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ディア・ブックアンドガール(作者 るちる
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#アリスラビリンス  #猟書家の侵攻  #猟書家  #ホワイトアルバム  #アリス適合者 


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●白い本の意味
「こんちには、アリスさん」
 それは不意に後ろから聞こえた声。
「だれ?」
 と私が振り向けばそこにはひとりの少女がいて。
「……っ!!」
 彼女が持っている『モノ』を見た瞬間、ずくんっ、と何かが体に響いた。
「―、――、――」
 何か言っている。けれども、耳に入ってこない。いや……『それどころじゃない』。

 目に入ってきたのは、少女が持っていたのは……『白い本』。

 ――何で忘れていたの?

 自分の不甲斐なさを悔やむ。白い本の持ち主は私の大切な友人で。彼女はいつも『何も書いていない真っ白な本』を読んでいて。いや、私たちはその白い本に物語を空想して、創造して。
(白い本は……私とシオリの……)
 絆。あるいは赤い糸。
 あの本は私たちの白い本じゃないけれども。

 ――じゃあ私たちの白い本はどこに?

 ずくんっ、と頭が痛む。鉄の棒で頭を殴られたかのような衝撃。
 視界が赤く染まる……これは、血? ああ、手も血だらけだ。手に握っているバタフライナイフも血に染まって。
「……え?」
 不意に気付いた。この血は私の血じゃない。
 ナイフから滴り落ちる血が主張する。自分の主は……彼女だと。
「シオリ……?」
 溢れ出たのは私の友人の名。今、自分の足下で倒れている……。

 ――ああ、まさか。私は、キリエは……!

「うわぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!」
「わっ?! びっくり」
 突如絶叫したキリエに、猟書家『ホワイトアルバム』がびくっと震えるも。ホワイトアルバムの前で、狂乱キリエはオウガへと変貌していく。それは彼女の『忌まわしき記憶』が成せる業。
「……やっぱりだめだった?」
 じっと、ずっと白い御本を見ていたから記憶を呼び起こしたのだけれども。やっぱりアリスの記憶に幸せはないらしい。
 悲しいことだけれども、彼女もまた『だめだった』というだけ。
 そしてホワイトアルバムはキリエに手を伸ばすのであった。

●白い本が訴えかけるもの
「パラレルワールド、とか、そういう感じの、です」
 折紙・栞(ホワイトブック・ガール・f03747)は白い本を抱えながらそう言う。
 『シオリ』と『キリエ』、そして二人の間にある『白い本』。それはたぶん、どこの世界にも偏在して、それでいて特別ではないけれども宿命的な何か。ならば、この栞のグリモアが反応するのもまた当然だったのだろう。
「助けて、あげて、ください」
 曰く、狂乱がゆえにオウガへ変貌したキリエではあるが、彼女は生きながらにしてオウガに変じたために戦って倒すことで元に戻すことができる。ただ、戻った時に生きているかどうかは戦闘の中でいかに正気に戻すか、によるという。
「声、かければ……きっと……」
 強く励ましたり、あるいは共感することで心を通じ合わせる。そうやってキリエの心が感じている負の感情やストレスを軽減させることができれば、彼女はオウガからアリスへと戻ることができる。
 何より彼女の記憶は不完全すぎる。何故なら。
「シオリ……生きています……」
 キリエがシオリを刺したのは事実だが、シオリはまだ生きている。その事実すらもキリエは忘れている。それはキリエが『自分の扉』を見つけたからではなく、ホワイトアルバムが関与して『忌まわしき記憶』のみを解き放ったからだ。
「だから……止めて、ください」
 どんな事情があったのか、あるいはどんな真実が隠れているかはまだわからない。だとしても、シオリは生きていてキリエもまた生きている。
「死んだら……終わり、です」
 腕の中の白い本をぎゅっと抱きしめて栞が言う。栞のキリエはもう居ないけれども、彼女たちはまだ間に合う。
「お願い、します……助けて、ください」
 そう言って、栞は猟兵たちに頭を下げる。自分の代わりに行ってほしい、と。

●死に至る病い
「全部、全部、摘み取らなきゃ……」
 ブツブツと呟きながら、狂ったように槍を振るうキリエ……否、変貌した彼女の今は『希望を摘み取る者』。自分の周辺から始めたその所業は不思議の国を地獄のような状態に追い込みつつある。キリエを見守っていた、助けてきた、この国に住む住民たちを巻き込みながら。
「ひとごろし。そう、私がひとごろしなの。だから、ころすわ」
 彼女は絶望を振り撒いている。

