羅針盤戦争〜歪なる巨人~
●単純にして恐ろしきモノ
「大きい事はいいことだ――なんてね」
やや調子の外れた短い歌を歌い、グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは場に集まった猟兵達に語り出した。
「一概にサイズが全てとは言わないが、大きな強みではあるね」
無駄に胸を張り、四つの翼を広げ自らの身を大きく見せながら、女性としては高い背の女は冗談めかして笑って見せた。
「さぁ語ろうか。舞台は闘争と激情の大海グリードオーシャン! 君達には七大海嘯の一人との戦いへと赴いて貰いたい!」
七大海嘯が一体、『三つ目』バルバロス兄弟――屈強にして巨大な体躯を持ち、六つの腕と二つ首を持った異形の巨人の姿をグリモアは映し出した。
「御覧の通り、全長5メートルぐらいはあるかな? 原寸大に強い」
多腕に様々な武器を持つが、それは彼らの身長に合わせて相応のサイズとなっている。
それを極まりなき剛力で振るうのだから、単純ではあるが凄まじい破壊力を持つだろう。
その上、武器戦闘の達人でもあり技量にも優れ、殺戮に容赦のない相手と語る。
「ちなみに隻眼の方が兄のオルチ……ウルージと発音する者もいるがね。赤髭が弟のハイレディンだ。特にハイレディンの瞳は……」
オルキヌスと呼ばれるそれは、曰く、見つめた者の肉体と精神、両方を【退化】させてしまうのだという。
人によって程度はあるのかもしれないが、兎にも角にも凄まじいパワーダウンを齎す危険極まりない力が埋め込まれているらしい。
「退化の瞳が厄介ではあるが、他の力だって決して侮れはしない」
力に優れた者には、四つ腕を振るっての攻撃――単純ではあるが巨体の複腕ともなれば、それだけで一つの災害となる。
その上迂闊に体勢を崩せば、より致命的な個所に当たってしまう。一撃一撃が既に必殺級である以上、転んだところに連撃を叩き込まれたら想像もしたくはないだろう。
敏捷に優れた者には、先ほど述べた退化の瞳を使ってくる。これも巨体が故に視野も広く距離も届く故に、喰らえば鍛え上げた力も無にされてしまう。
魔力に優れた者には自己強化。一撃の破壊力、命中精度、身のこなしの全てを三倍近く強化する。元々が優れ過ぎている力を三倍というのは想像を絶する結果となるだろう。
強化の維持には自分の体躯が上回っている間という枷があるが、バルバロス兄弟の体躯は最初に述べた通りだと語る。
「どれもが強力だ。例によって例の如く、君達に先んじて行動してくるから、上手く対処してからが本番だ」
その辺りはやはり、フォーミュラ幹部以上の定石だ。
されど潜り抜けてから、漸く同じ土俵に立てる相手ということを忘れないようにとスフィーエは語った。
「ちなみに舞台となるのはここだ。『サイナー島』だね。昔は……ダークセイヴァー、だったのかな? まあ兎に角、今となっては無人の廃墟だがね」
そう言ってスフィーエは戦場となる島を一つ映し出す。
退廃的な様相の木造建築――既に朽ちて建物としての機能は為していない――が点在し、大地はお世辞にも豊かとはいえず、並ぶ枯れ木の数々は陰鬱な空気を伺わせる。
探せば住民はいるのかもしれないが、ひとまず廃村となった場所、バルバロス兄弟の待ち受ける所の近辺には人はいないので問題なく戦えるのだが……。
「君達も存分に戦えるだろうが相手にも同じ事だ。そしてそれが一番恐ろしい相手だ」
伝えた通り、純粋に暴れ回るだけの相手が天災にも比肩する巨人だ。
能力も何もかも、厳しい戦いになるとスフィーエは下唇を噛み締めて吐き捨てた。
「得てして巨人というのは、神にも抗う強さを持つものだ」
一通りを語り終え、スフィーエは溜息を交えながらグリモアを掴み。
神と巨人の抗う神話の事欠かぬを思い起こしながら、グリモアで戦場へと通ずる道を作り出しながら、彼女は次のように締めた。
「よって今回の敵も実に強いかもしれないが……諸君らは竜や数多の神を屠ってきた身。必ず切り抜けてくれると確信している。では、準備が出来た者から送ろうか」
裏山薬草
どうも、裏山薬草です。
さて今回はですね、七大海嘯が一つ『三つ目』バルバロス兄弟と戦って頂きます。
戦場となる島はかつてダークセイヴァーだった島で、今は無人の廃墟となっております。
また今回の敵は『先制攻撃』を行ってくるので、その対応策があればプレイングボーナスとなります。
無くても無条件で失敗にはなりませんが、より良い結果を狙うならば書いた方が無難かもしれません。
対応を書かれる場合は、使用UCの属性と「同じ」属性で先制してくるので、その辺りはよく確認のほどをお願いします。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
裏山薬草でした。
第1章 ボス戦
『七大海嘯『三つ目』バルバロス兄弟』
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POW : フォーアームズ・ストーム
【四腕で振るった武器】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 「オルキヌスの瞳」
【弟ハイレディン(左頭部)の凝視】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【肉体、精神の両面に及ぶ「退化」】で攻撃する。
WIZ : バルバロス・パワー
敵より【身体が大きい】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
イラスト:ちーせん
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
死之宮・謡
アドリブ歓迎
んー、蛮族…野蛮な奴は嫌いだよ…貴様のその力には一定の好感を覚えるが…矢張り、マイナスの方が大きいな…
まぁ結局は此処で死んでもらうことになるのでな、あまり関係は無いがな
先ずは距離を取り密林に昏闇の「呪詛」で以て溶け込みながらクレイアスターで射っていく。その際、何時もの様に衝撃に反応して炸裂する呪球もばら撒いていき
煽りながら遠距離を保ったままで攻撃を繰り返し
途中から攻撃を止めて隠密全開にし、嘲笑う声だけを響かせて
そのまま自身は静かに接近して【覇神滅槍】を叩き込む
●嘲笑の笑いは二つ重なるか
元がダークセイヴァーだった島が故か、密林の鬱蒼とした闇の加減もまた太陽の差さぬかの世界を思わせる。
実際には文字通りの木漏れ日がそこかしこに差し込むものだが、暗き空気感の何とも――それを正に薙ぎ払う巨人の重厚な武器の連撃が、何とも耳に喧しい。
「んー……蛮族……」
死之宮・謡(存在悪:狂魔王・f13193)は巨人の連撃を躱しつつ、反撃の呪詛の矢を見舞う。
呪いを纏い影に身を溶け込ませ、駆け抜け乍らばら撒く球が爆ぜ、放たれる瘴気が巨人を蝕みつつも。
「蛮族結構!」
「単純にして破れまいよ!」
「野蛮な奴は嫌いだよ。その力は決して嫌いでは……ないが、な」
四つの腕の逞しきを矢鱈滅多に振り回し、背丈相応の得物の巨大な鋼の質量が破壊の嵐を産む。
純粋な行き場も乱れる暴力そのものの力――ある種の好感を持てぬ訳ではないが、謡にしてみれば、マイナスが大きい。
結論――好きか嫌いかの二択でいえば、好きではない。
「くわっはっはっは! そんなの関係ねぇ!」
「そう! 嫌われ上等よぉ!」
「まぁ結局はここで死んで貰うことに変りはないのだが」
唇を釣り上げ親指を立て、白く艶めかしい首を斬る様な動作を見せつけてみれば。
二つ頭の兄弟巨人は心底楽しそうに、馬鹿げた大きさの声量が淀んだ色の木の葉を揺さぶった。
「死ぬのはてめえだぜお嬢ちゃん?」
「ひゅーっ、容赦ねぇ! クールだぜオルチ兄ィ!」
再び身を莫大な呪詛を以て森の鬱蒼とした中に溶け込ませた謡を、巨人の得物は隠れても関係ないと言わんばかりに振るわれる。
されど謡は顔色一つ変えることなく影に潜み、永遠を滅ぼすほどの呪詛を孕む矢で巨人の身体を穿つ。
例え巨人からしてみれば小雨に等しき攻撃でも、着実に積み重ね呪詛で身を蝕んでいく。
ばら撒かれた呪球が爆ぜ、瘴気を撒き散らしバルバロス兄弟の身を更に犯しつつも、彼らは気にせずに突撃する。
「くふっ、はーっはっはっは……!」
「そらそらそらそら!」
「おらおらおらおら!」
それ故に巨人も謡よりの攻めが急激に途切れたことに気付けぬのは、一種の業なのか。
姿を消しながらも確かに響く魔王の如き嘲笑も、只管に豪快に薙ぎ払うが如く四つ腕は暴力の嵐を繰り出していく。
「あー、疲れた。ではそのまま死ぬが良い」
――そして闇に紛れ密かに迫っていた謡が巨人の横を通り過ぎると同時。
彼らの身体に黒き孔が一瞬で、無数に穿たれる――そう、深き滅びの呪い、神すらも滅する槍の連撃が巨人を沈めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
クネウス・ウィギンシティ
「これが噂の『三つ目』ですか、流石に大きいですね」
※アドリブ&絡み歓迎
【WIZ】
●UC対策
「ですが、此方が更に大きいはず」
キャバリアに搭乗して出撃します。キャバリアの共通規格は5m、更に頭のアンテナと背のレールガンの分此方が0.75m程大きいです。攻撃を喰らうようなら機体の装甲で【盾受け】し耐える狙いです。
●戦闘
UCを発動し能力を底上げし中距離戦を仕掛けます。
「CODE:PILE OF RUBBLE」
周囲の木造建築、廃墟を盾がわりにヒット&アウェイに努め 武器を連射します。【スナイパー】として狙うのは兄のオルチの隻眼。否応でも守りたくなるであろう部位。
「この機体も隻眼ですが、よく視えてますよ」
ミニョン・エルシェ
5m、ですか。伊賀上野の石垣は23m…さあ、私の城普請を始めます。
とはいえ、先ずは【地形の利用】で建築物や枯れ木を利用し、【逃げ足】で移動しながら敵の視界から逃れる事を優先します。
直撃軌道の攻撃は【視力】で見切り、【野生の勘】、【幸運】で回避に専念です。
凌いだら…延岡、伊賀上野、千早。高き石垣、智謀の将に劣らぬ城を普請します。
私を狙い高石垣を破壊もするでしょうが…罠です。
延岡の『千人殺しの石垣』による岩雪崩で【騙し討ち】の【カウンター】、天守からは死霊侍衆の大鉄砲にで頭部に集中砲火。それを援護射撃として【捨て身の一撃】を左頭部の眼にくれてやります!
