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羅針盤戦争〜賞金稼ぎの雄叫び

#グリードオーシャン #羅針盤戦争

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#羅針盤戦争


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「来た来た来た来たァ! 聞いてるか、野郎共!!
 今やグリードオーシャンは、賞金首の巣窟だ!
 どこから涌いて出て、どこに消えてるんだか知らねェが、気が付けば右を見ても左を見ても、賞金首達の話題で持ちきりだ!
 わくわくしねェか、適当に見つけた首一つ狩りゃ、それだけでとんでもねェ賞金が手に入る!!」
 声の主が高らかに謳い上げれば、その海賊船の団員達は一斉に興奮の声を上げた。
「神出鬼没だと聞いちゃいるが、今までの情報からそいつらは『どこか適当に無害な島を蹂躙すれば』慌てふためいてやってくる! これを利用しねェ手はないよなぁ!?」
 声の主の瞳が、獰猛な獣のように野心をぎらつかせながら団員達に叫ぶ。
「そうと決まれば、即決行だ! 適当な島を襲ってノコノコ出て来た賞金首のクビを並べて――この『メリー・バーミリオンの名の元に』祝杯あげようぜ!!」
 メリー・バーミリオン、そう名乗ったコンキスタドールが高らかにサーベルを掲げる。それに合わせて、海賊船団員達から、割れんばかりの歓声が上がった。

●グリモアベースにて
「少々、厄介な事態になった」
 今回の予知を行ったグリモア猟兵、レスティア・ヴァーユ(約束に瞑目する歌声・f16853)は、複雑そうな胸中を表情に隠さずに語り始めた。
「依頼をこなす都度、猟兵達に賞金が掛かっているのは、周知の通りだと思う。――それを狙う輩が現れた。
 メリー・バーミリオン。そう名乗ったコンキスタドールの賞金稼ぎが、直接猟兵を襲うべく、無害な島を襲い猟兵達をおびき出そうとしている。
 正直なところ――予知をする側としては『七大海嘯』の対処対策のみで手一杯だ。
 だが……そのコンキスタドールは、こちらの弱みを的確に知っている。
 無害な島が襲われれば、猟兵は護衛撃退の為に必ず現れる――予知では、それを元にして猟兵を狩り尽くそうとする算段のようだ」
 予知をしたグリモア猟兵は、悩ましいとばかりに僅かに眉間を抑えて続ける。
「だが――そのような外的要因に付き合える時間は無い。状況は一刻を争うのだ。
 よって、今回猟兵の皆には直接メリー・バーミリオンの海賊船にテレポートで乗り込んで、その野望を叩きのめして来てもらいたい」
 端的に要件のみを告げ、それから思い出したように言葉を付け足す。
「言い忘れていた。その行為は猟兵の足を引く程度のものだが――『メリー・バーミリオンは強い』。賞金首の猟兵が目の前に出れば隙も出来るかも知れないが……気を引き締めてもらいたい。
 それでは、どうか宜しく頼む」
 そうして、グリモア猟兵は端的に依頼内容を告げると、静かに頭を下げた。


春待ち猫
 プレイング受付【オープニング公開】から。

 こんにちは、春待ち猫と申します。
 今回は戦争シナリオとなります。その為、可能な限りお早めに返して参りますことから。他執筆シナリオより文字数が大幅に減る可能性がございます。予めご了承ください。

 また、プレイングは早く、当方が書きやすいと判断したものを優先して執筆させていただきます。リプレイ返却につきましては『章クリアの最低人数様のみ』のご案内となる可能性もございます。
 その為、通常ではプレイングに全く問題がないものであっても、流れてしまう事がございます。精一杯執筆させていただきますが、流れてしまったものにつきましてはご容赦いただければ幸いです。

 今回のプレイングボーナスは、
 プレイングボーナス……賞金首になっている。

 となります。『メリー・バーミリオン』はユーベルコードによりましては、かなりの強敵となる可能性があります。状況によりましては、大成功のお客様を優先してリプレイをお返しする形となりますので、予めご了承ください。

 それでは、どうか宜しくお願い致します。皆様の素敵なプレイングを心よりお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『メリー・バーミリオン』

POW   :    野郎共、仕事の時間だ!
レベル×1体の【海賊船団員】を召喚する。[海賊船団員]は【したっぱ】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    お宝発見アイ〜伝説の海賊を添えて〜
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【大海賊の霊】が出現してそれを180秒封じる。
WIZ   :    大逆転! 元の木阿弥大津波
自身の【サーベル】から、戦場の仲間が受けた【屈辱の数】に比例した威力と攻撃範囲の【津波】を放つ。

イラスト:和狸56

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は十六夜・巴です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ジェムス・ゴールドシップ
どうも賞金首の商人です

