羅針盤戦争〜くらえもふもふびんた
グリードオーシャンのとある無人島、その中央でひたすらに祈りを捧げている巫女姿の集団。彼女達は巨大な子宮のような何かを囲み必死に祈りを捧げていた。捧げる祈りが力となり、放出された先にいた海獣達を異形の姿へと変えていく。
たまたま今回そこにいたのはマンボウであった。異形へと変化した彼らは巨大化し……何故かもふもふと毛をはやし、ジャングルを彷徨い始める。
「今回は島だって、ジャングルを抜けて何かよくわからない塊を潰してきて欲しいんだよねえ」
ゆったりとした動作で地図を広げながら緊張感のない声で予知した光景を告げる、ルカ・クルオーレ(Falce vestita di nero・f18732)。
地図に書かれた島のうち一つを指さし此処がそう、と告げると顔を上げ、集まった猟兵達を見回した。
「森羅の巫女?とかいうのが、無人島を占拠してなんかやってるみたいなんだ。とりあえずその儀式とやらが完遂しちゃったら困るみたいだから、止めてきて。あ、ジャングルにはなんかいるみたい」
あまりにもふわっとした説明に周りの猟兵達から疑う様な視線を向けられるもあんまり気にしていない様子で言葉を続けるルカ。
「何かってねえ、マンボウ?って言うんだっけ、平べったくてでっかいの。あれがもふもふになって、その辺うろうろしてるんだ。近付くと体当たりでどーんって吹っ飛ばされちゃったり、べちんって叩かれたりするから気を付けてねえ」
元が元とはいえ怪物化している以上、叩かれても飛ばされてもかなりのダメージだろう。但し。
「肌触りはものすごく良いらしいよ」
無駄な情報を付け加えると、手に転移の光を生み出していく。
「変な塊が島の中央にあって、それを潰すと皆でろーって溶けちゃうみたいだからさくっと終わらせてきたら良いと思うよ」
頑張ってね、と笑みを浮かべ手を振りながらルカは猟兵達を送り出した。
真空。
見て頂き有難う御座います、真空。(まそら)です。
緩めのジャングル探索です。毛の生えたマンボウは馬鹿でかいぬいぐるみ的な何かを想像頂けるとわかりやすいかと思われます。
プレイングボーナスは【ジャングルと怪物海獣に対処する】です。
対処、なので普通に抜ける行動をとって頂ければ多分問題は無いかと。
1章完結戦争シナリオのため、公開後即受付し、少数採用となるかと思われます。
同行者がいる場合は【相手の名前(呼称も)とID】のご記入お願い致します。
今回のシナリオの構成上、大人数は厳しいかと思います。
皆様の参加、心よりお待ちしております。
第1章 冒険
『怪物化した海獣たちの無人島』
|
POW : 怪物化した海獣の脅威を打ち払って前進する
SPD : 不気味なジャングルを探索して、目的地である島の中心を目指す
WIZ : ジャングルの生態や、海獣の行動・習性などから、島の中心地を割り出す
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
パルピ・ペルポル
なるほど肌触りはよい、と。
ならばもふりすととしてやることはひとつね。
あ、よくわからない塊もちゃんと潰すわよ。
身体の小ささをいかしてジャングルの木々の間に身を隠しつつ進むとするわ。
で、一匹で動いてるマンボウを見つけたら火事場のなんとやらを使用し雨紡ぎの風糸でヒレごと拘束して、ついでに穢れを知らぬ薔薇の蕾も使ってがっつり拘束して手触りを確認してもふもふするわ。
無論もふタイムを邪魔されぬように念動力で雨紡ぎの風糸を己の周囲に張り巡らせておいてつっこんでこられないようにするわ。
で気が済むか状況的に厳しくなったらそのまま糸で切り裂いて処分するわ。
1回もふったまた身を隠しつつ中央を目指すとするわ。
忌月・カルタ
「毛が生えた、マンボウ・・・」
(カルタの部屋のイルカみたいなものだね~)
【マンボウは斜め下しか見えない、そして陸という条件を合わせて・・・ルートは木の上がいいかと。】
なるべく音をたてないようにしながら、木の上を移動します
「キャッ」
足を滑らせて下にいたマンボウの上に
(!、カルタ大丈夫!?)
