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#アリスラビリンス #猟書家の侵攻 #猟書家 #ドクター・ハデス #バロックメイカー

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「矮小! 貧相! あまりに不毛!」
 とある病院じみた建物の深奥、若い男のヒステリックな叫びが響く。
「君はアレかね! その果てしなき大平原に、少しでも恵みを与えたいと。心の底から思っているのかね!?」
 薄暗い手術室じみた部屋を歩き回り喚きたてる男。その貌は整ってこそいるものの、浮かべる表情は異様なる笑みの形に歪み。眼鏡の下で爛々と輝く瞳は、知性と共に果てしなき狂気を窺わせるものだ。
「思ってるわよ!! 私だって、私だって! ボインでバインなむちむちボディになって! 男共にチヤホヤされたいのよぉ!!」
 部屋の中心、手術台じみた椅子に拘束された少女が、男に負けじと叫ぶ。輝く金髪、煌めく紅瞳。しなやかな四肢と細身の身体。紛い無き美少女と称し得る彼女、その胸は――悲しい程の虚無たる平面。およそ一切の膨らみが見えぬ大平原であった。
「ならば思い出したまえ! その貧相を蔑む男達の罵声を! 己の豊満を誇示する女達の嘲笑を! 上っ面だけの貧乳許容の言葉達を! 世に溢れかえる、豊満を礼賛し貧乳を見下す風評の数々を! そして――」
 二人の周囲には、幾つもの影が蠢く。豊かなる膨らみを胸に有する女の影。それこそは、きっと彼女の理想の――。

「――おっぱいを!! 一心不乱のおっぱいを!!」



「……大きなおっぱいって、皆そんなに欲しいモノなのかなあ」
 予知にて見えたその光景に、げんなりした様子のグリモア猟兵、霧沢・仁美(普通でありたい女子高生・f02862)。その胸は豊満である。
「……ともあれ、この男の人――猟書家『ドクター・ハデス』に捕まったバロックメイカーの女の子を、助けてあげてもらえないかな」
 曰く。
 この猟書家『ドクター・ハデス』は、バロックレギオン――バロックメイカーのトラウマから生まれる怪物に着目し、彼らのトラウマを刺激することでそれらを量産。以て、オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』の望む「超弩級の闘争」の戦力にしようと企んでいるのだという。
「ただでさえ触れられたくないトラウマを執拗に抉られ続けるなんて、辛いなんてものじゃないだろうし――そうでなくても、猟書家の企みは止めなきゃだから」
 予知で見えた少女の様子は、トラウマを抉られている反応とはちょっと違う気もするが。なれど捨て置くわけにもいくまい。
 助けてあげてほしい、との仁美の願い。猟兵達は頷いた。

「予知で分かったと思うけど、このバロックメイカーの子――名前を『マイ』って言うんだけど、彼女のトラウマは『貧乳』なんだ」
 曰く、母・姉・妹と全員が巨乳なのに彼女だけ貧乳。尚、妹は10歳の誕生日を迎える前に彼女を抜いた。
 好きになった男は悉くが巨乳好き。自分を振った男が直後に姉に告白した、なんて事もあったとか。
 元の世界では高校生だったらしいが、未だに最小サイズのブラを買い続けており、店員からは毎度憐れむような視線で見られる。
 クラスでもあまりの胸の無さに、男子からは揶揄われ、女子からは慰められつつも視線や態度に憐れみや蔑みを感じていたという。
「だから、出てくるバロックレギオンも、自分がこうだったら良いのに……って願望を反映した、胸の大きな女の子の恰好をしてるんだ」
 彼女のもとへ向かうには、このバロックレギオンを排除せねばならない。これらは猟兵達に比べれば弱いが、数は多い。効率よく排除しつつ突破する方法を考えておくと良いだろう。

「一番奥まで行けば、ドクター・ハデスとの戦いになるけど……マイさんも、拘束された状態でその場にいるよ」
 彼女はトラウマに苛まれるまま、バロックレギオンを生産し続けている。言葉をかける等して、トラウマを解してやれれば、この生産を抑えることが可能だ。
「貧乳をバカにされ続けたのがトラウマの根源みたいだから、貧乳を肯定するような言葉をかけてあげるのが良いんじゃないかな」
 勿論、他にも効果的そうな言葉があればかけてやると良いだろう。

「――いやまあ、胸が大きいってそんな良いことばかりじゃないっていうか、これはこれで嫌なコトも多いんだけどなあ」
 霧沢・仁美、バスト114cmのPカップ。その悩みは深い。
「と、ともあれ! あの子のコト、何とかして助けてあげてね! よろしく!」
 何かを誤魔化すかのようの声を上げ、猟兵達を転送させにかかる仁美であった。


五条新一郎
 おっぱいに貴賤はないのです。
 五条です。

 戦争の真っ最中ですが猟書家戦もこなして参りましょう。
 というわけで此度の舞台はアリスラビリンス、貧乳コンプレックスを抉られ続けるバロックメイカーを猟書家の手から救う戦いとなります。
 コミカル成分強めでお送り致します。

●このシナリオについて
 このシナリオは「対猟書家戦」のシナリオです。
 全二章にて完結となります。

●目的
 バロックメイカー『マイ』の救出。
 猟書家『ドクター・ハデス』の撃破。

●戦場
 アリスラビリンスのとある小世界にある病院風の建物内。
 道中に大量のバロックレギオンが徘徊しており、最奥の手術室風の部屋にマイとハデスがいます。

●第一章
 バロックレギオンを突破する「冒険」です。
 バロックレギオンは個々の戦力は低いですが数が多いです。

●第二章
 猟書家『ドクター・ハデス』との「ボス戦」です。
 マイは部屋の中央の手術台に拘束されています。
 断続的に彼女のトラウマから生まれたバロックレギオンが増援として現れますが、トラウマを緩和できるような言葉をかけてやれば増援が減ります。

●プレイングについて
 第一章はOP公開直後から、第二章は章移行後の断章投稿時点からプレイングを受け付けます。
「マイを慰めトラウマを取り除く」ことでプレイングボーナスがつきます。貧乳の良さをアピールする等すると良いかもしれません。

 それでは、皆様の小は大を兼ねるプレイングお待ちしております。
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第1章 冒険 『バロックレギオンと過去のトラウマ』

POW   :    バロックレギオンの攻撃を正面から受け止め、その過去のトラウマごと、バロックレギオンを殴り倒す

SPD   :    バロックメイカーのトラウマのヒントとなるような物を探しながら、バロックレギオンと戦う

WIZ   :    バロックレギオンの外見や言動、戦い方などから、過去のトラウマが何か推理しながら戦う

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

木々水・サライ
[アドリブ歓迎]
平面最高!!!!!(突然叫ぶサイボーグ)

いいか、胸ってのはただの脂肪の塊だ!!
そんな脂肪の塊を胸にぶら下げてたらどうなるか知ってるか!?
万年肩こり!繋がる頭痛!上がらぬ腕!果ては重力で垂れる!!
こんなバッドステータスだらけだ!! それでもお前は、胸を欲しいと言うのか!!??

※昔読んでた本での知識であり、本人の趣味嗜好とは全く関係ありません※

だから平面は正義だ!!いいな!!

……と、慰めつつレギオンをUC【複数の白黒人形達】で大量に呼んで抑え込む。
刀を1本ずつ持たせて、なるべく傷つけないように指示。可愛そうだしな。

……俺は決して貧乳主義ではない。これは慰めるために言っただけだ!



「平面最高!!!!!」
 バロックメイカーの少女が囚われているその施設へと足を踏み入れた木々水・サライ(《白黒人形》[モノクローム・ドール]・f28416)は、開口一番そう宣った。
 施設の隅々にまで響き渡ったのではと紛う程の大音声は、この最奥にいるというバロックメイカーの少女――マイへと届かせんとするものだろうか。
 尚、こう宣ってはいるものの、彼は別に貧乳主義者ではない。貧乳にトラウマを持つ少女を慰める為に言っているだけ、とは当人の弁だ。
 ともあれ、その声に呼ばれてくるのは、無論マイではなく。通路の闇から這い出てくる、幾つもの人影。
 豊かな胸、くびれた腰、むちりと張り出した尻。しかしてその貌は、不気味な三日月を描く口元が貼りつくのみの無貌。これが彼女の――救うべき少女の生み出したバロックレギオンか。
「――なるほど。これは確かに」
 にじり寄る影達のプロポーションを上から下へ、下から上へ。サライの視線が素早く、それでいてじっくりと、ねっとりと、往復する。こういうのが、件のバロックメイカーの少女の理想なのだろうか。或いはサライも――であるかは定かではないが。
「だがしかし――いいか、胸なんてのはただの脂肪の塊だ!!」
 それでも、敢えて。そんなバロックレギオン達に、そして彼女らを生み出したバロックメイカーに説くように、サライは声を張り上げる。
「大きくなれば片方だけでも数kg! そんな脂肪の塊を胸にぶら下げてたらどうなるか! お前は知っているか!?」
 びしりと、一番手前のバロックレギオンの、その頭部より大きいのではと紛うほど豊かに膨れた胸元を指差すサライ。
 それに反応してか、指差されたものも含めたバロックレギオン達が、サライを目掛け群がるように迫りだす。或いは、続く言葉を恐れて、彼の口を封じようとしているのかもしれない。その顔に唯一備わる口元が、何やら必死にひくついて見える。
 だがサライは心を鬼とする。告げなければならない。豊乳の真実を、或いは現実を。
「即ち! 万年肩こり!」
 最初のレギオンの腕を取り、背後へ引っ張りながら送り出す。倒れるレギオン。
「繋がる頭痛!」
 次のレギオンが振り下ろす腕を躱し、潜り込んで投げ飛ばす。
「上がらぬ腕!」
 飛び掛かってきたレギオンを軽やかに躱し、そのまま落ちるに任せる。
「果ては! 重力で垂れる!!」
 更にしがみつきにかかってきたレギオンの足を払い転ばせる。
「こんなバッドステータスだらけだ!! それでもお前は! 胸を欲しいと言うのか!!?」
 目を見開き、鬼気迫る表情で吼えるサライ。サイボーグとはいえ男性である以上、それはあくまで知識であって実体験に基づくものではないが。それを感じさせぬ気迫が、その表情からは感じられる。
 繰り返すが、彼は貧乳主義者ではない。彼の趣味嗜好とは全くの無関係である。
「貧乳ならば! このような悩みとは無関係!! 即ち! 貧乳とは自由だ!!」
 拳を握り、力説するサライ。繰り返すが彼は――以下略。
「故に! 平面は正義だ!! いいな!!」
 そして堂々と宣言する。繰り返すが――以下略。
 然し、それでも巨乳レギオンは次々と現れ、サライへと群がってゆく。それでも、それでも私は巨乳になりたい、豊かな胸が欲しい。そんな妄執を伝えてくるかのように。
「ええい、これ以上は無理か! なら――!」
 沈痛げな表情で頭を振るサライ。これ以上の言葉は、マイへと直接伝えるより他にないか。
 サライの意思に応え、彼の後から次々と施設内へと新たな人影が突入してくる。それはサライとほぼ同一の姿をした存在――彼自身の複製義体だ。
 義体達はレギオンへと組みつき、そのまま押し出し、抑え込む。レギオンもある意味マイの一部、出来る限り傷つけたくない、というサライの配慮だ。
「教えてやろう、貧乳であることの価値を――!」
 更なる義体の群れを伴い、サライは施設の奥へと踏み出してゆく。何度も繰り返すが、彼が貧乳主義者だからではない。大事なことなので。

