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銀河帝国攻略戦⑤~星海高らかに開戦を歌え~

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「さぁ猟兵共よ、楽しい楽しい戦争の時間よ」
 ココココ、嘗ての姫将軍の姿となったアイリ・ガング―ルがグリモアベースで君たちに声を掛ける。
「まずはの、みども達『解放軍』に合流しようとする宇宙船を撃破しようとする宇宙戦艦を沈黙させて欲しい」
 そう言ってアイリはタブレットを差し出し、そこに展開された戦域図の一点をタップ、拡大させる。鋭角的な宇宙船がタブレット上に展開される。
「みどもがお主らを転移させる戦艦はこいつじゃ。搭載されているのは小型歩兵戦車。厄介じゃよ?」
「まずインペリアルキャノン。これは広範囲に攻撃できる。さらにはサイキックナパーム。念動力で自由に動かすことが出来る。回避が難しい」
 さらに、ピッと人差し指を立てて、
「戦車という位じゃ、歩兵も搭載しておる。実際に戦闘となるとそいつらも展開してくるから乱戦となるじゃろうよ。気を付けな?」
 そう注意を述べならがらアイリはしかし、と更に言葉を重ねる。
「とはいえみどもの力でお主らは帝国戦艦内に転移出来る。広範囲を攻撃できるインペリアルキャノンもサイキックナパームも自陣で使い辛いじゃろう。そこに付け入るスキがあるじゃろうよ。頑張るが良い」
 そうしてココココ、笑い扇子で口元を隠し、
「みどもがお主らに要望するのはこの戦艦の沈黙じゃ。戦意を挫く位ぼっこぼこにしてやれ。期待しておるよ」
 さぁ猟兵諸君、戦争の時間だ。過去を骸の海に還す、その鏑矢を放て。


みども
 みどもです。カッコよく頑張ってください。みどもも頑張ります。
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第1章 集団戦 『小型歩行戦車』

POW   :    インペリアルキャノン
【機体上部に装備されたビームキャノン】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    タンクデサント
【完全武装した銀河帝国歩兵部隊】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    サイキックナパーム
【機体後部から投射する特殊焼夷弾】が命中した対象を燃やす。放たれた【搭乗者の念動力で操作できる】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

黒川・闇慈
「戦車と戦うのは兵士やロボットの役目だと思ってましたが、魔術師としてそれをやることになるとは……クックック」

【行動】
wizで対抗しますよ。
戦車とはいいますが、装甲の薄い部分や、攻撃に対応しにくい死角というのは存在すると思うのですよねえ。なので狙うのは直上からの攻撃、いわゆるトップアタックというヤツです。
属性攻撃、全力魔法、高速詠唱の技能を活用して失墜の一撃を使用します。相手の直上から魔力球で攻撃しましょう。

『天から落ちるは落命の一撃、来たれ暗黒、フォールン・スマイト』
「ご自慢の装甲が、私の魔術にどれだけ耐えられるか見ものですねえ……クックック」

【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】


月山・カムイ
歩行戦車ということは……足を断ち切れば相手の自由はかなり妨げられますかね?
まぁ、装甲の厚さなどもあってそう簡単にさせては貰えないでしょうけども

相手が焼夷弾を放って炎が上がったタイミングに合わせて突撃
戦車の4本の足の一つを、関節部を狙って剣刃一閃にて破壊する
バランサーの効果でそう簡単には転ばないだろうが、もう1本の足を破壊出来なくても強い衝撃を与えれば転がす事が出来るでしょう

まずは自由を奪い、キャノンの有効範囲を狭める
然る後に機関部の破壊を狙いましょう


ヴィクティム・ウィンターミュート
ハァー…ったく、ちったあ平和ボケさせろっての。仕事だ仕事。愉快で素敵でクソッタレなビズの時間だ。端役やんのも忙しいねえ…。

戦場駆け抜けて、範囲攻撃で一気に殲滅だ。【ダッシュ】で狙いを定められないように動きながら、奴らの制御システムに【早業】で【ハッキング】を仕掛けて、【破壊工作】でクラック。生じた隙にすかさずユーベルコードをぶっ放して、広範囲の敵のコアをぶっ壊す。ヤバそうな攻撃は【見切り】でさっと回避しよう。

まずは前哨戦だ。俺の前にテクノロジー引っ提げてやってきたこと、骨の髄まで後悔させてやらぁ。


蒼焔・赫煌
てってってー! うーん! 正にヒーローが大立ち回りするにはぴったりの舞台ね!
可愛いボクの出番ってわけさ、正義の味方魂を見せてやろうじゃないか!