「う、うん・・・ほんとにフカフカだぁ・・・」
何故か倒れたマンボウが下敷きになってくれたので無傷でした
【考えとしてはあったけれど・・・怪物化しても精神的には強くなってないのね、ショック死するなんて】
アリアケ・ヴィオレータ
アドリブ・連携OK
【POW】
この海(グリードオーシャン)で好きにさせるわけにゃいかねえ。
コンキスタドール共の策はぶっ潰してやるぜ。
ジャングルの中を足下に気を付けながら進む。(《足場習熟》)
巨大毛むくじゃらマンボウ共に
体当たりされたら
体に纏わせた《覇気》の《オーラ防御》に回して、
《怪力》で受け止めりゃどうにかなるかな。
……さわり心地はいいらしいが、放っておくことはできねえ。
相手の動きを止められ次第、『不知火』で《串刺し》にしてやるぜ!
巫女たちのとこまで辿り着いたら肉塊も『不知火』で攻撃。
にしても気色悪いが何なんだろうなこの肉塊?
不気味だしいつもより『不知火』を念入りに手入れしとくか……
栗花落・澪
もふもふと聞いたら我慢出来ませんでした
がんばるぞ
★靴に風魔法を宿して少しだけ【空中浮遊】し足音を消し
木々の影に隠れながら進む
無策に出て行っても危なそうだから
出来る限りは戦闘回避で行くよ
安全なルートは木の生え方等、植物使いの知識を生かして選択
でもやっぱりもふもふはしときたい…ので
どう足掻いても見つかりそうなピンチか
逆にマンボウさんが1匹のみで周囲に仲間がいなさそうなタイミングで【指定UC】
マンボウさんを眠らせ、おとなしくさせた状態でぴょいっと上に乗り
暫くごめん寝状態でもふぅ…
……よし、充電完了!(幸
中央に着いたら【催眠術】を乗せた【歌唱】で巫女の足止めをしつつ
塊を杖で殴りますね
アリス・フォーサイス
マンボウでモフモフしてくればいいんだね。
あ、無人島はマッピングしながら、他の猟兵と情報を共有して進むよ。
いたいた。ダーイブ!モフモフにとりついちゃうよ。
んー。いいモフモフー。とばされないようにしっかり掴むよ。
さてと、モフモフを堪能したし、目標に向かおうかな。
迷彩魔法で怪物に擬態するよ。さっきとりついたことで匂いも移ってるし、ちょうどいいよね。
目標に近づいたら、全力魔法で狙い打つよ。
ラハミーム・シャビィット
アドリブ大歓迎!
SPDを選択
ホウホウ…
あれが話にあったモフモフマンボウデスネ。
持ち帰ってじっくりと研究してみたい所ではアリマスガ… マァ、無理デスヨネ。
行動
目標の塊を破壊する為には、極力戦闘を避けた方が良さそうデスネ。
〈第六感〉と《邪神達の福音》でマンボウの動きを予測しつつ、〈忍び足・地形耐性〉で蔦や木の根などで転ばない様に移動シマショウ。
目標の塊を見つけたら、AT-5で〈砲撃〉デスネ!
破壊は出来なくとも、多少なりとも傷を与えられるハズデス。
ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ
【アドリブ・連係歓迎】POW
ジャングルって美味しい食材がいっぱいあるんだよね☆
これは是非とも解放しよう♪
UC【膨張せし肉肉しい宇宙】で宇宙牛に変身・巨大化!
その巨体を利用して、ジャングルの木々を薙ぎ倒し、怪物海獣も圧し潰し、制圧していく!
ナニカも巫女も破壊しつくそう!
小さい所へは「肉体改造」でにゅるんって感じで流動体になって侵入しましょう!
解放したら得られた食材で「宴会」を開こう♪
リダン・ムグルエギ
はい、というわけで始まったわ
前人未到の島で謎の巫女達の儀式を見た! GOATiaの探検バカンス第3回よ!
今回はグリシャンのマンボウ島に来てるわー
巫女さんの服デザインの勉強と、動物とのふれあいを目指していって来まーす
マンボウの攻撃やジャングルのアレコレは
コードの効果でノーダメージで抑え込みつつ
万魔電でその模様を面白おかしくキマフュへ向けて実況配信してるわ
いえーい、皆見てるー?
