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首斬り椿 咲いて腐って 凶刃あれ

#サムライエンパイア #猟書家の侵攻 #猟書家 #獣狩りのアルヴィナ #化身忍者 #風魔小太郎 #魔軍転生 #飛び入り参加大歓迎

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「主様、いずこへ?」
 ひなびた寒村の片隅に佇む、古いが巨大な武家屋敷にて。
 そこは口うるさい側仕えの壮年男性と、うら若き妖狐の娘が隠れ住んでいた。
 呼び止められた妖狐の娘は、スタスタと側仕えの脇を通り過ぎてしまう。
「……散歩よ。よもや、あなたが付いてくるとでも?」
「左様にてございます。後ろからお供致します」
「嫌よ! 散歩くらい、独りで行かせてくれないかしら?」
 妖狐の娘は嘆息混じりに抗議した。
 だが、側仕えの男は首を横に振る。
「なりませぬ、主様。貴女様は『首塚の一族』の『椿姫(つばき)』様にてございます。その身は、来たるべき魔空島原城の守りを破る時まで、傷ひとつあっては一大事。最近では、オブリビオン側が『首塚の一族』へ向けて刺客を放ったという話も耳に入ってきておりますゆえ……」
「用心しろって言いたいのでしょう? 分かってるわ……。でも、付いてこないで。こんな寒村にまで刺客を放ってくるほど、敵が暇だとすればご苦労なことよね」
 椿姫は玄関へ向かおうと、襖を開けて縁側を歩き出す。
 側仕えの男はそっと意識と目を椿姫から逸らした。
 目を逸らした先に、縁側越しの庭に花咲く寒椿が見えた。
 赫々と爛れるように染まった花弁が、北風に揺れている。
 そのうちの一輪が、首元からぽとりともげて地面へ落ちた。
(……妙だな? あの落ち方、まるで刃物で刎ねられたかのようではないか)
 側仕えの男は化身忍者であった。
 ゆえに、ニンジャの暗殺手口のいろはを知り尽くしている。
 縁側へ飛び出した男のニンジャ第六感が状況判断、異常事態の警鐘が咄嗟に口から出た!
「……主様、此処から出てはなりません!」
 男は椿姫を空き部屋へ突き飛ばし、襖を閉めた。
「きゃっ? 白燕、どういう事……?」
「「キエェェーイ!!」」
 椿姫の疑問の声が、庭から飛び出した化生の者達の奇声で掻き消される!
「ヌゥン!」
 白燕と呼ばれた男は、脇差を素早く抜いて袈裟斬りに振り抜いた!
「イギギッ?」
 脇差を回避して飛び退く怪物!
 迫ってきたのは椿頭のモノノケ。それがニンジャ装束を纏っている!
 刺客は庭の椿の一部に化けて、既に屋敷に潜入していたのだ!
「やはり、刺客か。だがこの白燕の目の黒い内は、椿姫様に指一本触れさせぬ!」
 いきり立つ白燕を、無数の古椿の化生が取り囲む。
 多勢に無勢。
 不利を悟った白燕は襖を開けて駆け出した。
「逃げますぞ、椿姫様!」
「きゃあっ! 何事ですかー!?」
 白燕に俵担ぎされる椿姫を追いかける椿頭のニンジャ集団。
 この光景を、猟書家『獣狩りのアルヴィナ』が遠巻きに眺めていた。
「その『たたり椿』共には魔軍将『風魔小太郎』が超・魔軍転生して憑装してるからね? 腕の立つ化身忍者が単独で、何処まで持ち堪えられるかな?」
 目の前の闘争に、アルヴィナは心を沸き立たせていた。

「イケオジ忍者さんがピンチだから、今すぐサムライエンパイアへ向かってっ!」
 グリモア猟兵の蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)が、集まってくれた猟兵に向けて開口一番、そんな言葉を叫んだ。
 イケオジ大好きガールの心からの叫びであった。
「新たに発見されたサムライエンパイアの猟書家こと『獣狩りのアルヴィナ』は、配下に魔軍将『風魔小太郎』が超・魔軍転生させて、あのエンパイア・ウォーで魔空安土城の守りを破った『首塚の一族』を殲滅しようとしているよっ! 今、側仕えのイケオジ忍者こと白燕さんが『首塚の一族』の椿姫さんを担いで屋敷中を逃げまわてる真っ最中っ! みんなは転送直後、両陣営の真ん中に割って入るような形で交戦突入するから、用意が出来たら、あたいに声を掛けてねっ!」
 ちなみに、白燕は猟兵ほどではないにしろ腕が立ち、なおかつ忍者の暗殺手口に詳しいので、助言を求めると戦況を有利に持ち込めるかもしれない。覚えておこう。
「猟書家の企みを阻止して、骸の月の進行を抑えようねっ!」
 レモンの頭上のグリモアが輝き、サムライエンパイアへの転送が始まった……!


七転 十五起
 サムライエンパイアにも、遂に新しい猟書家が現れました。
 本の代わりに持っているのはパイルバンカーですけど。
 なぎてんはねおきです。

●プレイングボーナス(全章共通)
 化身忍者と協力して戦う(猟兵ほど強くはありませんが、忍者の手口に詳しいです)。

●状況
 いきなり切羽詰まった状況です。
 広い武家屋敷の中での鬼ごっこの真っ最中に、皆さんが転送されてきます。
 転送される場所の近くには、必ず椿姫と白燕がいます。
 すぐに合流し、魔軍将『風魔小太郎』が憑装されている『たたり椿』の忍者集団を蹴散らしてください。敵は忍者らしく真正面からは攻めてこようとせず、あの手この手と卑劣な技で椿姫の暗殺を狙います。
 白燕の助言を請うことで、この状況を打破するヒントがもらえます。
(どういう想定について助言を請うか、プレイングに明記してください)
 また、白燕自身もそれなりに腕が立つので、協力して戦うと更に優位に戦闘を進められます。どのようなことをやってほしいかは、こちらもプレイングに明記願います。

 配下を全滅させれば、猟書家『獣狩りのアルヴィナ』との直接対決です。
 彼女は憑装はしていませんが、それでも強敵です。
 白燕の助力を借りつつ、立ち向かってゆきましょう。

 それでは、皆様の挑戦をお待ちしております!
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第1章 集団戦 『たたり椿』

POW   :    花さくように
【椿色の斬撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    根腐れて絶え
自身に【怨念】をまとい、高速移動と【触れたものを腐らせる呪いの花弁】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    ぽたりと首落とし
【自在に伸びる髪】が命中した対象を切断する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鹿村・トーゴ
んー忍び同士ってヤバいな?
味方の証拠に初手化け椿に手裏剣を連投し白燕の背後を【かばう】
助太刀するよ白燕どの
な、この屋敷で仕掛けが多く忍者が立ち回り容易な場所ってどこ?
敵は歴戦の忍びを憑けてるってさ
逆利用されそなそこ避けて連中となるべくマトモにやり合う手はどう?
そ、オレも降魔忍の端くれ
UCで強化
代償毒は【毒使い】解毒薬を
分割した七葉隠二振りを持ち残り五振りは強化【念動力】で操る
見通しを得て潜み動く敵を狙う算段

地の利屋敷構造は白燕から【情報収集】し彼と連携し攻撃
動きを見せた敵は即反応【投擲か串刺し】で刺突
敵UCの花弁は【カウンター/念動力】で屋敷庭の石を撃ち相殺
白燕促し【野生の勘】で躱す

