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銀河帝国攻略戦④~肥沃を滅びから守る者~

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「さぁ語ろうか。舞台はスペースシップワールド、かつて農の実りを携えた艦を再び守り抜く解放軍の物語を――」

●悲劇などもう結構だ(ノーサンキュー!!)
「私としたことが、迂闊だった」
 グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートはいつものような事件のマクラとなる語りを挟む余裕もなく、目を掌で覆って天井を仰いだ。
「普通に艦船の規模として大きく、最新の食糧供給、並びに生体実験に良い環境に目をつけていない筈が、無かったんだ……!!」
 唇の端を歯で破った赤い血を涙のように零し、汗がびっしりと浮かんだ額をハンカチで拭い、2,3深呼吸をし、漸く少しだけ落ち着いたのかグリモアを淡く輝かせた。
 そこには、かつて彼女の予知した大規模な艦船が映し出された。
「すまない。さぁ語ろうか。今回の舞台はスペースシップワールド、行って貰いたい場所は、大規模農業プラント搭載艦『ノミッシュ・アオミィ』 通称ノミィだ」
 大規模農業プラント搭載艦『ノミッシュ・アオミィ』
 最新科学によって数多の土壌・気候環境を疑似的に用意することを可能とし、ありとあらゆる季節の実りを安定して栽培できる優れた農業技術の結晶だ。
 つい先日、送り出した猟兵達によって見事に侵略を免れたこの艦が、帝国軍による襲撃を受けているらしい。
「君達に倒して貰いたいのは、この『デスモ・ブラキオス』 帝国軍も持て余すレベルの恐竜型マシンだ。その破壊力は凄まじい」
 こいつはこいつで、あの豊かな環境を自分の為に改造しようとしていたがね、とありったけの皮肉を込めた笑いでスフィーエは吐き捨てた。
 ノミィの農業機械にこっそり紛れさせるように偽装され、設置されていたが今回の事件を機に起動させ、コアマシンを破壊しようとしているらしい。
 現在はコアマシンのすぐ前にある渡り廊下に入り込んでおり、残念ながら既に重傷者も多数出ているという。
「……私がもう少し目を張っていれば、未然に防げたかもしれない」
 やや疲れたように、スフィーエは壁に背をつけて。
 ふぅ、と息を吐きだした後、目を釣り上げて猟兵達を見渡すと、状況説明を再開する。
 今送り出す場所はデスモ・ブラキオスがいる、コアマシンに続く渡り廊下。
 十分に間取りは広く、巨大な相手ではあるが十分にその性能を発揮できるが、それはこちらも存分に暴れられるから心配はいらないと震える声で語り。
「……まだ間に合うんだ。肥沃な農の自然を、機械の恐竜如きに壊されていい筈がないんだ」
 そうして頭を下げ、グリモアを輝かせると転送結界を作り上げ、目の内から零れそうな涙を堪えながら言葉を絞り出した。
「だから、どうか君たちの手で、再びノミィを救ってあげて欲しい。悲劇が二度繰り返されるなんて、真っ平ごめんだから」


裏山薬草
●重要!!
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 どうも、裏山薬草です。
 ノミィについては拙作、「農を蹂躙する脳」を参考にしてください。
 勿論見なくても構いませんし、当該シナリオに参加なさってない方もこのシナリオに参加して全然かまいません。
 このシナリオは「帝国工作員のテロを阻止せよ」となります。
 ほぼ純戦のシナリオです。
 コアマシンに通じる通路で、恐竜型巨大ロボを迎撃してください。
150




第1章 ボス戦 『デスモ・ブラキオス』

POW   :    CODE:Dino
【恐竜の本能 】に覚醒して【広域殲滅モード】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    CODE:Raptor
【体から生み出した無数の小型恐竜メカ 】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    CODE:Venom
【未知のバイオウイルス 】が命中した対象を爆破し、更に互いを【ダメージを共有する状態】で繋ぐ。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナハト・ダァトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アポリー・ウィートフィールド
農業プラント、即ち食糧、即ち兵站。星の海の民たちがこの戦いを生き延びるために、そしてこの戦いの後を豊かに生きるために、決して侵させてはならぬ。我もこの防衛に加勢しよう。
以前は怪人、今回は機械だが、恐竜との戦いは初めてではない。大きいことには物怖じなどしない。まず、可能な限りの至近距離、懐へと飛び込む。長い尾や首による攻撃は距離が離れるほど遠心力で強化される恐れがあるからな。至近距離で攻撃しながら、隙が生まれたら我がユーベルコード、【終止符穿つ黄金の脚】を叩き込む!その巨体でも、内部からのダメージには耐えられまい!


フレイ・ブラッドセイバー
ドッキリメカがわらわらと…
うっとおしいですね、掃除のし甲斐があります
ユーベルコードの我は戦神、叛逆の魔神なりなら一網打尽ではないでしょうか
というか増えて掃除ですね、これは

一応前衛ですので後衛の方をカバーできるようには立ち位置を調整しておきましょうか

戦闘中はクールなメイドさん
戦闘時、真剣な時の口調はステータスの通り

鼻歌
めーでー
この世を滅ぼす愛でめーばえたふんふんふんふんふんふーん


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携歓迎】

まったくヤバいくらいのデカブツを持ち込まれるだなんて!
さっさと殲滅してしまおうじゃないのさ!

