羅針盤戦争〜敗退の闇嫌う王~
●薄紙の裏表
「諸君。勝利を確信した時が、一番の敗北に変わる危機を孕む時だ」
グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは指でコインを弾き飛ばすと、それを掌の中に掴みながら語り出した。
「たかが一つ、であっても……その一つが致命傷になるのもまた常だがね」
敢てコインの裏表、どちらが良き選択かは伝えずに、彼女はコインを仕舞うとグリモアを羽根ペンに変えてそれを手に取った。
「さぁ語ろうか。舞台は敗退の明暗、今こそ別たれる瀬戸際のグリードオーシャン! 君達には『一の王笏』を撃破しに行って貰いたい」
羽根ペンのグリモアが紡いだ映像の中、黒を基調にした豪奢な貴族的な様相の服を纏ったオブリビオン・フォーミュラの姿を映し出す。
それこそがカルロス・グリードの分身体、『一の王笏』と呼ばれる存在だった。
「敢て詳しく説明しなくても良いとは思っているが、彼はダークセイヴァーの力を使ってくる」
紋章と呼ばれる特別な道具が、ダークセイヴァーで大いなる脅威を齎しているのは、猟兵達にとっても分かっていることだろう。
例外なく、退廃と闇の世界の力を纏った彼も、厄介極まりない紋章の力で攻めてくるのだという。しかも厄介なのは紋章の力だけでなく……。
「その上、戦場は深い霧に覆われ、彼以外は視界を封じられる」
本拠地となる島の全体は黒い霧で深く覆われており、その中では視界をほぼ封じられてしまう。
更に性質の悪いことに、カルロス・グリードだけは原理は不明だが霧の影響を受けず、通常通りの視界を確保しているのだという。
「よって君達には、その霧と、先制攻撃の二つに確り対応した上で臨んで欲しい。今から言うのが彼の紋章の能力だ」
力に秀でた者には【餓える狼の紋章】の力を解放し、身長の三倍の黒狼――非常に強力な存在となって、闇に溶け込みながら襲撃してくる力で。
技巧を得意とする者には、【略奪者の紋章】の力を用いて、筋力・早さ・意志力のそれぞれを奪う爪で猟兵の力を奪ってくる。
魔術的なものに優れた者へは、【凍影竜の紋章】の力で触れる者を凍てつかせる氷の身体のドラゴンと、影に潜み精神を喰らう黒影のドラゴン――その両方がカルロスと同等の力を持つ、強力な援軍を呼び出してくるのだという。
「視覚に頼れないディスアドバンテージの中で、それに対応するのは厳しいだろうが……それでもしなければ決して勝てない」
終の王笏と比べて劣るところがあっても、曲がりなりにもフォーミュラである。
戦場の地の不利と先制攻撃の両方の対応を行った上で、漸く勝機の見出せる相手と語る。
「輝かしい栄光の裏には、いつだって深い闇がある。それは薄紙の隔たりでしかないのかもしれない。しれないのだけれども……」
一通りのことを語り終えたスフィーエは、息を吐き出しながらメモ帳から一枚、薄くひらひらした紙を手に取り泳がせながら語り出す。
違いは極々僅か、されど大きく未来を違えた物語は決して珍しくもなく――悪しき結末の迎えること無きようにと彼女は微笑み。
「その一枚といえど、別たれた世界は大きな差だ。くれぐれも油断なく、最後までやって欲しい……では、準備が出来たら声を掛けてくれたまえ」
グリモアの淡い輝きが戦場への門を開き、彼女は声が掛かるのを待つのであった。
裏山薬草
●注意!
