羅針盤戦争〜黄金艦隊を踏み越えて
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「グリードオーシャンでの戦争も、順調に進んでおるようじゃな」
ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は戦況を確認し、顎髭を撫でながら海図を確認していた。そして、ガングランは視線を上げると猟兵達に改めて向き合う。
「今回、おぬしらに頼みたいのは七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍への対処じゃ」
現在、七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍はとある温泉宿跡のあるサムライエンパイア島の周辺に黄金艦隊を展開している。魔法黄金製の超硬度を誇る帆船達、黄金艦隊はピサロ将軍にとってただの艦隊ではない。
「ピサロめは高速機動ユーベルコード「八艘飛び」で飛び移りながら襲いかかってくるそうじゃ。文字通り四方八方から襲われる訳じゃな」
その動きはあまりにも速く、ピサロ将軍が足場としている黄金艦隊がある限り、まともに捉える事も困難だろう。ガングランは、そこで一つの提案を口にする。
「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ、じゃったか? ピサロを倒すのには、まず足場となっておる黄金艦隊の排除が重要になるじゃろう」
ピサロ将軍自体は、戦って倒すのよりも時間稼ぎが重要なのだ。実力は七大海嘯として普通に高いピサロ将軍にそのような作戦を取られれば、苦戦は必死だ。だからこそ、その要である黄金艦隊をまず撃破、その上で戦いに挑まなくてはならない。
「この状況で逃げを選べるのは、いっそ見事と言うべきじゃろうなぁ。そういう相手ほど、倒すのが難しいものじゃ。しかし、おぬしらならピサロめの目的をくじく事もできるじゃろう。よろしく頼むぞ」
波多野志郎
この状況で逃げると言い切るのは、それなりに良い度胸かと。どうも、波多野志郎です。
今回は、七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍と戦っていただきます。
プレイングボーナス『敵の先制攻撃+八艘飛びに対処する』となります。黄金艦隊をいかに速やかに排除できるか? それに成否がかかっていると言っても過言ではないでしょう。アイデアやプレイングを、どしどしお待ちいたしております。
それでは、海上の黄金艦隊でお会いしましょう!
第1章 ボス戦
『七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍』
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POW : ケチュアの宝剣
【黄金太陽神の神力】を籠めた【ケチュアの宝剣】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【魂】のみを攻撃する。
SPD : 黄金艦隊砲撃陣
【各艦に刻まれた黄金魔術印】によって、自身の装備する【黄金艦隊】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。
WIZ : 邪剣烈風斬
【超高速移動によって生じた激しい風】を放ち、レベルm半径内の指定した対象全てを「対象の棲家」に転移する。転移を拒否するとダメージ。
イラスト:もりのえるこ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
才堂・紅葉
嫌いじゃないですね、その清々しいまでの決断力
ですが、その首逃すわけには参りません
「障壁を張ります! 防御に不安のある方はこちらに!!」
「紋章板」を正面に突き出し、アルダワ【メカニック】で壁程に巨大化。【結界術、オーラ防御】で障壁を展開し、私と周囲にいる方々を激しい風から【かばう】ようにします
「どう言う速度よあれ……ったく、仕方ないか」
「コード・ハイペリア」
真の姿の【封印を解く】と、迷宮の主権限で重力水晶を召還
照明弾の合図の後、UCを発動します。同じ戦場の方々には【礼儀作法】で事前説明しています
「一定以上の高速度行動」の無効化で、八艘飛びの速度を殺しますね
隙があれば、「六尺棒」を【投擲】です
菫宮・理緒
艦隊を潰すならやっぱり、スピードと制空権だよね。
それなら得意だし、がんばっちゃうよー♪
【ネルトリンゲン】を出撃させて【E.C.O.M.S】を発動。
低空飛行させながら艦載機みたいに使って、黄金艦隊を攻撃させるよ。
同時に
空母からも【M.P.M.S】を装備して、対艦モードで起動させ、
対艦ミサイルで黄金艦隊を狙っていこう。
攻撃はもちろん【一斉射撃】で集中砲火。確実に一隻ずつ沈めていきたいな。
海上での移動も、【情報収集】をしっかりして、相手艦隊の動きを予測。
ピサロ将軍の退路を断つ感じで動いていけたらって思うよ。
簡単に逃げられるとは思ってないだろうけど、こっちはその上をいっちゃうもんね。
逃がさないよー♪
エミリィ・ジゼル
今更逃げようなどとはずいぶんと虫がいい話
自分たちで始めた物語には最後まで責任を取って頂きましょう
さて、まずは隠れん坊にでも興じます
幸いわたくしは呼吸不要なバーチャルキャラ
海底に身を潜め、邪剣の攻撃をやり過ごします
いくら相手が風を起こそうとも、海底までは届けるのは至難のはず
仮に届いたとしても、それは海に阻まれて大きく威力を減ずるでしょう
それらを水中機動や高速泳法、見切りや第六感を使って回避します
攻撃を凌いだらこちらのターン
サメダディを召喚し、大海嘯にて黄金艦隊を沈めてやります
足場が減れば、自慢の八艘飛びも難しくなるでしょうね
「さぁ、サメダディ。誰が海の支配者か、奴らに教えてやりましょう」
死之宮・謡
アドリブ歓迎
ふむふむ…危険を察して即座に撤収を選べるか…中々面倒な手合いのようだな…大体この手の手合いを仕留めるには撤収し切る前に追撃するか危険を察させずに暗殺するかの二択だが…
今回は一気に攻め切るか…中々愉しめそうだ…
先ずは海域に・呪詛をばら撒き下から、呪雷を放って上から艦隊を攻撃して沈めていく
更に、自身の周囲にも減衰の呪いの領域を展開し風を掻き消しながら隠蔽の呪いを身に纏って領域に紛れ、クレイアスターによる遠距離攻撃に徹して指定されぬように動き
【覗きし悪意】を発動して、そのまま奴が沈むまで射撃を繰り返す
ヴィヴ・クロックロック
儲けが無いから即逃げる。うんうん。実に気持ちは分かる。
だがこちらはそちらを狩ると儲けが出る!!その黄金艦隊を寄越せええええええ!!!