奴が小型の恐竜メカを量産するなら、
アタシはそれをもぐら叩きみたいに潰していく!
サイキックブラストをばら撒いて、
出てくるラプターをどんどん撃墜するよ。
もちろんバイクに乗りながら動き回ることで
狙いを絞らせない。他の人も乗りたかったら乗っとくれ!

さて、策も無く小物を潰してるわけじゃないさ。
周囲にサイキックの力が高まったなら、
そこで【黄泉送る檻】を発動させる!
他の猟兵の大技に重ねられたら重畳だねぇ!


夕闇霧・空音
(アドリブ・共闘歓迎)
悪いけどこれ以上先は行かせない…
悲劇は嫌いだからね。

ウイルスには絶対零度が有効…だと思うが
「フリーズゼロ」を放って氷漬けにしてしまうようにする。
狙いは相手のウイルス吹出口
それでどうにか仕留めてみせる。

可能であれば攻撃を更に行うようにする。
2回攻撃を行えれば最高だな。


鵜飼・章
知り合いが泣いていたら放っておけないのがヒトの美徳なんだって
大丈夫だよスフィーエさん、ここは僕らが守る
いつぞやは随分勝手させてもらったし、借りは返すよ

機械相手なら僕も手加減する必要はないかな
数には数で対抗
他の仲間を巻き込まない位置取りを心懸け
UC【裏・三千世界】を発動
範囲内にいるミニ恐竜を全て鴉の餌にした後
【スナイパー】で本体を集中攻撃する
頭部や腹部等重要そうな部分を特に狙う

ウイルスは味方に当たると厄介だ
僕自身も【早業/見切り】で攻撃を避けつつ
魔導書から召喚した動物の幻を盾にして仲間を守る
折角だし本物の恐竜で対抗

無事倒せたら重傷者の救護や艦の復旧作業を手伝っていく
大丈夫
命あるものは強いんだ



●Jager's Saddnes
 それは正に暴君(ティラン)であった。
 かつてこの船の民が根付いていた地を、更にその昔に支配していた存在のように。
 数多の自然を食い荒らし、土と水の結晶を無残に引き千切り。
 人々の文字通りの血と涙を鈍色の装甲に吸い込み、やめてくれと叫ぶ声をBGMに、船の心臓まで迫らんとしていた。

 それは正に希望の星だった。
「農業プラント、即ち食糧、即ち兵站。星の海の民たちがこの戦いを生き延びるために、そしてこの戦いの後を豊かに生きるために、決して侵させてはならぬ」
 我もこの防衛に加勢しよう――この艦船の民からすれば天敵である存在の頭部を携えた男がいた。
「ドッキリメカがわらわらと……うっとおしいですね、掃除のし甲斐があります」
 服装と携えるモノは不似合い――されど、冷静に構える姿は彼女の服装によく似合う清掃具を構える姿が見えた気がした。
「まったくヤバいくらいのデカブツを持ち込まれるだなんて!! さっさと殲滅してしまおうじゃないのさ!!」
 革手袋を打ち合わせる手が響いた。
 跨るやや軽量級の宇宙バイクのスロットルを軽く吹かし、待ち受ける悲劇を避ける為に。
「悪いけどこれ以上先は行かせない……悲劇は嫌いだからね」
 氷のように冷たい白銀の瞳が暴君を射抜く。
 愛する者を守るため、苛烈な強化に堪えぬきその力を今も振るおうとした者。
「いつぞやは随分勝手させてもらったし、借りは返すよ」
 大丈夫だよ、ここは僕らが守る――知り合いが泣いていたら助けるのがヒトの美徳なのだと。
 グリモア猟兵の涙に応えた者。

 様々な五つの星、集った者の想いとすべきことはきっと同じ。
 コアマシンの部屋を目掛け、進軍を続ける暴君トカゲの機械の前に立ちはだかった五人の猟兵達。
 小さな星々が巨星を堕とすスペースオペラが今、始まろうとしていた。

 先陣を切ったのは、天敵の頭部――農業の場所に皮肉というべきか、イナゴの頭部を持つキマイラ、アポリー・ウィートフィールド(暴食のイナゴ男・f03529)だった。
 機械と生身(?)の違いはあれど、恐竜の形をした敵と戦ったことは初めてではない――巨体と、それに違わぬ破壊力を持った機械の暴君に彼は勇壮と切り込んでいった。
 自殺行為に非ず、寧ろ半端な距離は遠心力が働き破壊力が倍加する――無謀に見えても、理に敵った接近戦といえよう。
 事実、機械の暴君トカゲはがむしゃらに腕や尾を叩きつけようとするが、最も威力の乗る結果にならず、ギリギリのところで躱せる。
 そして昆虫の形質が多く出た彼は鈍色の装甲を殴りつけても逆にダメージにはならず、確実に気を引けていた。
 だが鈍色の暴君も、彼一人に集中するわけではない――優れた戦闘機械でもある暴君トカゲは、体内の生産工場をフル稼働させて体内から無数の――暴君をそのまま小さくしたような獰猛な小型機械を生み出し、他へと向けた。
 だが例え救援は防いでも――それで害せるほど、猟兵は甘くない。

