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羅針盤戦争〜美人はアタシよ!オネエ大戦争!

#グリードオーシャン #羅針盤戦争

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#羅針盤戦争


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●オネエVSオネエ
 シャラランテ島。女性をターゲットにした店や観光地が盛んであり、美を求める者の楽園とも言われている島。
 平和であるこの島に今、魔の手が近付こうとしていた。
「あの島ね」
 海賊船に乗った一人の男が遠くに浮かぶ島を眺め微笑む。
「美の島ねぇ……そんな清らかな場所に毒を一滴でも落としたら、一体どうなるのかしら」
 考えるだけで愉快だわ、と自身の長い爪をきらりと輝かせる。
「ま、毒が回るのも一瞬でしょうね。猟兵とやらを呼ぶにも良い餌よ。現れなくても、私のモノにすればいいだけだし」
 そう言い、男は船を島へと向かわせた。得意気に笑う男であったが、ただ一つだけ誤算があった。

「総員、撃ちなさいっ!!」
 港から外れた、人気のない沖にて。上陸しようとした海賊船へ、突如何処からか一斉砲撃が襲い掛かった。爆音と共に揺れる船。男は跳躍すると、一人島の沖へと着地する。彼はすぐさま、砲撃が海賊の仕業である事を理解した。
「ミーコルック様! あの人よぉ! 怪しい海賊船の人ッ!」
 部下の報告に、名を呼ばれた船長は男の前へと姿を現す。すらりとした美しい姿を持つ……若い男だ。
「アンタ、ダメよ? 不法侵入なんかしちゃあ」
 船長ミーコルックは男に向かって淡々と言い放つ。
「アタシ達はこの島を統治している海賊なの。そしてアタシはその頭。心がブサイクな子に、入る資格なんてないわよ」
 カチッ。
 男は一瞬にして怒りを覚えた。偉そうな海賊共に邪魔をされた事に? 否、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。

「ブサイク……? 貴方今ブサイクって言ったわね? 私の事を?」
「ええ言ったわよ。ブ・サ・イ・ク・ちゃん!」
「あらそう……ふ~~~~ん????」
 殺意の溢れた笑顔と声を漏らす。じゃきんと伸ばした鋭い爪も、普段以上に切れ味が良さそうだ。
「相手にブサイクなんて言う前に、鏡でも海でも覗いて来たらどうかしら? 自分の顔を見た事があって?」
「あらヤダ~そんなおこちゃまみたいな悪口がこのアタシに通用すると思って???? アタシはこの島を仕切る島一番の美人なのよ!」
「この島で一番? 範囲が狭くて可哀想だわぁ……貴方こそ人に言える義理ないわよ」
「はぁ、この島を何と思ってて? 世界中で一番の美の島よ? そのトップなの! 化粧品から何まで格が違うのよ格が!!」
「化粧品だけで偉そうにするとかどんだけ~! 物で自慢する奴なんてそんなモンよねぇ、所詮はお金ですか~????」
 カチッ。
 ミーコルックもとうとうブチ切れた。
「まぁ……言ってくれたわね」
 互いを睨み付け合い、ゴキゴキと指を鳴らす。
「もういいわ、アンタの顔……体からふっ飛ばしてやるわよ!!!!」
「こちとら爪とナイフがあるのよ!!!! その顔剥いでやるから覚悟なさい!!!!」
「キーーーッ!!!!」
 乙女の心を持つ者同士、甲高い声が島中に響いた。

●海賊との共闘
 グリードオーシャンでの大戦、『羅針盤戦争』が突如始まった。様々な島での事件が報告される中、ゴッさんことゴ・ディーヴァ(甘色の案内人・f16476)も猟兵達を集め説明を行う。
「コンキスタドールの一人が『シャラランテ島』という島を襲うって予知を見たのさ。早速だけど、そこへ向かって欲しいな!」
 コンキスタドールの名は『ヴェノム・サーペント』。海蛇型深海人の航海士だ。自慢の毒でシャラランテ島を滅ぼそうと企み、現在は地元の海賊と争っているようだ。
「このコンキスタドール、グリードオーシャンを支配する『七大海嘯』の麾下の精鋭ボスでね。その地位に立つだけあって真正面からじゃ勝てない。このままじゃあ海賊達も島も危ないって訳でさ、どうにかして海賊達と力を合わせて戦ってくれ!」
 海賊達に味方である事を伝えれば理解して貰えるだろう。彼らは主に遠距離武器で武装している為、上手く戦術を指示してあげれば各々対応してくれるだろう。

