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羅針盤戦争〜その眼窩に据えるを望むはグリモア

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #バルバロス兄弟

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●オルキヌスの瞳
 その島は本来であれば南国情緒あふれるリゾート地のような光景が広がっているはずであった。
 だが、今はもはやその面影はない。
 すでに名前さえ喪われた島。その島には巨人が一人立っていた。
「遂に王も殺る気になったってことか、ハイレディン!」
「そうさオルチ兄、それに、兄者の最後の『眼』に嵌めるべき代物も、見つかったんじゃねぇのか!?」
 いや、一人しか人影はないというのに声は二つ聞こえる。
 誰も見ることはできないが、その巨人の影は奇妙なる形を持っていた。
 まずは腕が四本。
 すでに異形の形である。だが、それよりもさらに奇妙であるのは二つの頭を持つことであった。

 そう、その声は同じ体に二つの頭を持つ巨人が発しているのだ。
「王の言ってた『グリモア』の事だな。未来予知と世界移動を可能にするエネルギー体……悪くねえな!」
「そうさ! グリモアと、生物を退化させる俺の『オルキヌスの瞳』があれば、どんだけ退化させても死なねぇ『鮫牙』だってブチ殺せる! 俺達兄弟は無敵になれるぜ!」
 水晶のような鉱物が角のように生えた黒髪の頭部、『バルバロス兄弟』オルチが、そのぽっかりと空いた眼窩を弄るようにして思案する。
 彼らはこれまで他者の肉体やメガリスを強奪することによって今の姿へと変貌していた。
 今までも、これからも、きっとそうするつもりなのだろう。
 彼らが求めるのはグリモア。
 即ち、猟兵達がオブリビオンに対抗するための要である。

「俺達は今までだって、欲しい物は何でも奪い、肉体を強化し続けてきた。が……グリモアで、遂に完成という訳だな。やってやろうじゃねぇか!」
 オルチと呼ばれた頭部が大口を開けて笑う。
 これで漸く自分達の身体が完成する。
 その喜びに震え、武者震いをするように彼ら七大海嘯『三つ目』、『バルバロス兄弟』によって滅ぼされたリゾート島にて、猟兵達の到来を待ち受けるように下卑びた笑い声を響かせるのであった――。

●羅針盤戦争
 グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まりいただきありがとうございます。グリードオーシャンにて『蒼海羅針域』を巡る大きな戦い、『羅針盤戦争』が引き起こされたことは、すでにご存知かと思われます」
 ナイアルテは彼女のグリモアによって見た予知を伝える。
 彼女が新たに予知した島、その島の名はもう無い。なぜなら、すでに滅んでいるからだ。

「はい……七大海嘯『三つ目』の『バルバロス兄弟』によってリゾートのように楽園であった島はもう見る影もありません。双頭四腕の巨人によって住民の方々は虐殺され、彼らは皆さんを敢えて待ち構えているようです」
『バルバロス兄弟』。
 一つの体に二つの頭と四本の腕を持つ巨人。
 言うまでもなく、その巨体は5mを超える。さらに彼らは二つの頭は別々の意識を持っているのだという。
 隻眼である頭部が兄であるオルチ。赤髭の頭部が弟ハイレディンと言う。

「彼らはこれまで様々な敵から肉体の部位とメガリスを奪って肉体を強化した屈強であり、強大なコンキスタドールです」
 その巨躯から放たれる武器は達人の領域であり、様々な武器に精通している。さらに弟であるハイレディンの眼窩にはめ込まれた『オルキヌスの瞳』は生物を退化させる効果を持っているのだという。
「はい、その瞳はおそらくメガリスなのでしょう。見た対象の肉体、精神の両方に及ぶ『退化』を引き起こすのです」
 それは鍛え上げた猟兵の肉体を縮小し、単純化させ、遂には消滅まで追い込むことだろう。

 その魔眼とも言うべきユーベルコードの強力さは言うまでもない。
「ですが、彼ら自身がメガリスに頼り切りであるというわけでもないのです。彼らは四本でそれぞれ違う武器を使い、さらにはその達人とも言うべき力を有しています。また、巨躯であるのですが、自身より小さい者を相手にする時にさらに力が増すのです」
 つまりは、非常に厄介な相手であるということだ。
 正面からぶつかっても強敵であり、かと言って側面から攻めても隙がない。

「単純故に強大。みなさんは初戦から苦境に立たされるかと思われます」
 ですが、とナイアルテは頭を下げて猟兵たちを見やる。
 どれだけ困難な敵であったとしても、彼女は見てきた。その背中を、その力を。彼らがやると決めたことは必ず為して戻ってきた。
 それを彼女は信じる。
 残虐なる殺戮者にも負けぬ力を持つことを証明し、彼らの目論見を打破するために戦う猟兵を信じて送り出すのであった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『羅針盤戦争』の戦争シナリオとなります。

 かつてのリゾート島を舞台に七大海嘯『三つ目』の『バルバロス兄弟』と激突するシナリオになります。
 彼らの持つ『オルキヌスの瞳』や強力なユーベルコードは必ず皆さんに先制してくることでしょう。これらを凌ぎ、強大なる敵を打倒しましょう。

 ※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。

 プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する。

 それでは、羅針盤戦争を戦い抜く皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります。
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第1章 ボス戦 『七大海嘯『三つ目』バルバロス兄弟』

POW   :    フォーアームズ・ストーム
【四腕で振るった武器】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    「オルキヌスの瞳」
【弟ハイレディン(左頭部)の凝視】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【肉体、精神の両面に及ぶ「退化」】で攻撃する。
WIZ   :    バルバロス・パワー
敵より【身体が大きい】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。

イラスト:ちーせん

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

安里・真優
【心境】
「キモい。本当に意味でキモいです。」

謝罪を要求します。全巨人に巨人の尊厳を怪我したその姿をしていることに謝罪をしてください。

うん。キモい。



【対先制攻撃】
敵より体が大きい場合…ならこっちがより巨大になればいいんです。
ダコタン…合体!!
(触腕で『捕獲』して固定してもらいジャイアントオクトパスに乗る巨人の図)
人蛸一体です。どーですこっちの方が大きいですよ。
あ、コールドコインを『投擲』して迎撃です
【戦闘】
は、反撃です。
ダコタンとカメゴンが前衛で時間を稼いでくれています。
今のうちにシャークネス・ボルテックスの呪文を詠唱開始
『魔力溜め』+『全力魔法』+『多重詠唱』で二重にした強化型を発射します。



 七大海嘯『三つ目』の『バルバロス兄弟』――その姿は双頭にして四腕なる異形なる姿であった。
 巨人の体躯はあまりにも巨大であり、その姿は畏怖でもって迎えられたことだろう。
 この生粋の虐殺者にとって、この島に住んでいた人々はいわば供物であった。
 兄であるオルチの隻眼、その暗きくぼんだ眼窩にはめ込むためのグリモアを猟兵達がもたらすための供物。
 これだけ派手に無辜なる人々を殺戮して見せれば、猟兵は必ず来る。
「――とまあ、そんな具合で待っていたんだが、なぁ、ハイレディン」
「ああ、オルチ兄。思っていた以上に早かったが、それ以上に遅かったな。ああいう奴等は人質を使うやり方が一番楽できていいんだが」
『バルバロス兄弟』は嗤った。
 屍の上に腰掛けながら、転移してきた猟兵、彼らと同じ巨人である安里・真優(巨人の冒険商人・f26177)の姿を見て哄笑したのだ。

「待ちくたびれたぜ、猟兵。お前がグリモアを持っているのか?」
「ああ、答えは期待してねぇし、答えなくていい。お前を殺して手に入れるからな――!」
 その異形なる姿は同じ巨人族であっても真優を超えていた。
 彼らの力はすでに聞き及んでいる。自身よりも相手が小さい場合にのみ、身体が強化されることも。
 だからこそ、真優は恐怖も何も感じていなかった。

 知っているということは恐怖を乗り越えるために必要なことであった。
 だが、今の真優の心を埋め尽くしているのは、そんな感情ではなかった。
「キモい。本当の意味でキモいです」
 心の底から溢れ出た言葉だった。
 その異形、その性根、あらゆるものが同じ巨人であると思いたくはなかった。
「はっ! これが欲望の姿ってやつよ! むしろ、お前らの方が気色悪いわ! 血の繋がりも身体の繋がりもねぇやつらがよ!」
「ああ、オルチ兄。キレイ事ばっかの奴等はこれまでも大勢いたが!」
 この巨躯を前にしてはどいつも同じ様になったと『バルバロス兄弟』が叫ぶ。
 だが、目の前で真優の身体が膨れ上がる。

 否。
 彼女はダコタン……彼女のペットである大蛸の触腕で固定された真優。それは異形なる『バルバロス兄弟』の体躯をさらに上回る異形であった。
「人蛸一体です。どーです、こっちの方が大きいですよ!」
 指弾のように真優が放つはコールドコイン。
 それは弾丸のような速度で持って『バルバロス兄弟』を狙う。手にした4つの腕が、その尽くを振り払う。
「こいつ――俺たちのユーベルコードを知っているだと!?」
「謝罪を要求します。全巨人に巨人の尊厳を穢したその姿をしていることを謝罪してください」
 真優のはなったコールドコインとダコタンの触腕、さらにカメゴンが『バルバロス兄弟』が振るう武器を受け止めてくれている。

「海よりも深きモノ…水よりもなお尊きモノ…深海の悪夢となりて、敵を討たん。その力は深海の鼓動。かの力は深淵の使者。その力を解き放て」
 暴風のような『バルバロス兄弟』の四腕の攻撃をいつまでも受け止められてはいられない。
 故に真優は勝負を決める。
 詠唱時間を長く、長く取る。そのためのダコタンとカメゴンだ。彼らが頑張ってくれている間に己は詠唱を続ける。

「オルチ兄! アイツ何かやる気だ!」
「くそ、この蛸どもが!」
『バルバロス兄弟』たちの焦る声が聞こえた。ダコタンの触腕が四腕に絡みつき、カメゴンが阻むように甲羅で武器を受け止める。
 だが、それも時間の問題であった。
 四腕が旋風のように彼らを吹き飛ばし、真優へと迫る。

 彼女の瞳が見開かれ、その輝きを灯す。
 それはユーベルコードの輝き。
「シャークネス・ボルテックス――!」
 多重詠唱に寄って二重に描かれたのは無間破壊波動が模った鮫型の魔力弾の群れ。無数に放たれる鮫の魔力が『バルバロス兄弟』を飲み込み吹き飛ばしていく。
 その威力たるや如何な異形なる巨人であろうとも耐えられるものではない。

 怨嗟の咆哮を響かせながら吹き飛ばされていく『バルバロス兄弟』をみやり、真優はやはりぽつりとつぶやくのだ。
「――うん。キモい」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラリー・マーレイ
恐ろしい敵だけど、だからって逃げてたら英雄にはなれない。退く訳にはいかない。
大丈夫、訓練の成果を出しきればきっと何とかなる。

先制攻撃に対抗する為に【早業】で「守りの書物」のページを前方に展開し防御障壁を形成。【結界術】【オーラ防御】。相手の視線と呪力を遮る。
僅かでも時間を稼げれば【高速詠唱】で反撃。【火花の呪文】を使う。
指先と上空と大地の三方向からの放電で攻撃。
確実に当てないと次はない。集中力を振り絞った【全力魔法】で全雷撃を制御し【誘導弾】で敵へと集束させる。
感電によるUCの効果で敵の攻撃力と能力を封じる。弱体化はお前だけの術じゃない!
更に力の続く限り電撃を浴びせ、続く仲間の援護をしよう。



 猟兵の放った魔力弾の群れが『バルバロス兄弟』を穿ちながら盛大に吹き飛ばす。5mを超える巨体が大地に倒れ込めば、周囲には地響きが鳴り響く。
 だが、それで戦いに決着が付いたとは転移してきた猟兵であるラリー・マーレイ(冒険者・f15107)は思わなかった。
 あれだけの異形、張り合わせたような様々な種族のものであろう部位。
 そのどれもが未だ消滅すらしていない。
 ならば、あのオブリビオン、コンキスタドール『バルバロス兄弟』は消滅しないとラリーは油断の一つもしていなかった。

「はぁッ! やるなぁ、猟兵! グリモアを持っているだけのことはある!」
「ハイレディン、やはりお前の『オルキヌスの瞳』の出番のようだぜ」
 起き上がった双頭、四腕の巨人が首を鳴らしながら、その瞳を輝かせる。
 その瞳は『オルキヌスの瞳』。
 凝視した相手に『退化』をもたらす魔眼である。メガリスであろう瞳は、その視界に納めた物を尽く生物として退化を促すのだ。

