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マニトゥ プロテクト ヒズ ワールド

#ヒーローズアース #猟書家の侵攻 #猟書家 #スナーク症候群 #強化人間 #マニトゥ

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●ユタ州、某所
「精霊は言っている……カウンセリングの前に斧は持っていくなと」
 トレーラーハウスの中、壁に突き刺さったトマホークに対してネイティブの男は笑った。
 彼の名はヒューイ・ハボック、またの名を――マニトゥ。
 この世界で戦うヒーローの一人。
 だが、今は幻覚に囚われし、ただの人となっていた。

 ――スナーク症候群。

 強化人間を襲う幻覚という名の精神疾患。
 ハウリングホーク族の戦士にして、一族の秘宝たる霊草とヴィジョンクエストにて強化された心身を持つマニトゥとて、例外ではなかった。
「メスカリンもペヨーテも口にした覚えはないが、少なくとも分かることはある」
 脂汗を右腕で拭きとり、背後へ振り返ると何も居ない空間に向かって皮肉を返す。
「どうやら、私にも本当に精霊……いや、幻霊が見えるようになったようだな」
 視線の先は見慣れた教会。
 彼が守るべき建物の前で『それ』は邪悪な笑みを浮かべた。
「忘れていたよ……今日は土曜日じゃないか」
 その時、ヒューイは初めて苦渋の表情を見せた。

●グリモアベース
「グリモアが呼んでいる。君達の力が必要だと!」
 口調とは裏腹にグリモア猟兵、雷陣・通(ライトニングボーイ・f03680)の表情は硬い。

「みんなはスナーク症候群というのを知ってるかい? 幻の怪物が見えるという強化人間特有の精神疾患と言われているんだけど、どういうわけかその怪物が具現化しているらしいんだ」
 一呼吸してから視線を皆へ移すと再び少年は話し出す。
「分かってはいるだろうけど、こいつは猟書家だ。そしてすまねえ、居場所は掴めなかった……俺はな」
 ホワイトボードに張り出すのは戦化粧をしたネイティブのヒーローの写真一枚。
「だけど、こいつは知っている。名はマニトゥ。ヒーローの一人にしてスナーク症候群に苦しめられている患者だ」
 左手を握りしめグリモア猟兵はヒーローズアースへの道を開く。

「彼を病から奮い立たせ、怪物の居場所を聞き出して、一緒に戦ってほしい。でも気を付けて、マニトゥも病気で疲弊している、下手な行動をするとユーベルコードを暴走させるかもしれない……でも、大丈夫だ。俺達なら……みんななら、やれると信じている」
 信頼の言葉は戦いへの片道切符。
 一人の男の戦いが、猟兵と共に歩む戦いに変わる時が来た。


みなさわ
 人は何かを抱え込むもので、そして何かを守りたいと願うもの。
 こんにちは、みなさわです。
 今回は様々なものと戦うヒーローの話を。

●舞台
 ユタ州の片隅にあるトレーラーハウスから第一章が始まります。
 スナーク症候群に苦しむヒーローを奮い立たせ、猟書家の居場所を聞かねばなりませんが、病による精神の疲弊がそれを邪魔しています。

●スナーク症候群
 善悪の概念が複雑化した『均衡の時代』以降、確認され始めた強化人間特有の病です。
 倒すべき敵、掲げるべき正義を失った強化人間が患うとされ、患者の見る怪物はあくまで妄想だった筈でした。

●マニトゥ
 ハウリングホーク族という部族出身のネイティブの強化人間です。
 かつては追いやられた部族の解放のために戦っていましたが、世界を知り、人を知り、今ではアメリカを守るヒーローの一人となりました。

●プレイングボーナス
 ……強化人間を励ます、もしくは共に戦う。
 となります、成否に大きく影響はしませんが指針にしていただけると幸いです。

●その他
 マスターページも参考にしていただけたら、幸いです。

 それでは皆様、よろしくお願いします。
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第1章 日常 『具現化した病の居場所を探れ』

POW   :    強化人間を悩ませる幻影を打ち消すよう、力強く元気づける

SPD   :    強化人間の負担にならないよう、言葉巧みに話を聞き出す

WIZ   :    強化人間の過去を調べ、その話を聞く

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●サバス アフタヌーン

 ユタ州の片隅にその教会はあった。
 簡素な十字架がかろうじて、それが宗教的な建物だと教えてくれる。
「…………」
 入口に立つ一人の女性。
 不安げに時計に視線を落とし、そして通りを見る。
 誰かを待つかのように。
「なぁ、マリアせんせー、そろそろ礼拝の時間だよ?」
 教会へと走るように足を踏み入れる人々、その中の活発な少年が女性に声をかけた。
「ええ……ああ、ごめんなさいねトビー」
「ひょっとして、ヒューイおじさん待ってる?」
 少年の言葉にマリアと呼ばれた女は頬を膨らませる。
「安息日を間違える人なんて知りません! いつも手伝いはしても教会には一歩も足を踏み入れないし、来ない日も多いし……トビーは彼のようになってはいけませんよ!」
「聖霊が言っている、今日だと思った……だもんね」
 歯を見せて笑う少年の言葉につられてマリアも笑う。
 二人は空気が変わったのを感じると教会へと足を向けた。
「時間よ、そろそろ始めましょう……神は誰であっても平等なのですから、我々だけでも時間は守らないと……ヒューイさんの分もね」
 建物へと入っていく、女性と少年。
 その背中を見つける視線に二人が気づくことは無かった。

●ビジター

「私も情けないものだな。土曜日だと思ったらもう日曜日か……精霊も言っている、曜日感覚がおかしくなるから教会に行けと」
 おぼつかない足取りでトレーラーハウスを歩くマニトゥ、どうにか壁に刺さったトマホークを抜くと、そこで力尽き、転がるようにソファへと身を横たえた。
「情けないぞ、ヒューイ・ハボック……あの日、誓ったではないか、アメリカを守ると……マリアは……トビーだって、全てがアメリカだ」
 どうにか身を起こすと、汗を拭い、ドーランを頬に塗る。
 戦いの時が迫ってきてるのだから。
「それとも、背を向けるか……ハウリングホーク族と同じように……」
 迷い、そして頭を振るネイティブのヒーロー。
 やがて、彼は人の気配に気づき、ドア向こう側へと呼びかけた。

「精霊は言っている、ドアは開いている……用件は手短に頼む。急ぎの用事があるんだ――アメリカを守らねばならない」
佐藤・和鏡子
カウンセリングのように基本は聞き役に徹して彼の精神の安定や回復を図ることを優先します。(医術+優しさ+コミュ力で対応します)
ガジェットショータイムで作ったティーセットで(気持ちが安らぐ効果のある)ハーブティーやお菓子を出しながら、笑顔で優しく丁寧に話をするようにします。(礼儀作法+コミュ力で対応します)
あくまでも彼が話してくれるのを待つ形で、絶対にこちらからまくし立てないように注意します。(ただでさえ、初対面で警戒されるでしょうし)
こちらに興味を持ってくれたり、雑談に応じてくれるだけでも十分収穫ですから。(それだけ回復したと言うことですから)


木常野・都月
俺は猟兵で、木常野都月といいます。
貴方の手伝いをしに来ました。

事情を話した上で、納得してもらえるといいんだけど。

まずは精霊様?幻覚?の方をなんとかしないと、猟書家の居場所を聞き出せないか?

