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羅針盤戦争〜呪われし黒百合の王笏

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #カルロス・グリード #オブリビオン・フォーミュラ

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●グリモアベース:ゲネ
「羅針盤戦争開始だ! 第一目標『一の王笏』討伐、参戦頼むぞ!」
 ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)は高らかに声を上げながら、ホロモニターにグリードオーシャンの海域を映し出した。
 戦争の概要はこうだ。
 これまでに猟兵達が探索し切り拓いてきた海域──「蒼海羅針域」において、グリードオーシャンを支配する「七大海嘯」の居場所を示す手がかりがあると告げる謎の予兆があった。
 この言葉を裏付けるが如く、時をほぼ同じくして七大海嘯の本格的な大攻勢がついに開始されたのだ。
「蒼海羅針域中心の渦潮……つまり我々が発見したサムライエンパイア側からの進入口だな。ここを破壊されてしまうと、我々猟兵はもう二度とこの世界に踏み入ることができなくなってしまう」
 予知もテレポートも受け付けぬグリードオーシャンにおいて、七大海嘯を探す手がかりは蒼海羅針域しかない。
 つまり、七大海嘯の攻勢を食い止めつつ、蒼海羅針域をさらに広げていく、というのが序盤の戦い方になるだろう。
「今回諸君に向かってもらう戦場は、ダークセイヴァーから落ちてきたひとかけら『クロユリ島』。その名の通り、一面黒い百合が群生し、常に吹き抜ける風で黒い花弁が舞っている島だ」
 そして現れる敵は、冒頭の宣言通り、七大海嘯『一の王笏』カルロス・グリード。
「こいつは予兆にも現れたオブリビオン・フォーミュラ『カルロス・グリード』の分身体だ。本体ほどの強さではないが、なぜかダークセイヴァーにしかないはずの力を用いる。……「紋章」、と言えば心当たりのある者も多いだろう」
 「紋章」は現在ダークセイヴァーで猛威を振るっている、取り付いた宿主を強化させる寄生虫だ。
 この力を得た分身は、全身を黒い植物に覆われた異形の姿へと強化し、猟兵に襲いかかってくる。
「紋章は一面黒百合に覆われた奴の背中にある。敵の背後を取り、百合の呪詛に打ち勝ちながら紋章を攻撃できれば、勝ち筋はより広がるだろう」
 分析した弱点を提示したのち、ゲネはモニターを反転させて転送術式で埋め尽くした。
「強敵の常だが、やはりこいつも先制攻撃のユーベルコードを撃ってくるから、対処するための方策は固めておいてほしい。諸君の勝利を祈っている……!」
 輝く術式が視界を埋め尽くし、戦乱の地へと猟兵を導いた。


そらばる
 グリードオーシャン『羅針盤戦争』。
 黒百合咲き乱れる島で、『一の王笏』カルロス・グリードを撃破してください。

●ボス戦『七大海嘯『一の王笏』カルロス・グリード』
 グリードオーシャンのオブリビオン・フォーミュラの分身体。
 ダークセイヴァーにしかないはずの「紋章(取り付いて宿主を強化する寄生虫)」を装備し、全身を黒い植物に覆われた異形と化して襲いかかってきます。

 必ずユーベルコードで先制攻撃してきます。
=============================
プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する。
=============================
(どのユーベルコードに対処するかは【POW】【SPD】【WIZ】いずれかを明記してもらえると助かります)

 紋章は背中にあります。
 敵は背後を取られないように動きます。
 敵の背中はおびただしい黒百合に覆われており、大量の呪詛を吐いています。
 これらを乗り越えうまく紋章を攻撃できれば、大きな有効打になるかもしれません。

 執筆の進捗やプレイング締め切りなどは、マスターの自己紹介ページで呟いております。目安にどうぞ。
 それでは、皆さんの自由なプレイングをお待ちしています!
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第1章 ボス戦 『七大海嘯『一の王笏』カルロス・グリード』

POW   :    闇霧の紋章
【紋章の力】に覚醒して【触れた者の生命力を奪う黒き霧の体】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    紅き月の紋章
【無数の三日月型の刃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    黒百合の紋章
自身の装備武器を無数の【触れたものを呪詛で侵す黒百合】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:hoi

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●一の王笏
 島特有の吹き抜ける潮風に巻かれて、黒色の花弁が戦場を舞う。
 黒百合咲き乱れる野に、男が一人。
 その姿は整えられた黒衣の洋装。あたかも、朝なき世界に蔓延る吸血鬼の貴族の如き佇まい。
「愚かなり猟兵」
 オブリビオン・フォーミュラの分身体は、冷たい瞳で猟兵を睥睨した。
「この身は王の分け身。──覇道を阻む者には、等しく死を!」
 男の背が不気味な黒い輝きを放ったと同時、大量に生え出した黒い植物がその全身を覆い尽くした。
 端正な貴族の佇まいは消え、半ば植物と同化した異形の男がそこにいた。

