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銀河帝国攻略戦⑤~雫は集まり一つの流れへと~

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 戦火交わる星の海。
 その地へと向け、一隻の宇宙船が光の尾を残し、宙を駆ける。
 一刻でも早く、少しでも力に。
 その思いが伝わるかのような速度。
 しかし、それも唐突な減速を余儀なくされる。
 その宇宙船の目前へと、突如として姿を現した黒の戦艦。
 その威容は、威圧感は、これより先に進ませはしないと、言葉なく、しかし有言な雰囲気を物語っていた。
 互いに譲れぬものがある。
 ならば、どうなるかなど決まっているのだ。
 二つの船は砲を動かし、そして、光の花が宇宙を彩り始める。

「はぁ~い。皆さん、ようこそおいでくださいましたぁ」
 迎え入れた猟兵達への挨拶もそこそこに、ハーバニー・キーテセラ(時渡りの兎・f00548)は本題を切り出していく。
 先日のヘロドトスの戦いの顛末は猟兵達ならば知るところであろう。
 その結果により、遺失技術となっていた『ワープドライブ』の技術は復活を果たした。
 それはスペースシップワールドに伝わる『伝説の解放軍』。その再来を示すもの。
 その情報は猟兵達やミディアの呼びかけにより、瞬く間に広がっていく。
 それを受け、我も続けと奮起する船。戦況を確認するまではと様子を見る船。反応は様々だ。
「それでも、解放軍へと戦力が集まってきているのは事実ぅ。ですがぁ、銀河帝国もそれを座して見てはいません~」
 数としては解放軍へと合流しようとしている船の方が多いだろう。
 しかし、ハーバニーの言葉の通り、銀河帝国はそれを看過はしてはいない。
 合流への動きを見せている船に対して、刺客――戦艦を差し向けているのだ。
「今回の依頼はぁ、その戦艦を撃破しぃ、解放軍へ合流しようとしている船を援護して欲しいんですよぉ」
 やるべきことは単純。
 ハーバニーの案内により、猟兵達は銀河帝国戦艦の内部へと転移できる。
 そこから敵戦艦の戦力を打破し、味方となる宇宙船の進路を拓くのだ。
「内部に存在する敵は既に予知済みですよぉ。頭部を失った戦闘機兵。その群れですねぇ」
 既に機能を失している筈の機兵達が群れる姿は、まさしく過去の残骸そのものと言えるだろう。
 それを止めるのもまた、猟兵の本懐でもある。
「この一戦だけで大勢に影響を及ぼすものではないでしょ~。ですがぁ、確実に積み重なるその活躍は意味を成す筈ですぅ」
 ――どうか、皆さんの旅路が、更なる未来を繋ぎ、紡げますように。
 そう言って、ハーバニーは猟兵達を送り出すのであった。


ゆうそう
 オープニングへ目を通して頂き、ありがとうございます。
 ゆうそうと申します。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
 また、その中でも当シナリオは⑤帝国戦艦迎撃指令に関連したシナリオとなります。
 戦争の地へと集う宇宙船を一隻でも多く守り抜きましょう。
 皆様のプレイング、心よりお待ちしております。
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第1章 集団戦 『クローンライダー』

POW   :    スペーススタンピード
単純で重い【宇宙バイクによる超加速突撃】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    インペリアルライド
自身が装備する【帝国製宇宙バイク】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強する。
WIZ   :    サイキックバリアモード
対象の攻撃を軽減する【サイキックバリアモード】に変身しつつ、【宇宙バイク搭載の機銃】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アスティリア・モノノフィシー
SPD
解放軍の方を守り援軍を増やす、大事ですね。
その意思のお手伝い、微力ながら参加させていただきます。

銀河帝国戦艦の内部は戦闘に支障のない範囲内でチェックしておきます。
今後の戦艦内での戦闘の際に役に立てることができたら…数多いですしね。

退路の確保がグリモア猟兵のハーバニーさんにおまかせしてよければ戦艦内を破壊するくらいユーベルコード乱射しても問題ないですよね?
移動速度が増強しているかもしれませんが、私、視力とスナイパーには自信あるんです。

「悪いですが、ゆっくりと時間をかけてお相手できません」
私、どんどん次の部隊へ乗り込むつもりですから。


フィーナ・ステラガーデン
えっとようするにこの船の中の敵を全部焼けばいいのよね?
がんがん暴れるわよ!!
まずは戦艦内部の探索からね!我が物顔でずんずん進むわよ!

