羅針盤戦争〜海域突破大作戦!
「ミッションの概要を説明する。現在羅針盤戦争中である事は諸君も知っての通りだ。今回はその作戦の一つを遂行する」
いつものように椅子に座り立体映像を展開する(自称)レイリス・ミィ・リヴァーレ・輝・スカーレット(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)。
「無論現場はグリードオーシャン。今回は海上での作戦となる。戦闘の準備はあまり必要が無い……そうだな、海での移動手段に長けた猟兵向けの案件だろう」
グリモアを指先でタップすると、コンキスタドール『すきゅりん』の立体映像が表示される。
「標的はコイツだ。メガリス『電光の羽衣』を纏い、電撃の竜巻を操って海域を封鎖している。諸君には何らかの手段でこいつを排除して貰いたい」
指でピンアウトし、現場海域の映像を表示する。凄まじい嵐だ。
「現場はご覧のありさまだ。これでは通常の鉄甲船とて転覆を免れまい……それ所か鉄甲船ごと飛ばされかねんな。元からグリードオーシャンと言う世界の性質上海上での飛行手段は使えないのだが、今回は特に無理だ。現場海域の近くまでは鉄甲船で行けるが、標的の居る位置まで近づく事は出来ん」
風だけではない。落雷が頻繁に発生している様子も見て取れる。
「この落雷も自然に起きている物ではない。意図的に、狙った場所に落とせると見ていい。避雷針の類は役に立たん」
指先で映像をスワイプして消し、すきゅりんの立体映像に戻す。
「加えて、コイツは海中に居る。狙撃も無理だ。この暴風雨を狙撃しろと言う事自体無理なんだが……ミサイルだろうが、広域爆撃だろうが、衛星レーザーだろうが、狙撃魔法だろうがかなりの干渉を受ける。嵐の外からの攻撃は不可能だろう。では、どうするかと言う話だが」
すきゅりんもピンアウト。巨大な鉄甲船を表示する。
「その1、この嵐の中を強引に進める船を用意する。通常の鉄甲船では不可能だが、猟兵の中には何とか出来る船……いや、艦の一つも持ってる奴がいるんじゃないか?」
鉄甲船を縮小表示し、水泳のアイコン。
「その2、単独横断。泳ぐ、潜る、水面を走る。空を飛ばなきゃ何でもいい。ただし、荒れ狂う海を渡り切れればの話だが」
アイコンを縮小すると、今度は潜水艦を表示する。
「その3、海中を進む。私的にはオススメかな。落雷は海面で拡散するので海中までは届かない。どの道、すきゅりんは海中に居るので海中を攻撃する手段は必要になる。最も、海中も嵐が荒れ狂っている事に違いは無いので視界はゼロ。海流にもかなり流される」
そこに、突然の鋼鉄人喰ザメ!
「まあ、どのプランを使うとしてもこの『鋼鉄人喰ザメ』も居る事は忘れてはならない。コイツラもこの海域に紛れ込んでいてな……目立つ物ほど見つかりやすい。撃破しながら進むという手も有るが、ご多聞に漏れず血の臭いに敏感で殺すと増える。よって推奨はしない」
サメに全ての映像を喰わせると、サメの立体映像はどこかに消えて行った。
「まあ、手段は問わん。すきゅりんの排除さえできればいい。すきゅりん自体の戦闘力は低いので射程内に捉えさえすれば撃破は容易だ。どうやって近づくか、この一点に尽きる……私は、見えた事件を解説するだけ。判断は現場の諸君に委ねられている」
そして、眼前に転送用のゲートを開く。
「では、往くがよい」
Chirs
ドーモ、Chirs(クリス)です。すきゅりんの話を聞いて海中行けばいいのでは? と思ったけど海中は海中でやっぱり大変だろうなってお話です。今回のすきゅりんは海中に居るのでどの道海中への攻撃手段は必須となっております。戦闘自体はさっくり終わらせる予定です。
プレイングボーナスも『竜巻と電撃に対抗する』となっております。遠距離攻撃もある程度近付く必要はあります。範囲外からの攻撃は一切当たらないか無力化されます。
その分、移動手段さえ確保できるのならば問題はサメだけです。サメが出ます。殺すと増えるサメが出ます。無理では?