 魔力の輝きか、それともメガリスの呪いか。
 その輝きを見上げ、ラリーは確かに恐ろし敵だと思った。
 だが、逃げてはいられない。
 何故なら逃げていたら英雄にはなれない。ラリーは英雄を夢見る。望むのならば、それは己の背後にはなく、目の前の先にあるものであると知るからこそ、彼は一歩も退くことはなかった。
「大丈夫、訓練の成果を出し切ればきっとなんとかなる」
 なるはずだ。
 震える心の中に師たちの言葉が蘇る。

 それが彼の心を押すのだ。
「『守りの書物』よ!」
 かざした呪文書の頁が切り離され、ラリーの前面に魔法の防御障壁を形成する。『オルキヌスの瞳』がメガリスであれ、ユーベルコードであれ、魔力を伴ったものであるのならば、ラリーがアルダワにて学んできた結界術とオーラの力、呪力を遮る術でもって対応することができる。
 だが、目の前で展開した防壁に染みが入るように侵食されていく。
「無駄だ! この『オルキヌスの瞳』の前では、そんなちっぽけな防御障壁程度で!」
「おうともよ! その防壁が崩壊した時がお前の最期だ!」
『バルバロス兄弟』は笑う。

 何故なら、ラリーの頼みにしている『守りの書物』は『オルキヌスの瞳』の前に崩れていく他ならず、僅かな時間稼ぎにしかならない。
 さらには『バルバロス兄弟』の四腕は必ずラリーを殺すだろう。だからこそ、嗤った。弱者には嘲りこそがふさわしいと言うように嗤ったのだ。
 だが、ラリーは退かない。
 一歩も退かない。その心には常に英雄を夢見る心が、原点がある。
「ミームエイン・ラーイ・ターザンメ!」

 その瞳がユーベルコードに輝く。
 かざした指にユーベルコードの輝きが応えるように天から降り注ぐ落雷、地面から吹き上がる放電、そして掲げた指先から放たれる電撃が三方向から『バルバロス兄弟』を襲う。
 確かに『オルキヌスの瞳』は恐るべきメガリスであろう。
 だが、それは過信というものであった。
 驕りがあったのだ。ラリーにはそれがない。この一撃で確実に当てると集中している。

 今まで課せられた試練を乗り越えてきたことを思い出す。
 師がいなかった頃の自分。
 師を得てからの自分。それら全てが己を裏切ることはない。
 三方向から放たれた雷撃が『バルバロス兄弟』を見事に穿つ。だが、その体躯の皮膚を灼き焦がしても尚、『バルバロス兄弟』は倒れない。
「はっ、はは! 惜しかったな猟兵! お前の頼みの障壁も……」
「お、オルチ兄、『オルキヌスの瞳』が!」
 そう、防御障壁は崩れた。けれど、未だ視界に治めるラリーの姿は退化していない。それどころか、雷撃を放ち続けている。
 何故、と思うよりも先にラリーが叫ぶ。

「弱体化はお前だけの術じゃない!」
 そう、彼のユーベルコードは三方向からの雷撃を全て当てることに寄って、『バルバロス兄弟』のユーベルコードである『オルキヌスの瞳』を封じたのだ。
 これがいくばくかしか持たぬ弱体であったとしても、ラリーは電撃を浴びせ続ける。
 己の力の全てを振り絞って、後に続く猟兵たちのためにと雷撃を迸らせ続ける。

 確かに今は英雄と呼ばれる者ではないかもしれない。
 けれど、ラリーの背中にはたしかに在った。
 今はもういない、この島の人々の無念を晴らそうとする英雄としての片鱗が――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

片桐・公明
【POW】
人を射殺すほどの冷たい表情と視線で敵に相対する
相手の先制攻撃は正面から妖刀で防御する
ただし正面から防ぐのではなく、斜めにすることで相手の力を逃がし受ける衝撃を最小限に抑える
「強い攻撃も、こうされてちゃ形無しね。」
「少し独りよがりが過ぎたのではなくって?」

以降こちらのUCで攻撃する
攻撃は相手の死角から急所を狙い、無理に連撃は行わない
初撃以降、敵UCも通常攻撃も少々過剰気味に回避に徹する
「腕が多かろうと、頭が2つあろうと、人体が基礎にあるのであれば、殺せぬ通りは無いわ。」

(絡み、アドリブ歓迎です。)



「お、オルチ兄! ダメだ、やっぱり『オルキヌスの瞳』が!」
「落ち着け、ハイレディン。あの雷撃のせいだ……しばらくしたらまた仕えるように為る!」
『バルバロス兄弟』は侮っていた。
 これまで彼らが相手をしてきた者たちは彼らよりも小さく、また弱かった。
 目の前に対する猟兵たちも同様であった。けれど、彼らは知らなかったのだ。猟兵とは個としての存在ではないと。
 確かにオブリビオンは猟兵よりも個としての力は兄弟であろう。勝ることはないかもしれない。
 けれど、彼らは数珠つなぎの存在として、対するオブリビオンを滅ぼさんと迫る。あとに続く誰かのためにと戦う姿は、確かに英雄と呼ぶにふさわしいものであり、『バルバロス兄弟』は絶対なる『退化』の力を宿した『オルキヌスの瞳』を封じられ、確かに今動揺していたのだ。

 彼らを射抜くのは冷たい視線であった。
 ぞわりと怖気が立つような視線。冷たく、底冷えのするような薄ら寒さが『バルバロス兄弟』を襲う。
 それは殺気と呼ぶものであったことだろう。
 彼らの視線の先に居たのは、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)であった。
 彼女の視線は彼らを射殺さんばかりのもの。
「ハイレディン!」
 双頭四腕の巨人が、これまで奪ってきた部位を張り合わせた腕でもって曲刀やフレイルを振るう。
 その一撃は確かに達人の領域に達しているものであったことだろう。その四腕から放たれる攻撃はまるで嵐のようでも在った。

 だが、公明は泰然自若として、その場から身を翻すこと無く受け流すように攻撃をそらした。
「強さと美しさの両立。それこそ諸葛流舞闘術の真髄よ」
 力を受け止めるのではなく受け流す。
 それこそが彼女の体得した武術の真髄。強さ、美しさ、それらを伴うからこそ舞闘術。
「貴様――! オルチ兄! こいつ出来るぞ!」
「わかっているとも、ハイレディン! 妙な術を使いやがって!」
 再び振るわれる四腕から繰り出される斬撃の嵐。しかし、その尽くが公明の流麗なる体捌きに寄って受け流されていく。
 それはまるで水流に向かって攻撃を放っているかのような手応えのなさであったことだろう。
「強い攻撃も、こうされてたちゃ形無しね」
 公明が微笑み、諸葛流舞闘術(ショカツリュウブトウジュツ)を披露するように尽く攻撃を無効化して間合いへと踏み込む。

 その踏み込みはまるで日常で一歩踏み出すような気軽さであったが、『バルバロス兄弟』は震撼した。
 これまで四本腕の斬撃の嵐の間合いの内側に入ってきた者はいなかった。彼らは例外なく切り刻まれてしまっていたからだ。
 だが、今相対する猟兵は違う。
 まるで嵐などなかったかのように、凪のように一歩を踏み出す。
「少し独りよがりが過ぎたのではなくて?」
 その手にした銃と刀が振るわれる。放たれる弾丸は巨人の体躯、その急所を的確に貫き、振るわれる刀の斬撃は強靭なる筋繊維すらも容易く切り刻む。

「ぐ、おっ! この!」
 己より小さきものに振るわれる力が、この強化された身体に傷を付けるということが信じられない。
『バルバロス兄弟』は目の前の者が一体何者であるかを知らない。
 知ろうともしない。
 在るのはただ己を滅ぼさんとする冷たい視線のみ。

「腕が多かろうと、頭が二つあろうと、人体が基礎にあるのであれば、殺せぬ道理は無いわ」
 公明は笑う。
 これまで『バルバロス兄弟』がそうしてきたように、ただ、殺気を込めて、その巨躯を圧倒せしめるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…生憎だけど私はグリモアを持っていないわ
…だけどね、お前を討つのに何一つとして不足は無い

…お前の身にも刻んであげるわ、七大海嘯
此処とは異なる世界にて錬られた吸血鬼狩りの業を…

過去の戦闘知識から事前に水属性攻撃の魔力を溜めておき、
第六感が敵UCの発動を捉えたら溜めていた魔力を解放
視界を遮る濃霧で周囲を覆い魔眼を受け流しつつUCを発動

…ええ、こんな物は一時凌ぎの小細工に過ぎない

…だけど、その一瞬が稼げれば十二分

反響定位により敵の動作を暗視して攻撃を見切り、
最小限の早業で残像のように攻撃を避けながら、
兄の頭で魔眼が遮られる右回りに側面から切り込み、
超音波震動で切断力を強化した大鎌で敵を乱れ撃つ



 巨人の体は湯に5mは超える。
 その姿はまさに異形。双頭にして四腕。手にする武器は巨人が扱うにふさわしい巨大なものであり、猟兵達は己の力を持ってこれに相対しなければならない。
「どいつこいつも猟兵ってやつぁ、鬱陶しいことこの上ないぜ! ハイレディン!『オルキヌスの瞳』はまだか!」
 兄であるオルチが隣にある双頭の片割れにして弟が封じられた『オルキヌスの瞳』が復旧しないのかを問う。
 それは猟兵のユーベルコードによって封じられた生物の『退化』を促す魔眼であった。

「オルチ兄、大丈夫だ! これで俺たちは敗けない!」
 その瞳が、『オルキヌスの瞳』が輝く。その瞳に射すくめられれば、生物は『退化』してしまう。
 どれだけ屈強なる戦士であったとしても縮小、単純化した後に消滅してしまう。
「ハッハー! これで後は猟兵共を『退化』させてグリモアを奪うだけだ!」
 そう、彼らの狙いはグリモアである。
 猟兵とオブリビオンとの戦いにおいて重要なるもの。それを奪い、己のものとしようとするのが『バルバロス兄弟』である。
「……生憎だけど私はグリモアを持っていないわ」
 対するリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は静かに告げる。未来を予知するグリモアの力。
 悲劇を予見し、これを防がんとする力であるが、それをリーヴァルディは持たない。けれど、それが対した意味を持たぬことをリーヴァルディは知る。

「……だけどね、お前を討つのに何一つとして不足はない」
 そう。そのとおりである。
 グリモアの有無は関係ない。オブリビオンが世界を壊し、誰かの悲劇となろうとしている時、それを阻止しようとする心さえ在ればいいのだ。
「なら、てめぇには用はねぇ! 俺の『オルキヌスの瞳』で消えちまいな!」
 その魔眼が輝き、リーヴァルディを捉えようとした瞬間、リーヴァルディは水の魔力を開放し『バルバロス兄弟』の眼前で炸裂させる。
 それは視界を遮る濃霧であった。

 どれだけ魔眼の力が凄まじいものであったとしても、この白く煙る濃霧の中ではリーヴァルディの姿を捉えることはできない。
「馬鹿が! これではお前も此方を認識できねぇだろうが! こんな小細工なんざな!」
 四腕が手にした武器が振るわれる。
 それはまるで竜巻のように白い濃霧を切り裂いていく。そうでなくても凄まじい剣圧である。それが巨人の体躯から放たれれば、通常の人間のサイズしかないリーヴァルディにとっては台風のような突風となって彼女を打つだろう。
「……ええ、こんな物は一時しのぎの小細工に過ぎない……だけど、その一瞬が稼げれば十分」

 チッ!

