いたことがあるんじゃないか? 『弁慶の泣き所』ってところをな!!」
巨体と言えども、脂肪が薄い脛への一撃は骨に直接響くため、さしものバルバロス兄弟と言えど激痛に顔を歪める。さらに追い打ちをかけるのはバルタンが撃ち込んだ必死結氷弾。手足の血液が凝固し、身動きを封じられる。
そこへ死角から襲いかかるのは麻痺毒を用いたクルルの死角からのアンブッシュだ。バルバロス兄弟は動きを縫い止められる格好で、次々と手数を活かした攻撃に体力を奪われていく。
「どうにも消されへん業の塊なんかなあ、あんたらは。そろそろ眠ってもええんとちゃう?」
「へっ、安眠のためにもひと暴れ、ってとこだ」
クルルの言葉に気丈にもそう返すオルチ。その返答に、エドゥアルトは引っかかりを覚えた。
(こいつ……もしかしてここで死ぬつもりか?)
バルバロス兄弟の真意に疑問しつつも、戦いは続く。
大成功
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朱鷺透・小枝子
最期まで海賊として、戦うか…その意気や良し!
壊してやる、バルバロス兄弟!!
亡国の主を操縦
RX騎兵刀の念動力投擲。周囲の魔物達をなぎ払い、
怪力、主の手に持たせた2刀の騎兵刀でバルバロスの攻撃を防ぎ、おびき寄せ。あえてハイレディンの前に姿を見せる
早業、凝視された瞬間、ブレス攻撃。バルバロス兄弟の貌に向けて目潰し。
放ったのは、破壊の呪詛ではなく、雷光
雷の閃光で目眩を引き起こし、一時的に目の使用を封じる!
呑み込め、主よ!!
目眩で攻勢が緩んだ瞬間、『劫火業臨』バルバロス兄弟を越える程に巨大化し、武器を払って、武器生成、胸部装着グラビティガンで重量攻撃!
吹き飛ばして、スラスターで推力移動。追撃で切断する!
ヘスティア・イクテュス
なるほど、敵にしてはその誇り高き海賊魂。悪くはないわね
こっちだって平和とグリモアを奪わせはしない
それじゃあ正々堂々と海賊同士の戦いといきましょうか!
恐竜はティターニアで飛んで『空中戦』
更にスモークミサイルで視界を防いで【目潰し】見つからないよう空からバルバロスの元へ
SkyFish団船長、ヘスティア・イクテュスがお相手させてもらうわ!
相手の視線は狙われた人のホログラムで視界を反らしつつ【残像】
タロスで更に身を隠し退化から身を守る!【盾受け】
ティターニアブースト!『ダッシュ』で近づき、武器の満足に振るえない懐へ飛び込む!そのままE.O.Sで首を狙って!
スコグル・ノルン
覚悟も逃げも死に場所探しも
信念に基づくのなら、其れは己が己で在ろうとする姿勢
その姿は、貴方も含めてとても美しい
その美しさに敬意を払い、正面から立ち向かいましょう
●先制対策
どの様に【体勢を崩す】のか、どうしたら【吹き飛ばし】が出来るか、という知見を【戦闘知識】として活かし、体勢が崩れ難い様にします
【落ち着き】をもって【武器受け】をし、致命傷は受けない様に防御行動
●原始の魔物
反撃時にまとめて吹き飛ばします
もし先制と同時に着たら…【なぎ払い】で牽制できませんかね
●反撃
意識があり、地に立ち、物が握れるなら案外戦えるものです
私はまだ
倒れていません
【捨て身の一撃】のUC攻撃で地形ごと敵を【吹き飛ばし】ます
アルトリウス・セレスタイト
しぶとさは認めても良いが
退場しろ
戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し逸らし断ち捻じ伏せる
無限を超えて尚、無限に超え続け始めて入り口
形なき退化も魔物も届きはしない
姿は敢えて見せる
味方が狙われ対処が困難そうなら至近まで接近。自身の守りに取り込んで援護
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給
顕現にて討つ
自身含む味方へ創造、オブリビオンに破壊の原理を行使
全力の魔力を注いで干渉規模を最大化し速やかな討滅を図る
起動後は範囲に収める意図も兼ね近接戦
時の原理で自身を無限加速し間合いを侵略
纏う原理を無限に廻し、無限量の圧を乗せ打撃で際限なく撃ち込む
※アドリブ歓迎
●海賊として戦い、海賊として死ぬ
「最期まで海賊として、戦うか……その意気や良し! 壊してやる、バルバロス兄弟!!」
「信念に基づくのなら、其れは己が己で在ろうとする姿勢……それはとても美しいもの。その美しさに敬意を払い、正面から立ち向かいましょう」