今回もいつも通りアドリブも連携もマシマシになる予定です。ある程度の人数が集まってから書き始めます。皆さんのやりたい海域突破作戦のお手伝いが出来れば良いなと思う所存でございます。
第1章 冒険
『電撃の竜巻で封鎖された海域を突破する』
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POW : 竜巻に巻き込まれた凶暴な「鋼鉄人食い鮫」の襲撃から身を守りつつ、すきゅりんのいる中心に向かいます
SPD : 絶え間なく発生する稲光をかわして、すきゅりんのいる中心に向かいます
WIZ : 竜巻の風に逆らわず、強風の流れを見切って、すきゅりんのいる中心に向かいます
👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
カイ・ザァド
なんという強烈な嵐だ!だが、この皇帝は嵐如きでは引かぬ!媚びぬ!顧みぬ!!前進あるのみよ!!
スーパー合体!!
55mの巨大キャバリアとなりて、海上を【水上歩行】【悪路走破】【ダッシュ】そして【勇気】をもって駆け抜けよう!
鮫と雷撃は【第六感】【野生の勘】【盾受け】で防ぎ、竜巻は念動力と大質量の【重量攻撃】の踏みしめでこらえながら竜巻を【切り込み】ながら突き進む!!
見えた!!あれこそが元凶たる存在!!
「断罪の刃を受けよ!! カイザァァーーブレード!!!」
「さらに、カイザァーブレスト! バァァーーーストォ!!!」
ハロ・シエラ
なるほど、こう言う戦上で私が選ぶべきは……泳いで海中を進む事、ですね。
流水を渡れない吸血鬼から逃げる為、猟兵になる前も必死に泳いだ物です。
激流の中でも【水泳】には少し覚えがあります。
【水中戦】用のスーツもありますしね。
敵は水中、雷も避けられると言うのなら【息止め】しつつ【素潜り】していく事になるでしょう。
深い所にいても【深海適応】し、必ず追い詰めます。
道中の鮫は海の【闇に紛れる】事でやり過ごし【高速泳法】と【水中機動】で素早くすり抜けます。
視界の悪さはユーベルコードと【第六感】で何とかなるでしょう。
激流の中でも私を敵へと導いてくれるはず。
後は【気合い】で泳いでレイピアで突き刺すのみです!
鈴木・志乃
……水中戦闘は苦手なのになぁ。
まぁ泣き言言ってらんないね、今回はあちこち転戦しないとだしここも何とか終わらせなきゃ……。
他の猟兵より力技だしスマートじゃないけど、これで行きます。
その3、海中を進む。手段は……UC発動。
サメの認識能力を破壊し、高速詠唱の催眠術込みで私を仲間と思いこんでもらう! 洗脳とかチャームと言われるものが近いかな?
