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羅針盤戦争~金環蝕

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #ピサロ将軍 #邪剣島

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「おのれ、猟兵め……! よくも私の計画を阻止してくれたものだな」
 ――轟轟と唸りをあげる波飛沫とともに、陽光を受けた銀糸の髪が、眩いほどの煌めきに包まれていた。
「それでも……此処まで来たと言うのなら、私も覚悟を決めるとするか」
 だが、尊大に微笑む女の手に握られていたのは、黒々とした闇を纏う邪剣であり。宙を舞う剣たちを従えた彼女は、おもむろに空の彼方へ爪先を向けると、翼が生えたかの如く――真っ直ぐに、翔んだ。
「逃げの一手を打った私を、臆病者だと罵るならば――返り討ちにしてやろう!」
 その選択も、臆病風に吹かれた訳ではない。くだらない矜持や理想を抱くよりも、打算で動くのを重んじただけのことだ。何故ならば、彼女の本領は侵略――引き際を誤り、自身が侵略される側になる愚など、決して犯してはならないのだから。
「おい、『黄金太陽神』よ、戦いの準備だ!」
 己の背後に叫びながら、彼女――ピサロ将軍は、島に突き刺さった剣の群れを、次々と身軽に飛び越えていく。
「忘れるな、お前が私を恨むがままにしているのは、ひとえにその能力あってのこと」
 ――ピサロの背に輝くのは、黄金の輝きを放つ太陽神。表面に浮かぶ無数の髑髏が、口々に呪詛のことばを叫んでいくなかで、彼女は「はっは」と笑い、やって来た猟兵たちを屠る未来を思い描いていたのだった。
「さあ――どちらが本当の侵略者か、思い知らせてやるとしよう!」
 視界を埋め尽くす光を放ち、あらゆるものを圧倒する――彼女こそ、太陽の征服者なのだ。

「ぐえっへっへ……いよいよ、ピサロ将軍との決戦に突入ですの!」
 猟兵たちの奮戦で、七大海嘯の一員であるピサロ将軍の計画は阻止された――別世界への逃走が出来なくなった彼女のことで、ちょっぴり悪どい笑みを浮かべたレイン・ドロップ(みずたま・f14853)だったが、すぐに表情を引き締めて、今回の作戦についての説明を行う。
「今回見つけた『邪剣島』が、決戦の舞台になりますのよ。ですが、彼女の背中にひっついている『黄金太陽神』が、とっても厄介な存在なんですの……!」
 ――儀式でエネルギーを得た黄金太陽神は、島全域に届くほどの激しい光を放出して猟兵たちの視界を奪う。その中を、高速移動を駆使したピサロが襲い掛かってくると言うのだから、たまったものではない。
「文字通り『太陽を背にした』って感じですの! だからまずは、この光への対抗策を考えなければいけないと思いますのよ」
 とは言え――視界が奪われた中、高速で動く敵を捉えるとなると、かなりの工夫が要るだろう。視界に頼れないと言うことは、思っている以上に大変なのだ。
 また、戦場となる島には、様々な世界の剣が無造作に生えているらしい。これは足元への危険となるので、こちらの対策もあれば良いだろう。
「侵略者である彼女ですけど、逃げる足を封じたのならあと一歩ですわ! ここで決着をつけてくださいですのー!」
 ――羅針盤戦争も、いよいよ大詰めとなる。悔いの無いよう暴れてきて欲しいと言って、レインは決戦の地に猟兵たちを送り出したのだった。


柚烏
 柚烏と申します。こちらは『羅針盤戦争』のシナリオで、『邪剣』ピサロ将軍との決戦を行います。

●シナリオについて
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、戦況に影響を及ぼす特殊なシナリオとなります。なお、下記の内容に基づく行動をすると、ボーナスがついて有利になります。

 ※プレイングボーナス……敵の先制攻撃+八艘飛び+めくらましの光+地面から生える剣に対処する。

●プレイングにつきまして
 プレイングの受付は、『2月20日 朝8:31~』から『20日一杯』までの受付とさせてください。
 戦争シナリオと言う特性上、シナリオの完結優先でリプレイを執筆していきます。余力があれば頑張りたいと思いますが、成功度に必要な人数ぶん~多くて10名様くらいの採用になるかと思います。ご了承のうえで参加頂けますと幸いです。