戦争の終結が近いので、採用人数は4~6人程度の最低限に留めさせて頂きます。
前回参加されなかった方を優先といたします。悪しからず。
どうも、裏山薬草です。
暗躍って上手くできれば気持ちいいですよね。
実際はバレたら割と袋叩きになったりするものですが。
今回は、オブリビオン・フォーミュラの分身体ダークセイヴァーVerとの決戦をお送りしたいと思います。
敵は指定ユーベルコードと同じ属性のユーベルコードで先制攻撃を行ってくる上に、戦場には皆様の視界だけを封じる黒い霧が満ちています。
なので先制攻撃への対応と、黒い霧への対応があればボーナスとなります。
どちらか一方だけではボーナスにならないのでご注意を。
プレイングの受付状況に関しては、タグにてお知らせします。
送信の際にはご確認お願いします。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
裏山薬草でした。
第1章 ボス戦
『七大海嘯『一の王笏』カルロス・グリード』
|
POW : 餓える狼の紋章
【紋章の力】を使用する事で、【身体のあちこちに牙を思わせる鋭い角棘】を生やした、自身の身長の3倍の【黒狼】に変身する。
SPD : 略奪者の紋章
【筋力を奪う爪】【速さを奪う爪】【意志の力を奪う爪】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 凍影竜の紋章
戦闘用の、自身と同じ強さの【触れる者を凍てつかせる氷の身体のドラゴン】と【影に潜み精神を喰らう黒影のドラゴン】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
イラスト:hoi
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
黒田・牙印
・闇の中での戦闘か……ハ、俺がまだワニだった頃を思いだすねぇ。光のない下水道、それも水中。さあ、昔取った何とやら。試してみるか!
・昔の俺がやってたのはとにかく「待つ」ことだった。そして俺は猟兵で奴はオブリビオン。奴は俺を放置はできねぇ……そういう風にできてるからな俺らは。因果なモンだよ、全く。
・加え、奴は「狼」になると聞いた。ならば、その攻撃は噛みつきに準ずる。偉い学者が言ってたな、噛みつかれたらチャンスだ、と。奴が噛みついてきたら筋肉を「怪力」で締めて牙が抜けないようにし、そのまま捕まえてUCで投げまくってやる。こうなれば闇もクソもねぇからな。
体力が続く限り大地に叩きつけてやるぜ!
●肉咬骨砕
驚くものもいれば驚かないものもいるのかもしれないが、存外に鰐という生き物は賢い――少なくともただの猪武者ではない。
故に“かつてそうであった”この男もまた、一切の光差さぬ闇の中、そうであった時のことを思う。
(ハッ、俺がまだワニだった頃を思い出すねぇ……)
昔取った杵柄、同じ光差さぬ下水の中、獲物に乏しき場所で出来ることは、余計な力を使わず。只管に待つ。待って待って、射程に入ったら閉じることに特化した顎で挟んで残さず喰らう。
黒田・牙印(黒ワニ・f31321)は恵まれた体躯と大きく裂けた口の中、並ぶ牙にかつてを想起しながら只管に闇の狼を待っていた。
――グルァ……!
その最中、時々に響き渡る悍ましき唸り声と、向けられる敵意に鱗の逆立ちを強く感じる。
このままいつまでも膠着が続くのかとも思われるが、待つのはお手の物、それに――
(まあ、因果なモンさ。ある意味な?)
自分が猟兵で相手がオブリビオンである以上、攻めずにいられないだろう。ましてや獣とその身を変えるのならば猶更に。
それ故に牙印は、隆々と盛り上がった筋肉に緊張を巡らせながらも只管に待ち構える。獲物が射程となるその時を。
「……」
「……」
鱗の逆立ちがより強くなり、己が内の心臓が早鐘を打ち始めていった。確実に分かる。敵意がより鮮明に感じられるのが分かる……!
――来る!!
