羅針盤戦争〜おいでよ水着コンテス島
「緋色のメリーが再びコンテス島に現れた」
諦めの悪い奴だ、と言を添えるは枢囹院・帷(麗し白薔薇・f00445)。
漸う集まる猟兵との間に溜息を置いた彼女は、改めて説明して、
「コンキスタドールの賞金稼ぎ『メリー・バーミリオン』は、お宝目当てに大海を巡り、儲け事から愉快な事まで、首を突っ込んでは暴れ散らすじゃじゃ馬だ」
自身の帆船を持ち、大人数の船員を抱えながら大海を往く女海賊。
これまで秘境に隠された財宝などを狙って大航海していたメリーは、羅針盤戦争でグリードオーシャンが慌しくなった今、賞金稼ぎとして動き出した。
「何せ今や君達には、莫大な懸賞金が掛けられているものな」
猟兵は現在もコンキスタドールによって賞金を懸け続けられている。
広い海、数多の島で目覚ましい戦功を上げる猟兵を危険視したコンキスタドール達は、猟兵が活躍する度に賞金を吊り上げているが、それはメリーにとって喜ばしい事。
彼女は猟兵狩りをする事で、この戦争中に大金を手に入れようとしており、猟兵全員の賞金を日々把握しているというのだから、その執着の程は本物だろう。
ここで帷は緋色の瞳は鋭く輝かせ、
「メリーは数日前、コンテス島で君達と対峙し、あえなく敗北した訳だが、どういう訳か再びこの島を襲おうとしている」
標的はまたも水着コンテス島――。
改めて説明すると、其はキマイラフューチャーから落ちてきたと思われる島の一つで、どんな物でもゴージャスに登場させる“東西南北中央キラキラ☆せり上がり装置”で盛り上がるリゾートアイランドだ。
前回の敗戦の記憶は骸の海に浄われて失われていようが、愉快な事が好きな彼女ゆえ、この島の賑々しさに惹かれて再来するのかもしれない。
とにかく、島の住民を巻き込んでは危険なので、実際に戦うのはメリーの海賊船。
猟兵は島に迫り来るガレオン船に乗り込んで戦う事になるだろう。
「船上戦は向こうが有利だろうが、何、君達だってきっと巧く立ち回れる」
彼女が率いる船員も戦闘員となり争う訳だが、有利な筈のメリー陣営にも弱点がある。
メリーは猟兵全員の賞金を把握しており、賞金首を見ると欲を隠せず隙ができるので、この好機に乗じてやっつけてしまおう。
かくして説明を終えた帷は、繊麗の指をぱちんと鳴らし、
「何度、襲来しようが同じ事。賞金額に示される君達の強さを見せつけてやってくれ」
と、花脣に微笑を湛えるのだった。
夕狩こあら
オープニングをご覧下さりありがとうございます。
はじめまして、または、こんにちは。
夕狩(ユーカリ)こあらと申します。
このシナリオは、『羅針盤戦争』における賞金稼ぎ「メリー・バーミリオン」の襲撃に対抗して戦う、一章のみで完結するボス戦シナリオ(難易度:普通)です。
●戦場の情報
キマイラフューチャーから落ちて来たと思われる島、「水着コンテス島」。
目の前に美しい海が広がる白い砂浜に会場が設営されており、猟兵は“どんな物でもゴージャスに登場させる全方向照明せり上がり装置”から登場します。
メリーが目を奪われた隙に海賊船に乗り込み、手下諸共やっつけましょう!
●敵の情報:メリー・バーミリオン
数多の海を駆け抜けて、迫る危険に魅惑のお宝。
そいつは全て私んモンだ、文句があるならかかって来な!
儲け事から愉快な事まで、首を突っ込み暴れて散らす。
誰が呼んだか“緋色のメリー”、その目はお宝を見逃さない!
●プレイングボーナス『賞金首になっている』
このシナリオフレームには、特別な「プレイングボーナス」があります。
これに基づく行動をすると、戦闘が有利になります。
ご自身が賞金首になっているかどうかは、賞金首一覧にてctrl+F(command+F)で名前を検索できます。
●リプレイ描写について
フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や呼び方をお書き下さい。
団体様は【グループ名】を冒頭に記載願います。シナリオ全体の参加者様の人数により一括のリプレイとなり、個別での描写が叶わない場合がございます。
また、このシナリオに導入の文章はございません。
●プレイングと採用について
早期完結を目指し、10名程度の採用とさせて頂きます。
コンテス島は今回が最後で、次作の予定はありません。
舞台はキマイラフューチャー同様にキマイラ等の島民が居ますが、プレイング冒頭に「🌴」を記して頂けましたら、避難が完了して観客となった万全の状態で描写致します。文字数の節約にご活用下さい。
水着はイェーガーカードを指定するか、新作をプレイングでお書き下さい。
以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
第1章 ボス戦
『メリー・バーミリオン』
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POW : 野郎共、仕事の時間だ!
レベル×1体の【海賊船団員】を召喚する。[海賊船団員]は【したっぱ】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : お宝発見アイ〜伝説の海賊を添えて〜
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【大海賊の霊】が出現してそれを180秒封じる。
WIZ : 大逆転! 元の木阿弥大津波
自身の【サーベル】から、戦場の仲間が受けた【屈辱の数】に比例した威力と攻撃範囲の【津波】を放つ。
イラスト:和狸56
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「十六夜・巴」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
神海・こころ
黒ビキニにナイスバディを包み込み
キャプテンコートを肩にかけて登場だよ
サービスポーズで存在感をアピール
キラッ★
水着コンテスに武器なんて無粋だよね♪
今回は〜この拳相手してあげる♪
凸してくる下っぱ海賊たち
わざとらしく悲鳴を上げるアタシ
助けてーな~んて
よいしょ♪修羅殴殺❤
メキョッ!?ドゴーーーーンッ!!!
しばらくして響く
野太い悲鳴
うーん?ぷらぷら
やっぱ拳だと威力イマイチかな?
いやいや、地面にクレーターー出来てるぞどこの強化系能力者だお前は
え〜?まだ準備運動だよ?