サメに乗っけてもらって進むよ。振り切れないように光の鎖でしっかり巻きつけて、と。UCの光で視界確保補助。
UCは何回も重ね掛けするよ。途中の鋼鉄人喰ザメも仲間にして、すきゅりんのとこまで辿り着けたらなと思う。
サメの群れと高速詠唱全力魔法ですきゅりんにアタック予定。
水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:アノン
UDCの液体金属と、暴食の王『ケルベロス』を纏ってデカい黒狼の姿になるぜ。水属性の爪で海流を操って水中を行こう。水掻きもつけて泳ぎやすくするぜ。呼吸は風属性の牙で空気を生み出せばなんとかなるな。雷は毛皮は雷属性にして受け流す。
鮫を見つけたら液体金属の黒狼を膨らませて、1匹ずつ内部へ取り込む。血を外に出さなけりゃ他のは寄ってこねぇだろ。
……血が出るってことは喰えるってことだし、寄ってこれば喰い放題なのになァ、勿体ねェ。
まぁすきゅりんてヤツの味も気になるからな。邪魔なヤツだけ丸飲みにしながら進もう。
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
濁った海に海流に鋼鉄人喰ザメねえ。
まあ、これくらいなら何とかなるかな。
泳ぐのは得意な方だしね。
まず濁ってるのは反響定位を使えば視界に頼らず周囲を把握できるね。
海流に関しては頑張って泳ぐか、海流が穏やかな深さまで潜るかかな。
なんだったら深海までいったん潜ってもあたしは問題ないしねえ。
サメに関しては【鉄甲鱗鎧】で対処しようか。
磁性を帯びた鱗を何枚かはがして、その辺に放り投げるよ。
サメが鋼鉄製なら鱗は磁力でサメに向かって引き寄せられて貼り付いて、
そのまま他のサメまで引き寄せて沢山のサメがくっついた塊になるはず。
泳げなくなったら鋼鉄だし、沈んでいくんじゃないかな。
すきゅりんはまあ普通に殴って倒そうか。
トリテレイア・ゼロナイン
(水中用装備を装着し●水中戦、海中を進み)
この世界での大規模戦闘に備え、装備を用意し水中戦を幾度も経験してきたのです
この特異な環境で騎士としての真価を証明する時…!
ランスの推進機構も起動しての●推力移動水中機動ランスチャージで多少の海流の乱れはものともせず、海中のすきゅりんの元へ向かいます
鋼鉄鮫は血に集まる性質がある為に殺傷は非推奨でしたか…
…鋼鉄なのに何故血が…サイボーグなのでしょうか
噂をすれば…!
水中用装備の高速誘導魚雷(●誘導弾)で迎撃
通常弾頭から換装したUCで凍結させ無力化しつつ進行
万一増援を呼び寄せても味方を支援する陽動となれば騎士として本望です
フェルト・ユメノアール
うーん、ボクは船なんか持ってないし荒れてる波の中を泳ぐのもリスクが高すぎる
つまり答えは3!海中を潜水して進むしかないね!
この竜巻を発生させてるのはすきゅりん、つまり波風が強い方に相手がいるはず!それを目安に視界の悪い海を進んでいく
鋼鉄人喰ザメを倒すのはムリ、だったら逆に利用する!
ボクは手札からカウンタースペル、【光の拘束鎖】を発動!
つまり……こういう事だあァ!
襲い掛かってくる鮫の口に拘束鎖を引っかけ、馬の手綱のようにその背中に騎乗
そのまま『動物使い』でロデオのように鮫を操り、『パフォーマンス』で鍛えたバランス感覚を生かして海をかき分けすきゅりんの元へ
そのまま速度を生かした突進攻撃を仕掛けるよ!
家綿・衣更着
「荒れ狂う海とかきついっす。でもグリードオーシャンを救うため、頑張るっす!」
よし、プランC(チェンジ)っす。
【化術】で鋼鉄人喰ザメに変身して【隠蔽】し、海中を行くことで電撃や竜巻をスルーして進むっすよ!
【視力】【暗視】と【第六感】で海の流れを【見切り】すきゅりんを目指すっす!
鋼鉄人喰ザメも同種は襲わない…といいな。
まあ襲ってきたら綿ストールで鼻先のロレンチーニ器官や目をパンチっす。サメは殴るもの。そして【おどろかし】て追い返したり【催眠術】で操って無力化っす。
あるていどすきゅりんに近づけたら、【スナイパー】を使い『必殺武装召喚』で狙撃武器を呼び出して使いまっす。
近接型に海上戦はきついっす…
ナイ・デス
その1でありその2、そしてその3……
海での戦いなら、黒くて大きな、怪獣もいい、ですよね?
