羅針盤戦争〜亡霊艦隊撃退戦~
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「幽霊船の大艦隊とはまた……ものすごい迫力だな」
グリモアベースでそう猟兵たちに語り掛けるのは、巨漢のグリモア猟兵――ゴリ・ゴリ(ミュータント・ゴリラーズ・f18193)だ。
ゴリによればとある島への来週が予知されたのは七大海嘯『鬼火』フライング・ダッチマン配下の幽霊艦隊なのだ。
それは通常の海賊船であっても脅威となる大艦隊――そしてその一つ一つが幽霊海賊たちを積み込んだ幽霊船なのだから。
「だが、俺たちも決してただ座して待つというわけでは無い……そうだろ?」
ゴリによればそこは卓越した造船技術の船大工が集まることで有名な島――島民のほとんどは屈強な船大工であり、前線で立つことは出来ぬものの迎撃準備において存分に協力をしてくれるであろう。
もちろん機械のようなものは用意が出来ないものの、木造建築物であれば船意外も色々と準備が可能だ。
「幽霊船と言えば霧にまぎれての奇襲が王道――故に奴らは、待ち受けられるということに慣れてはおるまい……そこに漬け込む予知がありそうだな」
敵は強力――故に立ち向かう為には、迎撃の為の準備をいかに行なうのかということが重要だ。
「最後に一つ……島を戦場にしては島民に被害が出てしまう。敵の懐に飛び込むことにはなるが、決戦は海上にてお願いしたい」
避難をさせたとしても、島を戦場にしては島民たちの今後の生活が立ち行かなくなる。
故に猟兵たちは島民たちと行った準備にて、敵幽霊船をいかに足止めするかも重要だ。
「入念な準備が重要となるだろう……皆、直ぐに向かってくれ」
その巨大な手で猟兵たちの肩をつかむと、そうゴリは皆を送り出すのであった。
きみはる
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お世話になります、きみはるです。
今回は幽霊船を迎撃する依頼となります。その為、プレイングボーナスは下記の通りです。
プレイングボーナス……島民と迎撃準備をした上で海上戦に臨む。
プレイングには、どういった迎撃準備を行なうか、といった内容も含めて記載下さい。島民は現代兵器のような機械を作ることは出来ませんが、木造のものであれば大抵は上手いこと作ってくれます。
●プレイングについて
戦争の性質上、少な目人数での進行とさせて頂ければと考えております。
先着順では無く、書きやすそうなものを選ばせて頂きます。
第1章 集団戦
『幽霊船の大艦隊』
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POW : 『鬼火』艦隊一斉砲撃
【並んだ幽霊船が統制の取れた砲撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 『鬼火』海賊団
レベル×1体の、【カトラスを装備した右手の甲】に1と刻印された戦闘用【『鬼火』海賊団員】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : セントエルモストーム
自身の【マスト】から、戦場の仲間が受けた【攻撃回数】に比例した威力と攻撃範囲の【呪詛の紫光】を放つ。
イラスト:猫背
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
塩崎・曲人
おう、そいじゃいっちょ迎撃準備を頑張るとしますかね
協力頼むぜ、島の皆さんよ
「曲人くんの海戦豆知識。射撃の命中率は船→陸より陸→船の方が圧倒的に高い、だ」
沿岸にカタパルト……所謂原始的な投石機を設置しようか
射程は数百メートルだから微妙っちゃ微妙だが……この世界巨人がいるし、巨人サイズで作ればもうちょい伸びるんじゃね?
運用は巨人が必要でも、作るのは別にノーマルサイズの人間で大丈夫だし
で、迎撃兵器を作って守りを固めるだけじゃなくオレも戦うぜ
【野良野球】で手頃なサイズの石とかを船団に打ち込んでやらァ
「カタパルトと違ってこっちは射程7キロ弱!近づく前になるたけ数減らさんとなぁ!」
荒珠・檬果
ほうほう、木造建築物なら。
あの、船のほかにサッカーボール大の丸い木の玉を複数(ヤシの実でも可)と、それを投げる投石機お願いします(ゲーム機に表示させた設計図見せながら)
足止めにおいて、投石機は力を発揮するので。
大艦隊というなら、どれかひとつには当たるんですよね!