「グルァァアアアッ!!」
痺れを切らしたか数多の棘を備えた、牙印の上背を上回る巨躯の、その顎門が屈強な身体に牙を突き立てた。
頑強な表皮や引き締まった筋肉の鎧を貫き、少なくない苦痛を齎すも――
「へっ、どうした!? そんなんじゃ喰えねぇぞ!?」
体躯の差は絶望的ではない。
カルロス自身の身長の三倍はバイオモンスターの上背の上をいけども、少なくとも丸呑みの憂き目に逢うほどでなく。
それ故に突き立てられる牙に、咢の字を戴く生物に劣らぬか、それ以上にも迫る咬合力に、牙印は必至に耐え抜く。
「オルァァァアッ!!」
そして噛み付きは最大のチャンス、引き締めた筋肉で闇狼の牙を抜けぬように捕えながら、彼は全ての剛力を振り絞る。
上背の二倍はある体躯を軽々と持ち上げ、揺らぐ牙が内側から筋肉を苛めようと構わずに、力持ちの膂力で狼の身を地面に叩き付ける。
硬い地面と凄まじい膂力が齎した叩きつけが備わった棘も、骨も砕いていき、何度も、何度も、何度でも――!
やがてはその牙が圧し折れ、自然と抜けるのと同時、牙印が体力の全てを使い果たすまで持ち上げと叩きつけは続いていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ニィエン・バハムート
・先制対策
敵の攻撃タイミングをなんとなくでいいので【野生の勘】で察知し、首飾りとオーラで威力・射程が強化された電撃【属性・範囲・マヒ攻撃】を自分は目を瞑り思い切り放つ。電光も敵を【目潰し】できる程に強化して。よく見えていてしかも獣になっていたなら効果覿面でしょう?
電撃を放って手応えがあった方向に【衝撃波】を放ち姿を捕捉したら、敵にマヒが残っているうちにUC発動。無限に増殖する爆鳴気炎とその炎の爆発が霧を吹き飛ばし視界をある程度確保。炎を敵に向かわせるように衝撃波、念動力で操作。更に【オーラ防御】を炎を誘導する壁のように扱う等もする。
この悪趣味な霧ごと竜王の息吹で消し飛ばしてやりますわ!
●竜の吐息、今昇るか
一切合切の光が視覚として届かないのならばと、彼女は自ら目を伏せた。
閉じられた瞼がスイッチとなったように、それを補うように脳の領域は他の神経を活発にし、何か突き刺すような感覚が肌に迫る。
「……」
ニィエン・バハムート(竜王のドラゴニアン(自称)・f26511)の人間ではない、獣めいた勘が研ぎ澄まされ、時を告げている。
――黒き霧の中、獣の巨躯を闇に紛れさせ、その爪牙を突き立てようとする気配を。
その鋭き名剣の如きそれが、今にもニィエンの肌を削ろうとしたその瞬間、真白き閃光と耳をつんざくような轟音が響き渡った。
「グルァアアアア!?」
「おーっほっほっほ! ご自分だけよく見えていて、しかもそのお姿……効果覿面でしょう!?」
闇狼が地を蹴った瞬間、ニィエンは掌を突き出し彼女の全方位へと雷を解き放っていたのだ。
死後の安寧を犠牲に、己が電撃を高める竜王の闘気を首飾りの力で数倍にも高め、放たれたそれは闇狼の巨躯を焼き、迸った閃光がその眼を、轟いた轟音が耳を潰し知覚を眩ませていた。
そして休むことなく、雷の手応えを感じた場所へ即座に不可視の衝撃波を放ち、呻き声と手応えを以てカルロスの存在を捉えると、ニィエンは分析する。
「グルゥゥ……!」
(あまり長持ちはしませんわね。ですが)
