羅針盤戦争 ~ メリーのチョコは届かない?
●緋色のメリーと頼りになる仲間たち
「ハハッ、コイツぁイイ稼ぎになりそうだね」
楽しそうな声はコンキスタドールの賞金稼ぎ『メリー・バーミリオン』のものだ。彼女は今、自分の海賊船の甲板にてコンキスタドール内に出回っている賞金首の一覧を見ている。コンキスタドールにとって、今サイコーにホットで迷惑なやつら。つまり、猟兵である。
しかし懸けられた賞金は高額だ。ハントできれば一攫千金間違いなし。
「よし、野郎共、いくよっ」
そう言ってメリーは自身の船を近くの島へ向かわせようとする。
『どこか適当な島を襲えば、猟兵がやってくる』というのは賞金首の一覧と一緒に回ってきたシークレットメモだ。
しかし、メリーの配下の海賊たちは甲板の縁に肘を置いて頬杖を突きながら、ぼーっと海を眺めていた。
「はーっ、今日ってあれだろ? アレの日だろ?」
「こんな日に男が雁首並べて海見てるって悲しくないか?」
「でも海賊だしなー俺ら」
めっちゃ黄昏ていた。背中に哀愁を漂わせていた。
「んー……?」
部下の普段と違うテンションにメリーさん困惑である。どうしたものか、とメリーが悩んでいる間も海賊たちは話を続けている。
「この船にいる女っていやぁさー」
チラッ。
「そうだよなー」
チラッチラッ。
「……???」
なんかめっちゃチラ見されてるメリー。その視線の意図が分からず、さらに困惑しているところへ。
「「「あーっ、チョコほしーなー!!」」」
野郎共大合唱。
ほら、あれですよ。バレンタインのチョコですよ! 決してスイート・メロディア的なモノではなくて。
しかし、我らがお頭はとっても純粋だった。
「なんだお前ら。チョコが欲しいのか?」
「え、お頭くださるんで?」
上手くひっかかった! そんな心の内は顔に出さず、振り返る部下たち。
「おーいいぞー。この賞金首狩ったらその賞金で好きな分だけ買えよ」
「いや、そういうのじゃなくて……」
「あん? なんだよ意味がわから……って、あーっ! アレかぁ!!」
不満そうな部下の顔に速攻で嫌気が差したメリーだったが、今日が何の日か思い出した。一応、そういうイベントは海賊にとっても大切なのだね。
「しょうがないねぇ。ま、いいだろ」
「えっ? まさかマジで……!?」
いわゆる『しょうがないにゃー』って顔のメリーに、期待の表情を向ける部下たち!
「ああ。上手く賞金首を狩れたらその賞金で、ショコラ・パーティーだ」
「いや、だからお頭」
「イイ働きした奴は私が手ずから食べさせてやる。口移しでも何でもいいぞ?」
「「「ウォォォォォォォッッッッ!!!!」」」
お頭の言葉に、まさかの大歓声である。
「手前ぇら! 速攻だ! 速攻で準備しろ!」
「その上で決して準備を怠るな! 鉄砲の弾ひとつ欠かすんじゃねぇぞ!」
「んで、猟兵狩りつくすぞ!!」
「「オォォォォォ!!!」」
すごい勢いと過去かつてないやる気で仕掛かり始める海賊たち。
「ハッハー。ま、たまにゃこういうのも大事ってことだ」
その様子を愉快そうに眺めながらメリーも準備のために自室へ戻ろうとした時。
「ところでお頭、さっき『何でも』って言いましたよね?」
唐突に背後から部下に話しかけられ、メリーが首だけで振り返る。
「お前、何でもってチョコ関係ないことはダメだぞ?」
「チョコが関係あるなら?」
「まぁ、アリ」
メリーの言葉にガッツポーズする海賊。そして仲間の元へ戻っていく。その様子に首を傾げながら、改めて自室へ戻ろうとしたその瞬間!