 難易度は「やや難」です。戦場をスピーディーに駆け回る、爽快感のある感じのリプレイにしていけたらと思っております。それではよろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍』

POW   :    太陽の征服者
全身を【黄金色のまばゆい光】で覆い、自身の【『八艘飛び』による加速度】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    八艘九連飛び
自身の【背後の黄金太陽神】が輝く間、【「八艘飛び」による超高速斬撃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    三千邪剣世界
自身からレベルm半径内の無機物を【ピサロの意のままに宙を舞い、敵を襲う邪剣】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:もりのえるこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

篝・倫太郎
どちらが侵略者かなんざ、関係ない
ただ、勝者はどちらなのかはハッキリさせとこうぜ

先制対応
Lorelei装着し光による視界へのダメージ緩和
視界の不利には集音機能を補助的に使う

オーラ防御を展開し野生の勘と第六感で攻撃を察知
見切りと残像で回避
最低限急所への直撃は防ぐよう注意
念動力で剣を制して足場にすることでジャンプの踏み台に使用
負傷には激痛耐性と以降の攻撃に生命力吸収を乗せる事で補う

暁焔を使用し飛翔状態に
鎧砕きと吹き飛ばしを乗せた華焔刀で邪剣をなぎ払い
フェイント混ぜつつ刃先返して2回攻撃で将軍狙いの部位破壊
狙うのは勿論、背後の黄金太陽神
軽微でも既にダメージが入ってる箇所があるなら
そこを重点的に狙ってく


霧沢・仁美
奪うことで生きるものは、最後には必ず奪われる側になる、って誰かが言ってた。
…今がその時だよ、ピサロ!

【オーラ防御】に【環境耐性】を併せて、自分の周りに光を減衰させる膜を形成。これで目眩しの光に対抗しようかと。
その後プラズマブーツの【推力移動】で飛行、単純なジャンプでは届かない行動を保って【空中戦】。
飛んでくる邪剣は【衝撃波】やサイキック・バスター・ウェーブで撃ち落とすけど、それに紛れてピサロ本人も八艘飛びで仕掛けてくるはず。
移動の終わり際、攻撃を仕掛けてくるその瞬間が最大の攻撃機会。
懐に飛び込みつつワイヤーロープを絡みつけて(【ロープワーク】)離脱を封じ、先端に付けた念動砕刃を捻り込むよ…!


陽向・理玖
八艘飛び!
かっけぇ燃える
しかし眩しいな…
サングラス掛けたら行ける?
駄目元でいそいそと装備

龍珠弾いて握り締めドライバーにセット
変身ッ!
衝撃波まき散らし

早ぇし確かに眩しい
がこれだけ動くなら気配も取りやすい
スピード上げ限界突破し見切り
UC起動
飛べば地面の剣も気にしないで避けられるし
攻撃も避けやすいな
避け切れない奴は衝撃波で切っ先弾いて武器受け
そのままカウンターでぶん殴って吹き飛ばし
後追い踵落とし
地面の剣も利用してやる
どうした
寿命削って息上がってるぜ?

八艘飛びは着地点狙って衝撃波
バランス崩せばこっちのもんだし
次々狙って次の動きを操れればそれもよし
足払いでなぎ払い
剣は巻き込んで部位破壊で折り
拳の乱れ撃ち



