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ダンシング・ウィズ・マリス・イン・ザ・ダーク

#アルダワ魔法学園 #猟書家の侵攻 #猟書家 #探求のオルガノン #ガジェッティア #災魔の卵 #暗闇

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「下等生物共が作り上げた、蒸気魔導文明の災魔化……。すぐに実現できると思っていましたが、猟兵の邪魔で未だに目的が果たせませんか……!」
 褐色の肌と白髪の少年型自律稼働人形がギリッと奥歯を噛みしめる。
 人形の名は『探求のオルガノン』――猟書家(ビブリオマニア)だ。
「だがしかし、苦汁を舐める日々も今日で終わりです。今回の『蒸気獣もどき』は格別ですからね? これで勝ったも同然です」
 猟書家は、懐から取り出した『災魔の卵』を目の前の魔導蒸気機械に埋め込んだ。
 すると、次の瞬間、卵を埋め込まれた機械が災魔化して動き出す!
「さあ、目覚めなさい。愚かで醜い蒸気魔導文明の産物よ! 災魔となって、下等生物共を皆殺しにしなさい!」
 猟書家が『災魔の卵』を埋め込んだのは、魔導蒸気式灯台。
 普段は夜間の船舶航行のための魔法光を灯す役割を持つもの。
 だが、災魔化した灯台は、逆に光を食い尽くす存在になってしまった。
「光ヲ……光ヲ、寄越セ……!」
 周囲の魔法光を、太陽光を、ぐんぐん吸い込むように喰らい尽くす災魔化灯台!
 同時に、港町の人々の生命力までも吸い尽くしていく!
 気が付けば、港町には生者の気配は途絶え、暗闇だけが横たわっていた……。

「アルダワ世界で猟書家の動きを予知したよっ!」
 蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)は、自身の頭上に浮かぶレモン型のグリモアから予知の内容を投影しつつ、集まってくれた猟兵達へ今回の任務内容を説明し始めた。
「今回の敵は猟書家『探求のオルガノン』っていう少年型自律稼働人形だよっ! 『災魔の卵』っていう厄介な代物を使って、アルダワ世界の地域『商会同盟』に存在する港町の灯台を災魔化しちゃったんだよっ! このままだと港町の住民のみんなの命が危険にさらされちゃうから、すぐに猟書家を撃破して、この悪巧みを食い止めてねっ!」
 要は灯台に向かえばいいんだろう?
 港町からなら灯台はすぐ見えるだろうし、楽勝じゃないか。
 そんな声が上がる中、レモンは険しい表情を浮かべ、首を横に振った。
「ううん、それが、予知にもあった通り、この災魔化した灯台は『光』を食べちゃうんだよっ! 魔法の光や炎といった“光源”とみなされる、ありとあらゆる明かりは、全て生命力と一緒に吸い込まれちゃうんだよっ! そのせいで、港町は夕暮れ時期にも関わらず、完全な闇に包まれてる状態だよっ! つまり、港町は完全に視界がゼロ! 文字通り、一寸先は闇だねっ?」
 それは即ち、方向感覚も完全に掴めず、かつ灯台までの距離も全く掴めない状況。
 暗視の技能や直感、はたまた別の方法などで、この暗闇での任務を遂行しなければならないわけである。レモンいわく、聖者が発する光も吸い取られてしまう恐れがあるという。
「だけど、幸い、この港町に灯台を設計した『ガジェッティア』さんが滞在しているよっ! 何とか合流を果たして、協力し合えばうまく対処できるはずだよっ!」
 そのガジェッティアは20代半ばの女性らしい。
 暗闇の中、彼女は自作の暗視モニターを使って移動中と予知で判明している。
「かなり難易度が高い任務になると思うけど、猟書家を倒せるのは猟兵のみんなだけっ! だから、お願いっ! みんなの力を貸してほしいなっ!」
 レモンの言葉に、任務受領を決めた猟兵達が挙手をしたり、首肯したりする。
 これにレモンは笑顔で答えた。
「ありがとうっ! 準備ができたらすぐ転送するよっ! みんな、頑張ってねっ!」
 レモンのグリモアが輝き、アルダワ世界『商会同盟』の港町へ転送が始まる!


七転 十五起
 アルダワ世界での猟書家の侵略を食い止めてください。
 そして闇の中で踊りましょう。
 なぎてんはねおきです。

●プレイングボーナス(全章共通)
 この機械を建造したガジェッティアの助力を得る。

 第一章は、暗闇に包まれた港町から、灯台へ移動します。
 このフラグメントでは、あらゆる“光源”が全て災魔化灯台によって吸い尽くされます。そして絶えず生命力も吸い取られてしまうので、急いで灯台へ向かって下さい。
 途中、ガジェッティアと合流できれば、目的地までの時短が期待できます。
 なお、猟書家は灯台に最上階で港町の崩壊が完了するまで寛いでます。

 第二章は、猟書家『探求のオルガノン』との直接対決です。
 詳細は、第二章移行時の断章加筆時にお知らせします。

 それでは、皆様の挑戦を心よりお待ちしております!
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第1章 冒険 『ダークゾーン』

POW   :    根性を奮い起こして闇を切り抜ける

SPD   :    視覚以外の知覚を駆使して闇を駆け抜ける

WIZ   :    知恵を活かして闇を潜り抜ける

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

黒木・摩那
災魔化したと灯台が光を吸い尽くすとは厄介な話です。
これは街に命と日の光を取り戻すため、一刻も早く灯台を探し出す必要があります。

ここは科学の力を駆使して、効率的に灯台を探し出しましょう。

ドローン『マリオネット』を街の上空に滞空させます【情報収集】。
そこで、レーダーで灯台と街の構造を探査すると同時に基準とします。

あとはドローンとスマートグラスを連動させて、道案内に使います。
ただ、暗視モードにしても地図が参照できるとは限りません。
道案内は音声モードで行います。

細かい街や道の情報までは探査できないでしょうから、そこは【第六感】頼りで進みます。



 目の前は、泥のような暗黒で満たされていた。
 転送されてきた黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は、自分の体の輪郭すら闇に溶けてしまいそうな港町を見渡す。
 だが、何処を眺めても暗闇ばかり。自分の手元や足元すら判別付かないほどに。
 更に、立っているだけで倦怠感が強まってきている。
 災魔化した蒸気魔導式灯台が、光源と生命力を吸い尽くしている証拠だ。
「港町全体が災魔化した灯台によって光と生命力を吸い尽くされるとは厄介な話です。これは街に命と日の光を取り戻すため、一刻も早く灯台を探し出す必要がありますね」
 黒木は早速、行動を開始した。
「ここは科学の力を駆使して、効率的に灯台を探し出しましょう」
 まずは情報収集だ。
 索敵ドローン『マリオネット』を、目元のスマートグラスを介して起動させる。
 ドローンは一気に暗闇に包まれた港町の上空へと舞い上がってゆく。
 カメラアイも搭載されているが、何処までも深淵の闇が広がっているだけであった。
「やはり光学レンズカメラアイは役に立ちませんか。では、電探で街全体を捜索してみましょう」
 今度はドローンから電波を放出させると、跳ね返ってきた電波の反応から、ぼんやりと街の全景が黒木のメガネに表示……されなかった。
「そうでした。スマートグラスに表示される地図は、この暗闇では読めません」
 液晶に表示される地図も、僅かながら電気反応で光を発する。
 災魔はそれすらも容赦なく吸い尽くすのだ。
 たとえ吸われずにメガネのレンズに地図が浮かび上がっていたとしても、光源がなければ読み上げることも出来ない。
 だが、黒木は最初から此の事態を想定済みである。
「目視確認が駄目なら、音声確認で行きましょう」
 どうやら、ドローンには音声での受け答えができる程度のAIが搭載されてるようだ。
「ヘイ、マリオネット。此処から灯台までのおよその距離を教えてください」
『(ぽーん♪)直線距離で、およそ3km先です』
「目的地までのルートを検索してくれませんか?」
『(ぽーん♪)検索、完了しました。音声ガイダンスによる、ナビゲーションを開始します。前方、300m先を右折です』
 ドローンの指示によって、黒木はゆっくりと足を前に動かし始める。
 両手で障害物がないかを慎重に確認しつつ、壁があれば片手で触りながらゆっくりと歩いてゆく。
「300m先と言ってましたが、こうも真っ暗だと、どれだけ歩いても進んでいない気がします……」
 実際、黒木の歩みは非常にゆっくりだ。
 足元や周囲に危険がないかを、自身の第六感を働かせて移動している黒木。
 一歩踏み出すたびに暗黒の中へ沈んでゆきそうな錯覚に見舞われてしまう。
 更に、体力はより一層削られてきている。
 急がねば、道中で疲弊して動けなくなってしまうだろう。
「とはいえ、焦って障害物や他の猟兵達と激突するわけにはいきません。慎重に……」
 黒木は徐々に移動のペースを上げてゆくと、ようやく最初の300mを歩ききり、右手に曲がる路地の奥へと進んでいった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

カシム・ディーン
UC発動
攻撃力半減
装甲強化
銀髪銀眼美少女モード

事前
事前に港町の見取り図と状況を把握

闇に紛れるのが盗賊の在り方ですが
暗すぎですね
極めて不本意ですがメルシー
手を繋ぎますよ
「わーい♥こういう展開もありだね♪」
お前が迷子にならない為ですよっ
【情報収集・属性攻撃】
音属性による超音波を周囲に展開
其処から返ってくる反応から周囲の障害や存在を把握
特に猟兵以外の動いている存在の捕捉に努

メルシー
【医術】
手を通して消耗の把握
「(少し汗ばんでるし心音が高い…暗がりで寂しくなってるね…こういう時はぎゅっと手を握って安心させてっと♥)」
【念動力】
念動フィールドも展開して周囲の障害物の察知に努めぶつからないように注意