アドリブ可



 広い武家屋敷の中を、白燕と椿姫の2人が駆け抜けてゆく。
 その背後からは椿頭の物怪であり、今は魔軍将『風魔小太郎』が憑装されている猟書家の手下達が追ってくる。
「イギッ!」
「ギギギッ」
「グギーッ!」
 手下は3方向に別れて散ってゆく。
 地の利は白燕と椿姫達にあるとはいえ、あまりにも多勢に無勢。
 数の暴力で包囲されそうになっている状況に、白燕は内心焦っていた。
「主様、私の身体から離れてはなりませんぞ!」
「ええ……! 勿論よ!」
 非力な椿姫は、全身を震わせながら恐怖に慄いている。
 と、その椿姫の真正面……つまり白燕の背後から、4体のたたり椿達が、襖を押し破って突っ込んできた!
 触れたものを腐らせる呪いの花弁を撒き散らし、2人を怨念によって腐食せんと襲い掛かる!
「しまった……!」
 白燕は、敵の移動速度を見誤った。
 ユーベルコードによって高速移動が可能になった手下達4体を一度に蹴散らすのは白燕の腕では不可能であった。
 せめて、自分の身で椿姫を守るべく、彼女を抱き締めて覚悟を決める白燕。
(主様……どうかご無事で!)
 呪いの花弁に背を向け、命尽きるその時を身構えた。
 だが、その時だった。
 どこからともなく聞こえてきた風切り音が、吹き掛けられた呪いの花弁を射抜いてみせたのだ!
「危なかったな、間一髪かよ」
 褐色の肌に燃えるような頭髪と瞳の色が目立つ羅刹の忍者が、光の中から白燕と椿姫の目の前に現れた。
 鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は、転送完了寸前に手裏剣を投げ付けたのだ。標的の気配は野生の勘頼りだったが、うまく命中した事に胸を撫で下ろした。
「俺は猟兵の鹿村・トーゴだ。事情はだいたい把握してる。助太刀するよ、白燕どの」
 すかさず鹿村は白燕の背中に回り込み、椿姫を挟み込むように立ち回り始めた。
「それにしてもなー? んー忍び同士ってヤバいな、白燕どの?」
「左様でございますな。互いに手の内を知っているからこそ、非常に厄介極まりない……。鹿村殿、此方へ!」
 白燕に促され、包囲網の薄いところを3人で突破してゆく。
 放たれる呪いの花弁は、鹿村が念動力で苦無と手裏剣を操作して弾き落としてゆく。
「うへえ、触れた途端に苦無と手裏剣が腐食しやがった。また買い揃えないとか……」
 畳に刺さった金属片を見遣って、回収は不可能だと肩を落とす鹿村。
「かたじけない! 私の脇差も、そろそろ腐って折れそうだったから助かりました!」
「礼を言うなら、ここを切り抜けてからにしてくれよな、白燕どの?」
 鹿村は迫ってきた手下の一体を、苦無を奮って首から削ぎ落とし、胴体を蹴飛ばして後続の手下達にぶつけてやった。
 でも、このままでは埒が明かない。
 そこで、鹿村は提案する。
「な、この屋敷で仕掛けが多く忍者が立ち回り容易な場所ってどこ?」
「それならば、母屋を突っ切る廊下ですな。あそこは罠が豊富でございます。そこで一網打尽に?」
「いいや、敵は歴戦の忍びを憑けてるってさ。逆利用されそうな廊下を避けて、敢えて連中となるべくマトモにやり合う手はどう?」
 この提案にに白燕は感嘆の声を漏らす。
「斯様な発想ができるということは、貴殿はよもや?」
「そ、オレも化身忍者の端くれ。忍者は真正面からの戦闘は嫌がるだろ? でもオレはユーベルコードがあるし、正攻法にも滅法強いってわけ」
 鹿村の正体に納得する白燕、そしてずっと2人に守られている椿姫が唐突に口を開いた。
「だったら、道場がいいんじゃないかしら?」
「ふむ……主様、それは妙案でございますな」
「へえ、ここ、道場があんのか。確かに正面からぶっ飛ばすにはうってつけだな?」
 白燕も鹿村も納得の表情。
 一行は迷わず、道場へ逃げ込んでいった。
 それを追いかける椿頭の手下達。
 手下達が道場へ殺到すると、突然、五振りの忍刀が独りでに手下達の椿頭を刎ね飛ばしたではないか!
「よお。道場に足を踏み入れる際は、まずお辞儀をするんだぜ? 知らなかったのか?」
 鹿村は解毒剤を呷り、ユーベルコード『降魔化身法』の毒の代償を打ち消しながら手下達に告げる。
 その両手には、二振りの忍刃が握られていた。
「号 『七葉隠』。七振りで一振りの特殊な忍刀だ。テメェらの動きはもう見切った。下手に動けば……」
 鹿村の言葉の最中に、たたり椿の1体が花弁を放とうと頭を垂らす。
 と、その途端、ギロチンのごとく、空中から念動力で操作された忍刀がバッサリ手下の首を刎ねてみせた。
「……ってこった。それでも撃ってくるなら、撃たれる前にテメェらの心臓を貫いてやるよ」
 鹿村は野生の勘と動体視力を武器に、手下が少しでも動いた途端、空中に浮かぶ忍刀を射出して、首を刎ね、心臓を貫き、椿頭をカチ割ってゆく。
 狭い道場という空間では、どんなに高速移動が可能でも、その予兆を見破られた途端に首を刎ねられてしまうのだから、完全にたたり椿達は“詰み”の状態に陥った。
 そこで、手下達は鹿村は手が出せないと判断し、今度は白燕と椿姫へ攻撃を集中させる。吹き荒れる呪いの椿の花弁が2人の元へ!
「白燕どの!」
 だが鹿村は、彼等に策を与えていた。
「お任せあれ!」
「これくらい、私だって!」
 2人は道場へ来る途中で拾った小石を前方に散弾のごとくぶち撒けた。
 花弁は小石に阻まれて2人に届かない!
 鹿村は策が成功して、思わず笑みが溢れる。
「よし、うまく言ったな! それじゃ、一気に片付けるかね?」
 七振り全てを手元に集めた鹿村は、号 『七葉隠』の本来の姿――最高刀長420cmの透明の刀身を持つ巨大忍刀へと組み立てる。
 ユーベルコードの効果で、鹿村の膂力は今や鬼神以上を誇る。
 斬馬刀の如き忍刀など、軽々と振るうことも容易い。
「じゃあな。相手が悪かったと思って勘弁してくれよな?」
 鹿村が横一文字に最高刀長420cmの忍刀を振り抜くと、横一閃に椿頭が一斉にポトリと畳に落ちたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

カシム・ディーン
狐美少女と楽しい時間というのも悪くない
「ご主人サマはブレないね!でも狐姫様もイケオジ忍者さんも美味しそうだねぇ…一つ親子丼もありかな♥」基本助平なのは変わらないコンビだった
UC発動
射程半減・攻撃回数強化
銀髪美少女形態
【情報収集・戦闘知識・視力】
事前に館の構造は把握
罠や不意打ちを仕掛けるに足る位置の捕捉

更に追撃を行うならどうするかの分析

割と盗賊って忍者より下に見られがちなんですよ
それは間違いって証明してやる

合流
こうした追撃戦の場合どう来ますか
後は…隠密と不意打ちの手口について確認

【属性攻撃・切断・二回攻撃・念動力・瞬間思考力】
メルシーと思考リンク
姫と忍者を庇える位置から念動光弾で迎撃
死角を補い合


テラ・ウィンディア
ヘカテにゃんは服に入れて一緒だ
今回は室内戦だしな

【戦闘知識・第六感・見切り】
可能な限り己の戦闘経験からも罠の法則を把握
即突破して合流を図る

後は忍者さんに敵の襲撃しやすいポイントや仕掛けてくるだろう位置
更にタイミングなどを細かく確認して

後は何処に隠れてるかとどう動くを見つけ出しやすいか
自分だったらされたらやな方法等を教えてもらい

捕捉すれば即座にUC発動

【二回攻撃・属性攻撃】
闇属性を付与して相手に当たれば精神にも打撃を与えやすくして
風魔小太郎には以前敗れたこともあるからな(すぐに反撃に移ったけど
全力で倒してやるよ

それでも尚接近してくる奴は
【二回攻撃・重量攻撃】
重力を纏わせた剣と刀で切り捨てるぞ



 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)とテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)が武家屋敷へ転送されると、そこは玄関であった。
「今回は室内戦だしな、ヘカテにゃんはおれの服の中で大人しくしていろ」
 ワンピース型のローブの首元に巻くストールに、相棒のスーパーロボットこと三界神機『ヘカテイア』が変身した黒い子猫がすっぽり収まる。
 まるで黒猫の襟巻きをしているかのようにも見えた。
「というか、ここは罠だらけだな。カシム、その床に上がるなよ? おれの勘が正しければ……」
「足がハマって身動きが取れなくなるって寸法ですね。テラさん……僕、天っ才魔術盗賊ですよ? この程度の罠、既に見破ってますから」
 自信満々に応えるカシム。
「困ったことに、割と盗賊って忍者より下に見られがちなんですよ。それは間違いだって、この任務で証明してやる」
「ご主人サマ、素敵♥」
 カシムの後ろに引っ付いているのは、賢者の石で出来たチート級サイキックキャバリアこと界導神機『メルクリウス』……通称メルシー。
 人間になっているのは、ユーベルコードの“新しき光『賢者の石』(メルシーヘンシンモード)”で美少女に変身しているためだ。
「それにしても、予知で見た化身忍者のオジサマ、渋かったね♪ ……美味しそうだったね~!」
「ふむ? ならば僕は椿姫とかいう狐美少女と楽しい時間というのも悪くない」
「ご主人サマはブレないね! いっそのこと親子丼もありかな♥」
「親子じゃないけどな? あれ主従だけどな? でも互いに楽しめそうですね!」
 カシムとメルシーは、何やら良からぬ会話を繰り広げている。
「あのなぁ……? 救出対象に何しようとしてるんだ?」
 助平心がシンクロしているコンビに呆れてしまうテラ。
 首元の黒猫も、真面目にやれと言わんばかりに2人を睨み付けている。
「ほら、ヘカテにゃんもカンカンだぞ? 引っ掻かれる前に、早く救出対象を探して合流しないと……」
 テラが2人を促した、まさにその時だった。
「主様! 屋敷へ戻りますぞ!」
「嗚呼もう! 道場に籠れば安全だと思ったのに! どれだけいるのよ!?」
 唐突に玄関へ転がり込んでくる白燕と椿姫!
 そして追ってくる手下達……たたり椿の忍者の集団も、玄関前に殺到する!
「そっちから合流してくれましたか。自己紹介は後ほどで構いませんよね?」
 カシムがメルシーを目線だけで合図を送る。
 メルシーは白燕と並び立ち、人間サイズに縮小した鎌剣『ハルペー』を大きく振り回して敵を威嚇。
「ねえねえ、忍者のオジサマ? こういう追撃戦の場合、どう動くべきなの? あと、隠密と不意打ちってどんな感じ?」
 メルシーの質問に、白燕がジリジリと後退しながら答えた。
「なるべく包囲されないように、狭いところへ誘き寄せましょう。そこでなら、敵の意識の外から攻撃できるでしょう。猟兵の方々、援護願えますか?」
「当然ですよ! あ、椿姫さん? この騒動が収まったら、命の恩人である僕と一晩すごし……」
「嫌です」
「迷わず即答!!」
 カシムは秒で椿姫に拒絶されてしまった。
「くそう! こうなったら椿頭のバケモノをブチ抜いて憂さ晴らししてやる! メルシー、僕と思考をリンクさせろ! 僕の頭には、グリモアベースで事前に調べた此の屋敷の見取り図が入ってますから、うまく使えよ?」
「了解道中膝栗毛だよ♥」
 メルシーは自身の権能で、カシムの思考と自身を接続させて意識共有を図る。
 こうすることで、一時的にカシム自身もメルシーの権能の一部が使用できるのだ。
「僕達が足止めします! テラさん、2人を屋敷の中に!」
「ああ、分かった! 無茶するなよ?」
 テラが2人を玄関から屋敷の中へ促す。
 それを追いかける手下達。
 だが、メルシーの素早い連続斬撃によって、四肢と首がバラバラに刻まれてしまった!
「此処から先は行かせないよ♪」
「敵の意識の外から攻撃しろって、ざっくり過ぎないか? でも、そういうのはカシムさん、十八番ですよ!」
 カシムは万能魔術砲撃兵装『カドゥケウス』……本来はキャバリアサイズの巨大武装を、これまたメルシーの権能で縮小させた蛇の意匠が刻まれた杖型兵装を振りかざす。
 たたり椿達は、奇妙な形の杖先を突き付けられても、何の疑問を持たない。
 これにカシムはニタリと笑みを浮かべた。
「まぁ、そうですよね。異世界の武器ですし、これが何かを理解できた頃には、あなた達は蜂の巣になりますからね!」
 カシムの魔力を変換した光弾が、カドゥケウスから連続で発射された!
 まさに不意打ち、たたり椿達は光弾を浴びて全身が穴だらけになって斃れていった。
「メルシーもどんどんイッちゃうよ♥」
 移動距離を犠牲にして、押し寄せる椿頭の忍者をザクザクと刈り取ってゆくメルシー。
 敵も椿色の斬撃波を放って、2人へ波状攻撃を仕掛ける。
 だが、メルシーがカシムを庇って、敵の攻撃を一身に受け止めてみせる。
「賢者の石は、ダメージを受けても再生するからへーきへーき♪」
 あくまでもカシムがダメージを受けなければ継戦可能なので、メルシーの行動は最適解であった。
 だが、相棒がむやみに傷付く姿を目の当たりにするカシムは、声に苛立ちを混じらせて敵へ告げる。
「おい椿頭ども。ここから先はカシムさんが相手してやるですよ。お前らはまとめて、僕の手で骸の海へ沈めてやるよ」
「メルシー達を倒してから先へ進んでもらおうかーって、此の台詞、言ってみたんだよね♥」
 2人の連携攻撃が、玄関で手下達の侵入を水際で防いでいった。
 一方、屋敷の中には、敵の別働隊とテラ達が交戦していた。
「白燕のおじさん! こういう時、忍者ってどこに隠れがちなんだ?」
 テラの問いに、白燕は小太刀を振り回しながら答えた。
「例えば、襖の一枚向こう、或いは軒下から忍び込んで、床からの奇襲……柱の陰や植え込みもありえますな?」
「つまり、どこにでもいるってことか? だったら……!」
 テラは意識を集中させ、星刃剣『グランディア』と錆鞘之太刀の二刀流の構えを取る。
(おれが仕掛けられたら嫌な方法……きっと敵は既にそれを把握している……つまりは……!)
 テラをすかさずユーベルコード『斬嵐「空牙」(ストームセイヴァーブラスト)』を発動!
「我が技……我が武……風……嵐をも破らん……! 敵は、おれの足元だ!」
 自身の足元の畳に二刀居合で発生させた空気の断層による刃を約0.01秒の早業で放った!
 畳と床はザックリ刻まれ、その下から呪いの椿の花弁が一瞬だけ噴き上がった。
「なんと! よく気が付きましたな!」
「怨念や悪意って、周囲に伝わりやすいからな。それを纏ってくれるなら、探知は簡単だ!」
 更に、放った斬撃波が敵の精神に干渉し、怨念を霧散させてユーベルコードを封じてしまう。
「錆鞘之太刀から精神干渉を、星刃剣『グランディア』は重力を操作する一撃を。花弁が飛んできても、重力操作で全部叩き落としてやる」
 星刃剣『グランディア』を振るって発生した斬撃波は、漂う花弁ごと敵を畳へ押し潰し、切り裂いていった!
「ここはおれが受け持つ! 安全な場所まで退避するぞ!」
「かしこまりました。さあ、主様、此方へ!」
「あんな小さい子が頑張ってるんだもの。私も諦めないわ!」
 白燕の手をとって逃げ出す椿姫を援護するテラ。
 押し寄せる手下の胴体を真っ二つに叩き斬ると、大声で叫んでみせた。