【拠点防御】なら、一日の長がありますから。
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
随分と愉快な見た目をした巨人だねえ。
まあ倒さなきゃいけない相手だ、何とかしてみようか。
さて、まずはジャンプして翼を広げて宙に浮くよ。
もちろんそれだけで攻撃は避けられないだろうから、
相手が振り回した武器の軌道を見切って斧を叩き付けて、
相手の攻撃の勢いを利用して、後方にわざと吹き飛ばされて距離を取るよ。
命中率もダメージも、届かないなら意味がないよね。
上手い事距離を取れたら、【巨身天墜】を発動。
唸り声を上げながら巨大化して、相手よりも大きくなるよ。
十分大きくなったら、上から急降下して蹴りを叩き込もうか。
大きい事はいいことだ――なんてね。
●ジャイアントウォー
激しい轟音を立てながら、砂塵と礫が大きな柱を作り上げた。
振り下ろされた棘付き鉄球の一撃により、大気の歪む衝撃が迸り、その突風だけで場の猟兵達は勢いよく吹き飛ばされていく。
前線を張った形になる、黒いキャバリアを陰とし、人間の少女と合成幻獣は走る突風を耐え凌ぐ。
「ガハハハハ! 小っちぇえと狙い辛いなぁハイレディン!」
「その為のこれだろうがよオルチ兄!」
「ちげえねえ!!」
巨躯からの馬鹿笑いの声量ですらも、一つの武器となって場の猟兵達の鼓膜を突き刺すようだった。
「これが噂の『三つ目』ですか、流石に大きいですね」
「随分と愉快な見た目をした巨人だねえ」
黒いキャバリアを操る青年、クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)がバルバロス兄弟の体躯を評すれば、合成幻獣のペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は同意を示しながら、左右に分断しつつ下ろされた曲刀を躱し。
「ですが、実力は本物といったところですか……おっと」
幸運という他なかった。
人間の娘、ミニョン・エルシェ(木菟の城普請・f03471)が左へ跳躍し巨人の鉄球を躱せば、追撃は躱す前、いた所の右に襲い来る。
右へ避ければ追撃に叩き潰されていた所と戦慄すれば、ペトニラロトゥシカは先のミニョンの言葉に返した。
「まあ倒さなきゃいけない相手だ、何とかしてみよう……か!」
骨を組み立てて作ったような原始的な斧を手に、ペトニアロトゥシカは高らかに跳躍し、翼を広げ飛翔しつつそれを振り被る。
只の骨の斧ではなく、幻想と竜の世界に住まっていた古竜――ユーベルコードの猛威を僅かながらに緩める効果のあるそれを、巨人の斧を目掛けて振り下ろす。
「威勢がいいなぁ嬢ちゃん」
「だが無駄無駄無駄無駄無駄ぁぁぁっ!!」
されどその勢いは殆ど衰えることなく、真っ向から打ち合った斧が甲高い音を立てた。
一瞬の拮抗に火花を散らし、それでも――生来の膂力の差を覆すことは出来ず。振り抜かれた巨人の斧の前に、ペトニアロトゥシカが勢いよく吹き飛ばされて、彼らの得物さえも届かぬ程に遠くへと投げ出され。
更なる追撃を加えるべく、巨人の大槍が突き出されれば、極まった破壊力は硬い地面を“爆発”させ、直撃を避けたとしても砂塵と礫の暴力が彼らを襲う。
頑強な黒き装甲を以てその場に踏み止まるクネウス機と、偶然にその影に隠れる形となったミニョンは寸での所で踏み止まるが、この非常識なまでの強化を何とかしなくてはならないと、彼らは強く感じていた。
「成程、確かに貴方は大きく強い」
やがて砂塵が晴れた中、燦然と黒く輝く装甲を前に出し、クネウスは巨人の前で自らのキャバリアの存在感を強く知らしめる。
「ですが、此方が更に大きいはず」
共通規格は五メートル、それに加えて頭部のアンテナと背の超電磁砲(レールガン)、横幅の広さは備え付けられたランチャーや狙撃銃などの重火器の数々を以て。
巨人の体躯からすれば僅かな身の上なれど、単純な上背であるならば上回ることは必至。
「おいおい、これだけでかぁ?」
「笑わせるぜオルチ兄! ほれこの通り!」
子供っぽく爪先立ちをした巨人だが、間違いなく上背を上回られたが故か、抗うように自らの身を伸ばし、多腕を広げ自らの身を大きく見せた。
それは虚しきアピールに他ならぬが、巨人の絶対的な、覇権とすら言えるそれは確かに弱体を示し始めてきた。
「――僅かな綻びかもしれません。ですが活かすも殺すも将次第」
眼鏡のブリッジを指で押し上げ、ミニョンは一歩を強く踏み出した。
「歩み、学んできた城の数々……此処に、私の理想を普請します!」
天の時は訪れた。人の和が作ってくれた。ならばあとは地の利を作り出す。
天地人の揃い踏み、無敵の理想に疑問など生ずる筈もなし。
「……へっ。てめえ自身がでかくなったわけでもあるまいし……!?」
「――CODE:PILE OF RUBBLE。実に多くの遮蔽物、感謝します」
城郭を作り出されたのならば、尚更に遮蔽物での戦いはクネウスの独壇場だった。
元より周囲の木造建築に加え、城郭をそのまま遮蔽物としながら、巨人を目掛け武装が一斉に火を噴いた。
距離を取れば長距離狙撃銃の一撃が脚を貫き、さりとて距離を詰めようとすれば黒き機体は影に紛れ巨人の攻撃を躱し。
いずこへと探ろうとすれば、けたたましく鳴り響く軽機関銃の銃弾が巨人を煽り、追撃に放たれるレールガンの迸りが脇腹を抉る。
積み重なる痛みに怒りに任せ特攻を決めようと、足を踏み出した巨人であったが。
――グルルルルルル……!
突如として響いた咆哮に巨人の脚が止まり、その隙を更にクネウスからの砲撃と射撃が責め立てる。
必死にて回避を続けていくバルバロス兄弟だったが、殆ど強化を無力化されてしまった今となっては、回避しきれぬ――否、クネウスの強化すら発動している以上、ほぼ為すがままにクネウスよりの射撃を受け続ける羽目となる。
そして――巨大隕石が、巨人の脳天へと叩きつけられた。
「大きいことはいいことだ――なんてね」
巨人の攻撃が生み出した穴よりも尚大きく、深い穴を空ける踵落としが呆気なく巨人の身体を沈ませていた。
最初に吹き飛ばしていた筈のペトニアロトゥシカの存在は、完全にノーマークだったのが災い。
呻き声は呻き声ではなく、力を高める為の獣の唸り声だった。時間にしてそう経ってはいなかったが、その時間は――彼女の身体をバルバロス兄弟を上回らせ、絶対的な破壊力を齎すに十二分な時間であったのだ。
「やっぱり強いね。でも……ああ、やっぱ小さいと狙いにくいね」
それでも穴から這い出す巨人を目掛け、巨身(タイタン)の天墜(フィスト)を巨大なる合成幻獣は落としていく。
轟音と土煙、齎される衝撃の突風がバルバロス兄弟を苛め、砂塵の中、鮮やかに輝くキャバリアの一つ目が狙いを定めれば、レールガンの迸る一撃が巨人の身体を勢いよく貫いた。
そこを更にペトニアロトゥシカの踵落としが直撃をせずとも、巻き上げられる礫の勢いが兄弟を吹き飛ばす。
「オルチ兄! とりあえずあのメガネのガキ! あれ殺るぞ!」
「っ……確かにコイツが一番、なぁっ!」
最早強化は完全に消え失せてしまったとはいえど、巨人バルバロス兄弟の膂力は未だに健在。
無敵の城郭、その天守にて待ち構えるミニョンを突き崩さんと、高石垣を目掛け木こりの如く斧を薙ぎ、要石を打ち砕く――!