チィ、おいで。出番だ。
月の狂気と浄化を司る月の精霊様チィなら、スナーク症候群の症状の緩和が出来るかも。
チィを経由して、マニトゥさんの状態を改善したいと思う。

俺も必要ならUC【緑の癒しの狐火】で治癒を試みよう。
精神の問題だから意味がないかもしれないけど、疲れた心や体が少しでも楽になってくれればいいな。

貴方はヒーローなんだろう?
世界や人を救う人なんだろう?
世界や人を救えるなら、自分を救う力だってあると、俺は思う。



●セラピー

 病には治療が必要だ。
 気力で治るなら、医者は要らないのだから。

「俺は猟兵で、木常野都月といいます。貴方の手伝いをしに来ました」
「すまないが、これは私の仕事だ一人でやらせてくれ。精霊も急ぐように言っている」
 木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)の言葉を拒絶したネイティブのヒーローは立ち上がり、ふらつく足取りでトレーラーハウスの中を歩む。
 マニトゥにとっては狭い家屋が幸いだった。寄りかかる場所があるのだから。
 都月にとっては室内が幸いだった。迷うことなく行動に移せるのだから。
 緑の灯火がネイティブへ向かって飛ぶのを男は回避することは出来なかった。

 それは癒しの炎。
 緑の狐火が導くのは、月の精霊チィの息吹。
 狂気と浄化を司る月の力がスナークの病に干渉し、そして道を作る。

「貴方はヒーローなんだろう?」
 都月が問う。
「世界や人を救う人なんだろう?」
 マニトゥが問われる。
「世界や人を救えるなら、自分を救う力だってあると、俺は思う」
 英雄はいつだって万能を望まれ、そして。
「精霊は言っている」
 人はいつだって……
「自分で全てが救えるなら、医者は要らないと」
 一人では立ち上がることが出来ない存在なのだ。

 だからこそ――

「話していただけますか?」
 人の手が必要なのだ。
 佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)の用意したティーカップを前にして、マニトゥは軋む椅子に腰かけた。
「まずは何から話せばいい?」
 マニトゥの問いに対し、和鏡子は「ご自由に」とバトンを預ける。
 初対面故に、こちらから呼びかけることはせず、彼が言葉を紡ぐのをあくまでも待つ。
 興味を持ち、会話に応じてもらえればそれだけ回復しているという事なのだから。
「最初に述べたが、私は急いでいる。必要がなければ長話はしたくないのだが……」
 溜息と共にネイティブの男は言葉を続けた。
「まず、私が急いでいる理由を伝えないといけないようだな? 端的に言うならば、友人が今、危機に瀕している」
 ティーカップを手に取り、口を付けるのは社交辞令と冷静さを取り戻す必要があるとヒーローは判断しているのだから。
「だから私は行かないといけないのだが、君達はそれでも止めるというのなら……」
 カップをソーサーに戻し、マニトゥは慎重に言葉を選ぶ。
 暴れるのはいつだってできるが猟兵相手は骨が折れるのを理解している故に。
「君は何をしに来たかを教えてほしい?」
「貴方の精神の安定と回復を」
 和鏡子の答えにネイティブのヒーローは目頭を押さえ、そして問い返した。
「それにはどれくらいの時間がかかるのだろう? 私も精霊も、それを知りたい」
「難しいですね」
 小さなナースを困惑を隠さずに、それでも目は逸らさずに答えを返す。
「少なくとも、貴方が立ち上がれるまで……お腹が空いてはいませんか?」
「そういえば」
 そこで男は苦笑した。
「ここ数日、何も食べていなかった」
 腹の虫を盛大に鳴らせて。

 猟兵の言葉が届き、ヒューイ・ハボックはまず最初に病への歩みを止めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒木・摩那
スナーク症候群に苦しむヒーローですか。
本当はそっとしておいてあげたいところではありますが、
猟書家の手が迫っています。
マニトゥさんの力が必要です。

ですが、まずはご飯です。
ご飯を食べないと、よい考えも出てきませんし、忘れていたことも思い出せません。
何よりも気合が入りません。
空腹はいけません。
パンにソーセージを挟んだホットドッグ持参していきます。
調味料はお好みで。

落ち着いたところで、最近、追いかけられるたり、見られてる感覚は無いですか?
といったところから猟書家の跡を追いかけていきます。



●ミールタイム

「でしたら、まずはご飯です」
 黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)が早速とばかりにゲームのコントローラーの転がる乱雑なテーブルをバスケットで跳ねのける。
「ご飯を食べないと、よい考えも出てきませんし、忘れていたことも思い出せません」
 籠を覆う布を取り、並べられるのは
「何よりも気合が入りません」
 パンにウィンナーを挟めたもの、つまりはホットドック。
「調味料はお好みで」
「なるほど……精霊は言っている」
 目の前に置かれた食べ物に視線を落とし、マニトゥは口を開く。
「冷蔵庫にコーラがある、みんなの分もあるから勝手に飲んでくれ」

「空腹はいけませんが……」
 摩那の視界に入るのは
「食べすぎではありませんか?」
 10本目のホットドックをコーラで流し込むネイティブの男。
「精霊はこうも言っている――君には負けると」
 12本目のホットドックを平らげた超能力者に笑みを返すと空になった空き瓶をダストボックスに投げ入れつつ軽口を返すマニトゥ。
 少しずつだが余裕は出てきたようだ。
「贅沢を言うならピザも欲しいところだが、今は急務だ……あるものでエネルギーを摂るしかないのさ」
 自らを皮肉るように男が笑う姿を見て、女は本来の目的のために
「ではひと段落したところで」

 ――話を切り出す。

「最近、追いかけられるたり、見られてる感覚は無いですか?」
「少し、整理が必要だな」
 ヒーローは一呼吸入れる。
「君達の目的はなんだい?」
「猟書家の手が迫っています」
 彼方の世界の能力者が用件を話す。
「マニトゥさんの力が必要です」
「つまりは私が見えているものが猟書家というんだね――ビブリオマニアか」
 溜息と共にネイティブのヒーローはニュースペーパーを拾い、テーブルに投げた。
 英雄に成り代わっていた者を取り上げた記事が摩那の目に飛び込み。
「協力しよう……時間はまだ大丈夫なんだろう?」
 鼓膜を綺麗なイングリッシュが叩いた。

「アレが見えてきたのは二週間前だ」
 何かを思い出す様にマニトゥは口を開く。
「セラピストは匙を投げ、この手の事に詳しいヒーローは今、眠り姫となっている」
 肩をすくめ、首を振れば立ち上がり、窓から外を見る。
「昨日まではただ、見ているだけだった……おかげでプライベートが台無しだ」
「昨日まで?」
 何かに気づいた彼方の能力者が、強化人間へと問いかけた。
「ああ、今日は最悪だった……私の友人を襲うために、今もこの大地を歩いているのだから」
 窓越しに遠くを見つめてから、マニトゥは視線を摩那へと戻す。

「精霊は言っている、友が集まる教会が危ないと」

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒谷・つかさ
敵や正義を失った強化人間の罹る病、か。
要するに指針を見失って、自己の存在意義がわからなくなってるようなものなのかしら。憶測だけど。
そういう時は一旦頭を空っぽにするに限るわね。
そう……鍛錬よ!

小細工なしで正面から接触、鍛錬に誘う
十分な体力があるなら走り込みや筋トレ
立ち上がるのも辛いならストレッチやハンドグリップ等軽いものを無理なく
兎に角何でもいいので身体を動かしつつ、並行して【頒布版・超★筋肉黙示録】で思考を単純化(脳筋精神付与)させて、迷いを吹っ飛ばす

「アメリカを守る」だなんて御大層な事はとりあえず置いときなさいな。
視野を広げ過ぎると足元を見失う……一旦、筋肉だけで守れる範囲を見てみなさい。



●リハビリテーション

「協力するとは言ったが……」
 マニトゥの視界が上下する。
「この状況でレジスタンストレーニングとは精霊も予想外だぞ?」
「今は一旦頭を空っぽにするべきよ。あなたの身体の事も考えると」
 ジャージ姿でカウントをしつつ荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)が答える。
「だから、そう……鍛錬よ!」
 ネイティブの男はバイオモンスターと会話する時と同じ表情を見せたのは気のせいでは無かった。

 プッシュアップ、スクワット、ズタ袋に砂を詰めてのデッドリフト。
 ビッグ3から始まった筋肉トレーニングは徐々に強度を増し、自重からウェイトへ、そして更なる脂肪燃焼を促すためにランニングからシャドー、そしてマス・スパーリングへと移っていく。

「敵や正義を失った強化人間の罹る病」
 つかさが呟きつつ拳を放つ。
「そう、それがスナーク症候群」
 マニトゥが受け流し答えと掌底を返せば、屈んだ羅刹は足を払う。
「要するに指針を見失って、自己の存在意義がわからなくなってるようなものなのかしら」
 空を切る足払い。
 宙を舞う、ネイティブのヒーロー。
「憶測だけど」
「それは、誰も分からない」
 着地しつつマニトゥは返答し、そして回し蹴りを放つ。
「だが、強化人間だけがかかるというなら、それは引き上げられた身体感覚が感じ取るのだろう……見えざる存在を、力を」
 鋭い蹴りを受け捌きながら、つかさは耳を傾けた。
「でも今は――」
 裏拳、スナップを効かせた羅刹の拳が男の眼前で止まる。
「『アメリカを守る』だなんて御大層な事はとりあえず置いときなさいな」
「…………」
 沈黙するマニトゥに渡すのは筋肉の書籍。
 その圧の強さにネイティブは眉をひそめた。
「視野を広げ過ぎると足元を見失う……一旦、筋肉だけで守れる範囲を見てみなさい」
「違う……違うのだ、猟兵よ」
 男は首を振り、女の拳を抑えた。
「私の守りたいもの……白人のマリア、ヒスパニックのトビー、黒人のシャーリー、我が友チヌーク、全員が集まる教会――それが『アメリカ』なんだ」
 そしてマニトゥは背を向ける。
「全ての人が集まる合衆国。小さな教会にそれがある……けれど、ありがとう。確かに私は見失っていた」
 進みゆく足取りは力強く、病の色はほぼ消えていた。
「私の小さなアメリカ、足元を守るために力を貸してくれ」
 答えは無かった……いや、必要なかった。
 筋肉を通して言葉は通じ合ったのだから。
 つかさはしょうがないなと笑みを浮かべた後、彼に続いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