帰宅を促す風!?馬鹿め!!船乗りの棲家は少なくとも航海中はこの船よ!!
という訳で気にせず突撃!!邪剣は私が分銅を駆使して船を飛び移りながら相手をしつつ召喚した亡霊たちは黄金艦隊に乗り込み端から拿捕していけ!!乗っ取れなければ爆薬を使って船底に穴をあけてしまえ!!頑丈なら船底付近で密室を作れば逆に威力の逃げ場がなくて穴くらいは開くはずだ!!
戦闘が終わったらサルベージしないとな…忙しくなりそうだ。
(※アドリブ連携歓迎です)
ヨナルデ・パズトーリ
アレンジ連携OK
……まあ、あれじゃな
彼の国の神を開放せん為にも貴様は疾く滅びよ下郎が!
魔法は全て『高速詠唱』且つ『無酸素詠唱』で『範囲攻撃』
海中での『水中戦』に徹する事で攻撃に対処
『地形破壊』級の嵐を『天候操作』で不安定にさせ更に『神罰』の雷『属性攻撃』『全力魔法』の『乱れ撃ち』で船の間の移動を妨害
自身は『オーラ防御』の『結界(術)』を纏い飛翔能力を応用した『高速泳法』で移動
『野生の勘』でピサロの位置を『見切り』海中から『怪力』でピサロが乗り移ろうとした黄金船をピサロに『念動力』も用いて『投擲』
船という『敵を盾にする』事で攻撃を凌ぎつつ『怪力』による『鎧無視攻撃』で船ごと『切断』し『蹂躙』する
クネウス・ウィギンシティ
※アドリブ・絡み歓迎
「撤退前提ですか、潔し」
【WIZ】
キャバリアに搭乗し、出撃します。
●黄金艦隊対策
「オープンファイア!」
肩のミサイルに自作した火炎弾(【メカニック】)を込め艦隊をミサイル【弾幕】で攻撃し炎上させます。
●先制UC対策
脚部のパイルを足元に突き立て風を耐えます(【地形の利用】)。
「棲家はこの機体の中です」
仮眠スペースもあり、一日超の任務も行うこのキャバリアの中こそが(戦争中の)私の棲家です。転移は遠くに飛ばされなければ受け入れます。
●UC
「CODE:DELIBERATE ATTACK」
水上ホバーで破壊した黄金艦隊(無機物)に近づきUCを発動。砲台に変え、ピサロ将軍を【砲撃】します。
レナ・ヴァレンタイン
※アドリブ、連携歓迎
引き際がよすぎる実力者。実に厄介だ
ならば結論は一つ。ここで潰す…!
サーフブレードに乗って現場急行
高高度から一直線に落下。現代の帆船とて上空標的への迎撃は難しい筈だが、砲門を上に向けられる可能性も鑑みて迎撃の気配を感じれば蛇行、急停止とマニューバを織り交ぜていく
砲撃等の遠隔攻撃が来るならサーフブレードの肉厚の刃でガード
敵の初撃を防いだ後は複製したギャングウェイは同じく複製したサーフブレードに乗せて遠距離砲撃。ギャラルホルンは敵船の表面に砲身を密着させての全力射撃
ナイフとブレードも使って目につく艦船は片っ端から切り刻み、撃ち抜く
ピサロ本人よりも、艦隊封じを主軸に行動といこうか
青垣・燈里
共闘・アドリブOK。
SPDで判定。
なるほどなるほど、こちらのユーベルコードより早く攻撃してくる、と。
…だが、今回は私の方が早いねぇ。
【先制攻撃】として光弾符・試胆符・物語符を袖から出して展開。
【誘導弾+属性攻撃+レーザー射撃】による雷属性の無数の【弾幕】でご自慢の黄金艦隊とやらを【爆撃】して対処しようかねぇ。
ついでに【天候操作】で風を起こし、波を起こすことで敵船の動きを制限しておくよ。
ご自慢の八艘飛びとやらも、足場となる船が無ければどうしようもないだろう?