『文明守護竜』発動
海を、風を、世界の一部を、一時的に、小さな、無数の竜に変え、合体
大きく、強くなる
呼びかけは、何度も
3回目で40m、6回目になれば320m、必要なら、さらに大きく
嵐も雷も、海流も平気なほどの、巨竜となって
【念動力】で動き、潜り、泳ぐ
【第六感】で感じるままに、すきゅりん目指して進む
鮫も【激痛耐性継戦能力】小さな鮫に嚙まれても、平気で
聖者の光が再生もする
鯨ほどかそれ以上に大きな鮫がいても【重量攻撃】
怪獣バトルして
口からの熱線【レーザー射撃】巨体故の【範囲攻撃】で、すきゅりんも鮫も【なぎ払う】
●猟兵皇帝VS巨大鋼鉄喰いサメ~グリードオーシャン最後の日~
猛烈に荒れ狂う嵐の海域にカイ・ザァド(猟兵皇帝・f30942)はホバー飛行している。ホバー飛行はギリギリ許されるようだ。
「いくぞ、スゥーパァァー合体!!」
空間を砕いて転送された11機のキャバリア! グリモアベースを経由した転送支援だ。グリードオーシャンの海は海面より高くは飛べない。機体同士が連結し、腕や足、胴体を形作っていく。本来の仕様では空中で合体するんだと思われるが、それが出来ないので海面に寝そべる形で合体し、組み上げる。少しシュールな光景だが猟兵皇帝はそんな細かい事は気にしないのだ。
「近き者はその目で見よ、遠き者は音で聞け。12星座の騎士を従え、未来を切り開くその皇帝の名はッ! 猟・兵・皇・帝! カイ・ザァァァーーードッ!!」
激しい稲光で輝きながら(なお、敵の攻撃である)全長55mの巨大過ぎる規格外キャバリアは海水を滴らせながら偉大なる猟兵皇帝が海面に立ちあがる!
「なんという強烈な嵐だ! だが、この皇帝は嵐如きでは引かぬ! 媚びぬ! 顧みぬ!! 前進あるのみよ!!」
海面を滑るようにカイ・ザァドは進む。その行く手を阻む猛烈な嵐! 絶え間なく落ち続ける稲妻!
「効かぬわッ! 敵は全て下郎! 我が覇道はただ制圧前進あるのみよ!」
一応、全く無効化が出来ている訳では無いがどこ吹く風。55mの巨体は伊達じゃない。内部回路のダメージを与える事は出来ずに表面装甲に弾かれるのみ。
鋼鉄人喰いサメが海面から跳ねてその足に喰らい付く! 猟兵皇帝は無造作に蹴り、海面へと叩き落す! 全く効いてない! 凄いぞ強いぞ猟兵皇帝!
所で、グリードオーシャンには巨人と言う種族がある。巨人はその名の通り巨大で、さらにユーベルコードにより三倍の大きさになる事が出来る。そのグリードオーシャンで人喰いサメと呼ばれるものが存在するなら巨人を丸呑みに出来る巨大なサメが居るのではないだろうか?
『SIGYAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』
そう、コイツのように。その全長は猟兵皇帝をも超える80m! デカい! 何と巨大なサメか!
「ならば、是非も無し!」
猟兵皇帝は盾から獅子宮の紋章の刻まれた大剣を抜く! キャバリア1機体がそのまま剣になった巨大な剣を両手で天高く掲げる!
「掲げるは断罪の剣!! 皇帝が一撃! その身で受けるがよい!! カイザァァーーブレード!!!」
光り輝く大剣で自身よりも大きい鋼鉄人喰いサメを真っ二つに両断した!
「弱敵が我が覇道を阻むでないわ!」
真っ二つの両断された鋼鉄サメが海面落ちて、激しい水柱を上げた。だがこのサメは、殺すと増える! 40m級の巨大鋼鉄人喰いサメが猟兵皇帝を包囲した! 危うし、猟兵皇帝!