河津・跳太郎
行動
自身の経験を話してから彼の過去を聞き出す
その上で彼の「始まりの物語」を思い出してもらう

セリフ
実のところ吾輩、カエルの強化人間ではないのであります
オブリビオンの科学者に
何にでも変身できるトリックスターの神の遺伝子とやらを組みこまれて
緑色のヘドロになり掛けた時に
体色から連想したカエルのコミックヒーローをキーワードに
今の自分を作り上げたのでありますよ

その後、実戦に出される前に助け出されて
人に憐れまれるだけじゃない
自分の人生を生きてみたいとヒーロー活動を始めたであります

マニトゥ殿はどうやって強化人間になって
何がしたくてヒーロー活動を始めたでありますか?
どうか吾輩にも教えて欲しいであります



●ルーツ

 トレーラーハウスへと戻るマニトゥに付き従う者がいた。
 名は河津・跳太郎(🐸負けるなピョン太ここにあり・f18965)。
「カエル・ヨージンボーか……どうした?」
「実のところ吾輩、カエルの強化人間ではないのであります」
 ネイティブの言葉にピョン太が答える。
 強化人間をルーツに持つ男は興味深そうに跳太郎へと問いかけた。
「精霊も言っている、君の話は有益であろうと」

「オブリビオンの科学者――ドクター・エキドナは神の遺伝子を手に入れたであります。その神はトリックスター」
 跳太郎の言葉に耳を傾けるマニトゥ。
 いつだって、科学の名のもとに犠牲というものが生まれ。
「何にでも変身できる神。その遺伝子を組み込まれ、吾輩は緑色のヘドロになり掛けたであります」
 誰かが不幸に見舞われる。だが――
「その時に咄嗟でござるが、体色から連想したカエルのコミックヒーローをキーワードに今の自分を作り上げたのでありますよ」
 その中でも立ち向かう者は居る。
「その後、実戦に出される前に助け出されて。人に憐れまれるだけじゃない、自分の人生を生きてみたいとヒーロー活動を始めたであります」
 それを人はヒーローと呼ぶ。
「精霊は言っている、大変な目にあったと」
「マニトゥ殿はどうやって強化人間になって、何がしたくてヒーロー活動を始めたでありますか?」
 そしてヒーローは問う。
「どうか吾輩にも教えて欲しいであります」
 ルーツを……始まりを。
「私は元々はヒーローでは無かった……強いて言うならヴィランと言った方がいいだろう」
 かつての戦士は、語る。
 自らの始まりを。

「私は元々はハウリングホーク族という部族の生まれだった。そこで育ち、一族の習わしに基づき身体を鍛え、そして……虐げられてきた」
 どうしても超えられない壁の存在。敢えて明確な言葉に出さず、ネイティブの男は話を続けた。
「ハウリングホーク族にはある秘宝があった。試練を受けた者だけが得ることが出来る神秘の薬草――私は一族の期待を受け、試練を成し遂げ、力を得た。マニトゥの名と共に」
 何気なく石を蹴るのは彼らに伝わる超自然的な力の名を持つ者、その体現者。
「けれど、一族はその力を虐げた者への復讐の為に求めた。私は応え戦い、ヒーローとぶつかり、そして出会ったのだ、小さなアメリカに」
 歯痒そうに頬を掻くヒューイ・ハボック。
「マリア・ベルはそそっかしく、物事を楽観的に考え、人の話を聞かない困った人だが、傷ついた私を看護し、教会に集う人々と分け隔てなく接してくれた。そこには様々な人が居たよ……けれど、ハウリングホーク族はそれすらも排除しようと望んだ」
 だが、その目には強い意志が光る。
「私は教会の中に『アメリカ』を見た、そしてマニトゥの力をその土地に住む全ての為に使う事を選んだ……結果的には生まれ育った一族に背を向けることになったがね」
 改めてピョン太に向かい直ると男は名乗った。

「我が名はマニトゥ。この土地に住む全ての命を守り、ピザとコーラを愛する者」

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
スナーク症候群の討伐の為、クライング・ジェネシスと対峙したその勇気とお力…お借し下さい、マニトゥ様

失礼ながら、貴方の経歴を調べさせて頂きました
(世界知識・情報収集)
民族の誇りを賭けた闘争について、私から軽々に申し上げることは出来ません

ですがその過程で貴方は掲げる正義を一度失い、そして新たに見出した筈です
部族では無く、アメリカの為に…いえ、他の物か
其の大小に是非はありません

私の正義…いえ、ルーツは御伽噺の騎士
永久に届かぬ代物ですが…振り返り己が立ち位置を測るにはうってつけの眩きものです

人が正義を失ったが故の症候群の発症
ならば解決の鍵も貴方の中に

嘗て、貴方は、何に、正義を見出したのですか?


ミハエラ・ジェシンスカ
私にカウンセリング機能なぞないんだがな

酷い顔だ、マニトゥ
幽霊の方がまだ生気がある。見た事はないが
あぁ、お望み通り手短に済ませるとしよう

【催眠術】でマニトゥの精神に干渉
尤もこの状態での無理な干渉は暴走や廃人化を招きかねん
故に最小限、思考すべき事を誘導するに留め
マニトゥ自ら奮い立つように仕向けるだけだ
もし既に暴走状態の場合は【念動変異】で接近を

国を守る、そこに住む民を守る
あぁ、それは至極まっとうな「正義」とやらだろうよ
だが何故、お前はそう誓った?
兵士のような命じられた職責ではなく
機械のような与えられた機能でもなく
ヒーローとして戦う理由はなんだ?

思い起こせ、直視しろ
マニトゥの「オリジン」を



●オリジン

 トレーラーハウスの扉を開くと世界が変わった。

「酷い顔だ、マニトゥ」
 セピア色のフィルムが流れるように己の過去を想起させる風景。
 催眠術で彼に干渉したミハエラ・ジェシンスカ(邪道の剣・f13828)が皮肉交じりに呼びかけた。
「ドーランのメーカーを変えたんだ」
「幽霊の方がまだ生気がある。見た事はないが……あぁ、お望み通り手短に済ませるとしよう」
 軽口を受け流し、邪剣の戦機は傍にあるビデオカムのスイッチを入れた。
 勿論、それはネイティブの男が見る心象風景。
 現実ではミハエラ自身は未開封のコーラを片手に話しかけているだけなのだから。

「――精霊は言っている、今こそ人は悔いるべきだと」
「だからと言って、今を生きる人々を排除するのはいただけないね――」

 色の欠けた過去、かつての戦士の記憶。

「――なぜ、私を助けた。私はお前たちの言うインディアンなのだぞ?」
「関係ありません。肌の色で神は差別しません、今の時代は――」

 そこに色が差し込む。

「――で、お前は何をしているのだ?」
「見て分からないのですか? レンガで壁を作ってるんです」
「接着剤は使わないと思うぞ」
「…………」
「手伝おう、お前には借りがある。精霊も言っている、借りは返し、そして貸していくものだと――」

「国を守る、そこに住む民を守る」
 マニトゥが過去を歩む中、ミハエラは道を示す。
「あぁ、それは至極まっとうな『正義』とやらだろうよ」
 それは、ビジョンクエスト。
「だが何故、お前はそう誓った?」

「――どういう事だブラックホーク。彼らはただ日々を暮らし、礼拝に集う者。そこに血の違いなどありはしない」
「血迷ったか、ヒューイ! 我らマニトゥの力を持つ者の使命を、悲願を! この土地は元々、我々の者だ……返してもらう時が来たのだ――」