「攻撃対象確認。これより攻撃行動に移り、敵を殲滅します。曲芸――『我は戦神、叛逆の魔神なり』!!」
 二つの姿に分かれた掃除人――メイド服の良く似合う、フレイ・ブラッドセイバー(瀟洒な血濡れのメイド・f00013)
 長く細身の、優美な――血の色をどこか思わせる剣を振るう姿は、モップを携えて床の掃除をする――彼女のヘッドプリムも相まって、いや実際に掃除なのだろう。
 放たれた分身と共に、血塗られた新月の如き長い刃が小さな暴君達を薙ぎ払い残骸に変えていく。
 機械油の濁ったマシンの返り血を刃に吸わせるのは、正に血濡れの刃(ブラッドセイバー)といったところか。
「めーでーこの世を滅ぼす愛でめーばえたふんふんふんふんふんふーん」
 顔色一つ変えないクールなメイドの鼻歌は戦場に似つかわしくなく。
 されど攻撃性は劣らない小さな暴君たちを容易く薙いでいく。
「……一網打尽というよりかは、増えて掃除ですねこれは」
 小型とはいえ相応の性能は持っている暴君トカゲの量産を苦も無く斬り伏せていく姿は、分身との共同作業も相まって彼女の言う通りというべきか。 
 掃いても掃いても増え続ける塵にうんざりするように、されど冷徹に刃を薙いでいった。
 とはいえ、小型の暴君の進撃はとにかく終わらない。
「まるでモグラたたきみたいだねぇ!!」
 革手袋を打ち合わせた女、纏う衣装は跨るバイクによく似合い戦場を豪快に掛ける数宮・多喜(疾走サイキックライダー・f03004)は掌から稲光を放った。
 彼女は完璧にメイドの相手取る集団にも劣らない数の小さな暴君達を、原付のような宇宙バイクで駆け抜けていきながら潰していく。
 絶え間なく増産を続ける小型恐竜を現れる傍から掌から放つ雷で潰していく姿はなるほど、そうかもしれない。
 それでいて、他の猟兵――特に、前線で身体を張るキマイラに不意打ちを仕掛けようとする個体は両掌から放つ念動力の雷が撃墜する。
 狙いを絞らせないように縦横無尽にバイクで小さな暴君の間を駆け抜け、残骸と化した存在を足掛かりにバイクで飛び、両掌から何度も雷を落とし。
 掌から放っているのにも関わらず、バイクの操作を一切誤らないのは、彼女が優れた騎乗技術を持っているからか。
 戦場を翻弄し高圧電流で確実に落としていく、実に堅実な数への対処だろう。
 しかしメイドとライダーのほぼ一方的な殲滅戦が繰り広げられて尚、暴君の量産は収まらないが。
「待たせたね。……巻き込まないようにはするけど、離れた方がいい」 
 この膠着していた状況を打開する声が響いた。
 グリモア猟兵への借り――いつかどこかでの事件でのそれを返さんとはせ参じたのは、鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)だった。
 その手に、自然数の集合を表す動物図鑑を開き全身から妖しい魔力の迸りを放っているのだ。
 その様子に気付いた暴君が小型の恐竜を向かわせるが、彼に向かった数体の小暴君は後方に気を払っていたフレイの刃が一刀の下に切り捨てた。
「目の前を失礼。……では、私は下がらせて頂きます」
 綺麗に両断された残骸を箒で吐くように剣で押しのけ道を開けつつ、粛々と良く出来たメイドのように頭を下げると、彼女は警告されたことに素直に従って離れて。
「人類は滅んだ。美しい朝が来る。≪裏・三千世界≫」
 放たれた烏が広がる小型の暴君の群れを一つ啄み。
 その群れを幾重にも重ねた中の群れをまた呑み込み。
 中の群れを更に重ねた大なる群れを一気に喰らい尽くす。
 殺されるのは烏に非ず、命を持たぬ戦闘機械の群れ。
 瞬く間に小型の暴君が残さず消え去ったことを確認すると、今度は手段を変えるつもりなのか、腹部に開いた顎や関節の間から毒々しい濁った煙のようなものが湧いて出る。
 章は烏の一体を嗾けて留めようとするが、未知のウィルスの毒性はその烏を一瞬で無に帰し、その毒性を猟兵達に――
 とはいかず。
「やっぱり本物の方が強いのかな? これも偽物といえば偽物だけど」
 穏やかな微笑みのまま、慌てる様子もなく毒性を一身に引き受けるのは図鑑から呼び出した恐竜の幻影だった。

