羅針盤戦争〜逆襲の狂竜王~
●クレイジーなぐらいに追撃を
「諸君。まずは大変感謝する。君達の奮闘のお陰で、この世界のオブリビオン・フォーミュラを着実に追い詰めていけている」
グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、改めてグリモアベースに集まった猟兵達を見回すと、着実にカルロス・グリードを追い詰める光景を映し出した。
順調にいけばかの存在を倒すことは遠からぬこと、しかし彼女は改めてその脅威を語る。『王笏』は全てを制圧しなければ倒れない、と。
「しかし彼は分身体も残さず倒さねば本当の意味で倒れない。今一度頑張って欲しい」
そう言って彼女はグリモアに羽根ペンを象らせると、それを握った。
「さぁ語ろうか。宴も酣、血と戦火に狂うグリードオーシャンこそ今回の舞台! 君達には『五の王笏』を倒しに行って貰いたい!!」
朗々たる語りとグリモアが映し出すは、幻想と竜の世界、そこに住まう最強竜の一角の力を纏ったオブリビオン・フォーミュラの姿だった。
「何度か説明を受けた者もいるだろうが、彼はアックス&ウィザーズの帝竜が一つ、ベルセルクドラゴンの力を纏っている」
記憶に鮮烈な猟兵も少なくはない、かの世界のフォーミュラに次ぐ力を持った狂える竜の力、その脅威は言わずもがなだろう。
しかも性質の悪いことに、彼の周囲には白骨化しているといえど、恐ろしき竜が爪牙を打ち鳴らし獣の攻撃性を露わにしてい光景も見える。
「おまけに戦場には、白骨化した古竜が大量にいて、それを操ってくる」
特別な力を持たない、爪牙や尾だけで攻撃してくるだけの存在だが、兎にも角にも大量に用意されている。
しかも瞬間思考で適切な用兵を行う将が操る以上、一角の戦力となり得ると語った。
「故に君達には、大量の古竜に対応しつつ、先制攻撃に対応して貰いたい。もちろん、その両方だ」
力に秀でた者には、鎧から凶暴化させるブレスを放ち、ルールを強制してくる――簡単に守れるルールであればあるほど強力な痛みを与えるそれだが、凶暴化させられては堪えるのも難しくなるだろう。
敏捷に優れた者には、身体強化、それもドラゴンに変身すればより速く動き強力な攻撃を叩き込んでくる力で。
魔力に突出した者には、自身や竜に敵意を向けた対象……実質的に相対する敵へと、負傷の分だけ力を増すオーラで攻撃してくる。
「終の王笏に比べれば劣っても、それでも十二分な強敵だ。油断は死に繋がると気を引き締めて望んで貰いたい」
重ね重ね言うが、大量の白骨竜に対応しつつ先制攻撃への対応をし、それで漸く土俵に立てるほどの相手。
曲がりなりにもフォーミュラであり、残党処理に近い状態であっても甘く見てはいけないと、彼女は厳粛に語った。
「戦争もあと少しで終わる。しかし最後の最後で逆転劇というのは、される側には堪らないものだ」
一通りの語りを終え、スフィーエは額の汗をコートの袖で拭い。
されど、と前置きをしてから、深い藍色の四つ翼を一打ちさせると、改めて場の猟兵に銀灰色の眼を向けて。
「だがそれは少しの奮闘で潰せること。今一度、君達の力を貸して欲しい」
グリモアの輝きが、最後の戦いへの門を開いていくのだった。
裏山薬草
●注意!
戦争の終結が近いので、採用人数は4~6人程度の最低限に留めさせて頂きます。
前回参加されなかった方を優先といたします。悪しからず。
どうも、裏山薬草です。
実は先日、あの骨がホワイトチョコになってるチョコレートの発掘に成功しました!
結局美味しくいただくことに変りはないのですが。
さて今回はやや消化試合気味ですが、カルロス・グリードとの戦いをお送りします。
オブリビオン・フォーミュラ分身体アックス&ウィザーズverですね。
敵は指定ユーベルコードと同じ属性のユーベルコードで先制攻撃を行ってくる上に、大量の白骨化した古竜を従えてきます。
なので先制攻撃への対応と、大量の白骨化した古竜への対応があればボーナスとなります。
どちらか一方だけではボーナスにならないのでご注意を。
プレイングの受付状況に関しては、タグにてお知らせします。
送信の際にはご確認お願いします。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
裏山薬草でした。
第1章 ボス戦
『七大海嘯『五の王笏』カルロス・グリード』
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POW : アリエント・ドラゴーン
【鎧から放射される凶暴化ブレス】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : エスパーダ・ドラゴーン
【鎧の身体強化】による素早い一撃を放つ。また、【肉体をドラゴン化する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : イーラ・ドラゴーン
【自身または竜に対する敵意】を向けた対象に、【負傷の分だけ威力を増す狂える竜のオーラ】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:hoi
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
イコル・アダマンティウム
「鎧で、賢く……?」
頭……大丈夫、かな?