「兵士のような命じられた職責ではなく、機械のような与えられた機能でもなく」
 戦機の言葉に耳を傾けるネイティブにとっては成人の儀式であり。

「――ならば、私は一族に背を向けよう。ここは神に祈る場所。私や貴様が中に入ることを許されないのだから」

「ヒーローとして戦う理由はなんだ?」
 生き方という道への灯火
「思い起こせ、直視しろ」

「――私の名はマニトゥ。精霊の声を聴き、この地に住む全ての人々を守る者……ヒーローだ!」

          origin
「――マニトゥの『オリジン』を」
「精霊は言っている」
 歩みを終え、見慣れたトレーラーハウスの中で男は答えた。
「自伝にしたら売れるかな、と」
「6ドルで釣りが来るだろうさ」
 ミハエラとネイティブ、女と男は互いに口角を上げた。

「ではスナーク症候群の討伐の為、クライング・ジェネシスと対峙したその勇気とお力……お借し下さい、マニトゥ様」
 夢から覚めれば、現実が待っている。
「マニトゥでいい……何というかこそばゆい」
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)の言葉にむず痒い表情を浮かべつつネイティブのヒーローは答えた。
「そして、その病名がビブリオマニアの名前というわけか厄介なシンドロームだ」

「失礼ながら、貴方の経歴を調べさせて頂きました」
「精霊は言っている、自伝はまだ書いていないと」
「骨が折れた、とだけ申しておきましょう」
 軽い言葉のやり取り、この世界の一部の住人の性格も既に調べ上げているからこそ、騎士は軽口を投げ返すのだ。
「民族の誇りを賭けた闘争について、私から軽々に申し上げることは出来ません」
「政治の話は好まれないものだ、教師と政治家の独占業務だからな」
「ですがその過程で貴方は掲げる正義を一度失い、そして新たに見出した筈です」
 トリテレイアの言葉を促すブラックジョークを受けながら、騎士は本題を切り出す。
「部族では無く、アメリカの為に……いえ、他の物か、其の大小に是非はありません」
 そして次に切り出すのは
「私の正義……いえ、ルーツは御伽噺の騎士」
 己のオリジン。
 ヒーローにルーツがあるように猟兵にもルーツはある。
 それを円卓に上げないのは騎士として相応しくないと、自らの心がそう動かしていく。
「永久に届かぬ代物ですが……振り返り己が立ち位置を測るにはうってつけの眩きものです」
「永久に届かないものなどないさ。人はいつか必ずたどり着く……私はそう信じている」
 だからこそ、ネイティブの男は気高き精神に敬意を表する。

 Right Stuff
 正しい資質とは心が作り出すものなのだから。

「人が正義を失ったが故の症候群の発症。ならば解決の鍵も貴方の中に」
「難しいことを言うな。だが、そうであるかもしれない」
 騎士は問い、男は応える。
「嘗て、貴方は、何に、正義を見出したのですか?」
「私はネイティブだ」
 マニトゥはまず自らを定義する。
「この土地に生まれ、育った者として、その歴史を含めた全てが形となった教会とそこにいる人々――」
 そして見出す。
「その小さな『アメリカ』を守るのが、私の使命だ」

 Man of The Mission
 使命を持った者として護るべきものを。

 例えるなら、それが正義なのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニコ・ベルクシュタイン
時間どころか、曜日から間違えるとは……相当、だな
俺の物差しで語るべき事ではなかろうが、参っているのは理解した

先ずは挨拶と簡潔な自己紹介、其れからマニトゥの具合を気遣う
急ぎの用とあらば其れに遅れぬよう手短にせねばならぬので
敢えて端的に問おう、何が視えているのかと

俺は眼鏡無しでは正しく世界を捉えられぬが
今の貴方は逆に見えすぎてしまっているのか
責めるつもりは無い、心配しているだけだと

戦うならば喜んで力を貸そう
俺は猟兵であるが故に、其れは当然の事だ
見えているものについて言及したくないならば、其れで構わない
せめて、貴方の道行きに同伴させて貰えればと願う

それとも、俺が貴方の手を取った方が良いだろうか?


ヴィクティム・ウィンターミュート
ハァーイ、初めましてだなマニトゥ
おっとぉ、名を名乗っていなかったなァ
『ネームレス』だ──取るに足らない役者だよ

今アンタは揺れに揺れてるわけだ
アンタがどんな選択をしようが、俺としては別に構わない
俺は世界を護りに来た訳でもなければ、人を救いに来たわけじゃない
『気に食わない奴がいるからぶっ殺す』だけだ

アンタはどうだ?自分のしたいことは見失ってないか?
こんなものはシンプルだ。これだってものにそのまま向かえばいい
自分の『オリジン』だけが確かなものだと思え
トマホークとそれだけありゃぁ、お前は『マニトゥ』でいられる
さぁ、辛気臭いツラはもう必要無いだろう
舞台に上がる準備は出来てるか?
派手にやろうじゃねえか



●アウェイキング

「ハァーイ、初めましてだなマニトゥ」
 錆びついたドアが勢いよく開く。
「おっとぉ、名を名乗っていなかったなァ『ネームレス』だ──取るに足らない役者だよ」
「青年よ、名を捨てるのはお勧めしないな。自分をいくらでも削る者となるのだから」
 扉の枠に手をかけて話しかけるヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)の姿を見てマニトゥは眉をひそめた。
「だが、敢えて名乗っているなら。私もこれ以上は言うまい……君が君で居るのなら人は名で呼ぶのだから」

「オーケィ、じゃあ話を戻そうか」
 それ以上はとヴィクティムは手で制し、言葉を続ける。
「今アンタは揺れに揺れてるわけだ」
 再び自らを取り戻したとはいえ、病は癒えていない。
 今、まさに具現化しようとしているのだから。
「アンタがどんな選択をしようが、俺としては別に構わない」
 だが、ネームレスにとってはそれは関係のない事。
 彼が今、求めるのは
「俺は世界を護りに来た訳でもなければ、人を救いに来たわけじゃない。『気に食わない奴がいるからぶっ殺す』だけだ」
 敵が居るから殺す。ただそれだけなのだ。
「シンプルでいいな」
「アンタはどうだ? 自分のしたいことは見失ってないか?」
 呟くネイティブにヴィクティムが問いかける。
「こんなものはアンタが口にしたようにシンプルだ。これだってものにそのまま向かえばいい」
 自分が自分であるか、と。
「自分の『オリジン』だけが確かなものだと思え」
 全てはそれだけなのだ。
「トマホークとそれだけありゃぁ、お前は『マニトゥ』でいられる」
 自分たる何があれば、男は名を名乗ることが出来るのだ。
「さぁ、辛気臭いツラはもう必要無いだろう、舞台に上がる準備は出来てるか?」
 故に呼びかける。
「派手にやろうじゃねえか」
 ステージに上がる時を。
「そうだな……私自身はやる気はあるが」
 ネイティブの男は笑みを浮かべ、視線を動かした。
「もう一人の話を聞いてからだ」
 ネームレスからもう一人の男へと。

「精霊は言っている。私には人手が必要だと」

「調子はどうだ?」
 視線の先には眼鏡をかけた男。
「私の名はニコ・ベルクシュタイン。時間どころか、曜日から間違えるとは……相当、だな」
「まあな……おかげで時間はギリギリだろう」
 ニコ・ベルクシュタイン(時計卿・f00324)の問いかけにマニトゥが笑う。
「ならば端的に問おう、何が視えているのかと」
「何度か説明したが、ここで一度、整理したほうがいいな」
 ニコの問いにネイティブの男は改めて応える。
「怪物だよ、私の見た幻覚が、具現化された様に歩き、守るべき教会を狙おうとしている」
「俺は眼鏡無しでは正しく世界を捉えられぬが」
 時計卿が眼鏡を外し、クロスでレンズを磨く。
「今の貴方は逆に見えすぎてしまっているようだな」
「それが君達の狙う猟書家というわけか?」
 次に問うのはマニトゥ。
 既に答えは見えているが確認は必要だ。
 これから動くために。
「ああ」
 ニコが頷きとともに一言返した。

「戦うならば喜んで力を貸そう」
 クローゼットにかけられた厳つい鍵を開けようとするネイティブの男に時計卿が声をかけると、彼は視線を向けずに「ああ」と答える。
「俺は猟兵であるが故に、其れは当然の事だ」
「なるほど、どうも疑問に思っていたがやっと納得がいった」
 ニコの言葉に得心したのか、鍵を外しながらマニトゥは呟く。
「私が見た敵はオブリビオンなのだな?」
 その言葉に眼鏡をかけた猟兵が頷いた。
「せめて、貴方の道行きに同伴させて貰えればと願う……それとも、俺が貴方の手を取った方が良いだろうか?」
「精霊は言っている」
 建付けの悪いクローゼットをヒーローが叩き、扉が開かれる。
「オブリビオンなら、君達の力が必要だ……共に歩もう。時間は?」
 中に陳列された銃火器を手に取りマニトゥは問いかけると、ニコは懐中時計を確認し。
「あまり余裕は無さそうだ」
 その蓋を閉じた。

