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紅蓮の災禍

#クロムキャバリア

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#クロムキャバリア


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「――この世界において、戦う事は悪ではない!」

 赤い戦闘服に身を包んだ男の声は、放送を通してその少国家へと響き渡る。その後ろには似た黒い戦闘服姿の配下達が並び、重厚な防御型機動殲龍『堅牢』が居並ぶ姿はまさに圧巻と言えた。
 だが、その『堅牢』でさえ貧弱に見えるほどのキャバリアが、その背後にはあった。機動殲龍『煉獄』――その威風は、男の言葉に恐ろしいまでの説得力を持たせていた。

「もしも外敵が攻めてきた時、大人しく国や大事な誰かを差し出すのか!? 否、否だ! 人間の歴史とは、闘争の歴史とはその時に戦う事を選んできた! 今もそうだ、この小国において防衛という考えさえ生温い!」

 男は政治家であり、軍人だ。だから、知っている。専守防衛、それは自分の大事な場所を戦場にする考えなのだ、と。

「――生温いのだ! 弱いからこそ、攻めねばならない! 食い殺される前に、食い殺すのだ! 敵はどこにでもいる。ここにも、そこにも、あそこにも!」

 守るという精神では足りない。敵を攻め滅ぼして初めて、守れるものがあるのだと男は訴えた。

「安心するがいい! 我らには力がある! この機動殲龍シリーズがある限り、我らに敗北の二文字はないのだから!」



「それがオブリビオンに思想を狂わされての言葉でなければ、あるいは……じゃったがな」

 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は、そうため息混じりに述べた。

「今回、おぬしらに頼みたいのはクロムキャバリアのとある小国で、オブリビオンマシンに狂わされた軍人政治家の好戦派を止めてほしいのじゃ」

 その小国は貧しいながら、地下資源のある小国だった。だからこそ、小さな火種の絶えない国だったのは間違いないだろう。だが、行き過ぎた防衛は侵略へと姿を変えようとしていたのだ。

「このままでは侵略に侵略を重ね、次々に被害を拡大させるじゃろう。そうなる前に、始末してほしくての」

 まず、深夜に軍事基地に襲撃をかける必要がある。そこには機動殲龍シリーズのキャバリアや防空機構などが防衛に当たっている。激しい抵抗にあうだろうが――そこがもっとも被害を抑える事のできる戦場なのだ。

「そこの戦力を壊滅させてしまえば、次に防御型機動殲龍『堅牢』が――最後に機動殲龍『煉獄』が出てくるじゃろう。基地や『堅牢』のキャバリアのパイロットはただ扇動に踊らされてるだけじゃ。命を奪う必要まではない……よろしく頼むぞ」


波多野志郎
メカの同型や同ロットシリーズとか大好きです。どうも、波多野志郎です。
今回はクロムキャバリアの世界で、オブリビオンマシンの影響で侵略を始めてしまう前に軍隊を止めていただきます。

なお、キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターでも、キャバリアを借りて乗ることができます。ユーベルコードはキャバリアの武器から放つこともできます。基本、キャバリアを借りる事になりますので「生身がいい!」という人はプレイングにしっかりとお書きいただければ幸いです。

それでは、血と鋼鉄の戦場でお会いしましょう!
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第1章 冒険 『強烈なる夜襲作戦』

POW   :    力こそすべて。夜陰に紛れるよりも、強烈な火力を持って敵勢力を粉砕する

SPD   :    最速こそ最上。高度な機動力戦を仕掛けて、防衛する間もなく敵勢力を引き裂く

WIZ   :    知恵こそ最適。様々なトラップや策をもって、混乱を拡大させて被害を拡大させる

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

メルメッテ・アインクラング
まあ。まだ見ぬ場所が滅びてしまいましたら主様にも申し訳がありません
「メルメッテ・アインクラング、僭越ながら参ります」
私の機体のHanon-60に乗り、夜闇で【目立たない】紺の装甲色を活かしてお邪魔致しますね

それでは、無力化致しましょう
RS電磁連射銃を敵に【乱れ撃ち】『浮緩弾』。【体勢を崩す】所から始め、続けてBS重力砲を。人命は守りたいのでコックピット以外の腕部や脚部を【部位破壊】です
お味方がいらっしゃったら【援護射撃】も忘れずに
敵攻撃には【オーラ防御】で対処致します

後片付けをされる方々の事を考えますと大変心苦しいのですが、お止めしなくてはそれ以上の被害が出ると予想されますので……失礼致します


麻海・リィフ
アドリブ、即興連携歓迎
「この子」の慣らしには手頃かしら?
嘯き
初陣よ「セレン」…♪

自らのキャバリアに搭乗して操縦、出撃
先制UC発動

残像空中浮遊ダッシュジャンプで空中戦から強襲

剣を回し念動衝撃波串刺しチャージで一気に突撃

敵の攻撃は基本三種の盾で受け
念動衝撃波オーラ防御等を乗せて防ぐ
カウンター念動衝撃波シールドバッシュで範囲ごと薙ぎ払い

窮地の仲間は積極的にかばう

攻めなければ守れない…間違ってるとは言わない
だが!戦う事と奪う事を間違えるな!
そのまま行けば、お前たちは得ようとして全てを火にくべてしまう!

正面から気合存在感で陽動し潜入系の仲間を援護する

命は取らない!逃げて生を戦え!
無論コクピットは避ける


桐嶋・水之江
攻撃こそ最大の防御…彼らのやり方を否定する気にはなれないわね
じゃあ戦争を始めましょうか

基地への襲撃ね
ワダツミに任せなさい
グリモアゲートから転送完了後即初手を取るわよ
艦首ハッチ展開…水之江キャノン、発射
私の祝福付きだからいつも以上にパワーもレンジも強化されているわよ
これで基地の防壁とか鉄条網を吹き飛ばしてキャバリア部隊の突入口を確保するわ
けれどまだ終わりじゃない
水之江キャノン発射の反動から復帰したらミサイル攻撃を開始するわ
レーダー設備や高射砲を破壊しましょう
向こうの体勢が整う前に壊せるだけ壊すわよ
粗方終わったらワダツミは後退するわ
次の準備をしなきゃいけないから後はよろしく
強化服に着替えてこないと


リジューム・レコーズ
戦いの善悪という概念は正直よく分かりません
私自身戦争の為に作られた兵器なので…
ですが絶対不変の事実がひとつだけあります
それがオブリビオンによってもたらされたものならば、正さなければならない

行くよ…ディナ
基地へ突入、これより起動準備中の機体に孔壊処刑を執行する!
パイロットに用は無い!死にたくなければ退いて!
1機でも多く1秒でも早く…制御中枢であるコクピットを掘削し迅速に一撃一殺していきます
ブレイクドライバーで破壊処置を行なっている傍らマンティコアとアンカークローで付近の機体を貫いて引き摺り回し搭乗を阻止
邪魔な砲台は先んじてイグゼクターで黙らせる
瞬間火力に秀でたこの銃なら動かない目標など一瞬ですよ


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【WIZ】
※アドリブ絡み連携大歓迎
※愛機『ナインス・ライン』に搭乗

所詮傭兵だから戦を絶対悪とは言わないけどさ
ムダに闇医者の仕事増やされるのも困るんだよねー

さてさて、基地の夜襲か
相応に防衛用キャバリアやトーチカは多いけど
やっぱ仮想敵はキャバリア等機動兵器っぽいね

ってわけでオペ10番【ルナティック・ナイツ】開始
有効射程と夜闇を活かして『ウインド・ミル』を多数展開

まず切削担当でトーチカやレーダーを倒し
次に砲撃担当が弾幕で歩兵を牽制(極力不殺)
〆は工作担当の爆薬やワイヤー類でキャバリア襲撃っ

アタシがバックラーに使える程度の小型端末
ソレらを【瞬間思考力】で細かく役割分担
歩兵慣れしてないと対処はキツいよ♪


ミカエル・コードウェイナー
オブリビオンマシンに乗り、ユーベルコードで遠隔操作するクロムキャバリアを随伴させて参戦
「行こう……アディシェス」
基地の防空機構を目標に攻撃を開始します

〈乱れ撃ち、弾幕、、地形破壊、無差別攻撃〉
エリトロスを遠隔操作してガトリングキャノンで敵キャバリアを寄せつけないようにしながら、アディシェスで防壁やトーチカなどをまとめて破壊します
「基地施設対してに広域振動波を放射します。本機の正面、一時から十一時の範囲から退避してください」
味方と敵の両方に警告後〈鮮烈なる死の叫声〉を発射します


フォルティス・ワーライン
【パンドラ】 守りではなく攻めの姿勢。嫌いじゃないんだが、使う場所を間違っているな。

世界の高度には限界がある。注意しながら航宙駆逐艦『鬼やらい』を運転しよう。上からの援護は任せてくれ。味方を狙っている敵はチャージカノンで行動不能にしてやる。艦の被弾は自動修復エナジーアーマーで修復しよう。

基地に近づいたな?降下強襲機鋼部隊(UC)を展開させる。5人1組で行動しろ。闇夜に紛れ、光学迷彩を起動して敵にキャバリアを乗られる前に可能な限り破壊しろ。

俺が敵基地の上空まで移動できたら、船底プラズマ放射砲で焼き尽くしてやる。燃料・弾薬庫・予備のキャバリアも全てだ。プラズマのエネルギー充填には時間がかかるがな。


ジーク・エヴァン
【パンドラ】
確かに、力は誰だって欲しいさ。
守るのだって、簡単なことじゃない。
でもだからってそれが奪っていい理由にはならないし、それで傷付く人もいるんだ。
だからあの機械の竜を、必ず滅ぼそう。
神奈木さんとフォルティスさんが前線で防衛機構を相手取ってくれてる。
なら俺はその間に内部に潜入して内部工作をしよう。武器庫などのキャヴァリアの兵装が保管されてる場所にトラップツールの爆弾をセット(罠使い)する。兵士の注意が外で戦ってる二人に向いてる隙に爆破して混乱を煽り、フォルティスさんが基地に近付く隙を作ろう(破壊工作、爆撃)