竜王の闘気が強化した雷の痺れは、確かにカルロスの身体を封じてはいる。
しかし彼はオブリビオン・フォーミュラ――長くは封じられないことは承知の上、されど一時で十分であるのもまた道理。
今こそニィエンは大きく息を吸う――黒い霧も吸い込まれるが別に害はなく、さりとて視界は晴れぬ、されど膨らんだ肺と血中に満たされた酸素は身体を熱く昂らせ、彼女の内の力を只管に高め――
「この悪趣味な霧ごと竜王の息吹で消し飛ばしてやりますわ! バハムゥゥゥット!」
開かれた顎門のその前に、水と雷の衝突で生まれた爆鳴気の業火が踊り――
「オーバード……ヘルッ……ブロアーーーッ!」
解き放たれたる業火は、それこそ正に竜王の息吹が如く増殖を続けながらカルロスの巨躯を包み込む。
深く暗い闇の霧が中、その霧すらも吹き飛ばすように、無尽蔵に増殖を続ける業火と爆発が一時、暗き霧をも晴れさせて。
痺れを振り払った筈のカルロスの身に、抵抗を許さず、衝撃と念力が軌道を操り増え続ける爆鳴気と炎がカルロスを追い詰め、熱と衝撃がその身を削り――
「竜王の息吹からは、逃がしませんわよ」
紡ぐ闘気による障壁は真っ直ぐに、カルロスと爆鳴気を繋ぐ道を作り上げ、爆ぜる業火は只管にカルロスの身を灼き。
神竜(バハムート)の吐息に恥じぬ業火は、派手に闇を一時照らすのだった。
大成功
🔵🔵🔵
水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:ロキ
優位に立てば慢心も生まれるもの。視覚で優位に立っていると思っていれば、必要以上に視覚を使おうとしてしまうものです。
魔銃を土属性にし、自身の周囲1歩分だけをぬかるみに変えます。転倒目当てに見えれば上々。魔銃を光属性に変え、袖に隠しておきます。
音に集中し、足音が消えた瞬間、そちらへ向けて魔銃をトリガー。目くらましです。同時に振り抜かれた爪はUDC液体金属を巻き付けた腕でガード。当たったのはUDC、筋力も意志もありません。
防いだUDCで爪を巻き込むように雷属性の盾を構築。そのまま電気を流し込みます。倒せればよし、倒せなくともマヒで動けません。氷属性の短剣を構築し追撃します
●思考の泥沼
――絶対的な有利、ともすれば覇権となり得る。
それほどまでに視覚というものの存在は大きく、だからこそ付け入る隙もある。
闇の中で青年は穏やかに笑みながら銃を一つ取り出し、己の周囲に向けて、其処から魔力の籠った弾を放った。
地面に突き刺さった弾が結界を作るかのように、籠められた魔力、大地の力を操るそれが流れ出し、青年の、水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)――正確には内に眠る人格の一人ロキ――の周囲をぬかるみに作り上げた。
されどそんなロキの耳に、何処か呆れたような、感情の籠らない声が届く。
「踏み込めば足がとられるか。丸見え、だ」
打ち鳴らされる爪の金属音にも近い響きと、その手には乗らないという闇の王からの声が響く。
足音の響きや、爪の打ち鳴る音が響いてくる位置を変えるのも目まぐるしいのは、彼が煽るように周囲を回っているからだろうか。
「……」
互いの息遣いが嫌な湿り気を帯びた緊張として纏わりつく中、不動のままのロキと周囲を探るように動くカルロスが対比される。
(何を考えている……?)