 七大海嘯『一の王笏』カルロス・グリード。
 背に紋章を隠し、呪詛を撒き散らしながら。分身体は猟兵へと襲い来る。
片桐・公明
【WIZ】
敵先制攻撃は妖刀による防御と回避に徹しつつ射程範囲外まで後退することで無効化する
「ここならあなたの攻撃は届かないのかしら?」
「そしてここからなら、私の攻撃は届くわね。」
敵の射程範囲外からUCで攻撃する
目的は敵UCの花びらを焼き尽くすこと、敵の足止め、そして目くらましである

相手かこちらのUCに気を取られている隙に敵の背後に回り紋章をめがけて妖刀の一閃を食らわせる

気づかれたらすぐに離脱し、花びらの攻撃を妖刀で受けてつつ回避しつつ射程範囲外に出る

以降上記を繰り返す
ただし接近する際は攻撃より回避を重視し、負傷は可能な限り抑える
(絡み、アドリブ歓迎です。)


ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ
【アドリブ・連係歓迎】POW
海の幸を独り占めしようとしてるのかな?
どちらにせよ、うざったいね★

まずは敵がUCで変身して攻撃される所を「肉体改造」で回避に適した身体に改造する事で回避。
その後、UC【膨張せし肉肉しい宇宙】で宇宙牛に変身、敵の霧の身体を吸い込んで「捕食」する。
生命力を奪われてもUCによる変身を続ければ問題なさそう。
霧の身体でもそうでなくても、巨大化して押し潰す事し、捕食する事は出来そう。



●妖刀使いと暴食の魔王
 異形と化した王笏が厳かな仕草で腕を持ち上げると同時、風まかせに舞い散っていた黒百合の花弁がその周囲に渦巻くように集束した。
「──舞エ」
 罅割れた異形の声が命じた瞬間、黒い花嵐が吹き荒れた。
 螺旋の気流を描きながら襲い来る大量の花弁。
 その接近に先んじて、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)は黒百合の野を駆け抜ける。
 黒く霞む集合体となっった鞭の如き嵐を全速力で躱し、殺到する花弁を呪詛ごと妖刀で斬り払い、ひたすらに王笏から距離を取る。
 王笏の異形の瞳が厳しく細められる。
「逃サヌゾ、猟兵」
 背中の紋章が再び光り輝き、王笏の姿がかき消えるように黒き霧へと変じた。
 霧は吹き抜ける強風に乗って猛然と公明を追い上げる。距離が詰まれば花嵐の追随も途切れることがない。
 ──その頭上に、突如として差す大きな影。
「海の幸を独り占めしようとしてるのかな? どちらにせよ、うざったいね★」
 目を射る派手なピンク色の塊は、ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ(いつもはらぺこ系ラスボス(可食・高栄養・美味)・f31483)の巨体だ。
「……!」
 気配もなく頭上を取ってきたラヴィラヴァを最大の脅威と認めた王笏は、花弁に公明を追わせ、自らは頭上へと飛翔した。
 霧と化した全身で突撃し、ラヴィラヴァの巨体を覆わんとする王笏。
「オイラを食うつもりかい? 食べるのは好きだけど、食われるのはごめんだな★」
 ラヴィラヴァはぶよぶよどろどろとしたゲル状の肉体を瞬時に改造した。一度不定形の液体に変じた次の瞬間、ゲル状物質が形作ったのは、数多の鳥の翼の集合体。
 幾枚あるのかもわからない翼の塊と化した全身を巧みに操り、ラヴィラヴァは黒霧の追随をさらりと躱し、さらに羽搏きによる気流で霧を仰いで撹乱してやる。
「小癪ナ……」
「あら、ずいぶんとご執心ね。こちらの相手はしてくれないの?」
 割り込んだ声は下方からのもの。
 視線を転じればそこには、遥か下方で空中の王笏に向けて銃口を差し向けている公明の姿。
 王笏は即座に黒霧を集束させて空中に手だけを形作り、公明へと翳した。
 しかし花嵐は届かない。わずか1メートル先、紋章の力の及ぶ限界距離に所在なく吹きすさぶ花弁を、公明は不敵に笑う。
「ここならあなたの攻撃は届かないのかしら?」
「ク……」
 挑発されても、王笏は目の前の脅威たるラヴィラヴァから目を離すことができない。
「そしてここからなら、私の攻撃は届くわね」
 公明の銃口が灼熱する。
「母の歴史。父の知識。それを興すは私の能力。──すべて焼き尽くす!!」
 充填した力が、業火の如きエネルギー砲がとなって解き放たれた。焔の蛇が射線上の花弁を一瞬にして焼却し、ラヴィラヴァと黒霧との間を引き裂くように一気呵成に駆け抜ける。
 王笏は直撃こそ免れたものの、蒸発を嫌って大きく身を後退させ、明確な隙を見せた。
 その瞬間を逃さぬ声。
「嗚呼、世界はかくも美味しいのか! さぁどうぞ召し上がれ♪」
 ラヴィラヴァの肉体は瞬時にして巨大な宇宙牛へと変じ、黒霧の塊へと突撃した。
 霧がもがくように暴れまわり、宇宙牛に取り巻いてその生命力を食い尽くさんとするが、牛は互角以上の速度で黒霧を吸い込んでいく。
 互いを相食み合うウロボロスの如き拮抗。無限に膨張し続ける宇宙牛の暴食が、急速にその勢いを増し始める。
 強い危機感に、王笏は大きく退きながら黒霧の形態を一度解いた。
 ──その、背後。
「ガッ──!?」
 王笏の背に輝く紋章を、妖刀の一閃が斬り裂いた。
 のけぞりながらも反射的に花嵐を巻き起こす王笏。公明は花弁を妖刀で受け流しつつ即座に退く。
「逃スと思ウカ──!」
「もちろん、そんなことはしないさ★」
 実体を取り戻した異形の王笏を覆う巨大な影。
「ガァァァッ──」
 天を突くほどに巨大化した宇宙牛の全身によって、王笏の絶叫は身体ごと押し潰された。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夷洞・みさき
君達、咎人ってのは、潰しても潰してもすぐ出てくるね。
しかも、君は本体じゃないんだろ?

