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羅針盤戦争〜工具島攻防戦

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #バルバロス兄弟

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 工具(こうぐ)島。
 アリスラビリンス世界由来のこの島にも、『七大海嘯』による征服の手が伸びていた。
「うひゃあ、何か攻めて来た」
「コンキスタドールの野郎だ」
「でけえ」
 逃げ惑う島民を追うのは、双頭四腕の巨人、『三つ目』バルバロス兄弟である。
「この島もおかしな連中ばかりだぜ、オルチ兄!」
「面白えじゃねえか、ハイレディン! こいつらの体を『奪え』ば、もっと強そうにみえるだろうぜ」
 兄弟の言う通り。
 この島の住民は、ハンマーにペンチ、カンナ……様々な工具たちが手足と心を得て、人となった愉快な仲間たちであった。
 だが、その性根は優しく、とても戦いや悪意に耐えうるものではなかった。
「グリモアをいただく前祝だな!」
「まずはこいつらで『腹ごなし』といこうじゃねえか」
 バルバロス兄弟が、下卑た視線を、工具の民に振りまいた。


「大変だよ! 愉快な仲間たちが住む工具島が、七大海嘯に狙われてるんだ!」
 タビタビ・マタタビ(若き猫黒騎士・f10770)は、ばさっ、とグリードオーシャンの海図を広げ、自前の指示棒で島の位置を示した。
「この工具島に現れるのは、『三つ目』バルバロス兄弟。七大海嘯の中でもいかつくって海賊らしい、荒くれ者なんだ」
 これまでに奪い取った様々な武器や能力を使いこなす技量はもちろん、悪党としての残虐性は、正に幹部級である。
「それに、弟ハイレディンが持ってる『オルキヌスの瞳』は、生き物を退化させちゃうっていう力があるんだ」
 退化の力は、戦闘でも有効であり、猟兵たちにも脅威となるだろう。
 そして、やはりその圧倒的なユーベルコードの力。
 猟兵に先手を取る事を許さず、攻撃を繰り出してくる。対処法を用意しておかなければ、バルバロス兄弟に手傷を負わせる事は難しいだろう。
「工具島の人たちは、戦う力を持たないから、放っておけば取り込まれて、バルバロス兄弟の力になっちゃう。でも、もちろんそんなことはさせないよね! じゃあ、いっくよー!」
 両手を高く上げたタビタビが、工具島への道を開いた。


七尾マサムネ
 こちらは戦争シナリオです。
 1章のみで完結します。

●今回のプレイングボーナス条件
 バルバロス兄弟の先制攻撃ユーベルコードに対処する。

 それでは、皆様のご参加、お待ちしております!
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第1章 ボス戦 『七大海嘯『三つ目』バルバロス兄弟』

POW   :    フォーアームズ・ストーム
【四腕で振るった武器】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    「オルキヌスの瞳」
【弟ハイレディン(左頭部)の凝視】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【肉体、精神の両面に及ぶ「退化」】で攻撃する。
WIZ   :    バルバロス・パワー
敵より【身体が大きい】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。

イラスト:ちーせん

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

片桐・公明
【POW】
人を射殺すほどの冷たい表情と視線で敵に相対する
相手の先制攻撃は正面から妖刀で防御する
ただし正面から防ぐのではなく、斜めにすることで相手の力を逃がし受ける衝撃を最小限に抑える
「強い攻撃も、こうされてちゃ形無しね。」
「少し独りよがりが過ぎたのではなくって?」

以降こちらのUCで攻撃する
攻撃は相手の死角から急所を狙い、無理に連撃は行わない
初撃以降、敵UCも通常攻撃も少々過剰気味に回避に徹する
「腕が多かろうと、頭が2つあろうと、人体が基礎にあるのであれば、殺せぬ通りは無いわ。」

(絡み、アドリブ歓迎です。)