掛かって来いや小娘。
倒せたなら賞金に加えて店の金も手にはいるお得物件だぞ

…と適当に誘導しつつ相手の品定めを行い
ラスボスらしく油断させて不意打ちを掛けます

最もラスボス変身するから長期戦にもつれ込ませて疲弊させる気満々何だがな



「ヒャッハー! 早速涌いて出やがったな、猟兵!!」
 テレポートにより、猟兵達が直接船に乗り込んでいく。自分の海賊船に湧いたその歪みから、既に待ち構えていたメリー・バーミリオンがその興奮を隠すこと無く声を上げた。
「どうも賞金首の商人です――と、」
 そこから現れたジェムス・ゴールドシップ(経済界のラスボス(多分)・f32116)は、赤の眼を眇めると目の前でサーベルを構えるメリー・バーミリオンを見やり、商人の目利きで相手がどのような存在かを即断した。
「掛かって来いや小娘。
 こちらは、倒せたなら賞金に加えて店の金も手にはいるお得物件だぞ」
「ヒューッ、商人の賞金首なんてツイてるじゃねェか! 有り金まとめて奪ってやんよ!
 ――野郎共、仕事の時間だ!」
 メリー・バーミリオンが声を掛けると、ジェムスの周囲を海賊船団員が一斉に取り囲む。
 だが、両手を組んでそれを見ていたジェムスは、満を持したように一つの袋を団員達に突き出した。
「おら、これは前金だ――捕まえられたらな!」
 そして袋の口を開けば、そこから出て来たのは、こちらの意に従う大量のクリーピングコイン――『空飛ぶ金貨の大群』が一斉に空を舞った。
「Gだーーー!!」
【したっぱ】属性の団員達は、クリーピングコインに目が釘付けになって、完全に戦闘どころではなくなった。
「え、あ、オマエらー!!」
 メリー・バーミリオンが声を上げるが、散り散りになる団員と共に、自身も舞い飛ぶGに気もそぞろになる。
 その隙をついて、ジェムスはユーベルコード【ラスボス変身】を発動させた。
 ジェムスの概念としては、経済界のドンであるが、ユーベルコードを使用した今は物理のラスボスである。
 ラスボスアーマーをそれらしく身に纏い、変身して四本となった腕のうち二本を、疑似生命体:シャチに変えてメリー・バーミリオンにけしかけた。
「ギャー! 何しやがる、このシャチ野郎!!」
 あっという間に、メリー・バーミリオンが容易く足と腕を噛まれ、怒鳴り声と共に怪我を負いながらもそれを振り払う。 
 ――長期戦にもなりそうにない。
 強いと聞いていたが、実はこれ弱いのでは――?
 それは、ジェムスの脳裏にうっすらとそんな予感を浮かべずにはいられない光景だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エィミー・ロストリンク
【POW】
ヒャッハー、新鮮な賞金首狩りさんだー!
だけど、関係のない島を襲うなんて許せないね!

キャバリア・アカハガネに搭乗して参戦
手配書ではアカハガネの姿になっているので、そっちの方がわかりやすい
恐らく赤い鋼鉄の悪魔とか呼ばれているだろうが、お構いなく両腕のガトリングキャノンを撃ちまくる
さらにUC「CN:23の雷雲の無限竜を制し者の権能」を発動して、90体以上のクローンドラゴンを生み出して、雷のブレスで下っ端海賊を攻撃させる
さらに雷雲の海で敵を分断して、背中のアンカーで立体機動しながらメリー・バーミリオンにガトリング弾幕を食らわせる

ヒャッハー! 賞金首狩り狩りの参上だよー!



 空間を歪ませて、メリー・バーミリオン達の海賊船団の前に現れたのは、血よりも鮮やかな赤い巨躯の鋼兵だった。
「え――っ?」
 思わず海賊船団員全員から例外なく声が上がった。メリー・バーミリオンも同様に、その脳内にあったのは、船に来る以上『大体人間サイズ』だと思っていたのであある。それがまさか、体高が自分の倍以上の躯体として船上に現れるのは、かなりの想定外だったのである。
 確かに、手配書の賞金首一覧の中にはメカの存在もあった。だが、間近で見たこの迫力たるや。
 しかし、コンキスタドールの大型船であるこの船は、幸か不幸かそれで沈む事は無い。
「ハッ、臆するんじゃないよ! 野郎共!!
 よく見りゃコイツぁ、五ケタの賞金首『赤い鋼鉄の悪魔【エィミー・ロストリンク】』じゃねぇか。こんなビッグネーム逃すんじゃねぇよ!!」
 気を取り直し、勢い良くサーベルを差し向けたメリー・バーミリオンの号令と共に、集まった海賊船団員が一斉にその周囲を取り囲み、取り付こうと襲い掛かる。
 だが――それらは赤鋼の機兵から放たれた両腕のガトリングキャノンで、ポップコーンの如く弾き飛ばされた。
「「ぎゃあー!」」

「ヒャッハー、新鮮な賞金首狩りさんだー!
 だけど、関係のない島を襲うなんて許せないね!」
 ガトリングキャノンを撃ち放つ赤のキャバリア・アカハガネ内コクピットにて、操縦者である澄んだ紅色の眼に銀の髪を燦めかせた乙女、エィミー・ロストリンク(再臨せし絆の乙女・f26184)は、その瞳を眩いばかりに輝かせていた。
「イケイケGOGO! もっとやっちゃえー!」
 そして、猟兵として存在している少女のユーベルコード【CN:23の雷雲の無限竜を制し者の権能】をキャバリア越しに展開し、駄目押しとばかりにその上空を90体以上にわたるクローンドラゴンで覆い尽くしていく。
「「ひぃぇえ!! なんだありゃー!」」
 甲板から団員達の悲鳴が上がる。それをクローンドラゴンたちはサンダーブレスと共に容赦なく掻き消した。
「――んー、もうちょっとで届きそう!」
 アカハガネのメインモニターからその様子を見ていたエィミーが、ドラゴンと同時に生みだした重く湧き立つ雷雲の海で、団員達とメリー・バーミリオンを完全に隔離断絶した。そして、空を舞うドラゴンの一匹に背後からアンカーを射出し、一気に空へと飛翔する。
 そして、アンカーによる長距離飛翔により、一気にメリー・バーミリオンの背後に回った赤の鋼騎兵は、一瞬にしてガトリングガン型メガリス『Black・Breaker』オルトロスを斉射爆撃した。