さて、足止め後は船に乗りまして接近!
カモン【バトルキャラクターズ】!海戦に秀で、破魔と浄化を扱えるキャラクター。二人になるまで合体させます。
そして、私と共になぎ払いで攻撃を。…幽霊船という性質上、破魔と浄化に弱いはずなので!
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「おう、そいじゃいっちょ迎撃準備を頑張るとしますかね……協力頼むぜ、島の皆さんよ」
愛用の革ジャケットを熱そうに脱ぎ捨てながら、塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)は屈強な船大工たちにそう声をかける。
チンピラ然とした格好の曲人であったが、しかし相手は屈強な海の男たち。
何ら気圧されることなく、豪快な笑みで応よと声を返す。
むしろ不思議と波長が合うのか、長年の付き合いだとばかりの気軽さでやり取りをしていた。
「曲人くんの海戦豆知識。射撃の命中率は船→陸より陸→船の方が圧倒的に高い、だ……ってことで、カタパルト――所謂原始的な投石機を作ってくれよ」
「投石機ですか、それなら丁度設計図がここにありますよ」
そんな曲人と船大工たちとの会話に声を挟むのは、猟兵として共に依頼に参加している荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)であった。
バトルゲーマーである彼女は手持ちのゲーム機に事前に取り込んでおいた投石機の設計図を映し出し、船大工たちの眼前へと見せつける。
随分とハイカラなものもあるもんだと不思議そうにその機械を見つめながらも、そこは木工のプロ。
本来の専門とは違った慣れぬものであろうとも、船大工たちは二人の指示通りに大量の投石機を作り始めるのだ。
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島全体を覆いつくす霧。
その霧の向こうから、ゆらゆらと揺れる明かりが増えていく。
一つ、二つ、三つ……しばらく数えたとしても、船大工たちは直ぐに数えるのを諦めてしまう。
何故ならば霧を掻き分け現れた幽霊船たちは、大艦隊というその名に恥じぬ物量――視界に入る海面全てを覆いつくさんほどの密度で、迫りくる波のように塊となってやって来たのだから。
「これは中々の迫力ですね……でも大艦隊というなら、適当に撃ってもどれかひとつには当たるんですよね!」
しかしそんな迫力に気圧されること無く、檬果は意気揚々と声をあげる。
そしてその声に励まされるように――檬果の号令の下に、投石機作りに奔走してくれた船大工たちが投石機を放つのだ。
それはちょっとした岩やら木から削り出した玉やらそれこそそこらへんの木から回収したヤシの実まで。
ともかく弾として打ち出せそうなもの事前に集め、それを片っ端から打ち出していく。
もちろんその弾がより完全な球体であるほどに精度は上がる……だが、檬果の言葉の通り、的とするのは海面を覆いつくさんとするほどの大量の船。
故に気圧されることなく片っ端から弾を放てば、どれかの船には直撃するのだ。
そうなってくると檬果のゲーマーとしての血が騒ぎ出す。