「さあ、寄越せ寄越せ!」
「俺達がもっとうまくその体を使ってやるからよォ!」
 非道の簒奪者・バルバロス兄弟が、工具の民を追い立てる。
 その双のうなじに殺意を突き立てたのは、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)だった。
「おお、俺達を殺そうってか?」
「オルチ兄、こいつは飛んだ命知らずだぜ」
 がはは、と大笑を共鳴させる兄弟。
 それを射抜く公明の赤眼は、冷徹なまま。相手を射殺さんばかりに。
「そんな顔したって無駄だぜ」
「すぐに絶望に変えてやるんだからよ」
 轟、と風が鳴った。
 兄弟が進撃する音。4本の腕、4種の武器を振う音だ。
 曲刀、三叉槍、斧、そしてメイス。
 斬撃、打撃、壊撃。リーチも特性も異なる武器が、兄弟の技量で御され、公明を征服せんと猛威を奮う。
 対する公明は、妖刀一振りで抗戦した。ただし、正面から防ぐことはしない。絶妙な角度をつけ、受け流す。
「強い攻撃も、こうされてちゃ形無しね」
「はッ、小細工したところで」
「どうせ死ぬぜ!」
 豪快にスイングされた三叉槍を喰らい、公明の体が吹き飛ぶ。
 兄弟の進軍により更地と化していた大地で、何度も跳ねた後、ようやく止まる。
「見たか『三つ目』の力! ……ンン?」
「オルチ兄! コイツまだやる気だぜ」
 ゆらり。
 眼差しの殺意もそのままに、公明が立ち上がる。
 相手の力を少しでも外へ逃がし、威力をまともに受ける事は避けた。
「少し独りよがりが過ぎたのではなくって? 敗因は、そうね、敗北をろくに知らずに来たことかしら?」
「「テメエ……殺す!」」
 兄弟のユニゾンは、公明の地を蹴る音が掻き消した。
 相手の死角に回り込む。先ほどのように、ある意味、斜に構えた進撃だ。
 怒りに冷静さを欠いた兄弟、虚を突くのはさほど難しいことではなかった。
 公明の武技は、巨人兄弟のような、りょ力に物を言わせた攻撃ではない。
 緩急、強弱、遠近。その全てを使い分けて。
 踊るような公明の攻めは、まさにヒット&アウェイ。
 相手の武技をあなどる事はしない。時に、回避に徹する時間を作りだす。無理に攻め込むことはせず、確実に手傷を追わせていく。
「「ぐはあッ……!」」
「腕が多かろうと、頭が2つあろうと、人体が基礎にあるのであれば、殺せぬ通りは無いわ」
 地に伏せる『三つ目』へ、公明の勝利宣言が降り注いだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

イザベラ・ラブレス
出たわね、余分な腕兄弟!
って冗談言ってる場合じゃないわね。
まずは敵の戦闘力削減、その物騒な得物をどうにかしなきゃ。

POW
まずは先制UCに対して「スチールバスター」で突撃の勢いを削ぐ素振りで【一斉射撃】、でもこれはブラフ。

兄弟が武器を振り下ろして来た所にすかさず【カウンター】、オールドキャノンを【クイックドロウ】で抜き武器の先端めがけてマグナム弾の【重量攻撃】を放ってよろけさせるわ。こういうの、パリングっていうんだっけ?

そこで胴体ががら空きになったら指定UCで思いっきり殴り抜ける!

あ”?…あんた達、今「ゴリラみてぇな女」って言いやがったわね?
このイザベラ、容赦せん!(2発目、3発目と続く)