「やったー! お頭が裸エプロンで胸の谷間にチョコ挟んで渡してくれるって!」
「「「いぃぃぃやっほーーーーぅぅぅ!!!」」」
「……え?」
聞こえてきた言葉に思わずもう一度振り返るメリー。そこには歓喜で狂乱している部下たちがおりまして。『これ止められないなー』って感じでなし崩し的にえらいことになったメリーでした。
●グリモアベースにて
「ってことらしいのよ」
緋薙・冬香(針入り水晶・f05538)はとっても困った感じの微笑を浮かべながら話を終える。予知で視た内容を猟兵たちに告げていたのだが、ある意味微笑ましい光景であった。しかし、微笑ましくても相手はコンキスタドールである。
「楽しみにしている海賊たちには悪いんだけれども、こちらも狩られるわけにもいかないし」
何よりも今、グリードオーシャンでは絶賛戦争中である。狩られる=猟兵の戦力ダウンという状況を招くわけにはいかない。
「というわけで返り討ちにしてきちゃって、というのが今回の依頼」
柔和な笑みに表情を戻して冬香は『お願いできる?』と問いかけてきた。
予知の内容は冗談みたいな感じだが、メリーの実力は確かなものだ。
「島に上陸されちゃうとどうしても被害が出ちゃうわ」
しかしメリーはメリーで『島に上陸、暴れる→猟兵が来る』と思い込んでいるため、その誘い出し作戦を変えることはないだろう。
「だから先手を打つ。私の転送でメリーの海賊船に直接殴り込みよ」
つまり戦場は海賊船の甲板の上。グリモアの転送で船の真上か、あるいは甲板に直接移動、強襲するのだ。
「後はメリーを倒すだけ。海賊船や配下は放っておいてもいいわ」
とにかくメリーを倒す、これがミッションの内容だ。
次に戦闘における注意。
「メリーは賞金稼ぎなせいか、賞金首を目の前にするとどうしても欲が出るみたいでね」
つまり賞金首となっている猟兵が目の前に現れると動きが変わる。具体的に言うと、欲にかられた分、隙ができる。そこを突けば戦闘を優位に運べるだろう。
「あとは……思ったより純粋なのよねこの海賊」
部下の言うことを真に受けたり、ノリと勢いに巻き込まれると断り切れなかったり。
「だから、そうねぇ……『まんじゅうこわい』とか言えばまんじゅう出してくるんじゃないかしら?」
どこの笑い話だとツッコミたくなるが落ち着いてほしい。つまり、『自分が得意な展開』を怖いとか嫌いとか言うと、その展開を作ってくれるのだ。
「後、おだてとか女性的な扱いとかに弱いみたい」
『姫ですか?』ともツッコんではいけない。が利用するのは問題ないのでやっちゃってください。
何度も言うけどメリーの戦闘能力は侮れないレベルだ。舐めてかかると返り討ちにあう相手なので、それらの弱点をうまく利用してほしい。
「そんなわけでよろしくね」
そういって冬香は猟兵たちを送り出す。
そして送り出した後に。
「胸の谷間にチョコ挟むと溶けちゃうと思うけど大丈夫なのかしら?」
ふにっ、と自身の谷間を寄せながらそんなことを思う冬香でした。
るちる
まいど。お世話になってます、るちるです。
こんなことしている場合じゃないよなと思いつつ、バレンタインにメリー見てたら閃いてしまったのです……。OPからもわかる通り、真面目な戦闘と見せかけつつ、コメディやギャグのノリで大丈夫です。お色気(NotR18)も大丈夫よ?
●全体
1章構成の戦争シナリオです。
緋色のメリーとその配下たちとの戦闘になります。
ゆるゆるっとした感じのコミカルとかギャグとかのリプレイ想定。ただし、リプレイはプレイングの雰囲気によります。
戦場は海賊船の甲板。転送の出現地点は指定できます。寸分違わずというのは厳しいので、空とかマストの上とか演出程度とお考え下さい。
以下のプレイングボーナスがあります。
(=============================)
プレイングボーナス……賞金首になっている。
(=============================)
金額によるボーナス差異はありませんが、描写というかメリーの反応に違いは出る可能性はあります。
また、メリーには『まんじゅうこわい』作戦が有効です。賞金首じゃない人はこちらを利用するといいかもしれません。
ついでに『おだて』と『ナンパ』が有効です(後述のメリー情報を参考にしてください)
●メリー(この情報は知っているものとして活用してください)
誰が呼んだか、緋色のメリーの二つ名を持つ女海賊です。可愛い純粋。
一回目までは話した内容をそのまま信じます。その後『ちくしょうっ、騙されたっ』と言うのが彼女のパターンです。彼氏は今いません、ちょっと恋愛に飢えているのは秘密で、強い人か優しい人が好きです。
『まんじゅうこわい』作戦を仕掛けた場合、その通りに行動します。それを利用することで武器やユーベルコード、攻撃パターンを指定可能です。そのため、『POWのユーベルコードを使わせて、こちらはWIZで迎撃する』が当シナリオでは有効です。
大体のことには応じてくれますが、極端に海賊のルール(公序良俗)に反する場合、乗ってきません。ご注意ください。
採用人数は最低限~6人程度になるかと思います。流したらごめんなさい。
それでは皆さんの参加をお待ちしております。
最後に……書き終わって思ったけど、裸エプロンのほうが布地多くない? どういうことなの?