 舌打ちが聞こえる。
 いや、一度ではない。何度も、何度も音が聞こえる。それが何であるか『バルバロス兄弟』は理解できなかったことだろう。
 何をしているのかと思ったはずだ。
「……狩人からは逃れられない」
 それは視界を遮られてもリーヴァルディが正確に斬撃が飛んでくる場所を理解する理由であった。
 吸血鬼狩りの業・天響の型(カーライル)。
 彼女のユーベルコードにして海の生物、イルカが持つ反響定位の脳力を強化する力である。

「なんだ! 何故、俺達の位置が分かる! あいつだって見えないはずだ!」
 驚愕に歪む『バルバロス兄弟』。
 それもそのはずだ。あちらは闇雲に武器を振るうだけであるが、リーヴァルディの手にした大鎌は確実に彼らの巨躯を切り刻んでいくのだ。
「……お前の身にも刻んであげるわ、七大海嘯。此処とは異なる世界にて練られた吸血鬼狩りの業を……」
 反響定位によって自身から発した音の跳ね返りに寄って視界を遮られていても、リーヴァルディは敵の位置を、その所作を知ることができる。

 これこそが太陽の登らぬ世界、陽の光のない世界であるダークセイヴァーにおいて吸血鬼を狩り殺すことのできる業。
 それ故に彼女にとって、この濃霧の中で闘うことは容易いのである。
「こいつ……! オルチ兄をブラインドに使いやがって!」
 しかも、常に兄であるオルチの頭部が『オルキヌスの瞳』を遮るようにリーヴァルディは飛び跳ね、斬撃を振るう。

 本来であれば、強化された肉体、その皮膚は刃を通さない。
 それはこれまで彼らが奪ってきた者たちの体の一部である。
「これもまた反響定位の応用――お前達が自負する強化された肉体であろうが、容易く切り裂く……知りなさい、これが吸血鬼狩りの業だと!」
 リーヴァルディは超音波振動によって切断力を強化したグリムリーパーで彼らの皮膚を切り刻み、その体に痛烈なる裂傷を刻み続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・セシル
あなたより大きいオブリビオン見た事がありますので、全然怖くないです。
十全十美の人はこの世に存在しません。私は大きい体より、強い頭が欲しいです。
まずはUCを使用して、相手のUCを相殺します。攻撃は【見切り】で回避してみます。「バブルワンド」で外層が氷属性のバブルを作って自分を守ります。

普通に近接戦は難しいと思って、最初少し距離をとって【高速詠唱】と【属性攻撃】で氷属性の魔法を連発します。敵が近接戦をしたい場合は光の剣「レオナルソード」を持って反撃。左手が氷魔法と共に、【戦闘知識】で敵の攻撃を回避して、剣を振ります。



 七大海嘯『三つ目』の『バルバロス兄弟』の体に刻まれる傷跡が増えていく。
 それは数多の猟兵達が刻んだものである。しかして、その巨人の巨躯を消耗させても、未だ『バルバロス兄弟』は健在であった。
 その魔眼とも言うべき『オルキヌスの瞳』は凄まじい力を発揮していたが、それでも猟兵達は恐れることを知らなかった。
「クソが! 俺達よりも豆粒みたいな体をしていやがるくせに抵抗なんぞしがやって!」
「さっさと潰れて、グリモア出せや――!」
 凄まじい重圧。
 これが七大海嘯と呼ばれるコンキスタドールの力であろうか。その異形なる双頭四腕の巨躯が巨人の振るう巨大なる武器でもって暴風を生み出して、竜巻のように猟兵たちを薙ぎ払わんとする。

「あなたより大きいオブリビオン見たことがありますので、全然怖くないです」
 モノクルのレンズをきらめかせながら、神代・セシル(夜を日に継ぐ・f28562)は船上となった島を駆ける。
 その姿は確かに通常の猟兵達の姿をしても子供のように小さなものであったことだろう。それは即ち、己より小さな者を相手にする時、『バルバロス兄弟』の力が強化されるユーベルコードの条件に当てはまるものであった。

 けれど、セシルは恐怖していなかった。
 彼女はこれまで何度だって自身より強大な、それこそ5mを超す姿のオブリビオンを相手取ってきていたのだ。
 忘れるわけがない。彼女には経験がある。自身より大きなもの、強大なものと闘う術を彼女は手に入れてきたのだ。
「目、心の窓よ…」
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 Windows of Heart(ウィンドウズ・オブ・ハート)。それは彼女のユーベルコード。彼女の視力は言うまでもなく、『バルバロス兄弟』のそれを上回っていたことだろう。

 彼女は見た。
 これまで多くを見てきた。
「十全十美の人はこの世に存在しません。私は大きい体より、強い頭がほしいです」
 知識が、経験が、あらゆるものがセシルの頭の中に詰め込まれている。
 それは屈強なる体を凌駕する屈強なる心を作り出すものであるからだ。
「豆粒みたいなやつがほざくな!」
 振るわれる斬撃。けれど、セシルの瞳が輝いている。視える。斬撃の軌跡が。それが如何なる軌道を描き、どのように動いているのか、どうやって己を叩き潰さんとしているのかを。

 故にセシルにとって、その斬撃が如何に達人の領域に達していようとも躱すことは困難ではなかった。
「こ、こいつ……! オルチ兄! こいつ、俺たちの動きを見切っていやがる!」
 ハイレディンが呻く。
 それはそのはずだ。勝負は一撃で決まると思い込んでいた相手が、己達の攻撃をひょうひょうと躱し続けるのだから。
「バブルワンド、お願い!」
 手にした短杖から氷の属性を伴った泡が溢れ、『バルバロス兄弟』が放った斬撃を受け止める。
 外側が氷となっていれば衝撃を受け止めきれなくても、重なった空気の層が斬撃の衝撃を殺していく。

 さらに砕けても、その端から凍結させていけば、『バルバロス兄弟』の武器を絡め取ることなど造作もない。
「小賢しいことしやがって!」
 氷の泡の壁を蹴破って『バルバロス兄弟』がセシルに迫る。
 しかし、それだけでよかった。セシルにとって『バルバロス兄弟』はやはり強大な存在であった。
 接近戦ではどうあっても勝てないと知る。

 けれど、彼女には考える時間と高速詠唱に寄って十分に蓄えられた氷の魔法がある。
「氷よ! そして――!」
 彼女の左手が氷の魔法を解き放ち、氷の槍を降り注がせながら右手には薄青色の実体のない光の剣『レオナルソード』を抜き払い駆け抜ける。
 振るわれる『バルバロス兄弟』の斬撃。見えている。
 彼女のモノクルが映し出す姿を、しっかりと見ていた。達人と言えども太刀筋を見せ過ぎであった。

 セシルの身体が巨大なる腕を駆け上がり、双頭四腕の巨人へと迫る。
 振るう薄青色の閃光が走り、『バルバロス兄弟』の首元に鮮血を迸らせる。それはこれまで彼らが経験したことのない傷みであった。
「こ、こいつ……! 俺の首を!」
 浅い。
 けれど、その斬撃は確かに届いた。どれだけ強大な存在であったのだとしても、勝てぬ道理など無いというようにセシルは小さな身体のまま、異形の巨人を翻弄し続け、薄青色の閃光を走らせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
「なんともまぁ豪勢な継ぎ接ぎ野郎じゃない! 二つ首とは手柄も倍ね!!」
神器の副作用の猛将テンション
真の姿で龍装束に蛇矛を担いで哄笑する

・先制対策
自身に重力【属性攻撃】をかけ、奴に勝るまで加重する
後は四本腕の攻撃に対し、蛇矛を用いた【ジャストガード】。完璧な受けの型で衝撃を地面に【受け流す】

「あら、軽いわね?」

びくともしない体幹を維持し、【見切り、早業、怪力、気合】で連撃を全て捌いてくれよう

無限の連撃なぞ不可能だ
奴の攻撃の切れ間を狙い、天蛇の蛇矛の【封印を解く】と神器解放
一手目の大薙ぎの一閃で大地を割り、奴の【体勢を崩す】
二手目の【二回攻撃】は神器解放中の蛇矛を【投擲】し、奴を【吹き飛ばし】たい



「なんともまぁ豪勢な継ぎ接ぎ野郎じゃない! 二つ首とは手柄も倍ね!!」
 その異様にテンションの高い声が船上となった島に鳴り響く。
 豪雷のごとく響く声は、威勢よく。
 されど、その声の主の見目麗しい姿を見よ。
 そこに在りしは地を裂き海を割るが如き力を、開放した神器を開放した才堂・紅葉(お嬢・f08859)の姿であった。
 龍装束を身にまとい、蛇矛を担いで哄笑する姿は、『バルバロス兄弟』をして圧倒するものであったかもしれない。

「やかましい女だ! そういうこたぁな! 首をとってから言うもんだぜ!」
「オルチ兄、いくぜ!」
『バルバロス兄弟』が戦場を駆ける。
 その巨人の巨躯と異形なる四腕に手にした巨人の武器を振り回し、暴風の如く戦場を駆け抜ける。
 目測にして一歩の踏み込みで紅葉と『バルバロス兄弟』の距離は縮まる。
 巨大であるがゆえに鈍足であるように思われるが、実際は違う。あれだけの歩幅である。人が何歩も踏み出して漸く到達する距離を、『バルバロス兄弟』は一瞬で踏み抜く。

「潰れちまいな! 猟兵!」
 振るわれた四腕の斬撃が紅葉に一斉に振るわれる。圧倒的な質量。そして巨大なる筋力が生み出す圧倒的な加速。
 それはまるで天上より撃ち落とされし隕石の如き威力で持って紅葉に迫るのだ。
 対する紅葉は蛇矛を構え、その斬撃を真っ向から受け止める。
 それは通常であれば考えられない光景であった。

 これまでも、同じように試みた者は居ただろう。けれど、それらの尽くは失敗に終わり、屍を晒してきた。
 単純に重量が違うのだ。
 重いということは、それだけ次元が違う。どれだけ受け流そうとしても卓越した技量、それこそユーベルコードによってのみ為せる奇跡である。

 だが、彼女は重力を操るハイペリアの姫である。
 自身に掛けられた加重は、その小さな体躯であったとしても、『バルバロス兄弟』を上回っていた。
 振るわれた斬撃を受け止め、周囲に衝撃が迸る。
 けれど、紅葉は潰れない。蛇矛、そして己の体を通して斬撃の衝撃を全て受け流し、アースのように大地へと流していく。
「こ、こいつ、なんで潰れねぇ!?」
「あら、軽いわね?」
 それは体幹が物を言う。
 少しでも体幹がきしめば、衝撃は紅葉の身体の隅々まで行き渡り、彼女の体は潰れていただろう。

 だが、彼女は現に潰れてはいない。
 完璧なる受けの型によって四腕の斬撃の重みを受け流したのだ。型とは即ち、もっとも人体が効率的に動くことのできる究極の形である。
 それは一日で得られるものではない。
 練磨の末に手にすることの出来る珠玉の技能。
「無間の連撃なぞ不可能だ」
 次々と振るわれる『バルバロス兄弟』の斬撃。けれど、それらの尽くを紅葉は受け流し続ける。
 右、左と四腕であることを活かした斬撃の嵐。

 そのどれもが彼女には届かない。
「わかっているのでしょう。攻撃の手を緩めないことが、あんたたちの有利。けれど、どれだけ腕を増やそうが――」
 それが人の形をしているのならば、打倒できぬ理由などない。
 天蛇の蛇矛の封印をほどき、紅葉が踏み出す。神器の開放によって放たれた横薙ぎの斬撃の一撃が『バルバロス兄弟』の足元の大地を抉り、割る。

「力は山を抜き、気は世を覆う……だっけか。要は海をも割る気合って事よ、天蛇王!!」
 態勢を崩した『バルバロス兄弟』のもとへ放たれるは、蛇矛の投擲。
 投げつけられた蛇矛の一撃こそが、天蛇王・猛勢一挙(モーゼイッキョ)。
「馬鹿な! この俺達が! 力負け、するだと――!?」
 放たれた蛇矛の重さは言うまでもない。
 開放された神器に紅葉の手の甲に輝くハイペリアの紋章から流れる超重力の力が重なり、圧倒的な質量となって巨躯なる異形を吹き飛ばし、島を揺るがしかねない地響きを引き起こすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソナタ・アーティライエ
他者から奪ったものを繋ぎあわせたその痛ましい姿と所業に、深い悲しみを覚えずにはいられません
その瞳に映る世界がこれ以上悲しみに染まる事の無いよう……それがわたしの願いです

元々が作り物であり聖なる力を宿すこの身ならば、『生物を退化させる』力に多少は抗う事も出来ましょう
そうして稼いだ時間を使って【神音の調律者】によってオルキヌスの瞳と自身の慈愛の浄眼を繋ぎ、優しさと祈りによって語り掛けその能力を慰撫
そして今度はその力を自身で感じてください
攻撃してくるバルバロス兄弟の腕に対して力を向け弱体・無力化を狙います

無理やり繋ぎ合わされたその力と身体は、さながら砂上の楼閣
いとも容易く崩れ去るものでしかないのです



 双頭四腕なる異形の巨人が猟兵の放った一撃に寄って吹き飛ばされ、大地に沈む。
 地鳴りのような音が響き渡り、島が震えたかのような気がした。
 それほどまでに激しい戦い。
 七大海嘯『三つ目』の『バルバロス兄弟』との戦いであることを知るのは、今やこの島には猟兵しかいない。

 コンキスタドール『バルバロス兄弟』によって虐殺された島民たちを思い、そして『バルバロス兄弟』の体を強化するために体の一部を奪われた者たちを思って、ソナタ・アーティライエ(未完成オルゴール・f00340)は、その心に悲しみを湛えていた。
「他者から奪ったものを繋ぎ合わせたその痛ましい姿と所業に、深い悲しみを覚えずにいられません」
 彼女の瞳に映る悲しみはしかし、彼女が見るのと同じ悲しみを『三つ目』の『バルバロス兄弟』の瞳に映っていることではない。

 彼らはコンキスタドール。
 欲望の権化である。彼らが欲するがゆえに略奪が引き起こされる。彼らにとって欲するということは即ち奪うことに直結するのだ。
「はっ! 俺たちの姿が繋ぎ合わせに視えるというのならば、猟兵よ。それこそが俺たちの強さの証明ってもんだぜ?」
「ハイレディンの言う通りだ。俺たちは奪う。奪い、奪って、奪い尽くして行く。それが強者の特権ていうやつだ!」
『バルバロス兄弟』にはソナタのような悲しみや、他者を労る気持ちはなかった。

