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羅針盤戦争〜カミなる龍を突破せよ!

#グリードオーシャン #羅針盤戦争

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#羅針盤戦争


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●大海戦の始まり
 グリードオーシャンの大海原を大艦隊が往く。
 船団が目指すは猟兵が異なる世界よりこの世界に降り立った始まりの海域である大渦潮。
 船の甲板で咆哮を上げ、或いは船の傍を離れず泳ぐのは紫を帯びた龍。
 烏の濡羽の如き髪でその身が構成されたコンキスタドールに理性の光なく、されど本能で猟兵を粉砕する目的を同じにし傍目には統率の取れた動きをしているように見える。
 その艦隊の針路にシート島という名の島があった。幽世よりこの世界に落ちたこの島は東洋の妖怪が多く住まう。
 多少の荒事は慣れているけれどもその程度では大海に漂う流木に同じ。
 彼の島が荒ぶる髪なる龍の群に蹂躙されるまで、あと少しと迫っていた。

 グリモアベース。
「皆ちょっといいかな。グリードオーシャンで羅針盤戦争が始まって各地で戦闘が始まってる事は知ってるよね」
 深海人ではない、シャチのキマイラのヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)が猟兵達に問う。
「俺も渦潮に向かってくる船団についての予知を一つ拾ったから皆の力を貸してほしい。今回はシート島という島が船団の針路上にあって、そこから迎撃に向かう作戦になる。……グリードオーシャンは海上の飛行や転移が阻害されてるからちょっと回りくどい作戦になるのが面倒だね」
 まあそれは置いておいて、とヴィクトルの説明はその船団のコンキスタドールについてのものに映る。
「船団の構成員は全て龍。元の世界では神に仕えていたドラゴンらしいけどグリードオーシャンに島ごと落ちてからは理性を失って何にでも噛みつく暴れ者に成り果てているみたいだね。同士討ちでもしてくれればいいんだけど目的が猟兵を潰す事で一致してるからか、それもあんまり期待できなさそうだ」
 個々の力はそれほどでもないけど数がひたすら多いのだと彼は言う。
「能力としては……髪、だね。その体を形作ってるのはいずれも髪で掴みどころがない。その上激しく暴れまわって摩擦で生じた電撃を周囲に放ったり、目につく者に片っ端から噛みついたり、あとは周囲の無機物を体の一部の髪の毛に変換して操作してくる。多分、向こうの船のネジとかそういうものが素材になるだろうね」
 それが大群を成して攻撃してくるんだからとても厄介だと、けれどその口調はどこか楽しそうにシャチは言う。
「大まかな作戦としては鉄甲船『巨頭丸』で船団に突撃、そこから敵船に飛び移るなりしての船上戦か海上、水中戦になる。グリードオーシャンの海の特性的に制約のかかる行動はあるけど、逆に利用できればこちらに有利に戦える。流石のドラゴンも近くに船の無いまま単独で泳ぎ回るのは無理みたいだから、上手い事やれば一網打尽にできるかもね」
 そこまで説明したヴィクトルはシャチの黒い手で首に掛けた鍵型のグリモアを手にし、鉄甲船への転送の準備を開始する。
「中々厄介な戦いになるかもしれないけどまずは前哨戦、景気良く蹴散らして弾みを付けていきたい所だね」
 それじゃ、頑張ってねとヴィクトルは話を締め括り、欲望渦巻く戦いの海への転送を開始したのであった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 まずは船上戦、髪の龍達を景気良く撃破しましょう。

 このシナリオはカクリヨファンタズム由来の島の近海で『カミカミドラゴン』の大船団と戦うシナリオとなります。
 このシナリオが成功した場合、戦争サバイバルの🏅が五千増加します。
 また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。

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 プレイングボーナス……海上戦、船上戦を工夫する(海上では飛行や転移が阻害されています)。
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 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『カミカミドラゴン』

POW   :    雷神・雷怒紫(かみなりおこし)
【激しく暴れ回り、摩擦によって生まれた電撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    暴君・八噛(やっかみ)
【目に付く全てに対して鋭い噛みつき攻撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    連獅子・髪縛維(かみしばい)
自身からレベルm半径内の無機物を【自身の身体の一部として髪の毛】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:いぬひろ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

枯井戸・マックス
◇対策
「海上戦では何がモノをいうか分かるかい? それは射程距離さ」

巨頭丸の舳先に人馬宮デッドリーアロー改を召喚してUC発動
射程5倍、移動力半減で、敵群の射程距離に入る前から相手を捕捉し一方的に狙撃を叩き込む
【スナイパー・誘導弾・マヒ攻撃】
「これがヒーローズアース1のアーチャー、デッドリーアローの力だ! まあ、借り物だけどな」
弓の元の持ち主たるヴィジランテの雄姿を脳裏に描きつつ弓の弦を引く
「手出しはさせんよ。仲間にも、この世界にもな」