カルロス・グリードは考える――自分以外の存在は視界を確保できない筈だと。
だからこそ、見え見えの罠を仕掛ける理由は分からない。ぬかるみを作り出した以外に何かをしているようにも見えない。
されど引っ掛けるには爪の射程は寸での所で届かぬ訳でもない――全てがちぐはぐにも見えた。
その一方でロキはというと。
(なまじ見えるから……ですね)
音が背後に聞こえた瞬間に、ロキは銃に宿す力を変えてそれを袖に隠していた。
巡らせたぬかるみに気付かず、攻めてきてくれた方が余程対応も間に合わず、痛手を被っただろう。
そして――足音は消える。
勝負の時だと察すれば袖に隠した銃の属性――地ではなく光――を解き放ち、初撃を目晦ましによっていなしつつ。
追撃に振り下ろされる爪を、今度は名状し難き怪物の液体金属を腕に纏わせ受け止める――
「ッ……!」
「手応え、あり……む?」
受け止めたのは筋力も意志も無き怪物、速さを減じられたとしても意味はなく――液体金属が花開くように広がり、そのままカルロスの身体を、爪を包み込んでいき。
「わざわざ言うほど、親切ではないので」
カルロスの疑問にそれのみを返答としロキは液体金属に雷を迸らせ、カルロスの身を焼いていきながら。
身を仰け反らせた王の、その喉笛へと氷で出来た短剣を突き立てて――出血も苦悶の呻きも許さずに、死の宿命を打ち込むのだった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
【聞き耳】で敵陣のたてる僅かな音も聞き取り
風の流れやドラゴンの纏う冷気、呪詛等を読んで位置把握
ドラゴンの位置が分かればカルロスも恐らくその側に
持ち前の【学習力】も駆使し【空中戦】による回避で先制対策
念の為炎魔法と【呪詛耐性】を【高速詠唱】で編み込んだ【オーラ防御】で威力軽減し、避けられないダメージは【激痛耐性】で耐える
またすぐに元の暗闇に戻るとしても
一時的にでも世界を上書きする術はある
【指定UC】を発動し
戦場一帯に【破魔】を広げて【浄化】による【範囲攻撃】
ドラゴンとカルロスを纏めて足止めし
僕とは相性悪すぎたね
孤独な闇に終焉を
最後に勝つのは…僕達だよ
光の【属性攻撃、全力魔法】で追撃
ナイ・デス
大魔王の放っていた「ダークゾーン」
一切の光が使えないあれよりは、だいぶマシ、ですね
【激痛耐性】視覚が再生待ちで使えない状況も、慣れてる
【第六感】で周囲把握して
【浄化、生命力吸収】する「聖なる光」を【レーザー射撃】のように両手から、剣のような長さで放ち続け【なぎ払い切断】
霧を吸収、払いながら【推力移動ダッシュ】
霧と同じように、カルロスさんも斬ろうと
ドラゴンも……帝竜と比べれば、です!
【目潰し、範囲攻撃】全身から光を放つ。霧も影も晴らす光
【継戦能力】氷も溶かす、癒しの光
あなたの、あなた達の力は強い、ですが
勝利するのは、私達、です……!
『光の加護』
自身に、近くにいる猟兵に宿し【覚悟】を
霧を、払います
クロス・シュバルツ
アドリブ、連携可
一の王笏。このカルロスの分身体と戦うのも何度目か……お互い、そろそろ終わりにしたいものですよね
氷のドラゴンへは攻撃の準備音が聴こえたならその方向に向かってピックを『投擲』、『マヒ攻撃』で僅かに動きを鈍らせた所で『ダッシュ』で離脱
影のドラゴンは『オーラ防御』と『呪詛耐性』で精神への侵食を抑え込み、自分のUC発動までの『時間稼ぎ』
UCの効果で纏う白く輝く闇が黒い霧を侵食する事で、周辺を幾らか照らしていく事で視界を確保する
闇の波動でドラゴンの動きを弱らせ、その隙にカルロスにも衝撃波を放ちながら接近、自身の白い闇に紛れこませて、鎖で『不意打ち』して隙を作り、黒剣の一撃でカルロスを攻撃
●闇、終わる時
光そのものである者。
光に導かれた者。
闇の血を引き生まれた者。