ね〜そう思うよね?アタシと遊ぼうよ♪
思いっきり殴って周り
失神した下っぱの足を掴んではジャイアンスイングをかましたり
好き勝手暴れます
ラモート・レーパー
「メリーの水着も見たくはないかー!」
お姉さんの姿で挑む。大人らしいセクシーな黒の水着
島民、メリーの団員に対してUCを発動。メリー本人には同調圧力で着替えさせる。カトラスは水着と関係ないので没収です。水着はなるべくメリーが恥じらうやつ
あとは肉弾戦で攻める。締め技などをお見舞いし、お互いに水着がズレて見えたりするようにする
神代・セシル
🌴
白衣水着で
本来はこのような事は興味ありませんが、仕事のためまら仕方ないです。
普通に名前が長い装置で登場します。別に過度なアピールは必要がないと思います。
指輪型発生器Starlit Shieldに魔力を込んでを最大出力。眩しい恒星の光を用いて、視線を妨げる。空中浮遊でメリー海賊船の近くに行きます。
UCを発動。雷属性の魔法と津波を合成し、メリーさん達をビリビリさせまする。また氷の津波を放ち、凍結させます。
覚悟、しましたか?メリーさん。
緋神・美麗
🌴
アドリブ・絡み歓迎
なんというか、こっちの船長と同じ匂いがするわねぇ。まぁ、同じ海賊同士、お宝の奪い合いもよくある事よね。全力で倒してお宝を頂くわよ。
「久しぶりに海賊の時間ね。せいぜい暴れさせてもらおうかしら。」
水着は水着イェーガーカード2020
賞金首リストの張り紙を持って登場し
「私の賞金額は20100Gよ!」と大きな声で宣言する
メリーが目を奪われたらUC【雷天使降臨】を使用して飛翔し、上空から指定UCでメリーと船を爆撃する
メリーを倒して船を撃沈させたら念動力でお宝を回収する
「まぁまぁ溜め込んでたわねぇ。これだから海賊の時間はやめられないわねぇ」
メフィス・フェイスレス
🌴
水着:去年のやつ
マキフュのノリって何処にいってもかわんないのね
海に潜っていたと思われる濡れ姿で魚くわえて登場
事前に海中に機雷として配置した【微塵】の「爆撃」で船を足止めし
その後海中・海上から甲板や船内に【飢渇】の群れを侵入させ敵を襲撃させる
私が魚喰うためだけに海に潜ってたと思ってる?
必要な仕込みはとっくに済ませてあるのよ
ほら、下や目の前ばっかり見てるから空への注意がおざなりよ?
敵が気を取られている隙にUCで巨大な砲を形成
島から上空に向けて「骨身」「微塵」弾を曲射迫撃し敵船に降り注がせる
ていうかパシャパシャフラッシュたいてんじゃないわよ!
射線が定まらないでしょ!(観客に照れながらキレる)
彩波・いちご
🌴
水着コンテストですか
私が出てもいいものか…いいですよねっ、一応賞金首ですしっ
水着は三段フリルのセパレート、髪型アレンジ含めてとっても可愛くできたと思ってます!(だが男だ)
※水着JC参照
「こんにちは皆さん、いちごちゃんでーーっす☆」
ここで【幻想よりきたる魔法の演者】を発動!
魔法で生み出した輝く星や音符のオブジェクトが、私の周りで乱舞してステージを彩ってくれますよっ
これでも私は、地元温泉街のローカルですが、アイドルです!
ステージパフォーマンスならお任せください!
魔法の光の中、1曲明るいアイドルソングを披露しますよ♪
ちなみにこのオブジェクトは魔法なので
メリーさんにぶつけたら攻撃にもなるんですよっ
ハルア・ガーラント
🌴JCの水着姿
え、っと、その
恥ずかしい……です
装置下から見た観客の多さに茹でだこになります視界がぐらつきます
翼で全身隠しながら登場していいですか
要アピールだったら恥ずかしさを[吹き飛ばし]て可愛いポーズを取る「努力」を
海風に乗り[滑空]して船へ
樽やマスト等の物陰に潜みつつ〈咎人の鎖〉や[念動力]で動かした船のロープ等で手下達を[捕縛]しましょう
そのまま海へぽいするか味方が攻撃するところへ投げ込みます
頭に留まらせた〈パンナ〉にも敵を齧って貰います
津波の気配を[第六感]で感知したらUC発動
味方が水の影響を受けない環境へ
憎めない方だけど敵は敵
ごめんねと心の中で謝りながら〈銀曜銃〉から魔弾を放ちます
ガイ・アンカー
🌴アドリブ◎
水着JC:id=101965
こりゃまた面白そうだな!
水着は持ってるからそれを着て行こうか
ついでに宝で派手に魅せよう
金銀…ではないが
海に生きるもんとして、海の宝といやあこいつらだってそうだろう?
海の幸。巨大魚
そいつらを入れた大網を担いで堂々と
豪快に笑う
さっき獲ってきた大物さ!中々派手だろ
目を引かせられたらボトルから船を出現させ敵船へ
(魚は観客にやろう、貰っとけ新鮮だ!)
鎖を伸ばし乗り込めば錨で切り込み
団員共を薙ぎ払いぶっ飛ばす
さあ、来てやったぞ。賞金稼ぎさんよ!
俺自身が餌だ
存在を見せることで意識を俺に向かせてやる
食いついてきたら…砲門を全方向に展開
【波濤の号砲】
一網打尽を狙おうか!
劉・涼鈴
🌴
水着コンテストだー!
私のは赤くてカッコいいヤツ!!
キマイラフューチャーによくある装置だね!
装置の上で【ダンス】【パフォーマンス】! いぇーい!!
【ゆーわく】しちゃうぞ!
海賊船に飛び込んで、【怪力】で覇王方天戟をぶん回して【なぎ払い】!
殴り飛ばして蹴っ飛ばして大暴れだ!
したっぱが私に勝てるワケないじゃーん!
おしーりぺんぺん(挑発)
あー、サーベルが当たったら水着が取れちゃうかもなー!
