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羅針盤戦争〜侵略者の落日

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #ピサロ将軍 #邪剣島

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●邪なる黄金の剣
「結局見つかってしまったか。あれだけ時間稼ぎに走り回ったと言うのにな!」
 そこかしこに剣の生える島、邪剣島でピサロは自嘲した。この島が見つかってしまったという事はつまり、界渡りの前に大挙して攻め込んでくる猟兵達を直接迎え撃たねばならない事を意味している。盟友であったコルテスを倒し、一応の主であるカルロスですら押されている相手を。
 しかし、落胆している訳ではない。この期に及んでもピサロは勝利するつもりで居る。元々強気な性格という事もあるが、勝機が無いわけでは無いことも事実なのだった。
「まあ良いさ、実際時間は稼げた。その間に存分にエネルギーを蓄えた黄金太陽神と! この島と! 私の剣技があれば! 猟兵達を全員叩き返す事もできよう」

 ピサロは強者に特有の、実力に裏打ちされた自信を表すような笑みを浮かべた。
「金にもならん戦いだ。せいぜい楽しまなくてはな! なあ?」
 尋ねられた黄金太陽神は、何も応えなかった。

●日の昇るもの、沈むもの
「まずは日々の戦争ご苦労、猟兵諸君。おかげで全ての七大海嘯の島を発見する事ができた。後は戦って、勝てば良い。本番はこれからではあるけれどね」
 グリモア猟兵、レーナ・ベーメンメーレンはまず眼前の猟兵達を労った。
「さ、て。今回戦うピサロ将軍についてなのだが……うむ、難敵だな。幾つか注意すべき点があるから順を追って話そう。大きく分けて三つある」

 レーナが手を突き出して、指を一本立てた。

「まず一つ目。今回戦う場所はピサロの本拠地、邪剣島だ。その名の通り抜身の剣がそこら中に生えていて、素直に危ない。高速戦闘中に踏み抜くだの足をぶつけるだのした日には……分かるだろう?」

「二つ目。奴は黄金太陽神なる物を自身に取り憑かせているのだが、そいつが光を放って目くらましをしてくる。島全体に届く程の光量だから、何も対策しなければ最悪目が潰れてしまうかも知れないな」

「三つ目。高速移動ユーベルコード八艘飛びを備えたピサロ本人はそれ自身が紛れもない強敵だ。この中には既に奴と戦った者も居るかも知れないが、今回はそれを上回る本気を出してくると思って欲しい」

 三本の指を立てたレーナは猟兵達を見渡して、全員が理解出来たことを確認すると、手を引っ込める。
「まさに天地人揃った相手という訳だが。ここでピサロを逃せばまたどこかの世界で侵略を企むのだろう。それは阻止しなければならない。皆、健闘を祈るよ」


Char
 初めまして、あるいはこんにちは、Charと申します。ボス戦ってワクワクしますね。ボス戦の描写は今回が初めてなので頑張ります。

●以下は補足情報です。
 プレイングボーナスは「敵の先制攻撃+八艘飛び+めくらましの光+地面から生える剣に対処する」です。ポイントは実は四つある所でしょうか。当然字数がとてもキツいと思うので是非節約していって頂きたいと思います。
 難易度が普段のシナリオより上がっています。そのため楽々大成功とはいかないと思います。でも苦戦もボス戦の醍醐味だと思いますので、失敗以外であれば採用するつもりです。
 プレイングは随時募集していますが、公開翌日から執筆を開始して、今回は最少人数で完結させたいと思っています。ご了承ください。

 ここまで読んで頂きありがとうございました。では、参加をお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍』

POW   :    太陽の征服者
全身を【黄金色のまばゆい光】で覆い、自身の【『八艘飛び』による加速度】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    八艘九連飛び
自身の【背後の黄金太陽神】が輝く間、【「八艘飛び」による超高速斬撃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    三千邪剣世界
自身からレベルm半径内の無機物を【ピサロの意のままに宙を舞い、敵を襲う邪剣】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:もりのえるこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

塩崎・曲人
眩しすぎる光にどうやって対処したらいいと思う?
簡単だ。目をつぶればいい
(なんせ小さな太陽クラスってんだ。逆に瞼とグラサン越しでも光源が動けばわかるよなぁ?)