◇接近後
UCを解除し、雷属性の刀『ウツシムラマサ』に持ち替えて雷を引き寄せるなどして仲間をアシストする【属性攻撃、かばう】

行動セリフ連携などアドリブ歓迎


イコル・アダマンティウム
「掴みどころが、ない……
ん、分かった」

僕は格闘特化の愛機、キャバリアに搭乗して出撃する、よ

【船上戦】
鉄甲船から敵の船に跳び乗って戦う、ね

船の上のバランス感覚は独特
近接戦だと影響が大きい
それで相手が噛みついてくる
なら
僕はカウンターに集中して、迎え撃つ

【カウンターチョップ】
「掴めない、殴りにくい
だから……斬る」

相手の噛みつきに対して手刀を放つよ
これで、脳天から斬り裂く
<暴力><カウンター><切断>

【カウンター叩きつけ】
もしも噛まれたら、噛まれた部位ごと相手の頭を
船に叩きつけー
「ん、放さないで、ね」
<暴力><カウンター><グラップル>


「ドラゴンの、お肉……
ん、髪はー……食べれない、か」

*アドリブ歓迎


七那原・望
神に仕えていた髪を操るドラゴンで、雷を起こしたり噛み付いたり……なんだかとってもかみかみなドラゴンなのですね?ちょっと面白いのですー。

【果実変性・ウィッシーズアリス】を発動し、ねこさん達と【多重詠唱】【オーラ防御】【結界術】を巨頭丸を覆うように展開して敵の攻撃から巨頭丸と自分達を護ります。

ねこさん達の【多重詠唱】【全力魔法】の幻覚でドラゴン達の認識を狂わせ、同士討ちを狙います。

そちらも船が無いとうまく動けないのですよね?

炎【属性魔法】や土【属性魔法】の【弾幕】を【乱れ撃ち】してドラゴンごと敵の船を破壊し、風【属性】【全力魔法】で残骸をどこか遠くに吹き飛ばして敵の行動を更に制限しちゃいましょう。



 海戦への備えを終え、シート島より出航した巨頭丸の眼前には無数の艦船。
 渦潮目指すコンキスタドール達の艦隊はどこの島にこれだけの数を備えていたのか不思議になる程。
 遠目に見える敵船の甲板には紫電纏う紫の龍の姿、暴れたいという衝動を解き放つ瞬間を今か今かと待ちわびている様子。
 そんなコンキスタドール達を巨頭丸の舳先で三人の猟兵達が眺めていた。
「……なんだかとってもかみかみなドラゴンなのですね? ちょっと面白いのですー」
 神に仕え髪を操り雷起こし噛みついて。どこをとってもかみかみだと、どこか場違いな程にのんびりした感想を呟くオラトリオの少女は七那原・望(封印されし果実・f04836)。
「掴みどころが、ない……ん、分かった」
 イコル・アダマンティウム(ノーバレッツ・f30109)は彼女のキャバリアの足元で敵との戦いをシミュレート中、何か思いついたように頷いている。
 そんな二人とは別に、蒼き仮面の男、枯井戸・マックス(マスターピーベリー・f03382)は召喚したレーザーバリスタを舳先に設置していた。
「海上戦では何がモノをいうか分かるかい? それは射程距離さ」
 そしてマックスはユーベルコードを起動、バリスタの台座より改造前の姿を思わせるロングボウを分離するとそれを構える。
 狙いは最も狙い易い距離の船。引き絞り、矢から手を離し放てば、その矢は吸い込まれるように敵船上の一体の龍の頭部を射抜いた。
「これがヒーローズアース1のアーチャー、デッドリーアローの力だ!」
 借りものだけどな、の言葉はひっそりと、次々に弓引くマックスの脳裏に描かれるは故郷世界のヴィジランテ――この弓の本来の所有者の雄姿。
 移動速度と引き換えに得た数倍の射程距離は、暴れ回り雷電降らせる龍の射程外からの狙撃を可能とし、急所を防がれても矢が掠めればその動きを痺れにより鈍らせていく。
 だが乗り手を潰しても船は変わらず近づいてくる。速度を計算すると、もうすぐ第一陣と巨頭丸が接触する距離。そろそろ仕込みを行う方がいいだろうと望がユーベルコードを起動する。
「わたしは望む……ウィッシーズアリス!」
 呼びかけに応じ召喚されたのは四匹の猫がにゃあ、と鳴けば巨頭丸の周囲に霧が漂い始める。
 降り注ぐ雷はその霧の結界に弾かれる。そして敵船団の先頭が霧の結界に入り込む。
 霧に視界を乱される中、獲物を今か今かと待ち構えていた龍性質は暗く浮かぶ巨大な船影に飛び掛かる。
 けれど噛みついた先は巨頭丸ではなくコンキスタドールの同胞の船のメインマスト。
 強烈な幻覚魔法を行使するねこ達は、敵味方を誤認させる事で巨頭丸への被害を抑制する。
 そして霧に紛れ、コンキスタドールの船の一つが派手に揺れる。
 霧に紛れ巨大な鋼鉄のキャバリアが飛び移ったのだ。
 不安定な船上で重心の高い巨体を大勢も崩さず自在に操れるのは元より格闘特化なキャバリアであるだけでなく操縦者の腕か。
 とは言えしっかりとした足場とは言えない場所での接近戦は独特で、眼前のキャバリアが慣れる前に龍の群れが鋭い牙で一斉に喰らいかんとする。
 しかしそれはイコルの狙い通り。
「……壊す」
 キャバリアが目にも止まらぬ速度でカウンターの手刀を振りぬけば、頭部を脳天から両断されて龍の髪の体がばらばらと解け甲板に落ちる。
「掴めない、殴りにくい。だから……斬る」
 ユーベルコードにより暴力の粋を極めたような力を発揮できる今のイコルにとって、最も効率的な龍を討つ手段がこれだ。 
 しかし一体だけでなく他の龍がキャバリアの腕に噛みつき金属を噛み砕かんと力を込める。けれど硬度の限界に挑戦したその腕は易々と砕けるようなものではなくて。
「ん、放さないで、ね」
 そして呟くままに思考で神経直結したキャバリアを操作、キャバリアの腕を持ち上げさせて力強くメインマストに叩き付け龍の頭部を叩き潰す。
 頭を潰された龍の体が痙攣し、そして甲板に力なく横たわる。
 そんな仲間の姿を見た髪龍達は摩擦静電気いよる雷を叩きつけんとするが、そこに刀に持ち替えたマックスが切り込んでくる。
「手出しはさせんよ。仲間にも、この世界にもな」
 龍を形作る髪を断ち切る彼に龍達の体から雷が次々に降り注ぐ。それは彼以外に向いていたものも強制的に引き寄せられているかのよう――暴れる龍の放つ雷を引き寄せる避雷針、その働きをこなす刀がマックスの手に握られているからだ。
 攻撃を引き受けてもらったキャバリア、その好機を見逃すことなくその手刀が容赦なく龍を両断し、さらに次の船へと飛び移っていく。

