羅針盤戦争~蕩けるような殺戮を
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「皆様、おいでくださりありがとうございます。今回皆様をお呼び立てした理由は他でもございません、此度の羅針盤戦争について、七大海嘯が一廉「桜花」の本拠地が判明した為でございます」
フェイト・ブラッドレイ(DOUBLE-DEAL・f10872)は自らの呼びかけに応じて集まった猟兵たちに、緑色に輝く右目を煌めかせて一礼をする。
グリードオーシャン、異なる世界から「落ちて」きた島々が大海原に点在するこの欲望の海では、たった今も「羅針盤戦争」と名付けられた戦争が繰り広げられている真っ最中だ。
敵となるのはグリードオーシャンのオブリビオン……「コンキスタドール」の首領格、「七大海嘯」。猟兵たちはこの戦争において、いくつもの島をコンキスタドールの手から救い出し、或いは守り抜きながら、「七大海嘯」が本拠地とする島を探し続けてきた。
「謎の予兆が告げたとおりに島を探索していった結果、今回見つかったのは七大海嘯の一人「桜花」。この世界のオブリビオン・フォーミュラである「王笏」カルロス・グリードの妻にして「麗しき姫君」と呼ばれる者、メロディア・グリードです」
桜花島に近づいたが故か、猟兵の中には「桜花」からの襲撃に相対した者もいる。予兆によってその姿を見たことがあるものも決して少なくない。麗しの姫君と呼ばれるに相応しく、その容貌は美しい、けれども。
「メロディア・グリードは無限再生能力により「死なない」という特性を有しております。とはいえ、「攻撃が通る」ぶんだけ、「鮫牙」ザンギャバス大帝程に対処不能な相手ではありません。彼女の攻撃に対処し、連続攻撃で持って「延々と殺し続け」ればよいのです」
少しでも手を緩めれば、メロディア・グリードは攻撃を仕掛け、隙を見て全回復する。更にその上「増殖する私の残滓達(スイート・メロディア)」の大群を放ってくる。とにかく途切れること無くメロディアからの攻撃を受けても瞬時に対処して、彼女の再生能力が追いつかなくなるまで「殺して殺して殺しまくる」事がこの戦いの要なのだと少年は言った。
「メロディア・グリードを一度殺しきることが可能となれば、それによって「桜花」の支配力は弱体化し、「桜花」支配下にあった島を一つ解放することが可能となります。これは、この先他の七大海嘯の本拠地を特定するためにも重要な一手となるでしょう」
メロディア・グリードの「増殖する私の残滓達(スイート・メロディア)」とは、チョコレートやキャンディなどのスイーツで作られた殖え続ける彼女の分身だ。メロディアはこの「残滓(スイート・メロディア)」を用いて自らを強化する他、飛翔しながらスイート・メロディアを放つ攻撃や、甘いスイーツの香りを放って相手を眠らせる攻撃を用いてくる。
「一旦眠らされてしまったならば、その間にメロディア・グリードは即自身を再生させてしまうでしょう。ご注意くださいませ」
メロディアとの戦いは、彼女に自己再生を行わせず、その暇を与えず、殺して殺して殺し続けることが重要となってくる。延々と殺し続ければ、再生が途絶え、彼女を「斃す」事ができるだろう、と少年は言った。
「敵は七大海嘯が一廉。麗しの姫君と呼ばれようとも、決して守られてばかりのお姫様ではないということです。予兆によれば、竜王とも言っていましたね。どうぞ容赦なく、殺して殺して殺して……蕩けるような殺戮を、行ってきてくださいませ」
下唇をぺろりと舐め、少年は緑色の右目を光らせる。
「桜花島への転移は、僕が執り行わせていただきます」
それでは用意の整いました方から、僕にお声がけ下さいませ――。
遊津
遊津です。羅針盤戦争のシナリオをお届けします。
一章完結、ボス戦です。
難易度はやや難となっております。お気をつけください。
当シナリオには以下のプレイングボーナスが発生いたします。
※……敵の先制攻撃ユーベルコードを対処した後、殺して殺して殺しまくる。
「■戦場について■」
「桜花」島に直接転移することが可能となっております。
特に戦闘を邪魔するものもない、されど戦闘に利用できるようなものもないような立地となっております。
島ですので海に浮かんでおりますが、今回は直接転移が行えるため水場は遠くなります。
グリードオーシャンでは飛行が阻害されているため、飛行船のように高高度を保つアイテムの使用は非常に難しくなっております。
(飛翔系のユーベルコード、空中戦や空中浮遊などの技能、自らの翼での飛行などは使用可能です)
※判定上のペナルティが発生することはありません。
「■メロディア・グリードについて■」
七大海嘯の一員、「桜花」の首魁です。
この世界のオブリビオン・フォーミュラである「王笏」カルロス・グリードの妻でもあります。