第1章 ボス戦
『メリー・バーミリオン』
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POW : 野郎共、仕事の時間だ!
レベル×1体の【海賊船団員】を召喚する。[海賊船団員]は【したっぱ】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : お宝発見アイ〜伝説の海賊を添えて〜
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【大海賊の霊】が出現してそれを180秒封じる。
WIZ : 大逆転! 元の木阿弥大津波
自身の【サーベル】から、戦場の仲間が受けた【屈辱の数】に比例した威力と攻撃範囲の【津波】を放つ。
イラスト:和狸56
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「十六夜・巴」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
リーヴァルディ・カーライル
…ふむふむ。裸エプロンに胸チョコレート…そういう趣向もあるのね
…まあ、今年は普通に贈った後だから、
来年以降の参考に(自分の胸を見て、メリーのを見て)………ころすわ
UCを発動して百本の魔刃に早業の武器改造を施し、
対象の意識を切断して気絶させる精神属性攻撃の魔力を溜める
…別に変な事をする訳じゃないのよ?
ただ、その首を狩る前にその胸にチョコを挟んだらどうなるか知りたいだけで…
…ああ、先に男共は気絶させておくから安心して?
今までの戦闘知識を頼りに連携させて魔刃を操り、
敵陣を空中戦機動で魔刃を乱れ撃ち死角から切り込み、
怪力任せに大鎌をなぎ払うわ
…別に成長していない訳じゃないし…
来年には私もこれぐらい…
●吸血鬼の鎌が死神と化した日?
リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)はグリモア猟兵の話を聞いていた時に、『ふむふむ』と頷いていた。
(裸エプロンに胸チョコレート……そういう趣向もあるのね)
そこに納得したとはお目が高い。え、違う?
それはさておき、今年のリーヴァルディのバレンタインは既に贈ってバッチリ完了しているため、その趣向を活かすことはできなさそうだ。
(……まあ、来年以降の参考に)
そんな軽い気持ちで、緋色のメリーの海賊船へと転送されてきたリーヴァルディは。
「………………ころすわ」
自分の胸を見て、メリーのを見て、開口一番そうのたまったのである。そこ、改めて見比べてはだめですよ!?
「物騒だなオイ?!」
海賊のメリーに言われるほどにリーヴァルディの表情は鬼気迫っていたのだろうか。うんたぶんきっとそう。
(先に殺らないと殺られる……!)
そんな殺気を感じたメリーは即座にサーベルを振るう。その理由が胸囲の格差社会だとは夢にも思うまい。
「その殺気ごと消えちまえー!」
と、元の木阿弥大津波を放つメリー。しかし。
「……この刀身に力を与えよ」
ユーベルコード【吸血鬼狩りの業・魔刃の型】。厳かに告げたリーヴァルディの力ある言葉に応じて、彼女の周囲に100本もの魔力結晶刃が召喚される。搭載されている魔法増幅能力を利用しつつ、魔力結晶刃に素早く魔力で改造を施したリーヴァルディは即座に剣の波を解き放つ!