 そして同時、別の船が大きく揺れていた。
「そちらも船が無いとうまく動けないのですよね?」
 無表情に呟く望、彼女の周囲には炎と土の魔弾が展開されていて。
 タクトを振るえば魔弾はコンキスタドール達の船へと次々に突き刺さり炎上、或いは船底に大きな穴を穿ち船としての機能を損なっていく。
 そして砕けた船は急速に海域から離れるように流されていく。これは風の魔法、残骸にすら縋れない海に投げ出された髪龍は力なきものはそのまま海の藻屑と消え、残りは海中の同胞と合流するようだ。
 第一陣の船を粗方片付け、一時的に巨頭丸へと帰還したマックスとイコルのキャバリア、キャバリアの腕にはだらんと力なく垂れ下がった龍が一匹。
「ドラゴンの、お肉……ん、髪はー……食べれない、か」
 メインカメラでよくよくみるものの肉と思える部位はなく全てが髪、流石に髪を食べるのは難しいかと髪龍をべりっと引き剥がし、海へと放り投げる。
 漂う霧に激しい水飛沫が立ち上がる。その向こうには次のコンキスタドール達が迫り来ていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ・連携歓迎!

今度はドラゴンデスカー。全身が髪とは、ユニークデスネ!
ともかく戦闘開始デース!

UC《火炎放射器》で焼き払いマース、お焚き上げしマース!
とは言いつつ、船の上で無節操に炎を散らすのは回りの迷惑デスネー。
船の傍を泳いでいる連中を重点的ターゲットにしマース!
海上を滑走しつつ、カミカミドラゴンを端から細切れにしてあげマース!
ファルシオンを振るって適宜焼却処分デース!

ん? あー、海水で消化しようとしても無理デスヨー?
この炎は粘着性があるので、纏わりついて消えないデース! HAHAHA!
燃え尽きるまで堪能してくだサーイ!

他の人のサポートとして放火するのもOKデスヨー!


鏡島・嵐
竜の形の敵は、強いヤツが多いから困りモンだ。ただでさえ戦うんは怖ぇのに、余計に拍車がかかりやがる。
……それでも、逃げたら後悔するから、おれは逃げねえけどさ。

水の上ってのは地上とは勝手が違うけど、戦えないことは無ぇ。〈水上歩行〉も出来るし、〈水中戦〉もノウハウは一応あるしな。
味方の船の周囲で哨戒しながら、接近してくる敵を〈野生の勘〉で察知しつつ、〈スナイパー〉ばりに精度を引き上げた〈マヒ攻撃〉や〈目潰し〉で足を止める。他の味方が攻撃してるんなら〈援護射撃〉やユーベルコードでサポート。
集中攻撃の矛先がこっちに向くなら早めに〈逃げ足〉を活かして距離を取る。近くの船に非難するんもアリかな。



「今度はドラゴンデスカー。全身が髪とは、ユニークデスネ!」
 どこか怪しげな片言でサイボーグのバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)が言う。
「竜の形の敵は、強いヤツが多いから困りモンだ」
 そう鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は云う。
 ただでさえ戦う事は怖い事、その上強敵であるならそれに拍車がかかってしまう。
 先の艦は壊滅しているのに勢いは全く止まる気配もないどころか殺気を巨頭丸に直に向けているような気もして恐ろしい。
「なら、逃げるんデス?」
「……それでも、逃げたら後悔する」
 だから、逃げないのだとバルタンの問いに嵐が応える。
「ならいいデース! 戦闘開始デース!」
 そうして彼女が向いたのは船上、ではなくその下の海面。見ればもずくのように沢山の髪龍が蠢いて、巨頭丸へと取り付かんと向かってきている。
「六式武装展開、炎の番!」
 内蔵式の火炎放射器の砲口を海面に向けたバルタンが髪龍達に火焔を振りまく。ずぶ濡れの龍達を焼くには相当な火力が必要なはずだが、この炎はユーベルコード由来で容赦なく燃やしていく。
 水中にいる事を利用してのたうち炎を消そうと龍達だが、
「ん? あー、海水で消化しようとしても無理デスヨー?」
 そう、バルタンのこの炎は粘着性を持つ。龍の体を構成する髪の隙間に留まり、纏わりつくように燃え消火も容易ではない。
「燃え尽きるまで堪能してくだサーイ!」
 のたうつ勢いも弱弱しくなり、やがて動きを止めていくがそれでも破壊された船から次々に泳いで向かってくる数は非常に多い。
 そしてそんな龍に向けて、海面に降りた嵐が小石を摘みスリングショットにセットし引き絞り、放つ。その腕前は海面という不安定な場所でも正確に龍の頭部、その目を撃ち抜き怯ませていく。
 地上とは勝手は違うがある程度はノウハウがある。それを活かし巨頭丸周囲の海面を歩き紹介しているのだが――、
「数が多すぎる!」 
 嵐の野性の勘は休むことなく彼に警鐘を鳴らしている。あまりに数が多く、スリングで撃ち抜いても追いつかない。
 それでも危険性の高い敵を狙い足止めし、囲まれる前に離脱する事で詰みの状況を防いでいるのは経験の賜物か。
「HAHAHA! 行きマース!」
 そして歓声を上げながら甲板から海面に跳躍、波との角度をいい具合に調整し落下の衝撃を滑走の速度に変換すれば、巨頭丸に近づかんとする龍達をすれ違いざまにファルシオン風味の武骨な刀を振るい細切れに切り裂いていく。
 湿っているから摩擦による電撃の起こりが遅いのか、それ以上にバルタンが速いからか、電撃の反撃も喰らわない。
 そして千々になり海面に広がった髪龍の体をバルタンの火焔が焼き払っていく。

