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羅針盤戦争〜白の泡沫

#グリードオーシャン #羅針盤戦争

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#羅針盤戦争


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●泡沫と泥
 その島の海岸は白い貝殻で覆われている。
 人ほどの大きさの純白のもの、掌ほどの淡い藍白のもの、抱えるほどの薄桜色の貝殻や指先ほどの月白色の貝まで様々な白が集っていた。
 白の砂浜に満ちる魔法の貝殻。
 其処からは常にふわふわと泡が湧き出ていた。透き通ったシャボン玉はぷかり、ぷかりと島の周囲に浮遊している。まるで硝子球のようにも見える泡は浄化の力を持っており、淡い虹色を反射して煌めく。
 その島に住むのは陽気で愛らしい海賊達。
 サリィシャという気のいい女海賊を筆頭に、上品さと豪胆さを兼ね備えた女性中心に構成された義賊系の海賊団だ。
 彼女達は白貝殻と泡沫に満ちた『白境島』を大切に思っている。
 硝子シャボンの泡沫は守りの力も備えており、海賊達は泡を扱う秘術を心得ていた。それゆえにこの島は難攻不落でもあった。

 だが、或る日。
 平穏だった白境島にコンキスタドールが襲撃を仕掛けてきた。
「ああっ! 白の砂浜が泥に!?」
「キャプテン、もう駄目です……! 皆あのドラゴンに呑み込まれてしまいました!」
「耐えるんだよ! 逆転のチャンスさえあれば皆を取り戻せるはずさ!」
 突如として現れたのは泥の龍。
 海岸は泥に満ち、汚濁の中に潜む泥龍は立ち向かった海賊達を次々と飲み込む。
 海賊達は強固な防護の力を持つ泡の中に入り、普段通りに撃退を試みた。しかし、現れた相手はこれまでとは段違いの強さを誇る、七大海嘯麾下の精鋭だ。
 海賊達は次々と泡ごと泥龍にやられていく。
 美しい白貝殻と泡沫の島は今、未曾有の危機に見舞われており――。

●泡々戦争
「ということで俺達の出番だ!」
 羅針盤戦争の最中に襲われている島が見つかったと語り、ディイ・ディー(Six Sides・f21861)は仲間達に協力を願う。
 向かう先は『白境島』と呼ばれている女海賊達が拠点にする島だ。
「現れたのは流動泥龍、マッドドラゴン。島の海岸に泥の領域を作った竜は白い貝殻の浜を汚して、海賊達を飲み込んじまった」
 相手は七大海嘯麾下の者。
 まともに戦うと苦戦は避けられず、猟兵もドラゴンの腹の中に一直線。しかし、ディイは対抗の手立てがあるのだと語った。
「島の周囲には綺麗なガラスボールめいた魔法の泡が浮いてるんだ。それは外部からの攻撃を遮断するが、内部からの力は外に放出できる代物らしい」
 泡には浄化の力もあり、猟兵の力と合わされば絶大な効果を発揮する。
 島を覆おうとしている泥も泡沫の力で綺麗にできると話し、ディイは敵と戦う方法を仲間に説明していく。
「皆には泡の中に入って戦って欲しい。内部に入る秘術は海賊達が知っている。まずは協力を願ってくれ。島の危機だから断られることはないはずだぜ」
 泡の中にさえ入ればこっちのもの。
 泡沫硝子球は内部の者の意志に反応して空を舞う。練習などしなくても思い通りに動くので泡で素早く浮遊しながら泥竜を狙い、すべてを浄化してやればいい。
「例えるなら泡で汚れを洗浄するって形だな。ある程度は泡が防御してくれるから、お前らは遠慮なくユーベルコードを放てばいいぜ」
 海賊達は後れを取ったが、猟兵ならよほど油断しなければ丸呑みの餌食にはならない。ドラゴンさえ倒せば呑まれた海賊も救出可能であり、泡の力を使えば汚染された海岸も元通りになるはずだ。
「相手はかなり強いが、心配はしてないぜ。さて、それじゃあ――転送開始!」
 ディイは仲間に信頼の眼差しを向け、転送陣を描いた。
 そして、此処から白の島を守る泡沫と泥の戦いが始まりを迎えてゆく。


犬塚ひなこ
 こちらは一章で完結する羅針盤戦争のシナリオとなります。
 戦場は『白境島』と呼ばれる貝殻の島です。

●採用について
 早期完結重視のため、少数人数の採用予定となります。
 余力がある限りがんばりますが、すべてのプレイングが採用できないこともありますのでご了承の上でご参加ください。
 タグで『プレイング受付中』と表示している間が募集中となります。タグが消えていたら募集締め切りだと判断してくださると幸いです。
 また、執筆の都合上でグループ参加はお二人様までとさせてください。

●概要
 皆様には魔法の泡の中に入って戦っていただきます。
 空中浮遊、丸呑み回避、浄化・洗浄の力がプラスされます。泡は外側からの攻撃をある程度弾き、内側からの力はそのまま放出されます。
 泡に入っても何も不利はありません。自分の周りに割れない泡があり、自由に空を飛べる力が加わったという感覚で戦ってください。
 二人までなら同じ泡の中に入れます。別々に入っても大丈夫なので、お連れ様がいる場合はどうやって泡を利用するかお書き添えください。

●プレイングボーナス
『海賊達と協力する』

 泡に入る秘術は海賊だけが知っています。
 泡を使って戦うこと=海賊に協力してもらった、ということになるのでプレイングボーナスがつきます。海賊との会話やお願いはあってもなくても大丈夫です。交渉等しなくても協力を願えば泡の中に入れてくれます。
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第1章 ボス戦 『流動泥龍『マッドドラゴン』』

POW   :    マッドボア
【丸呑み捕食】が命中した対象に対し、高威力高命中の【体内の高粘度の泥】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    マッドダイビング
全身を【深い泥に潜行すること】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
WIZ   :    マッドブレス
【口】から【高粘度の泥】を放ち、【泥まみれ】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:笹本ユーリ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠テフラ・カルデラです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アルデルク・イドルド
アドリブ歓迎

同じ海賊といえど率いている頭が違えば団の雰囲気も変わるがこれはまた…俺も一つの海賊団を率いる者として礼を尽くさねばな。
貴方達の島は必ず守る。だから力を貸して欲しい【情熱】を込めてそう誓おう。

泡沫硝子球の力と猟兵の力が合わされば砂浜を浄化することが出来るらしいからな。

硝子球にはいったらUC【海神の弓矢】を【属性攻撃】海で強化し浄化の力と共に攻撃
さぁ、美しい砂浜を取り戻そう



●誓いと浄化
 美しい白い貝殻と泡沫の島は今、汚泥に穢されかけている。
 濁った色が島を侵食していく様を見つめ、アルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)は島の様相に感心を抱いていた。
 流動する泥に身を潜ませたドラゴンが吼える。
 その咆哮に耐えながら、女海賊達は反撃の機を窺っているようだ。
「アンタ達、前に出過ぎるんじゃないよ!」
「はい、キャプテン!」
「呑まれちゃお終いだ。急く気持ちはあるだろうけれど今は辛抱だからね!」
「ううっ……サリィシャ様。私も頑張りますう……」
 海賊団は既に大半がドラゴンに飲み込まれているらしく、残ったのは三人。サリィシャという頭が、気落ちしている団員を励ますという構図らしい。
 アルデルクは其方へと駆けていく。
「同じ海賊といえど率いている頭が違えば団の雰囲気も変わるが、これはまた……」
 三人の海賊は現在、物陰に隠れながら泥龍の出方をしっかりと見据えている。その眼差しには怯えもあるが、誇り高さも見え隠れしていた。
 アルデルクは彼女達を驚かせないように近付き、思いを強く抱く。
「俺も一つの海賊団を率いる者として礼を尽くさねばな」
 たった一幕を見ただけでキャプテンと団員の絆が感じられた。きっと飲み込まれた団員達も女海賊を慕っているのだろう。
 そのとき、海賊達がアルデルクの到来に気が付いた。
「おや、アンタは?」
「て、敵さんではないですよね……?」
 おずおずと後ろに下がった団員に対し、キャプテンのサリィシャは真っ直ぐにアルデルクを見つめてきた。猟兵だと告げれば彼女は頷き、アルデルクの言葉を待つ。
「貴方達の島は必ず守る。だから力を貸して欲しい」
「手助けしてくれるってんなら大歓迎だよ。寧ろこっちがお願いする方さ!」
 情熱を込めて誓ったアルデルクに、サリィシャが笑みを向けた。
 そして、彼女は不思議な呪文を唱えはじめる。
 すると周囲に浮遊していた泡のひとつがアルデルクの元に飛来した。
「このままじゃすぐに飲み込まれちまうからね。さあ、入って!」
「そうだな、聞いた話によると泡沫硝子球の力と猟兵の力が合わされば砂浜を浄化することが出来るらしいからな」
「ああ、浄化の前にあのドラゴンを倒すのが先だが……頼むよ!」
 サリィシャはアルデルクに願い、猟兵への期待を抱いた。アルデルクは他にも猟兵がいて、泡の力を求めていると伝える。
「そうかい、じゃあアタシ達は協力してくれる子達に接触して回ろう」
「それでしたら私も怖くないです!」
「猟兵さん、どうかご武運を!」
 三人の海賊はアルデルクに礼を告げ、それぞれに泡を浮遊させて飛び立つ。
 その姿を見送ったアルデルクは硝子球の心地を確かめ、泥を撒き散らすドラゴンへと向かっていく。射程圏内に入ったことを確かめ、彼は海神の弓矢を放つ。
 高粘度の泥が解き放たれたが、高度をあげたアルデルクはその一撃を躱した。
「さぁ、美しい砂浜を取り戻そう」
 そして、アルデルクは更なる魔法の矢を射出していき――。
 此処から戦いは始まりを迎え、白の島を護るための攻防が激しく巡っていく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

兎乃・零時
アドリブ歓迎

泥…ドラゴン!?
凄そうなドラゴンだけど…泡、此れがキーだな?