咎人殺しとしては早く本体とやらを禊たいところだけど、
地道に行くしかないのかな。

【WIZ】
初撃は自身に【おびき寄せ】自身の姿を印象づかせる。
そうして、指定対象を絞らせる。
【呪詛耐性】【激痛耐性】で意識を保ちつつ倒れたふりをする。

UCにて対象になっていない姿をした同胞に変身する。
そうして、相手に一人を相手にしていないと誤解させる。
みさきも【激痛耐性】で回復した振りをして再度攻撃に混じる。

六人の同胞のうち、赤い幼女は最後まで控える。
倒しきったと思わせたところを背後から攻撃する。

僕達が咎人を見逃すはずないだろう?



●七位一体
「君達、咎人ってのは、潰しても潰してもすぐ出てくるね。しかも、君は本体じゃないんだろ?」
 夷洞・みさき(海に沈んだ六つと一人・f04147)は堂々と敵前に身を晒しながら肩をすくめる。黒い花畑に佇む魚混じりの咎人殺しの青褪めた姿は、ひどく目を惹きつけた。
「イかニモ。しカシ我ガ分ケ身、易易ト弑サレルモのデはナイ」
 罅割れた異形の声で語るや、王笏はその身を黒霧へと変じ即座にみさきへと襲いかかった。
 しかしみさきは一切の回避も防御も放棄し佇んだまま。
「咎人殺しとしては早く本体とやらを禊たいところだけど、地道に行くしかないのかな」
 淡々とした呟きをかき消すように、黒霧は一瞬でみさきを飲み込んだ。
 霧が晴れ、王笏が実体を取り戻すと同時、みさきの身体はどさりと花畑に昏倒した。
 他愛ない、と呟き、王笏は踵を返す。
「──!」
 しかしその背後で突如膨れ上がった殺気に、王笏は再度黒霧に姿を変えた。と同時、歪な拷問具が黒霧をすり抜け空振りした。
 見れば、それはみさきではなく、先程までは確かにいなかったはずの人物だった。
「伏兵カ……」
 黒霧のまま応戦する王笏。
 だが向かってくるのは一人ではなかった。一人を地面に沈めれば途切れることなく別の一人が現れる。最初に倒されたはずのみさきも意識を取り戻してその攻勢に加わる始末。倒れた人物の背後から、花弁の嵐の向こう側から、前触れもなく入れ替わり立ち替わりに襲い来る。
 王笏は黒霧と実体とを器用に切り替えながら抗戦し、全員をことごとく打ちのめしていく。胸中に、小さな違和感を抱えながら。
(「……なぜ同時に来ない」)
 不意にたどり着いたその疑問が王笏の中で解を結ぶ、その寸前。
 黒霧から実体に切り替わった直後の王笏の背後に、躍り上がる赤い影。
「!? ガ──ッ」
 紋章に痛烈な一撃を浴びせられた王笏が、反射的に花弁の嵐を巻き起こしながら振り返る。
 刹那垣間見えたのは、花嵐から飛び退る赤い幼女。しかしその姿はひと瞬きのうちに見覚えのある姿へと変じた。
 ……否。戻ったのだ。
「化ケテイたノカ……!」
「失礼だな。僕らは何時だって此処にいる」
 一人で七人を演じきってみせたみさきは、戦傷の痛みを濁すような楽観の笑みで王笏を嘲笑った。
「僕達が咎人を見逃すはずないだろう?」