格闘特化の愛機に搭乗して出撃する、よ
【対アリエント】
これは、当たると拙い
「……ん、こっち」
<ダッシュ>と<ジャンプ>で回避に専念する、ね
時間稼ぎが狙い
【対古竜】
ブレスの回避に専念してる間は古竜を
足場やブレスを防ぐ壁として利用する、よ
頭の上を<踏みつけ>て距離を稼いだり
その体が壁になるよう、走り抜ける、ね
「鈍い」
【攻撃】
ずっと逃げて、隙を待つ<継戦能力>
「外付けは、寿命が短い」
元々の思考力じゃない、なら
高速化した頭を使い続ければ……少しは疲れると思う、な
<見切り>
「今、だ」
敵の攻撃精度が欠けてきた時に
機体で一気に跳んで、距離を詰めて殴る、ね
UC[一撃必殺]
●狂える竜を粉砕する不屈の鋼
現れたのは古の青銅の巨人が如く――されどその威容は互いに決して劣らぬように、アイセンサーと生身の眼の交わす視線が火花を散らす。
圧倒的な質量と巨体に抗うは、圧倒的な力を秘めた鎧姿と、その周囲を取り囲む古の恐るべき竜の骨だった。
格闘戦に特化させたキャバリアに乗り、レプリカントのイコル・アダマンティウム(ノーバレッツ・f30109)は精緻な幾何学模様の如き、古の竜を率いるカルロス・グリードの思考に想いを馳せた。
「鎧で、賢く……?」
思考へのブーストをどうやって掛けているのだろうか。瞬間的な思考を巡らすというが、それに伴う集積回路(脳)への負荷は如何様なものか。
そんな彼女の思考を掻き消すかのように、早速彼女を認識したカルロスが鎧の顎門を開き、狂える竜の吐息を解き放つ。
「……ん、こっち」
されど軽快に、キャバリアの駆動音響かせ、跳躍してそれを躱していけば、着地の瞬間を予測していたかのように追撃の吐息が向かう。
再度の跳躍を防ぐべく差し向けられていた白骨竜の群れを前にしても、それすらも予測していたかのようにイコルは駆ける。
硬きが故に脆い骨の頭部を足掛かりに、踏み潰しも兼ねて跳躍を続け。時に蹴り上げが地面ごと骨竜を舞い上げブレスの盾としながら。
「鈍い」
「……」
簡潔に言い捨てられた言葉にも、眉一つ動かさずにカルロスは吐息を放ち、イコルへの牽制を行っていく。
されどされど、巨体に反して軽快な身のこなしを見せる――格闘戦特化仕様な以上、不可思議ではないが――キャバリアの動きを捉えきることも出来ず、挙句の果てに白骨竜自体も盾とされる。
「ふぅっ……」
このままでは埒が明かないか。
幾らでも替えが効く竜といえど、態々減らすこともしたくはない――次なる一手を考えようとした瞬間、カルロスの身体がぐらついた。
一体どういうことかと目を見開く彼に、イコルからの淡々とした言葉が耳に入っていく。
「外付けは、寿命が短い」
元々の思考力ではない、只管に脳にかかる負担は大きい――その読み通り、ルーティンワークとの相乗もあって負荷のかかった脳は、身体への指令という本来の役割にも衰えを見せ始めていた。
放たれるブレスの軌道も、嗾けられる白骨竜への指令も、指示の誤りを修正する勢いも明らかな衰えを示している。
「今、だ」
頭を抑えぐらついた身体へ一気に迫ると、その拳を振り上げて――そして。
下ろされる基本にして奥義、重量を乗せた神の鉄槌が如き拳の一撃が、カルロスの身体を叩き潰した。
大成功
🔵🔵🔵
水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:ロキ
まずは骨ですね。毒属性に設定した魔銃で骨を溶かす成分を射出。触れれば溶けますから、自身の周囲に水たまりを作っておきましょう。UDCの液体金属を操り、怪力で関節を外して近づけないようにしつつ、適宜魔銃で溶かしていきます。