豪快に笑う兄弟の前では、ぐらつく石垣が今にも崩れ去り、このまま文字通りの城塞を崩すこととなる――と思われたが。
「引っ掛かりましたね?」
眼鏡のレンズが逆光を反射し、ミニョンの眼を隠した。
要石を外され崩落の様相を呈していく石垣だったが、一向に城そのものが崩れるようには見えず。
罠かと気が付いた時には既に遅く、崩れる石垣の岩が容赦なく、初手に巨人の爪先を叩き潰し――
「『千人殺しの石垣』――私が想定していなかったとでも?」
岩の雪崩が一切の躊躇いもなく、巨人の身体を次々と打ち据えその身体を場に繋ぎ止め。
ほぼ棒立ちとなっている最中の巨人の頭部を、更に死霊の侍達が大鉄砲で鉛弾の豪雨を以て撃ち抜いていく。
「この機体も隻眼ですが、よく視えてますよ。そのお姿も何もかも。……これから無眼になって頂きますが、ね」
ただ一つ煌めく黒き機体の一つ目の輝きは、猶更に異彩を放ち、流石のバルバロス兄弟にさえも危機感を抱かせた。
「ハイレディン! ひとまずズラか……」
「おっと、逃げてくれるなよ」
分が悪いとみて逃げようとした巨人であったが、その身体をすぐさまにペトニアロトゥシカが強く掴み。
クネウスとミニョンよりの、全霊を傾けた一撃がオルチの隻眼に交錯し――巨人の身体が膝を地面に強く着かされる、重く響く音が駆け抜けていった。
大成功
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シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
図体の大きい相手って漫画とかだと噛ませの敵役なんだけど、実際相手するとマジの強敵なんだよね
でも、どんな強敵が相手でもキミが一緒なら大丈夫。
行くよ、ウィーリィくん!
建物の残骸を戦場に選んで二人同時に敵に突撃し、ブランダーバスのビームの【弾幕】を張り【制圧射撃】でUCの勢いを弱める
時間稼ぎにしかならないけど、本当の狙いはビームの散弾で敵の足元の床にダメージを与えること。
ウィーリィくんが敵のバランスを崩したら、彼の攻撃に合わせて【ラスト・チェーンソー】で敵の脚を斬りつけて転ばせて体勢を崩したところへ追い【ラスト・チェーンソー】!
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
シンプルに強いな、こいつ。
こういう相手って一番厄介なんだがな。
けど、パートナーの手前カッコ悪い所は見せられないからな。
腕は四本だが足は二本。
そこが狙い目だ。
木造建築の廃墟に誘い込み、真正面から奴に突っ込んでいくフリをして【地形の利用】で奴の足元の床で崩れそうな場所を探し大包丁の一撃の【地形の破壊】でそこを破壊し先制攻撃を放とうとした奴のバランスを崩して隙を作る。
ほんの僅かな隙が精いっぱいだろうけどシャーリーとタイミングを合わせそこを突いて【カウンター】でそれぞれ脚に【料理の鉄刃】を叩き込んで転倒させ、そこに追撃の【料理の鉄刃】を【二回攻撃】を叩き込む!
●ブレイドワーク・クライマックス
ただの剛腕の一撃が必殺となる相手というのは、猟兵の戦いに決して珍しくは無くて。
例外なく、このバルバロス兄弟もオブリビオン・フォーミュラの幹部だけあり、振るわれる四つ腕の剛腕は凶悪極まりない破壊力が察せられる。
「逃げろ逃げろ逃げろーっ! 逃げねえと微塵も残らんぞぉー!」
「加減してやれよオルチ兄ィ! 一応海賊っぽいからよぉ!」
下品な声と共に打ち下ろされる様々な武器の、迸る衝撃を帽子を押さえて吹き飛ばされることを堪えるシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)の姿をバルバロス兄弟は嗤う。
続けて尚も、地を強かに響かせる天災そのものの連撃を必死に逃げ回りながら、シャーリーは隣で走る少年に話しかけた。
「こういう図体の大きいのって、大抵かませだーけーどっ!」
「シンプルに強い。厄介だ」
上背の高さとついた筋肉の量、それが持つ膂力は本当に恐ろしい――物語で【噛ませ犬】となるのは、それだけ脅威を知られている証左。
天災に等しい剛腕の暴力から逃げ惑いながら、ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)はシャーリーに答えた。
――けど、パートナーの手前、カッコ悪い所は見せられないからな。
――どんな強敵だろうと、キミが一緒なら大丈夫。
視線を一瞬で交わすと、彼らは当たりをつけた、戦場として使える木造家屋の廃墟へと彼らは逃げ込んでいく。
「ガッハッハッハ! 袋の鼠だぞ弟よ!」
「窮鼠猫を噛むって諺もあったよなあオルチ兄」
「噛まれる前に潰すだけよぉ!」
振るわれる武器の数々が誘い込まれた形の木造家屋を半壊させて。
ダイナミックに木っ端を散らしながら入場し、逃げ込んだウィーリィとシャーリーの二人をバルバロス兄弟は見下ろすと。
四つ腕を再び勢いよく振り始め、天災は彼らを本格的に飲み込もうとするが――
「海賊が海賊にやられっぱなしは嫌だからね!!」
海賊帽を目深に、サイバーアイの狙いをつけて。向き直ったシャーリーは砲口の広がったブランダー・バス銃をバルバロス兄弟へと突き尽きた。
激励を齎すラッパの噴き上がるように、銃口より火を噴く――正確には迸る光線が広がり、巨人を打ち据えていく。
しかしバルバロス兄弟の振るうカットラスの薙ぎが一つ、シャーリーのブランダーバスから放たれた光線を散らす。
「ひゅう! 骨があるぜコイツ!」
「意味はないけどな! 何の意味もない! 何の意味もない!」
「そーらほれほれほれーっ!!」
散らされた光が弾となり、旧式の床張りに打ち付けられ、床の軋む音が舌打ちの代わりか。
海賊少女から放たれる光線の前に、極々僅かではあるが攻勢を緩めながら、バルバロス兄弟は進軍を続ける――しかし。
「さっせるかぁーーーっ!!」
彼らの得物がシャーリーに向かわんとした瞬間、赤い影が巨人目掛けて飛び込んでいった。
大包丁を構えたウィーリィが巨人に斬りかかろうとしている様を、巨人は鼻を鳴らして笑うと、ウィーリィにターゲットを変えて、多腕の得物で叩き潰さんと一歩を踏み出した。
「あまぁぁ~~~……いいっ!?」
「オルチ兄ぃぃぃー!?」
――その時、木の裂ける音も激しく、巨人の身体が下がった。
元々が崩れそうな廃墟の床に、加えてシャーリーの放った散弾が痛めつけ、崩落寸前に軋んでいた場所を、ウィーリィの誘いに乗らされて踏み抜いてしまった形となったのだ。
だが彼らからすれば足首を少し取られただけであり、生まれた隙は極々僅か――だが僅かな隙を活かし切らなければ、死ぬのは此方だ。
顔を突き合わせ一瞬のアイコンタクトを経ると、バルバロス兄弟が動き出したその瞬間。
「大男、総身に知恵が回りかねってな――!」
「一気にやるよ、ウィーリィくん!」
大包丁の鈍く重厚な刃の、極まり研ぎ澄まされた刀工の刃が。光の曲刀が変じた禍々しいチェーンソーの唸りが。
切れたことにすらも気付かないほどに滑らかな切断面を見せて右足を。高速で回転する鋸刃が鮫牙の如く肌と肉を凄惨に抉り左足を。
振り抜かれた巨人の得物と擦れ違った、性質の違う二人の斬撃が巨人の両脚を斬り裂き、本格的に膝を着かせる――!