あれよこれよとハイテンションに、次々と放つように船大工たちへと指示を飛ばす。
シャーマンズゴースト故に表情はわかりにくいものの、その様子から随分と楽しそうな雰囲気が伝わってくる。
最初こそその物量に顔を青くしていた船大工たちも、彼女の楽しそうな雰囲気に勇気づけられ血気盛んに声をあげるのだ。
「よっしゃあ、いっくぜぇ!」
そしてここにも一人、檬果に負けじとハイテンションに声を張り上げる男がいた。
曲人が打ち出すのは、ひと際大きな投石機。
それは船大工の皆が打ち出すのが人間サイズの投石機というならば、曲人が操るのはこの世界に住まう巨人サイズの投石機。
打ち出す岩も見上げるほどの大きさで、着弾と共に巨大な水しぶきをあげる。
さすがに数発も弾が用意出来ない上に猟兵である曲人でしか扱えないほどの代物になってしまったが、その分威力は圧倒的――跳ね上げた水柱は巨大な波を引き起こし、一隻だけでなく周囲の船すら巻き込み沈めていく大戦果だ。
「幽霊船という性質上、破魔と浄化に弱い、はず! カモン! バトルキャラクターズ!」
曲人の巨大投石機に幽霊海賊たちが騒然とする中、檬果は船へと乗り込んでゆく。
連れ出すお供は戦闘用ゲームキャラクター――それも幽霊退治なら破魔の力が有効だろうと、檬果が好きな和風アーケードゲームに登場する陰陽師と巫女を連れての登場だ。
破魔の力を持つの上で海戦に強そうなキャラクターを選ぶのは色々と悩ましかったものの、そこはGENJIだHEIKEだと海上ステージがあるアーケードゲームを選ぶことで解決したのだ……ちなみに破魔の力という縛りさえ無ければ、彼女の最推しであった三国ゲームのキャラクターを召喚をすれば海戦に強いキャラクターの目星は簡単につけられた故、少し悔しかったのはここだけの秘密だ。
「カタパルトと違ってこっちは射程7キロ弱! 近づく前になるたけ数減らさんとなぁ!」
檬果がバトルキャラクターズと共に船上で幽霊海賊団相手に無双ゲームを繰り広げている中、海岸では曲人がシューティングゲームに興じていた。
野球しようぜ? お前がマトな――とでも言いたげな曲人が振り回すのは愛用の鉄パイプ。そしてその鉄パイプにより打ち出されるのは海岸に落ちていた石や瓦礫、そして漂着物たちだ。
投石機ように用意された歪な球体以上に曲人が打ち出すのは様々な形状をした物ばかり。
それはもはや前へ向けて打ち出すのも困難であったはず――だが野良野球で磨かれた曲人の卓越したバッティングスキルを以ってすれば、どんな歪な岩であれ容易に弾丸ライナーが可能となる。
放物線を描くどころか海面スレスレの低空飛行を行なう物体は、海賊船の横っ腹に穴を開けていく。
これが野球であれば一人で勝負を決めるほどの大量得点――この惨状を野球に例えていいかは疑問が残るが。
「ガンガンいくぜぇ!」
「さぁ、まだまだ元気に張り切って!!」
幽霊海賊たちが悲鳴をあげる阿鼻叫喚の中、二人の猟兵はそれはそれは楽しそうに戦い続けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルフレッド・モトロ
連携アドリブ歓迎
島民は船大工さんなんだな、なるほど
相手は船だろう?
船大工さんならどこが船の急所か、よく知ってるんじゃないか?