成功 🔵​🔵​🔴​

柳・霙
この度のバロックレギオンは、大層巨なる胸であると伝え聞いた。
されど、巨なる胸の者達を増やしたなら、互いの胸が、ぶつかり合い、もつれ合い、身動きが取れづに弱ることは火を見るより明らかである。

ましてや医療棟などという道が狭く互いを避けるも能わなければ。さながら将棋倒しのように自ら等の巨成る重みに気道を塞がれ押しつぶされ、果てる未来は必然ではなかろうか?

「ほれ、試しに先頭を行く者の足を[神化衣]の端で掬ってみようか。汝等は、巨なる胸故、視界を遮られて自らの足元も見えておらぬであろう故」

【行動】UCで追いかけ回して、神化衣で足元を絡め取る。

「ああ、そういえば娘御が囚われておったな。様子を見にゆくか」



 施設内の通路の一角にて。
「ふむ、ふむ」
 群がり、迫るバロックレギオン。いずれも大きく豊かに張り出し実った胸部の持ち主。柳・霙(時渡りの八咫烏・f28369)はその様を眺め、観察する。向ける視線は、嫉妬でも、羨望でもない。
「伝え聞いた通り、いづれ劣らぬ巨なる胸の持ち主であるな」
 表情を変えることは無いが、何処か感心したように霙は頷く。
 しかし、と。その手を差し出し、掌を上向ければ。眩き光が熱を伴い集束し。赤き光球となって其処に現れる。その様はまさに、小型の太陽。強烈なる光を受けてレギオン達が怯む。
「その巨なる胸。動き回るには邪魔であろう?」
 小太陽が霙の手を離れ、ゆっくりとレギオンへ向かってゆく。危険を感じてたじろぐレギオン。退いた分だけ、小太陽は迫る。やがて、退く動きが鈍る。
 レギオンとレギオンの間で、その胸元がぶつかり合う。バランスを崩したレギオン、また別のレギオンへとぶつかる。繰り返され、やがて一体のレギオンが床に倒れる。転倒したレギオンに躓いて、別のレギオンがその上へ倒れ込む。更に別のレギオンもまた躓き倒れ。次々と折り重なって倒れてゆく。
「この数にて、この狭き道にては。互いの道保つも能わず。ぶつかり合い、もつれ合い、身動き侭ならづ弱ること、火を見るより明らかである」
 小太陽を掲げ、淡々と霙は告げる。言葉通り、レギオン達は互いの胸によって互いの動きを妨げ、倒れ。一人の身が傾げば、ぶつかった別のレギオンもまた崩れ。そのまま一群全てが将棋倒しとなってゆく。
 霰が積極的な攻勢に出るまでもなく、自ら戦闘不能の状態へと追いやられてゆく。
「そればかりではない――ほれ」
 徐に、霙は腕を振るう。その袖が延び出て、彼女の背後から迫ろうとしていたレギオンの足を払う。容易く転げ、倒れるレギオン。その身に躓き、後続も次々と倒れてゆく。
「汝等、巨なる胸故、視界遮られ己等の足元も見えておらぬであろう」
 巨なる胸を持つというのは、そういう事よ――霙はふと、己の足元を見遣る。およそ一切の遮蔽無く。己の足回りが十全と見えていた。
「――ああ、そういえば。此処には娘御が囚われておるのであったな」
 ふと、思い出したように手を打つ霙。忘れていた訳ではない。その筈である。
「巨なる胸の良からぬ事、理解し得るか否か。様子を見に行くか」
 折り重なり倒れるバロックレギオンの山を越え。霰は施設の奥へと歩んでゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​

テラ・ウィンディア
よしぶっ飛ばす

叩き潰す

待ってろよ

対レギオン
ああ…判るよ
これはもうゆるせねぇよなぁ
おれもなんか散々言われてる気がするよ(特に轟天MSとか轟天MSとか轟天MSとかのリプレイ(ご参照

大丈夫だ
おれという最強無敵の魔法少女と同じ体格なんだ!
それは誇るべきだ!
だからぉれの強さを見ろ!(UC発動

【属性攻撃】
獄炎を身に纏い

敵に襲い掛かる
【見切り・二回攻撃・残像・空中戦・盾受け】
飛び回りながら巨乳から逃げ
【串刺し・二回攻撃・早業・重量攻撃・レーザー射撃・遊撃・砲撃】
槍で串刺しに
返す刀で剣と太刀で他のレギオンを切り捨て
更に
剣と太刀で全力で切り裂きながらの猛攻
どうだ!おれはちょっとばかりお胸が大きい奴には負けない!



「よしぶっ飛ばす。叩き潰す」
 此度の任務概要を聞き、理解したテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)の第一声はそれであった。
「待ってろよ……」
 顔は笑っているが目は全く笑っていない。転送を行うグリモア猟兵も、何処か慄いている様子であったとか。巨乳なので。

 ともあれ転移を果たし、施設へと突入を果たしたテラ。現れるバロックレギオン、いずれ劣らぬ巨乳揃いの群れを前に、実感の籠った様子でテラは頷く。
「ああ……判るよ。これはもう許せねぇよなぁ」
 巨乳こそ至高、貧乳は哀れ。そう言われ続けた者の悲哀。そうしたものの詰まって見えるレギオン達の様子に、テラは深く深く頷く。
「おれもなんか散々言われてる気がするよ」
 曰く、ある別のグリモア猟兵の予知した任務に参加するたび、つるぺただのフラットだの言われているらしい。
「でも、大丈夫だ!」
 それでも、いや、それだからこそ。施設奥にいるマイまで届けとばかりに、テラは声を張る。
「おれという最強無敵の魔法少女と同じ体格なんだ! それは誇るべきだ!」
 同じく貧乳である己の勇姿で以て、彼女を励まさんとばかり。その全身が、獄炎と重力場を纏う。
「だから! おれの強さを見ろっ!!」
 そしてバロックレギオンの群れへと吶喊。無銘刀と星刃剣、二刀を振るえばレギオン数体が瞬く間に斬り裂かれ倒れ。彼女へ迫らんとするレギオン達も、重力場に囚われその動きは鈍い。
 その間に距離を取ったテラ、今度は槍に持ち替えて再度突撃。レギオン二体を纏めて串刺しとし、壁に叩き付ける。
 再び剣と太刀とを抜刀、素早き二閃が迫ろうとしたレギオン四体を纏めて斬り捨てた。
 見出した奥へと続く道。立ち塞がろうとレギオンが蠢くが、テラにとってはあまりにも遅い。
「邪魔を! するな!!」
 跳躍、一気に飛翔。道中のレギオン達を次々と斬り捨てて、貧乳少女は施設の奥を目指す。
「どうだ! おれはちょっとばかりお胸が大きい奴には負けない!」
 巨乳の群れを薙ぎ倒しテラは吼える。その声、最奥のバロックメイカーまで届いたか、否か。

 尚、テラはまだ12歳。これから成長する余地も、もしかしたらあるかもしれないし、無いかもしれない。「特徴:胸が小さい」からすると、望みは薄いかもしれない――。

成功 🔵​🔵​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
ええ、先程霧沢さんも仰っておりましたが。
大き過ぎるのも大変なのですよぉ?(遠い目)

『F●S』各種を展開し【白翼衣】を使用、速度を上げて一気に通り抜けますねぇ。
妨害する方は『FRS』の[砲撃]と『FBS』の斬撃を主体に対処し、攻撃は『FMS』のバリアと『FSS』の盾で防ぎますぅ。
また、レギオン達は『マイさんの理想サイズ』らしいですが、おそらく『想像外の桁違いサイズ』を『乳白色のオーラ』で更に見せつければ、ある種の威圧感で押せませんかねぇ?

と申しますか、ご家族が皆大きいのでしたら『大きい方の苦労』も御存じですよねぇ?
此方は、お店で憐れまれる以前に取り扱いが無いのですよぉ!?



