羅針盤戦争〜帝竜なる者
●五番目
様々な形態を持つカルロス・グリードの、姿の一つ。アックス&ウィザーズの力を具現化した存在が、『五の王笏島』で待ち受けている。
「帝竜の一体、ベルセルクドラゴンの力を鎧として着用することで、高速思考と超戦闘力の攻撃を仕掛けてくる。言わずもがな、強敵ってやつだ」
待ち構える立場のあちらは、猟兵達へ先制攻撃を仕掛けてくるだろう。それをまず凌ぐことが第一だとグリモア猟兵は語る。
カルロスが持つ技の一つが鎧が放つ凶暴化ブレス。これはブレスそのものに攻撃力があるわけではないが、命中した対象にルールを宣告し、それを破った者にダメージを与える。
単純なルールであるほど、破った時のダメージが大きくなる、ということであれば、動くな、などと言った内容となることが予想される。
「まぁルールが必ずしもそれってわけではないから、ある程度どんなルールでも対応できるだろうって策がありゃいいとは尾もう。もしくは……ブレスを避けちまう、とか?」
首を傾げつつ、次、と一枚メモをめくり。
鎧の身体強化により、敵は素早い一撃を放ってくる。また、肉体をドラゴン化するなどすれば、より身軽になり、そのスピードは加速するようだ。
これはシンプルに強力な一撃だろう。加速に対応できなければより深刻なダメージになるだろうから要注意だ。
最後に、カルロス自身と、『竜』に対する敵意を向けた対象に、負傷の分だけ威力を増す竜のオーラによる高命中の攻撃。
竜というのはこの島に存在する大量の白骨化した古竜のこと。勿論ただのオブジェではなく、カルロスの命令に応じて攻撃を仕掛けてくる存在だ。
「竜のオーラとやらは負傷分の威力増加がなくてもそこそこ強力だし、なによりこの古竜の群れも同時に対処しなきゃならんのが、なかなか厄介だと思う」
幸いなことと言えば、古竜の攻撃は直接攻撃のみで、ブレス等の技はなく、白骨故か体も脆い。
しかし竜である以上それなりの体躯を持ち、なおかつ数が多く、カルロスの命令化で動くため連携も取れる存在だ。
「忙しない戦いになるだろうが……敵の勢力を削げれば、未だに七大海嘯支配下になってる島の解放も出来るはずだ」
何度か難しい顔をしつつも、そう告げて。開いたメモを閉じながら、よろしく頼むと頭を下げるのであった。
里音
アックス&ウィザードスタイルのカルロスさんとの決戦です。
今回のシナリオでは敵の先制攻撃ユーベルコードと、同時に白骨化した古竜に対処することでプレイングボーナスが得られます。
敵は必ず先制攻撃をしてきますので、対処の上反撃を行ってください。
ユーベルコードの使用を前提とする防御は不可です。
当シナリオは、採用人数は控えめになる予定です。(予定なので情勢を鑑みて少し多めに採用する場合もあります)
OP公開と同時に受付開始しております。特に先着順ということもありません。
早めの完結になる可能性もありますが、失効での返却の可能性もあります。
皆様のプレイング、お待ちしております。
第1章 ボス戦
『七大海嘯『五の王笏』カルロス・グリード』
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POW : アリエント・ドラゴーン
【鎧から放射される凶暴化ブレス】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : エスパーダ・ドラゴーン
【鎧の身体強化】による素早い一撃を放つ。また、【肉体をドラゴン化する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : イーラ・ドラゴーン
【自身または竜に対する敵意】を向けた対象に、【負傷の分だけ威力を増す狂える竜のオーラ】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:hoi
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
大豪傑・麗刃
わたしは武人だが今回は忍者っぽくいこう。
先制対策だが、正直『ある程度どんなルールでも対応できるだろうって策』とか全く思いつかんので回避一択。ここは空蝉の術でいこう。視力を活かしてブレスが飛んでくるタイミングを見切り、ブレスが当たる瞬間に早業で早着替えを活かした超早脱ぎを行い服を犠牲にしてわたしは生きる。
忍者なので脱ぐと強くなるらしい。
以降はブレス対策と古竜対策を兼ねた分身の術。
スーパー変態人2を発動、超高速で戦場を飛び回りながら、光り輝くわたしのオーラに存在感を乗せ残像としてあちこちにばらまき、古竜およびカルロスの目をわたし本体から逸らさせる。で隙を見てカルロスに突っ込み斬る。忍者っぽいのだ。
●
帝竜ベルセルクドラゴンの鎧を纏った敵、カルロス・グリードは、白骨化した竜が蠢くその中に、静かに佇んでいた。