ってあんた達頭どこやったのよ!?
ダークセイヴァーで見たような光景ねこれ!
まあいいわ!容赦はしないわよ!UCを使って
熱線にて相手の機銃や乗り物を順番に焼ききっていくわ!
それで動けなくなって、まだ抵抗するなら仕方ないわね!
「属性攻撃」または数が多ければ「範囲攻撃」で消し炭にしてやるわ!

(アレンジ、アドリブ、連携大歓迎)



 砲火を交わし合う宇宙船と戦艦。
 船内では相互いに撃ちあう砲撃の衝撃に大きく揺れている。
 だが、銀河帝国の戦艦の中では、衝撃音や爆裂音は響けども、人同士――オブリビオン同士とでも言うべきか――の交し合う言葉はない。
 それもその筈、そこに存在するのは首なき機兵。
 元はクローン兵であったのだろう。だが、その身体からは――失った頭部からは――機械が露出し、それがそうではなくなっていることを伝えてくる。
 そして、それらは砲撃戦の中へ、援護のために格納庫から飛び立たんと乗騎のエンジンを吹かす。
 だが。
「解放軍の方を守り援軍を増やす、大事ですね」
 その場に一番槍と現れたのはアスティリア・モノノフィシー(清光素色の狙撃手・f00280)。
 常の柔和な眼差しも、今は力強く。
 その手に握られたSKP――Silver Reckless Princess――も、それへ応えるかのように銀色の銃身を鈍く光らせている。
「そのためにも、この船の中の敵を全部焼けばいいのよね?」
 次いで、フィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)が夜色の外套を翻し、姿を見せる。
 さて、ここはどこだ。と、赤の瞳でぐるり見渡せば、その視界には首なし機兵の群れ。
「探すまでもなく、出迎えてくれるとは殊勝なことね! ……って、あんた達、頭どこやったのよ!?」
 1つ1つの動作が大きく、フィーナの表情はころりころりと変わっていく。
 その姿には、思わずアスティリアも力みが抜けて、くすり。
 猟兵達に課せられた責務は重くとも、肩の力が強張っていれば十全な力は出しえない。
「どうやら機械化されているようですね」
「ダークセイヴァーで見たような光景ね、これ」
 程よい緊張感、程よいリラックス。戦意は旺盛にして申し分なし。
 戦艦を沈黙させた後の退路については、既に確保されている。
 ならば、――
「まあいいわ! なんであれ、容赦はしないわよ!」
「その通りです。悪いですが、ゆっくりと時間をかけてお相手できませんから」
 ――遠慮など無用!

 首なし機兵がバイクを発進させ、動き出す。
 その標的は宇宙船ではなく、まずは格納庫に存在する猟兵達だ。
 眼前にバリアを展開しつつ迫る機影は短い距離でもその速度を十二分に発揮し、機銃の乱射と突撃を敢行する。
 人機一体。いや、機械化しているのだから、最初からそうであると言えるのか。
 普通の人であるならば振り落とされるような機動であっても、首なし機兵達は平然とこなし来る。
 だが、その相手もまた、只人ではないのだ。
「焔よ。その変幻自在な姿を一閃の光に変え――」
 身体の各所に施した魔法陣が仄かに光を放つ。
 零れる魔力は朱く、紅く、火の粉のようにフィーナの傍を舞い踊る。
 身体を伝わる魔力は、指揮棒の如く手にした杖へと流れ、そして。
「――有象むじょむべ――」
 噛んだ。間違いなく、噛んだ。
 え、ここで? と、思わず向けられたアスティリアの視線が痛い。
「噛んでないわ」
 動じていない風を装いつつも、その頬は焔の彩りとはまた違う赤さ。
「噛んでないわよぉぉおお!!!」
 響くフィーナの叫び。薙ぎ払うように振られた杖。
 だが、込められた魔力はフィーナの心情を置いて、しかし、確かにその役割を発揮する。
 フィーナの杖から生じた熱線は、振るう杖の動きに合わせて空間へと線を引く。
 それは面を守る首なし機兵達のバリアを、点で穿ち、抉りぬいていった。
 フィーナの詠唱アクシデントに思わず、気も逸れかけていたアスティリアであったが、その機会を逃す程には甘くはない。
 撃ち抜かれ、倒れる機兵も居た。だが、バリアを部分的に破損させただけで、未だに迫りくる者も健在だ。
 だが、SKPを担う射手たるアスティリアには、それだけで十分すぎた。
「先にも言いましたが、あなた達相手にゆっくりとはできません」
 ――私、どんどん次の部隊へ乗り込むつもりですから。
 身体を伝わる魔力の熱さ。
 それは身体の芯より生じ、腕を通り、手を抜け、愛銃たるSKPの銃口へと流れ込む。
 如何に早く動こうとも、アスティリアの視界を切るには不十分。
「赤き弾丸をお見舞いします!」
 カチリ、引き金の音が鳴る。
 銃口より飛び出すは無数の焔。
 手には、『妹』が正しく応えてくれたことを伝える、甘く痺れるような反動。
 放たれたそれはフィーナの熱線とはまた異なる線を宙に描き、アスティリアが脳裏に描いた弾道通りに敵を穿ちぬく。
 まるで海が割れたかのよう。
 迫り来ていた筈のバイクは乗り手を失い、機能を失い、その勢いのまま、フィーナとアスティリアの横を通り抜けていくのであった。
 戦端が開かれたことを示す鏑矢としては申し分ない戦果が、そこにはあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