マンボウといえばすぐ死ぬとかで有名だけど
このもふもふ度なら死にそうにないわね
厚み測ったり吹き飛ばされたり乗ろうとしたり堪能するわ
マンボウドツキ漫才(?)や
巫女達の服飾チェック、儀式の撮影に注力
破壊はヤバそうになった場合に実施
ヴィリー・フランツ
(POW)
心情・理由:また島が一つ異形化しちまったか、俺達スペースノイドにとっちゃこの自然は宝石よりも貴重なんだぜ?それをクソ巫女に思い知らせてやる!
手段:他に上陸した猟兵と共に連携しながら最奥へ進軍。
任務が長期化する事に備え予備弾薬と戦闘糧食を携帯、後は熱帯気候に適した迷彩ベスト、ブルパップ式小銃にプラズマグレネード、レーザーガン。
海獣に対しては小銃やレーザーによる銃撃、集団で固まってるならグレネードで一網打尽を狙う、マガジンが空になったら直ぐに交換、兎に角任務の障害になる物を排除しながら向かう。
休憩時は煙草を吸って【喫煙者】を発動、遭難しないよう進行方角を推測しターゲットの破壊を目指すぜ
●猟兵は進む
「なるほど肌触りはよい、と」
パルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)は大きな緑の瞳を輝かせマンボウを見て大きく一つ頷いた。もふもふだというならもふりすととしてやることは決まっている。もふらねば。
フェアリーの小さな体格を活かし、大きめの葉をつけた木を選んで身を隠しながら前へと進む。眼下を行くマンボウたちを観察し群れからはぐれたマンボウを見つけると、捕獲行動用の透明な雨紡ぎの風糸を下へ垂らしそこにマンボウが引っかかればこちらのもの。火事場のなんとやらを使用してヒレごと拘束し、ついでに穢れを知らぬ薔薇の蕾も使ってびたんびたんと暴れるマンボウを動かないよう抑え込む。
「さて、邪魔が入っちゃ困るから、と」
自身と捕らえたマンボウを囲うように残りの透明な糸を張り巡らせ、近寄ろうとすると弾かれるように設置すれば準備は完了。
全身でマンボウに抱き着くとふんわりとした毛に受け止められる。細かな毛の生えた肌は抱き着いた最初は温かく、次第に冷たく感じる不思議触感。パルピは笑み崩れそうになりながらしっかりと堪能する。
暫く毛を楽しんでいると、周りに警戒態勢のマンボウ達が集まっていた。
「あら、いけない。そろそろ行かなくちゃ」
名残惜しげにマンボウから離れ、再び頭上の木の陰へと身体を隠すと捕らえていたマンボウを糸でそのまま切り裂いてしまう。茨に血を吸われ、弱っていたマンボウは何の抵抗もなくその身をジャングルに散らした。
「後は、あの変な塊を潰すだけね」
仲間を倒され、敵を探すマンボウ達を後ろに、パルピは木々の間を抜けていった。
「毛が生えた、マンボウ……」
忌月・カルタ(愛され系ご主人様と過保護な娘達・f30657)が呟くと、頭の中に答えるように明るい声が響く。
(カルタの部屋のイルカみたいなものだね~)
「マンボウは斜め下しか見えない、そして陸という条件……ルートは、木の上……」
何かで読んだマンボウの知識を確認すると手近な木へを目を向け、枝に手をかけると青い髪を靡かせ一気に飛び乗る。幸いにして密林と言える程の密集地帯、容易に次の足場を見つけると軽やかに飛び移っていく。
多少枝がしなって音を鳴らしても、マンボウ達は自分たちが木に触れた時の音もあるためか気付かれなかったようだ。
「きゃ……っ」
何度目かの跳躍の時、木に下がった蔦が邪魔をしてうっかりと足が滑らせてしまうとそのまま落下……したはずが何かもふっとしたものに受け止められてカルタは大きな目を瞬かせる。
(!、カルタ大丈夫!?)
