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銀河帝国攻略戦⑤~小さな光を集めて

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●宇宙船『ブラインドアーチャー』
 『ブラインドアーチャー』は小規模なスペースシップだ。というのも、もとはもっと大きな船の脱出艇だったのだ。
 ある時、帝国軍が攻めてきて、彼らは成すすべもなく母艦を捨てた。多くの、救えなかった命とともに。
 復讐も仇討ちも考えなかった。できるわけがなかったからだ。だから、日々を生きるのに精いっぱいなふりをして悔しさを忘れたふりをしていた。
 そんなこと、できるわけがあるか?
 解放軍の再来の報を聞いたとき、彼らの胸の内には小さな光が灯った。自分たちがどんな役に立てるかなんてわからなかった。だけど、もう無力だなんて諦めるのはやめた。
 戦おう。

●グリモアベース
「みなさんには『スペースシップワールド』に向かってもらいます」
 ゾシエ・バシュカ(蛇の魔女・f07825)は、いきなり本題から切り出した。
「……あ、はい。順を追って説明します。ことの起こりは先日の『ヘロドトスの戦い』。みなさんのなかにも参戦した方がいらっしゃるかもしれませんね」
 『ヘロドトスの戦い』の勝利によりもたらされた遺失技術『ワープドライヴ』。このユーベルコードはスペースシップのコアマシンに『ワープドライヴ』を取り付け、スペースシップワールド内でのワープを可能とするものだ。
「『ワープドライヴ』を使うことで、スペースシップワールドの世界中から銀河帝国に対抗する宇宙船を終結させて全面対決に臨もう、というのが作戦の趣旨です」
 それはさながら、伝説の解放軍の再来。すでに猟兵たちとミディアの呼びかけに応え、数多くの宇宙船の人々が解放軍に加わるべく戦いの準備を始めているという。しかし……。
「実は銀河皇帝も同じユーベルコードを持っているらしく。今まで帝国が神出鬼没に現れていたのはその力だったみたいなんです。ですから、じゃあ、合流前に戦艦を派遣して『ワープドライヴ』装着を待っている宇宙船を撃破してしまおうという考えで、帝国は動いてきます」
 力をあわせなければ、銀河帝国には勝てない。一つ一つの光は儚いものにすぎないのだ。ですが、とゾシエは続ける。
「ワープだったらわたしたち猟兵もできるので。みなさんを帝国の戦艦内にここから直接転移させますので、敵を撃滅してしまってください」
 無事に帝国戦艦を撃退できれば、後にミディアが到着し次第、宇宙船には『ワープドライヴ』が取り付けられ、解放軍に加わることになる。
「敵は主にクローン騎兵ですが、指揮官としてクローン重騎兵と呼ばれる強力な個体が配備されています。単体の戦闘力も高く、味方からの連携・支援を受ければ縦横無尽に攻撃力を発揮します。どうにかして孤立させるとか、弱いクローン騎兵を先に叩いてしまうとか、そんな作戦も有効だと思います」
 説明はこんなところでしょう、とゾシエ。グリモアを取り出し、善は急げとばかりに転送の用意を始める。
「大きな戦いのはじまりです。油断せずに、勝っていきましょう」


kurosato
 新人マスターのkurosatoです。戦争! がんばっていきましょう!
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
 戦場としては「5:帝国戦艦迎撃指令」に対応しています。

 今回、みなさんに相手取ってもらうのは、クローン重騎兵を筆頭とした集団戦。敵の数は十分に用意してありますので、かっこよくばっさばっさとやってしまってください。
 戦場となる戦艦内の施設や地形を利用したい場合などは、その旨をプレイングに書いてくだされば設定が生えます。
 戦闘に勝利したら敵戦艦は破壊されます。方法は爆破なり助けた宇宙船による砲撃なり。プレイングで触れているものがなければてきとうに処理します。
 それでは、みなさんの活躍をお待ちしています。
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第1章 集団戦 『クローン重騎兵』

