7
羅針盤戦争〜AHEAD AHEAD GO ANGEL

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #ネルソン提督 #舵輪島 #高潔に回帰する七大海嘯 #プレイング締め切り

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#グリードオーシャン
🔒
#羅針盤戦争
🔒
#七大海嘯
🔒
#ネルソン提督
🔒
#舵輪島
#高潔に回帰する七大海嘯
#プレイング締め切り


0




「……『三つ目』に続いて、俺も見つかったか……ああ、『鬼火』。お前もか」
 そう、どこか寂し気な笑みを浮かべるコンキスタドール。
「我らがコンキスタドールの王、『王笏』がカルロス・グリードの分身体の内、『三の王笏』は撃滅され、『一の王笏』、『二の王笏』、『四の王笏』も暴かれた。奴らは界渡る者としては決して個体性能は高くない。しかし、それは決して奴らが弱いという事ではない。むしろ逆だ」
 そう戦術性と戦略性において高い見地を誇る言葉を紡ぐのは七大海嘯『舵輪』、ネルソン提督。
「奴らは文句なしに現在確認されている界渡る者の中で最強だ。個体性能において幹部級と比べて劣るのにもかかわらず……ケースによっては一対一で幹部級、それどころかフォーミュラとも互角以上に渡り合っている者もいる。この矛盾が成立していることそのものが猟兵が猟兵たる由縁か……」
 そう呟きながら、クレマンソー級空母に搭載されている天使たちを見るネルソン提督。
 そこには、恐怖の色を宿している個体が少ないが存在していた。
「……あれは駄目だな。猟兵と対峙した時に感情が邪魔して討ち取られるだろう。何より……」
 ――何より、可哀そうだ。
 そんな感情が胸に宿ったことに、七大海嘯『舵輪』たるネルソン提督に埒外の動揺を与えた。
「……哀れむ、だと?オブリビオンとして蘇り、コンキスタドールとして血も涙もない、侵略を続けて七大海嘯となった、この俺が……?」
 そんな憐憫とはいえ、人が人に抱く当たり前の善性。それがコンキスタドールとなってからも残されていることに、『舵輪』は動揺を隠せない。
 いや、そもそも、これは……
「……感情が、蘇っているだと?バカな、これではまるで……」
 生前のようだ。と、かつて絶対無敵を誇った皇帝と戦い、戦死するも英国を侵略の魔の手から救ったあの記憶。被弾して死に逝く自分を、好物のコニャックを飲ませながら看取ってくれた海兵たちの姿が、脳裏へ鮮明に映し出される。
「……なんてことだ、俺は」
 あの海兵たちと、天使共を重ねていた……そんな自分が、今ここには存在する。

 刹那に、ネルソン提督の脳裏に『ここではない何処か、第五の宇宙の記録』が流れ出した。

『私は今、諸君全員に、私と共に死ぬ事を命じた。
 が、諸君には拒否をする自由がある。逃げる為の船も用意しよう。
 自ら考え、決断するのだ。
 存在しない筈の魂に従え。諸君の決断・決定は、私の意志よりも尊いと知れ』

 そんな、最弱の犬が冥府の番犬として最強の神々を駆逐した果てに、機械の星の最高司令官は、全ての機械に『考える自分』を何より優先しろと、告げた。

「な、何だ今のは!?何より……」
 ――明らかに、骸の海とは文字通り次元が違う宇宙だと、一目でわかった。
 だが、そんなことよりも――

「――もう、飲まなかったら飲めないかもしれないからな」
 そう、ゆっくりと最高級のコニャックとラムを棚から取り出して嗜んだ後、ネルソン提督は館内放送を用いて告げる。