 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)と、彼に半ば強引に付き纏うサイキックキャバリアこと界導神機『メルクリウス』……が変化した銀髪美少女メルシーのコンビは、深淵の闇の中に転送されて困惑していた。
「闇に紛れるのが盗賊の在り方ですが、これは流石に暗すぎですね。頭に入れてきた街の全体見取り図が完全に無意味です……」
 なにせ、自分が今、港町の何処に居るのかが判別付かない状態だ。
 港町の地図を事前に頭の中へ叩き込んでも、活用するための目印や建物を視認することが出来ない。
 そのため、向かうべき方角も分からないのは痛恨だった。
「はぁ……参りました。極めて不本意ですが……メルシー? 何処かに居るんだろう? はぐれないために手を繋ぎますよ」
「わーい♥ こういう展開もありだね♪」
 秒で擦り寄ってくるメルシー。
 そのまま豊満な胸を故意に押し付けてゆくスタイル。
「ご主人サマってば、メルシーとはぐれるのが嫌だからって、もう~♥ 素直じゃないところも大好きだゾ♥」
「いや、お前が迷子にならない為ですよっ! 勘違いするなバーロー!」
 そう言いながらも、手の握り方は互いの指を絡ませる、いわゆる“恋人繋ぎ”である。
 ここでカシム、ふと疑問が浮かび上がる。
「なあ、お前? なんでこの暗闇の中、僕の場所がすぐに分かった?」
「愛、だよ♥ ご主人サマ♥」
「なぜそこで愛ッ!? 僕は原理を教えろって言ってるんですよ?」
「え? メルシーは賢者の石だから、目が見えなくても空気中の魔力探知や周囲の音の反響で問題なく歩き回れるけど?」
「……そっかぁ。便利だなぁ~お前~って早く言ってくださいよ、それっ! 此方は本当に何も見えてないんですよ!?」
 半ギレでカシムは抗議した。
「はぁ……なんか怠くなってきました……お前と話していると疲れます……」
「それ、災魔の攻撃だよ、ご主人サマ! メルシーが護ってあげる!」
 ぎゅっと力強く主の手を包み込むメルシー。
 賢者の石の溢れる生命力で、失われてゆくカシムの生命力を補填してゆく。
(少し汗ばんでるし、心音が高い……口では強がってるけど、ご主人サマってば暗がりで寂しくなってるね……こういう時はぎゅっと手を握って安心させてっと♥)
 これにより、カシムの体力の消耗は差し引きゼロになった。
 更に、メルシーは自身とカシムの周囲に念動力で出来た障壁を生成。
 斥力を発生させることで、障害物の感知を行いやすくした。
「ご主人サマ、ここはメルシーにまかせて! えーっと、うん、こっちだね☆」
「お、おう。……よろしく頼みますよ?」
 主の手を引く従者。
 カシムは完全に手が出せないので、ここはメルシーに一任するしかない。
 普段はウザいストーカー兼相棒だが、万能の象徴である賢者の石らしく暗闇など物ともしないメルシーに、このときばかりはカシムの口から感謝の言葉が溢れた。
「……ありがとうございます、メルシー」
「……当然のことをしてるだけだよ」
 その言葉の後、不意にカシムの頬に温かで柔らかい感触が伝わった。
「……キス、ほっぺただけど、前借りってことで? 今度こそ、メルシーがご主人サマを勝たせてあげるから!」
 メルシーの気恥ずかしそうな声に、カシムは無言で握る手に力を籠めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

夜羽々矢・琉漣
わ、本当に真っ暗だ……。けど、視覚しか潰せてないなら他にやりようはあるんだよね。

「Wadjete」を【暗視】モードにして視界を確保しつつ、蝙蝠型の飛行騎乗モンスターを召喚して町上空を移動しながらとりあえずガジェッティアの人を探そうかな。
蝙蝠型モンスターの発する超音波をソナー代わりにして町のマッピングをしつつ、一定の方向、もしくは灯台の場所が特定出来たらその方向に移動し続ける人が居ればそっちに接近。確認して、ガジェッティアの人だったら同道を申し出る。移動の足が要りそうなら乗せるよ。

後は他の人の端末とかに、町の地図とそれぞれの現在地を送るくらいできるといいんだけど……。



「わ、本当に真っ暗だ……」
 転送直後、夜羽々矢・琉漣(コードキャスター・f21260)の口から吐いて出た言葉がこれだった。
「けど、視覚しか潰せてないなら他にやりようはあるんだよね。まずはWadjeteを暗視モードに切り替えてっと……」
 琉漣は、コンタクトレンズ型デバイス越しの視界を確保しようと試みる。
 だが、思っていた以上に視界が確保できない。
「あれ? おかしいね? 手前しか見えない……?」
 琉漣は首を捻る。そして、ひとつの仮説に辿り着いた。
「……赤外線もある意味では光の一種だから、もしかして吸収される対象だろうか?」
 光源とはないが、赤外線も光だ。
 全く影響を受けない事はなかったのだ。
「でも、少しは視界が開けた。あとは……おいで、俺の英雄」
 琉漣はユーベルコードでMMORPGモチーフのキャラクターを召喚する。
 今回のキャラクターは、64匹の蝙蝠型の飛行騎乗モンスターだ。
 琉漣はそのうちの1匹の背中に跨り、群れを率いて港町の上空へ羽ばたいてゆく。
「音波で街全体をソナーの要領で感知してゆこう」
 魔改造タブレット『ジオサイド』にデータを集積してゆく。
 通常なら、タブレット端末の文字は此の暗闇で読み解くことなど不可能だが、コンタクトレンズのお陰で多少の視界を確保しているため、どうにか画面の文字を閲覧可能なのは幸いだった。
 こうして、琉漣は港町の周辺構図を徐々に把握してゆく。
「あ、俺以外にも猟兵らしき人たちがたくさん来てるみたいだ。ん……? あれは?」
 地上で周囲に声を張り続ける女性を発見する琉漣。
 降下して、彼女に話しかけてみた。
「すみません、俺は猟兵。ここは一般人の方には危険です。早く避難して下さい」
「猟兵さん? 私はガジェッティアのマキナよ。灯台のメンテナンスにこの港町に辿り着いた途端にこれでしょ? 誰か逃げ遅れたひとがいないか、探していたのよ」
 ガジェッティアのマキナは、奇妙なゴーグルを装着していた。
「ああ、これ? 災魔のせいで光が吸い込まれるっぽいから、魔力を可視化して視界を確保するゴーグルよ。これで暗闇でも問題なく歩けるわ」
 マキナは琉漣に、その奇妙なゴーグルと同じものを差し出してきた。
「よかったら使って? 役立つと思うわ」
「ありがとう。早速、使わせてもらうよ」
 琉漣がゴーグルを装着すると、まるで昼間の如き視界が一気に広がっていった。
 光源に頼らない視界確保の技術に、魔術師系ハッカーの琉漣は興味津々だ。
「これはすごいね。助かるよ。あ、そうだ。お礼に蝙蝠に乗っていくといい。移動の足が要りそうなら乗せるよ」
「本当? ありがとう、と言いたいところだけど、他の猟兵さんにも合流して、そのゴーグルを渡しておきたいの」
 マキナは背負っている背嚢を指差す。
 恐らく、ゴーグルが中に入っているんだろう。
「本来は夜間作業用にって、灯台のメンテナンスに従事する人達用に持参してきたんだけど、猟兵さん達の役に立つなら配布したいの」
「そうか。それなら同行はやめて、俺は先に灯台へ向かうとするよ。頑張って」
 琉漣は念の為、蝙蝠1匹をマキナの側へ付けさせると、自身は蝙蝠の背中に乗って港にそびえる巨大な灯台へ飛び立っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

イザベラ・ラブレス
光源と生命力を奪う灯台災魔…よく考えたわねオルガノンのやつ。
何はともあれ早急にガジェッティアとの合流を図る必要があるわね。

SPD
聖者の光も駄目ってことは暗視装置も役立たずなのは確定。
ならば視覚以外で探すしか無いわ。
「重装強襲兵装備」の集音機能を最大にして【聞き耳】を立ててガジェッティアと思しき動体を捜索するわ。
彼女が戦闘要員でも無い限り足音を消して移動するとは考えられないから簡単な筈。

合流できたら解決の手助けをする事を説明し【情報収集】で事態への対応策を聞き出す。
その後は、万が一の奇襲に備えて【索敵】をしつつ何時でも【かばう】事が出来るように護衛しながらガジェッティアに同行するわ。

アドリブ歓迎



 イザベラ・ラブレス(デカい銃を持つ女・f30419)はアポカリプスヘルの傭兵一族の名門ラブレス家の令嬢だ。
 家の名に恥じぬ実力を養うために猟兵稼業を行っている彼女にとって、夜間戦闘は履修すべき任務内容である。
「光源と生命力を奪う灯台災魔……よく考えたわね、オルガノンのやつ」
 一切の光の存在が奪われる、真の暗闇を生み出した猟書家に対して舌打ちひとつ。
 そして湧き出す殺意はふたつ。
「こら、ジョージ? 何、勝手に出てこようとしているのよ……?」
 自身の足元から、ずぞぞ……と流水にも似た音を立てて地面に這い上がってくるのは、イザベラに憑依している屍山血河の魔獣『ジョージ』の狼頭だ。
 この魔獣に憑かれている影響からか、戦場の亡霊や英霊と関わりを持つ事が多いイザベラ。
 いつしか彼女は、魔女の力をその身に宿していた。
 そんなジョージは普段は影の中に潜んでいるわけだが、今は街全体が暗闇……つまり巨大な影のような空間だ。
 急に動き回れる範囲が広がったことに、ジョージが喜んでいるのが精神を通してイザベラは感じ取っていた。
「……そうね。この状況なら、いざという時に手伝ってもらうことは……あるかは分からないけけれど。ああ、でも、今は大人しくして。いいわね、ジョージ?」
 イザベラの言葉に、ジョージは心なしかションボリした様子で闇の中へと沈んでいった。
 まるで飼い主にたしなめられた番犬のようである。
「オーケー、良い子よ、ジョージ。さあ、あまり時間は掛けられないわ。早急にガジェッティアとの合流を図る必要があるわね」

“――Good hunting.”

