2
羅針盤戦争 ~ 響き渡るあんちうぉーぼいす?

#グリードオーシャン #羅針盤戦争

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#グリードオーシャン
🔒
#羅針盤戦争


0




●歌って踊って人魚さん
 羅針盤戦争は終盤に差し掛かろうとしていた。戦況は大きく動き、猟兵たちは8つの王笏をその射程内に捉えている。

 しかしコンキスタドールたちもまた次の手を打つことで戦況を変えようとしている。それは蒼海羅針域(コンキスタ・ブルー)の破壊から方針を転換、猟兵の撃破へと切り替えることであった。

 その方針の下、針路を変えた艦隊のひとつ、『歌う海賊団『オケアニス・シレーネス』』は。
「あ゛ぁぁーー、やっと解放されたーー」
「もうやだー」
「つかれたー」
 もはや死屍累々であった。さもありなん、この艦隊を構成している人員は人魚たち。しかも、愉快に歌い、愉快にお祭り騒ぎをすることで名の売れた人魚たちの海賊団なのだ。剣とか持って戦闘とか本当は苦手なのである。
「でもでも、次は猟兵たちさえ倒せたら、何してもいいって言ってたじゃない」
「ということは?」
 顔を見合わせる人魚たち。そして、にまーっと笑顔を浮かべて叫んだ。
「「「歌おーーー♪」」」
 歌うらしいです。

●世界は歌で満ちている?
「というわけで、蒼海羅針域の防衛にあたっていた鉄甲船が危険なんですの」
 深護・刹那(花誘う蝶・f03199)が猟兵たちに告げる。
 蒼海羅針域防衛艦隊が人魚のコンキスタドールに囲まれ、そのまま海に引きずり込まれてしまう未来を視たのだ。
「直接的な戦力は下の下といったところなのですが、厄介なのはとても数が多いのと人魚という点ですわね」
 彼女たちは歌う人魚。いかなる攻撃をも弾き返す盾とて歌声を阻むことはできない。
「まぁぶっちゃけた話、皆さんであれば耳を塞ぎながら戦えば事足りると思うのですが」
 そこにあるのは信頼感というか、何でもこなしちゃう猟兵さんという認識というか。
「問題は一緒に船に乗っている一般の方でして」
 操舵とか航行にかかわることから雑務まで。鉄甲船の航行に一般の方の力は欠かせない。
 そんなわけで戦闘の時は引き下がっている彼らであるが、歌である以上、聞こえたらもちろん影響が出る。死んだりとかしないんだけども。
「どうも非戦というか、お祭り騒ぎしようと誘いかけてくるようで」
 歌に影響された一般人は甲板に出てきてお祭り騒ぎを始めてしまう。人魚たちも本気で戦うのが苦手なので意図した結果ではないのだが、結果的に戦闘が阻害される。
「それだけならいいのですが、その後が面倒でして」
 歌の影響を受けた、と見て取れた鉄甲船があれば、人魚たちが一斉に近寄ってくる。
「『海の中で一緒に遊ぼう』と船を取り囲んで沈めるという展開になります」
 なんて平和で残酷な作戦なのか。

 『はぁっ』とため息をつく刹那。
「というわけで、皆さんで人魚たちを排除してきていただけませんか?」
 戦闘におけるポイントは戦場である。
「人魚たちはまず鉄甲船から離れた、かつ歌声が届くような遠くの位置から仕掛けてきますわ」
 海の上に顔だけ出して歌っている人魚たち×いっぱい。
 そのため、こちらから攻撃するには近づく必要がある。しかし、グリードオーシャンの海上では何故か飛行や転移が阻害されている。一時的な飛翔やジャンプ程度なら問題ないのだが。
 常套手段は海の上をどうにか行くというもの。あるいは海中という手もある。
 それか鉄甲船からの遠距離射撃で仕留めていくしかない。声が届く範囲なのだから、手段を調えれば攻撃が届かない距離ではない。
 ちなみに鉄甲船による海上ひき逃げアタックもいいが、鉄甲船のほうが傷つく可能性もあるので注意されたし。