須磨・潮
20年ぶりの宇宙。体力が持つでしょうか…。
少しお手伝いしますね。

「あなたも、騎乗して戦うんですね。」
戦闘には宇宙バイク(黄色の原付)に[騎乗]。
[空中戦]で挑みませて頂きます。

「あなた達がいるから、宇宙人の評判が悪くなるんです。」
敵に向かってフック付きワイヤーを放ち、拘束。

「あなたに恨みはありません。ただ何処にあるか分からない、私の故郷も守りたいのです。」
拘束した状態からUCを使用。
宇宙バイクを、白い楕円のプレート状に変形させて乗ります。
そのまま発進させて、拘束したワイヤーで敵を引っ張り、他の敵兵にぶつけます。

星々に平凡でつまらない、穏やかな平和を。
私の原動はそれ一つです。

(アドリブ連携歓迎)


霧島・クロト
(※口調は時々語尾の小文字がカタカナになる感じです)

へぇ、宙間戦ねェ。コイツが宇宙でも乗れるか試したかったってトコだ。
……遠慮なくやらせて貰うぜェ!!

【氷戒装法『貪狼の狩人』】で強化した状態で『貪狼の疾走』に騎乗。
隙を見せないように【高速詠唱】で瞬時に強化すんぜ。
【空中戦】と【騎乗】の技術も駆使で移動速度だけじゃ勝てねェ事をみっちり教えてやる。
氷の波動には【属性攻撃】【2回攻撃】【マヒ攻撃】【鎧砕き】とマシマシに乗っけて宇宙空間でその生身を一方的に晒して貰うぜェ。……死ぬ程冷たいけどなァ!!

もしバイクも破壊できそうなら【メカニック】の知識使って弱所に抉りこむぜェ。

※アドリブ、連携可


ガイ・レックウ
【POW】で判定
連携可能
『3番槍か…ちと遅れたかな!?』
宇宙バイク【スターチェイサー】を【騎乗】スキルで操り、格納庫に突入。
【クイックドロウ】の技能で引き抜いた自身の突撃銃型アサルトウェポン【AW01-2カスタム】による【範囲攻撃】スキルを使った制圧射撃を叩き込むぜ。
相手の攻撃を【見切り】で避け、【オーラ防御】で受けたりしつつ、距離を詰めて【怪力】による【なぎ払い】の後、ユーベルコード【紅蓮開放『ヴリトラ』】を発動!紅蓮の炎で焼き尽くすぜ!!