海賊の皆!奴を倒すために俺様泡の中に入りたいんだ!頼む…!

泡で洗浄、分かった、大体理解した!
空中浮遊×空中戦

やってやる…!
なら俺様は避けながら魔術を練る!
この戦争でようやっと覚えたオリジナルで…!!

泡使って丸のみ攻撃諸々回避するよう動き!
泥のドラゴンを屠る術式を練る!

口からの詠唱
杖の先から魔力文字による疑似詠唱による多重詠唱で魔術を練りまくる

光線を幾重にも作り、それを巻きつけ螺旋とかえて
ドリルが如く唯一点を穿ち粉砕する
今の俺様に出来る最高火力の光線魔術

限界突破×全力魔法

行くぜ!

 ロード=グリッター
《闇夜晴らす螺旋の道》!!



●満ちゆく光
 白い貝殻の砂浜は汚泥に侵されている。
 訪れた兎乃・零時(其は断崖を駆けあがるもの・f00283)が見たものは、美しい景色が穢れていく真っ最中の光景だ。
「泥……ドラゴン!?」
 粘つく泥の中で龍が泳いでいる。
 凄そうなドラゴンだと感じたが、周囲には煌めく泡が幾つも浮かんでいる。
「此れがキーだな? 海賊の皆! 奴を倒すために俺様、泡の中に――」
「はいよ! アンタも協力者だね!」
 零時が泡の秘術を頼もうとすると、現れた女海賊があっという間に零時を綺麗な泡沫球の中に入れてくれた。
「入り……あれ、仕事はやっ! 頼む前に入れられてんだけど!?」
「あはは、他の猟兵も同じことを願ってきたからね。寧ろアタシ達が頼む方だからさ。よろしく頼むよ!」
「おう!」
 今も泥龍の侵食が続いている今、話が早いことはいいことだ。
 どうやら海賊達は猟兵を信じて戦いの行方を託し、彼女達は泡の秘術を行使することに専念するらしい。少しだけ秘術が気になったが、今は戦うべきとき。
 それに期待に応えることも大切だ。
 零時は自分を包み込む泡の感覚を確かめ、頭上を目指して飛んでみる。きらきらと輝く泡沫は浄化の力を宿していることがよくわかる。
「泡で洗浄だな。分かった、大体理解した!」
 独特な空中浮遊の感覚を即座に掴んだ零時は、やってやる、と意気込んだ。
 すると此方に気付いたらしい泥龍が口を開けて飛びかかってきた。はっとした零時は急上昇することでドラゴンの食いつきを避ける。
「これはいいな!」
 この調子ならば敵の攻撃を避けながら魔術を練ることもできるだろう。続いていくこの戦争でようやく覚えたオリジナル魔法の出番というわけだ。
「見てろ、泥のドラゴン!」
 高粘度の泥を放とうとしてくる敵を空中から見下ろし、零時はあれを屠る術式を練りあげていく。
 詠唱を紡ぎ、杖の先からも魔力文字による疑似詠唱を重ねる。
 そうすれば力は重なり、魔術に込められていく力も次第に大きくなっていった。
 汚泥が飛び交う戦場で零時は泡と共に飛び続ける。光線を幾重にも作り、それを巻きつけ螺旋へと変え、まるでドリルが如く唯一の点を穿つことで粉砕する。
「これが今の俺様に出来る最高火力の光線魔術!」
 泡に身を任せ、高速で舞う。
 限界を突破して紡ぐ全力の魔法は狙い澄まされ、ただ一点だけに注がれる。
 それは泥龍の額にある角。
「行くぜ!」
 煌めいて揺れる泡が光を乱反射する。零時はこの一撃に最大の力を込めるのだと決め、一気に魔力を解き放った。
「闇夜晴らす螺旋の道――ロード=グリッター!!」
 少年の声が響き渡った瞬間、双方の距離が一気に縮まった。
 刹那、全力全開の魔力砲がマッドドラゴンの額の角を砕き割った。グルルル、と痛みに耐える叫び声が泥龍からあがる。
 だが――。
「あっ! 泥に潜りやがった!」
 零時の一撃をまともに受けた泥龍が汚泥の中に潜っていく。おそらくはそうしなければならないほどの大打撃だったのだろう。
 零時は泡と共に浮遊して、泥沼を上から見下ろした。
 次に龍が浮上してきたときにもう一撃を。そう心に決めた零時は杖を強く握り締め、再び魔力を練り上げていった。
 そして、此処から戦いは更に続いていく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

テリブル・カトラリー
『換装・邪神兵器』
BS-Sハイペリオンランチャーを装着。
キャバリア用の兵器。私の性能(怪力)でも扱う事は可能だが、
武器改造、一際巨大な物を用意した。

威力は十分だが、機動力は死んでいる。
故に……頼めるか?

海賊達から、泡を秘術を掛けてもらい、空中浮遊。
泡で重量を軽減し、ブースターで推力移動。

泥の塊。ただの兵器では、効果も薄いだろう。だが、
こいつは……違うぞ。

力を充填しながら、マッドドラゴンの前へ躍り出る。
スナイパー。一撃だ。引きつけて、確実に当てる。

丸呑み捕食に合せてカウンター。ハイペリオンランチャーの貫通攻撃。
口から動体まで、貫く範囲攻撃で、その生命力を吹き飛ばし、浄化する。



●龍を穿つ
 ――換装・邪神兵器。
 アンディファインド・クリーチャーウェポンが起動していく。
 BS-Sハイペリオンランチャーを装着したテリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)は周囲の様子を注意深く探っていった。
 美しい白の貝殻に包まれた浜は今、穢れた泥に包み込まれている。
 海岸と浜辺の境目は特に汚れており、この島を襲っている泥龍が潜っているらしい。
 テリブルが装備しているのはキャバリア用の兵器。
 巨大ではあるが、彼女の性能を駆使すれば扱うことが可能なものだ。
「おや、これはまた頼もしそうな子だね!」
 テリブルの傍に訪れた女海賊、サリィシャは武器改造されて一際巨大になった兵器を見上げて感心している。どうやら先に訪れた猟兵によって事情は説明されており、サリィシャもテリブルを一目見て猟兵だと理解したようだ。
 静かに頷いてみせたテリブルは女海賊に願う。
「威力は十分だが、機動力は死んでいる。故に……頼めるか?」
「ああ、任せておきな!」
 島を救ってくれるのならば秘術など幾らでも、と海賊は応える。文字通りの秘密の技ではあるが、伝えるものが居なくなってしまえば無意味になるからだ。
 海賊は呪文のようなものを唱えはじめる。
 すると、兵器を含めたテリブルの身が大きな泡に包まれていった。
 煌めく泡沫は浮遊しはじめ、テリブルは上空を目指す。割れない泡は不思議ではあったが、この力が自分にない機動力を与えてくれることが頼もしい。
 浜辺の片隅で手を振る女海賊の姿が遠くなる。
 彼女の中に宿っているのは信頼。
 必ず泥龍を撃退すると誓ったテリブルは蠢く泥を見下ろした。シャボンめいた泡球は自由自在に動き、不便は全く無い。
 見れば、泥に潜ったドラゴンが姿をあらわしていた。
 重量は泡で軽減されているため、ブースターで推力移動も可能だ。そして、テリブルは換装した腕の封印を更に解除していく。
 抽出した神気を集わせ、ただ一点を狙って標的を定める。
 汚泥から濁った泡を噴き出しながら蠢く龍もまた、テリブルの気配に気付いていた。
「泥の塊。ただの兵器では、効果も薄いだろう。だが……」
 一瞬、ドラゴンとテリブルの視線が重なった――ように思えた。次の瞬間、テリブルは御した邪神の力を一気に発動させていく。
「こいつは……違うぞ」
 力を充填しながら、マッドドラゴンの前へ躍り出るテリブル。
 狙い澄ませるのは全力の一撃。
 引きつけて、確実に当てることで泥ごと龍を貫く狙いだ。刹那、激しい轟音と共に生命力が穿たれた。
 鋭いドラゴンの咆哮が響き渡るが、テリブルは怯みなどしない。
 口をあけた泥龍が丸呑み捕食しようとしたが、浮遊する泡の力で躱す。そして、その動きに合せてカウンターを叩き込む。
 ハイペリオンランチャーが熱を宿し、一閃が泥の龍の身を貫通していく。
 口から胴体。更には尾。蠢く泥は見事に貫かれ、その生命力が吹き飛ばされていき――浄化の力が敵の身を削った。
 されど、まだ終わりではない。
 マッドドラゴンは巨体を左右にくねらせ、海に混じった泥に再び潜った。
「泥に隠れたか。しかし、逃すものか」
 あの泥がある限り、ドラゴンは幾らでもその身を再生させるのだろう。
 テリブルは気を抜かず、しかと敵を追っていく。陽を受けて煌めく泡沫と共に最後の最期まで敵を狙っていくだけだ。
 戦いへの意思を抱くテリブルは強く身構え直し、泥龍を捉え続けた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