その際、一部の弾幕を他の猟兵の【援護射撃】としてサポートもするよ。
初撃を凌げたら指定UCを起動。
更に密度と威力を上げた【弾幕】を披露するよ。
シノギ・リンダリンダリンダ
……ふははははは!!!邪剣!あぁ、やっと姿を見せたと思ったら!
お前はなんて、素敵なモノを!!
黄金艦隊!?あぁ、素敵です!!!
ねぇ、ちょっと一つ、私にくれませんか?
【憤怒の海賊】を解放
漆黒の呪詛の霧と、霧の中を泳ぐ黄金の星々、そして憤怒の意思のみの人型と化す
艦隊からの砲弾も、攻撃も、邪剣の攻撃も、腐らせ、弱らせ、黄金へと変える
そのまま飛び立ち、霧を最大まで広げながら飛翔
超硬度の黄金。硬いのならば、腐らせればいい
腐食させ、腐食させ、腐らせて轟沈させていく
邪剣自身も
あぁ邪剣!!!逃げ回るお前も!黄金の艦隊も!!全て腹立たしい!!
我が憤怒は、我が強欲は!
お前と艦隊を根絶やしにしろと叫んでいます!!
リーヴァルディ・カーライル
…確かに。今の状況で逃げ回られる方が、
下手に戦いを挑まれるよりよほど厄介よね…
…だからこそ逃しはしない
未来への禍根を断つ為にも、お前達は此処で討つ
陽光を遮る"影精霊装"の魔力で残像のように存在感を消し、
自身を闇に紛れるオーラで防御して敵の見切りを誤魔化し、
今までの戦闘知識から最適な動作で攻撃を受け流しUC発動
…その剣に当たる訳にはいかない
吸血鬼化して不可視の血糸を操り黄金艦隊の船を掴み、
限界突破した怪力で船を持ち上げて血糸をなぎ払い、
ハンマーのように他の艦隊に叩き付け沈没させた後、
敵の死角から切り込み大鎌で敵を乱れ撃つ
…あまり優雅な方法では無いけど、
いずれにせよ、これで足場になる船は無くなった
エドゥアルト・ルーデル
金ピカな艦隊とかすげぇ趣味でござるな!
転移する時は艦隊上空でお願いしますぞ!飛び乗るから!
どれかの船に乗り込んだら…金属には金属!出番でござるよ【流体金属】君を黄金の船にぶつける!ああ…良いぞ、たらふく喰らえ
流体金属君が【黄金魔術印を吸収、乗っている黄金船と同化して操作すると、これぞまさしくアマルガムでござる
乗っ取ったら敵艦隊を撹乱でござるよ!陣形が乱れれば八艘飛びも多少はやりづらくなるでござろう!
スクリューと舵を拵えさせて全速前進!やっぱ船はスクリューだよね!帆船よりずっとはやーい!
と敵船よりも優速な足を活かし艦隊を撹乱、連携を崩し一体ずつ体当たりで敵船を撃沈ござる
ナミル・タグイール
金ぴか船軍団にゃー!!
強そうだけど負けないにゃ!全部ナミルのデスにゃ!
どこ見ても金ぴかキラキラにゃ!最高デスにゃ!
お前の背中の金ぴかもでかくていいにゃー!寄越せにゃ!
(捨て身突撃)
ぎにゃー!…あれあんまり痛くないにゃ?
(魂を攻撃されても目の前の金ぴか欲しい呪詛パワーで動いて突撃)
にゃー!すばしっこいにゃ。
逃げるなら今のうちに船にぎゅーっとすりすりハグしてマーキングにゃ!この船はナミルのにゃ!
(UCで勝手に呪いの船にする猫)
敵のぴょんぴょんを真似して猫パワーで飛び回り
剣も背中のも船も全部ナミルのにするにゃ!
いっぱい船マーキングできたら呪詛で思いっきり集めて固めて足場を狭くし
逃げるなデスにゃー!