「無限再生力」を持ち、それが尽きるまで桜の花が咲き乱れるがごとく奇怪な増殖を繰り返しています。
他、オープニングにて説明したとおりです。
こちらのユーベルコードを使用するよりも先に先制攻撃を繰り出してきます。これに対策することでプレイングボーナスが発生します。
指定ユーベルコードの他にも、「増殖する私の残滓達(スイート・メロディア)」を用いて攻撃してきます。
先制ユーベルコード・指定ユーベルコードの他にもアドリブの範囲内での戦闘が発生します。あらかじめご留意下さい。
リプレイは猟兵が島内に入り、接敵、もしくはその寸前の状態から始まります。
当シナリオのプレイング受付は2/17(水)朝8:31~となっております。
(時間帯によってはマスターページ上部及びこちらのページのタグに受付募集中の文字が無いことがございますが、時間を過ぎていればプレイングを送ってくださって結構です)
プレイングを送ってくださる場合は、必ずマスターページを一読してくださいますようお願いいたします。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『七大海嘯『桜花』メロディア・グリード』
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POW : スイート・フュージョン
【残滓達(スイート・メロディア)】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[残滓達(スイート・メロディア)]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD : スイート・レイン
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【肉体】から【スイーツで出来た分身の群れ】を放つ。
WIZ : スイート・パフューム
【甘いスイーツの香り】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
イラスト:hina
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
大豪傑・麗刃
この敵だとPOWの先制攻撃ってどんな感じなんだろう。ただ集まるだけ?なら楽なんだけど。まあ何がきても見切ってユベコ解禁までは粘れるように、バスタードソード二刀流による武器受け、受けきれなかった分は気合い入れてオーラ防御の用意はしておく。
ユベコ解禁後の方針は一言で言うと
ただひたすら斬る
相手が死なないなら死ぬまで斬る。10回の斬撃で倒れぬのなら100でも1000でも斬るのみ。武人は斬ることこそ本意なれば斬り疲れるなどありえない。気合いを入れて限界を突破し、2回攻撃4回8回16回あとはたくさんと斬りさえすればよい。敵が集合し強くなるなら集まったのを全部斬ればよい。
まこと武人とは気楽な稼業なことよ。
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(残滓達が自身のもとに集まるほど自身と残滓たちの能力が強化される能力、の先制攻撃って……どんなのなのだ)
大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)はバスタードソードを両の手に携え、先制攻撃とはについて考えていた。
ただ集まるだけならこちらには何もしてこないのだから、対処などしてもしなくても同じことなのだから楽なのだが――そうは問屋が卸さない。言ったはずだぞ、指定ユーベルコードの他にもアドリブで戦闘が発生しますってな!!
「そうなの?」
そうなのである。メロディア・グリードの元に集結しようとする彼女の「残滓達(スイート・メロディア)」は移動しながら、麗刃をチョコレートの体で飲み込み、窒息させ、キャンディの体でどうにかこうにかしてとにかく傷つけてやろうと余念がない。
「ふうん。やっぱり……ちゃんと対抗策を考えておいて、よかったのだ」
尖ったキャンディで目潰ししてこようとするのを寸前で見切って躱し、両の手のバスタードソードで受けて、飲み込み窒息させてこようとするチョコレートの残滓にはオーラの防護膜を纏って耐える。耐える。耐えきって――、そして、それからの麗刃の行動指針は、とにかくシンプルだった。
ただひたすらに、斬る!
「相手が死なないなら、死ぬまで斬る。十回の攻撃で倒れぬのなら、百でも千でも斬るのみ」
バスタードソード二刀流の斬撃は、残滓達(スイート・メロディア)をその身に引き寄せたメロディア・グリードを次々と斬り捨てていく。斬られたその場所から、超高速再生能力によって新たな部位が生える。それをまた斬り裂いて、二回四回八回十六回三十二回……あとは、たくさん!