 一方、半壊したコンキスタドールの船、どうにか甲板まで登り追いかけてくる髪龍を小石で迎撃し海に墜としながら嵐は周囲の状況を確認。
 第二陣が巨頭丸周辺に到着し始め、他の猟兵達が其々迎撃に向かい始めている。
 そうならば次に彼がやるべき事は。
「魔笛の導き、鼠の行軍、それは常闇への巡礼なり。……耳を塞ぐなよ?」
 ユーベルコードを嵐が起動すれば、笛を構えた道化師が召喚される。奏でるリズムはアップテンポ、戦場に相応しいテンションを高めるもの。
「ンン? 何かイイ音楽で調子でてきマシタ!」
 海面でファルシオンを振るうバルタンの動きがより速く、鋭くなる。道化師の演奏は共感した者の戦闘力をも高める。海戦の戦場に響くこの旋律はきっと、猟兵達の大きな助けになるだろう。
 そしてそれは嵐も同じ。次々に向かってくる髪龍とその操る髪を甲板を転がり回避しつつ反撃を叩き込んでいく。

 火炎が海面に燃え盛り、道化師の音色が戦場のテンションは加熱。
 戦いはまだまだこれから、終わりには遠いが猟兵達は優勢に戦いを進めていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…異教の神に遣えていたのだろうけど、
それが今や世界の破壊者の走狗に成り果てるとはね

…そんな姿を晒すのはお前も、お前の神も本意では無いはず

…これ以上、無惨な姿を晒す前に止めてあげるわ

UCを発動し召喚した495体の黒騎士霊を大鎌に降霊、
限界突破した黒炎の魔力を溜め武器改造を施し騎士剣化する

…さあ、過去を刻むものよ。数多の魂を宿し、その力を解放せよ

今までの船上戦闘知識から最適な体捌きで揺れを受け流し、
髪の乱れ撃ちを"写し身の呪詛"の残像を囮に避け敵船に切り込み、
剣閃のオーラで防御を切断し敵陣を黒炎でなぎ払う闇属性攻撃を放つ

…残念。それは分身よ

…この一撃を以て手向けとする。眠りなさい、安らかに…



 次々に海の藻屑へと消えていく騒乱の霧の中、船から船へと渡る黒騎士が一人。
 彼女、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が手にした大鎌は禍々しき黒炎を纏い龍達を次々に斬り裂いていく。
 彼女からすればこの龍共が仕えていた神も異教のもの、けれど神に仕える身でありながら今や世界の破壊者の走狗に成り果てている現状に
(「……そんな姿を晒すのはお前も、お前の神も本意では無いはず」)
 これ以上の無様な姿を晒す前に止める、そう胸に誓う彼女のそれは慈悲だろうか。
 着地した船の甲板、髪なる龍が一斉に咆哮をあげれば木箱の中から無数の髪が溢れ出す。その能力に合わせた準備はしているという事かと一瞬だけ考え思考を切り替える。
「……限定解放。来たれ、戦場に倒れし騎士の魂よ」
 呟き、ユーベルコードを起動。リーヴァルディの背後に損壊した黒剣と黒炎の鎧で武装した五百にも届きそうな黒騎士の霊が立つ古戦場の幻影が召喚される。「……さあ、過去を刻むものよ。数多の魂を宿し、その力を解放せよ」 
 それは宣告のように厳かな言葉、呪われ死黒騎士達――朽ち果てなお戦場を求める武具の魂の集合体が大鎌に収束、黒炎の魔力が爆発的に増すとその形状は騎士剣と化す。
 絡めとらんと伸ばされる龍の体の一部としての髪、船上の揺れを受け流し、或いは利用しながら緩急をつけて躱し、そして龍達を黒炎の騎士剣で斬り捨てていく。
 しかし近隣の船含め四方八方から襲い掛かる数の暴力には敵わなかったか、とうとうリーヴァルディの足に一束の髪が絡みついて更に鞭のようにしなり加速した髪が薙ぎ払いダンピールの体は船外に弾き飛ばされる。
「……残念。それは分身よ」
 冷徹な言葉、呪術により産み出された残像に気を取られた隙にリーヴァルディは次なる船へと飛び移っている。
「……この一撃を以て手向けとする」
 全力で騎士剣を一閃すれば黒炎が甲板を嘗め尽くすように奔り、髪龍達を焼き払う。
 眠りなさい、安らかに。
 その祈りが届くには、もう少し時間がかかりそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イスラ・ピノス
髪の龍って面白いのがいるねー
しかもたくさん。
ドラゴンていうと大きなのがどーん、ってイメージだったから、
船に乗って戦うって不謹慎だけどなんだか楽しい気もしちゃう。
言われた通り弾みをつけにいけるよう、思い切りいくよ。

水上も都合が良いんだけど今回は敵船に飛び移って戦うよ。
雷に備えた方が今回はもっと都合良さそうだからね。
ソーダパワージェネレーションを発動。
電撃どんと来いでやり合うよ。
噛みつきや体当たりはオーラで防御とかカウンター。
飛翔そのものは出来ないだろうけどオーラでため込んだ力で跳んで近くの船に飛び移るくらいは出来ると思う。
どんどん船団倒しにいこう!