「うっそぉぉぉぉぉ!?」
悲鳴を上げたのはメリーである。なんてったって、液体である津波が固体である剣の波に相殺されたというか、完全に蹴散らされたから。
そのまま飛翔してくる魔力結晶刃の群れ。
「くあっ?!」
自身に迫る刃をどうにかサーベルで跳ね上げたメリーであるが。
「野郎共……って、えぇぇぇぇ?!」
振り向いたら、配下の海賊たちが全員寝ていた。
「……ああ、先に男共は気絶させておくから安心して?」
「何を!?」
何を安心するというのか。いや、その前にどうやって配下の海賊たちを気絶させたのか。
種明かしをすると、先の魔力による武器改造である。『対象の意識を切断して気絶させる精神属性攻撃の魔力を溜める』、これがリーヴァルディが施した改造だ。それに抵抗する術を持たない海賊たちはぱたっと気絶したのです。
「くっ……」
魔力結晶刃に完全包囲されて絶体絶命のメリー。相手が相手なら『くっ殺』展開であるが……いや、もしかしたらそれの方が平和かもしんない。
何故ならリーヴァルディが黒い大鎌を携えてゆっくりと迫ってきていたからである。
「……別に変な事をする訳じゃないのよ?」
(絶対嘘だっ)
「ただ、その首を狩る前にその胸にチョコを挟んだらどうなるか知りたいだけで……」
「首狩る前提?!」
しかしメリーに逃げ場はない。逃げようにも魔力結晶刃に囲まれているし、攻撃しようにも魔力結晶刃が降ってくる。それほどにまでリーヴァルディの魔刃操作は精密であった(胸から来る感情は関係なく)
なので身動きが取れないメリーはそのままリーヴァルディの接近を許し。
「……こう?」
「ひぃぃぃ!?」
ずぼっと胸の谷間に大きなハート形のチョコを刺し込まれる。
リーヴァルディが手を放す……落ちない! 谷間にはひっかかる服や生地も無く、そもそも服装もゆったり気味で寄せてもないのに、谷間に差し込まれたチョコはたわわな弾力に挟まれてそこに鎮座したままであった。
「……よし、ころすわ」
「理不尽!!」
このままでは何をやっても殺される。そんな危機感にメリーはダッシュで逃げようとするが。
「……!!」
声なき殺意とともに叩き込まれる大鎌による薙ぎ払い。その一撃は怒り(?)の怪力任せになぎ払われまして。
「あーーーーれーーーー?!」
その一撃に吹っ飛ばされるメリー。
その様子をじっと見つめながらリーヴァルディは改めて視線を下に落とす。
「……別に成長していない訳じゃないし……来年には私もこれぐらい……」
何かこう、憑りつかれたようにぶつぶつと呟いているリーヴァルディさんでした。
大成功
🔵🔵🔵
フィア・シュヴァルツ
「巨乳だな、よし許さん」(第一声)
それも裸エプロンで胸の谷間にチョコとか、我への侮辱だな。
あと、なんか部下から人望ありそうなのもむかつくな。
「良い策を思いついたぞ。
海賊どもを我の魅力で虜にし、我の部下にしてくれよう。
部下を奪われて悔しがる姿が楽しみよ!」
甲板上に転送されたら、敵を挑発するとしよう。
「ああ、我、大勢の海賊船団員に囲まれるのが怖いなあ」(棒読み)
海賊が出てきたら、我の魅力で誘惑だ。
「さあ、我の魅力の虜になり、従うが良い。
我の部下になるなら……仕方ない、我も裸エプロンで胸の谷間でチョコを食わせてやるぞ!」
……って、なぜ、誰も我の部下にならんのだ!
【竜滅陣】で吹き飛ばしてくれるわ!
●貧富の差が分けるもの?
猟兵の攻撃で吹っ飛ばされた緋色のメリー。文字通り空を飛んでいたのだが、その進路上に現れたのは、転送されてきたフィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)であった!
「「あっ?!」」
悲鳴を上げると同時に、ごちん、とめちゃくちゃ痛そうな音がして、二人の頭がぶつかる。そのまま、ひゅーんと海賊船の甲板まで落ちてきた二人。
「あいたたた……」
「むぅ……」
折り重なって落ちてきたせいか、フィアの上にメリーが乗っかっている状態だった……向かい合わせで。必然、フィアの視界で揺れるメリーの胸。
「巨乳だな、よし許さん!」
「理不尽!!」
フィアの第一声に、メリーは悲鳴を上げて飛び退るのであった!
改めて相対した状態で向かい合う両者。じりじりと間合いを詰めながら、フィアはメリーをしっかりと確認する。
(アレに裸エプロンで胸の谷間にチョコとか、我への侮辱だな!!)
ひっそりフィアの心の中で結論が出てた。
(あと、なんか部下から人望ありそうなのもむかつくな)
もうここまでくると、理不尽も振り切っている感じである。簡単に言うと坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。親の仇を見るかのようにメリー(の主に胸囲)を威圧するフィア。
(怖いんだけど!!)