 とても悲しいことだった。
 その眼窩にはめ込まれた『オルキヌスの瞳』もまた誰かから奪ったものであろう。それが為す所業の悲しさをソナタは痛烈に感じていた。
「その瞳に映る世界がこれ以上悲しみに染まる事のないよう……それが私の願いです」
「なら、その悲しみごと消えちまいな!『オルキヌスの瞳』よ!」
『バルバロス兄弟』、ハイレディンの瞳が輝く。
 それは生物の『退化』を促す魔眼の輝き。その輝きに見つめられた者は生物であれば、『退化』し、縮小して、単純化した後に消滅する。
 恐るべき力であった。

「――……なんだ? おい、おかしいぜ、オルチ兄」
 ハイレディンは訝しんだ。
 確かに己の『オルキヌスの瞳』はソナタを捉えている。
 だが、生物を『退化』させる力はソナタを『退化』させない。何故、と思ったのも無理なからぬことであった。
 ソナタは生物という括りの中にはいない。ミレナリィドールである彼女は厳密には生物とは言い難いのかもしれない。

 けれど、確かに生命が宿っている。
 例え人形の体であったのだとしても、彼女は確かに生きて此処に在るのだ。精巧な作り。精緻なる作り。永遠の少女の美しさを象る彼女の姿は些かの『退化』も起こり得ない。
 だが、その生命の輝きを見よ、コンキスタドール。
「……お願い……応えて」
 彼女の歌が響く。
 世界に響き渡り、彼女自身が神音の調律者(メザメルスベテノコドモタチ)になることによって『オルキヌスの瞳』と己の瞳、慈愛の浄眼をつなぐのだ。
 優しい光を讃える青い瞳が『オルキヌスの瞳』と繋がる。

「――なんだ、これは! このぞわりとする感触はよぉ!?」
 ハイレディンが叫ぶのが聞こえる。
 それは優しき慰撫。ソナタが宿す作りものであるけれど、青き輝きを宿す瞳と繋がることに寄って、その『オルキヌスの瞳』の脳力に優しさと祈りをもって語りかけるのだ。
 真なる邪悪にとって、それはおぞましい何かであったことだろう。
 鏡合わせのように放たれる『退化』の力。
 ソナタの歌と共に紡がれる力は、逆流するように『バルバロス兄弟』の異形なる四腕に『退化』させていく。
「ハイレディン!『オルキヌスの瞳』の力をとじろ! 逆流している!」
 オルチの言葉に荒い息を吐き出しながら、ハイレディンが忌々しげにソナタをねめつける。

 けれど、ソナタの瞳は優しいままだった。
「無理矢理つなぎ合わされたその力と身体は、さながら砂上の楼閣。いとも容易く崩れ去るものでしかないのです」
 コンキスタドールとなってしまった身ではソナタの優しさと祈りは届かないだろう。どれだけの優しさや祈りを踏みにじってきたかわからない者たちにとって、その無償の慈愛とも言うべきソナタの歌声は、力によって屈服される以上におぞけ走る物となって、彼らの力を見事に封じるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファラン・ウルフブラッド
【アドリブ・絡み歓迎】

ハッ!御大層に汚ねぇパッチワーク見せびらかしてんじゃねぇよドサンピンが。見苦しいったらねぇぜ!
今からそのパッチワークを切り刻んでバラバラのパズルにしてからサメの餌にしてやるから覚悟しな。

相手の先制攻撃に対しては、『カラドボルグ+のこぎり鉈』の二刀流で迎え撃ちます。
膂力負けしないように『怪力』を発動し、『見切り』で受け流し、『残像』でミスを誘います。戦闘に支障が出ない傷は必要経費で割り切る。

相手を煽って集中力を落とし、攻撃チャンスが来たら一気に間合いを詰めてUCを発動。剣に纏わせた無数の真空の刃をゼロ距離で叩き込みます。

可能であれば、弟の眼球に目潰しして抉り取ろうとします。



 猟兵のユーベルコードは見事に『オルキヌスの瞳』の力を封じていた。
 それはこれまで『退化』の力を行使することによって敵対者との争いに勝利してきた『バルバロス兄弟』にとって予想外なことであった。
 それは同じ七大海嘯『鮫牙』から味わった屈辱と似たものであったことだろう。
「くそったれが! 弟を、ハイレディンをよくもやってくれたな!」
 双頭四腕の異形なる巨人、オルチが咆哮する。その姿は恐ろしく、憤怒にまみれていた。未だ彼らの五体は無事であるが、これまで猟兵と繰り広げてきた激戦の傷跡は刻み込まれ続けている。

「オルチ兄、すまねぇ……だが、まだやれるぜ! 俺たちの、この肉体はまだ奴等に敗けたわけじゃねぇ!」
 弟であるハイレディンの首が呻くようにして、頭を振る。未だ戦意は衰えず、彼らはその巨躯と異形なる四腕があるのだ。
 巨人の武器があれば、猟兵を圧倒することなど難しいことではないのだ。
 だが、そんな彼らのミイに届くのは高笑いであった。
 野良の海賊たちから恐れられる海の災厄とも呼ばれる者の高笑いであった。

「ハッ! 御大層に汚ねぇパッチワーク見せびらかしてんじゃねぇよ、ドサンピンが。見苦しいったらねぇぜ!」
 ファラン・ウルフブラッド(鮫と掠奪は海の華・f03735)は高笑いと共に戦場を駆け抜ける。
 彼こそが周辺の海で災厄と呼ばれる海賊であった。ファランは不敵な笑みを浮かべながら、真っ向から『バルバロス兄弟』へと肉薄する。
 互いの体格の差は言うまでもない。
 けれど、それがファランにとって退く理由にもなっていない。
「抜かせよ、猟兵! てめぇごときが俺たち兄弟に敵うわけねぇだろうが!」
 暴風のように振るわれる四腕の斬撃がファランを襲う。
 飛び込んだファランが振るう狼血の王に代々継承される特大剣とノコギリ刃を持つ可変式の黒剣が『バルバロス兄弟』の振るった刃と激突する。

「今からそのパッチワークを切り刻んでバラバラのパズルにしてからサメの餌にしてやるから覚悟しな!」
 ぎりぎりと互いの刃が火花を散らせる。
 互いの膂力はほぼ互角である。だが、対する巨人の腕は二本ではない。四腕なのだ。横合いから挟み込むように振るわれたフレイルと槍がファランに迫るが、受け止めていた刃を滑らせるように受け流し、『バルバロス兄弟』の武器と激突させながら飛び退る。
「威勢はよかったようだが、どうした! 防戦一方じゃあねぇか! なぁ!」
「ハイレディン、一気に決めるぞ! あの野郎、俺達の身体をパッチワークだと抜かしやがった! 兄弟の絆をなめるなよ!」

『バルバロス兄弟』は激高していた。
 ファランの狙い通りであった。彼らは今ファランのはなった言葉によって煽りに煽られ、冷静さを欠いている。
 もしも、彼らが冷静であったのならば、ファランの挑発に乗ることはなかっただろう。
 だが、その煽りは彼らの集中力を削ぐ。それをファランは敢えて狙ったのだ。激高したことによる斬撃の重みはもはやファランに耐えられるものではなかった。

「ぐっ――」
 受ける度に受け流そうとしても、流しきれない重みにファランは顔をしかめる。だが、これでいい。やたらめたらに打ち込まれる斬撃は確かに精彩を欠いていた。
 それを待っていたのだ。
「潰れちまいな――!」
 その瞬間はファランが思うよりも早くやってきた。大ぶりの一撃。こちらが受け止めることばかりしていたおかげで、あちらにはファランがすでに追い込まれているように錯覚させられていることは気づかれていない。

「我が剣術の前に、数の差など意味はない」
 そう、腕が四本あろうがなかろうが関係ない。 
 ファランの瞳がユーベルコードに輝く。振るわれた斬撃を躱し、その巨躯の腕を蹴って宙を舞う。
 狙うはハイレディンの瞳である。
 その瞳、『オルキヌスの瞳』は厄介というほかない。今は他の猟兵に寄って効果を喪っているが、いつまた効果を取り戻すかわからない。

 それ故に潰す。
 その最大の力を削ぎ落とそうと振るわれるは、吹き荒ぶ風の刃(フキスサブカゼノヤイバ)である。
 刃にまとわせた無数の真空の刃がノコギリのように渦巻き、ハイレディンの目を狙う。
「ハイレディン!」
 だが、その必殺の斬撃は庇うようにしてかざされたオルチ側の腕によってかばわれてしまう。

 しかし、ファランはそれでも刃を振り抜く。
「言っただろうが! そのパッチワークを切り刻んでやるってよ! まずは腕一本! もらった――!」
 振り抜いた斬撃がオルチの腕を両断する。
 吹き上がる血飛沫と共に大地に落ちるは、『バルバロス兄弟』の四腕のうちの一本。
 重たい音がして、その巨大なる腕の一本を落しファランは尚も真空の刃と共に『バルバロス兄弟』を追い詰めんと高笑いと共に戦場を走る一閃となるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エィミー・ロストリンク
【POW】
グリモアを奪わせたりはしないよー!
もっと言えば、継ぎ接ぎだらけの身体は健康に悪いよー?

キャバリア・アカハガネに搭乗して参戦
両手のガトリングキャノンの弾幕で武器を弾き、接近させないように牽制射撃を敢行
さらに近づいた時はロード・プラチナの宝冠を発動させて、超硬装甲を盾に粘液型毒煙結界を発動させて怯ませてから距離を取る

先制攻撃後は弾幕を貼りながら特殊弾を紛れ込ませ、UC「RE:祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」を発動
背後に出現させた二足歩行戦車と電脳大魔王第一形態の砲撃、後にバーニングナックルの拳を叩き込む

これが絆の力だよー! 兄弟に負けない姉妹パワーだーー!



 凄まじい斬撃と共に七大海嘯『三つ目』の『バルバロス兄弟』の四腕のうちの一本が斬り飛ばされ、大地へと落ちる。
 傷みに咆哮する『バルバロス兄弟』。
 その表情は憤怒そのものであった。双頭四腕の巨人は、今この瞬間から、その異形なる姿を損ない、けれど、同時に追い込まれていたのだ。
「グリモアを奪わせたりしないよー! もっと言えば、継ぎ接ぎだらけの体は健康に悪いよー?」
 そんな言葉と共に戦場に現れたのは、エィミー・ロストリンク(再臨せし絆の乙女・f26184)の駆る赤きキャバリア、『アカハガネ』であった。

 全高5m級の機動兵器であるキャバリアと『バルバロス兄弟』の体躯はほぼ互角。けれど、対する『バルバロス兄弟』は一腕を喪ったとは言え、いまだ三本の腕をたぐり、重撃なる斬撃を繰り出す達人であることには変わらない。
「よくもオルチ兄の腕を……! 許さねぇ!」
「漸く、腕が馴染んできたってのによぉ……! また繋ぎ合わせなきゃならねぇだろうが! お前の、その機械じかけの腕をもらうぜ!」
『バルバロス兄弟』の双頭が吠える。
 それは目の前に対峙するエィミーのアカハガネのことを指しているのだろう。

 彼らは欲してきた。
 己の体を強化するための肉体を、部品を。それは結局の所生物的なものでなくてもいいのだ。故にエィミーが駆るキャバリアの腕を狙っているのだ。
「だからー、健康に悪いんだってー!」
 振るわれる暴風のような斬撃の嵐を躱しながら、『アカハガネ』の両手から放たれるガトリングキャノンの弾幕で『バルバロス兄弟』の武器を弾きながら、距離を取るように牽制射撃を敢行する。
 だが、あちらもまた巨人の体躯にして武器の扱いは達人である。
 三腕に減ったとは言え、未だその力は健在であった。

「いいな! いいな! その腕! 機械の腕っていうのも悪くはないぜ!」
 距離を離そうとしても、その欲望は高まるばかりであり、弾幕の嵐であったとしても『バルバロス兄弟』の欲望は萎えるどころか燃え上がるようにして『アカハガネ』へと組み付かんと迫るのだ。
「もー、しつこい!」
 エィミーと『アカハガネ』の頭上に白金の宝冠型メガリスが輝く。
 それは瞬時に超硬装甲の盾と粘液型毒煙結界となって、『バルバロス兄弟』を引き剥がす。

「それもメガリスか! 益々持って欲しくなったぜ! なんだよ、あの野郎、メガリスだらけじゃねぇか!」
「そそるぜ! 奴を倒せば、俺達はもっと強くなれる! そのメガリスをよこせぇ――!」
 その瞳は欲望にまみれていた。
 奪うことが当たり前の倫理観。分け与えることもなく、奪うだけ。そうすることで己を強化していく。
 コンキスタドールになる前から彼らは狂っていたのかも知れない。
 その欲望の権化を前にしてエィミーは退かない。
「お義姉ちゃん、お願い!」
『アカハガネ』のアイセンサーがユーベルコードに輝く。