「死にたい奴から掛かってこい。このテラ・ウィンディアとヘカテにゃんが、貴様達を葬送する死神だ――!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レイ・キャスケット(サポート)
アルダワ魔法学園の生徒であり謎解きや冒険となると首を突っ込まずには居られない

性格は明るくポジティブ
性善説的な考え方が強く非オビリビオン相手であれば甘すぎる慈悲を与えることも
楽しければ悪ノリする部分もあり、またその場のノリに流されやすいことも


一人称はボク
二人称はキミ
三人称は年上は~さん、年下は~くん、~ちゃん

戦闘では『ブランクソード』と高速詠唱を軸にした七色の属性攻撃で敵を翻弄するオールレンジラウンダー
得意な戦法は挑発やフェイントを多用したイヤガラセからの主導権奪取
状況に応じ回復も使い分ける万能型だが、体力は並程度を魔力ブーストで補う

明確な弱点は水中、水上行動を極端に嫌うことである


ティエル・ティエリエル
SPDで判定

ボクが助っ人だー!一緒に椿姫を守るぞー☆

襲い掛かってくるたたり椿をレイピアで牽制してたら、あれれどっかいっちゃった?
むむむっ、逃げたと思わせて隠れて襲ってくるつもりなのかも!?

忍者のおじさんに不意打ちを仕掛けてきそうな場所を聞いて警戒するよ!
耳を澄ませて「情報収集」していたら床下から微かに物音が聞こえたね♪
足元から!……と思わせて天井からなんだよね!忍者のおじさんに聞いてなかったら騙されるところだったよ!
【妖精の一刺し】で天井を曲者だーと貫いてたたり椿を攻撃しちゃうよ☆

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


純・ハイト(サポート)
勝つ事を考えて、自身を含めて全てを駒として考えて手段を択ばずに、使える物全て使って任務に参加して戦う。
エレメンタル・ファンタジアはトラウマはあるが、トラウマよりも敵は全て殲滅と考えているために問題無しに使える。
主にユーベルコードの力で軍隊を操り戦闘を指揮して戦うが、他のユーベルコードが有利に動くならそっちを優先して使う。



 猟兵達の奮戦により、武家屋敷内での聞きに行くども救われた白燕と椿姫の2人。
 結局、ぐるっと一周して、最初に襲われた中庭の縁側まで戻ってきてしまった。
 中庭に植えられた椿に紛れ、手下のたたり椿忍者達が身を潜めてているのを、白燕はヒリヒリとその肌で感じ取っていた。
「主様、下手に動いてはなりませぬ。猟兵らが駆け付けてくるまで、身の守りを固めるのです」
「え、ええ……」
 椿姫も懐刀の柄を袖の下で握り、最低限の自衛手段を隠し持っている。
 だが、かわせて一合。
 白燕も此処まで来てかなり疲弊している。
 それを勘付いた手下達が、花弁を、髪を放ち、2人を斬り刻まんと襲い掛かった!
 ……と、そこへ!
「こらー! 弱い者いじめはダメだぞー!」
 キラキラ輝く小さな人影が、斬撃の嵐の前に立ち塞がる!
 飛び込んできたティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)が、愛用の風鳴りのレイピアを素早く振るうと、風切り音が音階となって奏で始められ、飛んでくる花弁や髪を検査機で弾き返してゆく!
 更に、サポート猟兵として駆け付けた、同じくフェアリーの青年こと純・ハイト(数の召喚と大魔法を使うフェアリー・f05649)は、すかさず手下達を殲滅するべく、ユーベルコードを発動させた。
「我に付き従うフェアリー達よ、戦いの時は来た! 全軍出撃せよ!!」
 ハイトの大号令は発せられると、たちまち、何処からともなく武家屋敷の上空へ殺到するフェアリー軍。その数、なんと8200!
 上空を真っ黒に覆い尽くす軍服を着たフェアリー達の手には、魔改造された対物スナイパーライフルや迫撃砲が握られている。
「目標、愚かな猟書家の醜悪な椿の怪物共! これぞ我が軍!! 俺からの命令は唯一つ!」
 ハイトは上空で滞空する全軍へ下知を飛ばした。
「――敵を塵芥に変えろ!」
 その言葉の次の瞬間、上空から爆音と徹甲弾の雨が降り注ぐ!
 中庭にいた椿の怪物共は、長い髪で徹甲弾を切り裂いて見を守ろうとするが、飽和火力の前に為す術もない。
 篠突く雨が如く土埃が舞い上がり、椿頭は粉砕し、中庭の植木や灯籠が爆散する!
「主様、屋敷の中へ!」
「ちょっと、思っていた以上に激しいわね!」
 ハイトの猛攻によって、中庭で待ち伏せしていた手下達が、みるみるうちに殲滅されていく。
「わー! すごーい! こういうの、ロックンロールっていうんだよねっ? ボク、知ってるよ♪」
 リズミカルな銃砲撃の轟音を全身に感じるティエルがはしゃぎながら2人の護衛を続ける。
 すると、更にもうひとり、サポート猟兵が駆け付けてきた。
「うわ、なんだかすごい現場に遭遇しちゃったみたいだね」
 赤毛の三編みを揺らしながら、レイ・キャスケット(一家に一台便利なレイちゃん・f09183)が中庭の“地獄”を目の当たりにして目を丸くしていた。
「事情は把握してるよ。此の屋敷に隠れている椿頭の忍者を見つけて倒すんだよね」
「そういうことだよ! つまりボクらが助っ人だー! 一緒に椿姫を守るぞー☆」
 レイの顔の前をキラキラと空中浮遊するティエルが、元気よく拳を突き上げてみせた。
 つられてレイも元気よく決意を口にした。
「椿頭の忍者達を見つけて、絶対に2人を護ってみせるよ!」
「なんとも心強いですな、猟兵という存在は……!」
 白燕が感心していると、ティエルが周囲をキョロキョロと見渡す。
「あれれ? 中庭にいた椿の仲間がどっかいっちゃった?」
 ティエルは、爆撃から逃れた残党が、屋敷の中に逃げ込んだのを見逃さなかった。
「むむむっ、逃げたと思わせて、隠れて襲ってくるつもりなのかも!?」
「つまり、この近くに敵が潜んでるってことなのかな?」
 レイは柄だけの剣『ブランクソード』に魔力を込める。
 すると、魔力で生成された剣身が具現化する。
 剣身がバチバチと紫電を纏う!
「オブリビオンとはいえ、生きているなら微弱な生体電気が発生してるはずだよ。つまり、この雷属性の魔法剣なら、生物がいる方向を指し示してくれる……!」
 生体電流……つまり、僅かな磁力を感知したレイの魔法剣が、つつつ……と何処かに導かれるように動き出した。
 と、その時、トトトトトッと近くで足音が!
 白燕が懐刀を鞘から抜いて身構える。
「ぬ? 今、敵が廊下を駆けてゆきましたぞ?」
「ううん、それは違うよ!」
 ティエルは耳を澄まし、音の出どころに違和感を覚えていた。
「ねえねえ、忍者のおじさん? もしもおじさんだったら、こういう時、何処から攻めるのかな?」
 ティエルの無邪気な質問に、白燕は戸惑いながらも答えてくれた。
「そ、そうでございますな……。先程は敵は床から出てきましたので、となると……むむ?」
 白燕は無意識に天井を見上げる。
 同時に、ティエルも白燕と同じく天井の一点を見詰めていた。
 更に、レイの剣先も、天井のある場所を指し示す。
 3人は無言で頷いた。
「そこだー! 曲者だーであえであえー☆」
 ティエルが、なぜか真下の畳へレイピアを突き刺さんと急降下!
 レイも目線を足元に落とした。
 それを隙だと判断した手下達が、天井を髪と花弁で突き破って、畳へ飛び降りてくる!
 だが、ティエルは畳にレイピアを突き刺す前に反転、今度は急速浮上を開始!
「やーい、引っかかったー☆ 足元から!……と思わせて天井からなんだよね! 忍者のおじさんに聞いてなかったら騙されるところだったよ!」
「妖精のキミがフェイントをして、ボクも目線を下に落とした。まんまと誘われたようだね、ご愁傷さまだよ!」
 レイは王鍵を手下達へ差し向けると、ユーベルコードで増殖させてゆく!
「この鍵で開くのは『可能性』。この鍵で閉ざすのは『不可能』――『可能性の鍵』に穿たれてみる?」
 425本の鍵の嵐が、たたり椿忍者達の停止と解放を操作して、存在そのものを崩壊させてゆく。
 その間を、ティエルは全力で飛び交って体当たりを敢行!
「いっくぞーーー!! これがボクの全力全開だよ☆」
 レイピアを突き刺しながら、椿頭の忍者の喉元へブチ破ってゆく妖精のお姫様!
 防御を顧みない捨て身のユーベルコード『妖精の一刺し(フェアリー・ストライク)』は、吹き荒ぶ呪いの椿の花弁を吹き飛ばし、天井に潜む敵をなぎ倒し始めた。
 フェアリーの小さな体が、天井裏という狭い空間で大暴れ!
「うりゃうりゃー☆ そんなちっちゃく身を屈めてたら、ボクの突進は避けられないぞー!」
 あっという間に天井裏の敵は全滅し、レイも飛び降りてきた敵を全て鍵で撃ち抜いていった。
「そちらも終わったか。此方は今しがた状況終了した」
 屋敷に上がってきたハイトも敵を完膚なきまでに叩き潰し、白燕と椿姫と合流を果たした。
「俺の軍に屋敷内を捜索させたが、もう敵勢力は見当たらない。俺達の勝利だ」
 ハイトの言葉に、白燕と椿姫はホッと胸を撫で下ろした。
 ティエルとレイも喜びで思わず顔がほころぶ。