「「グガァァァアアアーーーーーッ!!」」
腕は幾つも備えようと足はたったの二本。
二人でそれぞれ、足を強く斬りつけ作られた隙を大きく広げ。
流石のバルバロス兄弟も与えられた苦痛に顔を歪め、ステレオで叫び声を盛大に重ねた。
「お代わりは」
「遠慮なくッ!」
――ここで全力の一撃を重ねよう。視線一つ交わし合い、彼らはそれぞれ得物を強く握り。
ウィーリィの研ぎ澄まされた、何者をも刻めぬ者無き刃が上り竜のように巨人の身体を駆け登れば、大きく裂けた身体から新たな叫びと共に血飛沫を吹き出させ。
体勢を崩した致命を容赦なく、唸るチェーンソーの轟音を気合の雄叫びとしながら、勢いよく、横薙ぎの一撃として巨人の身に叩き込まれれば。
鋭利な切断面と、惨たらしい抉られた傷跡の十字架が巨人の身体を地に沈めた――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エミリィ・ジゼル
気に入りませんね
こちらを見下ろす巨体もさることながら、二人分なのになんで腕5本あるんですか。ほら、左腕が2本。右腕が三本。五本あるじゃないですか
おまけになんですか。四本の腕で振るった武器って、五本使いなさいよ
舐めプですか。本当に気に入りません。ぶっ殺してやる
相手が先制攻撃をしてくるのは分かっています。来ると分かっている攻撃であれば覚悟はできます。見切り、第六感を使って致命傷を回避しつつ、転倒を狙う攻撃はオペラグローブのシールドで盾受け
そして相手の攻撃の間隙をつき、メイドチョップを放ちます
狙うはもちろん右腕の一本。切断してやりましょう
「よかったですね。これで四本になって収まりがよくなりましたね」
トリテレイア・ゼロナイン
巨人退治は騎士の誉れ
それも各地の島で略奪繰り返す無法者とあっては…
お二方の本拠地制圧の為、この島は譲る訳には参りません
嵐の如き連撃の軌道を●瞬間思考力で解析し適切なタイミングを●見切り●怪力での武器受け盾受けで防御
長くは持ちません、その為に…
●操縦するワイヤーアンカーで物資収納スペース内の閃光手榴弾を掴み目の前で●投擲目潰し
こちらはマルチセンサーでの●情報収集で視界確保
四肢以外にも動かせるのは其方の特権という訳で無し
汚い戦法であることはご容赦を!
…目が複数、目を一時瞑って見開く対処をされることを考慮に
大盾を眼前に放り投げ視界を覆いUCを脚元へ射出する騙し討ち
電流流し拘束し持ち上げ地に叩きつけ
●騎士が縛りメイドが断つ奇怪なお話
得てして巨人というものは、敵・味方の役に何にでもなれる強大なものだ。
そして今、相対せし巨人は幻想の敵役として実に申し分なし――冷たい金属の身体にも熱が入る。
「巨人退治は騎士の誉れ。それも略奪を繰り返す無法者とあっては……」
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)はバイザーの中、緑の鮮やかな瞳を輝かせ、研ぎ澄まされた思考の下、薙ぎ払われた斧の一撃を紙一重にて躱した。
「譲る訳にはいきません」
「オルチ兄! 騎士とメイドだぞ!」
「じゃあお姫様はどこだ!? がっぽり貰わねえとなあ!!」
「「ガーッハッハッハッハ!!」」
先ほどから動きは確かに、巨人の攻撃を巧みに見切り躱していたエミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)は、嫌な笑い声に対して終始顔を引きつらせていた。
瞳に決意と覚悟を宿し、紙一重、齎される衝撃の圧に生死の境に立たされる緊張感を覚えながらも、不機嫌の虫を伺わせたままに彼女は横へ跳びのき攻撃を躱した。
「……」
「聞くに堪えぬ声ではありますが……あの?」
その一方で襲い来る余波は、別の腕による攻撃を大盾で――受ける度に僅かにひしゃげるのが見えるが――受け止めながら、不機嫌を隠そうとしていないエミリィにトリテレイアは声を掛けた。
「気に入りませんね」
「はい?」
「あ?」
「おっ?」
「巨体もさることながら何で二人分なのに腕が五本なんですか。歪ですよい・び・つ。おまけに何ですか四本で振るうって。五本全部使いなさいよ」
見れば確かに右腕は三本あり、左腕は二本。合わせて計五本にも関わらず、四本腕しか振るってこない。
これは舐めているとしか思えないと、彼女はカットラスの振り下ろしをバックステップで躱しながら早口でまくし立てた。
「本当に気に入りません。一本ぐらい使わなくても十分ってことですか。ああ気に入らない。ぶっ殺してやる」
「あ、あの。これ以上は!」
ただでさえ四つ腕を寸での所で躱し、時に盾が歪むほどに痛烈な一撃を受け止めながら持ちこたえる状況、故に追加をされては堪らないと珍しくトリテレイアがエミリィを諫めようとするが。
「あー、早く六本目の腕作らねえとなあ?」
「だな。ブン回したらバランス悪ィもんな」
四つ腕の振り回しを止めないまま、顔を突き合わせ頷き合う兄弟。
一応ではあるが【ここ】のバルバロス兄弟にとっては、そうした理由があったようだった。
「……舐めプではなかったんですね一応」
「! 今です!」
だが奇しくも彼女の口撃が僅かな緩みを作り出したのを機に、トリテレイアはワイヤーアンカーを用い、己が身の格納庫から閃光手榴弾を取り出し――巨人の目の前へ投げ放つ。
「「うおっ!? 眩しっ!?」」
「腕が二つと限らぬは其方の特権で無し。ご容赦を!」
迸る閃光と轟音に流石のバルバロス兄弟も、その知覚を晦ませられて、彼らの脚が僅かにぐらついた。
耳を塞ぐエミリィを、さりげなく大盾で影を作り閃光から守りつつ、トリテレイアは優れた感覚器で巨人の居場所を捉える。
「こういう時に備えて、自由にしとく腕を作っておくんだよ!」
「残念だったなぁ騎士サマ?」
眩き閃光と轟音の余韻残る中、すぐ様に復帰した巨人が駆け出してくる。
眼は咄嗟に瞑るとして、成程、自由にしておいた片手で咄嗟に片耳を塞ぎ、僅かながらに轟音を和らげていたか――されど閃光手榴弾を大人しく喰らってくれるとも思っておらず。
集積回路の演算と伝達は次なる一手を、既に彼に取らせていた。
地響きも確かに迫る巨人の頭部へと大盾を投げ放つ。されど巨人は軽々と、其処に目を向けたまま頭部だけを動かして避けるが。
「少し大人しくして頂きます!」
間髪を入れず、巨人の脚をワイヤーが捉えた。
並の相手であれば、ともすればこのまま圧殺することも不可能ではないが、巻き付けた足の筋肉の手応えの確かなことか。
だがそれ故に――捉え、引っ張り上げる甲斐があるというもの。
ワイヤーを介して流れる高圧電流が巨人の身体を強かに駆け巡り、彼らの筋肉を激しく痙攣させる。
僅かな白目を剥いた巨人を、ワイヤーアームを以て引き寄せると――
「行儀の悪いことは承知ですが……!!」
トンを数える単位の重量を、一気に持ち上げ――そのまま、空中で幾許か振り回す。
巨人の体躯が齎す遠心力と、絶え間なく流される電流と食い込むワイヤーが巨人の身体を苛めて。
続け様に一気に地へと叩き付ける――!
巨人の質量そのものを仇とさせた盛大な振り下ろしが、荒れた廃墟の硬い大地に打ち付けられ、バルバロス兄弟の骨に嫌な音を立てて亀裂が走っていく――!!