メロディア・グリードの高速再生能力を凌ぐ速さの剣撃は、麗刃の肉体にも限界の負荷を与える。なんだか頭がぐらぐらするし、どこかでぶちぶち言う変な音が聞こえる気がする。それでも多分大丈夫だ。ちょっと末端の血管が切れたくらいでなんだというのか。普段は爆発オチで爆発とかしてるんだぞ、それに比べたら全然平気に決まっている。ギャグ時空とシリアス時空では負傷のレベルがなんだか全然違う気がするけれど、我こそは大豪傑麗刃、本音を言えばどんな時でもギャグがやりたい!
残滓達(スイート・メロディア)を集めてメロディアが強くなるならば、と。集合した残滓たちを含めて全部まとめて叩き斬っていく麗刃。それはあまりにも強引な太刀筋で、けれど突き抜けていていっそ清々しい。
はあ、はあ、呼吸が乱れる。変だな、いつもならこんな簡単に息が切れたりすることなんてないのに。たとえ地球を三十周したって息など上がらないのがギャグ時空のお約束であるはずなのに。限界を突破した体が、脳に正しい/狂った警戒信号を示している。それでも――武人は斬ることこそ本意なれば、斬り疲れることなどありえない。
麗刃は、斬ることをやめない。メロディアが再生するよりも、速く、速く、速く、速く……
「まこと武人とは、気楽な稼業であることよ」
もう何十回目になるかわからぬメロディアの頭をバスタードソードで斬り飛ばしながら、麗刃はそう嘯いた。
大成功
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ニィエン・バハムート
・先制対策
こちらも【空中浮遊】から翼を使っての【空中戦】。そして自分を【衝撃波】で無理矢理飛ばす【限界突破】の急加速で敵に少しでも食い下がりながら、首飾りとオーラで威力も射程も強化された電気【属性・マヒ・範囲攻撃】を放ち、分身の群れを倒し、本体を痺れさせ動きを一瞬でも止めてみせます。
敵に隙ができたら敵を【踏みつけ】ながら地面に落下しUC発動。私の足と地面でサンドして大地震の力を直接叩き込みその身体を【蹂躙】します。【怪力】で抑え込み、【継続ダメージ】を与え続け、死ぬまで決して逃しません。
私のこの破壊の力があなたという竜王を屠り尽くしたのならば!
私は今度こそ自分を真なる竜王だと名乗れるんですの!
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「メロディア・グリード……「竜王」……!」
ニィエン・バハムート(竜王のドラゴニアン(自称)・f26511)はメロディア・グリードを前にして、心の底から渇望する声を上げる。
メロディア・グリードにはニィエンのその感情の意味がわからない。わからないから、きょとり、と小首を傾げながら空中に舞い上がる。――そして、一気にニィエンへと肉薄した。スイーツで出来た分身の群れが、押し潰し縊り殺そうと我先に手を伸ばしながらニィエンを取り囲む。ニィエンもまた大地を蹴って空中に浮かび、翼を羽撃かせて蒼穹を羽撃く。飛び上がったニィエンに対しても、メロディアは甘いスイーツの分身を放ってくる。
翼では回避が間に合わない、そう判断するやニィエンは自身の後方に衝撃波を放ってブーストを掛け、強引に急加速した。無理に自身の限界を振り絞った代償に、末端の血管が破れる音が体内で聞こえる。それでも構わないとニィエンは自らに纏った「バハムート・オーラ」と「アンドヴァリの首飾り」の二つのメガリスの力を解き放った。バハムート・オーラはニィエンの発電能力を大幅に増強させる。アンドヴァリの首飾りはメガリス全ての効果と威力、射程を三倍に跳ね上げる「メガリスの効果を強化する」メガリスだ。メガリスボーグたるニィエンの全身は、メガリスによって元あった部位とほとんどが入れ替わっている。
放たれた電撃はどこまでも遠くまで、どこまでも強く、メロディアから放たれたスイーツの分身たちを破壊し、蕩けさせて、全てを無に返す。そしてメロディア自身にまで到り、その体を痺れさせる。
『あああっ!!』
メロディアが苦悶の声を上げた。メロディアを襲った電撃は彼女の肉体のどこかを破壊したわけではないから、再生能力も機能しない。ただただ「殖え続ける残滓(スイート・メロディア)」を生み出すだけだ。しかし、そのままニィエンから距離を取ろうとしたメロディアは自らの体が動かないことを理解する。それを振りほどくまで一秒、一秒あればニィエンには十分だった。そのままメロディアよりも高くへ、彼女の真上へと飛び上がると、一気に下方向へと加速する!メロディアの腹部を踏みつけながら、重力の許すまま、否それよりもずっと速くに下へと迫って、ユーベルコードを発動する。