 だが、そこへ……。

「へえ? 風魔小太郎が憑装されてた忍者オブリビオンを、こうまであっさりやっつけるなんて……キミ達、強いね?」

 中庭に現れた少女……猟書家『獣狩りのアルヴィナ』との直接対決が迫っていた……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『獣狩りのアルヴィナ』

POW   :    零距離、取ったよぉ!
【瞬時に間合いを詰めて、パイルバンカー】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    躱せるものなら躱してみなよ!
【対猟兵用クレイモア地雷】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    キミも料理してあげようか?
戦闘中に食べた【調理済みの肉】の量と質に応じて【身体能力強化と自動回復能力を得て】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠白石・明日香です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「うんうん、猟兵ってすごく強いって聞いてたけど、予想以上だよぉ! これは闘争のしがいがあるね! ワクワクしてきたぁ!」

 ニタニタと不気味な笑みを浮かべる猟書家『獣狩りのアルヴィナ』は、右腕にはめたパイルバンカーのトリガーをがっちり引いてセット!

「この世界って、センゴクジダイっていう闘争があったんでしょ? だから、私がその闘争を復活させるんだよ! 激しい闘争を求めて、わざわざアリスラビリンスからやってきたんだから、強い敵は大歓迎!」

 目の前の少女は、根っからの戦闘狂のようだ。
 サムライエンパイアを闘争の世界にさせるわけにはいかない!
 猟兵達は武器を取り、首塚の一族である椿姫を守るべく、猟書家に挑む……!
ギャレット・ディマージオ(サポート)
●設定等
ダークセイヴァー出身の冷静沈着な黒騎士です。
オブリビオンに滅ぼされた都市で自分だけが生き残った過去を悔い、人々を守ることを重視して行動します。

●戦闘において
「及ばずながら、手助けさせて貰おう」
「貴様の相手は、この私だ!」
「なんと強力なユーベルコードだ……! (解説) 直撃すれば一たまりも無いぞ!」

・牽制攻撃
・敵の攻撃から他の猟兵や一般人を守る
・敵の攻撃を回避してカウンター
・ついでに敵の強さを解説する
など、防御的・補助的な行動を得意とします。

メイン武器は「黒剣」です。

他は全てお任せします。
別の猟兵との交流や連携等も自由に行ってください。
どうぞよろしくお願いします。


風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携歓迎

約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも調べる伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。

戦闘は剣士の動きだ。
フェイントを多用する。相手が格上や多数の場合は挑発をして隙を作ることもある。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。


ルナリリス・シュヴァリエ(サポート)
何かお困りですか? 私は旅の聖剣使いです
誰かの力になりたい、そんな思いから猟兵活動をしています
私で良ければ力になりましょう。