その時、までは。
「――現れたか」
その島に踏み入った存在を気取り、カルロスはそれを辿る。
そうして、見咎めたその存在へ、凶暴化ブレスを容赦なく放つのだ。
鎧が、吼える。その様子を、大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)はしかと見極めていた。
先祖代々続く武人の家系、その次期当主となる麗刃もまた、剣の道をゆく武人だ。
けれど、何もそれに固執する必要などないのだ。勝つため、ならば。
「――ここだ!」
きらん、と目元に過ぎったのは正気の光か。ブレスがその身へ到達する間際、麗刃は目にも留まらぬ早業で、己の服を脱ぎ捨てた。
――今宵、武人は忍となる。それが、麗刃の策だ。
命令に対処できるような万能な力など持ち合わせてはいない。それならば回避の一択しかないだろう。
早着替えを生かした超早脱ぎで、ばさっ、と広げた衣服が、麗刃の代わりにブレスを受け止める。布一枚とて、障壁としては立派な役目を果たしてくれた。カルロスの命令は、麗刃には届かない。
「さすが忍者。忍者は脱ぐと強くなるのだ」
「ふむ」
その理屈はよくわからないが……しからば、と。カルロスはおびただしいまでの古竜達をけしかける。
咆哮を上げることさえ無く、骨の体を軋ませながら襲いかかってくる竜の群れは、まさに決戦の一幕に相応しい絶望的な光景。
その大舞台に漂うシリアスな緊張感に、大豪傑家歴代最強クラスの『変態』が、耐えられようはずもなかった。
――否。耐えられぬからこそ、麗刃はその力を発揮するに至るのだ。
「わたしは超怒ったのだーーー!!!!!」
予め気合を入れて髪を金髪にして逆立てるような労力はいらない。気持ちだ。このシリアスを一刻も早く終わらせてお笑いに走りたいその精神こそが、麗刃を輝かせる。
青白いスパークを伴う金色のオーラで、物理的に。
その存在感たるや。逃げも隠れもしない武人という志に相応しいと大豪傑家家臣がスタンディングオベーションで涙することだろう。
それを最大限発揮した状態での超高速の飛翔は、麗刃の残像を残し、ばら撒く。さながら分身の術のごとく。
脆い骨の竜達は、麗刃が駆け抜けざまにちょっと剣を振るうだけで、その勢いに弾け飛んでいった。
目で追うは愚行。しかし、どれもこれも存在感が強すぎて、どこに本体が居るのか――。
「軌跡を読み軌道を解き先を見るに至るが勝機いやこれだけの存在感を残し駆けるならば本体こそが最も強烈な輝きを宿して然るべきか――」
高速思考はカルロスに冷静さを与える。だが、それだけでは麗刃の軌道を完全に見切ることは、叶わない。
ばらばらと白骨が落ちてくるのを腕で払い除けた瞬間、カルロスの視界に生まれた死角を狙って、麗刃は突っ込み斬り込んだ。
鎧というのは伊達ではなく、一刀両断と美しくは行かなかったが、感じた手応えと共に、麗刃は再び飛び退る。
「実に忍者っぽいのだ!」
たまにはこういうのも悪くはないと、思いながら。
成功
🔵🔵🔴
シェフィーネス・ダイアクロイト
アドリブ◎
至って単調な攻撃だが故に
一点を極めし強さがより顕著に出るか
されど鎧の力が大きそうだがな
縛りを科せられるより避けた方が賢明とみた
メガリスの眼鏡で鎧からのブレスの方向を一早く確認
攻撃範囲外へ回避
万が一炎を食らいルール宣告されたら守れそうなら守る
屁理屈やハッタリが有効なら言いくるめて騙し討ち
最悪、銃の引き金を引ければ勝つ自信有
【金葩の禍】使用
二丁拳銃で鎧から出てる頭狙う
敵が庇うか回避するのは予想済
多数の弾を撃ち込み鎧の柔な部分あれば其処を狙う
白骨の鎧が思いの他に硬いなら一点集中で制圧射撃・蹂躙
いざとなれば赤衣餓狼の刀で対峙
未だ刀は慣れぬが持てる手段は全て使う
そろそろ棘が貴様の体を蝕むだろう
●
見極める、という点において。シェフィーネス・ダイアクロイト(孤高のアイオライト・f26369)は、己が初めて得たメガリスに頼る選択肢をとった。
お洒落なスクエアタイプの眼鏡にしか見えないメガリスは、シェフィーネスの視界を補佐する。
鎧が放つ凶暴化ブレス。それがどの方向へ、どの範囲へ放たれるのか。把握が出来たならば、それを回避することに専念を。
なにせ、縛りを科せられるより避けた方が余程賢明だ。
口八丁で相手に解釈の相違を起こさせ、ルールの根本を覆すという手段も取れなくはないが、万が一、言いくるめる余地すらない単調かつ不可避のルールが課せられては、たまったものではない。
(至って単調な攻撃だが故に、一点を極めし強さがより顕著に出るか……)
――されど
(鎧の力が大きそうだがな)
皮肉に口元を緩めるのは、今暫し後に。
鎧が吼えると同時に放たれるブレスを、シェフィーネスはかろうじて――ひりつくような気配を間近に感じながらも――躱すに至る。
メガリスの補佐がなければ、身体がついてこれるタイミングを見極めることは出来なかっただろう。