「ちなみに島についても説明しておこう。シャラランテ島は女の子に人気のある島らしくてね、可愛いものだけでなく、健康や美容に良い商品やイベント開催に特化しているらしいよ」
 可愛いものや美を求める者が自然と島に集まった。その結果がこれだ。
「乙女心に気付いた人、つまりオネエでいっぱいの島になっちゃった訳だね!」
 島はオネエパラダイスと化していた! つまり、今から助けようとしている島民も海賊達も全員オネエだ!
「同じ属性同士惹かれ合ったのかは知らないけど、コンキスタドールもオネエらしいよ! 良かったね!」
 楽しそうに笑うゴッさん。何が良かったのかは分からない。
「だから、海賊達には優しくしてあげるんだよ? きっと美貌の侮辱合戦でブチギレ合ってる頃だろうからね!」
 何故それが分かるのか? まぁ神だからね!
「という事で説明は以上だ。敵の攻撃には精々気を付けるんだよ。んじゃ、精一杯暴れてらっしゃいな!」
 お土産待ってるよ、なんて猟兵達に手を振りながら、ゴッさんはグリモアを輝かせた。


ののん
 お世話になります、ののんです。

 ●状況
 グリードオーシャン『羅針盤戦争』の戦争シナリオとなります。
 1章で完結します。

 ●戦場について
 『シャラランテ島』での戦闘となります。
 島を統治している海賊を味方につけ、共闘して戦ってください。
 敵の戦闘力は侮れないので油断していると負けちゃいます。上手く海賊の力を利用して全力で殴りに行きましょう!

 ●海賊・ミーコルック一味
 美を磨き続ける海賊団。船長はショートカットの美人なオネエ。
 船長の武器はガントレットとショットガンの近~中距離タイプ。部下の武器はロケットランチャーと機関銃の遠距離タイプ。派手な戦い方がお好き。
 とりあえず褒めれば気に入られます。褒めながら指示を出せば対応してくれるでしょう。

 プレイングボーナスは以下の通りです。

 ====================
 プレイングボーナス……海賊達と協力する。
 ====================

 ●プレイングについて
 受付は『#プレイング受付中』のタグ記載でお知らせしております。

 キャラ口調ですとリプレイに反映しやすいです。
 お友達とご一緒する方はIDを含めた名前の記載、または【(グループ名)】をお願い致します。
 同時に投稿して頂けると大変助かります。

 申し訳ありませんがユーベルコードは基本的に【選択したもののみ】描写致します。

 以上、皆様のご参加お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『殺戮航海士ヴェノム・サーペント』

POW   :    あらあら、隙だらけよ。
肉体の一部もしくは全部を【エラブウミヘビ 】に変異させ、エラブウミヘビ の持つ特性と、狭い隙間に入り込む能力を得る。
SPD   :    そんじゃ……かますわよっ!
【毒爪や毒投げナイフ 】による素早い一撃を放つ。また、【襟高の海賊服を脱ぐ】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    真実が美しいとは限らない。そうでしょう?
【誘惑と挑発 】を籠めた【手厳しい正論口撃】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【戦意と自尊心】のみを攻撃する。

イラスト:唐草

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠枯井戸・マックスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 島に転移されれば、聞こえてきたのは悲しげに叫ぶオネエ達の声。
「いやぁぁんミーコルック様ぁ!!」
「酷いわあいつ、わたしの大事なお顔を蹴ったの!」
「ワタシなんか自慢の腕を怪我しちゃったわぁ!」
 泣き叫ぶ部下。これにはもう許せないと、船長ミーコルックも右手のガントレット輝かせる。
「みんな、あの爪とナイフには気を付けるのよ。お肌があっという間に荒れちゃうんだから!」
「きゃあああ気を付けなきゃっ!!」
 男、ヴェノム・サーペントから離れる部下達。ヴェノムは長い爪を見せ付けながら笑う。
「肌荒れだけじゃないわよ、醜く殺してやるんだから!」
「まぁ、本当にオンナの敵ね……! アタシ達に嫉妬してるからって、そんな手段を使うだなんて!」
「嫉妬じゃないわよ!!!! 私の方が美人でしょ!!!!」
「アンタは心がブサイクちゃんよ!!!! このブサイク!!!!」
「キーーーッ!!!!」
 双方睨み合い、今まさにキャットファイトが始まろうとしていた!
ニコ・ベルクシュタイン
おお、此れが噂に名高いキャットファイトというものか
いや、感心している場合ではないな
疾く加勢して、任務を遂行せねば!

こういう時は中途半端な態度が死を招くと聞いた
徹底的にミーコルック一味を褒め称えよう
島ひとつ、そして海賊一味を纏め上げる其の手腕
洗練されているのは外見に留まらぬという所か、素晴らしい
俺が力を借りるのではない、貴女方にこそ力を貸そう
言うなれば俺は添え物のクレソンのようなものよ

という訳でだ、どんなにド直球の正論をぶつけて来ようが
其れは全て俺が「かばい」引き受ける、彼女達に攻撃は通さぬよ
反撃の【花冠の幻】も彼女達を飾る花吹雪だ
自慢の銃火器で存分にぶちかましてやれ!