 いつも猟兵を送り出す際に告げる言葉を、今日は自身に投げかけた。
 猟書家を狩るためにも、まずは準備を進めねばなるまい。
 イザベラは港町に滞在しているであろうガジェッティアを探し出すために、状況判断を試みる。
「予知によれば、聖者の光も駄目ってこと。それは光学仕様の暗視装置も役立たずなのは確定。ならば視覚以外で探すしか無いわ」
 予め装備しておいた重装強襲兵装備の機能を稼働させるイザベラ。犬耳型ギアとマズル型マスクは彼女の趣味だ。
「集音機能、最大出力。いくら暗闇だからって、生物は無音で移動はできないもの。ガジェッティアの彼女が戦闘要員出ない限り、足音を消して移動するとは考えられないから簡単な筈。他の猟兵達とも合流できるかもしれないし、今は聞き耳で拾える情報は何だって聞き取るわ」
 イザベラは注意深く耳を澄ますと、8時の方向からシューッシューッというナニカの噴出音が聞こえた。
「魔導蒸気の動力は水蒸気……つまり、水蒸気が吹き上がる音が発生する……? これってつまり、彼女よね?」
 イザベラは音のする方向へ歩き始める。
 途中で足元に障害物を蹴飛ばしたり、壁に手をついて移動しつつ、蒸気の噴出音の出処に辿り着くことが出来た。
 集音機能を通常レベルまで戻すと、イザベラは周囲に居るであろうガジェッティアを呼び止めた。
「誰かいるの? 私はラブレス家の令嬢、イザベラ・ラブレス。傭兵であり猟兵よ」
「ああ、あなたも猟兵さん? 随分と重装備なのね?」
「私の装備が見えてる……?」
「ええ、ばっちり見えてるわ」
 ガジェッティアはすぐにイザベラの手を取って、自分の所在を伝えた。
「はじめまして、私はガジェッティアのマキナ。早速だけど、あなたにも私が発明した『蒸気魔導式暗視ゴーグル』を配布するわ。これがあれば、どんな暗闇でも安心よ?」
「暗視ゴーグル? 光源がなくても使えるの?」
 驚くイザベラは、手渡されたゴツくて重量感満載のゴーグルを手元で触って確認する。
 マキナは、此のゴーグルは魔力探知の応用で、魔力を可視化するレンズと蒸気魔導で昼間と変わらぬ視界を保てるスグレモノだと教えてくれた。
「……さすが異世界の文明の利器ね。私の故郷の世界に持ち帰りたいくらいだわ」
 装着したイザベラは、暗闇で遮られていた視界が一気に開けたことに驚きを隠せない。赤外線センサーとはまた違う景色に、思わず感嘆の声が漏れた。
(彼女と合流して正解だったわね。このまま灯台に向かっていたらと思うと、ゾッとするわ……)
 もはやチート級のアイテムを受け取ったイザベラは、灯台の場所や方角など一発で判別可能だ。
「ありがとう、マキナ。でも無理しないで。あなたも災魔の生命力吸収に晒されている身よ。念の為、私が護衛として同行できるけど。どうする?」
「イザベラは優しいのね。でも、ガジェッティアは体力が肝心の職業なの。こんな疲れなんて、3日間貫徹のクライアント案件の時の疲労感に比べたら……ふふ……あのジジイ、いつかスパナで殴ってやるわ……」
 闇の中で、マキナは心の闇を吐露してしまう。
「あ、あなたも苦労しているみたいね……」
 何処の世界でもブラック案件がはびこてるんだなぁと、イザベラは同情せざるを得ない。
「ということで、他の猟兵さんを私は探しに行くつもりよ。後で灯台へ向かうから、また会いましょう?」
 マキナの笑顔に、イザベラはつられて笑みを浮かべた。
「分かったわ。それじゃ、私は先に災魔灯台を生み出した張本人のオルガノンに、鉛玉のハッピーセットをプレゼントしてくるわ」
 なんだか似たような気質の2人の女性は、暗闇の中で拳をぶつけると互いの健闘を祈ったのだった。

「「Goob Luck, My friend!」」

大成功 🔵​🔵​🔵​

リオ・ウィンディア
闇の姉妹
真っ暗ね
えぇ離れる気はないわ
テラねぇにソロコンサートを約束していたの
「私の舞台へようこそ」
テラねぇの手を恭しくとり、硬く手を結ぶ
【楽器演奏と歌唱】でUC発動

もうすぐ日が暮れ銀の月が見える
私の色とりどりの人生も
そろそろ舞台の幕が降りる
私は西風に乗って旅立つの

私のお墓に一輪のスミレを供えてくれるなら
天上の香りを届けるから
優しく私を見つめてほしい
あぁ貴方のの涙は
美しい真珠になりましょう
どうぞ恥ずかしがらないで
それは私の身を飾る最も美しい真珠だから

◆呪詛
この姉妹を分つものはなんであれ己を後悔するだろう

悲しみと後悔という【呪詛】の籠った音にかえ
暗黒を音楽で満たす
行先の障害物はノイズでお知らせを


テラ・ウィンディア
闇の姉妹
真っ暗か
ヘカテにゃんにリオ
おれから離れるなよ(ヘカテにゃんは服の中に入り、リオと手を繋ぎ


UC発動
【降霊・読心術・占星術】
事前に星を読み正しき道について確認
降霊でここの幽霊さん達に此処の構造とガジェッティアさんの場所を確認
手をつないだリオと心を通わせ会話
更に意識をリンクさせて
【呪詛】
リオの歌はいいなヘカテー♪
リオのUCを呪詛で強化

へへ…真っ暗で凄く寂しいって思ったけど
是なら全然寂しくない

【第六感・見切り・属性攻撃】
炎属性を己に付与し
周囲の熱源の把握
手さぐりで探しながらおれ達以外の人の体温の反応を探る

更にリオの音響とノイズの反応を把握してリオを先導するように手を繋いでゆっくり進むぞ



 リオ・ウィンディア(Cementerio Cantante・f24250)とテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)の姉妹もまた、完全なる暗黒が横たわる港町へ転送されてきた。
「真っ暗か」
「真っ暗ね」
 テラとリオは短く問答を交わす。
「これは……私でも駄目ですね。何も見えません」
 黒ちび猫モードの三界神機『ヘカテイア』は、テラの肩に飛び乗って首に身体を預ける。
 元が鋼の身体とは思えないほど、その温もりと肌触りは子猫そのものだ。
「リオ、ヘカテにゃん。おれから離れるなよ」
「えぇ離れる気はないわ。だって、テラねぇにソロコンサートを約束していたもの。今日がその公演日なの」
 リオは暗闇の中で手を泳がせていると、明後日の方向からテラの手とぶつかる。
 そのまま固く握り合い、姉妹はともに行動する。
「さて星は……て、ダメか。空も何も見えないな?」
「テラ? やはり星空で方向を確認するのは無理がありますよ……?」
 ヘカテにゃんのツッコミに、テラは低く唸り声を上げてしまう。
 星の光も、月の光も、光源になり得るならば災魔に吸い尽くされてしまうのは道理である。事前に確認を、ということだが、転送された時点で既に異変は起きており、星空そのものを拝むことが出来ずにいた。
「仕方がない。ヘカテにゃん? 冥府の女王の名を関するくらいなのだから、幽霊の気配くらいは感じられるだろう?」
「え、ええ。出来ますけど……?」
 ヘカテにゃんは小首を傾げ、テラの真意を掴めていない様子。
 これにリオがクイズに答えるかのように声を上げた。
「分かったわ! 此の港町の幽霊さんに道案内してもらうのね?」
「さすがリオだな!」
 妹を称賛する姉の声に、リオは闇の中で得意満面の笑みだ。
「死霊術師の力は伊達じゃないの」
 暗闇で見えないが、リオは全身漆黒の喪服姿だ。
 テラへの“コンサート”の為に、彼女が気合を入れてきた証拠である。
 ということで……。
 テラから魔力供給を受けたヘカテにゃんの権能とリオの死霊術師のネクロオーブで、港町にさまよう死霊達を顕現させてみる。
「ごきげんよう。早速だけど、此の街を案内してほしいの。ガジェッティアのお姉さんも探しているから、何処に居るか教えてくださるかしら?」
 闇の中でもカーテシーで礼節正しく死霊達へ挨拶をしたリオ。
 死霊達は不定形の身体をモゾモゾと蠢かせつつ、2人と1匹をしようと試みる。
 だが、死霊達と違い、猟兵達は視界が真っ暗で遮られている。
 どうにかならないかと思案した結果、リオが愛用の手巻きオルガンを差し出した。
「どなたか、お手伝い出来る方はいませんの?」
 死霊の1体がオルガンを持つ。
 リオの手解きを受けた死霊は、すぐに使い方をマスターしたようだ。
 いよいよ、リオの“コンサート”が開演する。
「Bienvenidos! 私の舞台へようこそ、テラねぇ?」
 そうテラとヘカテにゃんに宣言したリオ。
 死霊の即興演奏に合わせて、ユーベルコード『エタパ・デ・オスクリダ』を歌い始める。

 ♪もうすぐ日が暮れ 銀の月が見える
 ♪私の色とりどりの人生も
 ♪そろそろ舞台の幕が降りる
 ♪私は西風に乗って旅立つの
 ♪夜の帳が下りる水平線へ

 リオの歌声は、足元の石畳やガス灯の柱を呪詛の籠もった闇の音の嵐へと変換し、建物からの反響ノイズで進路を確認してゆけば、歌劇のワンシーンのごとく2人は歩き始めた。
 テラは妹の歌声に聞き惚れながら、手を引かれて進んでいった。
(へへ……真っ暗で凄く寂しいって思ったけど、是なら全然寂しくない。リオの歌はいいな、ヘカテー♪)
 妹の歌を邪魔しないように、念話でヘカテにゃんに同意を求めたテラ。
 テラはウニャウニャと小さく鳴いてそれに応えた。
 死霊達が手巻きオルガンを奏で、更に手拍子を叩いて進むべき道を導いてくれる。
 暗やみなのに、ここの一行だけ賑やかな音楽隊の行進だ。
 リオの呪歌が、暗黒の行進曲の華を添える。

 ♪私のお墓に一輪のスミレを供えてくれるなら
 ♪天上の香りを届けるから 優しく私を見つめてほしい
 ♪あぁ貴方の涙は 美しい真珠になりましょう
 ♪どうぞ恥ずかしがらないで
 ♪それは私の身を飾る 最も美しい真珠だから