「それで私を倒せるつもりか。ゾディアックジェネレーターフルドライブ!」
12機分の動力が一機に収束されていく。
「我がLibraから逃れられぬ! ターゲットロック!」
周囲を包囲する人喰いサメを捕捉!
「全出力Taurusへ集中! 断罪を受けよ! カイザァーブレスト! バァァーーーストォ!!!」
金牛宮の紋章を中心に、12星座が収束し圧倒的な光の奔流が次々と巨大人喰いサメを焼き滅ぼしていく! だが、それでも人喰いサメは引かない。あの巨大な得物を仕留めんとする人喰いサメ達は猟兵皇帝に立ち向かっていく!
「その意気や良し! かかってくるがいい!」
●文明守護竜
「あの人、本来の目的、忘れて、ない?」
「まあ、上で派手に暴れてくれれば下は比較的安全に進めるという訳っすよ」
海面下ではナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)が自身を中枢とした新生ダイウルゴスが他の猟兵達を内包し中心に向けて侵攻していた。他の猟兵の体力を温存し、危険な外側の領域を抜ける為だ。
通常の嵐なら外側の風は弱く比較的安全だ。だが、この人為的に起こされた嵐は外側に猛烈な勢いの海流を持っている。全てを風と潮で削り取り内側に閉じ込める為に。そこには無残に食い荒らされた鉄甲船の残骸が漂流している。海流に逆らって進めば漂流物の相対速度が早まり、危険な凶器として襲って来るだろう。だから、ナイは流れに逆らわずに泳ぐ。
外に出られないのは人喰いサメも同じだった。人喰いサメもこの嵐の中を自由に泳げる訳ではない。一定以上の大きさを備えていれば無理矢理突破する事も出来るが、それが可能な巨大サイズのサメは上でカイ・ザァドが引き付けてくれている。4回の変身で全長80mになった文明守護竜もサメの脅威に晒される事なく進める訳だ。大きさのインフレが酷い。
ナイは進む。嵐の中心へ、すきゅりんの居る場所へ。
「私は、ここまで、かな」
ナイが泳ぎを止めた。自身の体内で守って来た猟兵達を先へと送り込んで回頭する。
「お疲れ様っす。後は任せるっすよ」
猟兵達はナイを残して進む。この先は、鋼鉄人喰いサメもある程度自由に泳げる海域。即ち、鋼鉄人喰いサメのキルゾーンだ。ナイの巨体はそれだけでサメを引き寄せてしまう。
――もう、隠れる必要、ない……
ナイは更に一段枷を外す。全長160mのまるで神話のレヴィアタンの如き巨大海獣。
――なら、思いっきり、暴れる!
口から放たれた熱線が海水を瞬時に蒸発させ、水蒸気爆発を起こしながら人喰いサメを薙ぎ払う!
ここからはナイも囮担当だ。なるべく多くのサメを自身に引き付ける!
●海中適性S
海中を駆ける様に泳ぐ黒狼は水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)はUDCの液体金属で構成されたオブリビオンマシン、暴食の王『ケルベロス』を駆る。全体的には黒狼の造形をしていながら魚類の尾鰭の様な物を付けていたり、四肢の爪の合間に水掻きを生やしていたりと水中に適応した形態を取っている。どちらかと言うとUDCアースのスコットランドに伝わる水魔ケルピーに近い姿と言えるかもしれない。風属性の牙で呼吸する空気を作り出している。
一方、ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)はスケーリーフット、和名ではウロコフネタマガイと言う金属の鱗を持つ不思議な巻貝に変異してその頭に張り付いていた。推進力はあまりなさそうなのでこの方が合理的と判断したか。
草原を駆ける様に水中を駆ける事の出来るケルベロスではあるが、海底の砂だけでなく鉄甲船の破片やどこかの島から引っぺがした建材等も交じって濁り切った海で視界を確保する事は出来ない。これがペトニアロトゥシカが頭に張り付いた理由だ。
ペトニアロトゥシカは反響定位、エコロケーションにより音で周囲の状況を理解する事が出来る。漂流物同士がぶつかり合う雑音が混じるこの状況では正確な音波探知は困難。だが、自力で移動する必要が無ければ?