 ぬう、と。
 工具の民の避難を手伝っていたイザベラ・ラブレス(デカい銃を持つ女・f30419)の前に、巨人が現れた。
「出たわね、余分な腕兄弟!」
「ハア!?」
「誰のどれが余分だって!?」
 2人そろってイザベラの冗談を真に受けたバルバロス兄弟は、ぶおん、と腕を振り上げた。
「血の気の多いこと……ってのんびり会話してる場合じゃないわね」
 イザベラが、島民を後方に逃がした。
 バルバロス兄弟が怒気を発したまま、突撃してきたからである。
「もうすぐ工具がここに加わるんだけどなあ!」
「とりあえず、この凶器カルテットで細切れにしてやっからよ!」
 伊達に4本腕ではないらしい。
 腕同士が絡まることもなく、武器同士が互いを邪魔することもなく。
 思いのほか流れるような動作で、イザベラを連撃が襲う。正に怒涛。
「ただの脳筋ではないと言う事ね」
 まずは、この物騒な得物の群れを何とかする。
 武器の嵐を継続する兄弟に、イザベラはスチールバスターの銃口を向けた。
撃つ。
 13mm弾のもてなしを、バルバロス兄弟の体躯が存分に受けていく。
「ハッ、こんな豆鉄砲で」
「俺達がくたばるなんて思っちゃいないよなあ!?」
 派手な銃火に、嬉々として身を晒す兄弟。
 これが、イザベラのブラフとも知らずに。
「さて!」
「潰れトマトの出来上がりだ!」
 槍と剣が、交叉するように振り下ろされて来る。
 瞬間、イザベラが新たに抜き放ったのは、大口径リボルバー。
 撃ち出したマグナム弾が、敵の武器の切っ先にぶつかった。
 コンパクトな動きによるカウンターは、いわゆる『パリング』というガード法に近い。
 二振りの武器を一度に弾かれた兄弟の体が、上方に浮きつつ後退する。残り2本の 武器は未だ待機状態。
 イザベラは、がら空きになった胴体、そこを、ありったけの力で打撃した。
 握力400Kg超過から繰り出された一打は、兄弟の巨躯を強かどころではない威力で吹き飛ばした。
「がはッ………!」
「テメエ、ゴリラか……!」
「あ”?」
 兄弟の失言を、イザベラが聞き逃すことはなかった。
「……あんた達、今『ゴリラみてぇな女』って言いやがったわね? このイザベラ、容赦せん!」
「いや、そんなことゲフッ」
 ゴリラ……もとい、イザベラのパンチは、2発、3発と続いた。
 打撃数の二倍のうめき声を伴って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
工具、修理が得意だったりするのでしょうか…なんにせよ、殺させない!
回点号に搭乗、肉体の退化対策に、遠隔操縦デバイスで動かす。
後方へ下がりながら、パルスマシンガンを放ち、オルキヌスの瞳を受ける。
自分の肉体が、精神が、退化していく。

だが、自分は戦う為に在る!戦え!戦い続けろ!!朱鷺透小枝子!!!
戦意は呪詛となり、自身を呪う。退化してなお闘争心で戦闘を続行

『戦火応報』敵UCを無効化、早業で回点号を操縦し、斧の攻撃を回避!

撃ち返せ、応報せよ!!
オルキヌスの瞳の効果を使い、敵の肉体と精神を退化、
パルスマシンガンの弾幕を浴びせかけ、接近、
シールドバッシュ、銃身にシールドエネルギーを纏わせ、なぎ払い切断!



 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の回点号と相対したバルバロス兄弟は、好機の眼差しに満ちていた。
「オルチ兄! コイツは巨人じゃねえ、絡繰りだぜ!」
「面白え、こいつもいただきだ!」
 げはは、と品のない笑い声から、小枝子は、工具の民を庇っていた。
 彼らに、戦いの能力はない。だが、工具である以上、
(「修理が得意だったりするのでしょうか……」)
 小枝子は、そんな風に思いつつ、
「なんにせよ、殺させない!」
「殺すんじゃねえ、俺達の力になるのよ」
「俺達が使えば、もっと効率的な殺しの道具になるだろうぜ!」
 迫りくる敵の巨躯から後退しつつ、パルスマシンガンで迎撃する小枝子。
「逃がすかよ!」
 かッ!
 弟ハイレディンの片目が、魔光を放つ。
 オルキヌスの瞳! 物質たる肉体のみならず、精神まで退化させる脅威なる力!
 この権能には、回点号の装甲も、意味をなさぬ。
 不可視の呪いの如く、操縦席の小枝子をもその魔手に捉え、肉体を、そして精神を退化させていく。
 肉体の退化……若返りとともに、小枝子の手足が操縦デバイスから離れていく。
「どうだ見たか!」
「グリモアがなくったって、猟兵程度なら俺達は無敵だ!」
 『三つ目』の笑い声が響き渡る。勝利を疑わぬものの声だ。
 だが。
「……自分は戦う為に在る!」
「アアン!?」
「戦え! 戦い続けろ!! 朱鷺透小枝子!!!」
 小枝子の燃え上がる戦意は呪詛となり、自身を呪う。
 精神まで退化してなお……いや、余計が削ぎ落された分、純粋さを増した闘争心が、小枝子を戦闘へと駆り立てた。
「見上げた根性だ! だが……」
「待てオルチ兄! 俺の瞳が……!」
 先に異変を察知したのは、瞳の主、ハイレディンだった。
 知らぬ間に、回点号の足元、共に退化を受けていた草木の縮小が、停止しているではないか。
「ウソだろ、俺の退化の力が掻き消されたってのか!?」
 遠隔操縦デバイスが、回点号を動かす。焦った敵が、でたらめに振った大斧を回避。
「撃ち返せ、応報せよ!!」
 退化の力は、回点号から放たれた。
 オルキヌスの瞳の力を発しながら、パルスマシンガンの弾幕を浴びせかけ、接近。
「俺たちが!」
「退化させられるだと!?」
 巨躯も縮み、回点号を見上げるばかり。
 そこに、シールドバッシュが来た。
 シールドエネルギーを纏わせた銃身が、腕を、武器をなぎ払い、切断した。