イコル・アダマンティウム
「どらごん……どろごん?」
なんか、かっこよくない

僕は格闘特化の愛機、キャバリアに搭乗して出撃する、よ

【協力:泡】
「ね……おっきな泡、ある?」
キャバリアは5mある、から大きめな泡がいる
なかったら、手と足を覆う為に4つ泡が欲しい、な
「ありがと……呑まれた人、すぐ助ける、ね」

【攻撃】
UC[オーバーブースト・マキシマイザー]
「ブースト、起動」
機体に、火器類はない、よ
だから、僕のオーバーブーストは
手足のスラスターで加速しながら格闘の乱打を放つ技になる、よ
「おらおらおらー……」

「泡がある……今なら」
相手が泥に入っても泡がある
今なら……加速に問題は、ない
泥に入ってブースト全開で殴り続ける、ね

*アドリブ歓迎



●アダマンティウムの希望
「どらごん……どろごん?」
 白の浜辺は汚泥にまみれ、もとの美しさが消されてしまっている。
 イコル・アダマンティウム(ノーバレッツ・f30109)は泥に潜んで泳いでいるらしい流動泥龍の揺らぎを見遣り、軽く首を傾げた。
「なんか、かっこよくない」
 相手は島を泥で包み込もうとしている悪いものだ。そして、イコルは汚されかけている島を見渡した。搭乗しているキャバリアのTactical Armor-001:Last ONE――格闘特化の愛機のセンサーが泥の中のドラゴンの動きを察知している。
 今にも浮上してきそうな敵を警戒しながら、イコルは海賊達の元へ急ぐ。
「ああ、アンタも猟兵かい?」
 女海賊サリィシャはイコルが協力に訪れたことを察し、こりゃ大きいねえ、とキャバリアを振り仰ぐ。
「ね……おっきな泡、ある?」
「その機体を泡に入れたいんだね。任せな、幾つかの泡を繋ぎ合わせるよ!」
 イコルが問うと、サリィシャは大きく頷いた。
 海賊は呪文を紡ぎ始め、五メートルほどもあるキャバリアがひとつに合体した大きな泡に包まれていく。
 ふわりとした浮遊感を覚えたイコルは愛機を動かしてみた。
 普段の操縦に加えて別の感覚が巡る。少しだけ落ち着かない心地もあったが、いつも通りの動き方も出来そうだ。
「ありがと……呑まれた人、すぐ助ける、ね」
「ああ……。アタシ達じゃ太刀打ちできないからね。よろしく頼んだよ」
 イコルが海賊の仲間を救うことを誓うと、サリィシャは真剣な表情で願った。きっと彼女達も気が気でないのだろう。本当は自分達で仲間を救いたいに違いない。
 だが、今はこうして補助役に回ってくれている。
 その期待と希望に応えようと決め、イコルは泡沫と共に機体を浮上させていく。
 そして、泥に潜っていたドラゴンも此方の気配を察知して咆哮をあげた。泥が弾け、泡に付着しそうになったが、イコルは即座に機体を上昇させて躱す。
「ブースト、起動」
 刹那、キャバリアに力が巡っていく。
 格闘特化と謳われているようにイコルの機体に火器類はない。それゆえにイコルのキャバリアのオーバーブーストとは、加速と乱打だ。
 手足のスラスターの動きに泡が呼応しており、機体は鋭い速度を纏って疾走る。巨体をあらわにしたマッドドラゴンに向け、キャバリアの拳が差し向けられた。
「おらおらおらー……」
 イコルの掛け声と共に目にも留まらぬ連撃が繰り出されていく。右腕が振り下ろされ、泥が散る。左足が泥龍の角を穿って折った。
 普段の乱打に加え、今は浄化の力がイコル達に宿っている。
 泥の体の所々を吹き飛ばされたドラゴンは不利を察したらしく、汚泥の中に潜った。だが、イコルとてそのまま逃すつもりはない。
「泡がある……今なら」
 恐れることはない。一気に加速して泥に潜航したイコルは追撃に入る。流石のマッドドラゴンもイコルの行動は予測できず、防御態勢を取る前に拳で穿たれた。
「ブースト、全開。……あれ、もしかして」
 そのままマッドドラゴンを殴り続けようとしていたイコルはふと、泥の中に球体が揺らいでいることに気が付いた。内部の人間は意識を失っているらしく、敵に飲まれていたという海賊だろうと判断できた。
 おそらく猟兵の攻撃によって崩れた泥龍の腹から解放されたのだろう。呑まれた人を必ず助けると決めていたイコルは攻撃を止めた。泥龍はその隙に深くに潜っていったが、敢えて見送る。
「大丈夫。約束した、から」
 腕を伸ばし、泡ごと抱き上げるように海賊を持ち上げたイコルは浮上する。
 そして、ひといきに泥から抜け出した。
「ああ、仲間だ!」
「猟兵さんが助けてきてくれたんですね!」
「ここに……置いておく、ね。あとはよろしく」
 浜辺で待っていたのは飲まれずに残っていた海賊だった。彼女達に泡内の海賊を託し、イコルは汚泥に向き直る。
 きっとまだドラゴンの腹の中には海賊が囚われている。
 それならば、全て助け出すまで戦い続けるだけ。イコルは静かな決意を抱く。そして、T.A.:L.ONEは再び天高く飛び上がった。
 煌めく泡沫に包まれた機体に、希望と勝利の導を乗せて――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
白、白い綺麗な島
綺麗に戻ったら貝殻をひろいたいくらい

僕と同じ色
守らなきゃ

わぁあ!
泡の中にはいるのははじめてだ!
ふふー、游ぐとも違う不思議な感じだね、ヨル!
あれ、ヨルが別の泡の中にいる
そっちいっちゃだめだよ!龍がいるよ!
泥んこ遊びは、あと!

龍は龍でも君はべたべたの泥んこなんだね
泥んこ遊びはもう終わりだ
綺麗にお掃除しちゃおうか
君の泥を洗い流したら中からは何が出てくるのだろう?
水泡のオーラを重ねて守りながら
ヨルの応援にガッツポーズを返し
気合いを入れて歌うよ

―「泡沫の歌」

全てを洗い流す、嵐のような水を降らせる
さぁ、どんな澱みも穢れも
全部全部を洗い流してしまおう

白は何ものにもけがされない
魔法の色なんだ


荻原・志桜
うんうん。要はお掃除ってことだよね
任せて海賊さん!
掃除するの嫌いじゃないし、飲み込まれた仲間も助けるから

元の白い砂浜と魔法の貝殻、キレイな光景を取り戻さないとね
みんなが大切にしている砂浜
わたしだって見てみたいもん
フォローよろしくっ

泡で浮く感覚はちょっと楽しい
うん、良かった。大丈夫そう
自由に飛べるのっていいなぁ、どんな魔法なんだろう
ううっいまは我慢!