 死霊の行進は、生命力を吸い取る灯台へと歩を進める。
 テラもリオの手伝いをしようと、炎の魔力を全身に漲らせようとするが……。
(うまく発動しないな。光源とみなされているのか?)
 炎の魔力は、此の港町では吸収対象らしく発動不全に陥っていた。
 やむなく、熱源感知へ魔力を回すのだが、残念だが他の人物との遭遇は出来なかった。
(今回はリオに助けられてばかりだな……単独だったら迷ってしまっていたな)
 やむなくテラは、ガジェッティアとの合流を諦めた。
 そのまま2人と1匹は、災魔化した灯台へ急行するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

箒星・仄々
光なき世界は生活や航行に影響が大きいですし
更に生命力も吸い取るとは酷いです

曲を奏でて魔力を練り上げながら
町を歩きましょう

私は暗視がききますし
それに風の魔力で空気の振動を増幅し
耳やお髭で察知することで
空気のそよぎや振動から
周囲の状況を察知できるのですよ

件のカジェッティアさんを探します
音色を頼りに
あちらからも探して下さるかもしれません

お会い出来たら事情を話し
灯台への道案内をお願いします

光や普通の生活を取り戻つ為
そして町の皆さんの命を守る為
災魔を止めたいのです

但し貴女も生命力が失われつつある筈です
危険なお願いですから
どうかご無理はなさらず

灯台の構造をご教授いただきます
奇襲とかできるといいですけれど


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

あたしも多少〇暗視の心得はあるけれど。…光源ゼロじゃさすがに心もとないわねぇ…

あらかじめ地図なりなんなりで街の構造を把握して、●要殺で〇索敵能力を強化。自分の歩幅は把握してるし、壁伝いで脳内地図と首っ引きすればある程度はなんとかなるかしらぁ?対処はだいぶ〇第六感頼みになりそうだけど。
あとは道中ガジェッティアさんも見つけられたら楽ねぇ。ガジェットは蒸気機関動力だし、多少の音はするはず。常時○聞き耳で周辺把握はしておきましょ。

…あとは障害物も見えないわけだし、エオロー(結界)で〇オーラ防御を形成。
多少看板とか植木鉢とか壊しちゃっても、このさいコラテラルダメージ…よねぇ?



 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は深淵の暗闇に閉ざされた港町にひとりで佇んでいた。
 完全に何も見えないし、自分の身体の部位も視認できない。
 まるで自分自身が闇に溶けてしまっているかのようだ。
「光なき世界は生活や航行に影響が大きいですし、更に生命力も吸い取るとは酷いです」
 ケットシーの猫の目を持ってしても、自身お手元を見るのがやっとの状態。
 このまま焼き場世界を覆い尽くしてしまったら、本当に蒸気魔導文明は崩壊してしまうだろう。
「そんなことはさせません。ここは私の生まれ故郷、アルダワ世界です。たとえ光源が失われようとも、私には猫のおひげと魔力感知が味方してくれます」
 暗闇の中でゴソゴソと懐から取り出した懐中時計。
 どうにかボタンを押し込むと、それは上記の噴出音とともに竪琴へ変形してゆく。
 カッツェンリート(ねこのうた)と名付けた蒸気機関式竪は、付属の拡声器付き。
 暗闇での演奏は難儀であるが、次第に慣れて流暢に引き始める箒星。
 音楽に合わせて歌い始めいた、自分の所在を周囲に知らしめんとする。

 ♪暗闇まっくら 灯台、何処だ?
 ♪暗闇まっくら ここは何処だ?
 ♪不安であちこち ぐーるぐる
 ♪そのうちお腹も ぐーぐー鳴るよ
 ♪思い浮かべよう 美味しいお魚
 ♪海が近いよ 潮の香りだ
 ♪猫のお髭で潮風受けて
 ♪ぶるぶるピンピン さあこっちだ

 箒星は潮風の匂いを鼻で嗅ぎ、風向きをひげで感じ取り、周囲の風の魔力を目で認識し、音の反響で周囲の障害物を感知しようと、足を踏みしめて一歩一歩、五感をフル稼働して進んでゆく。

 ♪暗闇まっくら 私はここです
 ♪暗闇まっくら カジェッティアさん何処だ?

 歌いながら港町を潮風に向かって箒星は彷徨い始めた。

 その頃、ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は、ユーベルコード『要殺(サスペクト)』の効果で五感を研ぎ澄まし、闇討ちに適した技能を強化する。
 こうすることで、光源の失われた暗闇でも、周囲の気配や物音に敏感になれるのだ。
「あたしも多少なりと暗視の心得はあるけれど。……光源ゼロじゃ、さすがに心もとないわねぇ……」
 視力も強化されているが、やはり光源あっての視覚情報だ。
 だからこそ、今は第六感で建物までの距離や周囲の動く気配や音に注意深く察知するように傾注する。
「あらかじめ地図なりなんなりで街の構造を把握してよかったわ。現在地はさっぱりだけど、壁伝いで脳内地図と首っ引きすればある程度はなんとかなるかしらぁ?」
 今回のグリモアによる転送位置は完全にランダム。
 視界情報を失われた状態での見知らぬ土地の現在地を把握するのは非常に困難を極める。
 だが、彼女は非常に幸運だった。
 何気なく触れたオブジェクト……水の流れる音に誘われて手を差し出したそれは、噴水だった。
 途端、ティオレンシアの脳内地図がまたたく間に座標軸が展開されてゆく。
「よかったわぁ。ここ、中央広場の噴水ねぇ? そうなると、東西南北に通路が伸びていて、灯台に向かう東の通路の入口には銅像があるはず……」
 ぐるっと噴水の周囲を歩き回ると、指先に人物の胸像らしき物体が触れた。
 恐らく、これが東の通路……灯台へ続く道に違いない。
「ラッキーねぇ! あとはカジェッティアさんも見つけられたら楽ねぇ? ガジェットは蒸気機関動力だし、多少の音はするはず」
 聞き耳に全集中するティオレンシア。
 すると、竪琴の音色と陽気な歌声が聞こえてきた。
「……歌? こんな暗闇で誰が歌ってるのやら?」
 ティオレンシアは気になってしまい、ひとまず歌声のする方向へ歩き始めた。
 すると、左の肩にガツンッと何かがぶつかった感触があった。
 同時に破砕音が周囲に響いた。
 ティオレンシアの骨が折れたのではない。
 ぶつかった障害物が破壊されたのだ。
「ルーン文字のエオロー(結界)で自分の身を守っておいて正解だったわねぇ。何を砕いたのか分からないけれど、この状況なら障害物も見えないわけだし、多少看板とか植木鉢とか壊しちゃっても、この際、コラテラルダメージ……よねぇ?」
 ひとまず、細身の女性が肩をぶつけただけで郵便ポストを根本からへし折った事実が判明するのは、もっと後の話である。

 カジェッティアのマキナは、奇妙な歌声がする方向へ速歩きで向かっていた。
「きっと猟兵さんね? 私のことを探しているような歌詞だし、間違いなさそう」
 マキナは、暗闇の中をぐるぐる歩き回っている箒星の肩を捕まえ、声を掛けた。
「おまたせ! 私がお探しのカジェッティアさんのマキナよ?」
「これはそちらからご足労掛けてくださるとは恐縮です。箒星・仄々と申します」
 暗闇の中で振り向くと、微妙に方向がずれたまま箒星はマキナにお辞儀をした。
「違う違う、私はこっちよ?」
 マキナはすぐに箒星へ蒸気魔導式暗視ゴーグルを被せてあげた。
「どう? 魔力を可視化することで、光源に頼らずとも暗闇での作業が可能なのよ?」
「ありがとうございます。これはすごいですね。昼間と変わらぬ視界が保てます」
 マキナの発明品に感動する箒星。
 だがすぐさま、箒星はマキナへ言葉を投げ掛けた。
「光や普通の生活を取り戻つ為、そして町の皆さんの命を守る為にも、災魔灯台を止めたいのです。但し貴女も生命力が失われつつある筈です。危険なお願いですから、どうかご無理はなさらず」
「いいわよ、別に。私も灯台のメンテナンスの仕事を済ませるためにも、迷惑な奴らのところへ行かなくちゃいけないわ。ブラック案件なら何度でもこなしてきたもの……この程度の理不尽、訳ないわよ……!」
 ゴーグル越しのマキナの顔が、邪悪に染まってゆく。
 もしかしたら、猟書家よりも恐ろしい顔になっているかもしれない。
 と、そこへ、演奏を聞きつけて歩み寄るティオレンシアが合流。
「そこにいるのは誰かしらぁ? あたしは猟兵のティオレンシアだけど」
「猟兵の箒星ですよ~」
「カジェッティアのマキナよ。あなたも猟兵なのね? これ、付けてみて?」
 マキナ自作の暗視ゴーグルを被ったティオレンシアもまた、その視界の明瞭さに驚き、言葉をしばし失った。
「異世界の技術って、時々、想像の遥か上を超えてゆくのよねぇ……? 合流できて本当にラッキーねぇ?」
 今日のティオレンシアはとても幸運に恵まれているようだ。
 これで箒星もティオレンシアも、暗闇での活動に支障をきたすことがなくなった。
「そういえば、これから向かう灯台の構造じゃ弱点ってあるんですか? あれば教えて下ると助かります」
 箒星の質問に、マキナはしばし考え込む。
「……ああ、そういえば。あの灯台、よく魔法光の回転が止まるのよね。ほら、灯台って光がぐるぐる回ることで周囲を照らすから、航海の安全を護れているでしょう? それが突然止まるのよ。だから私が呼ばれたのだけど」
「つまり災魔灯台は、首の部分を回せないってことかしらぁ?」
 ティオレンシアの推測に、マキナが頷いた。
「魔法光の回る部分が頭に該当するなら、だけども。もし仮にそうだとしたら、災魔は今、人間で例えると“首を寝違えている”ような状態だわ。左右への急な旋回は、大きな負荷が掛かって隙が出来るはずよ」
「これは有力情報ですね~!」
 箒星の質問とティオレンシアの理解力により、災魔灯台の弱点が浮き彫りになった瞬間であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティエル・ティエリエル
WIZで判定

わわわっ、本当に真っ暗闇だ!?
でも、いっぱいマッチを持ち込んできたもんね!これでどんどん照らしていくよ!