アッハイ、俺も攻撃します。



 バチバチと火花が散るその様子に、ニコ・ベルクシュタイン(時計卿・f00324)は深く頷き呟いた。
「おお、此れが噂に名高いキャットファイトというものか」
 片方はキャットパンチ、片方はキャットクロー。確かに猫だ! いや違う、そうじゃない。
「感心している場合ではないな。それは事が落ち着いたらにするべきだ」
 ゆっくり眺めている時間はない。海賊達が深手を負う前に加勢しなければ。
(「とは思っているものの、掛けるべき言葉をしっかり選ばなければ此方が危険だな」)
 ある時、誰かから聞いた。ピリピリとした空気の中でオネエと接するならば、中途半端な態度が死を招く、と。
(「まぁ、まずは徹底的に褒め称えるべきか。何とかなるだろう、何とか……」)

「あら、今日は随分とお客が多いじゃないの」
 近付く猟兵達の気配にミーコルックはすぐさま気が付いた。流石は海賊を名乗っているだけの実力はある。
「来たわね、猟兵」
「猟兵? 風の噂で聞いた事ある言葉ね」
 ヴェノムは猟兵の事を知っているようだった。しかしミーコルックを含む海賊達はあまり認知していないらしい。
 ニコは咳払いを一つ行ってから、ミーコルックに視線を向け口を開く。
「確かに俺達は噂の猟兵だ。此度は海賊達の助太刀に来た」
「ふぅん、嬉しいけれど、外の人がどうしてそこまで?」
 猟兵の力を知らないミーコルック。であればこの態度も当たり前だろう。彼(彼女)はニコにやんわり笑い掛ける。それでもニコは真面目な顔付きを崩さず、問いに答えてやった。
「……ミーコルックという素晴らしい海賊がいると聞いた。島ひとつ、そして海賊一味を纏め上げる其の手腕。……洗練されているのは外見に留まらぬという所か。いかに美しさと努力を積み重ねた人物なのかが、よく分かる」
「まぁ……」
 ミーコルックは息を吐いた。それは残念そうな様子の溜め息ではない。乙女心に響いて思わず漏れた息だ。
「この戦い、俺が力を借りるのではない。俺が貴女方に力を貸すんだ。言うなれば俺は添え物のクレソンのようなものよ。……あのようなコンキスタドールに押し負けてはならない。そうだろう?」
 『そうだろう?』のタイミングで照る太陽に眼鏡が輝けば、ミーコルックは頬に手を当て瞳を輝かせた。彼(彼女)は即落ちした。
「ふん、綺麗事を。そいつらを褒めた所で良い事なんてないのにね」
 つまらなさそうにヴェノムはニコを睨む。
「好かれた所で良い事なんてないわよ。貴方、普通の男じゃないの」
「普通の男で何が悪い」
「だったらあまり好かれる言葉、言い過ぎない方がいいんじゃないのかしら? 私含めて……普通の男でも女でもないのよ?」
 あまりに気に入られ過ぎたら……どうなるのか分かってるのよね?

「何を言っているんだ? 俺の伴侶だって普通の男じゃないが(色々な意味で)」

「えっ……」
 なにこの人、オネエが伴侶なの? だから真顔でそんな事言っちゃうの? だからオトコにも優しいの????
「今だミーコルック、自慢の銃火器で存分にぶちかましてやれ!」
「ええ、任せて頂戴!(ドキドキ……///)」
 海賊達を鮮やかに飾る虹色の花吹雪を呼び出すニコ。ミーコルック一味の砲撃が困惑するヴェノムへ襲い掛かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
あらら、ほんとに凄い惨状だねぇ
でも美を追求する意識、僕は嫌いじゃないよ
これでもモデルの姉を持つ身
一眼見ればすぐわかる
しっかり手入れされた髪の質感、肌のキメ
体が男性である事も武器になる
とっても綺麗だと思うな

本音8割で海賊さん達を持ち上げその気にさせ
一緒に戦ってもらう

【高速詠唱】から放つ氷魔法の【属性攻撃】で
毒爪や足元を凍らせて動きを封じる戦法
その隙に船長や部下には戦ってもらって
欲しいのは確実な隙

敵のUCには同じく【誘惑】を乗せた笑顔で対抗
だからなに?
真実がどうであれ、美しさなんて結局見た人の感性で変わるじゃない
貴方が認めなくても僕は好き
それもまた真実だよ