フォルティスさんの爆撃が始まったら巻き込まれないように鉄馬に乗って脱出しよう


リーベ・ディヒ
【パンドラ】 ふふん、成る程な。 専守防衛を捨てさり、相手が自分に攻撃するより先に滅ぼそうと。
実に臆病で目先のことしか脳のない人間らしい思考だ。
そういうところがあるから人間は面白い。
が、これが植えつけられたものなら興醒めだな。
さて、ボチボチ遊んでやろうか。
フォルティス達が暴れてるなら私はジークと共に潜入するとしようか。
化術で影になって闇に紛れ、第六感と兵士達を読心術で読んだ思考を元にキャヴァリアの保管庫を目指す。
そこにあるキャヴァリアの動力源を【天井知らず】で闇に飲み込んでやろう。

い た だ き ま す 。


フォルティスが爆撃を始めたか。ならさっさと闇に溶けてずらかろうか


神奈木・璃玖
【パンドラ】

力こそが全て、確かにそういう考えもあるでしょう
戦うことでしか守れないものがあるということもまた然り
ですが、行き過ぎた力は己の身を滅ぼすことに繋がります
とはいえ、今の彼には何を言っても届かないのでしょうけれどもね

さて、私は以前手に入れたキャバリアで出撃しましょう(シナリオ「オーバー・ホール」参照)
元がスクラップでしたから、まともに動くようになるまでにかなり時間がかかってしまいました
整備はしっかりとできていますので行動に支障はないはずですよ

襲撃の時は選択UCの狐火で防衛機構の砲門を狙って内部爆発させましょう
うまくいけば連鎖的に破壊できるでしょうからね



●兵は詭道なり――

夜の闇を、いくつものサーチライトが切り裂いていく。その軍事基地の様子を遠くから観察して、リーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)は呟いた。

「相応に防衛用キャバリアやトーチカは多いけど、やっぱ仮想敵はキャバリア等機動兵器っぽいね」

 基地の場所、用途、その世界の戦場の主戦力――いくつもの要素で、基地というものは様相が変わる。絶対の正解はないが最適解はある、そういう物だ。

「所詮傭兵だから戦を絶対悪とは言わないけどさ。ムダに闇医者の仕事増やされるのも困るんだよねー」
「まあ。まだ見ぬ場所が滅びてしまいましたら主様にも申し訳がありません」

 リーゼロッテと違う立場から、メルメッテ・アインクラング(Erstelltes Herz・f29929)もこぼす。戦場ではどんなモノでも傷つき、灰になる。破壊の上に、新しい何かが生まれるものだ。

「「この子」の慣らしには手頃かしら?」

 岩陰で真鍮色の絡繰小箱を手に、麻海・リィフ(晴嵐騎士・f23910)が微笑む。絡繰小箱が召喚するのは、蒼い人型戦機――可変人型戦機「蒼穹(セレンディピティ)」だ。

「初陣よ「セレン」……♪」
「メルメッテ・アインクラング、僭越ながら参ります」

 リィフがセレンディピティへ、メルメッテがHanon-60へ、青と紺のキャバリアへと乗り込む。それを見届けたリーゼロッテが、MPC-RW9r-LEX ナインス・ラインの通信で伝えた。

「準備はいいわよ」
『――了解よ』

 その返答と同時に、それは起きた――敵基地の前方に巨大な強襲揚陸艦が出現したのだ。

「おい! 何だ、あれ!?」
「まさか、敵襲――」

 突然の出現に、敵基地が混乱に陥る。それでも防衛していたキャバリアがすぐ様強襲揚陸艦を包囲しようとする辺りは、場馴れしていると言えただろうが――。

「艦首ハッチ展開」
「――ッ!?」

 ガシャン、とワダツミ級強襲揚陸艦ワダツミの艦首が展開、拠点攻撃用の大口径兵器である戦術ハイパーメガビーム砲がその砲門を見せた。艦橋の艦長席で、桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)がその手をかざし告げた。

「……水之江キャノン、発射」

 ドン! と一条の光線が敵基地へと放たれた。キャバリア達は咄嗟に散開するも、逃れきれなかったものは一部装甲が飴細工のように溶け、基地の壁を貫いた。

「攻撃こそ最大の防御……彼らのやり方を否定する気にはなれないわね。じゃあ戦争を始めましょうか」

 その砲撃に合わせ、リーゼロッテとメルメッテ、リィフの黒と紺、蒼のキャバリアが正面から基地へと突入した。

●奇襲からの強襲

 転移直後に強襲揚陸艦を出現させての奇襲――それで基地は、混乱に陥った。ただ、その時間は五分とない。命令系統が正常に働いている証拠だ。

「守りではなく攻めの姿勢。嫌いじゃないんだが、使う場所を間違っているな」

 フォルティス・ワーライン(宇宙を駆けるケントゥリオ・f18278)は、航宙駆逐艦『鬼やらい』の艦橋でその様子をつぶさに観察していた。高度制限のある世界だ、対空という概念に乏しい代わりにキャバリアの射撃攻撃が届く事も意味している。

 そうなれば、飛行状態では蜂の巣にされるだけだ――だが、今の混乱している五分の間ならばやりようがある。

「基地に近づいたな? 人1組で行動しろ。闇夜に紛れ、光学迷彩を起動して敵にキャバリアを乗られる前に可能な限り破壊しろ」

 フォルティスの指示に、『鬼やらい』から降下強襲機鋼部隊が次々に落下していく。それを眺めながら、基地の中に既に忍び込んでいた一人、リーベ・ディヒ(無貌の観察者・f28438)が鼻を鳴らして笑う。

「ふふん、成る程な。 専守防衛を捨てさり、相手が自分に攻撃するより先に滅ぼそうと。実に臆病で目先のことしか脳のない人間らしい思考だ。そういうところがあるから人間は面白い」

 腹に響く壮年の男性のような美声だが、その姿は愛らしい幼女のソレだ。いや、リーベにとって姿など意味はないのだが。

 だからこそ、次の言葉に込められたのは異常なまでの説得力だった。

「が、これが植えつけられたものなら興醒めだな」

 人の内から生まれたのではなく、人に外から植え付けられたもの。それが理由では、面白みに欠ける――人ならざる存在だからこその言葉だった。

「力こそが全て、確かにそういう考えもあるでしょう。戦うことでしか守れないものがあるということもまた然り。ですが、行き過ぎた力は己の身を滅ぼすことに繋がります」

 神奈木・璃玖(九尾の商人・f27840)は、狐の意匠が施され璃玖専用キャバリアルナールのコックピットで、小さく目を細めた。その視線はここにいない者を見ている。ある意味で本当の被害者に向けて、言った。

「とはいえ、今の彼には何を言っても届かないのでしょうけれどもね」
「確かに、力は誰だって欲しいさ。守るのだって、簡単なことじゃない。でもだからってそれが奪っていい理由にはならないし、それで傷付く人もいるんだ」

 そう語るジーク・エヴァン(竜に故郷を滅ぼされた少年・f27128)のその瞳には、強い意志が宿っている。世界が変わろうと、対象が変わろうと、大きな戦いでいつも犠牲になるのは弱い人間だ。それをジークは身を持って知っていた。

「だからあの機械の竜を、必ず滅ぼそう」
「その前にやるべき事を終えようか」

 ゾークの決意に、リーベはそう告げる。それにうなずいたジークとリーベを見送り、璃玖はルナールのコンソールに手を伸ばした。

「元がスクラップでしたから、まともに動くようになるまでにかなり時間がかかってしまいましたが……整備はしっかりとできていますので行動に支障はないでしょう」

 その瞬間、一騎の量産型キャバリアが物陰から飛び出した。構えるライフル、それが火を吹くより早く――ボン! とライフルが暴発した。

「なっ!?」

 腕を暴発に持っていかれて、量産型キャバリアが体勢を崩す。ルナールの周囲で展開される狐火――暴発の原因が、一気に量産型キャバリアへと襲いかかった。

「さて、私の仕事をさせて――」

 もらいましょうか、と上空の『鬼やらい』へと砲撃を撃ち込もうとする砲撃型キャバリア達へ璃玖が視線を向けたその時だ。

「行こう……アディシェス」

 ミカエル・コードウェイナー(背神の守護天使・f30565)が駆るアディシェスの背後から、遠隔操作された無人のアルカンゲロス・エリトロスが前に出た。リモート・レプリカントによる遠隔操作を受けたアルカンゲロス・エリトロスは、RS〈シュヴェーフェルレーゲン〉ガトリングキャノンで砲撃型キャバリアの分厚い装甲を穿っていく!

「今です」

 ミカエルの呟きに答えたのは、アークレイズ・ディナ――リジューム・レコーズ(RS02・f23631)が操るオブリビオンマシンだ。

「行くよ……ディナ」

 アークレイズ・ディナの加速、対物掘削衝角剣槍RXブレイクドライバーが砲撃型キャバリアの胸部に突き刺さる。ガゴン! と胸部を穿った孔壊処刑(コウカイショケイ)の一撃の勢いそのまま、アークレイズ・ディナは前へ出た。

 残った砲撃型が対応しようとするが、ミカエルのアルカンゲロス・エリトロスの掃射で崩した体勢はすぐには戻せない――それと同時、砲門が璃玖の狐火によって次々に破裂した。

●強襲からの殲滅へ――!