非在・究子
お、黄金艦隊を、操作しつつの、高速の、八艘飛び。き、器用な、やつだ、な。れ、劣勢に、なったところで、逃げの一手、と言うのも、キライでは、ないが……そ、そういう、奴ほど、逃がさず、た、倒したくなるのが、げ、ゲーマーって、ものだ。
あ、相手の、黄金艦隊の、操作に、は、【ハッキング】を、仕掛ける、ぞ。こ、高速移動って、言うのは、結構、気遣う、事が、多い。だ、だから、す、少しでも、艦隊の、動きに、干渉、できれば、動きを、乱せる、はずだ。そ、そうやって、相手の攻撃を、乱して、こっちの、ゆ、UCを、使う、隙を作る……お、黄金艦隊を、支配して、やる。か、艦隊、同士で、潰し、合え。
ヘスティア・イクテュス
つまりあの黄金の船を略奪して良いってことね?
アベルは『情報収集』し敵の移動を予測そして敵の進行方向の黄金艦隊にマイクロミサイルの『一斉発射』
進行方向の足場が無くなればルートを変えざる得ないわよね?
もしくはティターニアで高推力で飛ぶのではなく一時跳躍を【空中戦】
空の敵は狙えるかしら&これなら飛行にはならないわよね?
その隙にプチヘスを展開し【集団戦術】
『弾幕』で近寄れない状態を!
あっ、一部はさっき沈めた船の回収ね?黄金もったいない
余力があれば更に沈めて回収を!さぁ、『邪剣』ピサロもっと艦隊(お宝)を出しなさい!!
ヴィクティム・ウィンターミュート
なるほど、逃げるか…いいじゃねえか、嫌いじゃないぜ
損得ってもんをよく分かってる 俺もそういうタイプさ
だがまぁ、哀しいことにそいつは通らない
俺が敵を逃がすと思うかよ…根絶やしにするまで止まらねえぞ
おおっと、この強烈な風…飛ばされるとまずいな
ダメージを受けるわけにもいかねえし──左のワイヤーアンカーを射出、こいつを命綱にして、飛ばされるのに抵抗する
俺「は」転移できても、ワイヤーまでは飛ばないはずだ
こいつで俺を繋げれば、飛ばずに済むだろう
さて、反撃のお時間だ──『Conquer』
大量の投擲物で黄金艦隊を【爆撃】して沈める
跳ぶ先が無くなってきたろ…そろそろお前を仕留める
綿での爆撃で追い詰めてやらぁ
●黄金艦隊
Golden Dawn――黄金の夜明けという言葉がある。海に浮かぶ黄金とは、まさにソレの事だった。まさに海を飾る黄金、どこまでも美しく――そして、妖しい。
「金ピカな艦隊とかすげぇ趣味でござるな!」
「金ぴか船軍団にゃー!! 強そうだけど負けないにゃ! 全部ナミルのデスにゃ!」
違う意味で目を輝かせる、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)とナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)。そして、シノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)が強欲の笑みを覗かせた。
「……ふははははは!!! 邪剣! あぁ、やっと姿を見せたと思ったら! お前はなんて、素敵なモノを!! 黄金艦隊!? あぁ、素敵です!!! ねぇ、ちょっと一つ、私にくれませんか?」
黄金の妖しい輝きは、古今東西人々を魅了してきた。強欲にとって、それが疼か無いはずがない絶景だ。
特にこの黄金艦隊を所有するピサロ将軍は、黄金と切っても切れない。彼女と同名の異世界の将軍は、まさに黄金を手にしてコンキスタドールと呼ばれたのだから。
「ふむふむ……危険を察して即座に撤収を選べるか……中々面倒な手合いのようだな」
その欲の形を見たからこそ、死之宮・謡(存在悪:狂魔王・f13193)は感嘆の声を漏らす。黄金に魅入られながら、身を滅ぼす前に切り捨てられる――その割り切りは、戦闘という意味だけでなく驚異だ。
「……確かに。今の状況で逃げ回られる方が、下手に戦いを挑まれるよりよほど厄介よね……」
リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)も、そうこぼす。相手は欲望は際限ないというのに損得を見切れるという事は、それをコントロールできていると言う事だ。
放置し、逃せば異世界があの欲の標的にされる……それは愉快な想像ではない。
「嫌いじゃないですね、その清々しいまでの決断力。ですが、その首逃すわけには参りません」
「引き際がよすぎる実力者。実に厄介だ」
才堂・紅葉(お嬢・f08859)の言葉に、レナ・ヴァレンタイン(ブラッドワンダラー・f00996)はうなずいた。レナの探偵部分も告げている。この侵略者はここで捕まえなければ、次に現れる時は致命的な時に間違いない、と。
「ならば結論は一つ。ここで潰す……!」
●一方、『邪剣』のその頃――
七大海嘯が一騎、『邪剣』ピサロ将軍は黄金艦隊のとある船の甲板に立っていた。潮風に揺れる髪、凛とした双眸、整った顔立ち――その美しい横顔は、黄金艦隊の威風と相まって一枚の英雄画を思わせる。
「来たか、猟兵」
猟兵達がこちらを知覚し、追いかけてきている事を理解している。だからこそ、思わずにはいられなかった。
(「――何故来た、猟兵!?」)
本当に、どうしてこっちに来るのか。とっとと王笏島の攻略に戻ればいいのに! 私は消えるのだぞ!? 敵対戦力が普通に、何もしなくても脱落するんだぞ? なのに、どうして追いかけてくる、邪魔をする!?