【フェアリーランド】の中からマッチを取り出して全身を使って火を点けるけど
周りを確認する間もなく一瞬で灯台の方に吸われて行っちゃった?

むむむっ、でもあっちの方に吸い込まれていったような気がする?
もしかしてあっちの方に灯台があるのかも!ようし、時々マッチをつけて吸い込まれる方角を確認しながら進むよ!

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



「わわわっ、本当に真っ暗闇だ!? 自分の手足も、何も見えないぞー!?」
 暗黒の中を元気よく飛び回るティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)。
 いつもはキラキラと輝く背中の翅も、今日ばかりは全く存在感がなくなっていた。
「むむーっ! これは思っていたよりもヒドいぞー! こんな事をする猟書家はなんて悪い奴なんだー!」
 プンプンっと頬を膨らませて怒るティエル。
 だが、すぐにティエルはニヤリと笑みを浮かべた。
「でも、いっぱいマッチを持ち込んできたもんね! これでどんどん照らしていくよ!」
 ユーベルコード『フェアリーランド』の出入り口である小さな壺から、マッチを取り出して抱きかかえるティエル。
 そして、まるで剣術訓練のごとく、マッチを大上段から振り下ろして先端を箱に擦り付けた。
「うりゃー☆ 点火だよー!」
 シュボッと音を立て、真紅の炎が大きく燃えが……たかと思った瞬間だった。
「あれれ? 周りを確認する間もなく、一瞬で灯台の方に吸われて行っちゃった?」
 点火されたマッチの先端の炎は、まるで煙のように細く長くゆらゆらと立ち乗って、何処かへ吸い込まれてしまったのだ。
「ボクはめげないぞー! もう一回挑戦だー!」
 今度は3本まとめて点火!
 シュボボボッと盛大に音を立てて燃え盛るマッチの炎……が、やはり一瞬で一定の方向へ吸い込まれていってしまった。
「そんなー! せっかく頑張ったのにー!!」
 マッチ箱を抱えたまま、ティエルは真っ暗な空中を肩を落として浮遊していた。
 だが、ティエルは転んでもタダでは起きなかった。
「むむむっ、でもあっちの方に吸い込まれていったような気がする? もしかしてあっちの方に灯台があるのかも!」
 ティエルは、1回目と2回目の炎の吸われる方向が同じことに着目したのだ。
「こうなったら、ようし、時々マッチをつけて吸い込まれる方角を確認しながら進むよ! 早速しゅっぱーつ! ゴーゴー☆」
 ティエルはフェアリーなので空が飛べる。
 他の猟兵とは違い、障害物である建造物を飛び越え、最短距離で向かうことが出来るのが強みだ。
 そのまま何度も炎を付けてはわざと吸い込ませ、灯台の方向へとティエルは迷わず一直線に向かってゆくのであった!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『探求のオルガノン』

POW   :    スチーム・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【魔導書から蒸気魔法】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
SPD   :    ビースト・ショータイム
いま戦っている対象に有効な【蒸気獣もどき】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    エレメント・カース
攻撃が命中した対象に【魔術印】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【次々と発生する炎や氷、風の魔法】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鴛海・エチカです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達は各々の策を巡らした結果、全員が猟書家『探求のオルガノン』が待ち受ける災魔灯台に辿り着いた。
 探求のオルガノンは猟兵達の来訪を、最上階から気配で確認していた。

「まさか此処に辿り着けるのですか、猟兵……! 本当にしつこい奴らですね!」

 勝ち確だと思っていた作戦が、気が付けば大ピンチに陥っていた。
 猟書家は自身の見通しの悪さに腹を立たせた。

「気に食わない! 気に食わないですね! こんな状況でも猟兵は乗り込んでくる! それを見通せなかった自分の不甲斐なさが気に食わなくて仕方ありません!」

 怒りで声を荒らげさせる『探求のオルガノン』。
 彼は遂に最終手段に打って出た。

「かくなる上は……この災魔灯台と融合して、全員まとめて皆殺しにしてあげましょう!」

 猟書家『探求のオルガノン』は、全身から生えたパイプを災魔灯台に接続!
 蒸気音をあちらこちらに撒き散らしながら、体長60mの巨大災魔灯台型猟書家へと変貌を遂げる『探求のオルガノン』!

「はははは! この高さなら猟兵なんて一捻りです! おっと、灯台だから一歩も動けませんか。でも別に問題はありません。その気になれば、この身体を複製して周囲に展開することも可能ですよ?」

 はるか頭上、猟書家『探求のオルガノン』の嘲笑が闇の中から聞こえてくる。
 そして高低差を活かした蒸気魔法攻撃が猟兵達を強襲する!
 属性魔法の追加攻撃も巻き起こり、猟兵達は一気に窮地に立たされてしまった!
 だが此処で退くわけにはいかない。
 災魔灯台を破壊し、猟書家『探求のオルガノン』を撃破するのだ!
 きっとガジェッティアのマキナが、猟兵達に力を貸してくれるはずだ!
【Tips】
(炎を含む光源と生命力の吸収行為は以前として継続中)
(猟書家『探求のオルガノン』からは猟兵達の姿が視認できる)
(灯台の頂点で融合している『探求のオルガノン』の撃破で、灯台は保全可能)
(勿論、それ以外の方法でも撃破可能)
黒木・摩那
この蒸気魔導式暗視ゴーグル、すごくよく見えます!
これなら普通に動けます。

やっと猟書家と灯台の姿も見えましたし、ここからが本番です。
まずはマキナさんから入手した灯台情報を有効活用しましょう。

ヨーヨー『エクリプス』で戦います。
マジカルボード『アキレウス』で空中滑走しながら、灯台のパイプをヨーヨーで殴っていきます。そして、灯台の周りにまとわり付ながら、クイックターン。
さらに首?に痛撃を与えるべくUC【サイキックブラスト】で電撃を加えます。

肩こりには電気が良いそうですが、逆もまたしかり。
これで寝違いが悪化すればよいですね。



 敵は60mの高さを誇る災魔灯台と融合した猟書家『探求のオルガノン』!
 かたや、暗闇の中で足元すらおぼつかない猟兵の黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)。
 これでは一方的に蹂躙されてしまう。
 だが、そんな黒木へ声をかける女性がいた。
「あなた、何も見えてないでしょ? 私、ガジェッティアのマキナ。これ使って!」
 マキナは黒木の手に、自作の暗視ゴーグルを掴ませた。
「え、あ、ありがとうございます」
 姿が見えないので、声だけで感謝の意を表した黒木は、半信半疑でゴーグルを装着。
 すると、可視化された魔力によって、昼間と変わらぬ視界を確保することが出来た。
「この蒸気魔導式暗視ゴーグル、すごくよく見えます! これなら普通に動けます」
 黒木はガジェッティアのマキナの姿を今度はキチンと視野に収めて一礼した。
 マキナは口元を緩ませるが、すぐに頭上を見上げて口元を歪ませた。
「ちょっと、何してくれてんのよ? 私の傑作をなに災魔に変えちゃってくれてるの?」
「うわ、おっきいですね! やっと猟書家と灯台の姿も見えましたし、ここからが本番です」
 黒木は超可変ヨーヨー『エクリプス』を取り出し、マジカルボード『アキレウス』に乗って空中を浮かぶ。
 そんな黒木にマキナが忠告する。
「あの灯台、ランプの部分が故障して回らないわ! 背後に回れば反撃されにくいかも!」
「何から何まで、ありがとうございます! では、行ってきます!」
 黒木は一気に暗黒の空を駆け上げってゆき、重畳に居る猟書家を目指す。
 だが、猟書家も何もせずに頂上へ黒木を向かわすわけにはいかない。
「エレメント・カース! 死んでください!」
 黒木の頭上から発射される影の魔弾!
 だがゴーグルのおかけで軌道はバッチリ見えていた。
「よっと、危ないですね! しっかり見えてますよ?」
 影の魔弾がぶつかった地点には、魔術印が刻印され、そこから水と風の魔法が追撃として打ち出されてゆくではないか!
「なるほど、上から影の魔弾、下からは水と風の魔法。挟み撃ちですね?」
 しかし、黒木も考える。
 螺旋状に上昇してゆき、猟書家が災魔灯台と融合している蒸気パイプをヨーヨーで殴って破壊し始めた。
「ええい、ちょこまかと鬱陶しいですね! って、うぐッ? く、首が、これ以上……回らないのですか!?」
 ここで猟書家、ようやく灯台の故障に気が付いた。
 だがもう既に戦闘は始まっている。
 背後に振り向けない猟書家へ、黒木は頂上の真後ろに空中浮遊すると、全力でユーベルコード『サイキックブラスト』を放った。
「ンぎゃあああっ!」
 サイキックパワー由来の高圧電流が、灯台の故障部分に直撃!
「肩こりには電気が良いそうですが、逆もまたしかり。そして、これで寝違いが悪化すればよいですね」
 ヨーヨーの大ぶりな一撃!
 普段なら回避されてしまうが、今の猟書家は痺れて身動きが取れずサンドバック状態だ。遠心力で威力が増大したヨーヨーの強打が、猟書家の整った顔面に直撃!
「ぎゃあッ!」
 悲鳴を上げる猟書家は、よもやの展開に狼狽し始めたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イザベラ・ラブレス
えーと、何かと煙は高い所に登る…だっけ?【挑発】
じゃなかった!奴の状況は灯台下暗しね!『主、それは灯台違いだ』
…ま、まぁいいわ。折角暗視装置も借りてるんだし、ぶっ飛ばす前にヤツの驚いた面でも拝んでやりましょう!

作戦:ジョージを気づかれないように接近させ奇襲

オルガノンに向けてスチールバスターの連射による【制圧射撃】で注意をひいて、その隙にジョージを暗闇に放ち灯台の頂上に向かわせる。
その間の攻撃は各種耐性で耐えるわ。

ジョージが【怪力】や【威圧】でオルガノンの動きを止めているうちに指定UCを発動。攻撃力に特化した榴弾をフェイルノートに装填して【砲撃+スナイパー】で仕留めるわよ!