 今ならまだ間に合う。今ならまだ致命傷にはならない。そして今なら……キリエの体も心も命も救うことができる。

 かける言葉に正解はない。真実を伝えたとしても最初は信じてくれないかもしれない。貴方の想いを伝えたとしても無意味だとあざ笑うかもしれない。
 それでも、と。伝え続けてほしい。訴えかけてほしい。貴方の言葉で。
 その言葉と思いが届いたならば……キリエは必ず応えてくれる。


るちる
 『ディア・ブックエンドガール』るちるです。
 なーんて当時の白い方の真似をしてみたり。2011年ですって奥さん。
 元祖(?)ホワイトブック・ガールの栞から皆様に、猟書家ホワイトアルバムの討伐依頼をお願いします。
 参考にした依頼は雑記に書いておきますので興味がありましたら参考に。キリエが死んでいない時点で別物のお話ですけども。

●全体
 2章構成の幹部シナリオです。
 リプレイはプレイングの雰囲気に左右されます。シリアスである必要はありません。お気軽に参加してください。
 また、戦闘時には周辺に巻き込まれる住民はいませんのでご安心ください。

 プレイングボーナス(共通)……アリス適合者と語る、あるいは共に戦う。

●1章
 ボス戦。キリエが変貌した『希望を摘み取る者』との戦闘です。
 声をかける、キリエに対する思いをぶつけることで攻撃の手が緩みます(プレイングボーナス)。得物は槍を使っていますが、本来の得物と違うので少々動きが鈍いようです。そのため、動きを完全に止める等はしなくても話しかけながら戦闘が可能です。

●2章
 ボス戦。猟書家『ホワイトアルバム』との戦闘です。
 現時点では特にお伝えすることはありません。ぶっとばしてやるといいと思います。章の開始時に、状況説明の文を追記します。

●以下の情報はグリモア猟兵から伝えられたとして知っていても大丈夫です
『キリエ』
 中学生くらいの女の子。出身はUDCアース。れっきとした人間で、アリス適合者で、そして生きています。記憶はほとんど戻っていませんが、自分の扉を探して旅をしていました。本来の得物はバタフライナイフです。
 思い出した記憶の断片は事実を伝えていますが、真実はいまだ闇の中です。

『シオリ』
 小学生くらいの女の子。出身はUDCアース。こちらもれっきとした人間。キリエに刺された後、治療を受けることができて、入院中ではありますが生きています。傷は残る、かなあ? 白い本もきちんと所有したままです。
 シオリにとってもキリエは大切な友人のままで、むしろ行方不明な彼女を心配しています。

 それでは皆さんの参加をお待ちしています。キリエを助けてあげてください!
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第1章 ボス戦 『希望を摘み取る者』

POW ●絶望の光槍
全身を【輝く槍から放たれる光】で覆い、自身の【受けた傷を癒やし、猟兵が習得した🔵の数】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD ●否定されたご都合主義
対象のユーベルコードに対し【輝く槍の一撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
WIZ ●バッドエンド・イマジネイション
無敵の【自分が有利になる状況】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はユナ・アンダーソンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


上野・修介
※連携、アドリブ歓迎

UCは防御重視。
調息、脱力、敵を『観』る。
敵の体格・得物・構え・視線・殺気から相手の間合いと呼吸を量る。

タクティカルペンの投擲で隙を作り、間合いを詰める。
至近の間合いを維持して槍のリーチと飛翔を殺し、攻めながら呼掛ける。

「キリエさん、ですね」
「貴方と貴方の親友との間に何があったかは、俺は知りません」
「だがそのことを悔いているなら、償いたいというのなら」
「まだチャンスはあります」
「貴方は人殺しじゃない」
「必ず道を開きます。だから諦めないで」

こちらの言葉に目に見えて反応してくるようなら、UCを攻撃重視に切り替え、捨て身で渾身の一撃を叩き込む。
「少々、いや大分キツイの行きます」


●その一撃狂気を断ち切る
「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」
 狂い、叫び。迸るそれらがキリエを暴走させている。『希望を摘み取る者』と化したキリエは、程なくして不思議の国の希望という希望を摘み取ってしまうであろう。