「――ああ、やはり五本は収まりが悪いですね」
精神を研ぎ澄まし、ワンバウンドを経た巨人を見据えエミリィの右手には災厄に終焉を告げるが如き、凄まじい闘気に満ち溢れていた。
「ちぇぇぇぇすとぉぉぉおっ!!」
地を強かに蹴り出し、瞬き一つも許されぬ程の速度を以て彼女は巨人の腕――それも指摘した歪たる三本腕の方へ身を乗り出すと。
戦場に朗々と響き渡る気合の掛け声一つ、走る鋭き閃きが弧を描きながら、巨人の傍を擦れ違う――そして。
「よかったですね。これで収まりがよくなりましたね?」
にこやかに笑うエミリィの視線の先、宙を舞う継ぎ接ぎの腕を見上げ、トリテレイアは巨人の激痛の咆哮を電流を流し込み、強引に黙らせるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
孤島で待ち受ける異形の巨人か…
フッ、正しく大海原の冒険譚だな
敵の先制攻撃には見切りで対処
瞬間思考で振るわれる武器の軌道と周辺の破壊状態を見極めて回避に徹する
万が一体勢を崩した場合は、身体から伸ばした刃を周辺に突き刺し固定した状態のデゼス・ポアを支えにして素早く復帰する
早業で奴らの武器を足場にジャンプすれば攪乱も出来るだろう
フン、名の通り暴風雨の様な攻撃だが…
どんな嵐であっても、恐れずに進めば道は開ける
敵UCの間隙を縫うようにカウンターでUCを発動
強力な蹴りの一撃を叩き込み、余裕があれば追撃を行う
この世界の…いや、どの世界の海にもお前達の居場所はない
兄弟仲良く、骸の海に沈むがいい
●狙った者は必ず貫く
嘗て闇と退廃の世界であった、人の気配乏しき孤島。
我が物顔で暴れ回る、伝説の巨躯を持つ暴れん坊――それはそれだけ見れば、何とも言えぬ浪漫に満ち溢れていた。
「フッ、正しく大海原の冒険譚だな」
尤もその巨人は友情を結ぶ優しい世界の住民ではなく、悪辣極まりない、人類の敵でしかないのだが――キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)が微かに口元に笑みを浮かべ、打ち下ろされた鉄球を横跳びに躱す。
「分かってるなあ嬢ちゃん!」
「ハッピーエンドたぁ限らねぇけどなあ!!」
打ち下ろされる武器の余波、衝撃が齎す風を見切りながら、風圧が身体を歪ませればすぐさま人形より伸ばした刃が周囲を突き刺し、そこに掴まり身体を引っ張り上げて体勢を戻す。
「嗚呼、本当に――暴風雨だ。実に酷い」
それでも尚、決して止まぬ攻撃の勢いにキリカは吐き捨てる。
多腕をやたら滅多に振り回し、質量が薙ぎ払われる風圧すらも、暴力となる。
ましてや鈍色の閃も喧しい、数多の武器乱れる中に飛び込めば、待ち受ける末路は木っ端微塵だ。
「世界の神ですらブン殴ってみせらぁ!」
「冒険譚の結末はぁー、バッドエンドだぜぇ!!」
「フン。バッドエンド以上にハッピーエンドがあるから、浪漫があるというに」
でなければ冒険譚が人の心を揺さぶり残ることはないのだから。
故にこの嵐も必ずや潜り抜ける道がある――瞳に全てを研ぎ澄まし、振るわれる武器の軌道一つ一つを見据える。
突き立てられた槍を後方へ跳びては躱し、それが引き抜かれる前に、電光石火の早業を以て飛び乗ると。
槍の柄を、巨人の腕を介しながら駆け抜ける――ともすれば自らの身を傷つけかねない位置取りが故に、巨人の攻撃をも躊躇わせ。
その隙にキリカは巨人の腕、その筋肉の盛り上がりを足掛かりにし跳躍し迫ると。
「吹 き 飛 べ」
巨人の顔面を鞭の如くしなやかに、研ぎ澄まされた刃の如く鋭くて、そして重みは鉄槌のように表皮と肉を貫き頭蓋と脳を揺さぶる。
そんな弧を描く軌跡の目を奪うこと必死な、鮮烈なる回し蹴りがバルバロス兄弟の頭部を打ち据えた――!
「この世界の……いや、どの世界の海にもお前達の居場所はない。兄弟仲良く、骸の海に沈むがいい」
そして巨人の反撃が――彼らに出来ることは、野獣の如き噛み付きであったが、それが届くよりも尚早く。
世界の神ですら褒める権利を欲しがるであろう、それこそ兄弟の斧に勝るとも劣らぬ宙返りからの体重と勢いを乗せた踵落としが、彼らの歯ごと顎を打ち砕いた――!
大成功
🔵🔵🔵
四季乃・瑠璃
緋瑪「デカブツ相手ならこっちも使わせて貰うよ!」
瑠璃「二対ニなら絶対に負けない」
ボムを閃光式を炸裂させた後、煙幕式で完全に身を隠し、UC発動の時間を稼ぎ分身。
探知術式【情報収集、高速詠唱】で敵の居場所を探知し、定期的に煙幕を投射して敵の瞳を封じつつ、二機でUCによる連携攻撃を実施。
二機によるミサイルの一斉斉射から緋瑪がライフル連射しながら回り込み、瑠璃が両脚と頭部をスナイプして狙い撃ちしつつ援護。
挟撃の形にしながら決して近接の間合いには入らず、高機動ブースターによる機動力とボムによる牽制で中~遠距離を維持しながら敵を翻弄。
最後は最大ブーストで一点集中の連携連続攻撃で火力を叩き込み、仕留めるよ
●二対二の戦い
激戦に続く激戦に苛立ちを覚えたか、バルバロス兄弟は立ち上がると、弟の眼窩に埋め込まれた瞳が妖しく輝き始めた。
それこそはあらゆる者の身も心も退化――例外なく与えられるのは弱体化――を齎す光だった。
退化させる者への行き場を求め、視線と共に動く光に捉えられればたちまちの内に力を無とされるだろう。
「悪いけど魔眼系の技は対策済みだよ!」
「見られなきゃ意味ないからね」
四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)と半身の緋瑪は咄嗟に解き放った閃光弾が、その激しい光を以てバルバロス兄弟の目を灼いた。
それから続け様に放たれた弾の、立ち込める煙幕が場に在る者の姿を覆い隠す――視界に収まらなければどうということはない。
嘗て相対した大悪災を思い返しながら、立ち込める煙幕の中バルバロス兄弟の苛立ちの声と、張り巡らせた魔術の網で存在を捕らえ。
定期的に煙幕を投げ込みながら、彼女達は身を隠し――
「デカブツ相手ならこっちも使わせて貰うよ!」
「二対二なら絶対に負けない」
瑠璃は内に潜む緋瑪の人格に受肉させると、写し鏡の顔を突き合わせると頷き合った。
「行くよ、緋瑪」
「OK、瑠璃!」
「「パターン・アサルト開始!」」
現れ出でたのは二つのキャバリア――鉄甲の世界の鉄巨人に搭乗した彼女達が一斉に巨人へと物々しい武装を向けた。
「ひゅーっ、オルチ兄ィ、敵が増えたぞ!」
「やったれハイレディン!!」
現れた姿を映そうとしても投げ込まれる煙幕は視界を遮り。
魔力の網が捉えた巨人の存在を目掛け、二機からミサイルが気流を噴き上げて飛ぶ。
容赦ない火薬の爆撃が巨人の屈強な身体を打ち続けるも、楽しそうにバルバロス兄弟は爆撃を受け止める。
されど彼女達の攻撃――こと、強襲(アサルト)の名を冠する御業の発動が完了した今、受け止めた僅かな隙すらも致命的。
緋瑪の機体がライフルを撃ち込みながら擦れ違い、反撃に移らんとする巨人の手足を瑠璃が撃ち抜きその動きを止めながら。
ブースターを噴き上げつつばら撒いた爆弾の連続的な衝撃が、巨人の筋肉と骨を軋ませていく。
「さぁ終わりにするよバルバロス兄弟――!」
「貴方達が二人で一人の巨人なら、私達も二人で一人の殺人姫」
どちらか一方を捕らえようとすればもう一方が攻め、巧みに翻弄する。
繰り返される変幻自在の猛攻に消耗の色を濃くした巨人に対し、瑠璃と緋瑪は一斉に力を高め。
「「さぁ、今こそ巨人を撃滅しよう!!」」
持てる技と武装の全ての限りを尽くし、振り絞った猛攻が巨人の身体を蹂躙していくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ナイ・デス
退化の瞳、ですか
鳥に使えば、恐竜に
巨人に使えば、原初の巨人に、と
必ずしも退化は、弱体化とは限らない、でしょうか……?
私が退化してもそうかは、わからない、ですけど!
体内からの光を強烈に放って【目潰し】
一瞬でもいい、一瞬だけでも、私を視認できなければ
ただ速く、もっと速く!
【怪力ダッシュ】
【念動力】と、体内から放つ光を推力とした【推力移動】で加速して
『瞬断撃』秒速約2.7km
その一瞬で【鎧無視攻撃】の鋭い刃で【切断】する!
【覚悟激痛耐性継戦能力】もし迎撃されても、加速した私は止まらない
両断されても、死なない、怯まない
もし退化されたら肉体は「光」に戻る
聖なる光が、仮初の肉体を得た存在だから
更に、加速!