成功 🔵​🔵​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…黒百合。闇に覆われた私達の故郷より、
この島の方がこの子達にとっては良いのかもしれないわね

…その花を散らすというならば、容赦はしない

…この世界に生きる全ての生命の為に、お前を討ち果たす

今までの戦闘知識と経験から敵の殺気や闘争心を暗視して見切り、
呪詛の乱れ撃ちを大鎌を連続でなぎ払うカウンターで迎撃
避けきれない攻撃は全身を覆う浄化のオーラで防御し、
呪詛耐性と気合いで受け流しUCを発動

…っ、流石に強い。だけど、今度は此方の番よ…!

空中戦機動の早業で存在感の無い飛刃を操り、
残像のように敵の体内に切り込み背中の紋章を切断した後、
限界突破した魔力を溜めた飛刃を自爆させて傷口を抉る2回攻撃を行う



●見えない刃
「……黒百合。闇に覆われた私達の故郷より、この島の方がこの子達にとっては良いのかもしれないわね」
 暗く陰惨な故郷を思い返して、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は悲しげに眼差しを伏せる。
 次に顔を上げた瞬間、紫色の瞳は毅然として異形の王笏を射抜いた。
「……その花を散らすというならば、容赦はしない」
 きっぱりと、断じる。
「……この世界に生きる全ての生命の為に、お前を討ち果たす」
「ソノ意気ヤヨシ」
 返す王笏の声は罅割れて不快に響く。
「我モ全力で応えヨウ……!」
 呪詛の花弁が急速に渦を巻き、一気呵成にリーヴァルディへと降りかかった。
 リーヴァルディが構えるは大鎌。だが最大の武器は、敵を見抜く眼力と身に染み込ませた戦いの経験だ。
 まるで暗視でもするように明確に浮かび上がる、王笏の殺気、闘争心。その機微から攻撃の質や軌道を読み取り、リーヴァルディは大鎌を振るう。
 目にも留まらぬ連撃が猛然と花弁を薙ぎ払い、塵芥に変えていく。
 しかし乱れ撃たれる呪詛は無秩序な軌道を描き、全てを物理的に食い止めるのは困難だ。身を侵食する呪詛の不吉な感触に、リーヴァルディは奥歯を噛みしめる。
「……っ、流石に強い。だけど、今度は此方の番よ……!」
 浄化のオーラで呪詛を撥ね退けると同時、リーヴァルディは自らの内で血の枷を解錠する。
「……限定解放」
 角度を変えた斬撃が二度、黒い嵐を切り裂くように繰り出された。
 ……だが、何も起こらない。リーヴァルディの大鎌は変わらず花嵐を凌ぐので手一杯。
「ソレデ終いカ。……?」
 新たな攻勢に出ようとした王笏は、かすかな風切り音を聞く。視界の端をかすめ飛来する何か──
「グ──!?」
 唐突に、背中に走った衝撃に押し上げられるように、王笏がのけぞる。
 背中を守る黒百合を透過して紋章を切り裂き、王笏の体内に潜り込んだのは、血の魔刃。それも、ありったけの魔力が溜められた……
「……我が敵を切り裂け、血の飛刃……!」
 限界突破した魔力が瞬き、飛刃が爆散する。
 傷口を抉る強烈な激痛に、王笏の絶叫が島中に轟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
回点号を操縦
ディスポーザブル03を遠隔操縦。
戦場なれば、踏み荒らす事を気にしない。

03の武装、誘導弾を一斉発射!そして、回点号で吶喊を仕掛ける!
誘導弾の範囲攻撃で三日月の刃を吹き飛ばし、爆炎と煙幕で視界を奪う。

黒百合の花びらが燃え視界が硝煙で覆われる。目が痛い。
シールドバッシュ、回点号はシールドを展開、撃ち落としきれなかった刃を弾き、戦鎌を構えて突き進む。
『眼倍』発動。視力×1㎞内の敵の情報を瞬間思考力で確認。

おびき寄せ、遠隔操縦の回点号が敵へ刃を振るい注意を引いている内に、
回点号から下りた自分が、敵の背後へ周り、雷の弾丸で属性攻撃。
その背中を狙うには、キャバリアは大き過ぎました故。


リューイン・ランサード
【WIZ】

相手の能力に一つずつ対処して突破口を開く。

敵UC対策として結界術・浄化・破魔を組み合わせた呪詛解除結界を自身の周囲に展開。
黒百合の花びらは自分の身体の周囲をフローティングビームシールドに旋回させての盾受けで焼き払い、それをも乗り越えた攻撃はオーラ防御で防ぐ。

UC発動すれば炎を操作。
炎30個は正面から攻撃。効果は無いが目的は注意を引き付ける囮。
その隙に残り65個の炎が敵背中にある黒百合を焼く。

雷の属性攻撃と精神攻撃の力を宿したエーテルソードを念動力で地を這うように操作し、背中の紋章に突き立て、更に残像を残して翼による空中戦で背後に回り、光の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱で紋章を撃ち抜く!