泥の龍、それだけ大きければ掃除のやりがいもあるってものだね
倖にもここは浜辺
大量の水、海があるんだから自然の力を借りちゃおう

魔力を練り上げた集めた杖先を海に向けて
浄化の力と全力を込めた魔法
引っ張る様に海水の渦を龍へ放つ

にひひ、なんか高圧洗浄機みたいかも



●桜と白の魔法
 見渡す限り一面に広がる白と蒼。
 しかし貝殻と泡沫に包まれた島には今、汚泥が広がっている。美しかったはずの場所は悪しき龍に襲われ、穢れた泥に覆われかけていた。
「白――僕と同じ色」
 守らなきゃ、と呟いたリル・ルリ(『櫻沫の匣舟』・f10762)は決意を抱いた。
 海岸は濁った色に染まり、泥が揺れている。泡は貝殻から生まれては浮かんでいるが、それらが汚れきってしまうのも時間の問題だ。
 泡に包まれ、ふわりと浮いたリルは泥に潜った龍を探す。
 そのとき、地上の方から少女の声が聞こえた。
「うんうん。要はお掃除ってことだよね。行ってくるね、海賊さん!」
 視線を下に巡らせると、荻原・志桜(桜の魔女見習い・f01141)が海賊のサリィシャに手を振る光景があった。どうやら彼女も海賊に泡の秘術を掛けて貰ったようだ。
「よしっ! お掃除するのは嫌いじゃないし、飲み込まれた仲間も助けるからね!」
 気合いを入れた志桜が泡沫と共に浮上してくる。
 リルは其方に游ぎ寄り、少女に声を掛けた。
「志桜、君も来てたんだね」
「リルくん! うん、こんなに綺麗な場所が襲われてるのは放っておけないもん」
 視線を交わした二人は笑みを重ねる。頷きあった白の人魚と桜色魔女見習いは互いに協力しあうことを決めた。
「ここが綺麗に戻ったら貝殻をひろいにいこう」
「そうしよう! 元の白い砂浜と魔法の貝殻の光景を取り戻さないとね」
 此処はこの島のみんなが大切にしているという砂浜。わたしだって見てみたいから、と告げた志桜はリルと一緒にドラゴンが潜っている汚泥に視線を向けた。
 内部で龍が動いているのか、泥が激しく隆起している。
 いつでも敵が出てきても良いように構え、リルと志桜は注意を払っていた。その間に泡沫しゃぼんの心地も確かめていく。
「うん、良かった。大丈夫そう」
 自由に飛べるのは心地良い。海賊は秘術を使うときに呪文を唱えていたが、一体どんな魔法なのかが気になる。
 けれどもいまは我慢、と志桜が頭を振ると、リルがそっと笑う。そして、リルは一緒にいるはずの式神ペンギンのヨルに呼び掛けた。
「見てヨル、泡の中は游ぐのと違って不思議な……あれっ、ヨル?」
「ヨルくん!? 危ないよ!」
 いつのまにか仔ペンギンはリルとは違う泡の中に入っていた。志桜が驚きながら手を伸ばしたが、ヨルは無邪気にぴょんぴょんしている。
「きゅうー!」
 楽しそうに燥ぐ仔ペンギンが跳ねると、泡沫も一緒にふわふわと揺れた。不意に急降下したヨルしゃぼんは、なんと汚泥に近付いている。
「そっちいっちゃだめだよ! 龍がいるよ! 泥んこ遊びは、あと!」
 その瞬間、咆哮と共に泥龍が浮上した。
 口を開けたドラゴンは一気に口を開け、仔ペンギンを飲み込もうとしている。
「きゅー!?」
「わああ、ヨルくん!」
 咄嗟に志桜が魔力を紡ぎあげることで海風を起こす。それによって泡沫が浮かんだのでヨルは丸呑みされずに済んだ。
 しかし、泥龍はまだペンギンを狙っている。リルが助けに向かうが、ドラゴンが泥から飛び出すほうが早い。
「ヨル……!」
 このままヨルが泡ごと呑まれてしまうのかと思った刹那。
 ――仕方ねえな、手本を見せてやる。
 リルの身に宿る白い鳥の声がした瞬間、白の魔力が渦巻きはじめた。五線譜を描くような線が空中に走り、其処に浮かんだ純白の羽根が音符のように並ぶ。
 そして、白の羽根は矢のように鋭く迸って泥龍を貫いた。それによってドラゴンが沈み、泥が大きく跳ねる。
「きゅっ!?」
「ヨルくんキャッチ! リルくん、今のは魔法?」
 飛ばされた仔ペンギンに志桜が手を伸ばすと、ふたつの泡が合体した。少女の泡沫の中に保護されたヨルはぎゅっと志桜にしがみついている。どうやら怖かったらしい。
 ほっとしたリルは志桜にヨルを任せ、ふるふると首を振る。
「わからないけど……白の魔法、なのかな」
 これが『切欠』なのかもしれないと感じ、リルは身構え直す。この魔法について考えるのは後だ。きっとすぐに泥龍が浮かんでくると察し、リルは泡を高く浮遊させた。
 志桜も桜リボンの魔術杖を握り、攻撃の意志を見せる。
「龍は龍でも君はべたべたの泥んこなんだね」
 泥んこ遊びはもう終わり。綺麗にお掃除しちゃおうか、とリルが紡ぐと、志桜もこくりと頷いて応えた。
「それに、それだけ大きければ掃除のやりがいもあるってものだね」
 幸いにもここは浜辺。
 泥に侵されていない大量の海の水があるのだから、自然の力を借りるのが吉。
「君の泥を洗い流したら中からは何が出てくるのだろうね?」
「行くよ。リルくん、ヨルくん!」
「きゅきゅー!」
 リルは水泡のオーラを重ねて自分達を守り、志桜の泡の中で応援してくれるヨルに視線を返した。そして、流れる魔力を意識しながら歌を紡ぎあげていく。
 響かせるのは泡沫の歌。
 ――ゆらり、ゆれて、夢の中。全て、すべてを泡沫に。
 リルの歌声に合わせ、志桜は魔力を集わせた杖先を海に向ける。海に向けられた二人の力は重なり、全てを洗い流す嵐のような水が巻き起こった。
 瞬く間に泥が弾けて散り、白の浜辺の穢れも一緒に浄化されていく。
「にひひ、なんか高圧洗浄機みたいかも」
「さぁ、どんな澱みも穢れも洗い流してしまおう」
「うんっ!」
 ヨルはいつの間にか志桜の魔女帽子の上に乗っており、きゅっきゅと歌ってリル達の援護をしている。
 汚泥から引っ張るように海水の渦が迸れば、泥龍の咆哮が響き渡った。
 そして、リルと志桜の力が織り成していく渦は清らかな雨を降らせ、汚泥に濡れた海岸を徐々に元の色に戻す。
 白は、何ものにもけがされない魔法の色。
 美しい島の彩を護るため、人魚と魔女達は戦い続けていく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ライラック・エアルオウルズ
『泡沫の夢』
――とでも題したい景だけど
詞の通りとはさせたくはないね
ひとつ、掃除を手伝わせて?

ふわりと、泡浮かぶ心地は
宵に見る夢めいて心躍る限り
とは云え、燥いでいられない
泥遊びで汚し回る悪い子を
丸洗いしてやるとするかな

ブラシで擦るも良いだろうが
多少粗っぽく、洗い流すも良いか
ねえ、お嬢さん方、上に避けて?
少しばかり、“津波”が来るからね

セイレーンの嵐にはならぬよう
《全力魔法》で暴走抑え、舵取り
《属性攻撃:水》加え津波を起こす
足下狙い流しゆけば、身を崩して
暫しは動きを止められるだろうか

隙を生めたなら海賊に声掛けて
畳み掛けるよう、攻撃していこう
美しい浜辺、美しい海を守るべく
さあさ、綺麗にしてやろう



●澁く波間に
 此の場所を喩えるならば。
 ――『泡沫の夢』。
「とでも題したい景だけど、詞の通りとはさせたくはないね」
 白貝殻と煌めく泡沫に包まれた島を前にして、ライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)は緩やかにかぶりを振る。
 聞いていた通りの島の光景が此処にあればどれだけ良かっただろうか。
 しかし今、此処は穢れた汚泥に飲まれかけている。
 低い唸り声と共に濁った泡が海岸の泥から浮かびあがった。ライラックは肩を竦め、この汚れた世界を作り出す泥の龍を思う。
「困った子だ」
 いつまでも龍の跋扈を赦してはおけない。
 ライラックはまだ侵されていない領域を確かめ、猟兵達に泡の秘術を掛けている海賊の元に向かった。
「ひとつ、掃除を手伝わせて?」
「ああ、アンタも協力者かい。助かるよ!」
 女海賊サリィシャはニッと笑い、瞬く間にライラックに秘術の力を巡らせる。泡沫が彼を包み込み、ふわりと浮かぶ心地が快く思えた。
 まるで宵に見る夢のよう。
 心躍る限りだと感じたライラックは泡に身を任せ、上空へ浮遊する。そうすれば白の島の全貌があらわになる。
 泥にまみれていない地域はとても美しく、見惚れてしまいそうだ。
「とは云え、燥いでいられないね」
 地上で見送ってくれた海賊の期待に応えるため、此処からは戦いの時だ。
 ライラックは泥が蠢く様子を見下ろしながら狙いを定める。
「泥遊びで汚し回る悪い子を丸洗いしてやるとするかな」
 あれほどに汚れているのならばブラシで擦るのも良いだろうが、それで事足りる大きさでもないだろう。あれが人に仇をなすものであるならば、多少は粗っぽく洗い流すのも悪くはないはずだ。
 そして、ライラックは地上にいる海賊達に呼び掛ける。
「ねえ、お嬢さん方、上に避けて? 少しばかり、“津波”が来るからね」
「ん? へぇ、荒っぽい何かをするんだね。お前達、逃げるよ!」
「はあーい!」
「はいっ!」
 サリィシャが残った手下を連れて退避したことを確かめ、ライラックは力を紡ぐ。
 セイレーンの嵐にはならぬよう、暴走は抑えて魔力の舵を取った。そして、水の属性を其処に加えていけば、津波の出来上がり。
「さあ、掃除の時間だよ」
 ライラックは泥龍が潜っている汚泥ごと海を洗い流す心算だ。
 浮上してきたドラゴンは咆哮をあげたが、その足下すら狙い流してゆけば、身を崩していくはず。刹那、津波は狙い通りにマッドドラゴンを深く穿った。
 悲鳴めいた鳴き声が響いたことで、ライラックは作戦が上手く巡ったと感じる。
「これで暫しは動きを止められるね」
 だが、次の瞬間。
 泥の体躯を蠢かせた龍が大きく口を開いた。ライラックの泡に目掛けて高粘度の泥を吐いた泥龍は激しく吼える。
 おっと、と軽く声をあげたライラックは泡沫を更に高く上昇させた。
 泥の塊が泡を掠め、彼の視界に入る。されどライラックは身を翻し、泡ごと後方に下がることで次々と粘泥を避けていった。
 その際に片腕をもう一振り。
 更なる津波がマッドドラゴンの足を掬い、泥の攻撃が止んだ。
「お嬢さん方、援護を頼めるかな」
「ああ!」
 隙が出来たと察したライラックは海賊達に声を掛け、共に畳み掛けるような攻撃を重ねていった。海賊が放つ銃弾が飛び、彼の操る水流がその威力を増幅していく。
 猟兵達の攻勢も更に強くなり、泥龍は徐々に押されていった。
 美しい浜辺、美しい海を守るべく――。
「さあさ、綺麗にしてやろう」
 片目を閉じてみせたライラックは、戦いが佳境に入っていくことを感じている。
 本当の白の彩を此の瞳に映すために。
 煌めく泡と共に巡る戦いは、激しい飛沫を散らしながら続いてゆく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