水着取りに来たのは【グラップル】で関節キメてぶん投げる!
最後は【気合い】を込めて練り上げた【覇気】を叩き付ける!
【劉家奥義・獅吼爆裂覇】!!
まとめてぶっ飛べー!!
エドゥアルト・ルーデル
🌴
去年の水着を着てきたでござる…が拙者の事はどうでもよろしい!
拙者はね、女の子の水着を見に来たんだッ!!
何やらポージングキメつつマイクを持ってステージへせり上がる!
司会のキマイラがいたら強襲!代われ代われ!拙者が司会だ!!女性陣の紹介や見所を観客にガンガンアッピルですぞ!!野郎の水着はどうでもいい
テンション上がってきた!そのまま船へのりこめー
むっ!いいねェ…と鋭い視線を送ってメリーちゃんの周りを【グラビティ】の爆発でどんがどんが
爆風できゃっ!とかそういう可愛い悲鳴が聞きてぇんだ!あと爆風でモンローポーズもさせてぇ!
…いけねっ興奮の余り直撃させた
まあ楽しめたからいっか!
東西南北中央キラキラ✨せり上がり装置――。
其は舞台中央に繰り抜かれた部分より昇降機によって浮上する物体の全てを、全方位に設置された万彩のLED照明にて出力全開、全身全力で輝かせる「迫装置」で、この装置から登場するものなら、仮令(たとえ)賞味期限の切れたカンパンでも、三ツ星シェフのコース料理に見えてしまう、圧倒的な演出効果がある。
そんな装置から猟兵が登場したら如何だろう。
憧れのアイドルやヒーローが、もしか世界に君臨するキングにも視えようか。
数日前に島民がコンテストの様子をSNSに投稿したなら、情報は瞬く間に拡散され、またも全島民が眞白のビーチに集まり、スマホを手にお祭り騒ぎ。
「わぁい、また猟兵さんが水着で来てくれるよ!」
「楽しいな、楽しいな♪」
一方、島の近海からは、この島を襲撃せんとする女海賊『メリー・バーミリオン』が、猟兵達の登場を今か今かと待ち侘びている。
『事件のある所に猟兵ありってね! アイツらは絶対ここに現れるよ!』
『イエスマム。この島でがっぽり稼ぐであります』
軈てドラムロールが鳴り響き、全ての瞳が舞台に集められる。
ステージ上で七彩の光を躍らせていた投光器が中央で光条を結ぶと、光と影を際立てた奈落から幾人かの猟兵が現れ、碧落を押し上げんばかり歓聲に迎えられた。
「コンテス島の皆さん、はじめまして! 汐風が心地好いね!」
キラッ★ と零れる笑顔が何と眩しかろう。
キャプテンコートを肩にかけ、颯爽と現れた神海・こころ(心海に沈む・f31901)は、クロスホルターがセクシーな黒のビキニに、匂い立つナイスバディを包み込み、サービスポーズで島民を魅了する。
「おおぉおおー。大胆な水着と海賊ルックがベストマッチング!!」
「元気いっぱいのポニテがイイネ👍」
こころの神々しい美しさに大喜びする島民たち。
時に海賊船の甲板から彼女の登場を眺めたメリー海賊團は挙って身を乗り出して、
『よーし、きたきた26,100G! ゲットできたら大儲けだよ~!』
『イエスマム。こころチャンを絶対ゲットしたいであります』
と、手をわきわきとさせている。
「本来はこのような事は興味ありませんが、仕事の為なら仕方ないです」
モノクル越しに赫緋の麗瞳を煌々と、大歓声の会場を見渡す。
透き通る美肌に黒いビキニが映えよう、神代・セシル(夜を日に継ぐ・f28562)は、我が麗姿を包む白衣を潮風に搖らしつつ、いつものポーカーフェイスで舞台に現れた。
過度なアピールをせずとも、島の住民はノリノリでセシルを歓迎し、
「知的な白衣とセクシーな黒い水着の取り合わせ……とってもイイネ👍」
「ウェーイ! ぺたん娘の水着姿も最高に素敵だネ!」
と、バイヴスMAX、会場にウェーブを走らせる。
而して島民が作る歓喜の波を海賊船から捉えたメリー達も、愈々盛り上がってきて、
『フフフ、作戰成功……! 23,700Gが舞台の上でキラキラ光ってるよ……!』
『イエスマム。ぺたん娘が眩しくて尊いであります』
なぁんて、其々が昂奮を抑えきれない様子。
燦然の中から登場した緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)は實に大胆なものだ。
黒ドットと白のバイカラーがお洒落なビキニを着た彼女は、降り注ぐ光に白磁の肌膚を輝かせながら、大きな聲で宣言する。
「隠す事なんてないわ。私の賞金額は20,100Gよ!」
アンクレットとお揃いのブレスレットが煌く手には、『WANTED』と書かれた手配書が添えられ、その豪快な額に島民のテンションも爆アゲとなる。
「ひゃー、20,100G!! あの娘ったらとんでもない懸賞金だヨ!」
「美人でワルだなんて、とことんカッコイイんだなぁ!!」
美麗の堂々たる姿に惚れ惚れする観客たち。
一方、彼女が掲げた手配書を双眼鏡で聢と捉えたメリーと配下の海賊達はと言うと、
『間違いない、20,100G……! こうして生で見るとゾクゾクしちゃうねぇ!』
『イエスマム。美麗ちゃんの美しさにゾクゾクが止まらないであります』
と、親分と子分の間で捉え方がちょっと違うようだ。
「――扨て、ここはお姉さんっぽくいこう」
姿影を自在に變えられるラモート・レーパー(生きた概念・f03606)は、頭身を高めにスレンダーな肉体を黒の水着で引き立て、オトナの女の魅力を溢れさせる。
そのセクシーなデザインには、島民がピーピーを指笛を鳴らし、
「大胆なデザインも堂々着こなす笑顔がイイネ👍」
「うんうん、白雪の肌膚にビビッドな黒がよく似合ってる!」
一際の賑いを双眼鏡に追ったメリーと配下の海賊達も彼女から目が離せない。
『おっと、15,000G発見だよ! これはヨダレが出ちゃうねぇ!』
『イエスマム。自分達も垂涎を隠しきれないであります!』
一人は瞳をキラキラ、残る全員はギラギラ。
極上のお宝を前に、果たして彼等は全力を出せるのだろうか。
自分が参加しても良いか少し迷ったが、一應は賞金首だからと勇気の一歩を踏み出した彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)は、全方向から照明を浴びて元気いっぱい狐尾をフリフリ、柔かい微笑に会場を華やがせる。
「こんにちは皆さん、いちごちゃんでーーっす☆」
可憐なリボンを添えた三段フリルのセパレートを汐風に搖らし、空色のツインテールも輕やかに舞って艶を彈く――目も冴える美貌の持ち主は、なんと、男だ!!