●紋章撃つ雷光
「ドこマデモ目障リナ……!」
 異形の王笏は全身の植物を波打たせた。植物の一部が大量の花弁へと変じ、呪詛を放ちながら暴風となって猟兵へと襲い来る
(「敵の術体系は呪詛系統。ならば最適解は──!」)
 リューイン・ランサード(竜の雛・f13950)は即座に浄化と破魔の結界を展開した。打ち付けられる呪詛は緩和され、大量の花弁は周囲を旋回するビームシールドに阻まれる。
 結界を突き抜けてきた呪詛も、自身をくるむ力場で凌ぎつつ、リューインは詠唱を開始した。
「冥府の罪人を焼霞する紅蓮の炎よ……」
「──遅イ」
 しかしリューインの術が発動するより速く、無数の刃が閃いた。花弁の嵐に入り乱れ、紅い三日月が無軌道に回転しながらリューインへと迫る──
「──ディスポーザブル03、誘導弾一斉発射!」
 耳をつんざく轟音と共に、突如として大量の砲弾が戦場に降り注いだ。
 現れたのは朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)操る機械の巨人──クロムキャバリア『回点号』と遠隔操作の無限軌道ディスポーザブル03である。
 キャバリアが黒い花畑を踏むと同時、着弾した誘導弾の爆発が三日月の刃を吹き飛ばし、爆炎と煙幕で敵の視界を奪った。
 時を同じくして、リューインが術式を完成させる。
「……我が元に来りて現世の罪人を昇華せよ!」
 解き放たれた炎が誘導弾に相乗し、爆発をさらに豪勢に広げた。舞い散る黒百合の花びらが燃え、視界が硝煙で覆われる。目が痛い。
 だが回点号は躊躇なく爆発と炎の中へと突撃していく。戦場の習い、黒い花畑が容赦なく踏み荒らされ、さらなる花弁が残酷に舞い上がる。
「目クらまシノツモりカ……!」
 爆発のさなかに機械の駆動音を聞き取った王笏が、正面への警戒を高める。
 ……だが。
「いいえ、囮です」
 爆炎の中に落とされる、リューインの静かな呟き。
 次の瞬間、大量の炎が一塊となって王笏の背後で爆発した。
「────…!」
 声もなく背を焼かれる王笏。背面に繁茂した呪詛吐く黒百合が、冥府の紅蓮に瞬く間に焼却される。
 ……正面からの炎は囮。リューインは初めから、炎の大半を王笏の後方に回していたのだ。
「グゥ……ッ」
 即座に体勢を立て直した王笏は三日月の刃を解き放ち、周囲の炎をかき消すと共に、正面から突っ込んでくるキャバリアへと牽制を投げつける。
 回点号は止まらない。敵へと一直線に突っ込み、展開したシールドで無数の刃を弾き飛ばしながら突き進む。その手に掲げるのはRXS機械狙撃戦鎌『アスプロス・コラキ』。
「──眼倍起動」
 ユーベルコードの発動と共に、小枝子の知覚が瞬時に膨れ上がった。王笏の思考も、数瞬先の行動さえ、手に取るよう。
 回点号が盾を突き出す。王笏が黒霧と化して逃げる。回点号が刃を振るう。王笏が回避し黒い植物の蔓で反撃する。……背中の黒百合を再生する余裕はなさそうだ。
 キャバリアと王笏の戦いの傍らで、小さな雷光が爆ぜる。
 リューインはエーテルソードを地に放ち、思念のままに操作した。雷纏う刃は地面すれすれを這うように、弾丸の如く王笏のもとへと飛来する。三日月の刃を躱し、花弁を電雷で消し飛ばしながら。
 翼を広げ飛翔しようとするリューインに気を取られた王笏の、実体化を果たしたばかりの背に、エーテルソードの刃が深々と突き立つ。
「小癪ナ……!」
 王笏は血を吐きながらも剣を放った主へと三日月の刃を放った。
 ……否。正確には、その残像へと。
 ほんの数瞬の時を残像で稼いで飛翔したリューインの姿は、すでに王笏の背後に。
「──光よ!」
 全身全霊の魔力を込めたありったけの光魔法がほとばしる。
 同時に、落雷にも似た銃声が辺りをつんざく。
 光の矢と雷の弾丸は、エーテルソードを避雷針の如き目印にして一直線に疾り、王笏の背を貫いた。
 王笏は絶叫に喉を焼きながらも、背後を振り返る。
 その目に入ってきたのは、ふわりと地面に足をつけるリューイン。
 そして、さらに後方に輝く一つの銃口。
「貴様等……ッ」
 王笏は己が愚を悟る。
 回点号は途中から遠隔操作に切り替えられていたのだ。コクピットから抜け出したパイロットは背後に回り込み、じっと機を伺っていた──
「その背中を狙うには、キャバリアは大き過ぎました故」
 雷の余波を逃しながら言い放つ小枝子の、兵士然とした淡白な声が、王笏の屈辱を静かに逆撫でた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
…よく判んないけど
ダークSと繋がりがあるってコトだよな
気に入らないぜ