「……フッ」
ああ、そうか。馬鹿か、馬鹿なんだな!? 目についたものは殺さずにはいられない、キルゼムオールか、恐ろしいな! 私だって財宝がなければやらないぞ!? おっかない、猟兵おっかない!
「――黄金艦隊、展開。迎え撃つ」
配下達がいれば、思っただろう。敵を前に微笑まで浮かべる余裕、この御方はお揺るぎもしないと。この大海原において、まるで湖面に浮かぶ船のように身じろぎ一つせず敵を迎撃されるのだ、と。心強く、また全幅の信頼を置くにふさわしい、生粋の侵略者なのだ――。
「駆逐し、その生命を略奪する!」
(「帰ってくれてもよかろうよ!? カルロスを囮にしようとしたのに、私が囮になってどうするか!?」)
見た目だけは勇ましく、黄金艦隊から戦端がひらかれた。
●黄金の激突
黄金艦隊が、散開していく。それを見て、エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)が動いた。
「今更逃げようなどとはずいぶんと虫がいい話、自分たちで始めた物語には最後まで責任を取って頂きましょう」
エミリィは迷わず水面へ、そのまま海の中へと飛び込んだ。
「なるほど、逃げるか……いいじゃねえか、嫌いじゃないぜ。損得ってもんをよく分かってる 俺もそういうタイプさ。だがまぁ、哀しいことにそいつは通らない。俺が敵を逃がすと思うかよ……根絶やしにするまで止まらねえぞ」
ヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)がそう言い捨てた瞬間だ、ビュオ――!! と凄まじい突風が、向かい風となって吹き荒れた。
「おおっと、この強烈な風……飛ばされるとまずいな」
ヴィクティムは即座に左のワイヤーアンカーを射出。ヴィヴ・クロックロック(世界を救う音(自称)・f04080)の鬼宿船団・アンナトラのマストに巻きつけた。
「儲けが無いから即逃げる。うんうん。実に気持ちは分かる。だがこちらはそちらを狩ると儲けが出る!! その黄金艦隊を寄越せええええええ!!!」
ヴィヴが叫び、鈍く光る小規模ガレオネスで風を切って突き進む! ワイヤーで引っ張られながら、ヴィクティムは感嘆の声をこぼした。
「おお!」
「帰宅を促す風!? 馬鹿め!! 船乗りの棲家は少なくとも航海中はこの船よ!!」
ヴィヴは呪詛入り縄分銅【オロチ】を投擲、最も近い黄金船に突貫する。先端と先端が激突した刹那、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)のミネルヴァ級戦闘空母【ネルトリンゲン】がボトルシップ状態から出現、E.C.O.M.Sで戦闘用Octagonal Pyramidの群れを召喚した。
「艦隊を潰すならやっぱり、スピードと制空権だよね。それなら得意だし、がんばっちゃうよー♪」
ネルトリンゲンを低空飛行で理緒は突撃させる――だが、ピサロ将軍はそれを迎撃するために跳んでいた。
「ケチュアの宝剣よ――」
宝剣を抜いたピサロ将軍が斬撃を繰り出す――そのはずだった。
「なるほどなるほど、こちらのユーベルコードより早く攻撃してくる、と……だが、今回は私の方が早いねぇ」
「チィ!!」
ピサロ将軍は、繰り出すはずだった斬撃の向きを変える。青垣・燈里(百物語の末に現れるモノ・f27947)が着物の袖から展開した、光弾符・試胆符・物語符の三種の符。そこから放たれた雷属性の無数の弾幕を、ピサロ将軍は切り裂いて黄金艦隊を守った。
「おの――」
れ、と呟き、ピサロ将軍は黄金帆船に降り立ち即座に跳んだ――燈里の一撃の重さを見たからこそ先に潰すべき、その判断の結果はネルトリンゲンの砲撃により自身の足場として帆船が撃沈される光景だった。
「く! おかしいだろう、何故適切に対応してくる!? これでは――」
「撤退前提ですか、潔し」
ドン! とクネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)のアルゲスが、肩のミサイルに自作した火炎弾の照準を黄金艦隊に合わせる。
「オープンファイア!」