ベルセルクドラゴン、予兆でしか存じ上げませんでしたが予想以上に猛々しい。流石は竜種ですね。
遠くから早い一撃が来るということは直線的なはず。前方にUDC液体金属で棘の壁を作りましょう。勢いを殺せれば問題ありません。その隙に武装構築。重力属性の細い鎖です。骨の影を移動させ、巻き付ければ速度も鈍るでしょう。そのまま鎖で締め上げます。
●一度そこに嵌れば抜けぬものか
特別な力を持たず、そして脆い。だが兎にも角にも数だけを用意されていることというのは、実に厄介なものか。
虚ろな眼窩の中、獰猛な敵意の輝きすらも見える白骨竜の軍勢を前に、水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)、正確にはロキの人格は銃を取り出す。
内の属性に毒の様相を施しながら、骨を溶かす強酸という毒を取り出しては呟く。
「これは……骨ですね。いえ、言葉通りではありますが」
そう言いながらも足元の周囲に張り巡らせた毒沼は、触れれば溶ける骨を殺す沼。
接近されれば溶け堕ちる、デス・トラップ――無論、その一方でただ待ち構えるだけではなく。
内に飼う名状し難き怪物の液体金属を操り、竜にも迫るが如き剛力を以て骨の関節を乾いた音を立てて強引に在らぬ方向へ外していきつつ。
接近を阻みながらも、時に毒の魔弾を撃ち込んでいき白骨竜を泡と変えていく。
「……やはり、古竜では足らぬか」
かの呟きが遠くに聞こえれば、ロキは怪物の液体金属を下げ、息を潜め始めた。
嗾ける軍勢が無意味と見れば、攻めるのは道理――膨れ上がる気配に対し彼は感覚を研ぎ澄ますと。
「……――来ますか」
――遠くから一瞬でやってくるということは直線な筈。
否、仮に迂回を経ようとも自分の寸前でカバーをすればいい――風の唸りを、大気の壁を斬り裂く音色を頼りに、彼は突き出した。
液体金属の名状し難き怪物と、備えた棘の壁を――その読みや正しく、直撃は確かに避けてはいるが……。
「ぐっ、予想以上に猛々しい……! 流石は竜種、ベルセルクドラゴンといったところですか……」
「――反撃に移れば同じ事だ」
それはあまりにも痛烈で、受け止めた筈の液体金属が飛散し、殺し切れぬ衝撃の恐ろしさが肌をざわつかせた。
勢いは殺せた、だがまだ反撃に移る体勢を整えているかのように、カルロスはその身を竜と変えていくが、その前に。
「――武装構築、グラビティ・チェイン」
液体金属を以て作り上げるは、重力を宿した強靭な鎖だった。
影を走り巻き付いたそれが、竜の身体を地へと縫い付けるかのように、強力な磁場と重力の加算が盛大にカルロスの身を地へ叩き付けさせていき。
「暫くの間、縛られていてくださいね」
即座に紡ぎあげ、容易くは解けぬように鎖で強く、カルロスの身をロキは縛り上げるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
カイム・クローバー
ハッ、鎧になってまで俺達の前に姿を現すとは。しつこい竜はモテないぜ。
ま、今はアンタに良い様に使われてるだけって可能性もあるが。(肩竦め)
鎧の身体強化の一撃は【第六感】と【見切り】で躱すぜ。大量の古龍の方は【クイックドロウ】で銃弾でも見舞ってやるか。
骨で出来てるなら存外身体は脆そうだ。それで数匹破壊してやる。
俺の本当の狙いはカルロスが持ってる右手のメガリス。【盗み】で頂くぜ。どの形態でも毎回、持ってるんだよな。結構、重要なモンなんじゃねぇかなってよ。
盗んだ後は破壊できるか?出来なきゃ、動揺してる隙に銃弾でもご馳走してやるよ。
少しばかり遅いが。Happy Valentine's Day、なんてな?