 Awakening
 目覚めの時は時計の金属同士が重なる音。

 ネイティブのヒーローがトレーラーハウスの扉を開く。
「精霊は言っている」
 そこには頼もしい仲間がいた。
「今こそ、君達の力が必要だと」
 猟兵という力が。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『スナーク症候群(シンドローム)』

POW   :    ブーステッド・キリング
【バールのようなもの】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    クルーエル・スパインズ
【有刺鉄線】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【自己を形成する要素】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    スナーク・リアライズ
攻撃が命中した対象に【「スナークが実在するのでは?」という疑念】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【姿の見えない「怪物スナーク」】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ネミ・ミミーニーズです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●マニトゥ キープズ プレイヤー

 教会の鐘が鳴り、オルガンの響きが風に流れる。
 祈りの時間が始まる建物。
 迫るのは影一つ。

 頭上の環は鉄条網。
 杖の様の持つのは長尺のバールを思わせる凶器。
 黒い服を着た少女らしき者の顔は――無かった。
 そこには暗黒があるのみ。

 それこそが幻覚の具現化、名をスナーク症候群と呼ぶ。
 形を得た猟書家は自らが真のスナークとなるために、人々が集まる教会へと足を進め……直後、車に跳ね飛ばされた。

「この本の通り、全力でアクセルを踏んだら轢いてしまった。精霊も私を弁護するだろう」
 オープンカーのハンドルを握る男、マニトゥは分厚い筋肉バイブルを片手にアクセルを踏むのを止めない。
 倒れているスナーク症候群をタイヤで踏み潰したと思いきや、そのまま通り過ぎて、すかざずギアをバックへと叩き込む。
 起き上がろうとする猟書家の顔面をリアバンパーがスタンプした。
 二度、三度、念入りにスナーク症候群をすりつぶした後。距離を取ったネイティブのヒーローは車から降り、そして呟いた。
「精霊が言っている……幻覚は轢き殺せないと」
 視線の先には猟書家が傷一つ無い姿で立ち上がっていた。

「マニ……トゥ……裏切りのハウリングホーク」
「今日は私を起こしに来なかったから寂しかったよ、レディ」
 ガラスをひっかいたように耳障りなトーンでスナーク症候群が語り返れば、軽口を返しつつ、マニトゥは車のトランクを開け、武器を引っ張り出した。
「さて、猟兵の諸君。今ので分かったと思うが、私の攻撃は通用しない。ユーベルコードもどうなるか分からないし、何よりも病み上がりだ」
 視線をわずかに猟兵達へと向けた後、ロケットランチャーを構えるネイティブのヒーロー。
「特に指を鳴らして速く動くアレは身体に悪い。なので君達の支援を中心に私は立ち回ろう。適当な作戦があれば言ってくれ、大体のものは車に入れているし、大抵の乗り物は動かせる」
 引鉄を引けばロケット弾が発射され、爆炎が視界を塞いだ。
「やはりRPGは人力が使いやすい。さて……」

 炎の中を歩くのは猟書家、スナーク症候群。

 Syndromeに挑むのは猟兵とネイティブのヒーロー。

「敬虔に祈る者の為、祈らない我々はパーティと洒落込もう」
ニコ・ベルクシュタイン
マニトゥ、車の中には「本当に何でもある」のだな?
ならば其の言葉を信じよう、俺の挙動が怪しくなったならば
躊躇無く今から指示するモノを叩き込んで欲しい

では、参るぞ――猟書家よ
双剣の切っ先を向けた瞬間から戦は始まっていると知れ

「ダッシュ」で突進、「先制攻撃」が取れれば先ずは一の斬撃を
成否は問わず、恐らく襲い掛かって来るであろう反撃と疑念
…妄執に近かろう其れを、今こそマニトゥに対処して貰おう

鎮静剤だ、姿の見えぬ怪物の妄念から強制的に逃れる為に
手段は問わぬので投与を頼む
気を確かにした所で改めて一撃、そして「傷口をえぐる」ように一撃

人も時計も狂う事はあろう、ならば都度対処すれば良いだけだ
お前になど屈せぬよ



●ハズ エブリシング

 ――確かに何でもあるとは言った。

「マニトゥ、車の中には『本当に何でもある』のだな?」
「精霊は言っている、車の中に入るものなら、と」
 ニコ・ベルクシュタインの言葉にマニトゥと呼ばれたネイティブのヒーローはバンパーのへこんだオープンカーを指さした。
「なんなら、ピザとコーラもあるぞ」
「それはいい」
 マニトゥの軽口を受け流し、時計卿は猟書家へと足を向ける。
「ならば其の言葉を信じよう、俺の挙動が怪しくなったならば、躊躇無く指示するモノを叩き込んで欲しい」
 そして耳打ちされた単語にネイティブのヒーローは目を丸くした。
「君に効くのか、それは?」

「では、参るぞ――猟書家よ」
 先駆けたるはニコ・ベルクシュタイン。
 双剣の切っ先がスナーク症候群たる存在に向けられれば、戦は始まっていた。
 一歩、突進。
 二歩、接敵。
 三歩、踏み込みからの一撃がバールのような鈍器を弾く。

 Ruthless Clock works
 時計の針は無慈悲に刻む

 続いての一閃が猟書家の肩を貫く。
 さらに振り上げた時計卿の追い打ちは、具現化したSyndromeが打ち払った。
 直後、ニコの足に叩き込まれる蹴り。
 少女を模った怪物の脚。
 そこに絡みついた有刺鉄線が時計卿のスラックスをズタズタにし、仮初の肉体へ傷をつける。
「……Snark is real」
 耳障りなイングリッシュに続き、聞こえるのは獣の咆哮。

 Snark
 スナークは
 実在する?
 Realize?

 疑念が猟兵の頭をよぎった時、その首元に生暖かい息が伝わる――。
「今だ、マニトゥ!」
 直後、叫ぶニコ。
 ネイティブのヒーローは彼の求めに応え、カートリッジ型の注射器をその腕に打ち込んだ。
 一時的な浮遊感の直後、時計卿の脳は冴えわたり、疑念という要素は実証されていないという現実によって払いのけられる。
「なにを……した?」
「ジアゼパム、鎮静剤だ。ドラッグストアで買ってきた」
 Syndromeの言葉に軽口を持って返すマニトゥ。
「注射薬が売っているわけないだろう……だが、妄執はここに払われた!」
 ニコが左手に持つ剣に力を込める。
「人も時計も狂う事はあろう、ならば都度対処すれば良いだけだ」
 それは突き刺した刃を捻り、貫いていた傷口を抉った。

 痛みからか、無理矢理剣を引き抜いたスナーク症候群は絶叫と共に踊り、その姿を見たニコはただ一言伝えるため、口を開く。
「お前になど屈せぬよ」
 ……と。

成功 🔵​🔵​🔴​

佐藤・和鏡子
マニトゥさんも戦えるレベルまで回復できて本当に良かったです。
援護に徹する(無茶をしない)とのことなので、大丈夫だとは思いますが、彼の動きにもそれとなく注意しておきます。
戦闘では救急車の車体を敵の攻撃を防ぐための盾に使ったり(もちろん、自分だけでなく、他の方も救急車の車体を駆使して守ります)、ユーベルコードや医術・救助活動の技能を使っての救護など、他の方の援護や回復などの防御的な立ち回りに徹します。
アドリブ・連携・負傷描写、全てOKなので、どんどん動かして頂いて大丈夫です。


木常野・都月
スナーク症候群…難しい事はよく分からないけど、現実に居るなら幻じゃないはずだ。
幻じゃないなら、倒せるはず。

マニトゥさんを守りながら、スナーク症候群を倒そう。

[野生の勘、第六感]で、スナーク症候群の動きを[情報収集]しつつ、マニトゥさんとの間に入って立ち回りたい。

まずは…マニトゥさんに保護を。
雰囲気が大地の精霊様に似ている…かも?ネイティブの精霊様、俺の魔力を分けるので[オーラ防御]をお願いします。

雷の精霊様と一緒に、UC【精霊疾走】で体当たりしよう。

敵の攻撃は雷の精霊様の[カウンター]でバールを弾き返せるかな。

まだ動くようなら[属性攻撃、全力魔法]で追撃しよう。


河津・跳太郎
※アドリブ歓迎

SPD判定

・行動
事前にマニトゥにタイミングを教えてもらえるように頼んでから
UCで四肢を粘液状に変え、相手の有刺鉄線をすり抜けながら接近して
敵に抱き付きながらいぞリ投げで地面に叩きつける
(「狂気耐性、グラップル、地形の利用、怪力」使用)