「一斉掃射! 撃てぇ!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!! と空中で無数の爆発が花開いた。互いの砲撃を相殺し合う激突、その中を試作三号型破城剛剣――サーフブレードに乗ったレナが突っ切った。
「ようこそ、我が荒野の世界へ。盛大に出迎えてやるとも」
軍隊個人・総員集結(ジャック・レギオン・フルバレルオープン)――レナと同じく複製サーフブレードに乗った対大型徹甲破砕閃光砲『ギャングウェイ』の遠距離砲撃、炸裂散弾式装甲破砕攻城砲『ギャラルホルン』の突貫砲撃が、黄金艦隊を襲った。
「高高度からの落下による襲撃か! 面倒な!」
だが、まだまだ黄金艦隊は尽きない。ピサロ将軍の八艘飛びを見て、非在・究子(非実在少女Q・f14901)が笑みをこぼした。
「お、黄金艦隊を、操作しつつの、高速の、八艘飛び。き、器用な、やつだ、な。れ、劣勢に、なったところで、逃げの一手、と言うのも、キライでは、ないが……そ、そういう、奴ほど、逃がさず、た、倒したくなるのが、げ、ゲーマーって、ものだ」
究子は、事細やかに攻略メモに黄金艦隊の動きを記していく。これはリズムゲーと同じ覚えゲーだと思えばいい、ピサロの動きが正確であれば正確であるほど、複雑であれば複雑であるほど、歯ごたえがある――ゲーマーの血が、ひどく騒いだ。
【Emergency,Emergency,憤怒の海賊が解放されます。当機への接触は控えてください。繰り返します――】
シノギが憤怒の海賊(ラース・シット・ファック)によって、呪詛と強欲と黄金で構成された死霊海賊の王へと変わっていく。シノギは漆黒の呪詛の霧と霧の中を泳ぐ黄金の星々、そして憤怒の意思のみの人型と化す。そして、黄金艦隊の砲弾を黄金に変えては海底へと沈めていった。
「ああ!? もったいな――」
「未来への禍根を断つ為にも、お前達は此処で討つ」
思わず海に沈む黄金にピサロ将軍が意識を向けた瞬間、リーヴァルディの一撃が襲う。咄嗟にピサロ将軍は宝剣で弾き、大きく後退した。
(「――駄目だ、もっと広範囲に展開させて的を絞らせなように」)
しなくては、とピサロ将軍が思うよりも早く。ドドドドドドドドドドドドドド! と先頭の黄金帆船から、無数の水柱が立ち上がった。
「帆船相手だと……よく効くな……」
謡のばら撒かれた呪詛による呪雷が、船に触れて起動したのだ。それを見て、ピサロ将軍は即座に戦闘近くの黄金艦隊をズラそうと――。
「……まあ、あれじゃな。彼の国の神を開放せん為にも貴様は疾く滅びよ下郎が!」
ヨナルデ・パズトーリ(テスカトリポカにしてケツァルペトラトル・f16451)が巻き起こした嵐が、その回避行動を許さない。帆が風を受けて内側に回り込んでしまえば、旋回は困難なのだ。そのまま前方の帆船三船が、謡の呪雷に触れて沈没していった。
「つまりこの黄金の船を略奪して良いってことね?」
「良い訳あるか!?」
ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)の問いかけに、ピサロ将軍は即座に否定。ヘスティアのマイクロミサイルの一斉発射に、ピサロ将軍も砲撃を合わせ相殺する!
「障壁を張ります! 防御に不安のある方はこちらに!!」
紅葉が紋章板を正面に突き出し、巨大化。吹き荒れる風と、砲弾から仲間達を守った。それに、ピサロ将軍は舌打ちする。
(「こちらのいやな事を、的確にしてくるな!」)
この海で、黄金艦隊という足場を失うのは痛いではすまない。それをよく、猟兵達は理解している。加え、この数だ。数の暴力により足場を崩してくる……事前に、こちらの弱点を理解し、戦術に組み込んできているのは明白だ。
(「――逃げたい!」)
ピサロ将軍はそう思う、心の底から。だが、それが隙になる事も同時に理解していた――だからこそ、真っ向から猟兵達を向かい合った。
●黄金の夜が明ける時――
「スピットファイア君は器用でござるな! もしや拙者より器用なのでは……?」
黄金帆船に上空から乗り込んだ瞬間、アマルガム(ユベコトリコムノアサメシマエトハホンニンノダン)で呼び出した流体金属生命体をエドゥアルトは解き放つ。
「金属には金属! ああ……良いぞ、たらふく喰らえ」
ええ!? おかわりしていいんですか!? とぷにぷに増えていく流体金属生命体に鷹揚にうなずき、エドゥアルトはその光景を満足気に眺めていた。