POW   :    インペリアル・フルバースト
【全武装の一斉発射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    コズミックスナイプ
【味方との相互情報支援】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【狙撃用ビームライフル】で攻撃する。
WIZ   :    サイキッカー拘束用ワイヤー
【アームドフォートから射出した特殊ワイヤー】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

芦屋・晴久
【WIZ】アドリブ、連携歓迎

重騎兵ですか……そのままですと中々骨が折れそうですねぇ。
ならば、悪巧みといきましょうか……

以前に出向いた依頼で似た構造の戦艦に忍び込んだ事があります、この【地形の利用】をしない手はありませんね。

一人クローン兵を【だまし討ち】させて【辰子鏡姫】の契約を完了させます、式神で姿を模倣させて各小隊を個別に誘導、撃破とは如何でしょう。
連携させると厄介ならば、させる前に瓦解させれば良い、単純明快ですね。
此方の行動がバレたのならそれはそれで好都合、疑心暗鬼のまま戦闘にもつれ込ませて速攻撃破と行きましょうか。

あ、私は式神出している間は戦闘出来ませんのでそれは許して。


リオン・ソレイユ
雑兵と言えど、数が集まればちと厄介じゃな。
こういうのは頭を潰せば烏合の衆と化すが、後々の事を考えると、ここで殲滅するのがよいな。

であるならば、
「雑兵は任せよ!お前達は指揮官を狙え!」
ワシは雑兵の殲滅に専念し、指揮官は他の者に任せる。

【スナイパー】で狙いを定めた上で、ヘブンリィスラストの光撃を拡散状態で放ち、【範囲攻撃】じゃ。
全てに当たらずともよい。少しずつでもその数を減らす。
ヘブンリィスラストが命中したら、【毒使い】【早業】【2回攻撃】で死棘槍による【範囲攻撃】を放つ。

敵の攻撃は、極光の外套による【オーラ防御】で減衰した上で、【武器受け】と【盾受け】で受け流すかの。

※連携、アドリブOK


蔵座・鉄征
私は盾役とサポートを勤めましょう。攻め手は皆様、お任せします。

ユーベルコードを使用。
本体である一輪バイクの分身を用いて行動します。
分身の行動内容は優先順に、
①、敵の銃撃から、猟兵をかばう
②、ワイヤーでの攻撃を猟兵が受けた場合、その使用者に突撃する

十騎程度ではこの程度、撹乱まではできないでしょうが、十分以上の働きをしてみせましょう。

私自身は本体を駆って、負傷者の回収を行います。
とどめを刺されないように庇える程度の頑丈さはありますし、
後衛、ヒーラーの元まで下げれば十分でしょう。


蔵座・国臣
治療は任せたまえ。攻め手は任せる。

狙撃できない。されない位置を確保する。戦艦の医務室が使えれば最善だな。そこを拠点に、宇宙バイクで駆け回って、ヒーラーとして働こう。負傷次第で、軽ければポーション受け渡し、重ければユーベルコードをかける。
それで足らないようなら、その負傷者を回収して、拠点に下がる。

戦闘中に復帰の目処が立たないような場合は、残念だが、後回しだ。
応急処置を施して、戦後に治療するさ。
誰一人欠ける事がなければ、こちらが勝つとも


シエル・マリアージュ
ユーベルコードを封じられるのは厄介なので、【Garb of Mirage】の【迷彩】で【目立たない】ように行動、【死は闇より来たれり】で弱いクローン騎兵を【暗殺】していき、ある程度の数を始末したところで【贖罪の御使い】で倒した敵の霊達を召喚、呼び出した霊にクローン重騎兵を拘束させたり目の前で自爆させてクローン重騎兵を妨害して他の猟兵の攻撃を援護する。
私自身は【第六感】で回避優先、【フェイント】や【残像】で敵を惑わせながら戦い、他の猟兵の攻撃に合わせて【死は闇より来たれり】の不意打ちで、黒剣による【2回攻撃】を【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【衝撃波】【属性攻撃】などで強化した攻撃を仕掛ける。