お人好しな性格で、並みいる敵を聖剣でなぎ払い、罠やトラブルは体当たりで乗り越えていく
そんな突撃隊長的なキャラクターです。

あとはお任せで、よろしくおねがいします。



 見た目はか弱い修道女のような格好、だが猟書家『獣狩りのアルヴィナ』の双眸は、強者との血湧き肉躍る闘争を前に爛々と敵意を燃え上がらせていた。
「最初は誰が戦ってくれるのかな?」
 アルヴィナの疑問の声に、さっそうと駆け付ける者達がいた。
 黒鉄の鎧を纏った黒騎士のギャレット・ディマージオ(人間の黒騎士・f02429)、氷雪の如き純白の髪と肌と対象的な黒衣が目を引くダンピールの風雷堂・顕吉(ヴァンパイアハンター・f03119)、そして青い瞳に金色の長い髪が異国情緒を漂わせる女騎士姿のサキュバス型バーチャルキャラクターことルナリリス・シュヴァリエ(サキュバスの剣姫・f25397)。
 3人のサポート猟兵達が、まずはアルヴィナの実力を推し量るべく立ちはだかった。
「サムライエンパイアを戦乱の世に立ち戻らせはしない。獣狩りのアルヴィナ……貴様の相手は、この私だ!」
 ギャレットは鞘から黒剣を抜き、両手で正眼に身構えた。
「この世界は非常に美しい。それをお前達の身勝手な戦乱で汚そうというのなら……俺の地獄の炎で焼かれる覚悟があるのだろうな?」
 サングラス越しの風雷堂の視線が剣呑なそれに変わる。
 そして彼も剣士であった。
 放たれる殺気により使い手の命をも縮めるとされる妖刀『ドラクリヤ』――“竜の息子”と銘打たれた、怪しい輝きを放つ刀が彼の相棒だ。
 更に、ルナリリスは正義を司る女神を宿した伝説の聖剣アストライアを掲げると、ありとあらゆる物事が都合よく進む“超自然力”が解放される。
「己が闘争のために他者を巻き込むなんて、絶対に許しません。正義の女神の名のもとに、アルヴィナ様を粛清します」
 三者三様の剣士達と、片手にパイルバンカーを携えた戦闘狂少女が睨み合う。
 まず動いたのはアルヴィナだ。
「そんな長い剣を狭い室内で振り回せるのかなぁ? やってみなよぉ!」
 アルヴィナは低姿勢の状態から餓狼の如く畳を蹴って加速。
 右腕に嵌めたパイルバンカーから圧縮蒸気が吹き上がる!
 ギャレットはすぐさまアルヴィナとの距離を置くべくバックステップ!
「あれは超至近距離からの鉄杭での突貫攻撃! まともに喰らえば、私の板金鎧も軽々と貫通してしまうぞ!」
「ならば此方もパイルバンカーだ」
 風雷堂は妖刀を持つ反対の腕に、白木の杭を射出する巨大武装を転送・装着!
 そのままアルヴィナの真正面へ飛び込む風雷堂。
「その心臓に風穴を開けてやろう」
「それはこっちの台詞だよぉ!」
 風雷堂の一撃が僅かに早く繰り出される!
 アルヴィナは咄嗟に体幹を横にずらして回避を試みるも、射出された白木の杭はアルヴィナの左肩に深々と突き刺さった!
「ちっ。直撃を避けたか」
「今度はこっちの番! 零距離、取ったよぉ!」
 火薬の爆発音と同時に打ち出される巨大な金属杭!
 凄まじいスピードで穿たれたそれは、風雷堂の脇腹の肉を僅かに抉り抜いた。
 飛び散る彼の血痕が、アルヴィナの衣服に付着する。
「うそぉ! あの距離から緊急回避するのぉ!?」
「フェイントは十八番なんでな……? ぅぐ……っ!」
 互いに直撃を免れ、軽症を負う風雷堂とアルヴィナ。
 だがアルヴィナは立て続けにパイルバンカーのレバーを強引に引き上げる!
「まだまだ! 次弾装填済み、今度は黒騎士のおじさんをブチ抜いちゃうよぉ!」
 アルヴィナはまるで瞬間移動めいた瞬発力で、ギャレットの懐へ飛び込んできた!
「今度こそ! 零距離、取ったよぉ!」
 2連続の炸薬爆裂、鉄杭突貫!
 だが、その瞬間、アルヴィナは驚愕の表情を浮かべていた。
「え!? そんな事がっ?」
「獣の如き闘争心が慢心を産む。これが、私のユーベルコードだ……!」
 アルヴィナの右腕は今、黒い鞭剣に巻き取られてしまい、明後日の方向に向けられているのだ。
 当然、鉄杭はギャレットの鎧から逸れて空振り!
 黒い鞭剣……黒騎士の操る黒剣が、変形機構で別の形態になったのだ。
「我が黒刃鞭(ブラック・ブレイド・ウィップ)の恐ろしさ、とくと味わえ!」
 ギャレットが強引に剣の柄を引き上げると、アルヴィナに巻き付いていた刃が食い込み、彼女の右腕をズタズタに切り裂いてゆく!
「それと訂正するんだ。私は……まだまだ、おにいさんだ!」
 三十路手前のギャレット、懸命の主張であった。
 斬撃で猟書家の血飛沫が襖に飛び散り、周囲に赤い斑点模様が付着してゆく。
 ここで突然、アルヴィナの衣服が燃え上がっていた。
「熱っ! あつつつっ! なに、これぇ!」
「言ったはずだ。俺の地獄の炎で焼かれる覚悟があるか、と?」
 燃えているのは、風雷堂の血液だ。
 彼は血液を地獄の炎として燃え上がらせるユーベルコード『ブレイズフレイム』が使えるのだ。
「都合よく軽傷を負い、俺の血がお前の衣服に付着したのは幸いだった」
 風雷堂が妖刀『ドラクリヤ』に自身の血を塗りたくると、呪われた刀身が紅蓮の炎に包まれ燃え盛り始めた!
「吸血鬼ではないが、お前の末路は灰燼が相応しい」
 大上段から炎の斬撃をアルヴィナに浴びせる風雷堂!
 斬り払われたアルヴィナが後ろへたたらを踏んでよろめく。
「ぁぐ……っ! 負、ふふふっ! すごいっ! 猟兵ってやっぱ強いね!」
 だが、その顔は気色で満ち溢れていた。
 続けて、標的をルナリリスへ変更すると、アルヴィナは懐から肉塊を取り出した。
 こんがりと焼かれた肉塊を、そのままアルヴィナはかぶりついてゆく。
「これは可哀想で無力なアリスのお肉だよ! キミも料理してあげようか?」
 肉を咀嚼し、飲み込んでゆくアルヴィナ。
 すると、たちまち火傷や切り傷が治癒してゆくではないか!
「少女の肉を喰らって傷を癒やすなんて、外道の極みですね……!」
 あまりにも悪辣な所業を目の当たりにしたルナリリスは、怒りで聖剣を握る両手が震えてしまう。
 アルヴィナは調理済みのアリスの肉を食い千切りながら、ヘラヘラと笑みを浮かべてみせる。
「降参するなら今のうちだよ? まだまだお肉のストックはたくさん持ってきたからね? 何度でも回復してみせるよぉ!」
 勝ち誇るアルヴィナ。
 そんな彼女へ、ルナリリスは奇妙な質問を投げかけた。
「……ところで、お肉はアリスの肉以外では駄目なのですか?」
「え? あー、うーん? 考えたこともなかったなぁ?」
 アルヴィナは投げ掛けられた問いに、はたと立ち止まって首を傾げた。
「今までアリスラビリンスにいたからねぇ? 肉といえばアリスだったし? って、なんでそんな事を聞くの?」
「私も命が惜しいのです。降参します。だから取引しませんか? 私のユーベルコードで悪魔を呼び出せば、どんなお肉も食べ放題ですよ?」
 アルヴィナはルナリリスの言葉に目を輝かせた。
「ほ、本当?」
「ええ、本当ですとも。その代わり、私達を見逃してくれませんか? 何度もアルヴィナ様に回復されては、此方としては手も足も出ませんので」
「うん、うんうん! 弱い奴を殺してもつまらないし、美味しいお肉が食べられるなら、是非やって!」
 アルヴィナはルナリリスの取引に応じた。
 ……応じてしまった!
「わかりました。あなたの願いを叶えましょう」
 ルナリリスの言葉が紡がれるやいなや、足元の畳に魔方陣が描かれてゆく。
 そこから湧き出してくるのは、1体の悪魔!
『我を呼び出したのは誰だ?』
 悪魔は赤い両目をギロリとアルヴィナへ向けた。
「はいはい! 美味しいお肉がもらえるって本当?」
 アルヴィナは呑気に悪魔へ尋ねた。
 すると、悪魔はアルヴィナの目の前に牛肉・豚肉・鶏肉の山をドサドサッと放り投げてみせた。
 これにアルヴィナが飛び付く!
「やったー! お肉だお肉! あ、そこの弱っちい猟兵は帰っていいよぉ?」
 シッシッと3人を手で払うアルヴィナ。
 そんな彼女へ、悪魔がニタリと口角を吊り上げた。
『では、代償を払ってもらおうか?』
「……はへ? 代償?」
 アルヴィナがそんなの聞いてないと言わんばかりに目を細める。
 ルナリリスはここで満を持して、自身のユーベルコードの全容を明かした。
「私のユーベルコード『淫魔的契約(インマティック・ユビキリ)』は、“願いが叶うなら悪魔と契約してもいいとの感情”を与える事に成功した対象に、召喚した者の願いを叶える悪魔を呼び出し、契約から、願い相応の代償を支払わないと発動する高命中の呪いを飛ばすのです!」
「それってつまり……」
『貴様が、肉を食いたいという願いを我が叶えた。よって、貴様はこの願いに相応しい代償を支払わねばならない』
 悪魔が指先に魔力を集中させると、アルヴィナを指差した。
 途端、彼女の全身が爆裂し、全身の肉が周囲に四散していった!
「ぎゃあああっ!」
『肉を欲する者は、同量の己の肉を代償として失う。契約は完了した。さらばだ』
 陽炎のように消えてなくなる悪魔。
 血塗れのアルヴィナはどうにか畳から立ち上がる。
 だが、彼女を待ち受けていたのは、ルナリリスの正義の斬撃だった。
「強欲は大罪です。ご存じなかったのですか?」
「だ、騙したなぁ!」
「問答無用!」
 聖剣による横薙ぎの一閃がアルヴィナの腹部に直撃!
 アルヴィナは“くの字”になって、中庭まで吹き飛ばされてしまった!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

鹿村・トーゴ
【野生の勘/情報収集】
危険と即決【激痛耐性/追跡】も常時活用、警戒

可愛い声だがこいつ相当な戦狂いらしい
>姫様、白燕殿、ご油断召さるな…どころじゃねー
加減無しの攻撃余波で潰されかねない
白燕殿、化生憑けてでも防いで姫様守って

さて嬢ちゃん
オレあんまし戦い上手じゃねーが荒事は好きだぜ
って事で一手お試しする?
話し気を引きつつ手裏剣を連投
敵死角や足元、服やベールへ【投擲】
気を散らせ屋敷から遠ざけ中庭池など足運びの悪い地形へ追い詰め急接近【忍び足/地形の利用】
敵UCは躱したいが負傷覚悟
クナイで低位置から斬り
切先が最接近→UCの威力を乗せ敵と敵武器を破壊する気で全力で撃つ【カウンター/串刺し/暗殺】

アドリブ可


カシム・ディーン
UC継続
攻撃回数を強化
移動距離を半減

はぁ…折角の美人なのに戦闘狂かよ
僕はエロい事が好きなのに…
「ご主人サマ?何となく分かるよ♪戦る気になってるね♪」
はっ…知らなかったか?僕は負けず嫌いなんですよ
「メルシーもそうだよ♪あのパーデスのせいでご主人サマとちゅーできるチャンス逃した屈辱は忘れられないし?」
ならやる事は一つだ

白燕にこの中庭での有効な戦術を確認


【情報収集・視力】
敵の動きと癖と武器の性質を捕捉

【属性攻撃・迷彩】
光属性を己とメルシーの全身に付与
光学迷彩で存在を隠

メルシー
対クレイモア
【瞬間思考・スナイパー・念動力】
念動光弾で迎撃

【二回攻撃・切断・盗み・盗み攻撃】
光弾支援を受けつつ肉強奪&斬撃


ティエル・ティエリエル
WIZで判定

むむむー、センゴクジダイはタイガードラマの中だけで十分なんだよ!

背中の翅で空中を縦横無尽に飛び回りヒット&アウェイでツンツンとレイピアで突っついていくよ!
わわっ、戦いながらお肉を食べて回復してるよ!?しかも、ボクのこと唐揚げにしてやるとか言ってるよ!!