 それは――真昼に輝く太陽が、真っ逆さまに地上へと落ちてきたような、圧倒的な光だった。
「ああ、やっぱり眩しいな……!」
 駄目元でと掛けたサングラスは、やはり黄金太陽神の力を防ぐことは出来なかったらしく――しきりに目頭を押さえる陽向・理玖(夏疾風・f22773)の隣では、石英のブレスレットを鳴らした霧沢・仁美(普通でありたい女子高生・f02862)が、オーラの膜を生み出して強烈な陽射しを和らげている。
「――来るよ、上だ!」
 島の周囲を埋め尽くすほどに立ち並ぶ、三千世界の剣たちの墓標。それが瞬く間に、宙を舞う邪剣と化していくのを捉えながら、短く叫んだ仁美に頷いてみせたのは篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)だ。
「『邪剣』ピサロ将軍……二つ名の通りって訳か」
 彼の師匠お手製の電脳ゴーグルが、周囲の情報を解析し視覚の補助を行っていく中で――頭上に生じた微かな異音を察知した倫太郎は、研ぎ澄まされた自身の勘を信じ、一気に回避へと移る。
「……だが、俺らも無策で来た訳じゃねぇ」
 ダッ、ダダダダダッ――! 荒ぶる波飛沫を生みながら、次々に海面へ叩きつけられていく邪剣の群れ。しかし、敵の猛攻は其処で終わらない。
「おっ、八艘飛びか! かっけぇ燃える」
 歴史好きなのだと言う理玖の声が、壇ノ浦を思い興奮しているのも仕方ないだろう。直後――剣を足場に跳躍したピサロは、倫太郎の生む残像よりも疾く、その本体に狙いを定めていたのだから。
(「直撃は、避ける!!」)
 ――それでも。己の胸を貫こうとする黒刃に、咄嗟に邪剣のひとつを制することで対抗した倫太郎は、そのまま念動力を駆使して、追い縋るピサロの斬撃から逃れていく。
「おい、こっちだ――」
 尚も繰り出される八艘九連飛び。だが、その跳躍を遮るように、理玖の弾いた龍珠が衝撃波を生んだ。
「変身ッ!」
 ――虹色の輝きが龍のバックルに吸い込まれると、彼の姿は装甲に包まれたヒーローへと変わる。そう、この強化された肉体ならば、超高速で襲い掛かるピサロにだって立ち向かえる筈だ。
「早ぇし、確かに眩しい……だが、これだけ動くなら気配も取りやすい」
 島に生える無数の剣も、アクセラレート・エリミネーターの飛翔能力を解放すれば脅威にならない――と、どうやら仁美の方も、プラズマブーツの推力移動を用いて空中戦を挑むことにしたらしい。彼女の放つ超常の霊波が、飛来する邪剣の群れを纏めて吹き飛ばしていくと、理玖も更にスピードを上げてピサロの喉元に食らいついていったのだった。
「……どうした、寿命削って息上がってるぜ?」
「はっ、ほざくな」
 だが――彼女が振るう黒の剣を、衝撃波で受けきることは叶わない。カウンターを狙えず、相手に攻める隙を与えてしまった理玖だったが、その時ピサロの背後で輝く太陽神が、おぞましい悲鳴をあげて輝きを失っていった。
「な、に――一体、何があった?!」
「おい、『邪剣』……どちらが侵略者かなんざ、関係ねぇけどよ」
 ――戦場を包み込む目くらましの光が、ゆっくりと掻き消えていく中で。その太陽を断ち切った暁焔の操り手は、黒曜石の角を滑光らせて、にやりと嗤ったかのように見えた。
「ただ、勝者がどちらなのかは……ハッキリさせとこうぜ」
 それは――羅刹の本性も露わに、真の姿に変じた倫太郎であったのだろう。肉体に刻まれた紋を浮かび上がらせた彼は、戦いによる傷をものともせずに、華焔刀の一振りで三千邪剣世界の柵を粉々に粉砕していく。
「……でもね、これは誰かの受け売りなんだけど」
 元々は、逃げの一手で繰り出された八艘飛びで、ピサロはどうにか体勢を整えようとしているらしかった。だけど、その暇を与える気など、仁美には無い。
「奪うことで生きるものは、最後には必ず奪われる側になる――」
 移動の終わり際――残り僅かとなった邪剣に紛れて、攻撃を仕掛けてくるその瞬間が、最大の好機となる。そうしてピサロの懐に飛び込んだ仁美は、躊躇することなくワイヤーロープを巻き付けて、一気に彼女の動きを封じていったのだ。
「……今がその時だよ、ピサロ!」
 うぐ、とくぐもった声をあげるピサロに、自身の大きな胸を押し付ける格好になってしまったが、この際恥ずかしがってなどいられない。ロープの先端に絡めた念動砕刃に、ありったけのサイキックエナジーを注ぎ込んでいく仁美に続いて、渾身の踵落としを炸裂させたのは理玖だった。
「さあ、己の生んだ、剣の海に墜ちろ……!」
 高周波で振動する刃が、ピサロの身体をずたずたに引き裂いていく中で――落下していく彼女を待ち受けていたのは、念動力で倫太郎がかき集めた、島を取り巻く無数の剣の切っ先であったのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
その背の太陽のようなこれ以上の侵略を許す訳には参りません
七大海嘯『邪剣』…ここで果てて頂きます

●防具改造で強化した足裏の装甲用いる●踏みつけで剣踏み砕き
センサー系受光量を調節し視界確保(環境耐性)
八艘飛びの機動力をセンサーの動体反応で情報収集
瞬間思考力で予測軌道見切り、突撃を怪力での武器受け盾受けで防御

撤退の判断は間違いでは無いでしょう
ですが、敗者を道具と扱うその性根には騎士として思う所がありまして…

UC使用
静止し攻撃誘発
加速思考力でタイミング測り
向上動作速度を急に発揮する●騙し討ちで迎撃

大盾殴打で空に打ち上げ体勢整わぬうちに高速連撃で切り刻み

骸の海に還る前に…その太陽、手放して頂きましょう!