 ザッ。

 大きく足音を立てて。そんなキリエの背後に立ったのは、上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)。
「……」
 キリエの動きが止まる。それはキリエが修介の強さを感じ取ったからか。振り向いたキリエと修介の視線が合う。
「キリエさん、ですね」
 修介の言葉遣いは……キリエを敵ではなく、巻き込まれた被害者だと認めている証拠。
「……違う、違う違う違う!! 私はシオリを、私はっっっ!!」
 修介の声に反応して。キリエが再び狂気をまき散らす。手にしている槍から輝く光が放たれ、キリエの体を覆い。直後、地を滑るようにして飛翔して突撃、キリエが絶望の光槍を修介に突きつける!
「……」
 小さく呼気をひとつ。修介にとってその行動は予想済で、そして『観』る態勢は既に整っている。
 キリエの体格と槍の長さ、視線や殺気から間合いと呼吸を量ることができたならば。キリエの直進的な動きを最小限の動きでかわす修介。

 【拳は手を以て放つに非ず】は決して超常的な現象を再現するものではない。しかしだからこそ。常に修介はその効果を掌握している。それは『いつも通り』を意識的に行うだけ。『呼吸』の力で身体の機能と動作の制度を補助するだけの、それでいて絶大な効果。
(――力は溜めず――息は止めず――意地は貫く)
 息を調え、程よく脱力した『自然体』に意地を乗せれば。思った通りに体も動くというものだ。
「くぅっ、あぁぁぁっ!!」
 修介にかわされながらも槍を振り回すキリエ。
 修介も今は防御を優先している。だがそれは受けるだけではない。踏み込みと拳による攻撃で絶妙の間合いをキープして、その間合いを崩すことでキリエの攻撃をいなしているのだ。そして……呼びかけは止めない。
「貴方と貴方の親友との間に何があったかは、俺は知りません」
 槍は止まらない。ゆえに二人の動きも止まらない。
「だがそのことを悔いているなら、償いたいというのなら」
 それでも。修介は呼びかけを止めない。
「まだチャンスはあります」
「……っ」
 その言葉に一瞬、キリエの動きが鈍る。その反応を『観』た修介はさらに言葉を投げかける!
「貴方は人殺しじゃない」
「……っ!!!」
 修介の言葉に、思わずキリエが『飛び退る』。それは修介の言葉に何かを感じ取ったがゆえ。大きく距離を取ろうとするキリエに。
「……!」
 修介は間髪を入れず、タクティカルペンを投擲。
「なっ?!」
 その攻撃をかわしたキリエの態勢が大きく崩れる……その隙へ。修介が大きく素早く踏み込む! 即座に間合いを詰めたことでキリエは迎撃の態勢が間に合わない。
「必ず道を開きます。だから諦めないで」
「や、いや、いやぁぁぁ!!」
 キリエのそれは拒絶ではなく、錯乱の言葉。状況に対してキリエが追い付けていないその証左。ならば、一度それを止めてやらねば。
 既に間合いは修介のもの。構えを取って、ぐっと握りこんだ拳に修介の覚悟と思いが宿る。
「少々、いや大分キツイの行きます」
 呼吸を攻撃の型に切り替えて。

 ――放つは、捨て身。渾身の一撃!

「ぐっ、きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 キリエの体に叩き込まれた修介の一撃は、キリエの体と同時に狂気すら吹っ飛ばすのであった。
大成功 🔵🔵🔵

文月・ネコ吉
やれやれ
これもまた縁という奴か

溜息と共に刀構え対峙
冷静に状況確認し情報収集
攻撃見切り、武器受けとカウンターで斬り結び
読心術で反応確認しつつ会話を重ねる

『シオリは生きている』
白い本の少女にそう聞いた
治療を受け入院中だそうだ

まあ信じる信じないは勝手だがな
シュレーディンガーの猫って奴かね
お前はシオリを刺したが
死体の確認まではしていない
故に全てを否定も出来ない、違うか?