唐揚げになんてなってやるもんかーとヒット&アウェイで離れるフリをして
「フェイント」で【妖精姫のいたずら】を使って服の中に潜り込んじゃうぞ☆
ふふーん、これだけこちょこちょと擽ってやればくすぐったくて身動きなんて取れないよね!
ましてや、お肉なんて口にしたら吐き出しちゃうよね♪

さぁ、いまのうちに攻撃だよ♪

※アドリブや他の方との連携も大歓迎



 血塗れになった猟書家『獣狩りのアルヴィナ』は、調理済みのアリスの肉を乱暴にかぶりつき、自身の傷を癒やしてゆく。
「あー、びっくりした! でもまだまだ戦えるよぉ! 次は誰かな?」
「ボクだ、ボクだ、ボクだー!」
 元気よくキラキラっと飛び出してきたのは、フェアリーのティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)!
 小さな身体で空中をビュンビュン飛びながら、ほっぺたを膨らませてプンプン怒っている!
「むむむー、センゴクジダイはタイガードラマの中だけで十分なんだよ!」
 恐らく大河ドラマのことを言いたいのだろうティエルは、果敢にアルヴィナの頭上を高速飛翔!
「てりゃてりゃてりゃー♪ レイピアでツンツン突っついちゃうぞー!」
「うわぁ! ちょっと、痛いしすばしっこいし、このぉ!」
 アルヴィナとティエルが中庭で鬼ごっこを開始!
「へへーん♪ 鬼さんこっちら! ボクはここだよー!」
「空を飛ぶのは卑怯だよぉ! こら待てぇ!」
 アルヴィナ自慢のパイルバンカーも、小さくて素早いティエルには却って邪魔になるだけ。
 仕方がなく、両手でペチンペチンっと叩き落とそうとするも空振りばかり!
 レイピアの風鳴り音がメロディを奏でるたびに、アルヴィナの全身が小さな穴だらけになってゆく!
「いたたた……! でも、そんな小さい刃じゃ、急所に当たらない限りボクは殺せない! さっきは油断したけど、弱い奴はボクの養分になっちゃえ!」
 アルヴィナはティエルの攻撃を急所以外は防御することを止め、その代わり、持参した調理済みの肉塊を喰らって回復し続ける持久戦に持ち込み始めた。
「妖精さんも、唐揚げにして食べてあげようか?」
「わわっ、戦いながらお肉を食べて回復してるよ!? しかも、ボクのこと唐揚げにしてやるとか言ってるよ!!」
 物騒な発言にティエルは高度を上げて攻撃の手を一度中断する。
 そこへ、鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)とカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)が同時に中庭へなだれ込む。
「なァ、カシム? 目の前の猟書家……可愛い声だが、こいつ相当な戦狂いらしい」
「はぁ……折角の美人なのに戦闘狂かよ。本当、がっかりですよ。僕は美人とは殺し合いではなく、生存戦略という名のエロい戦闘をするが好きなのに……」
 思わず欲望が口からダダ漏れになってしまうカシム。
 その傍らに寄り添うのは、界導神機『メルクリウス』が変化した美少女ことメルシーだ。
「ご主人サマ? 何となく分かるよ♪ あの娘、割と着痩せするタイプだもんね♪」
「おい、今はそんな事言ってる場合じゃねェだろー?」
 ぶれない主従のやり取りに、鹿村は苦笑いを浮かべつつ、背中に手を回して苦無を数本握る。
 敵に此方の動きを気取らせないように、鹿村はカシムとメルシーの会話に乗ってみせたのだ
 そうと知ってか知らずか、カシムは敢えて道化のようにふざけた言動をアルヴィナの前で披露し続けた。
「そうカッカしないでくださいよ、トーゴ? 頭のイカれたバトルマニア美女でも、僕の目の黒いうちは好き勝手させませんから」
「ご主人サマ、戦る気になってるね♪」
 銀髪をなびかせながら中庭へ降り立った彼女(雌雄同体)は、愛する主の真剣な表情に見惚れていた。
「はっ……メルシー、お前、僕のストーカーのくせに知らなかったか? 僕は、負けず嫌いなんですよ!」
「メルシーもそうだよ♪ アリスラビリンスの任務で、変態猟書家パー☆デスのせいでご主人サマとちゅーできるチャンス逃した屈辱は忘れられないし?」
「なんだ? お前ら、そういう仲なのかよ……機械の神様と恋仲とかスゲーなおい?」
 鹿村はカシムと合流の際に、軽く自己紹介を交わしている。
 メルシーの素性も知っているので、彼女の発言に思わずギョッとしてしまったのだ。
 だが、カシムは真顔になって首を横に振っていた。
「いいえ、違います」
「えー!? あの時はしてくれるって言ってたー!!」
「今は嫌どす」
「京都弁~っ!?」
 あまりの拒絶ぶりに、カシムの口調がはんなりになってしまうほどだ。
「……男女の仲は、猟兵の皆様でも円満解決は難しいのですなぁ」
 白燕は縁側で椿姫を庇いながら、しみじみとカシムとメルシーの掛け合いを見守っていた。
 だが、そんな状況に呆れる者達がいた。
「みんなー! 早く手伝ってよー!」
 ティエルが空中戦での一撃離脱を繰り返し続け、アルヴィナもどんどんと肉塊のストックを消費し続けている千日手状態だ!
 これにカシムがメルシーの耳を引っ張って加勢する。
「おいメルシー、やることはひとつだ。分かってるな?」
「私の耳を引っ張るってことは……そっか!」
 カシムの送ったサインの意味に気付いたメルシーはくるっと振り向くと、後ろの白燕に可愛らしく尋ねた。
「白燕のおじサマ? 中庭では忍者って~どうやって戦うの~?」
「え、ええ、それでしたら、屋敷の屋根に上がり、上から攻めるのが上策かと。敵は遠距離攻撃を持っておりませぬゆえ」
 メルシーのおねだりに困惑しつつも、しっかり質問に答える白燕の奥ゆかしさよ。
 そんな中、カシムはステルス迷彩フィールドを展開すると、メルシーと一緒に透明になって姿をくらましてしまう。
「でかした、メルシー! それじゃ、僕はシーフらしくコソコソするので、後はトーゴとティエル、あとそちらのお二人に任せますね?」
 姿を消したカシムの走り去る足音だけが聞こえた。
 白燕の言葉通り、屋敷の屋根によじ登って、猟書家の頭上から奇襲を仕掛けるつもりだろう。
 だが、鹿村は唖然としていた。
「おいおいおい……実質、オレ独りで白燕殿と姫様を守らねーとヤバいぞ? 姫様、白燕殿、ご油断召さるな……どころじゃねーな? てか、あの杭打機、加減無しの攻撃余波で此方が潰されかねない。悪りーが白燕殿、化生憑けてでもその身を呈して、姫様守ってくれ」
「……承知しました」
 カシムがキチンと仕事をしてくれる事を願いつつ、椿姫の前に鹿村と白燕が出張ってゆく。
 まずは、ティエルと膠着状態になっているアルヴィナを、鹿村は挑発してみせる。
「さて嬢ちゃん? オレ、あんまし戦うのは上手じゃねーが、荒事自体は好きだぜ? って事で……一手、お試しする?」
「いいよぉ! 一撃でキミの心臓に風穴開けてあげる!」
 ティエルを追い払うと、すぐさまアルヴィナはパイルバンカーのレバーを引いて射出準備を完了させた。
「あれ? もうひとりのヘンテコな2人組がいないけど、まぁいっか! キミと違って、あの2人は雑魚だし? あとでミンチにすればいいだけだね!」
 猟書家から酷い言われようのカシムは、屋敷の屋根の上で歯噛みしていた。
(誰が雑魚ですか! その生意気な口をすぐにきけなくしてやりますからね!)
 隠密中なので、カシムは心の中で猟書家へクレームを言い放っていた。
 アルヴィナの武器はパイルバンカー。
 つまり超至近距離からの一撃に長けた決戦武器だ。
 だが、透明化して屋根に上ったカシムとメルシーに、その一撃が届くわけもない。
(メルシー、手数で攻めろ。一気に決めるんで、魔力を限界まで溜め込むぞ!)
(ラジャったよ、ご主人サマ♪)
 2人の魔力が共鳴を始め、互いの体内魔力保有量が倍々に膨れ上がってゆく。
 カシムは屋根の上の異変をアルヴィナに気取らせないためにも、目の前に闘争を繰り広げ始めた。
「オレの苦無の投擲術、身かわせるか?」
 鹿村は背中に隠していた4本の苦無をアルヴィナへ投擲!
 更に4本、6本、8本を数を増やして投げまくる!
 だがアルヴィナは、パイルバンカーのマシンそのもので全ての苦無を弾き返し、そのまま一瞬で鹿村の懐へ飛び込んできた。
「零距離、いただきまぁす!」
 突き出されアルヴィナの右腕。
 そこに装着された巨大装置が爆裂し、白煙とともに高速で金属杭が鹿村の肩口をごっそりと抉ってゆく!
 飛び散る彼の血肉が、アルヴィナの頬に返り血となって浴びせられた。
「ッ痛ってーなおい!? でも、“やっと近付いたな”?」
「へ……?」
 アルヴィナが何のことやらと疑問に浮かべた次の瞬間!
 カシムはパイルバンカーを左手でむんずと掴んで、アルヴィナの動きを一瞬だけ止めてみせる。
 その時、足を止めた猟書家の背後へ、大量の苦無が殺到!
 まるで“意思を持つかのごとく”、勝手に動き出したではないか!
「がは――ッ!?」
「忍者を従えていた割には、忍の常套手段には弱いんだな?」
 鹿村の先程投げた苦無はフェイントであり、次なる攻撃への布石であった。
 苦無がそれぞれ勝手に動き始めたのは、、鹿村が大まかに苦無それぞれを念動力で動かしているからだ。
 よくよく見てみれば、苦無が猟書家のスカートの裾を畳に縫い付けているではないか!
 前ばかりを見て突進してきたアルヴィナは、よもや背後から強襲されるとは思っていなかった。これでは回避は不可能だ!
 この好機に、背後からの強襲で動きが鈍った猟書家へ、鹿村は必殺のユーベルコードを解き放つ!
「“視ずの鳥其の嘴は此の指す先に” ……穿て、大鉄嘴!」
 握り込んだ苦無に圧縮空気で凝り硬めると、全力で横薙ぎに腕を振るう鹿村!
 これぞ必殺の一撃! 名を『空嘴(カラバシ)』と呼ぶ!
 ツルハシ状の圧縮空気が、アルヴィナの鳩尾に突き刺さる!
 猟書家の肋骨の粉砕音が中庭に響き渡る!
 同時にスカートの裾がちぎれる音と共に彼女の身体が中庭へ弾け飛んでゆけば、そのまま池の中へアルヴィナは叩き落されてしまう!
 そこへ降り注ぐ魔力光弾の数々が、アルヴィナの頭上に浴びせられた!
 凄まじい光弾の数は、まるでゲリラ豪雨の如し!
「どうですか、この密度の弾幕! 僕らを雑魚と言った仕返しですよ!」
「ご主人サマは根に持つタイプだね♥」
 屋敷の屋根の上から、メルシーは万能魔術砲撃兵装『カドゥケウス』からガトリング砲の如く弾幕を張り続け、カシムもメルシーと精神を同調させることで『帝竜眼』……かつての帝竜が一体の水晶眼球から、メルシーと同様の攻撃を仕掛けてゆくカシム。
 しかも2人は透明化を保ったまま、屋敷の屋根をあっちこっちへ飛び移るため、アルヴィナはどちらがカシムなのかが見当もつかない!
「くそっ! やるなら真正面からぶつかってきなよ!」
「「嫌どすえ~♥」」
「は……腹立つぅ~っ!」
 主従が声を合わせてアルヴィナをおちょくり、これにアルヴィナはますます冷静さを欠いてゆく。
 だからこそ、今度はティエルの付け込む隙が生まれた!
「ようし、服の中からこちょこちょしちゃうぞー☆」
 アルヴィナの修道服のような衣服の中に潜り込んだティエルは、そのまま猟書家の素肌に自身の小さな指でくすぐり始めた!
「そ~れ! こちょこちょこちょこちょこちょこちょー♪」
 絶妙な力加減とくすぐりポイントの見極めによって、アルヴィナはたちまち身を捩らせて大笑い!
「きゃははははっ! やめっ! ちょっ! そこは駄目だって! あはははははっ! 待って待って! そんなとこまで触らないでって! あ~っはははははっ!」
 蓄積ダメージを焼いたアリスの肉で回復しようとしていたアルヴィナは、くすぐられたことで食事がままならなくなってしまった!
「さあ、みんな! 今がチャンスだよ☆」
 ティエルの叫びに、鹿村に白燕、そしてカシムが動いた。
「もっと愉快にしてやろうか?」
 鹿村は苦無に笑いキノコの毒を塗りたくると、そのままアルヴィナの胸元に突き刺した。苦無の刃から笑い毒に冒されたアルヴィナは、更に笑い転げてゼーハーゼーハーと酸欠気味に陥る。
 そこへ白燕の小太刀の一閃がアルヴィナの身体には叩き込まれる!
「一矢報いん!」
「きゃはははははっ!」
 痛みすら笑えてしまう状態のアルヴィナは、今や完全に無防備だ。
「それじゃ、その物騒なお肉は没収しますね?」
 カシムはすっと猟書家の脇を通過しただけで、アルヴィナが隠し持っていた調理済みのアリス肉の数々を盗んでいってしまった。
 両手で山のように隠し持っていた“食料”の量に、カシムは静かに怒りを滾らせる。
「こんな大量の少女の肉を……これは許せませんね!」
「美少女が絡むと急に正義感を振りかざすご主人サマ、メルシーは好きだよ♥」
 主従コンビが至近距離でアルヴィナへ魔法弾を浴びせまくる!
「「お空のお星さまにな~れ!!」」
「ぐわああァァァ~ッ!!!」
 爆発音とともにアルヴィナの体が宙を舞う!
「たーまやー☆ よく飛んだねー!」
 ティエルは間一髪のところで衣服から脱出すると、アルヴィナの吹っ飛び具合にケラケラ笑うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リオ・ウィンディア
ウィンディアで参戦