けどまずは目の前のことに集中だ
一の王笏を撃破するぜ

先制
POW
確かに吸血鬼っぽいな

獄炎纏う焔摩天を振るい
霧を炎で焼き
炎が生む風で吹き飛ばす

俺に触れられやしないぜ

万が一の時も
生命力と一緒に
獄炎のオマケもたんまりくれてやる

戦闘
炎纏う剣での攻防で
炎の剣風や火の粉が舞う黒い花弁へ延焼
炎渦を生む

あ、地面に生えてる黒百合へは延焼させないぜ
可哀そうだもんな

で此方へ注意が向けている間に
炎の花弁が一の背中を着火
紋章ごと異形を燃やす

破魔と浄化を込めた獄炎だ
きくだろ?(にやり

焔刃一閃

事後
鎮魂曲を奏でる

分身体だって心があるなら別の存在だよな
安らかに



●炎の花弁
 王笏の紋章が輝き、消し飛ばされた背中の黒百合が再生していく。
 敵の紋章の力を目の当たりにして、木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は眉根を寄せた。
「……よく判んないけどダークセイヴァーと繋がりがあるってコトだよな。気に入らないぜ」
 だが、まずは目の前の戦いに集中しなければならない。
「戦ニツまラヌ感情ヲ持チ出ストハ、愚物ヨ」
 再生を終えた王笏は言い放つや、瞬く間に実体を捨てて黒霧へと変じてウタへと襲いかかった。
「確かに吸血鬼っぽいな。……だが」
 姿や生態、傲岸さをも引っくるめて似ていると揶揄し、ウタは獄炎纏う焔摩天を構えた。
「俺には触れられやしないぜ」
 急速に距離を詰めた黒霧に向けて、遠心力を乗せた斬撃を叩き込むウタ。
 刃の纏う灼熱に霧が炙られ、炎が生み出す風によって勢いよく吹き飛ばされる。
「一筋縄ニはいカヌカ……」
 生命力の一片とて吸収できなかった王笏は、苦々しげに吐き捨てながら素早く後退した。実体に戻るや花嵐を巻き起こすと、今度は生身のままに突っ込んでくる。
 刃状に硬化した黒い植物が振り下ろされる。ウタは炎纏う大剣を振るってこれを受け止め、退けながら、旺盛に炎を振りまいた。
 炎の剣風が荒れ狂い、火の粉が間断なく舞う。舞い踊る花弁が延焼し炎が渦を巻き始める……
 だが花弁は燃やせても、さすがに本体の植物は簡単には延焼してくれない。
 苛烈さを増す二者の攻防。王笏の目には、今やウタの姿しか写っていない。一刻も早く平らげるべき敵として。
 その背に一枚、ふわりと舞う炎の花弁がそっと触れた。
 瞬間、王笏の背中に着火した炎が、瞬く間に全身を燃え上がらせた。
「破魔と浄化を込めた獄炎だ。きくだろ?」
 にやりと笑むウタ。
 この世のものとは思えぬ絶叫が一帯をつんざく。火だるまになって悶え苦しむ王笏。
「分身体だって心があるなら別の存在だよな。……安らかに」
 彼のために奏でる鎮魂曲を想いながら、ウタは焔刃を一閃させた。
 さらに火勢を増して燃え盛る炎。
 にも関わらず、自生する黒百合の花畑は、花弁の一枚とて焦がしてはいなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メイスン・ドットハック
【SPD】【絆】
背中の黒百合が厄介ではあるのー
まずは三日月の刃にも対応せねばならんのー

キャバリアKIYOMORIに搭乗して参戦
飛び交う三日月の刃に対して、近距離はレーザー砲ユニットのレーザーブレードで、遠距離はミサイルや榴弾で砲撃して破壊していく
避けられない部分は機体で受け切り、損害も覚悟で攻撃対応に集中
AIには黒百合の電脳解析を任せる

先制攻撃後はUC「汝は元素、その鎖を断ち切ろう」を発動させて、黒百合の構成元素を破壊する毒ガスを込めたミサイルを放ち、破壊して呪詛の盾を取り除く
後は持てる限りの兵器をカルロスに撃ち込んで正面に釘付けにする

後は任せたけーのー、エィミー!