近くにいる皆を【かばう】で守りながら、突撃、突撃!
可愛いボクのヒーローパワーは身を削ってこそ!
攻撃を放ってる戦車に近づいてら【カウンター】からの【捨て身の一撃】!
どかんとガシャドクロで叩き斬って差し上げますとも、ざっくざくー!
はっはー! 次の敵はどっこかなー!
可愛いボクの正義の血潮が燃え滾る限り、最初からクライマックスヒーロータイムさ!!


リンタロウ・ホネハミ
いやいや無理無理あんなん無理っす!!
だって鉄っすよ!!
は?なんとか合金?金属は鉄と銅と銀と金だけっすよ!!
いやマジやってらんねぇからオレっち逃げ……え?歩兵もいる?
――前言撤回、ぶった斬るっす!!

つーわけで豹の骨を食って【〇八三番之韋駄天】を発動!
スピードを活かして攻撃を避けつつ接近
戦車を守る歩兵を片っ端から骨剣"Bones Circus”でぶっとばしてやるっす!
うん、斬れたらね、いいんすけどね
あの防具斬れっかなぁ……まあいいや、斬れなかったらぶっ叩いて気絶させてやるっす!
それも無理なら武器をはたき落としてやるっす

これが"骨喰”リンタロウの戦い方っすよ!

アドリブ大歓迎


狭間・悠弥
まさか空の上の世界にまで来れるとは思ってもみんかったなぁ
長生きはしてみるもんやな。俺まだ17やけど

さぁて、あの鉄の蜘蛛も厄介やけど、中から蜘蛛の子のように出てくる歩兵も面倒やな
アイツらの相手は俺がやるか

囲まれる前に出鼻を挫く
歩兵部隊の先頭の奴の顔面に向けて【忍者手裏剣】を投擲
鎧着込んでても本能的に守ろうとするやろうから、
その隙に【残像】を残す速度で一気に近寄ってまずは一撃

その歩兵を盾にして、そいつが持っとる銃の引き金を引いて周りの敵に斉射や
敵が諸共撃ってくるなら盾を蹴り捨てて離脱
蜘蛛が撃ってくる焼夷弾の動きを【見切り】、爆発せんように横っ腹から掴んで【怪力】で歩兵部隊にぶん投げて起爆させたる