「まぁ、人魚たちも言うほど戦闘に積極的ではないので」
 全員倒さなくても、こう一発大きいのをぶちかませば、散っていく可能性もある。非戦の歌を歌う人魚たちは勝ち目のない戦いに挑んでは来ないのだ。

「とまあ、策を打つ必要はありますが、皆さんであれば難しいことではないと思いますわ」
 刹那が話を纏めてグリモアを取り出す。
「悲しいけどこれ戦争なのよね、と言うか否かは、皆さんの気持ち次第で」
 最終的に鉄甲船の針路と安全さえ確保できれば何の問題もない。
「それでは皆さん、よろしくお願いしますわ」
 そう言って刹那は猟兵たちを送り出すのであった。


るちる
 まいど。お世話になってます、るちるです。
 ボス戦ラッシュでそちらも重要なのは承知しておりますが、やっぱりガチばかりだと私の心が辛いのでー。ゆるふわまったり気味のシナリオのお届けです。

●全体
 1章構成の戦争シナリオです。
 『歌う海賊団『オケアニス・シレーネス』』の集団戦になります。
 リプレイはプレイングの雰囲気で決めますので、シリアスで来たらシリアスですし、コメディできたらコメディになります。

 戦闘開始初期位置は鉄甲船の甲板の上。既に周辺をぐるーっと人魚たちが取り囲んで歌い始めています。
 最終目的は、鉄甲船の安全および針路確保。人魚たちの動向については問いません。追い払ってもいいし、倒しきってもいいし。遊ぶついでにどこかへ誘導してもいいです。

 以下のプレイングボーナスがあります。
(=============================)
 プレイングボーナス……海上戦、船上戦を工夫する(海上では飛行や転移が阻害されています)。
(=============================)
 基本的には海の上をいく、という感じになるか、あるいは甲板からの攻撃になると思います。木の小舟程度なら鉄甲船に備え付けがあります。またユーベルコードの効果による『飛翔』と『ジャンプ』は有効とします。カタパルト発射は有効ですが、ネタっぽくなっても許してください。

 採用人数は最低限~6人程度になるかと思います。先着順ではありませんのでご了承ください。

 それでは皆さんの参加をお待ちしておりまーす。
151




第1章 集団戦 『歌う海賊団『オケアニス・シレーネス』』

POW   :    楽曲番号一番「黒海のネレウス」
【ご機嫌な仲間たちと共に魂へと響き渡る歌】を披露した指定の全対象に【この歌を聴きながらお祭り騒ぎしたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
SPD   :    楽曲番号八番「紅海のアプスー」
戦闘力のない【愉快に歌う海の音楽隊】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【魂へと響き渡る歌を共に楽しく奏でること】によって武器や防具がパワーアップする。
WIZ   :    楽曲番号二四番「死海のエーギル」
【活気ある仲間と魂へと響き渡る歌を奏でた】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。

イラスト:芋川

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シビラ・レーヴェンス
露(f19223)。
まずは人魚の歌をどうにかしないとな。…ふむ。
「…そうだな。歌うのを『停めて』みようか」

身体のパフォーマンスを上昇してから封印を解き…。
限界突破で底上げしたのち全力魔法と範囲攻撃を付与。
そして【凍結の矢】を辺り一面に連発し海に撃ち込む。
凍結しなくとも海水の温度を可能な限り低温にできればそれでいい。
相手も生き物。体温が低下すれば生理的振戦が発生するはずだ。
ましてや温度の高い海水で過ごしてきた彼女達だ効果は絶大だろう。
そうなれば例え人魚といえども歌どころではないはずだが…さて。