 施設の通路に群がるバロックレギオン達、いずれ劣らぬばいんばいんな胸を揺さぶり闊歩するその様子を、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は遠い目で眺めていた。
「……大きすぎるのも、大変なのですよぉ?」
 ぽつりと呟いたその言葉、果たしてバロックレギオン達に届いたかどうか。何しろるこる、転送直前に巨乳も良いことばかりではないと語っていたグリモア猟兵、彼女よりも更に胸が大きい。正確なサイズは明らかとしていないが、着用する和風メイド服のスペックから見ると120cm超えは確実だ。
 ユーベルコードを発動し、その身を乳白色のオーラで包む。彼女の秀でた体型と美貌をより引き立たせるそのオーラ、必然的に胸の大きさも強調される。バロックレギオン達の視線が、その大きく盛り上がった特大サイズのおっぱいと、二つ並んだそれの間に形作られる、切り立った深い谷間へと注がれる。
「それでも……羨ましいのですかぁ?」
 るこるは困惑する。バロックレギオン達は、大きくとも自身の顔くらいの大きさで、流石にるこるよりは胸が小さい。それでも熱い視線は向けられる。このバロックレギオンには目は無いのに。更なる大きさ、纏う神々しい雰囲気、まさに神乳と称するに相応しいその様相に。
「――! だ、ダメですぅ!」
 そのうちの数体が手を伸ばしてくるのを見て、るこるは反射的に動く。時速実に10000km近くにも及ぶ超高速の突撃が、すっかり無防備となっていたバロックレギオン達を一気に跳ね飛ばし。そのまま、曲がり角まで爆走――もとい飛翔してゆく、バスト120cm超えの美少女巫女。
「と申しますか……ご家族が皆大きいのでしたら『大きい方の苦労』もご存知の筈ですよねぇ……?」
 通り抜けた先にもまだまだバロックレギオンの姿が。此方もやはり大きい。思わず、るこるの声音に苛立ちというか憤懣というか、そうした感情が混じり込む。
「――此方は! お店で憐れまれる以前に! 取り扱いが無いのですよぉぉぉぉぉ!!」
 そして叫ぶ。あまりにも大きすぎるそのサイズ、最早店頭で扱っている店など存在しない。オーダーメイドで作ってもらうより他に無く。選ぶ楽しみなど存在しない。自分だって、あれも可愛いこれも可愛いなどと言って色々なブラを付けては変え付けては変えしたかった――と思っているかどうかは定かではないが。
「――それともやはり、私ぐらいのサイズは望んでいないということでしょうかぁ」
 目の前のバロックレギオン達の胸を再度見る。やはり、るこるよりは小さい。ギリギリで爆乳と言えるサイズ――と見えた。バストサイズにして1m少々。これくらいのサイズならまあ、専門店ぐらいであれば取り扱いもあるだろうか。
「これは、マイさんご自身とのお話合いが必要そうですぅ」
 再びその肉体が浮かび上がり、通路の奥へと吹っ飛んでゆく。大きな胸を持つこと、その本当の意味を。現実を。彼女に教えてやらねばならない……!

成功 🔵​🔵​🔴​

鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ

トラウマ、か…誰にでもあるものだけど…きついね、これは
女の子の永遠の悩みの一つじゃないか
力になりたいな…
とりあえずバロックレギオンには積極的に話しかけてみよう
これがマイさんのトラウマから生まれてきているのなら…少しでも癒してあげたい気持ちだ
【コミュ力】が上手く機能してくれれば色々な話聞けるだろうか

俺は胸の小さな女の子とか、凄く可愛くていいな、とは思うけどな…
やっぱり男の視点とだと違うんだろうなぁ…(汗
清らかな感じ、ん~…あと、乙女って感じがする
なんか守ってあげたくなるというか

愚痴だって聴こう、俺は辛い思いをしている人に寄り添う、って言う事を出来るだけ心掛けているからね



「トラウマは誰にでもあるものだけど……きついね、これは」
 鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は真剣そのものの表情で、前方に蠢くバロックレギオン達を見つめる。胸を見ているわけではない。彼はこのような怪物を生み出してしまうまでに至ったマイの心の傷の程を真剣に慮っているのだ。
 力になりたい、だがマイ本人が居るのはこの施設の最深部であるという。ならば、それまでにできることを。
「ねえ君……そんなに、大きな胸が良いのかい?」
 とりあえず手近なバロックレギオンに話しかける。これもマイのトラウマから生まれている以上、彼女に連なる存在であるだろう。そう判断しての行動であったが。
『――ァ――ァ――』
 返ってきたのは、声にならない呻き声。どうやら、まともな言葉を話すことのできる存在ではないらしい。が。
「そうか……それ程までに、胸を大きくしたいと思っているんだね」
 何故か納得したように頷くひりょ。今の呻き声から読み取れたというのか。これがコミュ力か。

 その後も、ひりょとバロックレギオンの奇妙な会話は続く。
「俺は胸の小さな女の子とか、凄く可愛くていいな、とは思うけどな……」
『――ァ、ァ――!』
「うーん、やっぱり男の視点と女の子の視点は違うのかな」
『――ァ――?』
「男からするとね……清らかな感じというか……あと、乙女って感じがする」
『――ァ――ァ――!』
「なんというか、守ってあげたくなるというか、そんな感じ」
『――ァ――』
 バロックレギオンの側は呻き声しか発していないにも拘らず、このスムーズな会話である。心なしか、ひりょの身体が淡く神々しい光を発しているように見える。否、実際に光を放っている。生まれながらの光、聖者たる者が汎用的に有するユーベルコード。受けた者を癒すというその効果は、肉体的なものばかりではない。
「君も、何か言いたいことがあるんじゃないかな? 何でも聴くよ、俺で良ければ」
 そしてバロックレギオンへ言葉を促すひりょ。辛い思いをしている者に寄り添う事を身上とする彼にとっては、愚痴聞きもまた務めの一つだ。
『――ァ――ァァ、ァ――!』
 やはり呻き声を返すバロックレギオン。それを聞いたひりょは。
(……うーん、やっぱり具体的な中身はうまく読み取れないな)
 口には出さずとも、心中にて困っていた。実の処、ここまでの会話が成立していたのは、彼がバロックレギオンの呻き声のトーンや身振り手振りから、ニュアンスを読み取っていたためであり。己が主体となって話すなら兎も角、バロックレギオンが主となると流石に無理が出てくる。
 しかし、それでも。
「そうか……辛いよね」
 どうにか読み取ったニュアンスから、相槌を打ってみせるひりょ。愚痴を聞くと言った以上、可能な限りはやりきる。それが己にできることだからと。

「………」
 そうして一頻り愚痴を話し終えたバロックレギオンは、崩れ散るように消えていった。後に残るは、ひりょ一人。
 この行いが、少しでも彼女にとっての癒しとなれば良いが。その瞳は施設の奥、暗闇に包まれたその先を見据えていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

フィア・シュヴァルツ
「ほほーう。ひんにゅ……いや、ささやかな胸を蔑む発言をしてる男がいるのは、この病院か」

よーし。その発言、この我への挑戦状と受け取った!
囚われし我の同胞(どういう意味かは触れない)を助け出しに向かうとしようか!

ウィザードブルームに乗り、敵陣に突撃!
迎撃に出てきたバロックレギオンども――豊かな膨らみを持つ邪悪な存在――を撃滅してやろう!

「さあ、我の魔力で永遠に凍りつくがよい!」

【極寒地獄】の魔法で戦場を氷に閉ざし、バロックレギオンの氷像をつくってやろう。

「そして……目障りな膨らみなどこうだ!」

胸の部分の膨らみを箒で叩いて砕いてくれよう。
くははは、これで貴様らも我らの仲間入りよ!

……虚しい。



「ほほーう。ひんにゅ……いや、ささやかな胸を蔑む発言をしてる男がいるのは、この病院か」
 猟書家ドクター・ハデスの拠点たるその施設の前、厳しい表情で施設を睨むはフィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)。元は人間であったが、禁呪によって悪魔と契約し不老不死を手に入れた魔術師だ。
「よーし。その発言、この我への挑戦状と受け取った!」
 くわ、っと目を見開き、堂々と宣言する。即ちかの猟書家、己の滅ぼすべき敵であると。そう、フィアもまたひんにゅ……もとい、ささやかな胸の持ち主なのだ。
「囚われし我の同胞、助け出しに向かうとしようか!」
 そして力強い歩みにて、施設内へと踏み入ってゆく。マイを同胞と呼んだその理由は――触れるべきではなかろう。

 施設への進入を果たしたフィアは、早速ウィザードブルームに跨り通路を飛翔してゆく。彼女を迎えるかのように、左右の部屋や通路から次々と現れるバロックレギオン。いずれ劣らぬボインでバインな女性の姿だ。
「出おったなバロックレギオン共! 豊かな膨らみを持つ邪悪な存在め!」
 そんな彼女達――の主に胸元を睨み、力強くフィアは吼える。微妙に青筋立っているように見えるのは気のせいである。両手をその慎ましい胸の前で向き合わせ、呪文の詠唱を開始する。
「我が魔力により、この世界に顕現せよ、極寒の地獄よ――」
 生ずるは青白き魔力の輝き。冷たく冴えた、極北を思わせる氷の魔力。
「――さあ、我の魔力で永遠に凍り付くがよい!」
 詠唱が結ばれ、解き放たれたその魔力は、一瞬で施設内広範囲に渡って広がって。施設の床、壁、天井を隈なく凍り付かせ――そしてバロックレギオン達をも凍り付かせ、その身を氷像と化さしめたのである。
「――そして」
 徐に箒から降り、凍てついた床に立つと、それまで乗っていた箒をその手に握りしめて。
「目障りな膨らみなど……こうだ!!」
 大きく振るった箒が、氷像の胸へと叩き付けられれば――大きく突き出した胸が砕け、氷の破片となって床に落ちる。後に残るは、胸から膨らみの失せた女性の氷像。
「くはははは! どうだ、どうだ! 豊かな胸など所詮は虚飾!」
 高笑いと共に、フィアは居並ぶ氷像の胸を次々と砕き、豊かな膨らみを奪ってゆく。邪悪なる膨らみを滅ぼし、己等と同じ慎ましさを与える為に。
 しかし。調子よく氷像の胸を砕いて回っていたフィア、急に肩を落とした。
「……虚しい」
 このようなことをしても、己の胸が大きくなるわけではない。なまじ不老不死であるが故に、これ以上の成長の可能性も既に失われてしまったのだ。
 その事実を不意に思い出してしまったフィア。そのまま暫し、施設の隅っこでいじけていたとか、いなかったとか。