 それはRE:祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり(リコール・キヨモリ・アンティーカ)と響く弾幕の牽制射撃に紛れ込ませた特殊弾頭が効果を発揮した瞬間であった。
 電脳召喚座標。
 それが特殊弾頭の本来の使い方である。
 座標として固定された『バルバロス兄弟』に降り注ぐのは、電脳召喚によって召喚された二足歩行戦車と電脳大魔王第一形態であった。
 その砲撃が轟音を鳴り響かせ、『バルバロス兄弟』を穿つ。

 爆炎と共に包み込まれれる『バルバロス兄弟』の巨体へと突っ込む赤きキャバリア。
 炎の中から飛び出した『アカハガネ』が振るうは炎熱する拳。
「これが絆の力だよー! 兄弟に負けない姉妹パワーだ――!」
 砲撃が『バルバロス兄弟』を強かに打ち据え、吠えるように『アカハガネ』のジェネレーターが唸りを上げる。
 振るい上げた炎熱する拳が大気を揺らめかせながら、双頭の巨人へと叩き込まれ、その巨躯を吹き飛ばし、気炎を上げる。

 それはまさに兄弟と姉妹の対決であり、エィミー達姉妹の勝利であることを告げるには十分な一撃であったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん

ずいぶんと大きいことでー。まあ、複合なのは否定しませんけど。
先制攻撃は、視力と第六感、戦闘知識を活用しての回避。四天霊障にて、なるべく横に流す感じで。
私のみ忍びですからね。こう身軽く避けるのは得意なんですよー。懐に入り込むのもですがー。
で、攻撃ですが。


第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎

すまんの、初撃回避のためだけに呼び出して。
炎属性攻撃のついたUCでの攻撃。まあ、意趣返しなのよな。
何せ、これは『同じ系統』のUCであるからな。
負けるかよ。



 炎熱の拳が異形なる双頭四腕――今は斬り落とされ三腕となった巨人、七大海嘯『三つ目』の『バルバロス兄弟』を打ち据え、吹き飛ばす。
 地鳴りのような音を立てて大地に倒れ伏した巨人であったが、彼らの意識は未だ欲望に燃えていた。
「さいっこうだな! 猟兵ってやつは! よりどりみどりじゃあねぇか!」
「ハイレディン、そのとおりだよなぁ! あんなにメガリスや異世界の秘宝を持っているやつらばかりだなんてな! 喪った腕の補充なんていくらでもできらぁ!」
 ギラギラとした欲望の輝きを放つ三つ目。
 彼らにとって肉体とは継ぎ接ぎするものであり、奪うものである。故に彼らにとって腕の損失や傷は即ち、これから移植するために切開する手間が省けた程度のことでしかないのだろう。

 故に彼らは未だ消耗しても消滅することはない。
 これが強大なるコンキスタドールであることは、猟兵たちにとって驚異的なことであった。
「ずいぶんと大きいことでー。まあ、複合なのは否定しませんけど」
 自分達も似たようなものであるが、決定的に違う存在であると、複合型悪霊である馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)、その一柱『疾き者』はのんびりといした口調で笑った。
「言っておけよ、猟兵。俺達の邪魔をするのなら――」
「容赦はしねぇ!」
 振るわれる斬撃の嵐。
 それは腕一本を落しているというのに、遜色のない暴風じみた攻撃であった。そもそも巨躯であることが、さらに攻撃の威力を底上げしている。

 叩きつけられたフレイルの一撃が大地を割る。
 まともに受けられる猟兵は少ないだろう。故に『疾き者』は張り巡らせたオーラの力を加減して、横に受け流す。
 それでもオーラをヒビ割らせるほどの威力。
「ちょこまかと受け流しやがって!」
「これでも私は忍びですからね。こう身軽く避けるのは得意なんですよー……それと」
『疾き者』が踏み込む。『バルバロス兄弟』の斬撃の嵐の中、その間合いの内側へと踏み込むのだ。
「――懐に踏み込むのですがー」

 そして、彼らは入れ替わる。
 彼らは四人で一人の複合型悪霊である。表層に現れる人格に寄って役割を変えるのだ。『疾き者』が初撃をいなすことを目的とするのであれば、今まさに現界した一柱は『侵す者』。
 武の天才とも呼ばれた彼が手にするは黒色の槍であった。
「すまんの、初撃回避のためだけに呼び出して……だが、おかげで間合いに入れたわい――」
 その瞳がユーベルコードに輝く。

 黒色槍の一閃はまるで、真っ白な紙に墨汁で線を引いた家のように真っ直ぐに振り抜かれ、『バルバロス兄弟』の巨躯へと叩き込まれる。
「この一撃、てめぇ! まさか!」
『バルバロス兄弟』が呻く。それはまさに――。
「まあ、意趣返しなのよな」
『侵す者』が笑う。
 彼が使ったユーベルコード、四天境地・『狼』(シテンキョウチ・オオカミ)、それはいうなれば、『バルバロス兄弟』が使ったユーベルコードと同じ系統のものである。
 相対する者として、これ以上の意趣返しはないだろう。

 同じ系統、同じように振るう力であったとしても、此処まで差が出るのだと。
 それこそ腕の本数など無関係であるというように『侵す者』が放った槍の一撃が『バルバロス兄弟』の脇腹を貫き、抉るようにして粉砕せしめるのだ。
「負けるかよ――お主らのような欲望の権化に」
 放つ一撃は『バルバロス兄弟』の強靭なる肉体、そのパッチワークの醜悪さを吹き飛ばすようにして彼らを追い詰める。

 例え、器は一つであったとしても、彼らは二人分。
 だが、こちらは四人の執念とも言うべき魂が宿っているのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
継ぎ接ぎの身体は、獲物から得た勲章って感じね。こういう品のない相手は嫌い。
行くよ、アヤメ。見知らぬ犠牲者さんたちの弔い合戦。

自己強化だけで手番を終えるつもりはないわよね。武器攻撃が来る。
「全力魔法」「オーラ防御」「呪詛」で、避けるよりも受ける!
「呪詛」は、その武器を持っていると手から腐っていくというもの。

巫覡載霊の舞で踊るように攻撃をかわし、時に薙刀で受け、腕を断ち切る。
数が多い分、一撃ごとの攻撃は雑なんじゃないの?

あたしが注意を引きつつ、アヤメには敵の延髄に一撃を入れてもらう。
といっても二本あるから、片方を断っても動きは止まらないでしょうね。
最後は武器を振るっての削り合い。不利は承知の上よ。



 双頭四腕の巨人、七大海嘯『三つ目』の『バルバロス兄弟』の威容はすでに損なわれていた。
 数多の猟兵達の攻撃にさらされ、未だ尚消滅していない所からも、彼らが尋常ならざるコンキスタドールであることは言うまでもない。
 四腕あった内の一つは斬り落とされ、脇腹を抉るように貫かれた痕。さらには全身に刻まれた切り傷に頬に残る焼け焦げた痕。
 あらゆる攻撃、あらゆるユーベルコードが、彼らの先制する力を凌ぎきった上に放たれたものであると知るには十分すぎる傷跡であった。
「はぁ――! はぁ――! あぁ、やっぱりたまんねぇな!」
「ああ、これだから戦いはやめられねぇ! 奪い、奪われる感覚! やはり猟兵たちを待ち受けていて正解だった! グリモアを奪い、奴等の屍から傷跡を癒やす」
「これでまた俺達は強くなれる!」

 その瞳は戦いの激しさが増すにつれて強くなっていく。
 まさに強欲。
 全てを欲し、奪い、殺す殺戮者。それが『バルバロス兄弟』である。
「継ぎ接ぎの身体は、獲物から得た勲章って感じね。こういう品のない相手は嫌い。行くよ、アヤメ」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は召喚した式神のアヤメと共に戦場に躍り出る。
 彼女にとってこれは、見知らぬ犠牲者たちの弔い合戦である。
 すでに喪われた生命は取り戻せない。
 それはよくわかっていることだ。この島に住んでいた島民たちはすでに『バルバロス兄弟』によって鏖殺されている。

 故に、弔うことでしか、彼らの魂を慰撫することはできない。
「はっ! これまた小粒程度のやつが何か言ってやがるぜ、オルチ兄!」
「叩き潰せ! ハイレディン!」
 一本の腕を落とされたと言えど、その力は未だ凄まじいの一言に尽きる。彼らは己より小さきものであればあるほどに力を増す。
 素早さも力も、その武器を扱う技量でさえ増すのだ。
「――自己強化だけで手番を終えるつもりはないわよね!」
 振るわれた斬撃の重さは、一瞬見ただけでわかる。
 下手に躱した瞬間、その斬撃は別方向から放たれた腕に襲われてしまう。そうなってしまえば、如何に猟兵で言えど無事では居られない。

 神霊体へと変身したゆかりの放つオーラと全力の力を振り絞った呪詛で斬撃を受け止める。
「ぐっ……重い……!」
 叩きつけられる斬撃の一撃一撃が人を圧死させるには十分すぎるものであった。
 重たくのしかかる衝撃が、ゆかりの身体を軋ませる。
 哄笑が頭上から降り注ぐ。これだから品のない相手は、とゆかりは毒づくが、巫覡載霊の舞から、ステップを踏むように斬撃の一撃を躱す。

 それはこれまで叩きつけられたオーラに染み込ませた呪詛によって振るう腕を腐らせて居たがゆえに見いだせた隙であった。
 達人級の斬撃を放つ相手には、リーチも威力も及ばない。
 故に搦手を使って合わせたのだ。
「――だが、ジリ貧だろうがよ!」
 それでも届かない。
 そう、ゆかり一人の力では、だ。今まで何故ゆかりが一歩も動かずに攻撃を受け止め続けていたのか。

「そこです!」
 式神アヤメが背後から、巨人の延髄を狙ってクナイを放つ。
 その一撃は完全なる不意をついたものであった。双頭の巨人、その首の付根は同じである。
 身体を操る神経が集中するのであれば、その首こそがウィークポイントであったはずだ。
「てめぇ――!」
 傷みに咆哮しながら『バルバロス兄弟』が巨大な武器を振るうが、その動きは精彩を欠いていた。
 呪詛の力と延髄に対する一撃が聞いているのだ。

 薙刀を手にゆかりは神霊体の力を振り絞って上段から背後に気を取られた『バルバロス兄弟』の眼前に舞う。
 その手にした薙刀の一撃が紫の一閃となって『バルバロス兄弟』の胸元に深々と一文字の斬撃を加える。
「不利は承知の上よ。けれど、退けないのよ。あんたたちみたいなのに生命を奪われた人達がいるってことが、退けない理由でしょう――!」
 放たれた一撃は深い。
 それは彼らに理不尽に奪われた生命に対する贖罪の一撃であった。

 その痛み、その傷をもって、彼らの魂に報いるためにゆかりは衝撃波を放つ薙刀を振るい続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
一兵士として、決してしなかったとは言いませんが…
虐殺、いかに戦争といえど、一般市民の殺害はあまりしてはならない。
しかし、悪辣非道のオブリビオンには関係ない話か…!

回点号を遠隔操縦、敵巨人の前へ出し、オーラ防御。
凝視によって退化されるというならば、凝視されなければ良い!
ディスポーザブル03に搭乗、操縦し回点号の背後から誘導弾を発射!