アドリブ歓迎


ティオレンシア・シーディア
ガジェッティアさんのおかげで視界は良好、弱点も把握済み。…となれば、後は○気合い入れて突っ込むだけねぇ。

エオロー(結界)で〇オーラ防御を展開、ミッドナイトレースに○騎乗して●轢殺・適応を起動。〇空中戦に多少の心得はあるけれど多少の被弾は○覚悟の上、重装甲モードで○騎乗突撃かけるわぁ。
目が慣れたところで高機動モードに切り替え、一気に加速して背後へ。「寝違えた」首で追いきれるかしらぁ?
死角に入ればもうこっちのもの、〇捕縛に呪殺に属性攻撃、各種付属効果ガン積みの釣瓶打ち。好き放題バラ撒いてくれた分お返ししないとねぇ?

見えるからこそ引きずられる――ミスディレクションは詐術の基礎の基礎よぉ?



 イザベラ・ラブレス(デカい銃を持つ女・f30419)は特製ゴーグルを装着したまま、頭上高くから響く猟書家の声に肩を竦めた。
「えーと、何かと煙は高い所に登る……だっけ? だとしたら随分と頭の中が軽いのね? ま、お人形さんに脳味噌なんて期待してないんだけど」
「そこ! 聞こえてますよ!」
 魔導書から闇属性の蒸気魔法を降らせる探求のオルガノン。
 だが、視界がはっきり確保できているイザベラにとって、回避するには容易い軌道と弾幕密度だ。
「おっと、前言撤回、そうじゃなかった! 今の奴の状況は『灯台下暗し』ね!」
『主、それは灯台違いだ』
 闇の中から屍山血河の魔獣『ジョージ』がイザベラの頭の中へ訂正の言葉を響かせる。
 これにイザベラは眉間にシワを寄せて溜息ひとつ。
「……ま、まぁいいわ。折角暗視装置も借りてるんだし、ぶっ飛ばす前にヤツの驚いた面でも拝んでやりましょう!」
「そうねぇ? ガジェッティアさんのおかげで視界は良好、弱点も把握済み。……となれば、後は気合い入れて突っ込むだけねぇ」
 ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)もまた、特製ゴーグルを装着して視界良好。
 そして彼女にはバイク型UFO『ミッドナイトレース』がある。
 愛機に跨ったティオレンシアが浮遊する。
「私が先行するわねぇ? ねぇ、そこのあなた? 地上から援護射撃をお願いできないかしらぁ?」
 ティオレンシアの言葉に、イザベラは13mm弾を使用する巨大な分隊支援火器『スチールバスター』のセーフティーを解除して頷く。
「任せなさい! 派手にブチ撒いてみせるわ!」
「それは心強いわぁ! それじゃ、カウント5秒前……」
 2人は心の中でカウントダウンを行い、ゼロになった瞬間、ティオレンシアが60m上空を目指してトップギアで急上昇を開始!
 その後方からけたたましい銃声の拍手喝采が鳴り響いた!
「装弾数700発のフルコースよ。たっぷり味わいなさい!」
 光を吸い込む災魔灯台の効果は未だ継続中だが、弾丸の発射エネルギーまでは奪うことは出来ず、灯台の壁が破砕してゆく!
「ぐぅッ! なんて野蛮な……! やはり劣等種は攻撃まで下品ですね!」
 徐々に競り上がってくる弾幕を、オルガノンは蒸気闇魔法で押し返す。
 互いに相殺から漏れた弾が届き、その衝撃にイザベラもオルガノンも歯を食いしばった。
「ユーベルコードですらないそんな攻撃など、この蒸気魔法で消し飛ばしてあげましょう!」
「へえ? なかなかやるわね? それじゃ、これもプレゼントするわ!」
 スチールバスターの下部に備えられた20mm擲弾銃(グレネードランチャー)が火を吹く!
「そのご尊顔をふっ飛ばしてあげるわ!」
 銃弾の雨と闇魔法が激突する脇をすり抜けてゆく擲弾が、オルガノンの足元まで転がってきた。
 途端、一瞬だけ閃光が炸裂!
 炸裂音とともに瓦礫が上空から降り注いだ。
「おのれ! よくもこの身体に傷をつけてくれましたね!?」
 怒り心頭のオルガノンが、地上のイザベラへ特大の闇魔法をぶつけようと魔力を高める。
 その僅かな溜めの時間を狙い、ティオレンシアが空中から奇襲を仕掛ける!
「この子の限界はまだまだこんなもんじゃないのよぉ? ……ないかなーとは思ってたけど、ホントにあるとは思わなかったわねぇ……」
 重装甲モードで騎乗突撃を敢行するティオレンシア!
 蒸気魔法での相殺を恐れずにクレインクィン『アンダラ』にグレネードを装填!
 それをオルガノンは視認して顔を焦りで歪めた。
「やっぱりあたし達のことが見えてるのねぇ? でも避けられないでしょ?」
「愚かな! 腕は2本あるんですよ! 右で地上を! 左で空中を! 両方防げば問題ありません!」
「果たしてそうかしらぁ?」
 ティオレンシアは被弾覚悟でオルガノンと弾の撃ち合いを始めた。
 地上と空の銃撃戦をオルガノンはユーベルコードでひたすら相殺してゆく。
 だが、徐々にティオレンシアがオルガノンの背後へ回り込もうと動いてゆくことに、猟書家は気が付いていない。
「ははは! どうしましたか? 手も足も出ないでしょう? そろそろまとめて吹き飛ばして……ん? 痛ッ! いたたっ! 首が、急に固まって……!」
「やっと気が付いたかしらぁ?」
 ティオレンシアがほくそ笑む。
 ガジェッティアのマキナが教えてくれた灯台の故障部分……天辺のライトの回転機構の不具合によって、オルガノンは上手くティオレンシアがいる方向を向くことが出来ないのだ!
「残念だけど、背後に周りこませてもらうわぁ」
 ティオレンシアは愛機ミッドナイトレースを高機動モードへ変形させ、オルガノンの後頭部を常にキープしてゆく。
「くそ! この灯台、故障していたのですか! なんてことですか……!」
「これで完全に無防備、死角に入ればもうこっちのもの、捕縛に呪殺に属性攻撃、各種付属効果ガン積みの釣瓶打ち。好き放題バラ撒いてくれた分お返ししないとねぇ?」
 武器を愛銃オブシディアンに切り替えると、ティオレンシアは容赦なくファニングショットとクリックリロードを繰り返す!
 オルガノンの背中と後頭部が穴だらけになってゆく!
「お、おのれ! こうなったら、地上の猟兵だけでも……! ん……?」
 オルガノンがイザベラを攻撃しようとしたその時、生暖かい息が自身の顔に掛かった。
 ハッハッハッハッと短くリズミカルな獣の息遣いが闇の中で間近に聞かされたオルガノンは思わず戦慄する。
「いつの間に……? 地上から60mの高さに、獣が来れるわけが……!」
『貴様には感謝しよう。闇は我が領域。我が射程内――』
 オルガノンの目の前から、ニュッと飛び出てくる巨大な狼の顎!
『つまり、街全体が我が腹の中だと知れ!』
 屍山血河の魔獣『ジョージ』が、オルガノンの喉元に齧りついた!
「ぎゃああっ!」
 目の前の闇ら出現した牙に砕かれ、オルガノンは思わず悲鳴を上げてしまった。
 普段は影の中が移動限界範囲のジョージだが、今はどこもかしこも闇の中。
 つまり、港町が巨大な影の中に覆われているのと同じ!
 今や街全体がジョージの独壇場、空中から唐突に姿を見せるなんて当然のごとくやってのけるのだ。
「でかしたわ、良い子よジョージ! そのまま“ステイ”よ?」
 ジョージにオルガノンの拘束を命じたイザベラは、満を持してユーベルコード『傭兵の本日おすすめの一撃(フィールド・ハンドローディング)』を発動!
「この一撃は貴方のために拵えたスペシャルよ。じっくり味わって、それからおっ死になさい」
 生成した破壊力重点の特殊榴弾をスチールバスターに装填!
 60m頭上のオルガノンの顔面目掛けて照準を合わせたイザベラは、必殺の一発を撃ち放った! 山なりの軌道で勢いよく60m上空へ射出された榴弾は、寸分狂わずオルガノンの額へ命中。途端、雷鳴と紛うような大轟音と空気振動がイザベラの頭上で発生した!
「か、は……ッ! 身体が、身体が壊れてしまったではありませんか!」
 爆発で体の一部が吹き飛んだオルガノンへ、更に追撃を見舞うティオレンシア!
「ひとつ、忠告しておくわねぇ? 見えるからこそ引きずられる――ミスディレクションは詐術の基礎の基礎よぉ?」
 ポイッとオルガノンの足元に転がしたのは、クラスターグレネード!
「まずい! 早く地上へこれを落とさなくては……! って、手が届きませ――ぎゃああーァッ!!!」
 愛用のUFOで急降下して退避した直後、ボンッと乾いた炸裂音とともに猟書家の悲鳴が再び闇の中に響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

テラ・ウィンディア
闇の姉妹
リオと一緒なら怖くなんかないぞ

マキナからゴーグルを借り
灯台の構造についても細かく確認

リオを抱っこしたまま
ヘカテ…あれだけでかい相手なら…
「はい!行きますよテラ!」(子猫が機神に戻りリオと一緒に搭乗)

【属性攻撃】
闇と音属性を機体全体に付与

更にゴーグルも解析して敵の位置の捕捉

リオ…奏でてくれ

音の反響から周辺情報を把握
【戦闘知識・見切り・第六感・残像・空中戦・武器受け】
UC起動
純粋な闇の空を舞い
灯台の周囲を旋回しながら
直感と本能と戦闘経験をフル稼働させて回避を試

【重量攻撃・砲撃・レーザー射撃】
これがおれとリオとヘカテの三重奏だ!(ブラックホール発射!頂点の敵をピンポイントに狙う!!!