●アナタの勇気の心を示して
赤髭の弟に埋め込まれた眼の、悍ましい波動は少年の身体を僅かに震わせた。
直接見られたわけではない、一瞬のことだったが――身体と魂に積み重ねられた過去に遡り、力が抜けていく感覚が彼を襲った。
「弱体化は確実、ですか……!」
必ずしも退化が弱体となるとは限らない。
鳥が恐るべき竜と遡るかのように、進化とは環境への適応化に過ぎない――が定説なれど、齎される視線の威容は都合よく行かせてはくれないか。
ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は咄嗟に物陰に隠れながら、歪みかけた身体を見、微かに息を荒げた。
「流石だなハイレディン! 退化を都合よく操るとはな!」
「伊達に冥府の名は冠してない、ってなあ!」
豪快に二つ首を並べながら笑うバルバロス兄弟に耳を塞ぎ、顔を歪めながら。どうせ弱体免れぬ身ならばと覚悟を決めて。
「……はぁっ!!」
巨人の前に姿を現したかと思うと、彼は体内から眩い光を放った。
「「うおっ、まぶしっ!?」」
この島がダークセイヴァーに在った頃ならば、暗雲の世を鮮やかに照らす光となるほどの白く、苛烈な光が巨人の眼を眩ませ、放たれ続ける光がナイの所在を不確かなものとする。
今こそ決意を以て――黒剣を取り出しながら、放った光に得た推進力そのままに彼は飛ぶ。
文字通りの一筋の流星となるかのごとく、巨人を貫かんと翔るが。
「音でバレバレだぜ小僧!」
「ちったぁやるがな! 光だけじゃ意味ねぇよ!」
目の眩む光の中、ハッキリと対象を特定できないが故に冥府の瞳は意味を為さぬ。
されど巨人の武器はそれだけではなく、多腕の剛力と振るわれる重厚な得物の数々――流石に邪法を用いての威力で無いにしろ、打ち付けられる武器の数々はナイの身に少なからずの痛手を刻み付ける。
「ッ……!」
――この姿は形無き光、巨人の攻撃が幾度となく身体を刻み骨を砕こうと彼は砕けない。死なない。速く、もっと、速く。
光すらも超え、時空をも超える勢いを以て――
「ハァァアアアアアッ!!!」
開かれた冥府の瞳が弱体化を齎そうと、この身はただの聖なる光。
それ故に空を走る速度はもっともっと速く――そして。
巨人の屈強な身体を鮮やかな光の中、目立つ黒が通り過ぎていけば。
刹那、巨躯の仰け反りと共に赤き血飛沫が吹き上がっていった。
大成功
🔵🔵🔵
播州・クロリア
人造の私が退化したら幼児になるんでしょうか?
気になりますが試したくはないですね
(『念動力』で操作した瓦礫と『衝撃波』で作った土煙に身を隠した後、肩幅ほどに足を開き、深く息を吐きながら全身の力を抜いて{霹靂の旋律}で『ダンス』を始める)
このリズムは一瞬です
見逃さないように...
あ、見なくていいです
(UC【蠱の宴】を発動し敵の動きを阻害後、死角に回り込んで{霹靂の旋律}で生み出した雷で『属性攻撃』と『貫通攻撃』を仕掛ける)
残念ながらダンスはお見せできませんでしたので
ダンスで生まれたこの雷をどうぞ心行くまでご堪能ください
月凪・ハルマ
単純なパワーファイターってだけじゃないのか
なるほど、厄介だな
◆SPD
『視線を向けられるとUCの影響がある』なら、逆に言えば
『姿を見られなければ問題無い』って事でいいのか?
ま、ともかく試してみようか
できればハイレディンの緯線がこちらに向く前に、それが無理でも
できるだけ早い段階で爆裂煙幕弾を使って敵の視界を潰す
その後は【迷彩】を発動。さらに【忍び足】で【目立たない】ように
周囲に潜み、死角から【武器改造】で爆破機能を付与した手裏剣を
頭部、指先、爪先などに【投擲】して、敵の戦闘力を削いでいく
暫くはその状態で戦闘を続行
敵の動きが鈍るなど、ダメージの蓄積が確認できたら
隙を見て【破天剛砕錨】を叩き込む
●ブラインドダンスは兎にも角にも派手に
幾度となく致命の一撃を叩き込み続けて尚、巨人の生命力は大層に強く見える。
どれほどの時を経ただろうか、打てども打てども倒れる気配のない、強靭な生命力は見た目通りといったところか。
「オルチ兄ぃよぉ、ここらで一発派手に退化させてぇなぁ?」
「おうともよ! オルカヌスの瞳ならやれるぞハイレディン! もう派手派手にな!」
「よーっし、じゃあいくぜい! 派手派手派手になぁ!!」
延々と続く膠着に苛立ちを隠せないのは互いに同じか。
赤髭の弟が埋め込まれた冥府の名を冠する瞳を動かせば、隻眼の兄はその背を叩くように促した。
すれば弟もそれに答えるように、戦場の猟兵を視線で探り始める。
「単純なパワーファイターって訳でもない、か……成程、厄介だな」
「気にはなりますが、絶対に喰らいたくありませんね」
帽子を目深に眼に陰りを作りながら、月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)はバルバロス兄弟を評した。
同時にバイオモンスターの少女は退化した姿に興味を持ちながらも、現実(リアル)とはしたくないと、播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)は答えると。
巨人の眼が向く瞬間、ハルマとクロリアは頷き合い――
「「わぶっ!? ぺっ!」」
刹那。
二つの轟音が重なり、砂塵と煙幕が広がり巨人の眼と耳を眩ませる。
ハルマの放った煙幕手榴弾と、クロリアの放った衝撃の舞い上げた砂塵が彼らの身を一気に覆い隠し。
クロリアは更に思念の波を以て瓦礫を操り、一時の壁を作り確実にその身を隠すと。
「――楽しんでますか? 私は楽しんでます」
始まった彼女の舞台は誰も見ていない。ただ足が地を叩く音と、身体を動かす服の自然な歪みだけの音だけが舞踊の様相を示す。
花が広がるように長くしなやかな腕を広げ、肩幅程に脚を開き、深く深く――立ち込める砂塵と煙幕を思念で巨人に集中させ、それは吸い込まぬように――息を吸っては吐き、それと同時に力を抜いて。
「悪くはない」
簡潔に口元に僅かな笑みを浮かべ、心地よく届く韻律にハルマは浸る。
音そのものに非ず、音と音の僅かなあわいに妙なる粋を感じ――だが、巨人にしてみれば。
「見えねえ……おいねーちゃん! 見せろや!」
「退化させてやっからよぉ!!」
ゲラゲラと笑うその声に隠せぬ苛立ちと、動く筋肉の軋みの緩やかさにクロリアは知る。巨人が律動を楽しんでいないことを。
「このリズムは一瞬です。見逃さないように……あ、やっぱ見なくていいです!」
「「どっちだ……いでぇっ!?」」
見られたら退化一直線、至極真っ当のようで掌が返しのようにも聞こえるクロリアの言に苛立つ巨人が突っ込みの声を一つ上げた途端だった。
痛覚の集中するとされる爪先に鉄の尖った十字が突き刺さり、それと同時に仕込まれた火薬が爆ぜる。
クロリアの舞踊に意識を向けられていた際に、既に場に身を隠しながら潜む形となっていた、ハルマから放たれた手裏剣だった。
「……」
身を砂塵と煙幕の中に色を溶け込ませ、足音も消してハルマは駆け抜ける。
自然と浮かぶ瓦礫の影と影を繋ぎながら、動きを減じられた巨人の視線を翻弄しつつ、懐から手裏剣を投げつける。
続けて突き刺さるは巨人のその腕――今や四つと成り果てても、的が多ければ多いほど当たるは道理。
まして五分の一程に減ぜられた動きは的としてくれと言っているようなもの――そして爆ぜる火薬の勢いと熱が巨人の指先を激しく灼き。
爆音が大気を揺るがすと同時、続けて
必死にて振り返り眼を、得物を向けようとしても時は既に遅すぎて、気配は捉えられても姿を捉えることは叶わない。
ましてクロリアを狙おうと意識を向ければ、間違いなく背に手裏剣が突き刺さる。
音もなく駆け抜ける足を、音を立てる足が補佐し、その逆もまた然り。
ダンスの韻律と手裏剣の爆ぜる音の二重奏が、着実に巨人を追い詰めて弱らせていく――ついには耐え切れずに、足を崩した轟音が響き渡ると。
「伊達に大仰な名前を付けてる訳じゃあないんだな、コレが!」
今こそ決める時とハルマが大型の錨を取り出し、その鎖を頭上で回転させて。天すらも墜とすと銘打たれた名を伊達でないと証明するように、仕込まれたブースターが吹き上がる。
同時に注ぎ込まれた力によって鎖が何処までも伸びていき――巨人の脳天へ届くほどにもなれば。
「残念ながらダンスはお見せできませんでしたので、生まれたこの雷をどうぞ心行くまでご堪能ください」
それと同時、晴れていた筈の天に稲光の轟きが唸った。
既に死角に回り込んでいたクロリアの、瞬く間に広がる畏怖の象徴――天の裁き、神の威光そのもの、雷の轟が生み出されていた。
そして――天より墜つる二つの鉄槌が、閃光と轟音を伴いながら、錨が脳天へ、そして雷が其処へ突き刺さり。
脳天を割られた巨人の身体の中を、神の裁きが激しく駆け巡り、その巨躯に白き煙を吹かすのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メイスン・ドットハック
【絆】
退化の瞳とはとんでもないメガリスじゃのー
じゃけど、キャバリアまで退化させることができるかのー?