然し島の住民はボーイだろうがガールだろうが、老いも若きもノリで楽しむ文化にて、
「わーっ、かわいー!!」
「いちごちゃん、こっち向いてー!!」
と、やんややんやの大賑わい。
一方、いちごを巨大液晶画面で見たメリーと手下達はと言うと、
『ふっふっふ、4,200Gがやってきたね! 勿論、アタシは把握してるよ!』
『イエスマム。この手配書の可愛らしさは見逃せないであります』
と、其々の目線で虎視眈々と伺っている様子。
「こりゃまた面白そうな事をやってるな!」
ド派手な舞台と装置が壯快(おもしろ)いと、豪快な笑みを湛えてやってきた精悍の男――ガイ・アンカー(Weigh Anchor!・f26515)こそド派手で大胆だろう。
彼は近海で獲れた超巨大ラボウテッドラスを大網に入れて堂々と、その埒外のサイズに響動(どよ)めく観客に塊麗の微笑を注いだ。
海色の佳瞳は光を浴びるや玲瓏の彩を際立たせ、
「海に生きるもんとして、海の宝といやあこいつらだってそうだろう?」
「なっなな……なんちゅう巨きさじゃー!!」
「さっき獲ってきた大物さ! 中々派手だろ」
「おぉぉおおスゲーよ、こんな巨大で綺麗なベラ種は見たコトねーよ……!!」
金銀に勝るお宝。海の幸。
まさかの銛猟かと島民の瞳が皿のように丸くなる一方、遠目にも判然る獲物の大きさに同じく喫驚の表情を揃えたメリー達は、あんぐりと口を開けて、
『ウソだろ……7,800Gにもなると、巨大魚を銛で一突きかい……!!』
『イエスマム。更に珍しい貝類まであんなに採って……アイツの腕はガチであります』
と、釣果という目に視える強さにコッソリ震え上がる。
「いやぁ、盛り上がって来ましたねぇ! 続いての登場は……」
イルカのフロアディレクターがキューを出し、アシカの司会が進行する。
目下、水着コンテス島で数日ぶりに開催された「みんなだいすき★猟兵水着ショー」はテンションMAX、バイヴスMAXとなっていたが、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)の登場に、会場がザワ……と波立った。
「水着……水着なのかな……フロッグマン(戦闘潜水員)っぽい人が現れたよ?」
「何処かで軍事演習してた人が、上陸する島を間違えちゃったような空気感だネ!」
吸着機雷を持った男に島民が首を傾げるが、エドゥアルト自身も己のマリンスタイルを披露しに来た訳では無い。
「代われ代われ! 拙者が司会だ!!」
「えっ」
彼は司会のキマイラを漆黒の烱眼に捉えるやマイクを奪取! アシカの代わりに照明の中央に立つと、小指を立てて持ったマイクを天に掲げ、突き出した腰を捻って吊り上げる謎のポーズをキメた。
「さぁこれからは拙者が女性陣の紹介や見所をガンガンアッピルしますぞ!!」
これにはアシカもイルカも喫驚くが、観客は大盛り上がり!
そしてこのおっさん、喋り方は胡散臭いが卓抜のMC力で舞台を回し始めた!
而して聲を張れば驚くほどイケボなエドゥアルトに紹介されるは、夏色の美女!
迷彩柄のチューブトップにアースカラーのホットパンツを合わせた、エネルギッシュなメフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)ですぞ!
「キマんラフューチャーんノリって、何処にンってもかわンないのね」
何を咥えて喋っているのかと思えば、近海で獲れるゴールデンオオニジマスとな!
先刻まで海に潜っていたと思しき濡れ姿は、髪の毛先からグラディエーターサンダルに包まれた瑞々しい脚まで漏れなく煌めかせ、頗る尊く!! さぁ拝め、拝め!!
エドゥアルトがマイクを持った手と逆の手に観客を煽れば、彼等も湧きに湧いて、
「やっぱ猟兵さんゴイスー! ついで猟のレベルじゃないお魚だヨー!」
「おめめを飾るおさかなフレームも激カワでイイネ👍」
而してこの様子を海賊船で見ていたメリー達も、漸う熱狂に煽られていく。
『へぇ、11,400Gともなれば大物を咥えてくる余裕があるモンだね……!』
『イエスマム。お魚も女の子もピチピチで、ぎゅんぎゅん漲るであります』
――少々、感性に差があるようだが。
次いでエドゥアルトに「大丈夫ですぞー」とか「何も取って喰いはしませんぞー」とか宥められるように登場したのは、ハルア・ガーラント(宵啼鳥・f23517)……かな?
大きな白翼に隠れるように現れた佳人は、装置下から見た観客の多さに既に茹でだこになっていた位だ。視界をぐらつかせながら昇降機に押し上げられた彼女は、光溢れる舞台に立つと、やっとの想いで佳聲を滑らせた。
「え、っと、その……恥ずかしい……です」
チラと覗いた新緑の麗瞳、灰櫻色の艶髪、そして透き通るような月下美人!
この楚々たる仕草も愛らしい……わぁい、やっぱりガーラント氏ですぞ!!
MCと観客に「何かアピールを」とリクエストされたハルアは、そうっと双翼を広げてふんわり微笑を注ぐ――その慎ましい努力に、観客の胸は締められっぱなしですぞ!!