このまま大人しく帰ってくれれば追撃はしない。面倒だ。
…今度一息に広範囲を凍結させる術でも考えてみるか…。


神坂・露
レーちゃん(f14377)。
人魚さんらしい戦い方ね。いいなぁ~人魚さん♪
「歌が武器なのよ? 重いとか苦労ないし素敵じゃない♪」
レーちゃんにつっこまれたから両腕振り回して抗議するわ。
むぅ。レーちゃん武器使う人の苦労知らないんだから…むぅ♥
(シビラの背中にくっつく)
それはそうと人魚さんの歌の対策どうしようかしら。
ブレスでドーンってできるけど…それは可愛そうな気がするわ。
だから【月狼の吐息】は全力魔法付与してから脅しに使う~。
方法は人魚さんのいない海面すれすれをしゅばばーって放つわね。

で。レーちゃんは…え?海面を冷やす?せいりてきふるえ?
…人魚さん寒さで震えて声が出せないわ。凄いレーちゃん…。



●歌声と遠吠えと凍結注意
 グリードオーシャンの海上にて。
 蒼海羅針域を防衛している鉄甲船艦隊のひとつがコンキスタドールに取り囲まれていた。『歌う海賊団『オケアニス・シレーネス』』、歌う人魚のコンキスタドールたちである。

 その歌声が鉄甲船まで届く中。

 神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)とシビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)は甲板の縁に立って海……というか人魚たちを眺めていた。
「人魚さんらしい戦い方ね。いいなぁ~人魚さん♪」
 縁から身を乗り出してまで人魚たちを見ようとする露に。
「……うむ?」
 シビラはどうも共感できてない感じである。そんなシビラに対して、くるり振り返った露はしゅばっと距離を詰める。
「歌が武器なのよ? 重いとか苦労ないし素敵じゃない♪」
 両腕を振り回しながら抗議する露。そういえば大体の場合、接近戦担当が露で、シビラは後ろから召喚とか魔法とかそういう戦い方だった。重い武器を振り回している露にとっては大切なことなのだが、いまいちシビラには伝わっていないようである、残念。

「それはそうと人魚さんの歌の対策どうしようかしら」
 いまだ抗議中(?)のため、シビラの背中にくっついたままの露さん。そこから離れようともせず、そう告げると。
「……ふむ」
 もう剥がすのを諦めた感じのシビラが改めて海の方を向く。
「ブレスでドーンってできるけど……それは可愛そうな気がするわ」
 にゅっと背中の方から顔を出しながら露がさらにシビラにそう告げて。
「……そうだな。歌うのを『停めて』みようか」
 シビラが露にそう返すのであった。

 シビラの策はしばし時間がいるようだ。
 なので、その間に露が牽制を仕掛ける。
「るあぁぁ~~♪」
 楽しそうな声だけど、たぶん狼の吠え声だと思います。【月狼の吐息】、神話の狼の名を冠するユーベルコードが発動。露の口内に超圧縮した精霊力が溜まっていき。

 ヴンッ!

 それは直後、レーザーブレスとして撃ち出される。甲板の上からしゅばばーっと海を真っ二つに割りながら、一条の光が人魚の包囲網を断ち切った。
「脅しには十分だと思うんだけど~」
 どうかしら? と問う必要もなく。歌声が止まっておりました。どうやら人魚たち、びっくりしたようです。