見えないが走れる者、見えるが走れない者。適切な選択だろう。他の猟兵はケルベロスを先頭にして各々の手段で追従する。一列縦隊で進むのは先頭が最も水の抵抗を受けるので突破力に秀でた者を据えれば進みやすいからだ。安全なルート確保もし易い。
それでもここは人喰いサメのテリトリー。サメとて状況は変わらないが、元から海で生きる生物。近くを通る得物の気配は逃さない。
或いは単独ならばサメに捕捉される事は無かったのかもしれない。だが、それは自殺行為だ。五感の全てを狂わされるこの海域で運よくサメと遭遇せずにその中枢を目指せるのか? 不可能ではないが、現実的ではない。誰かを犠牲にして、誰かが目的を遂げる。それは猟兵の戦い方ではない。
誘い込まれたか、偶然か。前方から三匹の鋼鉄人喰いサメが迫って来た。ペトニアロトゥシカは躊躇なくその身の鱗を剥がして放り投げた。スケーリーフットの鱗には磁性がある。サメは海では恐怖の象徴と思われているが、その性格は案外慎重だ。サメの鼻先にはロレンチーニ器官と言う電気を感知する器官があり、サメは視覚でも聴覚でも無く電気感覚で獲物を認識している。磁性の鱗はその電気感覚を狂わせてしまうのでサメとしてはあまりに厄介な相手だ。接近を諦め、遠巻きに一団を追い始めた。チャフのように鱗を撒き続けるペトニアロトゥシカ。これは極めて効果的な方法だった。サメのキルゾーンの半分を過ぎる頃までは。
●スーパーキャビテーションオーバードライブ
引き連れるサメの数が多過ぎる。サメは慎重で狡猾な生物だ。今チャンスが無くても、何れチャンスが来る事は理解している。
即ち、多少感覚を狂わされても相手を殺しきれる程の数が集まればいい。ストールが、ケルベロスに触れた。
「交代するっす。後の先導はおいらが」
「分かったぜ、なら囮だな」
水中で会話をするのは非常に難しい。その為、文字を書くボードやハンドサインなど、或いは無線通信の類を用意する物だ。だが忍者であれば触媒を使って有線通信をする位は容易い。
ここで一団は二手に分かれた。後方のサメに対処する組と、先に進んですきゅりんを討ち取る組だ。
サメは殺すと増える。そう説明された。無論、オブリビオンでもユーベルコード生成物でもないサメが物理的に増える事は無い。単純に数が多いのだ。更に血の臭いは人喰いサメを興奮させて凶暴化させてしまう。海上で盛大にばら蒔いてる奴が居た気がするが、それは置いておこう。彼は立派に囮の役目を果たしているだけなのだ。
反転したケルベロスは口を大きく開く。その口が、胴体まで大きく裂けてサメを丸呑みにしてしまった。元は液体金属、その形状は自由自在なのだ。
――ここからはサメの踊り喰いし放題だ。たまんねェなぁ!
水中専用装備に身を固めたトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)はランスと盾を構える。
――この世界での大規模戦闘に備え、装備を用意し水中戦を幾度も経験してきたのです。この特異な環境で騎士としての真価を証明する時……!