「“世界を揺るがす竜王の鉄槌”!“バハムート・デストラクション”!!」
桜花島が激しく揺れる。ニィエンのユーベルコードによって、「海棲鯰」の「本来ならば空想上の能力である『大地震』」を桜花島に引き起こしたのである。島の木々が揺れるだけに飽き足らず、倒れるほどの大地震。その震動の衝撃を、ニィエンはメロディアの踏みつけ続けて直接叩き込む。やはりどこかを切り落とされたわけでもないから、再生能力は発動しない。ただただ苦悶をメロディアに与えるだけだ。
『ぐぅぅっ、ああああああ……!!』
その怪力で抑え込み、ニィエンは苦悶の声を上げるメロディアを自らの足の下から決して離さない。地震による衝撃は、ずっとメロディアを苛み続ける。
血を吐くような声で、ニィエンはメロディアに叫んだ。
「私のこの破壊の力があなたという「竜王」を屠り尽くしたのならば!私は今度こそ自分を!「真なる竜王」だと、名乗れるんですの……っ!!」
自分以外に「竜王」が存在する限りは、それを決して認めはしない、他のすべてを殺し尽くし滅ぼし尽くすても、自らこそが「真の竜王」だ――。
「竜王」を渇望し続ける少女の絶叫が、桜花島に響き渡った。
大成功
🔵🔵🔵
リゼ・フランメ
愛を知りながら
けれど、それから逃げるのはその身の異質さから、かしら
命を賭すのは誰だって
大切な誰かの為、でしょう
先制攻撃対策に、戦蝶の風雅をオーラ防御と焼却を乗せ
触れたモノを燃やすヴェールのように展開
残滓たちが近づこうともそれが燃えるように
そして、ダッシュ+フェイントで揺らめく火のように残像を生み、メロディア本体を幻惑して、誘った攻撃を見切り、早業のジャンプで避ければ
「さあ、後は互いが尽きるまで刃と炎で踊りましょう」
多少の傷は問題ないと果敢に切り込み、UCを発動
破魔を劫火剣に乗せて威力を上げ
ダンスの要領で素早い旋律に乗って、攻撃回数重視の斬撃を絶え間なく
かつ、不規則に燃える戦蝶の風雅も攻撃に重ね
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『集いなさい、増殖する私の残滓達(スイート・メロディア)』
リゼ・フランメ(断罪の焔蝶・f27058)の周囲から、メロディア・グリードの残滓達が姿を現す。スイーツで出来た残滓達。チョコレートで出来たものはリゼの足場を揺るがし飲み込もうと、キャンディで出来たものはその鋭利な断片で傷つけてこようとする。リゼは炎と風、炎の蝶の群れの姿をした覇気「戦蝶の風雅」と焼却の力を有した防護膜をその身に纏う。炎に触れ、チョコレートやキャンディの残滓たちは蕩け、燃え上がってメロディアの元へ到達することが出来ない。
『来なさい、残滓達。あの男を……カルロスを死なせる訳にはいきません。……いいえ、いいえ、飽くまでも此れは利害関係……あの男を想っての事では無い、あの男には、グリモアを得て、成して貰わねば成らぬ事があるのですから……これは、あの男を想っての事では無いのです……』
カルロス・グリードへの想いを何度も何度も否定するメロディア。彼女の譫言のような呟きを聞いて、リゼは思う。
(愛を知りながら、けれどそれから逃げるのは――その身の異質さから、かしら)
カルロスへの愛を否定するメロディアの言葉を聞けば聞くほど、思うのは逆の感想。彼女は、本当は、自らを娶った男のことを想っている。例え口で、言葉で、どんなに否定しようとも、その恋は、愛は、否定しようもない。だって、命を賭しても問題は無い、なんて。
「命を賭すのは誰だって、大切な誰かの為、でしょう」
少なくともリゼにとっては、それが真実だ。
それでも。前に立つのが例え恋する乙女であったとしても、彼女はコンキスタドール。七大海嘯が一人、桜花。殺して殺して、殺し尽くさねばならない相手。
リゼはメロディアに向かって駆け出す。近づくその直前で動きに緩急をつけ、揺らめく火のような残像を生む。その炎のような影に惑わされるメロディア。伸ばされる残滓たちの手が揺れ惑い、焔の蝶に触れて燃え上がる。それでも手を伸ばしてくる鋭利なキャンディの刃を素早く飛び上がって躱して。
「さぁ、後は互いが尽きるまで、刃と炎で踊りましょう」
劫火剣「エリーゼ」に破魔の力を帯びさせる。放たれるは【飛燕閃「緋椿」(カメリア・シュヴァルベ)】、魂と霊性をも灼き祓う炎を宿した刃の閃き。ごう、と音を立てて焔が走る。
『あああああっ!』