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
魔銃のレプリカを持って出撃
ドラゴンか、俺は戦った事はないがやってみるとしよう
俺は俊敏だが力だってそこそこあるぞ、お前らには絶対に負けない
SPDで判定
先制攻撃は銀腕を【武器改造】で盾にして【盾受け】【怪力】【オーラ防御】を併用し、更に盾の表面を液状化させ【受け流す】ようにして防ぐ
多少のダメージは【覚悟】して受ける
小竜には【早業】で素早く銃を構え、藍の災い:圧壊【重量攻撃】を指定UCで込めた弾丸を【範囲攻撃】【全力魔法】【属性攻撃】で放ち攻撃する
生き残ったとしても行動速度は遅くなるだろうから橙の災い:爆破【爆撃】を【範囲攻撃】【全力魔法】でばらまき、カルロスも小竜も同時に攻撃
●死のバレンタインデーキス
強大な力を持つ魔獣として名高きは、神とも抗うとされる竜――神の敵対者であったり、神そのものでもあったり。強大な力そのものの象徴。
何度か纏う存在と相対したこともあれど、ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)はキャバリア用の銃のレプリカを手にしながら呟いた。
「ドラゴンか。俺は戦ったことはないんだが……いや、似たようなものとはあるんだが」
「俺は何度かあるけどな。もちろん、本物の方だ」
その隣で双頭魔犬を思わす、二挺拳銃を手にしながら、カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)が肩を竦めてから、顎で今回相対する敵を指し示した。
竜の中でもそれは別格、それこそ神にも比肩する力の狂える竜の力を纏い、数多の白骨竜を率いる姿が彼らの目に映った。
「……ハッ! 鎧になってまで姿を現すとはな? しつこい男はモテないぜ?」
皮肉めいた笑みを浮かべ肩を竦めたカイムに、帝王の如き不遜な姿のカルロスが拳を一つ握り締めれば。
「――我はカルロス・グリード。断じてベルセルクに非ず。ベルセルクの力を手にしたカルロスということを知るが良い」
まるでカイムの挑発を意に介さぬと言わんばかりに、その姿が一瞬で消えた――正確には、消えたように見えた、というべきか。
あまりの速度による迫撃、振り下ろされた爪がカイムを斬り裂こうとするが、彼はそれを咄嗟に白髪の数本を舞い上げ躱す。
されどカルロスは腕を竜のそれと変えていきながら、たった今、躱したばかりのカイムへと迫る――そして。
「危ない!!」
――カイムとカルロスの間にて、激しい金属音が鳴り響き、派手な火花を散らしていた。
「ぐっ、うぅう……」
「ほう……」
銀腕を盾の如く変え、闘気による障壁を作り出しながらカルロスの爪を真っ向から受け止めていたルイスの姿があった。
飛び退いたカイムを追撃するカルロスを、咄嗟にルイスが庇った形となったわけだが――液状に変わる盾の相転移が衝撃を流して、それで尚、重ねられた障壁を通しても伝わる凄まじい力。
何度受けても慣れる
「俺は俊敏が売りだが、力だってある。お前らには絶対負けない!」
「そうか。……ふっ」
攻撃と防御のせめぎ合いの一瞬、カルロスは既に周囲に白骨竜を集めていた。
鳴らされた鼻の息を合図に、無数の竜が牙打ち鳴らしつつ体勢を崩したルイスへ爪牙の蹂躙を為さんとするが。
「横恋慕は無粋だぜ」
魔犬が唸るが如く、激しき音を立てながら迸った銃弾が白骨竜を撃ち抜いていた。
幾度となく弾かれたトリガーが銃口より火を噴かせ、ルイスに牙を向けた白骨竜を貫きその内の幾許かを崩していた。
そのまま白骨竜の群れも、竜に転じていくカルロスの動きも制していくかのように、カイムは指を躍らせ双銃より何度も何度も銃弾を解き放ち、白骨竜とカルロスへ叩き付けていった。
「助かった――さて、使わせて貰うぞ」
カルロスが初撃を放っての、時間にしてほんの数秒、されど濃密な時間の中ルイスは体勢を立て直すと、カイムに感謝を述べ、カイムもまたお互い様と笑い。
ルイスの義眼に埋め込まれた水晶のメガリスが輝く――深き沈ませる色の濃き、藍色の災いの様相に。
それが示す災いは圧壊。
手早く突き付けられた銃より解き放たれた弾丸が、大気すらも鉛の如く重くする重力の力場を生み出した。
目に映る白骨竜も、そして後ろに控えるカルロスの転じかけた竜も――白骨竜が脆く骨砕ける嫌な音が響き渡り、数の優位を着実に減じさせていけば。
「重力場か……ぬぅっ!?」
自らの骨格すらも罅入る重たい力場に歯噛みするも一瞬、手の内に慣れていた筈の何かが失われた感覚がカルロスに走っていた。
気が付いた時には、既に――
「どの形態でも持ってるよな? 大事なモンか、ね……っと!」