成功 🔵​🔵​🔴​

イヴェッタ・レチアーノ
アリスになってしまう程だから笑い事ではないわね
……なんだけど絵面はシュールね
視覚に依存しすぎている人間の性を改めないと

マイが囚われている最奥を今すぐ目指すべきだけど
彼女を慰める為に少し寄り道して
ドクターハデスがマイについての調べた資料が無いか確認していくわ
狂気の医者ってより効果的に成果を作る為に
実験材料を事前に調べて記録していそうなものよね

巨乳としてのマイを形どったレギオンには
最初は慎重に攻撃しつつUCの『冷徹なる射撃』でレギオンのパターンを学習し
途中から大胆に進撃していくわよ
特に大きすぎる胸がレギオン同士で邪魔しあいそうよね
マイ本人がいないから今はふざけられているけれど
本番は気を付けないとね



 施設の一角、最奥へと続く道を少し外れた部屋。様々な書類や書物が乱雑に置かれたデスクの上を漁る人影が一つ。施設の主たる猟書家ではない。人影は女性だ。
「――マイ。本名不詳。18歳。身長162cm。己の胸部の発育の悪さに多大なコンプレックス――」
 手にした書類の記述を読み上げているのはイヴェッタ・レチアーノ(囚人番号壱零零壱・f24458)。マイを慰めるべく更なる情報を求めた彼女、ドクター・ハデスが纏めたマイについての資料を探してここへ行き着いたのである。狂気の科学者たる彼ならば、効果的な実験を行うべく被験者の情報を詳細に纏めている可能性がある。そう判断しての行動であった。
 記された内容は、慰める役には立たなさそうなものや、事前にグリモア猟兵からも聞いていた情報が大半ではあったが。その中の箇条書きにされた項目に目が留まる。
「捕獲時、平均的なアリスを上回る脚力にて逃走。純粋な脚力勝負では勝ち目無しと判断、罠をもって捕獲」
「猟兵ではない。当人の話によると、元の世界では短距離走をやっていたとの事」
 その記述を見て、イヴェッタは思案する。つまり彼女は身軽で、運動能力が高いということ。それは貧乳故に得られた資質だろうか、或いは――?
 いずれにせよ、材料にはなりそうだ。資料を回収し、イヴェッタは部屋を出る。

 改めて最奥を目指し歩みだしたイヴェッタの前に、複数の影が立ち塞がる。バロックレギオンだ。
「……笑い事ではないのだけど……絵面はシュールね」
 眉を顰めるイヴェッタ。そのバロックレギオンは、鼻から上が無貌となった姿ではあるが、口元や髪型、背格好は先程の書類で見たマイと全く同一。ただ、胸だけがその顔以上に大きくなっており――端的に言って、バランスが悪い。
 とはいえ、視覚に囚われるは人間の悪癖。本質を忘れてはならない。気を取り直し、得物たる軽機関銃を構える。
 トリガーを引けば、軽快な発射音と共に弾丸が次々と吐き出される。緩慢なるレギオンは大した回避行動も取れず崩れ落ちる。だが、それを引き金としたかのように、隣のレギオンが急に走りだしてきた。
「っ、結構速いわね……!」
 だが、こうした事態を考慮していたイヴェッタは冷静に対応。迫ってきたレギオンへも軽機関銃弾を叩き込み、沈める。
 目を細めるイヴェッタ。その瞳に冷たい光が走る。続いて現れるレギオンの挙動、反応。体内のSNサーバに蓄積されたデータが、その動きを予測する。
 機関銃を撃ち放つ。被弾し倒れるレギオンを確かめ、即座に銃口をその左へ。二体のレギオンが走ってくる。大きく張り出た胸を揺らしながら。
 イヴェッタはふと一計を案じる。レギオン達の足元を撃つ。足元で跳ねる銃弾に驚き足が止まる。両者が身を捻ると、その勢いで互いの胸と胸とがぶつかり合い。両者共にもんどりうって倒れる。
「――ま、こんなおふざけができるのも今だけよね」
 このような光景、マイには見せられないわ、と。倒れたレギオン達の額に銃弾を撃ち込み止めを刺しつつ思うイヴェッタであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

彩波・いちご
【恋華荘】
まぁ、胸の大きさは色々あるでしょうしねぇ…
私の好みはどっちかっていうと…ですけど(理緒の視線を感じて冷や汗)
胸の大きさだけで女性の魅力が決まるわけないですからね
だから、理緒さん、そんなに見ないでくれます?(汗

って、え?理緒さんの妹さん?
理緒さんに妹居たんですねぇ…って、なんかケガしてますけど大丈夫?
勇者に目覚めたって…だからって無理は行けませんよ
ええ、一緒なのはもちろん歓迎します(…というか心配で一人でいかせられないですしね)
それでは、奏莉さんは後ろで私達の援護をお願いしますね
私は【異界の深焔】の生きた炎を呼び出し、理緒さんと一緒に前線で
襲い来るバロックレギオンを焼き尽くしましょう


菫宮・奏莉
【恋華荘】
今回の相手は……事案さん……?

そういえば、わたしのお姉ちゃんもお胸は大きくないけど、
ぎゅってすると気持ち良いし、
大きさとかあまり関係ないと思うんだけどな……って、
なんだか呼ばれた気がします?

あ!?理緒お姉ちゃん!

いつかはバレちゃうと思いましたけど、
こんなに早くとは思いませんでした。

あ、えと、菫宮・奏莉っていいます。
最近勇者に目覚めて、猟兵になりました(松葉杖を剣のように掲げ)

ここにいるってことは、お姉ちゃんといちごさんも、
マイさんを助けにいくんだよね。わたしもいっしょにいかせてね!

だいたい怪我してるから流血には事欠かないし、
【禁足結界】でお姉ちゃんといちごさんのフォローをするね。


菫宮・理緒
【恋華荘】

マイさんを利用するためとはいえ、
その言葉、万死に値するね(にっこり)

って、じつはわたし個人としては、
ぺったん、そんなに嫌だとは思ってないんだけどね。

ま、おっきいほうが好き、っていわれるのは、ちくっとするものはあるけどね。
(いちごさんちらちら)
って、いちごさんをチラ見していたら、なんだか知った顔が?

え?奏莉ちゃん……?
病院にいるはずの妹を見つけて。びっくりしつつ捕まえます。

あ、紹介するね、わたしの妹の奏莉。
で、なんでこんなとこにいるのかな?

勇者に……目覚めた!?

最近脱走が多いなって思っていたら……って、
いろいろツッコみたいけど、まずは依頼かな。
さくっとハデスを焼いて帰ろう(こく)



「マイさんを利用するためとはいえ、万死に値するね」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)の笑顔は、超重力であった。その胸は平坦である。
「いやまあ、胸の大きさは色々あるでしょうしねぇ……」
 隣に並ぶ彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)は冷や汗たらたら。どうにか言葉を濁すより他になかった。彼も巨乳好きなので。
「って、じつはわたし個人としては、ぺったん、そんなに嫌だとは思ってないんだけどね」
「え、そうなんですか?」
 グラビティな笑顔を解きつつの理緒の言葉に、意外そうな声を上げるいちご。胸の大きいオブリビオンに対する敵意の程を知っているが故に。
「ま、おっきいほうが好きっていわれるのは、ちくっとするものはあるけどねー」
 しかし続く理緒の言葉と、ちらちらと突き刺す視線を感じて理解した。自分が巨乳好きだというコトは、彼女も知っているのだ。
「い、いえ、胸の大きさだけで女性の魅力が決まるわけはないですから……」
 やはり針の筵ないちごである。流石に執拗に突き刺さる視線に耐えかね、見ないでくれと言おうと顔を振り向けると――
「ん? え? あ、あれってまさか……」
「って、え?」
 理緒の視線はいちごではなく更にその先へ。その表情は驚愕。何があったのかといちごが振り返ると。
「……か、奏莉ちゃん!?」

 時間は数秒前まで巻き戻る。
「今回の相手は……事案さん……?」
 その少女は施設を見上げながら、グリモア猟兵から説明された敵の性質を思い返してそんな感想を漏らした。まあ女子高生を拉致監禁という時点で事案といえば事案ではある。
「わたしのお姉ちゃんもお胸は大きくないけど、ぎゅってすると気持ち良いし、大きさとかあまり関係ないと思うんだけどな……」
 そしてその女子高生は、貧乳にトラウマじみたコンプレックスを持っているのだという。そこまでのものだろうか……と不思議そうに首を傾げていた、そこに聞こえてきた声。
「……なんだか呼ばれた気がします?」
 その声は、己の名を呼ぶ声に聞こえた。声のした方を振り返れば。
「……あ!? 理緒お姉ちゃん!」
 思わず身を翻――そうとして、その足がグネって転んだ。