メロディアの苦悶の声が響く。焔の蝶のヴェールを抜けたキャンディの残滓達(スイート・メロディア)から放たれる尖った破片に依る攻撃も物ともせず、顧みず、踊るように軽やかにリゼはメロディアに向かって再び駆け出すと、幾度も幾度も刃を振るった。斬り裂かれた部分から桜が咲くようにメロディアの部位が再生する、それをも不規則に燃える焔の蝶の覇気で焼き潰せば、焼け焦げた部分を覆うように肉が盛り上がってメロディアが「咲く」。幾度も幾度も花開くメロディアの肉体を、リゼは劫火剣エリーゼで斬り落としていった。
大成功
🔵🔵🔵
黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流
先制してくるって事もだけど、他能力もやっぱりボスクラスはすごいというかずるいというか。
残滓達もいるし徹底的に殺すとなるとこちらも可能な限り物量というか連続攻撃が必要か。
俺のUC五月雨、飛刀の投擲で範囲攻撃を。同時に伽羅も雷撃・水流、陸奥も旋風で攻撃し、少しでも分身や残滓達を倒していく。正直分身の出現を止める方法はわからん。なら出てきたのを潰す。
そのまま本体にも連続で攻撃を仕掛ける。
敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らうものは激痛耐性で耐える。
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メロディア・グリードが桜花島の空中に舞い上がった。黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)に向かって手を伸ばせば、その指先から次々に生まれる甘い甘いスイーツで肉体を構成されたメロディアの分身体が群れを成して瑞樹に襲いかかってくる。
(くっ……先制して来るって事も、だけど……やっぱりボスクラスとなると、凄いというか……ずるいというか……!)
再生し続けるメロディアを徹底的に殺すとなれば、瑞樹が思いつく作戦は一つ。
(俺の持てる限りの物量を駆使しての、連続攻撃――!!)
瑞樹自身の本体であるナイフ「黒鵺」をちょうど百振りに分け、自らの周りを舞い踊らせながら柳葉飛刀を分身たちに投げつける。白虎の精霊「陸奥」と水神の竜「伽羅」を呼び出せば、陸奥は旋風を起こし、伽羅は雷撃をぶつけ水流を荒れ狂わせて分身たちに攻撃
する。メロディアが呼ぶ分身たちを止める方法はわからない。わからないなら、出てきたものを片っ端から潰していくしか無い!
『嗚呼、嗚呼……どこまでも殖え続ける私の肉体……。行きなさい、そして殺しなさい』
黒鵺が、柳葉飛刀が、伽羅の雷撃と水流が、陸奥の旋風が、メロディアの分身たちを斬り殺し穿ち殺し裂き殺し焼き殺し感電死させ溺れ死なせる。殺す、殺す、殺す。百に分けられた黒鵺がそのままメロディアへと斬りかかる。一振りの黒鵺がメロディアの頸を落とす、それから三秒もかからずに新たな頸が桜の花が如くに咲いた。黒鵺と柳葉飛刀が一斉にメロディアの体を穿ち抜く、血が噴き出したと思ったが直後に肉が盛り上がり、新たなメロディアの部位が花開く。開花した肉体はメロディア自身から離れ、瑞樹へとその甘いチョコレートの体でもって包み込み息を断とうと、キャンディの鋭利な破片で切り裂こうとする。その気配、殺意だけを感知して振り翳された腕を避け、手近に浮かんでいた黒鵺を手に取ってキャンディの分身を斬りつけて破壊する。自らを飲み込もうとするチョコレートの分身は伽羅の雷撃でもって焼き溶かす。そうして道を切り拓き、動かなくなった分身たちを隠れ蓑にして、メロディアを突き刺した。ごぽりとメロディアの口から紅い血の塊が溢れた。ぐい、と傷口へ黒鵺を押し込んで、再生を阻害する。傷口から生え出てきた腕が刃を掴んで引き抜こうとして、別の黒鵺がその腕を斬り落とす。
その両腕いっぱいに鋭利な棘を生やしたキャンディとチョコレートの分身が、背後から瑞樹を抱擁しようと迫る。その棘を削ぎ落としていくも、割れた破片が瑞樹の腕に突き刺さった。刃を取り落してしまいそうな痛みを奥歯を軋るほどに噛み締めて耐え、分身たちを踏みつけ、飛翔するメロディアへと迫る。
『嗚呼、あああああああ……!!』
九十八の黒鵺と柳葉飛刀で針鼠のごとくに全身を突き刺されたメロディアに、瑞樹の両手に握りしめられた黒鵺でその体を断ち切り、苦悶の叫びを上げさせる。そのまま瑞樹は黒鵺を操り、一刀一刀でメロディアの全身を膾切りにする。落とした頸が再生するのに三秒、ならば一秒も与えずに、怒涛の連続攻撃で斬って、斬って、斬り続けるのみ!