冬晴・キーラ
やったー、宇宙戦争だー☆
金目のものをよこせー✨
ともあれ、キーラちゃんのナワバリを荒らす奴らはぶっ飛ばすしかねえなー★

マジカルメガホンでぬいぐるみさんチームに命令して他の猟兵の戦闘を支援するぜー☆
纏わり付いて足止めしたり、騒いで囮になったり、盾にしたり☆
可哀想? いいよ、中身綿しか入ってねえからさ☆
船内にタレットとか赤いドラム缶とかあったら、そういうのも派手に使うように場所を伝えたり、いい感じに放り投げたりするように指示するぜー☆

戦闘が片付いたら、敵の宇宙戦艦ごと木っ端微塵にするんだよな?
多分、自爆スイッチ的なやつがついてるので、探してそれを押すぜ★
悪い奴の船だからついてるだろ多分。


スカル・ソロモン
私は指揮官のクローン重騎兵を狙おうか。他に狙っている猟兵が居れば、連携して行動するとしよう。
指揮官を狙って孤立させ、指揮をさせなければ、配下は連携が取りづらくなるはずだからね。

指揮官の所に行くまでに配下達が迫ってきたら【恐怖を与える+衝撃波】で動きを止めるか、乱すとしよう。
「そこで大人しくしていると良い」

指揮官との戦闘時は【挑発、2回攻撃、怪力】を駆使して敵の気を引き付けつつ戦う。
敵からの攻撃は【ダッシュ、ジャンプ】で避けたり、【敵(配下)を盾にする】で防ごう。
指揮官のトドメには【鎧砕き】を加えたスカル・ブランディングを使う。
飛び蹴りを胸部に食らわせると同時に死の宿命を刻み込み、爆散させる!


リリスフィア・スターライト
他の猟兵達との連携やアドリブはOKだよ。
エレクトロレギオンで機械を呼び出しクローン達を
破壊させて皆が戦いやすくなるようにだね。
倒せなくとも撹乱して指揮官をあぶりだせればいいかな。
クローンたちの反撃には注意して機械同士で
なるべく固まらずに行動するよう指示するね。
接近戦になった場合は剣で応戦するよ。
戦闘の決着がつきそうなら帝国側の戦艦をハッキングして
沈黙させるつもりだよ。

「どれだけ文明が発達しても数で圧倒する事には変わりはないみたいだね」
「技術力ではこちらも負けていられないね」



 虹の光芒が幾条もの線となって尾を曳き、再び暗い世界へと放り出される。ワープアウト時に避け得ない衝撃に耐えながら、ブリッジの外に目をやる。
 そこには敵のスペースシップ『ブラインドアーチャー』がいた。取るに足らない、ちっぽけな船だ。指揮官たるクローン重騎兵は、頭を覆うマスクの下でせせら笑った。あんなものがいくら雁首揃えようとも、我らが銀河帝国にとって脅威になるものか?
 重騎兵は部下たちに準備を急がせた。クローン騎兵たちが指示に従い、粛々と攻撃艇のハンガーに集っていく。
 準備が整うのを待ったら、あとは攻撃を命令するだけだ。逃れられまい。攻撃艇が瞬く間に敵艦を包囲し、ブラスターを浴びせ粉砕する様を彼はありありと思い描くことができた。実際、そうなるだろう。銀河帝国に立てつこうなどと思いあがった愚か者は、この冷たい宇宙の徒花となって散る。
 彼はまだ知らなかった。散るのは自分たちだということを。