「てってってー! うーん! 正にヒーローが大立ち回りするにはぴったりの舞台ね!」
 宇宙戦艦の中、革命軍に合流しようとする宇宙船への攻撃の為、小型歩行戦車が格納されている数あるスペースの内の一つ。その小型歩行戦車の前に、唐突に少女が現れた。
「は・・・?」 
 銀河帝国の兵たちの空気が一瞬止まる。蒼く、スタイルの良い少女だ。青いミニスカートに臍を出して、少し扇情的な恰好の今どきの少女。鍔に骸骨を意匠した大太刀を携えているといえど、それもコスプレのようでなぜここにいきなり現れたの理解が及ばない。
 膠着。何とも言えない雰囲気の中、少女、蒼焔・赫煌が唇を尖らせ、
「反応が薄いなぁ。でもいいさ、魅せてあげるよ、正義の味方を!」
 そう言うや否や、自身の手の平に太刀を走らせ、血を流す。その血が刀身を伝い、刃が赤く胎動して、少女は叫んだ。
「《矢尽きれども我が刀は折れず/ガシャドクロ》!!!!」
 瞬間、少女の身を、刃があちらこちらについた骨鎧、【粉骨再刃ガシャドクロ】が包み込む。そのまま眼前の小型歩行戦車に突貫する。
「どかーん!」
 ズガァ!!!!!!!!!!!大太刀と鎧の刃の振り下ろし。能天気な声の数十倍は物騒な音が響き渡り、小型歩行洗戦車が拉げ、一台戦闘不能になった。
 事ここに至り、帝国兵達も状況を正確に認識する。つまりは先制攻撃で奇襲を受けているのだ。しかし・・・・・・
「わ・・・・・・ワープドライブ!?しかしこんな精密な!?」
「違うよ!テレポートだよ!」
 フンス、少女は胸を張る。ボクたちは猟兵なのです。
「敵襲!!敵襲!!!!!」
 そのままの勢いに任せて刃を振るうと、ついに宇宙戦艦内にアラートが響き渡り、歩行戦車達も戦闘態勢に入る。
「さぁ!行こうか皆!」
 正義の味方たる少女は高らかに宣言し、さらに猟兵達が戦艦の各所、小型歩行戦車が格納されている各セクションに転移して来る。さぁ、戦争の開始だ。
「何勝手に主役気取ってんだよおい!」
 声と共にまず動いたのは赫煌と同じヴィクティム・ウィンターミュートだ。ドラゴニアンは、常ならぬ動きで以て駆けてゆく。【リアクション・エンハンサー】と【コンバット・ドラック】の合わせ技は良好だ。【バロール】で戦車を視界に捕え、即座にクラック。内部で操縦する者たちの声が聞こえる。
「いいか、敵を撃破する為とはいえ船内だ。インペリアルキャノンの出力には細心の注意を払え」
「ハッ!アホかよ」
 密集してる場所だ。翻弄されているが故にまだ歩兵を展開できていない現状、出力を絞っているが故に水鉄砲のような細いビームが四方八方から放たれるのを難なく避けながら着々と”患者”を増やしていく。
「だー!!!無理無理無理!なんすかこの光る魔法!!!避けれるからいいっすけど、避けた先がなんか焦げてるっすけど!死ぬ!これ当たると死ぬ奴じゃないっすか!?」
「るせぇ!!」
 着々と歩行戦車の攻撃を避けつつクラックするヴィクティムに新たに併走する男が現れた。同じ猟兵のリンタロウ・ホネハミだ。自由騎士のせがれとして喜び勇んで戦争に出てみれば、うちゅう?なんとかごうきん?
 ホネハミの世界では夜は訪れるもので、それを海として漕ぎ出す世界は知らなかったし金属は鉄と銅と金と銀だけだ。『世界観が違う』。事実かつ実感としてそうだった。つまり自分の技は使えるのか?分からない。分からないからこそ逃げ惑っていた。
「どうだー!!あはははは!!!」
 ズガァン!!!離れた場所で赫煌が暴れている。よくもまぁ出来たものだと思う。あっちはあっちで大変そうなので、とりあえずは何やら余裕そうなヴィクティムに併走している次第であった。