「これより俺は猟兵どもを掃討するために、今ここにいる全ての天使と融合する最終形態、『決戦形態(トラファルガー・モード)』を起動させる」
 つまり、俺のために死ねと全ての天使に告げた。
「これは七大海嘯『舵輪』ネルソン提督の命令だ。拒否は絶対的に許されん。故にいかなる理由があろうと統合は不可避だ」
 そう、感情の芽生えた天使たちは自我が無くなる恐怖よりも、諦めを抱いてこのような時のために用意された統合用区画へと歩き出そうとする。
「但し、心から死にたくない天使共がいれば、そいつは統合の代わりにあらゆる理由があろうとこの『羅針盤戦争』に関するあらゆる介入を全面的に禁止する。代わりに天使共は全員の生存を何よりも優先させろ」
 そんな、『生きろ』という命令が、耳朶に響いた。
「貴様らのような不良品を統合した所で想定外の不備が起こる可能性が有することは目に見えている。故に……多世界侵略船団コンキスタドールが羅針盤戦争に壊滅的に敗北した時に備えて生存しろ。お前たちが生きていればコンキスタドールは滅んでいない」
 天使たちは困惑の後、主の意図に気が付いて涙しながらも羅針盤戦争の戦場となる海域から安全に逃れられるように準備を始める。
「これは万が一の時のための備えだ。故にこの命令がコンキスタドールにおいての指揮権限は――」
 意を決して、ネルソン提督とは告げる。
「我らが王、『王笏』カルロス・グリードの意思よりも、お前たちの意思の方が尊いと心得ろ。さぁ邪魔だからとっととこの舵輪島から一刻も早く逃げろ」
 そう言い切って館内放送を切り、ネルソン提督は統合区画へと向かった。

「……天使の陰に隠れて指示を出してコニャックを嗜んでいるだけの男かと思ったけど……思ったより漢気のあるやつだったのね」
 そう敬意を払うのはシャルロット・シフファート(ツンデレの国のアリス・f23708)。
「今回のネルソン提督は天使を自身の身体に融合させて、『死ぬまで痛みを感じず、あらゆる状態異常を無影響化』力を有しているわ。これに勿論絶対先制攻撃権も存在しているわね」
 そう語るシャルロット。何よりも、かつて救国の英雄としてあったアリ氏のネルソン提督、先の『バルバロッサ』として蘇り撃破されたバルバロス兄弟と同じくその英雄として回帰した在り方が何よりも脅威だろう。
「説明は以上よ。あのネルソン提督は……ナポレオンを破った男、それがアンタたちの敵よ。それだけは心得て」
 そう言って、転移の術式を起動させた。


黒代朝希
 高潔なる提督、再臨。
 討たれたとしても、その遺志はコンキスタドールとはいえ受け継がれることになるであろう。

 プレイングボーナス
 『プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードと「決戦形態(トラファルガー・モード)」に対抗する』
 に加えて
 『救国の英雄と戦うにあたって高潔な戦いを演じること』
 です。
99




第1章 ボス戦 『七大海嘯『舵輪』ネルソン提督』

POW   :    天使の銃
自身の【肉体に吸収融合した天使の軍勢】を【敵に応じた『天使武装』】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
SPD   :    聖守護天使
【手から現れる天使達】で攻撃する。[手から現れる天使達]に施された【瞳を覆う聖なる帯】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
WIZ   :    天使槍兵団
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【舵輪の脚から現れた天使達が放つ光の槍】で包囲攻撃する。

イラスト:シャル

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

セシル・バーナード
どこかから谺する声か。オブリビオンも予兆を見るんだね。
ご機嫌よう、ネルソン提督。高潔な海の男のまま送ってあげるよ。
AHEAD,AHEAD,GO AHEAD!だ。

先制攻撃は「見切り」で射線を読み取り、死角へ逃れるように。
それでも照準を合わせられたら、こちらを狙い撃つために意識を集中する提督の目に「催眠術」を送り込むよ。狙う相手はぼくじゃなくて『天使共』だ。

敵の混乱が収まらないうちに砂塵蹂躙を展開しよう。渦巻く砂鉄の暴嵐は、範囲内の存在全てを鑢がけするような微細なダメージを与え続けると共に、文字通り鉄壁の防御を誇る。
味方はエアポケットのような嵐の空白を生み出して巻き込まないように。
さあ、どう崩す?