成功 🔵​🔵​🔴​

カシム・ディーン
機神搭乗

此処は中々にメルヘン…メルヘン…ですか?
「メルヘンだよ!付喪神っていうべきかもねご主人サマ?」(鶏立体映像

【視力・情報収集・戦闘知識・医術】
肉体構造上の弱点と死角
そして過去の交戦記録との差異を把握分析

対SPD
【属性攻撃・迷彩】
光属性を機体に付与して光学迷彩と共に複数の分身を置く
本体は隠れ迷彩で更に存在を隠し分身の中に本体がいると錯覚させ

分身は視線で弱って苦しむ様子を演じ

UC発動
【スナイパー・二回攻撃・切断・盗み・盗み攻撃・念動力】
念動光弾を杖型兵装から打ち出し
念動力で動きを少しでも止めれば接近
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
手に持った武器の強奪と共に容赦なくハルペーで切り裂きに



 界導神機『メルクリウス』を駆り。
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)が上陸した工具島は、無数の小さな建物に彩られていた。
 まるで不思議の国。住民もまた、妖精を思わせる、工具の化身ばかり。
「此処は中々にメルヘン……メルヘン……ですか?」
「メルヘンだよ! 付喪神っていうべきかもねご主人サマ?」
 カシムの傍ら、立体映像の鶏が、主の疑問に回答した。
「じゃあこれは、メルヘンにつきものの悪い鬼とか狼とかかな」
 カシムの視線の先、立ちふさがる巨躯がある。
 『三つ目』のバルバロス兄弟。
 仲良く共用する巨躯を、凝視するカシム。双頭、四本腕とはいえ、人間の肉体の延長上にあることは変わりない。
 速やかに、肉体構造上の弱点と死角、そして過去の交戦記録との差異を把握、分析。
「そんなに見つめるなよ、照れるじゃねえか」
「テメエも見てやるよ、このオルキヌスの瞳でな!」
 弟ハイレディンの瞳が、神秘なる輝きを放つ。
 視線にとらえられた島の自然が、またたく間に縮小……否、退化していく。
 それは、視界内のカシムとメルクリウスも、例外ではない。
が。
「ンン! 弟よ!」
「増えやがった!?」
 ハイレディンの視界内、メルクリウスは、小隊を為していた。
 光学迷彩の発動と共に、複数の分身を配置したのだ。
「数が増えようと!」
「一度見ればお仕舞だぜ!」
 撫でまわすように、分身たちに視線を浴びせるハイレディン。
 退化の力を受けた分身たちは、一様に弱体し、苦悶に機体を悶えさせる。
「どうだ見たか!」
「見てるのは俺だけどな、オルチ兄!」
 バルバロス兄弟には誤算があった。
 つまり、「分身の中に本体が存在する」という思い込みである。
「なッ!?」
 兄弟の巨躯を、衝撃が襲った。
 建物の陰から発せられた、念動光弾である。
 建物の壁が剥離し、そこから現れたのは、杖型兵装『カドゥケウス』を構えたメルクリウス。
 本体は、また別の所に隠れていたのである。
 メルクリウスは飛翔する。ハイレディンの視線を振り切る超・高速で。
 そして、念動光弾を受けた巨人の動きは、硬直のただ中。
 そこへ一気に飛び込んだメルクリウスは、杖の代わり、鎌剣『ハルペー』を振った。
 残像すら生む、斬撃の連続。
 冥府送りの鎌が、四本腕ごと『三つ目』の体を、八つ裂きにせしめたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

深島・鮫士
・かーっ……何かから奪った体をツギハギして強くなった、か。ほっときゃ更に略奪を繰り返して手に負えなくなるって寸法かい。ここできっちり仕留めねぇとな。

・で、先制攻撃対策ねぇ。凝視するってことは確実に視線がこっちに向かうわけだ。なら、さしずめメデューサを仕留めた時の勇者よろしく、「活殺自在」の刀身を鏡にして視線を跳ね返してやるぜ。失敗したら? その時は俺が退化して凶暴な南海のスピードスター・アオザメになるだけだな。それも空中を泳げる、な。

・その後は早業や見切り、野生の勘を駆使して攻撃を避けつつ一気に近づき、UCで弟の頭を嚙みちぎってやらぁ。
退化状態なら本能任せでもっとひでぇことするかもな?