「お花畑を広げたような水着が可愛らしくてイイネ👍」
「春風のようなグリーンのおリボンが素敵だヨ!」
何だか微笑ましい空気になった会場を、メリーと配下達はギラギラとガン見して、
『あんなホワホワした娘でも5,100G……猟兵って連中は全く油断ならないね!』
『イエスマム。あんな可愛い顔でお胸が大きめなハルアちゃんは油断大敵であります』
なぁんて、要注意人物としてマークし始めたようだ。
「いえーい!! 常夏の島で水着コンテストだー!!」
時に劉・涼鈴(豪拳猛蹴・f08865)は元氣溌溂とステージに現われ、手足に添えた鈴をリン、シャンと輕やかに鳴らしながら、華麗にダンスを披露する。
緋色の麗瞳を映したような和柄のビキニが粋を感じさせよう、
「見て! 私のは赤くてカッコいいヤツ!! いいでしょ!!」
片脚を上げてポーズ! 振り向きざまに笑顔でウインク!
全方向から光を浴びて花顔を輝かせる涼鈴に、島民もリズムに合わせて拍手を送る。
「イエーイ、雪のように白いお肌によく似合っててイイネー👍」
「ナイスパフォーマンス! みんな大盛り上がりだヨー!!」
万雷の拍手を拾ったメリーと配下の海賊も、ついつい躰を動かして、
『ふんふ~ん♪ 900Gのアイツも貰ったよ~♪』
『イエスマム♪ 涼鈴の笑顔は我々だけのものにするであります~♪』
と、なんかもうノリノリの様子。
†
斯くして猟兵達(女の子のみ。野郎はどうでもいい)の水着姿をガンガンアッピルしたエドゥアルトはテンションいとあがりけるか、マイクを司会にぽいんちょと投げ渡すと、その勢いで水面を直走り、海賊船メリー號によっこらせと乗り込んだ!
『アイツ等が来るよ! 野郎共ッ、やっちまいな!!』
『イエスマム。懸賞金がっぽりであります』
吃ッと此方を睨め据える女海賊メリー・バーミリオンの勇ましきこと美しきこと。
「むっ! いいねェ……」
美女の雄姿を鋭利く捉えたエドゥアルトは、スッと烱眼を細めるや【サイコフォース】――「グラビティ」と呼ばれる謎の力を撃ち出し、彼女の周囲に爆発を引き起こした!
「こちとら爆風できゃっ! とかそういう可愛い悲鳴が聞きてぇんだ!」
『何を……ッ! きゃーっ!』
「そうそれ!」
爆発は突如発生しては、どんがどんがと凄まじい衝撃を放って船を破壊し、護衛に回る船員をブッ飛ばし! 野郎共はどうでもいいと、その威力に一縷と慈悲は無い!
「あと爆風でモンローポーズもさせてぇ! よしさせる!」
『いやーっ!! エッチー!!』
「なんとでも言うが宜しい」
圧倒的風圧にマイクロミニなフリルスカートを捲れ上がらせるエドゥアルト。
必死で裾を抑えるメリーに、乙女らしい恥じらいの表情が見えて来た事に興奮したか、ふと手元が狂って爆風はメリーに直撃ッ!!
「あっいけねっ」
『きゃぁぁあっ』
ふうわと浮き上がった花車な躯は、その儘、甲板の向こうまで吹き飛んでいく!
そんな心算(つもり)は無かったのだが、つい膝を屈めて仰角気味にメリーを観察したエドゥアルトは、陶然と破顔して、
「……まあ楽しめたからいっか!」
――“視えた”のだろうか。
とても幸せそうな恵比須顔だった。
『ッッ、よくもお頭を船の舳先まで吹き飛ばしたなッ!!』
侮辱を受けたと、怒りを露わに突撃するメリーの手下達。
其々の武器を手に猛進する海賊達を眼路いっぱいに映したこころは、華奢な肩に掛けたキャプテンコートをぎゅっと引き寄せ、可愛い聲で助けを求めた。
「きゃーっ! こっち来ないでー! 誰か助けてー!」
『ぐへへ、覚悟しなココロちゃん!!』
「――なぁんてね」
野郎共が鼻の下を伸ばした、正に須臾、「メキョッ」と歪な音が染む。
而してドゴーーーーンッ! と大砲を撃ったような衝撃が船を揺らしたのは、こころが【修羅殴殺】――厖大な魔力と怪力の限りを籠めた渾身の一撃を叩き付けたからだ。
乙女の拳と侮る勿れ、其の拳閃は修羅の如く仁王の如く、諸有る防御を貫通する!
甲板から垂直に打ち上げられた海賊は、蒼穹に野太い悲鳴を響かせ、その高度を仰いだこころが、拳を開いてぷらぷらとさせた。
「うーん? やっぱ拳だと威力イマイチかな?」
普段は黄金のバットや黄金のヨーヨーなど、硬くて重量のある得物で威力を乗算させているのだが、水着コンテストでは無粋かと、拳で相手すると決めていたのだ。
故に佳人は繊麗の拳ひとつ、華奢な身体ひとつで立ち回り、
「さぁ、アタシと遊ぼうよ♪」
『遊……ッ、いやいや、甲板どっかん割れてるぞどこの強化系能力者だお前は!!』
「え〜? まだ準備運動だよ? ね〜そう思うよね?」
『ええっ!? えっ、やっ、あの……えぇと…………はい』
然う、暴力は人を正直にさせる。
合点(こっくり)と頷く海賊達に満面の笑みを浮かべたこころは、お空の旅から帰った手下の足を掴んでジャイアンスイングを炸裂し、拳をブチかましては再び空へ打ち上げ、天衣無縫の無双を以て海賊達を恐怖に突き堕とすのだった。
賞金首がメリーに負けぬじゃじゃ馬であるとは涼鈴も大いに知らしめよう。
「ふっふーん、したっぱが私に勝てるワケないじゃーん! おしーりぺんぺん」
『く……っ、可愛いお尻を見せおってからに!! 望み通りぺんぺんしちゃうぞ!』
「でっきるかなっ!」
花顔雪膚は陽光に煌めく水飛沫を浴びて亮るく眩しく。
繊手に握れる『覇王方天戟』は鋭鋩に光を彈きつつ、次々と襲い掛かる手下達を豪快に斬り伏せ、鋭利く突き差し、猛然と薙ぎ払い!! 無双の力に組み伏せる!!