斬断・彩萌
足場が無ければ八艘飛び出来ないってんなら、アンタが動く前にその足場を壊してあげる
転んで自分の出した剣に足を取られちゃいなさい

それにしても眩しいわね……先制攻撃にも対応しなきゃいけないし……
こういう時は――クロちゃん!
(己の影から真っ暗闇色の夢魔・クロちゃんを呼び出す)
ちょっとその闇に隠れさせてね
うん、暗視も効くしこれで対策は完璧
避けるのは厳しい、ここはクロちゃんの念動力と合わせた武器受けで攻撃を受け止める!

UCで弾速と命中率を強化。そのまま二挺拳銃で2回攻撃
誘導弾だもの、敵は決して逃がさない
どこまでも追いかけて、追い詰めて、ハチの巣にしてやるわ

相手の陣地からは極力離れて、剣の山には立ち入らない


フィッダ・ヨクセム
俺様、暗いのは好むが眩しいのは凄いニガテ
激しい光なら目を瞑ッてる
誰よりも速度を上げて動く奴が、敵だろう?

スピード違反は敵だ俺様を舐めるなよ
ヤドリガミだが、――ハイエナなんだぜ?

体や手足に斬り傷つくるのは激痛耐性あッてもヤダし
水上歩行ならぬ、氷上歩行で危なくねえ空域を疾走る
全力魔法で氷の道を自分の足元に生成しながらな!
常に飛び出した爪があるんだ、そう簡単には滑り倒さねェ!

早いなら追わねェ、俺様は此処だ
炎のブレス攻撃…じャあ剣士にャ届かねェだろうし
本体バス停は咥えてるようにするんで火炎の魔法で包んで投擲だ!
迷彩で隠した銀鎖で本体は俺様の脚と結んでるんでね
力いっぱい引き寄せて打撃の強襲を、してやるぜ


カイム・クローバー
…侵略者、か。アンタの正体はそれほど興味も無いが、我が物顔で好き勝手されるのは嫌いでね。

視界を眩ませて八艘飛び。…コイツに頼るか。
UCを発動させ、二匹召喚。一匹は八艘飛びで移動するピサロを追尾する。安易に掛かりはしないだろうが、本筋は船の内側に隠したもう一匹。
銃撃で跳ねるピサロに対して牽制の意味を込めて【二回攻撃】。
この光の中じゃ精度は下がるが、それでいい。俺自身は移動せず【挑発】として自身を囮にして接近させる。接近した瞬間に悪意に反応した隠れた一匹に強襲させる。
そうすりゃ、紫雷の鎖でピサロを繋げる。
【怪力】を用いて逃がさねぇように。後は魔剣で【串刺し】を狙うぜ。
逮捕の時間みたいだぜ、侵略者?