伽羅と陸奥の水流と雷撃、旋風はメロディアを殺し切るには速度が足りない、故に彼らには分身を破壊するのに専念させて。百と一の黒鵺瑞樹はメロディア・グリードを斬り刻み続けるのであった。
大成功
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神代・セシル
Oceanic Graceを用いて自分を包む風属性のバブルを生成。スイーツの香りを遮断します。
メロディアおばさんはカルロスおじさんのお嫁さんと聞きましたが、なぜ今回のバレンタインデーは彼と一緒に過ごさなかったですか?
高速詠唱によりUCのMastery of Natureを発動。炎魔法と竜巻を合成し、炎の竜巻を放ちます。
炎の竜巻を操作し、絶えずに彼女を燃やし続けます。
同時にスナイパーライフルに炎魔法を装填し、燃焼弾を撃ちます。
【見切り】、【視力】、【瞬間思考力】により隙がない攻撃を行います。
カシム・ディーン
…うん
お前を見て確信しました
お前は…帝竜ですね
書架の王と同じ…
帝竜眼がお前を見ています(狂笑顔
対wiz&残滓
事前
カカオ99%チョコを齧
眠●打破がぶ飲み
【属性攻撃・迷彩・視力・情報収集・戦闘知識・空中戦】
周辺状況の把握
風属性を全身に付与して香りが届かないように遮断
更に飛び回りながら迷彩で捕捉しづらくさせ
その上で眠気が来る場合は自らの腕に短剣を突き刺
竜巻を起し周囲の残滓達を薙ぎ払い
帝竜には…帝竜で挑みましょう(UC起動
【二回攻撃・念動力・薙ぎ払い・生命力吸収・捕食・盗み・盗み攻撃】
メロディアに噛み付き
命を啜り再生した瞬間食らい残滓もメロディアごとブレスで薙ぎ払
更に眼球強奪!
貪りブレスで焼き続ける
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甘い香りの風が吹く。それはメロディア・グリードから発せられる、眠りの香り。神代・セシル(夜を日に継ぐ・f28562)は魔法の短杖「Oceanic Grace」を手にして、自分の周囲に強風で構成された球体(バブル)を作り出し、スイーツの香りを遮断した。
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は救急セットの中から取り出したカカオ濃度99%のチョコレートを齧り、眠気覚ましドリンクをがぶ飲みする。しかしそれらの効果は香りの齎す眠気を跳ね除けるには生ぬるい――否、生半な菓子やドリンク如きなどでは防げないほどに、メロディア・グリードから発される香りが誘発する眠気のほうが強いのだ。カシムは結局風を全身に纏い、香りが自分の元へと届かないように遮断する方法を選ぶ。けれどセシルと違って、カシムは若干眠気を誘発されている。大地を蹴って空中を飛び回り、香りから逃れながらも頭を、瞼を重くさせる眠気が離れない、それから逃れ、意識を明瞭にするためにカシムは自分の腕へと短剣を突き刺した。痛みが、眠気を凌駕する。
周囲を漂うけれども決して自らの元へは届かない眠りを誘う香りに、セシルはメロディアに問いかけた。
「……メロディアおばさんはカルロスおじさんのお嫁さんと聞きましたが、なぜ今回のバレンタインデーは彼と一緒に過ごさなかったですか?」
メロディアの白い頬に僅か赤みが差した。
『……どうして、過ごさなかった、と決めつけるのです?』
「過ごしたですか?」
『いいえ、いいえ、過ごしてなどいません。何故なら私はあの男を想ってなどいないのです。これは利害関係の一致に過ぎません、竜王たる私はあの男に娶られた、けれど私は彼を想ってなどいないのです。あの男にはグリモアを得て成して貰わねば成らぬことがあるのですから、ですから私は命を賭しているだけ……!』