つくづく運がいい――などとは、どこぞの自身家の言うことのようで、少し、癪だったが。
ともあれ、五体満足に動かせる状態で対峙できたのだ。二丁の拳銃を手に、シェフィーネスは鎧を纏ったカルロス・グリードとの間合いを測るように視線を巡らせ――即座にその場から飛び退いた。
直後、骨の翼をはためかせた古竜が、シェフィーネスを狙い澄ましたように突っ込んできて、派手に崩れる。
脆いと聞いていたが、骨故か捨て身での突貫も厭わぬようだ。
理性も知性もないのか、朽ちてなお忠誠が働くのか。定かではないが、よく使える駒だと感心して。飛び交い地を駆けるドラゴン達の群れへ意識を向けながらも、二丁の銃口は、カルロスへと向けた。
引き金さえ引ける状態であるならば。シェフィーネスには勝つ自信があった。
銃弾が敵を駆逐すると過信しているわけではない。
白骨の群れがカルロスの盾となるように動くのだって、想定済みだ。
それでも――。
「──Loose lips sink ships」
唇に術式を乗せて、二丁に託した力が、繰り返し放たれる。
白骨の翼を砕き、大地へ叩き伏せ、がらがらと崩れる音と火薬が弾ける音とを繰り返し耳にしながら、たった一発を貫かせるべく、シェフィーネスはメガリス越しにその戦場を見極め続けた。
そうして、掠めた。
――否、命中させた。
カルロスの頬に傷を走らせたその銃弾は、見た目にはささやかな一筋。しかしその傷は、侵食するようにカルロスの中核を蝕む棘を生むのだ。
対象がこれまでに話した言葉と叫びに、応じて。
「白骨連中は言葉も叫びも発しないのか……だが、それ故に気付くのが遅れたな」
指摘どおり、銃撃の真意に気付くのが遅れたカルロスが、己を侵食する棘に顔を顰めるさまをみて、くつり、喉を鳴らして。
それでも即時に致命傷には至らぬ棘のダメージを確かなものにすべく、シェフィーネスは刀を抜き払う。
いざとなればと備えた意志持つ刀は、いまだに慣れぬ得物だけれど。
持ち得る手段は全て使う。シェフィーネスの矜持を乗せて、振るう刃が、また一体、迫る古竜を骨の残骸へと変えていった。
成功
🔵🔵🔴
クロト・ラトキエ
対峙した数など覚えていない。
道程の殆どは戦場で、
唯一つだけを違えず生きてきた。
重ねたのは屍。そして、知識と経験。
ならば、己の為す事は――
視線、言葉に意識の向きを、
体幹、屈伸、踏込み、手足の挙動に攻撃の種類、兆しを、
視る。
見切り、即応する。
それが己の鉄則。
攻撃を躱し、刃で反撃、一撃離脱。
回避叶わずとも連撃の可能性ある距離は避け。
常に狙うは、人体の急所、竜の鱗の隙間…弱点となり得る箇所。
やる気?当然ありますよ。
ただ死なぬだけの己じゃない。
鋼糸を…
一手、動く毎に地に這わせ。
古竜が来るなら骨の間を縫い、駆け登っては宙を取り、
折り斬り砕きつつ置いてくる。
早くても…嵌める、己の遣り方。
斬り断て、檻
――拾式
●
今まで対峙した存在の数を、覚えているだろうか。
問われれば、クロト・ラトキエ(TTX・f00472)は首を振るだろう。無論、横に。
これまでの殆どを戦場で生きてきたクロトにとって、敵とは他者とほぼイコールで、生き残ることだけを勝ち取って来たのだから。
過ぎた道には幾つもの屍を重ねてきた。情らしいものを手向けに置き去り、知識と経験だけを拾い上げて、零してきた情の代わりに己を形作るものとして詰め込んで。
そうして、今、猟兵として新たな敵対者と対峙するのだ。
波打ち船を運ぶ島外の海とは対象的に、クロトの心は凪そのもので。いつもの通り、すべき事は変わらないと理解する。
――即ち、視ることだ。
敵の技は知れている。先制してくることも分かっているからこそ、それを凌ぐ事に集中できている。
『鎧』と称されるだけのことはあってか、幾らかの攻撃を受けているだろうに、目立った傷を受けたようには見えないカルロス・グリード。
いや、既に鎧による身体強化とやらが済んでいる影響か。視線がクロトを一瞥し、半歩だけ片足を引く。
僅かに体幹の下る動き。駆け出す瞬間、蹴りつけた地面から舞う土は、カルロスの勢いを示すように、跳ね上がり。
一瞬の後に、眼前まで迫っていた。
――けれど、素早いばかりの敵なんて、どれほど相手をしてきたことか。
その度に、足りない精度を補って、見切る力を培って。
重ねて、重ねて、今がある。
とん、と。わずかにいなす動きを添えて、その反動で攻撃の軌道から己の体を逸らす。
回避は最小限でいい。勢いの余波に押し出されるくらいが丁度いい。
抜いた刃ですれ違いざまに一太刀浴びせて、そのまま離脱したクロトは、その刃の手応えから、鎧の防御性能を推し量った。
(普通には斬らせては貰えませんか)
やはり、と胸中で呟くクロトが飛び退ったその方向へ、視線を向けたカルロスの肉体が、見る間にドラゴンそのものへと転じていく。
鎧として体を覆っていた鱗は全身に至り、剥き出しだった顔や首も、覆ってしまって。