「ヒャッハー! 賞金首狩り狩りの参上だよー!」
 エィミーの宣言に相応しい無数の魔法弾頭が、清々しいまでの激しい爆音と共に放たれる。それらは、加減容赦なく一斉にメリー・バーミリオンへと叩き付けられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラモート・レーパー
「考えてみたら貴方たちに賞金無いのっておかしな感じよね」
 お姉さんの姿で戦う。
 UCで戦場に病魔を蔓延させて敵の下っ端を蹴散らす。(ワクチンは事前に味方に渡しておく)
 メリー相手には黒剣をヨーヨーやボーラーあたりで拘束し、特別強力な病魔を接吻で植え付ける。
 



 その空間が歪んだ瞬間と、今まで煌々と天上から差していた太陽の光が消えたのは、ほぼ同時だった。
 現れたのは、宵闇と星月が支配する世界。メリー・バーミリオンはその変化に戸惑いながらも、歪んだ空間から出てくるであろう存在を、サーベルを片手に待ち構えた。
 そして現れたのは、一人の色香に溢れる妙齢の女性、ラモート・レーパー(生きた概念・f03606)――賞金首の張り紙とは異なる姿をしており、特定こそ出来ないが、その存在から漂う死の概念が、ただの猟兵とは異なることをひしひしと伝えてくる。
「油断するんじゃねェ! こいつは間違いなく賞金首だ!! ――ノシちまいな、野郎共!」
 メリー・バーミリオンの呼び掛けに応じ、どこからともなく海賊船団員が姿を現す。先程から、他の猟兵が団員達を派手に吹き飛ばしたりとやりたい放題ではあったが、それでも総数が減ることはない。これは間違いなくコンキスタドールによる、一種の召喚ユーベルコードなのだ。

「考えてみたら貴方たちに賞金無いのっておかしな感じよね」
 しみじみと――場違いなまでに、長閑やかな声が響いた。だが、オブリビオン故に――コンキスタドールだからこそ分かる、対峙する相手から漂う死の気配は決して消えない。
「油断するんじゃない! やっちまいな!!」
 今までにかつて無い程の緊迫感が海賊船団員達に走った。その糸が切れたかのように、次の瞬間には、ラモートの元へと刃を手に一斉に襲い掛かって来る。
 それを、ラモートは大きく後ろに飛び退き距離を取ると、謡うように吸い上げた空気を軽やかに団員達に吹きかけた。
「『』の役目を持って、生命の均衡と調停を行う」
 ユーベルコード【間引きの厄災(マビキノヤクサイ)】――言葉の形とならないそれは、存在している以上、必ず訪れる免れ得ぬ存在――その威を司った、高濃度かつ強力な病魔を含んだ吐息を、ラモートはまるで恋人に触れるような色香と共に、海賊団員達に風のように吹き届けた。
 その吐息を吸った団員達がもがき苦しみ、皆が見る間に倒れ伏していく。
 既に辿り着いていた猟兵達に被害が出ていないのは、事前にグリモアベースで渡して置いた解毒薬のお陰に他ならない。
 そして敵は――メリー・バーミリオン一人。
「チィッ! よくも!!」
 サーベルを構え、メリー・バーミリオンがラモートへと突進して来る。
 それを目に、ラモートは腰に掲げていた黒剣をゴシックな黒薔薇を象るヨーヨーに変えると、相手へと投げつけた勢いで身体に巻き付け縛り付け、一気に拘束して相手の自由を完全に奪い取った。
「うおっ、フザケんな! 放しやがれ!!」
 体勢を崩し、無様に床に転がるメリー・バーミリオン。ラモートはその相手に近づくと顔を近づけ、そっと唇を重ねると、吐息に一際の深淵に位置する強力な病魔を乗せ、その呼気を吹き込んだ。
 ――相手に拒否権はない。拘束が解けたメリー・バーミリオンは、それでも尚しばらく呼吸もままならない状態で甲板に悶え、その身を苦しみにのたうち回らせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:灰遠雷、黒燭炎

主にわしが暴れておるからのう…うん。四人なのに手配書一枚という。
こういうとき、不思議に思うな…。

早業での制圧射撃つき【四天境地・雷】にて。数が多けれど、これの矢は相応に増え、さらには逃げられぬよ。
弱点?さて、考えてみよ。

接近されようと、内部三人の操る四天霊障による結界術とオーラ防御で弾くし。
なんなら、わし、本当は切り込み前衛、最近は破壊担当ぞ?
黒燭炎でのなぎ払いで対応するが。
『侵掠如火』の体現であるからな!