隙さえ見つけられれば【指定UC】の追尾攻撃



「貴方がこの島を仕切っている海賊さん?」
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)がにっこりと笑顔で声を掛ければ、ミーコルックはすぐに澪の事に気付いたようで。
「まぁまぁ、随分と可愛らしい子ね」
 それは子供相手に吐き捨てたような言い方ではなく、ただ素直に思った事を伝えたようだ。
「ありがとう。……うん、美に長ける島だけあって、やっぱり仕切ってる人も綺麗な人なんですね」
「あら、分かってるじゃない」
 悪い気はしないミーコルック。ふふん、と鼻が高くなる。
「うん、一目見ればすぐ分かりますよ。貴方だけじゃなく部下の人達も、とっても綺麗だと思うのです」
 しっかり手入れされた髪の質感、肌のキメ。そして体だけでなく心も磨いているんでしょう? と、モデルの姉を持つ澪が言葉を並べれば、そうよそうよと海賊部下達が喜びの声を上げる。
「美を追求しつつも、海賊だから体が男性である事も武器になるし……そこはちょっと羨ましいなって」
「アンタ、事情は分からないけど無理しちゃダメよ」
 澪の腕にそっと触れた事でか細い体である事を察したのか、ミーコルックは語る。
「男だから体力がなきゃ、なんて事は決してないのよ。全てを求めず、自分の体に合ったファッションを追求して磨きなさい!」
 ファッションとは身なりの事だけではなく、己の事や生き方の事を指すもの。それが彼(彼女)の信じる美なのかもしれない。
「随分と言うわねぇ」
 そう冷たく吐いたのはヴェノム。とてもつまらなさそうに二人の会話を聞いていたようだ。
「追求して磨く……そこは同意するわ。でも、何も他人にアドバイスを送る事はないじゃない?」
 ひたすら一人で磨けばいい。美人を名乗るならば、他人の美なんてどうでもいいはず。
「それだけ周囲よりも美人になりたきゃ……蹴落とすなりして、数を減らせばいいのよ。それとも何? 相手を下に見てるから、敵に塩でも送ってるのかしら?」
「へぇ、貴方にはそう見えてたんだ」
 敵の嫌味な言い方に動じず、さらりと笑顔で返したのは澪だ。
「僕にはそう見えないね。ミーコルックさんは善意で教えてくれた。貴方みたいな毒を持った美しさは……僕は目指したくはないよ」
 ヴェノムが毒で花を枯らすのだとすれば、ミーコルックはその真逆なのだと、澪は感じた。
「真実がどうであれ、美しさなんて結局見た人の感性で変わるじゃない。だから僕はこう言うよ。『貴方が認めなくても僕は好き』」
 認める、認めない。それはどちらも真実だ。純粋なその笑顔に、ヴェノムは思わず声を失った。

「悪い毒は、放っておけないよね」
 隙を見せた相手へ、すぐさま澪が魔法を唱える。砂浜の波が凍り付き、同時にヴェノムの足や腕を封じる。
「体は弱いけど、代わりに身に着けた魔法を披露するよ。見てくれますか、ミーコルックさん?」
「勿論よ! アタシ達も行くわよ!」
 澪の指先がヴェノムの方へ向けば、ひらりひらりと宙を舞う無数の花びら。花びらの嵐は海賊達の砲撃と共に、ヴェノムの姿を包み込んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

尾守・夜野
「不法侵入だなんて美に対する冒涜ね…そこのお人!加勢させて貰うのだわ!」
はい。おま言うな状況を無視してオネェ同士の戦いに割り込む私も此度は女性人格だったりするのだわ

「そこの貴女意地が悪いのはお顔だけになさりなさいな!」
顔をしかめつつ挑発しながら攻撃は黒纏を変形させて受け流しましょう
「その点貴女は美しいわね!」えぇ何よりもその努力こそが美しいのだわ
外面何ていくらでも取り繕えるもの
「美しい方!助太刀はおいりかしら?」
「ふふっえぇそうね!
動きは止めてあげる!
大きな一撃をお願いするのだわ!」
思いきり敵を蹴り飛ばし遠くに設置しておいた毒に突っ込ませましょう
なお、私の足は余りよくないから走ったりはしないわ