「う、うん……わぁ、ほんとにフカフカだぁ……」
たまたま下を通りかかっていたマンボウの上に落ちたらしい。そして、マンボウは突然襲った衝撃にかあっさりと絶命していて、最早ただのクッションと化していた。
知識としては抑えていたが、怪物化しているという事で頭の中からは外していたのだけれど。
「……体が変化しても精神的には強くならなかったのね、ショック死なんて」
(ラッキーってところかしらね、先に進みましょう)
次のマンボウが襲ってくる前に急いで木の上に上がり直すと、カルタはジャングルを進む。
密林を睨む深海人の女。腕の鰭が熱を孕む風にやんわりとはためく。
「この海で好きにさせるわけにゃいかねえ。コンキスタドール共の策はぶっ潰してやるぜ!」
アリアケ・ヴィオレータ(夜明けの漁り人・f26240)腰に手を当てるとジャングルを、その向こうにいる何者達かを睨みつける。彼女は故郷であるグリードオーシャンを汚すものを許すつもりはない。当然今回の儀式も絶対に止めてみせる、と意気込みマンボウ彷徨う森へと足を踏み入れる。
木も草も密集する南国のジャングル、決して足場が良いわけではないがアリアケにとってこの地は庭も同然、その足取りには一切の迷いも無い。
地上を進んでいる分、当然辺りをうろうろしているマンボウ達にも見つかりやすい。敵を見つけた巨大マンボウが次々と突撃してくるが。
「……触り心地は良いらしいが、放ってはおけねえなぁ!」
一度銛を手放し、自らの覇気を練り上げると両の腕にオーラ防御として纏わせ先頭のマンボウをがっしりと全力で受け止めると、次に向かってくるマンボウへ向けて思い切り投げ飛ばす。
体面積が広いマンボウ達、積み重なるように倒れてしまえば自らの重みで中々起き上がることはできない。 重なり合ったままびたびたと暴れるマンボウを見遣り、拾い上げた鋭銛:不知火を構えると気合を入れて飛び掛かり、一気に全て串刺しにしてしまう。
「一丁上がりってな!」
仕留めたマンボウ達の上に立って引き抜いた銛をぶん、と一度掃い辺りを確認すると、近場のマンボウは倒しつくしたらしい。巫女達を倒し儀式を止める為、アリアケは再び歩き出した。
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は周囲を……正確に言うと少し向こうでジャングルの中を進むマンボウを見て、もふりたい衝動と戦っていた。柔らかな琥珀色の髪をふるふると揺らし、近寄りたい気持ちをぐっと抑える。
「もふもふと聞いたら我慢出来ませんでした……がんばるぞ」
頑張るのはもふる事か耐える事か。しゃがんで靴に指で軽く触れて風の魔法をかけると、踵から小さな翼が現れる。力を宿した靴は軽やかに地から浮き、足音も跡も残さない。
踏み込む毎に周囲を確認し、深めの草陰に身体を沈め、大きな花をつけた蔦があればその香りに髪の金蓮花を隠すように潜り抜けてゆっくりと、確実に歩を進めていく。
「うぅ……やっぱり……もふもふが」
隠れてやり過ごしながらも、横目でマンボウを見ては我慢、と小さく首を振る。何度も何度も繰り返して……やがて我慢の限界が訪れる。
「うん、無理。もふりたい」
暫く進んだ所で1匹だけはぐれたように進むマンボウを発見、すかさずBerceau de fleursを発動し、マンボウへ向けた手からふわりと舞う花吹雪を放ってマンボウを包み込む。優しく甘い香りが辺りへ漂う頃、マンボウは深い眠りに落ち地面へとぱたりと倒れこんだ。
「よし、今だ……ああぁ幸せ……」
小走りに近付くと横たわったマンボウの上へ蹲る。ごめん寝状態でもふもふ温かな肌触りを確りと堪能し充電満タン完了。
起こさないようそうっと立ち上がると、澪はマンボウを残したまま森の奥へと向かっていった。
アリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)は頭に乗せた電脳ゴーグルを使い、適宜島の地形などをマッピングしながら先に進む。小柄な体格を活かし、茂みや蔦を使って隠れながら進めばマンボウ達にも気付かれず攻撃を受けにくい。
「このエリアにはあまりモフモフいないねえ」
幸い、マンボウが比較的少ないエリアを選んだようで、遠目には見かけるものの此方へと向かってくるものはあまりいないようだ。邪魔される事無くすいすいと前に進んでいく。
暫く歩いて、ようやく1匹のマンボウが目の前を通りかかる。