そして下手に動かなければ剣に足を取られる心配もねぇ
あとは先制八艘飛びに対処すんだけだ
(目閉じたまま一歩も動かずやれ、って条件が無茶振りだがな)

身を低くし
チェーンを頭上で振り回して襲撃を待ち構える
後は気配を頼りに感覚で敵の攻撃を受け止めるだけだ
まぁ、無傷で勝つのはハナから無理と覚悟しよう
戦闘不能だけ避けて後は我慢だ

んでもってオレの【喧嘩殺法】は!
そこらにあるものを使って戦う訳よォ~!
邪剣を引っこ抜いて投げつけまくるぜ
残弾には困んねぇからな!


トリテレイア・ゼロナイン
貴女を逃がし、その背後の太陽神のような犠牲を出させる訳には参りません
七大海嘯『邪剣』…騎士として討ち取らせて頂きます

自前の足裏の装甲も用いた●踏みつけで剣を踏み砕き
センサー系の受光量を調節し視界確保(●情報収集、環境耐性)
八艘飛びの機動力を瞬間思考力で見切り、飛行からの突撃を怪力での武器受け盾受けで防御し受け止め

真っ向勝負なら…こちらにも些かの自信はあります
そして…

UC起動
至近距離から隠し腕を展開する●騙し討ち
ピサロの喉掴み捕縛

恥ずかしながら…貴女と同じく搦め手は不得意でもありませんので

大盾●怪力殴打
逃げられぬよう大地の剣に串刺し(地形の利用)

その野望…断たせて頂きます
御覚悟を

剣振り下ろし



「ははは、全くの無策で来なかった事は認めてやるがな。しかし、サングラスだけでこの輝きを遮る事が出来るはずなかろう?」

 ピサロは眼前の猟兵をあざ笑う。その相手である塩崎・曲人は黄金太陽神のまばゆい光に晒されたまま仁王立ちをしていた。グラサンをかけているため、目元は分からない。

「グラサンだけじゃねぇよ。アンタ、眩しすぎる光にはどうやって対処したらいいと思う?」
「なんだと?」
「簡単だ。目をつぶればいい」

 一瞬の間を開けた後、そのあまりにも単純な返答に、先程より大声でピサロが笑う。

「はははははは! つまりお前は見た目通りの馬鹿という訳か! く、はは……それとも、私が馬鹿にされているのか?」
「オレは馬鹿かも知れねぇが、馬鹿にはしてねぇ。覚悟ってのをしてきただけだ」
「覚悟か。ふん、この私に細切れにされる覚悟という訳だ。ならば存分に試してやろう!」

 黄金太陽神の輝きが更に強まるのを感じた曲人はチェーンを構えると、頭上で振り回して臨戦態勢に入った。問題はここからなのだ。うっすら瞼越しに感じられる光源を頼りに、よりによって高速移動を得意とする相手の連撃を凌ぎきらなければならない。それも足元の剣に触れぬよう、その場から踏み出さぬまま。曲人が仮にどれだけの手練であっても分の悪い賭けだった。あるいは、何も出来ずに真っ二つにされるかも知れない。