リオ・ウィンディア
何にも見えなくて先行き不安だけれど、音ははっきり聞こえるわね

「¡Bravo!ヘカテにゃん、よろしくね!」
搭載後私もUCを発動
私の舞台見せてあげる
音の嵐で周囲を警戒
無機質にならなかった衝撃はきっと敵の魔法攻撃ね
神機を楽器として認識【楽器演奏】よろしくテラねぇと協力して空間認識と攻撃を

「闇は光がないと苦しいの、悲しいの
全てが真っ暗だったら闇はどこに行けばいいの?」
【呪詛】を体現すべくシンフォニーの連撃を指揮するわ

ついでに崩壊音源など環境騒音も計算して
【早業・盗み攻撃・2回攻撃・見切り】を使用

光を食った故に闇だけになってしまった苦しみのステージね
荘厳で陰湿でそしてダイナミックに
「¡Olé!」



 60m級の災魔灯台と融合した猟書家『探求のオルガノン』を前に、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)とリオ・ウィンディア(Cementerio Cantante・f24250)の姉妹が両手を繋いだまま立ち向かう。
「何にも見えなくて先行き不安だけれど、音ははっきり聞こえるわね」
「ああ。でもガジェッディアと合流できなかったのが痛かったな……」
 テラが周囲を見渡す。耳を澄ます。
 僅かに聞こえる蒸気音が、徐々に此方へ向かって大きくなってくる。
「あ! 居た居た! まだ私の発明品を持ってない猟兵さん!」
 ここでガジェッディアのマキナが慌ててウィンディア姉妹と合流。
「この魔導蒸気式暗視ゴーグルさえあれば、暗所でも昼間同然に視野がくっきり確保できるわよ!」
「助かった! でも貰うのはおれだけでいい」
「あら、そうなの?」
 マキナは小首を傾げる。
 テラの隣でリオは明後日の方向へコクリと頷いた。
「テラねえぇだけで十分よ。私はただ響かせるだけだもの」
「う~ん、そう? じゃあ、頑張って! 私はまだ他の猟兵さんにゴーグル配ってくるんで!」
 マキナが小走りで立ち去ると、テラは早速攻撃準備に入った。
「うん、よく見えるぞ! 灯台の構造がバッチリだ。よし、ヘカテ……あれだけでかい相手なら……」
「はい! 行きますよテラ!」
 子猫の姿から体高5mの機神の姿へ変身するヘカティア。
「リオ、おれと一緒にテカテに乗り込むんだ」
「¡Bravo! ヘカテにゃん、よろしくね!」
「もうニャンじゃないんですけどね……」
 あははーと苦笑いするヘカティアは、自身の体の操縦を完全マニュアルモードに移行。唯一、視界を確保しているテラに託した。
「操縦はおれに任せろ。よし、リオ……奏でてくれ」
「Bienvenidos! 私の舞台見せてあげる」
 手巻きオルガンの音色とともに、暗闇によく響く歌声が周囲の無機物を闇の音の呪詛嵐に変えてゆく。
 かなり荒っぽいソナーだが、オルガノンが接続した蒸気パイプも呪詛嵐に変えてゆくので嫌がらせにもってこいだ。
「不味いですね。このままでは融合が解除されてしまうかもしれません」
 オルガノンはすぐさま自身の分身である蒸気獣もどきを周囲に出現させる。
 灯台の蒸気獣もどきなので移動こそ出来ないが、猟兵を包囲しての魔法弾爆撃はシンプルにして凶悪だ。
「ん、音の響き方が変わった? まさか、複製体か?」
 テラもリオの歌声の響き方に変化が出たことに違和感を覚えた。
 ヘカティアのカメラアイを背後に向ければ、案の定、猟兵を挟撃出来るような場所に複製された蒸気獣もどきが天高く立っていた。
 双方から放たれる闇の蒸気魔法弾の乱射をテラは慣れた手付きで回避しまくる!
「リミッター解除……グラビティリアクターフルドライブ……!」
 ユーベルコードの効果でマッハ9の速度で空を駆け巡れば、闇の蒸気魔法弾などスローモーションが如き速度で回避が可能だ。

 ♪闇は光がないと苦しいの、悲しいの
 ♪全てが真っ暗だったら闇はどこに行けばいいの?

「何処にも行かなくていいのです。闇は、すぐ目の前に横たわってるのですから!」
 オルガノンは歌声に答えるようにヘカティアへ特大の闇の蒸気魔法弾を発射!
(変換されない存在が急接近するわ。これは、敵の攻撃? それも大きい……!)

 ♪闇は寂しがり屋で泣き虫で
 ♪自分しか居ない世界に苦しみ、怨嗟の声を上げるのよ
 ♪光を食った故に闇だけになってしまった苦しみのステージね

「あれは、特大の魔力弾か!」
 テラはリオの歌詞の意図を瞬時に把握すると、オルガノンの背後へ回り込みながら緊急回避! 更に急上昇!
「おのれ! 此方が振り返れないのをいい事に!」
 オルガノンの融合部分である灯台のレンズは、ただいま故障で回転しない。
 ゆえにオルガノンは背後を取られると完全に無防備な姿を晒してしまうのだ。
 純粋な闇の空の中、テラはヘカティアとリオと呼吸を合わせる。
「覚悟しろ、猟書家! これがおれとリオとヘカテの三重奏だ!」
「最後は荘厳で陰湿でそしてダイナミックに……¡Olé!」
「ブラックホールキャノン、起動です!」
 音響の呪詛嵐とブラックホール弾、そしてRS-F『ガンドライド』の浮遊砲塔からの弾幕が、オルガノンの身体の大部分を容赦なく吹き飛ばしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
やれやれ…
メルシー
お前意外と気にしいなんだな?
「ぅ…そんな事ないよ?」
あれはお前にだけ無理をさせた僕の戦術ミスだ
それに…「勝たせてあげる」じゃない
「一緒に勝つ」だ
「!…うん!」
マキナからゴーグルを借り受
前章の情報共有
うん…僕ら向きですね
真の姿(機神)発動
UC起動!
【属性攻撃・情報収集・視力・戦闘知識・念動力】
風属性を機体に付与
周囲の反響音と魔力感知と念動フィールドによるフル感知による周囲の構造と敵の状態と位置の捕捉
【空中戦】
空気の揺らぎから敵の攻撃を把握し回避に努

灯台の周囲を高速で飛び回り強制的に旋回させ

【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み・滑空】
三倍加速で接近しハルペーで切断!可能なら書物強奪!


箒星・仄々
皆さんの命と光とを取り戻しましょう

魔力を可視化とはすごいですね~
ゴーグルと教えて下さった弱点を
活用させていただきますね

狙うは頂上のオルガノンさんです
灯台に被害は出しません

皆さんと呼吸合わせ
常に180度近い配置で攻撃です

仲間さんがいない場合は
ランさんとのコンビネーションで同上です

左右から揺さぶり
隙が生まれたら
そこへ水&風の矢を叩き込みます

疾風加速で回避

魔術印は破魔の風や水で消し去り
追加攻撃も風で払い水で砕き防御


命をはじめ
周囲を己の野望の道具としてしかみられないとは
可哀そうに
今、海へお還しいたします

終幕
鎮魂の調べ

光溢れる世界や生命力の輝きを祝す曲も

マキナさんへ感謝です
修理お手伝いいたしましょうか?


ティエル・ティエリエル
SPDで判定

真っ暗闇でも負けないぞー☆

灯台の近くまで飛んできて様子を伺ってたらがそごそと足音が?
もしかしてガジェッティアさんかなと思って、ボクはここだよーと大声で呼びかけてみるね!
ガジェッティアさんと合流できたらボクも特製ゴーグルをもらっちゃうよ!やった!これで悪いヤツの場所がわかるね!

オルガノンが天辺にいるならボクはそのさらに上を目指すね♪
地面に注意が向かっているところを頭上から奇襲だ!【妖精の一刺し】で一番魔力の濃い部分を狙って突貫するよ!