「理緒さんに妹いたんですねぇ……」
「うん、妹の奏莉だよ」
 というわけで合流した三人。理緒の紹介を受けた菫宮・奏莉(血まみれ勇者・f32133)が、ぺこりといちごに頭を下げる。
「菫宮・奏莉です、よろしくお願いしますっ」
「彩波・いちごです、こちらこそよろしくお願いしますね。ところで……なんかケガしてますけど大丈夫ですか?」
 その様子を見たいちご、心配そうに奏莉へ問う。というのも奏莉、服装は入院着のままで手には松葉杖、右目をはじめ肌の露出箇所至るところに包帯を巻き、それ以外の部分にも擦り傷切り傷が無数にあるためだ。
「あ、大丈夫です。いつものことなので。それより私、勇者に目覚めましたのでっ」
 だがそれに実際何の痛痒も感じていないかのように応える奏莉、松葉杖をしゃきーんっと剣っぽく掲げてみせる。どういう力が働いたのかこの松葉杖、実際勇者の剣に相応しい力を秘めていたりする。
「勇者に……目覚めた……!?」
「だからって無理はいけませんよ……?」
 あまりにも突飛な妹の言葉に、唖然としてしまう理緒。しかし勇者というのはさておき、猟兵であるのは事実だ。一方のいちごは、やはり生傷絶えない奏莉の様子が心配で仕方ないようだが。
「それより!」
 そんないちごの心配も、色々ツッコミ入れたい様子の理緒もぶった切る奏莉の言葉。意外と押しが強い。
「ここにいるってことは、お姉ちゃんもいちごさんも、マイさんを助けにいくんだよね?」
 それならわたしも! と拳握り決意を語る奏莉。流石に妹を危険に晒すわけには……と、理緒は心配げな様子ではあったが。
「ええ、一緒なのは歓迎しますよ」
「いちごさん!?」
 まさかの承諾。どういうことなのと問う理緒に対し、いちごは彼女の耳元へ囁く。
「この様子だと、ダメだと言っても一人で行きそうですし……」
「……ああ、そっか……。そっちの方がもっと心配……」
 それなら自分達の目の届く位置にいさせた方が良い、という判断であった。

 そんなこんなで、施設への進入を果たした三人。尚、入るや否や奏莉が扉に膝をぶつけて転んだ。
 早速とばかりに一行を迎えるはバロックレギオンの群れ。いずれ劣らぬ豊かな胸の持ち主だ。具体的にはこの任務を予知したグリモア猟兵ぐらい。
「うん、焼こう」
 それらを見渡した理緒、満面の笑みで宣言した。そしてその時には行動は既に完了していた。
 理緒の頭上の空気が歪み、レンズを生成。そこへ収束した光が熱線となってレギオンの群れの中心へと照射され。そこを中心として炎が上がり、レギオン達を巻き込み燃やしてゆく。
「わぁ、お姉ちゃんすっごい……」
 姉の派手な攻撃に驚きつつも、その勇姿をキラキラした目で見つめる奏莉。
「奏莉さんは後ろで私達の援護をお願いしますね」
「あ、はいっ」
 そこへいちごが声をかければ、承諾した奏莉は一歩下がり――よろけて倒れて後頭部を打ち付ける音が響いた。
「ふんぐるいふんぐるい……遠き星海にて燃え盛る神の炎よ!」
 そうとは気付く由もないいちご、冒涜的な呪文を唱えれば、その頭上に現れた門が開き。彼方に見える凶星が輝くと共に蒼き神の炎が溢れ出て、レギオン達を飲み込んでゆく。
「おお……!いちごさんもすっごい……!」
 起き上がっていた奏莉、いちごのその攻撃にも驚嘆の反応を示す。尚、後頭部を強打したのは特に問題ない模様。
「って、あ!」
 と、そこに横合いから別のバロックレギオンの群れが迫ってきていることに気付いた。いちごと理緒は前方の敵群にかかりきりである。ならば己の出番だ。傷口の一つから流れる血を指で掬う。
「あなたを、足止めです!」
 そしてその指で敵を指差せば、指についた血が蒸発するかのように消え。指差されたレギオン達が、床へと潰れるように倒れてゆく。というより潰れた。
 それは奏莉の血液を代償として超重力の呪いを発動するユーベルコード。バロックレギオンぐらいの相手であれば、今程度の代償でも充分に斃し得る威力となる。

 こうして理緒といちごが道を切り開き、奏莉が脇を固める連携で前進を続け。
「さあ、さくっとハデスを焼いて帰ろう!」
 実にいい笑顔で宣言する理緒の向こう、男の狂的な哄笑が響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ドクター・ハデス』

POW   :    行け、我が創造せし怪物よ!
無敵の【人造生命体】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    我がしもべに加えてやろう、光栄に思うがいい!
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【即席で改造し、意思なきしもべ】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
WIZ   :    進化し続けること、其れこそが我が天才たる所以!
【工具】が命中した対象を治療し、肉体改造によって一時的に戦闘力を増強する。

イラスト:のはずく

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アイ・リスパーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ハーッハハハハハハハ!! よくぞここまで来たものだ、猟兵達よ!」
 そして猟兵達が踏み込んだその部屋は、手術室めいた空間。その中心のベッドの上に、拘束された少女の姿――マイだ。
「え、だ、誰!? 助けに来てくれたの!?」
 猟兵達が何者かは知らずとも、己を助けてくれる存在だとは思ったようで。安堵の声を上げるが。
「おおっと、そうはいかないなぁ、君! それでは君のその胸は、永遠に平坦なまま! 何の恵みも与えられぬ不毛な有様を生涯晒すことになるぞ!」
 それを遮るハデスの物言いに、マイの表情が強張る。その胸は悲しい程に小さく、薄く。絶望、そんな言葉すら過ぎる程の、不毛の大平原であった。
 ハデスの貌に、満足するような歪んだ笑みが広がる。
「そうだそれで良い! 絶望せよ! 巨乳は崇め奉られ貧乳は弄りネタにされる世界に! 渇望せよ! ある日突然ドバーンとバイーンとでっかいおっぱいが己の胸に生えてくる未来を!」
 そして狂的なまでに高揚しながら喚きたてる、その声に応えるかの如く。二人の周囲からバロックレギオンが次々と溢れ出てくる。
「そうだよ! 私は欲しい! おっぱいが欲しい! 母さんや姉さんや妹にも負けないくらいのおっぱいが! せめて自分の手に収まらないくらいの、いっそ自分の顔よりおっきいぐらいのおっぱいが……!!」
 マイもまた、ハデスに呼応するかの如く喚き叫ぶ。トラウマとコンプレックスの余りに、豊かな胸への渇望と妄執に取り付かれた少女の様が、そこにあった。
 如何にかしてマイのトラウマを癒し、巨乳への妄執を断ち切り。そして悪辣なる猟書家を打ち倒すべし。

※ドクター・ハデスのユーベルコードの強化対象は基本的にバロックレギオンです。
木々水・サライ
[アドリブ歓迎]
貧乳は希少価値ッッ!!

※敵に切りかかりつつ※

俺がこれだけ言ってもまだわからんのか、このわからずや!!
そんなにお前が"望む"っていうなら叶えてやろうじゃねぇか!!
(UC【願い叶えるチビサライ軍団】発動させ、自分とマイにペンダントを渡す)
そいつを噛んでる間、お前が望むものを作ってもらえばいい!!

そんでテメェら!! テメェらも道連れじゃあ!!
(そうしてペンダント噛んでレギオン達に胸追加)

胸からくる肩こり!! 肩こりからくる頭痛!!
上がらなくなる腕!! 維持できない形!!

実際のバッドステータスを受けてから大きくしたいって言えってんだ!!

……別に俺は貧乳主義でも爆乳主義でもねぇからな!?


柳・霙
人は自身以外の他人には成れぬと言うのに。巨なる胸在りきで語られるマイの母姉妹とて、巨なる胸から生じ産声を上げた理由ではあるまいに。

仮にバインバインに成り得たとして、その先に待つのは、不自由な暮らしと、何時、重力に敗北を喫し、垂れ落ちるかという恐怖に精神をすり減らされるだけではなかろうか?