回点号が壁に視界を遮り、シールドバッシュ、シールドを纏った武装で敵の攻撃を防ぐ。その隙に『劫火戦塵』発動。

尽くを殺した。ならば自分も、貴様を壊す!!応報せよ!!!
撃て、撃ち尽くせディスポーザブルッ!!
ミサイルの一斉発射!全弾をバルバロス兄弟に命中させる。



 人の営みに置いて争いは尽きることはない。
 それが人と人との間に起こる摩擦であればこそ、人は人たらしめるために争うのかも知れない。その摩擦をもって人の進化が為せるというのであれば、より善きものにと願うのもまた人である。
 故にこれは違うと朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は凄惨たる殺戮の痕が残るグリードオーシャンの戦場となった島を駆け抜ける。
 彼女自身は回転号を遠隔操作しながら、無限軌道『ディスポーザブル03』を駆る。両腕にビーム砲、各所にミサイルコンテナを擁し、アンダーフレームに無限軌道を装着したキャバリアが征くのだ。
「一兵士として、決してしなかったとは言いませんが……虐殺、如何に戦争といえど、一般市民の殺害はあまりしてはならない」
 していないとは言い切れない。
 己が兵士であると定めるのであれば、己の放った銃弾の流れ弾が誰かを殺したと言われても否定はできない。
 故に小枝子は瞳をユーベルコードに輝かせる。

 遠隔操作した回転号が七大海嘯『バルバロス兄弟』へと突っ込んでいく。
「なんだぁ……? あれは、そうか。あれも鋼鉄の巨人、キャバリアってやつか!」
 兄であるオルチが喝采するように迫る回転号を見やる。
 彼らは既に数多の猟兵によって打撃を加えられている。四腕ある腕の一つは欠落し、脇腹には大穴が穿たれ、さらに全身の至るところに裂傷や打撃の痕が残る。
 さらには胸に刻まれた一文字の傷口からは血が吹き出し続けている。
「なら、あいつらのも奪ってやろうぜ!」
 ハイレディンの『オルキヌスの瞳』が禍々しく輝く。
 それは生物に『退化』を促す魔眼とも言うべきメガリスの輝きであった。その凝視を受けては、如何に猟兵と言えど弱体化させられることは言うまでもない。

 だからこそ、小枝子は回転号を前に押し出し、凝視されることを阻んだのだ。
「お前達悪逆非道のオブリビオンには関係のない話かもしれないが……!」
 小枝子は叫んだ。
 理不尽に、無残にも奪われた生命に叫んだのだ。誘導弾を放ちながら、回転号を壁に『バルバロス兄弟』へと迫る。
「はっ! 何を言っていやがる!」
「何故尽くを殺した」
「邪魔だったからだよ。お前達猟兵が来るまでの時間つぶしってやつさ。言っておくが俺達は人質に使うつもりだったんだ。何もかもお前達が来るのが遅いのが、悪い」
 笑った。
 彼らは笑っていた。戦いながら、生命のやり取りをしながら笑っていた。

 小枝子にはそれがどうにも許せない。
「――ならば自分も、貴様を壊す!! 応報せよ!!!」
 ディスポーザブル!
 その叫びに応じるように無限軌道描くディスポーザブル03のアイセンサーが輝く。それは彼女の叫びに応じるように擁したミサイルコンテナが開き、無数のミサイルを解き放つ。
 回転号が『バルバロス兄弟』の腕から繰り出される斬撃を前に打ち倒される。
『退化』促す輝きが己を見ている。
 関係がない。
 撃て、撃ち尽くせ、と小枝子は叫んだ。

『バルバロス兄弟』の放つ斬撃は重く、如何に5m級の鋼鉄の巨人であろうとも、その走行を容易く引き剥がすように破壊していく。
 それでも止まらない撃ち尽くす。
 その一念に置いてのみ、劫火戦塵(ゴウカセンジン)を巻き起こすように小枝子はミサイルを一斉に撃ち放つ。
「この怒りが正当なものでなくたっていい。自分はお前達を壊すと決めた! 尽く壊す!」
 生命は戻らない。
 戻らないのだ。それを知っているからこそ、小枝子は己の命の輝きを燃やす。どれだけ傷を追ってもいい。
 自分の体は他の身体とは違う。再生が早い。傷の治りだって早い。他の誰かであれば致命傷であったのだとしても、それでも小枝子は生きて還る。

 だから、この身に負う傷の代わりに。
「一つでも生命を救う――お前達は奪いすぎた!」
 故に小枝子とディスポーザブル03が放つミサイルの尽くが『バルバロス兄弟』の肉体を焼く。
 それが奪った命の報いであると告げるように、爆炎が空高く舞い上がっていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎

俺のも目の関係だから分かるが、あくまでも見えている対象への攻撃ならやってみる価値はあるか
これでも喰らって元の海へ帰れ!

SPDで判定
オートバイに乗り【運転】【操縦】で大きく土煙を立てるようにすることで視界に俺が出来るだけ入らないようにする
多少は【覚悟】して受ける
そしてオートバイから飛び降り、暴走したそれへ視線を誘導【おびき寄せ】
その隙に持ってきていた魔銃で指定UCを使用
藍の災い:圧壊【重量攻撃】を付与した弾丸を【スナイパー】で脚に撃ち込み【体勢を崩】させた後、赤の災い:炎熱【焼却】を撃ち込む



『オルキヌスの瞳』――それが如何なるものであるのかを猟兵は知る。
『退化』の呪いを見つめた者にもたらす魔眼にしてメガリス。
 それはいうなれば、相対する者が生物である以上、逃れることのできぬ必殺為るユーベルコードであったことだろう。
 縮小し、単純化し、消滅する。
 そうやって七大海嘯『三つ目』の『バルバロス兄弟』たちは敵を葬り去ってきた。最上の身体を手に入れるために、他者の肉体を継ぎ接ぎにして作り上げてきた双頭四腕の巨人コンキスタドールであった。

 彼らは他者の物はなんでも欲した。
 メガリスであろうと肉体の部位であろうと、尽くを奪ってきたのだ。それは今までもこれからも変わることはないのだろう。
 だが、それも猟兵達が繰り広げられてきた戦いによって、因果応報の執着へと辿り着こうとしていた。
「くそったれが……! 皮膚もそうとっかえしないとならんとはな!」
「ハイレディン、腕もだ。斬り落とされちまったからな……ああ、脇腹もか」
 彼らにとって肉体とは継ぎ接ぎにするものである。故にどれだけ傷ついたとしても最期には他者から奪えばいい。 

 その程度の認識なのだ。
 彼らの視界に映るのは土煙を大きく立て戦場を横断するオートバイを駆るルイス・グリッド(生者の盾・f26203)であった。
 わざと土煙をたて己を彼らの視界に入れぬようにとしていた。
 だが、彼らは『バルバロス兄弟』――異形なる巨人である。彼らの、弟であるハイレディンの瞳に輝くのは奇しくも、ルイスと同じメガリスの魔眼。
『オルキヌスの瞳』は『退化』をもたらす。
「はっ、馬鹿が! その程度で俺の『オルキヌスの瞳』から逃れられるものかよ!」
 魔眼が輝いた瞬間、ルイスはオートバイから飛び降り、暴走するバイクを『バルバロス兄弟』へと差し向ける。

「くそっ……やはり、ミラられるか……! だが!」
 やってみる価値はあったのだ。
 暴走するオートバイに気を取られ、同時に『バルバロス兄弟』が残った腕でオートバイを叩き潰す。
 爆炎が上がり、彼らの視界を遮った瞬間、ルイスは走る。
 視界を遮られたことにより『退化』の呪いは僅かだがルイスから外れた。

 手にしていたのは、キャバリアが持つ魔銃であった。
 属性付与(エンチャント)のユーベルコードが輝き、己のメガリスの義眼の力を伝導させる。
 その輝きに応じた災いを引き起こすメガリスの色は藍色。放つ弾丸が超質量を持って放たれ、『バルバロス兄弟』の肩を穿つ。
 圧壊の力の込められた弾丸が彼らの腕を重く圧し、攻撃の手を鈍らせるのだ。さらに放たれた弾丸が足を狙い、膝をつかせる。
「これは――てめぇも魔眼使いか! だがよ!」
「ハイレディン! やつの狙いは」
「もう遅い。これを確実に当てる為に俺はお前達をひきつけたんだ」
 ルイスの義眼が赤の災いに輝く。

「これでも喰らって元の海へ帰れ!」
 放たれる弾丸から生み出されるのは炎熱の力。
 打ち込まれた弾丸が膨れ上がり、炎となって『バルバロス兄弟』の身体を焼く。それはどれだけ継ぎ接ぎにしたかもわからぬ犠牲者達の遺骸を荼毘に付すことであり、その炎を持って、弔いとルイスはするのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
さて。退場する時間だぞ

戦況は『天光』で逐一把握
受ける攻撃は『再帰』にて自身の周囲に無限遠の空間を構築、且つ『絶理』の断絶の原理も循環させ到達させない
敢えて姿だけは見せておく
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

魔眼・封絶で拘束
行動と能力発露を封じる魔眼故、捕らえればユーベルコードも霧散する
無論メガリスも応えはしない

高速詠唱の技法で即座に起動、『解放』を通じ全力の魔力を注いで拘束力を最大化
且つ行使の瞬間を『再帰』で無限循環し無数に拘束を重ねて封殺する

捕らえたら打撃で
無限に重なった「何も通さぬ空間」で殴れば相応以上に痛かろう
『討滅』も乗せ速やかに叩く

※アドリブ歓迎



 巨人は言うまでもなく人間の三倍をも超える身体を持つものである。
 双頭四腕である七大海嘯『三つ目』の『バルバロス兄弟』は、まさしく異形なる巨人であった。
 弟であるハイレディンの『オルキヌスの瞳』は生物を『退化』させる魔眼でありメガリスを持つ。
 兄のオルチは隻眼でありながら、その眼窩にグリモアを望む者。そんな彼らにグリモアを渡すわけにはいかず、同時にこれ以上殺戮を行わせるわけにはいかなかった。

 彼らはこれまでも多くの猟兵達に傷つけられ消耗していた。
 だが、彼らが喪わぬものがあった。それは欲望である。己の身体の欠損ですら、次なる獲物のための前哨にすぎないのだ。
「クソが……よくもここまで俺達の身体を痛めつけてくれたな!」
「なぁに、ハイレディン、やつらを残らずぶち殺してしまえばいいのさ。身体の替えは死体からだってできる」
 あくまで彼らにとって戦いとは奪うものでしかないのだ。

「淀め」
 それは短く彼らの耳に届いたことだろう。
 アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)はいつの間にか其処にいた。気配すら感じさせずに、いつからそこに在ったのかさえわからぬ存在の希薄さ。
 それは彼が自身の周囲に無限遠の空間を構築していたからだ。
 断絶の原理を循環させ、あらゆるものを拒む。
 姿だけを見せたのは気まぐれであったのかも知れない。
 それだけでも維持するための魔力は膨大なものであったのかも知れないが、彼には関係のないことであったのかも知れない。

 如何なる原理かもわからず、けれど其処に居るということだけがわかる存在。
 そのユーベルコードが輝き、魔眼・封絶(マガン・フウゼツ)の力が発露する。
「さて。退場する時間だぞ」
 放つ言葉と心眼によって捉えた数位の全対象に世界の根源から直に存在を捉える原理の魔眼の力を放ち、一切の行為を禁じ、能力発露を封じることによって、『バルバロス兄弟』の動きを封じるのだ。

 行為とは即ち言葉も、『オルキヌスの瞳』の力もまた然りである。
 そこへ放たれるのは『何も通さぬ空間』による打撃である。
 アルトリウスは、それを持って打撃と為す。
 如何なる原理かを理解するものはいないだろう。誰も彼もが理解の外にある。ただ、目の前のオブリビオン、コンキスタドールを叩く。
 それだけのために力を振るう。
 理由はわからずとも、オブリビオンであるという理由だけがアルトリウスにとっての力を振るう理由であった。

 悲鳴も後悔も。
 何もかも許さずに打ち込まれる打撃が『バルバロス兄弟』の継ぎ接ぎだらけの身体を、さらなる消耗へと叩き落とすように打ち据えられるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リューイン・ランサード
アシュラマンの出来損ないみたいなのが出てきました!
怖いというより、何か生理的に嫌な相手ですが…(住民が殺され廃墟と化した島を見て)許せないので倒します!

敵先制攻撃は翼を広げての空中戦で空に退避(飛行阻害効果があるので高くは飛ばない)。
敵がジャンプや飛び道具で攻撃したら第六感と見切りで読み、空中戦能力で回避したり、ビームシールド盾受けとオーラ防御で防いだりする。

UC使用可能になれば、残像による分身を多数作り出して頭上から攻撃!
と見せかけ、自分は敵後方の少し離れた所に急降下、地面スレスレの飛行で背後から接近。
UC&雷の属性攻撃を籠めた蹴りで敵の金的痛打!