 ドドドン! と既に破壊活動を始めていたフォルティスの降下強襲機鋼部隊によって基地にいくつも火の手が上がる。

「雲か霞か、攻めるも受けるも……!」

 その炎を突っ切ったのは、浮陣・青雲光霞によって無数の機動浮遊攻防盾「雲霞」を展開したセレンディピティだ。リィフは、その勢いのまま眼前に盾を並べ言い放つ。

「攻めなければ守れない……間違ってるとは言わない。だが! 戦う事と奪う事を間違えるな! そのまま行けば、お前たちは得ようとして全てを火にくべてしまう!」
「な――!?」

 三体の量産型キャバリアが、雲霞のシールドバッシュで弾き飛ばされる! 機体の出力が大きく違いすぎる。それでも着地を成功させ、射撃を返す敵も相応の練度を持っていた。

「命は取らない! 逃げて生を戦え!」

 ガガガガガガガガガガガ! と敵の実体弾を雲霞で弾きながら、リィフは一つの雲霞を敵キャバリア達の頭上へ投げ放つ。その上へ、Hanon-60が降り立った。

「それでは、無力化致しましょう」

 メルメッテが操るHanon-60のRS電磁連射銃が、敵キャバリアの手足を捉える。着弾時に小爆発し、敵キャバリアの電子系統がショートしていく――ガクン、と次々と敵キャバリアが沈黙していった。

「後片付けをされる方々の事を考えますと大変心苦しいのですが、お止めしなくてはそれ以上の被害が出ると予想されますので……失礼致します」

 無力化した事を確認し、リィフとメルメッテは次の敵への対処に向かう。それを呆然と、コックピットから這い出た兵士達は見送るしかなかった。

「……何故、殺さない……?」
「おい! 通信が通らないぞ!」
「援軍は何をやっている!?」

 既に最初の奇襲から、五分が経過しようとしていた。状況を持ち直していてもおかしくないはずだ――ならば、と生き残ったパイロットは呆然と呟く。

「こちらを殺さず無力化し、なおも基地機能を削いでいるのか……?」

 ――その予想は当たっていた。夜闇に紛れたナインス・ラインのコックピットの中で、リーゼロッテが呟く。

「歩兵慣れしてないと対処はキツいよ♪」

 Op.X:LUNATIC KNIGHTS(ルナティック・ナイツ)によるウインド・ミルの同時多数制御――それによって切削担当でトーチカやレーダーを倒し視界と通信を封じ、砲撃担当が弾幕で歩兵を牽制、その上で工作担当の爆薬やワイヤー類でキャバリアを襲う。

 五分というアドバンテージを、最大限に活かした破壊工作だった。どんなに立ち直れようと、それはあくまで最善が果たせればの話。リーゼロッテの工作は、完全にその必要な経路を断ち切っていた。

「ま、『援軍』も封じられてればそうだよね」

 ウインド・ミルから届けられる光景に、リーゼロッテが笑みをこぼす。これだけの規模の基地でも全部のキャバリアや人員が常にフル稼働している訳ではない――戦時でなければ防衛は三分の一から四分の一が稼働していればいい方だろう。

 だから、待機していたキャバリアもいた。それが加わっていれば、状況はまた違ったはずだ……しかし、それは叶うはずもなかった。

 待機していたキャバリアの保管庫。そこを巨大な闇が飲み込もうとしていた。

「 い た だ き ま す 」

 リーベの天井知らず(フォールダウン)だ。キャバリアの動力源を飲み込まんと無機物が闇へと代わり、視界を覆い尽くしていった。

「よく訓練されていたけど、それが失策だったね」

 ジークは、小さく指摘する。混乱していたからだろう、基地の兵士は最善を取ろうとした。だからこそ、その動きで基地の重要施設――武器庫やキャバリアの保管庫の位置が読めてしまったのだ。

 いくつも起きる爆発。武器庫や保管庫に兵士が近づき、体勢を整える前にジークは仕掛けた爆弾を起爆させた。

「そろそろか?」
「そうだね」

 混乱が続けば、フォルティスの航宙駆逐艦『鬼やらい』はより容易に基地の頭上を取れる――リーベは闇に溶けるように紛れ、ジークは鉄馬へと跨った。

「あなたの身体を……心と魂ごと抉り尽くしてやるッ!」

 その近くで、リジュームのアークレイズ・ディナが次から次に敵キャバリアの胸部を穿っていく! それでも、敵キャバリアは諦めない。一度にしがみついて動きを止めようと迫る三体へ、リジュームは鋭く視線を向けた。

 RBXS-Bマンティコア――テイルアンカーが、真正面の一騎の顔面を破壊。直後、両肩から伸びたアンカークローが左右の二体を貫き、振り払った。コックピットを避けた一撃に、敵キャバリアは沈黙。パイロットは、慌てて脱出した。

 ゴ、ゴゴゴゴゴ――! と不意に基地の高い壁に亀裂が入る。その亀裂はビスケットのように分厚い壁を砕き、ワダツミ級強襲揚陸艦ワダツミが突っ込できた。

『退避を――!』

 水之江の声は、通信ではなく拡声器によって大気を震わせ基地に響き渡る。それを聞いて、砕けた壁の穴からジークの鉄馬が駆け出た。

「タイミングを!」
『了解!』

 そして、続くようにセレンディピティとHanon-60が兵士達を抱えながら脱出した。それに、アークレイズ・ディナが続く。

「させるかああ!!」

 そこへ、一台の旧式の砲撃型キュバリアが躍り出た。ワダツミへとチャージした破壊光線を放とうと――した直後、砲身が内側から破裂した。

「させませんとも」
「このポンコツがああああああああ!!」

 間一髪、璃玖のルナールが強引に砲撃型キャバリアを基地の外へと押しやった。そのまま砲身を暴発させたフォックスファイアで、そのまま砲撃型をオーバーヒートさせる!

「大丈夫、地上部分『は』もう退避済みよ!」

 リーゼロッテがウインド・ミルの視界で見た状況をワダツミへ伝えた。そして、それは航宙駆逐艦『鬼やらい』が基地上空に到達するのと同時だった。

「基地施設対してに広域振動波を放射します。本機の正面、一時から十一時の範囲から退避してください」

 その二機の艦が武器を展開するのと同じく、ミカエルはアディシェスのBS-Bサイレントヴォイスを起動――!

「ミサイル、一斉掃射!」
「船底プラズマ放射砲、撃てぇ!!」

 ワダツミ級強襲揚陸艦ワダツミの四方八方へのミサイルとわずかにタイミングをずらした航宙駆逐艦『鬼やらい』の広範囲に焼き払うプラズマ放射砲が放たれた。基地中にばらまかれたミサイルが、プラズマによって爆発! 建物を薙ぎ払いアスファルトを融解させていく。

 そして、そこへミカエルの鮮烈なる死の叫声が放たれた。爆音を飲み込む衝撃と呪詛が、文字通り基地を完全なる更地へと変えていた。

「次の準備をしなきゃいけないから後はよろしく。強化服に着替えてこないと」

 後退を始めたワダツミの中で、水之江が艦長席から立ち上がる。基地そのものは破壊できても、まだ『本命』が終わっていないのだ、と。

『来るぞ』

 リーベの通信に、ワダツミの艦橋のモニターへ映し出された映像があった。それは横一線に並んだ、防御型機動殲龍『堅牢』の軍勢であった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『機動殲龍『堅牢』』

POW   :    ヘビーバレットストーム
全身を【全武装から砲撃し続ける状態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    シールドアライアンス
【機動殲龍『堅牢』】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[機動殲龍『堅牢』]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
WIZ   :    ヘビーアーマーキャバリア
全身を【重装甲モード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●次の、次の闘争へ――

『ああ、悲しいものだな。アレではもはや蹂躙だ』

 歌うように、そして囁くようにその男の通信は機動殲龍『堅牢』達のコックピットへと届いていた。

『アレが敗北だ。アレが終わりだ。諸君、自分の国が戦場になるという意味を、アレで理解できただろう?』

 扇動者は、文字通り煽る。どれだけの命が失われたのか? 大切な記憶のある場所が失われる、その恐怖と悲しみを煽るのだ。

『許すな、これは正しい戦いだ。打ち倒せ、打ち倒せ、打ち倒せ! 打ち倒される前に、敵を滅ぼせ!!』

 諸君らにはそのための力がある――そう、扇動者が告げた。それに従い、悲愴な決意で彼らは戦場へと突き進む。

「……どこの誰かは知らんが、悪くないタイミングだ」

 扇動者は通信を切り、そしてほくそ笑む。オブリビオンに捻じ曲げられた彼にとって、もはや始まりなどどうでもいいのだ。

「殺され、だから殺し返す。一度始めてしまえば人は殺しの螺旋からは逃げられない……さぁ、その一歩を踏み出してしまえ、愛国者という名の愚か者達よ」
桐嶋・水之江
◆桐嶋技研
あら、リジュームちゃんも来てたのね
ここからは仲良く一緒に動きましょうか
キャバリア戦は私の操縦テクの見せどころ…イカルガで出るわよ

敵は重装甲重砲撃タイプね
ご丁寧にお行儀よく一列に並んでくれちゃって
隊列を崩してやりたいわね
こっちはスピードで翻弄して側面に回り込みながらビームスマートガンで砲撃するわ
周囲には瓦礫が散らかってるからそれも盾に使いましょう
それにしても硬いわね
なるほど、無敵化UC…じゃあユーベルコードキャンセラーで引き剥がすわ
発動は一瞬だけよ
味方にも影響出ちゃうし私も死んじゃうし
数秒あれば攻撃を集中させて突破するには十分…使う前と後にはちゃんと合図を出すからご心配無く


リジューム・レコーズ
◆桐嶋技研
水之江博士と合流
協働して任務に当たります

敵の本隊ですか
流石正規軍だけあって立ち直しが早い
ディナ、奴らを喰らえ!