自我に落ちた棘の実か。その心の傷から生じた隙間、胸以外の物で埋められたなら、もう苦しむ事もなくなるであろうな。

【行動】UC忘却の体科学で、肉体を巨大黒竜にチェンジ。敵を纏めて軽く暴れて、巨なる胸の者等の蹂躙されし末路を見せようか。ついでにハデスもだ巻き込め。

だが、大振りでもよく当たる。ふとましい的でしか無いな。



「貧乳は希少価値ッ!!」
「ステータスッ!?」
 木々水・サライ(《白黒人形》[モノクローム・ドール]・f28416)の振り下ろした紅き刀と、ドクター・ハデスが掲げたスパナがぶつかり合い火花を散らす。絵面はかっこいいがお互いの叫ぶ内容で台無しである。
「フッ、思わず懐かしい言葉を思い出してしまったじゃないか」
「何処で聞いた、アニメかゲームか」
 その確認は重要である。ハデスはオブリビオンであるが故、既に10年以上の前のネタと言っても問題はないのだろう。
「何方であれ事実は変わらなかろう。貧しき胸の女性の、涙ぐましい自己弁護の言葉であるとね」
「……何だと?」
 サライの眉がぴくりと跳ねる。
「彼女らとて巨乳への憧れはあった、だが一向に育たぬ現実に絶望し、貧乳を肯定しようと必死にそう信じようとしたのだ! なあマイ君!」
 段々テンション上がってくるハデス。そして話を拘束されたままのマイへ向ける。
「そうだよ! でも自分に嘘はもうつけない! あたしだって! 巨乳になりたい!!」
「まだそんな事を云うのか分からず屋がッ!!」
 応えて叫ぶマイにサライが応酬する。その傍らから進み出てくる今一人の猟兵、柳・霙(時渡りの八咫烏・f28369)もまた苦言を呈する。
「人は自身以外の他人には成れぬと言うのに。巨なる胸在りきで語られる母姉妹とて、巨なる胸から生じた理由ではあるまい」
「ええそうよ、だから、だからあたしは――『おっぱいの大きなあたし』になりたいッ!!」
 だが如何やら火に油を注いでしまったらしい。マイの絶叫と共に、手術室奥の暗がりから次々とバロックレギオンが湧き出してくる。
「――良いだろう」
 それらを前とし、サライは頷く。そして呼ばわるは。
「チビ共! あの娘っ子の願いを叶えてやりな!」
「「「さっらー!!」」」
 呼ぶ声に応えて飛び出すは、サライを子供にしたかのようなフルボーグ達。彼の子供サイズ複製義体だ。その手にペンダントを持った一体が、マイのもとへと駆け寄ってゆく。
「そんなにお前が『望む』ってなら! そいつを噛んでイメージしてみろ!」
「え、こ、こう……?」
 差し出されたペンダントを手に取り、口元へ。
「そうだ、イメージしろ! 最強の……じゃない、理想のおっぱいを手に入れたお前自身を!」
 そしてサライもまた、同じ意匠のペンダントを噛む。睨みつける先にはバロックレギオンの群れ。
「そんでテメェら! テメェらも道連れじゃあ!」
 叫び、ペンダントを噛む。そしてマイもまた、ペンダントを噛む。すると。
「……おっぱい!? おっぱいが、おっきくなって……!?」
 マイがペンダントを噛んだまま器用に叫ぶ。言葉通り、その胸元がぼんっと爆発的な音を上げんばかりの勢いで隆起、彼女の顔ほどはあろうかという豊かな膨らみがそこに形作られていた。
「凄い……! これなら母さんや姉ちゃん達にも負けない……けど」
 歓喜に満ちたその顔は、しかしすぐに顰められる。何故かといえば。
「巨なる胸は、重かろう?」
 そう、霙が囁いた通り。胸に、肩にのしかかるその重み。まるで大きな果実をぶら下げているかのような重み。
「……もしかして、巨乳っていつもこんな重みが……?」
 マイがペンダントから口を離せば、その胸は元通りの真っ平に戻る。同時に胸の重みからも解放される。
「然様。今の通りバインバインに成り得たとして、その先に待つのは、不自由な暮らしと、何時、重力に敗北を喫し、垂れ落ちるかという恐怖」
 常に恐怖の影がちらつく様は、大層精神を削るぞ? と囁く霙。何処かホラーじみているが、その語る内容は事実だ。そして。
「そう! 胸から来る肩こり! 肩こりからくる頭痛! 上がらなくなる腕! 維持できない形! このようにな!!」
 ペンダントを噛んだまま力説するサライ。マイ以上に器用だ。そして示すは、その口のペンダントの力で本来以上の爆乳と化したレギオン達だ。最早そのサイズ、頭より大きい。
 彼女達の悉くが、重すぎる胸に息切れし、よろめき。中には言葉通り垂れきってしまった者もいる。
「巨乳というのは! これだけのバッドステータスを生涯抱えて生きるものだ! これでもまだ! 巨乳になりたいと言えるか!!」
 熱い語りは、彼が貧乳好きだからではない。ましてや爆乳好きだからでもない。彼はただただ、巨乳に悩む女性の身になって語っているに過ぎないのだ。
「……いやあ流石にこれは」
「待て待て待て待てぇ!! そんな生々しい話は要らん!!」
 巨乳の現実を思い知ったマイ、流石にクールダウンするが、そこにドクター・ハデスが割って入る。
「良いかねマイ君! 確かにそうした悩みはあるだろう! だが巨乳には、それと引き換えるだけの価値がある! 何より君は、貧乳の――」
『しゃらっぷぞ』
「ぶべらっ!?」
 マイの説得を試みるハデスが、横合いから振るわれた大木じみた何かで吹き飛ばされる。ついでにバロックレギオン達も纏めて薙ぎ倒す。
『うむ、大振りでもよく当たる。覚えておくが良い、巨なる胸は喰らい判定がでかい』
 それは尻尾。黒竜――霙がユーベルコードで変身した存在の振るった尻尾。本人曰く巨大との事だが、そこまで大きいといえない手術室ではこのサイズが限界であった。それでも可能な限りの巨大化はしたので許して頂きたい。
「喰らい判定……?」
『故に、こうして薙ぎ倒され、蹂躙される定めの存在よ』
 尻尾をぶんぶん振り回すたび、爆乳レギオン達が部屋の左右へ吹っ飛ばされて消えてゆく。ついでにハデスも吹っ飛ばされる。
『まあ、何ぞ。自我に落ちた棘の果実。其の刻んだ心の傷から生じた隙間。胸以外もので埋められたなら、もう苦しむこともなくなるであろう』
「おっぱいの小さいお前が好きだ、って奴が現れるとか、おっぱいが小さいからこそできることとか。それに熱中できれば、貧乳でも気にならなくなるだろうよ」
 その合間の霙の言、その意訳めいたサライの言葉。それらを受けて、マイは小さく――確かに頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イヴェッタ・レチアーノ
もう一人の私をオルタナティブ・ダブルで呼んで
私達のコンビネーションでレギオンとハデスを同時に攻撃して
レギオンの無力化も改造でハデスの意思無き下僕化防止も務めるわ

マイ、大きい胸を望むのはいいけど
そこのヤブ医者は悩み苦しむ貴女しか望んでないのよ
そいつとずっと一緒だと絶対に胸は小さいままにされるわよ

☆イヴェッタはマイちゃんとかけっこで遊びたいにゃ!
猟兵一人よりもずっと強い猟書家に堂々とかけっこで勝ったにゃ
つるぺたなら男の方が胸なくて筋肉もあるのにマイちゃんが一等賞
今のままでも、夢叶って大きくなっても絶対にマイちゃん凄い走者になるにゃ!

こんな狭い所からおさらばして、山も草原も制覇しにいくわよ、マイ!


テラ・ウィンディア
おいお前(終始笑顔

おれのスレンダーでセクシーでナイスなボデエを正当に評価しろ

(返答に)ほほー…

【属性攻撃・戦闘知識】
獄炎が全身を包む
ハデスへの突破口を見据え

マイよ
世界に合わせる必要なんぞない
おれ達を評価しない世界なんぞ変えてしまえばいい
先ずはこの糞眼鏡にお仕置きだ

UC起動

【二回攻撃】
バロックレギオンは剣と太刀で切り捨て殲滅し
【早業・串刺し】
ハデスを槍で突き刺し固定

素敵な評価ありがとう
故に…ご褒美をやろう

【重量攻撃・リミッター解除】
渾身の金的蹴り!重力を篭めて更に己の肉体限界を超えて威力増強!

知ってるぞ?
お前等にとってはご褒美なんだろ?

再度蹴り!

もっと嬉しそうな顔をしろよ

蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
まあ、周囲の環境上気になるのは解りますが。
本当に、大変なのですよぉ?(遠い目)

『FBS』を四肢に嵌め飛行し【耀衣舞】を使用、『改造体』周囲に『FMS』のバリアを展開し妨害しつつ、迂回してハデスさんに『光速突撃』を行いますねぇ。
その際『体型の反動』も許容し威力を上げましょう。

そのまま『反動』で更に巨大化した胸を見せつつ『店で下着が買えない』『オーダーメイドは高く時間が必要、到着までに成長することも有る』『周囲の視線』『重さ』等の大変さを伝えますねぇ。
邪魔が入りかけたら再度『光速突撃』、更に増量しつつ会話を続けますぅ。

それでも、と仰るなら『女神様への入信』を勧めてみますぅ。



「おいお前」
「何かね」
 ドクター・ハデスを前にして、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は満ッ面の笑顔で問いかける。
「おれのスレンダーでセクシーでナイスなボデエを正当に評価しろ」
 そして胸を張り、その体型を見せつける。成程、その体型は確かにスレンダーではある。だがその胸は。
「――ハッ」
 嘲笑。ドクター・ハデスの回答はその一言で済んでしまった。
「……ほほー……」
 テラの額に青筋めいたマークが浮かぶ。全身が獄炎に包まれる。マジでいくしかねぇやつである。
「……! レギオン!」
 流石に危機感を感じたハデス、周囲のバロックレギオンを呼び寄せテラを襲わせにかかるが。
「邪魔をするなっ!」
 テラの振るう無銘太刀と星刃剣、二刀をそれぞれ一振りしただけで、複数のレギオンが斬り倒され地に伏せる。更に。
「悪いけど、その子達はもう貴方の下僕にはさせないわよ!」
「アナタの相手はイヴェッタだにゃー!」
 残るレギオンもイヴェッタ・レチアーノ(囚人番号壱零零壱・f24458)が放つ軽機関銃によって薙ぎ倒され、ハデス本人には何やら猫っぽい笑顔を浮かべたもう一人のイヴェッタ――ユーベルコードで分離した拠点奉仕用人格――が飛び掛かる。
「ちぃぃっ! 私は肉弾戦は苦手なのだよ! 行け、我が下僕よ!」
 ハデスの背後から現れたのは、人間の身体に牛頭を有したミノタウロスめいた生物――いや、よく見たら胸がおっぱいである。しかもでかい。イヴェッタもなかなかの大きさではあるが、彼女よりもっとでかい。
「いい加減にしてくださぁぁぁぁぁい!!」
 だがその横合いから声。と同時に激突する影。そのミノタウロスより更に大きいおっぱいの持ち主、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が光速で体当たりをかましてきたのだ。
「モォォォォォォォ!?」
「なんだとぉぉぉぉぉ!? こ、これはまずい……!」
 無敵であろうと衝撃を無条件で殺せるわけではない。完全に不意打ちで飛んできた衝撃によって吹っ飛ぶおっぱいタウロス。残ったハデスは堪らず逃げるが。
「よーし、マイちゃんもイヴェッタとかけっこするにゃ!」
「え、ええ!? 何であたしまでー!?」
「素敵な評価へのご褒美だ、遠慮なく受け取れー!」
 もう一人のイヴェッタと、何故か彼女に巻き込まれたマイと、超笑顔で槍を振り回すテラとによって、散々追いかけ回されるのであった。