ビリビリとした威圧を(主に胸に)感じたメリーがそう思うのも仕方ないと思う。
そんなわけで間合いがなかなか詰まらないのだが、それゆえにフィアは唐突に閃いた。
「良い策を思いついたぞ」
「……!?」
フィアの言葉により警戒を深めるメリーが身構える。
「海賊どもを我の魅力で虜にし、我の部下にしてくれよう。部下を奪われて悔しがる姿が楽しみよ!」
「な、なんだって!?」
もうどっちが悪役なんだか。しかしフィアの黒い笑みは止まらない。
「お頭!」
そこへ都合よく(わるく?)、メリーの配下の海賊たちが彼女を心配して集まってくる。
「ああ、我、大勢の海賊船団員に囲まれるのが怖いなあ」
「よし、手前ぇら囲め! 猟兵を狩るぞ!」
「ちょ、待てお前らー!?」
フィアの棒読みに速攻反応する海賊たち。メリーとフィアの間に割り込んで、フィアの前に壁を作る。ちなみにメリーの制止は聞いていない模様。だって活躍しないとチョコもらえないからね!
そう、こうして舞台は整ってしまったのだ……!
ずらりと並んだ海賊たちに対して、フィアが仕掛ける!
「さあ、我の魅力の虜になり、従うが良い」
「「「……!」」」
フィアがそう告げて、くるりとその場で回転する。ふわりと舞う袖とスカート。漂う色香。翻る黒き布の間から覗く肩とか脇とか太ももとかはその手のマニア(?)には垂涎ものの逸品だろう。そう、フィアだって本気を見せれば、男を魅了することなど容易いことなのだ。なんで残念属性つけたの、ホント。
ともあれ、ここにきて美少女の本領を発揮するフィア!
「我の部下になるなら……仕方ない、我も裸エプロンで胸の谷間でチョコを食わせてやるぞ!」
「「「あ、いいです」」」
即答であった。刹那の単位すらも間に入らないほどの即答であった。
「……って、なぜ、誰も我の部下にならんのだ!?」
「いやー、そんなこと言われましてもー」
「胸に貴賤は無くても、豊かな方が好き」
「その急降下な稜線でチョコ挟むのは無理」
「美少女は好きだけど手を出すと捕まっちゃうから」
言いたい放題に理由を述べる海賊たちに。
「き、きさまらーっ!!」
「お前ら、なぁ、もう……」
憤慨するフィアと、喜んでいいやら悲しんでいいやらわからないメリー。とりあえずメリーの尊厳は保たれた?
よって布陣は変わらず、フィアは囲まれたまま……。。
「【竜滅陣】で吹き飛ばしてくれるわ!」
「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!?」」」
「なんで私までーーーっ?!」
ノーモーション&ノー詠唱なフィアの【竜滅陣】の超大規模な爆発が、海賊ごとメリーを吹っ飛ばすのであった!
大成功
🔵🔵🔵
メリー・スペルティナ
ふふ、かの一の王笏(※弱い方の分身)を退けた賞金首(※1500G)、
メリー・しゅぺっ(噛んだ)
……
……メリー・スペルティナ、此処に見参!ですわ!
傷口抉りと生命力吸収を載せた愛剣での攻撃で接近戦ですわ
って、相手複数いるじゃありませんの!わたくし対集団って得意じゃありませんのに!これ以上増えたりなんかしたら……
くうう……こうなったら逆転狙いで剣に呪詛の力を載せ、僅かでも当たりさえすれば【呪縛血界:怨讐の血刃】!
貴女に向けられた負の想いが、貴女を貫く刃となるのですわ!
身に覚えぐらいあるのでなくて?
(本人としては住人等からの恨みとかのつもりで、「船員から向けられている劣情」は想定外です)
※アドリブ歓迎
●淑女(自称)と海賊(本物)たち
海賊船の上で起こった大爆発!
それをまともにくらって緋色のメリーとその配下の海賊たちは、ぽーん、と空中に吹っ飛ばされていた。そして落下。大丈夫、まだ甲板の上、海の神には見放されていないらしい。
「ちょっと面倒になってきたぞ、お前らのソレ」
「「えー、そんなこと言わないでくださいよお頭ぁ」」
人の言うことも聞かず、裸エプロン&胸の谷間にチョコを目指して頑張る海賊たちは若干空回り気味であった。ジト目になるメリーに対して、がっかり気味の海賊たち。
「まぁアレ倒したら見直してやるよ」
とメリーがカトラスで差した先にいるのは。
「ふふ、かの一の王笏を退けた賞金首。メリー・しゅぺっ」
「「「……」」」
噛んだ、全力で噛んだ! でもあまりにも華麗に噛んだので、海賊たちは動くことができない。動いてはいけない気持ちになっている。
「……メリー・スペルティナ、此処に見参! ですわ!」
あ、復帰した。びしっとポーズを決めて言い切った、メリー・スペルティナ(暗澹たる慈雨の淑女(自称)・f26478)である。
そう、ここにメリーが二人相対する……!