冴島・類
翼が無くとも、泡の力をお借りできたら
勝機もありましょう
聞くだに美しい島、守って拝見したいですからね
海賊さん達には秘術お借りする旨礼を言って、泡に

これは、凄いな!
泡の力に感嘆する気持ちは抑え
泥龍の動きを注視

さて…こっちへおいで
丸呑みを回避する為、口の動きを見切り回避
泥纏ってるせいか、軌道が割と読みやすいかもな
フェイントで翻弄するように速度に緩急つけ惑わし
隙をついて全速力の速度に上げ
顎下ぎりぎりの距離へ

瓜江、君の風を借りるよ
相棒から多生の縁で風の力を借り
刀に降ろし、泡に満ちた浄化の力を合わせ
薙ぎ払いを放つ
清らかに、と祈りを込めて

さぁ、汚れはお掃除といこうか
この浜を白く
飲んだ子らを、返してもらおう



●風の導
「――さあ、行っておいで!」
「はい!」
 泡沫を空に送り出す海賊の声を背に、冴島・類(公孫樹・f13398)は空を翔けた。
 類に翼はないが、今は此の泡の力が身を包んでいる。先程、協力を願った海賊からは快い返事が貰えた。
 秘術を施す呪文は実に心地よく、今も耳に残っている。
「これなら勝機もありましょう」
 飛翔しながら白い貝殻の島を見下ろした類は、汚泥にまみれた海岸を瞳に映した。白かったはずの浜辺は汚濁した泥ばかり。貝殻も汚れきっていて見る影もない。
「聞くだに美しい島、守って拝見したいですからね」
 それに、と類はその場でくるりと回転してみた。浮遊感に包まれた身体はとても軽い。まるで自分の身が羽そのものになったような感覚が巡った。
 傍にいる瓜江までも一緒になってふわりと回ったが、何の問題もない。
「これは、凄いな!」
 思わず感嘆の声をあげた類だが、はたとして高揚を抑える。平時ならばもっと燥いでも良かったのだろうが、今は此の泥を作り出した龍と対峙すべきときだ。
 泥龍の動きを注視する類の瞳に真剣さが宿る。
 流動するドラゴンは自らの領域である深い泥海に潜行しており、一気に浮上しては此方に食らいつこうとしている。
 ならば敢えて引き付けて姿を現せさせるべきだと考え、類は下降していく。
「さて……こっちへおいで」
 わざと隙を見せながら泥上を浮遊する類。
 どろりと揺らぐ泥の動きが近付いてきたことで、類は敵の注意が自分に向いたことを悟る。そして、次の瞬間。
 大きく口を開けたマッドドラゴンが類に目掛けて飛びかかってきた。
 迫る牙と泥。
 されど類にとっては予測済みの動きだ。丸呑みを回避する準備は万端であり、口の動きを見切った類はひといきに上昇した。
「泥纏ってるせいか、軌道が割と読みやすいかもな」
 空を切った牙が鋭い音を立てる。
 ひらりと泡と共に舞った類は飛び散る泥の飛沫を避け、其処に出来た隙を掴んだ。
 そして、其処から敵を翻弄するように速度に緩急をつけて惑わしていく。上昇からの下降、まるで蝶が飛ぶかのような華麗な左右への揺らぎ。
 更には全速力でマッドドラゴンの背後に回り込み、視線を誘導する。
 刹那、顎下のぎりぎりの距離まで類の泡沫が近付いた。流石の泥龍も彼の動きには付いてこれず、目を回しそうになっている。
「瓜江、君の風を借りるよ」
 相棒から風の力を借りた類は、刀を握った。風と一緒に泡に満ちた浄化の力とを合わせた類はひといきに敵を薙ぎ払った。
 ――清らかに。
 祈りを込めた一閃から間髪いれずにもう一撃。次は顎ではなく、揺らいだドラゴンの腹目掛けて風の浄化を叩き込む。
「飲んだ子らを、返してもらおう」
 類の目的は泥龍が飲み込んだ海賊の仲間を救出すること。
 手応えを感じたついでに腹を穿ち、飲まれた泡を吐き出させたのだ。大きく開いたドラゴンの口から複数の泡が飛び出してくる。
 その中に海賊達がいることを確かめ、類は泥龍の気を引き付けていった。その間に海賊の泡はまだ汚されていない地上の方に避難する。
「さぁ、汚れはお掃除といこうか」
 この海辺と浜を白きものに戻すために。
 澄んだ風が海上を吹き抜ける。
 淀みきった穢れを払う戦いはいよいよ、佳境を迎えていく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

虹川・朝霞
世界の危機と聞けば、俺は黙ってられませんので!
カクリヨ以外でも、俺は守るために戦いますよ。だってここ、荒々しくも綺麗な海じゃないですか。
俺、忘れられたとしても水神ですので。

泡の中に入って戦いましょう。ほうほう、こうなってるのですね、不思議です。
こちらは【鉄雲】で射程伸ばしてますから、ある程度はいけるはず。
鉄下駄(本当はUDC圧縮体。超絶重い)での蹴り飛ばし、紫雲刀での切り付けを。
泥に潜ろうと、泡の力による浮遊で近づき、その地点を念入りに攻撃しましょう。
…丸のみされないよう、油断だけはしませんからね!


音鳴・きみ
やあ、海賊さんたち!お困りと聞いてやってきたよ!
あわあわでキレイキレイにするんでしょ〜
オレもやってみたーい!貸してくれる?

おお、ほんとにあわあわだ
ふっふふ、それじゃ〜お掃除大作戦といこうか!
島をドロドロにするなんていけない子だな〜?
まあオレも絵具使うし似てない事もないけど!一緒にされたくはないなあ!
泥アートとかもアリ…?いや砂の城くらいしか作れないのでは…?
んっんーあとで遊びながら考える事にしよ

虹色絵具を筆にたっぷり含ませて
カラフルなドラゴンに塗り替えようか!
ついでにオレの泡も虹色〜ほらしゃぼん玉みたいでしょ〜!
やだなあ遊んでナイヨ作戦ダヨ
あんたをお掃除したら貝殻貰う交渉するんだからな〜!