(大丈夫、お前は殺しちゃいない)
(人殺しは寧ろ俺の方)

生きてて欲しいんだろ?
顔にそう書いてあるぞ
気になるならその目で確かめりゃいい
扉を見つけて会いに行け
何とかなるさ
お前が生きてさえいれば

希望の花は他の誰でもなく
お前自身の中にあるのだから


●雨が誰が為に降る
「く、ぅぅっ!」
 呻きながら、それでも。キリエは、『希望を摘み取る者』は立ち上がる。猟兵の強烈な一撃を食らって決して無傷ではない。しかし、その槍を振るうことをやめない。

「やれやれ……」
「……っ!?」
 声のした方へ槍を一閃するキリエ。しかし、そこにいた黒い影はひょいっと飛び上がって、音もなく後方へ着地する。その姿は黒猫。ケットシーの文月・ネコ吉(ある雨の日の黒猫探偵・f04756)であった。
「これもまた縁という奴か」
 ため息ひとつ。言葉に言い表せない感情を胸に秘めて、ネコ吉は『叢時雨』を抜き放つ。古びた刀身、それを見た者は『なまくら』と言うかもしれない。されどその切れ味は……鋭い。
 ネコ吉の言う縁。それはこの出会いを指してか、あるいは別の。

 そんな感傷に浸る時間は程なく、刀と槍が切っ先を結ぶ緊張感がこの場を支配する。
「う、あぁぁぁぁっ!!」
 口火を切ったのはキリエ。絶望を光と化してその身に纏ったキリエがネコ吉に向けて突撃してくる。
「……」
 冷静に。ネコ吉は刀を斜めに構えてその切っ先を受け止める。刃同士がぶつかりあって甲高い音を立てて逸れていく。
 すれ違いざま。
「『シオリは生きている』」
「……!」
 先の戦闘によって、幾分か狂気の消えた状況。そこで叩きつけられる事実に、キリエに動揺が生まれる。
「そんっ……違、ちがうちがうちがう! 私の手は、血に染まっていた!!」
 その事実を以て。キリエは振り向きざま槍を叩きつける。斬るのではなく柄で吹き飛ばす。ネコ吉は刀の腹でその一撃を受け止めながら、しかし質量差はどうにもできず。キリエが振るうままに空中に投げ出されて、しかしくるっと空中で回転して着地する。
「まあ信じる信じないは勝手だがな」
 ゆっくりと、隙なく、あるいは殺気を纏いながら、ネコ吉が立ち上がる。その雰囲気が抑止力となって、キリエは攻め込むことができない。出来た間合いと時間でネコ吉がさらに問いかける。
「シュレーディンガーの猫って奴かね」
 攻め込ませない間合いの外でネコ吉が続ける。
「お前はシオリを刺したが、死体の確認まではしていない。違うか?」
「……っ」
 ネコ吉の言葉を否定できずに、それが故に攻め込めないキリエ。
 もしかしたら確認はしたのかもしれない。しかし記憶が無い。無いものは……否定できない。その葛藤がキリエの動きを制止する。

 その葛藤を見ながら、視線をキリエに定めながら。ネコ吉の意識は少し別の場所へ。
(大丈夫、お前は殺しちゃいない……そう、人殺しは寧ろ俺の方)
 その言葉の意味を知っているのは彼だけであろう。何を以て、人殺しとするかも。

 だが、それを確認するのは今ではない、と。ネコ吉は改めて意識をキリエに当てる。
「生きてて欲しいんだろ?」
 『顔にそう書いてあるぞ』とネコ吉が切っ先を突きつける。
「気になるならその目で確かめりゃいい」
 扉を見つけて。会いに行って。
「何とかなるさ」
「……!」
 ネコ吉の言葉にキリエが視線を向ければ。いつの間にかネコ吉の手には黒い影の刀が顕れていて。
「……お前が生きてさえいれば、な」
 【影ノ刀】一閃。ネコ吉がキリエを斬り付ける。

 ――希望の花は他の誰でもなく。
 ――お前自身の中にあるのだから。
大成功 🔵🔵🔵

白峰・歌音
思い出した記憶なんだから、容易く記憶とは違う事実は信じられなさそうだな。オレも記憶を失ったアリスだから分かる気がする。……でも、死んでいないって希望、信じてみろよ。希望は容易く壊せるものじゃないぜ?