『カルロスおじさんのことを好きではないのですか?』
『彼に向ける感情に好意などありません、私はあの男を想ってなど……いないのです……!』
メロディアが言葉を紡げば紡ぐほど、セシルが感じるのは全く逆の感情。多分この人は旦那様のことをものすごく好きなのだ。だけれど柵や立場や状況や、いろんな事が邪魔をして、素直になれないのだろうと――そんなことは、齢十三歳のセシルにだってわかる。けれどそれは、メロディアを此処で殺し尽くすこととは全く関係のないことで。
「……竜、と言いましたね」
カシムの声が上擦る。瞳孔が開き、その唇が弓なりに吊り上がる。
「……うん。お前を見て。確信しました。……お前は……「帝竜」ですね?」
彼の瞳は、もはやメロディア以外を映してはいない。否、今此処にいるメロディア本人すら目に入ってはいない。今のカシムの目に映るのは、カシム自身が作り出した「帝竜」メロディア・グリード。
「そう……帝竜……書架の王と同じ……!……この帝竜眼が、お前を見ています」
ふはっと、カシムが息を吐き出す。その笑みは狂喜に彩られていた。
「帝竜には……帝竜で、挑みましょう……!……“万物の根源よ”……“帝竜眼よ”……“今こそ……帝竜の王の力を我が身に宿せ”……!!“わが身今こそ帝竜へと至らん”…!!」
彼は盗賊。強奪者。この欲望の海とは異なる世界での戦争で手に入れた帝竜ワームの水晶巨大眼球を核として、そこに数多の帝竜の眼球の魔力を集結させた「帝竜眼」を以て――彼が変じたは帝竜ヴァルギリオス、否、八ツ首の「帝竜『カシム・ディーン』」!!
八つの首が一斉にメロディアの身体に襲いかかった。鋭利な牙が、たちまちにメロディアを八つ裂きにして……しかしその頭部を残してどろりとチョコレートになって溶け、頭から下は新たなメロディアの肉体が桜の花が如くに咲く。チョコレートとなったメロディアの一部は地面に滴り、残滓たち(スイート・メロディア)となってカシムとセシルに襲いかかる。
セシルはスナイパーライフル「虚空」に炎魔法を装填し、燃焼弾を撃ち放つ。チョコレートの残滓が溶け落ち、燃え上がった。そのままユーベルコード【Mastery of Nature(マスタリィ)】を発動させ、炎の竜巻を制御してメロディアにぶつける。
『ああ、あああああ……!!』
メロディアの肉体が焼き焦がされる、それはセシルの放った炎の竜巻だけでなく、カシムの吐いたブレスによっても。焼け焦げ炭化した端から、メロディアの肉体が新たに花開く。セシルは「虚空」から炎の弾丸を矢継ぎ早に撃ち出していった。焼き焦げた肉体が再生する端からメロディアを燃やし続けるために。
「お前の!眼球を!寄越せぇぇぇっ!!」
竜と化したカシムが叫ぶ。カシムの顎の中でメロディアの頭蓋が砕け、カシムは彼女の両目を齧り取る。とはいえ、その眼球さえもメロディアの身体は再生させてしまうのだが――カシムはばりばり、がりごりと幾度も幾度もメロディアの頭部を噛み砕き貪り、再生し続ける肉を喰らい続けながら、「すべての属性」を宿したブレスを吐く。
『ああああああああっ!!』
二人によって燃やされ続けるメロディアの苦悶の声が、桜花島に響き渡った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
金宮・燦斗
ほお、無敵とは違うのか。
それはそれで、楽しそうだ。
そしてあの子は今修理中。ということは……『遊べる』。(メガネがキラリ)
先制攻撃への対処は黒鉄刀の闇で周囲を真っ暗にした後、闇に紛れて敵の視界を奪いましょう。
視界を奪い、ゆっくりと近づいて……UC【影をも超える狂気の黒】を発動。
殺戮の時間ってことで、今日はとても気分がいいですよぉ?