更に速度を上げた敵に捕まることのないよう、クロトは挟撃を狙うように飛び込んできた古竜の背にひらりと飛び乗ると、それを足場に距離を維持する。
無論、ただ逃げ惑っているわけではない。砕いてばらまき、目くらましにしながら、その影で、ひとつ、またひとつと、鋼糸を張り巡らせていった。
(やる気? 当然ありますよ)
ただ死なぬだけの己ではない。勝つために生き、生きることで勝ってきた生粋の傭兵なのだから。
幾度目かに飛び乗った古竜の、伽藍堂と化した骨の胴体をするりと滑り降り、地に降り立つのを狙い澄ましたように肉薄してきたカルロスを視界に捉え、クロトは指に絡めた糸を、引く。
「断截」
――拾式。
狙い澄ましたのは、果たしてどちらだったのか。張り巡らせた糸が、一斉にカルロスを襲う。
いかに素早く動こうとも、その包囲網を逃れられはしない。
そう言う風に、檻を作ったのだから。
強化された肉体が糸を引き千切り、強引に突破しようとするのを見ながら、クロトは指先に感じた引っ掛かりをたぐるように、素早く、糸を操る。
弾け飛んだのは竜の体躯を覆う鱗の一部。剥ぎ取られたその箇所に、柔い肉が見えたなら。
狙い、澄まして――刻むだけ。
成功
🔵🔵🔴
ラリー・マーレイ
「守りの書物」使用
頁を展開し【結界術】【拠点防御】で防御障壁を形成、竜の接近を食い止める
ブレスも障壁で防ごうとするが多分破られる
それでいい
侮れ、油断しろ
命令は「動くな」「攻撃するな」辺りか
【暗雲の呪文】を唱える
詠唱もルールに抵触する可能性を考慮し【高速詠唱】、被害を最小限に
結界を抜けて攻めてくる竜の攻撃の対象をカルロスに変更、主を攻撃させる
僕は何もしない、竜達が襲うだけだ
油断はしない、敵の次手を読め
竜を停止させ再度ブレス、命令を「UCの使用禁止」に変更すると読む
この術は精神混乱じゃなく因果操作、ブレスの対象を変更し反射
逆にカルロスに制限を与え反撃
攻撃可能になれば「空の杖」による風の【属性攻撃】
●
紙の束が、宙を舞う。ラリー・マーレイ(冒険者・f15107)の手元で広げられた書物から、ばらら、と解き放たれたように飛び出した頁が、彼を守るように展開していく。
それは守りの書物と呼ばれる防御魔術の呪文書だ。切り離された頁そのものが、魔法の防御障壁を展開しては、上空から飛来しようとする白骨の古竜たちからラリーを守った。
だが、正面から放たれるブレスに対して、完全な障壁とはなってくれなかった。
「ッ、く……」
「動くな」
ブレスの衝撃にふらつきそうになったラリーへ、ベルセルクドラゴンの鎧を纏ったカルロス・グリードはルールを課す。
高速思考が弾き出した、単純明快かつ多体戦闘において圧倒的に不利となるルールを。
聞き止め、ふらつきかけた体を押し留め、苦しげに表情を歪めてカルロスを睨み据えるラリー。
彼を守る防御障壁も、度重なる古竜達の攻撃で、破られるのも時間の問題。
――けれど、それで良かった。
(侮れ、油断しろ)
歪めた口元で、素早く、ラリーは詠唱する。
身じろぐ程度の動きであれば、大きなダメージには至らぬ事を身を以て理解している。それでも被害を最小限に抑えるために、詠唱は高速化し、瞬間的に感じた身を焼くような痛みにも、耐えた。
呪文を閉じれば、ラリーの全身は黒霧に覆われる。けれど、それだけ。その霧が攻撃としてけしかけられるでもなければ、新たな防御障壁を追加するでもない。
ぴくりと眉を潜めたカルロスの思考が、再び高速で展開される。警戒の表れが、ほんの少しの沈黙に現れて。
「――仕留めろ」
端的に命じる声に、古竜が応じる。自身の骨を砕きながら体当たりを繰り返し、爪や牙を突き立てて、破壊した防御障壁に体をねじ込むようにして、ラリーへと直接攻撃を仕掛けてきた。
黒霧が反撃をするものか。ラリー自身を守るものか。あるいは――。
見極めるべくけしかけられた古竜は、黒霧に触れた瞬間、その身を翻した。
そうして、目を剥くカルロスへと、次々に襲い掛かったのだ。
(僕は何もしない、竜達が襲うだけだ)
脆い白骨達は、カルロスが腕を薙ぎ払うだけで粉々になっていくけれど、ラリーを攻撃したはずの竜が尽くその攻撃を主であるはずのカルロスへ向けるのだ。流石に、ユーベルコードによって何らかの操作がなされていることに気付くだろう。
(油断はしない、敵の次手を読め)
あちらが高速思考を己の戦術として駆使しようとも、こちらにも考える頭は十分にあるのだ。
己がさらに不利になる条件を考えるならば、古竜での攻撃を避け、再度ブレスを放ち新たなルールを課してくる可能性が高いと踏んだラリー。
――けれど、その想定は半分、外れた。
古竜による攻撃が止んだのは想定通りだったけれど、カルロスからの二度目のブレスが放たれることはなく。
目くらましとするかのように己とラリーの間に竜を群がらせ、そのまま、姿を消したのだ。
(逃げ、た……?)