「いたいた。ダーイブ!」
助走を付け全力ジャンプ、マンボウへと思い切り飛びつく。驚いたマンボウも振り払おうと身体を振るが、そんな動き位ではしっかりとくっついたアリスは引きはがされる事も無く。
「んー。いいモフモフー」
すり、顔を寄せれば短めのモフモフがふんわりと肌を受け止める。陸を動いているからか魚臭くも無く温かいのに地はひんやりという不思議感覚を全力で堪能して。
「満足!」
マンボウが暴れ疲れたのかへたりと地面に降りるのに合わせアリスも離れる。
「さて……へーんしん!てね」
性質変化の魔法を使い、マンボウに似た何かに擬態する。丁度良い事に今までくっついていたのだ、自身ではわからないが向こうから感じる匂い等も近いものになっているだろう。
「よし、どんどん進むよー!」
モフモフを堪能したアリスは足取りも軽やかにジャングルを分け入って行った。
ラハミーム・シャビィット(黄金に光り輝く慈悲の彗星・f30964)は黒い鬣を靡かせ、ジャングルの入り口で腕組みをするとマンボウを眺めていた。
「ホウホウ……あれが話にあったモフモフマンボウデスネ。持ち帰ってじっくりと研究してみたい所ではアリマスガ……マァ、無理デスヨネ」
大きく肩を竦めると、青い目がマンボウから外れて森を見遣り……今から進むべき道を辿る。主の目的である子宮状の塊の破壊までは消耗を抑えるため極力戦闘を避けて進みたい、ならば見つからないよう、音も気配も決して進む必要がある。傭兵として戦場を渡り歩いた中で身につけた第六感と、邪神達の福音……直近の未来を予測できるラハミームの猟兵としての力が最適な道を示す。
「邪神達の声が……これさえ無ければ使い勝手が良いんダケド…」
力を行使した事で頭の中で響く声にため息を零しながらも、道が見えたなら行動あるのみ。一度ロングコートの襟を正すと、誰も歩いた事の無いだろうジャングルの中へ踏み込み忍び足で進んでいく。足場を崩す草や根、岩等は今までの経験で培った地形への耐性で克服する。
マンボウが見えれば木の陰へ隠れ、過ぎればまた次の陰へ。速度こそ出ないものの確実に歩を進めていく。
「そろそろジャングルも終わりそうデスネ」
肩にかけて運んでいたAT-5……対邪神用滑腔式無反動砲の位置を直す。これの出番までもうすぐだ。
未踏のジャングルにピンクのはらぺこ魔王が降り立つ。ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ(ハラペコかわいいコックさん(可食・高栄養・美味)・f31483)は大きな目を輝かせ、辺りを見回していた。人の手が入っていないジャングル、今まで余り縁のない場所、という事は。
「ジャングルって美味しい食材がいっぱいあるんだよね☆これは是非とも解放しよう♪」
まだ見ぬ未知の食材を想像し、漆黒の瞳をきらきらとさせるラヴィラヴァ。前のめりな勢いのままに自身の力を開放、膨張せし肉肉しい宇宙でコック服を弾き飛ばし宇宙牛に変身、更に身を巨大化させる。この牛、可食でしかも高栄養だそうだが今ここにそれを喜ぶ者はいないのが残念なところか。マンボウは……肉食ではなさそうだ。
「嗚呼、世界はかくも美味しいのか! ……って誰か居たらなあ、残念。まあ良いか、行っくよ~!」
宇宙牛の巨体があれば道を選ぶ必要もない。まっすぐに、最短距離を踏破していく。進む邪魔になるもの全て踏みつぶし、跳ね飛ばしなぎ倒して。最初は敵と認識し果敢に挑んでいたマンボウ達も、何匹も仲間が跳ね飛ばされ踏みつぶされるのを見てか、次第に近寄らず遠巻きに警戒するように行動が変化していく。このまま進めばすぐに儀式の場所へと辿り着くだろう。
「終わったら宴会だー♪」
ラヴィラヴァは進む、全ては食の為に。
「はい、というわけで始まったわ前人未到の島で謎の巫女達の儀式を見た! GOATiaの探検バカンス第3回よ!今回はグリシャンのマンボウ島に来てるわー、巫女さんの服デザインの勉強と、動物とのふれあいを目指していって来まーす」
島に着くなり徐にスマホを構え、リダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)は動画投稿を始めていた。そのままジャングルに踏み込むとすぐにマンボウ達に見つかり、弾き飛ばされそうになるが。
「はいはい、気にしないで。アタシは映える動画と『いいね』が欲しいだけだもの」