イザベラ・ラブレス
龍っていうともっと神々しいイメージがあったのだけれど…あれじゃ図体のデカい蛇ってところね…。
それじゃあ「龍狩り」と洒落込もうかしら。

敵船に飛び乗ったら「スチールバスター」の【制圧射撃】で敵を牽制、マストを20mm擲弾の【部位破壊】で攻撃し、航行不能にするわ。
龍の電撃を【電撃耐性】と【激痛耐性】で耐えたら指定UCを発動してこの海域に散った海賊船団を召喚。こういうのはやっぱりプロに任せるに限るわね。
武器を「フェイルノート」に持ち替えて【戦闘知識】で海賊船団と連携して船体を【砲撃】と【鎧無視攻撃】で攻撃、大穴を開けてやるわよ!
そして船が沈みそうになったら海賊船に飛び乗って離脱するわ。

アドリブ連携歓迎


クロス・シュバルツ
アドリブ、連携可

神か、髪か、或いは噛みか……考えると面倒な名前ですが、どうあれ敵なら倒すのみです

自分は船上で戦闘する
UCを発動、自身の血液を黒剣に吸わせる事で黒剣と鎖の切断力を強化していく
敵から放たれた電撃は『オーラ防御』でダメージを抑えつつ黒剣で受けて喰らわせる事で、更に黒剣の攻撃力を強化

強化した黒剣を『怪力』で勢いよく振るって『部位破壊』の要領で一気に切断
更に切断力を高めた鎖を鞭のように振るって遠距離の敵も牽制しつつ攻撃

できるだけ複数の敵に囲まれないように気を付けつつ、もし囲まれた場合や攻撃を避けきれない場合は敢えて自分から海に飛び込む
復帰時は鎖を船に突き刺して巻き戻す事で高速移動



 巨頭丸周囲に散乱していたコンキスタドール船、そして髪の龍共の残骸は火焔で焼き払われ残りも風の魔法に吹き流され、随分さっぱりとしている。
 しかしそれは第一陣、向かってくる第二陣はざっと勘定して三十程か。随分と沈めているがかなり多い。
「髪の龍って面白いのがいるねー」
 そんな敵軍の様子を遠目に見ながら、イスラ・ピノス(セイレーンの冒険商人・f26522)の興味はその乗組員であるコンキスタドールにあった。
「龍っていうともっと神々しいイメージがあったのだけれど……」
 アポカリプスヘル世界出身のイザベラ・ラブレス(デカい銃を持つ女・f30419)、龍という存在に対してそのような期待感を抱いていたのだが。
「あれじゃ図体のデカい蛇ってところね……」
 彼女の言うように船の甲板の上にいる龍達の狂犬のような様には、僅かに感じたかもしれない神秘感も霧散してしまう。
 そしてドラゴンといえばもっとこう、どーんと巨大なイメージがあったイスラの方は、長さはあるようだが全体でのサイズはそこまでではない様子にちょっとばかり肩透かしを食らった気分。
 物憂げな白コートの青年、クロス・シュバルツ(血と昏闇・f04034)の方も思考するのは神か、髪か、或いは噛みかで混乱しそうなその名前。
「……考えると面倒な名前ですが、どうあれ敵なら倒すのみです」
 ダンピールの青年は静かに黒剣を構え巨頭丸の甲板を蹴る。跳んだの先は右舷正面、丁度彼が全力で跳躍して届く距離に来ていたコンキスタドール船。
「封印解除、その悉くを喰らいつくせ」
 空中で呟けば手にした呪われた鎖に血液が奪われていく感覚、同時に鎖が変形し極薄の黒剣がその姿を現す。
 摩擦による電撃を龍達が放つ。それに怯まずクロスが黒剣を振るえばまるで喰われたかのように剣の軌跡上の電撃が消失、残りも纏うオーラを投下できるほどの強度はない。
 一瞬怯んだ隙を見逃さず、甲板を蹴り力強く踏み込んだ彼が電撃を喰らい鋭さを増した黒剣を力強く振るえば、髪で構成された龍の体はいとも容易く両断。
 即座に噛みつかんと体をしならせた龍、それを見逃さずクロスの呪われし鎖が鞭のように振るわれる。封印を解かれた呪鎖は黒剣の如き鋭さを伴い龍を刻み、クロスの元へと寄せ付けない。
「それじゃあ、私達も『龍狩り』と洒落込もうかしら」
 そんな彼の様子を見つつイザベラがイスラに言うとクロスとは逆の左舷に接近してきていた船へと跳躍、甲板に飛び乗るとスチールバスターより弾丸を惜しみなくばら撒き龍達を足止めする。
 直に噛みつけない事に苛立ったか、髪龍の体に摩擦による電気が生じ始める。まともに喰らえばダメージ必死の電撃、
「ぱちっといくよ!」
 それがイザベラに放たれた瞬間、泡のオーラ纏うイスラが飛び込んできて電撃は確実に命中した。
 だが、泡のオーラは雷を発電吸収するユーベルコード由来、泡がしゅわしゅわはじけ生まれ吸収された雷もばちばち音を鳴らすけれどもイスラ自身へは傷にはならず、足止めにもならない。
 そして本来の標的であったイザベラへの電撃の被害は軽減、持ち合わせの電撃耐性もあって行動を止めるには至らない。
 雷が効かぬ事を理解した髪龍達は物理攻撃に切り替えるが、体当たりを強化されてしゅわしゅわ感の増したオーラで防ぎいなしながら、手に馴染む短剣で的確に首筋を形作る髪を切断して骸の海に還してしていく。
 セイレーンであるイスラにとっては水上戦の方も都合はいい、けれど今回は雷への備えがあるから船上の龍達を潰しにかかっている。
 船上で戦う――それは一歩間違えれば大海の中での命綱である船、ひいては全てを失うことになりかねない不謹慎な事であるけれども、そんな中でもなんだか彼女は楽しく感じてしまう。
 そしてイスラが龍達を相手取っている間、イザベラが弾丸を20㎜榴弾に切替えてマスト目掛け発射、命中炸裂し、めきめきと音を立て丁度近くに迫っていた他のコンキスタドール船へと倒壊、その衝撃で大きく船が傾く。
 その揺れで船が大きく傾いた瞬間、ぴょんと跳ねるようにして波に流され近づいた次のコンキスタドールの船へと飛び移るイスラ。
「さあどんどん倒しちゃおう!」
 向こうに勢いを戻されぬように、逆に弾みをつけんとイスラは快活に笑いながら舵輪を投げつけ龍の群を薙ぎ払い、イザベラは次々に船を航行不能にしていく。