現状の自身では把握しきれない能力との対峙を、避けたのだろう。
カルロスにとっては都合のいいことに、相手は、動けぬ状態なのだから。
(……さて、僕はいつまで静止したままでいればいいのかな……)
動けぬついでに、動かぬ無敵と化したわけだが、この枷が解かれるまでは、現状を維持した方が良さそうだと。辟易したような溜息が漏れたのは、少し、後のこと。
成功
🔵🔵🔴
朱鷺透・小枝子
ドラゴンがなんだ!
主よ、お前の方が優れていると、証明するぞ!!
亡国の主に搭乗操縦。
破壊の呪詛ブレス攻撃!を念動力で操作。破壊霊物質を周囲へ放ち、範囲攻撃で白骨古竜を破壊!
動体視力と瞬間思考力、サイキックシールドを展開し、ドラゴンカルロスの一撃をオーラ防御。早業で騎兵刀を振るい、カルロスの懐へ飛びこみ刃を突き立て、推力移動、深く、刃を突き刺しながらカルロスを押しとどめる!
『劫火業臨』推力強化、巨大化、自縛鎖を生成し、ドラゴンカルロスへ突き立て吸血エネルギー充填。
呑み込め、叩き潰せ、主よ…!戦え!壊せ!!「■■■■■!!」
片腕の怪力カルロスを殴り、騎兵刀を生成、切断、首に向かって、刃を叩きつける!
●
ドラゴンという存在は、巨大で、強大で、ある世界では支配者たる存在だと、聞き及ぶ。
けれど、それが何だと朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は強く吠えた。
「主よ、お前の方が優れていると、証明するぞ!!」
小枝子が主と呼ぶは、ジャイアントキャバリア『亡国の主』。
体高5メートルの巨体は、この世界の巨人よりも高く、頑丈な存在。そして、常に暴走の危険を孕むこのキャバリアは、小枝子の思想と、相性が良かった。
手足を振るうだけでも十分な戦闘力となる主を駆使し、小枝子はカルロス・グリードの攻撃を真正面から受け止める事を選んだ。
素早く動く相手を追うべく目まぐるしく動く視線。残像を追うような心地で見極めていると、その姿がドラゴンへと転じ、一層速度が上がる。
死角から迫る殺気。素早く身を転じ、サイキックシールドを展開した小枝子は、カルロスの一撃を受け止めた。
強大な力同士がぶつかり合うその余波は、周囲を旋回していた古竜を吹き飛ばし、地鳴りのような音が響き渡る。
だが、受け止めて終わりなどとは、言わない。
ばちばちと音を立てるサイキックシールドを砕かんと迫るカルロスへ、小枝子は主の手が握る騎兵刀を突き立てた。
真っ直ぐ、深く、貫かんとするように、主の推進力で以て、カルロスの懐深くを、抉る。
ドラゴンの唸る声が響いて、ばきりとサイキックシールドを突き破ったかぎ爪が主へと食い込むが、小枝子は構わない。
コックピットから見据えるその瞳は、完全に破壊的思想に染まっている。
「呑み込め」
叩き潰せ。
主よ、と語りかける声は、次第に狂気に満ち、その声に呼応するかのように、主は膨れ上がるように巨大化していった。
放たれる霊物質は武器として自縛鎖を生成し、カルロスへと突き立てられる。
吸血じみた手段で充填するのは、主のエネルギー。牙が食い込もうと、爪が抉ろうと、主の身は、生き物のように修復されていった。
戦え! 壊せ!!
「■■■■■!!」
叫ぶ声は、ヒトの理性を伴ってはいなかったのだろう。
あるいは小枝子のものではなく、主の――キャバリアの宿す破壊の意志が、吼えたのか。
いずれにせよ、苛烈な攻撃が止むことはない。
小枝子の勢いを削ぐべく群がってきた白骨の古竜達を、破壊霊物質による範囲攻撃で纏めて蹴散らし、騎兵刀を、拳を、振るい続ける。
その眼差しは獲物であるカルロスをしかと捉えていたはずだった。
けれど、いつの間にか。ドラゴン化を解いたか、骨の群れに紛れたか。見据えていた姿は、消えていた。
辺りに積み重なるのはおびただしいまでの骨の残骸ばかりで、そこに生きた竜の死骸が混ざることはないまま。
主のほうが強い。その証明は果たされた?
いいや、足りない、足りない。壊し足りない!
衝動のまま、小枝子は主と共に、白骨化した竜の群れを砕き続けるのであった。
成功
🔵🔵🔴
アリエ・イヴ
アドリブ◎
少しでもブレスを逸らす為に
剣構え、空切る風圧で押し返す
それでも食らうならそん時はそん時だ
もし動くなって言うんなら
ドンとその場に構えて大人しくしといてやるよ
俺は、なァ…!