宿神と天使と魔、光と闇の在り様の三者三様がこうして集い、闇の王を待ち構える姿は何とも言えぬものがあるか。
繰り広げられ続けた激戦の匂いも残る中、一切の光差さず気配だけで共に戦う戦友と背と背を補い合いながら、魔が口を開いた。
「そろそろ終わりにしたいものですね」
幾度となく繰り広げられた王笏に続く王笏の戦い、最早互いに勝つも負けるも終わりにするかと厭戦めいたことを口にする。
魔――クロス・シュバルツ(血と昏闇・f04034)のそんな呟きに、天使は、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は簡単に頷いてみせた。
「そうだね。……、……」
その後の言葉を続けないのは、耳と気配の全てを駆使し、闇の王が操る竜の接近をいち早く察知する為か。
揺らめく白い翼の羽根に風の揺らめきを、肌に空気の温度の微かな差異を――敵の接近を僅かでも見落とすこと無きようにと、澪は神経を張る。
(光が全く使えない状況ではないのが、幸いです)
故に口に出すこともなく、それに倣いながら宿神のナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は一切の視えることなき戦場を思う。
かの蒸気と迷宮の世界の戦争、その頂点に在った大魔王の作り出した完全なる闇の領域と違って光そのものは無力化されないことと、その有難味を。
そうして無言のまま、三人は待ち構えていく。
この何も見えぬ闇と恐ろしさよりも、尚深く恐ろしい闇と氷の化身と、それを従える王の存在を。
そして――言葉は届かなくとも、三人は同時に存在を感じ取れば、澪の言葉に二人は続けた。
「――来るよ、二人とも」
「ハイ」
「ええ」
――最初に感じられたのは極低温を齎す氷の竜が、大気中の塵を凍てつかせ乾いた音を立てて弾ける音だった。
金剛石の名を冠する自然の美と脅威、見えぬのが口惜しくも触れれば死を齎すそれに対し、澪が最初に動いた。
はためかせた翼で空を舞い、翳した掌が生み出した光と炎の障壁が通り過ぎ行く氷竜の絶対零度を和らげる。
されど齎される低音の、肌と肉の突き刺さり裂けるが如き苦痛の如何ともしがたきではあるが、氷弾ける音を頼りにクロスが咄嗟にピックを投げつけた。
闇を纏い防護を貫くそれが氷竜の脳天へ正確に突き立てられれば、氷竜は悶えながら下がっていく。すぐ様に反撃に出てこないのは、ピックに仕込まれた麻痺の呪毒が作用しているからか。
されど彼らに油断は許されず、氷竜を捌いても入れ替わるように影の竜が飛び込んでくる。
――次の瞬間、襲い来るのは物理的な寒さではない、とてもとても嫌な寒気だった。
心を蝕む影の竜が通り過ぎ、三人の精神を呪いで蝕んでいくも、彼らは耐え抜く。
恐ろしき呪いの力、何度も折れそうになる心――それでも、彼らの瞳には闇は齎されない。
何故ならば勝利を諦めていないから――次の瞬間、戦場を激しい光が迸っていった。
「――見えないだけで、光はあります」
「ぬぐぅぅっ!!?」
夜の時であろうと光が存在していない訳でないのと同じように――増してカルロスと竜達だけが見えるのならば、この光は覿面か。
ナイの内側から発せられた眩い光がカルロスと、二つの竜の眼を一瞬で焼くように広がり、光の孕む熱量が氷竜の齎した極低温を和らげて。
そして光そのものが持つ優しさや柔らかさのような感覚が、呪詛に蝕まれる心を優しく癒す――正に希望の光。
「白き闇が、全てを包み、飲み込み……溶かす」
「貴方の闇に、希望の輝きを」
その希望に一瞬、怯んだカルロスと竜達の存在を確かめ、クロスと澪が動いた。
クロスの身体よりじわじわと広がっていく白き闇が、戦場を濃密に満たす黒い霧とコントラストも強く際立ちながら。
広がっていく白い闇が視界を封じ込める暗きを緩和し、徐々に視界を晴らさせていき。