 ――おお、おおと怨嗟の聲をあげる亡霊たちは、嘗てコンキスタドールに蹂躙された、異界の民の成れの果てか。
 絶対的な存在である太陽神が、よりにもよって侵略者の手駒となっている――黄金の円盤としても表された、その神聖なる輝きは、更なる侵略の嚆矢となってしまうのか、と。
「それでも――その背の太陽のような、これ以上の侵略を許す訳には参りません」
 黄金色の光が満ちた戦場に、ゆっくりと舞い降りていった白の騎士は、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)。彼に備わったマルチセンサーが、周辺の環境へ適応していく間にも、暴虐なるコンキスタドールは侵略を開始していく。
「七大海嘯『邪剣』……ここで果てて頂きます」
「言ったな、時代遅れの騎士風情が!」
 太陽の征服者となり、一気にトリテレイアへ強襲を仕掛けてくるピサロは、正に黄金の矢と呼ぶに相応しかったが――『彼』と言う人格のベースになっているものは、間違いなくお伽噺の騎士道物語なのだ。
「撤退の判断は、間違いでは無いでしょう――ですが、」
 ウォーマシンとしての合理的な思考が、微弱なパルスとなってコアを揺さぶる。それでも、トリテレイアの電子頭脳が下した結論は――否、だ。
「敗者を道具と扱うその性根には、騎士として思う所がありまして……」
 瞬間思考力で、『次の一手』に対する答えを導き出した彼は、重質量の大型シールドを犠牲にしてピサロの先制攻撃を防ぐことにしたらしかった。増強された邪剣の一撃を受け止めた盾は、瞬く間にひび割れて砕けていったが――その僅かな隙を突いて、トリテレイアはウォーマシン・タイムを起動させる。
「……では、追いつけますか、私達の時間に」
 ――白煙を上げるほど駆動部に過負荷をかけて、代償に得たものは、極限まで高められた反応速度。ラグを感じさせない動きでトリテレイアが振るった剣は、ピサロが反応するタイミングを絶妙にずらした上で、更にその先を往く。
「なん、だと――?!」
 騙し討ちの刃を肩に受け――それでも、黄金の太陽を背に飛翔を続けるピサロ。しかし一旦、八艘飛びで加速を得ようと言うのか、島に生える剣の山へ降り立つことにしたようだ。
(「相変わらず眩しいけど……クロちゃんのお陰で何とかなってるかな」)
 そんなピサロを迎え撃つ、斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)はと言えば、己の影に潜む夢魔によって、何とか闇に紛れることに成功したらしい。流石にクロちゃんも、こんな時に悪戯はしないとは思うけれど。
「……俺様、暗いのは好むが眩しいのは凄いニガテ」
 一方のフィッダ・ヨクセム(停ノ幼獣・f18408)は、激しい光を前に目を瞑ることにしたようで、獣のように鼻をひくつかせてピサロの気配を探っていた。
「だが――誰よりも速度を上げて動く奴が、敵だろう?」
「避けるのは厳しいかな……クロちゃん!」
 彩萌とフィッダ、ふたりの居る場所へ迫るピサロは、剣を足場に得た力を用いて、視認するのも困難な速度で斬撃を繰り出していく。咄嗟に彩萌は、念動力を使うことで一撃を逸らしたのだが――空へ逃れようとしたフィッダの方は、少々分が悪かったようだ。
「早いなら追わねぇ、が……こっちに来たか」
 ――水上歩行ならぬ氷上歩行で、危険のない空域を疾走る。確かに彼の全力魔法を以ってすれば、氷の道を生成しながらでも、空中に留まることは出来たのだろう。
「ちっ、スピード違反は敵だ、俺様を舐めるなよ」
 しかし、高速での飛翔能力を持つものが相手では、直ぐに距離を詰められて剣の餌食となってしまう。どうにか爪を立てて、氷の足場から転がり落ちることだけは避けたフィッダだが、伸ばした脚はじくじくと厭な熱をもっていた。
(「俺様は、確かにヤドリガミだが――」)
 格好の獲物を見つけたとでも言うように、尚もピサロはフィッダ目掛けて剣を振るっていく。それでも、敵対者を全力で排除する――その誓いを立てることで、真の姿へと変わったフィッダが、炎と氷を同時に纏いながらニヤリと嗤う。
「――ハイエナでも、あるんだぜ?」
 ごぃん――! 振り向きざま、ピサロの顔面を直撃していったのは、炎に包まれたバス停であり。そのまま足首に繋いだ己の本体を、銀鎖で器用に振り回すフィッダに続いて、カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)の召喚した雷犬がピサロに迫る。
「……侵略者、か。アンタの正体はそれほど興味も無いが、我が物顔で好き勝手されるのは嫌いでね」
 悪意あるものを何処までも追尾すると言う、迅雷の猟犬を振り切るように、八艘飛びを繰り返すピサロ。しかし、安易に掛からないだろうと踏んだ上で、カイムは牽制の銃撃を叩き込むことにしたのだった。
(「この光の中じゃ精度は下がるが、それでいい」)
 剣の群れに阻まれた弾丸が、微かな火花を散らしていく中――自分の存在までをも囮にして、此処まで来てみろと指を立てる。そうして、更に加速を得ていくピサロが、剣のひとつを足場にしようとした時、勝負に出たのは彩萌だった。
「足場が無ければ、八艘飛びが出来ないってんなら……」
 ――二挺拳銃から放たれたマズルフラッシュは、彼女が内包するサイキックエナジーの、微かな残滓か何かだったのだろうか。
「アンタが動く前に、その足場を壊してあげる!」
 強化された彩萌の誘導弾が、ピサロの足元にあった剣を粉々に粉砕していった、その直後。事前にカイムの放っていたもう一体の雷犬が、物陰から強襲してピサロ本体を爆破する。
「よし、これで……繋がったな。もう逃がさねぇぜ?」
「なら、俺様も。力いっぱい引き寄せて、打撃の強襲をしてやるぜ」
 ふたりを繋ぐ紫雷の鎖を、怪力任せにじゃらりと鳴らすカイムの隣に、すとんと降り立ったのはフィッダで。銀鎖で結んだバス停を、じゃらじゃらと振り回す彼の背後では、眼鏡の奥の瞳を冷酷に細めた彩萌が、ふたつの銃口でピサロに狙いを定めていた。
「どこまでも追いかけて、追い詰めて……ハチの巣にしてやるわ」
 ――ああ、もう詰みなのだと分かっているのに。僅かに残った剣の足場も、上空から飛来してきたトリテレイアによって、一気に踏み砕かれてしまうのだ。
「逮捕の時間みたいだぜ、侵略者?」
 きっと――太陽の征服者である彼女を斃すには、神殺しの魔剣こそが相応しいのだと。串刺しを狙って突き出されたカイムの刃と共に、高速で振るわれるトリテレイアの剣もまた、邪悪を滅する物語のフィナーレに相応しい。
「骸の海に還る前に……その太陽、手放して頂きましょう!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
匡/f01612と