頑強かつ火力も高いようですがそんな鈍重な機体では!
クイック・スペリオルを起動、むざむざ砲撃に曝させるほど甘くない!
側面に回り込んで友軍と十字砲火を行います
密集陣形の優位性を潰して隊列を崩壊させます
水之江博士が一時的に無敵効果を無力化するとの事なのでそのタイミングで突撃
ブレイクドライバーで掘削攻撃を行います
ただ分厚い装甲など一撃で貫いてやる!
この際は敵機を遮蔽物にするポジションを取り集中攻撃を阻止します
その堅牢さが命取りなんですよ!


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【POW】
※アドリブ絡み連携大歓迎
※引き続き愛機に搭乗

結局アタシ達は基地を叩いた所属不明部隊
いくら不殺を心掛けた所で怪我人もいるしね

だからアチラさんが敵意全開でも
それは傭兵として存分に見慣れた光景
クールかつ大胆に攻めてイクよっ♡

さて、奴さんは重装甲重火力の移動砲台
わざわざ真正面から撃ち合うのは非効率的
でも近距離制圧用の武装は少なそうだね

なら『ツェンタオア』を【リミッター解除】
密集した部隊の傍にホバーで【ダッシュ】っ

真下に来たらオペ16番【ゴーレム・ドーザー】開始
抉る様に足元の地面を【吹き飛ばし】数機ほど転ばすよ
自称無敵な機体へ直接叩き込むより堪えるでしょ?
後は起き上がろうと藻掻く所へ集中砲火♪


メルメッテ・アインクラング
それではHanon-60を駆り、手始めにRS電磁連射銃を撃ちましょう
けれども手応えがありません、傷ついた様子もないのでしたら「ひょっとして響いていないのでしょうか」
堅牢にして堅固、これでは埒が明きません……「失礼致します」
『等除却』を発動。サイキックパワーを込め、改めて【乱れ撃ち】でございます
重装甲モードが解除されたらすかさずBS重力砲で脚部を狙い【部位破壊】。無力化できれば良いのでコックピットは外します。【制圧射撃】を致しましょう。この戦場で失われる命があったなら、それこそ首謀者の思う壺なのでしょうから

「ええ、戦う事は悪ではございません。傷つける為ではなく、守る為なら。私も幾らでも戦えます」


ジーク・エヴァン
【パンドラ】
奪われる恐怖と悲しみ、それは俺も分かる
でもそれを誰かにするのは、駄目だ
そんなことをすれば相手と同じになる
だから俺が、そんなことはさせない

フォルティスさんの鬼やらい、神奈木さんのルナールを多重詠唱結界術で守ろう

俺は鉄馬に鉄輪を取り付けて機鋼部隊と一緒に戦場を駆け回り、敵を撹乱しよう(推力移動、騎乗)
相手が全武装を使うモードを発動したら【巨竜退ける砦盾】を発動!
10枚一組の盾を幾つも展開して他の猟兵達を守ろう!
守ることなら、俺だって負けない!

鬼やらいの砲撃で相手がマヒしたら鉄兜で奴らの脚を破壊する!
(騎乗突進、部位破壊、串刺し、鎧砕き)

可能なら堅牢の中の人にも結界を張って衝撃から守ろう


神奈木・璃玖
【パンドラ】
蹂躙ですか
傍から見たら、確かにそう見えるでしょうね
しかし私達のあの攻撃で死んだ人間はいるでしょうか?
少なくとも、私達猟兵は死人は出さないように攻撃をしているはずですよ

こんな戦いは早く終わらせるに限ります
引き続きルナールに乗って戦いましょう
フォルティスさんが敵の機器の誤作動を誘発させたら、選択UCの狐火を相手の武装に向けて放ちます
やり方としては先程の防衛機構に向けてやったのと同じ様に
砲門から狐火を侵入させての内部爆発を狙いましょう
爆発させたらすぐに火を消します
そうすればコックピット内部の人も生存率があがるでしょうからね
私達としても、死人を出すのは本意ではありませんから


リーベ・ディヒ
【パンドラ】
くくくっ、愛国心か
人間が持つ感情の中でも特に尊く、愚かな感情だ
自分の場所を、愛する者を守るため戦う

守るため他を傷付けるとは、実に人間らしい矛盾に満ちた感情じゃあないか
ふふふっ!最ッ高だ!だからこそ人間は愛おしい!

化術で闇となり闇に紛れ、残像を多重詠唱し、戦場のそこらじゅうに発生させる
警戒した奴らは一塊になるだろうがそれで良い
さあどうした?
私はここにいる
お前達は兵士
目の前の敵を、私を、私達を砲撃で吹き飛ばせ
鉄の足で踏み潰せ
機銃で蜂の巣にしてみせろ!(誘惑)

まあその間に「私」はお前らの陣の中心にいるがな(騙し討ち)
【天井知らず】を発動
範囲内の堅牢の脚と武装だけ闇の中に飲み込んでやろう


フォルティス・ワーライン
【パンドラ】 よし、続けてこのまま攻勢を続けて敵を圧倒していこう。 展開した機鋼部隊は5人1組としてパンドラの各メンバーの護衛を行え。光学迷彩を展開して各メンバーが作った隙を突き、あるいはあえて囮となって隙を作れ。常に相手の視線を意識しろ。 ふん、防御を固めてきているな。だが、上空から航宙艦用『プラズマチャージカノン』を当てる絶好のチャンスだ。誤作動を起こさせれば相手もまともに武器はうてまい。 遠距離にいる敵には航宙艦用『タングステン弾磁力加速砲』を撃ち当ててやろう。 このまま敵を壊滅させれば親玉が出るはずだ。全員、容赦するなよ!


麻海・リィフ
アドリブ、即興連携歓迎

そういう型って…
一旦倒れるとどうなの?

引き続き乗機
空中にて徐に抜剣
敵の攻撃は基本三種の盾に念動衝撃波オーラ防御などで受け

残像空中浮遊ダッシュ敵陣に突撃
念動衝撃波シールドバッシュで範囲を薙ぎ払い吹き飛ばし…フェイント
二回攻撃念動衝撃波UCで最大範囲の地形を破壊し敵の脚部位破壊やパイロットの気絶を狙う

窮地の仲間は積極的にかばう

堅牢なのはいいが何の為の堅牢だ?
壁なら民を護るのだろう
盾なら友を守るのだろう
奪おうとする今の貴様等の後ろに
守るべき何がある?
あるなら思え!今の貴様等は、奪う貴様等は、背中の誰かに胸を張れるのか!?

命は取らない!過去にはしない!今を生きろ…!
ひたすら非殺


ミカエル・コードウェイナー
<空中戦、恐怖を与える、存在感>
燃え盛る死の翼を深紅の色に展開して威嚇しつつ、空中から襲撃します。
攻撃を仕掛ける前には降伏および機体の放棄を勧告します。進んで殺害する意図はありませんが、応じないのであれば容赦はしません。
「武装の稼動を停止し、機体から脱出しなさい」

<切り込み、体勢を崩す、串刺し、切断>
三十秒だけユーベルコードを発動、敵の射撃兵装を無力かしている間に敵軍へ肉薄します。
アディシェスの全身から生命貪る死の棘を射出、敵機の脚部を貫いて動きを止め、無情なる死の刃で斬り裂きます。
「オブリビオンマシンをすべて破壊します。……それが私の罪をつぐなう、ただひとつの方法だから」



●闘争の始まり――

 規則正しい進軍は、一つの音と揺れを生み出していた。機動殲龍『堅牢』――漆黒のトリケラトプスを思わせる鋼鉄の恐竜の群れには、一糸の乱れもない。正しく、全にして個の軍勢であった。

「くくくっ、愛国心か。人間が持つ感情の中でも特に尊く、愚かな感情だ。自分の場所を、愛する者を守るため戦う」

 展開していく機動殲龍『堅牢』を見て、リーベ・ディヒ(無貌の観察者・f28438)が喉を鳴らす。鋼鉄の獣、その進軍を嘲笑う悪霊は言い捨てた。

「守るため他を傷付けるとは、実に人間らしい矛盾に満ちた感情じゃあないか。ふふふっ! 最ッ高だ! だからこそ人間は愛おしい!」
「奪われる恐怖と悲しみ、それは俺も分かる。でもそれを誰かにするのは、駄目だ」

 リーベの隣で、鉄馬に跨るジーク・エヴァン(竜に故郷を滅ぼされた少年・f27128)は痛ましい表情を見せる。笑みと悲愴、人外と人間――肩を並べて戦う彼らの存在が、一目でわかる対比だった。

「そんなことをすれば相手と同じになる。だから俺が、そんなことはさせない」

 ――ガシン、とひときわ高い停止音。展開を終えた『堅牢』達を見てリーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)は呟く。

「結局アタシ達は基地を叩いた所属不明部隊。いくら不殺を心掛けた所で怪我人もいるしね」

 戦いの構図とは、視点を変えるだけで一変する。正義と悪は表裏一体のコインというよりも、渾然一体となった球体と言うべきなのだろう……ならば、彼らは正義を持ってこちらに向かってくるのだろう。

「だからアチラさんが敵意全開でもそれは傭兵として存分に見慣れた光景。クールかつ大胆に攻めてイクよっ♡」

 舌先で唇を湿らし、リーゼロッテは笑う。笑える、それだけの場数を踏んでいるからだ。

 ガシン、と全武装を構え、『堅牢』は一斉に砲撃を開始する。鼓膜を破らん勢いのその砲声が、ここに新たな戦いの始まりを告げた。

●砲撃を抜けて

 着弾する度に爆発が起き、瓦礫を巻き上げる。狙いは重要ではない、彼らの狙いは『密度』だ。近づこうとする者を牽制し、追い込み、爆殺する――侵略するがごとき、面での制圧射撃だ。

「水之江博士、ご無事ですか?」
「あら、リジュームちゃんも来てたのね。ここからは仲良く一緒に動きましょうか」

 地震のように地面が揺れる中、リジューム・レコーズ(RS02・f23631)は桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)の隣に着地した。互いにイカルガとアークレイズ・ディナというキャバリアに乗機した彼女達は、同時に爆音の方へ向き直った。

「キャバリア戦は私の操縦テクの見せどころ……イカルガで出るわよ」

 イカルガが、アークレイズ・ディナが、同時にワダツミの影から飛び出す。視界を埋め尽くす砲弾、砲弾、砲弾――水之江が言い捨てる。

「敵は重装甲重砲撃タイプね。ご丁寧にお行儀よく一列に並んでくれちゃって……隊列を崩してやりたいわね」

 イカルガが機動力を活かし、BSビームスマートガンを射撃。当たる砲弾だけを選んで撃ち落としながら横へと回り込もうとする――それに対して、『堅牢』の一部が砲門の方向を変えようと体を入れ替える。

「流石正規軍だけあって立ち直しが早いです」

 だが、それだけ一瞬圧力が減った。イカルガの援護を受けながら、リジュームはアークレイズ・ディナを加速させた。

「ディナ、奴らを喰らえ!」

 真っ直ぐの突撃、それを『堅牢』側も許さない。イカルガの援護を数で押し切り、アークレイズ・ディナを爆撃しようと砲弾が迫る!