而して血滴を浴びた方天戟は、今度は軸となって涼鈴の壮絶キックに遠心力を乗算し、仲間の骸を踏み越えて突進する海賊達を吹ッ飛ばした!!
「お空に飛んでけー!」
『のわーっ!』
ちっちゃくて可愛いのに、なんと強靭たる事か。
然も此度は水着姿で防禦力もなさそうなのに、カトラスの鋩をチョイと引っ掛けたなら「ぽろん」といきそうな程だと言うのに、嗚呼、その蝶結びを引っ張ってみたいなぁ!
『こうなったら……水着を取って戰力を削ぐ!!』
『俺達は悪い海賊だから、涼鈴ちゃんに恥ずかしい思いをさせるぞ!!』
だが然し、水着を狙う不埒な輩は、伸び出る腕の関節をキメられながら海に投げられ、我が身が見事な放物線を描く最中に、涼鈴の圧倒的武技を拝む事となる。
銀の艶を彈くポニーテールが躍った瞬間、少女の佳顔は一際耀いて、
「まとめてぶっ飛んでもらうよー!!」
絶技斉放ッ、【劉家奥義・獅吼爆裂覇】――ッッ!!
物理的破壊力を得るまで練り上げられた闘氣が鋭利い發氣によって掌より放たれると、其は赫光の槍となって甲板を疾り、海賊達を続々とブチ抜いて空へと打ち上げた!!
『野郎共、何やってんだい! あいつら全員お縄にかけちまいな!』
メリーが舳先から鋭く命令するが、可怪しい、「イエスマム」の返事が無い。
其もその筈、この時ラモートは彼女の號令に被せて“超常の異能”を発動しており、
「野郎共! メリーの水着も見たくはないかー!」
『んんんんンイエスッ!!』
音吐朗々、【胸に刺さる言葉】――!
水着コンテスト中だし、猟兵も水着だし、メリーも水着になったら良いんじゃない? なんて何気ない一言が島民と船員に突き刺さって、そうだよねって気持ちになる。自然とそんな空気になる。
『えっ、それが賞金首と賞金稼ぎの戰い……なのかなぁ……えっ本当? 本当に?』
同調圧力に屈し、差し出された水着を手に取ってしまうメリー。
ラモートはその儘、更衣室へと案内し、「かわいい」「似合ってる」とか何とか絆して、遂に自分より布面積が小さいセクシーなビキニを着せるに成功した。
「カトラスは水着と関係ないので没収です」
『えー』
手持ち無沙汰に、柔肌を隠して恥じらうメリー。
その隙に飛び掛かったラモートは肉彈戰! 次々と固め技や締め技などをお見舞いし、肉感溢れる組み合いで船員と観客を滾らせたッ!
「ふふふ、これ以上反らせれば水着がズレてしまいますよ……!」
『んぐぐぐ……うぐぐ……っ!!』
親分のピンチに、子分たちは……喝采(やんや)の大歓声!!
メリーは本気で彼等を叱りつけるまで、甲板をマットにその美しい躯を押さえつけられるのだった。
斯くして続々と海賊船に乗り込む猟兵と、彼等を迎撃する一味の船上戰が盛り上がりを見せる中、東西南北中央キラキラ✨ステージの熱氣も愈々最高潮となる。
「ここからは私の魔法のステージです! ――Object Stand-up!!」
観客を怖がらせる事無く、此度の海戰をエンターテインメントに昇華するはいちご。
地元温泉街のローカルアイドルとして活躍する麗人は、【幻想よりきたる魔法の演者】(マジカルイマジナリーオブジェクト)――繊麗の躯に満てる潤沢な魔力を一氣解放し、玲瓏と輝く星や輕快に彈む音符のオブジェクトを、煌めく五線譜に乗せて広げた!
宛如(まるで)夢の國に迎えられたような美しさに皆々が歓喜しよう、
「わぁ、キラキラ✨ステージがもっとキラキラ✨になったヨ!!」
「いちごちゃん、すごーい!! お衣装もピカピカ光ってるね!」
と、七彩變化するステージを樂しんでいる様子。
魔法の光の中で踊ったいちごは、ここでマイクを手に佳聲を澄み渡らせ、
「ステージパフォーマンスならお任せください! これから一曲、明るいアイドルソングを披露しますよ♪」
島の住民には天上の歌声で夢のひとときを。
而して海賊には、魔法で紡いだオブジェクトを次々飛ばして攻撃を仕掛ける――!!
『お頭ッ! 何かこっちに向かって飛んできます!!』
『ッッ、大砲かい?』
『いえっ! ……ほ……星です!!』
可愛らしい流星や音符がドスドスと海賊船の腹に叩いて搖らす!
次いで両者の間に架けられた虹を伝ってユニコーンが突貫する!
『何だい、この愛くるしい連中は!! サーベルでも斬れやしないじゃないか!』
『お頭ー! めっちゃ可愛いパンダに殴られたであります!!』
カワイイと侮る勿れ。
いちごが具現化したオブジェクト達は、容赦なく船と海賊に襲い掛かっては島の住民を喜ばせるのだった。
『お頭! 今回の賞金首はヤベー奴等ばっかりであります!!』
『ッッ私と私の手下をこんな屈辱に合わせて……後悔するよ!!』
手下達が騒ぎ立てる中、キリキリと怒りながら更衣室から出て来るメリー。
愛用のサーベルを携えた彼女は、その鋭鋩を蒼穹へと掲げると、凪を波濤(なみ)に、波濤を津波と變じて船を搖らし始める。
そして大いなる渦動は水柱となり、眞白の飛沫を螺旋と巻いて衝き上がり、
『海の悪魔に喰われちまいな!!』
間もなく其は猟兵の眼路いっぱいに襲(よ)せて迫った――ッ!!