「切れねえっすよ知らねぇっすよごうきんなんか!ヴィクティム!どうにかしてほしいっす!っていうか逃げていいっすか!?」
「だぁー!!逃げたきゃ逃げればいいだろうが!この宇宙のどっかに逃げる場所があるんならな!」
 イラつき。けれど自分の仕事は、仕込みは終わった。だから突然、インペリアルキャノンを避けていた足を止める。リンタロウは気にせず動き、インペリアルキャノンの攻撃を避けようとした。
「何してるんスか!?魔法が・・・こない!?」
「ッたりめぇだ馬鹿」
 今やヴィクティムは完全に周辺の小型歩行戦車の火器管制を掌握し、機動システムすら支配下に置いていた。
「ハッ!俺を前にテクノロジーを携えてのこのこ出て来やがって、鴨葱かよ」
 そう言いながら瞬間、電子装備からAR《拡張現実》として非実体の花弁が投影され、周囲半径20メートルほどを飛び交う。それこそが、今までヴィクティムによってクラックされた戦車を終わらせる手向けの花弁。電子部品を破壊する必中の花弁が触れた先から戦車達がそれぞれ、インペリアルキャノンで照準始める。焦る兵達の声、どうにか搭載した歩兵たちは戦車から降りて来るが、戦車そのものは終わりだ。
 各種情報蒐集デバイスから蒐集した情報をもとに各所に散った猟兵達には被害が及ばない形でそれぞれを照準されたインペリアルキャノンが最大出力でチャージされる。
「ハッ!領分は超えているから好きじゃねぇが、効率優先だ。《Killing Program『Execute』/ショケイニンノミナゴロシ》」
 呟いた瞬間、最大出力で放たれた同士討ちのインペリアルキャノンがそれぞれの戦車を光に変え、地面すら貫き、宇宙戦艦に内部から甚大な被害を齎した。
「いい感じのスコアじゃねぇか」
 満足げにヴィムは頷き、目の前の歩兵部隊の群れを見据える。「家」は無くしたがまだ「生徒」は残ってる。
「宇宙の藻屑(家)に変えるまでが遠足ってなぁ!」
 武器を構え、ヴィムが一歩踏み出そうとした瞬間、
「ほ・・・歩兵じゃないっすか~~~!!!!」
 臆病者と内心侮りかけていたリンタロウが横から嬉しげな声を上げた。
 まるで長らく会う事の出来なかった恋人に会う事が出来たかのような熱烈な声に思わず横を向く。
「なんだお前!?」 
 そしてヴィムは神妙な顔になった。リンタロウの瞳がらんらんと輝き、獲物を見つけた豹のように引き締まっていたからだ。
「ああ、なるほど。リンタロウ、お前、これがお前のビズって訳だな」
「ヒヒヒ、”骨喰”、見せてやりますよヴィクティム」
 嬉しさのあまり引き笑いをしながら骨をかみ砕き、リンタロウは新たな骨を手に持った。
「《0八三番之/ナンバーエイティーシックス》・・・・・・」
 豹の骨、それをかみ砕き、
「《韋駄天/パンサーボーン》・・・・・・!」
 瞬間リンタロウは風になった。ああ、楽しい。風の中リンタロウは朗らかに笑う。歩兵。持っているのは銃だ。知っている。避ければどうという事はないやつだ。幸い相手が浮足立ってるので、
「さいなら!」
 群れの命を絶ち切ってやった。
 まず歩行戦車がヴィムによって蹂躙され、這う這うの体で出てきた帝国歩兵部隊は立てなおす前に今度はリンタロウによって蹂躙されていった。斬れれば斬るし斬れなければ殴る。宙の海に漕ぎ出でた民たちが原初、野生の暴力によって地面にたたき伏せられていく。その様を見て、ヴィムは他の歩行戦車を対処する事にした。
 餅は餅屋。あれならばむしろ自分が歩行戦車を無効化し、リンタロウに歩兵を無力化してもらうのがいいだろう。
「やるじゃねぇか・・・・・・」
 なるほど、先程は一瞬不安になったが今も聞こえる殴打の音が、リンタロウという猟兵の存在を確かなものにしていた。