(でもやるしかねぇ。人を殴るんなら、殴られる事だってある。覚悟ってのはそういうもんだ)
「そぉら、まずは一撃!」

 声と共に、光が消えた。つまりは背後。

「――オラァ!」
 振り返りざまにジャストなタイミングで振ったチェーンが、背後から首筋に迫っていた剣を弾き飛ばして金属音を響かせた。眩い光を正面から感じる。曲人は驚くほどの正確さでピサロの位置を捉えていた。続くのは左右からの連撃。左に向けたチェーンからは確かな手応えが帰ってくる。が、戻りより右からの一撃が早い。
「ぐぉっ……!」
「当てずっぽうにしては良く受けた!」
 続く六連撃を曲人は急所への一撃を避ける事だけに集中して凌ぎきり、当てずっぽうではない事を示した。急所以外のあちこちに傷を負うことを代償にして。中でも最初に右肩に貰った傷が一番深く、もう少しでチェーンが握れなくなりそうだった。しかし、未だに曲人は立っている。そして虚勢を張るかのように手近な剣を探し当てて掴むと、光源に向かって放り投げた。
「どぉしたぁ! ご自慢の剣が止まってんぞオラァ!」
 無論ピサロに当たる筈は無い。流石に目をつぶったまま放たれた物が、あれほど高速で動ける相手に当たる筈は無い。それは曲人とて分かっている。しかし、その手を休めずに投げ続ける。一回の連撃で方がつくと思っていたピサロは、最小限の動きで投擲を避けつつ、若干うんざりとした目を曲人に向けて、もう一度身構えた。
「ちっ、一度八艘九連飛びを避けた程度で付け上がるとは。良いだろう、ならば何度でも……!」

「――させません」
「何!?」
 トリテレイア・ゼロナインが動いたのはその瞬間だった。曲人を倒す事に集中しだしていたピサロはそれでも七大海嘯としての意地を見せ、先程の連撃を遥かに上回る速度で剣を振るう。トリテレイアはその一撃を剣で受け、鍔迫り合いに持ち込んだ。太陽神のエネルギーを受けたピサロと、ウォーマシンとしての怪力を備えるトリテレイアの間で激しい押し合いが起こり、交えた剣が火花を散らす。
「七大海嘯『邪剣』……騎士として討ち取らせて頂きます」
「不意打ちとはやってくれるな! 騎士を名乗るにしては汚いやり口ではないか!」
「恥ずかしながら……貴女と同じく搦め手は不得意でもありませんので。ですから、これもご容赦を」
 そう言い放った直後、トリテレイアの第三の腕が素早くピサロの首に伸びた。全力による鍔迫り合いの最中では、離脱も出来ない。そのまま鷲掴みにする。
「ぐ、あ……っ!」
 もがくピサロを、手近な剣の上から地面に叩きつけるようにして串刺しにする。巨悪には、万が一にも逃げられてはならない。曲人が体を張って作ったチャンスなのだから。
「貴女を逃がし、その背後の太陽神のような犠牲を出させる訳には参りません。その野望……断たせて頂きます」

 ピサロを串刺しにしている筈の剣が消えている事に、トリテレイアは素早く気づいた。そしてその剣がこちらに向って飛んでくる事にも。咄嗟に盾を構えると、剣は素早く方向を変えて、隠し腕のワイヤーを断ち切った。同時にピサロの姿も消える。

「げほっ……中々やってくれるな猟兵達!」
 全速で上空に逃げて体勢を立て直したピサロが、首を掴んでいた隠し腕をトリテレイアに投げてよこした。串刺しにこそならなかったが、怪力でもって思い切り地面に叩きつけられたためか、顔には苦痛の表情を浮かべている。曲人をあざ笑っていた時の、余裕に満ちた態度は完全に消えていた。代わりに、明らかな殺意を放っている。
「馬鹿と言ったのは訂正しよう! お前達は今ここで油断無く殺してやる!」

 トリテレイアは、その辺りの剣を踏み砕きながら曲人に歩み寄った。
「申し訳ない、不意打ちには失敗しました」
「いいさ、全く無駄って訳でも無かったんだろ? 切り替えていこうぜ」
 猟兵達は、覚悟と共にピサロに向き合う。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

緋翠・華乃音
万能を求めれば、稀有を見落とす。
突出を求めれば、足元を掬われる。

君がどれだけ強かろうと、付け入る隙はある。

眼を瞑ろう。
不足は他の感覚と直感で代替すれば良い。
感覚を一つ欠けば、他の感覚がより研ぎ澄まされるものだ。

受容器から末梢神経系を通し、神経細胞を介して中枢神経系に。
視覚でなくとも感じることはできる。

周囲の音を、空気の匂いを、地の微振を、風の流れを。
視覚など無くても然したる問題にはならない。
反響定位を用いれば地面に突き刺さる剣の位置も把握できる。

先制攻撃に対する最適解は回避だ。
知覚可能な全ての情報を、ただ躱すという行為に最適化させる。

紙一重で良い。
身体の交差する一瞬に後の先で銃弾を。



 緋翠・華乃音は激戦を繰り広げているピサロと猟兵達を、少し離れた所から観察していた。視覚は使用していない。その代わりに第六感も含めた他の感覚を全て活用して情報を集めている。それはピサロが紛れもない強者であり、真っ当な戦い方で勝利することは難しいという事を、華乃音が自覚しているからだった。機会があるとすればそれは一度。であるならば、出来得る限りの情報を最適化しなければならない。全ては太陽を撃ち堕とすために。