ここからはごちゃごちゃになるので、淑女のメリーと緋色のメリーと呼称します。
「野郎共、仕事の時間だ!」
緋色のメリーの号令の下、淑女のメリーに襲い掛かる海賊たち。
「なんのっ!」
それに対して淑女のメリーは愛剣『シュバルツシュテルン』で接近戦を挑む。黒い波打つような刀身が海賊を斬り付ける度に、海賊たちの血と命を啜っていく。
「って、多すぎません!? わたくし対集団って得意じゃありませんのに!」
うん、とっても多かった。さっきまで両手で足りる程度だったのに、お頭の号令でその3倍にも5倍にも、どこから出てきたんだって数の海賊たちが淑女のメリーに襲い掛かっているのだ!
(これ以上増えたりなんかしたら……)
押し切られることは明白。これはヤバい。手を打つなら早いほうがいい。
「くうう……こうなったら!」
逆転狙いの一撃。それに賭けるしかない。剣に呪詛の力を載せ、ユーベルコード【呪縛血界:怨讐の血刃】発動!
(僅かでも当たりさえすれば……!)
海賊たちの包囲網を素早く突破した淑女のメリー。
「ちっ!」
油断していたわけではないが、素早く接近されたがゆえに対応に出遅れた緋色のメリー。二人は何合か打ち合った後。
「そこです!」
淑女のメリーの一撃が緋色のメリーの腕を斬り付ける。
「くっ」
「ふふ、貴女に向けられた負の想いが、貴女を貫く刃となるのですわ!」
「な、なんだと……!?」
「身に覚えぐらいあるのでなくて?」
そう、海賊なのだから。【呪縛血界:怨讐の血刃】は緋色のメリーに向けられている負の感情が大きければ多いほど、その威力が増すタイプの効果を持つ。
すなわち。
(海賊なんですから、島の住人等からの恨みとかすごいはずですわ)
と思っていたのだが。
「えっ、ちょ、お前らーーーーっ!!」
なぜか、呪いの血の刃は緋色のメリーの配下から全力で伸びていた。血の色もなんかどす黒いというよりは、つやっつやのピンクに近い。
「あれ?」
「「「あれ???」」」
淑女のメリーも海賊たちも首を傾げるばかり。
「エロいことばっかり考えてるんじゃないよっ!!」
何となく察した緋色のメリーが叫ぶ。これたぶん、裸エプロン&胸の谷間にチョコの想い(負の感情)が強すぎたやつ。
「あー……そういう……って、そんなことありますの!?」
納得した淑女のメリーがノリツッコミの勢いで叫ぶ。『船員から向けられている劣情』とか完全に想定外だったらしいです。
あ、緋色のメリーにダメージはばっちり入りました。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
何が裸にエプロンにチョコですか!!!
男の風上にも置けぬ卑劣漢共が!!!
(頭堅い怒れる機械騎士、UC大盾殴打で海賊船のマストへし折り怪力でぶん回し、海賊船員薙ぎ倒し)
この男共はチョコを求めるだけでは飽き足らず、人数と口車頼みに貴女に破廉恥な強要をしているのです
無法者の求めを一つ通せばまた一つと要求がエスカレートするのは火を見るより明らか
海賊である貴女が良くご存知の筈では!?
愛の形はそれぞれ
ですがそれは思い通じ合った男女が秘めやかに行うもの
何時か貴女自身が見出す愛の為に…
どうか御身を大事になさって下さい
…それはそれとして
罪なき島の襲撃を企てたことへの制裁をさせていただきます
(マストでぶん殴り)
●理不尽はここに極まる?