 冬海の日射しを白のコートで反射しながら舞うクロスの戦いは酷く堅実。囲まれぬように振り回す呪鎖で距離をコントロールしつつ鋭き黒剣で確実に敵を両断。
 それでもこれだけの敵数、運悪く追い込まれてしまう場面も当然ある。
 甲板の端に追い詰められ、眼前には万全な髪龍が数体、一撃で仕留めきるには困難で反撃を受ける事は間違いないだろう。
 そうとあれば、クロスの判断は速い。
 鼻垂れた電撃をその身を海に投げ出す事で回避すれば、即座に呪鎖を近くの船の側面に放ち突き刺せば、怪力で体を一気に引き上げその船の甲板へと跳ねさせるようにして飛び乗る。
 そして着地地点に居合わせた不幸な龍を黒剣で斬り裂くと、場を改めた呪鎖と黒剣を振るう戦いを再開するのであった。
 そんな彼の近く、乗り手を失った無人の船が流されイスラとイザベラの飛び移った船に激突し大きく揺れる。
 振り落とされぬよう次の船へと跳躍したイザベラ、けれど飛び移った船は勢いのままにイスラの乗った船から離れる方向に流される。
 周囲にはもう他の船もない。ここには逃げ場がない事に気づいたその瞬間、その船の龍達の電撃が一斉に彼女を撃つ。
 十数体の束ねた電撃が体を通り抜ける衝撃――それに意識を飛ばされなかったのは持ち前の耐性ゆえ。
 それでも追撃を受ければ非常にまずい状況、そんな中で傭兵の令嬢は冷静にユーベルコードを起動する。
「自分のケツを拭いてもらうようで癪だけど、頼むわよ英霊達!」
 瀕死の彼女の言葉に応えたのはかつてこのシート島の海域で散った海賊と妖怪達からなる海賊船団。
 名もなき彼らが今を生きる猟兵達に応えてくれるというのだ。
 攻撃開始! その号令と共に召喚されたこの海域で散った海賊、そして妖怪達が一斉に髪龍達に襲い掛かる。
 電撃にずたずたにされながらもイザベラは対物ライフルに持ち替え、制圧したコンキスタドール船から他の船のどてっ腹に砲撃。
 海賊船団と共に次々に船体を攻撃し、そして反撃が集中する前に他の船へと飛び石のように飛び移り渡っていく。
 瀕死の彼女の動きは少々鈍っていたけれども海賊船団の砲撃、そして遠くからイスラが連発した花火弾幕の援護もあり、無事に巨頭丸への帰投に成功した。
 少し遅れ、イスラとクロスが逆方向から同時に巨頭丸の甲板へと飛び移り帰る。
 随分と三人が暴れ回ったことで、まともに動けるコンキスタドール船は随分と減じている。
 もう一押し、総てを殲滅する為に再び猟兵達は敵船への攻撃を開始するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリアケ・ヴィオレータ
アドリブ・連携歓迎

雷を扱う竜か……真正面から突っ込むには
ちとデカいし数が多すぎるな。
ここはオレの得意な《水中戦》と行こうか。
鉄甲船の方に敵が気を取られてる内に、
《素潜り》で海へ。《高速泳法》で海中から接近。
何頭かこっちに向かって来たら上へ下への《水中機動》で
あいつらを少数ずつに分断できないかやってみるぜ。
上手いこと分断出来たらUC【不知火灯し】発動。
水の中でも消えない炎を『不知火』の先から
放って燃やし尽くしてやらぁ。

竜だけじゃなく乗ってる船の方にも攻撃できりゃいいんだが、
そこは戦況次第だな。


ビードット・ワイワイ
海に居りし強力なりし龍よ
この海にて最も強力なりし者が誰か知れ
メカモササウルス更なる強者
海の龍はここに居り

我が身は海に潜り機動力活かし
船を狙う。静かに進みて船底襲う
我が身の総ては海中でこそ発揮する。気づいた時にはもう遅い
船と共に海に沈もう

我が雷撃は全てを薙ぎ払う
海から放ちヒットアンドアウェイ
一匹一匹海に引きずり込み食っていこう


カシム・ディーン
キャバリア搭乗
「面白いドラゴンだねご主人サマ♪喋ると噛むのかな?」(鶏の立体映像出現
どうでしょうね
取り合えずやるぞ
【属性攻撃】
水属性を機体全身に付与
水上での機動力強化
飛べないのは面倒ですね!!!
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵陣の状況と船の状態も把握
UC起動
水上を超高速機動で滑りながら
【スナイパー・念動力】
念動光弾で射撃しながら殲滅

接近すれば
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
ハルペーで切り刻みつつ
折角なら髪も盗んでみますか
つるっぱげにしてやります!
あとなんか珍しいのに売れそうだから売り払いますね!
「ご主人サマったら鬼だね!でもありだよ(ぐっ」

このまま一気に殲滅しちゃいますよ!!!