KIYOMORIとエィミーのアカハガネを前面に出して派手に登場させて敵の視線を引き付ける
その実、二体のキャバリアはAIドクトル・AIアメジストちゃんの自動操縦で遠距離武器攻撃をしながら派手に視線を引きつけ、自身達は電脳魔術のホログラム幻影による同化で視線から外れるように背後に動く
先制後はUC「迷宮主の領域に踏み込みし権能」を発動させて劣化コピー体を大量に作り出し、視線を攪乱
視線から外れた自身や分身体から作り出した竜雷を纏った電脳ミサイルで一斉攻撃を敢行
視線管理さえ出来ていれば問題はないのー
エィミー・ロストリンク
【SPD】
すごいメガリスだけど悪用は許さないよー!
アカハガネちゃんのお出ましだー!
アカハガネはメイスンお義姉ちゃんのAI操作によってお任せ
自身はメイスンのホログラム幻影に紛れつつも、気づかれた時の為にロード・プラチナの宝冠の超硬装甲を目の前に展開できるように備えておく
先制攻撃後はメイスンのコピー体に紛れつつも、超硬装甲の壁を展開して視線から逃れ、UC「失われた絆を繋ぐ姫君」を発動
ケルベロスの錨を弧を描くように頭上に投擲して、できる限り最大の大きさまで巨大化して一気に落下させて、二つの頭を潰すように攻撃を敢行する
これがケルベロスのアンカーアタックだよー! 最大重量だーー!
●電脳鉄槌
巨人バルバロス兄弟の眼前に、赤と青のコントラストも目に強く残る、二つの影が飛び交って行った。
片や灼熱の竜帝の装甲より作られし、英雄的(ヒロイック)な様相の超越的機体(スーパーロボット)、名は体を表す【アカハガネ】
片や目の覚める青き装甲、水と陸の両方を制す二足歩行戦車(キャバリア)、その名こそ【KIYOMORI】
「アカハガネちゃんのおでましだー! それとKIYOMORIちゃんも!」
エィミー・ロストリンク(再臨せし絆の乙女・f26184)が拳を掲げれば、二つのキャバリアが同時に遠距離武装の火を噴かせた。
「ヒューッ! 赤と青、目立つぜオルチ兄!」
「構うこたねえや! 見せたれやハイレッディッンッッ!」
仕込まれたAIにより、自ら戦場を翻弄するように動き回るキャバリアの、その砲撃を受けながらも巨人の身体は揺るぐことなく。
仕込まれた冥府の眼は、それを操る者を探り動いていく。
「キャバリアには……効かぬようだのー。これは【生物】ではないからのー」
その様子を冷静に見ながら、当のキャバリア二つに自動で動く為のAIを仕込んだメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は冷静に分析する。
例外なく生物を退化させる瞳の波動も――数多の【生命】の定義もあり、種も様々なれど、定義としては道具と分類されるキャバリアに効果は薄く。
さりとて鉱物の身といえど、【生命体】ならば睨み付けられれば問答無用の退化を齎す。肉体も精神も問わぬというのだから、恐ろしく思いつつ。
電脳魔術の紡ぐ虚像を作り出し、メイスンとエィミーの幻覚を盾にしながら、彼女達は後方へ動いていく。
「すごいメガリスだけど悪用なんて許さないよー!」
万一に備え冠――鉱石竜より作り出されたメガリス――より障壁を作り出す準備をしながら、エィミーはハイレディンの目に仕込まれたそれに対し彼女の意志を示す。
「ガッハッハ! だとよハイレディン!」
「何言ってやがる! 悪用以外の何があるってんだ!!」
「くれぐれも悪用するんだぞってか!? ハッハッハッハ!」
されど巨人の兄弟はそれを嘲笑しつつ、彼女達を捉えんと瞳を動かし続けていく。
しかし二つのキャバリアの巧みな妨害と、虚像による撹乱は確かに彼女達が攻勢に移る為の時を稼いでいた。
「迷宮の主として権能で生み出した僕達の電脳魔術、堪能していくといいのー」
電脳魔術の粋、迷宮主(フロア・ボス)の力に相応しき怪物の無限生成の如く。
メイスン自身の複製――その実力は彼女の半分程度――を大量に作り出し、バルバロス兄弟の視界を埋め尽くしていく。
「ああ~……誰が本物だこれ」
「気にすンな! ケツから頭までやっちまえ!」
「おうともよ!!」
文字通りに彷徨う視線が退化を齎す――複製体は生物であって生物でなき、微妙なラインではあるが、巨人の瞳の効果から外れ。
あれでもない、これでもないと苛立つ巨人の視線が外れれば、その隙に叩き込まれるは竜雷を纏う電脳ミサイル。
積み重なる衝撃に頭を抑えながらも、それでもバルバロス兄弟は文字通りの血眼となって本物を探らんとしていた。
「視線管理さえできていれば問題ないのー」
確かにローラー作戦というのは恐ろしい。だがメイスンとて全てを全て、無力化できるとは思ってはいない。
ほんの少し、攻勢へと繰り出す為の隙を作れればそれでいい――そして打って出るには巨人の目の彷徨いは十二分か。無言でエィミーへとアイコンタクトを送ると。
「絆は失われない。皆、力を貸して!」
エィミーは頷き、複製体に紛れながら冠から超硬度の防壁を作り上げた。これから行う技の性質上どうしても視線を引いてしまうが故に、その身だけは完全に隠しつつ。
そして彼女は一つのメガリスを取り出す。
それは真っ白な碇、白き破壊者の名を冠し、不死なる神すらも殺す地獄の番犬を名に持つ鎖付きの錨だった。
確かな絆を深めたそれが、眩い光を解き放つと元来の鎖だけではない、その絆を示すようにエィミーとメガリスがオーラの輝きに繋がれた。
「さぁ、行くよメイスンお義姉ちゃん!」
「ここが攻め時ってところかのー」
バルバロス兄弟が彼女らの存在を特定し、その視線を向ける、その前に。
メイスン自身と彼女の劣化コピーから放たれた、竜雷を纏う誘導ミサイル弾がバルバロス兄弟へ叩き付けられる。
雷の迸る爆撃が何度も何度も、屈強な身体を打ち据え、その場に強引に固定させながら。
エィミーが天高く舞い上げた錨の、その鎖が伸びながら、白きその重厚な刃は何処までも肥大していき。
「これがケルベロスのアンカーアタックだよー! 最大重量だーー!」
爆撃が止んだと同時、振り下ろされる莫大な質量は。
バルバロス兄弟の驚愕の声よりも尚早く打ち下ろされて――その二つ並びの頭部の頭蓋の陥没する、致命の音色が響き渡った。
大成功
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シーザー・ゴールドマン
兄弟仲は良さそうだ。
結構なことだが一つの体に二つの頭というのはどうなのだろうね。
日常生活は不自由なく過ごせているのかね?
敵POWUC先制対策
四腕で振るわれる攻撃を積み重ねた戦闘経験、直観を駆使して見切り(戦闘知識×第六感×瞬間思考力×見切り)、回避、あるいはオーラセイバーを振るって衝撃波を放って相殺する。
※衝撃波で相殺するのは命中した箇所を破壊するというUCの特性を考慮
さて、ゴリアテの時代から巨人退治と言えばこれかな?
緒戦を凌いだ後、二つの頭の眉間に向けて『アララトの流星』(×2回攻撃)を放ちます。
●投石というにはそれはとても重く
一本の腕が丸太のよう――それも大樹の丸太と例えるのが適切か。
必然的に筋肉の量も多く、それ故に生み出される攻めは単純ではあるが、齎される破壊は甚大だった。
掠っただけでも致命となりかねぬ、凄まじい猛攻を男は顔色一つ変えずに、前髪を少々舞い上げる程度に留めながら躱していった。
「中々やるなあオイ!」
「ハッハッハッハー! 何処まで続くかねぇ!?」
「ふむ。兄弟仲は良さそうだね」
尚も軽々と、振り下ろされた斧の一撃を右へ滑り込むように躱しつつ、シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は軽口を叩いた。
「「当ったり前よぉ! 俺らバルバロス兄弟、一心同体!」」
二つ首の声が重なり、大槍が突き出されていく。
突き出すだけで大気を歪めるそれを、手に持った光の剣の、打ち上げから放たれる衝撃で弾きつつ、彼は更に疑念を出した。
「ところで日常生活は不自由なく過ごせているのかね?」
一つの胴体に生えた二つの首、明らかなる異形に気にかかるものを感じながら。
そうした疑問を呈する辺りに、巨人の猛攻を凌ぐことに余裕を――彼の本心が例えどうであろうと関係なく――見せられる。
「人の心配する前に!」
「てめえの心配でもしなよ小人ちゃんよぉ!」
決してシーザーは小人ではない――普通の人間からすれば大男に分類されるのだが、巨人から見れば些細なものか。
四つ腕を只管に振り回し、その膂力と質量を以て巨人からすれば小人のシーザーを叩き潰しにかかる。
だがシーザーはその圧に少しも焦ることなく、振るわれる刃の軌道を見切り乍ら。
「その通りだ。他人の心配をするより、自分の心配をするべきだね」
無用な言葉の戯れは最早不要――光り輝く剣の一薙ぎと、其処から三日月を描く衝撃が刃となり、巨人の振るう得物を打ち据える。
甲高い金属音鳴り響きながら、ソードラインを定めるかのように距離を取らせ、自らの身も後方へ跳びて距離を取ると。
「さて、古の時代から巨人退治といえばこれだろう」
それは太古の非常に有名な神話に出てくる巨人を倒したもののように。
それというには、シーザーが突き出した掌の中、輝くその力が与えるプレッシャーはあまりにも莫大で。
「砕けたまえ」
定められたソードラインを踏み越えた巨人への仕置きを与え、地に伏せさせるかのように。
一瞬で解き放たれた二つの――速さは重さを体現するかの如く、一瞬で巨人の額を打ち据えると。
バルバロス兄弟の巨躯は背面飛びの形となって、もう誰にも使われていない廃屋へ叩き付けられていった。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…双頭の巨人。まるで神話の世界の敵ね
"写し身の呪詛"を乱れ撃ち無数の残像を囮に敵のUCを受け流し、
自身は殺気や闘争心を絶ち存在感を消して距離を取り、
魔眼を警戒し右側面側に移動してUC発動
…この中に本体がいると思った?