 だが幻影とはいえ、未知のウィルスによって毒に侵され身体を爆発させ自壊していく恐竜の寿命は長いものではない。
 夕闇霧・空音(サイボーグの咎人殺し・f00424)は小型恐竜を相手取りながら、それを警戒していた。
 そして、その対策も既に考えてあるし、それは自分に出来る仕事。
「八寒地獄を今この両腕に……封印開放!!」
 サイボーグの両腕を変形させ、それを光線を解き放つ為の砲に変形させると、その方向に冷たく妖しい輝きが満ちていく。
 砲口から漂うエネルギーに、戦場に待っていた塵が乾いた音を立て凍てつき弾けていく。
「フリーズゼロ、発射!!」
 氷河期の中に閉ざすというのならば、この上ない皮肉だろうか。
 例え未知のウィルスといえど、生命体の範疇を大きく超える存在ではない――尤も、ユーべルコードの産物ならば当て嵌まるとも限らないが――世界の理を外れた絶対零度の光線が未知なるウィルスを氷河の下に閉じ込めて。
 爆発によって自壊した幻影の恐竜の残骸を氷に変え散らしていく。
 未曾有のバイオハザードは、ここに見事に防がれたのだった。
 勿論、空音がそれを留めるだけで終わる筈もない。
「狙いは……そこ」
 網膜に仕込まれた改造の痕、闘争心を高める超科学の瞳は、闘争心は燃え上がらせてもその思考は氷の如く冷静に研ぎ澄まし、ある一点を見切っていた。
 毒の生物兵器を放った関節と腹部の大口を目掛けて、更なる追撃に絶対零度の光線を掌から解き放つ。
 機械の雄叫びを挙げる間もなく、ウィルスの噴出孔を押さえつけられ極低温が内部の回路の伝達を阻害し、ウィルスの体内の生産工場の活動を強引に停める。
 もうこれでは、ウィルスによる大規模な災害を起こすことは叶わないだろう。
 鈍色の体に降りた霜が、機械の暴君トカゲを氷の中に閉じ込めた。
「この時を待っていたのさ!!」
 そして氷漬けにされて動きを鈍らせていく暴君に対し、名前のように多喜は多大に喜び、掌を向けて。
「Ashes To Ashes,Dust To Fust,Past To Past……」
 それは、よく耳にする聖なる句。
 無暗矢鱈と使っていたわけではない、念動力の雷の残滓を再び立ち上げて、それを暴君の周囲に張り巡らせていく。
「収束せよ、サイキネティック・プリズン!!」
 氷漬けにされた金属の体に、極低温の超電導が齎すものは。
 取り囲まれた雷の檻で完全に巨体を捕らえ内部回路を灼いていく結果だった。

 ――巨体は崩壊の兆しをまるで見せない。
 流石は帝国も持て余した兵器だが――動きは完全に止まった以上、この大技は叩き込める。
「この輝きは生命の祈り、汝に仇なす世界の宣告……!!」
 前線で一番の大打撃を引き付け続けていたアポリーが一歩足を引くと、そこに眩い黄金の輝きが放たれ始めた。 
「還れ、骸の海へ!!」
 氷と雷の檻に捕らえられた巨体目掛け、イナゴの跳躍力を生かして飛ぶと、その輝く足を向けた。
「《終止符穿つ黄金の脚》!!」
 ラストハルマゲドン。
 農作物を食い荒らすイナゴが、農作物を守るために放った黙示録の飛び蹴り。
 鈍色の巨体を蹴って宙返りしつつ引き、着地すると。
「その巨体でも、内部からのダメージには耐えられまい!!」
 鈍色の装甲から弾ける黄金の――まるで太陽の如き激しい輝きが発生し、暴君に多大な損傷を与えるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

櫟・陽里
『まだ間に合う』聞こえない位の小声で復唱
オーケー、現状の最善・最大数を救って見せる!

転送され次第、即騎乗しフルスロットル
エンジン唸らせ敵の注意を引きつつ素早く状況確認
襲われてるクルーや壊されそうな設備等があればバイクで割り込み庇う

以降は仲間の戦法に合わせ判断
・ガッツリ敵と組み合って動きを抑えた方が良ければ相棒にロケットエンジンを追加して力比べ
・敵の数を減らした方が良ければ攻撃回数重視の射撃
・火力が必要なら攻撃力重視の射撃
自分が何を狙うか分かりやすいよう声に出して伝える
仲間と力を合わせて確実に倒したい
躊躇せず全力、相棒は壊れても直せる、人命が優先

さっさと片付けて救助活動に参加したい…正直焦ってる


チャド・アランデル
【心情】
美味しい物は心の栄養だよねー!
重傷者も出てるっていうし、美味しい物を守る為にも僕は負けないよー!

【行動】
攻撃は【ガチキマイラ】を使用します。
立ち回りは攻撃を避けながらガチキマイラでの回復という戦い方です。
戦闘は野生の勘1、逃げ足1の技能を活用して回避します。
立ち位置としては遊撃隊の位置で、隙を見つけての攻撃や増えた敵の排除、狙われている人のサポートを目指します。
余裕があるなら重傷者の避難も支援したいね。

【その他】
「美味しい物は奪わせないよー。このチャドが相手だー!」(戦闘開始時)
「僕を捉えきれてないねー?」(優勢)
「あわわ、ちょっちきついかなー。」(劣勢)
(アドリブ等歓迎します。)


タイタス・レイヴン
【SPD】
「興味深い兵器だな。鹵獲して分析してみたいものだが、そんな余裕はなさそうだな。食料供給を絶たれると不味い。Let's morphing !」
変身コールと共に完全戦闘形態へと変身。ライドトルーパーに【騎乗】【操縦】、デスモ・ブラキオスに搭載ガトリング砲で弾幕を張りながら突撃。
「プログラムド・ジェノサイド起動ッ!バラバラに破壊してみせよう!」
肉薄したら小型恐竜メカ諸共、プログラムド・ジェノサイドによる超高速連続攻撃をツイン・フォース・スピアのスピアモード【串刺し】とサイズモード【なぎ払い】を巧みに切り替えながら行う。その際、レイヴンウィングで飛行【空中戦】し、上から強襲を仕掛ける。


レイチェル・ケイトリン
おでかけのまえにフィエさんにまたまたおねがいします。
このまえ、さがしてもらったお医者さまに重傷者さんたちをなおしていただけるように連絡してくださいって。