逃げたり立ち向かって来たり極端なレディだな
人のことは言えねえけどさ……

呪詛の天幕を眼前に展開
元より私が頼るのは嗅覚で
匡の知覚は常人のそれを遥かに上回る
サングラス代わりは呪詛で丁度だ

同時に微細な氷の粒を空気中に散布
こいつは敵の速度の阻害も兼ねてるが、本命は――
……匡なら聞き取れるだろ
誰にも聞こえないような、氷の割れる音もさ

こっからは匡が司令塔だ
後退ついでに展開した【怒りに燃えて蹲る者】で中空へ
どうせ私の知覚じゃ追い切れねえ
氷粒の索敵の維持と、匡の飛ぶ足場としての役目に徹するよ

中途半端な身の振り方は己を滅ぼすぞ、レディ
この期に及んでは今更か
貴様はこの場で、私たちに滅ぼされるのさ


鳴宮・匡
◆ニル(f01811)と


まあそりゃ、逃げられないと知ったら肚括るしかないだろうしな
……とはいえ、もうこうなった時点で詰んでるようなもんだけど、あいつ

目だけには頼れない、なんて状況も慣れてるさ
風切る音、肌を撫でる空気の感触――氷の粒が割れ、弾かれる小さな音
何もかもが十分すぎるほどの情報だ
相手がどこから狙ってくるのかはそれで見切れる
――その速度なら直線的な攻撃を“せざるを得ない”だろ
方向さえわかれば、避けてみせる

ニルの背の上から敵の位置を探る
空まで追ってくるなら、向こうも跳ばざるを得ないし
空中での方向転換なんて、翼がない限りは難しい
真っ直ぐ向かってくるのを撃ち抜けばいい