「どこ見ても金ぴかキラキラにゃ! 最高デスにゃ! この船はナミルのにゃ!」
一方、ナミルは黄金帆船に抱きつき、スリスリとマーキングしていく。小人の指輪(カタラ・アンドヴァリ)によって周りの黄金を全て呪いの黄金に変える呪詛があるので、マーキングというのもあながち間違いでないのが怖い。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛――!?」
ピサロ将軍が、クールな美形が出してはいけない声を上げて、精神ダメージを受ける。自分の黄金艦隊が、どんどんと数を減らされた上に奪われていくのだ。それはもう、略奪者としてはこれ以上ない苦痛である。
この世に神はいないのか!? いや、いたわ。顎でコキ使ってたわ。だとすれないのは、アレだ、きっと慈悲だ、うん。
フルフル……と怒りに肩を震わせるピサロ将軍。戦況は、まだ五分と五分。そのはずだ、そのはずだが――言わずにはいられない。
「――お前達、もうとっとと帰れ!!」
邪剣烈風斬、ピサロの棲家へ叩き返そうという突風を脚部のパイルを足元に突き立て、クネウスは堪える。何故だ、というピサロ将軍の問いの前に、クネウスは答えた。
「棲家はこの機体の中です」
「うるさいわ!」
仮眠スペースもあり、一日超の任務も行うこのキャバリアの中こそが戦争中の私の棲家です――そんなクネウスの生真面目な返答に、ピサロ将軍は黄金艦隊の砲撃で返した。
「CODE:DELIBERATE ATTACK」
黄金帆船そのものを拠点攻撃用の砲台群に変え、クネウスは反撃。互いに砲撃し合い、爆風が戦場を渦巻いた。
「まだだ――!」
黄金帆船が、足元へやって来る。まだ、状況はこちらが握れる――即座にピサロ将軍が跳び去ろうとした、その時だ。
「――は?」
足元へ控えていたはずの、黄金帆船が急停止したのだ――究子が、してやったりと笑った。
「こ、高速移動って、言うのは、結構、気遣う、事が、多い。だ、だから、す、少しでも、艦隊の、動きに、干渉、できれば、動きを、乱せる」
「――待――て――!?」
ハッキングによって、黄金帆船の動きを奪われていた。しかし、いつからだ? この帆船は、もう何度か足場にした、そのはずだ。その時は、普通に操れていた――いや。
(「こっちが、操っていたように――『見せかけ』た!?」)
だとすれば、こちらの動きが読まてていた事になる! どこまで、何手先まで読まれた!? ピサロ将軍が混乱した、その刹那。
「やっぱ船はスクリューだよね! 帆船よりずっとはやーい!」
「ぷぺろ!?」
流体金属生命体でスクリューを生み出し、猛スピードで突っ込んできたエドゥアルト操る黄金帆船に轢かれ、ピサロ将軍が空中で三回転半捻りで上空へ打ち上げられた。その間隙に、究子が笑う。
「か、艦隊、同士で、潰し、合え」
足元で始まる、盛大な潰し合い。それを見ながら、ピサロは正確に自身が動かせる黄金帆船を呼び、降り立った。
「あぁ邪剣!!! 逃げ回るお前も! 黄金の艦隊も!! 全て腹立たしい!! 我が憤怒は、我が強欲は! お前と艦隊を根絶やしにしろと叫んでいます!!」
「ぐ――!!」
シノギの呪詛の霧が、周囲を飲み込んでいく。腐食性を持たない黄金を腐らせる、それほど呪詛――ピサロは紙一重でその霧を抜け出れるが、片足が黄金化してしまう。
「ああ! いくらになるか、これ!」
「ご自慢の八艘飛びとやらも、足場となる船が無ければどうしようもないだろう?」
そして、ヤマタノオロチとなった燈里の弾幕射撃が降り注ぐ。ガキン! と黄金を蹴って回避するピサロ将軍――だが、その燈里の弾幕射撃は囮だ。
「カモーン! サメダディ!」
そして、その声が海底から届いた。エミリィのサメ召喚「すべてのサメの父」(シャークサモン・リヴァイアサン)によるサメダディの召喚――それに寄って引き起こされる大海嘯が、黄金艦隊を襲った。
「ぐ、お……おのれ、おのれええええええええええええええ!!」
血涙を流しそうな勢いで、ピサロ将軍は沈められる黄金艦隊達を見送るしかない。どれだけの略奪行為の果てに得た黄金であったか! 黄金の価値がわかってるのか、猟兵どもめが!