ちなみに、鋼鉄サメとは言っても表皮が鋼鉄の如く硬いだけで普通に生き物なので血は出る。他所の海域は知らないが、少なくともこの海域ではそうだ。
ブースターをフル稼働し、サメの一団に突撃を仕掛ける! そのランスの先端は高速回転してスーパーキャビテーション状態を作り出し水中でありながら高機動を実現している。ランスの切っ先でサメを串刺しにする事は出来る。だが、下手に殺せばより多くのサメを引き寄せてしまう。故に、そのランスが切り裂くのは海流のみだ。
水雷戦隊の如くすれ違いざまに高速誘導魚雷を叩き込む。その弾頭は【超低温化薬剤封入弾頭】(フローズン・バレット)であり命中したサメを瞬時に全身凍結させ無力化する。
スーパーキャビテーション航法は水中で桁違いの推力を作り出す事が出来る。最初からこれだけですきゅりんを討ち取りに行ければ良かったのだが、消耗が大きすぎてそうもいかなかった。本来は魚雷等に使われる技術だ。空中用のオーバードブーストを使用する必要もあり航続距離は長くない。だが、その速度で驚かせて隊列を崩す、騎兵突撃の真価を発揮する事は出来た。
後は通常のスクリューモジュールに切り替えて一体でも多くのサメを沈めるのみだ。
●俺達サメ乗り海賊団!
残る猟兵は四人。そのうち二人は同じ様な手段を取った。もう一人も近い手段ではある。
サメは共食いをする生き物ではない。サメを利用してしまえば安全かつ迅速に進める。
――水中戦闘は苦手なのになぁ。まぁ泣き言言ってらんないね、今回はあちこち転戦しないとだしここも何とか終わらせなきゃ。
鈴木・志乃(ブラック・f12101)は【UNKNOWN】(アンノウン)による聖光の一撃で一匹のサメの認知能力を破壊して、自分の命令を刷り込んだ。渦の中心を目指して泳げ、と。果して光の鎖に繋がれたサメは志乃を乗せて只管に災禍の中心を目指して泳ぎ続けた。
とは言え、半ば無理矢理従わせて泳ぎ続けさせるのは中々に無理がある。サメの体力も有限で、中心に進むに従って今度は外へと押し退けようとする流れに逆らい泳ぎ続けなければならないのだから。
サメを乗り捨て、同じ事を繰り返せばいいだけではあるのだが。宛ら因幡の白兎か。最後に皮を剥ぎ取られなければ良いのだが。
――うーん、ボクは船なんか持ってないし荒れてる波の中を泳ぐのもリスクが高すぎる。つまり答えは3! 海中を潜水して進むしかないね!
因幡の白兎はもう一人。フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)だ。奇しくも使う触媒は志乃と同様な【光の拘束鎖】(プリズム・チェイン)。襲い掛かって来たサメを曲芸めいた動きで軽やかに回避すると、口に拘束鎖を噛ませた。そのまま動物使いの要領でサメをロデオのように操り災禍の中心を目指す。
――荒れ狂う海とかきついっす。でもグリードオーシャンを救うため、頑張るっす!