念動力技能でサイコキネシスをつかうね。

敵がウイルスをだしたらサイコキネシスでうけとめてあつめるよ。

敵が小型メカだしてきたらあつめたウイルスをぶつけて爆破し、敵とダメージを共有させるね。
小型メカへの攻撃で敵をこわせるようにするの。


あぶないものをさわらないでうごかせるのはわたしのとりえ。

だからわたしはこわい病気をなんとかするのもがんばれるようにしてきたの。

その力でみんなをまもるよ。
フィエさんがわたしのおねがいにこたえてくれたことに胸をはれるように。



●Turning Point
 如何に頑強極まりない装甲といえど、内部からやられてはどうしようもない――機械・生体問わず通ずるセオリーだ。
 だがこれだけの大打撃を受けても、機能の停止を見せないのは錆び付いても王者のトカゲと言ったところか――
 激戦で疲労を見せていた猟兵達の前に、また新たな援軍が現れた。

「まだ間に合う、間に合う……良し。オーケー、現状の最善・最大数を救って見せる!!」
 それは、先日に現れた英雄の一人であったり。
「美味しい物は心の栄養だよねー!! 重傷者も出てるっていうし、美味しい物を守る為にも僕は負けないよー!!」
 それは、船の実りを守ろうとしている者であったり。
「興味深い兵器だな。鹵獲して分析してみたいものだが、そんな余裕はなさそうだな。食料供給を絶たれると不味い」
 またある者は、相対する兵器への興味であったり。
「フィエさん、この前のお医者さまに重傷者をおねがいします」
 またもう一人の先の英雄であったり。
 彼らの想いが、守る一点にあることは変わらず。
 新たに現れた四人の勇者達による、ターニング・ポイントが訪れようとしていた。

 疲労の色を見せていた猟兵達に剛腕の如き尾を振ろうとしていた機械の暴君を押し留めたのは、そのボディに大量のロケットエンジンを増設した宇宙バイクだった。
 その上に跨っているのは櫟・陽里(スターライダー ヒカリ・f05640)――先日の戦いにおいて、ノミィを守り抜いた猟兵の一人だ。
 転送されるや否や、相棒のバイクをフルスロットルで駆け、推進力を馬鹿みたいに増したそれで巨体を押し留める。
「みんな!! 俺と相棒でコイツは抑えてやる!!」
「Let's morphing!! ……一人では無理だ。俺もやろう」
 そしてその身体を賢者の衣と銘打たれた強化服に身を包み、メットを装着した完全戦闘形態に変えたタイタス・レイヴン(復讐の大鴉・f06435)は、重厚なガトリングを搭載したバイクを駆り出した。
 損傷で弱体したことを差し引いても、陽里と相棒を押し込めようとする暴君にガトリングの暴力的な弾丸の嵐が分厚い装甲を削り肉薄していく。
 それで圧されていても、これまでの戦いで暴君トカゲの機械には、この存在はプログラムされた攻撃を使い分けるのでは勝ち目はないと判断していた。
 だから、規模こそ大分縮小したとはいえ体内の生産工場を稼働させ、当初よりは劣るもそれでも厄介極まりない小型恐竜の群れで押し込めようとする。
「美味しい物は奪わせないよー。このチャドが相手だー!!」
 赤き獅子を思わせるようなキマイラのチャド・アランデル(キマイラのシーフ・f12935)は、颯爽と現れて小型恐竜の群れを手を変化させた本物の獅子の頭部でかみ砕いていく。
「小っちゃいのは僕が片付けてやるよー!!」
 人懐こそうな顔つきと振る舞いとは裏腹に、体に宿す獣の遺伝子による動きは俊敏極まりなく。
 手を変化させた百獣の王の牙は、小さな暴君を獰猛にかみ砕いていく。
 だが、大物の暴君の手はそれだけではない。
 こちらも規模と毒性は大分薄れてきたが、それでも厄介なことこの上ない、未知のバイオ兵器を振りまかんとする。
 二台のバイクによる抑え込みを続行するか、ギリギリまで耐えるかのジレンマは訪れることなく、撒かれんとした毒は淡い光の輝きの中に閉じ込められていた。
「あぶないものをさわらないでうごかせるのはわたしのとりえ」
 レイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)――陽里と同じく、かつてノミィを守り抜いた猟兵の一人。
 猟兵の中に於いても、特に優れた膨大な念動力を持つ彼女ならば、微細なる世界の住民を捕らえることも容易く。
 怖い病気も何とかするのを、頑張ってきたから。
 小さな手を翳し、他の猟兵達に掴んだウィルスが触れないように動かして。
 ――そして、そのウィルスを――暴君が嗾けた小型恐竜達に張り付けた。
 機械の身体にも通じる命の理を外れた生物兵器が着弾すると、一斉に小型恐竜が爆ぜると同時、ダメージを共有するハメになった暴君が呻き体勢を崩し始めていく。
「その力でみんなをまもるよ。フィエさんがわたしのおねがいにこたえてくれたことに胸をはれるように」
 自分のウィルスで自分が壊れる姿の何と滑稽なことか。
 運よくウィルスの着弾を逃れた小型恐竜が、レイチェル本人や、陽里、タイタスといった他を襲撃し横槍を突き立てんとしても。
「僕を捉えきれてないねー?」
 チャドがレイチェルを襲った小型恐竜の一体を、下から掬い上げるように、獅子に変化させた掌の牙で喰らい尽くす。
 これまで大層に俊敏な動きを続けているが、喰らった生命力の補充で疲労の様子を何一つ見せていない。
 アッパーカットのように恐竜の一体を喰らったら、その勢いで何と後方へ大きな弧を描いて飛び――背後から、獰猛に獅子の牙を振るい前線で食い止める二人を襲わんとしていた個体を喰らった。
 チャドがいる限り、この場の誰にも無粋な横槍は入れられない。