アドリブ絡みOK


エィミー・ロストリンク
【SPD】【絆】
呪詛をばら撒く黒百合の花なんて物騒だよねー
だけどそんなことじゃわたし達は止まらないよー!

キャバリア・アカハガネに搭乗して参戦
両腕のガトリングキャノンで弾幕を張って、三日月の刃を迎撃
出来るだけ損害を負わないようにラクチェの要石で鉄の強度を持つ海水を機体にコーティングさせて防御体制を整える

先制攻撃後、UC「失われた絆を繋ぐ姫君」を発動させて、メガリスであるアカハガネの性能を強化
背中のアンカーで立体機動をして、黒百合を剥がした背中に回り込みガトリングキャノンの連射をお見舞いする
さらに十字槍「骸魂無骨」をキャバリアサイズに具現化して投擲して紋章を打ち抜く

絶対逃さないよ!

アドリブ絡みOK


クロス・シュバルツ
アドリブ、連携可

辺境伯の紋章……。アレはこの世界に落ちた島から得たものか、それとも別の何かが……いえ、今は戦う時、考えるのは後です

『オーラ防御』と『呪詛耐性』『毒耐性』で霧の影響を抑えつつ、こちらの攻撃と共に『生命力吸収』で体力を回復

『残像』で撹乱しつつ、適宜UCを使用して背後を狙う。少なくともニ発目以降は対応されるだろうが、敢えてUCを使う事で自分が転移する=背後に現れると印象付ける
充分に警戒させた上でUCの発動。敵背後に転移、それに反応された所で、鎖による『だまし討ち』。紋章を『串刺し』、『部位破壊』する