・セリフ
マニトゥ殿、吾輩これから敵に突貫するのでありますが
いささか制御に難がある技を使用するので
吾輩が相手にたどり着いた瞬間に名前を呼んで欲しいでありますよ
そうすれば自分の形をすぐ取り戻せるであります

・UC口上
さて御立合い、切っても切れぬはガマの油!
四六のガマにゃ刃物は立たぬであります!(四肢が液状化していく)



●ウィズ ユー

「スナーク症候群……難しい事はよく分からないけど、現実に居るなら幻じゃないはずだ」
 木常野・都月が肩を抉られて呻く猟書家を見て呟く。
「幻じゃないなら、倒せるはず」
 今はそれを信じるのみ!
「若者よ、意気込むのは良いが」
 そこへネイティブのヒーローは言葉を挟める。
「私を守りながらは無理がないか? それとも私は足手まといか?」
 スナークに立ち向かいつつマニトゥをオーラで守ろうとした都月の動きをヒーローは制した。
「えっと……」
「安心しろ、大いに足手まといだ。だが君は敵に向かって全力で挑んでもらいたい。そうすれば私も巻き込まれない」
 ネイティブの男は笑い、佐藤・和鏡子の運転する救急者に乗り込むと車内からサブマシンガンの引鉄を引く。
「チャンスは一瞬だ……若者よヒーローが作りし機を見抜き、活路を開け」
 銃声と共に車は疾走し、Syndromeは救急車へ視線を移す。
「……はい!」
 決意の言葉と共に、人は狐へと変わった。

「戦えるレベルまで回復できて本当に良かったですね」
「とはいえ、病み上がりだ。流石に正面切っては戦えないと精霊も言っている」
 救急車の車内でハンドルを握る和鏡子に対し、マニトゥは銃弾をスナーク症候群へと叩き込みながら応える。
 彼の言葉にリトルナースはネイティブのヒーローが猟書家を車で轢き、ロケットランチャーを発射していた姿を思い出す。
 そういえば、接近戦を避けて戦っている……?
「具体的に教えていただけますか?」
「薬草で強化された身でなければ、歩く事さえ叶わないだろう……ああ、治療はしなくていい」
 問いかけ、医療用具に手を伸ばそうとした和鏡子をマニトゥは言葉で制した。
「どのみち、私には奴は倒せない。ならば君達が勝つ道筋の手伝いをしよう……それがマニトゥの戦い方だ」
 弾の無くなったサブマシンガンを捨てると、ネイティブのヒーローはある方角を示す。
「さて、機会が来たぞ。若者が大技を使うなら、癒し手たる君はそれをカバーするのが役目だ」
 その言葉にリトルナースは頷き、アクセルを踏んだ。

 黒い狐の周りの空気が変わる。
 乾燥した空気が弾けるように音を立て、そして紫電をその身に纏う。

 With Run
 精霊 疾走

 巨大な狐と化した都月が伴うのは雷の精霊。
 共に走るは逐電が如き疾走。

 ――突撃!

 救急車に気を取られていたSyndromeを黒狐の突進が吹き飛ばした。
 だが……跳ね飛ばされても、倒れることは無い。
 猟書家が体勢を整えれば、踏み込みと共に、体当たりを終えて頭を低くした都月へと鈍器を振り落とす。
 強烈なスキール音と共に金属が引き裂かれる音が響いたのは同時だった。

「大丈夫ですか!?」
 バールのようなもので引き裂かれた救急車から、和鏡子が狐を庇う様に躍り出る。
「俺……大丈夫、行ける」
「若者よあまり一人で頑張るな」
 都月の言葉をマニトゥが窘める。
「精霊が言っている、次の役者の番だと」
 緑色の影が三人の横を疾走し、ネイティブのヒーローもそれに続いた。

「マニトゥ殿、吾輩これから敵に突貫するのでありますが」
 河津・跳太郎が傍らを走るマニトゥへと呼びかける。
「いささか制御に難がある技を使用するので吾輩が相手にたどり着いた瞬間に名前を呼んで欲しいでありますよ」
「神の何とかという奴か?」
「そうであります。そうすれば自分の形をすぐ取り戻せるであります」
 互いに会話を交わした後、ネイティブのヒーローは少し考えて。
「何と呼べばいい? カエル・ヨージンボー? フロッギーヒーロー? ピョン太?」
 問いかけた。
「ピョン太であります」
「分かった。ならピョン太よ己を強く持て。クライングジェネシスと戦ったときのように」
 跳太郎の言葉に頷き、マニトゥはトマホークを投げる。
 しかし手投げ斧は猟書家の有刺鉄線に阻まれ、さらなる一撃がヒーローを襲う。
「危ない!」
 そこへ飛び込むリトルナース。
 セーラー服が裂け、油が大地を汚した。
「……Snark is real?」
「逃げろ!」
 始めて、男は強い言葉を発した。
 直後、和鏡子の肩が砕け、歯車が飛散する。
「大丈夫――今です!」
 ドールたるその躯をさらしながらリトルナースは叫んだ。
「さて御立合い、切っても切れぬはガマの油!」
 それは挺身が生んだ隙。
 見逃す様じゃ男じゃない。
「四六のガマにゃ刃物は立たぬであります!」
 液状化したピョン太が有刺鉄線の隙間を縫って具現化したSyndromeへと侵食する。

 Ga-Ma Mode:No.46
 四六のガマモード

 形を失い、ただの粘液となったモノが怪物を喰らわんと……
「目を覚ませ、ピョン太。正しき資質こそがお前の真の力だ」

 Right Stuff――ヒーローとしての意志が形を成し、力を成し、そして元の姿となった跳太郎がスナークを抱えて跳躍する。

 居反り!

 アスファルトへと叩きつけられた猟書家が息を吐き、その場に転がった。
「若者よ、戦いとはこういうものだ。君が精霊と歩む様にヒーローも猟兵と歩む、だからこそ君も私も全力で戦えるのだ」
 その言葉に都月は強く頷きを返した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

黒木・摩那
マニトゥさん、結構思い切った攻撃するんですね。

これは私たちも負けていられません。
猟書家に小さなアメリカを襲わせるわけにはいきません!

パーティとあれば、私も一芸披露しないといけませんね。

ヨーヨー『エクリプス』で戦います。
まず、ヨーヨーでスナークのバールを武器落とししてから、【念動力】で回収。
それからヨーヨーをスナークに引っ掛けて、UC【獅子剛力】でぐるんぐるん大回転からの、地面にダイブさせます。


トリテレイア・ゼロナイン
情報では把握しておりましたが…中々に派手な戦いぶり
騎士としては些か複雑ですが、文明の利器という物はやはり強力ですね
(戦機の口から)
…冗談は少し不得手でして、ご容赦を

ヴィラン用ネットランチャーをご用意出来ますか?
火力が通じぬならそれ以外で…タイミングはお任せします

バールと剣盾で切り結びつつUC使用
射線を開けると同時、敵攻撃を誘発する緩やかな隙を演出する挙動で誘い込み

病巣は切除するのが定石ですが…

ネットにかかるか避けて体勢崩れた隙を逃さず怪力大盾殴打で殴り飛ばし

ところで、マニトゥ様
玄関近くを火の海にされた教会の方への弁解、どうなさる御積もりですか?