「不法侵入だなんて美に対する冒涜ね……そこのお人! 加勢させて貰うのだわ!」
 女性の人格にて登場した尾守・夜野(墓守・f05352)。その台詞に対してヴェノムは勿論の事、こう突っ込む。
「人の事言えないわよ」
 そう、猟兵達もある意味では不法侵入である。
「貴女は島を脅かす為の不法侵入! 私達は島の緊急事態に駆け付けて咄嗟に来ただけ! 理由が違うのよ理由が」
「何よそれズルくない!?」
「それなら仕方ないわよね……」
「あの言い訳で通るの!? 随分ガバガバね!?」
 入国の判断基準などミーコルックの匙加減でどうにでもなる。
「ともかく、何であれ人を傷付けようと悪巧みする時点で放ってはおけないわ。意地が悪いのはお顔だけになさりなさいな!」
「はぁぁぁ何ですって? 貴方も私の美しさを侮辱するのね!!?」
 夜野の挑発に完全に頭に来たヴェノム。両腕を伸ばしエラブウミヘビへと形状を変えれば、砂浜へ向けてウミヘビを放ち潜らせた。足元を狙ったウミヘビが噛み付こうと地面から顔を出せば、夜野が纏う黒纏が変形しウミヘビの毒牙を弾く。
「はぁ、あんな物騒な人と比べて海賊さんは美しいわね! 見てすぐ分かったわ、積み重ねた努力の結晶というものが!」
 外見だけで言うならば、ヴェノムも海賊ミーコルックも美しい。しかしそれ以外はどうだ。真の美しさとは、見えない努力を続けてこそ発揮されるものだ。
「貴女は自分の美を追い求めながらも、こんな素敵な島を統治してきたのでしょう? みんなで美しくなろうとするその心意気、とっても美人だと感じるのだわ!」
「まっ、そんなに褒めたって何も出ないわよ?」
 と言いつつ満更でもない様子のミーコルック。夜野の事は完全に信用したようだ。
「私はあまり走れないの。代わりに動きは止めてあげるから、大きな一撃をお願いするのだわ!」
「分かったわ、頼むわよ!」
 ウミヘビを黒纏で避けながらヴェノム本体へと接近すれば、夜野は思い切り相手を蹴り飛ばした。とはいえその力はそれほど強くなく、直前に両腕を元の姿へと戻し防御の姿勢を取った事もあり、ヴェノムの体はぐらりとよろけただけで終わった。しかし、夜野にとってはそれも計算のうちであった。
「十分。一歩でも動けば……そこは私の領域よ!」
「なっ……!?」
 ヴェノムがよろけた先は、予め夜野が仕掛けていた毒煙の空間。少しでも煙を吸えば一瞬にして全身を蝕む、言葉では言い表せない痛みと苦しみ。耐えきる事のできないヴェノムは地に膝を着いた。
「あ、ああぁ……! そんな、この私が、毒にやられるなんてッ!!」
「……なんて哀れな姿」
 同情なんてしないけどね、と、ミーコルックは呟くと、部下達に一斉砲撃の指示を下した。

成功 🔵​🔵​🔴​

毒島・雅樂
コンキスタドールに心の美醜で啖呵を切るなンてイイ心掛けさね。
船長、確かにユーは心身ともに美人だぜィ。

とは言え、さてさて。紫煙を燻らせ何時でも戦闘に入れると【威圧】しながら姦しい遣り取りを聞いてたら困惑で頭を掻き毟るのは当然…ってなァ。
…あ゛ぁ? 妾の攻撃がやけに当たる? 悪ィが『此の世に不可思議など有り得ない』。

基本的にゃ近接戦。
取り敢えず、面倒そうな爪とかは刀で【切断】しておこうかねェ。蹴り飛ばしたりして距離が開いた時は海賊サン方頼んだぜィ。美しさの矜持ってモンを見せてくンな。其処に煙管で煙を巻くからサ。



「ユー、コンキスタドール相手に心の美醜で啖呵を切るなンて、イイ心掛けさね」
 嗚呼愉快と、毒島・雅樂(竜神の猟奇探偵・f28113)は笑う。
「ふん、誰であろうと悪いおブスちゃんには言ってあげなきゃ!」
 流石は海賊、肝が据わっている。ミーコルックが例の単語を口に出せばヴェノムがすぐさま反応する。
「だぁれがおブスですって!?」
「アンタしかいないでしょ!?」
「私ばっかりそうやって……人を選んで言ってるでしょ! イジメよイジメ!」
「何がイジメよ! いくら顔だけ綺麗にしていても、悪い子っていうのは分かるものよ!」
「顔だけですって!? ちゃんと私を見なさいよッ!」
(「なんだ、幼子の喧嘩かこりゃア……」)
 口から煙を吐きながら喧嘩を眺める雅樂。右へ左へ、そしてまた右へと、視線が反復する。このまま放っておいたら何時までも言い合っているのではないかと錯覚するほど。しかし事実、怪我をしている部下もいる。ミーコルックもヴェノムも互いの武器を見せ付け合っている所を見るに、いつ殴り合いが勃発してもおかしくはない。まぁ、それがいつ勃発するのかは分かったものじゃないが。
 やれやれ、と雅樂は頭を掻き毟りながら聞く事幾らか経ち。区切りの良さそうな所(なんてものはなかったが半場無理矢理)でやっと割り込んでみた。
「まぁ船長サンや、真面目なのも良い事だろうが、そんなンじゃあ日が暮れちまうよ。しょうもない奴相手に時間を掛ける程、ユーも暇じゃないだろうにさ」
「あらヤダっ、それはそうね……」
 口元に手を当てるミーコルック。ダメねアタシったら、と気持ちを切り替えようとしたその時。
「しょうもない奴って……! そんな言葉で片付けないで欲しいわ!」
 ヴェノムが次の標的にしたのは雅樂。片腕をエラブウミヘビの姿へと変形させると、その頭は真っ直ぐと雅樂を狙って飛び掛かる。
 猛毒の刃を剥き出し彼女に見せ付けてやったのだが、不思議な事にいとも簡単にひらりと避けられてしまったのだ。まるで『こちらの行動を知っていた』かのように、雅樂は流れるようにウミヘビの体を刀で斬り伏せた。
「くうッ!? 私の腕を……!!」
 傷付いたウミヘビを元の腕へと戻せば、今度は鋭く長い爪を見せ付け雅樂へと急接近する。力強く腕を振るうヴェノムだったが、その動きもまた読まれたかのように避けられ、長い爪を真ん中から叩き割られてしまう。
「きゃああ自慢の爪が!? 酷いわっ、どういう事よ!?」
「どういう事、とな? 嫌、悪ィが此の世に不可思議など有り得ないンでな」
 それだけ無駄話が長かったという事サ。
 雅樂がにやりと笑ってみせれば、思い切りヴェノムを蹴り飛ばしてやった。
「さァ海賊サン方、派手な花火を頼んだぜィ。美しさの矜持ってモンを見せてくンな」
「ええ、見てなさい!」
 命令と共に一斉に一点へ向く銃口。直後、目の前で響く大きな爆風と派手な音を聴きながら、雅樂は一服味わった。
「船長サン、確かにユーは心身ともに美人だぜィ」