 猟兵の齎した熱が格納庫を炙る。
 その数は減らしたものの、響くエンジンの音は未だ数多。
 それに混じって、新たなエンジン音が響き、加わる。
 敵の援軍か? いや、それは、――
「3番槍か……ちと遅れたかな!?」
「さぁ、不要な過去は凍結してポイだァ。遠慮なくやらせて貰うぜェ!!」
「あなた達がいるから、宇宙人の評判が悪くなるんです」
 ――新たなる猟兵達の登場を示すものだ!
 ガイ・レックウ(流浪の剣士・f01997)が駆るはスターチェイサー。
 それに負けじと貪狼の疾走を駆るは、霧島・クロト(機巧魔術の凍滅機人・f02330)。
 そして、紅一点たる須磨・潮(マウス・f13530)がやや遅れて宇宙バイク――黄色の原付――に乗り、姿を現した。
 奇しくも揃った3人のライダー。
 互いに奇妙な縁を感じつつも、だが、誰にも負けぬと心は、それぞれの愛機のエンジンは吠え猛る!
 視線を交わし合うのも数瞬。
 それぞれが互いの幸運と戦果を祈りつつ、三者三様に戦場へと走り出した!

 先駆けと走るはガイ。
 片腕で巧みに愛機を駆り、残る腕で引き抜いたは突撃銃型アサルトウェポン――AW01-2カスタム。
 高鳴るエンジン音に混じり、断続的な銃撃音が響き渡る。
 空間を薙ぎ払うように撒き散らされた弾丸。
 それは首なし機兵の足を止め、動きを殺していく。
 だが、機械化された相手に感情はなく、動きは止められつつも冷静に、冷酷に機銃での反撃は行われる。
「おっと、そう易々と当たるものかよ!」
 躱すのではなく、加速。
 機銃の動きを置き去りにする程の速度は、残像を後へと残し、ガイを更に前へ前へと突き進ませる!
 加速に伴う空気の層がガイを押しつぶさんとする。
 しかし、それを頑健なる身体とその身より溢れるオーラにより耐え、流し、その身は更なる次元の速度へ!
 景色が置き去りにされ、後ろへと流れる。
 だが、その中においても、ガイは正しく敵の姿を認識していた。
 腰に佩いた妖刀が、呪詛が、その身を解放しろとカタカタと鳴り響く。
 それは本当に妖刀が鳴っていたのか、はたまた、流れる空気により揺れただけだったのか。
「いいぜ、応えてやるよ」
 AW01-2カスタムを基の位置に戻し、代わって手にしたは朱染めの鞘と柄。
「我が刀に封じられし、炎よ!! 紅蓮の竜となりて、すべてを焼き尽くせ!!」
 引き抜かれたヴァジュラの刃。獄炎がガイを、スターチェイサーを覆い、一塊の炎となす。
 そして、焔が奔った。
 紅い、紅い、1個の焔の弾丸となったガイが敵中を駆け抜ける。
 その焔の軌跡を追うように、紅蓮の竜がその熱でもって敵を呑み込み、舐め尽くす!
 ガイが動きを止めた時、その通り道には敵の姿はなく、ただ残り火が燃えるのみであった。

 視点代わって、焔の熱とは正反対の冷気が吹き抜ける。
「我が身に北天に座す『貪狼』の加護を」
 貪狼の疾走に氷の魔力が追随する。
 これこそ、クロトの得意とする氷魔術が一端。
 氷の波動を撒き散らし、走る姿は氷の魔狼か。
 その凍てつく冷気は、首なし機兵達のバイクを凍り付かせ、心臓足るエンジンの息の根を止めていく。
「移動速度だけじゃ勝てねェ事をみっちりと教えてやるよォ!」
 正しく滑るように愛機を走らせるクロト。
 動かぬエンジンを無理矢理に起動させ、追随することが出来た敵も居るには居たが、その速度は比べるべくもない。
 そして、クロトの縦横無尽とも言える操縦技術に、ただただ翻弄されるしかない。
 その内、1機2機と冷気に耐えかね、動けないバイクの仲間入り。
 クロトが走れば走る程に、吐き出される冷気は渦を巻き、限定的ながら氷の世界を生み出していく。
「どうしたどうしたァ! そんなもんかよ!」
 氷の世界の向こうで焔が弾けるのが見えた。
 ――ならば、こちらはブリザードといこうじゃねェか。
 貪狼はクロトの意を汲み、エンジン音をより高鳴らせ始める。
 それに伴い、加速するクロトの身体。
 地を、宙を、無人の荒野とでも言わんばかりに駆ける姿は孤狼の如く。
 狙う敵の攻撃も、虚しく宙を切るばかり。
 そして、加速が上限を超えた時、エンジンの音が変わった。
 重く低い安定した音から、まるで狼の遠吠えのような甲高い音へと!
「さァ、覚悟はいいか? 死ぬほど冷たいぜェ!!」
 白く渦巻く冷気の結界。
 外から見れば、まさしくそうであっただろう。
 そして、その結界から飛び出る狼が一機。
 程なくして散った白い結界の後には、氷像が立ち並ぶのみ。
 それすらも、クロトにより丁寧に打ち砕かれていくのであった。