言ったろ、もう詰んでるってさ



 ――ドッ、と海面に生まれた荒々しい波飛沫の中で、ふつふつと太陽が煮えたぎっていた。
「こんな事が、あってたまるか――私は、」
 猟兵たちによって秘技を阻まれ、反撃を受けてぼろぼろになって。だと言うのに、彼女の眼差しは憎悪に彩られたまま、その闘志を失っていないように見えた。
「……征服者だ」
 呪詛の天幕ごしに見える『邪剣』の姿は、ニルズヘッグ・ニヴルヘイム(竜吼・f01811)にとって余りに見慣れ過ぎた、生きるものの情念に溢れている。
「逃げたり立ち向かって来たり、極端なレディだな」
「……まあそりゃ、逃げられないと知ったら肚括るしかないだろうしな」
 人のことは言えねえけどさ――と呟いた彼に続いて、黄金色の閃光に混ざった音と匂いは、鳴宮・匡(凪の海・f01612)のものに違いあるまい。
「……とはいえ、もうこうなった時点で詰んでるようなもんだけど、あいつ」
 ――嵐の海に、ぽつんと現れた凪のような気配。神が操る光に対しては、気休めでしかない呪詛の壁ではあるが、たぶん隣の匡はやるせない笑みを浮かべていたのだろう。彼もまた、余りに見慣れ過ぎたのだ。戦場で。
(「元より、私が頼るのは嗅覚だ」)
 狩るものとして、真っ先に感じ取ったのは――獲物が流す血のにおいだ。手負いの獣が牙を剥くように、加速を得て襲い掛かる邪剣の一撃に対し、ニルズヘッグは周囲に微細な氷の粒を生み出して対抗する。
(「そして……匡の知覚なら」)
(「ああ」)
 ほんの僅か、ピサロの速度を弱められるのならばそれで良い。本命は――匡で、きっと彼ならば聞き取れるだろうから。
(「目だけには頼れない、なんて状況も慣れてるさ」)
 風切る音、肌を撫でる空気の感触――氷の粒が割れ、弾かれる小さな音。その何もかもが、十分すぎるほどの情報であると、匡には分かっている。
(「それに――その速度なら、直線的な攻撃を『せざるを得ない』だろ」)
 だが、どこから来るのかは見切れるが、ここからは猟兵とオブリビオン――生命の埒外にあるもの達の戦いだった。加速したピサロの得た力は、戦場の常識を時に上回る。線に混じる円の動きに、匡の片腕が一瞬で潰されていったが、それに気を取られること無く中空へ跳んだ。
「ニル!」
「こっからは匡が司令塔だ、どうせ私の知覚じゃ追い切れねえ」
 後退と同時に展開した術式で、己を竜の姿へと変えたニルズヘッグが、その背中で匡を受け止めつつ空へと昇る。彼が行うのは氷粒の索敵の維持と、匡の飛ぶ足場としての役目――上手く役割分担を行いながら、戦いを進めていくふたりに対し、ピサロはあくまでも強引に太陽を従えて突っ込んできた。
(「空まで追ってくるなら、向こうも跳ばざるを得ない」)
 ――空中での方向転換なんて、翼がない限りは難しい。それもまた、常識を超えたユーベルコードの力ならばやってのけたのかも知れないが、今のピサロはそこまでの制御を行えない状態だった。
「中途半端な身の振り方は己を滅ぼすぞ、レディ。……いや、この期に及んでは今更か」
 黄金の輝きに混じる氷の粒。今やそれは、ニルズヘッグの『守る意志』の強さによって、更なる魔力を宿しているのだ。思うように動かない剣先を、それでもどうにかピサロが振るうよりも早く――既に匡の引き金は、死神の咢を撃ち出していた。
「貴様はこの場で、私たちに滅ぼされるのさ」
 ――あとは、真っ直ぐ向かってくるのを、撃ち抜けばいい。体勢を崩した彼女が、信じられないような顔で海へ落ちていくのを見届けながら、匡の呟きは波紋となって辺りに吸い込まれていった。
「……言ったろ、もう詰んでるってさ」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヴィクティム・ウィンターミュート
【BET】

侵略者?ハッハー、違うね
俺は「反逆者」だ…お前が齎す何もかもから、抗うのさ
地の果てまで、いいや…海の果てまで逃がしはしねえぞ

さて、愉快に八艘跳びかましてくるんだってさ
見えなくなったら最速でUC発動
──『Void Wraith』
お前から速度を奪ってやる
そして俺達は莫大なスピードを獲得、物質透過を可能にする
つまり地面の剣は俺達を通り抜けちまうってわけよ
おおっと、目くらましなんて俺には効かないぜ
生身の目じゃあねえからな…フラッシュバンの類も目を焼かないんだ
さぁて、超ハイスピード同士の戦いと行こう
だがお前の速さを奪い取ってること、忘れるなよ
跳んでるお前の身体をひっつかんで、叩き落してやるぜ


ハイドラ・モリアーティ
【BET】
どーも、眩しい太陽のお嬢さん
ねえライト焚きすぎ。お肌に自信ないの?
俺はあんたみたいなキラキラ系、タイプじゃないんだよね
悪いね、あんたの姿は見ない。瞼は閉じさせてもらう
開始速攻で【IRONY】――ンでもってヴィクティムのバフ付き

速さ合戦といこうぜ。俺は今、いつもの倍以上に早いし
反応速度はもはやあんたを超えるぜ
さあ来い。闘牛士みたいに躱してやるよ――風圧だけでな
そのための俺の頭だ。思ってるより「ずっと」賢いだろ?あァ?