…清掃も含め、私もお付き合いいたします



●イエーガー ライヴ フィーバー

 コーラの瓶が投げられる。
 中には入っているコーラではなくガソリン。蓋代わりには火のついたボロ布。
「時間稼ぎだ」
 火炎瓶が割れ、爆発が猟書家を包む中、マニトゥは他の猟兵が体勢を整えたのを確認し、後ろに下がる。

「マニトゥさん、結構思い切った攻撃するんですね」
 黒木・摩那が呟き、目を丸くする。
「情報では把握しておりましたが……中々に派手な戦いぶり」
 トリテレイア・ゼロナインも慎重に言葉を選んでいるようだ。
「騎士としては些か複雑ですが、文明の利器という物はやはり強力ですね」
「ああ」
 隣へと走り込んだネイティブのヒーローが答えた。
「こちらのスーパーマーケットは大きい。武器に困ったら買いに行けるのがありがたいほどだ」
 トリテレイアはバイザーの奥のセンサーを明滅させた後。
「……冗談は少し不得手でして、ご容赦を」
 謝罪する。
「それが良い。精霊も言っている、口の回るネイティブとトレンチコートはロクでもないとな」
 口の回るネイティブは騎士に向かって笑い。
 そして――
「さあ、続きといこう。次は君達の出番だ」
 戦いへといざなうのであった。

「これは私たちも負けていられません」
 摩那の手から何かが伸びる。
「猟書家に小さなアメリカを襲わせるわけにはいきませんから!」
 ワイヤーの先には溝の掘られた円形のアイテム、すなわちヨーヨー。
「日本のポリスに支給されているというのは本当だったのか?」
「……さあ?」
 彼方の世界の能力者が繰り出す遊具ともいえる武器がバールに絡みつき、力比べをしている中、マニトゥは問い、騎士は答えを濁した。
「では私も――例の物、お願いします」
 トリテレイアが剣を抜き、滑走するように具現化されたSyndromeへと迫る。
 ネイティブのヒーローは頷き、車へと走った。

 猟書家が外見から連想できないほどの力をバールのような鈍器を引っ張り、ヨーヨーを引きはがす。
 予想外の力に摩那も体勢を立て直すのが精一杯。
 だが間隙を縫い、彼女をカバーするように戦機は飛び込んだ。
 金属がぶつかり合う音がした。
 鈍器と大剣。
 双方とも重く、一振りでスイカのように人の頭を吹き飛ばす凶器がぶつかり合った。
 鍔迫り合いは拮抗。
 だが、戦術は――違う。
 互いに得物を弾くように膠着した流れを断ち切ると、トリテレイアは一歩後ろへ下がった。

 インファイトの攻防において、ただ下がるのは不利。そこから攻撃をするにはワンテンポの遅れが出る。
 だから、基本攻撃の手を休めず。
 もし、カウンターを狙うなら下がると同時に行動を起こさなければいけない。
 そう、ネイティブのヒーローがネットランチャーの引鉄を今、引いたように。
 バールを振りかぶったスナーク。
 その全身に網が絡みついた。

 MachineMachine Knights
 機  械  騎  士 

    の

 Battle Waltz
 戦 闘 舞 踏

 それは誘い。
 予測演算が導き出した、誘いの罠。
 そこへ猟書家は足を踏み入れ、待ち受けていたヒーローという名の狩人が網を投げた。
「病巣は切除するのが定石ですが……」
 怪物の耳に何かが聞こえた。
 直後、大盾の一撃が猟書家を吹き飛ばし、アスファルトの大地を二度、三度とバウンドさせていた。
「マ ニ ト ゥ ォォォォォ !」
「私は舞台装置だよ、スナーク」
 具現化したSyndromeが怨嗟の叫びをあげる。
「主役は猟兵だ」
 網を振り払い立ち上がったスナークのバールを何かが絡めとり、奪い去った。
 彼方の世界の能力者――摩那のヨーヨーだった。

「パーティとあれば、私も一芸披露しないといけませんね」
 念動力で引き寄せた鈍器を蹴り飛ばし、女は再びヨーヨーを飛ばす。
 ワイヤーが猟書家の手首に絡みついた直後、強い力がスナークの足を大地から引き剥がした。
「アンカー作動……力場」
 それは猟兵の遊具。
 それは猟兵の呪力。
 靴に取り付けられた宝石型のエンジンが摩那の足を大地へと根付かせ、怪物を容易く振り回す。

 La False
 獅子剛力

 それこそが力!
 それこそがユーベルコード!

「ところで、マニトゥ様」
 空高く舞い上がるSyndromeを見上げトリテレイアが問う。
「玄関近くを火の海にされた教会の方への弁解、どうなさる御積もりですか?」
「ああ、そうだな」
 そのまま大地へと落下していく猟書家を見て、マニトゥが答えた。
「ライブの後は誰かが片付けるだろう。例えばヒューイ・ハボックとか。あとは業者がやってくれる」
「……清掃も含め、私もお付き合いいたします」
 騎士の申し出の直後。
 二人の足元が揺れ、舗装が割れ、大地にクレーターが出来上がった。
「……?」
 男達が困惑した表情を浮かべるのを摩那は不思議そうに見ていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミハエラ・ジェシンスカ
症候群本体の攻撃を【受け流し】つつ
まずは怪物のスナークに
フォースレーダーの【索敵】【情報収集】を試みる
しかし目視のみならず
これでも捉えられないとなれば成程、厄介な相手だ

だが……
喜びの産声を挙げるが良い
今ここに私が断言してやる
スナークは確かに実在する、とな

【催眠術】による自己催眠
「疑念」を強固な「確信」へと変える
我が確信を、その先に在るスナークを
諸共に【一刀両断】してくれる

実在するかもわからない正体不明の怪物
それこそがスナークとやらの脅威の本質であったろうよ
だが一度でも確かな実体を得てしまえば
討伐されるのが怪物の末路というものだ

実在するならば「斬れる」
邪道と言えど剣士であれば当然の結論だろう?


ヴィクティム・ウィンターミュート
お出ましか、スナーク
おやおや…他のカスどもと違って本は持ってないのかい?
せっかく燃やしてバーベキューでもしようと思ったのにな
詫び代わりと言っちゃあなんだが、死んでくれ

オイオイいきなり有刺鉄線かい?手荒だねえ
んじゃあそれは、『ひっくり返す』としようかね
ダメージは治癒に変換され──俺を理解し、覚える力が反転するのなら
『俺のことが何も分からなくなる』ってところか
そう、何も理解できない
予測不能・理解不能・分析不能

マニトゥ!スモーク焚きまくれ!
煙の中を渡り、クロスボウを撃ちながら接近
ナイフを二刀流にして切り裂き、ショットガンを混ぜて攻める
避けられねえだろ?対処できねえだろ?
お前には、何も──分からせない



●チェックメイト

「お目覚めか、スナーク」
 クレーターから這い出てきた猟書家の前に立つのはヴィクティム・ウィンターミュート。
「おやおや……他のカスどもと違って本は持ってないのかい?」
 直後、ヴィクティムのブーツがスナークの顎を蹴り上げた。
「せっかく燃やしてバーベキューでもしようと思ったのにな。詫び代わりと言っちゃあなんだが、死んでくれ」
 宣告と共にネームレスが左腕を向けた時、クレーターに転がり落ちたSyndromeは耳障りな叫びを上げ、殺意と共に何かを伸ばす!

「オイオイいきなり有刺鉄線かい? 手荒だねえ」
 自らの両腕に絡みつく鋼鉄の茨に端役は笑う。
「ネームレス!」
「慌てんな」
 ネイティブのヒーローの叫びに対し世間話をするかのように、ヴィクティムは返した。
「まだ、俺の手番は終わっちゃいねえ――んじゃあそれは、『ひっくり返す』としようかね」
 呪符が舞う。
 既に攻撃を予知し、コードを走らせていたそれは。
 主の視線に従って破魔の氷を弾丸として撃ち込む。
 そして端役は――名を失った。

  The
 電霊幻想

 Reverse
《運命転換》

 反転のユーベルコード。
 傷をつける行為は癒しの御業へと変わり、ヴィクティム・ウィンターミュートを形成する要素は存在しないものへと変わる。

「マニトゥ! スモーク焚きまくれ!」
 金属の筒が転がり、煙幕が辺りを支配した。
 ユーベルコードも視覚も封じられた猟書家は最早、何も理解できない。
 音もなく飛んだクロスボウの矢が、スナークの腕を貫いた。

 ――予測不能

 気配無く煙を切り裂く二つのナイフが両肩に突き刺さる。

 ――理解不能

 煙の中、けたたましく火薬が弾け、全身を散弾が襲った。

 ――分析不能

「避けられねえだろ? 対処できねえだろ?」
 煙の中、踊るのはコヨーテかワタリガラスか。
 どちらにしてもトリックスターであり、物語を展開する者。
 だが、彼は役に吞まれることは無い。
 血の通わぬその腕に確かな『何か』を持っているのだから。