トレンドストリーマー・GOATia。彼女の動画配信が続く間、例え攻撃を受けたとしてもそのカメラが揺らぐことは無い。むしろ、良いチャンスが来たとばかりに実況ネタとしてリダンに面白く変換されて放送されてしまう。
「いえーい、皆見てるー?このマンボウ面白ーい」
マンボウに関する小ネタ、よく言われているのはすぐ死ぬ、だろう。本当なのかを疑っても普段ならどうにもならないが今目の前にいるのは巨大マンボウ。これは試してみるしかない。
「よっし、まずは乗ってみるわねー」
言うなり手近なマンボウへと飛び乗るリダン。暫く乗り回した後、じたばたするマンボウを抑え込み地面へと倒す。
「うっわ、もふもふ―。厚みはー…うん、こんな感じね。手触りは意外とさらっとしてまーす……あ、ぐったりしちゃった。やっぱり弱いのねえ」
マンボウをいじり倒し終われば、次は儀式の場へと突入シーンを撮らねば。リダンはジャングルの奥へと実況しながら進んでいった。
「また島が一つ異形化しちまったか、俺達スペースノイドにとっちゃこの自然は宝石よりも貴重なんだぜ?」 ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)が発した言葉は怒りを滲ませていた。彼の生まれた場所からすれば、自然という憧れの存在を汚すなどとんでもない。何があっても思い知らせてやらねば、と強い決意を固める。
丁寧に装備を確認し、行動を開始する。予備弾薬と戦闘糧食を携帯、後は熱帯気候に適した迷彩ベスト、ブルパップ式小銃にプラズマグレネード、レーザーガン。着いた場所からそのまま密林の奥へとゆっくりと進めばもふもふマンボウが群れている場所を発見、このまま進めば絶対に見つかって攻撃を受けてしまうだろう。
前を見たまま装備の中からグレネードを引き出すと距離を確認、十分に離れていると見れば即座に投擲し地面に伏せる。数秒の後振動と激しい爆炎。静まった頃合いを見て顔を上げると、そこには焦げ跡とマンボウだった小さな破片だけが残っていた。
その後も警戒を怠らず決してマンボウには近寄る事無く発見次第銃撃で排除、効率良く前に進む。暫く進みジャングルが途切れる手前、儀式の声が僅かに届き始める場所まで到着すると、前を向いたまま大きく深呼吸。
「……さて、ちょっと一服するか」
木の根元に隠れるようにしゃがむと煙草に火をつけた。甘い香りのそれを口に挟み大きく吸い込むとゆっくり煙を吐き出す。次の攻撃の為の一時の休息、決戦はすぐ其処。
●儀式の終わり
それは、あまりにも巨大で醜悪であった。ジャングルの中心部、開けた場所に鎮座する謎の塊。子宮のような、と例えられていたがだとするならばあまりにも……醜い。
それを囲むようにして幾人もの巫女が今も祈りを捧げている。その間をマンボウが悠々と泳ぎまわる。異様な、禍々しい光景。
猟兵達が突入する。
「行きまーす」
「ファイア!」
先陣を切ったのはアリスの放つ魔法とラハミームのAT-5による砲撃。着弾したところから大きな炎が上がり、煙が立ち込める。切り裂く様に直接攻撃するものが突入していく。前に出た者達をマンボウが狙うが。
「無駄だ」
ヴィリーのレーザーガンが撃ち落とし。
「はーい、どいたどいたー」
ラヴィラヴァが変身した牛が暴走機関車よろしくなぎ倒していく。多少マンボウアタックで怪我をしてしまっても。
「ミヅキ…抑えて、私は…大丈夫」
カルタが自身の手を傷つけ血を流す事で治癒を施していく。
このような状態になっても巫女達は動かない。手を組み、歪な存在へと祈りを捧げる。その間を抜けて、パルピの糸が、アリアケの銛が、澪の杖が塊を狙い打ち、リダンがその全てを記録していく。
「これで終わりよ」
「喰らえ!」
「いけ―!」
「ここで猟兵の一斉攻撃、謎の塊が跡形もなく消し飛んだー!」
攻撃が命中し、破裂する塊。途端、巫女も、マンボウも、この場にある猟兵以外の全てがドロドロに溶けていく。溶けた何かも地面へと吸われ、暫くの後には何も残らなかった。
呆気無いほどの幕切れ。唯、この島が救われた事には変わりはない。暫くすれば人が入るのか、動物達の楽園となるか……当たり前の平和が戻るだろう。
敵の儀式を阻止できた達成感を胸に、猟兵達は帰還するのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