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



 災魔灯台の最上部で爆発が起きた。
 上空から降り注ぐ瓦礫の量から、激しい攻撃は行われたことは明白だ。
「ヘカテにゃん、すごいね……私だって、今度こそ……ご主人サマの役に立ってみせるから!」
 銀髪美少女メルシーが、声を強張らせて決意を漲らせる。
 その声色に、カシムは溜息ひとつ吐く。
「やれやれ……。メルシー、お前……意外と“気にしい”なんだな?」
「ぅ……」
 主の発言に、メルシーは思わず目を逸らしてしまう。
「そ、そんな事ないよ?」
「嘘つけ。丸わかりですから。アリスラビリンスの猟書家戦……あれは、お前にだけ無理をさせた僕の戦術ミスだ」
 燃え盛る手術室でのアリス救助作戦は、ピースが足りずに失敗に終わった。
 メルシーはその事を今も引きずったままだった。
 それを察したカシムは、握りしめているメルシーの手に力を込める。
「それに……今、この場に相応しい言葉は『勝たせてあげる』じゃない。『一緒に勝つ』だ」
「……! ご主人サマ!」
 メルシーはハッと息を呑み、カシムの顔を見遣る。賢者の石で出来たその身体の権能で、完全悩みの中でもメルシーは視界を確保できていた。
「そうだね。うん、一緒に勝とうね、ご主人サマ!」
「とはいえだ、僕も視界が確保できればいいんですけどね」
 そんな悩みのタネを口から漏らすカシムの肩を叩く者がいた。
「あるわよ。私の発・明・品!」
「なんかゴツいゴーグル掛けてるお姉さんだ……!」
 メルシーは暗闇でも、ガジェッディアのマキナが開発したゴーグルのゴテゴテ感がはっきりと目に移っている。
「あら? そっちのカノジョさんは私が見えてるのね、すごいわ!」
「えっと、ガジェッディアの方ですか? 僕にもその発明品とやらを下さい!」
 カシムの催促に、マキナがカバンに手を突っ込んだ。
「勿論よ。はい、どうぞ! 頭に装着してね?」
「意外と重量感ありますね……って、うわ、何だこれ! 視界が昼間同然にはっきりと見えますよ!」
 魔力を可視化するゴーグルの実用性に、カシムは感嘆の声を漏らした。
「あの、これ、おいくらゴールドで買えますか?」
 即座にカシムが商談を持ちかける。
 マキナは思わず吹き出してしまう。
「あはは! んじゃ、あの灯台に居るイヤ~な奴を倒したら、私にお酒を奢るって事で! どう? 高い買い物でしょ?」
「ええ、とても高価で魅力的な商談ですね!」
 ガシッとマキナの手をしかと握るカシム。
 美女ガジェッディアとの食事でマジックアイテムが購入できるなら安いものだ、とカシムは考えた。
 横で微妙な顔をするメルシーに、マキナが気まずそうにしていたが。
 そこへ、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)とティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)が合流を果たす。
 ゴーグルを装着した箒星が、暗闇の中で迷っていたティエルを引率してきたのだ。
「おやおや、カシムさん? メルシーさんという方がありながら、罪深い人ですね~?」
「仄々君ひさしぶりですね、いやこれは違うのですよ? まだ君は若いから、勉強不足で分からないでしょうけど!」
「えー? コイビトがいるのに、他の女の人を口説くのは良くないことだって、ママが言ってたよー?」
 ティエルの言葉に、マキナはカシムから手を引いた。
「えっと、あんまりカノジョさんに睨まれ続けるのは私もいたたまれない気持ちになるから……」
「いや待って下さい! せっかく人間の女性とお近付きになれる機会なんです!」
 今で変態淫乱スライム系サイキックキャバリアに求愛されてばかりだったカシムは、割と人間の女性との交流に飢えていた!
 だが、メルシーがそれを許してくれなかった。
「ご主人サマ? 早く猟書家を倒そっか? メルシー、今、すっごく機嫌が悪いんだ☆」
「アッハイ」
 メルシーの威圧感がカシムを萎縮させてしまった。
「あ! ボクもそのゴーグルを貸して貸してー☆」
「いいけど、フェアリーさんにはちょっと重たいかもしれないわよ?」
 マキナはちゃんとフェアリー用のゴーグルも用意していたようだ。
「大丈夫☆ ボクは意外と強いんだぞー!」
「あら、逞しいわね? それじゃ、はい! どうぞ!」
「やった! ありがとう! どれどれー? わわっ! 本当にお昼みたいに視界が明るくなったー☆ これで悪いヤツの場所がわかるね!」
 ティエルもゴーグルの凄さを実感したところで、猟兵達に必要な分だけゴーグルが行き渡った。
「魔力を可視化とはすごいですね~。ゴーグルと教えて下さった弱点を活用させていただきますね」
 箒星がマキナに感謝の言葉を述べると、天高くそびえる灯台の最上部を見上げた。
 ここからが本番だ。
「皆さんの命と光とを取り戻しましょう。狙うは最上階のオルガノンさんです。灯台に被害は出しません」
「あのー、他の猟兵さんが割と頂上を容赦なくぶっ壊してくれてるのようね……」
 マキナのツッコミに、箒星が目を丸くしていた。
「それはいけません。マキナさんの仕事量と心労をこれ以上増やすわけには参りません」
「君、凄く良い子ね……!」
 ヨヨヨ……と泣き崩れる素振りのマキナ。
 箒星は本当に頑張らないと、と心に固く誓った。
「オルガノンさんは、ライト部分が故障した灯台と融合した結果、後ろを振り向ことが出来ませんよ~」
「それは有益な情報だね! よーし真っ暗闇でもゴーグルがあれば負けないぞー☆」
 ティエルは元気良く灯台の頂上を目指して飛翔してゆく。
「ほらほらー☆ ボクはここだよー♪」
 オルガノンをおちょくりながら、灯台の周囲を螺旋状に沿って上昇するティエル。
 カシムは敢えて真正面から飛翔して頂上を目指す。
「敵の首が回らない……うん……僕ら向きですね。速度に物を言わせましょうか」
 メルクリウスの機体を前後反転させると、RBS万能魔術砲撃兵装『カドゥケウス』をノールックショット!
 念動魔弾が、オルガノンの真向かいに出現した灯台の蒸気獣もどきに命中!
『他の猟兵達の戦闘で手の内は見えてるよ! それに、周囲の反響音と魔力感知、私の念動フィールドによる索敵能力をなめないでね♪』
 メルクリウスは音速で蒸気獣もどきへ接近すると、カドゥケウスを乱射!
 灯台という性質故に、回避が出来ない蒸気獣もどきは、哀れ全弾命中して崩れ落ちていった。
「わわっ! 灯台おばけをやっつけちゃった!」
 ティエルの螺旋軌道は、蒸気獣もどきの攻撃から逃れる意味もあった。
 オルガノンの背中へ隠れれば、敵同士のフレンドリーファイアになるからだ。
(お二人とも素晴らしいです。私はこの隙に、オルガノンさんの背後へ移動しましょうか)
 箒星はどさくさに紛れてオルガノンの背中へ回り込んだ。
「念の為です。ランさんは正面から突撃をお願いしますね?」
 カッツェンランツェと名付けたアーモンドアイの雌メカジキ(全長5m)を、足元の闇の中から呼び出す箒星。
 ランさんは箒星の言葉通り、カシム達を追従する形で正面から急浮上していった。
「くっ! ここへ近寄らせません!」
 オルガノンは闇の蒸気魔法弾を地面へバラ撒いてゆくが、ティエルもカシム達もヒョイヒョイと魔法弾を回避し、ランさんもピチピチと勢いよく空中を跳ねながら弾道を飛び越えてゆく。
「なぜここに魚が? 魚は空を飛ばないでしょうに。おかしいですね?」
 空飛ぶメカジキの突撃は、初見の場合、困惑すること間違いない。
 何処かに本体が居ると確信するオルガノンだが、彼は絶対に本体を探し当てることは出来ない。
(なぜなら、あなたは私のいる方向へは振り向けませんからね?)
 反復横跳びのごとく、オルガノンの振る首の動きに合わせて左右へぴょんぴょん跳ぶ箒星。
 魔法剣カッツェンナーゲルの切っ先を60m上空へ向けると、ユーベルコード『トリニティ・ブラスト』を発射!
「ちょっと派手に行きますよ~」
 炎・水・風属性の魔力の矢ぞれぞれ480本ずつを生成させる箒星。
 炎の矢はすぐさま頂上へ吸われてしまうが、残る2属性の魔法の矢は健在だ。
「む? この炎は、真後ろからですか! ならばこれでどうです?」
 不意に吸収された炎から、箒星の居場所を突き止めたオルガノン。
 ノールックで海水の球を生成して地面へ叩きつける!
 命中すれば刻印によって追加ダメージが発生してしまう!
「この質量なら回避は難しいはずです! 喰らいなさい!」
 巨大な海水のボールが、自由落下で箒星の頭目掛けて突っ込んでくる!
 だが、箒星は風の矢を全弾発射し、水球を風圧で爆散させたではないか。
「刻印なんてさせませんよ~。命をはじめ、周囲を己の野望の道具としてしかみられないとは、オルガノンさんはなんてお可哀そうな方なのでしょうか。今、骸の海へお還しいたします」
 箒星は、残る水の魔法矢480本を頂上目掛けて一斉発射!
 そこへランさんが波乗りのようにライド・オン!
 猟書家の後背部にメカジキと魔法の矢の無数の刺突が襲いかかった!
「ぐぅっ! う、後ろさえ振り向ければ!」
 致命的な弱点を抱えたままのオルガノンは、防御すらままならない。
 つまり、オルガノンは無防備な姿を猟兵達へ晒している!
「いっくぞーーー!! これがボクの全力全開だよ☆」
 好機を掴むべく、ティエルはユーベルコード『妖精の一刺し(フェアリー・ストライク)』で上空から急降下!
「一番魔力反応の高い場所は、そこだーーー!」
 オルガノンの眉間に、ティエルのレイピアの先端が深々と突き刺さった!
 人形故に痛覚はないはずなのだが、一撃を貰って、猟書家の身体が大きく痙攣!
「メルクリウス! 一緒に勝利を掴むぞ!」
『分かったよ、ご主人サマ! 『速足で駆ける者(ブーツオブヘルメース)』ゥーッ!』
 メルクリウスの姿が忽然と消えたかと思えば、いつの間にか灯台の真反対へ瞬間移動している。
 遅れて爆音と暴風が闇を一気に吹き飛ばし、オルガノンの身体がバラバラに刻まれてゆく!
「なに、が、おきたの、で、す……か……ぁ?」
 オルガノンは一瞬の出来事に、己の死因が難7日を把握できぬまま消滅していった。
「いやいや、毎度毎度思うのですが、マッハ30に手が届く神速移動からの鎌剣ハルペーの連続斬撃ってエグいですよねー?」
 カシムとメルクリウスは、まるで止まった時の中で攻撃をしたかのごとく、1秒に満たない刹那で猟書家を打倒してみせたのだった。

 闇が晴れ、水平線に真っ赤な夕日が沈んでゆく。
 灯台の損傷は激しく、ガジェッディアのマキナはしばらくこの港町に滞在して修理に専念するそうだ。
「やはりお陽さまの光はいいものですね。光溢れる世界や生命力の輝きを祝す曲をここに奏でましょう」
 ポロンポロンと竪琴を奏でる箒星。
 その口から、マキナへ意外な言葉を述べた。
「被害が大きくなったのは私達の責任もあります。何かお手伝いできることはありますか? きっと皆さんも協力してくだ刺さるはずですよ?」
「……え?」
 箒星の言葉に耳を疑ったカシム。
 彼はユーベルコードの使い過ぎで眠りこけたメルシーを担いで帰ろうとしていた。
「ぼ、僕はこいつの介助があるので……失礼しまーす」
「あら? 私との約束は反故にするつもりかしら?」
 ゴーグルを譲る代わりに、一緒に食事デートする約束だ。
「手伝ってくれたら……サービス♪しちゃうわよ?」
「任せて下さい。この天才カシムさんの手に掛かれば、修理なんてすぐ終わりますので」
 目の前の餌にガッツリ食いつくカシム。
 手のひらを高速で翻してみせた。
 メルシー?
 近くのベンチに横たえられて放置されてるよ?
「ボクもやりたーい! なんだか面白そう☆」
 ティエルは興味津々でマキナの後をついて行く。
 こうしてマキナを助けるべく、猟兵達の手伝いはもう少し続くのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月10日
宿敵 『探求のオルガノン』 を撃破!


挿絵イラスト