 焔と氷が渦巻く最中。しかし、そこであっても潮は己がペースを保つ。
「20年ぶりの宇宙。体力が持つでしょうか」
 それは年長者が故のペース配分。
 他二人に比べれば、如何ほどか遅い動き。
 しかし、その動きには年長者の巧みが宿っている。
 機銃の雨の中、巧みにそれを掻い潜り、速度を持って近づく敵にはフック付きワイヤーの罠をプレゼント。
 躱し、絡めとり、引き倒し。
 20年の年月を経ようとも、その身体に宿った宇宙生活での適応はなくなっていなかったのだ。
 その戦う姿に派手さというものはない。
 だが、それでいい。
「星々に平凡でつまらない、穏やかな平和を」
 ――私の原動はそれ一つです。
 心に残る故郷はこの宇宙のどこかに。
 今、この戦いが直接的に故郷を守ることでなかったとしても、結果として、脅威がされば間接的にだって故郷を守ったことになる。
 その想いを胸に秘め、潮は宇宙バイクを駆り、戦うのだ。
 潮の後ろにピタリと首なし機兵が付く。
 鈍く輝く機銃に弾が装填される音が聞こえた気がした。
 そして、――
「久々ですが、やるしかありませんか」
 宇宙バイクが白い楕円のプレートへと変化し、まるで波に乗ったサーフィンのように、その身を宙へ。
 バックフリップ。姿勢制御でくるりと反転。
 ――機銃は潮を捕らえることなく、格納庫の床を穿つ。
「あなたに恨みはありません。ですが、私も故郷を守りたいのです」
 先ほどまで、敵を絡め、引き倒していたフック付きワイヤーが蛇のように首なし機兵の1人へと絡みつく。
 今度は、ただ引き倒すだけにはとどまらない。
 プレート状に形を変えようとも、バイクはバイク。
 エンジンが点火し、拘束した敵もそのままに敵中へと突撃を敢行する!
 激突。
 金属同士のひしゃげる音が辺りに響いた。
「私に出来ることはまだ少ない。でも、少しぐらいお手伝いは出来るんです」
 齎した結果を一瞥し、潮は再びに動き出すのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

コエル・フーチ
戦争なんだ、華々しく主力と戦う部隊もあれば
地味な働きで決して目立たない部隊もある
だが、地味な働きこそ勝敗を大きく左右するもんだ

さて今回もしっかりと仕事をこなそうか
味方が増えれば後々多少は楽になるだろうからな

【高速詠唱】で『熱線の雨』を装填したダブルバレルのショットスピリッツを構え
2つのトリガーを引き【2回攻撃】で『熱線の雨』の熱【属性攻撃】を放ち
105本×2発の熱線の【範囲攻撃】で敵を【なぎ払い】撃ち壊す。

頭が無い機兵か……動く体があれば戦力にはなるんだろうが
どうにも、哀れに感じてならないな


シェイド・レーム
けっ、俺様が求める闇の魔力とは程遠い機械ヤローどもが相手か…猟兵ってのも大変なもんだな。まぁいい、俺様の死霊術も慣らしておきたいからな。俺様があの銃器でブチ抜かれるのはごめんだ、死霊騎士どもに猛攻をかけさせ、俺様に構っている余裕をなくしてやる!

・デスナイトの召喚を使用する
クク…死霊騎士よ!あのクズ鉄どもをぶった斬れ!!
バリアで軽減しようが、疲れを知らないアンデッドの攻撃を防ぎきれるものか!ヒャーッハッハッハ!!撃たれようがこいつらはひるみもしねぇのよ!