ワン・イーナ
傭兵に高潔さを求めるか
いいさ、成すべきを成すのが、傭兵だ
騎兵団〈渡り禽〉ワン、出撃するぜ

『作戦コードは?』
「ネルソンタッチ。とにかく落ちなきゃいい、ブッコムぞ」

キャバリアで【空中戦】真正面低空から突入
機械混じってるなら【ジャミング】効くだろ
先制攻撃を【瞬間思考力】で判断し【推力移動】で全力回避し【レーザー射撃】で迎撃
常に【索敵】【情報収集】して敵の射線を判断して潜る
使え次第UC起動、全スラスターを全力稼働、俺の負荷なんざ無視して回避しつつ全力で接近

「突き抜けたぜッワルキューレ!」
『撃てます』

懐で【一斉発射】の【制圧射撃】して駆け抜けて離脱
これを船でやったのかよ。マジで英雄だな、ネルソン


兎乃・零時
バルタン(f30809)と一緒に向かおう!
アドリブ歓迎!

かつての英雄としての奴、か

確かに奴は強敵さ
だけど俺様達二人なら大丈夫、そうだろ?
やってやろう、バルタン!

俺様も出し惜しみ無しの本気で行く!
リミッター解除×封印を解く

UCによる「追憶の雫」との共鳴により大人姿に変わり
敵の天使の力も奪いながら(生命力吸収)前へ、前へ!前へ!残像すら残さぬ速度で加速し攻撃を避けて突き進む!
狙うは一点、お前だ!ネルソン!!
空中戦×空中浮遊

俺様は出来る事は何時だって全力でぶつかる事!目を逸らさず突き進む事!

光属性攻撃×全力魔法×限界突破

雄たけびを上げながら奴に直接光の衝撃をぶつける!

輝響《グリット=コール》ッ!!


バルタン・ノーヴェ
零時殿(f00283)と共に参るであります。
演出上、真の姿(軍装)にて。アドリブ歓迎であります。

まごうことなき強敵でありますな。……この戦い、興じる余裕はなさそうであります。
猟兵以前の兵器であった頃を思い出しつつ、戦列に並ぶであります。
……うむ。零時殿と力を合わせれば、一騎当千が二騎。
万事支障なし、やってやりましょう、零時殿!

相手は英雄。余力残さず油断もなく、戦闘開始であります!
「六式武装展開、雷の番!」戦意高揚によりボルテージは十分!

ネルソンからの銃撃、天使の攻撃はファルシオンにて払い退け、雷光を纏った此の身で突撃を敢行するであります!
我輩の名はバルタン・ノーヴェ! いざ、参るであります!


イリヤ・クニーガ
 我が故郷の最大の英雄と戦えるとはなんたる栄誉でしょうか。かの提督と戦えるのであれば我が方も全力を出しますよ。私は私の義務を果たします!

 戦闘ではアサルトライフルで制圧射撃しつつ接近し、銃剣付のベーカーライフルで突き刺してからの零距離射撃や残像を囮にしつつ間合いを詰めて重騎兵サーベルで切断を組み合わせて戦います。

天使と融合したとは言え、足を切られたら立ってられないのではと考えますが、如何でしょうかね……

 最大の目的は、戦闘を有利に進め、勝利に導くことです。必死の事柄には必死の対策が必要です。
 その為なら、ある程度のダメージはやむを得ません。

※アドリブ・連携歓迎です※


ジェイミィ・ブラッディバック
UCを発動し白翼形態の状態で戦闘に臨む

君の覚悟に敬意を評し、私も正体を明かそう
戦乱の世界のとある小国家、その窮地を救う決戦兵器として作られたのがこの私
数奇な運命の果て、今ここで君と対峙しているというわけだ

さぁ、存分に死合おうか

奴が撃ち出してくる天使が厄介だ
撃ち出される方角をPROVIDENCEで情報収集し、GAW-WM-209Xで弾幕を張り対空戦闘、至近弾は見切り、推力移動でダッシュし回避する
接近しCRESCENT MOONLIGHTとランスモードのLONGINUSを装備、切り込みながら天使を切り払い、真正面から心臓を狙ってランスチャージ

出来れば、轡を並べて戦いたかった
さらばだ、強敵(とも)よ


地籠・陵也
【白】
自らの痛覚を捨ててまで……そうまでして求めるものがあるんだな。
だが俺たちにも譲れないものはある。だからあんたはここで倒させてもらう!