 戦況は間違いなく好転していた。
 限界以上の出力を続けて尚、後方のガトリングの援護射撃によって後押しされなければ抑え込めなかった身体が、単独で押さえられるようになった。
 事実、陽里は押さえつけるバイクを払わんとする首の殴打も、精神を研ぎ澄まして放った銃弾で関節の隙間を狙い、逆に迎撃することが出来るどころか、それが大きなダメージにつながっていることすら分かる。
「けど、さっさと片付けて救助活動に参加したい……」
 正直焦りは拭えない。
 人命優先、いくら壊れても後で直せばよいと思っている相棒だが、ただでさえ増設したエンジンと今も巨体を抑える為にオーバーロードに突入している機体は過負荷がかかり煙を噴き上げ始めている。
 だが、後に託せる仲間はいるし、その為の準備は整った――バックミラーを通しアイコンタクトを行うと、残った拳銃の弾に全てを込める。
「視界良好……勝ち筋、見えた!!」
 脳が焼き切れそうなほどの集中は、破壊力全てに割り振られ――ヒビの入っていた額に強かに打ち付けられ、そのタイミングに合わせてスロットルを回す。
 僅かにぼやけた陽里の目に移ったのは、盛大に後方へたじろぐ機械暴君の姿だった――あとは、仲間に全てを。
「プログラムド・ジェノサイド起動ッ!! バラバラに破壊してみせよう!!」
 アイコンタクトを受け取ったタイタスは応えるように声を挙げ、スロットルを回しよろめいた巨体に肉薄していった。
 無論、その間も備え付けたガトリングによる弾幕の追撃は忘れていない。
 内部の回路はズタズタにされ、装甲も幾ばくかひしゃげている部分もあり、そこに弾丸が潜り込むこともあるが――それでも、分厚い装甲にはダメージ足り得ない。
 だが、巨体の勢いを殺すには十分――悪あがき気味に小型の恐竜を生産することで捨て駒のように凌ごうとするも、ロッドから突き出した光の刃は弧を描く――まるでそれは、命を刈り取る死神の鎌。
 脳にプログラムされたオートフォーメーションは、意識よりも早く動き、光の鎌が小型機体諸共、暴君トカゲを薙ぐ。
 流石にこれには装甲も意味を為さなかったのか、ぱっくりと割れて――間髪を入れず、今度は光の鎌の形にしていた光の刃を槍の穂先へと変えて傷口を抉り。
 脚の一つにある回路を完全に叩き潰した勢いで、大鴉の翼をはためかせ飛ぶと――光の槍を、陽里が打ち抜いた額目掛けて、更に急降下で突き立てんとした。
 一つの脚を潰されようとしている最中、それでも逃げ出そうと巨体を動かそうとする機械仕掛けの暴君トカゲ。
 だが、逃げようとした動きが最後まで遂げられることはなかった。
「もういちどいうよ。……わたし、あぶないものをさわらないでうごかせるのがとりえだから」
 動くはずのない物が動いたからこその命だから、彼女は言うのだろうか。
 レイチェルの放つ膨大な念動力の束縛が、逃れようとしていた巨体を押さえつけ、弱り切ったフレームと装甲をひしゃげていく。
 これまでの消耗が重なったからこそ、彼女の念動力が効果を為したのだ。
 そうして、哀れに動きを念動力で大鴉の狩人が脳天にその槍を突き立てると同時。
 過負荷で煙を噴き上げる相棒に乗ったスターライダーの放つもう一度の全力の銃弾が、戦場を縦横無尽に駆け抜けた獣王を宿したシーフの牙が。
 同時に重なって――暴君トカゲの首が、跡形もなく弾けて消え去った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルクレイフェ・アニェージ
【SSFM】
アドリブ、他者との絡みOK

猟兵になってからこんな大所帯で動くなんて初めてかしら。
色んな世界の猟兵が、今同じ目的を抱えてこの地にいるのね。
ならば、私も参戦する以外ないわ。
この力をこの世界に刻み付けて見せよう。

五指に魔力を宿し、リヨンラッゼを起動させる。
人差し指の【転換】、中指の【天候】を混ぜ合わせて
ユーベルコード【キメラレイド】を発動、
相手は機械、ならば敵を覆う様に雷の津波を発生させるわ。
さぁ、我らの敵をすべて飲み込みなさい。。


ノエル・クリスタリア
【S.S.F.M】
ルクレイフェ(f01367)と共に行動。

スペースシップワールドは私の故郷ではあるけれど、このような豊かな船もあるのね。
こんな素敵な場所を貴方たち帝国の好きにはさせないわ!
とは言え、船を傷つけてしまってはいけないわね。
手早く倒すために「全力魔法」、周囲に被害を出さないために「誘導弾」を利かせながら【WIZ】流星雨で退路を塞ぐわ!