 露が人魚たちを牽制している間に。
 シビラは滞りなく準備を進めていた。
 まずはダンピールたる身体の、パフォーマンスを徐々に上昇させて封印を解く。解き放たれた力で以て編み上げるのは氷の魔力。効果範囲が極限まで広げて……後は全力で叩き込む!
「Posibilitatea de a îngheța blocanții……」
 詠唱の後、放たれるのは【氷結の矢】。魔力で創り出した氷の矢が、シビラの頭上を起点に辺り一面へ放たれる。限界突破した魔力によって、連射性を上昇。次々と放たれる氷の矢が、通常であれば凍ることすら望めないグリードオーシャンの海面を氷結させていく!
 しかしシビラの狙いは凍結そのものではない。
(凍結しなくとも海水の温度を可能な限り低温にできればそれでいい)
 人魚、しかもオブリビオンといえども相手も生き物の構造をしている。ならば。
(体温が低下すれば生理的振戦が発生するはずだ)
 それは生き物であるがゆえに避けられない現象だ。ましてや温度の高い海水で過ごしてきた人魚たちならば。
(そうなれば例え人魚といえども歌どころではないはずだが……さて)
 【氷結の矢】を一通り撃ち終えたシビラが周辺を確認するのであった。

 びっくりしたのは露である。
「……人魚さん寒さで震えて声が出せないわ。凄いレーちゃん……」
 若干自分も寒いのを除けば完璧であった。あと、出来ればやる前に教えてほしかった。
 海面を冷やすという大胆な作戦で、人魚たちの歌声を止めることに成功したシビラは吐息をひとつ、戦果に満足する。視界の隅には寒さに震えている様子の露。
(……今度一息に広範囲を凍結させる術でも考えてみるか……)
 とか思いついたのだが、それはさておき。
「この後、どーするのレーちゃん?」
「このまま大人しく帰ってくれれば追撃はしない。面倒だ」
 露の声にシビラが海上へと改めて視線を向ける。人魚たちはとりあえず攻め込んでくる気配を見せない。
 それにどうやら他の猟兵が海面へ飛び出していったようだ。
(今しばらく様子を見るか)
 『レーちゃんすごーい!』と抱き着いてくる露を突き出した腕で制止しながら、シビラはそう結論付けたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メガ・ホーン
・よーし、俺様ちゃんも歌うぞー! とは言っても、船を沈めるのはちょっと頂けねぇなぁ……なんか戦っても弱いものいじめ状態になりそうだし、どうすっかなー。

・ということで、レガリアスシューズ起動。「水上歩行」「ダッシュ」で鉄甲船に先行して人魚さん達の元へ。あ、もちろん歌って演奏して行くぜー。
歌と演奏には【レクイエムアタック】を乗せて「船を沈めるという気持ち」を除去したいねぇ。そうでなくても、一緒に歌えば鉄甲船が安全圏まで行くまでの間くらいは時間稼ぎできるだろ。

・つーか、戦いたくねーならどっかで戦争が終わるの待ってればどうだ? そろそろ決着つきそうだしよー。それまで一緒に歌って騒ぐか? 付き合うぜー?


天道・あや
ふむふむ、成るの程、成る程!確かに海のなかで遊ぶのはー、普通の人には厳しいよね!

……よし!それじゃ、普通じゃないあたしが遊びに付き合うぜ!

準備運動よし!装備確認よし!そしてー、遊び心よし!じゃ、レッツダイブ!

船から飛び降りて、人魚さん達の方へ移動!(ジャンプ、水上歩行)

人魚さん達ー!遊びたいなら付き合いますよー!

さーて、何して遊びましょうか?おにごっと?それともかくれんぼ?……あっ!歌とかどうですか!あたしも歌うの好きなんですよー!よし、それじゃあ、それで!

人魚さん達と歌って踊ります!水上にも慣れてきたし、いけるいける!(足場習熟、ダンス、歌唱)

あ、せっかくだし一緒に手を繋いで踊りましょうぜ!