成功 🔵​🔵​🔴​

桜雨・カイ
アドリブ共闘歓迎
おネエさん…ふむふむ、つまり綺麗やお洒落をがんばってる男性なんですね。自分に似合うお洒落ができるって素敵だと思います。自分はそういうものを選ぶのが苦手なので羨ましいです。

せっかく綺麗に手入れしてるのに、傷つけられるのはいやですよね。
【柳桜】発動
受けた攻撃を回復力に変換。お顔とか腕、大丈夫ですか?
これで皆さんの怪我をなおします。
肌荒れまで治せるかはわかりませんが、頑張って癒やします。

攻撃をふせいだら、【念糸】で敵を拘束します
皆さんには傷ひとつつけさせませんので、その間に攻撃をお願いします!
同時に、柳桜の花びらで少しでも皆さんの背景を綺麗に彩れたらいいんですが。



「なるほど、これがおネエさん……ですか」
 これだけの人数を間近で見るのは初めてかもしれない、と桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)は興味深そうに海賊達やヴェノムを眺めた。
「つまりここにいる人達は、綺麗やお洒落を頑張ってる男性達なんですね。ふむふむ……自分に似合うお洒落ができるって、私は素敵だと思いますよ」
 決して嫌味など含まれていない純粋な言葉。ミーコルックも機嫌良く微笑んで見せる。
「ふふ、でしょう? みんなで美を目指す為に作った場所なんだから!」
 その上で美への努力に励んでいるのよ、と彼(彼女)が教えれば、カイは何度か頷いてみせた。
「それはそれは。並大抵の気持ちではできない事ですね。自分に似合うお洒落というものも……そういったものを選ぶのが苦手なので羨ましいです」
 それは自身が元々人形だから故か、それとも別か。
「ううん、でしたらせっかく綺麗に手入れしたものを傷付けられるのは嫌ですよね。私に任せて下さい」
 ミーコルックやその部下達の裂けた服装や怪我が目に入れば、カイは自らヴェノムの前へと歩み出る。
「まぁまぁ何よ、貴方もそいつの味方しちゃって。そんなに私の美しさを認めない訳?」
「そうですね、美しいとは思いますよ。……その爪で悪事を行わなければ、ですが」
「言ってくれるじゃない!」
 ヴェノムは鋭い爪を伸ばし、カイへ急接近を仕掛けた。憎しみを込めた猛毒の爪が、どすりと鈍い音を響かせながらカイの腹部を貫く。彼の体はだらりと力なく、ヴェノムの拳に突き上げられていた。
「ち、ちょっとアンタ!?」
 予想外の展開にミーコルックは顔を真っ青にして慌てた。しかし、彼(彼女)の思考の片隅に一つ疑問が残っている。
(「どうして? あの子、全然避けようとしなかったように見えたけど……」)
 そう、彼は避けようとする素振りなど全く見せなかった。それもそのはずであった。彼はわざとヴェノムの攻撃を受け止めたのだから。
「……この力……みんなを癒やす力とさせてもらいます」
 その小さな呟きが聞こえた直後、ぐ、とヴェノムは腕が動かなくなる感覚を感じた。糸だ。糸が絡み付いている。驚いたヴェノムが咄嗟にカイの体を投げ捨てる。しかし腕から糸は外れなかった。
 転がったカイの体から周囲へ向かって、桜の花びらがふわりと舞い上がる。温かな光を帯びた花びらは海賊達を包み込むと、不思議な事に怪我が塞がっていったのだった。
「これって……!?」
「肌荒れまで治せるかは分かりませんが……これ以上皆さんには傷一つ付けさせません。私が動きを封じますから、その間に攻撃をお願いします!」
 いつの間にか腹部の傷が消えていたカイがむくりと起き上がり、ミーコルックに声を掛ける。
「まぁ、なんて不思議な子なの……! ありがとう、お礼は後できっちり返してあげるわね、素敵な紳士ちゃん!」
 志気が上がった海賊達。ふわりと花びらの香りを覚えながら、糸で拘束されたヴェノムへ銃口を向け、その引き金を引いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ビディリー・フィズン
■口調
「…」を多用