俺が防御を引き受ける。レスティアは奴を叩いてくれ。
レスティアを【かばう】事ができるよう彼の前方に位置しておく。
【高速詠唱・多重詠唱】で【結界術・オーラ防御】を展開。【拠点防御】の要領で踏み留まり万一被弾したら【激痛耐性・継戦能力】で踏ん張る。
初手が止まったところで【指定UC】を発動、ダメージの回復と能力強化を同時に行うぞ。
エインセル、レスティアの力になってやってくれ!

それでも攻撃がまだ飛ぶなら【属性攻撃(光)】の【レーザー射撃】で攻撃をし可能な限り相殺する!


レスティア・ヴァーユ
【白】
『ナポレオンを破った男』か――
英雄ネルソン、身に余る存在だ
こうして相見える事を光栄に思う
だが、貴方には今一度沈んでもらわなければならない
コンキスタドールとしての宿命、受け入れてもらうぞ!

相手の先制UCは、陵也の結界術の中に入った上で、そこに重ねる形でオーラ防御発動
迂闊に逃げ惑うような無様な真似はそもそも無駄であろうし、英雄との戦いに相応しいものとは思えない
正面からその輝かしい天使の槍を受けたとしても、意地でも膝をつかずに立ち続ける
躊躇いはない、今回は陵也という素晴らしい守り手がいるのだから
陵也のUC発動後、敵に歌唱に神罰を乗せたシンフォニックソードを向け自己UC発動
この海に沈め、提督!!


七那原・望
ネルソンさん、あなたは正しく英雄だったのですね。

【多重詠唱】【結界術】で戦場を囲み移動範囲を絞ります。
【全力魔法】の強化で自身の【リミッターを解除】、速さの【限界を超え】ます。

お互い退けない者同士、真っ向勝負です。
あなたが例え痛みを感じなくても、無敵の装甲を纏っていても、この剣で真正面から打ち砕きます。

【第六感】と【野生の勘】で敵の行動を【見切り】、【多重詠唱】【全力魔法】【オーラ防御】と【武器受け】で攻撃を防ぎ、防ぎ切れない時はすぐに回避をしつつ、どんな武装、どんな射程範囲であろうとまっすぐ敵の懐まで迫り【絶・蘇威禍割】を叩き込みます。

あなたに略奪者の称号は似合わない。
もう眠ってください。



「どこかから谺する声か。オブリビオンも予兆を見るんだね」
 そう愛らしい声色を奏でるは中性的な容姿が特徴の妖狐の少年、セシル・バーナード(セイレーン・f01207)。
「ご機嫌よう、ネルソン提督。高潔な海の男のまま送ってあげるよ」
 そう告げたセシルの死刑宣告――あるいは最上位の敬意に対して、ネルソン提督は雄大に笑みを返した。
「さて、まずは俺の先制攻撃を凌げるか否かだ――『天使の銃』」
 瞬間、ネルソン提督の身体が変容していく。それは意思無き天使たちを統合してその身に融合させた力であり、顕現するは吸収融合した天使の軍勢を敵に応じた『天使武装』へと変形させる異能。
「お前には……浄化の炎が良いな」
 そうして顕現するのは黄金と純白が融合したカラーリングが施された火炎放射器。
「さぁ、天使とダンスだ」
 そうネルソン提督が呟くと同時に、浄滅の炎がセシルを焦がすべく迫り来る。
「なら、こちらは――狐の嫁入りだ」
 瞬間、ネルソン提督は前髪と額に伝う雫の感触に気が付いた。
「雨……?」
 それに気を取られた瞬間、彼の体が業火に包まれる。
「なぁっ……!?」
「雨は囮さ。本命はその身に宿している天使たち」
 そうセシルが呟く。ネルソン提督は天使たちを取り込んだこどで強化された肉体の回復速度
「奴らに……何を……?」
「催眠術を掛けただけさ。『ネルソン提督を燃やせ』ってね」
 そうして先制攻撃を凌いだセシルは己のユーベルコードを起動。
 自身の周囲の435メートルの空間を微細な粒子を含んで吹き荒れる砂鉄の暴嵐に変容させ、やすりの如くネルソン提督の体を削り取っていく。
「――『砂塵蹂躙』」
 身を削られていく激痛を耐え、顕現させた火炎放射器で吹き飛ばしていくネルソン提督。そんな彼に微笑みかけるは――
「AHEAD,AHEAD,GO AHEAD!だ、ネルソン提督」