更に追い撃つように天上から、柔らかな、それでいて心清められるかのような光が降り注いだ。
否、光だけではない――光の中、煌びやかに瑞々しい輝きを放つのは、色とりどりなる花だった。
白き闇の中、この世のものと思えぬ華美なる光と花々が注ぐ。
それは数多の世界にも見られない、天上の如き光景――二度見ることは決して叶わぬその光景かもしれない。
そして光と花が齎す悪を浄化するフィールドの中、勢いを弱めた双竜とカルロスへ、正しい闇を生み出したクロスが目を向ける。
突き出した掌から溢れ出た闇の波動――無論、悪を浄化するという環境にイレギュラーとならず、悪の闇を浄化する闇となって、双竜とカルロスの身体を縛り付ける。
光と闇、混沌としていながらも美しき浄化にて、二つの竜とカルロスが力を奪われ膝を着けば。
今こそ好機と、ナイは両掌から眩い光を伸ばしていく――両掌から何処までも、そして鋭く――それは宛ら、竜殺しの聖剣の如く伸ばされて。
「ドラゴンも……帝竜と比べれば、です!」
恐るるに足らず。
浄化の輝きによって出来たそれは、天上の如き環境に後押しされ、その威容は更に高まっており。
ナイの手が薙ぎ払われていけば、伸ばされた光の刃も当然、激しくカルロスが呼び出した双竜を一瞬で巻き込み――
「おのれ……! おのれ……!!」
閃光が晴れ視界が戻ったかと思えば、次の瞬間には袈裟懸けに斬り裂かれた身と刻み込まれた鮮血。
薙ぎ払った一瞬で即座に距離を詰めたナイが、カルロス本体を斬り裂き、竜を完全に消滅せしめていた。
「あなたの、あなた達の力は強い、ですが。勝利するのは、私達、です……!」
「僕とは、僕達とは相性悪すぎたね」
光刃を振り抜いたナイが力強くカルロスへと宣言すれば、澪がその言葉に続き。
してやられた、と言わんばかりの悔しさを顔に浮かべながらも、カルロスはゆっくりと立ちあがった。
「構わん。もう一度呼び出すまでだ……!」
一度や二度消された所で諦めない――清らかな光と白闇が照らす形相に怒りを滾らせたカルロスが紋章を潰しかねないほどに強く握った。
肉体を閉じ込め心を喰らう氷と影の竜が、蒼白と黒の揺らぎの中生まれようとしたその瞬間だった。
「させませんよ」
白き闇に紛れたクロスが放った鎖が、カルロスの身を強かに打ち据え、双竜の具現を無として。
散らされた竜の姿に歯噛みするカルロスの足首を、更にしならせた鎖で捲き上げると、強引にそれを引っ張り上げてカルロスの背を地に叩き付けさせる――!
「光の加護を、癒しの力をここに。一緒に、戦いましょう。一緒に、勝ちましょう」
そしてナイは自分も、澪にも、クロスにも――とてもとても眩い輝きを齎した。
すれば彼らの身体に湧き上がっていく力の滾りが感じられる――少なからず受けた傷も、消耗した身体の力も元に戻っていく。
黒霧の残滓も完全に消え去るほどに、眩き光が二人に力と、そしてここで決めるという覚悟を強く齎せば。
「今一度言いましょう。……もう終わりにしましょう、お互いに」
改めて起き上がろうとしているカルロスへ、クロスは静かに距離を詰めていき。
歯噛みしながらも紋章を取り出した手を、黒剣の一撃で紋章を刎ね飛ばすと、そのまま剣の腹で手首を叩き払いのけさせて。
擦れ違い様に閃かせた黒剣の、注ぐ光と対照の闇色の斬撃がカルロスの首筋を擦れ違い、鮮血を頸動脈から噴き上げさせていき。
そして。
「孤独な闇に終焉を、最後に勝つのは……僕達だよ」
首を抑え膝を着いたカルロスが見たものは、体中から溢れ出る光――激しい黄金に輝く光を、巨大な、それこそ攻城もかくやなる矢と番えていた澪の姿が其処に在って。
全身全霊を傾けた眩い閃光の矢が、孤独なる闇の王を骸の海へと還していくのだった――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