パリジャード・シャチー
●心情
・ドラゴンかぁ。うちの真の姿も人によっちゃドラゴンって言われるんだよなぁ。まあいいケドね。そこに海があるんだから泳ぐしかないじゃない。だってうちはしゃち(ぐるみ)だもの。
・ってことで、船の防御は任せたぁ。うちは遊撃に出る(ざぶーん

●戦闘
・充実した水泳系技能を駆使して泳ぎます。泳ぎながら無酸素かつ高速詠唱でUCを発動。鳥籠のように展開した風の刃による暗殺を仕掛けるよん。無機物変換して髪の毛にするつっても、水中を泳ぐシャチ(ぐるみ)を捕らえられるかな。
・髪の毛を束ねたものならば、斬撃はよく聞くでしょう。水中を自由自在に動き回り、風で敵を刻む。これこそうちが水風神たる所以だよ。



 少しだけ時を遡り。
「まったくゾロゾロ集まってまあ……厄介な奴らだ」
 コンキスタドール船を一瞥し呟く深海人の女はアリアケ・ヴィオレータ(夜明けの漁り人・f26240)。
 噛みつきだけでなく無機物を自身を構成する髪の一部として操りそして雷を扱う龍。もう少し小さいならば真正面から突っ込む手段もあるだろうが、今甲板に見えるサイズの龍を相手にするには少々不安がある。
「ドラゴンかぁ。うちの真の姿も人によっちゃドラゴンって言われるんだよなぁ」
 そんな彼女の横でまあいいケドね、と呟くしゃちぐるみ。緩い見た目だけれども白蛇の神に仕える式神であるパリジャード・シャチー(因達羅神のハナヨメイド・f17808)はアリアケの近くで敵船を見渡している。
 先行した猟兵達が敵船の甲板に渡り暴れ始めているが、海から迫りくる髪龍達には対処しきれない。
 そんな現状把握だけれども、パリジャードにとっての優先事項はここが海である事。海であるなら因達羅を名乗る白蛇の式神として『舎脂(しゃち)』と名を定めた以上、泳ぐしかないのだ。
「ってことで。うちは遊撃に出る」
 そう言って甲板からしゃちぐるみがざぶーんと海に飛び込んで。
「んじゃ、オレも行くとするか!」
 続いてアリアケも海に飛び込んだ。

 そして巨頭丸左舷側の海面、一機のキャバリアが待機モードで戦いに備えている。
『面白いドラゴンだねご主人サマ♪ 喋ると噛むのかな?』
「どうでしょうね」
 コックピット、鶏の立体映像の言葉に返すカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)。
 賢者の石で構成されたキャバリア『メルクリウス』の状態は機体に付与した水の属性もあって良好。
 とはいえ空中機動用の機能は軒並み海域による阻害によりまともには扱えない。ユーベルコードで極短時間なら、と言った所か。
 そうこうしているうちにコンキスタドール船の次陣がやってくる。
「取り合えずやるぞ」
 できない事を嘆くより今持てる力で最善を尽くす。キャバリアが音を立てて起動し、水面を跳ねるように行動を開始する。
 一方の右舷側、船を沈められた髪龍達が深い水中より巨頭丸を目指していた。
 船底を破壊できれば猟兵達も無事では済まない。その狙いの元に荒れ狂う性質を抑え一丸となって、戦いの余波が届きにくい深さから巨頭丸を目指していた。
 だが、それを阻止する猟兵がここに一人、いや一機。
 髪龍達の真下、深海より浮上する巨大な影があった。それはかつての七大海嘯よりも数倍巨大なモササウルス――を模したウォーマシン。
『海に居りし強力なりし龍よ。この海にて最も強力なりし者が誰か知れ』
 スピーカーを通し響くその音はウォーマシン、ビードット・ワイワイ(絶対唯一メカモササウルス・f02622)の意志。
 ユーベルコードにより古代に滅びた絶対の海の王の魂を最新の機械の体に宿したかのような威容は、理性なき髪龍達の本能にすら恐怖を与える代物で。
 メカモササウルスはここに居り、恐怖に雷撃で反撃した髪龍達の攻撃を恐ろしい機動力で回避しながら、角から放ちし雷撃砲で全てを海の藻屑へと変える。
 そしてその後、次なる獲物を求めコンキスタドール船団へと静かに向かっていった。

 甲板で戦う猟兵達の活躍により、船を破壊され海から巨頭丸への攻撃を狙う個体が海へと次々に飛び込んでくる。
 大きさはまちまちだがここはワラスボの深海人であるアリアケの得意フィールド。
 他の猟兵が大暴れしている間に静かに冬の海に飛び込むと、向かい来る髪龍達を覇気を込めて硬化させた両腕の鰭で鋭く斬り裂き一撃離脱。
 怒り追いかけてくる龍達だが、水中戦を得意とする彼女にすぐ追いつくのは中々困難。浮上潜航変幻自在に泳ぎ回る彼女の狙い通りに攪乱された髪龍達の行動はてんでバラバラ、反撃の噛みつきで仲間を攻撃してしまいそっちのけで乱闘が始まっているものまでいる。
 そんな不意討ち気味にアリアケに噛みつこうとしてきた一匹の龍、だが即座に反応したアリアケは体を入れ替え回避すると、不知火の銘を持つ銛をその喉元に突きこんだ。
「灯せ不知火、我が先を妨げるものを焼き払え!」
 そろそろ分断も十分と判断しユーベルコードを起動すれば、メガリスである不知火の力が発動。突き刺した不知火の穂先が水中にも拘らず燃え上がり髪龍を焼けば、更に穂先からは炎弾が次々に発射、追い縋ろうとするものも同士討ちしている個体も区別なく焼いていく。
 尋常の炎ではないその炎は水で消えるものではない。それを消火できぬままに髪龍達の炭になった体は海の中でバラバラと崩れていく。