ということで
どこを狙えば効率よく船を沈められるか
事前によく話を聞いておきたいと思う
戦闘についてだが
俺は【ヘルカイト】に【サーフィン】して前線へ行く
【水中戦】と【水中軌道】は得意なんでな
UCで作った渦で艦隊周囲の海を引っ掻き回し
他の猟兵の手助けになるように上手く渦を操作しよう
敵が大波に煽られて混乱している隙に
教えてもらった所を狙って【ワンダレイアンカー】を【投擲】していくぞ
投げたアンカーは【ワンダレイ・チェイン】と【怪力】で引っ張って回収
何度も繰り返し攻撃していきたい
アスカ・ユークレース
アドリブ絡み可
これはまた随分と往生際の悪い方達ですね……私が骸の海まで送り返してあげましょう
武器改造して水中機動仕様にしたキャバリアに迷彩を施して海中から静かに接近し騙し討ち
水中特有の視界の悪さも暗視を含む視力で対応可
キャバリアからチェーンを打ち込みロープワークで流されないよう固定しつつ継戦能力で海流に耐える
船に爆弾を仕掛けたら離れて遠方からUCでスイッチオン(爆撃
島民の皆さんには空っぽの巨大な軍艦を作って相手の気を引いていただければ。自動発射式の花火と狼煙で威嚇をするのもいいですね
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宵闇に沈んだ海の中に、剣戟の音が響き渡る。
それは島を責めるべく現れた幽霊海賊たち――その幽霊船の大艦隊との闘いの火ぶたが切って落とされた証拠。
奇襲を得意とする幽霊海賊は猟兵たちの迎撃準備に機先を制され、混乱の中へと陥っていく。
しかし島を潰せば良いのだと、少なくない被害を無視し、数の暴力で押しつぶすべく船の一部はそのまま島の入り江目指し進軍を再開したのだ。
「これはまた随分と往生際の悪い方達ですね……」
勝てば良いとばかりに被害を無視した強行軍に、アスカ・ユークレース(電子の射手・f03928)は辟易とした表情を隠しもせず言葉を零す。
しかしそれも無理からぬことだろう――何故ならばアスカがいたのは、“一人きり”の密閉空間なのだから。
「さぁ、私が骸の海まで送り返してあげましょう」
彼女がいたのは、水中専用にチューンした愛用のキャバリア――RXS-F軽量機動型キャバリア――通称グレムリンである。
本来は風の抵抗を減らす為のその流線型ボディは水を掻き分け、浮遊ユニットを応用し推力を生み出す駆動機構は静かに機体を海中に沈ませる。
クロムキャバリアで手に入れた先端技術の粋を結集した各種センサーを用いれば、夜の水中故の視界の悪さもなんのその。
正確に敵艦との距離を把握しながら、今か今かと奇襲の時を待っていたのだ。
「敵艦発見! 撃てぇー!」
幽霊船長の号令の下、幽霊海賊船は大砲を放つ。
しかしそれはアスカの存在が露呈したわけでは無い――彼女が島の船大工たちに依頼し用意したデコイ――外装だけを取り繕った巨大軍艦が、幽霊海賊たちの注意を引いているのだ。
「さぁ……今です!」
砲撃を受けても怯むことなく敵艦隊の中心へと進む軍艦に向け、アスカは握りしめたスイッチを押す。
その瞬間――軍艦は突如として光を放ったかと思えば、轟音と共に爆発四散して見せたではないか。
それはデコイとして用意をされた軍艦をただ的にするには忍びないと、持ち込んだ爆薬を仕込み罠として活かしたのだ。
爆風と共に飛び散った破片は周囲の幽霊船の脇腹に風穴を開ける。
そして爆発の勢いと共にあがる水柱が、船たちを飲み込まんと大波を生み出すのだ。