「私が足を止めて」
 爆発するナパーム、その炎すら置き去りにして一房、赤をあしらった黒髪の少年が小型歩行戦車へ接敵し、《剣刃一閃》。白刃が翻り四脚の内一つが断ち切られ、戦車が傾く。
「俺が出鼻を挫いて」
 慌てて歩兵たちが出てきた其処に、翻るのは忍者手裏剣。先頭の歩兵の頭にそれ
が突き刺さり、もんどり打って倒れ、攻撃の機先を制する。
「ククク・・・フォールンスマイト」
 天から降り注ぐ魔力球が戦車を貫き爆発、歩兵部隊毎撃破した。
 戦車一体撃破。残心を行い次の敵を見据えつつ、厳しい声で黒髪に一房の赤い髪を持つ少年、月山・カムイは声を掛けた。
「連携、即席ですが形になりそうですね」
 ヴィクティムや赫煌にリンタロウが戦っている格納庫とはまた別の格納庫に転移した3人は油断なく敵を見据え、各々の技能から導き出される役割の確認に、まずは敵の歩行戦車を1体撃破してみせた。
「そうじゃな。所詮絡繰りだろうが蜘蛛は蜘蛛。脚抜いてひっくり返したらこんなもんかい」
 あっけからんと応えるのは狭間・悠弥。しかしてまさか空の上の世界に来れるとは。内心驚きがあった。だが、結局真理は変わらない。即ち、「殺せば死ぬ」という事だ。だから構える。まだまだ戦いは続いていく。消耗の大きい変身は控え、忍者手裏剣を構える。
「所詮は鉄くず、という事でしょう」
 そういって【18式増幅杖・メイガスアンプリファイア】を構え治したのは黒川・闇慈。魔術の探求を主として生きる彼にしてみれば、この戦いですらあくまで『自身の魔術が銀河帝国に通じるのかどうか』というある種の実験をしているに過ぎなかった。
 転移してきた3人を前に、四方八方を歩行戦車が囲む。敵は多い。さらには歩兵すら展開して、もはや数の差は明らかだ。遠く音が響く。他の連中も相応に暴れているらしい。なら、自分達も負けてはいられない。
「改めて、行きますよ!」
 先程のは慣らしだ、とでもいうようにカムイが駆ける。放たれるナパーム。念動操作のそれは確かに自由自在で、只人であるなら脅威であろう。けれどそれはつまり、
「知覚出来ないスピードならどうです・・・・・・!」
 早い。歩兵たちに接敵するまでの距離を目に見えぬ速度で駆け抜ける。確かに念動による誘導は誘導兵器として小回りは効くのかもしれない反面、念動を発揮する人の知覚に制限されていた。
 そのまま歩兵たちの間をすり抜け、
「・・・・・・ッ!!!!!」
 歩行戦車に剣刃一閃。今必要なのは千の剣群でなく、一の閃刃だ。両断は困難。故に、あくまで歩行戦車の四脚。その一本を断ち切る。歩兵も多いがそれを吐き出した戦車も数が多い。刃を傷めず、迅速に。戦車が傾き、歩兵たちがこちらに注目する・・・前に次の戦車に移る。
 そうして戦車の機動力を奪っていけば、
「おいおい!俺をわすれちゃ困るぞ!」
 狭間の声が響いた。歩兵殲滅は彼の役割だ。カムイが残像も残さぬ神速であるなら狭間は敢えて残像を見出す雷速。『知覚させない』ことをナパームの対処としたカムイに対して、狭間は『的を絞らせない』事で対処していた。歩兵たちが声に振り向けばそこには同じ男の無数の姿。どれを攻撃すればいい?銃弾が残像に対してやたらめったらに放たれ、けれどどれも本人に当たる事は無い。
 そうしていればいつの間にか戦闘の歩兵の額に手裏剣が刺さり、一瞬ブレて眼前に狭間が現れる。力が抜けていく歩兵の手にある小銃を奪い取り、歩兵を盾に周囲へ乱射。攪乱する。
「はっは!入れ食いやね!」
 叩き込まれる銃弾。盾が要を成さなくなる前に再度雷速の動きで移動して、そうしてどんどん数を減らしていく。
 目減りしていく歩兵に倒れていく歩行戦車、相手も焦れてきていたのだろう。歩兵の被害を考えずにナパームを投下してくる。
「はん!蜘蛛が!しゃらくさい!」 
 降り注ぐそれの一つを飛び上がって横からかっさらい、身に宿す雷神の力で電装を焼き切って爆発しないようにする。
 そのまま今しがた飛び出してきた歩兵の群れに投げ込みながら、
「おい黒川ぁ!」
「ククク・・・言葉が雑ですね」
 しかし答えはあった。直上から正確に焼夷弾が射貫かれ、爆発が起こり歩兵たちが無力化していく。
「さて、では私が精密な攻撃を見せて差し上げましょう」
 神速と雷速。この二人に比べて黒川の本職は魔術師だ。だからだろう。あくまでただ、乱戦の混沌の中を静かに歩む。
 ただ歩くだけの黒川を、狙う歩兵も戦車も居ない。そんな奴に構う暇があるのなら、カムイと悠弥に対処しなければならないからだ。
 だから部屋の中央に立ち、周囲を見渡す。爆発音。黒い風に黒い残像が踊る。
「戦車と戦うのは兵士やロボットの役目だと思ってましたが、魔術師としてそれをやることになるとは……クックック」
 さぁ、見せてやろう。この星の海においてもなおまだ見出されていない深奥があると。星海の合間ではなく、人の精神の中にこそ真なる星は瞬くと。
「天から落ちるは落命の一撃」
 周囲を視線を向ける。機械が、理路整然とした物理世界の最先端が視界に入る。くだらない。ネジで止め、溶接され、電子部品で構成されたその身のなんと脆弱な事よ。
 魔力が天井に溜まり、幾何学的な文様を描く。
「来たれ暗黒」
 そうしてそれぞれ、小型歩兵戦車の頭上に描かれた紋様の中心に暗黒が現出される。やっと相手も認識したのだろう。突如現れたダーク・マターに対処しようとするも。
「無駄です。頭上は、死角でしょう」
 だからこそ狙ったのだ。
 指を一つ鳴らす。
「《失墜の一撃/フォールン・スマイト》」
 闇が墜落し、生が終わり、物理が覆された。
「クッ・・・クックッ!」
 男は嗤う。爆発。
「ちょっと待てや!」
「危ないですね!」
 歩行戦車の大部分が撃破され、爆発したという事は、縦横無尽だった二人もまた、炎に巻かれたという事だ。それで怪我を負う二人ではないが、抗議の声が上がる。
「クックックッ・・・信じていたのですよ」
 5割位本当のことを伝える。気付けば外からも響いていた音が止んいる。どうやら他の場所でも戦車が撃破されたらしい。
 なら、
「お二人とも、艦橋に行きますよ」
 そうしたならひとまずここの戦いは終わりだ。まだまだ前哨戦。次もある。しかし自分の力は通じる。黒川は一つ笑みを浮かべ、ゆったりとした歩みを始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月02日


挿絵イラスト