「――大きな海のうねりが聽こえる」
逸早く波のさざめきを感知したハルアが、白翼を広げて空気を叩く。
汐風の層を滑るように空を翔けた佳人は、広げた両掌を上に“天獄”の祝福を受くと、【ヘヴンリーブレス】――淸けし聖光を湛えた純白の羽根を降り注ぎ、コンテス島一帯の海域を水の影響を受けぬ「祝福の地」に變えた。
『な、に……これは、どういう……ッ!?』
海面をせり上がる津波を止める訳では無い。
然し津波が仲間達に齎す悪影響は、メリー達が味わった屈辱は悉く無効化される。
「海が怒っているのではありません。あなたが海を怒らせているのです」
『ばっ……莫迦を言いな! 私は海だってモノにしてきた海賊だよッ!』
心火を燃やすメリーに尻を叩かれた手下達が、挙って彼女を摑まえようと動き出すが、翼あるハルアは颯然と風に乗って檣楼を縫い、帆布に隠れ、追い掛けてきた者達の背後に回り込むや『咎人の鎖』を自在に動かしてグルグルぐるぐる、支柱に巻き付ける。
次いで逃げた先では、翔けざまに摑んだロープを以て追手を樽に縛し、ゴロリゴロンと轉がして海へぽーい!
『ちょ、やめろ! 海って怖いんだぞう!!』
「それでは他の猟兵さんに身柄を預けます」
『ッアー!!』
海を拒絶んだ者は、仲間の下へぽーい! 更なる地獄へと送り出す!
これには堪らず海の男達も不平を口にして、
『ハルアちゃん優しい女の子でしょ! 露出を恥じらう乙女でしょ?? やめよう?』
「皆さん憎めない方だけど……敵は敵なので」
ネ、と木洩れ日のような美髪から是を囀ったのは、クルマサカオウムの『パンナ』。
愛らしくも頗る強靭な嘴を持つ美鳥は、海賊の帽子を蹴り飛ばすや、男達の頭を突いて齧って、愛くるしいお転婆を披露した。
『あだだだだだ!! ヤダ毛が抜けちゃうヤメテ止めて!!』
止めてと言われてパンナが飛び立ったのは、慈悲では無く死を置く為。
大きな羽音が過ぎ去った瞬間には、『銀曜銃』を構えたハルアが鋭利く銃声を響かせ、謝罪と訣別の籠められた魔彈が男の顳顬を撃ち抜いていた――。
時にして須臾。
海賊船メリー號が白く浮き立つ程の閃爍が降り注ぐ。
『……くっ、眩しい……ッ!!』
手に遮ったメリーには気付くまいが、その延長線上に位置取るはセシル。
「Starlit Shield最大出力。恒星ケラエノの光を今ここに再現します」
『――!!』
雪白の繊手を胸元から突き出し、細指に環したシールド発生器『Starlit Shield』に光を灯した佳人は、我が身に宿れる厖大な魔力を注ぎ込むと、明るく亮るく、燦然を射掛けて視線を妨げた。
『っっ……畜生!! 何も視え、ない……!!』
目も眩む赫燿の中、少女は踝跣に結えた『Stella Anklet』に玲瓏の光を帯と引きつつ、疾く宙空を翔けて魔法の短杖を一振り、メリーが引き起こした津波に雷属性を付した。
「海水もサーベルも、そして人体も、電気をよく通します」
『ッッ痛ァ!!』
其はサーベルを伝ってメリーの手をビリビリと痺れさせ、抗えぬ痛撃に不覚にも愛刀を落した隙、別なる津波が海面から隆々とせり上がる――ッ!
「属性と現象を結び、自然を支配します」
パキ……パキ……と音がする程、急激に冷やされる其は宛ら氷の巨壁の如く。
凍える脅威を背にしたセシルは、柳葉の眉ひとつ崩さず、靜かに、告げた。
「覚悟、しましたか? メリーさん」
『な、に――ッ』
閃雷洪濤、【Mastery of Nature】(マスタリィ)――!!
刻下、ガレオン船の帆柱まで波高を持ち上げた氷の津波が一氣に押し寄せ、圧倒的凍氣の波濤(なみ)に打たれたメリーと手下達は、カチンコチンに凍ってしまった!!
斯くしてメリー海賊團が時間を止めるうちに船内を巡るは美麗。
白磁の繊指をチョイチョイと、念動力で次々と宝箱を運び出していた彼女は、メリーの大冒険を證左(あかし)する宝箱の多さに、随分と気をよくしていた。
曰く、
「お宝を狙いに来た者は、自分のお宝が奪われる覚悟も持ち合わせていないと」
海賊同士ならお宝の奪い合いもよくある事。
茫漠の海でお宝を探して生きる姿といい、メリーに何処となく親近感を覚えた美麗は、寧ろ同じ穴の狢と言うべきか――彼女の宝箱を分捕って塊麗の微笑を零す。
「まぁまぁ溜め込んでたわねぇ。これだから海賊の時間はやめられないわねぇ」
ホクホクとした表情で宝箱を抱いた時だった。
『不届き者、発見であります!!』
「あっ」
乗組員に見つかった美麗は、【雷天使降臨】(モード・バラキエル)――背に雷の翼を生成するや素早く船内から脱出し、高く高く、眞白の帆布を潜って蒼穹に飛翔した!
『コラーッ、まてまてーい!! お宝を返せー!!』
「残念、これはもう私のお宝よ」
紫電を迸発(ほとばし)る光翼を羽搏かせた佳人は、両手いっぱいに抱えた宝箱の重みに咲みつつ、黄金の煌めきを湛える麗瞳に海賊船を組み敷く。
「――扨て、お宝も回収したり、せいぜい暴れさせてもらおうかしら」
其は訣別の一撃。
美麗は雷翼にありったけの魔力を注いで蒼白い稲妻を漲らせると、【超巨大電磁砲】(ハイパーメガレールキャノン)――ッ! 巨大な鉄塊を電磁加速して射出したッ!!