「くそ、埒が明かんな……しかし、まだ勝てる! 黄金太陽神のエネルギーはまだ十分にある!」
 ピサロはと言えば、彼女の実力を持ってしてもねじ伏せる事の出来ない猟兵達に、焦りを覚えている所だった。太陽の征服者を全力で発動させた超高速の飛翔により、それまでの戦場から距離を取って仕切り直す。そこで眼下の猟兵と目が合った、気がした。彼は目を瞑っていた。

「……まずは数を減らすか。奴のように攻撃を防ぐ暇など与えん!」

 瞬間、眩いばかりの光輝が迫ってくる事を華乃音は感じとった。彼女の発する光、そして熱。切り裂かれる風の流れも。通常の人間であれば知覚すら出来ない高速を、研ぎ澄まされた神経が確かに捉えている。後はその情報を、二人が触れ合うその瞬間に結実させるだけ。

 ――鮮血が宙を飛んだ。華乃音は肩からばっさりと斬られて膝をついた。

「……ばか、なっ……!」

 そしてピサロもまた舞い戻った上空で、奇しくも華乃音と同じ傷を晒して悶えていた。いや、華乃音よりも傷が深い。それはピサロが実力者であり、重罪人であることの証だった。しかし、致命傷にはならない。十全なエネルギーの供給を受けて戦闘力の強化された彼女は未だに戦う事が出来た。だが華乃音に止めを刺していればその間に他の猟兵が追いついてくる。ピサロはまた別の空域へと逃走するしかなかった。

 「……一撃では堕ちないか」
 華乃音はその場で独りごちた。格上殺しの弾丸とは言え、流石に太陽を一撃で、というのは難しかったのかも知れない。

 「けど、沈まぬ太陽なんて無いんだ」

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ヨナルデ・パズトーリ
貴様は此処で討つ
コルテスが如く貴様を蹂躙致そうぞ!

魔法は※高速詠唱※範囲攻撃前提

目潰し
目を閉じ※野生の勘と※第六感で敵の動きを※見切る

※空中戦徹底
八艘飛び
※地形破壊級の地震を引き起こし同時に※天候操作で※目潰しの※呪詛を織り交ぜた地吹雪顕現
更に其処に※式神使いと※結界術の応用でマヒ攻撃を放つ※存在感を弱めた※残像を大量にばら撒く
揺れて且つ凍結した地面や剣
30cm先が見えぬ視界に攻撃する障害物という状況で八艘飛びがしにくい環境に

自身は※存在感と※殺気を抑え※目立たない様にし※不意打ち
※怪力の※グラップルで抑え込み※零距離射撃でUC
テスカトリポカの権能で※限界突破した闇※属性攻撃※全力魔法を討つ



「ちっ、業腹な猟兵共が……次は何だと言うのだ?」

 突如発生した地吹雪にピサロは困惑を隠せずに居た。太陽の征服者を発動させたままであるから凍えはしないが、前がまるで見えないのでは飛行にも多少の問題がある。術者らしき気配を何度か感じ、その度に斬りつけはするものの全て虚像だった。そして何より。

「この力、現象こそまるで異なるが、黄金太陽神に似た物を感じる。これを発生させているのは何者だ? ……いや、考えていても仕方がない。見つけて斬ってしまえば良いだけの事!」

 侵略者らしい明確な倫理と共に決意した、その瞬間だった。ヨナルデ・パズトーリは猛烈な勢いで吹雪の中からピサロに迫ると、その両腕をがっしりと掴んで動きを封じた。小柄な体に似合わぬ怪力と、それまでに密かに付与されたマヒの効果がピサロの力を完全に削ぐ。ピサロの背後からの光がピサロ自身に遮られる中で、ヨナルデは閉じていた目をカッと見開いた。