「お前には、何も──分からせない」

 具現化したSyndromeの首にワイヤーが絡み、その身体は無理矢理と引きずり倒される。
 頭に響くような衝撃と銃声が重なるのはほぼ同時だった。

「名乗らずの者よ。知っているのだろう……伝承は形になるという事を。それでも名を捨てるのなら――お前は向かうのだな、いずれ訪れる試練へと」
 ショットガンを撃った端役の姿を見て、マニトゥは呟く。
 煙が晴れる頃にはヴィクティムは姿を消し、舞台は次の戦いへと移る。

「死んだか?」
「精霊は言っている、まだ死んでいないと」
 ミハエラ・ジェシンスカの問いにネイティブの男は答えた。
「そうでなくては困る。私はブージャムでありたいからな」
「指貫も配慮もフォークも希望もない相手にか?」
 ミハエラの言葉にマニトゥが軽口を返すと、笑みを返し邪剣の騎士は歩く。
 もう一手、スナークの手札を封じるために。

 ボコボコと泡立つような音を立て、孔だらけの頭部が元のブロンドへと戻っていく。
 猟書家は肉体を再生し終えると自らに近づく戦機に気づき、鈍器を振り上げた。
 空気が震え、イオンを切り裂き、ミハエラのフォールンセイバーが赤黒い刃で赤錆の凶器を受け流す。
「……Snark is real?」
「No」
 会話が交わされた。
 直後、邪剣の騎士の左手が跳ね上がり、理力剣が一振りアスファルトに転がった。
 即座にミラーシェードの奥に潜む紅い瞳が光り、念動探査が見えない敵を探す。
「しかし目視のみならず……」
 右手に残ったセイバーを両手に持ち、珍しく正眼に構えながらミハエラは呟く。
「これでも捉えられないとなれば成程、厄介な相手だ」
 疑念が生み出す見えない怪物。
 科学によって確立された超能力という概念ですら、それを見ることは出来ない。
 いや確立された科学だからこそ、『それ』は存在を希薄とさせるのだ。
「だが……」
 さらなる一撃を振るわんとスナークは戦機の脚へと有刺鉄線を絡めた。
「……Snark is real?」
 今度は逃がさないとばかりに問いかける猟書家。
「――Yes」
 ミハエラは断言した。
 スナークは確かに実在する、と。

 喜びの産声を挙げ、怪物が生まれる。
 姿は見えないが、概念は確立され、空気が震え、熱が伝わる。

 ――斬!

 邪剣の騎士が一刀を振り上げ、虚空を断てば、音が二つ、アスファルトから聞えた。
 まるで獣が両断された様に。

 Simple Plan
 一 刀 両 断

 自己への催眠術によって怪物への疑念を確信へと昇華したところへ斬り込むユーベルコードの一刀。
「実在するかもわからない正体不明の怪物」
 ミハエラがアスファルトにある『何か』を蹴り飛ばす。
「それこそがスナークとやらの脅威の本質であったろうよ」
 重い音が鳴り、舗装を引きずる音が鼓膜を打った。
「だが一度でも確かな実体を得てしまえば、討伐されるのが怪物の末路というものだ」
 跳ね飛ばされ、転がっていたフォールンセイバーを拾い、スナークへ近づく戦機。
「実在するならば『斬れる』」
 猟書家の腹を突き刺し、袈裟に斬る。
「邪道と言えど剣士であれば当然の結論だろう?」
 倒れゆくSyndromeを見下ろして、邪剣の騎士は意地悪く嗤った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

荒谷・つかさ
いきなり随分と豪快に行ったわね。いい傾向だわ。
それはさて置き、援護をお願いしてもいいかしら?

私は大槌「流星」を担いで前衛を担当
マニトゥには連射力と衝撃力の強い射撃武器(重機関銃等)での援護射撃を依頼する
ダメージは入らずとも、衝撃による崩しは有効と見たわ
前で私が対峙している間に援護射撃で崩し、その隙に盛大に大槌を叩き込みにいく
しかし、外したらこっちは体勢を崩してるので敵コードのカモ
……と、見せかけて罠を張っておく
(【妖術・九十九髪】による不可視の網を周辺に展開、エサにかかったら一気に縛り上げる)
そのまま振り回して叩きつけ、トドメに改めて大槌を最上段から叩きこむ

脳筋だって、頭も使うのよ?



●イエーガー プロテクト ヒズ ワールド

 スナークはなおも立つ。

 それは世界が作った病。
 使命の為に生まれ育った部族を裏切り。
 人々のために奪われた土地を守る。
 そんな強化人間たる男の後ろめたさ、後悔、疑念。
 そこへ猟書家がペンを走らせた存在。
 それがスナーク症候群。

 病魔は広くいきわたらねばならない。
 英雄を、人々を、苦しめるため。

 だが、気づいていなかった。
 スナークを名乗れば、ハントされるという事を。
 その証拠とばかりに十字に開いたゴム弾が具現化されたSyndromeを襲った。

「随分と豪快に行ったわね。いい傾向だわ」
「精霊は言っている。人間以外は容赦しなくていいと」
 荒谷・つかさの言葉に、グレネードランチャーから空薬莢を抜きつつ、マニトゥは答える。
「それはさて置き、援護をお願いしてもいいかしら?」
「心得た、どれくらいのものにする?」
 つかさの言葉にネイティブのヒーローは車のトランクを開ける。
「そうね、50口径。軽いでしょ?」
「いや重いぞ、それは」
 軽く問いかける羅刹の言葉に、マニトゥは軽々とマシンガンを担いだ。

 田舎町の教会からは讃美歌が流れている。
 それとはまったく合わない火薬の炸裂音が空気を震わせ、12.7mm弾がスナークの動きを止める。
「ロシア経由で手に入れた銃だ。弾の余裕はない」
「充分よ、いい仕事じゃない」
 重機関銃片手に制圧射撃を行うヒーローに答えを返し、猟兵は大槌片手に迫っていく。
 右へ、左へとフットワークを効かせ、猟書家の視界を振り回すつかさ。
 確実な一撃を狙う為でもあるが、もう一つ――作戦を『仕込む』ためである。
 間合いを詰め、力強い踏み込みと共に体格に似合わない長柄のハンマーが流星の如く振るわれる。
 だが、その一撃はむなしく空を切った。
 耳障りな歓喜の叫びが響き渡る。
 勝利を確信した具現化されたSyndromeが厄災を振るわんとバールのようなものを体勢を崩した羅刹の頭へと叩き込もうとした――が。
「精霊は言っている、こちらも見えないものをもっていると。で、良いかなラクサーシャー?」

 Spirit of Hair
 妖術・九十九髪

「なに? その言葉。名前?」
 マニトゥの言葉に『仕込み』――自らの髪の毛を使った不可視のユーベルコードによって猟書家を捕らえたつかさが問いかける。
「インドの言葉で羅刹を意味するそうだ。不思議の国から帰ってきた先達に倣って考えてみた」
「なるほど……考えておくわ」
 羅刹の女はそう答えて、スナーク症候群たる存在へ向き直る。
「脳筋だって、頭も使うのよ?」
 終わりはあっけなかった。
 大上段から叩き込まれた一撃は猟書家の姿を消し、アスファルトに人の大きさの穴を空け、その存在すら砕いたのだから。

 オルガンの音色が礼拝の終わりを伝える。
 外に出た人々が戦いが行われたことを、自らの無事に驚き。そして歓声を上げ始めた。
「帰っちゃうわけ?」
 人々が騒ぐ中、ボロボロのオープンカーに乗り込んだネイティブの男につかさが問いかける。
「マニトゥはヒーローだ。戦いが終わった場所にはふさわしくない。それに正体がヒューイ・ハボックだと知られると、色々と厄介だ……片づけを申し出たウォーマシンには後から手伝いに行くと伝えてくれ」 
 そう言ってアクセルを踏むと、マニトゥは車を走らせて、先に場を後にした。
「もし……」
 代わりに話しかけるのは教会にて牧師を務める一人の女性。

 私達を守ってくださったのでしょう?
 感謝いたします。
 私の名はマリア・ベル。
 あの教会で牧師を務めております。
 貴方たち猟兵とマニトゥを名乗るヒーローのおかげで今日も祈りをささげることが出来ました。
 本当にありがとうございます。
 ああ、それとマニトゥに伝えておいてください。

「今日は礼拝の日だから、忘れずに顔を出す様にと」
 その言葉につかさは思わず吹き出してしまった。
 マリア・ベルも同じように笑っていた。

 猟兵とヒーローが守った小さなアメリカ。

 Jaeger&Manitou protects his world
 猟兵とヒーローが守ったその世界は

 病める時無く、健やかに一日を終えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月07日


挿絵イラスト