・呪詛1を使用する
サイキックねぇ、俺様の呪詛で中和できんもんかね…?
原理は似たようなモンだろ、悪影響を与えることができたら楽よなぁ



 鋼の匂い、ガスの匂い、油の匂い。
 猟兵達が現れるまで、そこに人としての匂いというものはほとんどなかった。
 そして、猟兵達が現れた今でも、その匂いは圧倒的だ。
「けっ、俺様が求める闇の魔力とは程遠い、機械ヤローどもが相手か……」
 愚痴る様に零すのはシェイド・レーム(人間の死霊術士・f13612)。
 その身が御すは死霊術。命の存在こそが密接に関わる術。
 それ故か、機械ばかりが支配するこの地では辟易もしようというのだろう。
 だが、それはそれだ。弘法は筆を選ばない。
 命の匂い少なき場所であったとしても、骸の海より使役するモノを呼び出していく。
「死霊騎士どもよ!」
 シェイドのネクロオーブが妖しく輝き、いつの間にか、傍には黒い影とも靄ともつかぬモノ。
 解析の光すら届かぬ闇。
 だが、それを為しているのは傍にあるジェイドである。ということだけが首なし機兵には理解出来た。
 故に、狙うべきはジェイド。
 機銃を向け、それを撃つ――

「頭が無い機兵か……動く体があれば戦力になるんだろうが、どうにも、哀れに感じてならないな」
 物陰に潜んだ妖精、コエル・フーチ(指先の熱・f08889)がぽつりと心情を零す。
 常ならば静かな眼差しに、今は僅かな憐憫の情が湛えられている。
 しかし、脳裏に過る思考とは裏腹、指先に叩き込まれた技術は確実に仕事をなす。
 そして、指令を下された愛銃もまた、それに応えるのみ。
「だが、仕事は仕事だ。今回もしっかりこなそうか」

 ――直前、飛来した弾丸に胸を撃たれ、勢いにもんどりを打って地へと伏す。
 シェイドにとっては突然の援護射撃。
 だが、それにより生じた時間はシェイドの業をこの世へと齎すには十分。
 援護射撃の主の正体は見えない。だが、使えるものはなんであれ使うべきだ。
 即座にそう判断したシェイドは己の業を解き放つ!
 ズシリと重い足音を響かせ、闇より姿を現したのは2体の騎士。
 幽鬼のように青い顔は、それがこの世ならざる者と伝え来るよう。
 だが、そこにある威圧感は確かに本物。
「あのクズ鉄どもをぶった斬れ!」
 攻めの号令が下され、2体の騎士は忠実にその責務を果たすべく動き出す!
 そして、刃とバリアがせめぎ合い、火花を散らした。
 アンデットと機兵。エネルギーの続く限り、互いに疲れを知らぬ者同士の戦いが切って落とされた。

 華々しい戦の火が散る闘争の場。
 しかし、その中において、静かに機会を窺う者も居る。
 フェアリー故のコエルの矮躯。
 そのために、少し物陰に入れば、自ら攻撃に転じるまでは目立たず、狙われることもない。
「地味な働きこそ勝敗を大きく左右するもんだ」
 火花を散らす2体の騎士を援護するように、再び、コエルの愛銃が火を放つ。
 天秤はどちらにも傾いていない。
 ならば、自身の方へ傾かせればいいだけなのだ。
 有言実行。
 決して華々しい訳ではない援護射撃。
 だが、それは正面に展開されたバリアを迂回し、機兵の身体を撃ち抜いていく。
 衝撃に崩れる身体にバリアの維持は困難。
 そこに騎士達がなだれ込み、切り崩していった。

 機械である敵軍に動揺はない。
 だが、前方にのみバリアを張るでは脅威に対応しきれないと判断した者達から順に、全方位にバリアを展開していこうと――
「サイキックだが知らねえが、原理は似たようなモンだろ」
 ――するが、それは何かに阻まれる。
 それはシェイドの放った呪詛。
 精神に作用する悪意。
 それはバリアを維持する装置――言い換えるなら、唯一、精神的な部分を残すモノ――へと作用し、バリア機能にバグを生じさせたのだ。
「今だ! 一気にやっちまえ! 影で撃ってるテメエも、狙い時だぜ!?」
「言われるまでもないさ」
 案外に近くで響いたコエルの返答。
 そして、騎士達が敵を切り崩していく中で、それは生じた。
 響き渡る2発の銃声。
 それを産声として生まれた2つの輝きは、天へと陽の如くに昇る。
「――熱線発射」
 コエルの声が小さく、しかし、確実に響き渡る。
 その命に従うように、2つの陽は弾け、無数の熱戦となって天より地へ向かい、雨の如くに降り注ぐではないか!
 雨が降る中、傘を差さずに歩いて濡れないものはいない。
 その傘たるバリアは今は張れず、どうなってしまうかは火を見るよりも明らか。
 雨が降りやむ。
 シェイドとコエルの眼前には、正しく骸へと還った残骸が転がるのみとなってるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