ハヤト・ノーフィアライツ
銀河帝国のトカゲ野郎め、貴様の好きにはさせないぜ!
この船が落ちれば、大勢の人が死ぬ。
そんな事を許して置けるかよ!


宇宙バイクで現場に乗り付け参戦だ。
味方が居るなら連携してやりあうぜ。

【ダッシュ】【ジャンプ】【早業】【武器受け】【激痛耐性】【見切り】やUC【ファルコン・ダンス】等駆使し、敵の攻撃に対処しながら間合いを詰める。

間合いに入ったら【グラップル】【怪力】【力溜め】【鎧無視攻撃】【吹き飛ばし】を駆使してUC【ファルコン・シュート】を発動。
力いっぱい恐竜野郎を投げ飛ばしてやるさ。

飛んでいけ、トカゲ野郎ッ!



●銀河の十二人
 首を失った機械竜は、本格的に制御が利かなくなったのか既にスクラップ寸前の身体を自滅に追い込むことも厭わずに出力を増大させた。
 精彩こそ欠き、見切るも容易く、場から移動することも敵わないが破壊力だけはやはり凄まじい――このまま暴走を続けていればやがては自滅するだろうが、安心はできないだろう。
 物事は最後の一押しこそ肝心――その一押しをするラストダンサーがここにやってきたのだ。

「銀河帝国のトカゲ野郎め、貴様の好きにはさせないぜ!!」
 グリモアのゲートを通るや否や、隼の名を持つバイクの轟音響かせ戦場に乗り込む男、名はハヤト・ノーフィアライツ(Knight Falcon・f02564)だ。
 この船が落ちれば、大勢の人が死ぬ。
「……そんな事を許して置けるかよ!!」
 そう叫ぶのは、その事故を何よりも己の身体で知っているからだろうか。
 颯爽と赤いスカーフを靡かせて、中折れ帽の鍔を下から指でピィンと弾き。
 首が堕ちても尚巨大な機械竜に戦意を向けた。
 だが、戦場に現れたラストダンサーは彼一人ではない。
「猟兵になってからこんな大所帯で動くなんて初めてかしら」
「スペースシップワールドは私の故郷ではあるけれど、このような豊かな船もあるのね」
 現れたのは女性二人――年の頃も背も纏う色合いも近い少女達、一人の人間は場に集まった多くの猟兵を見て。
 もう一人のクリスタリアンは故郷の中にあるノミィの豊かな作りを見て。
「色んな世界の猟兵が、今同じ目的を抱えてこの地にいるのね……ならば、私も参戦する以外ないわ」
「私もよ。……こんな素敵な場所を貴方たち帝国の好きにはさせないわ!!」
 船に集った志も、戦う意志も――彼女らは変わらない。
「この力をこの世界に刻み付けて見せよう」
 人間族の少女――ルクレイフェ・アニェージ(キメラレイド・f01367)はリヨンラッゼの術手袋を起動し、五指の魔力を活性化させ。
「とは言え、船を傷つけてしまってはいけないわね……」
 クリスタリアンの少女――ノエル・クリスタリア(夢色輝石・f09237)は宝石を輝かせた。
 ――銀河帝国の機械竜との、最終決戦が始まった!!

 機械の暴君トカゲはただ、かの者が立つ場所を破壊する為だけに無節操に尾を振り回すだけだった。
 尾のリーチに入らなければ問題ないが、万一入ってしまえば一撃で倒されてしまうのは免れないだろう――だが、問題ない。
 ハヤトはそのバイクのスロットルを吹かし、滅茶苦茶に振り回される身体の中に突っ込んだ――が、彼の目はその軌道の全てを完全に見切っていた。
 青い光の双刃を輝かせ、剣に銘打たれた勇気の体現を行うように、果敢に切り込んでいく。
 乱れる尾の攻撃を軽やかに飛んで躱したかと思えば、逆にその尾に足をつけて飛ぶと、柄の両端から出た刃で先ほどの戦いで回路を剥き出しにされた首のあった場所に、また深く斬撃を切り込んだ。
 完全に見切れぬ攻撃など、在って無いが同然、と言わんばかりにサイボーグは隼が舞うかのように、暴君トカゲの攻撃をことごとく躱していた。

 そして、リーチの外から強力な攻撃を叩き込まんとしているのは、二人の少女であった。
 内の一人はあふれ出る魔力の行き場を示すように、ルクレイフェは鞘の銘を持つ術式手袋の、中指と人差し指を淡く輝かせて起動させた。
「――【転換】」
 人差し指を一つ、
「――【天候】」
 中指から一つ。
 彼女の術法の極意とは「混血」――外法と忌み嫌われようが、一つで及ばないなら複数を組み合わせより強い存在に昇華させる。
 それこそが彼女の持つ混血の極意――及ばないところを補うのではない。
 混ぜあうことで、もっと、もっと強い存在になるのだ。
 それ即ち、転換されるは天候。
 天候など存在しえない室内に、存在するように立ち替わり発生する天候――無論、損傷を与える為の、悪天候。
 雨雲の中、眩く輝く莫大な稲光が彼女の前に壁のように聳えると。
「私の本領を見せてあげる、これがキメラレイドよ」
 掌を突き出せば、聳えた雷が押されるように電流と電圧を迸らせながら鈍色の暴君トカゲに襲い掛かる。
 我らが敵を全て飲み込みなさい――危うく、味方を巻き込みかけたのはご愛敬といったところだが、隼は難なく避けて機械竜だけに莫大な雷の津波を浴びせた。
 それは仮に機械竜が万全の状態であったとしても、少なくないダメージを与えるほどの強力無比な雷の波であった。