 深島・鮫士(深鮫流活殺刀拳術創始者(自称)・f24778)は、工具島の戦場で、七大海嘯『三つ目』との対決に臨んでいた。
 敵は異形だ。
 身体は一つだが、腕も武器も、兄弟の分だけ揃っている。
「かーっ……何かから奪った体をツギハギして強くなった、か。ほっときゃ更に略奪を繰り返して手に負えなくなるって寸法かい。ここできっちり仕留めねぇとな」
 『三つ目』は、聴覚も二人分。
 鮫士のつぶやきを聞きつけたバルバロス兄弟が、鮫士を嘲笑った。
「フン、鮫頭か、気に食わねえ……まッ、こっちはいつでもテメエを黄泉に送れるんだぜ?」
「こんな風に、な!」
 兄オルチの目配せを受けた弟ハイレディンが、自慢の瞳を開いた。『オルキヌスの瞳』だ。
 来たか。鮫士は身構えた。
 視線を受ければ、退化に導かれる。
 だが、凝視するという事は、その時敵の視線は、間違いなく標的……すなわち鮫士に向かうと言う事でもある。
 鮫士は、刃を掲げた。研ぎ澄まされ磨かれた『活殺自在』の刀身は、鏡の役割を果たす。
 映った『オルキヌスの瞳』の眼力はそのままハイレディンに跳ね返る。
「グワーッ!!」
 ハイレディンは、退化の力をマトモに浴びる羽目になった。
 瞳の力を逆手に取った鮫士の策は、さながら、メデューサを討伐した勇者の如く。
 みるみる弱体化していく弟に、兄オルチが声を掛けた。
「しっかりしろ、ハイレディン! 出来るかどうかもわからねえバクチを打つなんて、猟兵って奴はどうかしてやがるぜ」
「コンキスタドールに言われたくないな。なに、失敗した時は、俺が退化して凶暴な南海のスピードスター・アオザメになっただけだ。それも空中を泳げる、な」
 そう言って肩をすくめると、鮫士が切りかかった。
「俺が弟の分まで戦ってやらあ!」
 数多の島で簒奪した武器を巧みに操り、鮫士の攻撃を跳ね返すオルチ。
 だが、使える腕が二本なら、見切る事も避ける事も、難しいことではない。
 相手の攻撃を避け、間合いを詰めた鮫士は、武器を持たぬ方の腕を、なじみ深い形へ変えた。すなわち、鮫の頭に。
 繰り出したパンチは、そのまま、弟の頭を嚙みちぎった。
「ハイレディン!」
「退化してたなら本能任せでもっとひでぇことしたかもな? こんなもんで済んだことを幸運に思うんだな」
 怒りで冷静さを失うオルチに、鮫士は余裕の言葉を投げかけた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アハト・アリスズナンバー
アリスラビリンスではなくとも、アリスラビリンス由来の島であるのなら見過ごすことは出来ません。
どんな奴が相手だろうが排除します。

前もって早着替えでUCを起動。
この鎧は触れれば弾かれる。貴方たちがいかようにも武器を振るおうが、速度があれば全て弾いてカウンターしてあげましょう。
自分の武器でダメージを与えたら、さらにレーザーライフルによる弾幕で目つぶしし、視界からいなくなります。
いくら腕が多くとも胴体は一つ。下からランスチャージで突き上げて突き抜けます。