 だが、クイック・スペリオル――高機動で加速を得たアークレイズ・ディナはその砲弾をステップで掻い潜り――抜ける!

「そこです」

 その瞬間、アディシェスを駆るミカエル・コードウェイナー(背神の守護天使・f30565)が、空中から襲撃した。燃え盛る死の翼を深紅の色に展開するその姿は、まさに戦場に舞い降りた戦天使だ。RS〈シュヴェーフェルレーゲン〉ガトリングキャノンの一斉掃射――それと同時に、横へ回り込んだイカルガとアークレイズ・ディナの射撃が『堅牢』の片翼を襲った。

 天上から見れば、それは十字架に見えただろう――三機による十字砲火に、『堅牢』の陣形、その片翼が体勢を崩した。

「慌てるな! ヘビーアーマーキャバリア、起動!」

 ガシャンガシャンガシャン! と十字砲火を受けた『堅牢』達は即座に重装甲モードへと移行した。そこへ、Hanon-60のRS電磁連射銃をメルメッテ・アインクラング(Erstelltes Herz・f29929)が撃ち込んだ。だが、装甲の上を滑るように電磁徹甲弾が弾かれるのを見て、メルメッテは呟く。

「ひょっとして響いていないのでしょうか」

 堅牢にして堅固、その重装モードは並ではなかった――だからこそ、これでは埒が明きませんとメルメッテは等除却(グライヒシュタルク)を発動させた。

「失礼致します」

 RS電磁連射銃へとサイキックパワーを注ぎ込み、改めて乱れ撃った。ギギギギギギギギギギギギギン! と銃弾を弾くまでは同じ――だが、その電磁徹甲弾が重装モードを強制的に解除させた。

「――――」

 それを目敏く見付け、メルメッテはBS重力砲をすかさず撃ち込む。狙いは――地面だ。
「な、あ!?」

 重装モードを解除されていた『堅牢』達は地面を砕かれ、体勢を崩す。その間隙に間合いを詰めたのは、麻海・リィフ(晴嵐騎士・f23910)の駆る蒼穹(セレンディピティ)だ。

「そういう型って……一旦倒れるとどうなの?」

 ゴォ! と回転剣ストヲムルゥラァで嵐を生み出し、セレンディピティは地面を薙ぎ払う! 足ごと嵐で穿たれた『堅牢』達は、地面に転がった。

 そこへ、アディシェスの射撃が正確に『堅牢』の武装を破壊する!

「武装の稼動を停止し、機体から脱出しなさい」
「く、くそ!」

 ミカエルの警告に背を押されるように、パイロット達が逃げていく。それをイカルガとアークレイズ・ディナも砲撃に巻き込まれないよう、フォローした。

「よし、続けてこのまま攻勢を続けて敵を圧倒していこう」

 ――もう片翼では、フォルティス・ワーライン(宇宙を駆けるケントゥリオ・f18278)が降下強襲機鋼部隊の指揮を取っていた。展開した機鋼部隊は五人一組で行動、その一組の援護を受けてルナールに乗った神奈木・璃玖(九尾の商人・f27840)が前線に出る。

「蹂躙ですか。傍から見たら、確かにそう見えるでしょうね。しかし私達のあの攻撃で死んだ人間はいるでしょうか? 少なくとも、私達猟兵は死人は出さないように攻撃をしているはずですよ」

 機鋼部隊が盾となるように構え、その背後からルナールの放つ狐火が、縦横無尽に戦場を駆ける。兵器のそれと違い軌道の読めない炎の動きに、『堅牢』側は隊列を乱された。
 ドドドドドドドドドドゥ! と砲弾の豪雨がそこへと降り注ぐ――だが、ジークの多重詠唱結界術がその砲弾を受け止め、爆炎を弾いていく!

「行くぞ!」

 そして、鉄馬に鉄輪を取り付けてジークが戦場を疾走する。砲弾や銃弾は巨竜退ける砦盾(フォートレス・アイアス)の巨大な盾の前に、敢えなく防がれていった。

 そして、リーベは化術で闇となり闇に紛れ、残像を多重詠唱。戦場に無数の影の軍勢を生み出した。

「な、あ!? センサーは反応していないぞ! 何だ、これは!」

 起立する闇の数に、『堅牢』側は混乱する。そこへ、妖しくリーベの言葉が響き渡った。

「さあどうした? 私はここにいる。お前達は兵士。目の前の敵を、私を、私達を砲撃で吹き飛ばせ、鉄の足で踏み潰せ、機銃で蜂の巣にしてみせろ!」

 地の底から、しかし、あまりにもおぞましく蠱惑的な声で誘う。それに恐慌したように、影の軍勢を『堅牢』達は撃ち抜いていった。

「さて、奴さんは重装甲重火力の移動砲台。わざわざ真正面から撃ち合うのは非効率的、でも近距離制圧用の武装は少なそうだね」

 相手の武装、戦術を見極めてリーゼロッテは判断を下す。MPC-RW9r-LEX ナインス・ライン用改造アンダーフレームEP-L-747HT-LEX ツェンタオアのリミッターを解除――そのまま、ホバーで地面を滑り疾走した。

「姿勢保持用とはいえ、コレも一応立派なパイルバンカーさ」

 ゴォ! とナインス・ラインの脚から放たれた脚部固定アンカーが地面を砕き、『堅牢』達を吹き飛ばした。重装甲重量級――その四足の安定感も地面があってこそだ。むしろ、ジャンプできない『堅牢』にとって地面を砕かれるのは致命的を言っていい。

「両翼、退け! 中心で再陣形!」

 それに対する『堅牢』側の対処は、さらなる密集だった。シールドアライアンスという密集状態になればなるほど強固となる性能があるからこその判断だった。

「ふん、防御を固めてきているな」

 フォルティスは『鬼やらい』の艦橋から、そう言い放つ。高みにあるからこそ見れるものもある――戦況は、次の状況へと移行していった。

●『堅牢』な想いの先に

 外側の全方位をカバーする円陣、その『堅牢』達の陣形の変化は見事なものだった。例え囲まれたとしても、砲撃の圧力で凌ぎ切る。重装甲の耐久戦を得意とするからこその判断だった。

「あれを墜とせ!」

 その頭上を取ろうとしたのは、『鬼やらい』だ。砲撃を受けて揺れる航宙駆逐艦――だが、ジークの多重詠唱結界術がそれを防ぐ。

「プラズマチャージカノン、撃て!」

 フォルティスの合図と同時、光の柱が地面へと放たれた。当たると機械的な動作不良や一時停止を起こすその一撃に、『堅牢』達の動きが一瞬止まる。

「立て直――」

 せ、と言い切るよりも早く、闇が視界を埋め尽くした。

「曰く。恋は落ちるもの、愛は抱くもの」

 陣形の内側へと入り込んでいたリーベの天井知らず(フォールダウン)が、闇を生み出し『堅牢』の脚部や武装を飲み込んでいく――だが、『堅牢』側もただでは許さない。取り込まれた『堅牢』が、無事な『堅牢』の盾となるように強引に動いたのだ。

「俺たちごと撃て!!」

 動けないのならば、その残骸を踏み込めていけばいい――その自己犠牲を、ジークが否定した。巨竜退ける砦盾が、他でもない犠牲になろうとした『堅牢』を守ったのだ。

「なっ!?」
「守ることなら、俺だって負けない!」

 その隙に、ジークは闇に囚われた『堅牢』達の脚部を鉄馬の鉄馬外部装甲「鉄兜」の突撃槍で破壊していった。

「私達としても、死人を出すのは本意ではありませんから」

 そして、決意を持って仲間を撃とうとした『堅牢』達の武装を璃玖はフォックスファイアを放って内部から爆発させる。コックピットから抜け出たパイロットは、呆然とそれを見やるしかなかった。

「ど、どうして……どうして、敵を守る!?」
「堅牢なのはいいが何の為の堅牢だ?」

 その声に、パイロットは振り返った。セレンディピティの蒼い機体、そこから紡がれる力強いリィフの声に息を飲む。

「壁なら民を護るのだろう。盾なら友を守るのだろう。奪おうとする今の貴様等の後ろに、守るべき何がある? あるなら思え! 今の貴様等は、奪う貴様等は、背中の誰かに胸を張れるのか!?」

 パイロットは見る――倒れる仲間の『堅牢』、その脚部を破壊していくセレンディピティを。その光景は、あまりにも現実離れしていた――あまりにも、死からかけ離れたものだった。