『Nectar』を使うよ
高速で攻撃してくるってなら話は早い
迎え撃つ――嘘。躱して迎撃ださァ死ね!!派手にぶち壊してやるよ
盛者必衰の理だっけかァ――お前はここで堕ちろ!



「どーも、眩しい太陽のお嬢さん」
 ――幾度となく地上へ叩き落されて、その度に立ち上がろうとして。太陽を背に、しぶとく足掻き続けてきた侵略者の命運は、いよいよ此処で尽きようとしていた。
「……ねえライト焚きすぎ。お肌に自信ないの?」
 確か、太陽の沈まぬ国と称されたのは、彼女の祖国のことであったか。永遠の繁栄を約束された、そんな輝かしい時代を迎えられたのも――コンキスタドールとしての、その功績あってのことだったのに。
「俺はあんたみたいなキラキラ系、タイプじゃないんだよね」
「……黙れ」
 ああ、さっきからぺちゃくちゃと、醜い囀りを聞かせるのは誰だ。血に塗れた額に張りつく髪を、鬱陶しそうに払いのけたピサロの向こうでは、黒い髪の女が煙草を吹かしていた。
「悪いね、あんたの姿は見ない」
 黄金の太陽が放つ光から顔を背けたまま、ハイドラ・モリアーティ(冥海より・f19307)は、剣の柄に片足を乗せて相棒へと合図を送る。
「速さ合戦といこうぜ、なぁ」
「ああ、愉快に八艘跳びかましてくるんだって?」
 格上を出し抜くのが得意だと言う、ヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)も、この戦いには嬉々として乗ってきてくれた。
 究極の一――それも、太陽神を従えた征服者が相手となれば、小細工を仕掛ける手にも熱が籠もると言うものだ。先制攻撃と八艘飛び、それにめくらましの光に加えて、地面から生える剣ときた。圧倒的な力で此方を征服するつもりのようだが、それでもヴィクティムの表情は自信に満ち溢れている。
「俺達が、侵略者? ……ハッハー、違うね」
 タン、タンタン――と八艘跳びに移っていくピサロの姿は、光に溶けて既に見えなくなっていた。生身の目ではないにせよ、センサーの類にも影響を与えるとなればヴィクティムも無事では済まないのだが。
「俺は『反逆者』だ……お前が齎す何もかもから、抗うのさ」
 それでも構わずにユーベルコードを起動、相手の速度を奪うことで相対的に此方の速度を上げていく。己の寿命を削りながら、地の果てまで――否、海の果てまで逃がしはしない。
「さあ来い。闘牛士みたいに躱してやるよ――」
 無論、ヴィクティムの能力も万能ではない。完全に相手を封殺出来ると確信した力は、ピサロの放つ九連斬を止めることは出来なかったし、ハイドラまで加護を行き渡らせることも不可能だ。
「迎え撃つ――躱す、のは無理だろうが、それでもな!」
 だが、此方がその姿を捉えられなくても。向こうが接近して剣を振るってくるのなら、相討ち覚悟に持っていくことは可能だと、ハイドラは踏んだ。
「派手にぶち壊してやるよ!」
 それに、先ほどからずっとピサロに悪態を吐いていたのは、呪詛と毒素を生む体質に変化して、爆発的な速度を生みだす為だ。
「それに――『反応』速度なら、こちらの方が上だ」
 ピサロがハイドラに斬りかかり、次の斬撃に移るよりも早く――彼女に掴みかかったヴィクティムが、一気にその身体を海に叩き落としていく。その間際、ヒュドラの首をナイフに変えたハイドラが、ひと思いにその切っ先をピサロ目掛けて突き刺していたのだった。
「盛者必衰の理だっけかァ――お前はここで堕ちろ!」
 ――波の下にも、もしかしたらエルドラドか何かがあるのかも知れない。でも。ゆっくりと海底へ沈んでいく征服者の骸を見下ろしながら、ハイドラの唇がいびつな笑みを形づくった。
「まァ……居るのはたぶん、おっかない怪物どもの母だろうが、な」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年02月23日


挿絵イラスト