「ひええ」
 バルバロス兄弟の伸ばした手に捕まろうとしていた工具の民を救ったのは、アハト・アリスズナンバー(8番目のアリス・f28285)だった。
「ここがアリスラビリンスではなくとも、アリスラビリンス由来の島であるのなら見過ごすことは出来ません。どんな奴が相手だろうが排除します」
「ふん、弱い犬ほどよく吼えるってな」
「やれるもんならやってみやがれ!」
 バルバロス兄弟は、アハトの決意を一笑に付すと、武器を構えた。
 どれも、数多の戦い、数多の島で奪い取った逸品であろう。
 更に、その中からえりすぐったのならば、威力は充分に違いない。アハトはそう分析した。
「さあ」
「死ね!」
 シンプルな宣告と共に、アハトに嵐が迫る。
 四本、四種の武器が織りなす、破壊の嵐だ。
 だが、通り抜けた場所を塵も残さぬ進撃にも、アハトは動じなかった。
「くたばれ猟兵!」
「今更そんな着替えたって……着替え!!」
 弟ハイレディンが異変に気付いた瞬間、その身が弾かれた。
 アハトの姿が、いつの間にか変わっている。制服を思わせる軽装から、鎧をまとった姿に。
「ぐ、今のは!?」
「この鎧は触れれば弾かれる。貴方たちがいかようにも武器を振るおうが、速度があれば全て弾いてカウンターしてあげましょう」
 信じる心がある限り、鎧は絶対の力を発揮する。
 そして、アハトの言葉は、次々と現実化した。
 曲刀があらぬ方向へと弾かれ、三叉槍が天を向く。
 その他の武器も、アハトからはほど遠い、全く別の標的を狙うが如く、軌道を逸らされたのだ。
 全く別の標的とは、この場合……他ならぬバルバロス兄弟をさしていた。
「「グハアッ!!」」
 自身の武器に牙を剥かれた兄弟は、悲鳴の二重奏を響かせた。
 ここからは、アハトの時間だ。
 よろめく兄弟へと、レーザーライフルによる弾幕を浴びせる。
 荷電粒子を目に注がれ、兄弟の視界から、アハトが消える。
「クソっ!」
「どこだ!」
 戦闘勘だけを頼りに、でたらめに武器を振う兄弟。が、アハトを捉えることは一切かなわない。
 その隙に、アハトが相手の間合いに踏み込んだ。
 いくら腕が多くとも、胴体は一つ。
 専用モデルのアリスランスを握ると、アハトは敵の体の下方より、突き上げた。
 ぐ、と力を更に込め、そのまま突き抜ける。
 兄弟の苦悶と鮮血と悲鳴、そのユニゾンが、アハトの五感を叩いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィランサ・ロセウス
まずは【ドーピング】で脚力や瞬発力を強化
障害物の陰から陰へと移ったり、わざと土煙をあげて目くらましをする等、【地形の利用】しながら素早く動き回る事で弟くんの目に捕捉されないようにする

死角を付き、そこから【早業】で「ニンジャ・フックシューター」を兄弟に引っ掛ける!
そのまま巻取りの勢いで飛び上がり、太陽を背にして襲い掛かれば眩しくてこっちをちゃんと見れないはず
この隙にUCで拘束してからの、弟くんに【目潰し】!
さらに駄目押しで【傷口をえぐる】事で確実に【部位破壊】♥
これで弟くんは何も見えないねぇ♥

あの目さえ何とかなれば、後はお楽しみ❤
お兄さんと弟くん、どっちが私の愛を沢山受け止めてくれるかな~?