■行動
島の全てが霞むほどの美貌で降り立つ。
美の競い合いと聞けば出張らずにはいられない。
「……だって、王子様ですから」

どちらが美しいか。
海に生き美を追い辿り着いた生者の美。
蘇り海を駆け蹂躙せんと牙を剥くオブリビオンの美。
「……どちらも美しく、甲乙つけがたいですね」

争いはそもそも美しくない。
この美貌で争いが収まればいいが、難しいだろう。
彼らは己を至上の美と考えるから。
「……でも、間違いです」

美とは即ちボク。
攻撃も我が身に届かず首を垂れる程の美圧。
彼らに心から理解して欲しいから、双方に抱擁を。
「……ボクを見て。それが、全ての人に与えられた、幸福な権利です」



 美に目覚め、美を探究し、美に磨きをかける者達が集う島。そのような場所があると耳にすれば向かわない訳にはいかないと、気高き王冠のヤドリガミであるビディリー・フィズン(虚栄の王冠・f20090)はシャラランテ島に赴いた。
 いざ争いが起こっている場所へと向かってみれば、確かにそこでは海賊達とコンキスタドールが互いを睨み合っていた。
「そもそも共有する意味が分からないのよ。自分だけが美しければ、それでいいじゃない!」
「だからブサイクちゃんなのよ! アンタが美を磨いているのは見掛けだけ。アタシは見えない部分の美しさも磨いているの!」
「そんな上っ面、やだやだ汚いわ。美人は大勢も並ばなくていいの。一人だけでいいものよ」
「ふん、一緒に美しくなる事の何が悪くて? アタシはみんなに評価された上でのナンバーワンなのよ!」
 なるほど、こちらのコンキスタドールはオンリーワンの美を主張しているようだ。そして海賊の方は皆で共に美を共有し合う事の美を主張しているらしい。
 海に生き美を追い辿り着いた生者の美。蘇り海を駆け蹂躙せんと牙を剥くオブリビオンの美。どちらも確かに美しいと感じられる。
「……どちらも、甲乙つけ難いですね」
 静かに姿を現したビディリーに、海賊ミーコルックとコンキスタドールのヴェノムが振り向く。王冠を被った輝く少年に、思わず二人は息を呑んだ。美しいと、感じてしまったのだ。
「……甲乙つけ難いですって? 私とそいつが?」
 先に口を開いたのはヴェノム。やや苛立ったようにビディリーに言い放てば、ビディリーはゆっくりと頷き。
「……美貌も、その姿勢も、間違いなく美しいものではあります」
「そ、そんな! そんな事ないはずよぉ!」
 それまで胸を張っていたミーコルックも思わず動揺した。一体自分に何が足りなかったのかと、心の中で慌てたはずだ。
 双方の見せた様子に、ビディリーは目を閉じ黙って考え込む。
(「……争いはそもそも美しくない。どうにか収まればいいが……」)
 どちらか片方を選択できない理由の一つ。それは争いそのものを好まない彼の心理であった。しかしこの二人は己を至上の美と考えており、決して相容れる事のできない関係。水と油のように、共に生きる事のできない関係だ。故に残念ながら争いは起きて必然なのであった。
 ただ、『もう一つの理由』によって彼はついに決心をした。目を開き、二人に向かって告げる。
「……でも、間違いです」
 そっと広げる両腕。小さな身体ながらも、その腕には慈悲が満ち溢れていて。
「な、な、何よ間違いって!」
「ま、まさかどっちも美しくないだなん、て……っ」
 ふわり、薫る温かさ。

 ショックで震えた声を出したミーコルックとヴェノム。しかし、吸い込まれるように腕の中へ抱かれた。突如生まれる安心感、そして消える闘争心。何が起こったのかをすぐに把握する事はできなかった。
「……大丈夫。全て、全て、分かっています」
 まるで本当の親のような、心を溶かす声。さすられる背中から感じる優しさ。
「……ボクを見て。それが、全ての人に与えられた、幸福な権利です」
 宝石のような髪と瞳を持つ少年は囁く。美とは即ち、ボクだと。
「……だって、王子様ですから」
 王子に勝る美などない。競い合う姿を鎮めるには、こうするしかないのだと。
 ミーコルックもヴェノムも、突然覚えた心の震えに驚き、実感し、そして暫く唖然としていたという。
 嗚呼、これが本当の尊い美なのだと。

成功 🔵​🔵​🔴​

吉備・狐珀
戦いながら身嗜みやお肌のことを気にするとは…
「おねえ」とはかくも意識の高い方なのですね

UC「稲荷大神秘文」使用
海賊達の美しさと強さを称え鼓舞し、海賊達を強化
真実とは確かに残酷なものです
何故なら、ミーコルック殿もヴェノム殿もお美しいですが決定的な違いがあります
仲間を想い、島を守る為に戦うその心の美しさはヴェノム殿にはないもの
外見はどのようにでも取繕うことができますが内面はそうはいきません
美しさはミーコルック殿の圧倒的勝利!