「敵にしてはその誇り高き海賊魂。悪くはないわね。SkyFish団船長、ヘスティア・イクテュスがお相手させてもらうわ!」
「その信念は認めてやっても良い。だからこそ敢えて言おう。退場しろ」
朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)、ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)、スコグル・ノルン(気ままな戦乙女の悪魔・f32014)、そしてアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)の4名の猟兵は、バルバロス兄弟のあくまで海賊であろうとする姿勢に、四者四様の敬意の表し方で相対する。
「あぁ、最後のひと勝負と行こうじゃねぇか! さぁて……グリモア猟兵! お前を潰す!!」
バルバロス兄弟が優先攻撃目標として選んだのはスコグルだ。しかし、スコグルは自分が狙われるのはわかっているとばかりに泰然と構え、姿勢を崩さぬように防御態勢を取る。
「視界はこっちで反らすわよ!」
空中から恐竜たちをスモークミサイルで撹乱しつつ、スコグルのホログラムをその場で編み上げてバルバロス兄弟の視線を反らすヘスティア。さらに鏡面ドローンのタロスを散布して「オルキヌスの瞳」による凝視を防ぐ。
「ヘスティア殿、後はこちらにお任せを!」
視線が反らされた先に敢えて愛機たるキャバリア「亡国の主」を飛び込ませた小枝子は、四腕からの攻撃を2刀の騎兵刀で弾きつつ、顔面めがけて雷光のブレスを浴びせることで眼の使用を封じた。騎兵刀は壊れるかと思いきや、なんと刀身に傷一つない状態が維持されている。
「……っ、武器が砕けねぇだと!?」
「それはこちらで対処した」
アルトリウスが自らの異能たる「原理」で編み上げた11の原理を循環させる防御術式に、猟兵達4人を巻き込むことで強化することでバルバロス兄弟の攻撃力を減衰させたのだ。バルバロス兄弟の攻撃で発生する運動エネルギーは循環する11の原理がベクトルを反らす。結果として武器破壊に至る物理的エネルギーが確保できなかったのだ。もちろん、このアルトリウスのファインプレーによってスコグルも姿勢を一切崩すことなくバルバロス兄弟の攻撃を受けきってみせる。
「では、一気に決めるぞ、皆」
アルトリウスが発動したのはユーベルコード「顕現」。自身含む味方へ創造、オブリビオンに破壊の原理を行使する。他3人の反撃をサポートすべく原理由来の強化を与え、バルバロスには周囲の空間を崩壊させることで継続的にダメージを与え続ける。
「了解であります! 呑み込め、主よ!!」
バルバロス兄弟を越える程にその機体サイズを巨大化させる亡国の主。生成した胸部装着グラビティガンでバルバロス兄弟の動きを封じた。
「私はまだ、倒れていません。ここに健在です……!」
そう告げながら地面も砕けと言わんばかりの一撃を叩き込むスコグル。グラビティガンによる重力と破壊の原理による空間崩壊も相まって、バルバロス兄弟は空中に投げ出された。
そこへ飛来するのはヘスティアだ。背中に背負った白いジェットパック「ティターニア」から放たれるアフターバーナーの軌跡も鮮やかに、バルバロス兄弟の懐へと飛び込んでいく。
「は、ははは……やっぱ俺らよりもつえぇなぁ、猟兵……」
「言ったとおりだろ、オルチ兄……だから、こいつらなら俺達より『オルキヌスの瞳』を上手く使いこなせるんじゃねぇかってさ……」
空中に身を泳がせながら、末期の会話を交わす兄弟。
「では、約定通り……そのオルキヌスの瞳、首ごと貰っていくわ」
「あぁ、悔いはねぇ、楽しかったぜ」
「俺達に勝った上でオルキヌスの瞳も持っていくんだ……絶対に他の奴らに負けんじゃねぇぞ!!」
その言葉に、ヘスティアは頷く。
「その言葉、同じ海賊として受けましょう。安心して眠りなさい」
ヘスティアのE.O.S.が閃き、バルバロス兄弟の首が揃って刎ねられる。その瞬間の兄弟の顔は、どこか満ち足りたものであったという……。
──羅針盤戦争、作戦コード「オペレーション・ペルセウス」、完遂。
バルバロス兄弟、海賊としてグリードオーシャンで生き、海賊としてグリードオーシャンの大海原に死す──。
大成功
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