それを先導するサメ。正しくは、サメに化けた家綿・衣更着(綿狸忍者・f28451)だ。高度な化け術によってサメと同等の身体能力を得てはいるが、サメ程泳いだ経験は無い。それを補うのは猟兵暗視力と猟兵第六感だ。
視界は極めて悪いが、全く何も見えない訳ではない。暗視とは暗闇の中で物を見る能力ではない。僅かな光の中で物を見る能力だ。濁り切った海の中という僅かな視覚情報しかない環境をオブリビオンの位置を大体捕捉する第六感も駆使しながら漂流物を避けて進む。その背中にはハロを乗せている。彼女は最後の切り札だ。必定な状況が来なければいい、だが恐らくは来る。だからこそ万全に近い状態の猟兵を温存した。
中心に進むに従って、徐々に外へと押し出す海流がきつくなる。それとは逆に、中枢を守る様に漂流物の数は増える。破壊された鉄甲船の残骸が襲い掛かる。三匹のサメはそれをかわし、やり過ごしながら進む。
そこに襲い来る側面からのサメ集団の奇襲。因幡の白兎の皮を、剥ぎ取りにでも来たのか。丁度いい乗り換えだと、志乃とフェルトは次なるサメに光の鎖を噛ませようとした。
結果、それ自体は上手くいった。だが不味い事に完全にバラバラになってしまった。サメ達は自分の力で猟兵達を襲撃したのではない。恐らくはすきゅりんが海流を操り意図的に襲わせたのだ。乗り換えた所で中心を目指す流れがどれだかは分からない。衣更着の体力も限界に近かった。
●貫く反逆の刃
ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は決断的に衣更着の背から飛び離れた。最後を決める一人として。海流に流されて離れていく衣更着を背にハロは単身中枢に向けて泳ぐ。
ハロに水中専用の装備は無い。水中用のスーツはあるが、水着の様な物でスーパーキャビテーション航法を実現したり、魚の様に泳いだりする物ではない。ハロは人間だ。猟兵だが、人間だ。猟兵になる前は、流水を渡れない吸血鬼から逃れる為必死で泳いだ物だ。その経験を生かしてこの荒波を泳いでいる。
さほどの速度は出ない。だが、ここまでただ運ばれてきた訳でも無い。着実に流れを掴み、抗い、中心に向かって泳ぐ。人間なりのやり方で。【ナイト・クローラー】ウミヘビの一種が持つ視覚に頼らない環境知覚の能力が標的の位置を正確にとらえている。射程圏内まであとわずか。
海流に流され、離されかける。それでも諦めない。闇を裂く刃の如く、中心に向かって泳ぐ。ただ、泳ぐ。
そして、眼前にサメが出現する。正しく好機であった。激流に揉まれながらも必死に泳ぐ人間を悪あがきととらえたのだろう。そう思わせる為に最後の手を温存した甲斐があった。
大層な物ではない。半ば偶発的に身に着けた古式泳法の一種だ。大量に体力を消耗するが、瞬発的に速度を出せる。
●こいつの出番は三行で十分だ
すきゅりんは『電光の羽衣』を身に纏い、海中で天女の如く舞い踊っていた。
向かう所敵なし。ただこうしているだけで敵が勝手に巻き込まれてサメに食われる。楽な仕事だ。
そう思っていたから死んだ。レイピアに貫かれて一撃で絶命した。
●大海に浮かぶ
嵐は過ぎ去った。誰かがすきゅりんを討ち取ったのだ。
誰も彼もが疲れ果てていた。巨躯を誇る者は至る所をサメに齧られ、身軽さを以ってサメを御した者も疲れ果てていた。海中は海の生物の領域だ。そこに居るだけで消耗し、最終的には死に至る。
そこに救いの手を差し伸べる者があるのだろうか。そんな都合のいい者はどこにも居ない。海の中でバラバラに散った仲間はどうなったのか、それを今は考える余裕はない。上を目指して登る。少なくとも、海上に出てしまえば窒息死はしない。一気に昇ってしまうと肺の空気が膨張して破裂し、死に至る。猟兵ならば大丈夫かもしれないと言うか、そもそも肺が無い猟兵も居るのだが。
鋼鉄人喰いサメはもう猟兵達を襲おうとはしていなかった。封鎖が解かれた今、一刻も早くここから離れたかったからだ。また封じ込められては敵わない。サメ達も見方を変えれば被害者なのだ。サメはオブリビオンでは無いが故に。
上を目指して昇る。嵐の晴れた陽光が見える。急いて昇りたがる衝動を抑えてゆっくりと昇る。
破壊された鉄甲船の残骸が周囲を漂っている。木材は海上に、鉄材は海底へと沈んでいくのだろう。滅茶苦茶に乱された生態系は徐々に本来の形を取り戻す筈だ。
上を目指して昇る。光指す世界へ、声の聞こえる地上へ、次の戦いの待つ戦場へ。
上を目指して昇る。今はただ、只管に。
大成功
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