鎖を見せればそれも警戒されるだろうので、最後の一発以外は使わず隠し続ける



●逃さぬために
 紋章が妖しく輝き、王笏は激しく身悶える。
「グゥ……ガぎッ……ガァァァッ!」
 炭化の進んだ異形の全身を、紋章から生え出した新たな黒い植物が覆い始める。いっそう深くきつく黒々と絡みつき、燃やされた欠落部分を急速かつ強引に再生していく。
 だが蓄積したダメージまで払拭できるものではない。侵食の最終段階とでもいうのか、死に体を植物が無理矢理に延命しているような印象だ。まさに寄生虫。
「辺境伯の紋章……。アレはこの世界に落ちた島から得たものか、それとも別の何かが……いえ、今は戦う時、考えるのは後です」
 気になることは数あれど、戦闘と詮索を両立させるのは得策ではない。クロス・シュバルツ(血と昏闇・f04034)は覚悟を決めて王笏の動向をひたと見据える。
 変態を遂げた王笏の背が再び黒百合に覆われたのを見て取り、メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)はキャバリア「KIYOMORI」のコクピットでぼやく。
「背中の黒百合が厄介ではあるのー」
「呪詛をばら撒く黒百合の花なんて物騒だよねー」
 天真爛漫に同意するのは、同じくキャバリア「アカハガネ」に搭乗するエィミー・ロストリンク(再臨せし絆の乙女・f26184)。
「だけどそんなことじゃわたし達は止まらないよー!」
 二体のキャバリアが勇ましく火器を構えた瞬間、
「──デカブツドモめガッ!!」
 これまでにない凶暴な怒号を上げて、王笏は無数の三日月の刃をキャバリアに向けて一斉に解き放ってきた。
「まずはあれにも対応せねばならんのー」
 どこか間延びして響く声とは裏腹に、メイスンは素早く操縦桿を操った。
 大量のミサイルや榴弾をばら撒き刃を撃墜していくKIYOMORI。アカハガネも両腕のガトリングキャノンで弾幕を張って迎撃する。
 だが敵の手数は尽きない。弾丸も砲弾の爆発もすり抜け接近する刃を、KIYOMORIがレーザー砲ユニットのレーザーブレードで斬り払うも、完全には排除できない。エィミーは黒色の宝珠によって鉄の硬度に変化させた海水で機体を防護し、メイスンは損害覚悟で攻撃に集中する。
 二機が三日月の刃の対処に手を取られている間、王笏はその身を黒霧へと変じ、生身のクロスへと襲いかかった。
「やはりその手で来ますか」
 クロスは霧に包まれる寸前、冷静に力場を広げて防御を固めた。
 視界が一気に黒く霞む。呪詛に身体を蝕まれる悪寒を、クロスは奥歯を食いしばり耐え、剣で霧を薙ぐ。刃は霧をすり抜けるが、その剣閃は黒霧の生命力を吸い上げる。
「コのチカラ……吸血鬼カ」
 黒霧は王笏の実体に戻り、生命力を相食み合う不毛な戦いから離脱、今度は硬質化した植物の刃を武器に斬りかかってきた。
 残像で撹乱しながら王笏と斬り結ぶクロス。その唇が小さく動く。
「……逃げられない、逃れられない、逃さない」
 呟きの語尾に、クロスの姿が掻き消える。
「グぁッ──!?」
 突如背後からの強襲を受け、必死に身を捻って退く王笏。背中の黒百合の花弁がわずかに散る。
「逃さない」
 再度呟きと共に姿を消すクロス。
「転移能力カ!」
 王笏は即座に対応し、背後から振り下ろされる黒剣の一太刀を植物の刃で受け止めた。
 二人の殺陣が苛烈さを増す一方、三日月の刃を順調に撃ち落とすキャバリアのコクピットに軽やかなアラートが響き渡った。
「! 終わったかのー。ならば仕上げじゃ」
 AIが算出した解析結果をもとに、メイスンはユーベルコードを発動する。
「万物を解析できることは、万物を壊せるということじゃけーのー」
 ミサイルの弾頭に力を凝縮し、操縦桿の引き金を引くメイスン。
 一発のミサイルが、殺陣に没頭する王笏の背を狙って一直線に飛翔する。
 それを視認したクロスが即座に転移でその場を離脱。
 クロスの動きに釣られた王笏は咄嗟に背後を振り返り、瞬時にして回避の叶わぬ距離と悟るや、キャバリアにけしかけていた三日月の刃の残りを突撃させてミサイルを爆破させた。
 爆風が王笏の立つ花畑に吹き下ろす。だが直撃でなければ王笏にとっては大した痛手ではない──はずだった。
「ナ、ニ──!?」
 背中の黒百合が音もなく分解し、呪詛ごと破壊されていく感触に、王笏は愕然とする。
 ミサイルの弾頭に込められたのは、AIが解析した黒百合を元素から破壊するための無色毒ガスだったのだ。
 衝撃に立ちすくんだ王笏の隙に、KIYOMORIはありったけの火器を正面から撃ち込んでいく。
「後は任せたけーのー、エィミー!」
「了解!」
 メイスンの声に応えるアカハガネの姿は、敵直上。
「絆は失われない。皆、力を貸して!」
 凛としたエィミーの声が、高々と跳躍したアカハガネを励起する。
 即座に機体の背中からアンカーが射出され大地に打ち込まれる。それを支点にしてアカハガネは空中で巧みに姿勢を制御し、弾幕に釘付けにされている王笏の背後へ一気に回り込んだ。
 背後から連射されるガンキャノン。強烈な砲撃に見舞われ、王笏の姿は爆発の中に消える。
 王笏は爆発に押し出されながらも体勢を立て直し、再度三日月の刃を召喚──しようとした、直前。
 その目の前に、転移したクロスが現れた。 
「逃さない」
「────ッ」
 それが転移の合図であることを知っていた王笏は即座に背後を振り返り、植物の刃を掲げ──
「な──」
 どすり。
 背中を抉る激痛に、絶句する王笏。
「これが、俺が……死です」
 クロスは確かに背後に転移していた。だが、その手にある武器は黒剣ではない。
 この瞬間までずっと秘匿し続けてきたクロスの隠し玉──【冥装】罪茨。
 自在な伸縮と変形を可能とする鎖は、王笏の背後から紋章ごと胸部を串刺しにしていた。
 そして、鎖に貫かれた王笏の背中は、キャノンを撃ち尽くしたキャバリアの正面に無防備に向けられている。
「絶対逃さないよ!」
 アカハガネの全力を乗せて投擲される十字槍「骸魂無骨」。
 キャバリアサイズに具現化したメガリスは、紋章を粉々に破壊し、王笏の上半身を貫いた。

●黒百合はただ風に揺れる
 上半身の大半を喪失した王笏の身体が、バランスを失ってぐらりと傾く。
「コ……コ、マで……か」
 急速に異形から人の姿に戻りながら、地面に伏す中途で、その全身は後腐れなく霧となり消え果てた。
 戦傷夥しくも静寂を取り戻したクロユリ島が、猟兵達に勝利を告げている。
 吹きすさぶ潮風に乗って舞い散る黒い花弁が、帰投していく猟兵達を見送る。
 踏み荒らされた黒百合の野は、しかし不思議と悲壮感を感じさせず、ただただ島特有の風に揺れるばかりだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月08日


挿絵イラスト