指先に“それ”を乗せ、球技用のボールのように回すカイムの姿があった。
派手な銃撃の弾幕とルイスの圧壊の重みで鈍らされたカルロスから、カイムは奪っていた――メガリスであろう、青い惑星儀が如き宝玉を。
「……ッ」
怒りの形相を浮かべ、爪を振り上げたカルロスだがその動きは鈍く、カイムはそれを軽々と交わすとルイスへそれを投げつけて。
「大事なものには見えるが……やるか?」
ルイスはそれを軽々とキャッチすると、再度カルロスが憎悪の形相を向け――そしてまたルイスはカイムへとそれを投げつければ。
カイムの双銃の一つが宝玉を、もう片方がカルロスの身体へと銃弾を打ち付けていき――その膝を着かせ。
「いいね。少しばかり遅いが、Happy Valentine's Day……なんてな?」
「悪くない」
カイムがカルロスから離れ、二つの銃口を同時に突き付けて。
そしてルイスの眼が今度は橙色に――示す災いの様相は爆発に。
並び立つカイムとカルロス、合わせて三つの銃口がカルロスへ、そして彼を守るべく操られた白骨竜へと一斉に火を噴けば。
暴風雨の如き銃弾と灼熱の温度に至った爆撃が重なり合う、実に賑やかな砲撃のフル・オーケストラを奏でるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジェイミィ・ブラッディバック
大軍にはこちらも大軍をぶつけましょう
敵の攻撃はWHITE KNIGHTに情報収集させ、攻撃タイミングを見切り推力移動で回避
その後、S.A.R.V.GHOST:TRAFALGARで召喚した空母『アドミラル・ネルソン』より天使の軍勢を発艦させます
「空母は直ちにWHITE KNIGHTとデータリンクを。予測演算結果をそちらにも回します」
天使の軍勢で古竜を駆りつつ、空母を狙う古竜は空母側の対空火器で対応
WHITE KNIGHTにカルロスから竜のオーラが放たれるタイミングを未来演算させ、発射タイミングで天使に散開して回避することを命じます
古竜撃退後は天使と私の射撃武器で飽和攻撃
──チェックメイトです
●アーマゲドン
――0.6秒、襲撃有。
情報収集と計算による未来演算の導きは、たった今繰り広げられた光景と寸分違わなかった。
白き機体の真横、それを通り過ぎた禍々しい朱色のオーラを――噴き上げた足の推力で横跳びに躱していたジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/開発コード[Michael]・f29697)は、新たな攻撃の来る前に流暢にナレーションを響かせた。
『SOLID AUGMENTED REALITY VISION PROJECTED』
計算によって未来を導き出して回避を為し得た後は、過去の記憶を手繰る。
白き悪魔のデータが戦いを経て得られたのならば、偉大なる提督の力もまたジェイミィにも存在する。
『――CALL:TRAFALGAR』
故に呼び出されたのは、かの提督の名を冠する大空母――その甲板に神々しき翼の揺らめく天使の、その手にアサルトライフルを備えた物々しきが。
科学の艦船に乗り最新鋭の武装を手にした、実体のある幻影の天使が羽ばたきては、地を駆ける竜の軍勢にも劣らぬ軍勢が空を埋め尽くしていた。
「空母は直ちにWHITE KNIGHTとデータリンクを。予測演算結果をそちらにも回します」
高度な未来予知の人工知能が電子の波を駆け巡り、未来の光景を空母へ明確なヴィジョンとして映し出せば。
進軍を続ける白骨竜のその歩みの先へ、まるで銃弾を置いておくように、否、実際にそうなのかもしれない。
けたたましい銃声が響き渡り、地べた這いの蜥蜴を潰すかのように、蛇喰らいの猛禽を思わす天使のアサルトライフルによる銃弾の豪雨が、骨を砕き欠片の白で地を埋め尽くさせていく。
時に銃撃を掻い潜り、跳躍を以て空母へと飛び掛かる白骨竜が居たとしても、空母の対空砲が火を噴き、骨の身体を呆気なく粉末と変えていき。
次第に骨の粉が目立つようになってきた戦場の中、カルロスの震える声が響いた。
「舵輪と白騎士の力か。小賢しい真似を……!」
――1.002秒。ポイントVへオーラによる襲撃。
「Roger」
積み重なった負傷を元に敵意向ける天使達へ、報復のオーラを解き放っても既に下された命は天使達を散開させ、虚しくオーラは空を過ぎた。
「ぬ、ぅ……!」
「──チェックメイトです」
最早残った狂える竜を纏う王に残された手立てはなく。
ただ目に映る、天使達が突き付けたライフルの銃口と、白騎士のAIを得た、かの提督の再来が如きウォーマシンの持つ、全ての火器が陽光の下に鈍く輝けば。
一斉攻撃の声もたちまちの内に掻き消されるほどに、叩き込まれていく火器、火器、火器――!