まさかの配下の劣情っていうか、裸エプロン&胸の谷間にチョコの想いがこんなにすごいとは。想定外過ぎる配下の裏切り(?)に大ダメージを受けた(主に精神的に)緋色のメリー。
「っていうか、ちゃんと戦って猟兵倒してから! いいなっ?!」
「「「はーい……」」」
先生に怒られる生徒の感じで叱られる海賊たち。
「ほら、また来たよ。今度こそ倒すぞっ」
「「「おー!!!」」」
そう言って緋色のメリーと配下の海賊たちは目の前に現れた猟兵――トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)へ押し寄せるのであった。
当のトリテレイアは直立不動でマストのすぐ側に立っていた。マストは海賊船の要、やられるわけにはいかない。
「行くぞ、手前ぇら!」
先頭を走る海賊の号令の下、トリテレイアへ襲い掛かる配下たち!
その時、トリテレイアの兜の下で目が光った(気がした)!
「何が裸にエプロンにチョコですか!!! 男の風上にも置けぬ卑劣漢共が!!!」
「「「そこーーーっ?!」」」
全力のユーベルコード【戦場の騎士(ナグレリャナンデモイイ)】によって、吹っ飛ばされる海賊たち。過去の記憶・人格データを完全破壊されるゆえなのか、騎士道物語群・御伽噺を行動基準・理想と設定してしまったからなのか、意外と頭が堅いらしい機械騎士は怒れるままに暴れる。大盾で近づいてくる側から、否、近くにいなくても走って行って殴打を叩きつける!
「オォォォォ!!」
猛るままに大盾を振るいまくると、当然マストに当たります。べきっ、と軽快にして重い音がして折れるマスト。
「あぁぁぁぁぁぁ!! 私の船がぁぁぁぁぁ!!」
泣き叫ぶ緋色のメリー。マストは船にとって要って言ったじゃん! とかそんな感じである。がっくりと崩れ落ちるメリー。
その間にもトリテレイアが配下の海賊たちを全力でなぎ倒す。
そして辺りに静寂(トリテレイアとメリー以外動くものがいなくなった)が訪れた。
ユーベルコードを解いて、崩れ落ちて泣いている(原因は目の前の機械騎士)メリーにゆっくりと歩み寄るトリテレイア。
「この男共はチョコを求めるだけでは飽き足らず、人数と口車頼みに貴女に破廉恥な強要をしているのです」
「……え?」
メリーに降ってきたのはトリテレイアの温かい言葉であった。
「無法者の求めを一つ通せばまた一つと要求がエスカレートするのは火を見るより明らか」
「……」
「海賊である貴女が良くご存知の筈では!?」
「くっ……言われてみれば、どうして私が裸エプロンする必要が……!」
そこでようやく裸エプロンの謎に言及するメリー。普段より布地が増えて露出減っているけど、とはツッコんではいけないところである。
「愛の形はそれぞれ……ですがそれは思い通じ合った男女が秘めやかに行うもの」
「……!」
そう、チョコはご褒美なのでともかく、裸エプロンはこういうタイミングでするものでもないし、そもそもどうして浮上してきた? そういう案件だったのだ。
「何時か貴女自身が見出す愛の為に……どうか御身を大事になさって下さい」
「……ぁ」
メリーの胸が、きゅんっ、とした。これは、もしかして恋の音……? どきどきしながら緋色のメリーの潤んだ紅い瞳がトリテレイアを見上げる。
「……それはそれとして。罪なき島の襲撃を企てたことへの制裁をさせていただきます」
「……はい?」
メリーが間の抜けた声をあげた瞬間。唐突に手に持っていた折れたマストで横殴りにぶん殴るトリテレイア。もちろん直撃である。
「なんで、猟兵ってのはそう理不尽なんだよーーっ! よーーっ! よーー……」
エコーを残しながら空へ吹っ飛ばされた緋色のメリーはきらーんと星になって。
こうして緋色のメリーは無事退治されたのである!
あまりにも理不尽だったとは言ってはいけないお約束。
大成功
🔵🔵🔵
●終幕
こうして、緋色のメリーは退治された。
「「「お、お頭ぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
と空に飛んで行ったメリーを、残った海賊たちが海賊船で追いかけようとするも。
激しいってか、マストは折られてるし、甲板の上で大爆発もあったし、呪詛も船に作用していたりして、もう沈没寸前だった。船動く気配なし!
残った海賊たちが泳いででもメリーを追いかけたかどうかはさておき。
ここに緋色のメリーと配下の海賊たちの一団は、猟兵たちに無事討伐されたのである。