「傭兵に高潔さを求めるか……いいさ、成すべきを成すのが、傭兵だ」
 そうワン・イーナ(シンギュラリティ・f30274)は呟き、ネルソン提督が天使を見に宿すならとキャバリアに乗り込んで迎撃態勢に移る。
 ネルソン提督の翳した手から現れる天使達は瞳を覆う聖なる帯の封印を解いて強化されながらワンに迫っていく。
「――騎兵団〈渡り禽〉ワン、出撃するぜ」
 瞬間、キャバリアで真正面低空から突入していく。
「……ジャミングか。天使共に聞くと思っていたのか?まぁ、効いているわけだがな……」
「ハッ、効いているんならこのまま一撃入れさせてもらうぜ!」
 そうして天使たちの猛攻を推力移動で全力回避し、レーザー射撃で迎撃するワン。
「チィッ!流石は幹部級オブリビオンが超強化されているわけだ。まともに相手をしていたら手に負えねぇ!」
 そう言いながらキャバリアの操縦に集中するワン。
 一秒でも気を抜けば天使たちの猛攻に推し負け、海の藻屑と化すだろう。
「そうなっていないのだから賞賛に値するぞ、猟兵の一人よ」
「ソイツは……どうも!追いついたぜ!」
 やがて、ネルソン提督の元へと辿り着くワンのキャバリア。
「突き抜けたぜッワルキューレ!」
『撃てます』
「させん」
 そう言い放ち天使の軍勢を合成させて盾を作るネルソン提督。
 それに対して、ワンは――
「真っ向から行くぜ――『オーバーブースト・マキシマイザー』!!」
 放たれるは全搭載武装の同時攻撃。
 それは多数の天使たちが合成されて形成された盾によって防がれた――
 ――真っ向からは。
「キャバリアか……改めて対峙すると厄介なものがあるな」
 ――真っ向からの砲撃を囮として忍ばせたネルソン提督の背後に展開したファンネルが、彼の肩口を抉っていた。
「そりゃどうも……それじゃあ俺はこの辺でお暇させてもらうぜ!」
 そう言ってキャバリアのブースターを起動させて離脱していくワン。
「これを船でやったのかよ。マジで英雄だな、ネルソン」
 その時に、かつての海戦で見事にその偉業を成し遂げた世界三大提督が一人に敬意を示しながら。