 そしてクリスタリアンの少女もまた、その身に携えた数々の宝石を輝かせ雷の大津波にも劣らない魔力を浮かべていた。
 船を傷つけてはいけない。
 ならば、手早く倒すしかない――相手は、もう十分に弱っているから、全ての力を振り絞った魔法で一気に消し飛ばす。
 単純明快だが、実に理に敵った最適解の一つだろう。
 クリスタリアンであるノエルの乳白色の肌と、紅玉、紫水晶、金剛石、緑柱石、黄玉――全てを書き切ることは割愛させて頂くが、常人が思いつくありとあらゆる宝石を携えた彼女の身が、喧しいほどに激しく輝いた。
「輝きを解き放ちましょう」
 その一言が告げられた後に巻き起こったのは、激しい光の雨だった。
 ルクレイフェが雷を呼ぶための雨雲の中から奇しくも雷に対しての雨を降らせるように、聖なる輝きに満ちた光の雨を降り注がせるのだ。
 だが、その降り注いだ光線の雨は無差別に破壊を齎すものではない――誘導の心得も持った彼女は、降り注ぐ天からの裁きの如き光の雨を地面に着く前に曲げ、光線のことごとくを全て雷の波に呑まれて悶える暴君トカゲに突き立てるのだ。
「逃がさないわ!!」
 元より逃げられる状態ではないが、そうであったとしても絶対に逃がすことは許さないだろう――ノエルの放った聖なる光の雨は、悪の退路を塞いでいた。

 そして。
 雷の大津波と、光の大雨による一方的な蹂躙が済んでしまえば。
 鈍色の暴君トカゲは既に力を失い、頑強な装甲も大分剥がれロクに身体を動かすことも能わなかった。
 それでも尚、自壊することも厭わずにかつて太古の母星を支配していた存在の誇りが何の因果か存在しうるのか、内部爆発を起こしながら徐々にではあるが進撃を始めていた。
 だが、最後の悪あがきで振られた尻尾は――ハヤトの困難に立ち向かう勇気の青い刃が一刀の元に斬り飛ばしていた。
 その勢いで返す刀、双刃のもう一つで切り上げれば、かの者の身体を盛大に吹き飛ばし、休むことも許さないようにまた距離を詰め。
 もはや武器にするものも存在しない暴君トカゲに、彼は力一杯にしがみついた。
「さぁて、捕まえたぜッ!! そして……」
 ぐ、と力を込めて――彼の何倍はあろうかという巨体を、軽々と持ち上げて。
「リリースだ!! 飛んでいけぇぇッ!!」
 回転しながら竜巻を起こさんばかりの勢いで。
 力一杯にぼろ屑寸前の暴君を投げ飛ばせば、強力な投げ飛ばしによる風圧が残った肢体をバラバラにしていき――そして。
「我らが敵よ、ここで飲まれよ!!」
「あなたは絶対に退かせない!!」
 硬い床に叩きつけられるその前に。
 混血で昇華されたことで再び発生した雷の大津波と。
 高貴なる宝石の産まれが放つ聖なる光の大雨が。
 跡形もなく、暴君の存在を灰燼に帰したのであった――。

 集った彼等の想いは一つ。
 集った彼等の目的は一つ。
『この船を守り抜く』
 集まった銀河の十二人の誰一人欠けたとしても――この強敵は、きっと倒せなかっただろう。
 だが、ここに、彼等は見事に帝国軍の侵略を退けたのだ!!
 誰が何と言おうと、彼等は正に解放軍の再来なのだから。

●悲しみがこれ以上無きように(ノー・モア・サッドネス!!)
 一難去ってまた一難、舌の根も乾かない内に湧き出た災害を猟兵達は見事に振り払った。
 戦いの疲労も構わないように、重傷を負った乗組員の救援に向かおうとする猟兵もいた。
 暫くして、戦場の片づけや要救助者の救護も一通り終えた猟兵達の前に、艦長ミズキが現れ頭を下げた。
「有難うございます。やはりあなた方はあの伝説の『解放軍』の方々でしたか」
 彼の見渡す先には、先日に危機を救った猟兵達の姿もあった。
 大分被害を受けたようだが大丈夫か、と心配する猟兵達にミズキは疲労を感じさせない笑顔で答える。
「失われた物は少なくありませんが、大丈夫です。貴方達の為さってくれたことに比べれば取り戻すことなど、どうということは」
 寧ろそれ以上にしてみせますとも――そう、言っているようにも見えて。
 これなら、心配は要らないだろう。
「ともあれ、改めて有難うございました。我ら『ノミッシュ・アオミィ』の船員一同、解放軍に加わりましょう。我々の農作物を、どうか兵站に役立ててください」
 どうやら、猟兵の守り抜いた一粒種は、やはり幾千万の実りを産むようだ。
 これから先に待ち受ける銀河帝国の戦い――より苛烈になってくるであろう戦いに、また一つ猟兵達の味方が増えていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月02日


挿絵イラスト