オリヴィア・ローゼンタール
戦争……なるほど、こういうものですか
まずはこの艦を落とし、緒戦を飾りましょう

場所は敵艦の内部……ならば、周囲への被害を考えずに最大火力を解き放てますね
仲間の方へ誤射しないよう、少し離れた位置へ転移させていただいてよろしいでしょうか?
【属性攻撃】【全力魔法】で最大限強化した【紅炎灼滅砲】を両掌から撃ちます
【鎧砕き】【破壊工作】で敵兵も艦の壁も、一切合財容赦なく、全方位を融かし焼き切り打ち砕く
自身は【オーラ防御】【火炎耐性】で余波の影響を受けないように
敵が機銃突撃をしてきても、圧倒的熱量で真っ向から打ち落とす
その程度の豆鉄砲で私の火砲とやり合うつもりですか?


御狐・稲見之守
やれやれ、星の海原を行く船の世界にあろうとも、やはり人と人との殴り合いか。ま、戦とはそうでなくてはな。

――からくり仕掛けとはいえ空飛ぶ騎馬兵か。UC巫覡載霊の舞、神霊体――仮初の真の姿となって相手しようぞ。薙刀を「なぎ払い」、騎上のクローン兵を切り伏せてみせよう。しかし首のない騎馬兵とは、これでは首級が計れぬではないか。

戦、戦ぞ。切った張ったの大舞台、命と命の獲り合いである。からくり仕掛けの木偶に用はない、疾く瓦落多にしてくれようぞ!



 敵の戦力が集まる格納庫での戦いが繰り広げられる一方、戦艦自体を切り崩すべく動く者もあった。
「まずはこの艦を落とし、初戦を飾りましょう」
 格納庫での戦いは混戦を極めるが故、誤射の危険性を孕む。
 それを案じたオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)はその身を通路へと躍らせる。
 しかし、通路と言えど巨大な戦艦。
 その広さは戦うには十二分であり、オリヴィアも首なし機兵もその動きを妨げられることはない。
 そもそもとして、オリヴィアには味方以外に対する周囲への被害を考えるつもりなどなかったため、多少狭くとも問題はなかったと言えるが。
 それ故に、――
「猛き炎よ、我が掌中に集い、万象を灰燼と化す破壊の奔流となれ――!」
 ――遠慮など最初から皆無。
 両の掌から零れる、否、奔流となって全てを融かし、流し尽くす一撃は、戦艦のブロックを分ける壁ごと幾枚か蒸発させる。
 残念がら、首なし機兵達は機首を返し、寸前のところで躱したため、撃墜スコアを稼ぐには至らなかったのは残念なところ。
「これで、見通しもより良くなったことでしょう」
 だが、それはそれで良い。とばかりに、オリヴィアは自身の齎した結果を冷静に見るのだ。
 巨大な二撃を穿った後の余韻。
 それを隙と言うならば、確かに隙なのだろう。
 そこへ流れ込むように首なし機兵達は殺到を始める。
 ――自身達ならば代替も効こうが、戦艦を失うには不味い。