 グリモアの力による転移。ごく短い眩暈のような感覚に小さく頭を振りながら、猟兵たちは次々と戦艦内に降り立った。
 都合のいいことに、どうやら無人の区画に出たようだ。見たところ倉庫かなにかか。
「やったー、宇宙戦争だー☆」
 冬晴・キーラ(星空アジタート・f05497)がぱたぱたと走り出て周囲を物色する。残念ながら金目のものは見つからなかったが。勝手にプロテインバーの包みを開けてかじり(クローン兵もものを食べるのだ)、味気無さに文句を垂れてぺっぺと吐きだしながら、
「キーラちゃんのナワバリを荒らす奴らはぶっ飛ばすしかねえなー★ どうする?」
 仲間たちに尋ねる。芦屋・晴久(謎に包まれた怪しき医師・f00321)が答えて、
「正面から行くのは中々骨が折れそうですねぇ」
 敵の数は多いし、指揮官の重騎兵は強敵だ。
「ならば、悪巧みといきましょうか……」
 目を細め、軽薄な笑みを貼り付けて、そんなことを言う。彼はあることに気づいていた。とりあえず進もうと、猟兵たちが敵との遭遇を警戒しながらいくつかの区画を過ぎると、それは確信に変わった。この戦艦は、以前晴久が請けた依頼で出向いた艦とよく似ていたのだ。おそらく細部は違うにしても、大まかに構造を言い当てることができた。
 ならば、と蔵座・国臣(装甲医療騎兵・f07153)が問う。
「医務室の位置はわかるか? 拠点にしたい」
「それならお安い御用です」
 本格的な戦闘の前に医務室を制圧して拠点にしようというのが国臣の考えだった。治療設備を奪うことで自分たちの経戦能力を確保しつつ、敵の退路を潰す。一石二鳥の妙案といえた。

 晴久に導かれ、猟兵たちは一路医務室へ。ドアの前には見張りのクローン騎兵が一人立っていた。
 立っていた。過去形である。シエル・マリアージュ(天に見初められし乙女・f01707)が影からの不意討ち――ユーベルコード『死は闇より来たれり』――で倒してしまったからだ。クローン騎兵はなにが起こったのかもわからず地に伏している。アーマーの駆動系が切断され、動くことができない。晴久が近づき何事か囁きかけると、クローン兵は恐慌のうちに何度もうなずいた。晴久は笑みを濃くして詠唱する。
「写せや映せや其の面、水面見詰めるは龍の顎……」
 詠唱が終わると、現れたのは目の前のクローン騎兵とまったく瓜二つの姿。これが晴久の術、『式神招来・辰子鏡姫』だ。兵士は呆然と見つめていたが、鉄扇が振り下ろされ、今度こそ沈黙した。
 敵と同じ姿の式神がいれば、様々な用途に使える。味方のふりをして誘導したり、連携を乱したり。敵に疑心暗鬼を受け付けることもできるかもしれない。ただし、私は式神出している間は戦闘出来ませんのでそれは許して、とは晴久の弁。
 たとえばこんなことができる。クローン騎兵を模した式神が医務室のドアを開ける。ブラスターを乱射する。泡を食った衛生兵たちが冷静さを取り戻す前に猟兵たちがなだれ込み、瞬く間に制圧する。
 国臣は医務室の設備を確認して満足げに頷く。スペースシップワールドの発展した医療設備が使えるならば、ここは拠点として十分に機能するだろう。
「攻め手は任せる。治療は任せたまえ。誰一人欠ける事がなければ、こちらが勝つとも」
 落ち着いた口調で告げられた言葉は淡々としたものだったが、その分それが事実であることを印象づけるかのようだった。
 医務室のコンソールに侵入して戦艦内の状況を確認していたリリスフィア・スターライト(多重人格者のマジックナイト・f02074)が声を挙げる。
「クローン騎兵がハンガーに集まってるみたいだよ。出撃される前に妨害したほうがいいんじゃないかな」
 敵が集まっていると見られるのは二か所。攻撃艇ハンガーと、指揮官のクローン重騎兵が居座るブリッジだ。ハンガーからの攻撃艇発艦を許せば護るべき『ブラインドアーチャー』が危機に晒される。さりとて、ブリッジを後回しにすれば確実に対応される。破れかぶれとなればなにをしでかすかわからない。
 結論としては、二手に分かれることになった。猟兵たちは各々の戦場へと駆け出していく。国臣は医務室に残り、戦闘の趨勢を見て救援が必要に応じて駆けつけるのだ。