【楽園の守護者】を呼び出して
敵に向かって一斉放射
人の形をとった大事な錨や大事な操舵輪とは違って
アイツは…船のままだが
それでも頼りになる仲間であることは揺るぎない
一部の迷いなく、相手を削ってくれると信じよう
だがなぁ、一撃くらいは
俺が決めねえとしまんねぇだろ
ルール違反がなんだ
わずか一発叩き込む
そのくらい分の激痛耐性はあるつもりだ
痛みこらえ
深く踏み込み切りつける
言っただろう、俺は、何度だってお前を越えてやるってなぁ…!
●
地鳴りのような音が止んでから、どれだけ経ったか。
血の匂いも随分と濃くなってきたと感じながら、アリエ・イヴ(Le miel est sucré・f26383)は鮮血を纏う存在と対峙する。
同時に放たれる凶暴化ブレスに、アリエは剣構え、僅かでもその影響を削ぐべく、空切る風圧を、叩きつけた。
だが、曲がりなりにも帝竜と呼ばれた存在。その『鎧』が放つブレスを、剣一本で断ち切る事は叶わない。
ぐぅ、と唸るアリエの声に、カルロスの命じる声が、重なった。
「攻撃するな」
「ハ……」
そう来たか、とアリエは口角を上げて笑う。グリモア猟兵の『動くな』の予期が外れたか、あるいはその手段が通用しなかったか。
いずれにせよ、より明確にアリエの行動を制限しにかかってきたそのルールに対し、アリエは腕を組み、海賊船の船長たる風格で、佇んでみせた。
「そういうことなら、大人しくしといてやるよ。俺は、なァ……!」
真っ直ぐに立つアリエへ、一斉に飛びかかろうとした古竜達を蹴散らすように、愛する海賊船ハニルバニアを呼び寄せる。
それは実態を伴った分霊体であり、共に海を行く相棒そのものではないけれど。舳先から船尾、マストから船底まで知り尽くしたアリエの想像域は、完璧な姿でその船を創造した。
見下ろす景色は、海原とは異なるけれど。陸をも走る船ともなれば、一層貫禄が増すものだとからり笑う。
「俺が直接出られないなら、仲間に頼るしかねぇよな」
人の形をとった大事な錨や、大事な操舵輪は異なり、この船は、船のまま。
だけれど、頼りになる仲間であることは変わりなく、揺るぎない。
故に、この船は――楽園の守護者は、無敵の船として、立ちはだかる。
「さぁ、喰らわせてやれ!」
砲門をすべて開いて、一斉放射。高みの見物と決め込んだアリエは、ルールに反したとみなされることも無く。
砲弾が骨の残骸を築き上げていくのを、眺めていた。
――暫しの間、だけ。
「一撃くらいは、俺が決めねえとしまんねぇだろ」
すっくと立ち上がったアリエは、ひらり、慣れた動きで身軽に船を降りる。
頼れる仲間が居ることは船長としての誇りだ。けれど、頼ってばかりで眺めるばかりだなんて、そんなくだらない傲慢は端から持ち合わせてなどいない。
スラリと抜いたカトラスも、長く共にした相棒で。だからこそ、わかる。アリエの手で振るわれたがっているのが。
切っ先を突きつけ、不敵に笑んだアリエは駆ける。
砲弾で抉れた地面を飛び越え、瓦礫のように重なる骨の残骸を踏み越えて、カルロスへと、肉薄した。
「ルール違反がなんだ」
振りかざせば、警告のように痛みが走る体。けれど、そんな物は感じないとごまかして、深く、踏み込む。
「言っただろう、俺は、何度だってお前を越えてやるってなぁ……!」
一の王笏島で、首を刎ねた男に宣言した。
支配者を名乗るならば、それを越えて行くのだと。
そうして、自由な海を取り戻すのだ。
矜持を湛えた一閃は、カルロスの鎧を穿ち――そこで、止まる。
耐えきれない痛みが迸り、血を吐いたアリエが、その場に膝を付き、崩れたために。
見越していたか。それとも、その意気に感化されたか。躱す素振りもなく受け止めたカルロスは、足元に倒れ伏すアリエを、見つめた。
「――理解は出来る」
高速思考が導き出した結論は、感傷じみた、些細な呟きだった――。
成功
🔵🔵🔴
鵜飼・章
わあ竜の骨格標本がいっぱいだ
しかもリアルな動き…素晴らしいよ
敵意?あるとすれば興味だよ
むしろ【優しさ】と【コミュ力】の出番だよ
【動物と話す/逃げ足】を使って竜達と追いかけっこだね
オーラ攻撃は要するに気合い+狂気で実体がない
経験上【受け流す】のが一番有効な対処法だ
第一僕に敵意がない
空気(装備品)を自在に操れるからな…こう、ふわっとね
ところで竜の皆肉体への未練はないの?
きみ達白骨、つまり死体なんだよね
なら僕のUCで蘇生できるし操れちゃったりするな
僕の仲間になれば沢山おやつもあげるし可愛がってあげるよ
出来れば【言いくるめ】で説得
失敗しても【催眠術】
カルロスさんを裏切って攻撃するようにお願いしてみるね
セシル・バーナード
懐かしいと思わないかい、プラチナちゃん?