「けほっ、こほっ……やって、くれるじゃないかい!」
 先の戦闘で血を吐いた口許を、メリー・バーミリオンが乱暴に拭き払い、サーベルを携え直す。
「こうなりゃ、まとめて相手してやるよ!」
「ほう、その言葉に偽りはないかの?」
「――!」
 メリー・バーミリオンの視界外から声が掛かった。
 そこには、気付かぬ間に、自分の顔の手配書を持った一人の男――馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の姿があった。
 義透は、さも悩ましいと言わんばかりに、手配書の自分の顔と名前を凝視している。
「主にわしが暴れておるからのう……うん。四人なのに手配書一枚という。
 こういうとき、不思議に思うな……」
 義透は、死したる意志が四体で『ひとつ』という単位を構成している存在。
 今回の戦争において、主に表に出ているのは、その四体の内の一人『侵す者』である自分――こうなると、ここに刻まれるべき名前は、自分である『馬舘・景雅』が適正なのか、それとも、やはり今が四人である以上、複合としての新名『馬県・義透』が適切なのか分からなくなる。
 しかし、そんな心境を叩き壊すようにメリー・バーミリオンの声が響いた。
「てめェは賞金首【馬県・義透】じゃねぇか! さっきから押され気味だが、景気付けだ! まずは、てめェの首から弾き飛ばしてやンよ!!」
「ならば、相手をしてやろうぞ。
 ――お前には、永劫届かぬ首であろうがな」
 互いの間に殺気が満ちる。
『侵す者』武の天才と、賞金稼ぎとの火蓋が切って落とされた。

 先制を取ったのは、義透の方だった。義透は躊躇いなく即座にユーベルコード【四天境地・雷(シテンキョウチ・カミナリ)】を発動させた。
 勇ましき弓引き姿、雷の力を持った強弓・灰遠雷に悪霊として蘇りし力の呪詛が満ち、引き放たれたものは黒い雷を纏う矢となり、メリー・バーミリオンを捕捉する。
「こんなもの――!」
 メリー・バーミリオンはその初撃を軽やかに躱し、弓の間合いの更なる内に入ろうとするが、立て続けに放たれた第二射、第三射の弓は、無数の黒雷の矢をして分裂し、その動きを追尾するように飛来してくる。
 矢はその身のあった甲板を容赦なく撃ち抜いていき、メリー・バーミリオンは回避の為に動きを割かれて、義透に近づくことすらままならない。
「数が多けれど、これの矢は相応に増え、さらには逃げられぬよ」
「チッ……! だが、この手のモンには必ず弱点があるはずだ!」
「弱点? さて、考えてみよ」
 追撃する矢を既の所で逃げ惑うように回避しながら、メリー・バーミリオンが不意に片手を大きく上げた。
「そう――こちらを的確にホーミングする弓って事は、見えない視界外の敵には無力であろうさァ!!」
「――」
 メリー・バーミリオンがユーベルコード発動の条件――【相手のユーベルコードに対する弱点の実証】として、その合図と共に、義透の背後を先程までの戦闘で転がっていた船団員が、最後の力でその背中を撃ち抜くべく、構えていた銃から弾丸を放つ。
 しかし――それは、義透が振り向くまでもなく、激しい音と共に弾かれて地に落ちた。
「何ィっ!?」
「甘いのう。内部三人の操る四天霊障、甘く見るでないわ。
 さて。どのみち、このままなぶり殺しというのは些かわしの性には合わん。
 こちらは――『侵掠如火』の体現であるからな!」
 義透が吼える。手にはいつしか強弓・灰遠雷の代わりに、純然たる己の力の象徴である槍、黒燭炎を手にして。
「――!!」
 メリー・バーミリオンは声を上げる余裕もなかった。
 刹那、対象を見失う程の速さで義透が迫り、相手がサーベルで防ぐことも侭ならぬ速度で黒燭炎によりその身を真横になぎ払う。その後を追うように、コンキスタドールの身から血が奔り散った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
連○/ア○

はぁいどうも
神出鬼没のつゆりんです

★靴に風魔法を宿す事で跳躍力を上げ
飛行出来なくてもある程度の移動を可能にしておく
【聞き耳】で敵の動きにより発生する衣擦れや風切り音など
僅かな異音も逃さず聞き取り
隙ができるまで【ダンス】の要領で回避行動を主軸にしながら
【催眠術】を乗せた【歌唱】で判断力を低下
目線の【誘惑】で全体の統率を崩させる
囲まれたらかかってきたところで頭を踏み台に飛び越えるジャンプで
頭ゴッチン自滅させたり

そんな範囲攻撃したら仲間巻き込むよ

津波の予兆が見えたら高ジャンプしつつ
【高速詠唱】で氷魔法の【属性攻撃】で
出始めの威力が小さいうちに凍結

残念でした

【指定UC】の追尾で攻撃


アルデルク・イドルド
アドリブ歓迎

なかなかやっかいな事になったもんだな。
懸賞金をかけてるのは知ってたがまさかそれに乗ってくるやつがいるとはな。
戦争に参加してる猟兵を倒せばだいたい賞金が入るわけだからおいしいっちゃあおいしいんだが。
…だが頭は回る。猟兵が島を襲えば来るってのを理解してやがるからな