「おぉ、おぉ、なんとも豪快な一撃であることよ。だが、星の海原を行く船の世界にあろうとも、やはり人と人との殴り合いか」
 だが、隙などありはしなかったのだ。
 薙刀の刃が機兵の身体を通り抜ける。
 遅れて、衣擦れの音。
 その動きは雅にして、まるで演舞の如く。
「――ま、戦とはそうでなくてはな」
 御狐・稲見之守(お稲見さん・f00307)がその姿を常の童女姿より、横顔も麗しく、憂いを秘めたる妙齢の姿へと変じさせ、現れたのだ。
 そして、振るった薙刀の動きを締めくくるように、石突を床に軽く叩きつけた。
 その音に反応したかのように、通り過ぎ、動きを止めていた筈の機兵の身体が、ズルリ。と、ずれる。
 鋭すぎる一閃が故に、斬られた当人達も分からぬままの胴体泣き別れであった。
「しかし、首のない騎馬兵とは。これでは首級が計れぬではないか」
 まるで言葉遊び。
 しかし、その内容とは裏腹に、稲見之守は己の戦果を振り返り、確認しもしない。
「戦、戦ぞ。切った張ったの大舞台、命と命の獲り合いである――」
 朗々と吟じるかのような張り声。
 決して威圧的ではないそれではあるが、まるで芯を痺れさせるかのように聞く者の内を打つ。
「――からくり仕掛けの木偶には用はない、疾く瓦落多にしてくれようぞ!」
 それは宣誓でもあり、神託のようでもあり。
 そして、稲見之守は戦艦の床を蹴り、敵を追い立てるようにその身を駆るのだ。

「どうした。我らすらも抜けぬようでは、猟兵を倒そうなどと夢幻の戯言よ!」
「数ばかりが頼みの豆鉄砲。そんなもので私達を倒せるとは思わないでもらいましょう」
 稲見之守の刃が宙をなぞれば、1つ2つと機兵の数は立ち消えて。
 オリヴィアが紅蓮の炎を穿てば、戦艦の内部は炎に荒れる。
「だが、木偶とは言え、数が多ければ些か辟易とするものよ」
 幾体目かの機兵を斬り崩し、その端正な顔を顰めるのは稲見之守。
 疲れとは未だ無縁ではあるが、斬っても斬っても成果を感じられないというのは、不満も溜まろうというもの。
「ならば纏めて、といきましょうか」
 応えるオリヴィアは己の紅蓮があればそれも可能だ、と語る。
 しかし、大振りなそれは未だ、機兵を多く捕らえたことはない。
 幾つか倒れ伏した者を巻き込んだり、動きを阻害された者を巻き込んだりだ。
 ――動きの阻害?
 稲見之守にひらめくものが生まれる。
「なるほど。よかろう、それはそなたに任せる。道は、我が作ってやろう」

「そら、そら、そら! 逃げねば胴は泣き別れよ!」
 稲見之守の振り回す刃は縦横無尽。
 しかし、それは敢えて機兵達を討ち取りはしていない。
 空を切り、天井に、壁にとぶつかり弾ける衝撃波。
 機兵達は態勢を整えるため、と一度、奥に集い、誰が討ち取られようとも誰かが到達出来ればよいと密集の陣形を生み出していく。
「そら、来るぞ。後はお前の役目だ」
「ええ、お任せを」
 残った手勢が集まり、オリヴィアと稲見之守を目掛け、高速で突撃を図る!
 その動きは地上に、宙にと様々で、密集しているとは言っても、一度に纏めて薙ぎ払えるようには思えない。
 しかし、――
「ほれ、かかった。からくり仕掛とは言え、木偶は木偶か」
 コンと軽く、薙刀の石突が床を叩く。
 その返答に重い、重い音が返ってくる。
 ――天井が、壁が崩落する。
 それは宙を行く者を巻き込み、地を進む者の脚を止め、進路を限定していくではないか!
「これで、お終いです!」
 オリヴィアの両の掌から零れる紅蓮が双つ。
 狙う場所が決まっていれば、敵の通る場所が分かっていれば、その効果はより絶大に!
 瓦礫が溶けた。
 機兵が溶けた。
 そして、伸びる紅蓮の閃光が、ついに戦艦の腹に穴を開ける!

 そこから先は、敢えて語らずとも良いだろう。
 どの海においても、腹に大穴の開いた船がどうなるかなど、分かり切っていることなのだ。
 ただ、戦艦と相対していた宇宙船が、銀河帝国との戦場に姿を現した。
 それが全てを物語っていた。
 未だ革命軍と銀河帝国との戦いは緒戦。
 だが、集まった雫は大河の流れとなり、巨大な敵を打ち破る勢いに満ちていることだけは間違いないものなのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月02日


挿絵イラスト