●斬撃と絵具
 泥に汚染されていく白境島。
 穢れて澱んだ泥海の中には今、流動するドラゴンが潜んでいる。
「やあ、海賊さんたち! お困りと聞いてやってきたよ!」
「世界の危機と聞けば、俺は黙ってられませんので!」
 ピンチを聞きつけ、島に訪れたのは音鳴・きみ(close to you・f31389)と虹川・朝霞(梅のくゆり・f30992)の二人。
 秘術を使う海賊の元にやってきたきみと朝霞は、海賊頭のサリィシャに駆け寄る。
「おや、増援かい。頼もしい限りだね!」
 猟兵に信頼を抱く女海賊は嬉しそうに笑い、二人を快く迎えた。
「あわあわでキレイキレイにするんでしょ~。オレもやってみたーい!」
 貸してくれる? ときみが問うと、サリィシャは快く答える。
「もちろんさ!」
 じっとしていな、と二人に告げた彼女は秘術の呪文を唱えはじめた。朝霞は幽世では聞かない響きの詠唱を耳にしながら、ふわりと近付いてくる泡沫を見上げる。
 此処は幽世ではないが、世界を救いたいという気持ちは変わらない。
「俺は守るために戦いますよ。だってここ、荒々しくも綺麗な海じゃないですか」
「アンタ、海が好きなのかい?」
「俺、忘れられたとしても水神ですので」
「へぇ、そりゃ良いね。アタシ達も水神様に祈らせて貰おうか!」
「いいね、じゃあオレも!」
 言葉を交わす中で泡の秘術がきみと朝霞を包み込んでいく。柔らかな感覚をおぼえた朝霞は軽く上昇したいと考えてみる。
 そうすれば思った通りに泡沫が浮かび、視界が高くなった。
「ほうほう、こうなってるのですね、不思議です」
「おお、ほんとにあわあわだ」
 きみもふんわりとした心地を確かめ、自由自在に空中を飛び回ってみる。まるで自分の一部のように動く泡は実に良いものだ。
 それから二人はマッドドラゴンが潜む泥の領域へと急ぐ。
「ふっふふ、それじゃ~お掃除大作戦といこうか!」
「はい、参りましょう」
 視線を交わしあったきみと朝霞は蠢く泥に意識を向けた。
 空中から泥まで距離はあるが、朝霞は鉄雲の力で射程を伸ばしている。それゆえに、ある程度の攻撃も届くはず。
「行きますよ!」
 宣言と共に鉄下駄で泡を踏み締めた朝霞は感心する。本当はこの下駄は途轍もなく重いUDCの圧縮体なのだが、魔法の泡はびくともしていない。
 そして、朝霞は泥から顔を出したマッドドラゴンを一気に蹴り飛ばす。
 其処から間髪いれずに紫雲刀で切り付けた。
 斬撃が確かな衝撃を与えたことを確かめ、朝霞は上空に再び舞う。そうした理由は反撃に移ったマッドドラゴンが此方を飲み込もうとしている気配を感じたからだ。
 朝霞は天高く飛び上がり、きみも素早く泡ごと射程範囲から逃れることで避ける。
「おっと! 島をドロドロにするなんていけない子だな~?」
 其処からきみも攻勢に入った。
 自分も絵の具を使った戦い方をするが、やはり泥と絵は違う。
「塗り潰すって意味では似てない事もないけど! 一緒にされたくはないなあ!」
 一瞬、泥アートなどもありなのではないかという考えがきみの中に過ぎった。おもわず思考が戦いではなくそっちに偏ってしまうが、その間も泡沫はひらり、ひらりと敵の攻撃を躱し続けている。
「アリかナシでいうなら、アリ? いや砂の城くらいしか作れないのでは……?」
「気を付けてください、また来ます!」
「ほんとだ! んっんー、あとで遊びながら考える事にしよ!」
 きみは朝霞からの呼びかけを聞き、こくりと頷いた。
 虹色絵具を筆にたっぷりと含ませたきみは、一気に反撃を行う。相手がどろどろに汚れた泥ならば、ここからはそれを少しでも明るい色に染めてやるだけ。
「さあ、カラフルなドラゴンに塗り替えようか!」
「おお! これは見事ですね」
「でしょ~。ついでにオレの泡も虹色~! ほらしゃぼん玉みたいでしょ~!」
 煌めくふたつの泡が交差し、紫雲刀の斬撃と様々な色の飛沫が飛び交う。その光景は賑やかな玩具箱のようであり、きらきらとした光景が巡った。
 マッドドラゴンは押され始め、泥に潜っていく。
 その際に泥の飛沫が二人に迫ったが、それすらも泡沫の力が跳ね返す。
「泥に潜ろうと、浮上したときに斬るのみです」
 絶対に油断だけはしない。
 そう心に決めた朝霞は真剣な眼差しを汚泥の中の龍に向けた。きみはというと、泥が侵食していかぬように浜辺に絵の具の壁を作っている。
「はは、色とりどりですね」
「やだなあ遊んでナイヨ作戦ダヨ。ふふ!」
 朝霞がちいさく笑ったことで、きみも冗談めかした笑みを返した。そうして、彼らは更なる攻撃に移ってゆく。
「あんたをお掃除したら貝殻貰う交渉するんだからな~!」
「なるほど、貝殻をお土産に頂くのもいいですね」
「ってことでがんばるよ~!」
「はい!」
 きみと朝霞は流動泥龍にしかと狙いを定め、力の続く限り戦い続けることを誓う。
 目指すのは元あった美しい白の景色を取り戻すこと。
 平穏の象徴でもある白い貝殻を手にする未来を願い、二人は浄化の泡沫を操りながらその力を巡らせていった。
 そして――決着の時は、少しずつ近付いてくる。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アトラム・ヴァントルス
泡沫硝子球…実に興味深い不思議な泡ですね、海賊の皆さんに協力をしていただけると助かります。
秘術を教えてもらう代わりにあの竜を倒すことに協力します。

飛んでいけるならば、ある程度の距離や急所を狙いやすい場所へ移動も可能ですね。

他の方と協力しながらUC【罪人の左手】を使い獲物へ攻撃を行います。

泥でおおわれていると攻撃な上手く通じるものか…
口内を狙おうかと思いましたが、泥を吐く隙を狙うのは難しいかもしれませんね、目を狙いますか。
泥を吐くのをやめるのであれば口内も狙いましょう。
出来るだけ早く、苦しまずには倒したいところなので初めから全力で行きましょうか。


ベイメリア・ミハイロフ
この美しい白い景色を
泥まみれにされるだなんて…
しかも、海賊の方々を飲み込んでしまうとは
成程、放っておく訳には参りませんね

海賊の方に協力を仰ぎ
泡に入って戦いに挑みたく
念動力にて赤薔薇の花びらを嵐のように撒き散らし
ダッシュ・フェイント、ジャンプにて敵の攻撃目標を攪乱しつつ
こちらの攻撃を当てて参ろうと思います
泡の力も利用して、飛んだりもしながら

こちらからの攻撃は
炎属性を付与した範囲攻撃にて
可能であれば、泥を固めて粉砕を試みたく
次々に泥が補充され固める事が不可であれば
早業・高速詠唱からの2回攻撃も狙い
とにかく攻撃の手を止めず、泥に潜行する行為を阻みます

※お仲間さまと共闘できます際には連携を意識致します



●花と銃弾
 美しい海と平穏な島、白の浜辺が穢されていく。
 浮かぶ泡沫が光を反射していく様を見つめ、ベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)は嘆かわしい気持ちを抱いた。
「この美しい白い景色が泥まみれにされているだなんて……」
 そのうえ、泥の領域に潜っているマッドドラゴンは既に何人もの海賊達を飲み込んでしまっているという。早く助けなければ泥龍の腹の内部で何が起こるかわからない。もしかすれば――と、よからぬ想像をしてしまったベイメリアが心を痛めていると、其処にアトラム・ヴァントルス(贖罪の咎人・f26377)が訪れた。
「この島の方々は海賊とはいえ、義賊としての働きが多かったようですね」
「成程、放っておく訳には参りませんね」
 アトラムの声を聞き、ベイメリアはそっと誓いを抱く。
 二人は協力しあうことを決め、泡沫の秘術を持っている海賊の元へ急いだ。
「ああ、丁度良かった。アンタ達も戦ってくれるんだね!」
 まだ汚染されていない浜辺の片隅にいた女海賊、サリィシャは二人を快く迎える。どうやら新たな泡が生まれたばかりらしく、アトラム達をそれに入れてくれるらしい。
 呪文が唱えられ、二人の身を泡が包み込む。
 空から降り注ぐ陽を受け、煌めいたシャボンはまるで硝子のようだ。
 名をつけるならば泡沫硝子球だろうか。
「実に興味深い不思議な泡ですね、ありがとうございます、ええと……」
「アタシの名はサリィシャだよ。良ければ覚えておいておくれ!」
「はい、サリィシャさん。協力していただけて助かります」
「この泡の力、必ず役に立ててみますね」
 アトラムが礼を告げ、ベイメリアも飲まれた海賊の救出を約束した。サリィシャは頼んだよと真剣に告げ、二人を空に送り出す。
「気を付けていっておいで!」
「ええ、この秘術を掛けて貰った代わりにあの竜を必ず倒します」
「今暫しお待ちくださいね」
 見送ってくれた女海賊に視線を返し、アトラムとベイメリアは海に泥が混じった区域へと飛んでいく。
 泡沫の心地はまるで風のようだ。
 それに加えて、翼を得た自分の身体を動かしているような軽い感覚がする。
「これならば、ある程度の距離や急所を狙いやすい場所へ移動も可能ですね」
「はい、わたくしはこちらから攻めます」
「では私は向こう側から。お互いに気を付けて行きましょう」
 ベイメリアは泥領域の中央に向かい、赤薔薇の花を嵐のように撒き散らしていく。そうすれば泥内から気配を察知したマッドドラゴンが姿をあらわした。
 咄嗟にアトラムが敵の背後に回り込み、義手を掲げる。
 罪人の左手――メガリス・アクティブ・アトーンメント。
 黒銀のフリントロック式銃が敵に差し向けられ、銃弾が次々と解き放たれていく。泥で覆われている相手だが、どうやら攻撃は上手く通じているようだ。
 ベイメリアが散らす花は澱んだ泥に彩を与えていた。
「わたくしが引き付けます」
 マッドドラゴンの注意が自分に向いていると察したベイメリアは、そのまま泡を浮遊させることで戦場を駆け巡っていった。
 素早く飛び、フェイントを入れながらのジャンプ。そして攪乱。
 翻弄する間に攻撃を当てることも忘れず、泡の力も利用したベイメリアは果敢に戦っていく。その間にアトラムは狙いを定める。
「口内を狙おうかと思いましたが、泥を吐く隙を狙うのは難しいかもしれませんね。それなら――目を狙いますか」
 それにもしかすれば、飲まれた海賊が口から吐かれるかもしれない。
 宣言通り、マッドドラゴンの眼に向けて放たれた一閃は見事に命中する。
「出来るだけ早く、苦しまずには倒したいところです」
 それゆえに初めから最後まで全力で。
 アトラムのメガリスが泥龍の身体を穿っていく中、ベイメリアも新たな攻撃を放っていった。泥に向け、炎属性を付与した範囲攻撃が広がる。
「泥を固めて……こうです!」
 その力で汚泥を粉砕したベイメリアはマッドドラゴンの領域を狭めていった。だが、相手も黙ってはいない。次々に泥が補充されていき、固める速度も遅くなる。
 されど、其処はアトラムが補助を担った。
「銃撃で相手を止めます。さぁ、今のうちに」
「わかりました。白の砂浜がこれ以上の汚染を受けるのは許せません」
 早業を駆使した詠唱を紡ぎ、ベイメリアは更なる炎で泥を囲ってゆく。二人は懸命に戦い続けていく。とにかく攻撃の手を止めないことこそが、ドラゴンを泥に潜行させる動きを止める唯一の手立てだ。
 アトラムは銃弾を、ベイメリアは炎を纏わせた薔薇の花を。
 それぞれに解き放つ一閃と花の舞は泥の領域を見事に貫き穿ち、マッドドラゴンの力を徐々に弱めていった。
 その度にドラゴンは泥ではなく、海賊が入っている泡を吐き出す。気を失った海賊達は彼女達のキャプテンによって救出されていく。やはり見立て通りだと感じたアトラムは銃を構え直した。
 おそらく戦いが終わる時が訪れるのもあと少しだ。
 気を引き締めた二人は再び視線を交わし、最後まで戦い続けることを誓った。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナイ・デス
こんな島も、あるのですね
この島が、一つの宝物みたい
海賊さん達が大切にするのも、わかります