それとも、帝竜たちの中では苦手な部類だったかな、彼は?
敵意、敵意ね。それをぼくらに期待されても。だってぼくは、この世界全てを愛してる。敵意や憎しみなんてぼくとは無縁なことさ。
プラチナちゃんはよく知ってることでしょ。
さあ、そろそろ舞台の幕を開けよう。
帝竜顕現。帝竜プラチナの降臨だ。ひざまずけ、偽りの帝竜。
カルロスは任せた。存分に叩きのめしてやって。
ぼくは、『白骨化した古竜(スケルトン・エルダー・ドラゴン)』を抑える。
「催眠術」と「誘惑」を乗せた「歌唱」「演奏」を、シンフォニックデバイスとサウンドウェポンを通して骨竜達に聞かせる。このままゆっくり眠っててね。
●
白骨化した竜が群れる光景に、鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)は歓声を上げる。
「竜の骨格標本がいっぱいだ」
残念ながら砕かれてしまったものもたくさん居るけれど、綺麗に形が残っているものも、まだまだこんなにいたのだ。
「しかもリアルな動き……何度見ても、素晴らしいよ」
感嘆する章の好奇に満ちた声は、セシル・バーナード(セイレーン・f01207)をくすりと微笑ませる。
そうして、見渡す景色に蔓延る古竜と、その中央でふんぞり返る王様気取りを、瞳を細めて見つめた。
「懐かしいと思わないかい、プラチナちゃん? それとも、帝竜たちの中では苦手な部類だったかな、彼は?」
語りかける相手は、返事をしてくれるわけではないけれど。彼女の――少女の姿を取ったかの竜の心情を慮ることは、セシルの溢れんばかりの博愛を一層深くする。
これまでに、多くの猟兵が彼へ――カルロス・グリードへ挑んできた。
その分の負傷は確かに蓄積されており、カルロスを討つための布石となっているけれど、同時に、彼や彼が命じる竜達へ敵意を向ける存在へ放つ竜のオーラを、強化させるものでもあった。
――通常、ならば。
「敵意、敵意ね。それをぼくらに期待されても」
「敵意? あるとすれば興味だよ」
首を傾げるセシルに、章もまた、キョトンとした顔で周囲を見渡す。
セシルはこの世界全てを愛している。愛する世界を破滅させようと敵対する存在だって、別に、憎くなんかはない。
たまたま目指す世界の形が違っていて、たまたま話し合いでは解決しなくて、だから仕方なく対峙して勝者を決めているだけで。
スポーツ感覚、と言うと命を賭して挑む者らに失礼かもしれないけれど、そのくらい、優しい気持ちで戦っている。
章に至っては、この無数の竜と戯れることが楽しくないわけがないという心地で。
あちらは敵意と殺意を持って攻撃をしてくるのだろうけど、まぁ大きいのだからちょっと戯れればすぐに傷も付く。そうならないようにこちらが気をつければ住むだけの話。
どこまでも浮世というものから離れた章に、常識的な敵対を望むことは、そもそも、無理なのだ。
「戯言を」
けれど、それ故にカルロスが自身の力を最大限発揮できていないことも、事実。
見事に退けられた『先制攻撃』は諦めて、生命を脅かされてもそう言い続けられるかと言わんばかりに古竜達をけしかけた。
「はは、白骨化しても元気なんだね。いいよ、おいで」
僕を捕まえられるかな、と笑いかけて、章は迫る古竜のかぎ爪をひょいと躱し、ふわりと軽やかにその背を渡る。
別の古竜が仲間諸共章を噛み砕かんと迫るならば、するりと口の中にお邪魔して、空っぽの体を滑り降りてさようなら。
「あまりおいたをしては友達に嫌われてしまうよ」
折角綺麗な形をしているのだから、壊れてしまうのは勿体ないだろうと肩を竦める章に、セシルはうんうんと頷いて、みんな仲良くすればいいのにねと微笑む。
「さあ、僕もそろそろ舞台の幕を開けよう」
す、とそこらの石に手を重ねて、セシルは愛しいものを愛でるように、ふわり、撫でて。
「大地に眠りし大いなる力よ。目覚めて帝竜の力となれ」
その姿を、竜の――かつてアックス&ウィザーズで起こった戦争にて、帝竜プラチナが自身のかよわい姿を覆った竜化と同じ姿へと、変える。
対峙した瞬間を懐かしむように思い起こし、セシルは鎧だけの姿となった『ベルセルクドラゴン』を、見た。
「帝竜プラチナの降臨だ。ひざまずけ、偽りの帝竜」
カルロスは任せた、と告げれば、『プラチナ』は翼をはためかせ、白骨の群れを意にも介さずカルロスへと迫る。
流石に、直接攻撃してくる存在が敵意がないなどとは言いようもなく。竜のオーラが『プラチナ』を穿つけれど、不思議と、その威力は強くはない。
「そんな険悪にならなくても、もっとこう、ふわっと和やかに、ね?」
重たい空気は軽やかに。章の促しは、カルロスの調子を崩す。
じゃれ合いも程々にねと微笑み颯爽と立ち去りながら、再び白骨の群れを見上げ、見つめて。
そうえいば、と首を傾げる。
「竜の皆肉体への未練はないの?」