まずは自分が賞金首だと名乗りを上げて【挑発】して得意な【船上戦】に持ち込む。
UC【海賊王の怒り】を発動したのち。
ブランダーバスによる【範囲攻撃】よる【制圧射撃】
メリーとの戦いに持ち込めばカットラスで斬り合い【カウンター】や【咄嗟の一撃】を狙う。

あとは己の【幸運】が頼りだな。

まぁ、文字通りこの首は安くないんでね抗わせてもらうさ。



「やれやれ、なかなかやっかいな事になったもんだな」
 メリー・バーミリオンが他の猟兵と組合い、迂闊に手を出せば巻き込まれる事を察知して、アルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)は、一歩引いた場所から今一度戦況を振り返っていた。
(懸賞金をかけているのは知ってたが、まさかそれに乗ってくるやつがいるとはな。
 まあ、戦争に参加してる猟兵を倒せばだいたい賞金が入るわけだから、おいしいっちゃあおいしいんだが)
 海賊商人の見解として、Gを稼ぐつもりならば、この状況は賞金稼ぎとしては確かに入れ食い状態であろうとは思う。
 一見、その思考は短絡であり、見る限り行動も大雑把――だが、
(……だが頭は回る。猟兵が島を襲えば来るってのを理解してやがるからな)
 この一点、これを踏まえ心得ておかなければ、油断から想定外の出来事で相手に足元を掬われる。これは、アルデルクの確信だった。

「さて、どうしたものか」
「――はぁいどうも。
 神出鬼没のつゆりんです」
「うおっ」
 攻めあぐねるアルデルクの元に、ひょいと栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が顔を出した。
「海賊船団員がいる以上、乱戦が避けられないと思うから、ここはその中で戦況の占有権を得るしかないと思うんですよね」
 そう言いながら、澪は己の靴・Venti Alaの踵を軽く鳴らす。すると靴からは純白の羽根と共に小さな風の魔力が渦巻いた。
「――だな。行くか」
 それを見たアルデルクも、改めて己の意を固める。そして、手始めの武器としてパイレーツダガーを手にすると、メリー・バーミリオンの前に飛び出した。

「新手かい? へぇ! 五ケタ賞金首の【アルデルク・イドルド】に、賞金額の目玉【栗花落・澪】!!
 そちらから来てくれるだなんてツイてるじゃねェか! 今日は天使の降臨かい!? 雁首並べて船首に並べて飾ってやンよ!!」
 賞金稼ぎとして、二人を見たメリー・バーミリオンの瞳がギラギラと輝いた。
「向こうから言われるとは、名乗りを上げるまでもなかったな。
 ――まぁ、文字通りこの首は安くないんでね。抗わせてもらうさ」
「どこまで足掻くか見せてもらおうじゃねェか!
 うぉら! 野郎共出番だよ!!」
 メリー・バーミリオンが、甲板の一部が黒山となる程の海賊船団員を召喚し、一斉に二人を取り囲む。
「――それじゃ、始めようかな」
 その中心において。澪は、花びらの揺れる音を聞くように意識を集中し、僅かな違和を感じる音全てを拾い、その対処が出来るようAngelus ametを手に身構えた。
 耳に、海賊船団員が一斉に、こちらに向かって甲板を蹴りつける音が響く――。
 それは、まさしく開戦の合図――澪は、こちらを刃の燦めきと共に斬り捨てようとする一閃を、たった一歩のステップで避ける。次の一撃は軽やかに身を翻して擦り抜け、その先に待ち構えていた刃は、いつしか紡ぎ拡散し始めた澪の歌声と共に、その跳躍によって何も無い中空を裂いた。
 歌い上げ、舞い、躱す――それは澪の為に誂えられた舞台のようだった。敵の数が多く捌き切れない刃が、その身体にいくつかの傷をつけるが、澪はその歌を止めることはない。
 段々と。その場の敵達による攻勢の意が低くなってきた。澪の歌を聴いた敵による、振り下ろされるカットラスは朦朧とした様子で精度を下げ、ただ闇雲に振り回されるものへと変化していく。
 そして、澪が敵へ向けた魅了の眼差しは、ついに何体かの敵の攻撃を完全に止めさせた。

 ――全体の統制がばらばらと崩れていく。アルデルクはその瞬間を見逃さず、己のユーベルコード【海賊王の怒り】を発現させた。己に巻き上がるオーラと共に、澪とその場に戦う猟兵全員の負傷をトリガーとして、爆発的に己の攻撃回数を跳ね上げる。
 そして放たれたアルデルクの手にあるブランダーバスは、迫り来る船団員達の壁に鉛の弾の嵐を起こし、メリー・バーミリオンまでの無慈悲なまでの風穴を開けた。
 アルデルクは、躊躇わずその空間に身を躍らせると、パイレーツダガーを捨て、愛用のカットラスを抜き、勢いそのままにメリー・バーミリオンに斬り掛かる。
 敵の左腕から、激しい血飛沫が噴き上がった。
「やってくれるじゃないかい!」
 アルデルクは、それでも止むことのない、敵のサーベルによる怒濤の連撃を見切りながら、更に深く敵の懐に飛び込み、カットラスの刃を叩き付ける。
 敵の叫び声が響き渡った。綺麗に決まったカウンターに、アルデルクは満足げに頷いてみせる。
「俺の幸運も悪くないもんだな」