しかしながら相手はコンキスタドール
か弱き乙女だけに戦わせるわけにはいきません

月代、ウカ、ウケ、貴方達も全力で衝撃波を放ちヴェノム殿を吹き飛ばし、海賊達の援護をお願いしますね!



 コンキスタドールに対し、海賊達は勇敢にも戦いを挑んでいた。しかし、身体は男であっても心は乙女。怪我をするのは嫌に決まっている。
「戦いながら身嗜みやお肌のことを気にするとは……」
 吉備・狐珀(狐像のヤドリガミ・f17210)は海賊達の戦闘スタイルに感心していた。オネエとは、どのような時でも美しさを忘れない、何とも意識の高い人を指す言葉なのかもしれないと。
「どちらも同じ『おねえ』で、どちらもお美しいのですが……やはりミーコルック殿、そして海賊達の方が輝いて見えます」
「ふん、猟兵っていうのは人を見る目がないのね! それが分かって残念だわ!」
 ヴェノムはご立腹だ。しかし自分の意見は間違ってはいないはずだと、狐珀は発言を撤回する事はなかった。
「何故なら、決定的な違いがあります。仲間を想い、島を守る為に戦うその心の美しさはヴェノム殿にはないもの。外見はどのようにでも取繕うことができますが、内面はそうはいきません」
「どうして守る必要があるのよ、美の頂点に立ちたければ周りの数を減らせばいいじゃない! 自分より美しければ汚して蹴落とせばいいじゃないのよ!」
「……私は『おねえ』ではありませんが、そのような考えをお持ちの時点で、ヴェノム殿は美しさに欠けていると思うのですよ」
「そうね、誰であってもそれが『美しくない』事くらい分かるものよ」
 狐珀の肩をぽんと叩くのは船長ミーコルック。
「みんなで美しくなって認め合っての一番になりたいから、アタシはこうしてるの。でも誰かが傷付いちゃうのを見過ごす事だってできないわ! だからアタシはこの武器を選んだのよ」
 彼(彼女)のガントレットの意味に、なるほどと狐珀は頷く。
「流石です、やはり美しさはミーコルック殿の圧倒的勝利! ですね!」
 目を輝かせながら褒め称えれば、ヴェノムはそれを面白くなさそうに鋭い爪を伸ばす。
「もう! 私は納得しないわよ! 事実がそうであるならば、貴方を殺すだけよ!」
 ミーコルックの方が美しくとも、相手はコンキスタドール。ボロボロであってもしぶとく、力の差は相手の方がやや上だ。
「納得しないから殺すとは物騒な……しかし、ミーコルック殿とてか弱き乙女。そんな方々だけに戦わせる訳にはいきません。月代、ウカ、ウケ!」
 狐珀が三匹の名を呼べば、彼女を慕う仔竜と黒狐、白狐が姿を現した。しゃらりと鉾鈴を握れば、彼女は祝詞を並べ始める。
「――天狐地狐空狐赤狐白狐 稲荷の八霊五狐の神の光の玉なれば 浮世照らせし猛者達を守護し 慎み申す」
 ミーコルックや海賊達は、体の奥からふつふつと力が湧き出てくる感覚を覚えた。今なら立ち向かえると、あのコンキスタドールに打ち勝てると、強く思えた。
「さぁ今です!」
「行くわよみんな! これで最後よっ!!」
 ミーコルックの掛け声と共に、海賊達と、そして月代、ウカ、ウケが一斉に攻撃を開始した。海賊達の発砲と、三匹が放った衝撃波がヴェノムを襲う。真正面から受ける攻撃に、ヴェノムは耐え切ろうとしていたのだが。
「何よ……私の美を、侮辱して……っ! きゃあっ!!」
 吹き飛ばされず耐えるヴェノムに、月代、ウカ、ウケが彼(彼女)が思い切り飛び掛かった。ぽこぽこぽこん! と体当たりが決まればヴェノムは体勢を崩し、そして最後に見たものは。
「さようなら」
 ミーコルックのガントレットがヴェノムの視界を覆い、彼(彼女)の体は海の遠くへと飛ばされていった。

「やったわ~ミーコルック様ぁ!!」
 海賊達は戦いの勝利に喜んだ。ミーコルックは服に付いた砂埃を手で払うと、猟兵達に向かって礼を述べる。
「ありがと、貴方達が居てくれて本当に助かったわ。ふふ、貴方達なら……これからも大歓迎よ!」
 島一番の美人から投げキッスを貰った猟兵達。かくして戦争の最中、一つの島を救う事に成功したのであった。
 オネエだらけの美しき島を巡るのは――またあとでにしておこう。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年02月08日


挿絵イラスト