「さあ、ここからが "クライマックス" だ!」
荒波に揉まれ幽霊海賊たちが悲鳴をあげる中、その波の渦中で高らかに声をあげる男がいた。
巨大エイのような乗り物に仁王立ちした男――アルフレッド・モトロ(蒼炎のスティング・レイ・f03702)は奇襲の為海中に隠していた尾を煌々と燃え上がらせる。
アルフレッドは跨るエイのような乗り物――反重力サーファー『ヘルカイト』と共に旋回すれば、波は向きを変え――しかし勢いを殺すこと無く渦潮へと変えていく。
強く、より強く勢いを増していくその巨大な渦潮は、次々と幽霊船を飲み込んでいくではないか。
その巨大な渦潮こそ、海産系キマイラであるアルフレッドの真骨頂――狂騒海域(ライオット・イン・ブルー)だ。
海に生きる者として波を知るからこそ、渦潮という複雑な水の流れを自在に操っていく。
海中に残り渦潮に流されぬようチェーンで機体を海底に固定しているアスカへの負担を最小限になるよう調整しながらも、渦の勢い、そして規模を大きく……より大きくと、一隻でも多くの幽霊海賊船を巻き込むべくその動きを操るのだ。
そして辛うじてその渦潮を逃れんとしていた幽霊船すら、次々と渦潮の中に引き込まれていく。
焦った幽霊海賊が海をのぞき込めば、月明りを黒々と照り返す無骨な鋼――アルフレッドの放った錨――ワンダレイ・チェインがその船を繋ぎ止め、怪力で以って渦潮の底へと引き寄せていく。
船大工たちに事前に聞き取りを行なっていた比較的構造の弱い部分を的確に貫いていく錨は、次々と幽霊海賊船を屠っていく――それはアルフレッドの卓越した鎖さばきと、巨人にすら負けぬ怪力を以って可能となる荒業。
一隻、また一隻と引きずり込んでいくその様は、幽霊海賊たちを阿鼻叫喚の渦へと引きずり込んでいた。
「骸の海に還りなさい」
「はっはっは、まだまだいくぜぇ!」
海面を覆いつくすほどの大艦隊が――次々と海の藻屑へと消えていった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
朱鷺透・小枝子
・迎撃準備
回点号を操縦、大工の皆様の指示に従って怪力で材料を運びます
急造で構いません、キャバリア…巨人が1人乗れるような船を作って頂けますでしょうか?3~6船…いえ、10船!
10機動かすは自分の脳では大変ですが、ええ、頑張ります。
頑張って動かします。やればできる!!
・迎撃
『戦塵無窮』膨大な霊物質が、ディスポーザブル03に変換される
遠隔操縦で、船に乗せて迎え撃ちます。
瞬間思考力で10機キャバリアを同時操縦。
あれこれ動かす訳じゃない。撃って、撃つだけ!!
誘導弾の一斉発射、絶えず撃ちまくって幽霊船団へ範囲攻撃
エネルギー充填、充填の済んだ機体から両腕のビーム砲で貫通攻撃。
近付かせるな、近付かせるな!!
リーヴァルディ・カーライル
…巨大な投石機付きの船を造って貰える?
…投石機の大きさはそうね。人間が遥か遠くに飛ばせるぐらい?
…優れた戦術はすぐに模倣される物よ、ネルソン提督
天使達ほどでは無くともこれで多少の飛翔はできる…はず
UCを発動して降霊した霊魂達と極限まで同調
全身を呪詛のオーラで防御し9900km/hに達する飛翔能力に、
巨大投石機で射出する勢いを加え限界突破した空中戦機動で高高度へ飛翔
…来たれ。救世の誓いの下、我が身に宿りし魂達よ
異なる世界なれど、人々を救済する意志に変わりが無ければ、我が意に従え…!