「――おっと」
 同時に――戦線は崩れても、海賊船団員の数が大幅に減った訳では無い。囲まれていた澪は己の羽根を一打ちし、敵の一体の両肩に手を掛けると、その頭を踏み台にして、自分に迫り来る敵側へと蹴り飛ばすようにジャンプした。船団員は無残にも敵の中に飛び込み、巻き込まれるように頭同士をぶつけ合って自滅する。
 澪はそのままメリー・バーミリオンの前に舞い降りるように着地した。今までの戦いで血に塗れた相手はギョロリと目を剥き、己が手のサーベルを澪へと突き付ける。
 瞬間、その先に水が湧き上がり始めた。それは、今まで殺した仲間の屈辱を呑み込んだ大津波を生み出そうとしている――。
「いいの? そんな範囲攻撃したら仲間巻き込むよ」
 澪は一言置いて、再び高く空へとジャンプすると、手に変えたStaff of Mariaをメリー・バーミリオンへと差し向ける。
 込められた魔力は氷結属性の魔法として形取り、瞬時に津波の予兆となる海水ごとメリー・バーミリオンのサーベルから先の腕を凍り付かせた。
「残念でした」
 そして、再び甲板に降り立った澪は、ターゲットとして間髪入れずに相手を指差し、ユーベルコード【Orage de fleurs(オラージュ・ドゥ・フレア)】を発動させる。次の瞬間には、巻き起こる呼吸することすらままならない無数の花の嵐が、メリー・バーミリオンを包み叩きのめすように打ち据えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベルカ・スノードロップ
まったく…こんな穴だらけでザルな事考える輩になんて負けられません
と対抗心を燃やして《指定UC》発動

賞金という【誘惑】で【おびき寄せ】て【蹂躙】する【だまし討ち】としましょう
船に乗り込み【船上戦】と【足場習熟】で立ち回ります
【集団戦術】は『対集団の戦術』として活用します


キャプテンが女性だと海賊船団員も女性ばかりですね
シェンヌ・ダルジャンで【武器落とし】から落とした武器を【盗み】、【鎧砕き】で丸裸にしてから、芸術的に縛り上げて【吸血】して【生命力吸収】します
シェンヌ・ダルジャンの扱いは【ロープワーク】駆使しますよ

女海賊団相手ですし、もう少し色気があってもよかったのですけど
戦争ですし速攻でいきますね



 そうして、猟兵とメリー・バーミリオンとの戦闘が熾烈を極める中――。
「まったく……こんな穴だらけでザルな事考える輩になんて負けられません」
 ――確かに、無関係な島が狙われては猟兵としては出ざるを得ない。だが、まるでエサで釣られたようなこの不快感たるや。
 自分ならば、もう少し優美な手段を取るというものを――
 このような相手に『負けられない』、ベルカ・スノードロップ(少女を救済せし夜の王【中将】・f10622)はその対抗心を元に、己のユーベルコード発現条件の布石を置く。その姿をメリー・バーミリオンが見咎めた。
「さァ、そこのネーチャ……男か! しかも12,000Gの賞金首【ベルカ・スノードロップ】!」
「情報が古いですね、今は14,400Gになりましたよ」
「コイツぁイイ!」
 自分の記憶より更に跳ね上がっている賞金額にメリー・バーミリオンの目に金に心奪われたGの文字が浮かび上がる。
「野郎共、仕切り直しだ! 今までがちょっとツイてなかっただけだ。まずはコイツを狩って景気付けといこうぜ!」
 賞金首を前に、浮き足立つメリー・バーミリオンが歓喜の声を上げる。
 ベルカはその様子を目に敢えて両手に何も携えないまま、にこにことメリー・バーミリオンが近づいてくるのを眺め。そして、
「ヒャッハー! その首もらったー!」
 メリー・バーミリオンから振り上げられたサーベルを、紙一枚の無駄もなく軽やかに躱すと、浮かべた微笑をそのままに、手にした黒の闇と金の光の魔術配列を浮かべる鎖シェンヌ・ダルジャンで、相手の後頭部を複数回にわたり、全力で叩き付けるように打ち据えた。
「グハッ!」
 ものの見事に油断しかなかった。あっけなく甲板に這い蹲ったメリー・バーミリオンに『相手が認識しないうちに勝利条件を満たす』という条件を満たしたベルカのユーベルコード【チャンピオンシップ(チャンピオンシップ)】が発動し更にダメージを与える。
「ぐっ……この……っ!」
 よろけながらも立ち上がったメリー・バーミリオンが、カウンターとしてユーベルコード【大逆転! 元の木阿弥大津波】を放つが、ほぼ条件を満たしていないそれは、押し寄せた波で甲板を水浸しにするに留まった。
 ベルカは揺れる船と水浸しの足場を、今までの経験により器用にも軽やかに進みながら、先に団長が床に伏した様子に動揺を隠せないままに、襲い掛かって来た団員達を見やる。
「キャプテンが女性だと海賊船団員も女性ばかりですね」
 だが、海賊船団員達の動きは、一気に水浸しとなった甲板のせいで精彩に欠けている。ベルカはその不利を容赦無く突いた。
 手にしている鎖・シェンヌ・ダルジャンで武器を持つ船団員の腕を打つと、衝撃に落ちた武器を拾い上げ、返す腕でその柄を以て、相手の装甲の薄い鎧を打ち砕く。
 そして、セクシャルな姿が露わになった女性海賊船団員をそのまま鎖で芸術性を感じさせる様式で縛り上げ。ベルカは抵抗すら奪われた相手の首筋に、見ている側がうっとりするような仕草でヴァンピールの牙を突き立て、その生命力を吸収して完全に骨抜きにした。
 流れるような一連の行動に、見る間に何人もの船団員が倒れていく。
「女海賊団相手ですし、もう少し色気があってもよかったのですけど――戦争ですし速攻でいきますね」
 搾取、そして撃破。ベルカは吸血で僅かに紅に染まった口許を手の甲で軽く拭き取り、更なる次の獲物を狙うべく、琥珀の瞳を滑らせた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
無害な島を襲っての誘き寄せ…騎士を相手に良き度胸です
いいでしょう、ご婦人のお招きを無下にせぬのも騎士の務め
お相手させて頂きます