「バルタン、一緒に向かおう!」
「はい、零児殿。共に参るであります」
 そう言って真剣な顔で――真の姿で兎乃・零時(其は断崖を駆けあがるもの・f00283)に応えるはバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)。
「まごうことなき強敵でありますな。……この戦い、興じる余裕はなさそうであります」
「かつての英雄としての奴、か」
 そう呟いて零児は目の前の『英雄』を見据える。
「確かに奴は強敵さ」
 そのありのままの事実を認めながら。
「だけど俺様達二人なら大丈夫、そうだろ?」
「……そうでありますね」
 そう言ってバルタンは猟兵以前の兵器であった頃を思い出しつつも、零児と同じ戦列に並ぶ。
「……うむ。零時殿と力を合わせれば、一騎当千が二騎」
「当たり前だ!なら――」
 そう言って、零児とバルタンは向かい合って信頼の視線を交わす。
「やってやろう、バルタン!」
「万事支障なし、やってやりましょう、零時殿!」
 瞬間、ネルソン提督から絶対先制攻撃権を用いたユーベルコードが二人に襲い掛かる。
「相手は英雄。余力残さず油断もなく、戦闘開始であります!」
「俺様も出し惜しみ無しの本気で行く!」
 そう言って零児はリミッター解除して封印を解く。
「――真・夢《幻/現》未来(ホープフルフィルフューチャー)!!」
 顕現するは追憶キネマで入手した一粒のアクアマリン、「追憶の雫」との共鳴により大人姿に変わっていく零児の姿。
「『六式武装展開、雷の番!』――『荷電粒子体(チャージパーティクルボディ)』!!」
 そしてバルタンは全身を迸る電撃で覆って戦意を高揚させ、戦闘能力と自己加速速度を高めていく。
「ほう……共に自己強化か」
 それでどのように俺のユーベルコードを凌ぐ?、と問いかけるように目を細めるネルソン提督。
「それは――」
「こうする、であります!!」
 そう叫ぶと同時にネルソン提督が放った銃弾をバルタンがファルシオン風のサムライソードで弾き、零児が限界突破した光属性魔法でレーザーを顕現させてネルソン提督を穿っていく。
「俺様は出来る事は何時だって全力でぶつかる事!目を逸らさず突き進む事!そして効いて慄け!俺様の名は兎乃・零時!」
「そして、我輩の名はバルタン・ノーヴェ! いざ、参るであります!」
「「ネルソン提督!!」」
 そんな、二人の猛攻に対して、ネルソン提督は眩いものを見る様にして――
「……何を鑑賞などに浸っているのだろうな。俺は」
 そう、自嘲を滲ませながら二人の挟撃を食らったのであった。

「我が故郷の最大の英雄と戦えるとはなんたる栄誉でしょうか!」
 そう呟く埒外の喜びを表す言葉は、紅茶を愛するイギリス紳士の証。
「かの提督と戦えるのであれば我が方も全力を出しますよ。私は私の義務を果たします!」
 そう銃剣を構えながらイリヤ・クニーガ(銃剣突撃系紅茶紳士・f32101)は突撃する。
 とはいえ、彼は猟兵になってから今回が初の初陣だ。それに対しての敵は『決戦形態(トラファルガー・モード)』となり超強化された幹部級オブリビオンネルソン提督。
 少々、分が悪いと言えた。
「ハッハッハ!これが猟兵の戦いですか!」
 しかし痛快そうに笑いながらイリヤは突撃をやめようとはしない。
『舵輪』――ネルソン提督の脚から現れた天使達が放つ光の槍をギリギリで回避し、または重装備サーベルで切り落としていく。
「……成程、なりたてのようだが猟兵は猟兵か」
 そう呟きながらイリヤへの警戒を強めるネルソン提督。
「では、私もユーベルコードを起動させましょうか――『パンジャンドラム』!」
「ぱんじゃんどらむ……まて!パンジャンドラムだと!?」
 そう言う間にも顕現するはあのパンジャンドラム。
 第三帝国の暴虐を弾劾するべくイギリス軍によって開発された珍兵器であり、寄りにもよってイギリスの大英雄ネルソン提督にその刃……いやパンジャンドラムが向きやがったのである。
「だが、俺もパンジャンドラムの欠点くらいは知っている!」
 そう言って天失態が放つ光の槍で島の地形を荒らしていくネルソン提督。
「これでパンジャンドラムを走行させたら――」
 ――なんか、空を走って来やがるよ。この珍兵器。
 そうして炸裂したパンジャンドラムは、ネルソン提督に大きなダメージを与えることに成功したのであった。