 攻撃艇ハンガーに集まったクローン騎兵たちは、整然と隊列を組んでいた。機械のプログラムのように一糸乱れず、着々と攻撃艇に乗り込んでいく。
 そこに闖入者が割って入った。クローン騎兵だ。
 慌ただしく足音立てて列を乱す無作法な存在に、クローンたちの間にさざめきが伝播していく。
「一体どうした?」
「そ、それが、緊急事態なんです!」
「なんだと?」
 現れたクローン騎兵は、突然にブラスターを構えると、目の前のクローン騎兵を撃ちぬいた。その正体は、晴久の式神だったのである。
 味方の中に現れた裏切り者に一斉に銃口が向けられ、光線が飛び交う。数多くの流れ弾とともに。混乱が広がる。
 猟兵たちはこの機を見逃さずに攻撃をしかける。戦端を切ったのはリオン・ソレイユ(放浪の老騎士・f01568)だ。「雑兵は任せよ」と言ってのけ、ハンガーの攻略を買って出た老騎士は、魔剣ソニアを振りかざし光を放つ。『ヘブンリィスラスト』の光輝がクローン騎兵たちを刺し貫き、斬り払う。
「ソニアよ、力を借りるぞ!」
 そして、それだけには留まらない。『死棘槍』――猛毒を宿した棘の槍が追撃し、敵陣を引き裂いていく。
 体勢が崩れたところに、リリスフィアの召喚した『エレクトロレギオン』の小型機械兵とキーラの指揮するぬいぐるみさんチームが群れを成して殺到する。数と数とがぶつかり合う。
 クローン騎兵たちは今はまだ混乱しているが……。
「指揮してるやつが隠れているはずだ! あそこだ!」
「やべっ★」
 メガホンを構えて攻撃艇の影から身を乗り出したキーラが勘のいいクローン騎兵に見つかり、わらわらと向かってくる。統率がとれていなくても数による波状攻撃となる。
「どれだけ文明が発達しても数で圧倒する事には変わりはないみたいだね」
 リリスフィアは呟いて、剣を構えて自ら隠れ場所から姿を現す。機械兵士と連携し、赤い剣が閃くたびにクローン騎兵が倒れていく。それでも敵の数に圧されたならば、
「天の加護を得た我が一撃は、遍く全てを貫き、断ち斬るぞ!」
 高々と声を張り上げ、リオンの『ヘブンリィスラスト』がクローン騎兵を薙ぎ払う。老練の騎士はマントと盾を翻し、混沌とした戦場の中でも危なげなく敵の攻撃を捌いていた。
 攻撃艇の影に隠れたキーラが、同じく隠れている(傷を負うと式神が解除されてしまうため)晴久にあれあれ、と注意を促す。そちらを見ると、ぬいぐるみが赤いドラム缶のようなものを運んできていた。撃てって? サングラスの奥から視線で意図を問う晴久。キーラはうなずく。式神の光線銃がドラム缶を射貫くと、とんでもない爆発があがった。クローン騎兵たちは漫画みたいに吹っ飛び、ぬいぐるみさんたちは憐れにも木っ端みじんの焦げた布切れに変わった。
「可哀想? いいよ、中身綿しか入ってねえからさ☆」
 結局、これが決定打となり戦いの趨勢は決した。猟兵たちはほどなくハンガーのクローン騎兵を全滅に追い込んだ。