大量の海賊団員を擁する船
広い甲板ですね
物資収納スペースから二本のUCを取り出し刀身を長く厚く伸ばした質量無き光刃形成

脚部スラスターの●推力移動で突撃しつつ手首関節を高速回転
グラインダーの様に焼き切って斬り捨てつつ賞金首に接敵

一騎打ちなど野暮は申しません
海賊流でお相手させて頂きます

センサーでの●情報収集と瞬間思考力で周りの団員の接近と攻撃を●見切り躱し倒しつつ切り結び
隙と見て襲い掛かる賞金首に脚部からUC展開
蹴りの動作で斬りつける●騙し討ち

海賊流と言った筈です



「はっ! 私ァまだまだやれる!! いくらでも涌いて来やがれ、こうなったら誰彼構わず狩り飛ばしてやるぜ! まずはテメェからだ!!」
 あちこちを負傷しながらも、メリー・バーミリオンはその胆力で立ち上がる。その指を差した先、そこに立ち塞がっていたのは一人の騎士――否、一体のウォーマシン。
「無害な島を襲っての誘き寄せ…騎士を相手に良き度胸です。
 いいでしょう、ご婦人のお招きを無下にせぬのも騎士の務め――お相手させて頂きます」
 僅かに機械掛かった、それでいて尚凜々しい声。トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は改めて戦場となっている甲板の広さを、全環境適応型マルチセンサーにより、コンマ単位の時間で確認していく。
 多人数の海賊船団員を擁する船として、十分な広い甲板。これならば、得物を振るうには躊躇うこともない。
 トリテレイアは己のユーベルコード【大出力可変式/足部隠蔽収納式擬似フォースセイバー(フォースセイバー・イミテイト)】より、柄から二振りの白光の刃を生み出し構える。それを迎え撃つように、メリー・バーミリオンも己の海賊船団員を一斉に召喚した。
 それを目に、トリテレイアは己の脚部格納型メインスラスター(ターン・姿勢固定用伸縮式パイル内蔵)&サブを瞬時にフル稼働させると、白刃を持つ手首関節をグラインダーを想起させる速さで回転させ、その身を敵陣へと突進させた。
 船団員が次々に焼きちぎれるように弾き斬り飛ばされていく。それでも海賊船団員の数は群れを成し、総数が減る様子は無い。
 しかし、メリー・バーミリオンへの距離は確実に縮まった。敵首魁の手前、あと一歩の所で最後の壁とばかりに船団員が集まって来る。
「一騎打ちなど野暮は申しません。
 ――海賊流でお相手させて頂きます」
 その言葉に、メリー・バーミリオンが不敵なまでの笑みを口許に刻み、一斉にトリテレイアへサーベルを向け、船団員達をけしかけた。
 トリテレイアの、パッシブ・アクティブをフル活用させた全環境適応型マルチセンサーが、激しい演算と共に、敵の分析と即時断決できる最適解を叩き出す。
 双剣の白刃が別方向から来る船団員達の攻撃を一斉に防ぎ弾き飛ばした。同時に敵の攻撃を躱しつつ、返す刃で相手を瞬時に複数斬り伏せる。
「見つけたぜ! 隙ありィ!!」
 双剣が群れる船団員によって塞がった瞬間――上空から高い跳躍と共にメリー・バーミリオンがトリテレイアへとサーベルを振り下ろす。
 刹那――激しく甲板を蹴り上げたトリテレイアの爪先より、レーザー光で構成された奇襲用の鋭い光刃が、完全なる不意討ちとして、襲い来るメリー・バーミリオンの胸を貫いていた。

「こ、の……! 卑怯野郎!」
「事前に――海賊流と言った筈です」
 そして、光刃が消える――メリー・バーミリオンは、胸を地に染め甲板へと倒れ落ちた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリエ・イヴ
アドリブ◎
島なんか荒らさなくても相手してやるよ
ハッ!狙うならしっかり狙いな
賞金首《俺の首》はここだ
トントンと指先で首を示し挑発だ
まあ…そう簡単にやる気もねぇけどなッ!