ナイフにてお姉ちゃんたちと連携をとりつつ
攻撃を【見切って】
姉の陰をから【早技展盗み攻撃】刃を切り返しての【2回攻撃】を繰り出す

やっぱり私、こんな攻撃じゃお姉ちゃんの足手纏い…
だけど、だけど、私だってお姉ちゃんの力になりたい!
あぁだからもう、私の為に傷つかないで…

優しい旋律で【演技と歌唱】で幕を開ける
悲しい音色はしかし敵への復讐に変わり
数メートルの間合いができた隙に狂気じみたハイソプラノでUCを発動

増悪は地獄の炎
復讐の神よ私を祝福しておくれ
私がどれだけ姉たちを愛しているか
お前にはわかるまい

ああ、生かしてはおけぬ
私は姉たちに出会うために生まれ
そして冒険に何度だって向かうだろう


テラ・ウィンディア
ウィンディア

闘争を望むか
同感だ
一つ…挑ませて貰おうか!

シルにリオも来てくれたか!ならば負ける道理なしだ!

「…この子達がテラの姉妹ですね」挨拶子猫

【戦闘知識】
中庭の構造と敵の動きと状態の把握

随分と凄そうな武器だが…おれの脚だって負けてないぞ!

【属性攻撃】
炎を全身と武器に付与

【見切り・第六感・残像・空中戦・武器受け】
高速で飛び回りながらシルの支援砲撃も利用して誘いもかけ

リオに攻撃が迫った瞬間
シルと共に
【串刺し】
槍による猛攻で動きを止め

【早業・二回攻撃・レーザー射撃・遊撃】
剣と太刀に切り替えての斬撃とガンドライドでの光線

空中を制した瞬間

我が全霊を楽しめ!
メテオブラストぉ!
【重量攻撃】で威力強化!


シル・ウィンディア
【ウィンディア】
アドリブ◎

忍者さん達の為にも、頑張りますか
テラ、リオ、無理はしちゃだめだからね
…さぁ、やりましょうかっ!

わたしは中衛でフォローに回るよ

今回は剣ではなくて、風精杖と腰部の精霊電磁砲で支援中心

【属性攻撃】と【誘導弾】で風精杖から風属性の魔力弾を撃ちつつ
時間差で精霊電磁砲の【誘導弾】で足や腕を狙って攻撃
攻撃タイミングは【第六感】を信じて
敵の動きを【見切り】
【スナイパー】で狙いを付けるよ

リオの方に近づいてきたら
左手に光刃剣を持って割り込んで防ぐっ!

押されるかもだけど
テラとリオを信じて…

敵が二人に気を取られたら
【高速詠唱】と【全力魔法】の《選択UC》

さぁ、全部持ってけーーっ!!