 青臭い理想論、そのはずだ。戦場ではそんな理想を口にする者から死んでいき、守る事も叶わなくなる……そのはず、なのに――。

「命は取らない! 過去にはしない! 今を生きろ……!」

 ――パイロットは、知らず知らずその言葉に、固く拳を握っていた。

「くそ、何が起きている!?」

 まだ戦闘にある『堅牢』側は、違う意味でその異常を悟った。シールドアライアンスは意志を統一するほど強くなる――それが、明確に乱れているのだ。

 それは、彼らの仲間がこの戦いに疑念を抱き始めた事に、他ならない。

「防御を固めろ!」

 ヘビーアーマーキャバリアで、防御力を向上させる……だが、それはもはや悪手だ。

「あなたが語り綴り編纂する理、その全てを否定してあげる」

 水之江のユーベルコードキャンセラーが、一瞬だけその防御の性能を停止させる。制限時間のある、命を削るその力だが――ほんの数秒で、十分だった。

「今よ!」

 その合図に合わせ、リジュームはアークレイズ・ディナを加速。RXブレイクドライバーの一撃で、『堅牢』達の脚部を貫き破壊していった。

「ただ分厚い装甲など一撃で貫いてやる!」

 ドン! と疾風のような一撃が、駆け抜けていった。そこへホバーを全開で吹かして跳躍、上から降り立ったのはリーゼロッテのMPC-RW9r-LEX ナインス・ラインだった。

 着地と同時、Op.XVI:GOLEM DOZER(ゴーレム・ドーザー)が地面を破壊。複数の『堅牢』の巨体を跳ね上げていった。

「自称無敵な機体へ直接叩き込むより堪えるでしょ?」

 そして、落下してくる『堅牢』へ両肩に内蔵した小型多弾頭ミサイルRS-S-310IM-LEX シリウス・マインで動けないように追撃していった。ドドドドドドドドドドドドド! と周囲に爆炎が咲き乱れ、武装と脚を失った『堅牢』が落ちていく。

「ええ、戦う事は悪ではございません。傷つける為ではなく、守る為なら。私も幾らでも戦えます」

 BS重力砲で、しっかりと『堅牢』達の脚部破壊を続け、メルメッテはこぼした。この戦場で失われる命があったなら、それこそ首謀者の思う壺なのでしょうから――だからこそ、命を奪わないように無力化していった。

「まだ、だ!! まだ――ぐ!?」

 最後まで抵抗を諦めない『堅牢』達は、一斉掃射しようと試みる。しかし、武装は動かない――ミカエルのオブリビオン・ヴォイドだ。

 ヒュガガガガガガガガガガ! とアディシェスの全身から生命貪る死の棘を射出、そのまま前へ出たアディシェスは両腕から出現する一対のBXフォースセイバー――無情なる死の刃で射撃攻撃を封じられた『堅牢』の脚部を切り裂き、無力化した。

「オブリビオンマシンをすべて破壊します……それが私の罪をつぐなう、ただひとつの方法だから」

 ミカエルは決意を込めて、そちらへ視線を向ける。遠く離れているはずの場所、そこからするオブリビオンマシンの気配を、察しているからだ。

「そろそろ、親玉が出るはずだ。全員、容赦するなよ!」

 フォルティスの声と同時――その轟音が、戦場を揺るがした……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『機動殲龍『煉獄』』

POW   :    殲機滅煌機構『赫煌』
自身に【UCを防ぎ、敵の装備を根源から焼く灼煌翼】をまとい、高速移動と【共に近づく物を焼き切る。また太陽フレア】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    殲界浄熾機構『灼熾』
【体に業火を纏い戦場を焼く巨砲とミサイル群】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を根源から燃やす消えぬ炎で満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    殲業鎮燻機構『煉獄』
全身を【敵の知性体の殺害数に比例した量の癒しの炎】で覆い、自身が敵から受けた【際に敵の殺害数に比例して炎量を増し、総量】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビードット・ワイワイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●機動殲龍『煉獄』

「何者か知らんが、やってくれたな……!」

 真紅の三つ首竜――機動殲龍『煉獄』のコックピットの中で男は憎々しげに吐き捨てた。
 あれだけの戦い、アレだけの戦力の投入。だというのに、死者がゼロなど、意識しなければ起きない奇跡だ。

「くだらぬ偽善で、我が目論見を砕くか! 許せん、許せるものか!」

 一つでも命が失われれば、それは『火種』になる。死とは凡人を英雄に変え、英雄を神にする。戦争とは、失われた命を燃料に燃え上がるものなのだ。

 だが、あの凡百の兵士達は死んでいない。それでは駄目だ、それでは戦争は続かない。終わってしまう、人は時に許してしまう生き物だからだ。

「戦うために生み出されたのだ、ならば戦場がなくては意味がないではないか!」

 オブリビオンマシン、『煉獄』に狂わされた男は言い捨てる。戦争のための兵器から、兵器のための戦争へ――求めるのは、それなのだ。

「ならばやり直す! 敵に殺されたのだと発表すれば、それで戦いの『火種』となるのだから!」

 ズン……、と地面を踏みしめ、戦争のために戦う兵器が、ついに戦場へと姿を現した。
メルメッテ・アインクラング
あちらが今回の首謀者……と、そのように仕立て上げたオブリビオンマシンでございますね
「さあ、あと一息です。参りましょう」Hanon-60の操縦桿を握り直して最後の戦いへと向かいます

「熱弁に負けずとも劣らない、燃え盛る炎。のぼせてしまいそうですね」
オブリビオンマシンに踊らされている敵パイロットの方には、立ち止まり、冷静さを取り戻す事を推奨致します
敵攻撃をEP思念式防御機構の【オーラ防御】で防ぎながら、コックピットを避けた部位にRS電磁連射銃を撃ち【マヒ攻撃】を行いつつ『等除却』を発動。後は【援護射撃】を行い皆様の支援に徹します

「あなた様の舞台もこれまででございます。無事、閉幕とさせて頂きましょう」


桐嶋・水之江
◆桐嶋技研
邪魔されてさぞお怒り?あんまり熱くなりすぎると負けるわよ?
リジュームちゃんが一撃必殺してくれるらしいから私はお膳立てに回りましょうか
水之江流機巧抜刀術・壱ノ型…イカルガのスピードを限界まで引き出すわ
これで飛び回ってすれ違いざまに居合で斬り付けていきましょう
ビームスマートガンも適宜使うわよ
ダメージを回復されても気にしないわ
時間稼ぎが本命だもの
巨砲なんて当たりっこないしミサイルは振り切ればOK
炎に至っては接触時間は数秒にも満たない上に地形を燃やされた所で常時浮遊してられるイカルガには何ともないわね
さて、リジュームちゃんの準備も良い頃かしら?
この私の手を煩わせたんだからちゃんと決めるのよ?


リジューム・レコーズ
◆桐嶋技研
そうですね、戦いの無い世界に居るべき場所は無い
ですがわたしも貴方も戦うための手段であり理由じゃない
自らの役割に反逆したその傲慢さを償え!

僅かな損傷は炎ですぐ回復されてしまいますか
マスターラインのチャージ開始
水之江博士と共に機動力で撹乱
纏う炎に炙られない距離を維持した上で常に側面へと旋回し続けます
イグゼクターとマンティコアのプラズマキャノンで牽制射撃を行います
撃破は狙わず武器やセンサー類が集約されている頭部を重点に攻撃を加えます
ここまで全て時間稼ぎです
十分な威力までチャージを完了したら急接近しブレイクドライバーを刺突
敵機の内部よりマスターラインを発射
一撃で倒してしまえば再生能力なんて!


神奈木・璃玖
【パンドラ】
やれやれ、戦いに狂った人間というのは本当にいけませんね
確かに戦争が続けば経済が潤い、私のような商人にとってもある意味では喜ばしいことです
しかし、それが人の死の上に成り立つものだと気付いた時の絶望は想像したくありません
そういうわけですから、あなたの目論見はここで終わらせます

引き続きルナールに乗って出撃しますが、私はただの商人ですからね
荒事はあまり得意では無いので、選択UCの狐火で皆さんを援護しますよ

私たちはこの前の戦いで誰も殺していませんから、癒しの炎は使えませんよね
その代わりに私の狐火をプレゼントいたしましょうか
え、結構?それは残念です


ジーク・エヴァン
【パンドラ】 ようやく来たな、機械竜!
これ以上お前の好きにさせるか!
お前の破壊の炎は俺達が止めてみせる!

あの炎は厄介だ
時間を掛けたら肺を煙で焼かれて動けなくなるし逃げ道もなくなる
短期決戦だ!
火炎耐性の結界術を皆に多重詠唱で施して少しでも長く持たせよう

それでもあの太陽フレアはまずいな
だが俺も負けられない!
限界突破の結界術も施した、全合体【巨竜退ける砦盾】発動!
お前の破壊の炎と俺の守護の盾!
どちらがより強固か勝負だ機械竜!
俺がこの競り合いに勝ったら、鉄馬に乗って突撃する!角砕きと鉄兜を掲げ正面から奴へと突貫する!全てを穿てっ!(串刺し、部位破壊、鎧砕き)

奴のコックピットにも結界を一応張ってやろう


フォルティス・ワーライン
【パンドラ】 よし、俺は神奈木及びジークの援護に入らせてもらう。 降下強襲機鋼部隊は建物と自身の迷彩を利用して四方から撃て!やつの集中を切らせてやる必要がある。パンドラのメンバーのUCを撃てるようにするは俺の役目だ。俺自身も上空から援護する。相手もあれだけゴツければそう動けはしないだろう。航宙艦用『プラズマチャージカノン』から逃げられるかな?当たれば動作不良を起こすプラズマ弾だ。くらえ! EPイーグル!相手がこちらに矛先を向いたら攻撃を停止して、『自動修復エナジーアーマー』を起動しろ!攻撃された箇所にエネルギーを集めてなんとか防ぐんだ。ジークも守ってくれているが最低限は守らないとな。