「捉えたぞピサロ! 既に散ったコルテスが如く、貴様を蹂躙致そうぞ!」
「その言いようとその力、コルテスに征服された神々の一派か! 大人しく我らに服従していれば良いものを!」
「黙れぇっ!」

 鬼気迫るやり取りの最中、ヨナルデは自身とピサロの間に自らの権能を発動させた。それはテスカトリポカとしての、全霊を込めた夜の闇。太陽神と対をなす者の力。

「引導を渡してやろう、哀れなそのビラコチャの子と共に!」
「貴様ぁっ……!」

 ――全てが終息して視界の晴れた後、ピサロの姿はかき消えていた。存在は感じられるから、また全力で飛行して逃走したのだろう。しかし、闇魔法は確かにピサロに直撃した。そしてエネルギーを消費し続けての飛行。ピサロの命運は既に尽きかけている。

「……今妾にしてやれるのはここまでか。せめて安らかに逝け、異国の太陽神よ」

 過ぎ去った過去を思い出したヨナルデは、そう願う事にした。

成功 🔵​🔵​🔴​

火霧・塔子
虐げられる者の積怒を見ました!
今、その手を掴みに行きます、黄金太陽神さん!

ムーンシャイナーに乗って、視界を閉ざします!
見えずとも、振り撒く炎が、我が魂!
火炎放射と関節部から吹き出す炎、機体の周りを衛星のように回るレボリューションハートで四方八方超【焼却】攻撃です!
火炎で生えている剣を【なぎ払い】、延焼した炎で敵の動きを封じ、衛星ハートで先制攻撃もブロックですよ!

そして、機体が損傷してきたタイミングで私自身が飛び出し【覚悟】の突撃で、太陽神さんにUCのこもった火炎瓶をシュートします!
これで一時的に太陽神さんも邪剣さんから解放されるハズ
後ろから報復の一撃を見舞っちゃってください!

絡みアドリブ歓迎


朱鷺透・小枝子
どんな相手だろうと関係ない。
敵は壊す。逃がすものか!

亡国の主に搭乗操縦
スラスターの推力移動で空中浮遊、剣から逃れ、
取り憑いている黄金太陽神の呪詛を(悪霊としての)第六感で感じとり、ファイアランチャーで焼却属性攻撃、ブレス攻撃、破壊の霊物質を念動力で操り死角へ範囲攻撃
ピサロを近づけさせず、先制攻撃を凌ぐ

何故かは分からないが、貴様が、いやその太陽はよく分かる!
壊せ、主よ!!
『破壊翼』発動。融合、巨大な翼を生やし、翼でなぎ払い。
引き離した所に、大きく、とても大きく広げた巨大な翼から、羽根の弾幕を発射する!
地面に突き刺さった羽根はその場で崩壊霊物質を放ち、逃げる場所を奪う。

壊れろ、その太陽と共に!!



「一旦攻撃は止めてください! 私はあの人に、虐げられる者の積怒を見ました!」
「どちらにせよ敵であれば壊すしかありません! お分かり頂きたくあります!」
 お互いに譲れない物がある両者は、あと一歩の所までピサロを追い詰めながら、なんとキャバリアの通信回線越しに激論を交わしていた。当然、そんな隙を歴戦の強者であるピサロが見逃すはずは無い。
「何を考えているのかは知らないが! 殲滅せよ、我が三千邪剣世界よ!」
 四方八方から迫りくる邪剣の嵐を、火霧・塔子はレボリューションハートを機動させて弾き飛ばす。それでも防ぎきれずに二本が金属音と共に胴体に突き刺さった。急造品であるムーンシャイナーではそうそう耐えきれる物ではない。更にその上空から、邪剣を従えてピサロが迫る。