 数分後。
「おらおらおらおら、知ってるぞお前? こういうのがご褒美なんだろうお前?」
「アバババババババ」
 床に槍で突き刺されて固定され、テラの全体重をかけた電気按摩を喰らわされるハデスを尻目に、イヴェッタ達とるこるがマイに向き合う。
「イヴェッタ達の思った通りにゃ! 猟書家に追いつけるなんて、マイちゃんかけっこ一等賞にゃ!」
 うんうん、と感慨深げに頷く奉仕人格イヴェッタ。先の追いかけっこの中、一番にハデスを捕まえたのが、他ならぬマイであったのだ。
「あんなのでも猟書家だし、私達一人一人よりは確実に強い。そんな彼に足の速さで勝てたんだもの、誇れる成果よ」
 本来のイヴェッタもまた感心げにマイを見る。一方のマイは困惑げだ。
「いやまあ、あたしも足の速さにはちょっと自信あるから……でも、何でまた?」
 何故足の速さに言及を、と彼女が問えば。
「途中であいつが纏めたメモを見てね。あいつ、あなたに足で追いつけないって思ってたみたい」
「今実際に追いかけっこしてみて確信できたにゃ! その足の速さ、誇って良いにゃ!」
 二人のイヴェッタが続けて答え。次いで。
「それにぃ……胸が大きくなると、その辺も大変、ですからぁ」
 告げるるこるの方を見て、三人ともが驚く。元より大きかったるこるの胸が、ユーベルコードの反動で更に一際巨大化し。最早彼女の腕が回りきらない程となっていたからだ。
「ここまで大きいと、お店ではもう合うサイズが無いですし……オーダーメイドは高くて時間もかかりますし……届くまでにまた大きくなる、なんてこともぉ」
 それに男女問わず一目を惹いてしまうし、重さも――合間に漏れる溜息は、大変な実感を証言に添える。
「重いということは、それだけ身のこなしにも悪影響を及ぼしますからぁ。特に、走る速度は相当落ちちゃうでしょうねぇ」
「あー…そういえば」
 そこでマイは漸く思い至った。姉妹の中で体育の成績が良いのは自分だけだと。
「そうだ、それこそがマイ、お前の力、お前の強みだ」
 びくんびくんと痙攣するハデスをぺいっと捨てて、テラがマイへ向き直り告げる。
「お前が評価されない世界なんて、変えてしまえばいい。お前にはその力がある」
 そしておれにもな、とテラは胸を張る。マイと良い勝負の胸を。
「こんな狭いところはおさらばして、山を、草原を駆けて制覇しにいくわよ!」
 そして本来のイヴェッタが手を差し出せば、マイはその手を取ろうとして――
「――でも、やっぱり少しくらいは欲しいかも」
 先の猟兵達の言葉もあり、巨乳と言えるレベルは求めないとしたマイだが。貧乳と呼べないぐらいの膨らみは欲しい、とふと呟いた。
「ハハハハハ! そうだろうそうだろう!」
 直後に響く高笑い。水を得た魚のようにドクター・ハデスが跳ね起きた。
「やはり全き平面では恰好つかない、膨らみが多少であれども欲しい! イメージするのだマイ君、それなりに膨らみを得た己の姿を!!」
「「「「………」」」」
 テラは再び満面の笑顔で槍を構える。
 イヴェッタはそれぞれ、軽機関銃と荷電粒子砲を構える。本来の方は勿論、もう一人の方も流石に呆れ顔だ。
 るこるは遠い目をしながら、己の周囲に神鏡めいた銀盤を展開する。
「あんたは何だかんだ言ってこの子を苦しめたいだけでしょうが!!」
 本来のイヴェッタの叫ぶと同時。炎と銃弾と荷電粒子ビームとレーザーが猟書家に叩き込まれた。

「ああ、そうそう。これでも豊胸をお望みでしたら、手がないわけではないですよぉ」
「え!?」
 ふとるこるが呟いた一言に食いつくマイ。
「私の信仰している女神様の教団へ、入信なされると良いかとぉ」
「あー……それは、遠慮しておくわ」
 ちょっとご利益がありすぎる気がする、と。るこるの胸を見つつマイは諦めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ

マイさん、周りに色々嫌な思いをさせられて今の自分を変えたい…変わりたい…って思っているんだろうね…
そんな彼女にどう声を掛けてあげればいいんだろう…ただ単に「女の子の悩み」だけで済ませてしまってもいいのだろうか?

俺が幼い頃、無自覚のままに他者の治療をしてしまった
それを見た周りから悪魔憑きだと迫害を受けてた頃を少し思い出させるんだよな…

変わりたいという思いは凄く大事だと思う
可能なら今の自分を好きになってそのうえで前向きなマイさんになってくれたら…
俺はそんなマイさん(みたいな女の子)の事好きだけどな

バロックレギオンへ工具があたるのは【庇う】で妨害
黄昏の翼で能力向上+退魔刀で勝負



「たぁぁぁっ!」
「フハハ、何の!」
 刀とスパナが打ち合わされ、甲高い衝突音と火花を散らす。鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)とドクター・ハデスはここに来て、互いの得物による激しい打ち合いを演じていた。
 先程までは散々にやられていたドクター・ハデスだが、彼とて猟書家。まともに戦えさえすれば、猟兵として多くの経験を積んできたひりょが相手であれど、互角の打ち合いが可能なのだ。
(――俺は、彼女にどう声を掛けてあげればいいんだろう)
 横薙ぎ、斬り上げ、逆袈裟。繰り出す連斬が全ていなされることにも焦りは無く。ひりょはただ、思案する。ベッドの上へ――不安げに彼を見守るマイへと、刹那、視線を向ける。
 彼女が巨乳を渇望したのは、ひとえに周囲から様々に嫌な思いをさせられた末だろう。それ故にこそ、己を変えたい、変わりたいという思いは何より強い筈。
 己を変えたい。形さえ違えば彼女に限らず多くの者が望むこと。そう考えれば「女の子の悩み」と片づけるわけにもいかない。
「埒が開かんな! レギオン!」
 膠着状態を打破せんと、ハデスがレギオンを呼び寄せる。彼の傍らまで寄って来たそれを目掛け、ハデスはスパナを振り上げる。そのヘッド部が不気味な光を放つ。駄目だ。あれは――
「させるか……!!」
 ひりょは駆ける。ハデスの振り下したスパナは――レギオン、ではなく。
「……ぐっ……!」
 両者の間に割って入ったひりょの、右肩へとめり込んだ。骨の軋む音。走る鈍い痛み。なれど、戦闘続行に支障はない。ひりょの身が仄かに、黒白の光を帯びる。
(――そう、俺も――)
 その光へ視線を流し、ひりょは思い返す。幼少の頃を。幼き頃より聖者の力を有した彼、その意味に無自覚なまま、他者へ其を施し、傷を癒した。常人の狭い常識では考えられぬ行い。周囲は彼を聖者どころか悪魔憑きだと蔑み、虐げた。
『周囲と違う』ことへの悩み、苦しみ。切欠は何であったろうか。『違う』自分を受け入れられたのは。
「何のつもりかね! 敵を庇って傷を負うなど非合理甚だしい! その刀でバラバラにしてしまえば一石二鳥であったろうに!」
 レギオンを庇って傷を受けたひりょの行動を理解できぬハデスは喚き気味に問う。
「彼女らもあの子の一部だ! 傷つけることも! 勝手に『変える』ことも許さない!」
 叫び返すひりょ。その言に、彼らを見守っていたマイは目を見開く。そうだ。
「――マイさん。このような形で変わることは、良くないことだ。だけど、変わりたいという想い――それは、凄く大事なことだ」
 だからこそ、きっと。自分は前に進むことができた。
「叶うなら、今の自分を好きになって……その上で。前向きなマイさんになってくれたら……」
 それが、己をここまで導いた。そして、この先も。
「……でも、でも、私は……」
 俯く。嫌でも思い知る、平坦なる胸。大嫌いな自分。
「すぐには難しいだろう。でも、少しずつで良い。――そうして努力するマイさんのこと、俺は好きだよ」
 その背を優しく押すような、ひりょの言葉。――言葉が足りないせいで大変な表現になっている事を、恐らく天然な彼は知らない。
「―――!!?」
 案の定、顔を真っ赤にするマイ。しかし満更ではなさそうだ。良いのか悪いのか――彼女の心の錆を剥がす、という意味では良いことと言えるか。
「下らん! 実に下らん! マイ君、君はまた騙されるつもりかね! そんな言葉は上辺だけ、その男も所詮は巨――」
 嫌悪感も露に喚きたてるドクター・ハデスの言葉は最後まで続かなかった。その身へ、黒白のオーラ纏う刃が袈裟懸けの斬撃を刻んだからだ。
「ぐわぁぁぁぁ!?」
 鮮血を迸らせよろめくハデス。彼の前には、黒白のオーラを以て負傷を力と変えたひりょが在った。
「彼女の悩みを! 苦しみを! 己の欲望に利用するお前に! 彼女を絆す資格は無い!!」
 その時、彼の振るう退魔の刃は正しく、『迅雷』の銘に相応しい速度となって。猟書家の身を、少女を苛む悪夢を、斬り刻んでいったのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【恋華荘】

大きいの小さいの、どっちが好きでもいいけど、
それでしか見られない人は否定するかな。

なによりその気持ちを利用する人は、
全力をもって否定させてもらうけどね。

直す気があるなら、いちごさんを見習うといいよ。

胸の大きさでなく、しっかり人を見てくれるよ。巨乳好きだけど。
それにちっちゃいのだって、触ってくれるよ!巨乳好きだけど。
(いちごさんの手を自分の胸に押しつけて)
そして、平等に『愛』を注ぐよ(意味深)。巨乳好きだけど!