残念。全てフェイクよ
両掌に闇属性攻撃の魔力を溜め手を繋ぎ武器改造を施し、
限界突破して長大な"闇の結結晶"剣を形成し強化の無効化を試みる
…お前より巨大な剣ならばどうなるのか、試してみましょうか
超高速の早業で怪力任せに巨大な結晶剣をなぎ払い、
砕けた結晶から放たれる闇のオーラが防御を貫き、
生命力を吸収する2回攻撃を放つ
…此処は今を生きる人々が住まう世界よ
過去の遺物は疾く消え失せなさい
●御伽噺は御伽噺に
――まるで神話の世界の怪物ではないか。
実際その実力もそれこそ神話の怪物、時に神にも抗うとされた化生そのもの。
振るわれる得物の発する風圧ですら、天変地異を引き起こすに足る攻撃を前に、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は僅かな戦慄を覚えながらも、身体から洩れそうになる殺気を抑える。
巨人の目を眩ますべく乱れ撃つは呪術――リーヴァルディ自身を象った幻影の写し身。
実態を持たず戦闘力も無く、ただ目を眩ませるだけの存在感も露わなそれを、気にせず巨人の剣と斧が薙ぎ払い続けていた。
得物が齎す暴風の圧の中、彼女は息を潜め気配を消し、巨人の認識から己を外しながら彼女は幻影の中を駆け抜ける。
「……この中に本体がいると思った? 残念。全てフェイクよ」
「味な真似をするじゃねえか……!」
駆け抜けていった先は、巨人バルバロス兄弟の右側側面、弟ハイレディンの魔眼を警戒しての位置取り。
「……限定解放」
そして彼女は両掌に深き闇を生み出し、詠唱を紡いでいく。
初撃は何とか凌いだ。後は強化を無にした上で、一気に叩き潰す。
「テンカウント。吸血鬼のオドと精霊のマナ。それを今、一つに……!」
――“結晶”もまた一種の自然現象と捉えれば、この御業も一つの道理か。
昏き両掌を合わせて作り上げられたのは、長大なる一つの闇。
闇を結晶化させ作り上げた、巨人の体躯を上回るほどにまで伸ばされた、闇の結晶の剣。
「……お前より巨大な剣ならばどうなるのか、試してみましょうか」
「面白ぇ! 叩き潰し甲斐があるな弟よ!」
「おうともさオルチ兄ィ!」
明確に“敵”と認識したのは、リーヴァルディ自身ではなく、文字通りに吸い込まれそうな黒々しく異彩放つ巨大剣か。
超強化の維持は消え去ったが、巨人は闘争心のままに得物を振るえば、リーヴァルディは真っ向からその巨大剣を薙いだ。
――そしてそれは一瞬のことだった。
その場には深き闇の弧が軌跡を残し、巨人の体躯には鋭利に尖った漆黒の欠片が痛々しく突き刺さる。
打ち合った金属の高らかな爆音も一瞬に、リーヴァルディの闇の結晶剣は確かに巨人の身体を吹き飛ばしていた。
確かに剣に伝わる屈強な肉を斬り裂く手応えと、それと同時に役目を果たし砕け散った剣は。
剣としての役割を果たしても殺傷の役を最後の最後まで勤め上げるように、欠片となっても巨人の身体に幾つも突き立てられていた。
「……此処は今を生きる人々が住まう世界よ。過去の遺物は疾く消え失せなさい」
欠片が絶え間なく巨人の膨大な生命を奪い去る光景を冷徹に目に映し、リーヴァルディは静かに巨人に吐き捨てた。
大成功
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鵜飼・章
巨人…話には聞いていたけれど実際に見るととても大きいね
それに異形の姿なんて珍しい
ゆっくり観察したい所だけれどそうも言っていられないか
僕自身は戦場の【闇に紛れて】建物等の中に隠れ
極力発見が遅れるよう【時間稼ぎ】をしよう
身代わりに動物図鑑からキリンを召喚
キリンの頭頂高は5mより高い
つまりバルバロスパワーが効かないと予想
オカリナを吹き【精神攻撃/催眠術】で
巨人にもそう催眠をかける
とはいえ只のキリンが勝てる筈ない
ここで僕が出ていきUC【正論】を放つ
動物虐待はよくない…(【言いくるめ】)
僕も流石に見た目は人間の範囲だ
体格差を逆手に戦力を増強するよ
僕の魔力から生まれたキリンも強くなる
長い首をぶつけて攻撃だ
●ヒトの定義
(話には聞いていたけれど、実際目にすると実に大きいものだね)
百聞は一見に如かずという言葉もあり、グリモアの幻影で見てはいたが、実物と相対すれば否応なしにその威容に圧倒される。
息をも殺し、廃屋の影に身を溶け込ませるようにして隠しながら青年は、鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)は懐から取り出した図鑑をめくり始めた。
「あっちだぞ弟よ!」
「かくれんぼは終わりだぜ小僧!」
巨人の放つ斧の薙ぎ払いが、章の隠れ場としていた廃屋を、文字通りの木っ端微塵と為し。
吹き荒れる木っ端の中、一つの蹄が力強く地面を踏み出す音と、現れた威容があれば巨人は目を見開いた。
首を長くして待つという言葉もあれど、待ち受けて居たものは文字通り【首の長い】ものだった。
全長最高で六メートル、哺乳綱偶蹄目に属する網目模様、頭部の角も入れれば間違いなく全長だけで言うならば巨人の上背を凌ぐ。
「……どうかな? 君達よりも大きいと思うのだけれど」
キリンの背に腰を落ち着けながら、静かにオカリナを奏でながら章は問いかけた。
確かに巨人の自己強化の維持には、身体の大きさに差を決定的につけなければ意味がない。徐々に薄れゆく力が巨人に不快感を齎すも、それでも彼らは嗤う。
――オカリナの音色に犯された思考は、どうとでも言いがかりの付けられる言い分を信じ込まされていることも知らずに。されど。
「……ハッ! やるなぁ?」
「けどよ、俺らが普通にキリンぐらいやれねぇとでも?」
――例え強化を失った所で生来の実力に変わりはない。
何も無ければ猟兵や、猟兵の生成物如きこの巨人ならば容易く倒してしまえるだろう――得物を手に踏み出す彼らに、章は目を見開くと。
「――か弱い動物をやる気かい? 見た目だけじゃなくて、心まで人間でなくなったのかな?」
「「お前が言うな!!」」
そのキリンを盾にしたのは何処の誰だと、白目を剥いたバルバロス兄弟の突っ込みに章は肩を竦めた。
「心に関しては水掛け論だけど、見た目は一応僕は人間の範疇だからね。……さて、お喋りはお終いだ」
だって【普通の人間】に首は二つも無ければ、腕だって精々二本だけ、まして全長五メートルなど非常識な身長はしていない。
冷徹なまでに取った優位性(マウンティング)に確かな力の上昇を感じれば、彼の魔力によって生み出されたキリンもまた何処までも力は高められて。
そして――たったの一撃。ただ一つの一撃、それはキリンが縄張り争いを制する為の首の鞭の如くしなやかに、されど生み出される力は鉄球を叩きつけるかの如く重く。
何処へも知れぬ空に消えてゆく巨人の身体を見ながら、【人間】は凱歌のようにオカリナをまた奏でるのだった。
大成功
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