表現も追いつかぬ程に、どこまでも苛烈な攻撃が孤独な王を埋もれさせていく。
大成功
🔵🔵🔵
ニィエン・バハムート
・先制対策
オーラには【オーラ防御】で対応。敵意と負傷で威力を上げるというなら防御・回避専念。攻撃を受ける度にオーラ防御で受けながら【空中浮遊】で衝撃を受け流すように宙を揺蕩う。特別な力がないのなら骨が飛べるとは思えないので攻撃を受けて揺蕩う先はなるべく上空になるように空中戦。ダメージは【激痛耐性】で耐える。
【野生の勘】で敵の攻撃の隙間を見つけたらUC発動。大津波の霊を召喚。被害対象はカルロスと古竜の骨。大災害の力で【蹂躙】。これだけの【範囲攻撃】であれば数も速さも無力!
ベルセルクドラゴンはそれはもう本当に強い帝竜でしたわ!
死闘を繰り広げた強大な竜の誇り!
この竜王が取り戻してみせますの!
●決着をつける竜王
竜の王であるからして、彼女は海だけではなく大地も、空も制するように。
力強く足は地を踏み、跳躍の勢いのまま、空を舞いながら迫り来る閃光を、咄嗟に解き放った――寧ろ振り絞ると表するのが正しいのかもしれない、己が闘気を以て緩衝材と為す。
「ッ……!」
幾度となく受けてはいるが、掌に伝わる重たい痺れと散らされて尚、肌を焼くような熱量に積み重ねられた負傷に比して力を高めるオーラの、その力を彼女は――ニィエン・バハムート(竜王のドラゴニアン(自称)・f26511)は知った。
「ふぅぅ……!」
敵意を誤魔化すことは出来ず、故に受けるしかない――走る痛みを強靭な精神を以て耐えながら、ニィエンは空に在る。
「さしもの古竜も、これでは届かぬか」
「ええ。骨だけでは飛べないでしょう?」
何故ならばその下では、爪牙を打ち鳴らし罠のように待つ古の白骨竜がそこに居たからだった。
特別な力を持たぬ相手、骨と化した身では空飛ぶための翼膜を備えぬが故に攻めに向かうことは無く、その様を見上げたカルロスは何やら複雑そうな表情を浮かべつつも息を吐き出し。
「……、いや、最早無粋か。終わりにしよう。互いにな」
「――そうしましょう、カルロス・グリード」
カルロスが何を言おうとしたのかは未だに分らぬが、高められた力と、それ故の攻め時だとニィエンは察し。
カルロスが掌に全てのオーラを束ねたと同時、ニィエンは大きく息を吸い、鮫魔術の奥義を発動する。
「全てを呑み込み滅ぼす力! バハムゥゥゥト……アクア……パニッシャァァア!」
――竜王の誇りと残された力の全てを振り絞り、呼び出すは海竜神(リヴァイアサン)を彷彿とさせる、大津波の霊だった。
例え攻めに使えずとも使い捨ての壁にという、骨竜の運用すらも出来ぬ程に。
膨大な水の質量と、渦潮のうねりと、叩きつけられる津波の重圧が容赦なく大量の骨の竜を砕き散らし、カルロス自身をも飲み込んでいく。
攻撃という領域を超えた、天災そのもの――それこそ正に太古、人が竜を例えたともされる自然災害の暴力、その激流が蘇った過去を流していく――!
やがて生み出した海流が綺麗さっぱり消え失せ、木の葉の先から垂れる雫や、周囲の草草に煌めく水滴だけが竜王の御業を物語った光景の中。
古より呼び起こされた白骨竜の姿も、それを率いた竜を纏う王の存在も消え失せた中、ニィエンは拳を天高く掲げ。
「……取り戻しましたわ、ベルセルクドラゴン。この竜王が」
――かつて死闘を繰り広げた純粋に強く、それ故に正面から打ち勝ちたいと思いそして勝った狂える竜を想いつつ。
代え難き戦いを繰り広げた強敵<トモ>の誇りを取り戻したという、己が誇りを竜王は噛み締めるのであった――。
大成功
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