そんな、この白境島を……よりにもよって、こんな風に襲うとは
同じドラゴンとして、許せない、ですよね?「ダイウルゴス」!

海賊さん達にきいて、体高5mのダイウルゴスと一緒に、泡の中に入る!
5mの巨人さんもいますし、入れる筈
そして
『文明守護竜』
みんな一緒に、世界、守りましょう!

海水、大気、そして泡、みんなを一時的に、竜に
願うは共闘。集合して、群体、巨大な竜となる!

お掃除、タイム!

光を放って【推力移動】
全身の隙間から光(【浄化レーザー射撃】)の【一斉発射範囲攻撃】
泡泡ドラゴンの【スライディング重量攻撃】で、綺麗に!



●輝きと浄化の光
 目の前に広がっているのは、白と泥が混じりあう奇妙な光景。
 本当の島の姿は様々な白に包まれた美しいものだったのだろう。しかし現在、此処は流動泥龍の領域に侵されてしまっている。
「こんな島も、あるのですね」
 まだ侵食されていない区域を見つめ、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は不思議な心地を覚えた。
「この島が、一つの宝物みたい、です」
 白といってもたくさんの彩がある。其処から浮かぶ泡沫は煌めき、やさしい護りとなって島を包んでいたのだろう。
「海賊さん達が大切にするのも、わかります」
 そっと頷いたナイは此の島に巡る心地を確かめた。海辺からは澱んだ空気が漂ってきており、せっかくの彩を穢し続けている。
「そんな、この白境島を……よりにもよって、こんな風に襲うとは」
 ナイの身体は既に泡に包まれていた。
 訪れると同時に女海賊がナイを呼び、伸縮自在の泡沫を授けてくれた。ナイを内包した泡沫はゆっくりと上空に浮遊していく。
 自分の手足のように動く泡は実に良いものだ。そして、眼下を見つめたナイは己の身体に力を巡らせていった。
「同じドラゴンとして、許せない、ですよね? ――『ダイウルゴス』!」
 呼び掛けたのは内なる竜。
 それは文明を守護するものだ。
 ナイを中枢とした新生ダイウルゴスが現れ、泡沫もそれに合わせて巨大化する。空から降り注ぐ陽を受けて輝いた泡が大きく揺れた。
 そして、敵の位置を捉えたナイは一気に泥龍へと吶喊していく。
「みんな一緒に、世界、守りましょう!」
 咆哮が響いていく。
 それは泥龍のものでもあり、ダイウルゴスの声でもある。龍と竜の威嚇の声が重なりあっていき、周囲の環境を取り巻いていく。
 海水、大気、そして泡。
 皆を一時的に竜に変えていくナイは静かに願っていった。
 望むのは共闘。
 集合していくもの達は群体となり、やがて巨大な竜と成っていき――。
「お掃除、タイム!」
 ナイの声と共に眩い光が解き放たれた。マッドドラゴンからも粘つく泥が吐き出されたが、ナイ達は推力移動でそれらを避けていく。
 泡沫に宿る浄化が泥を散らした。
 心強い力が自分に寄り添ってくれていると感じながら、ナイは戦場を飛び続けた。文明守護竜たるダイウルゴスの力も海の世界を守ってゆく。
 そうして、果敢に戦うナイの全身の隙間から光が放たれる。
「もっと、もっと。綺麗に――!」
 マッドドラゴンをしかと捉え続けるナイは、泡々ドラゴンの力を駆使していき、ひといきにスライディングしていく。
 重さに任せたその一撃は深く、見事に泥龍を穿った。
 澱んで揺らぐマッドドラゴン。光と浄化を纏って輝くダイウルゴス。
 どちらに勝機が訪れているか。それは最早、自明の理にも等しいことだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

宵鍔・千鶴
海賊達がくれたこの泡の浄化の力…
入ってみれば本当にシャボン玉の中に居るみたいだ
中から指先でつんつん、きらり虹彩瞬いて
浮遊にも束の間感動しながら
ふわりふわりと浮かぶ泡を泥龍の元へ

海賊達が守る綺麗な白き島、
此れ以上穢すことは赦されないよ
普段は飛行しない身でありながら
泡のお陰で空中を自在に動けることに高揚する
泥龍の体躯周りを俊敏に移動し