リーベ・ディヒ
【パンドラ】

つまらん

戦いは人間、そして生物の本能であり可能性だ
闘争に酔うも忌避するも人の業
その矛盾を抱えて信念を貫くか、或いは絶望に悶えながらも可能性を掴むのが人間の素晴らしさだ
が、お前はつまらん
何の可能性も魅力も感じない
所詮は傀儡か
仲間のため勝利のため、自己犠牲を躊躇わなかったお前の部下達の方が余程美しく愛おしかったぞ
折角あの勇姿を見て熱く滾っていたのに…冷めてしまった…
さっさと終わらせるぞ

選択UCを発動
奪うのは奴の巨砲とミサイルのUC
自分の炎に焼かれてさっさと消えてくれ(黒獣から砲身が生え、ミサイルや砲火を限界時間まで間断なく放つ)


麻海・リィフ
アドリブ、即興連携歓迎

一つ溜息
阿呆奴
少女は戦争嫌いにて候

先制UC発動
機体全装備を念動オーラ防御で覆う

空中浮遊ダッシュジャンプスライディングで地面から僅か浮き滑走接敵

剣を回し念動衝撃波串刺しチャージで一気に突撃
回数に任せ範囲を薙ぎ払う

敵の攻撃は躱せるか見切り
躱せるなら残像などで躱し
さもなくば三種の盾で受け
念動衝撃波オーラ防御ジャストガード等で防ぐ
何れもカウンター念動衝撃波で串刺し武装や脚部位破壊

敵の地形を利用し炎を纏い残像や部位破壊の威力を上げる

窮地の仲間は積極的にかばう

竜弁舌禍に中てられて
乗せたつもりが乗せられて
挙げ句その沸騰ぶり

つくづく、阿呆

とどめなら限界突破の一突き
その心臓、貰い受ける!


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【WIZ】
※アドリブ絡み連携大歓迎
※引き続き愛機に搭乗

キャバリアが戦い以外無意味なモノ?
ハハッ、随分勿体ない視野狭窄だね
眼科検診したいなら格安で受けるよ、センセ♡

後方で2号【カノープス】展開
誰も死んでないし、誰も死なせない
そしてアタシもアンタを殺さない
作戦目標はバグった機械だけ♪

生体電脳酷使で頭が痛いけど楽しく【スナイパー】気取り
肩のミサイルで牽制しつつ龍の顎へプラズマ弾をブチ込むよ

(闇)医者が居る以上、ムダに死なせやしないさ
せっかく顔とか売れるチャンスなんだしね♪

※戦後は持ち込んだ『イリーガル・メディック』展開
※キャバリアのOSで制御して【医術】フル活用
※陣営や持ち金を問わず医療支援に当たる


ミカエル・コードウェイナー
「……ああ、あなたもそうなのですね」
戦争のために生まれ、戦火を友とし、戦場で死すべきさだめの存在。
その在りかたを否定することは、私にはできません。
私もあなたと同じ、戦うことを望まれたいのちなのですから。

「けれど……だからこそ、私はあなたの戦争を否定します」
この世界の戦争は、この世界の人々が生きるためにこそ行われなければなりません。
私達のようなオブリビオンマシンがいたずらに介入すべきではないのです。

エリトロスからガトリングキャノンを借り、ユーベルコードを発動。
高速飛行で肉薄し〈シュヴェーフェルレーゲン〉〈生命貪る死の棘〉〈鮮烈なる死の叫声〉の一斉発射で敵オブリビオンマシンを徹底的に破壊します。



●其は煉獄のごとく

 ――夜空が、揺れる。それは膨大な熱量によって大気が熱せられ、光を屈折させているからだ。その中心にいるのはまるで山が動いているかと錯覚するような、巨大な影だった。

「あちらが今回の首謀者……と、そのように仕立て上げたオブリビオンマシンでございますね」

 メルメッテ・アインクラング(Erstelltes Herz・f29929)は、夜の地上を歩く機竜の姿にそうこぼした。

 目に鮮やかな赤の装甲を持つ、三つ首の竜。距離はあってもその圧力は、肌で感じられた。いや、その圧力はその巨体だけではない――その意志によるものが大きい。

『戦うために生み出されたのだ、ならば戦場がなくては意味がないではないか!』

 血を吐くような男の声が、猟兵達に届いた。それは戦場しか知らぬ者なら誰もが抱く感情なのかもしれない。命を懸けて戦い、平和を勝ち取ろうとそこに自身の居場所はないという不安と自覚。

『貴様らは敵だ! 我らを無用に追いやるためにやって来た敵だ! ならば殺す! 殺し尽くす! 殺すため、戦うため、次の、次の次のために!』
「そうですね、戦いの無い世界に居るべき場所は無い」

 リジューム・レコーズ(RS02・f23631)――ウォーマシンである彼女は、その言葉の意味を理解しながら、真っ向から否定した。

「ですがわたしも貴方も戦うための手段であり理由じゃない」
『理由ではない? ならば、手段に過ぎぬ者が立ち塞がるな!』

 体を業火で包み、機動殲龍煉獄は右肩のキャノンを下げた。真っ直ぐに向けられた砲塔が、赤い光を宿すのを見て――ミカエル・コードウェイナー(背神の守護天使・f30565)は小さくこぼした。

「……ああ、あなたもそうなのですね」

 ミカエルにとっても、煉獄に操られた男の言葉はあまりにも身に覚えのあるものだった。

(「戦争のために生まれ、戦火を友とし、戦場で死すべきさだめの存在。その在りかたを否定することは、私にはできません。私もあなたと同じ、戦うことを望まれたいのちなのですから」)

 罪焔のアディシェス、その操縦桿を強く握りしめながらミカエルは理解し――だからこそ、言い切った。

「けれど……だからこそ、私はあなたの戦争を否定します」
『ならば、戦う以外ないな!』

 ドォ!! と煉獄のキャノンが火を吹いた。猟兵は直前に回避行動、ジュ――! と基地の外壁が一瞬にして穿たれ、爆音を轟かせた。

●勝敗が決めるのは、正誤ではない

 爆風による煽りを受けながら、それでもまっすぐとジーク・エヴァン(竜に故郷を滅ぼされた少年・f27128)は煉獄を見た。

「ようやく来たな、機械竜! これ以上お前の好きにさせるか! お前の破壊の炎は俺達が止めてみせる!」
『やれるものなら、やってみろ!!』

 ヒュガガガガガガガガガガガガガガガガ! と左肩の巨大ミサイルポッドから放たれるミサイルの数々が、次々に着弾していく。それはまさに地獄を生み出す攻撃だった。大気は熱せられ、吸えば肺さえ焼きそうな勢いだ。ただ吹く風に触れだだけでも、火傷しかねない。

 キャバリアに搭乗していなければ、戦う事もままならなかったろう。

「あの炎は厄介だ、時間を掛けたら肺を煙で焼かれて動けなくなるし逃げ道もなくなる」

 ジークは即座に判断し、火炎耐性の結界術を仲間達へと展開していく。ルナールのコックピットでは、神奈木・璃玖(九尾の商人・f27840)がため息をついていた。

「やれやれ、戦いに狂った人間というのは本当にいけませんね。確かに戦争が続けば経済が潤い、私のような商人にとってもある意味では喜ばしいことです。しかし、それが人の死の上に成り立つものだと気付いた時の絶望は想像したくありません」
『絶望!? 事実だろう!』

 煉獄が、迫る。その巨体が徐々に加速していく中、フォルティス・ワーライン(宇宙を駆けるケントゥリオ・f18278)が航宙駆逐艦『鬼やらい』の艦橋から告げた。

「降下強襲機鋼部隊は建物と自身の迷彩を利用して四方から撃て!」

 ジークと璃玖を援護するため、フォルティスの命を受けた降下強襲機鋼部隊が煉獄へと集中砲火を加えていく。だが、機竜は怯みさえしない――桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)がイカルガを加速させた。

「邪魔されてさぞお怒り? あんまり熱くなりすぎると負けるわよ?」

 ギィン! と水之江流機巧抜刀術・壱ノ型によるビームソードの居合を、機竜はその巨大な太刀で受け止める。色鮮やかな火花、イカルガは煉獄の横を通り過ぎていった。

「僅かな損傷は炎ですぐ回復されてしまいますか」

 イカルガがつけた傷も、またたく間に塞がっていく。そのプロセスを見届け、リジュームは煉獄を中心に旋回。RSイグゼクターとRBXS-Bマンティコアによって、牽制射撃を加えていった。

『温い!』

 だが、煉獄は喰らいながら反撃する。圧倒的火力差を背景に、猟兵達へと一斉掃射した。
「おっと」

 そのミサイルを璃玖が空中で狐火で迎撃、ドォ! と爆炎を撒き散らせながら撃ち落とす。そこへホバーで間合いを詰めた麻海・リィフ(晴嵐騎士・f23910)はセレンディピティに回転剣ストヲムルゥラァを振らせた。

「阿呆奴、少女は戦争嫌いにて候」

 ゴッ! と放たれた衝撃波が、一瞬で爆炎を吹き飛ばす! その空いた場所へリーベ・ディヒ(無貌の観察者・f28438)が突っ切った。

「つまらん」

 リーベは冷めた口調で、そう言い捨てる。

「戦いは人間、そして生物の本能であり可能性だ。闘争に酔うも忌避するも人の業。その矛盾を抱えて信念を貫くか、或いは絶望に悶えながらも可能性を掴むのが人間の素晴らしさだ」

 リーベの、人でないからこその率直な感想だ。それを受けて、煉獄に取り込まれた男は叫ぶ。

「当人からすれば、余計なお世話だ!」
「が、お前はつまらん。何の可能性も魅力も感じない。所詮は傀儡か、仲間のため勝利のため、自己犠牲を躊躇わなかったお前の部下達の方が余程美しく愛おしかったぞ」