●海の上は疾走するもの
 『歌う海賊団『オケアニス・シレーネス』』の人魚たちの歌声が鉄甲船の甲板まで響き渡る。一般の方たちには今のところ被害は出ていない。
 そんな中、甲板の上に立っていたのは天道・あや(目指すぜ!皆の夢未来への道照らす一番星!・f12190)とメガ・ホーン(サウンドマシーン・f13834)であった。まずは有事に一般の方たちを守るためにここで待機していたのだ。

 しかし、ただ待機しているわけではない。
(ふむふむ、成るの程、成る程! 確かに海のなかで遊ぶのはー、普通の人には厳しいよね!)
 と、あやは人魚たちの心境を推し量りながら、うむうむと頷きを返しつつ。この状況を打破するのに必要な行動を導き出す。
「……よし! それじゃ、普通じゃないあたしが遊びに付き合うぜ!」
 自分で普通じゃないって言いきっちゃったよ。そんな猪突猛進で前向きな性格のあやだが、その分、目的は決して見失わない。そして目指す道も。

 そしてもうひとり、メガもまた歌声をここまで届かせている人魚たちを遠くに捕捉しながら、気合を入れていた。
「よーし、俺様ちゃんも歌うぞー!」
 その鉄の身……の奥底に灯る執着の炎。鉄の身すら動かすその想いの強さは今なお、彼に音楽を謳歌させている。
(とは言っても、船を沈めるのはちょっと頂けねぇなぁ……)
 メガvs人魚。どう見ても特撮物になりそうな勢いです。
(なんか戦っても弱いものいじめ状態になりそうだし、どうすっかなー)
 歌いたい気持ちと、まともに戦うとそうならない現実との狭間。その間に揺れている時間はとても少なく。

 仲間の猟兵の攻撃によって歌声が止んだ。待機の理由からすれば、この瞬間、彼らはその任務から解放されたのである。

 その隙を逃す二人ではなかった。
「準備運動よし! 装備確認よし! そしてー、遊び心よし! じゃ、レッツダイブ!」
 いつでも行けるように、と準備万端だったあやは即座に海へジャンプする。
「よーし、俺様ちゃんもいくぞー!」
 揺れる気持ちもそこそこに、メガもレガリアスシューズ起動。こっちも海へダイブする。

 『海の上を行く』

 奇しくも同じ方法を考えていた二人なのでした。

●歌に乗せる
 ジャンプにダッシュ、水上歩行。飛び跳ねているか、走っているかの細かい差はあれど、海上を疾走するあやとメガ。
 そうさ、片足が沈む前に、もう片方の足を出せば沈まない! そんな感じのことができるのが猟兵です。

 ただ、それはそれですごい勢いなわけでして。
「「「きたーーーーーっ?!」」」
 歌声を止めていた人魚たちから見れば、水しぶきを巻き上げながら、猟兵二人が超速接近している図である。
 慌てて、どうにか歌を歌い出す人魚たち。まずは楽曲番号二四番「死海のエーギル」、仲間の魂へと響き渡る歌声で、次の行動に対してバフる。
 が、その一手がミスってる。
「おっと、俺様としたことが歌も演奏も忘れてたぜ」
 人魚たちの歌声に触発されたかのように。メガがエレキギターをかき鳴らし、胸のスピーカーから音を出しながら、口からメロディを口ずさむ。ついでに【レクイエムアタック】を乗せて、メガの『音を楽しむ』力が人魚たちに叩きつけられる!
(『船を沈めるという気持ち』を除去したいねぇ)
 悪意のない行為かもしれないが、それだけは止めなければ。そんな想いを込めてメガが歌い続ける。
「……うっ」
 エーギルの効果を以て楽曲番号一番「黒海のネレウス」を歌い出そうとしていた人魚たちだが、『そもそも何のために歌ってるんだっけ?』という根本に行き当たり、声が出ない。
 乱れる心、紡げない歌声。
「ああもう、上手く歌えなーい!!」
 ついに人魚たちが歌うこと自体を中断する。
 だがそれでも猟兵たちは全速力で突っ込んできている。
「ひぃぃぃぃ!?」
 爆速で近づいてくる猟兵に思わず悲鳴を上げた人魚たちへ。
「人魚さん達ー!遊びたいなら付き合いますよー!」
 至近距離で急ブレーキをかけたあやはそう告げたのである。