頭と手は多くでも金的は一つでしたか、と納得。



「なんだってんだ、あの力は――!」
 双頭の異形なる巨人、七大海嘯『三つ目』の『バルバロス兄弟』の兄、オルチが叫ぶ。これまで猟兵達に与えられてきた攻撃は彼らを消耗させるには十分すぎるものであった。
 四腕あった腕の一つは欠落し、脇腹や身体のあちことには裂傷と打撃の痕が生々しく残る。
 ハイレディンに至っては『オルキヌスの瞳』を徹底的に攻略され、その力の発露すら難しくなってきていた。
「オルチ兄、奴等、まだ来るぜ……!」
「構うものかよ。全て叩き潰せば俺たちの勝ちだ!」
 彼らはここに来ても尚、退くということをしない。
 何故なら、彼らにとって己の本拠地を見つけられない限り、何度でも蘇ることができる。

 それ故に、今の現状は猟兵達を打倒することだけに注力できるのだ。
「なんだか漫画のキャラクターの出来損ないみたいなのが出てきました!」
 怖いというより、何か生理的に嫌な相手だなと、とリューイン・ランサード(竜の雛・f13950)は感じていたが、戦場となった島が彼らに寄って滅ぼされた様を見て怒りに震える。
 彼らはただ生活していただけだ。
 理不尽に奪われていいわけがない。
 許せないという思いだけがリューインの心を占めていく。

 ドラゴニアンとしての翼を広げ、空を舞う。
 如何に双頭の異形なる巨人であったとしても、機動力では此方の方が有利であろう。
「その翼はいいな、後でもぎ取って俺達の身体に取り付けてやるぜ!」
 四腕の一つは欠落しているが、それでも振るわれる達人級の斬撃が空を飛ぶリューインめがけて放たれる。
 その斬撃の鋭さは言うまでもない。まともに受けてはリューインは叩き落されるだけであろう。
 翼を広げ、空中を華麗に舞いながらリューインは斬撃を躱す。暴風のような斬撃も、これまでの数多の猟兵達が消耗させたおかげで威力を落している。

「これなら行けます!」
 フローティングビームシールドが受け止めた『バルバロス兄弟』の斬撃を受けて爆散する横を、凄まじい速度で飛び間合いの外へと踏み込む。
「甘ぇんだよ! ハエのようにちょろちょろ飛びやがって――!」
 ハイレディンの手にした槍がリューインを薙ぎ払おうと振り払われた瞬間、彼は残像に寄る分身を繰り出し、空らへと舞い上がる。

 それを追いすがるように槍を振り回す『バルバロス兄弟』。
 しかし、それは分身だ。リューインの狙いは下。
 急降下し、地面スレスレに飛びながら背後へと回り込み、魔力で想像した超振動をまとわせた脚を振り抜く。
「世界に遍在するマナよ、全てを破砕する波と化し、我が躰に宿れ!」
 震龍波(シンリュウハ)。
 それはリューインがもたらす凄絶なる一撃であった。

 どれだけ巨大であろうとも急所はあるはずである。
 彼らが男であるがゆえにリューインは狙ったのだ。
「頭と手が多くても金的は一つでしょう!」
 放つ一撃は確かに『そこ』を打っただろう。雷の属性を込めた一撃が火花を散らせるような痛みと共に『バルバロス兄弟』の絶叫を引き起こすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
この島の様な虐殺と略奪…これ以上の人々への非道、断固して赦しはしません
貴方がたの本拠地を制圧する為、今この場で討ち取らせて頂きます

敵の剣舞の軌道をマルチセンサーでの●情報収集●瞬間思考力で把握し、●怪力での武器受け盾受けで剣と盾を犠牲に防御

脚部UCを伸ばし足払いの動作で●騙し討ち斬撃
物資収納スペースから四本の大出力可変式を射出
2本を両手、残りを●操縦するワイヤーアンカーで掴み光刃生成

手首関節を高速回転しチェーンソーのような回転切りで防御させつつ、ワイヤーアンカー光刃の突きで武装握る手を突き刺し武器落とし
脚部含めた六本の光刃で切り刻み

非道の報い、次は必ずや本拠地で受けて頂きましょう



 猟兵達が駆けつけた頃、その島は虐殺が起こった後であった。
 誰も彼もが生命を喪った屍となっていた。それは七大海嘯『三つ目』の『バルバロス兄弟』が引き起こした悲劇であり、彼らにしてみれば手遊びのようなものであったことだろう。
 彼らにとって生命とは奪うものであって、育むものではない。
 故に彼らに道徳を説くことも、倫理を解するように促しても無意味である。
「この島のような虐殺と略奪……これ以上の人々への非道、断固として赦しはしません」
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)の炉心が燃える。
 そこにあったのは騎士道精神であった。
 彼の身体は機械にしてウォーマシンのものであったが、彼の電脳と炉心に宿るものは騎士そのものであったことだろう。

 対する『バルバロス兄弟』はすでに満身創痍。
 これまで猟兵達が積み上げてきた消耗の度合いは計り知れるものではない。双頭四腕の異形なる巨人。
 彼らの腕の一本は欠落し、脇腹には穿たれた穴。胸には一文字に加えられた斬撃の痕。皮膚はただれるように焼け焦げているが、それでもなお彼らは咆哮する。
「なにが許さないだって?」
「俺達は今までも、これからも奪い続ける。そこに理由なんてものがあるものかよ!」
 手にした巨大なる武器が暴風のようにトリテレイアを襲う。
 剣舞の如き斬撃の軌道は確かに達人級の武技であったことだろう。だが、トリテレイアの瞳は機械の瞳である。
 その軌道、その力、あらゆるものを計測し情報として電脳が処理するのだ。

「貴方方の本拠地を制圧するため、今この場で討ち取らせて頂きます」
 手にした大盾と剣で『バルバロス兄弟』の放つ斬撃を受け止める。重たい一撃であることは言うまでもないが、3つの腕による連撃の速度も凄まじい。
 受け止めても尚、大盾がひしゃげ、剣がひび割れる。
 それは受け続けていれば確実にトリテレイアに届き、彼の機体を粉砕するものであった。
「どうしたどうしたブリキ人形! 防戦一方じゃあねぇか、おい!」
「オルチ兄、さっさと片付けようぜ!」
 彼らは見誤っていたことだろう。
 確かにトリテレイアの大盾は砕けていく。剣は折れる。
 しかし、今目の前にいるのはウォーマシンである。彼らが異形なる体を持つ巨人であるのに対し、トリテレイアはその身体の全てに武装を蓄える者である。

「騎士として恥ずべきこの戦法、敢えて使わせて頂きます」
 足払いのように放った脚部から大出力可変式/足部隠蔽収納式擬似フォースセイバー(フォースセイバー・イミテイト)が飛び出し、『バルバロス兄弟』の足を刻む。
 血が噴出し、彼らの身体が態勢を崩した。
 それこそがトリテレイアが恥じる騎士にあるまじき無作法なる攻撃であったが、『バルバロス兄弟』にとっては効果的な攻撃であった。

「仕込み剣……!」
「はい、ですが――!」
 これで終わるわけがない。物資収納スペースから四本の大出力可変式疑似フォースセイバーが飛び出し、両手に携える。
 残る二本にワイヤーアンカーが飛び出し、取り付き自在に操る斬撃の嵐は『バルバロス兄弟』を圧倒する。
 彼らはすでに一本の腕を喪っている。
 故に物量でも劣る彼らがトリテレイアの斬撃を凌ぐことなどできない。

「こいつ、こっちのお株を奪うようなことをしてくれやがって!」
「仕込み武器、多腕、何も貴方方の専売特許ではありますまい。故に!」
 振るわれる武器を手首を回転させグラインダーのように振るい、『バルバロス兄弟』の武器を打ち払い、帰す刃で一つの腕の手首を両断する。
 さらに足に仕込まれた疑似フォースセイバーによって振るわれる斬撃は六つ。

 その軌跡は正に暴風を超える猛威であったことだろう。
「非道の報い、次は必ずや本拠地で受けていただきましょう」
 腕を欠損した『バルバロス兄弟』に六方向から迫る斬撃を躱すことなどできようはずもなく、為すすべもなくトリテレイアによって『バルバロス兄弟』は圧倒されるしかなかったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィア・シュヴァルツ
「ほほう、なかなか風光明媚な島ではないか。
さすがはリゾート島だったというだけのことはある。
……滅ぼされていなければ、な」

旅好きの我としては、せっかくの観光地をこのようにしてくれた七大海嘯とやらは許せんな。
きっと海の幸とか美味しかっただろうに!(私怨

「というわけで、ここはサクッと倒させてもらおうか!」

だが、我が呪文を詠唱しはじめたところで、敵の魔眼に見つめられ……

「くっ、しまった、あれは退化の魔眼!
我の……我の胸が退化して、まっ平らになってしまったではないか!」(注:元からです

おのれ、我の胸の仇ー!
【竜滅陣】の魔法で跡形も残らぬように消し飛ばしてくれるわ!(精神も退化して単細胞に……あ、元からか



 七大海嘯『三つ目』の『バルバロス兄弟』が来襲するまで、この島は確かにリゾートを思わせる南国の楽園であった。
 人々は豊かな島の恵みを受けて穏やかに過ごしていた。
 だが、『バルバロス兄弟』にとっては何の旨味もない島だった。メガリスがあるわけでもなく、財宝が眠っているわけでもない。
 ただ、猟兵を引き寄せるのに使えるという理由だけで、この島を襲撃し、人々を虐殺せしめたのだ。
 人一人残らぬ残虐の痕。
 それは言うまでもなく悪逆非道の所業である。

「ほほう、なかなか風光明媚な島ではないか。さすがはリゾート島だったというだけのことはある……滅ぼされていなければ、な」
 フィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)にとって、その光景は胸の痛むものであった。
 旅を愛する彼女にとって、せっかくの観光地をこのような惨劇に見舞わせた七大海嘯は許せるものではなかった。
 それは確かに私怨というものであったのかもしれないが、けれど、彼女の心にあるのは悪魔と呼ばれる種族であったとしても根本的に善良なる精神が宿っているからにほかならないだろう。
「きっと海の幸とか美味しかったろうに! というわけで、ここはサクッと倒させてもらおうか!」

 彼女の瞳は怒りとユーベルコードに輝いていた。
 しかし、それを七大海嘯である強大なるコンキスタドール『バルバロス兄弟』が見逃すわけもない。
 彼らとて、もはや満身創痍であるが、いまだ弟であるハイレディンの持つ『オルキヌスの瞳』は健在である。
 その瞳がもたらすのは『退化』の呪い。
 単純化、縮小、そして消滅。その呪いは生物であれば、必ず影響を受ける凄まじい呪いであった。
「ハイレディン! くそっ、まだ猟兵が湧いてきやがる!」
「任せてくれ、オルチ兄、ここまでコケにされて奴等の一人も殺せないとあっては、七大海嘯の名折れってもんだ!」

 輝く『オルキヌスの瞳』。それはフィアが魔術を行使しようと詠唱を始めた瞬間に彼女を捉える。
「くっ、しまった、あれは退化の魔眼!」
 輝く瞳に凝視される。
 たったそれだけの条件に降りかかる呪いは規格外の効果をもたらす。『退化』。それは肉体と精神に影響を及ぼす。
 フィアの身体が変化しはじめ、さらには精神すらも退行していくのだ。
「我の……我の胸が退化して、真っ平らになってしまったではないか!」
 驚愕に打ち震えるフィア。
 だが、その言葉に誰も突っ込めない。周りにいた猟兵たちもそうだ。下手にヤブに頭を突っ込む必要なんて無いのだ。

 だが、『バルバロス兄弟』は違う。
 大笑いしていた。指まで指していた。正直そこまで笑わないでもと誰もが思っていた。
「ブハハハハっ! 何が胸が退化だよ! かわってねーじゃねーか!」
「これは傑作だな、ハイレディン!」
 ゲラゲラ笑う『バルバロス兄弟』。満身創痍であっても余裕がある。いや、余裕はないのかもしれないが、そういう性分なのかも知れない。
「おのれ、我の胸の仇ー!」
 本来であれば、『漆黒の魔女の名に於いて、我が前に立ち塞がりし全てを消し去ろう』というカッコイイ詠唱があるのだが、退化によってそれすらも退行しているのだろう。

 だが尋常ならざる魔力が込められた呪文の詠唱に寄ってドラゴンすらも消し飛ばす大規模破壊魔法が顕現する。
 その名は、竜滅陣(ドラゴン・スレイヤー)。
 極大の破壊魔法が空に渦巻き、『バルバロス兄弟』の驚愕する顔すらも真白に染める魔力の奔流が点から振り下ろされ、彼らの身体を焼くのだ。
「よしっ! これで我の胸も戻った! よくみろ! この慎まやかな……」
 という主張が聞こえたような気がしたが、膨大な魔力の奔流たる一撃に身を焼かれる『バルバロス兄弟』には届くことはなかったのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
私はグリモアを持っていませんから、期待には沿えそうにありませんね。
無論、持っていたとしても期待に沿うつもりはありませんが。

もはや近接戦闘とは言えない射程ですが……それでも私の方が射程は長い、そちらの得意な距離で戦う義理はありません。

体勢を崩されないよう『落ち着き』、スローイングナイフの『投擲』、デリンジャーの『クイックドロウ』による牽制で敵に接近をされないようにしつつ戦闘を。
強力な一撃だろうと当たらなければ意味はありません。

攻撃を避けながらデリンジャーからの牽制に見せかけて【氷槍弾】を仕込んでおき、敵が凍り付いた地形を踏み、氷の槍が刺さったら「フィンブルヴェト」からの射撃で敵を狙います。