絶望からキリエも住民も守り抜く【覚悟】、絶望を受け止め寄り添い慰めようとする【優しさ】、希望を決してあきらめず砕かせない【情熱】を以ってUC発動。完全に防御に徹して住民をかばいつつ攻撃を受け止め続けて、希望を容易く砕けない物だとオレ自身で証明する!
「希望ってのは、可能性ってのは、容易く砕けるものじゃない!今お前が壊そうとしているものも、過去にお前が壊そうとしてしまったものも!」

アドリブ・共闘OK


●アリスの迷宮を彷徨う渡り鳥同士は
「……ッッ!!」
 体を大きく袈裟懸けに斬り裂かれて。それでも戦意を失わない『希望を摘み取る者』、キリエという名の少女は傷をかばいながら大きく後退して、目の前の猟兵を撒く。

 度重なる攻撃に狂気は振り払われ、看過できない傷がズキズキと命を脈動させる。それは正気に戻りつつある、ということだ。
「くっ……」
 それでもなお。思い出した記憶がキリエを責める。『お前はシオリを殺したのだ』と。
「う、あぁぁぁあぁぁッ!!!」
 絶叫するキリエ。その手に持つ槍に再び絶望の光が宿る。

「思い出した記憶なんだから、容易く記憶とは違う事実は信じられなさそうだな」
 再び狂気に包まれたキリエの前に立つ猟兵の名は、白峰・歌音(彷徨う渡り鳥のカノン・f23843)。彼女もまたアリス適合者、アリスの迷宮に縁を持つ者。
「オレも記憶を失ったアリスだから分かる気がする。……でも」
 同輩の気配か、あるいは歌音の声か。ゆっくりと焦点のあっていないキリエの視線が歌音に向く。
「死んでいないって希望、信じてみろよ。希望は容易く壊せるものじゃないぜ?」
 歌音はそう告げながら、その手にカードを握る。それは彼女のキーアイテム。彼女の力を封じた、そして。
「開放(リベレイション)!」
 歌音が叫ぶと、カードから彼女の力が開放される。直後、そこに立つのは、ネオ・マギステックドレス『流浪の涼風』を纏った歌音。そこに降臨したのは『<マギステック・カノン>』という名のヒーロー。
「……ッ!!」
 歌音が纏ったオーラに引き付けられるように、キリエの槍の切っ先が突きつけられる。
 アリス適合者同士の戦いが今始まろうとしていた……!

 突きつけられた切っ先に、油断なく構える歌音。
「来いよ……!」
「アァァァァァっっ!!」
 歌音の声に反応してキリエが動く。発する絶望の光が全身に広がってその身に受けた傷が癒され。直後、最大速度で一直線に飛翔してくるキリエの攻撃を。
「……っ!!!」
 歌音は交差した腕のオーラで受け止める! 切っ先とオーラがせめぎあい、それでも突破することは叶わない。
「オレのこの意志を……形に、示すっ!!」
 歌音が叫んだ直後、その身が新たなオーラを纏う。【イマジネイト・リミットブレイク】。キリエと同じく、意志の力をオーラに変えるその術に込められていたのは、『絶望からキリエも住民も守り抜く覚悟』と『絶望を受け止め寄り添い慰めようとする優しさ』と『希望を決してあきらめず砕かせない情熱』!
「うぁぁッ!!」
 歌音のオーラの勢いに弾かれるように引き下がったキリエを、今度は歌音が風のように飛翔して懐へ踏み込む。攻撃のためではなく、キリエの暴走が他へ被害を及ぼさないように。
 間合いを詰めて常にキリエの行く手を阻み、そして振るわれる槍を受け止める!

 それはアグレッシブでありながら、完全に防御の態勢であった。そして同時に歌音の在り方を見せる戦い。住民を守り、かばい、攻撃を受け止め続けて。それでも砕けぬこの姿こそが希望の在り方だと。
(希望は容易く砕けない物だとオレ自身で証明する!)
 歌音の心が猛る!
「う、あぁぁぁぁぁッ!!」
 その歌音の姿に怯んだキリエに歌音が畳みかける。あくまでそれは言葉で、そして態度で。
「希望ってのは、可能性ってのは、容易く砕けるものじゃない!今お前が壊そうとしているものも、過去にお前が壊そうとしてしまったものも!」
 歌音の声に反応して。弾かれたように上段から槍を叩きつけるキリエ。振るわれた槍はキリエの絶望の形。それを、頭の上で受け止めると同時に、歌音のオーラが叩き折る。
 それは希望が絶望を上回った、明確な瞬間であった。
大成功 🔵🔵🔵