汚いものは洗浄しなきゃ
大層腹に溜め込んだひとたちも
綺麗に吐き出して貰わなきゃ困る

泡の中だと不思議と躰が軽い気がして
抜き取る数多血濡れてきた自身の刀でさえ
浄化されていく心地
此の身一時、錯覚でも良いから
穢れなど識らない貌をしてみせて

――清め、穢れを削ぎ落とし
須く散りなよ


橙樹・千織
あらあら、数多の白を持つ美しい浜辺を穢すとは…
罰当たりもいいところね
その穢れ、浄化させていただきましょう
浜辺の様子に眉を顰める

すみません、あの龍を祓いたいので…協力していただけませんか?
元の浜辺を取り戻すため、海賊さんへ声をかけましょう

はわぁ…不思議な泡ね
内側から泡を突いてぽつり

あぁ、お前が件の…
龍を見つければスッと目を細め
刃に破魔と浄化を込める

泥は泥でいいのだけれど…ここには必要無いの
お引き取り願いましょうか!
水の属性を纏う衝撃波を放ちなぎ払う

敵の攻撃は戦闘知識と野生の勘を活かして躱す
躱しきれないものは水の全力魔法で相殺を試みます

さぁ、海賊さん達と浜辺を返してもらう
お前は今一度、海の底へ沈め



●剣舞と残花
 泥が弾け、白の島を穢していく。
 橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)は浜辺の様子に眉を顰め、白境島で暴れているマッドドラゴンを瞳に映した。
「あらあら、数多の白を持つ美しい浜辺を穢すとは……」
「海賊達が守りたいと願っている綺麗な白き島なんだ。こんなの――」
 その隣では、宵鍔・千鶴(nyx・f00683)も現状に憂いている。されど悲しいと思っているだけではなく、泥龍への確固たる敵意も一緒に募らせていた。
「罰当たりもいいところね」
「此れ以上穢すことは赦されないよ」
「その穢れ、浄化させていただきましょう」
 千織が敵への思いを言葉にすると、千鶴もしかと頷く。
 決意を固めあった二人は、この戦いに必要不可欠とも言える泡の力を授けて貰いに向かった。この島を拠点とする海賊達の殆どは、あのマッドドラゴンに飲まれてしまっているようだが、まだキャプテンであるサリィシャ達が残っている。
 どうやら女海賊も状況を理解しているようだ。
 彼女は声を掛けてくれる猟兵達に向け、次々と秘術を発動させていた。
「すみません、あの龍を祓いたいので……協力していただけませんか?」
「ああ、もちろんさ!」
「ありがとう。助かるよ」
「ふふっ」
 千織が願い、千鶴が礼を告げると女海賊は可笑しそうに笑った。
「どうかしたのですか?」
「いや、協力して貰うのも礼を伝えるのもこっちの方なのにさ。アンタ達、猟兵ときたら逆のことをするじゃないか。何とも頼もしくてね、つい」
 そういって笑い続けたサリィシャの目尻には涙が浮かんでいる。きっと猟兵達の心遣いが嬉しいのだろう。
 そうして、千織と千鶴にも海賊の秘術が施されていく。
 泡に包まれた二人は、それぞれに浄化と浮遊の効果を確かめていった。
「はわぁ……不思議な泡ね」
「この泡の浄化の力も凄いし、本当にシャボン玉の中に居るみたいだ」
 千織は内側から泡を突いてぽつりと零し、千鶴も同じように中から指先でつんつんとシャボンめいた球に触れた。きらりと虹彩が瞬いて輝く様は美しい。
 浮遊する感覚に束の間の感動を覚えながら、千鶴達は上空に舞い上がっていく。
 ふわり、ふわり。
 泡のお陰で空中を自在に動けることは興味深い。
 普段、飛行しない身でありながらもこうして自由に飛ぶことが出来るのはやはり不可思議だ。巡る心地に身を委ねたくなったが、すぐに千鶴は気を引き締めた。
 浮かぶ泡を泥龍の元へ近付ければ、向こうも此方の気配に気が付く。
 次の瞬間、濁った泥の中からマッドドラゴンが顔を出した。
「あぁ、お前が件の……」
 龍を見つけ、スッと目を細めた千織は刃に破魔と浄化を込める。千鶴の方は相手の視線を翻弄するようにして、泥龍の体躯周りを俊敏に移動していった。
「汚いものは洗浄しなきゃ」
 腹に溜め込んだひとたちも綺麗に吐き出して貰わなければ困る。
 海賊頭のサリィシャはとても良い人物だった。彼女が仲間を案じていないはずがなく、託された信頼の分だけ力になりたいと思える。
 千織は刃を振り下ろし、一気に泥龍を穿ってゆく。
「泥は泥でいいのだけれど……ここには必要無いの。お引き取り願いましょうか!」
 放たれたのは水の属性を纏う衝撃波。
 マッドドラゴンは口から粘液めいた泥を吐き出してきたが、千織も千鶴も素早く移動することでそれらを避けていった。
 泡の中だと不思議と躰が軽い。数多の血に濡れてきた自身の刀でさえ浄化されていく如き心地だと思いながら、千鶴は狙いを定めた。
(此の身一時、錯覚でも良いから――)
 穢れなど識らない貌をしてみせ、千鶴はひといきに一閃を解き放つ。
 朱華の耳飾りが輝き、燿夜に力が巡っていった。更に其処に泡沫が宿す淡い光が生まれ、穢れた龍に抗えぬ痛みを与える。
 清め、穢れを削ぎ落とす。
「須く散りなよ」
 千鶴の声が凛と響き渡った後、千織も己の刃に力を集わせていく。
 その間にも泥の攻撃が放たれたが、これまでに培ってきた戦闘知識と野生の勘を活かして躱す。今の千織達に躱しきれないものない。その理由は水の全力魔法が激しく巡ることで、泥を撃ち落としているからだ。
「さぁ、海賊さん達と浜辺を返してもらうわ」
 ――お前は今一度、海の底へ沈め。
 千織は冷たくも感じる言の葉を送り、マッドドラゴンを深く貫いた。激しい咆哮が響き、大きく開けられた口から海賊が入った泡が飛び出してくる。
「あれは……」
「行きましょう、助けなくては」
 はっとした千鶴を伴い、千織は吐き出された海賊の泡に向かった。
 見ればドラゴンの腹は抉れている。おそらく飲み込まれていた海賊はすべて脱出できたのだろう。それならば早く保護をして、後は敵を屠るだけ。
「また飲み込まれてしまう前に、だね」
「ええ、後は託しましょう」
 千鶴と千織は泡を操って華麗に舞い、気を失った海賊団員達の救出に向かう。
 きっとサリィシャは先程以上に喜んでくれるだろう。その笑顔を想像しながら、二人はふわふわと浮く泡に向かっていった。
 そして――戦いは間もなく、終わりに近付いていく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

菱川・彌三八
そんねェに綺麗な処だってのかい
貝が?へェ
そいつを潰して色着けてみてェもんだ
いやさ、すんなら任しつくんな
俺の喧嘩でちいと綺麗にしといてやるよ
お誂え向きの手があらあ
此の泡がありゃ百人力サ

ほんに泡に入れるたァ驚きだ
…突然割れたりするまいな
恐る恐る、先ずは竜と距離を開け、射程の際で孔雀の雨を放つ
真っ直ぐに海辺を洗う雨に、泥に刺す孔雀の羽根
あァ然し、お前ェにゃ雨のが効きそうだな

泡に慣れたら手前の体が如く扱い、泥を避け
時にぶつかろうと中から雨でつるりと洗い
当たる振りで泥を蹴散らし
四方八方から雨を見舞ってやろう

ちいと相手が悪かったな
諦めて水底に沈んじまいな



●雨を畫く
 此の島の名は白境島。
 蒼海に白の境界を描く場所であるから、そのように名付けられたのだろうか。
「そんねェに綺麗な処だってのかい」
 菱川・彌三八(彌栄・f12195)は浜辺に並ぶ不可思議な貝殻を見渡した。話に聞くには美しいものだというが、今は――。
「汚れちまってんなァ」
 純白に藍白、薄桜や月白。同じ白という色でも違いがある。されど、泥に穢された海辺には濁った色が見えるだけ。
「そいつを潰して色着けてみてェもんだが……こりゃ酷ェ」
 彌三八が浜辺の惨状を見下ろしていると、背後から誰かが近付いてきた。おそらくこの島の者だろうとあたりをつけて振り向けば、其処には沈んだ顔をした女海賊がいた。
「そうさ、アタシ達の自慢だったのにね」
 どうやら彼女がこの島の代表でもある海賊頭、サリィシャだ。
 アンタも猟兵かい、と問いかけてきた彼女に彌三八は頷いて答える。汚れた貝殻は見る影もないが、其処からはまだ澄んだ泡沫が生み出されていた。
「いやさ、すんなら任しつくんな」
「ふふ、やはりアンタもアタシ達に協力してくれるんだね」
「俺の喧嘩でちいと綺麗にしといてやるよ。泡の力とやらを貸してくれるかい?」
 サリィシャは既に何人もの猟兵に泡の秘術を掛けているらしく、任せな、と伝えて呪文を唱えていった。
 そうすれば彌三八の身が、透き通った硝子めいた泡に包まれていく。
 此度は泥を潜って移動する敵が相手。ならばこれこそがお誂え向きの手だ。
「此の泡がありゃ百人力サ」
「ああ、後は頼んだよ!」
 サリィシャに見送られ、彌三八は泡の力を使って浮遊していく。その心地は今までに感じたことのない自由さを宿してくれた。
 自らが普段に描く鳳凰の力とはまた違う、不思議としか呼べない感覚だ。
「ほんに泡に入れるたァ驚きだ」
 突然割れたりするまいな、なんて言葉も零れ落ちたが彌三八は必要以上の心配などしていない。されど恐る恐る、先ずは竜と距離を開けていく。
 ――オン マユラキランテイ ソワカ。
 唱える言の葉と共に力を紡ぎ、彌三八は一気に孔雀の雨を放った。
 それは泥を退け、真っ直ぐに海辺を洗うように巡る。その雨の中に混じっているのは泥に刺す孔雀の羽根。
 刹那、雨を受けた泥龍が咆哮をあげた。
 本来は厄災を葬る孔雀の尾が本命ではあるが、彌三八は成程と呟いて頷く。
「あァ然し、お前ェにゃ雨のが効きそうだな」
 片目を閉じ、不敵に笑った彌三八は敵の出方を窺った。そして、敵は此方を穿つために大きく口を開ける。
 其処から高粘度の泥が次々と吐き出されたが、彌三八は泡沫を天高く浮遊させた。
 風が球面を揺らし、陽を受けた泡が淡い虹色に煌めく。
 其の色もなかなかのものだと感じながら、彌三八は泥を避けていった。時に泥がぶつかろうと構わない。中から巡らせた雨で洗い流してしまえばいいだけだ。
 其処から彌三八は、攻撃に当たる振りをしながら泥を蹴散らした。
 一瞬だけ敵の視界から彌三八が消える。
 次の瞬間、ひといきに泥の中から飛び出した彌三八は四方八方から雨を降らせた。浄化の力が混ざった孔雀明王の雨。それは泥龍の身体を穢れごと溶かしていくかのように降り注ぎ、そして――。
「ちいと相手が悪かったな。諦めて水底に沈んじまいな」
 閉じていた片瞼を開いた彌三八の声が静かに落とされた刹那、泥が大きく弾けた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​


 
●白の境界線
 泥が弾け、島周辺に轟音を響かせた。
 猟兵達の果敢な攻撃によって打ち倒された泥の龍は力を失い、断末魔を残しながら海に沈んでいく。それと同時に島を穢していた汚泥が引いていった。
 ドラゴンの腹の中に閉じ込められていた海賊達は戦いの中で無事に救出されており、女海賊のサリィシャはひとりずつを確認していく。
 良かった、という声が聞こえたことから全員が戻ってきたのだと分かった。
 そして、泥は徐々に消えていく。
 泥の動きによって阻害されていた波が白の浜辺に打ち寄せ、漣の音が廻る。
 やがて海辺に様々な白が戻ってくる。
 不思議な貝殻も次第に元の色を取り戻していき、白境島には平穏が訪れた。

 猟兵達は美しい白の島の光景を、ふわふわと浮かぶ泡沫の中から見守っている。
 だが、もう暫くすればこの穏やかさも終わりになるだろう。
 何故なら。
「おーい、アンタ達! 早くおいでよ。感謝と勝利の祝杯をあげるよ!」
 大きく手を振る女海賊が此方を呼んでいる。
 そう、きっと――これから此処で、賑やかな祝宴がはじまるのだから。
 

最終結果:成功

完成日:2021年02月10日


挿絵イラスト