●音の力
「「「……はい??」」」
 あやの言葉に首を傾げる人魚たち。その視線の先には少し距離を保った位置で海面を飛び跳ねているあやがいる。まるでトビウオが海面で遊んでいるかのごとく。
 その楽しそうな雰囲気に思わず目を奪われていた人魚たちであるが。
「ハッ、ダメよ! 猟兵は倒さないと!」
 ひとりが叫び、我に返った人魚たちが歌い出そうとする。
「待った!」
 それを制止して、あやが歌い出す。その音色は心暖まるもの。あやの声が紡ぐのは歌だけではなく、【連鎖する素敵な夢と未来への道!】。

 ――さあ! 想像しようよ! 明るい未来を! 素敵な夢を!
 ――そうすればきっとこの先の道は明るいから!

 あやの想いを乗せた歌声が人魚たちの間に響き、次々と思い浮かぶ素敵な夢や未来の想像が彼女たちを包み込む。

 ――少女は歌う、素敵な夢を、明るい未来の思いは素晴らしいと。

「あたしも歌うの好きなんですよー!」
 一曲終えて、あやが笑う。それは屈託のない楽しそうな笑顔。そう、歌は、音は楽しいものなのだ。
「さあ、一緒に」

 ――遊びましょう。

 それはあやの言葉が人魚たちの心を撃ち抜いた瞬間である。

●ようやく訪れたお祭り騒ぎ
 メガの【レクイエムアタック】にあやの【連鎖する素敵な夢と未来への道!】で完全に毒気を抜かれてしまった人魚たち。元々、戦争に乗り気じゃなかったこともあって戦闘を放棄したい気持ちでいっぱい。
 でも猟兵は敵である。敵前逃亡したら七大海嘯が怖い。この状況どうするの。

 そんな不思議な緊張感が人魚たちに走り始めた時。
「さーて、何して遊びましょうか? おにごっこ? それともかくれんぼ?」
「「「……!?!?!?」」」
 あやから出てきた言葉に目を丸くする人魚たち。
「あっ! 歌とかどうですか!」
「「「あっ、それで」」」
「よし、それじゃあ、それで!」
 歌って聞いたら条件反射で頷いてしまった人魚たち。その様子にあやも満面の笑みを返す。

 そして、人魚たちは遊びだす。
「水上にも慣れてきたし、いけるいける!」
 波の足場もなんのその、水の上を飛び跳ねるようにダンスするあや。もちろん歌声を紡ぎながら。
「俺様ちゃんも負けてらんねーぜー!」
 とメガも演奏を乗せて、お祭り支援!
 盛り上がってきたら人魚たちも遅れを取るわけにはいかないと、二人の周辺を泳ぎながら、歌を歌い、海面を飛び跳ねて。
「あ、せっかくだし一緒に手を繋いで踊りましょうぜ!」
「はーい!」
 あやが差し出した手に、飛び跳ねた人魚が手を乗せる。

 ここは今、戦争の真っただ中のグリードオーシャン。
 だけれども、今この瞬間だけは……ただただお祭り騒ぎを楽しむ人々(種族問わず!)が在るだけの海上なのでした。

「つーか、戦いたくねーならどっかで戦争が終わるの待ってればどうだ?」
「「「はっ……!?」」」
 それはお祭りの中で、さらっとメガが切り出した解決策。そう、別に逃げちゃえばいいのさ。
「そろそろ決着つきそうだしよー。それまで一緒に歌って騒ぐか? 付き合うぜー?」
 とりあえず、鉄甲船の針路さえ譲ってくれれば、今この場で同行する必要はない。戦争が終わってその後はまたその時考えればいいんだし。

 そんなわけで、猟兵たちは。
 『歌う海賊団『オケアニス・シレーネス』』の人魚たちの包囲網を突破したのである。人魚たちがどうなったかは……公然の秘密としておこう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月21日


挿絵イラスト