 バルバロス兄弟の前に、新たに現れたのは、フィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)だった。
 眼にハートを浮かべたその気配に、兄弟は怪訝そうな表情を浮かべる。
「なんだァ、お前は?」
「あんま殺り合った事のねえタイプの奴だな、オルチ兄?」
 戦闘中にもかかわらずハートを飛ばすフィランサに、調子を乱されつつも、バルバロス兄弟は、とにかく殺す事に決めた。
 未知の相手には、確実な方法を取るべきだと、猛者の勘が告げたのであろうか。
 フィランサを見返す視線は、『オルキヌスの瞳』だった。
「たっぷり退化しな!」
「……って、大人しくしやがれ! このピンク女!」
 弟ハイレディンの視線を逃れ、フィランサは俊敏に、工具の民の建物の陰から陰へと跳び回る。
 カラフルでメルヘンな障害物を生かして、巨人兄弟と鬼ごっこ。
 時には、背の高い木々に昇ってみせたり、土煙で視線を遮ってみせたり。緩急を付けて、命がけの追いかけっこを楽しむフィランサ。
「しっかりしろ弟! 獲物に逃げられてんじゃねえか」
「わかってるぜオルチ兄! けどよお」
 退化の力は、ちゃんと発揮されている。木々は苗木に、建物は建材に分解されていく。
 だが、肝心のフィランサを子どもにする事はできていないのだ。
「ゼエ、ハア……」
「あれえ、もう疲れちゃった?」
 フィランサの声は、兄弟の視界の外から響いた。つまり、死角だ。
 がっ、と兄弟の体をひっかけたのは、フィランサの『ニンジャ・フックシューター』
 そのまま、巻取りの勢いを生かして飛び上がるフィランサ。
「いたぜ!」
「姿が見えればこっちのもん……じゃねえ!?」
 ハイレディンが、思わず目を閉じた。
 跳び上がったフィランサが、太陽を背負っていたからだ。陽光の眩しさに眼を焼かれ、フィランサを凝視する事は叶わない。
 これは絶好のチャンス・タイム!
 フィランサは次々器具を放ち、巨人の体を拘束。もがく暇も与えず、弟ハイレディンに目潰しを食らわせた。
「眼が、眼がぁぁぁぁッ!」
 痛みは、それで終わらない。フィランサの追撃が、更に眼をえぐった。
「これで弟くんは何も見えないねぇ♥」
 目さえ何とかなれば、後はフィランサにとって、お楽しみの時間だ。
「お兄さんと弟くん、どっちが私の愛を沢山受け止めてくれるかな~?」
「「ヒッ……!!」」
 バルバロス兄弟は、めったにない恐怖にさいなまれていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

神宮時・蒼
……何とも、欲に、満ちた、醜悪な、姿、ですね
…これ以上、この、島を、荒らさせる、訳には、いきません、ね

【WIZ】
相手の力の糧となるのは遠慮したいのですが…
あの体躯です。防ぐ術は少ないでしょう
「目立たない」ように接近
相手の攻撃は、「見切り」で回避。あの体躯です。攻撃動作は読めるかもしれません
念のため、「結界術」を自身に膜のように張っておきましょう
気休めかもしれませんが、ないよりは…
全ての能力が上がるのなら
「範囲攻撃」で避けにくいようにするまで
「魔力溜め」「全身魔法」で範囲と威力を増した翠花魅惑ノ陣を放ちましょうか

例え外れても、地形が此方の味方となりますから



 神宮時・蒼(終極の花雨・f03681)が目の当たりにした七大海嘯、その一角の姿は、巨大にして、強大であった。
 しかし、蒼の下した、評価は。
「……何とも、欲に、満ちた、醜悪な、姿、ですね。……これ以上、この、島を、荒らさせる、訳には、いきません、ね」
「この俺達の姿が、醜悪、だと!?」
 兄オルチが、怒声を上げた。
「……褒め言葉だな、オルチ兄!」
「違いねえ、ハイレディン!」
 がはは、と笑うバルバロス兄弟。そして蒼に嘲笑を向けると、
「お礼に、丁寧に引導を渡してやるよ」
「使えるところがあったら、もらっといてやるから安心しろ!」
 安心できない宣告とともに、兄弟が襲い掛かってきた。
 四本の腕に、力がみなぎる。蒼が身構える中、筋肉が膨張し、高めたりょ力が、構えた武器の威力を倍化させたのだ。
「相手の力の糧となるのは遠慮したいのですが……」
 巨人の体格を存分に生かした攻撃だ。シンプルであるがゆえに、防御の選択肢は多くはない。
 そう判断した蒼は、極力気配を殺し、接近した。
 三倍化したパワーの曲刀が来る。早く、重い。
 きわめて強いが、その本質は斬撃に変わりない。
 そして蒼は、相手のその巨躯にもつけこんだ。
 図体が大きい分、動作の予兆を捉える事は幾分易しい。
 果たして斬撃は、蒼の頭上、ぎりぎりのところを通り抜けた。
 溢れるりょ力の余波は強力で、遅れてきた衝撃が蒼の体を揺らす。結界術で身を護っておかなければ、その勢いだけで吹き飛ばされていたかもしれない。
「俺達の技を避けた、だと?」
「オルチ兄、攻撃が来るぜ!」
 威力を重視するあまり大振りとなったため、兄弟には大きな隙が生まれていた。
 そこに加えて、蒼は万全を期す。
「……神代より、語り継がれる、翆の花。……大地へ、無限の如く、咲き誇れ」
 蒼の陣術が、解き放たれる。
 その範囲は、蒼を中心に、バルバロス兄弟を飲み込んで余りある広範囲をカバーする大魔術。
 蒼の魔力をたっぷりと含んだ範囲攻撃は、バルバロス兄弟の跳躍力をもってしても逃れる事は叶わなかった。
 戦場に咲き乱れる翠の花が、巨人の体を打ち据えた。如何なく。
「くそっ、こんなところでやられてたまるかよ……『鮫牙』との決着もつけてねえのに」
「だよな、オルチ兄」
 そんな威勢の良い言葉とは裏腹に。
 咲き乱れる翠花を操る蒼の攻勢の前に、『三つ目』は満身創痍であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月影・このは
双頭三つ目で四腕の巨人…ウォーマシンのボクよりも奇怪な姿ですよね?
はてさて、この身体にその退化の力は効くのか?まぁ、試すつもりはありませんが…