上空から超高速の早業で奇襲を仕掛け敵船に切り込み、
闇属性攻撃の魔力を溜めた大鎌をなぎ払い船体を切断して回る
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島を取り囲む海域は怪しい霧に包まれる。
狭い視界の限りにおける海面を全て埋めつくすは、船、船、船――島を襲う幽霊船の大艦隊が埋めつくす。
しかしその艦隊は、既に1/3ほどに減らされていた。
なぜならば島で待ち受けるように準備された迎撃装置が……一騎当千の猟兵の活躍が、次々と幽霊船を屠っていくのだから。
そんな中、もはや正面からの勝利は無いとばかりに、島の裏手へと回る幽霊船の一団がいた。
そもそも、幽霊船たちは霧に紛れた奇襲を得意とする精鋭部隊――正面からどころか、待ち受けられている場所へ攻め入る経験など乏しいのだから。
だがそれすらも許さないとばかりに、その艦隊を待ち受ける存在がいた。
それはこの島で作られている木造船とは一線を画すほどの巨大な船――そしてその甲板には、一回りも二回りも大きな投石機が鎮座していた。
「優れた戦術はすぐに模倣される物よ、ネルソン提督」
暗闇に紛れ、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)はその瞳を静かに光らせる。
彼女の言葉の通り、今から彼女が模倣しようとしていたのは、敵コンキスタドール――七大海嘯『舵輪』ネルソン提督が用いていた天使による高高度からの爆撃だ。
唯一つ異なるのは……彼女が打ち出そうとしているのは召喚した何かでは無く、リーヴァルディ・カーライルその人――彼女自身なのだから。
「……来たれ。救世の誓いの下、我が身に宿りし魂達よ。異なる世界なれど、人々を救済する意志に変わりが無ければ、我が意に従え……!」
先ほどまで美しく煌めいていたリーヴァルディの瞳の中に、怪し気な紋様が浮かび上がる。
それは名も無き神の力の顕れ――怨念を喰らう聖痕。
宵闇に沈んだ海を揺蕩う怨霊たちを喰らった彼女は、その怨念すら力に変え禍々しい翼を生み出す。
そして巨大な投石機により打ち出された勢いで宙へと飛び立ち、闇の翼をはためかせ夜空に消えるのだ。
それはもはや肉眼では捉えきれぬほどの高高度への飛翔。
幽霊海賊たちは何が降ってくるのかと、ざわつき夜空を見上げる。
「嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼!!!」
そんな浮足立った幽霊海賊たちの肝を冷やすかのような奇声が夜の闇を切り裂くように響き渡る。
それはリーヴァルディと共にその船に乗り込んでいたもう一人の猟兵であり悪霊――朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)のあげた悲鳴だ。
その不気味な声は、幽霊たちの存在しないはずの心臓を早鐘のように鳴らしていく。
それは本当的に感じた恐怖故の反応――そしてその直感的な不安は、最悪の光景で以って実現した。
「船、船がぁ!」
その異変に気付いたのは一人の幽霊海賊であった。
闇夜を劈くような声が収まったかと思えば、自分たちが乗っている船が端から少しづつ消えていくではないか。
それは悪霊である小枝子が無尽蔵に生成する膨大な霊物質により塵芥へと摺りつぶされているが故――そしてそれは幽霊船そのものだけで無く、幽霊海賊たちすらも例外では無い。
それは霊としてより上位存在である小枝子が操るUC――戦塵無窮(エンドレスダスト)
塵へと還った霊たちは集まれば、それは無骨なキャバリアへとその姿を変えるのだ。
「撃って……撃って、撃って、撃つだけ!!」
甲板へと作り出したキャバリア――彼女の愛機の一つである無限軌道ディスポーザブル03へとするりと乗り込めば、小枝子は搭載されている火器全てを開放する。
それは両腕に据えられたビーム砲に両腕に両足、そして両肩に取り付けられたミサイルコンテナたちだ。
水平に走る光線が船を捉えたかと思えば、一度に何隻もの船を貫き水柱と共に藻屑へと姿を変える。
そして次々と放たれるミサイルが、宵闇を煌々と照らすように次々と爆発したならば、その艦隊は最早半壊と言って良いほどの被害を受けていた。
そうして生み出される爆発の中に呪詛のオーラにその身を包んだリーヴァルディが彗星の如き超高速で突き刺ささる。
爆発の混乱の中、突如として現れた彼女に対応できる者はだれ一人として存在しない。
そして完璧な奇襲を成功させた彼女は、紅き死念を煌々と輝かせる大鎌を振り回し次々と船そのものを切断して見せるではないか。
「これで……おしまい」
「近付かせるな、近付かせるな!!」
それはもはや撤退すら許されぬ蹂躙。
その海に浮かぶ船が全て沈んだとき――ようやくその轟音は静まり返る。
海の藻屑へと還った幽霊船がそのまま闇に消えた後――何もない静寂に包まれた水面を月明りが美しく照らしたという。
大成功
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