「ちぃっ!」
 朱鷺透・小枝子の亡国の主がスラスターを全開にした挙動でそこに割り込み、ブレスで攻撃を遠ざける。ピサロは猟兵達との戦闘で明らかに消耗しており、機動力が格段に落ちているのが見て取れた。とはいえ、未だにこの二機を破壊するなど造作も無いだろうという事も事実なのだった。
 であるならば。肉薄攻撃などという賭けは危険に過ぎる。

「自分も感じます、あれは自分と同じ物だ! それでも敵は壊す! どんな相手だろうと関係ない!」
「同じであるなら分かるはずです! 私はあの人を解放しなければなりません!」
 足元から地面と平行に迫る剣が、ムーンシャイナーの分厚い足を切り裂く。
「そちらの機体がもう持たない!」
「ですから! ……私が駄目だった場合は、お願いします!」
 反論を使い尽くした小枝子は混乱して押し黙った。敵は壊す。しかし味方は壊すなと言う。同じ物。だから何だというのか? しかし、あれ程の覚悟なら一人でも行ってしまうだろう。――まさか、味方ごと壊す事は出来ない。
 小枝子はいつの間にかたれていた鼻血を手の甲で拭いた。この戦いの後、彼女は極限状態の中で人知れず何かに気づいていた事を完全に忘れてしまう。
「……自分が足を止めます。お気をつけて」
「ありがとうございます!」

「何を待っているのだ……?」
 ピサロはここまでの戦いによって猟兵達を完全に強敵と見なし、全力での戦闘を行っていた。そのため、キャバリア同士の通信を聞けない彼女はますます挙動不審になっている二機を警戒して、攻撃の後着地して遠巻きにその様子を見つめていた。無理にエネルギーを使って飛ばずとも、もう少し三千邪剣世界で攻撃し続ければ労せずに勝てるとも踏んで。あるいはここで全力で接近戦を挑めば勝てたのかも知れない。しかし、その機会は既に二度と訪れなくなっていた。

「……主よ!」
 小枝子の呼びかけと共に亡国の主は巨大な翼を展開した。機体を包み込む程の翼から放たれる、全てを破壊する羽根が、上空から弾幕となってピサロの周囲に降り注ぐ。
「何かを発しているのか!」
 崩壊霊物質などピサロは知る由も無いが、羽根から出るその何かに触れてしまえばまずい事が瞬時に理解できた。無理に避けず最小の動作でかわした事が裏目に出ている。これでは飛行できない。

「今、その手を掴みに行きます、黄金太陽神さん!」
「なっ!?」
 驚愕の声をピサロと小枝子が同時に発する。塔子はムーンシャイナーから飛び出して、小枝子が意図的に撃たなかった正面からピサロに突撃した。肉薄攻撃がまさか文字通りの意味とは。機体越しでも危険行為なのに、生身で崩壊霊物質に触れでもしたらどうやっても助からない。しかし、塔子は一時も立ち止まらなかった。明らかに動揺したピサロの剣戟を、覚悟の差でかい潜る。

「こいつ、まさか狙いは!」
「さあ、報復の一撃を!」
 塔子のシュートした火炎瓶がパリンと音を立てて砕けた。発する炎が黄金太陽神を包み込む。そしてその炎とも、これまで放たれていた光とも違う、どこか厳かな光が発せられている。黄金太陽神が一時的にその支配権を取り戻し、そのエネルギーを使い尽くそうとしているのだった。即ち、天罰。その様子を見ていた塔子はそこで気づいた。ここまで来た場所が既に拡散した崩壊霊物質によって塞がれているという事に。
「あ……」
「動かないで下さい!」
 人の傷つかないギリギリの速度で飛翔する亡国の主が、塔子をさらうようにして抱き上げ、翼で覆い包んで霊物質の中を突破した。反転して上空から見下ろす。黄金太陽神から放たれる光は更に強まっていたが、これまでとは違い、不思議と直視する事が出来た。
「最期に確かに見届けました、貴方の魂の炎を」
「……関係は、無い。壊れろ、その太陽と共に!」

「今更私に逆らうのか! いや……私も負けたからか。ちっ……いつか沈む太陽など征したのが間違いだったな」
 人知れずピサロがそう呟いた後、その体を爆発的な炎が包み込んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年02月23日


挿絵イラスト