 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は、満身創痍になっても立ち上がる猟書家『獣狩りのアルヴィナ』に、紅龍槍『廣利王』の赤く燃えるオーラが滾る穂先を突き付けていた。
「おいおい……ひどい怪我だな? 無理して立ち上がらなくてもいいんだぞ?」
 テラの皮肉にアルヴィナは一笑で返した。
「あはははははっ! こんなに楽しい闘争は久々なんだ! 寝てるわけにはいかないね!」
 肋骨は砕け、額から血が流れ、意識も半ば朦朧としている。
 それでもアルヴィナは闘争を求める。文字通りの狂戦士だ。
「あくまで闘争を望むか……同感だ。おれも、お前と戦って打ち勝ってみたいって思ってた」
「もしかして同類って奴だ? いいねぇ!」
 アルヴィナの目が喜色と敵愾心で満たされ、ドス黒い殺意として顕現する!
 テラも目の前の猟書家を殺さんと、怒りを槍への魔力に変換してゆく。
「ではひとつ……試させてもらおうか!」
「その可愛い顔に風穴を開けてあげるよぉ!」
 遂に、2人は激突して最終決戦が幕を上げた。
「あああああああぁぁっ!」
 テラは己に炎の闘気を纏わせ、突っ込んでくるアルヴィナを牽制!
 足元の畳が黒く焼け焦げ、相当の熱波が発生していることが傍目から確認できる。
 だが、アルヴィナ熱波など知らぬと言わんばかりに全力疾走!
 あっという間にテラの眼前に迫っていた!
「零距離、取ったよぉ!」
 アルヴィナ、パイルバンカーの炸薬を起爆せんとトリガーに手をかける!
 だがテラがみすみすそれを許すわけがなかった。
「させるかっ! ヘカテにゃん!」
「うにゃーっ!」
 テラの首元にしがみついていた黒い子猫――スーパーロボットである三界神機『ヘカテイア』が変化した姿が、アルヴィナの顔面に飛び付いたのだ。
「自分で言ってて悲しくなりますが、猫の爪研ぎ攻撃です!」
 そのままバリバリと猟書家の顔面で爪研ぎをするべく引っ掻きまくるヘカテにゃん!
 神機としてではなく、猫の姿で活躍してしまったことにヘカティアは複雑な心境だ。
 それでも、この不意打ちによってアルヴィナのパイルバンカーは不発に終わる。
「ぎゃあっ! 痛ったいなあ! 猫が邪魔だ!」
「ふにゃあっ!」
 ヘカテにゃんはアルヴィナに背中を掴まれて放り投げられてしまった!
 思わずそれを目で追ってしまうテラ。
「ヘカテにゃん!」
「ねえ、何処見てるのかなぁ?」
 再びパイルバンカーをテラの超至近距離で身構える猟書家。
「今度こそ、取ったよぉ!」
「まずいっ!」
 テラは防御を固めるべく身が縮こまる。
 絶体絶命!
 しかし、その時だった。
「風の精霊よ、妹を助けて!」
 聞き馴染みのある声とともに、猟書家は突如巻き起こった旋風によって後ろへ吹き飛ばされてしまった!
 テラは驚いて、声のした方へ振り返った。
「大丈夫、テラ!? もう大丈夫だからね!」
 青髪碧眼の、テラとよく似た顔をした少女が風精杖『エアリアル』を掲げていた。
 シル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)――二卵性双子のエルフの姉妹の姉が、妹テラの窮地に駆け付けてくれたのだ。
「私もいるわよ、テラねぇ?」
 シルの後ろで隠れるようにいるのは、シルとテラの妹のリオ・ウィンディア(Cementerio Cantante・f24250)だ。
「シルにリオも来てくれたか! ならば負ける道理なしだ!」
 思わぬ助っ人に、テラはより一層闘志を燃え上がらせる。
 そこへトコトコと駆け寄ってくる黒い子猫。
「……この子達がテラの姉妹ですね。どうも、はじめまして。私は冥界の女王であり神機シリーズが一柱、名をヘカ……」
「ヘカテにゃんだ! 仲良くしてやってくれ、シル、リオ!」
「いや猫じゃないですしっ!?」
「わぁ可愛いー!」
「よろしくおねがいしますね、黒猫さん?」
 自己紹介を遮られたヘカテにゃんは必死に否定するが、もうシルとリオには猫として第一印象が固定されてしまった。
 と、ここで、吹き飛ばされたアルヴィナが再び立ち上がる。
「あーびっくりした! 本当に猟兵ってぞろぞろ増えるよね? また増える前にさっさと潰しちゃおう!」
「2人とも、構えろ! こいつ、本当に強いぞ!」
 テラの忠告に、ウィンディア姉妹は自然と己の立ち位置へ付く。
 前衛はテラ、中衛はシル、後衛はリオ。
「忍者さん達の為にも、頑張りますか。テラ、リオ、無理はしちゃだめだからね? さぁ、やりましょうかっ!」
 普段こそはシルもバリバリの前衛職なのだが、今回はテラのサポートに徹すると決めた。
 一方、リオは暗殺者のナイフを片手に不安げな表情。
「どうしましょう。お姉ちゃんたちの足を引っ張ってしまいそう……」
 姉妹の中では猟兵としての経験が最も浅いのがリオである。
 あの凄まじい決戦武器に、ナイフ一本で立ち向かうのは無謀過ぎるのは自身も理解しているのだろう。
 だからこそ、猟書家に狙われやすくなる。
「そんなちっちゃなナイフで、ボクのパイルバンカーに勝てっこないよねぇ?」
 アルヴィナの身体が地面を蹴り、その場から弾けた。
「疾いっ!?」
 シルが一瞬、アルヴィナの姿を見失う。
 気が付くと、既に敵はシルを抜き去ってリオの目の前に居るではないか!
「まずい! 随分と凄そうな武器だが……おれの脚だって負けてないぞ!」
 炎のオーラを爆発させ、ロケットブースターめいた推進力を得ながら駆け出すテラ。
 シルも風の精霊の助力で素早くリオのもとへ飛び込む。
「弱い奴はボクの養分になってねぇぇぇ♪」
 パイルバンカーの炸薬が爆発!
 轟音とともに鉄杭がリオの心臓に向かって高速射出!
「させるかぁッ!」
「届いてっ!」
 シルの左手に持った光刃剣『エレメンティア』の剣身が伸びる!
 そのままアルヴィナの眼前へとインターセプト!
 更に猟書家の足元を狙って精霊電磁砲『エレメンタル・レールキャノン』から魔力電磁弾を発射!
 アルヴィナの足元の畳が爆裂する!
「うぐゥッ!?」
 踏ん張りが効かなくなったアルヴィナの一撃は狙いが外れ、僅かにリオの左目の僅か数センチ横を掠めてゆく!
 ナイフを持ったまま、恐怖で何も出来ないリオ。
「リオ、そのまま動くなよ?」
 テラはリオの目の前に割って入ると、アルヴィナの脇腹へ槍の穂先を突き立てた。
 猟書家の腹が赤く染まってゆく!
 そのままテラはアルヴィナの胸元を蹴り飛ばし、強引にリオとの間合いを広げた。
「く、くそっ! あと一歩だったのに!」
 たたらを踏むアルヴィナは、なけなしの焼いたアリスの肉塊を口に放り込んで咀嚼。
 これが彼女にとって、最後の自己再生である。
「妹にはこれ以上近付かせない!」
 シルは風の杖による風圧弾と電磁魔力弾の波状攻撃によって、アルヴィナの接近を拒んでゆく。
 相手は完全に近接攻撃特化。
 シルの弾幕展開は想定以上に効力を発揮した。
「ああ、もう! うっざいなぁ、それ!」
 アルヴィナは押し寄せる魔力弾の嵐を全身に浴びて、なかなか前へ足が出てこない。
「なるほど、射撃に弱いのか! おれもそれに倣うとするか!」
 テラは武器を槍から星刃剣『グランディア』と錆鞘之太刀に持ち変える。
 そして、ヘカテにゃんに告げた。
「喜べ、ヘカテにゃん! 神機っぽいことで活躍できるぞ! ガンドライドだ!」
「あ、はいっ! お二人を援護射撃しますね!」
 黒い子猫は、虚空から3つの砲身を持つ小型浮遊自走砲台群を召喚!
 元はキャバリアサイズの兵装なので、小型と謳えどかなり大きい。
 人間サイズで言えば大砲とさして変わらぬそれらから、アルヴィナへ向けて容赦なく砲撃は繰り出される!
 庭園が土埃を高々と上げて爆ぜた!
「ぎゃあああっ!」
 爆風にまたしてもアルヴィナは吹き飛ばされてしまった!
 そして屋敷の庭も全て吹っ飛び、完全な野ざらしになってしまった。
「わ……私自慢の、庭園が……椿の生け垣が……」
 がっくりと崩れ落ちる椿姫を、白燕が必死に支えた。
「また作り直しましょう。今は命あっての物種でございます」
 よもや2人は、他人の家で猟兵に自走砲をぶっ放されるとは思ってもなかっただろう。
 ところで、姉2人の奮戦ぶりをただ傍観するしか出来ないリオは自責の念に押し潰されそうになっていた。
「やっぱり私、こんな攻撃じゃお姉ちゃんの足手纏い……。だけど、だけど、私だってお姉ちゃんの力になりたい! あぁだからもう、私の為に傷つかないで……」
 何処か芝居じみた言動でリオは己の無力さを嘆く。
 その心の言葉は次第に歌声に変わり、持参してきた手巻きオルガンを奏でてゆけば、音楽はユーベルコードに昇華してゆく。

 ♪増悪は地獄の炎
 ♪復讐の神よ 私を祝福しておくれ
 ♪私がどれだけ姉たちを愛しているか
 ♪お前にはわかるまい

 オルガンの音色は優しく、けれど歌声は苛烈で悲愴で、己の嘆きと復讐心をアルヴィナへの呪歌として吐露していった。

 ♪ああ、生かしてはおけぬ
 ♪私は姉たちに出会うために生まれ
 ♪そして冒険に何度だって向かうだろう

 その歌声の名は『Reproducción(レプロドゥシール)』。
 今、この場にいる姉2人の精神的、肉体的苦痛に比例した威力と攻撃範囲の呪歌がリオの必殺のユーベルコード。
 聞いた者はたちどころに発狂し、精神内部から崩壊してゆくのを止められないだろう。
 だが、今回に限ってはその効力もさほど期待できなかった。
 理由は2つ。

 まずは、姉達の攻撃が砲撃や射撃であり、リオの歌声がそれらで発生する爆音で掻き消されてしまっていた。
 これは完全な作戦ミスである。せめて白兵戦に特化すれば、歌声が届いたであろう。
 更に、アルヴィナは最初から歌になど気に留めていない。
 目の前の獲物にパイルバンカーを打ち込むことしか頭にないからだ。
 それ以外のことなど意識の外、認識していない。
 つまり、彼女のユーベルコードとの相性が悪すぎた。
 とはいえ、呪歌の効果がまったくないわけではなく、超自然的な効力でアルヴィナの身体性能の低下を招く程度に効力が留まった。
 シルとテラは妹の頑張りを無駄にするわけにはいかなかった。
 まずはテラが仕掛ける。
 二刀流による素早い剣撃を放って、敵の意識を目の前に引き寄せる。
 その瞬間、テラは二振りの剣を畳に刺すと、柄を踏み台にして多段ジャンプ!
「星よ……世界よ……流星の力を我が身に宿せ……! 今こそ我が身、一筋の流星とならん……」
 高々と跳躍したテラが空中で一回転、遠心力を付けた強烈な踵落としをアルヴィナの脳天へ叩き落とす!
「我が全霊を楽しめ! メテオブラストぉ!」
 重力操作で己の踵の衝撃を何倍にも高めた超重力の踵落とし!
 アルヴィナはパイルバンカーで受け止める!
 だが!
「ぐわああァァァーッ!?」
 パイルバンカーが爆発四散!
 テラのユーベルコードの威力に、パイルバンカーの耐久性が持ち堪えられなかったのだ!
 そして脳天に走る踵落とし!
 あまりの衝撃に、アルヴィナの頭蓋骨と顎が砕けてしまう!
「あガっ!」
 衝撃に耐えようと噛み締めた瞬間、アルヴィナの奥歯ごと顎が粉々になったのだ!
 そのダメージ具合に、アルヴィナが思わず狼狽する。
「……今がチャンス!」
 シルはトドメを放つべく、体内の魔力を全集中。
 眼前に魔法陣を構築させると、それは具現化して虚空に浮かび上がる。
「闇夜を照らす炎よ! 命育む水よ! 悠久を舞う風よ! 母なる大地よ! 我が手に集いて、今こそ全てを撃ち抜きし光となれっ!!」
 4色の属性魔力が魔法陣を光り輝かせた次の瞬間、虚空から膨大な魔力の奔流が猟書家へ放たれた!
「いっけーっ! 470連エレメンタル・ファランクス!!」
 魔法陣から暴風が如く荒れ狂う4属性の魔力砲撃のガトリングパレード!
「ちくしょうッ! ちくしょうめえェェェーッッ!!」
 猟書家は全身が粉々に爆散し、断末魔を上げて骸の海へと沈んでゆくのだった。

 ――戦闘終了後。
 椿姫は半壊した武家屋敷と、跡形もなく吹き飛んだ中庭を前に呆然としていた。
「あ、ああ、嗚呼……!」
「主様、お気を確かに……」
「……そうだ、引っ越すわ。白燕、今から荷物をまとめなさい。今度は静かに暮らせる場所で、誰にも会わずに引き篭もるわ……そこで椿を育てて、日がな一日愛でるのよ。そうよ、それがいいわ……」
「あ、主様っ! どうかしっかりして下さいませ!」
 スタスタと残った屋敷の中へ消える椿姫の背を、慌てながら追いかける白燕。
 はたと立ち止まると、踵を返して猟兵達へ一礼した。
「どのみち、騒ぎを起こしてしまいましたので、この村にはもう居られますまい。新天地を早急に幕府に見付けてもらいますゆえ、心配御無用でございます。主の命を救ってくださり、ありがとうございました」
 再び頭を下げた後、白燕はいそいそと椿姫の背中を追い掛けていったのだった……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年01月29日
宿敵 『獣狩りのアルヴィナ』 を撃破!


挿絵イラスト