覇気飛ばし、したっぱ共を威圧する
この程度でおちるヤツじゃ
愛しあうには足りねぇなぁ…!
まあ、耐えたからといって
それだけで受け入れるわけでもねぇけどな
次はコイツだと
アハ・ガドール、碇と鎖をぶんまわし
有象無象をさらに減らそう

敵の頭への道が開けたら
真っ直ぐ前へ
よぉ、やっと会えたなハニー?
距離を詰めて切り込み
攻撃を剣で受け止める
あれだけの前菜を用意したんだ
メインディッシュらしく楽しませてくれよ?
何度か切り結んだら
一気に踏み込み【獰猛な海】



「……」
 数多の攻撃の末、今までの威勢も全てが消えつつある。そのコンキスタドールとしての本性を露わにし始めたメリー・バーミリオンは、片膝をつきサーベルを支えにして、血溜まりの中で荒く獣のように息をついていた。
 その凄惨な様を目にして尚、アリエ・イヴ(Le miel est sucré・f26383)は、相手を話に聞く賞金稼ぎとして扱った。
『過去と云う骸の海から生まれた滲み』であっても、それが唯一の手向けとなると疑うことなく。

「島なんか荒らさなくても相手してやるよ」
「……――賞金首……!」
 メリー・バーミリオンが、己の血に濡れたサーベルをアリエへと向ける。
「ハッ! 狙うならしっかり狙いな。
 賞金首――《俺の首》はここだ」
 不敵に深く、笑みを浮かべながら。アリエは己の首筋を指で軽く叩き指し示す。
 次の瞬間、よろめきながらも獣の眼を向けた、無言のメリー・バーミリオンを守護するように、ユーベルコードにより無数の海賊船団員が立ち塞がった。
 メリー・バーミリオンが言葉無くサーベルをアリエへと向ける。言葉一つ放つことはない。だが、その無音の号令を伴って。船団員は各々の武器を手に、一斉にアリエを取り囲んだ。
「まあ……そう簡単にやる気もねぇけどなッ!」
 瞬間、アリエの海賊団ロールボアの船長としての覇気が、目に可視化されるのではないかと思われるほどの威を伴って船団員達へ叩き付けられた。
【したっぱ】の域を出ない船団員達はそれに仰け反り、他には他愛なく腰が完全に抜け尻餅をつく者まで出始める。
「この程度でおちるヤツじゃ、愛しあうには足りねぇなぁ……!」
 敵が退き、アリエの周囲に空間が出来上がる。しかし、先の威に怖じ気づかなかった船団員が、手にカットラスを構えアリエに襲い掛かった。
「まあ、耐えたからといって……それだけで受け入れるわけでもねぇけどな――!」
 それをアリエは伸縮自在の鎖で繋がれた碇、アハ・ガドールで紙切れのように弾き飛ばした。
 吹き飛ばされた船団員が甲板に落ちるのを引き金に、一斉にアリエに向かってなだれ来るように船団員達が飛び掛かる。
 その全てを一切気に留める様子も無く、アリエは正面へと歩き出した。そしてアリエは歩みを止めないままに、襲い来る船団員全てをアハ・ガドールで蹴散らし進む。
 そうして――残ったものは、戦意を完全に喪失した船団員と、正面に見えるメリー・バーミリオンのみ――

 フラフラになりながらも敵意を露わに立ち上がる敵を前に、アリエは海の王者の風格を以て応えた。
「よぉ、やっと会えたなハニー?」
「貴様の、首だけでも――!」
 言葉は最後まで紡がれなかった――互いの姿が、瞬息の速さで迫り、激しい剣戟の音が周囲に響き渡る。
「あれだけの前菜を用意したんだ。
 ――メインディッシュらしく楽しませてくれよ?」
 コンキスタドール、賞金稼ぎメリー・バーミリオンは、先の弱々しさが嘘のように、サーベルの素早くも重い一撃を叩き込もうとアリエに迫る。
 アリエもそれをレーシュで受け流しつつ、反撃に転じては互いの攻防を繰り返す。
 ここに来て、戦力は尚も拮抗に近く。
 しかし数度、鍔迫り合いからの斬り結びを交わし、互いが距離を取った瞬間――アリエがレーシュにユーベルコードを乗せ、メリー・バーミリオンに迫った。

「――その命、海に還してやるよ」
【獰猛な海(ヴァグディヴォリ)】――鋭い踏み込みによる袈裟斬りがメリー・バーミリオンの胴体を袈裟斬りにする。そしてバックステップから繰り出された剛毅なる覇気を纏わせた一撃が、完全にメリー・バーミリオンの身体を斬り裂き、その身を刃が貫いた。


 そして――メリー・バーミリオンは塵となってこの海域から消え去った。
 引き連れていた海賊船団員も船も、全てが揺らぎ、骸の海へと還っていく。
 船が完全に消える前に、猟兵達は転移で無事グリモアベースへと帰還した。

 コンキスタドールの賞金稼ぎ、撃破。
 この騒動自体において、猟兵達が得られたものは少なかったかもしれない。
 しかし、この戦いは、今繰り広げられている羅針盤戦争における脅威の一つを、確実に摘み除いた一戦であったのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月12日


挿絵イラスト