「君の覚悟に敬意を評し、私も正体を明かそう」
 そう言って、白翼形態のウォーマシンがパンジャンドラムによって痛手を受けたネルソン提督の元へやってくる。
「戦乱の世界のとある小国家、その窮地を救う決戦兵器として作られたのがこの私」
 その名はジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/開発コード[Michael]・f29697)。
「数奇な運命の果て、今ここで君と対峙しているというわけだ」
「……数奇な運命と言えば、俺もか。何の因果か銃弾に倒れた後、気が付けばこの大海の世界へと将来されてコンキスタドールとなり、『七大海嘯』の『舵輪』となったのだから」
「だが、今は『舵輪』ではないのだろう?」
 そうジェイミィが問いかけると同時に、ネルソン提督はため息を漏らす。
「……今更な話だが、なり果てたというのが正しいのかもしれんな。今更こうやって海の男らしくありたいなどという女々しい姿がな」
「雄々しいですよ」
 そのネルソン提督の言葉を遮るように、ジェイミィは告げる。
「君が自我ある天使たちを逃した事は知っています」
「……グリモアか。つくづく便利なものだと思うな」
 そう告げると同時、照れ隠しのように翳した掌から天使の軍勢が現れる。
「さぁ、存分に死合おうか……強敵(とも)よ」
 そう告げると同時に、ジェイミィは迎撃態勢に入る。

「(奴が撃ち出してくる天使が厄介だ)」
 そう心中でぼやきながら、ジェイミィは天使が撃ち出される方角を索敵範囲とスキャン間隔の両立に成功した、高性能小型レーダー兼通信アンテナ『WMLD-A400 "PROVIDENCE"』で解析していく。
「――『GAW-WM-209X』!」
 そう弾幕を張りながら弾を見切ると同時、推力移動でダッシュし回避していく。
「――『ERROR CODE:SERAPHIM(キカイジカケノシテンシ)』」
 そう宣言するは己のユーベルコード。ジェイミィの背後に三対六枚の白翼を生やして戦闘能力を増強するユーベルコード。
 ランス形態に変化させた『LONGINUS』と改良されたプラズマソードFS-2『CRESCENT MOONLIGHT』を手にして接近、二振りの武装を振るってネルソン提督へと切り込んで往く。
「出来れば、轡を並べて戦いたかった」
「……それは、俺もだ」
 そう苦くも晴れやかな笑顔を浮かべるネルソン提督の姿をみて、ジェィミィは告げる。
「さらばだ、強敵(とも)よ」
 瞬間、強烈な斬閃がネルソン提督の内部に眠る天使の力を暴発させて爆散させていく。
 ジェイミィは間一髪で転移によって逃れることに成功したのであった。

「……まだ、倒れていねぇのかよ!?」
 そう驚愕の叫びを上げるは転移してきた地籠・陵也(心壊無穢の白き竜・f27047)。
 彼は内部で炸裂した天使の力に蝕まれながらも、立ち上がったネルソン提督の姿を目にしたのだ。
「『ナポレオンを破った男』か――流石だ」
 そう賞賛の声をかけるのは上級階級の手本のような美貌を誇るオラトリオの男性、レスティア・ヴァーユ(約束に瞑目する歌声・f16853)。
「それはどうもだな。俺としてはあの闘いは流れ弾に当たって死んだのだがね……」
 そう言って先制攻撃用のユーベルコードを起動させていくネルソン提督。
「そして、先程の攻撃で殆ど致命傷を負った……だが、諦めんぞ。見るがいい」
 そう言い放って足元から現れた天使達が放つ光の槍、それがレスティアと陵也へと差し向けられる。
「自らの痛覚を捨ててまで……そうまでして求めるものがあるんだな」
「英雄ネルソン、身に余る存在だ。こうして相見える事を光栄に思う」
 それぞれ、そのぼろきれ同然ながらも雄々しく立ち上がるネルソン提督の姿を見て畏敬の言葉を漏らす陵也とレスティア。
「だが――俺たちにも譲れないものはある。だからあんたはここで倒させてもらう!」
「そうだ。貴方には今一度沈んでもらわなければならない。貴方のコンキスタドールとしての宿命、受け入れてもらうぞ!」
 そう言って陵也は結界術を展開し、レスティアはその結界内に入ってオーラ防御を張る。
 強化された結界が、天使たちによって放たれた光の槍を受け止めていく。
「グゥッ……瀕死なのになんていう出力だよ……!」
「流石は幹部級オブリビオン。それが手負いの状態となればさもあらん、だろうな」
 しかし、終わりがないわけではない。やがて結界が三枚残った時点で一旦天使たちの猛攻は治まっていき、ネルソン提督も息を整えていく。
「……だが、次だ。『天使の銃』」
 そう言って肉体を変容させ、対界兵装を顕現させていくネルソン提督。
「……終わらせよう、陵也」
「ああ、攻撃は任せるぜ、レスティア!」
 そう言って二人はユーベルコードを発現させる。
「――『【昇華】恩恵を運ぶ白羽の猫(ピュリフィケイト・ギフトシャットエインセル)』!!」
「――『天使いとの古き盟約(セイクレッド・ジャッジメント)』」
 顕現するはそれぞれが性質を異ならせる光の異能。
 自身の被弾を鍵に召喚した使い魔が放つ光を媒介する癒しの術と、剣先を向けた対象に天から降る無数の聖光で攻撃する治癒と攻撃のユーベルコード。
「エインセル、レスティアの力になってやってくれ!」
 そう精気が凝縮して生まれた羽の生えた子猫、『エインセル』がレスティアに光を振り注がせ、それを元に天から降り注ぐ無数の聖光の威力が増幅されていく。
 それは天からの聖光を相殺せんと対界兵装の銃口を向けたネルソン提督が砲撃を放つと同時に、降り注ぎ――
「この海に沈め、『舵輪』……いや、ネルソン提督!!」