『うわぁぁあああっっ!!』
『船が壊れるうううう!!』
メインマストに掲揚された海賊旗をブチ抜き、次々帆布を引き裂いて墜下した砲撃は、遂に甲板から船底まで一直線――ズドンッと大きく穴を開けた!!
果して海賊船メリー號は海水の侵入を許し、沈没するか。
――否。
断じて否。
猟兵はそんな間緩(まだる)っこしい事は為ない。
「もう我慢しなくて良いわよ」
未だ「東西南北中央キラキラ✨ステージ」に居たメフィスが、光を浴びて艶めく花脣に冷然と頃合を告ぐ。
主命に從うは飢渇に喘ぐ眷属で、メフィスの躰から滲み出た飢餓衝動の塊は此度、機雷と變じて海中に配されていたが、其が好機に乗じて底無しの健啖を解放したのだ。
彼等は焦熱を爆ぜるや、骨身の破片や血潮を吐き出して船体を傷付け、凄まじい波動に船を搖らし、穴の開いた海賊船をどんどん破壊していく――!!
これには甲板を陸の如く歩く船員らも蹲踞(つく)ばうしかあるまい、
『ひぇぇえええっっ、氷山にでも衝突(ぶつ)かったか!?』
『莫迦を言うな、ここは島にも近い浅瀬だぞ!! そんな事は――ッ!』
海賊達は目を白黒させて狼狽えるが、然う、メフィスは魚を喰う為だけに海に潜った訳ではない。お魚くわえて可愛いネーと、島民を喜ばせたかった訳でも無い。
必要な仕込みは疾(とっく)に済ませてあったと、コンテス島から海賊船の動揺を眺め見た佳人は、ここに血液や背骨を變形して滑腔砲に――異形の砲筒を仰角に持ち上げた。
而して囁(つつや)く科白は残酷を滲ませ、
「ほら、下や目の前ばっかり見てるから。空への注意がおざなりよ?」
Salvo!! 【号砲が轟く】――ッッ!!
刻下、轟音を喊んで放たれた「骨身彈」及び「微塵彈」は、コンテス島から上空に向けて曲射迫撃――ッ!! 凄惨と爆ぜる飢獣が敵船に驟雨と降り注ぐ!!
『あああああ! 嗚呼嗚呼嗚呼!!』
『船首損傷、帆柱倒壊ッ、砲門……全滅……ッ!!』
反撃も叶わず火を上げる海賊船は、遠目にも瞭然ろう。
空気を伝い来る悲鳴を聽いた島民は、喝采(やんや)と喜んでスマホをパシャパシャ、一縷と穢れぬメフィスの英姿をフラッシュで輝かせる。
「ちょっと! チカチカして射線が定まらないでしょ!」
やめなさい、危ない、近寄らないと、観客にキレるメフィス。
然し彼等のスマホは、羨望の視線を注がれて照れる彼女の可愛らしい一面をちゃあんと🔴RECしてSNSに投稿しちゃうのだった。
『ごぶごぶ……っっ野郎共、最後の仕事をしな!! 新しい船を作るんだよ!!』
『がぼぼぼイエスマム。ここは一旦退却であります……!!』
今にも轉覆しそうな海賊船にしがみつき、メリーが手下達に命令する。
然れば操舵に回っていた船員達が一斉に工具を担いで造船に乗り出し、トンカンと釘を打ち始めた!
『ハァハァ……アイツ等なら直ぐにスクーナーくらい作ってみせるさ』
『イエスマム。ほら、そんな事言ってる間に船が出来たであります!』
おおー、と零れる感歎の前に迫るは、帆布いっぱいに風の祝福を集めた麗しの全装帆船『セーリングカヌーシルヴィア』――“分身”とはいえ、その姿は何と美しき事か!
『本当、キレイな船が出来上がって……ってこれは猟兵の船だよ!!』
『イエスマム。我々の船はイカダになったばかりであります』
メリーがキリキリ怒る中、シルヴィアのレプリカに乗ったガイは泰然たるもので、
「ちょっと行ってくる。魚は貰っとけ新鮮だ!」
わぁいと歓喜する観客に巨大魚を投げ込んで解纜! 抜錨した『リヴァイヴ』を豪快に旋回させると、海賊船メリー號の帆柱に繋いで船を寄せたッ!
「さあ、来てやったぞ。賞金稼ぎさんよ!」
『ううっ、賞金首……逃げたい處に美味しそうに来るもんだねぇ!』
メリーは生粋の賞金稼ぎにて、高額の懸賞金を前に遁れる事がどうにも出来ない。
垂涎したのは配下も同じで、海賊たちは悴む手にカトラスやラッパ銃を握り込めると、ほぼほぼ崩れた甲板を駆け下るように襲い掛かった!
「――よし、食いついてきた」
蓋しガイは機を見るに頗る巧みで、己を好餌に喰らい付いた獲物を逃す筈が無い。
彼は精悍の腕をスッと蒼穹に掲げるや、宙空に放射状に出現・展開させた大砲の砲口をメリー達海賊團に結び、腕を振り下ろすや【波濤の号砲】(ファイア)――ッ! 全砲門解放、天蓋を押し上げんばかりの砲音を轟かせた!!
「逃さない、一網打尽だ!」
『きゃぁぁああああッッッ!!』
『お頭ぁぁあぁぁぁああ嗚呼嗚呼!!』
無数の砲彈がメリー號を破砕し、イカダを吹ッ飛ばし、メリーと手下達を海に沈める。
海面に上がった悲鳴は槍の如く衝き上がった水飛沫に掻き消され、大いなる渦動に呑み込まれ――漸く訪れた凪の後には、コンテス島の住民の歓声が広がるばかり。
「わーいっ! さっすが猟兵さん、海賊共をやっつけたヨー!」
「猟兵さん、カッコEー!」
海賊に襲われて悲鳴が上がる筈だったコンテス島に歓喜が満ちる。
見事、賞金稼ぎ『メリー・バーミリオン』をやっつけた猟兵たちは、獅子奮迅の勢いで船上戰を制し、水着コンテストを盛り上げたのだった――。
大成功
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