 ブリッジのドアは力いっぱいの跳び蹴りで吹っ飛ばされた。ひしゃげた板切れががらんがらんと音たてて転がる。室内の時間は一瞬、凍りついた。
「――さあ、ヒーロータイムだ」
 スカル・ソロモン(目覚める本能・f04239)の髑髏を模した仮面が暗がりからゆったりと歩いてくる。首根っこを捕まえて持っていた見張りのクローン騎兵をブリッジに放り込む。ひどく床に打ち据えられたその体はぴくりとも動かない。
 スカルの視線がブリッジ内を彷徨う。真ん中にいる、他よりもいかついアーマーを着込んだ指揮官のクローン重騎兵であると見定めた。
 視界の隅で、今頃になってのろのろと、騎兵たちがブラスターを構えているのが見えた。――そこで大人しくしていると良い。
 銃口がスカルを追うが、すでに彼は跳躍している。あまりにも美しく放物線を描いたドロップキックが、クローン重騎兵の胸に突き刺さった。
 アラートが鳴り、ブリッジ内は赤く旋回する光で照らされる。戦いが始まった。クローン重騎兵は憤怒を糧に立ち上がり、他の騎兵たちも戦闘態勢に入る。敵は一人……!
 否。雷鳴のごとき轟きを従えて、一輪バイクが次々とブリッジに突撃してくる。その数、十。蔵座・鉄征(テッサちゃん・f08578)と、彼女が作り出した自らの本体の複製だ。ブリッジはそう広いわけではない。これだけの数がいれば、空間を制してクローン騎兵を抑える働きは十分にこなせる。
 クローン騎兵が指揮官を援護しようと銃を構えれば、すかさず複製された一輪バイクが間に割って入り、身を挺してかばう。クローン騎兵は歯噛みするが、機動力で勝る相手を引きはがすことができない。
 そして、シエルの存在。彼女は影から影へと渡りながら、着実にクローン騎兵を屠っていた。不意を打って現れ、黒剣をアーマーの隙間に突き入れる。断罪のサンクトゥス。血に濡れた刀身は、奇しくも危険を告げる照明と同じ赤い紋様を浮かび上がらせていた。
 部屋の中央部はクローン重騎兵とスカルのためのリングとなっていた。漆黒のヒーロースーツと闇のオーラを纏った手足が荒々しく暴威を振り撒く。インファイトを不利と見るや、重騎兵はジェットを噴射して飛翔、天井すれすれまで舞い上がる。スカルは深く腰を落とし跳躍、迎撃せんとするが、一瞬だけ遅れる。
 クローン重騎兵は精鋭である。一瞬でもあれば反撃の糸口はつかめる。『インペリアル・フルバースト』、全武装による一斉掃射が猟兵たちに雨のごとく降り注ぐ。
 特に被害が大きかったのは鉄征だった。複製体のみならず自分自身をも盾として仲間を守った彼女はついに膝をつく。
 ようやく自由に攻撃に参加できる、とクローン騎兵たちは部屋の中央に居座るスカルにそろって銃口を向けた。
 ――違和感があった。無事な騎兵が、こんなに残っているはずがない。
「我に敗れし咎人よ、我が御使いとなりて敵を討て」
 シエルが唱える。クローン騎兵は隣の騎兵に突然躍りかかり、床に押し倒す。そして動きを止めたかと思うと次の瞬間自爆した。『贖罪の御使い』、シエルは自身が倒した敵の霊を喚び出したのだ。
 反撃はすでに遅かったということだ。もはや動ける騎兵は残っていない。
 通路から騒々しい音が聞こえ、バイクにまたがった国臣が姿を現した。わずかに意外そうな顔をする。危険と見て医務室を飛び出してきたのだが。
「手ひどくやられたな」
 国臣は鉄征に寄り添うと、ナノマシンによる治療を施す。別に大丈夫でした、と鉄政が返す。
「さあ、エンディングの時間だ」
 スカルは呆然と立ち尽くすクローン重騎兵に言った。敵ははっとして身構えようとするが――間に合うはずがない。
 渾身の跳び蹴りが重騎兵の胸に突き刺さり、死の刻印を刻み込む。突き抜けてポーズを決めたスカルの背後で、宙に漂ったクローン重騎兵が華々しく爆発四散した。

 戦いが終わり、戦艦は完全に沈黙した。これを破壊するまでが今回の任務だ。
「悪いやつの船だからさー、多分自爆スイッチ的なやつがついてるだろ★」
「えーと……あるね」
 リリスフィアがブリッジのメインシステムをハッキングすると、戦艦を自爆させるボタンがホログラム投影された。キーラが力いっぱい押すと、けたたましい音が鳴り響き、カウントダウンが始まる。猟兵たちはいそいそと脱出した。

 やがてミディアを迎えた『ブラインドアーチャー』は解放軍の一員として戦列に加わることになる。虹の軌跡を描いて、小さな光は集う。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月05日


挿絵イラスト