 七大海嘯『三つ目』の『バルバロス兄弟』の肉体はもはやいつ崩れてもおかしくない状態であった。
 少なくとも、この戦いに参加した猟兵達はそう思っていた。
 だが、『バルバロス兄弟』は未だ倒れない。
 双頭四腕の異形なる巨人。
 その威容はもはや腕を欠損し、手首から切断されても尚消えることはない。むしろ、ここからが本番であるというように気炎を上げるのだ。
「はっ! この程度で諦めて為るものかよ。未知なるエネルギー体、グリモア! それさえあれば、てめぇらも簡単にぶち殺せるってもんだ!」
「そのとおりだ、ハイレディン。喪った腕は後で奴等から奪えばいい! それにしたってグリモアを持つ猟兵はどこだよ! なあ、おい!」
 彼らはグリモアを求める。
 予知を可能とするエネルギー体。グリモア。それを兄であるオルチの眼窩にはめ込み、その力を持って、さらなる暴虐をもたらすだろう。

「私はグリモアを持っていませんから、期待に沿えそうもありません。無論、持っていたとしても期待に沿うつもりはありませんが」
 セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)の眼前に振り下ろされた凄まじい一撃は、巨人の巨躯を持つ彼らであるがゆえに近接戦闘と呼ぶにはあまりにもリーチの長いものであった。
 ここまで体格差があると、どうあがいても距離を離すことは難しいことをセルマは悟っていた。

 一歩彼らが踏み出すだけで、こちらの距離は詰められてしまう。
 巨大故に鈍重であるというのは先入観に他ならない。だが、それでもセルマの射程のほうが長い。
「どうした、猟兵! 距離を取ろうなんて甘い考えをしてるんじゃあないだろうな!」
 振るわれる斬撃は腕を喪っても尚、健在であり、暴風のようにセルマを襲う。
 確かにセルマは巨人の体躯を持たない。
 彼らからしてみれば非力なる者であったことだろう。だが、それを覆すものをセルマは持っている。
 手にしたスローイングナイフを投擲し、デリンジャーの早打ちによって牽制しながら、彼女は体制を崩すことなく攻撃の尽くを躱していた。

 他の猟兵達が消耗させていたことも手伝って、それはセルマにとって容易なるものであった。
「強力な一撃だろうと当たらなければ意味はありません」
「ぬかせよ! 一発当たってしまえば終わるのはテメェだ!」
 だが、攻撃は当たらない。
 セルマの瞳は捉えている。彼らの斬撃の軌道。『バルバロス兄弟』は空元気で身体を動かしているだけだ。
 獲物が常にそうするように、狩りをする者を謀ろうとするような仕草であるとセルマは判断していた。

「仕込みはすでに済んでいます」
 それは静かなる声であった。
 彼女の瞳はユーベルコードに輝く。牽制射撃の合間に打ち込んだ氷槍弾(ヒョウソウダン)は彼らの体内に残っている。
 それはマーキングと同じであった。
 当たらなかった氷の弾丸は、躱されたのではなく、敢えて大地に打ち込んだものであった。
「何を言っていやがる――!」
 上段に振り上げた刃を振り下ろそうとした『バルバロス兄弟』の動きが止まる。足が止まったのだ。
 何故、と己の足を見れば分かる。

 彼らの脚部は今、凍りついた大地を踏みしめていた。足元に広がる氷が氷槍弾によってマーキングされた箇所へと刺し貫く氷の槍となって、彼らの足を穿ったのだ。
「それでは、これで終わりです」
 マスケット銃を構える。
 その銃の名は『フィンブルヴェト』。大いなる冬を告げる銃声が、『バルバロス兄弟』を穿ち、彼らの命運を尽きさせようと、尽きぬ氷の槍と共にその体を貫くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
兄弟仲が良いようで結構なことだね。
だが、せっかくのリゾート地を滅ぼしたのはいただけないな。
ふむ、報いを受けてもらおうか。何、命で構わないよ。

敵POWUC先制対策
四腕で振るわれる攻撃を積み重ねた戦闘経験、直観を駆使して見切り(戦闘知識×第六感×瞬間思考力×見切り)、回避、あるいはオーラセイバーを振るって衝撃波を放って相殺する。
※衝撃波で相殺するのは命中した箇所を破壊するというUCの特性を考慮

先制を凌いだ後、『カーリーの鏖殺』を発動。
破壊の魔力の籠った衝撃波で足を刈り取り、態勢を崩したところに大上段からの斬撃を。



 氷の槍が数多放たれ、『バルバロス兄弟』の肉体を貫く。
 異形なる双頭の巨人の肉体にはもはや傷のない箇所はなかった。それでもなお、彼らが消滅しないのは、彼らが七大海嘯と呼ばれる強大なるコンキスタドールであるからに他ならない。
 双頭四腕の巨人は咆哮した。
 痛みに咆哮したわけではない。彼らは彼ら自身の矜持と共に吠えたのだ。
 彼らにとって生命とは奪うものである。喪うものではないのだ。それ故に彼らは未だ尽きぬ欲望のままに猟兵を駆逐せんと血走った目で迫るのだ。

 その目の先にあったのは、真紅のスーツに身を包んだ美丈夫であった。
「兄弟仲が良いようで結構なことだね。だが、せっかくのリゾート地を滅ぼしたのはいただけないな」
 シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は、己に突き進んでくる異形の巨人を前にして、一歩足を踏み出した。
 その言葉はあまりにも気安いものであり、戦場にそぐわぬものであったかも知れない。それほどまでに場違いであり、穏やかな声色であった。
「知るかよ! テメェらが来るのが遅かったから滅んだだけだろうが!」
「あんなもん暇つぶしにもなりゃしねぇよ! そのスカした面、歪めてやるぜ――!」
『バルバロス兄弟』が迫る。
 その姿は満身創痍であったが、気迫は本物であった。振るう腕はすでに二本しか残っていないが、その武器を振るう業は達人の領域にあると言っても過言ではない。

 それが巨人の体躯から放たれるわけである。
 暴風じみた暴力。それこそが『バルバロス兄弟』が強大なるコンキスタドールであることの証明であった。
「ふむ、報いを受けてもらおうか。何、生命で構わないよ」
 振り下ろされた凄まじい斬撃をシーザーは躱す。
 いや、一歩も動いていないと思わせるほどに既で見切っているのだ。迫る衝撃波をもオーラセイバーを振るって相殺し、凪の中にいるかのようにシーザーは歩みをすすめる。

「なに――!?」
「なんだ、こいつ……! 一歩も動いていやがらねぇのに……なにを、しやがった!?」
「わからないかね? 何、単純なことだ。君たちの攻撃が遅かったものでね。動くまでもないと判断してのこと。ああ、確かに技量は申し分なかったが――」
 シーザーの瞳がユーベルコードに輝く。
 それは『バルバロス兄弟』をして怖気を走らせるほどに鮮烈なる輝きであった。
 これから起こることを予感させるような、圧倒的な力の流れを彼らは感じていたことだろう。

「――覚悟は良いかね?」
 瞬間、シーザーのはなった破壊の魔力を込めた衝撃波が『バルバロス兄弟』の足を刈り取る。
 それはこれまで数多の猟兵たちに与えられた傷口を広げるような行為であり、故に彼らの両足はここに切断される。
 痛みにあえぐ暇もないほどに頭上より最上段から振りかぶるはシーザーの輝けるユーベルコード。

 その名を、カーリーの鏖殺(デウス・プーグヌス)。

「破壊の力……その身で存分に味わうがいいさ」
 放たれるオーラセイバーが極大に膨れ上がる。
 その光景はまさに空前絶後なる光の輝き。ユーベルコードが見せる『バルバロス兄弟』の視界を染め上げる極光の刃。
 振り下ろされた斬撃が『バルバロス兄弟』を打ち、大地へと叩き伏せられる。

 その衝撃は島を包み、木々を揺らす。
 嘗てはリゾート、楽園のような島であったが、今は血風荒ぶ島でしかない。
 その淀んだ空気を一掃するようにシーザーのユーベルコードが吹き荒れ、島民たちの弔いとするのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
…うーん、メガリス何でもありだな…
多分あの融合してるのもメガリスの効果だろうし…
…さて。視認した対象の肉体や精神を退化させるか…よし、見られなければいいんだな

…改造装甲車【エンバール】の運転席にダミー人形を乗せて…
…荷台から遠隔操作して戦おう…と言ってもまともに戦う気も無いからね…

ダミー人形に引っかかっているうちに【縋り弾ける幽か影】を発動…
…その脅威となる「オルキヌスの瞳」に向けてステルス自爆ガジェッドを放つとしよう…
…そして距離を取って攻撃を回避する事を優先してガジェット達が取り付いて自爆するまで時間稼ぎ…
…自爆したなら爆発に紛れて装填術式銃【アヌエヌエ】で爆破術式を込めた弾を撃ち込もう…



 大地に叩きつけられた七大海嘯『三つ目』の『バルバロス兄弟』は全身を傷だらけにしながら立ち上がってくる。
 その双頭四腕であった異形なる巨人の姿は、痛々しいまでの傷跡を刻まれているが、それでもなお咆哮していた。
「オルチ兄――! よくも、よくも!」
 双頭の片割れ、兄であるオルチの首が力なくうなだれている。
 それはこれまでの猟兵の攻撃に寄って消耗し、ついには討ち果たされた事を示していた。腕は欠落し、二本。
 身体には無数の傷跡と焼けただれた皮膚。
 そのどれもが彼らがこれまで奪ってきた犠牲者たちのものであることは想像に難くない。

 その瞳がユーベルコードに輝く。
 弟、ハイレディンが持つ『オルキヌスの瞳』。
 それは『退化』を促す魔眼。視界に入れられたが最後、生物である以上肉体、精神に影響を及ぼす『退化』が猟兵たちを単純化、縮小し、消滅さえる恐るべき呪いである。
 これまで猟兵達がこれを封じてきたが、ハイレディンは兄を喪ったことによって半狂乱になりながら、その封を破り『退化』の呪いを撒き散らす。
「どこだ! どこだ! オルチ兄を! よくも――!」
 その怨嗟。
 その慟哭。
 何故、それを今まで己達が奪ってきた生命に対して思うことができなかったのか。

「……うーん、メガリス何でもありだな……多分あの融合しているのもメガリスの効果だろうし……」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は改造装甲車『エンバール』の運転席にメンカルの自身のダミー人形を載せて、荷台に隠れ遠隔操作して『バルバロス兄弟』へと走らせる。
 彼らにとって、人の形をしていれば、それだけて敵であると判断するだろう。
 故に視界に入れることによって呪いの力を発言させる『オルキヌスの瞳』は常に、『エンバール』の運転座席に存在するダミーにしか注がれない。

「忍び寄る破滅よ、潜め、追え。汝は炸裂、汝は砕破。魔女が望むは寄り添い爆ぜる破の僕」
 メンカルはまともに戦うつもりなどなかった。
 詠唱を終えた瞬間、ステルス自爆ガジェットが飛ぶ。それはメンカルのユーベルコードであり、縋り弾ける幽か影(ステルス・ボム)のように『バルバロス兄弟』へと取り付く。
 狙うのは『オルキヌスの瞳』のみ。
 あの瞳さえどうにかしてしまえば、後はこっちのものだ。

 幸いにしてこれまで多くの猟兵達が『バルバロス兄弟』を消耗に追いやってくれている。
 ハイレディンはもはや足すらもうしなって動くことはできない。
「くそっ! なんで『オルキヌスの瞳』が! 退化しねぇ!」
 どれだけ輝かせても、その瞳が見るのはメンカルのダミーである。無駄なのだ。全てが。
 けれど、兄を喪った彼にはわからない。
 それがダミーであるのか、本物であるのか。その考えすら浮かばない。他者の生命を奪い、弄んできた報いがこれであるというのならば、今がその時なのだ。

 ステルス自爆ガジェットが飛び、巨人の双頭、ハイレディンの魔眼へと飛び込む。
 瞬間、痛烈なる爆発が巻き起こり、『オルキヌスの瞳』を連続して叩き込まれる自爆ガジェットによる爆風が襲う。
 ひび割れ、恐るべき魔眼『オルキヌスの瞳』を完全に砕いた。
「が、ぁ! 俺の、俺の『オルキヌスの瞳がッ! 砕け――」
 そして、見ただろう。
 己の最期をもたらす者の姿を。改造装甲車『エンバール』の荷台に乗り、術式装填銃『アヌエヌエ』を構えるメンカルの姿を。

 放つ一射は狙いを違えずにハイレディンの頭部へと走る。
 これまで奪ってきた生命と、遺骸を弄んだ罪を生産するように爆破術式の込められた弾丸が眉間に尽きさり、組み込まれた術式の作動によって弾けるように吹き飛ばす。
 その一撃を持って、ここに『三つ目』の『バルバロス兄弟』は滅びる。
 虐殺者の最期は、あっけなく。
 怨嗟も、慟哭も、何もかも消し去るように霧散して消えていく。

 この楽園のようであった島にいた嘗ての島民たちの魂に、その怨嗟と慟哭を聞かせることなどできようはずもない。
 せめて、彼らの魂が安らかなることを願うように猟兵達は、勝利で持って報いるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月05日


挿絵イラスト