 そしてアリアケとは離れた水中で、パリジャードは攻撃的に敵船の並ぶ海域まで深海を泳ぎながらユーベルコードを起動する言葉を紡いでいく。
「水風神たるうち、パリジャード・シャチーの名の下に。風よ、無粋なものを閉じ込め刻む檻となれ!」
 その言葉は風の刃を作り出すもの。髪龍の群の周囲の海域に突如鳥籠を形作るようにして出現した風の刃の群は崩れることなく幾何学模様を描くようにして海を通り、鳥籠の中の髪龍達を斬り裂いていく。
 龍の体は髪を束ねたような作り、そうならば風の刃での斬撃は効果的に機能する。多少切れ味が水に鈍らされても数百の風の刃の数を耐えきる事はできないようだ。
 生き残りが反撃に周囲の無機物――海水を自身の一部たる髪に変換し自在に操作せんとする髪龍達だが、水中を自在に泳ぎ回るパリジャードを捕えるには速度が足りない。
 そして回避しながらも再びユーベルコードを起動し、髪龍を再び風の刃の鳥籠で囲い込み、バラバラに刻む。
 海の殺し屋と呼ばれるシャチ、その姿を身に纏うパリジャードは再び潜り、日の届きにくい深度から次の暗殺相手を狙うのであった。

 一方、海上では丁度キャバリアが鎌剣を振るいコンキスタドール船を両断していた。
 だが髪龍は即座に甲板からキャバリアに飛びついて手あたり次第な勢いで噛みついてきた。退く場所を潰されお怒りだのだろう。
「飛べないのは面倒ですね!!!」
 苛立つカシム。空を飛べるなら船に一撃加え龍達が飛びつく前に空に離脱という事も出来るだろうがこの戦場ではそれが出来ない。
 とはいえ戦況をよく観察し狙うべき所を的確に潰す彼だからこそ、比較的被害の少ない船との交戦が多く相応の反撃を受けているのだけれども。
「加速装置起動……メルクリウス……お前の力を見せてみろ……!」
 機体に呼びかけユーベルコードを起動すれば、神機が司る能力の一端を解放したようにキャバリアが加速。水面を滑るように超加速した機体に振り落とされた髪龍に蛇意匠の杖型兵装より念動光弾をぶつけ爆散させる。
 息つく間もなく水中より他の髪龍よりも随分と巨大な個体が飛び出し絡みつくように噛みついてくるが、周辺状況からそれを察知していたカシムは慌てることなく超加速を乗せた鎌剣を回転するように振るわせ三等分に切り刻んだ。
『何を取ったの?』
 コックピット、鶏の立体映像が主に問う。キャバリアの手には巨大髪龍を形作っていた髪の一部。
 肉の部分がなく、全てが髪で構成されていたこのドラゴン、髪を全て盗んだならつるっぱげどころか後に何も残らないだろう。
 一応完全に動かなくなっている事を確認したカシムは呟く、
「……珍しくて売れそうですね。売り払いますね!」
 本業シーフ、その目利きが正しいのかはともかくとして売れそうなものはきっちり手元に取っておきたい所。
『ご主人サマったら鬼だね! でもありだよ!』
 鶏の立体映像が鳥の手でサムズアップ的なポーズ。
「このまま一気に殲滅しちゃいますよ!!!」
 旅と盗賊の神の名を冠するキャバリアを駆り、カシムは次々にコンキスタドールも船も斬り裂いていく。
 高速で移動するキャバリアに気を取られたコンキスタドール達。その中の一隻が突然大きく揺れた。
 その船底に喰らいついたのはメカモササウルス。音もなく深海より忍び寄り、そして海底へと引き摺り込もうとしているのだ。
 引き剥がさんと甲板の髪龍が海面にのぞく巨体に摩擦の電撃を放つもビードットの海底へ潜航する速度はそれ以上。沈み切る前に船体が耐え切れず噛みついた箇所だけが深海に持ち去られたが、船底をここまで破壊されては残りが同じ運命をたどるのも時間の問題。
 海に投げ出された髪龍達を雷撃砲が一体一体確実に捕え焦がしていく。まだ息が辛うじてあった個体もメカモササウルスの牙に大きくその身体を齧り取られ動かなくなる。
 モササウルスの魂に影響されてか少しずつ理性が削れていっているがまだコンキスタドールを沈め足りない。
 次なる敵を求め、メカモササウルスは再び潜航し次の獲物を狙うのだ。

(「随分減ってきたか?」)
 不知火の炎で髪龍を焼きつつアリアケが施行する。焼いた数も相当だが龍達の数が明らかに減ってきている。
 好機と判断したアリアケは力強く加速すると、不知火の先端からコンキスタドールの船に向かい炎を放ち、他の船底に直に銛を突き刺し不知火を放つ。
 密集した船団から巨頭丸へ燃え移る可能性は延焼をコントロールできる為問題ない。
 そのタイミングで近くの船が船底まで真っ二つにされた。水面の向こうに見える機影はキャバリアか。
 船が破壊された事で飛び込んできた髪龍達が突如何かに切り刻まれたかのようにバラバラにされる。その下にはきぐるみの色で視認し辛いが確かにしゃちぐるみの姿。
 そして一度海面に浮上してみれば、あれだけあったコンキスタドールの船でまともな形を残しているものは一つもなく、巨頭丸一つが無傷で残っていた。
 戦いの中、髪龍を万が一見逃していたとしても、船のない状態でこの海域からどこかに離脱する事もできないだろう。
 つまり、戦いは終わったのだ。

 かくしてシート島近海での海戦は、猟兵達の勝利に終わったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月11日


挿絵イラスト