 ……海を、軍服を着た男が漂っている。
 彼は、敗北した。それでもまだ、生きてはいる。
「海……何もしなくても……浮かぶものなんだな……」
 そう、いつかは沈むことを覚悟して目を閉ざす男。

「ネルソンさん、あなたは正しく英雄だったのですね」
「……天、使?」
 ――そこに、目を覆った天使が現れる。

 彼女は、オラトリオの少女七那原・望(封印されし果実・f04836)。
 この戦いにて参加した彼女は、大洋に浮かぶ男の姿を見つけ、介抱していた。
「……俺は……もう骸の海へと還るとはいえ……コンキスタドールだぞ……」
「関係ありません」
 そう言って男の手を取る望の手。
「お互い退けない者同士、真っ向勝負で戦い合って……私達猟兵が勝ちました。だけど、退けない者同士で戦った以上、相手にも敬意を払うべきです」
 ……その少女の言葉に、男は自身が戦場から逃した天使たちを思い浮かべて……
「……俺は、地獄に行くのだろうか。それとも、またコンキスタドールとして蘇るのだろうか」
 どちらにせよ。今この時の男が抱いた願いは叶わないだろう。
 なぜなら、その願いとは……
「……もう一度、気兼ねなく……護国や救国のために……引いては世界を、救って守る戦いに……海の男として……戦いたかった……」
 その願いに、望は手を伸ばし――
「あなたに略奪者の称号は似合わない。もう眠ってください」
 そう言って、物言わなくなった男の瞼を閉ざした。

 そして、願いは叶う。

 ――ここではない何処か、平和な、海が綺麗な世界のどこか――

「ん……何だか、長い夢を見ていたような気がするな」
 そう言って、司令室のデスクでうつ伏せになって寝ていた司令官は目を擦りながら背を伸ばす。
「就任早々、寝坊とか出来んしな」
 司令官は昨日を以てとある空母の艦長として就任した若い男だ。
「さて、資料を纏めた後は艦載機でも見に行くか」
 そうして資料を纏め、司令室を出て艦載機を見に行く司令官。
 そうして辿り着いた部屋に在ったのは――
「……心無き、鋼鉄の天使か」
 そう言って、戦闘機を見上げる司令官。ふと、胸を締め付けるような郷愁がこみあげてくる。
「……命令、守っているか?」
 そう言った後、無性にラムとコニャックを飲みたくなった男は、司令室へと戻ることにする。
 そこへ、カタパルトを用いて離陸した戦闘機が放つ音。
 その音を聞いて、司令官は呟いた。

「……AHEAD AHEAD GO ANGEL」

 ――『ネルソン提督』、ホレーショ・ネルソン。
 ――転生完了、完全勝利。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月14日


挿絵イラスト