骨になるほどはるか昔に朽ちた古の竜。それはつまり、死体ということだ。
それならば、章は己のユーベルコードで蘇生できてしまう。何なら操れたりもするが、それは胸のうちに秘めて。
「肉体を、与えてあげられるよ」
僕の仲間になれば沢山おやつもあげるし可愛がってあげるよとささやかな条件も追加して、古竜の裏切りを誘うが、知性があるのか無いのか。今ひとつ、反応は乏しい。
仕方がないかと肩を竦め、章は竜達を、かつて存在しただろう雄々しき竜の姿へと蘇生させていく。
そうして、カルロスへと攻撃するように、催眠をかけて。逆に、けしかけてやった。
「へぇ、すごいな」
率直な感嘆を零しながら、セシルもまた、蘇生――ゾンビ化を免れた古竜達へ、催眠を乗せた歌と演奏を披露する。
柔らかな音色は、眠りを誘うもの。カルロスからの命令を受け取るだけの意識を閉ざし、徐々に動きが鈍っていく古竜へ、セシルは優しく微笑みかける。
「このままゆっくり眠っててね」
そうすればきっと、二度と安らかな眠りを脅かされることなんてないから。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
煙草・火花
べるせるく、狂戦士という意味であったと記憶しているでありますが
その名に反して理詰めの力と戦場
流石は首魁の一角ということでありましょうか
であるならば……
ブレスの前に襲い掛かる古竜は銃からの霊力弾と軍刀で対処
脆い骨というのなら速度と数を重視して脚や腕を狙って、動きを封じていくのであります
そして、ブレスはそのまま受け止めましょう
小生がどうなろうとも最初からやることは決めているのであります!
ブレスの直撃と同時に可燃性ガス化した体を一気に周囲へと拡散!
ガスが広がった所で発火、自身諸共周囲を炎で包むのであります!
ダメージなど端から織り込み済み
これが帝都を、世界を守る……學徒兵の覚悟であります!
●
かつてアックス&ウィザーズにおいて帝竜と呼ばれた存在、ベルセルクドラゴン。
その名を冠する鎧もまた、かの竜と同じ力――即ち高速思考と高い戦闘力を、持つという。
「べるせるく、狂戦士という意味であったと記憶しているでありますが――」
その名に反したような、理詰めの力と、連携を取るという戦場。
ベルセルクドラゴンの力にカルロス・グリードの性質が備わった故ということだろうか。
だとするならば、流石は首魁の一角と言うべきだろう。
「であるならば……」
煙草・火花(ゴシップモダンガァル・f22624)には、もう、己のすべきことは理解できていた。
既に相当量の古竜が撃破されているのだろう。辺りは竜の形をなしていない骨の山が築かれている。
それでもなお空を飛び交い地を駆ける竜の数は、減ったようにすら見えない。
ギラつく眼差しもけたたましい咆哮も無いままに、静かな威圧感だけを与えてくるそれらに、火花は銃口を向け、霊力弾で応戦する。
同時に抜いた軍刀は、接近してくる敵を捌くために。
群れからの直接攻撃への対処に重点を置く火花は、カルロスの鎧がブレスを放とうとも、気に留めない。
避けることもせず、何らかの盾を用いることもせず。ただ真正面から、そのまま受け止めた。
その行動に、訝るようにカルロスが片眉を上げ、一泊だけ、思案するような間を置いて。
「――攻撃するな」
選んだ命令は端的なものだった。
「聞けません」
キッ、と。真っ直ぐにカルロスを睨み、火花は常から嵌めている手袋と包帯を取り払っていく。
その腕は、ヒトのものではなく。ガスがヒトの腕の形に収まっているだけの姿。
「好んで披露はしたくないのでありますが……!」
これが、敵を打ち倒すために有効であると、火花がそう認識したならば、迷いはない。
瞬く間に全身をガスへと変え、周囲へと拡散させた。
毒か、と警戒するように後退したカルロスは、けれどそのガス自体が攻撃性のあるものではないことを、火花の――ガス化して明確ではないが――ダメージを受けていない様子から判断したのだろう。
だが、ちり、とどこかで炎の弾ける音が聞こえた瞬間、目を剥いた。
――そのガスは、可燃性だ。
弾けた炎は、周囲一体に広がったガスへ一気に燃え移り、襲いかかる古竜達を、尽く飲み込んだ。
無論、己に火をつけたことも、それによって明確に攻撃をしたルール違反も、無事では済まないダメージを火花に与えたけれど。
そんな事は、端から織り込み済みなのだ。
「これが帝都を、世界を守る……學徒兵の覚悟であります!」
刮目せよと、空気が震える。意志を持つようにカルロスをも飲み込まんと迫る炎が、気迫で語る。
我らを弱者と侮るなかれ、と。
ついにカルロスを捉えた火花は、その身が燃え尽きるまで、決して離すまいと縋り付き。
そうして、帝竜たるもの――その力を、纏った男を、焼き尽くしたのだった。
成功
🔵🔵🔴