「簡単に逃げられるとは思ってないだろうけど、こっちはその上をいっちゃうもんね。逃がさないよー♪」
「うごごごごー!!?」
理緒が先手を取って、集中砲火で一隻また一隻確実に移動経路を沈めていく。沈みたいのはこっちであるがな! とピサロ将軍はハイライトの消えた瞳で、沈む黄金帆船を見送っていくしかない。
「集え! 黄金艦隊よ!」
大きく数を減らされた、だからこそピサロ将軍は黄金艦隊を密集させる。確実にこちらが守り、艦隊の砲撃で反撃する――そう立て直そうとしたのだ。
「どう言う速度よあれ……ったく、仕方ないか――コード・ハイペリア」
紅葉の重殺界(グラビトンテリトリー)が、展開される。その効果は一定速度以上の速さを殺すもの――だからこそ、ピサロ将軍には効いた。
「ぐ、お――!?」
そこへすかさず紅葉が六尺棒を投擲する! ピサロ将軍は宝剣で間一髪受け止めるが、大きく空中で弾かれた。
「ピサロ本人よりも、艦隊封じを主軸に行動といこうか」
ピサロが弾かれ、守りが届かなくなった帆船を、レナは試作三号型破城剛剣で近づき、ナイフとブレードで切り刻み、撃ち落としていく――そして、ナミルが次々に黄金艦隊をマーキングしていった。
「逃げるなデスにゃー! 剣も背中のも船も全部ナミルのにするにゃ!」
「盗人猛々しい!!」
盛大なブーメランを投げながら、ピサロ将軍が叫ぶ。多くの黄金艦隊を失い、もはや足場は少ない――だというのに、ヴィクティムは容赦しない。
「さて、反撃のお時間だ──『Conquer』」
Attack Program『Conquer』(バクエンタズサエシセイフクシャ)――ヴィクティムが繰り出す盛大な爆撃に、黄金帆船達は沈んでいく。もはや、ピサロ将軍には涙はなかった。虚無、そう虚無である。
「跳ぶ先が無くなってきたろ……そろそろお前を仕留める」
「ははははは! ふざけろ!!」
ピサロ将軍が、ケチュアの宝剣を振るう。まばゆい斬撃、それはリーヴァルディの限定解放・血の魔線(リミテッド・ブラッドワイアード)による不可視の血糸が操るソレに阻まれた。
――ようするに、黄金帆船を複数まとめ上げたハンマーで、である。
「――!?」
「……あまり優雅な方法では無いけど、いずれにせよ、これで足場になる船は無くなった」
帆船で殴打され、ピサロ将軍が吹き飛ばされる。ただ残された一隻、その上に転がり落ちたピサロ将軍に、追ってきたヘスティアが問うた。
「さぁ、『邪剣』ピサロもっと艦隊(お宝)を出しなさい!!」
「逆さに振っても鼻血も出ないわ!?」
「そう、ならこれも沈めましょうかね」
ヘスティアは、当然の帰結と言いたげに言い捨て、プチヘス部隊による弾幕で最後の黄金帆船を沈めようと乱れ撃つ!
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!? 鬼か、悪魔か!?」
「どうせ、略奪したものでしょうが!」
ヒュオン! とヴィヴの呪詛入り縄分銅【オロチ】がピサロ将軍の右腕を絡み取る。幽霊達が船底に穴を開けたため、プチヘス部隊の弾幕と合わさって沈んでいく黄金帆船の中、ピサロ将軍が叫んだ。
「一生懸命、略奪したのだぞ!?」
その叫びに、同情する者などいない――怒りを抱くものこそ、いれど。
「アハハハハハハハ!さぁ、来たれ来たれ_____!その狂気と共に我が意を示せ!」
謡の哄笑が響き渡り、昏闇の世界より覗きし悪意(インサマリス)によって中空を裂いて覗く渾沌色の瞳がピサロ将軍を見下ろす。呻いたピサロ将軍は、それでもなお止まらない。
「まだ、まだ――略奪して、また溜めて――」
「我ジャガーにして煙吐く鏡、テスカトリポカにしてケツァルペトラトルたる者! 民と共に在った嘗ての妾の猛き力、目に焼き付けるが良い!」
そこへ、ヨナルデが第一之太陽再臨(ナウイオセロトル)によってジャガーのごとく駆け出した。黄金帆船を投擲、そのままピサロを捉えると吹き飛ばし――。
「まだ、りゃく、だ――!!」
その黄金帆船ごと、ヨナルデの黒曜石の斧がピサロ将軍を両断した……。
●ロマンは海に
「サルベージしないとな……忙しくなりそうだ」
「黄金もったいないものね」
ヴィヴとヘスティアは、沈んだ黄金艦隊を海面越しに見下ろす。まさに、黄金の海底がそこにはあった。
かつて、大航海時代。人々は黄金に魅入られ、新天地を目指したという。その者達を人々は、コンキスタドールと呼んだ。
その是非は、もはや過去に問われるべきものだ。しかし、一部の黄金はロマンと共にこのグリードオーシャンに眠る事とになる。
侵略者の海に、侵略の糧が沈む――盛大なロマンと皮肉が、そこにはあった……。
大成功
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