 リーベは取り合わない。会話をするつもりは、もはやないのだ。それほどまでに、命をとして戦った彼らが素晴らしかったのか、それとも――。

「折角あの勇姿を見て熱く滾っていたのに……冷めてしまった……。さっさと終わらせるぞ」
『吼えろ!』

 唸りを上げて、煉獄の太刀が迫る。だが、その太刀を弾いたのはブラズマキャノンの一射――リーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)のDA-02:CANOPUS(カノープス)だ。

「キャバリアが戦い以外無意味なモノ? ハハッ、随分勿体ない視野狭窄だね。眼科検診したいなら格安で受けるよ、センセ♡」

 笑い、リーゼロッテは て言い切る。

「誰も死んでないし、誰も死なせない。そしてアタシもアンタを殺さない。作戦目標はバグった機械だけ♪」
『おのれ……!』

 殲業鎮燻機構『煉獄』によって癒しの炎で全身を覆い、煉獄は灼煌翼を広げた。ドン! とその巨体で繰り広げる高速機動を見てメルメッテはHanon-60の操縦桿を握り直し、告げる。

「さあ、あと一息です。参りましょう」

 意地と意地、この場の命を天秤に載せた戦いがただ激しさを増していった……。

●機竜の唯一の誤算

 猟兵達と機竜の戦いは、鋼と鋼の激突――凄まじい総力戦となった。ただそこにいるだけで周囲を地獄に変える煉獄に対し、猟兵達は一歩も退かずに応戦する。しかし、互いに決め手にかける中、焦りは煉獄側にのみあった。

「……そろそろ、気付くでしょうね」

 璃玖は、そう小さくこぼす。その読みは正解だ、オブリビオンマシン煉獄に操られる男はその事実に歯ぎしりしていた。

(「思ったよりも、戦闘能力の上昇値が低い……いや、これはほとんど強化されていないと見るべきか!」)

 殲業鎮燻機構『煉獄』は、治癒の炎だけではない。敵の殺害数に比例して炎量を増し、総量に比例した戦闘力増強と生命力吸収能力を得る能力があった。しかし、誰ひとり殺さずに終わらせた猟兵達の活躍で、その上昇が一切ないのだ。

 あれば、この拮抗はない。火力と出力、その二つの優位をもってごり押せた、そのはずだった。

 戦場において、味方の死さえ力に変える。それがこの機動殲龍『煉獄』の優位性であったというのに――その利点を、完全に潰された形となったのだ。

『――ならば!』

 煉獄は灼煌翼を広げる。機体性能で押しきれないのならば、火力で押し潰すまで――太陽フレアが放射される、その寸前だ。

「あの太陽フレアはまずいな。だが、俺も負けられない!」

 限界突破の結界術も施し、ジークは巨竜退ける砦盾(フォートレス・アイアス)をすべて合体させる。そこに生まれた巨大盾を展開し、ジークは叫んだ。

「お前の破壊の炎と俺の守護の盾! どちらがより強固か勝負だ機械竜!」
『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』

 ゴォ!! と大地をガラス化させるほどの熱量が炸裂した。吹き抜ける風だけで、キャバリアの装甲が軋みを上げる――その激突に、ジークの巨竜退ける砦盾は耐えきった。

『――まだだ!』

 煉獄は巨竜退ける砦盾を避けるように、ミサイルボッドを発射する――そのミサイルの前に現れたのは、リーベだった。

「それを待っていた」

 影から這い出た蠢く闇のような金眼の黒獣が、ミサイルを飲み込んでいく。その直後、リーベの操る黒獣から砲身が生えた。

「自分の炎に焼かれてさっさと消えてくれ」
『――ッ!』

 リーベの黒獣が連続で放つミサイルが、機竜の巨体を揺らす。一歩、ニ歩、とよろめきながら後退した煉獄に、リーゼロッテはDA-02:CANOPUSによる狙撃によって右側頭の口を貫き、撃ち砕いた。

「今だよ!」

 その声に、空中の航宙駆逐艦『鬼やらい』が航宙艦用『プラズマチャージカノン』の砲門を煉獄へと向けた。キュィィィィィィン! とチャージされていくプラズマが、球体を形成し――。

「航宙艦用『プラズマチャージカノン』から逃げられるかな? 当たれば動作不良を起こすプラズマ弾だ。くらえ! EPイーグル!」

 フォルティスの合図に『鬼やらい』の制御するAIEPイーグルが、プラズマチャージカノンを発射させる! それに対して、煉獄はすかさず太陽フレアの放射で迎撃した。

 バリン! と落雷にも似た激突音と共に、戦場が揺れた。互いの最大の一撃は、互角――だからこそ、煉獄はタイミングをずらしてミサイルを射出していた。

『墜ちろ!』

 だが、『鬼やらい』に迫るはずだったミサイルは寸前で暴発。爆炎が宙を焦がすだけで終わった――璃玖の狐火が撃ち落としたのだ。

「私の狐火をプレゼントいたしましょうか」
『いるか!』
「え、結構? それは残念です」

 もちろん、いらないと言われても璃玖は狐火を撃ち続ける。強引に前へ出た煉獄は、狐火ごと太刀の一薙ぎで切り飛ばそうと試みた。

「熱弁に負けずとも劣らない、燃え盛る炎。のぼせてしまいそうですね」

 その太刀を受け止めたのは、オーラ防御で固めたHanon-60のBXS熱短刀だ。メルメッテは煉獄の中の男へと、そのまま語りかけた。

「あなた様の舞台もこれまででございます。無事、閉幕とさせて頂きましょう」
『殺し合いに無事もクソもあるか!』

 肩のキャノンから放たれる煉獄の一射、それをメルメッテは等除却(グライヒシュタルク)を用いたBS重力砲の一撃で相殺した。地面が砕け、砂塵が舞い起こる。その砂塵を飛び抜けたのは、ジークだ。

「全てを穿てっ!」

 角砕きと鉄兜を掲げ正面から鉄馬による突撃で、ジークが煉獄の分厚い装甲を貫く! のけぞった煉獄が後退、ふんばろうとしたその時だ。

「隙ありです」

 ミカエルがアディシェスにアルカンゲロス・エリトロスのRS〈シュヴェーフェルレーゲン〉ガトリングキャノンを使わせ、ふんばろうとした脚に集中砲火した。ガガガガガガガガガガガガガガガガ! と装甲を穿った銃弾は内部で機構を破壊、爆発させる!

『ぐ、お。おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?』

 そこへミカエルはすかさず、生命貪る死の棘と鮮烈なる死の叫声を重ねた。装甲を軋ませ、ついに片膝を着く煉獄。そこへ、リィフが駆るセレンディピティが、蒼い流星となって迫った。

「竜弁舌禍に中てられて、乗せたつもりが乗せられて、挙げ句その沸騰ぶり。つくづく、阿呆」

 超高速滑走機動・吹雪による加速を持って、セレンディピティは回転剣ストヲムルゥラァを突き刺した。そして、リジュームのアークレイズ・ディナが飛び出した。

「一撃で倒してしまえば再生能力なんて!」

 RXブレイクドライバーを構えたアークレイズ・ディナの突撃。それに煉獄は、とっさに反応した。繰り出される太刀の刺突、突撃に合わせたそれはアークレイズ・ディナを貫く――そのはずだった。

「この私の手を煩わせたんだからちゃんと決めるのよ?」

 だが、煉獄の右腕が切り飛ばされ、太刀が宙を舞った――水之江のイカルガが繰り出した、水之江流機巧抜刀術・壱ノ型が巨大な右腕を切り刻んだのだ。

『ぐ、あ、ああああああああああああああああああああああああ!!』

 ガゴン! とアークレイズ・ディナのRXブレイクドライバーが突き刺さる! 同時、リジュームとリィフが叫んだ。

「わたしが何もかも、綺麗さっぱり消し去ってやる……このディナの力でッ! 死ねェェェーーーッ!!!」
「その心臓、貰い受ける!」

 RXブレイクドライバーから放たれた内側からの極大荷電粒子砲とセレンディピティが放った限界突破の一突きがリジェネーターを貫いた。

『お、わる……!? おわ、るの、か……つぎの、つぎのつぎの、そのために、えい、えんに……ィ!!』

 ドォ!! と煉獄が内側から爆発した。自らの存在のために闘争を求めたオブリビオンマシンは、敗北によって終わりを告げた……。

●最後、少しの希望を――

 東の空に朝日が登る頃、戦場は戦場跡へと変わっていた。

「医者が居る以上、ムダに死なせやしないさ。せっかく顔とか売れるチャンスなんだしね♪」

 闇、という部分は心の中だけで、『イリーガル・メディック』を展開したリーゼロッテは、慣れたように怪我人達を治療していった。しかし、そんなリーゼロッテでも呆れたように言うしかない。

「よく生きてたわね、あの男」
「コックピットにも結界を一応張っておいたからね」

 そう答えたのはジークだ。あの爆発の中で、コックピットだけは無事で、怪我はなく気を失っていただけですんだのは、そのおかげが大きい。

 その場で後始末に奔走する人々の顔に、疲労の色は濃くとも嘆きはなかった。あれだけの戦いで、死傷者はゼロだったからだ。

「感謝する。こういってはおかしいかもしれないが、人死は出なかったんだ。壊れた物は直せばいいだけ、まだやり直せるさ」
「まったくだね」

 そうリーゼロッテも軍人の言葉に応じた。命だけは死ねば生き返らせる事はできない。だからこそ、そこに悲嘆は必要なかったのだ。

「――敬礼! 勇士に敬意を!」

 軍人達は猟兵達を見送るため整列し、敬礼した。その表情には、吹っ切れた色がある。やり直せるのだ、人はいつでも――それがオブリビオンマシンに狂わされた男も同じだろう。

 その後、この国がどんな運命をたどるのか知る者は今はいない。希望に立ち上がるか、絶望の重みに敗れ地に伏すか……どちらにせよ、それはまた別の物語である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月28日


挿絵イラスト