兄の方向から回り込む感じで接近
大きいこと、重く、それすなわち威力があるという事です
ですが…(ホイールソーを高速回転させ『武器受け』)
『受け流し』てしまえばその威力も押さえられます

手数が多いのも小さい相手では振るえる方向も制限される…(ブラストブーツで『ダッシュ』で懐へ)
そもそも…体格的に懐へ潜り込まれると不利…(拳による急所への一撃【怪力・鎧砕き】)

これ、弟の能力が脅威なだけで兄の首いらないのでは?
兄の首が弟の能力の死角になりますし…



 月影・このは(自分をウォーマシーンと思いこんでいる一般ヤドリガミ・f19303)は、壁の如く立ちはだかる脅威……七大海嘯・バルバロス兄弟と対峙していた。
(「双頭三つ目で四腕の巨人……ウォーマシンのボクよりも奇怪な姿ですよね? はてさて、この身体にその退化の力は効くのか? まぁ、試すつもりはありませんが……」)
 奇怪、などと面と向かって言えば、どんな反論が来るかわからない。
 このはは、感想を心の中にのみ留めて、じっ、と敵を見つめた。
「来いよ、ちっこいの」
「まッ、俺達と比べれば、大体の奴はちっこいがな!」
 がはは、と大笑するバルバロス兄弟に、このはは立ち向かった。
 兄、オルチの頭のある側から、回り込むように接近。
「フン、来いよ!」
「簡単に吹き飛ばされてくれるなよ!?」
 轟、と風が荒ぶる。
 4本腕と武器をフルに生かした、武器の嵐だ。
 巨躯であることは重く、威力が高いという事にもつながる。同時に、四つ来ると言う事は、もはや小災害。
「ですが……」
 このはの四肢を飾ったホイールが、刃を生やした。回転鋸、名をホイールソー。
 瞬時に高速回転したホイールソーが、フォーアームズ・ストームを受け流しきった。
 このはに伝えきれなかった余剰の威力が、衝撃波として、周囲に散らばる。
「馬鹿な、ちっこいのに俺達の技が効かねえだと」
「こいつただの生身じゃねえ」
「ええ、ウォーマシンですので」
 このはが、しれっ、と言ってのけると。
 ブーツに仕込んだ火薬を炸裂させ、推進力に変換すると、一気に敵の懐に飛び込んだ。
「手数が多いのも、小さい相手では振るえる方向も制限される……」
 体格差が仇となることを、このはは看破していた。
「ちきしょう、ちょこまかと」
「そもそも……体格的に懐へ潜り込まれると不利……」
 このはの声は、兄弟の想定よりずっと近くで聞こえた。
 そして、このはの拳が、兄弟の急所へと、強かに炸裂した。的が巨大である分、当て易いのは幸いだった。
 渾身の一撃は、そのまま引導となった。『三つ目』の巨躯が消えていく。
「ゲハッ……!!」
「これ、弟の能力が脅威なだけで兄の首いらないのでは? 兄の首が弟の能力の死角になりますし……」
「な、何ぃっ!?」
「お、オルチ兄! 俺はそんな風に思ってないから安心してくれ!」
 だが、このはの投じた一石は、兄弟の不和を呼び。
 気まずい雰囲気を残したまま、骸の海へと還っていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年02月07日


挿絵イラスト