直せないなら、その罪は万死に値するので、
速やかに逝ってもらおう(黒笑)

【Nimrud lens】を股間狙いで照射していこう。
さぞ大きいだろうから、狙わなくても当たっちゃうよね。


菫宮・奏莉
【恋華荘】

お胸の大きさってそんなに大事なのでしょうか?

わたしとしましては、あまり大きいと、
ぴたっとくっつけないので寂しいのですが……。

って、お姉ちゃんの雰囲気がいつもと違います?

なんだか黒いオーラとか、見えそうなのです。
勇者としては、見過ごせないのですよ!?

こ、これは早めに倒してしまわないと、危ない気がするのです。
いちごお兄さん、ここはわたしたちもがんばり……。

はわわわわ!?
お姉ちゃんがいちごさんの手をー!? 何してるですか!?

こ、これはわたしがメインにがんばるところなのでしょうか!
【Devil's luck Sharing】で、わたしの運をお裾分けなのです
(がんばるぞい、のポーズとりつつ)


彩波・いちご
【恋華荘】
あんまりその、胸ネタを連呼するのは…
(いえ、確かに私は巨乳の方が好きではありますが…でもそういう問題ではなさそうですし…)
…って、あの、理緒さん、なんか黒いの漏れてますよ!?

まぁ、私が下手なことを言うよりも、理緒さんに任せていた方が…
…って理緒さん、私の手を取って何を…って、ちょ!?
(ふにふにと理緒の胸を揉まされて)
い、いえ、はい、それはもう、胸の大きさt化関係なく、愛してます、けども…(真っ赤
奏莉さんも、あまりそんな目で見ないでー!?

き、気を取り直して戦いますよっ!
ほら、奏莉さんもやる気ですしっ
【異界の深焔】召喚!
理緒さんとタイミングあわせて、生きた炎で焼いてあげますっ!



「ぐおぉぉぉ……! ええい、まだだ、まだだぁ!」
 猟兵達との交戦を経て、すっかり傷だらけとなったドクター・ハデスだが、まだ生きている。
「もっとだ……もっとおっぱいを! 一心不乱のおっぱいを生み出すのだ……! マイ君……!」
 立ち上がり、既にベッドからは解放されたマイへにじり寄る。怯え切った様子でたじろぐマイ。
「君も欲しいだろう……! 掴めるくらいの膨らみを! 心地よい重みを! 何より――」
「逝っちゃえ」
「ふぁいやー!?」
 徐に放たれた光線がドクター・ハデスに命中、その身を大炎上させる。床を転がり必死に消火を試みる彼を尻目に、三人の猟兵がマイを囲む。
「――そもそも、お胸の大きさってそんなに大事なのでしょうか?」
 こてん、っと首を傾げながら菫宮・奏莉(血まみれ勇者・f32133)が提示したのは、此度の問題の根源的な疑問だ。胸の大小という価値観。
「大きいの小さいの、どっちが好きでもいいけど、それでしか見られない人は否定するかな」
 奏莉の姉でもある菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はその価値観をばっさり否定。
「何より、その気持ちを利用する人は、全力をもって否定させてもらうよ」
 そして絶賛上炎中のドクター・ハデスを見る目は絶対零度。いつものお姉ちゃんと違う、と戸惑い気味な奏莉。
(何だか黒いオーラも見える気がするのです……)
 勇者的には放っておけない、と気が気でない奏莉。でも大好きな姉に剣――形は松葉杖――を向けることは躊躇われる。けれど、もし姉が闇に堕ちてしまうのであれば、その時はやはり、わたしの手で――
 そんな妹の妙に壮大な葛藤をよそに、理緒は尚語る。
「というか男の人はみんな、いちごさんを見習うべきだと思うよ」
「はい!?」
 いきなり理緒から名前を出され、顔を赤らめる彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)。見た目は少女のように愛らしい男の娘だが、果たして彼をどう見習うべきかといえば。
「胸の大きさでなく、しっかり人を見てくれるよ。巨乳好きだけど」
(いえ、確かに私は巨乳好きですけど!)
 あわあわするいちご。初対面のマイや会って間もない奏莉の前で性的趣向を暴露されるのは、そこまで特殊なものではないにしても羞恥が募るというものである。
 だが。それだけでは済まなかった。
「それに――」
「え?」
 理緒、徐にいちごの手を掴む。そして――己の胸へと思いっきり押し付けた!
「それにちっちゃいのだって触ってくれるよ! 巨乳好きだけど!」
「って、ちょ!?」
「………っ!?」
「はわわわわ!?」
 あまりにも唐突なその行動に、マイは言葉を喪い、奏莉は盛大に慌てふためく。いちごも当然驚愕に表情が固まる――が、その手はしっかり指を蠢かせ理緒の胸を揉んでいた。男の性、いや、もしかすると甲斐性かもしれない。
 尚、理緒の胸はぺったんといっても少しは膨らみがあるらしい。なので揉み心地はそこまで悪いものではない、かどうかは当人同士のみぞ知る。
「そして、平等に『愛』を注ぐよ! 巨乳好きだけど!!」
 構わず力説を続ける理緒。尚、その愛とは概念的なものばかりでもない。此処では敢えて詳述しないものである。
「な、なにしてるですか……!?」
 理緒と、いちごと、触られる理緒の胸とを交互に往復しながら、奏莉が困惑の視線を向ける。
「……ほ、本当に、皆愛して……?」
 マイもまた、困惑しつつ問いかける。
「い、いえ、はい、それはもう、胸の大きさとか関係なく、皆愛してます、けども……!! あ、あんまりそんな目で見ないでー!?」
 そんな目で見られればそりゃあもう恥ずかしいというレベルではない。耳まで真っ赤にしながらも、理緒の言葉を肯定するいちご。
「……そう、そうなん、だ……? 胸がなくても……こんなに、愛して……」
 だが、マイにそれを示すにはこの上ない実例であったようだ。憑き物が落ちたかのような表情で、呆然とするマイ。それは、巨乳であらねばならぬという呪いの、完全に解けた瞬間であったのかもしれない。
「違う違う違う違う違ぁぁぁぁう! 騙されるなマイ君! そして少女達!」
 しかしこのタイミングでドクター・ハデスが復活してきた。全身黒焦げだがまだ生きてた。
「そもそも皆愛してるって何人囲っているのかね、そこな男の娘は! 騙されてはいけないぞ、幾らハーレムといったって正室はいるものだ。そしてそれは巨乳と相場が――」

「―――――」

 そして。全力で、理緒の地雷を、踏み抜いた。

「――その罪。万死に値するので。速やかに、逝ってもらおうか」
 黒きオーラが溢れ出る。質量を持って、手術室を満たしてゆく。軋む空気が「ゴゴゴゴゴゴ」とかそんな感じの音を発し始める。今この瞬間の理緒が放つプレッシャーは、ややもするとオブリビオン・フォーミュラにさえ匹敵するかもしれない。そうとさえ感じられるレベルの『圧』である。
「お、お姉ちゃーん!? い、いちごお兄さん! これは早めにあれをやっつけませんと……!?」
「黒いのが漏れるどころか溢れてますーっ!? 理緒さん、気を取り直して戦いましょう、奏莉さんもやる気ですしっ!」
 慌てて戦闘態勢に入る奏莉といちご。理緒、これ程の怒りにあっても、愛する二人の言葉は確りと聞きつけて。
「――うん。三人で確実に、完璧に、滅ぼしてあげようね」
 満ッ面の笑顔で応えてみせる。そう。『笑う』というのは本来、攻撃的な行為なのである。
「――撤退ッ!!」
 流石にこれ以上は危険だ。ドクター・ハデス、撤退に入ろうとする。が。
「ずべらっ!?」
 足元に散っていた書類の紙で足を滑らせ転んだ。まるで奏莉のような不運具合だが。
「わたしの運を、お裾分けなのです」
 顎の下で両手をぐっと握った奏莉が宣告した。今のハデスの幸運値は、奏莉レベルまで下がっていると――!
「そのモノから、焼き尽くしてあげるよ――」
「ふんぐるいふんぐるい、遠き星海にて燃え盛る神の炎よッ!!」
 そして、理緒の放った光線と、いちごの放った邪神の炎がハデスを捉え。そのまま一気に焼き尽くしてゆく。
「ぐあぁぁぁ……! さ、最後に一言だけ……言わせてくれ……!」
「何かな?」
 笑みを崩さぬままに理緒が応えれば、ハデスは。
「……次の私は……多分……貧乳好きだと……思う……」
 謎の断末魔を残し、そのまま灰も残さず燃え尽きていった。



 斯くして、猟書家ドクター・ハデスは討たれ、マイは無事救出された。
 その後、元の世界へ帰還したマイが最初にしたことは、巨乳どころか爆乳な母の肩を揉むことであったらしい――というのは、また別の話である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月18日


挿絵イラスト