2本の黒鉄刀を振り回し、ありとあらゆる人の形の弱点を貫きます。
殺して、殺して、殺して、殺し尽くせば良いとのことなので、遠慮なく狩りつくしちゃいます。
無敵は無敵で楽しかったんですけど、こっちも楽しいなぁ。
いっそのこと同時に来たら……ああ、でもあの子に怒られるか。
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「ほお……こちらも死なない、けれど『無敵』とは違うのか……それはそれで、楽しそうだ」
抜き放たれた黒い刃の刀身からは闇が溢れ出し続ける。桜花島を早すぎる暗闇に包みながら、金宮・燦斗(《奈落を好む医者》[Dr.アビス]・f29268)はぺろりと下唇を舐める。
「そして、“あの子”は今は“修理中”……。という事は……――『遊べる』」
眼鏡が逆光でキラリと光る。そう、今の燦斗の傍らにはいつもの「愛する息子」がいないのだ。「彼」こそは燦斗の外付け良心装置と呼んで良い。その「息子」がいない今、燦斗は何を取り繕うこともなく遊び倒すに任せる状況だった。
ひらり、闇の向こうでメロディア・グリードが空に舞い上がる。真っ直ぐに伸ばされた腕からぼこぼこと腫瘍のように生えてくるのは新たなメロディアの肉体、否、甘い甘いチョコレートとキャンディで出来た分身たち。彼女たちはメロディアの肉体から分離すると、燦斗に向かってその尖った破片で切り裂こうと、あるいは肉体をどろどろに溶かして飲み込もうと飛来する。けれどどろりと一層濃くなった闇に紛れて燦斗は分身の攻撃を避ける。そのまま黒鉄刀を閃めかせて分身たちを斬り捨てながら、燦斗はメロディアへとゆっくりと近づいていった。
「ふふ……ふふふふふ、はは。――愉しませて、ください、ねぇ」
低い低い声でそう歌うように言葉を紡ぐと、燦斗はもう片方の手に新たな黒き刀を手にしていた。
「殺戮の時間ってことで、今日は、とても気分がいいですよぉ?」
その刃はメロディアの胸、肋骨を器用に擦り抜けて心臓を貫いた。医者である燦斗だからこそ、人体のどこに骨があり筋があるかは熟知している。そしてもう一振りの刃は、迷うこと無くメロディアの両目を裂く。心臓を穿ち、両目を潰し、更に喉を斬り裂いてそのまま上に。下顎の骨のない部分から口内に突き出る刃。どれもが人体の急所。人の形の弱点。――けれど。メロディア・グリードの肉体は、斬り裂かれ潰された端から再生する。
一秒と持たずに抉られた眼球の代わりに新たな眼球が生え、千切られた舌の代わりに新たな舌が伸びる。腹を裂き五臓六腑を引きずり出しても、すぐに新たな部位が生えてくる。メロディアの再生能力の前では、人体の急所を想定した殺人技巧は意味がなかった。それを理解した燦斗は、殺し方を変える。丁寧な殺し方から、乱暴な殺し方へと。生え変わるよりも速くに頸を、腕を、脚を、落とし続ける。
『嗚呼、嗚呼、ああああああ……!』
メロディアの苦悶の声が闇に包まれた桜花島に谺する。
「殺して、殺して、殺して、殺して、殺し尽くせば良いとのことなので、遠慮なく狩り尽くしちゃいますね……?」
無敵のザンギャバス大帝も無敵なりに楽しかったけれど、ああ、こちらも楽しい。
ゆっくりたっぷりと愉しめる趣はないが、欲望のままに我をぶつけるような此れも悪くない。
「いっそのこと同時に来たら……ああ、でもそれはあの子に怒られるか……」
『ううううう…………あああああ……!!』
メロディアの叫び声をまるでバックグラウンドミュージックのように心地良く聞きながら、燦斗は殺戮に耽る。
――そうして。
焼き尽くされ貫かれ斬り落とされ磨り潰されて、ついにメロディア・グリードの高速再生能力は殺戮に追いつかなくなる。
細切れになってもう戻らない肉体は、桜花島に打ち捨てられて、誰も顧みることはない――。
一人の女は猟兵たちの、蕩けるような殺戮の果てに、ようやく命を散らしたのだった。
大成功
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